JP5177321B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、過給機を備えた内燃機関に適用される制御装置に関する。
従来から、過給機(可変ノズル付き排気タービン式過給機)を備えた内燃機関が知られている。この過給機は、タービンと、可変ノズルと、コンプレッサと、を有している。このタービンは、内燃機関の排気通路に設けられており、排ガスのエネルギによって駆動される。可変ノズルは、タービンに導入される排ガスが通過する通過領域の開口面積を変更することができる。コンプレッサは、内燃機関の吸気通路に設けられており、タービンが駆動されることによって駆動される。さらに、この内燃機関の排気通路には、バイパス通路と、制御弁と、が設けられている。バイパス通路は、排気通路から分岐してタービンをバイパスする。制御弁は、バイパス通路に設けられており、バイパス通路の開口面積を変更することができる。以下、内燃機関を、単に「機関」とも称呼する。
上記過給機は、コンプレッサに流入する空気を圧縮し、その圧縮された空気を機関の燃焼室に導入させる。すなわち、過給が行われる。より具体的に述べると、上記過給機は、機関の運転状態に基づいて制御弁を操作することによってバイパス通路の開口面積を調整すると共に、機関の運転状態に基づいて可変ノズルを操作することによって上記通過領域の開口面積を調整する。制御弁および可変ノズルにより、タービンに導入される排ガスのエネルギの大きさ(以下、「タービンへの導入エネルギ」とも称呼する。)が調整される。それにより、機関の燃焼室に導入される空気の圧力(過給圧)を、機関の運転状態に適応した値に一致させる。
従来の内燃機関が備える制御装置の一つ(以下、「従来装置」と称呼する。)は、機関の回転速度に基づいて制御弁および可変ノズルを操作することにより、タービンへの導入エネルギの大きさを調整する。これにより、従来装置において、過給圧が制御される(例えば、特開2005−146906号公報を参照。)。
上記過給機は、コンプレッサに流入する空気を圧縮し、その圧縮された空気を機関の燃焼室に導入させる。すなわち、過給が行われる。より具体的に述べると、上記過給機は、機関の運転状態に基づいて制御弁を操作することによってバイパス通路の開口面積を調整すると共に、機関の運転状態に基づいて可変ノズルを操作することによって上記通過領域の開口面積を調整する。制御弁および可変ノズルにより、タービンに導入される排ガスのエネルギの大きさ(以下、「タービンへの導入エネルギ」とも称呼する。)が調整される。それにより、機関の燃焼室に導入される空気の圧力(過給圧)を、機関の運転状態に適応した値に一致させる。
従来の内燃機関が備える制御装置の一つ(以下、「従来装置」と称呼する。)は、機関の回転速度に基づいて制御弁および可変ノズルを操作することにより、タービンへの導入エネルギの大きさを調整する。これにより、従来装置において、過給圧が制御される(例えば、特開2005−146906号公報を参照。)。
従来装置は、上述したように、制御弁および可変ノズルによってタービンへの導入エネルギの大きさを調整する。換言すると、従来装置は、タービンへの導入エネルギの大きさが所定の目標値に一致するように、制御弁および可変ノズルにそれらを操作するための指示を与える。ここで、従来装置においては、制御弁に指示が与えられた時点から、制御弁の開度がその指示に応じた開度に一致する時点まで、に要する時間の長さ(以下、「応答時間長さ」とも称呼する。)は、実質的にゼロであるとみなされている。すなわち、従来装置は、制御弁の応答時間長さを考慮することなく制御弁を操作している。同様に、従来装置は、可変ノズルの応答時間長さを考慮することなく可変ノズルを操作している。
制御弁および可変ノズルの「実際の応答時間長さ」がそれらに「要求される応答時間長さ」よりも短い場合、制御弁および可変ノズルの応答時間長さを考慮しなくとも、タービンへの導入エネルギの大きさは目標値に実質的に一致すると考えられる。しかしながら、制御弁および可変ノズルの「実際の応答時間長さ」がそれらに「要求される応答時間長さ」よりも長い場合、制御弁および可変ノズルの応答時間長さを考慮しなければ、タービンへの導入エネルギの大きさが目標値に一致しない場合がある。
タービンへの導入エネルギの大きさが目標値に一致しない場合、過給圧は、機関の運転状態に適応した値に一致しない。そのため、従来装置には、制御弁および可変ノズルにそれらを操作するための指示を与えてから、それらの応答時間長さが経過するまで、の期間において、過給圧を適切に制御することができない場合があるという問題がある。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、タービンへの導入エネルギの大きさを適切に調整することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明による制御装置は、
少なくとも1つの過給機と、少なくとも1つの制御弁と、を備えた内燃機関に適用される。
より具体的に述べると、まず、上記少なくとも1つの過給機は、
内燃機関の排気通路に設けられると共に「通過領域」を通過した排ガスが導入されることによって駆動されるタービンを有する。排気通路は、前記機関の燃焼室から放出される排ガスを前記燃焼室から前記機関の外部へ排出する通路である。さらに、上記少なくとも1つの過給機は、内燃機関の吸気通路に設けられると共に前記タービンが駆動されることによって駆動されて前記吸気通路内を流れる空気を圧縮するコンプレッサを有する。吸気通路は、前記機関の外部の空気を前記外部から前記燃焼室に導入する通路である。加えて、上記少なくとも1つ過給機は、「第1指示」に応じて前記通過領域の開口面積を変更することによって「前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさ」を変化させる開口面積変更部材を有する。
上記「開口面積変更部材」は、上記通過領域の開口面積を変更することができることができる部材であればよく、特に制限されない。さらに、上記「通過領域」は、上記燃焼室と上記タービンとの間に存在する領域であればよく、特に制限されない。
開口面積変更部材として、例えば、上記タービンを取り囲むように配置された複数の羽根状部材(ベーン)と、その羽根状部材に向けて排ガスを導入させる筐体と、を有する部材(いわゆる、可変ノズル)が採用され得る。この可変ノズルにおいては、一の羽根状部材と、その一の羽根状部材に隣接する他の羽根状部材と、の間の領域が、上記「通過領域」に相当する。さらに、この可変ノズルは、所定の指示に応じて羽根状部材を回動することによって上記通過領域の開口面積を変更するようになっている。
次いで、上記少なくとも1つの制御弁は、
「第2指示」に応じて該制御弁の開度を変更することによって「前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさ」を変化させる。
上記「制御弁」は、その開度に応じて上記タービンへの導入エネルギの大きさが変化する弁であればよく、特に制限されない。制御弁として、例えば、所定の軸周りに回動可能な板状部材を有する弁(例えば、スイングアーム式の弁およびバタフライ弁など)が採用され得る。
このように、本発明の制御装置においては、第1指示に応じて作動する開口面積変更部材と、第2指示に応じて作動する制御弁と、の「双方」が、上記タービンへの導入エネルギの大きさを変更する。換言すると、開口面積変更部材および制御弁の「双方」により、タービンへの導入エネルギの大きさが調整される。
本発明の制御装置は、上記構成を備えた内燃機関に適用される。
この制御装置は、上記通過領域の開口面積を変更する指示を上記開口面積変更部材に与える「制御手段」を備える。以下、便宜上、「通過領域の開口面積を変更する指示を開口面積変更部材に与える」ことを「通過領域の開口面積を制御する」とも称呼する。
上記制御装置は、制御弁が作動させられるとき、制御弁の応答時間長さを考慮するための所定の情報に基づいて開口面積変更部材を作動させる(すなわち、通過領域の開口面積を制御する。)。制御弁の開度が変更されることによるタービンへの導入エネルギの調整と、通過領域の開口面積が変更されることによるタービンへの導入エネルギの調整と、は並行して行われる。
より具体的に述べると、上記制御手段は、
(1)所定の「指示時点」において「前記制御弁の開度を「目標開度差」だけ変更させる第2指示」が前記制御弁に対して与えられたとき、
(A)該目標開度差と、
(B)「前記制御弁の開度を変更する所定の指示が前記制御弁に対して与えられた時点から、前記制御弁の開度が前記所定の指示に応じた開度に一致する時点まで、に要する時間の長さである応答時間長さ」に関連するパラメータである「応答時間長さ関連パラメータ」と、
に基づき、
(2)前記通過領域の開口面積と時間経過との関係である「開口面積制御則」を決定すると共に、
(3)前記「指示時点」を始点として「該始点から前記開口面積制御則に従って前記通過領域の開口面積を変更させる第1指示」を前記開口面積変更部材に与える、
ようになっている。
このように、上記制御手段は、制御弁に対して上記第2指示が与えられたとき(上記(1))、制御弁の目標開度差(上記(A))と応答時間長さ関連パラメータ(上記(B))とに基づいて定められた開口面積制御則(上記(2))に従い、通過領域の開口面積を制御する(上記(3))。すなわち、上記制御手段は、制御弁の開度が変更されることと並行して、「制御弁の応答時間長さを考慮して」通過領域の開口面積を制御する。
これにより、上記制御を行う場合のタービンへの導入エネルギの大きさは、制御弁が作動されるときに「制御弁の応答時間長さを考慮することなく」通過領域の開口面積を制御する場合のタービンへの導入エネルギの大きさよりも、その目標値に近づけられる。すなわち、本発明の制御装置は、制御弁に上記第2指示が与えられてから制御弁の応答時間長さが経過するまでの期間中であっても、タービンへの導入エネルギの大きさを適切に調整することができる。
上記「応答時間長さ関連パラメータ」は、制御弁の応答時間長さに関連するパラメータであればよく、特に制限されない。応答時間長さ関連パラメータとして、例えば、あらかじめ行われた実験などによって定められているパラメータ、上記制御装置を備えた機関が実際に運転されている際に取得(学習)されるパラメータ、および、それらパラメータの双方などが採用され得る。
上記「開口面積制御則」は、通過領域の開口面積と時間経過との関係(すなわち、時間経過に対する通過領域の開口面積の推移)を表す制御則であればよく、特に制限されない。例えば、開口面積制御則として、「所定の始点からの時間経過に対する通過領域の開口面積の値を表す開口面積のプロファイル」、「所定の始点からの経過時間が入力値であって通過領域の開口面積の値が出力値である関数」、ならびに、「開口面積の目標値と、開口面積をその目標値に一致させる指示を所定の始点から開口面積変更部材に与える時間の長さと、の組み合わせ」などが採用され得る。
そして、そのような開口面積制御則に従い、上記「開口面積変更部材」が作動される(上記(3)を参照。)。ここで、この開口面積変更部材は、
前記第1指示に応じた「該開口面積変更部材による前記通過領域の開口面積の変化速度」が、前記第2指示に応じた「該制御弁による前記制御弁の開度の変化速度」よりも「速い」部材である、ように構成され得る。
ここで、上記「通過領域の開口面積の変化速度」とは、所定の大きさのタービンへの導入エネルギを単位エネルギ量としたとき、「タービンへの導入エネルギの大きさを単位エネルギ量だけ変化させるために必要な開口面積の変化量」だけ開口面積を変化させるために必要な時間の長さ、を意味する。さらに、上記「制御弁の開度の変化速度」とは、「タービンへの導入エネルギの大きさを上記単位エネルギ量だけ変化させるために必要な開度の変化量」だけ開度を変化させるために必要な時間の長さ、を意味する。
上述したように、タービンへの導入エネルギの大きさは、制御弁の応答時間長さに起因して目標値と一致しない場合がある。すなわち、タービンへの導入エネルギの大きさと目標値との間に差が生じる場合がある。例えば、制御装置がこの「差」に相当する大きさのエネルギ量を通過領域の開口面積を変更することによって補償する場合、通過領域の開口面積の変化速度が制御弁の開度の変化速度よりも速ければ、制御装置はこの「差」を迅速に補償することができるので、タービンへの導入エネルギの大きさは迅速に目標値に近づけられる。
なお、通過領域の開口面積の変化速度が制御弁の開度の変化速度よりも「遅い」場合であっても、制御装置は、上記「差」を少なくとも部分的に補償することができる。そのため、この場合におけるタービンへの導入エネルギの大きさは、制御装置が上記補償を行わない場合(すなわち、「制御弁の応答時間長さを考慮して」通過領域の開口面積を制御しない場合)のタービンへの導入エネルギの大きさよりも、目標値に近づけられる。以下、便宜上、上記「差」を「エネルギ差」とも称呼する。
以上、本発明の制御装置、および、この制御装置において制御される対象の一つである開口面積変更部材について説明した。次いで、上述した「開口面積制御則」および「応答時間長さ関連パラメータ」の例を説明する。
まず、本発明の制御装置の「第1の態様」として、
前記制御手段は、
前記開口面積制御則として、「前記通過領域の目標開口面積」と、「前記通過領域の開口面積を前記目標開口面積に一致させる指示を前記開口面積変更部材に対して与える時間の長さである目標指示時間長さ」と、を決定する、ように構成され得る。
さらに、上記態様の制御装置は、決定された開口面積制御則に基づき、
前記第1指示として、前記指示時点を始点として「前記始点から前記目標指示時間長さが経過する時点までの期間中に前記通過領域の開口面積を前記目標開口面積に一致させる指示」を前記開口面積変更部材に対して与える、ように構成され得る。
本態様の制御装置は、「目標開口面積および目標指示時間長さのみ」を開口面積制御則として用いる。そのため、本態様の制御装置によれば、複雑な開口面積制御則(例えば、所定の始点からの時間経過に対する通過領域の開口面積の値を表す開口面積のプロファイルなど)を用いる制御装置に比べ、通過領域の開口面積がより簡便に制御される。
さらに、上記第1の態様の制御装置において、
前記開口面積変更部材は、
「前記指示時点から、前記通過領域の開口面積が前記目標開口面積に一致する時点まで、に要する時間の長さ」が、「前記指示時点から、前記制御弁の開度が前記目標開度差だけ変更される時点まで、に要する時間の長さ」よりも短い部材である、ように構成され得る。
上記構成により、上述したように、制御装置が上記エネルギ差を通過領域の開口面積を変更することによって補償する場合、このエネルギ差が迅速に補償されるので、タービンへの導入エネルギの大きさが迅速に目標値に近づけられる。
次いで、本発明の制御装置の「第2の態様」として、
前記制御手段は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、「前記制御弁の開度を第1開度から第2開度に変更する指示が前記制御弁に対して与えられた第1時点から、前記制御弁の開度が前記第2開度に一致する第2時点まで、に要する時間の長さである基準応答時間長さ」と、「前記第1開度の大きさと前記第2開度の大きさとの差である基準開度差」と、を採用する、ように構成され得る。
上述したように、制御弁は、制御弁に与えられる指示(第2指示)に応じてその開度を変更する。よって、制御弁の応答時間長さは、制御弁に指示が与えられる前の制御弁の開度と、その指示に応じた制御弁の開度と、の差(以下、単に「開度差」とも称呼する。)に関連する。例えば、一般に、開度差が小さいほど応答時間長さは短いと考えられる。そこで、本態様の制御装置は、上記「基準開度差」と、制御弁の開度がその基準開度差だけ変化する際に要する「基準応答時間長さ」と、を応答時間長さ関連パラメータとして取得する。
本態様の制御装置において、上記第2開度は、上記第1開度よりも小さい開度、および、上記第1開度よりも大きい開度、のいずれであってもよい。さらに、上記基準開度差および上記基準応答時間長さは、あらかじめ実験などによって定められている値、本態様の制御装置を備えた機関が実際に運転されている際に取得(学習)される値、および、それら値の双方、のいずれであってもよい。
ところで、制御弁の基準応答時間長さは、制御弁の作動に関連する部材の経年劣化などに起因して変化する場合がある。さらに、その部材は構造上のばらつき(製造の際に生じる同一種の部材間における寸法および性能などの差)を有する場合がある。よって、制御弁の基準応答時間長さとして、個別の機関毎に異なる場合がある。そこで、上記基準応答時間長さとして、本態様の制御装置を備えた機関が実際に運転されている際に取得(学習)される値が採用されることが好適である。
さらに、制御弁の基準応答時間長さおよび基準開度差には、不可避な取得誤差(測定誤差)が含まれる場合がある。そのため、開口面積制御則の決定方法によっては、基準応答時間長さおよび基準開度差が過度に小さい場合に決定される開口面積制御則よりも、それらが適度に大きい場合に決定される開口面積制御則が、タービンへの導入エネルギを目標値に近づける観点において適切である場合がある。
そこで、上記第2の態様の制御装置において、
前記制御手段は、
「前記基準開度差が所定の閾値よりも大きい場合」における前記基準応答時間長さと、前記基準開度差と、を前記応答時間長さ関連パラメータとして採用する、ように構成され得る。
次いで、本発明の制御装置の「第3の態様」が適用される内燃機関は、
前記コンプレッサによって圧縮された後に前記内燃機関の燃焼室に導入される空気の圧力である「過給圧」を取得する過給圧取得手段と、
前記内燃機関の運転状態に基づいて定まる燃料噴射量の「基準量」、および、前記過給圧を含む所定の運転パラメータに基づいて定まる燃料噴射量の「上限量」、のうちの「小さい方」を燃料噴射量の「目標量」として決定する燃料噴射量決定手段と、
前記「目標量」の燃料を前記燃焼室に噴射する燃料噴射手段と、
を備える。
そして、本発明の制御装置の「第3の態様」として、
前記制御手段は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、前記制御弁の開度を第1開度から第2開度に変更する指示が前記制御弁に対して与えられた第1時点から、前記制御弁の開度が前記第2開度に一致する第2時点まで、の間に「前記上限量が前記基準量よりも小さい期間である燃料制限期間」が存在する場合、
「前記基準量と前記上限量との差を前記燃料制限期間に亘って積算して得られる積算燃料制限量」と、「前記第1開度の大きさと前記第2開度の大きさとの差である基準開度差」と、を採用する、ように構成され得る。
上述したように、「制御弁の応答時間長さ」と、タービンへの導入エネルギの大きさと、は関連する(例えば、上記エネルギ差の考え方を参照。)。さらに、タービンおよびコンプレッサはタービンへの導入エネルギによって駆動され、駆動されたコンプレッサは吸気通路内の空気を圧縮する。よって、タービンへの導入エネルギの大きさと、過給圧と、は関連する。加えて、本態様の機関において、燃料噴射量の目標値は、機関の運転状態および過給圧を考慮して決定される。よって、過給圧と、「燃料噴射量の目標値」と、は関連する。
したがって、本態様の機関において、制御弁の応答時間長さと、燃料噴射量の目標値と、は関連する。より具体的に述べると、制御弁にその開度を変更する指示(第2指示)が与えられてからその応答時間長さが経過するまでの期間中、タービンへの導入エネルギの大きさが目標値に一致しなければ、過給圧を考慮して定まる「燃料制限期間の上限値」が機関の運転状態を考慮して定まる「燃料制限期間の基準値」よりも小さい場合がある。すなわち、制御弁の応答時間長さに起因して燃料噴射量(燃料噴射量の目標値)が制限される場合がある。よって、燃料噴射量が制限される場合、燃料噴射量が制限される度合いは制御弁の応答時間長さに関連する。
本態様の制御装置は、燃料噴射量が制限される度合いとして、「燃料噴射量の基準量と上限量との差」を「燃料噴射量が制限される期間(燃料制限期間)」に亘って積算した値(積算燃料制限量)、を採用する。そして、本態様の制御装置は、この積算燃料制限量を、応答時間長さ関連パラメータの1つとして採用する。この積算燃料制限量は、本態様の制御装置を備えた機関が実際に運転されている際に取得(学習)され得る。
さらに、上述したように、上記基準開度差は応答時間長さと関連する(上記第2の態様を参照。)。よって、本態様の制御装置は、基準開度差を、応答時間長さ関連パラメータの1つとして採用する。
ところで、上記第2の態様の制御装置と同様、積算燃料制限量および基準開度差には、不可避な取得誤差(測定誤差)が含まれる場合がある。そのため、開口面積制御則の決定方法によっては、積算燃料制限量および基準開度差が過度に小さい場合に決定される開口面積制御則よりも、それらが適度に大きい場合に決定される開口面積制御則が、タービンへの導入エネルギを目標値に近づける観点において適切である場合がある。
そこで、上記第3の態様の制御装置において、
前記制御手段は、
「前記基準開度差が所定の閾値よりも大きい場合」における前記積算燃料制限量と、前記基準開度差と、を前記応答時間長さ関連パラメータとして採用する、ように構成され得る。
上記「基準開度差の所定の閾値(すなわち、第1開度および第2開度)」についてより具体的に述べると、上記第1の態様〜上記第3の態様の制御装置において、
前記第1開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが「最小」である開度であり、かつ、前記第2開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが「最大」である開度である、ように構成され得る。
さらに、前記第1開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが「最大」である開度であり、かつ、前記第2開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが「最小」である開度である、ように構成され得る。
以上、「開口面積制御則」および「応答時間長さ関連パラメータ」の例について説明した。
ところで、本発明の制御装置において、上記第2指示における「目標開度差」が小さいほど制御弁の応答時間長さは短いと考えられる。よって、目標開度差が小さいほど、タービンへの導入エネルギと目標値とが一致しない期間の長さは短いと考えられる。この期間の長さが十分に短ければ、制御装置が通過領域の開口面積を制御しなくても(すなわち、開口面積変更部材に第1指示を与えなくても)、タービンへの導入エネルギの大きさが目標値に実質的に一致するとみなすことができる場合がある。
そこで、本発明の制御装置(上述した制御装置の第1の態様〜第3の態様を含む。)において、
前記制御手段は、
「前記目標開度差が所定の閾値よりも大きい場合」に前記第1指示を前記開口面積変更部材に与える、ように構成され得る。
制御弁および可変ノズルの「実際の応答時間長さ」がそれらに「要求される応答時間長さ」よりも短い場合、制御弁および可変ノズルの応答時間長さを考慮しなくとも、タービンへの導入エネルギの大きさは目標値に実質的に一致すると考えられる。しかしながら、制御弁および可変ノズルの「実際の応答時間長さ」がそれらに「要求される応答時間長さ」よりも長い場合、制御弁および可変ノズルの応答時間長さを考慮しなければ、タービンへの導入エネルギの大きさが目標値に一致しない場合がある。
タービンへの導入エネルギの大きさが目標値に一致しない場合、過給圧は、機関の運転状態に適応した値に一致しない。そのため、従来装置には、制御弁および可変ノズルにそれらを操作するための指示を与えてから、それらの応答時間長さが経過するまで、の期間において、過給圧を適切に制御することができない場合があるという問題がある。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、タービンへの導入エネルギの大きさを適切に調整することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明による制御装置は、
少なくとも1つの過給機と、少なくとも1つの制御弁と、を備えた内燃機関に適用される。
より具体的に述べると、まず、上記少なくとも1つの過給機は、
内燃機関の排気通路に設けられると共に「通過領域」を通過した排ガスが導入されることによって駆動されるタービンを有する。排気通路は、前記機関の燃焼室から放出される排ガスを前記燃焼室から前記機関の外部へ排出する通路である。さらに、上記少なくとも1つの過給機は、内燃機関の吸気通路に設けられると共に前記タービンが駆動されることによって駆動されて前記吸気通路内を流れる空気を圧縮するコンプレッサを有する。吸気通路は、前記機関の外部の空気を前記外部から前記燃焼室に導入する通路である。加えて、上記少なくとも1つ過給機は、「第1指示」に応じて前記通過領域の開口面積を変更することによって「前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさ」を変化させる開口面積変更部材を有する。
上記「開口面積変更部材」は、上記通過領域の開口面積を変更することができることができる部材であればよく、特に制限されない。さらに、上記「通過領域」は、上記燃焼室と上記タービンとの間に存在する領域であればよく、特に制限されない。
開口面積変更部材として、例えば、上記タービンを取り囲むように配置された複数の羽根状部材(ベーン)と、その羽根状部材に向けて排ガスを導入させる筐体と、を有する部材(いわゆる、可変ノズル)が採用され得る。この可変ノズルにおいては、一の羽根状部材と、その一の羽根状部材に隣接する他の羽根状部材と、の間の領域が、上記「通過領域」に相当する。さらに、この可変ノズルは、所定の指示に応じて羽根状部材を回動することによって上記通過領域の開口面積を変更するようになっている。
次いで、上記少なくとも1つの制御弁は、
「第2指示」に応じて該制御弁の開度を変更することによって「前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさ」を変化させる。
上記「制御弁」は、その開度に応じて上記タービンへの導入エネルギの大きさが変化する弁であればよく、特に制限されない。制御弁として、例えば、所定の軸周りに回動可能な板状部材を有する弁(例えば、スイングアーム式の弁およびバタフライ弁など)が採用され得る。
このように、本発明の制御装置においては、第1指示に応じて作動する開口面積変更部材と、第2指示に応じて作動する制御弁と、の「双方」が、上記タービンへの導入エネルギの大きさを変更する。換言すると、開口面積変更部材および制御弁の「双方」により、タービンへの導入エネルギの大きさが調整される。
本発明の制御装置は、上記構成を備えた内燃機関に適用される。
この制御装置は、上記通過領域の開口面積を変更する指示を上記開口面積変更部材に与える「制御手段」を備える。以下、便宜上、「通過領域の開口面積を変更する指示を開口面積変更部材に与える」ことを「通過領域の開口面積を制御する」とも称呼する。
上記制御装置は、制御弁が作動させられるとき、制御弁の応答時間長さを考慮するための所定の情報に基づいて開口面積変更部材を作動させる(すなわち、通過領域の開口面積を制御する。)。制御弁の開度が変更されることによるタービンへの導入エネルギの調整と、通過領域の開口面積が変更されることによるタービンへの導入エネルギの調整と、は並行して行われる。
より具体的に述べると、上記制御手段は、
(1)所定の「指示時点」において「前記制御弁の開度を「目標開度差」だけ変更させる第2指示」が前記制御弁に対して与えられたとき、
(A)該目標開度差と、
(B)「前記制御弁の開度を変更する所定の指示が前記制御弁に対して与えられた時点から、前記制御弁の開度が前記所定の指示に応じた開度に一致する時点まで、に要する時間の長さである応答時間長さ」に関連するパラメータである「応答時間長さ関連パラメータ」と、
に基づき、
(2)前記通過領域の開口面積と時間経過との関係である「開口面積制御則」を決定すると共に、
(3)前記「指示時点」を始点として「該始点から前記開口面積制御則に従って前記通過領域の開口面積を変更させる第1指示」を前記開口面積変更部材に与える、
ようになっている。
このように、上記制御手段は、制御弁に対して上記第2指示が与えられたとき(上記(1))、制御弁の目標開度差(上記(A))と応答時間長さ関連パラメータ(上記(B))とに基づいて定められた開口面積制御則(上記(2))に従い、通過領域の開口面積を制御する(上記(3))。すなわち、上記制御手段は、制御弁の開度が変更されることと並行して、「制御弁の応答時間長さを考慮して」通過領域の開口面積を制御する。
これにより、上記制御を行う場合のタービンへの導入エネルギの大きさは、制御弁が作動されるときに「制御弁の応答時間長さを考慮することなく」通過領域の開口面積を制御する場合のタービンへの導入エネルギの大きさよりも、その目標値に近づけられる。すなわち、本発明の制御装置は、制御弁に上記第2指示が与えられてから制御弁の応答時間長さが経過するまでの期間中であっても、タービンへの導入エネルギの大きさを適切に調整することができる。
上記「応答時間長さ関連パラメータ」は、制御弁の応答時間長さに関連するパラメータであればよく、特に制限されない。応答時間長さ関連パラメータとして、例えば、あらかじめ行われた実験などによって定められているパラメータ、上記制御装置を備えた機関が実際に運転されている際に取得(学習)されるパラメータ、および、それらパラメータの双方などが採用され得る。
上記「開口面積制御則」は、通過領域の開口面積と時間経過との関係(すなわち、時間経過に対する通過領域の開口面積の推移)を表す制御則であればよく、特に制限されない。例えば、開口面積制御則として、「所定の始点からの時間経過に対する通過領域の開口面積の値を表す開口面積のプロファイル」、「所定の始点からの経過時間が入力値であって通過領域の開口面積の値が出力値である関数」、ならびに、「開口面積の目標値と、開口面積をその目標値に一致させる指示を所定の始点から開口面積変更部材に与える時間の長さと、の組み合わせ」などが採用され得る。
そして、そのような開口面積制御則に従い、上記「開口面積変更部材」が作動される(上記(3)を参照。)。ここで、この開口面積変更部材は、
前記第1指示に応じた「該開口面積変更部材による前記通過領域の開口面積の変化速度」が、前記第2指示に応じた「該制御弁による前記制御弁の開度の変化速度」よりも「速い」部材である、ように構成され得る。
ここで、上記「通過領域の開口面積の変化速度」とは、所定の大きさのタービンへの導入エネルギを単位エネルギ量としたとき、「タービンへの導入エネルギの大きさを単位エネルギ量だけ変化させるために必要な開口面積の変化量」だけ開口面積を変化させるために必要な時間の長さ、を意味する。さらに、上記「制御弁の開度の変化速度」とは、「タービンへの導入エネルギの大きさを上記単位エネルギ量だけ変化させるために必要な開度の変化量」だけ開度を変化させるために必要な時間の長さ、を意味する。
上述したように、タービンへの導入エネルギの大きさは、制御弁の応答時間長さに起因して目標値と一致しない場合がある。すなわち、タービンへの導入エネルギの大きさと目標値との間に差が生じる場合がある。例えば、制御装置がこの「差」に相当する大きさのエネルギ量を通過領域の開口面積を変更することによって補償する場合、通過領域の開口面積の変化速度が制御弁の開度の変化速度よりも速ければ、制御装置はこの「差」を迅速に補償することができるので、タービンへの導入エネルギの大きさは迅速に目標値に近づけられる。
なお、通過領域の開口面積の変化速度が制御弁の開度の変化速度よりも「遅い」場合であっても、制御装置は、上記「差」を少なくとも部分的に補償することができる。そのため、この場合におけるタービンへの導入エネルギの大きさは、制御装置が上記補償を行わない場合(すなわち、「制御弁の応答時間長さを考慮して」通過領域の開口面積を制御しない場合)のタービンへの導入エネルギの大きさよりも、目標値に近づけられる。以下、便宜上、上記「差」を「エネルギ差」とも称呼する。
以上、本発明の制御装置、および、この制御装置において制御される対象の一つである開口面積変更部材について説明した。次いで、上述した「開口面積制御則」および「応答時間長さ関連パラメータ」の例を説明する。
まず、本発明の制御装置の「第1の態様」として、
前記制御手段は、
前記開口面積制御則として、「前記通過領域の目標開口面積」と、「前記通過領域の開口面積を前記目標開口面積に一致させる指示を前記開口面積変更部材に対して与える時間の長さである目標指示時間長さ」と、を決定する、ように構成され得る。
さらに、上記態様の制御装置は、決定された開口面積制御則に基づき、
前記第1指示として、前記指示時点を始点として「前記始点から前記目標指示時間長さが経過する時点までの期間中に前記通過領域の開口面積を前記目標開口面積に一致させる指示」を前記開口面積変更部材に対して与える、ように構成され得る。
本態様の制御装置は、「目標開口面積および目標指示時間長さのみ」を開口面積制御則として用いる。そのため、本態様の制御装置によれば、複雑な開口面積制御則(例えば、所定の始点からの時間経過に対する通過領域の開口面積の値を表す開口面積のプロファイルなど)を用いる制御装置に比べ、通過領域の開口面積がより簡便に制御される。
さらに、上記第1の態様の制御装置において、
前記開口面積変更部材は、
「前記指示時点から、前記通過領域の開口面積が前記目標開口面積に一致する時点まで、に要する時間の長さ」が、「前記指示時点から、前記制御弁の開度が前記目標開度差だけ変更される時点まで、に要する時間の長さ」よりも短い部材である、ように構成され得る。
上記構成により、上述したように、制御装置が上記エネルギ差を通過領域の開口面積を変更することによって補償する場合、このエネルギ差が迅速に補償されるので、タービンへの導入エネルギの大きさが迅速に目標値に近づけられる。
次いで、本発明の制御装置の「第2の態様」として、
前記制御手段は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、「前記制御弁の開度を第1開度から第2開度に変更する指示が前記制御弁に対して与えられた第1時点から、前記制御弁の開度が前記第2開度に一致する第2時点まで、に要する時間の長さである基準応答時間長さ」と、「前記第1開度の大きさと前記第2開度の大きさとの差である基準開度差」と、を採用する、ように構成され得る。
上述したように、制御弁は、制御弁に与えられる指示(第2指示)に応じてその開度を変更する。よって、制御弁の応答時間長さは、制御弁に指示が与えられる前の制御弁の開度と、その指示に応じた制御弁の開度と、の差(以下、単に「開度差」とも称呼する。)に関連する。例えば、一般に、開度差が小さいほど応答時間長さは短いと考えられる。そこで、本態様の制御装置は、上記「基準開度差」と、制御弁の開度がその基準開度差だけ変化する際に要する「基準応答時間長さ」と、を応答時間長さ関連パラメータとして取得する。
本態様の制御装置において、上記第2開度は、上記第1開度よりも小さい開度、および、上記第1開度よりも大きい開度、のいずれであってもよい。さらに、上記基準開度差および上記基準応答時間長さは、あらかじめ実験などによって定められている値、本態様の制御装置を備えた機関が実際に運転されている際に取得(学習)される値、および、それら値の双方、のいずれであってもよい。
ところで、制御弁の基準応答時間長さは、制御弁の作動に関連する部材の経年劣化などに起因して変化する場合がある。さらに、その部材は構造上のばらつき(製造の際に生じる同一種の部材間における寸法および性能などの差)を有する場合がある。よって、制御弁の基準応答時間長さとして、個別の機関毎に異なる場合がある。そこで、上記基準応答時間長さとして、本態様の制御装置を備えた機関が実際に運転されている際に取得(学習)される値が採用されることが好適である。
さらに、制御弁の基準応答時間長さおよび基準開度差には、不可避な取得誤差(測定誤差)が含まれる場合がある。そのため、開口面積制御則の決定方法によっては、基準応答時間長さおよび基準開度差が過度に小さい場合に決定される開口面積制御則よりも、それらが適度に大きい場合に決定される開口面積制御則が、タービンへの導入エネルギを目標値に近づける観点において適切である場合がある。
そこで、上記第2の態様の制御装置において、
前記制御手段は、
「前記基準開度差が所定の閾値よりも大きい場合」における前記基準応答時間長さと、前記基準開度差と、を前記応答時間長さ関連パラメータとして採用する、ように構成され得る。
次いで、本発明の制御装置の「第3の態様」が適用される内燃機関は、
前記コンプレッサによって圧縮された後に前記内燃機関の燃焼室に導入される空気の圧力である「過給圧」を取得する過給圧取得手段と、
前記内燃機関の運転状態に基づいて定まる燃料噴射量の「基準量」、および、前記過給圧を含む所定の運転パラメータに基づいて定まる燃料噴射量の「上限量」、のうちの「小さい方」を燃料噴射量の「目標量」として決定する燃料噴射量決定手段と、
前記「目標量」の燃料を前記燃焼室に噴射する燃料噴射手段と、
を備える。
そして、本発明の制御装置の「第3の態様」として、
前記制御手段は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、前記制御弁の開度を第1開度から第2開度に変更する指示が前記制御弁に対して与えられた第1時点から、前記制御弁の開度が前記第2開度に一致する第2時点まで、の間に「前記上限量が前記基準量よりも小さい期間である燃料制限期間」が存在する場合、
「前記基準量と前記上限量との差を前記燃料制限期間に亘って積算して得られる積算燃料制限量」と、「前記第1開度の大きさと前記第2開度の大きさとの差である基準開度差」と、を採用する、ように構成され得る。
上述したように、「制御弁の応答時間長さ」と、タービンへの導入エネルギの大きさと、は関連する(例えば、上記エネルギ差の考え方を参照。)。さらに、タービンおよびコンプレッサはタービンへの導入エネルギによって駆動され、駆動されたコンプレッサは吸気通路内の空気を圧縮する。よって、タービンへの導入エネルギの大きさと、過給圧と、は関連する。加えて、本態様の機関において、燃料噴射量の目標値は、機関の運転状態および過給圧を考慮して決定される。よって、過給圧と、「燃料噴射量の目標値」と、は関連する。
したがって、本態様の機関において、制御弁の応答時間長さと、燃料噴射量の目標値と、は関連する。より具体的に述べると、制御弁にその開度を変更する指示(第2指示)が与えられてからその応答時間長さが経過するまでの期間中、タービンへの導入エネルギの大きさが目標値に一致しなければ、過給圧を考慮して定まる「燃料制限期間の上限値」が機関の運転状態を考慮して定まる「燃料制限期間の基準値」よりも小さい場合がある。すなわち、制御弁の応答時間長さに起因して燃料噴射量(燃料噴射量の目標値)が制限される場合がある。よって、燃料噴射量が制限される場合、燃料噴射量が制限される度合いは制御弁の応答時間長さに関連する。
本態様の制御装置は、燃料噴射量が制限される度合いとして、「燃料噴射量の基準量と上限量との差」を「燃料噴射量が制限される期間(燃料制限期間)」に亘って積算した値(積算燃料制限量)、を採用する。そして、本態様の制御装置は、この積算燃料制限量を、応答時間長さ関連パラメータの1つとして採用する。この積算燃料制限量は、本態様の制御装置を備えた機関が実際に運転されている際に取得(学習)され得る。
さらに、上述したように、上記基準開度差は応答時間長さと関連する(上記第2の態様を参照。)。よって、本態様の制御装置は、基準開度差を、応答時間長さ関連パラメータの1つとして採用する。
ところで、上記第2の態様の制御装置と同様、積算燃料制限量および基準開度差には、不可避な取得誤差(測定誤差)が含まれる場合がある。そのため、開口面積制御則の決定方法によっては、積算燃料制限量および基準開度差が過度に小さい場合に決定される開口面積制御則よりも、それらが適度に大きい場合に決定される開口面積制御則が、タービンへの導入エネルギを目標値に近づける観点において適切である場合がある。
そこで、上記第3の態様の制御装置において、
前記制御手段は、
「前記基準開度差が所定の閾値よりも大きい場合」における前記積算燃料制限量と、前記基準開度差と、を前記応答時間長さ関連パラメータとして採用する、ように構成され得る。
上記「基準開度差の所定の閾値(すなわち、第1開度および第2開度)」についてより具体的に述べると、上記第1の態様〜上記第3の態様の制御装置において、
前記第1開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが「最小」である開度であり、かつ、前記第2開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが「最大」である開度である、ように構成され得る。
さらに、前記第1開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが「最大」である開度であり、かつ、前記第2開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが「最小」である開度である、ように構成され得る。
以上、「開口面積制御則」および「応答時間長さ関連パラメータ」の例について説明した。
ところで、本発明の制御装置において、上記第2指示における「目標開度差」が小さいほど制御弁の応答時間長さは短いと考えられる。よって、目標開度差が小さいほど、タービンへの導入エネルギと目標値とが一致しない期間の長さは短いと考えられる。この期間の長さが十分に短ければ、制御装置が通過領域の開口面積を制御しなくても(すなわち、開口面積変更部材に第1指示を与えなくても)、タービンへの導入エネルギの大きさが目標値に実質的に一致するとみなすことができる場合がある。
そこで、本発明の制御装置(上述した制御装置の第1の態様〜第3の態様を含む。)において、
前記制御手段は、
「前記目標開度差が所定の閾値よりも大きい場合」に前記第1指示を前記開口面積変更部材に与える、ように構成され得る。
図1は、本発明の第1実施形態に係る制御装置が適用される内燃機関の概略図である。
図2は、図1に示す内燃機関におけるタービンおよび可変ノズル機構の概略正面図である。
図3は、図1に示す内燃機関における排気切替弁66の開度と時間経過との関係を表す模式図である。
図4は、本発明の第1実施形態に係る制御装置が採用する機関回転速度と燃料噴射量とターボモードとの関係を表す概略図である。
図5は、図1に示す内燃機関において燃料噴射量、吸気切替弁の開度および可変ノズルの開度の変化と、タービンによる圧力比の変化と、を示すタイムチャートである。
図6は、図1に示す内燃機関において燃料噴射量、吸気切替弁の開度および可変ノズルの開度の変化と、タービンによる圧力比の変化と、を示すタイムチャートである。
図7は、図1に示す内燃機関において燃料噴射量、吸気切替弁の開度および可変ノズルの開度の変化と、タービンによる圧力比の変化と、を示すタイムチャートである。
図8は、図1に示す内燃機関において燃料噴射量、吸気切替弁の開度および可変ノズルの開度の変化と、タービンによる圧力比の変化と、を示すタイムチャートである。
図9は、本発明の第1実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図10は、本発明の第1実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図11は、本発明の第1実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図12は、図1に示す内燃機関における排気切替弁66の開度と、過給圧と、燃料噴射量と、時間経過との関係を表す模式図である。
図13は、本発明の第2実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図14は、本発明の第2実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図15は、本発明の第2実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図2は、図1に示す内燃機関におけるタービンおよび可変ノズル機構の概略正面図である。
図3は、図1に示す内燃機関における排気切替弁66の開度と時間経過との関係を表す模式図である。
図4は、本発明の第1実施形態に係る制御装置が採用する機関回転速度と燃料噴射量とターボモードとの関係を表す概略図である。
図5は、図1に示す内燃機関において燃料噴射量、吸気切替弁の開度および可変ノズルの開度の変化と、タービンによる圧力比の変化と、を示すタイムチャートである。
図6は、図1に示す内燃機関において燃料噴射量、吸気切替弁の開度および可変ノズルの開度の変化と、タービンによる圧力比の変化と、を示すタイムチャートである。
図7は、図1に示す内燃機関において燃料噴射量、吸気切替弁の開度および可変ノズルの開度の変化と、タービンによる圧力比の変化と、を示すタイムチャートである。
図8は、図1に示す内燃機関において燃料噴射量、吸気切替弁の開度および可変ノズルの開度の変化と、タービンによる圧力比の変化と、を示すタイムチャートである。
図9は、本発明の第1実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図10は、本発明の第1実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図11は、本発明の第1実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図12は、図1に示す内燃機関における排気切替弁66の開度と、過給圧と、燃料噴射量と、時間経過との関係を表す模式図である。
図13は、本発明の第2実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図14は、本発明の第2実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
図15は、本発明の第2実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
以下、本発明による内燃機関の制御装置の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
<装置の概要>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る制御装置(以下、「第1装置」とも称呼する。)を内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。内燃機関10は、第1気筒〜第4気筒の4つの気筒を有する4気筒ディーゼル機関である。以下、便宜上、「内燃機関10」を単に「機関10」とも称呼する。
この機関10は、図1に示すように、燃料噴射系統を含むエンジン本体20、エンジン本体20に空気を導入するための吸気系統30、エンジン本体20から排出されるガスを機関10の外部に放出するための排気系統40、排ガスを排気系統40から吸気系統30に還流させるためのEGR装置50、および、排ガスのエネルギによって駆動されてエンジン本体20に導入される空気を圧縮する過給装置60、を備えている。
エンジン本体20は、吸気系統30および排気系統40が連結されたシリンダヘッド21を有している。このシリンダヘッド21は、それぞれの気筒に対応するようにそれぞれの気筒の上部に設けられた複数の燃料噴射装置(例えば、ソレノイド式インジェクタ)22を有している。燃料噴射装置22のそれぞれは、図示しない燃料タンクと接続されており、電気制御装置80からの指示信号に応じてそれぞれの気筒の燃焼室内に燃料を噴射するようになっている。
吸気系統30は、シリンダヘッド21に形成された図示しない吸気ポート、吸気ポートを介してそれぞれの気筒に連通されたインテークマニホールド31、インテークマニホールド31の上流側の集合部に接続された吸気管32、吸気管32内の開口面積(開口断面積)を変更することができるスロットル弁(吸気絞り弁)33、電気制御装置80からの指示信号に応じてスロットル弁33を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ33a、スロットル弁33の上流側において吸気管32に設けられたインタークーラ34、および、インタークーラ34の上流側に設けられた過給装置60よりも上流側の吸気管32の端部に設けられたエアクリーナ35、を有している。インテークマニホールド31および吸気管32は、吸気通路を構成している。
排気系統40は、シリンダヘッド21に形成された図示しない排気ポート、排気ポートを介してそれぞれの気筒に連通されたエキゾーストマニホールド41、エキゾーストマニホールド41の下流側の集合部に接続された排気管42、および、排気管42に設けられた過給装置60よりも下流側に設けられた排ガス浄化用触媒(例えば、DPNR)43、を有している。エキゾーストマニホールド41および排気管42は、排気通路を構成している。
EGR装置50は、排ガスをエキゾーストマニホールド41からインテークマニホールド31へと還流させる通路(EGR通路)を構成する排気還流管51、排気還流管51に設けられたEGRガス冷却装置(EGRクーラ)52、および、排気還流管51に設けられたEGR制御弁53、を有している。EGR制御弁53は、還流される排ガス量(EGRガス量)を電気制御装置80からの指示信号に応じて変更するようになっている。
過給装置60は、高圧段過給機61および低圧段過給機62有している。さらに、過給装置60、それら過給機に導入される排ガスまたは空気を調整するための部材として、高圧段コンプレッサバイパス通路部(バイパス管)63、吸気切替弁(ACV)64、高圧段タービンバイパス通路部(バイパス管)65、排気切替弁(ECV)66、低圧段タービンバイパス通路部(バイパス管)67、および、排気バイパス弁(EBV)68を有している。
高圧段過給機61は、高圧段コンプレッサ61a、高圧段タービン61b、および、可変ノズル機構61cを有している。高圧段コンプレッサ61aは、吸気通路(吸気管32)に設けられている。高圧段タービン61bは、排気通路(排気管42)に設けられている。高圧段コンプレッサ61aと高圧段タービン61bとは、ローターシャフト61d(図2を参照。)によって同軸回転可能に連結されている。これにより、高圧段タービン61bが排ガスのエネルギによって回転せしめられると、高圧段コンプレッサ61aが回転する。そして、高圧段コンプレッサ61aに導入される空気が圧縮される(すなわち、過給が行われる)ようになっている。可変ノズル機構61cは、高圧段タービン61bの周辺に設けられている。可変ノズル機構61cは、高圧段タービン61bに導入される排ガスが通過する領域(以下、「通過領域」とも称呼する。)の開口面積を、電気制御装置80からの指示信号に応じて変更するようになっている。
可変ノズル機構61cの構成を、図2を参照しながら説明する。可変ノズル機構61cは、複数の羽根状部材(ベーン)61c1、および、このベーン61c1に向けて排ガスを導入させる図示しない筒状部材を備えている。複数のベーン61c1は、高圧段タービン61bを取り囲むように配置されている。そして、排ガスは、図中の白抜き矢印にて示すように、一のベーン61c1と、その一のベーン61c1に隣接する他のベーン61c1と、の間の領域を通過して、高圧段タービン61bに導入される。この領域が、上記通過領域に相当する。
ベーン61c1のそれぞれは、電気制御装置80からの指示信号に応じて、図中の実線にて示される位置から破線にて示される位置までの範囲において所定の回動軸周りに回動することができるようになっている。なお、本可変ノズル機構61cにおいて、ベーン61c1の全ては連動して回動するようになっている。例えば、ベーン61c1がこのように回動すると、通過領域の開口面積は、面積S1(ベーン61c1の位置が図中の実線にて示される位置である場合の通過領域の開口面積)から面積S2(ベーン61c1の位置が図中の破線にて示される位置である場合の通過領域の開口面積)まで、の範囲において変化する。
このように、可変ノズル機構61cは、上記指示信号に応じて通過領域の開口面積を変更する。通過領域の開口面積が変化すると、例えば高圧段タービン61bに導入される排ガスの単位時間あたりの流量などが変化するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさが変化する。
再び図1を参照すると、低圧段過給機62は、低圧段コンプレッサ62aおよび低圧段タービン62bを有している。低圧段コンプレッサ62aは、高圧段コンプレッサ61aよりも吸気通路(吸気管32)の上流側に設けられている。低圧段タービン62bは、高圧段タービン61bよりも排気通路(排気管42)の下流側に設けられている。低圧段コンプレッサ62aと低圧段タービン62bとは、図示しないローターシャフトによって同軸回転可能に連結されている。これにより、低圧段タービン62bが排ガスによって回転せしめられると、低圧段コンプレッサ62aが回転する。そして、低圧段コンプレッサ62aに導入される空気が圧縮される(すなわち、過給が行われる)ようになっている。なお、低圧段タービン62bの容量は、高圧段タービン61bの容量よりも大きい。
高圧段コンプレッサバイパス通路部63の一端は、高圧段コンプレッサ61aと低圧段コンプレッサ62aとの間において吸気通路(吸気管32)に接続されている。高圧段コンプレッサバイパス通路部63の他端は、高圧段コンプレッサ61aよりも下流側において吸気通路(吸気管32)に接続されている。すなわち、高圧段コンプレッサバイパス通路部63は、高圧段コンプレッサ61aをバイパスする経路を構成している。
吸気切替弁64は、高圧段コンプレッサバイパス通路部63に設けられている。吸気切替弁64はバタフライ弁である。吸気切替弁64は、電気制御装置80からの指示信号に応じて駆動される吸気切替弁アクチュエータ64aにより、所定の回動軸周りに回動させられる。吸気切替弁64が回動する(開度を変更する)ことにより、高圧段コンプレッサバイパス通路部63の開口面積が変化する。
高圧段タービンバイパス通路部65の一端は、高圧段タービン61bよりも上流側において排気通路(排気管42)に接続されている。高圧段タービンバイパス通路部65の他端は、高圧段タービン61bと低圧段タービン62bとの間において排気通路(排気管42)に接続されている。すなわち、高圧段タービンバイパス通路部65は、高圧段タービン61bをバイパスする経路を構成している。
排気切替弁66は、高圧段タービンバイパス通路部65に設けられている。排気切替弁66は、スイングアーム式の開閉弁である。排気切替弁66は、電気制御装置80からの指示信号に応じて駆動される排気切替弁アクチュエータ66aにより、所定の回動軸周りに回動させられる。排気切替弁66が回動する(開度を変更する)ことにより、高圧段タービンバイパス通路部65の開口面積が変化する。
例えば、排気切替弁66の開度が大きい場合、高圧段タービンバイパス通路部65を通過することができる排ガスの量が大きいので、高圧段タービン61bに導入される排ガスの量は小さい。これに対し、排気切替弁66の開度が小さい場合、高圧段タービンバイパス通路部65を通過することができる排ガスの量が小さいので、高圧段タービン61bに導入される排ガスの量は大きい。
このように、排気切替弁66は、上記指示信号に応じてその開度を変更することにより、高圧段タービン61bに導入される排ガスの量(排ガスのエネルギの大きさ)を変化させる。
ここで、排気切替弁66の応答速度と、可変ノズル機構61cの応答速度と、の関係について述べる。まず、所定の大きさの「高圧段タービン61bへの導入エネルギ」を単位エネルギ量UEとする。「排気切替弁66が高圧段タービン61bへの導入エネルギの大きさを単位エネルギ量UEだけ変化させる」ために必要な開度の変化量(単位変化量)は、排気切替弁66の構造などに基づいて定まる。同様に、「可変ノズル機構61cが高圧段タービン61bへの導入エネルギの大きさを単位エネルギ量UEだけ変化させる」ために必要な通過領域の開口面積の変化量(単位変化量)は、可変ノズル機構61cの構造などに基づいて定まる。
機関10において、可変ノズル機構61cがその開口面積を単位変化量だけ変化させるために要する時間の長さ(すなわち、可変ノズル機構61cの応答速度)は、排気切替弁66がその開度を単位変化量だけ変化させるために要する時間の長さ(すなわち、排気切替弁66の応答速度)よりも、速い。
低圧段タービンバイパス通路部67の一端は、低圧段タービン62bよりも上流側であって高圧段タービン61bと低圧段タービン62bとの間において排気通路(排気管42)に接続されている。低圧段タービンバイパス通路部67の他端は、低圧段タービン62bよりも下流側において排気通路(排気管42)に接続されている。すなわち、低圧段タービンバイパス通路部67は、低圧段タービン62bをバイパスする経路を構成している。
排気バイパス弁68は、低圧段タービンバイパス通路部67に設けられている。排気バイパス弁68はバタフライ弁である。排気バイパス弁68は、電気制御装置80からの指示信号に応じて駆動される排気バイパス弁アクチュエータ68aにより、所定の回動軸周りに回動させられる。排気バイパス弁68が回動する(開度を変更する)ことにより、低圧段タービンバイパス通路部67の開口面積が変化する。
さらに、第1装置は、複数のセンサを備えている。
具体的に述べると、第1装置は、吸入空気量センサ71、吸気温度センサ72、過給圧センサ73、クランクポジションセンサ74、排気切替弁開度センサ75、および、アクセル開度センサ76を備えている。
吸入空気量センサ71は、吸気通路(吸気管32)に設けられている。吸入空気量センサ71は、吸気管32内を流れる空気の質量流量である吸入空気量(すなわち、機関10に吸入される空気の質量)に応じた信号を出力するようになっている。この信号に基づき、吸入空気量の測定値が取得される。
吸気温度センサ72は、吸気通路(吸気管32)に設けられている。吸気温度センサ72は、吸気管32内を流れる空気の温度である吸気温度に応じた信号を出力するようになっている。この信号に基づき、吸気温度が取得される。
過給圧センサ73は、スロットル弁33の下流側の吸気管32に設けられている。過給圧センサ73は、それが設けられている部位における吸気管32内の空気の圧力(すなわち、機関10の燃焼室に供給される空気の圧力。換言すると、過給装置60によってもたらされる過給圧)を表す信号を出力するようになっている。この信号に基づき、過給圧Pimが取得される。
クランクポジションセンサ74は、図示しないクランクシャフトの近傍に設けられている。クランクポジションセンサ74は、クランクシャフトが10°回転する毎に幅の狭いパルスを有する信号を出力すると共に、クランクシャフトが360°回転する毎に幅の広いパルスを有する信号を出力するようになっている。これら信号に基づき、クランクシャフトの単位時間あたりの回転数の測定値(以下、単に「機関回転速度NE」とも称呼される。)が取得される。
排気切替弁開度センサ75は、排気切替弁66の開度に応じた信号を出力するようになっている。この信号に基づき、排気切替弁66の開度Oecvが取得される。
アクセル開度センサ76は、機関10の操作者によって操作されるアクセルペダルAPに設けられている。アクセル開度センサ75は、このアクセルペダルAPの開度に応じた信号を出力するようになっている。この信号に基づき、アクセルペダル開度Accpが取得される。
さらに、第1装置は、電気制御装置80を備えている。
電気制御装置80は、CPU81、CPU81が実行するプログラム、テーブル(マップ)および定数などをあらかじめ記憶したROM82、CPU81が必要に応じて一時的にデータを格納するRAM83、電源が投入された状態でデータを格納すると共に格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM84、ならびに、ADコンバータを含むインターフェース85を有する。CPU81、ROM82、RAM83、RAM84およびインターフェース85は、互いにバスで接続されている。
インターフェース85は、上記センサと接続され、CPU81にそれらから出力される信号を伝えるようになっている。さらに、インターフェース85は、燃料噴射装置22、複数のアクチュエータおよびEGR制御弁53などと接続され、CPU81の指示に応じてそれらに指示信号を送るようになっている。
以下、便宜上、可変ノズル機構61cのベーン61c1の位置(回動位置)を「可変ノズル開度」とも称呼する。
<装置の作動の概要>
以下、上記機関10に適用される第1装置の作動の概要について説明する。
第1装置は、機関10が実際に運転されている際に上述した「応答時間長さ関連パラメータ」を取得する。より具体的に述べると、機関10が第1の運転状態(排気切替弁66の開度は第1開度である。)にて運転されているとき、第1時点において、機関10の運転状態が第2の運転状態に変化したと仮定する。この運転状態の変化により、第1時点において、「排気切替弁66の開度を第2の運転状態に応じた第2開度に変更する指示」が排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。そして、その指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられてから所定の長さの時間が経過した後の第2時点において、排気切替弁66の開度が第2開度に一致する。
このとき、第1装置は、図3に示すように、「排気切替弁アクチュエータ66aに上記指示が与えられた第1時点から、排気切替弁66の開度が上記指示に応じた開度に一致する第2時点まで、の時間の長さ」を「基準応答時間長さTecvref」として取得する。さらに、第1装置は、「第1開度と第2開度との差」を「基準開度差Oecvdref」として取得する。第1装置は、基準応答時間長さTecvrefおよび基準開度差Oecvdrefを応答時間長さ関連パラメータとして採用する。
次いで、第1装置は、上述したように取得された応答時間長さ関連パラメータに基づき、可変ノズル開度を調整する。より具体的に述べると、上記応答時間長さ関連パラメータが取得された後の第3時点において、機関10の運転状態が第3の運転状態に変化すると、「排気切替弁66の開度を第3の運転状態に応じた第3開度に変更する指示」が排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。すなわち、排気切替弁66の開度を「目標開度差」だけ変更する指示が、排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。
このとき、第1装置は、この目標開度差と、上記応答時間長さ関連パラメータと、に基づき、開口面積制御則を決定する。より具体的に述べると、第1装置は、開口面積制御則として、「可変ノズル開度の目標値(可変ノズル補償開度)」および「可変ノズル開度をその目標値に一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さ(可変ノズル指示時間長さ)」を決定する。
そして、第1装置は、上記第3時点から「可変ノズル指示時間長さ」が経過する時点までの期間中に、可変ノズル開度を「可変ノズル補償開度」に一致させる指示を、可変ノズル機構61cに対して与える。このように、第1装置は、排気切替弁66の開度が変更されることと並行して、可変ノズル開度を制御する。以上が第1装置の作動の概要である。
<ターボモードの決定方法>
次いで、第1装置におけるターボモードおよびその決定方法について説明する。
第1装置は、機関10の運転状態に基づき、高圧段過給機61および低圧段過給機62を使い分ける。より具体的に述べると、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさが小さいとき(例えば、機関10が低負荷運転されているとき)、第1装置は、排ガスが高圧段過給機61に優先的に導入されるように排気切替弁66を制御する。一方、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさが大きいとき(例えば、機関10が高負荷運転されているとき)、排ガスが低圧段過給機62に優先的に導入されるように排気切替弁66を制御する。
さらに、第1装置は、機関10の運転状態に基づいて吸気切替弁64を制御することにより、高圧段過給機61に導入される空気の量を調整する。加えて、第1装置は、機関10の運転状態に基づいて排気バイパス弁68を制御することにより、低圧段過給機62に導入される排ガスのエネルギの大きさを調整する。
すなわち、第1装置は、機関10の運転状態に応じて、適切な量の排ガスおよび空気が高圧段過給機61および低圧段過給機62に導入されるように、吸気切替弁64、排気切替弁66、および、排気バイパス弁68(以下、「各制御弁」とも称呼する。)を制御する。
このような制御を実行するために、第1装置は、機関10の運転状態を4つの領域(運転領域)に分け、その4つの運転領域のそれぞれに適した各制御弁の作動状態を決定する。この「各制御弁の作動状態」が、ターボモードに基づいて決定される。
このターボモードは、以下のように決定される。
第1装置は、図4(A)に示す「機関回転速度NEと、燃料噴射量の目標値Qtgtと、ターボモードと、の関係を予め定めたターボモードテーブルMapTM(NE,Qtgt)」をROM82に格納している。図4(A)の図中に示される「1」〜「4」の数字は、それぞれターボモードの番号を示す。さらに、図4(A)の図中に示される「HP×LP」は高圧段過給機61と低圧段過給機62との双方を作動させることを示し、「LP」は低圧段過給機62を優先的に作動させることを示す。
図4(B)は、ターボモードのそれぞれにおける各制御弁の作動状態を示す。図4(B)において、「全閉」は、制御弁の開度がその制御弁が設けられている通路を閉鎖する開度に設定され、空気または排ガスがその通路を通過することができない状態であることを示す。一方、「全開」は、制御弁の開度がその制御弁が設けられている通路を完全に(限界まで)開放する開度に設定され、空気または排ガスがその通路を制御弁の影響を実質的に受けることなく通過することができる状態であることを示す。さらに、「開」は、制御弁の開度が「全閉」から「全開」までの間の開度に設定され、その制御弁が設けられている通路を通過する空気または排ガスの流量が制御弁の開度に応じて変更可能となっている状態であることを示す。
なお、図4(B)において、「ECV」は排気切替弁66の略称であり、「ACV」は吸気切替弁64の略称であり、「EBV」は排気バイパス弁68の略称である。
第1装置は、上記ターボモードテーブルMapTM(NE,Qtgt)に実際の機関回転速度NEおよび燃料噴射量の目標量Qtgtを適用することにより、ターボモードを決定する。そして、第1装置は、決定されたターボモードに応じて各制御弁の開度を制御する。
<可変ノズル開度の制御方法>
次いで、第1装置における過給圧の制御方法について説明する。
第1装置は、上述したように、機関10の運転状態に基づき、排気切替弁66の開度が変更されることと並行して、可変ノズル開度を制御する。
以下、まず、排気切替弁66の開度が「減少」するように変更される場合における可変ノズル開度の変化につき、図5および図6に示すタイムチャートを参照しながら説明する。
図5は第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合の例を示すタイムチャートであり、図6は第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合の例を示すタイムチャートである。
図5は、過給機の圧力比(高圧段過給機61による圧力比HP、低圧段過給機62による圧力比LP、および、それら双方による圧力比HP×LP)と、燃料噴射量Qと、排気切替弁66の開度Oecvと、可変ノズル開度Ovnと、の関係を示すタイムチャートである。
ここで、圧力比とは、「過給機に導入される前の空気の圧力に対する過給機を通過した後の空気の圧力の比」を意味する。よって、上記圧力比HP×LPは、「低圧段過給機62に導入される前」の空気の圧力に対する「高圧段過給機61を通過した後」の空気の圧力の比、を意味する。なお、過給圧Pimは、機関10に導入される空気の圧力(大気圧)に圧力比HP×LPを乗算した値に相当する。
このタイムチャートにおいて、時刻t1の直前において機関10の運転状態が変化すると、燃料噴射量Qを変更(減少)する指示が燃料噴射装置22に与えられ、排気切替弁66の開度Oecvを変更(減少)する指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる。
燃料噴射装置(例えば、上述したソレノイド式インジェクタ)22は、その構造上、燃料噴射量を速やかに変更し得る。そのため、燃料噴射量Qは、時刻t1において上記指示に応じた量Qtgt(以下、「目標量Qtgt」とも称呼する。)に一致する。
これに対し、排気切替弁66(例えば、上述したスイングアーム式開閉弁)は、その構造上、開度を変更するために所定の時間を要する。そのため、開度Oecvは、時刻t1から所定の長さの時間が経過した後の時刻t2において、上記指示に応じた開度Oecvtgt(以下、「目標開度Oecvtgt」とも称呼する。)に向けて変化し始める。そして、開度Oecvは、時刻t3において目標開度Oecvtgtに一致する。以下、便宜上、「排気切替弁66の開度Oecvを変更する指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられてから、排気切替弁66の開度Oecvがその指示に応じた開度Oecvtgtに一致するまで、に所定の時間を要する現象」を、「排気切替弁66の応答遅れ」とも称呼する。
なお、上述したように、図5に示す例において、第1装置は可変ノズル開度Ovnを制御しない。そのため、可変ノズル開度Ovnは、時刻によらず所定の開度に維持されている。
時刻t1から時刻t2までの期間中、燃料噴射量Qが減少するので、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさは減少する。一方、この期間中、排気切替弁66の開度Oecvは上記指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる前の開度に維持されているので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは減少する。そのため、圧力比HPは減少する。ただし、高圧段タービン61bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、圧力比HPは瞬時には減少せず徐々に減少する。さらに、同様の理由により、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさも減少する。そのため、圧力比LPは減少する。ただし、低圧段タービン62bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、圧力比LPは瞬時には減少せず徐々に減少する。
次いで、時刻t2から時刻t3までの期間中、排気切替弁66の開度Oecvが減少するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは増大し、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさは減少する。
このとき、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさが増大するので、圧力比HPは増大する。ただし、上述したように高圧段タービン61bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、排気切替弁66の開度Oecvが目標開度Oecvtgtに一致してから、圧力比HPがその目標開度Oecvtgtに応じた圧力比PRhptgt(以下、「目標圧力比PRhptgt」とも称呼する。)に一致するまで、に所定の時間を要する。そのため、圧力比HPは、時刻t3においては未だ目標圧力比PRhptgtに一致しない。この圧力比HPは、時刻t3から所定の長さの時間が経過した後の時刻t4において、目標圧力比PRhptgtに一致する。
一方、このとき、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさが減少するので、圧力比LPは減少する。ただし、上述したように低圧段タービン62bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、排気切替弁66の開度Oecvが目標開度Oecvtgtに一致してから、圧力比LPがその目標開度Oecvtgtに応じた圧力比PRlptgt(以下、「目標圧力比PRlptgt」とも称呼する。)に一致するまで、に所定の時間を要する。そのため、圧力比LPは、時刻t3においては未だ目標圧力比PRlptgtに一致しない。この圧力比LPは、本例においては時刻t4の近傍において、目標圧力比PRlptgtに一致する。
圧力比HPおよび圧力比LPが上述したように変化するので、圧力比HP×LPは、時刻t1において減少し始める。圧力比HP×LPは、時刻t2と時刻t3との間の所定の時刻まで減少を続ける。その所定の時刻の後、圧力比HP×LPは増大し始める。そして、圧力比HP×LPは、時刻t4において機関10の運転状態に応じた圧力比PRhplptgt(以下、「目標圧力比PRhplptgt」とも称呼する。)に一致する。
このように、第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合、少なくとも排気切替弁66の応答遅れ(時刻t1から時刻t3までの応答時間長さ)および高圧段タービン61bの慣性モーメントに起因して、圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間(時刻t1〜時刻t4)が存在する。
そこで、第1装置は、排気切替弁66の開度Oecvが変更されることと並行して、可変ノズル開度Ovnを制御する。以下、第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合における過給機の圧力比(圧力比HP、圧力比LPおよび圧力比HP×LP)と、燃料噴射量Qと、排気切替弁66の開度Oecvと、可変ノズル開度Ovnと、の関係について説明する。
図6に示すタイムチャートにおいて、時刻t1の直前において機関10の運転状態が変化すると、燃料噴射装置22および排気切替弁アクチュエータ66aに上記同様の指示が与えられる。このとき、図5に示した例と同様、燃料噴射量Qは時刻t1において上記指示に応じた量Qtgtに一致し、排気切替弁66の開度Oecvは時刻t3において目標開度Oecvtgtに一致する。
第1装置は、機関10の運転状態が変化したとき、所定の応答時間長さ関連パラメータに基づき、可変ノズル開度Ovnを制御するための「開口面積制御則」を決定する。そして、第1装置は、その開口面積制御則に従い、可変ノズル開度Ovnを変更させる指示を可変ノズル機構61cに与える。
本例において、第1装置は、開口面積制御則として、「可変ノズル開度Ovnの補償開度Ovncom」と「可変ノズル開度Ovnを補償開度Ovncomに一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える指示時間長さTvninst」とを決定する。本例における補償開度Ovncomおよび指示時間長さTvninstは、上述した排気切替弁66の応答遅れを補償することができる適値に設定されている。そして、第1装置は、図6に示すように、この開口面積制御則に従い、時刻t1を始点としてこの始点から指示時間長さTvninstが経過する時点までの期間中に上記指示を可変ノズル機構61cに与える。
時刻t1から時刻t2までの期間中、図5に示した例と同様、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさは減少し、排気切替弁66の開度Oecvは上記指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる前の開度に維持される。しかし、本例においては、可変ノズル開度Ovnが減少するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスの流速(排ガスのエネルギの大きさ)が増大する。これにより、本例において、圧力比HPは、図5に示したタイムチャートのように減少することなく、増大する。
なお、便宜上、本例における可変ノズル開度Ovnの変化は、排気切替弁66の応答遅れを補償することにのみ(すなわち、圧力比HPにのみ)影響を与え、圧力比LPに実質的な影響を与えないものと仮定する。本仮定に従うと、本例における圧力比LPは、図5に示したタイムチャートと同様に減少する。
次いで、時刻t2から時刻t3までの期間中、図5に示した例と同様、排気切替弁66の開度Oecvが減少するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは増大し、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさは減少する。なお、この期間中、可変ノズル開度Ovnは増大する。
このとき、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさが増大するので、圧力比HPは増大する。ただし、本例において、排気切替弁66の応答遅れが可変ノズル開度Ovnの変化によって補償されているので、圧力比HPは、図5に示した例よりも早い時点(時刻t4よりも早い時点)において目標圧力比PRhptgtに一致する。
なお、上述したように、本例における可変ノズル開度Ovnの変化は圧力比LPに実質的な影響を与えないので、圧力比LPは、図5に示したタイムチャートと同様に時刻t4の近傍において目標圧力比PRlptgtに一致する。
圧力比HPおよび圧力比LPが上述したように変化するので、圧力比HP×LPは、時刻t1において減少し始める。しかし、圧力比HP×LPは、図5に示した例よりも早い時点において(時刻t4よりも早い時点)において、目標圧力比PRhplptgtに一致する。さらに、本例においては、圧力比HP×LPは、図5に示したタイムチャートのように一旦減少した後に増大することなく、目標圧力比PRhplptgtに一致する。
このように、第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合、排気切替弁66の応答遅れが可変ノズル開度Ovnの減少によって補償されるので、圧力比HP×LPは、第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合よりも早期に目標圧力比PRhplptgtに一致する。すなわち、この場合、圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間の長さが、第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合よりも減少する。
この結果、過給圧Pim(上述したように、大気圧に圧力比HP×LPを乗算した値に相当。)がその目標値に一致しない時間の長さが減少するので、機関10のドライバビリティが向上され得る。さらに、エミッション量が減少され得る。
以上が、排気切替弁66の開度が「減少」するように変更される場合における可変ノズル開度の変化についての説明である。次いで、排気切替弁66の開度が「増大」するように変更される場合における可変ノズル開度の変化について説明する。
図7は第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合の例を示すタイムチャートであり、図8は第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合の例を示すタイムチャートである。図7および図8は、図5および図6と同様、過給機の圧力比(圧力比HP、圧力比LPおよび圧力比HP×LP)と、燃料噴射量Qと、排気切替弁66の開度Oecvと、可変ノズル開度Ovnと、の関係を示すタイムチャートである。
図7に示すタイムチャートにおいて、時刻t1の直前において機関10の運転状態が変化すると、燃料噴射量Qを変更(増大)する指示が燃料噴射装置22に与えられ、排気切替弁66の開度Oecvを変更(増大)する指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる。なお、図7に示す例において、第1装置は可変ノズル開度Ovnを制御しない。そのため、可変ノズル開度Ovnは、時刻によらず所定の開度に維持されている。
時刻t1から時刻t2までの期間中、燃料噴射量Qが増大するので、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさは増大する。一方、この期間中、排気切替弁66の開度Oecvは上記指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる前の開度に維持されているので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは増大する。そのため、圧力比HPは増大する。さらに、同様の理由により、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさも増大する。そのため、圧力比LPは増大する。ただし、高圧段タービン61bおよび低圧段タービン62bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、圧力比HPおよび圧力比LPは瞬時には増大せず徐々に増大する。
次いで、時刻t2から時刻t3までの期間中、排気切替弁66の開度Oecvが増大するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは減少し、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさは増大する。
このとき、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさが減少するので、圧力比HPは減少する。ただし、上述したように高圧段タービン61bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、圧力比HPは、時刻t3においては未だ目標圧力比PRhptgtに一致しない。この圧力比HPは、時刻t3から所定の長さの時間が経過した後の時刻t4において、目標圧力比PRhptgtに一致する。
一方、このとき、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさが増大するので、圧力比LPは増大する。ただし、上述したように低圧段タービン62bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、圧力比LPは、時刻t3においては未だ目標圧力比PRlptgtに一致しない。この圧力比LPは、本例においては時刻t4の近傍において、目標圧力比PRlptgtに一致する。
圧力比HPおよび圧力比LPが上述したように変化するので、圧力比HP×LPは、時刻t1において増大し始める。圧力比HP×LPは、時刻t2と時刻t3との間の所定の時刻まで増大を続ける。その所定の時刻の後、圧力比HP×LPは減少し始める。そして、圧力比HP×LPは、時刻t4において目標圧力比PRhplptgtに一致する。
このように、第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合、少なくとも排気切替弁66の応答遅れ(時刻t1から時刻t3までの応答時間長さ)および高圧段タービン61bの慣性モーメントに起因して、圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間(時刻t1〜時刻t4)が存在する。
そこで、第1装置は、排気切替弁66の開度Oecvが変更されることと並行して、可変ノズル開度Ovnを制御する。以下、第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合における過給機の圧力比(圧力比HP、圧力比LPおよび圧力比HP×LP)と、燃料噴射量Qと、排気切替弁66の開度Oecvと、可変ノズル開度Ovnと、の関係について説明する。
図8に示すタイムチャートにおいて、時刻t1の直前において機関10の運転状態が変化すると、燃料噴射装置22および排気切替弁アクチュエータ66aに上記同様の指示が与えられる。このとき、図7に示した例と同様、燃料噴射量Qは時刻t1において上記指示に応じた量Qtgtに一致し、排気切替弁66の開度Oecvは時刻t3において目標開度Oecvtgtに一致する。
第1装置は、機関10の運転状態が変化したとき、所定の応答時間長さ関連パラメータに基づき、可変ノズル開度Ovnを制御するための「開口面積制御則」を決定する。そして、第1装置は、その開口面積制御則に従い、可変ノズル開度Ovnを変更させる指示を可変ノズル機構61cに与える。
本例において、第1装置は、開口面積制御則として、「可変ノズル開度Ovnの補償開度Ovncom」と「可変ノズル開度Ovnを補償開度Ovncomに一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える指示時間長さTvninst」とを決定する。本例における補償開度Ovncomおよび指示時間長さTvninstは、上述した排気切替弁66の応答遅れを補償することができる適値に設定されている。そして、第1装置は、図8に示すように、この開口面積制御則に従い、時刻t1を始点としてその始点から指示時間長さTvninstが経過する時点までの期間中に上記指示を可変ノズル機構61cに与える。
時刻t1から時刻t2までの期間中、図7に示した例と同様、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさは増大し、排気切替弁66の開度Oecvは上記指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる前の開度に維持される。しかし、可変ノズル開度Ovnが増大するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスの流速(排ガスのエネルギの大きさ)が減少する。これにより、本例において、圧力比HPは、図7に示したタイムチャートのように増大することなく、減少する。
なお、便宜上、本例における可変ノズル開度Ovnの変化は、排気切替弁66の応答遅れを補償することにのみ(すなわち、圧力比HPにのみ)影響を与え、圧力比LPに実質的な影響を与えないものと仮定する。本仮定に従うと、本例における圧力比LPは、図7に示したタイムチャートと同様に増大する。
次いで、時刻t2から時刻t3までの期間中、図7に示した例と同様、排気切替弁66の開度Oecvが増大するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは減少し、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさは増大する。なお、この期間中、可変ノズル開度Ovnは減少する。
このとき、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギは減少するので、圧力比HPは減少する。ただし、本例において、排気切替弁66の応答遅れが可変ノズル開度Ovnの変化によって補償されているので、圧力比HPは、図7に示した例よりも早い時点(時刻t4よりも早い時点)において目標圧力比PRhptgtに一致する。
なお、上述したように、本例における可変ノズル開度Ovnの変化は圧力比LPに実質的な影響を与えないので、圧力比LPは、図7に示したタイムチャートと同様に時刻t4の近傍において目標圧力比PRlptgtに一致する。
圧力比HPおよび圧力比LPが上述したように変化するので、圧力比HP×LPは、時刻t1において増大し始める。しかし、圧力比HP×LPは、図7に示した例よりも早い時点において(時刻t4よりも早い時点)において、目標圧力比PRhplptgtに一致する。さらに、本例においては、圧力比HP×LPは、図7に示したタイムチャートのように一旦増大した後に減少することなく、目標圧力比PRhplptgtに一致する。
このように、第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合、排気切替弁66の応答遅れが可変ノズル開度Ovnの増大によって補償されるので、圧力比HP×LPは、第1装置が可変ノズル開度Ovnを「制御しない」場合よりも早期に目標圧力比PRhplptgtに一致する。すなわち、この場合、圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間の長さが、第1装置が可変ノズル開度Ovnを「制御しない」場合よりも減少する。
この結果、過給圧Pimがその目標値に一致しない時間の長さが減少するので、機関10のドライバビリティが向上され得る。さらに、エミッション量が減少され得る。加えて、過給圧Pimが過剰に増大することが防がれるので、機関10を構成する部材に過剰な負荷が与えられることが回避され得る。
以上、説明したように、機関10の運転状態が変化することによって排気切替弁66の開度Oecvが増大する場合であっても減少する場合であっても、第1装置は、圧力比HP×LPを早期に目標圧力比PRhplptgtに一致させることができる。さらに、第1装置は、圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間の長さを減少させることができる。
換言すると、第1装置は、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさを早期にその目標値に一致させることができると共に、その排ガスのエネルギの大きさがその目標値に一致しない期間の長さを減少させることができる。以上が第1装置における過給圧の制御方法である。
なお、図5〜図8に示した例においては、機関10の運転状態の変化によって燃料噴射量Qが変更されている。しかし、上記説明から明らかなように、機関10の運転状態が変化する際に燃料噴射量Qが変更されるか否かに関わらず、第1装置は、可変ノズル開度Ovnを制御することによって高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギを早期にその目標値に近づけることができる。
さらに、図5〜図8に示した例においては、機関10は複数の過給機(高圧段過給機61および低圧段過給機62)を備えている。しかし、上記説明から明らかなように、過給機の数に関わらず(例えば、1の過給機のみを備える機関においても)、第1装置は、可変ノズル開度Ovnを制御することによって過給機のタービンに導入される排ガスのエネルギを早期にその目標値に近づけることができる。
<実際の作動>
以下、第1装置の実際の作動について説明する。
第1装置において、CPU81は、図9〜図12にフローチャートによって示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行するようになっている。CPU81は、これらルーチンにおいて、応答時間長さ確認フラグXRTCを用いる。
応答時間長さ確認フラグXRTCは、その値が「0」であるとき、応答時間長さ関連パラメータ(すなわち、基準開度差Oecvdrefおよび基準応答時間長さTecvref)が未だ取得されていないことを表す。一方、応答時間長さ確認フラグXRTCは、その値が「1」であるとき、応答時間長さ関連パラメータが既に取得されていることを表す。
応答時間長さ確認フラグXRTCの値は、機関10を搭載した車両の工場出荷時およびサービス点検実施時などにおいて電気制御装置80に対して所定の操作がなされたとき、「0」に設定されるようになっている。
以下、CPU81が実行する各ルーチンについて詳細に説明する。
まず、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」に設定されていると仮定する。以下、便宜上、この仮定を「初期設定仮定」とも称呼する。
CPU81は、機関10が始動されると、任意の気筒のクランク角が圧縮上死点前の所定クランク角度(例えば、圧縮上死点前90度クランク角)θfに一致する毎に、図9にフローチャートによって示した「第1燃料噴射制限ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、燃料噴射量の目標量Qtgtを決定すると共に、目標量Qtgtの燃料を燃料噴射装置22によってその気筒内に噴射させる。以下、クランク角が圧縮上死点前のクランク角θfに一致して圧縮行程を終える気筒は、「燃料噴射気筒」とも称呼される。
具体的に述べると、CPU81は、任意の気筒のクランク角度がクランク角度θfに一致すると、図9のステップ900から処理を開始してステップ910に進む。CPU81は、ステップ910にて、「機関回転速度NEと、アクセルペダル開度Accpと、燃料噴射量の目標量Qtgtと、の関係」をあらかじめ定めた燃料噴射量テーブルMapQtgt(NE,Accp)に、現時点における機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpを適用することにより、燃料噴射量の目標量Qtgtを決定する。
ステップ910において、機関回転速度NEとして、クランクポジションセンサ74によって取得される値が採用される。さらに、アクセルペダル開度Accpとして、アクセル開度センサ76によって取得される値が採用される。加えて、燃料噴射量テーブルMapQtgt(NE,Accp)において、燃料噴射量の目標量Qtgtは、機関10に要求される出力、燃費およびエミッション(排ガスに含まれる粒子状物質および窒素酸化物など)の量などを考慮した適値であるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ920に進む。CPU81は、ステップ920にて、目標量Qtgtの燃料を噴射するように燃料噴射気筒に設けられている燃料噴射装置22に指示を与える。すなわち、このとき、目標量Qtgtの燃料が燃料噴射気筒に噴射される。その後、CPU81は、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
さらに、CPU81は、所定時間が経過する毎に、図10にフローチャートによって示した「第1排気切替弁・可変ノズル制御ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、排気切替弁66の開度Oecvおよび可変ノズル開度Ovnを制御する。
具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図10のステップ1000から処理を開始してステップ1005に進む。CPU81は、ステップ1005にて、上述したターボモードテーブルMapTM(NE,Qtgt)に、現時点における機関回転速度NEおよび燃料噴射量の目標量Qtgtを適用することにより、ターボモードTMを決定する(図4を参照。)。
次いで、CPU81は、ステップ1010に進む。CPU81は、ステップ1010にて、「ターボモードTMと、機関回転速度NEと、アクセルペダル開度Accpと、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、の関係」をあらかじめ定めた排気切替弁目標開度テーブルMapOecvtgt(TM,NE,Accp)に、現時点におけるターボモードTM、機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpを適用することにより、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtを決定する。
排気切替弁目標開度テーブルMapOecvtgt(TM,NE,Accp)において、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtは、機関10に要求される出力などを考慮した適値であるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1015に進む。CPU81は、ステップ1015にて、「機関回転速度NEと、アクセルペダル開度Accpと、通常運転時における可変ノズル開度Ovnnmlと、の関係」をあらかじめ定めた可変ノズル通常開度テーブルMapOvnnml(NE,Accp)に、現時点における機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpを適用することにより、通常運転時の可変ノズル開度Ovnnmlを決定する。以下、この通常運転時の可変ノズル開度Ovnnmlを単に「通常開度Ovnnml」とも称呼する。
ステップ1015において、通常運転とは、上述した「第1装置が排気切替弁66の応答時間長さを考慮して可変ノズル開度Ovnを制御する」運転が「行われていない」期間中に実行される運転を表す。なお、上記運転が「行われている」期間中の可変ノズル開度Ovnについては、後述される。さらに、可変ノズル通常開度テーブルMapOvnnml(NE,Accp)において、通常開度Ovnnmlは、機関10に要求される出力などを考慮した適値であるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1020に進む。CPU81は、ステップ1020にて、排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させるように、排気切替弁アクチュエータ66aに指示を与える。なお、ステップ1020の処理が実行される時点は、図6における「時刻t1」に相当する。
次いで、CPU81は、ステップ1025に進む。CPU81は、ステップ1025にて、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、の差の絶対値が所定の閾値Oecvth1よりも大きいか否かを判定する。
現時点において上記「差の絶対値」が閾値Oecvth1以下である場合、CPU81は、ステップ1025にて「No」と判定してステップ1030に進む。CPU81は、ステップ1030にて、可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させるように可変ノズル機構61cに指示を与える。なお、ステップ1030の処理が実行される時点は、上記ステップ1020の処理が実行される時点(図6の時刻t1)に実質的に一致する。その後、CPU81は、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点において、上記「差の絶対値」が閾値Oecvth1よりも大きい場合、CPU81は、ステップ1025にて「Yes」と判定してステップ1035に進む。CPU81は、ステップ1035にて、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「1」であるか否かを判定する。上記初期設定仮定に従えば、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」であるので、CPU81は、ステップ1035にて「No」と判定してステップ1030に進む。
そして、CPU81は、ステップ1030にて可変ノズル機構61cに上述した指示を与え、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1以下である場合、排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示がなされる。さらに、可変ノズル機構61cに対して可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させる指示がなされる。これら指示は、実質的に同じ時点(すなわち、図6の時刻t1)においてなされる。
一方、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きい場合であっても、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」であると、排気切替弁アクチュエータ66aおよび可変ノズル機構61cに対して上記同様の指示がなされる。
上記ステップ1025において、閾値Oecvth1は、「排気切替弁66の開度の変化量がその閾値Oecvth1よりも大きいとき、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさが適切に調整されない値」に設定される。例えば、機関10のターボモードがターボモード3(排気切替弁66の開度が全開。図4を参照。)からターボモード1(排気切替弁66の開度が全閉。)に変化したときに排気切替弁66の開度の変化量が閾値Oecvth1を超えるように、閾値Oecvth1は設定され得る。
次いで、CPU81は、図10に示したルーチンが実行される毎に、図11にフローチャートによって示した「第1応答時間長さ関連パラメータ取得ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、上述した「基準開度差Oecvdref」および「基準応答時間長さTecvref」を応答時間長さ関連パラメータとして取得する。
具体的に述べると、CPU81は、図10に示したルーチンのステップ1095の処理を行った後の所定のタイミングにて、図11のステップ1100から処理を開始してステップ1110に進む。CPU81は、ステップ1110にて、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」であるか否かを判定する。上記初期設定仮定に従えば、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」であるので、CPU81は、ステップ1110にて「Yes」と判定してステップ1120に進む。
CPU81は、ステップ1120にて、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、の差の絶対値が閾値Oecvth2よりも大きいか否かを判定する。ステップ1120にて採用される目標開度Oecvtgtおよび開度Oecvは、図10のステップ1025にて採用された目標開度Oecvtgtおよび開度Oecvと同一である。
ステップ1220において、閾値Oecvth2は、「目標開度Oecvtgtと開度Oecvとの差の絶対値がその閾値Oecvth2よりも大きいとき、適切な応答時間長さ関連パラメータが取得される適値」に設定される。
現時点において上記「差の絶対値」が閾値Oecvth2以下である場合、CPU81は、ステップ1120にて「No」と判定し、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点において上記「差の絶対値」が閾値Oecvth2よりも大きい場合、CPU81は、ステップ1120にて「Yes」と判定してステップ1130に進む。CPU81は、ステップ1130にて、目標開度Oecvtgtと現時点の開度Oecvとの差を基準開度差Oecvdrefとして取得する(図3を参照。)。
次いで、CPU81は、ステップ1140に進む。CPU81は、ステップ1140にて、「排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示が与えられた時点から、排気切替弁66の開度が目標開度Oecvtgtに一致する時点まで、の時間の長さ」を基準応答時間長さTecvrefとして取得する(図3を参照。)。
次いで、CPU81は、ステップ1150に進む。CPU81は、ステップ1150にて、応答時間長さ確認フラグXRTCの値に「1」を格納する。その後、CPU81は、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、CPU81は、応答時間長さ関連パラメータが取得されていない場合(応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」である場合)、応答時間長さ関連パラメータとして基準開度差Oecvdrefおよび基準応答時間長さTecvrefを取得する。
次いで、応答時間長さ関連パラメータが取得された「後」の所定のタイミングにて、CPU81は、図10のステップ1000から処理を開始すると、ステップ1005〜ステップ1020を経由してステップステップ1025に進む。これにより、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtおよび可変ノズルの通常開度Ovnnmlが決定される。さらに、排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させるように排気切替弁アクチュエータ66aに対して指示がなされる。
ステップ1025にて、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きければ、CPU81は、ステップ1025にて「Yes」と判定してステップ1035に進む。
現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「1」であるので、CPU81は、ステップ1035にて「Yes」と判定してステップ1040に進む。CPU81は、ステップ1040にて、「排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、基準応答時間長さTecvrefと、排気切替弁66の応答遅れを補償するための可変ノズル開度Ovncomと、の関係」をあらかじめ定めた可変ノズル補償開度マップMapOvncom(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Tecvref)に、現時点における目標開度Oecvtgtと、開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、基準応答時間長さTecvrefと、を適用することにより、上記可変ノズル開度Ovncomを決定する。以下、この排気切替弁66の応答遅れを補償するための可変ノズル開度Ovncomを単に「補償開度Ovncom」とも称呼する。
可変ノズル補償開度マップMapOvncom(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Tecvref)において、可変ノズル開度Ovncomは、排気切替弁66の応答遅れを補償する観点において適切な開度であるように、定められる。なお、補償開度Ovncomは、上述した「第1装置が排気切替弁66の応答時間長さを考慮して可変ノズル開度Ovnを制御する」運転が「行われている」期間中の可変ノズル開度に相当する。
次いで、CPU81は、ステップ1045に進む。CPU81は、ステップ1045にて、「排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、基準応答時間長さTecvrefと、可変ノズル開度を補償開度Ovncomと一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さTvninstと、の関係」をあらかじめ定めた可変ノズル指示時間長さマップMapTvninst(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Tecvref)に、現時点における目標開度Oecvtgtと、開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、基準応答時間長さTecvrefと、を適用することにより、上記時間の長さTvninstを決定する。以下、この可変ノズル開度を補償開度Ovncomと一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さTvninstを、単に「指示時間長さTvninst」とも称呼する。
可変ノズル指示時間長さマップMapTvninst(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Tecvref)において、指示時間長さTvninstは、排気切替弁66の応答遅れを補償する観点において適切な長さであるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1050に進む。CPU81は、ステップ1050にて、可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示を指示時間長さTvninstだけ可変ノズル機構61cに与える。なお、ステップ1050の処理が実行される時点は、図6における「時刻t1」に相当する。
そして、上記指示時間長さTvninstが経過した後、CPU81は、ステップ1030に進む。CPU81は、ステップ1030にて、可変ノズル開度を上記ステップ1015にて決定された通常開度Ovnnmlに一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える。その後、CPU81は、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きい場合、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「1」であれば(すなわち、応答時間長さ関連パラメータが取得されていれば)、排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示がなされると共に、可変ノズル機構61cに対して可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示が指示時間長さTvninstだけなされる。これら指示は、実質的に同じ時点(すなわち、図6の時刻t1)においてなされる。なお、指示時間長さTvninstが経過した後、可変ノズル機構61cに対して可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させる指示がなされる。
<装置の作用および効果>
第1装置は、排気切替弁66の開度の変化量(|Oecvtgt−Oecv|)が所定の閾値Oecvth2よりも大きいとき、その開度の変化量を「基準開度差Oecvdref」として取得すると共に、排気切替弁66の開度がその変化量だけ変化するために要する時間の長さを「基準応答時間長さTecvref」として取得する。基準開度差Oecvdrefおよび基準応答時間長さTecvrefは、第1装置における応答時間長さ関連パラメータである。
第1装置は、応答時間長さ関連パラメータが取得された「後」に排気切替弁66の開度を所定の閾値Oecvth1よりも大きく変更するとき、応答時間長さ関連パラメータ(基準開度差Oecvdrefおよび基準応答時間長さTecvref)に基づき、可変ノズル開度を制御するための「補償開度Ovncom」および「指示時間長さTvninst」を決定する。
そして、第1装置は、排気切替弁66の開度が変更されることと並行して(すなわち、排気切替弁66の開度が変更され始める時点と実質的に同一の時点から)、可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示を指示時間長さTvninstだけ可変ノズル機構61cに対して与える。
これにより、第1装置は、上述したように高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギを早期にその目標値に一致させることができる。さらに、第1装置は、その排ガスのエネルギの大きさがその目標値に一致しない期間の長さを減少させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る制御装置(以下、「第2装置」とも称呼する。)について説明する。
<装置の概要>
第2装置は、第1装置が適用される機関10と同様の構成を有する機関(図1を参照。以下、便宜上、「機関10」と称呼する。)に適用される。そこで、第2装置が適用される装置の概要についての説明は、省略される。
<装置の作動の概要>
以下、上記機関10に適用される第2装置の作動の概要について説明する。
第2装置は、機関10が実際に運転されている際に上述した「応答時間長さ関連パラメータ」を取得する。より具体的に述べると、機関10が第1の運転状態(排気切替弁66の開度は第1開度である。)にて運転されているとき、第1時点において、機関10の運転状態が第2の運転状態に変化したと仮定する。この運転状態の変化により、第1時点において、「排気切替弁66の開度を第2の運転状態に応じた第2開度に変更する指示」が排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。そして、その指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられてから所定の長さの時間が経過した後の第2時点において、排気切替弁66の開度が第2開度に一致する。
第2装置は、図12に示すように、「第1開度と第2開度との差」を「基準開度差Oecvdref」として取得する。第2装置は、基準開度差Oecvdrefを応答時間長さ関連パラメータの1つとして採用する。
さらに、上述したように(図5を参照。)、第1時点から第2時点までの期間において、排気切替弁66の応答時間長さに起因して圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間が生じる。上述したように、過給圧Pimは大気圧に圧力比HP×LPを乗算した値である。そのため、図12に示すように、少なくとも第1時点から第2時点までの期間においては、過給圧は、機関10の運転状態に応じて定まる値(目標過給圧)に一致しないと考えられる。
加えて、燃料噴射量の上限量が過給圧に関連して定められるようになっていると、過給圧が目標過給圧に一致しない期間においては、燃料噴射量は、機関10の運転状態に応じて定まる値(目標燃料噴射量)に一致しない場合がある。例えば、図12に示すように、第1時点から第2時点までの期間中の所定の時点において燃料噴射量を目標燃料噴射量まで増大しようとすると、過給圧が目標過給圧に一致していないので、燃料噴射量が目標燃料噴射量に到達しない場合がある。すなわち、少なくとも第1時点から第2時点までの期間中に燃料噴射量が制限される場合がある(図中の「燃料制限期間」を参照。)。この燃料制限期間における燃料噴射量が制限される度合いは、排気切替弁66の応答時間長さに関連すると考えられる。
そこで、第2装置は、「目標燃料噴射量と、燃料噴射量の上限量と、の差を燃料制限期間に亘って積算した値(図中の斜線部の面積に相当。)」を「積算燃料制限量Qlsum」として取得する。第2装置は、積算燃料制限量Qlsumを応答時間長さ関連パラメータの1つとして採用する。
次いで、第2装置は、上述したように取得された応答時間長さ関連パラメータ(基準開度差Oecvdrefおよび積算燃料制限量Qlsum)に基づき、可変ノズル開度を調整する。より具体的に述べると、上記応答時間長さ関連パラメータが取得された後の第3時点において、機関10の運転状態が第3の運転状態に変化すると、「排気切替弁66の開度を第3の運転状態に応じた第3開度に変更する指示」が排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。すなわち、排気切替弁66の開度を「目標開度差」だけ変更する指示が、排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。
このとき、第2装置は、この目標開度差と、上記応答時間長さ関連パラメータと、に基づき、開口面積制御則を決定する。より具体的に述べると、第2装置は、第1装置と同様、開口面積制御則として、「可変ノズル開度の目標値(可変ノズル補償開度)」および「可変ノズル開度をその目標値に一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さ(可変ノズル指示時間長さ)」を決定する。
そして、第2装置は、上記第3時点から「可変ノズル指示時間長さ」が経過する時点までの期間中に、可変ノズル開度を「可変ノズル補償開度」に一致させる指示を、可変ノズル機構61cに対して与える。このように、第2装置は、排気切替弁66の開度が変更されることと並行して、可変ノズル開度を制御する。以上が第2装置の作動の概要である。
<ターボモードの決定方法>
第2装置は、第1装置と同様の考え方にてターボモードを決定する。そこで、第2装置におけるターボモードの決定方法についての説明は、省略される。
<可変ノズル開度の制御方法>
第2装置は、第1装置と同様の考え方にて可変ノズル開度を制御する。そこで、第2装置における可変ノズル開度の制御方法についての説明は、省略される。
<実際の作動>
以下、第2装置の実際の作動について説明する。
第2装置において、CPU81は、図13〜図15にフローチャートによって示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行するようになっている。CPU81は、これらルーチンにおいて、第1装置と同様の応答時間長さ確認フラグXRTCを用いる。
以下、CPU81が実行する各ルーチンについて詳細に説明する。
まず、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」に設定されていると仮定する。以下、第1装置と同様、この仮定を「初期設定仮定」とも称呼する。
CPU81は、機関10が始動されると、任意の気筒のクランク角が圧縮上死点前の所定クランク角度(例えば、圧縮上死点前90度クランク角)θfに一致する毎に、図13にフローチャートによって示した「第2燃料噴射制限ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、燃料噴射量の目標量Qtgtを決定すると共に、目標量Qtgtの燃料を燃料噴射装置22によってその気筒内に噴射させる。以下、第1装置と同様、クランク角が圧縮上死点前の所定クランク角θfに一致して圧縮行程を終える気筒は、「燃料噴射気筒」とも称呼される。
具体的に述べると、CPU81は、任意の気筒のクランク角度がクランク角度θfに一致すると、図13のステップ1300から処理を開始してステップ1310に進む。CPU81は、ステップ1310にて、「機関回転速度NEと、アクセルペダル開度Accpと、燃料噴射量の目標量Qtgtと、の関係」をあらかじめ定めた燃料噴射量基準量テーブルMapQref(NE,Accp)に、現時点における機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpを適用することにより、燃料噴射量の基準量Qrefを決定する。
ステップ1310において、機関回転速度NEとして、クランクポジションセンサ74によって取得される値が採用される。さらに、アクセルペダル開度Accpとして、アクセル開度センサ76によって取得される値が採用される。加えて、燃料噴射量基準量テーブルMapQref(NE,Accp)において、燃料噴射量の基準量Qrefは、機関10に要求される出力、燃費およびエミッションの量などを考慮した適値であるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1320に進む。CPU81は、ステップ1320にて、「過給圧Pimと、燃料噴射量の上限量Qmaxと、の関係」をあらかじめ定めた燃料噴射量上限量テーブルMapQmax(Pim)に、現時点における過給圧Pimを適用することにより、燃料噴射量の上限量Qmaxを決定する。
ステップ1320において、過給圧Pimとして、過給圧センサ73によって取得される値が採用される。さらに、燃料噴射量上限量テーブルMapQmax(Pim)において、燃料噴射量の上限量Qmaxは、機関10に要求される出力、機関10を構成する部材の強度、燃費およびエミッションの量などを考慮した適値であるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1330に進む。CPU81は、ステップ1330にて、基準量Qrefが上限量Qmaxよりも小さいか否かを判定する。
現時点において、基準量Qrefが上限量Qmaxよりも小さい場合、CPU81は、ステップ1330にて「Yes」と判定してステップ1340に進む。CPU81は、ステップ1340にて、「基準量Qref」を燃料噴射量の目標量Qtgtに格納する。
そして、CPU81は、ステップ1350に進む。CPU81は、ステップ1350にて、目標量Qtgtの燃料を噴射するように燃料噴射気筒に設けられている燃料噴射装置22に指示を与える。すなわち、このとき、目標量Qtgtの燃料が燃料噴射気筒に噴射される。その後、CPU81は、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、基準量Qrefが上限量Qmax以上である場合、CPU81は、ステップ1330にて「No」と判定してステップ1360に進む。CPU81は、ステップ1360にて、「上限量Qmax」を燃料噴射量の目標量Qtgtに格納する。
そして、CPU81は、ステップ1350に進んで目標量Qtgtの燃料を噴射するように燃料噴射装置22に指示を与え、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、第2装置は、「機関10の運転状態に基づいて定まる燃料噴射量の基準量Qref」および「過給圧Pimに基づいて定まる燃料噴射量の上限量Qmax」のうちの「小さい方」を、燃料噴射量の目標量Qtgtとして採用する。そして、第1装置は、目標量Qtgtの燃料を燃料噴射気筒に噴射する。
さらに、CPU81は、所定時間が経過する毎に、図14にフローチャートによって示した「第2排気切替弁・可変ノズル制御ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、排気切替弁66の開度Oecvおよび可変ノズル開度Ovnを制御する。
図14に示したルーチンは、図10におけるステップ1040およびステップ1045がステップ1410およびステップ1420にそれぞれ置き換えられている点のみにおいて、図10に示したルーチンと相違している。そこで、図14において図10に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図10のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらステップについての詳細な説明は、適宜省略される。
図14のルーチンについて具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図14のステップ1400から処理を開始すると、ステップ1005〜ステップ1020を経由してステップ1025に進む。これにより、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtおよび可変ノズルの通常開度Ovnnmlが決定される。さらに、排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させるように排気切替弁アクチュエータ66aに対して指示がなされる。
ステップ1025にて、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1以下である小さい場合、CPU81は、ステップ1025にて「No」と判定してステップ1030に進む。CPU81は、ステップ1030にて可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させるように可変ノズル機構61cに指示を与え、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ1030の処理が実行される時点は、上記ステップ1020の処理が実行される時点(図6の時刻t1)に実質的に一致する。
これに対し、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きければ、CPU81は、ステップ1025にて「Yes」と判定してステップ1035に進む。上記初期設定仮定に従えば、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」であるので、CPU81は、ステップ1035にて「No」と判定してステップ1030に進む。
そして、CPU81は、ステップ1030にて可変ノズル機構61cに上記指示を与え、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、第1装置と同様、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1以下である場合、排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示がなされる。さらに、可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させる指示がなされる。これら指示は、実質的に同じ時点(すなわち、図6の時刻t1)においてなされる。
一方、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きい場合であっても、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」であると、第1装置と同様、排気切替弁アクチュエータ66aおよび可変ノズル機構61cに対して上記同様の指示がなされる。
次いで、CPU81は、図14に示したルーチンが実行される毎に、図15にフローチャートによって示した「第2応答時間長さ関連パラメータ取得ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、「基準開度差Oecvdref」および「積算燃料制限量Qlsum」を応答時間長さ関連パラメータとして取得する。
具体的に述べると、CPU81は、図14に示したルーチンのステップ1495の処理を行った後の所定のタイミングにて、図15のステップ1500から処理を開始してステップ1510に進む。CPU81は、ステップ1510にて、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」であるか否かを判定する。上記初期設定仮定に従えば、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」であるので、CPU81は、ステップ1510にて「Yes」と判定してステップ1520に進む。
CPU81は、ステップ1520にて、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、の差の絶対値が閾値Oecvth3よりも大きいか否かを判定する。ステップ1520にて採用される目標開度Oecvtgtおよび開度Oecvは、図14のステップ1025にて採用された目標開度Oecvtgtおよび開度Oecvと同一である。
ステップ1520において、閾値Oecvth3は、「目標開度Oecvtgtと開度Oecvとの差の絶対値がその閾値Oecvth3よりも大きいとき、適切な応答時間長さ関連パラメータが取得される適値」に設定される。
現時点において上記「差の絶対値」が閾値Oecvth3以下である場合、CPU81は、ステップ1520にて「No」と判定し、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点において上記「差の絶対値」が閾値Oecvth3よりも大きい場合、CPU81は、ステップ1520にて「Yes」と判定してステップ1530に進む。CPU81は、ステップ1530にて、目標開度Oecvtgtと現時点の開度Oecvとの差を基準開度差Oecvdrefとして取得する(図12を参照。)。
次いで、CPU81は、ステップ1540に進む。CPU81は、ステップ1540にて、「排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示が与えられた時点から、排気切替弁66の開度が目標開度Oecvtgtに一致する時点まで、の間」に上限量Qmaxが基準量Qrefよりも小さい期間(燃料制限期間)が存在する場合、基準量Qrefと上限量Qmaxとの差を、例えばその燃料制限期間に亘って積算して得られる値を積算燃料制限量Qlsumとして取得する(図12を参照。)。
次いで、CPU81は、ステップ1550に進む。CPU81は、ステップ1550にて、応答時間長さ確認フラグXRTCの値に「1」を格納する。その後、CPU81は、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、CPU81は、応答時間長さ関連パラメータ(応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」である場合)、応答時間長さ関連パラメータとして基準開度差Oecvdrefおよび積算燃料制限量Qlsumを取得する。
次いで、応答時間長さ関連パラメータが取得された「後」の所定のタイミングにて、CPU81は、図14のステップ1400から処理を開始すると、ステップ1005〜ステップ1020を経由してステップステップ1025に進む。
ステップ1025にて、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きければ、CPU81は、ステップ1025にて「Yes」と判定し、ステップ1035に進む。
現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「1」であるので、CPU81は、ステップ1035にて「Yes」と判定してステップ1410に進む。CPU81は、ステップ1410にて、「排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、積算燃料制限量Qlsumと、排気切替弁66の応答遅れを補償するための可変ノズル開度Ovncomと、の関係」をあらかじめ定めた可変ノズル補償開度マップMapOvncom(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Qlsum)に、現時点における目標開度Oecvtgtと、開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、積算燃料制限量Qlsumと、を適用することにより、排気切替弁66の応答遅れを補償するための可変ノズル開度Ovncomを決定する。以下、第1装置と同様、可変ノズル開度Ovncomを「補償開度Ovncom」とも称呼する。
上記可変ノズル補償開度マップMapOvncom(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Qlsum)において、可変ノズル開度Ovncomは、排気切替弁66の応答遅れを補償する観点において適切な開度であるように、定められる。なお、補償開度Ovncomは、「第2装置が排気切替弁66の応答時間長さを考慮して可変ノズル開度Ovnを制御する」運転が「行われている」期間中の可変ノズル開度に相当する。
次いで、CPU81は、ステップ1420に進む。CPU81は、ステップ1420にて、「排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、積算燃料制限量Qlsumと、可変ノズル開度を補償開度Ovncomとする指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さTvninstと、の関係」をあらかじめ定めた可変ノズル指示時間長さマップMapTvninst(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Qlsum)に、現時点における目標開度Oecvtgtと、開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、積算燃料制限量Qlsumと、を適用することにより、上記指示を行う時間の長さTvninstを決定する。以下、第1装置と同様、可変ノズル開度を補償開度Ovncomと一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さTvninstを「指示時間長さTvninst」とも称呼する。
可変ノズル指示時間長さマップMapTvninst(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Qlsum)において、指示時間長さTvninstは、排気切替弁66の応答遅れを補償する観点において適切な長さであるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1050に進む。CPU81は、ステップ1050にて、可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示を指示時間長さTvninstだけ可変ノズル機構61cに与える。なお、ステップ1050の処理が実行される時点は、図6における「時刻t1」に相当する。
そして、上記指示時間長さTvninstが経過した後、CPU81は、ステップ1030に進む。CPU81は、ステップ1030にて、可変ノズル開度を上記ステップ1015にて決定された通常開度Ovnnmlに一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える。その後、CPU81は、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きい場合、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「1」であれば(すなわち、応答時間長さ関連パラメータが取得されていれば)、排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示がなされると共に、可変ノズル機構61cに対して可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示が指示時間長さTvninstだけなされる。これら指示は、実質的に同じ時点(すなわち、図6の時刻t1)においてなされる。なお、指示時間長さTvninstが経過した後、可変ノズル機構61cに対して可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させる指示がなされる。
<装置の作用および効果>
第2装置は、排気切替弁66の開度の変化量(|Oecvtgt−Oecv|)が所定の閾値Oecvth3よりも大きいとき、その開度の変化量を「基準開度差Oecvdref」として取得すると共に、排気切替弁66の開度が変化する期間中に生じた燃料制限量(基準量Qrefと上限量Qmaxとの差)を積算した値を「積算燃料制限量Qlsum」として取得する。基準開度差Oecvdrefおよび積算燃料制限量Qlsumは、第2装置における応答時間長さ関連パラメータである。
第2装置は、応答時間長さ関連パラメータが取得された「後」に排気切替弁66の開度を所定の閾値Oecvth1よりも大きく変更するとき、応答時間長さ関連パラメータ(基準開度差Oecvdrefおよび積算燃料制限量Qlsum)に基づき、可変ノズル開度を制御するための「補償開度Ovncom」および「指示時間長さTvninst」を決定する。
そして、第2装置は、排気切替弁66の開度が変更されることと並行して(すなわち、排気切替弁66の開度が変更され始める時点と実質的に同一の時点から)、可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示を指示時間長さTvninstだけ可変ノズル機構61cに対して与える。
これにより、第2装置は、上述したように高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギを早期にその目標値に一致させることができる。さらに、第2装置は、その排ガスのエネルギの大きさがその目標値に一致しない期間の長さを減少させることができる。
<実施形態の総括>
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る制御装置(第1装置および第2装置)は、
タービン(高圧段タービン61b)と、コンプレッサ(高圧段コンプレッサ61a)と、第1指示に応じて前記通過領域の開口面積(図2の面積S1およびS2を参照。以下、「S」と記す。)を変更することによって前記タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさを変化させる開口面積変更部材(可変ノズル機構61c)と、を有する少なくとも1つの過給機61と、
第2指示に応じてその開度Oecvを変更することによって前記タービン61bに導入される前記排ガスのエネルギの大きさを変化させる少なくとも1つの制御弁(排気切替弁66)と、
を備えた内燃機関10に適用される。
第1装置および第2装置は、
所定の指示時点(例えば、図6の時刻t1)において前記制御弁66の開度Oecvを目標開度差(|Oecvtgt−Oecv|)だけ変更させる第2指示が前記制御弁66に対して与えられたとき、該目標開度差|Oecvtgt−Oecv|と、前記制御弁の開度Oecvを変更する所定の指示が前記制御弁66に対して与えられた時点から前記制御弁の開度Oecvが前記所定の指示に応じた開度に一致する時点までに要する時間の長さである応答時間長さに関連するパラメータである応答時間長さ関連パラメータ(第1装置における基準開度差Oecvdrefおよび基準応答時間長さTecvref、および、第2装置における基準開度差Oecvdrefおよび積算燃料制限量Qlsum)と、に基づいて前記通過領域の開口面積Sと時間経過との関係である開口面積制御則を決定すると共に、前記指示時点t1を始点として該始点t1から前記開口面積制御則に従って前記通過領域の開口面積Sを変更させる第1指示を前記開口面積変更部材61cに与える制御手段(図10〜図14のルーチンを参照。)、
を備える。
さらに、第1装置および第2装置において、
前記開口面積変更部材61cは、
前記第1指示に応じた該開口面積変更部材61cによる前記通過領域の開口面積Sの変化速度が、前記第2指示に応じた前記制御弁66による該制御弁66の開度Oecvの変化速度よりも速い部材である。
さらに、第1装置および第2装置において、
前記制御手段(図10、図11、図13および図14)は、
前記開口面積制御則として、前記通過領域の目標開口面積(補償開度Ovncom)と、前記通過領域の開口面積Sを前記目標開口面積Ovncomに一致させる指示を前記開口面積変更部材61cに対して与える時間の長さである目標指示時間長さ(指示時間長さTvninst)と、を決定すると共に(図11のルーチンを参照。)、
前記第1指示として、前記指示時点t1を始点として前記始点t1から前記目標指示時間長さTvninstが経過する時点までの期間中に前記通過領域の開口面積Sを前記目標開口面積Ovncomに一致させる指示を前記開口面積変更部材61cに対して与える。
さらに、第1装置および第2装置において、
前記開口面積変更部材61cは、
前記指示時点t1から前記通過領域の開口面積が前記目標開口面積Ovncomに一致する時点までに要する時間の長さが、前記指示時点t1から前記制御弁66の開度が前記目標開度差|Oecvtgt−Oecv|だけ変更される時点(例えば、図6の時刻t3)までに要する時間の長さよりも短い部材である(例えば、図6を参照。)。
さらに、第1装置において、
前記制御手段(図10、図11)は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、前記制御弁66の開度を第1開度Oecvから第2開度Oecvtgtに変更する指示が前記制御弁66に対して与えられた第1時点t1から、前記制御弁66の開度が前記第2開度Oecvtgtに一致する第2時点(例えば、図6の時刻t3)まで、に要する時間の長さである基準応答時間長さTecvrefと、前記第1開度の大きさと前記第2開度の大きさとの差である基準開度差Oecvdrefと、を採用する(図11を参照。)。
さらに、第1装置において、
前記制御手段(図10、図11)は、
前記基準開度差Oecvdrefが所定の閾値Oecvth2よりも大きい場合(図11のステップ1120にて「Yes」と判定される場合)における前記基準応答時間長さTecvrefと、前記基準開度差Oecvdrefと、を前記応答時間長さ関連パラメータとして採用する。
さらに、第2装置において、
前記内燃機関10は、
過給圧Pimを取得する過給圧取得手段(過給圧センサ73)と、
燃料噴射量の基準量Qref、および、燃料噴射量の上限量Qmax、のうちの小さい方を燃料噴射量の目標量Qtgtとして決定する燃料噴射量決定手段(図13のルーチンを参照。)と、
前記目標量Qtgtの燃料を前記燃焼室に噴射する燃料噴射手段(燃料噴射装置22)と、
を備る。
そして、第2装置は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、前記制御弁66の開度を第1開度Oecvから第2開度Oecvtgtに変更する指示が前記制御弁66に対して与えられた第1時点t1から、前記制御弁66の開度が前記第2開度Oecvtgtに一致する第2時点t3まで、の間に前記上限量Qmaxが前記基準量Qrefよりも小さい期間である燃料制限期間が存在する場合(図12を参照。)、前記基準量Qrefと前記上限量Qmaxとの差を前記燃料制限期間に亘って積算して得られる積算燃料制限量Qlsumと、前記第1開度Oecvの大きさと前記第2開度Oecvtgtの大きさとの差である基準開度差Oecvdrefと、を採用する(図15のルーチンを参照。)。
第2装置において、前記制御手段(図14、図15)は、
前記基準開度差Oecvdrefが所定の閾値Oecvth3よりも大きい場合(図15のステップ1520にて「Yes」と判定される場合)における前記積算燃料制限量Qlsumと、前記基準開度差Oecvdrefと、を前記応答時間長さ関連パラメータとして採用する。
第1装置および第2装置において、第1開度Oecvおよび第2開度Oecvtgtの具体的な大きさは特に制限されない。例えば、第1装置および第2装置は、
前記第1開度Oecvは前記タービン61bに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最小である開度(すなわち、全開)であり、かつ、前記第2開度Oecvtgtは前記タービン61bに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最大である開度(すなわち、全閉)である、ように構成され得る。
さらに、第1装置および第2装置は、
前記第1開度Oecvは前記タービン61bに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最大である開度(すなわち、全閉)であり、かつ、前記第2開度Oecvtgtは前記タービン61bに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最小である開度(すなわち、全開)である、ように構成され得る。
そして、第1装置および第2装置において、
前記制御手段(図10、図11、図13および図14)は、
前記目標開度差|Oecvtgt−Oecv|が所定の閾値Oecvth1よりも大きい場合(図10のステップ1025にて「Yes」と判定される場合、図14のステップ1025にて「Yes」と判定される場合)、前記第1指示を前記開口面積変更部材61cに与える。
ところで、第1装置および第2装置において、本発明の考え方に従って可変ノズル開度が「制御される」ときの可変ノズル開度(すなわち、補償開度Ovncom)は、可変ノズル開度が「制御されない」ときの可変ノズル開度(すなわち、通常開度Ovnnml)に一致しない。換言すると、上記開口面積制御則に従う上記通過領域の開口面積と、上記開口面積制御則に従わない上記通過領域の開口面積と、は異なる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
例えば、第1装置および第2装置は、応答時間長さ関連パラメータを「1回のみ」取得すると共に、その応答時間長さ関連パラメータに基づいて可変ノズル開度を制御している。しかし、本発明の制御装置は、応答時間長さ関連パラメータを「複数回」取得すると共に、それらの平均値に基づいて可変ノズル開度を制御するように構成され得る。さらに、本発明の制御装置は、所定の期間が経過する毎に応答時間長さ関連パラメータを取得することを繰り返し、応答時間長さ関連パラメータが取得される毎に応答時間長さ関連パラメータを「更新」するように構成され得る。
さらに、本発明の考え方に従って可変ノズル開度を制限するか否かを判定するための「閾値Oecvth1(図10のステップ1025)」は、応答時間長さ関連パラメータを取得するか否かを判定するための「閾値Oecvth2(図11のステップ1120)」および「閾値Oecvth3(図15のステップ1520)」と同じ値であっても異なる値であってもよい。
加えて、第1装置および第2装置が適用される内燃機関は、2つの過給機(高圧段過給機61および低圧段過給機62)を備えている。しかし、本発明の制御装置は、1つの過給機を備える内燃機関、および、3つ以上の過給機を備える内燃機関にも適用され得る。
さらに、第1装置および第2装置は、排気切替弁66の開度Oecvを排気切替弁開度センサ75によって取得している。しかし、本発明の制御装置は、排気切替弁66の開度Oecvを取得する手段(第1装置および第2装置における排気切替弁開度センサ75)を必ずしも必要としない。
より具体的に述べると、本発明の制御装置は、「可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる制御を行うか否か」を判定するとき(例えば、図10および図14のステップ1025を参照。)、「現時点における排気切替弁66の開度Oecv」として、目標開度Oecvtgtが決定される前の時点における排気切替弁アクチュエータ66aへの指示信号に対応する値(開度)を採用するように構成され得る。さらに、本発明の制御装置は、「応答遅れ関連パラメータを取得するか否か」を判定するとき(例えば、図11のステップ1120、図15のステップ1520を参照。)においても、同様の値を採用するように構成され得る。本発明の制御装置がこのように構成される場合、排気切替弁66の開度Oecvは取得される必要はない。
また、本発明の制御装置は、「排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を所定開度差だけ変更する指示が与えられてから、排気切替弁66の開度がその所定開度差だけ変化するまでに要する時間の長さ(すなわち、応答時間長さ)」と「所定開度差」との関係を実験などによってあらかじめ定めたテーブル(マップ)に基づき、排気切替弁66の開度Oecvを「推定」するように構成され得る。そして、本発明の制御装置は、この排気切替弁66の開度Oecvの推定値に基づき、基準応答時間長さTecvref(例えば、図11のステップ1140を参照。)および積算燃料制限量Qlsum(例えば、図15のステップ1540を参照。)を取得するように構成され得る。本発明の制御装置がこのように構成される場合、排気切替弁66の開度Oecvは取得される必要はない。
また、本発明の制御装置は、目標開度差|Oecvtgt−Oecv|の大きさがゼロである場合を除いて(すなわち、排気切替弁66の開度Oecvが変更される場合は必ず)可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる制御を行うように構成され得る(例えば、図10のステップ1025の閾値Oecvth1をゼロに設定するように構成され得る。)。本発明の制御装置がこのように構成される場合、排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる指示に基づいて「可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる制御を行うか否か」を判定することができるので、排気切替弁66の開度Oecvは取得または推定される必要はない。
これに対し、本発明の制御装置は、目標開度差|Oecvtgt−Oecv|の大きさが最大値となる場合に限って(すなわち、排気切替弁66の開度Oecvが全開から全閉に変更される場合、または、排気切替弁66の開度Oecvが全閉から全開に変更される場合に限って)可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる制御を行うように構成され得る(例えば、図10のステップ1025にて「|Oecvtgt−Oecv|が上記最大値に一致するか否か」を判定するように構成され得る。)。本発明の制御装置がこのように構成される場合、上記最大値があらかじめ実験などによって取得されていれば、排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる指示に基づいて「可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる制御を行うか否か」を判定することができるので、排気切替弁66の開度Oecvは取得または推定される必要はない。
また、本発明の制御装置は、目標開度差|Oecvtgt−Oecv|の大きさが上記最大値となる場合における基準開度差Oecvdref、基準応答時間長さTecvrefおよび積算燃料制限量Qlsum(例えば、図11および図15を参照。)を、応答遅れ関連パラメータとして採用するように構成され得る。本発明の制御装置がこのように構成される場合、これらパラメータがあらかじめ実験などによって取得されていれば、排気切替弁66の開度Oecvは取得または推定される必要はない。あるいは、これらのパラメータは、上記排気切替弁66の開度の推定値を用いて算出され得る(例えば、図11および図15を参照。)。
さらに、第2装置は、応答時間長さ関連パラメータの1つとして、「目標燃料噴射量と、燃料噴射量の上限量と、の差を燃料制限期間に亘って積算した値Qlsum」を採用している(図12、および、図15のステップ1540を参照。)。しかし、本発明の制御装置は、「目標燃料噴射量と、燃料噴射量の上限量と、の差そのもの」を応答時間長さ関連パラメータの1つとして採用するように構成され得る。
(第1実施形態)
<装置の概要>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る制御装置(以下、「第1装置」とも称呼する。)を内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。内燃機関10は、第1気筒〜第4気筒の4つの気筒を有する4気筒ディーゼル機関である。以下、便宜上、「内燃機関10」を単に「機関10」とも称呼する。
この機関10は、図1に示すように、燃料噴射系統を含むエンジン本体20、エンジン本体20に空気を導入するための吸気系統30、エンジン本体20から排出されるガスを機関10の外部に放出するための排気系統40、排ガスを排気系統40から吸気系統30に還流させるためのEGR装置50、および、排ガスのエネルギによって駆動されてエンジン本体20に導入される空気を圧縮する過給装置60、を備えている。
エンジン本体20は、吸気系統30および排気系統40が連結されたシリンダヘッド21を有している。このシリンダヘッド21は、それぞれの気筒に対応するようにそれぞれの気筒の上部に設けられた複数の燃料噴射装置(例えば、ソレノイド式インジェクタ)22を有している。燃料噴射装置22のそれぞれは、図示しない燃料タンクと接続されており、電気制御装置80からの指示信号に応じてそれぞれの気筒の燃焼室内に燃料を噴射するようになっている。
吸気系統30は、シリンダヘッド21に形成された図示しない吸気ポート、吸気ポートを介してそれぞれの気筒に連通されたインテークマニホールド31、インテークマニホールド31の上流側の集合部に接続された吸気管32、吸気管32内の開口面積(開口断面積)を変更することができるスロットル弁(吸気絞り弁)33、電気制御装置80からの指示信号に応じてスロットル弁33を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ33a、スロットル弁33の上流側において吸気管32に設けられたインタークーラ34、および、インタークーラ34の上流側に設けられた過給装置60よりも上流側の吸気管32の端部に設けられたエアクリーナ35、を有している。インテークマニホールド31および吸気管32は、吸気通路を構成している。
排気系統40は、シリンダヘッド21に形成された図示しない排気ポート、排気ポートを介してそれぞれの気筒に連通されたエキゾーストマニホールド41、エキゾーストマニホールド41の下流側の集合部に接続された排気管42、および、排気管42に設けられた過給装置60よりも下流側に設けられた排ガス浄化用触媒(例えば、DPNR)43、を有している。エキゾーストマニホールド41および排気管42は、排気通路を構成している。
EGR装置50は、排ガスをエキゾーストマニホールド41からインテークマニホールド31へと還流させる通路(EGR通路)を構成する排気還流管51、排気還流管51に設けられたEGRガス冷却装置(EGRクーラ)52、および、排気還流管51に設けられたEGR制御弁53、を有している。EGR制御弁53は、還流される排ガス量(EGRガス量)を電気制御装置80からの指示信号に応じて変更するようになっている。
過給装置60は、高圧段過給機61および低圧段過給機62有している。さらに、過給装置60、それら過給機に導入される排ガスまたは空気を調整するための部材として、高圧段コンプレッサバイパス通路部(バイパス管)63、吸気切替弁(ACV)64、高圧段タービンバイパス通路部(バイパス管)65、排気切替弁(ECV)66、低圧段タービンバイパス通路部(バイパス管)67、および、排気バイパス弁(EBV)68を有している。
高圧段過給機61は、高圧段コンプレッサ61a、高圧段タービン61b、および、可変ノズル機構61cを有している。高圧段コンプレッサ61aは、吸気通路(吸気管32)に設けられている。高圧段タービン61bは、排気通路(排気管42)に設けられている。高圧段コンプレッサ61aと高圧段タービン61bとは、ローターシャフト61d(図2を参照。)によって同軸回転可能に連結されている。これにより、高圧段タービン61bが排ガスのエネルギによって回転せしめられると、高圧段コンプレッサ61aが回転する。そして、高圧段コンプレッサ61aに導入される空気が圧縮される(すなわち、過給が行われる)ようになっている。可変ノズル機構61cは、高圧段タービン61bの周辺に設けられている。可変ノズル機構61cは、高圧段タービン61bに導入される排ガスが通過する領域(以下、「通過領域」とも称呼する。)の開口面積を、電気制御装置80からの指示信号に応じて変更するようになっている。
可変ノズル機構61cの構成を、図2を参照しながら説明する。可変ノズル機構61cは、複数の羽根状部材(ベーン)61c1、および、このベーン61c1に向けて排ガスを導入させる図示しない筒状部材を備えている。複数のベーン61c1は、高圧段タービン61bを取り囲むように配置されている。そして、排ガスは、図中の白抜き矢印にて示すように、一のベーン61c1と、その一のベーン61c1に隣接する他のベーン61c1と、の間の領域を通過して、高圧段タービン61bに導入される。この領域が、上記通過領域に相当する。
ベーン61c1のそれぞれは、電気制御装置80からの指示信号に応じて、図中の実線にて示される位置から破線にて示される位置までの範囲において所定の回動軸周りに回動することができるようになっている。なお、本可変ノズル機構61cにおいて、ベーン61c1の全ては連動して回動するようになっている。例えば、ベーン61c1がこのように回動すると、通過領域の開口面積は、面積S1(ベーン61c1の位置が図中の実線にて示される位置である場合の通過領域の開口面積)から面積S2(ベーン61c1の位置が図中の破線にて示される位置である場合の通過領域の開口面積)まで、の範囲において変化する。
このように、可変ノズル機構61cは、上記指示信号に応じて通過領域の開口面積を変更する。通過領域の開口面積が変化すると、例えば高圧段タービン61bに導入される排ガスの単位時間あたりの流量などが変化するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさが変化する。
再び図1を参照すると、低圧段過給機62は、低圧段コンプレッサ62aおよび低圧段タービン62bを有している。低圧段コンプレッサ62aは、高圧段コンプレッサ61aよりも吸気通路(吸気管32)の上流側に設けられている。低圧段タービン62bは、高圧段タービン61bよりも排気通路(排気管42)の下流側に設けられている。低圧段コンプレッサ62aと低圧段タービン62bとは、図示しないローターシャフトによって同軸回転可能に連結されている。これにより、低圧段タービン62bが排ガスによって回転せしめられると、低圧段コンプレッサ62aが回転する。そして、低圧段コンプレッサ62aに導入される空気が圧縮される(すなわち、過給が行われる)ようになっている。なお、低圧段タービン62bの容量は、高圧段タービン61bの容量よりも大きい。
高圧段コンプレッサバイパス通路部63の一端は、高圧段コンプレッサ61aと低圧段コンプレッサ62aとの間において吸気通路(吸気管32)に接続されている。高圧段コンプレッサバイパス通路部63の他端は、高圧段コンプレッサ61aよりも下流側において吸気通路(吸気管32)に接続されている。すなわち、高圧段コンプレッサバイパス通路部63は、高圧段コンプレッサ61aをバイパスする経路を構成している。
吸気切替弁64は、高圧段コンプレッサバイパス通路部63に設けられている。吸気切替弁64はバタフライ弁である。吸気切替弁64は、電気制御装置80からの指示信号に応じて駆動される吸気切替弁アクチュエータ64aにより、所定の回動軸周りに回動させられる。吸気切替弁64が回動する(開度を変更する)ことにより、高圧段コンプレッサバイパス通路部63の開口面積が変化する。
高圧段タービンバイパス通路部65の一端は、高圧段タービン61bよりも上流側において排気通路(排気管42)に接続されている。高圧段タービンバイパス通路部65の他端は、高圧段タービン61bと低圧段タービン62bとの間において排気通路(排気管42)に接続されている。すなわち、高圧段タービンバイパス通路部65は、高圧段タービン61bをバイパスする経路を構成している。
排気切替弁66は、高圧段タービンバイパス通路部65に設けられている。排気切替弁66は、スイングアーム式の開閉弁である。排気切替弁66は、電気制御装置80からの指示信号に応じて駆動される排気切替弁アクチュエータ66aにより、所定の回動軸周りに回動させられる。排気切替弁66が回動する(開度を変更する)ことにより、高圧段タービンバイパス通路部65の開口面積が変化する。
例えば、排気切替弁66の開度が大きい場合、高圧段タービンバイパス通路部65を通過することができる排ガスの量が大きいので、高圧段タービン61bに導入される排ガスの量は小さい。これに対し、排気切替弁66の開度が小さい場合、高圧段タービンバイパス通路部65を通過することができる排ガスの量が小さいので、高圧段タービン61bに導入される排ガスの量は大きい。
このように、排気切替弁66は、上記指示信号に応じてその開度を変更することにより、高圧段タービン61bに導入される排ガスの量(排ガスのエネルギの大きさ)を変化させる。
ここで、排気切替弁66の応答速度と、可変ノズル機構61cの応答速度と、の関係について述べる。まず、所定の大きさの「高圧段タービン61bへの導入エネルギ」を単位エネルギ量UEとする。「排気切替弁66が高圧段タービン61bへの導入エネルギの大きさを単位エネルギ量UEだけ変化させる」ために必要な開度の変化量(単位変化量)は、排気切替弁66の構造などに基づいて定まる。同様に、「可変ノズル機構61cが高圧段タービン61bへの導入エネルギの大きさを単位エネルギ量UEだけ変化させる」ために必要な通過領域の開口面積の変化量(単位変化量)は、可変ノズル機構61cの構造などに基づいて定まる。
機関10において、可変ノズル機構61cがその開口面積を単位変化量だけ変化させるために要する時間の長さ(すなわち、可変ノズル機構61cの応答速度)は、排気切替弁66がその開度を単位変化量だけ変化させるために要する時間の長さ(すなわち、排気切替弁66の応答速度)よりも、速い。
低圧段タービンバイパス通路部67の一端は、低圧段タービン62bよりも上流側であって高圧段タービン61bと低圧段タービン62bとの間において排気通路(排気管42)に接続されている。低圧段タービンバイパス通路部67の他端は、低圧段タービン62bよりも下流側において排気通路(排気管42)に接続されている。すなわち、低圧段タービンバイパス通路部67は、低圧段タービン62bをバイパスする経路を構成している。
排気バイパス弁68は、低圧段タービンバイパス通路部67に設けられている。排気バイパス弁68はバタフライ弁である。排気バイパス弁68は、電気制御装置80からの指示信号に応じて駆動される排気バイパス弁アクチュエータ68aにより、所定の回動軸周りに回動させられる。排気バイパス弁68が回動する(開度を変更する)ことにより、低圧段タービンバイパス通路部67の開口面積が変化する。
さらに、第1装置は、複数のセンサを備えている。
具体的に述べると、第1装置は、吸入空気量センサ71、吸気温度センサ72、過給圧センサ73、クランクポジションセンサ74、排気切替弁開度センサ75、および、アクセル開度センサ76を備えている。
吸入空気量センサ71は、吸気通路(吸気管32)に設けられている。吸入空気量センサ71は、吸気管32内を流れる空気の質量流量である吸入空気量(すなわち、機関10に吸入される空気の質量)に応じた信号を出力するようになっている。この信号に基づき、吸入空気量の測定値が取得される。
吸気温度センサ72は、吸気通路(吸気管32)に設けられている。吸気温度センサ72は、吸気管32内を流れる空気の温度である吸気温度に応じた信号を出力するようになっている。この信号に基づき、吸気温度が取得される。
過給圧センサ73は、スロットル弁33の下流側の吸気管32に設けられている。過給圧センサ73は、それが設けられている部位における吸気管32内の空気の圧力(すなわち、機関10の燃焼室に供給される空気の圧力。換言すると、過給装置60によってもたらされる過給圧)を表す信号を出力するようになっている。この信号に基づき、過給圧Pimが取得される。
クランクポジションセンサ74は、図示しないクランクシャフトの近傍に設けられている。クランクポジションセンサ74は、クランクシャフトが10°回転する毎に幅の狭いパルスを有する信号を出力すると共に、クランクシャフトが360°回転する毎に幅の広いパルスを有する信号を出力するようになっている。これら信号に基づき、クランクシャフトの単位時間あたりの回転数の測定値(以下、単に「機関回転速度NE」とも称呼される。)が取得される。
排気切替弁開度センサ75は、排気切替弁66の開度に応じた信号を出力するようになっている。この信号に基づき、排気切替弁66の開度Oecvが取得される。
アクセル開度センサ76は、機関10の操作者によって操作されるアクセルペダルAPに設けられている。アクセル開度センサ75は、このアクセルペダルAPの開度に応じた信号を出力するようになっている。この信号に基づき、アクセルペダル開度Accpが取得される。
さらに、第1装置は、電気制御装置80を備えている。
電気制御装置80は、CPU81、CPU81が実行するプログラム、テーブル(マップ)および定数などをあらかじめ記憶したROM82、CPU81が必要に応じて一時的にデータを格納するRAM83、電源が投入された状態でデータを格納すると共に格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM84、ならびに、ADコンバータを含むインターフェース85を有する。CPU81、ROM82、RAM83、RAM84およびインターフェース85は、互いにバスで接続されている。
インターフェース85は、上記センサと接続され、CPU81にそれらから出力される信号を伝えるようになっている。さらに、インターフェース85は、燃料噴射装置22、複数のアクチュエータおよびEGR制御弁53などと接続され、CPU81の指示に応じてそれらに指示信号を送るようになっている。
以下、便宜上、可変ノズル機構61cのベーン61c1の位置(回動位置)を「可変ノズル開度」とも称呼する。
<装置の作動の概要>
以下、上記機関10に適用される第1装置の作動の概要について説明する。
第1装置は、機関10が実際に運転されている際に上述した「応答時間長さ関連パラメータ」を取得する。より具体的に述べると、機関10が第1の運転状態(排気切替弁66の開度は第1開度である。)にて運転されているとき、第1時点において、機関10の運転状態が第2の運転状態に変化したと仮定する。この運転状態の変化により、第1時点において、「排気切替弁66の開度を第2の運転状態に応じた第2開度に変更する指示」が排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。そして、その指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられてから所定の長さの時間が経過した後の第2時点において、排気切替弁66の開度が第2開度に一致する。
このとき、第1装置は、図3に示すように、「排気切替弁アクチュエータ66aに上記指示が与えられた第1時点から、排気切替弁66の開度が上記指示に応じた開度に一致する第2時点まで、の時間の長さ」を「基準応答時間長さTecvref」として取得する。さらに、第1装置は、「第1開度と第2開度との差」を「基準開度差Oecvdref」として取得する。第1装置は、基準応答時間長さTecvrefおよび基準開度差Oecvdrefを応答時間長さ関連パラメータとして採用する。
次いで、第1装置は、上述したように取得された応答時間長さ関連パラメータに基づき、可変ノズル開度を調整する。より具体的に述べると、上記応答時間長さ関連パラメータが取得された後の第3時点において、機関10の運転状態が第3の運転状態に変化すると、「排気切替弁66の開度を第3の運転状態に応じた第3開度に変更する指示」が排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。すなわち、排気切替弁66の開度を「目標開度差」だけ変更する指示が、排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。
このとき、第1装置は、この目標開度差と、上記応答時間長さ関連パラメータと、に基づき、開口面積制御則を決定する。より具体的に述べると、第1装置は、開口面積制御則として、「可変ノズル開度の目標値(可変ノズル補償開度)」および「可変ノズル開度をその目標値に一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さ(可変ノズル指示時間長さ)」を決定する。
そして、第1装置は、上記第3時点から「可変ノズル指示時間長さ」が経過する時点までの期間中に、可変ノズル開度を「可変ノズル補償開度」に一致させる指示を、可変ノズル機構61cに対して与える。このように、第1装置は、排気切替弁66の開度が変更されることと並行して、可変ノズル開度を制御する。以上が第1装置の作動の概要である。
<ターボモードの決定方法>
次いで、第1装置におけるターボモードおよびその決定方法について説明する。
第1装置は、機関10の運転状態に基づき、高圧段過給機61および低圧段過給機62を使い分ける。より具体的に述べると、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさが小さいとき(例えば、機関10が低負荷運転されているとき)、第1装置は、排ガスが高圧段過給機61に優先的に導入されるように排気切替弁66を制御する。一方、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさが大きいとき(例えば、機関10が高負荷運転されているとき)、排ガスが低圧段過給機62に優先的に導入されるように排気切替弁66を制御する。
さらに、第1装置は、機関10の運転状態に基づいて吸気切替弁64を制御することにより、高圧段過給機61に導入される空気の量を調整する。加えて、第1装置は、機関10の運転状態に基づいて排気バイパス弁68を制御することにより、低圧段過給機62に導入される排ガスのエネルギの大きさを調整する。
すなわち、第1装置は、機関10の運転状態に応じて、適切な量の排ガスおよび空気が高圧段過給機61および低圧段過給機62に導入されるように、吸気切替弁64、排気切替弁66、および、排気バイパス弁68(以下、「各制御弁」とも称呼する。)を制御する。
このような制御を実行するために、第1装置は、機関10の運転状態を4つの領域(運転領域)に分け、その4つの運転領域のそれぞれに適した各制御弁の作動状態を決定する。この「各制御弁の作動状態」が、ターボモードに基づいて決定される。
このターボモードは、以下のように決定される。
第1装置は、図4(A)に示す「機関回転速度NEと、燃料噴射量の目標値Qtgtと、ターボモードと、の関係を予め定めたターボモードテーブルMapTM(NE,Qtgt)」をROM82に格納している。図4(A)の図中に示される「1」〜「4」の数字は、それぞれターボモードの番号を示す。さらに、図4(A)の図中に示される「HP×LP」は高圧段過給機61と低圧段過給機62との双方を作動させることを示し、「LP」は低圧段過給機62を優先的に作動させることを示す。
図4(B)は、ターボモードのそれぞれにおける各制御弁の作動状態を示す。図4(B)において、「全閉」は、制御弁の開度がその制御弁が設けられている通路を閉鎖する開度に設定され、空気または排ガスがその通路を通過することができない状態であることを示す。一方、「全開」は、制御弁の開度がその制御弁が設けられている通路を完全に(限界まで)開放する開度に設定され、空気または排ガスがその通路を制御弁の影響を実質的に受けることなく通過することができる状態であることを示す。さらに、「開」は、制御弁の開度が「全閉」から「全開」までの間の開度に設定され、その制御弁が設けられている通路を通過する空気または排ガスの流量が制御弁の開度に応じて変更可能となっている状態であることを示す。
なお、図4(B)において、「ECV」は排気切替弁66の略称であり、「ACV」は吸気切替弁64の略称であり、「EBV」は排気バイパス弁68の略称である。
第1装置は、上記ターボモードテーブルMapTM(NE,Qtgt)に実際の機関回転速度NEおよび燃料噴射量の目標量Qtgtを適用することにより、ターボモードを決定する。そして、第1装置は、決定されたターボモードに応じて各制御弁の開度を制御する。
<可変ノズル開度の制御方法>
次いで、第1装置における過給圧の制御方法について説明する。
第1装置は、上述したように、機関10の運転状態に基づき、排気切替弁66の開度が変更されることと並行して、可変ノズル開度を制御する。
以下、まず、排気切替弁66の開度が「減少」するように変更される場合における可変ノズル開度の変化につき、図5および図6に示すタイムチャートを参照しながら説明する。
図5は第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合の例を示すタイムチャートであり、図6は第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合の例を示すタイムチャートである。
図5は、過給機の圧力比(高圧段過給機61による圧力比HP、低圧段過給機62による圧力比LP、および、それら双方による圧力比HP×LP)と、燃料噴射量Qと、排気切替弁66の開度Oecvと、可変ノズル開度Ovnと、の関係を示すタイムチャートである。
ここで、圧力比とは、「過給機に導入される前の空気の圧力に対する過給機を通過した後の空気の圧力の比」を意味する。よって、上記圧力比HP×LPは、「低圧段過給機62に導入される前」の空気の圧力に対する「高圧段過給機61を通過した後」の空気の圧力の比、を意味する。なお、過給圧Pimは、機関10に導入される空気の圧力(大気圧)に圧力比HP×LPを乗算した値に相当する。
このタイムチャートにおいて、時刻t1の直前において機関10の運転状態が変化すると、燃料噴射量Qを変更(減少)する指示が燃料噴射装置22に与えられ、排気切替弁66の開度Oecvを変更(減少)する指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる。
燃料噴射装置(例えば、上述したソレノイド式インジェクタ)22は、その構造上、燃料噴射量を速やかに変更し得る。そのため、燃料噴射量Qは、時刻t1において上記指示に応じた量Qtgt(以下、「目標量Qtgt」とも称呼する。)に一致する。
これに対し、排気切替弁66(例えば、上述したスイングアーム式開閉弁)は、その構造上、開度を変更するために所定の時間を要する。そのため、開度Oecvは、時刻t1から所定の長さの時間が経過した後の時刻t2において、上記指示に応じた開度Oecvtgt(以下、「目標開度Oecvtgt」とも称呼する。)に向けて変化し始める。そして、開度Oecvは、時刻t3において目標開度Oecvtgtに一致する。以下、便宜上、「排気切替弁66の開度Oecvを変更する指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられてから、排気切替弁66の開度Oecvがその指示に応じた開度Oecvtgtに一致するまで、に所定の時間を要する現象」を、「排気切替弁66の応答遅れ」とも称呼する。
なお、上述したように、図5に示す例において、第1装置は可変ノズル開度Ovnを制御しない。そのため、可変ノズル開度Ovnは、時刻によらず所定の開度に維持されている。
時刻t1から時刻t2までの期間中、燃料噴射量Qが減少するので、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさは減少する。一方、この期間中、排気切替弁66の開度Oecvは上記指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる前の開度に維持されているので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは減少する。そのため、圧力比HPは減少する。ただし、高圧段タービン61bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、圧力比HPは瞬時には減少せず徐々に減少する。さらに、同様の理由により、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさも減少する。そのため、圧力比LPは減少する。ただし、低圧段タービン62bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、圧力比LPは瞬時には減少せず徐々に減少する。
次いで、時刻t2から時刻t3までの期間中、排気切替弁66の開度Oecvが減少するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは増大し、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさは減少する。
このとき、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさが増大するので、圧力比HPは増大する。ただし、上述したように高圧段タービン61bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、排気切替弁66の開度Oecvが目標開度Oecvtgtに一致してから、圧力比HPがその目標開度Oecvtgtに応じた圧力比PRhptgt(以下、「目標圧力比PRhptgt」とも称呼する。)に一致するまで、に所定の時間を要する。そのため、圧力比HPは、時刻t3においては未だ目標圧力比PRhptgtに一致しない。この圧力比HPは、時刻t3から所定の長さの時間が経過した後の時刻t4において、目標圧力比PRhptgtに一致する。
一方、このとき、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさが減少するので、圧力比LPは減少する。ただし、上述したように低圧段タービン62bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、排気切替弁66の開度Oecvが目標開度Oecvtgtに一致してから、圧力比LPがその目標開度Oecvtgtに応じた圧力比PRlptgt(以下、「目標圧力比PRlptgt」とも称呼する。)に一致するまで、に所定の時間を要する。そのため、圧力比LPは、時刻t3においては未だ目標圧力比PRlptgtに一致しない。この圧力比LPは、本例においては時刻t4の近傍において、目標圧力比PRlptgtに一致する。
圧力比HPおよび圧力比LPが上述したように変化するので、圧力比HP×LPは、時刻t1において減少し始める。圧力比HP×LPは、時刻t2と時刻t3との間の所定の時刻まで減少を続ける。その所定の時刻の後、圧力比HP×LPは増大し始める。そして、圧力比HP×LPは、時刻t4において機関10の運転状態に応じた圧力比PRhplptgt(以下、「目標圧力比PRhplptgt」とも称呼する。)に一致する。
このように、第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合、少なくとも排気切替弁66の応答遅れ(時刻t1から時刻t3までの応答時間長さ)および高圧段タービン61bの慣性モーメントに起因して、圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間(時刻t1〜時刻t4)が存在する。
そこで、第1装置は、排気切替弁66の開度Oecvが変更されることと並行して、可変ノズル開度Ovnを制御する。以下、第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合における過給機の圧力比(圧力比HP、圧力比LPおよび圧力比HP×LP)と、燃料噴射量Qと、排気切替弁66の開度Oecvと、可変ノズル開度Ovnと、の関係について説明する。
図6に示すタイムチャートにおいて、時刻t1の直前において機関10の運転状態が変化すると、燃料噴射装置22および排気切替弁アクチュエータ66aに上記同様の指示が与えられる。このとき、図5に示した例と同様、燃料噴射量Qは時刻t1において上記指示に応じた量Qtgtに一致し、排気切替弁66の開度Oecvは時刻t3において目標開度Oecvtgtに一致する。
第1装置は、機関10の運転状態が変化したとき、所定の応答時間長さ関連パラメータに基づき、可変ノズル開度Ovnを制御するための「開口面積制御則」を決定する。そして、第1装置は、その開口面積制御則に従い、可変ノズル開度Ovnを変更させる指示を可変ノズル機構61cに与える。
本例において、第1装置は、開口面積制御則として、「可変ノズル開度Ovnの補償開度Ovncom」と「可変ノズル開度Ovnを補償開度Ovncomに一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える指示時間長さTvninst」とを決定する。本例における補償開度Ovncomおよび指示時間長さTvninstは、上述した排気切替弁66の応答遅れを補償することができる適値に設定されている。そして、第1装置は、図6に示すように、この開口面積制御則に従い、時刻t1を始点としてこの始点から指示時間長さTvninstが経過する時点までの期間中に上記指示を可変ノズル機構61cに与える。
時刻t1から時刻t2までの期間中、図5に示した例と同様、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさは減少し、排気切替弁66の開度Oecvは上記指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる前の開度に維持される。しかし、本例においては、可変ノズル開度Ovnが減少するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスの流速(排ガスのエネルギの大きさ)が増大する。これにより、本例において、圧力比HPは、図5に示したタイムチャートのように減少することなく、増大する。
なお、便宜上、本例における可変ノズル開度Ovnの変化は、排気切替弁66の応答遅れを補償することにのみ(すなわち、圧力比HPにのみ)影響を与え、圧力比LPに実質的な影響を与えないものと仮定する。本仮定に従うと、本例における圧力比LPは、図5に示したタイムチャートと同様に減少する。
次いで、時刻t2から時刻t3までの期間中、図5に示した例と同様、排気切替弁66の開度Oecvが減少するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは増大し、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさは減少する。なお、この期間中、可変ノズル開度Ovnは増大する。
このとき、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさが増大するので、圧力比HPは増大する。ただし、本例において、排気切替弁66の応答遅れが可変ノズル開度Ovnの変化によって補償されているので、圧力比HPは、図5に示した例よりも早い時点(時刻t4よりも早い時点)において目標圧力比PRhptgtに一致する。
なお、上述したように、本例における可変ノズル開度Ovnの変化は圧力比LPに実質的な影響を与えないので、圧力比LPは、図5に示したタイムチャートと同様に時刻t4の近傍において目標圧力比PRlptgtに一致する。
圧力比HPおよび圧力比LPが上述したように変化するので、圧力比HP×LPは、時刻t1において減少し始める。しかし、圧力比HP×LPは、図5に示した例よりも早い時点において(時刻t4よりも早い時点)において、目標圧力比PRhplptgtに一致する。さらに、本例においては、圧力比HP×LPは、図5に示したタイムチャートのように一旦減少した後に増大することなく、目標圧力比PRhplptgtに一致する。
このように、第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合、排気切替弁66の応答遅れが可変ノズル開度Ovnの減少によって補償されるので、圧力比HP×LPは、第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合よりも早期に目標圧力比PRhplptgtに一致する。すなわち、この場合、圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間の長さが、第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合よりも減少する。
この結果、過給圧Pim(上述したように、大気圧に圧力比HP×LPを乗算した値に相当。)がその目標値に一致しない時間の長さが減少するので、機関10のドライバビリティが向上され得る。さらに、エミッション量が減少され得る。
以上が、排気切替弁66の開度が「減少」するように変更される場合における可変ノズル開度の変化についての説明である。次いで、排気切替弁66の開度が「増大」するように変更される場合における可変ノズル開度の変化について説明する。
図7は第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合の例を示すタイムチャートであり、図8は第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合の例を示すタイムチャートである。図7および図8は、図5および図6と同様、過給機の圧力比(圧力比HP、圧力比LPおよび圧力比HP×LP)と、燃料噴射量Qと、排気切替弁66の開度Oecvと、可変ノズル開度Ovnと、の関係を示すタイムチャートである。
図7に示すタイムチャートにおいて、時刻t1の直前において機関10の運転状態が変化すると、燃料噴射量Qを変更(増大)する指示が燃料噴射装置22に与えられ、排気切替弁66の開度Oecvを変更(増大)する指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる。なお、図7に示す例において、第1装置は可変ノズル開度Ovnを制御しない。そのため、可変ノズル開度Ovnは、時刻によらず所定の開度に維持されている。
時刻t1から時刻t2までの期間中、燃料噴射量Qが増大するので、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさは増大する。一方、この期間中、排気切替弁66の開度Oecvは上記指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる前の開度に維持されているので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは増大する。そのため、圧力比HPは増大する。さらに、同様の理由により、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさも増大する。そのため、圧力比LPは増大する。ただし、高圧段タービン61bおよび低圧段タービン62bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、圧力比HPおよび圧力比LPは瞬時には増大せず徐々に増大する。
次いで、時刻t2から時刻t3までの期間中、排気切替弁66の開度Oecvが増大するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは減少し、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさは増大する。
このとき、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさが減少するので、圧力比HPは減少する。ただし、上述したように高圧段タービン61bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、圧力比HPは、時刻t3においては未だ目標圧力比PRhptgtに一致しない。この圧力比HPは、時刻t3から所定の長さの時間が経過した後の時刻t4において、目標圧力比PRhptgtに一致する。
一方、このとき、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさが増大するので、圧力比LPは増大する。ただし、上述したように低圧段タービン62bは所定の大きさの慣性モーメントを有するので、圧力比LPは、時刻t3においては未だ目標圧力比PRlptgtに一致しない。この圧力比LPは、本例においては時刻t4の近傍において、目標圧力比PRlptgtに一致する。
圧力比HPおよび圧力比LPが上述したように変化するので、圧力比HP×LPは、時刻t1において増大し始める。圧力比HP×LPは、時刻t2と時刻t3との間の所定の時刻まで増大を続ける。その所定の時刻の後、圧力比HP×LPは減少し始める。そして、圧力比HP×LPは、時刻t4において目標圧力比PRhplptgtに一致する。
このように、第1装置が可変ノズル開度を「制御しない」場合、少なくとも排気切替弁66の応答遅れ(時刻t1から時刻t3までの応答時間長さ)および高圧段タービン61bの慣性モーメントに起因して、圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間(時刻t1〜時刻t4)が存在する。
そこで、第1装置は、排気切替弁66の開度Oecvが変更されることと並行して、可変ノズル開度Ovnを制御する。以下、第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合における過給機の圧力比(圧力比HP、圧力比LPおよび圧力比HP×LP)と、燃料噴射量Qと、排気切替弁66の開度Oecvと、可変ノズル開度Ovnと、の関係について説明する。
図8に示すタイムチャートにおいて、時刻t1の直前において機関10の運転状態が変化すると、燃料噴射装置22および排気切替弁アクチュエータ66aに上記同様の指示が与えられる。このとき、図7に示した例と同様、燃料噴射量Qは時刻t1において上記指示に応じた量Qtgtに一致し、排気切替弁66の開度Oecvは時刻t3において目標開度Oecvtgtに一致する。
第1装置は、機関10の運転状態が変化したとき、所定の応答時間長さ関連パラメータに基づき、可変ノズル開度Ovnを制御するための「開口面積制御則」を決定する。そして、第1装置は、その開口面積制御則に従い、可変ノズル開度Ovnを変更させる指示を可変ノズル機構61cに与える。
本例において、第1装置は、開口面積制御則として、「可変ノズル開度Ovnの補償開度Ovncom」と「可変ノズル開度Ovnを補償開度Ovncomに一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える指示時間長さTvninst」とを決定する。本例における補償開度Ovncomおよび指示時間長さTvninstは、上述した排気切替弁66の応答遅れを補償することができる適値に設定されている。そして、第1装置は、図8に示すように、この開口面積制御則に従い、時刻t1を始点としてその始点から指示時間長さTvninstが経過する時点までの期間中に上記指示を可変ノズル機構61cに与える。
時刻t1から時刻t2までの期間中、図7に示した例と同様、燃焼室から排出される排ガスのエネルギの大きさは増大し、排気切替弁66の開度Oecvは上記指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられる前の開度に維持される。しかし、可変ノズル開度Ovnが増大するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスの流速(排ガスのエネルギの大きさ)が減少する。これにより、本例において、圧力比HPは、図7に示したタイムチャートのように増大することなく、減少する。
なお、便宜上、本例における可変ノズル開度Ovnの変化は、排気切替弁66の応答遅れを補償することにのみ(すなわち、圧力比HPにのみ)影響を与え、圧力比LPに実質的な影響を与えないものと仮定する。本仮定に従うと、本例における圧力比LPは、図7に示したタイムチャートと同様に増大する。
次いで、時刻t2から時刻t3までの期間中、図7に示した例と同様、排気切替弁66の開度Oecvが増大するので、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさは減少し、低圧段タービン62bに導入される排ガスのエネルギの大きさは増大する。なお、この期間中、可変ノズル開度Ovnは減少する。
このとき、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギは減少するので、圧力比HPは減少する。ただし、本例において、排気切替弁66の応答遅れが可変ノズル開度Ovnの変化によって補償されているので、圧力比HPは、図7に示した例よりも早い時点(時刻t4よりも早い時点)において目標圧力比PRhptgtに一致する。
なお、上述したように、本例における可変ノズル開度Ovnの変化は圧力比LPに実質的な影響を与えないので、圧力比LPは、図7に示したタイムチャートと同様に時刻t4の近傍において目標圧力比PRlptgtに一致する。
圧力比HPおよび圧力比LPが上述したように変化するので、圧力比HP×LPは、時刻t1において増大し始める。しかし、圧力比HP×LPは、図7に示した例よりも早い時点において(時刻t4よりも早い時点)において、目標圧力比PRhplptgtに一致する。さらに、本例においては、圧力比HP×LPは、図7に示したタイムチャートのように一旦増大した後に減少することなく、目標圧力比PRhplptgtに一致する。
このように、第1装置が可変ノズル開度を「制御する」場合、排気切替弁66の応答遅れが可変ノズル開度Ovnの増大によって補償されるので、圧力比HP×LPは、第1装置が可変ノズル開度Ovnを「制御しない」場合よりも早期に目標圧力比PRhplptgtに一致する。すなわち、この場合、圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間の長さが、第1装置が可変ノズル開度Ovnを「制御しない」場合よりも減少する。
この結果、過給圧Pimがその目標値に一致しない時間の長さが減少するので、機関10のドライバビリティが向上され得る。さらに、エミッション量が減少され得る。加えて、過給圧Pimが過剰に増大することが防がれるので、機関10を構成する部材に過剰な負荷が与えられることが回避され得る。
以上、説明したように、機関10の運転状態が変化することによって排気切替弁66の開度Oecvが増大する場合であっても減少する場合であっても、第1装置は、圧力比HP×LPを早期に目標圧力比PRhplptgtに一致させることができる。さらに、第1装置は、圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間の長さを減少させることができる。
換言すると、第1装置は、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさを早期にその目標値に一致させることができると共に、その排ガスのエネルギの大きさがその目標値に一致しない期間の長さを減少させることができる。以上が第1装置における過給圧の制御方法である。
なお、図5〜図8に示した例においては、機関10の運転状態の変化によって燃料噴射量Qが変更されている。しかし、上記説明から明らかなように、機関10の運転状態が変化する際に燃料噴射量Qが変更されるか否かに関わらず、第1装置は、可変ノズル開度Ovnを制御することによって高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギを早期にその目標値に近づけることができる。
さらに、図5〜図8に示した例においては、機関10は複数の過給機(高圧段過給機61および低圧段過給機62)を備えている。しかし、上記説明から明らかなように、過給機の数に関わらず(例えば、1の過給機のみを備える機関においても)、第1装置は、可変ノズル開度Ovnを制御することによって過給機のタービンに導入される排ガスのエネルギを早期にその目標値に近づけることができる。
<実際の作動>
以下、第1装置の実際の作動について説明する。
第1装置において、CPU81は、図9〜図12にフローチャートによって示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行するようになっている。CPU81は、これらルーチンにおいて、応答時間長さ確認フラグXRTCを用いる。
応答時間長さ確認フラグXRTCは、その値が「0」であるとき、応答時間長さ関連パラメータ(すなわち、基準開度差Oecvdrefおよび基準応答時間長さTecvref)が未だ取得されていないことを表す。一方、応答時間長さ確認フラグXRTCは、その値が「1」であるとき、応答時間長さ関連パラメータが既に取得されていることを表す。
応答時間長さ確認フラグXRTCの値は、機関10を搭載した車両の工場出荷時およびサービス点検実施時などにおいて電気制御装置80に対して所定の操作がなされたとき、「0」に設定されるようになっている。
以下、CPU81が実行する各ルーチンについて詳細に説明する。
まず、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」に設定されていると仮定する。以下、便宜上、この仮定を「初期設定仮定」とも称呼する。
CPU81は、機関10が始動されると、任意の気筒のクランク角が圧縮上死点前の所定クランク角度(例えば、圧縮上死点前90度クランク角)θfに一致する毎に、図9にフローチャートによって示した「第1燃料噴射制限ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、燃料噴射量の目標量Qtgtを決定すると共に、目標量Qtgtの燃料を燃料噴射装置22によってその気筒内に噴射させる。以下、クランク角が圧縮上死点前のクランク角θfに一致して圧縮行程を終える気筒は、「燃料噴射気筒」とも称呼される。
具体的に述べると、CPU81は、任意の気筒のクランク角度がクランク角度θfに一致すると、図9のステップ900から処理を開始してステップ910に進む。CPU81は、ステップ910にて、「機関回転速度NEと、アクセルペダル開度Accpと、燃料噴射量の目標量Qtgtと、の関係」をあらかじめ定めた燃料噴射量テーブルMapQtgt(NE,Accp)に、現時点における機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpを適用することにより、燃料噴射量の目標量Qtgtを決定する。
ステップ910において、機関回転速度NEとして、クランクポジションセンサ74によって取得される値が採用される。さらに、アクセルペダル開度Accpとして、アクセル開度センサ76によって取得される値が採用される。加えて、燃料噴射量テーブルMapQtgt(NE,Accp)において、燃料噴射量の目標量Qtgtは、機関10に要求される出力、燃費およびエミッション(排ガスに含まれる粒子状物質および窒素酸化物など)の量などを考慮した適値であるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ920に進む。CPU81は、ステップ920にて、目標量Qtgtの燃料を噴射するように燃料噴射気筒に設けられている燃料噴射装置22に指示を与える。すなわち、このとき、目標量Qtgtの燃料が燃料噴射気筒に噴射される。その後、CPU81は、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
さらに、CPU81は、所定時間が経過する毎に、図10にフローチャートによって示した「第1排気切替弁・可変ノズル制御ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、排気切替弁66の開度Oecvおよび可変ノズル開度Ovnを制御する。
具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図10のステップ1000から処理を開始してステップ1005に進む。CPU81は、ステップ1005にて、上述したターボモードテーブルMapTM(NE,Qtgt)に、現時点における機関回転速度NEおよび燃料噴射量の目標量Qtgtを適用することにより、ターボモードTMを決定する(図4を参照。)。
次いで、CPU81は、ステップ1010に進む。CPU81は、ステップ1010にて、「ターボモードTMと、機関回転速度NEと、アクセルペダル開度Accpと、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、の関係」をあらかじめ定めた排気切替弁目標開度テーブルMapOecvtgt(TM,NE,Accp)に、現時点におけるターボモードTM、機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpを適用することにより、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtを決定する。
排気切替弁目標開度テーブルMapOecvtgt(TM,NE,Accp)において、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtは、機関10に要求される出力などを考慮した適値であるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1015に進む。CPU81は、ステップ1015にて、「機関回転速度NEと、アクセルペダル開度Accpと、通常運転時における可変ノズル開度Ovnnmlと、の関係」をあらかじめ定めた可変ノズル通常開度テーブルMapOvnnml(NE,Accp)に、現時点における機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpを適用することにより、通常運転時の可変ノズル開度Ovnnmlを決定する。以下、この通常運転時の可変ノズル開度Ovnnmlを単に「通常開度Ovnnml」とも称呼する。
ステップ1015において、通常運転とは、上述した「第1装置が排気切替弁66の応答時間長さを考慮して可変ノズル開度Ovnを制御する」運転が「行われていない」期間中に実行される運転を表す。なお、上記運転が「行われている」期間中の可変ノズル開度Ovnについては、後述される。さらに、可変ノズル通常開度テーブルMapOvnnml(NE,Accp)において、通常開度Ovnnmlは、機関10に要求される出力などを考慮した適値であるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1020に進む。CPU81は、ステップ1020にて、排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させるように、排気切替弁アクチュエータ66aに指示を与える。なお、ステップ1020の処理が実行される時点は、図6における「時刻t1」に相当する。
次いで、CPU81は、ステップ1025に進む。CPU81は、ステップ1025にて、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、の差の絶対値が所定の閾値Oecvth1よりも大きいか否かを判定する。
現時点において上記「差の絶対値」が閾値Oecvth1以下である場合、CPU81は、ステップ1025にて「No」と判定してステップ1030に進む。CPU81は、ステップ1030にて、可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させるように可変ノズル機構61cに指示を与える。なお、ステップ1030の処理が実行される時点は、上記ステップ1020の処理が実行される時点(図6の時刻t1)に実質的に一致する。その後、CPU81は、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点において、上記「差の絶対値」が閾値Oecvth1よりも大きい場合、CPU81は、ステップ1025にて「Yes」と判定してステップ1035に進む。CPU81は、ステップ1035にて、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「1」であるか否かを判定する。上記初期設定仮定に従えば、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」であるので、CPU81は、ステップ1035にて「No」と判定してステップ1030に進む。
そして、CPU81は、ステップ1030にて可変ノズル機構61cに上述した指示を与え、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1以下である場合、排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示がなされる。さらに、可変ノズル機構61cに対して可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させる指示がなされる。これら指示は、実質的に同じ時点(すなわち、図6の時刻t1)においてなされる。
一方、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きい場合であっても、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」であると、排気切替弁アクチュエータ66aおよび可変ノズル機構61cに対して上記同様の指示がなされる。
上記ステップ1025において、閾値Oecvth1は、「排気切替弁66の開度の変化量がその閾値Oecvth1よりも大きいとき、高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさが適切に調整されない値」に設定される。例えば、機関10のターボモードがターボモード3(排気切替弁66の開度が全開。図4を参照。)からターボモード1(排気切替弁66の開度が全閉。)に変化したときに排気切替弁66の開度の変化量が閾値Oecvth1を超えるように、閾値Oecvth1は設定され得る。
次いで、CPU81は、図10に示したルーチンが実行される毎に、図11にフローチャートによって示した「第1応答時間長さ関連パラメータ取得ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、上述した「基準開度差Oecvdref」および「基準応答時間長さTecvref」を応答時間長さ関連パラメータとして取得する。
具体的に述べると、CPU81は、図10に示したルーチンのステップ1095の処理を行った後の所定のタイミングにて、図11のステップ1100から処理を開始してステップ1110に進む。CPU81は、ステップ1110にて、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」であるか否かを判定する。上記初期設定仮定に従えば、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」であるので、CPU81は、ステップ1110にて「Yes」と判定してステップ1120に進む。
CPU81は、ステップ1120にて、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、の差の絶対値が閾値Oecvth2よりも大きいか否かを判定する。ステップ1120にて採用される目標開度Oecvtgtおよび開度Oecvは、図10のステップ1025にて採用された目標開度Oecvtgtおよび開度Oecvと同一である。
ステップ1220において、閾値Oecvth2は、「目標開度Oecvtgtと開度Oecvとの差の絶対値がその閾値Oecvth2よりも大きいとき、適切な応答時間長さ関連パラメータが取得される適値」に設定される。
現時点において上記「差の絶対値」が閾値Oecvth2以下である場合、CPU81は、ステップ1120にて「No」と判定し、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点において上記「差の絶対値」が閾値Oecvth2よりも大きい場合、CPU81は、ステップ1120にて「Yes」と判定してステップ1130に進む。CPU81は、ステップ1130にて、目標開度Oecvtgtと現時点の開度Oecvとの差を基準開度差Oecvdrefとして取得する(図3を参照。)。
次いで、CPU81は、ステップ1140に進む。CPU81は、ステップ1140にて、「排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示が与えられた時点から、排気切替弁66の開度が目標開度Oecvtgtに一致する時点まで、の時間の長さ」を基準応答時間長さTecvrefとして取得する(図3を参照。)。
次いで、CPU81は、ステップ1150に進む。CPU81は、ステップ1150にて、応答時間長さ確認フラグXRTCの値に「1」を格納する。その後、CPU81は、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、CPU81は、応答時間長さ関連パラメータが取得されていない場合(応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」である場合)、応答時間長さ関連パラメータとして基準開度差Oecvdrefおよび基準応答時間長さTecvrefを取得する。
次いで、応答時間長さ関連パラメータが取得された「後」の所定のタイミングにて、CPU81は、図10のステップ1000から処理を開始すると、ステップ1005〜ステップ1020を経由してステップステップ1025に進む。これにより、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtおよび可変ノズルの通常開度Ovnnmlが決定される。さらに、排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させるように排気切替弁アクチュエータ66aに対して指示がなされる。
ステップ1025にて、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きければ、CPU81は、ステップ1025にて「Yes」と判定してステップ1035に進む。
現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「1」であるので、CPU81は、ステップ1035にて「Yes」と判定してステップ1040に進む。CPU81は、ステップ1040にて、「排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、基準応答時間長さTecvrefと、排気切替弁66の応答遅れを補償するための可変ノズル開度Ovncomと、の関係」をあらかじめ定めた可変ノズル補償開度マップMapOvncom(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Tecvref)に、現時点における目標開度Oecvtgtと、開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、基準応答時間長さTecvrefと、を適用することにより、上記可変ノズル開度Ovncomを決定する。以下、この排気切替弁66の応答遅れを補償するための可変ノズル開度Ovncomを単に「補償開度Ovncom」とも称呼する。
可変ノズル補償開度マップMapOvncom(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Tecvref)において、可変ノズル開度Ovncomは、排気切替弁66の応答遅れを補償する観点において適切な開度であるように、定められる。なお、補償開度Ovncomは、上述した「第1装置が排気切替弁66の応答時間長さを考慮して可変ノズル開度Ovnを制御する」運転が「行われている」期間中の可変ノズル開度に相当する。
次いで、CPU81は、ステップ1045に進む。CPU81は、ステップ1045にて、「排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、基準応答時間長さTecvrefと、可変ノズル開度を補償開度Ovncomと一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さTvninstと、の関係」をあらかじめ定めた可変ノズル指示時間長さマップMapTvninst(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Tecvref)に、現時点における目標開度Oecvtgtと、開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、基準応答時間長さTecvrefと、を適用することにより、上記時間の長さTvninstを決定する。以下、この可変ノズル開度を補償開度Ovncomと一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さTvninstを、単に「指示時間長さTvninst」とも称呼する。
可変ノズル指示時間長さマップMapTvninst(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Tecvref)において、指示時間長さTvninstは、排気切替弁66の応答遅れを補償する観点において適切な長さであるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1050に進む。CPU81は、ステップ1050にて、可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示を指示時間長さTvninstだけ可変ノズル機構61cに与える。なお、ステップ1050の処理が実行される時点は、図6における「時刻t1」に相当する。
そして、上記指示時間長さTvninstが経過した後、CPU81は、ステップ1030に進む。CPU81は、ステップ1030にて、可変ノズル開度を上記ステップ1015にて決定された通常開度Ovnnmlに一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える。その後、CPU81は、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きい場合、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「1」であれば(すなわち、応答時間長さ関連パラメータが取得されていれば)、排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示がなされると共に、可変ノズル機構61cに対して可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示が指示時間長さTvninstだけなされる。これら指示は、実質的に同じ時点(すなわち、図6の時刻t1)においてなされる。なお、指示時間長さTvninstが経過した後、可変ノズル機構61cに対して可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させる指示がなされる。
<装置の作用および効果>
第1装置は、排気切替弁66の開度の変化量(|Oecvtgt−Oecv|)が所定の閾値Oecvth2よりも大きいとき、その開度の変化量を「基準開度差Oecvdref」として取得すると共に、排気切替弁66の開度がその変化量だけ変化するために要する時間の長さを「基準応答時間長さTecvref」として取得する。基準開度差Oecvdrefおよび基準応答時間長さTecvrefは、第1装置における応答時間長さ関連パラメータである。
第1装置は、応答時間長さ関連パラメータが取得された「後」に排気切替弁66の開度を所定の閾値Oecvth1よりも大きく変更するとき、応答時間長さ関連パラメータ(基準開度差Oecvdrefおよび基準応答時間長さTecvref)に基づき、可変ノズル開度を制御するための「補償開度Ovncom」および「指示時間長さTvninst」を決定する。
そして、第1装置は、排気切替弁66の開度が変更されることと並行して(すなわち、排気切替弁66の開度が変更され始める時点と実質的に同一の時点から)、可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示を指示時間長さTvninstだけ可変ノズル機構61cに対して与える。
これにより、第1装置は、上述したように高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギを早期にその目標値に一致させることができる。さらに、第1装置は、その排ガスのエネルギの大きさがその目標値に一致しない期間の長さを減少させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る制御装置(以下、「第2装置」とも称呼する。)について説明する。
<装置の概要>
第2装置は、第1装置が適用される機関10と同様の構成を有する機関(図1を参照。以下、便宜上、「機関10」と称呼する。)に適用される。そこで、第2装置が適用される装置の概要についての説明は、省略される。
<装置の作動の概要>
以下、上記機関10に適用される第2装置の作動の概要について説明する。
第2装置は、機関10が実際に運転されている際に上述した「応答時間長さ関連パラメータ」を取得する。より具体的に述べると、機関10が第1の運転状態(排気切替弁66の開度は第1開度である。)にて運転されているとき、第1時点において、機関10の運転状態が第2の運転状態に変化したと仮定する。この運転状態の変化により、第1時点において、「排気切替弁66の開度を第2の運転状態に応じた第2開度に変更する指示」が排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。そして、その指示が排気切替弁アクチュエータ66aに与えられてから所定の長さの時間が経過した後の第2時点において、排気切替弁66の開度が第2開度に一致する。
第2装置は、図12に示すように、「第1開度と第2開度との差」を「基準開度差Oecvdref」として取得する。第2装置は、基準開度差Oecvdrefを応答時間長さ関連パラメータの1つとして採用する。
さらに、上述したように(図5を参照。)、第1時点から第2時点までの期間において、排気切替弁66の応答時間長さに起因して圧力比HP×LPが目標圧力比PRhplptgtに一致しない期間が生じる。上述したように、過給圧Pimは大気圧に圧力比HP×LPを乗算した値である。そのため、図12に示すように、少なくとも第1時点から第2時点までの期間においては、過給圧は、機関10の運転状態に応じて定まる値(目標過給圧)に一致しないと考えられる。
加えて、燃料噴射量の上限量が過給圧に関連して定められるようになっていると、過給圧が目標過給圧に一致しない期間においては、燃料噴射量は、機関10の運転状態に応じて定まる値(目標燃料噴射量)に一致しない場合がある。例えば、図12に示すように、第1時点から第2時点までの期間中の所定の時点において燃料噴射量を目標燃料噴射量まで増大しようとすると、過給圧が目標過給圧に一致していないので、燃料噴射量が目標燃料噴射量に到達しない場合がある。すなわち、少なくとも第1時点から第2時点までの期間中に燃料噴射量が制限される場合がある(図中の「燃料制限期間」を参照。)。この燃料制限期間における燃料噴射量が制限される度合いは、排気切替弁66の応答時間長さに関連すると考えられる。
そこで、第2装置は、「目標燃料噴射量と、燃料噴射量の上限量と、の差を燃料制限期間に亘って積算した値(図中の斜線部の面積に相当。)」を「積算燃料制限量Qlsum」として取得する。第2装置は、積算燃料制限量Qlsumを応答時間長さ関連パラメータの1つとして採用する。
次いで、第2装置は、上述したように取得された応答時間長さ関連パラメータ(基準開度差Oecvdrefおよび積算燃料制限量Qlsum)に基づき、可変ノズル開度を調整する。より具体的に述べると、上記応答時間長さ関連パラメータが取得された後の第3時点において、機関10の運転状態が第3の運転状態に変化すると、「排気切替弁66の開度を第3の運転状態に応じた第3開度に変更する指示」が排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。すなわち、排気切替弁66の開度を「目標開度差」だけ変更する指示が、排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる。
このとき、第2装置は、この目標開度差と、上記応答時間長さ関連パラメータと、に基づき、開口面積制御則を決定する。より具体的に述べると、第2装置は、第1装置と同様、開口面積制御則として、「可変ノズル開度の目標値(可変ノズル補償開度)」および「可変ノズル開度をその目標値に一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さ(可変ノズル指示時間長さ)」を決定する。
そして、第2装置は、上記第3時点から「可変ノズル指示時間長さ」が経過する時点までの期間中に、可変ノズル開度を「可変ノズル補償開度」に一致させる指示を、可変ノズル機構61cに対して与える。このように、第2装置は、排気切替弁66の開度が変更されることと並行して、可変ノズル開度を制御する。以上が第2装置の作動の概要である。
<ターボモードの決定方法>
第2装置は、第1装置と同様の考え方にてターボモードを決定する。そこで、第2装置におけるターボモードの決定方法についての説明は、省略される。
<可変ノズル開度の制御方法>
第2装置は、第1装置と同様の考え方にて可変ノズル開度を制御する。そこで、第2装置における可変ノズル開度の制御方法についての説明は、省略される。
<実際の作動>
以下、第2装置の実際の作動について説明する。
第2装置において、CPU81は、図13〜図15にフローチャートによって示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行するようになっている。CPU81は、これらルーチンにおいて、第1装置と同様の応答時間長さ確認フラグXRTCを用いる。
以下、CPU81が実行する各ルーチンについて詳細に説明する。
まず、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」に設定されていると仮定する。以下、第1装置と同様、この仮定を「初期設定仮定」とも称呼する。
CPU81は、機関10が始動されると、任意の気筒のクランク角が圧縮上死点前の所定クランク角度(例えば、圧縮上死点前90度クランク角)θfに一致する毎に、図13にフローチャートによって示した「第2燃料噴射制限ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、燃料噴射量の目標量Qtgtを決定すると共に、目標量Qtgtの燃料を燃料噴射装置22によってその気筒内に噴射させる。以下、第1装置と同様、クランク角が圧縮上死点前の所定クランク角θfに一致して圧縮行程を終える気筒は、「燃料噴射気筒」とも称呼される。
具体的に述べると、CPU81は、任意の気筒のクランク角度がクランク角度θfに一致すると、図13のステップ1300から処理を開始してステップ1310に進む。CPU81は、ステップ1310にて、「機関回転速度NEと、アクセルペダル開度Accpと、燃料噴射量の目標量Qtgtと、の関係」をあらかじめ定めた燃料噴射量基準量テーブルMapQref(NE,Accp)に、現時点における機関回転速度NEおよびアクセルペダル開度Accpを適用することにより、燃料噴射量の基準量Qrefを決定する。
ステップ1310において、機関回転速度NEとして、クランクポジションセンサ74によって取得される値が採用される。さらに、アクセルペダル開度Accpとして、アクセル開度センサ76によって取得される値が採用される。加えて、燃料噴射量基準量テーブルMapQref(NE,Accp)において、燃料噴射量の基準量Qrefは、機関10に要求される出力、燃費およびエミッションの量などを考慮した適値であるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1320に進む。CPU81は、ステップ1320にて、「過給圧Pimと、燃料噴射量の上限量Qmaxと、の関係」をあらかじめ定めた燃料噴射量上限量テーブルMapQmax(Pim)に、現時点における過給圧Pimを適用することにより、燃料噴射量の上限量Qmaxを決定する。
ステップ1320において、過給圧Pimとして、過給圧センサ73によって取得される値が採用される。さらに、燃料噴射量上限量テーブルMapQmax(Pim)において、燃料噴射量の上限量Qmaxは、機関10に要求される出力、機関10を構成する部材の強度、燃費およびエミッションの量などを考慮した適値であるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1330に進む。CPU81は、ステップ1330にて、基準量Qrefが上限量Qmaxよりも小さいか否かを判定する。
現時点において、基準量Qrefが上限量Qmaxよりも小さい場合、CPU81は、ステップ1330にて「Yes」と判定してステップ1340に進む。CPU81は、ステップ1340にて、「基準量Qref」を燃料噴射量の目標量Qtgtに格納する。
そして、CPU81は、ステップ1350に進む。CPU81は、ステップ1350にて、目標量Qtgtの燃料を噴射するように燃料噴射気筒に設けられている燃料噴射装置22に指示を与える。すなわち、このとき、目標量Qtgtの燃料が燃料噴射気筒に噴射される。その後、CPU81は、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、基準量Qrefが上限量Qmax以上である場合、CPU81は、ステップ1330にて「No」と判定してステップ1360に進む。CPU81は、ステップ1360にて、「上限量Qmax」を燃料噴射量の目標量Qtgtに格納する。
そして、CPU81は、ステップ1350に進んで目標量Qtgtの燃料を噴射するように燃料噴射装置22に指示を与え、ステップ1395に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、第2装置は、「機関10の運転状態に基づいて定まる燃料噴射量の基準量Qref」および「過給圧Pimに基づいて定まる燃料噴射量の上限量Qmax」のうちの「小さい方」を、燃料噴射量の目標量Qtgtとして採用する。そして、第1装置は、目標量Qtgtの燃料を燃料噴射気筒に噴射する。
さらに、CPU81は、所定時間が経過する毎に、図14にフローチャートによって示した「第2排気切替弁・可変ノズル制御ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、排気切替弁66の開度Oecvおよび可変ノズル開度Ovnを制御する。
図14に示したルーチンは、図10におけるステップ1040およびステップ1045がステップ1410およびステップ1420にそれぞれ置き換えられている点のみにおいて、図10に示したルーチンと相違している。そこで、図14において図10に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図10のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらステップについての詳細な説明は、適宜省略される。
図14のルーチンについて具体的に述べると、CPU81は、所定のタイミングにて図14のステップ1400から処理を開始すると、ステップ1005〜ステップ1020を経由してステップ1025に進む。これにより、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtおよび可変ノズルの通常開度Ovnnmlが決定される。さらに、排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させるように排気切替弁アクチュエータ66aに対して指示がなされる。
ステップ1025にて、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1以下である小さい場合、CPU81は、ステップ1025にて「No」と判定してステップ1030に進む。CPU81は、ステップ1030にて可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させるように可変ノズル機構61cに指示を与え、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ1030の処理が実行される時点は、上記ステップ1020の処理が実行される時点(図6の時刻t1)に実質的に一致する。
これに対し、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きければ、CPU81は、ステップ1025にて「Yes」と判定してステップ1035に進む。上記初期設定仮定に従えば、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」であるので、CPU81は、ステップ1035にて「No」と判定してステップ1030に進む。
そして、CPU81は、ステップ1030にて可変ノズル機構61cに上記指示を与え、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、第1装置と同様、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1以下である場合、排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示がなされる。さらに、可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させる指示がなされる。これら指示は、実質的に同じ時点(すなわち、図6の時刻t1)においてなされる。
一方、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きい場合であっても、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」であると、第1装置と同様、排気切替弁アクチュエータ66aおよび可変ノズル機構61cに対して上記同様の指示がなされる。
次いで、CPU81は、図14に示したルーチンが実行される毎に、図15にフローチャートによって示した「第2応答時間長さ関連パラメータ取得ルーチン」を繰り返し実行するようになっている。CPU81は、このルーチンにより、「基準開度差Oecvdref」および「積算燃料制限量Qlsum」を応答時間長さ関連パラメータとして取得する。
具体的に述べると、CPU81は、図14に示したルーチンのステップ1495の処理を行った後の所定のタイミングにて、図15のステップ1500から処理を開始してステップ1510に進む。CPU81は、ステップ1510にて、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」であるか否かを判定する。上記初期設定仮定に従えば、現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「0」であるので、CPU81は、ステップ1510にて「Yes」と判定してステップ1520に進む。
CPU81は、ステップ1520にて、排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、の差の絶対値が閾値Oecvth3よりも大きいか否かを判定する。ステップ1520にて採用される目標開度Oecvtgtおよび開度Oecvは、図14のステップ1025にて採用された目標開度Oecvtgtおよび開度Oecvと同一である。
ステップ1520において、閾値Oecvth3は、「目標開度Oecvtgtと開度Oecvとの差の絶対値がその閾値Oecvth3よりも大きいとき、適切な応答時間長さ関連パラメータが取得される適値」に設定される。
現時点において上記「差の絶対値」が閾値Oecvth3以下である場合、CPU81は、ステップ1520にて「No」と判定し、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、現時点において上記「差の絶対値」が閾値Oecvth3よりも大きい場合、CPU81は、ステップ1520にて「Yes」と判定してステップ1530に進む。CPU81は、ステップ1530にて、目標開度Oecvtgtと現時点の開度Oecvとの差を基準開度差Oecvdrefとして取得する(図12を参照。)。
次いで、CPU81は、ステップ1540に進む。CPU81は、ステップ1540にて、「排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示が与えられた時点から、排気切替弁66の開度が目標開度Oecvtgtに一致する時点まで、の間」に上限量Qmaxが基準量Qrefよりも小さい期間(燃料制限期間)が存在する場合、基準量Qrefと上限量Qmaxとの差を、例えばその燃料制限期間に亘って積算して得られる値を積算燃料制限量Qlsumとして取得する(図12を参照。)。
次いで、CPU81は、ステップ1550に進む。CPU81は、ステップ1550にて、応答時間長さ確認フラグXRTCの値に「1」を格納する。その後、CPU81は、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、CPU81は、応答時間長さ関連パラメータ(応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「0」である場合)、応答時間長さ関連パラメータとして基準開度差Oecvdrefおよび積算燃料制限量Qlsumを取得する。
次いで、応答時間長さ関連パラメータが取得された「後」の所定のタイミングにて、CPU81は、図14のステップ1400から処理を開始すると、ステップ1005〜ステップ1020を経由してステップステップ1025に進む。
ステップ1025にて、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きければ、CPU81は、ステップ1025にて「Yes」と判定し、ステップ1035に進む。
現時点における応答時間長さ確認フラグXRTCの値は「1」であるので、CPU81は、ステップ1035にて「Yes」と判定してステップ1410に進む。CPU81は、ステップ1410にて、「排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、積算燃料制限量Qlsumと、排気切替弁66の応答遅れを補償するための可変ノズル開度Ovncomと、の関係」をあらかじめ定めた可変ノズル補償開度マップMapOvncom(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Qlsum)に、現時点における目標開度Oecvtgtと、開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、積算燃料制限量Qlsumと、を適用することにより、排気切替弁66の応答遅れを補償するための可変ノズル開度Ovncomを決定する。以下、第1装置と同様、可変ノズル開度Ovncomを「補償開度Ovncom」とも称呼する。
上記可変ノズル補償開度マップMapOvncom(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Qlsum)において、可変ノズル開度Ovncomは、排気切替弁66の応答遅れを補償する観点において適切な開度であるように、定められる。なお、補償開度Ovncomは、「第2装置が排気切替弁66の応答時間長さを考慮して可変ノズル開度Ovnを制御する」運転が「行われている」期間中の可変ノズル開度に相当する。
次いで、CPU81は、ステップ1420に進む。CPU81は、ステップ1420にて、「排気切替弁66の目標開度Oecvtgtと、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、積算燃料制限量Qlsumと、可変ノズル開度を補償開度Ovncomとする指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さTvninstと、の関係」をあらかじめ定めた可変ノズル指示時間長さマップMapTvninst(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Qlsum)に、現時点における目標開度Oecvtgtと、開度Oecvと、基準開度差Oecvdrefと、積算燃料制限量Qlsumと、を適用することにより、上記指示を行う時間の長さTvninstを決定する。以下、第1装置と同様、可変ノズル開度を補償開度Ovncomと一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える時間の長さTvninstを「指示時間長さTvninst」とも称呼する。
可変ノズル指示時間長さマップMapTvninst(Oecvtgt,Oecv,Oecvdref,Qlsum)において、指示時間長さTvninstは、排気切替弁66の応答遅れを補償する観点において適切な長さであるように、定められる。
次いで、CPU81は、ステップ1050に進む。CPU81は、ステップ1050にて、可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示を指示時間長さTvninstだけ可変ノズル機構61cに与える。なお、ステップ1050の処理が実行される時点は、図6における「時刻t1」に相当する。
そして、上記指示時間長さTvninstが経過した後、CPU81は、ステップ1030に進む。CPU81は、ステップ1030にて、可変ノズル開度を上記ステップ1015にて決定された通常開度Ovnnmlに一致させる指示を可変ノズル機構61cに与える。その後、CPU81は、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、現時点における排気切替弁66の開度Oecvと目標開度Oecvtgtとの差の絶対値が閾値Oecvth1よりも大きい場合、応答時間長さ確認フラグXRTCの値が「1」であれば(すなわち、応答時間長さ関連パラメータが取得されていれば)、排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を目標開度Oecvtgtに一致させる指示がなされると共に、可変ノズル機構61cに対して可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示が指示時間長さTvninstだけなされる。これら指示は、実質的に同じ時点(すなわち、図6の時刻t1)においてなされる。なお、指示時間長さTvninstが経過した後、可変ノズル機構61cに対して可変ノズル開度を通常開度Ovnnmlに一致させる指示がなされる。
<装置の作用および効果>
第2装置は、排気切替弁66の開度の変化量(|Oecvtgt−Oecv|)が所定の閾値Oecvth3よりも大きいとき、その開度の変化量を「基準開度差Oecvdref」として取得すると共に、排気切替弁66の開度が変化する期間中に生じた燃料制限量(基準量Qrefと上限量Qmaxとの差)を積算した値を「積算燃料制限量Qlsum」として取得する。基準開度差Oecvdrefおよび積算燃料制限量Qlsumは、第2装置における応答時間長さ関連パラメータである。
第2装置は、応答時間長さ関連パラメータが取得された「後」に排気切替弁66の開度を所定の閾値Oecvth1よりも大きく変更するとき、応答時間長さ関連パラメータ(基準開度差Oecvdrefおよび積算燃料制限量Qlsum)に基づき、可変ノズル開度を制御するための「補償開度Ovncom」および「指示時間長さTvninst」を決定する。
そして、第2装置は、排気切替弁66の開度が変更されることと並行して(すなわち、排気切替弁66の開度が変更され始める時点と実質的に同一の時点から)、可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる指示を指示時間長さTvninstだけ可変ノズル機構61cに対して与える。
これにより、第2装置は、上述したように高圧段タービン61bに導入される排ガスのエネルギを早期にその目標値に一致させることができる。さらに、第2装置は、その排ガスのエネルギの大きさがその目標値に一致しない期間の長さを減少させることができる。
<実施形態の総括>
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る制御装置(第1装置および第2装置)は、
タービン(高圧段タービン61b)と、コンプレッサ(高圧段コンプレッサ61a)と、第1指示に応じて前記通過領域の開口面積(図2の面積S1およびS2を参照。以下、「S」と記す。)を変更することによって前記タービン61bに導入される排ガスのエネルギの大きさを変化させる開口面積変更部材(可変ノズル機構61c)と、を有する少なくとも1つの過給機61と、
第2指示に応じてその開度Oecvを変更することによって前記タービン61bに導入される前記排ガスのエネルギの大きさを変化させる少なくとも1つの制御弁(排気切替弁66)と、
を備えた内燃機関10に適用される。
第1装置および第2装置は、
所定の指示時点(例えば、図6の時刻t1)において前記制御弁66の開度Oecvを目標開度差(|Oecvtgt−Oecv|)だけ変更させる第2指示が前記制御弁66に対して与えられたとき、該目標開度差|Oecvtgt−Oecv|と、前記制御弁の開度Oecvを変更する所定の指示が前記制御弁66に対して与えられた時点から前記制御弁の開度Oecvが前記所定の指示に応じた開度に一致する時点までに要する時間の長さである応答時間長さに関連するパラメータである応答時間長さ関連パラメータ(第1装置における基準開度差Oecvdrefおよび基準応答時間長さTecvref、および、第2装置における基準開度差Oecvdrefおよび積算燃料制限量Qlsum)と、に基づいて前記通過領域の開口面積Sと時間経過との関係である開口面積制御則を決定すると共に、前記指示時点t1を始点として該始点t1から前記開口面積制御則に従って前記通過領域の開口面積Sを変更させる第1指示を前記開口面積変更部材61cに与える制御手段(図10〜図14のルーチンを参照。)、
を備える。
さらに、第1装置および第2装置において、
前記開口面積変更部材61cは、
前記第1指示に応じた該開口面積変更部材61cによる前記通過領域の開口面積Sの変化速度が、前記第2指示に応じた前記制御弁66による該制御弁66の開度Oecvの変化速度よりも速い部材である。
さらに、第1装置および第2装置において、
前記制御手段(図10、図11、図13および図14)は、
前記開口面積制御則として、前記通過領域の目標開口面積(補償開度Ovncom)と、前記通過領域の開口面積Sを前記目標開口面積Ovncomに一致させる指示を前記開口面積変更部材61cに対して与える時間の長さである目標指示時間長さ(指示時間長さTvninst)と、を決定すると共に(図11のルーチンを参照。)、
前記第1指示として、前記指示時点t1を始点として前記始点t1から前記目標指示時間長さTvninstが経過する時点までの期間中に前記通過領域の開口面積Sを前記目標開口面積Ovncomに一致させる指示を前記開口面積変更部材61cに対して与える。
さらに、第1装置および第2装置において、
前記開口面積変更部材61cは、
前記指示時点t1から前記通過領域の開口面積が前記目標開口面積Ovncomに一致する時点までに要する時間の長さが、前記指示時点t1から前記制御弁66の開度が前記目標開度差|Oecvtgt−Oecv|だけ変更される時点(例えば、図6の時刻t3)までに要する時間の長さよりも短い部材である(例えば、図6を参照。)。
さらに、第1装置において、
前記制御手段(図10、図11)は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、前記制御弁66の開度を第1開度Oecvから第2開度Oecvtgtに変更する指示が前記制御弁66に対して与えられた第1時点t1から、前記制御弁66の開度が前記第2開度Oecvtgtに一致する第2時点(例えば、図6の時刻t3)まで、に要する時間の長さである基準応答時間長さTecvrefと、前記第1開度の大きさと前記第2開度の大きさとの差である基準開度差Oecvdrefと、を採用する(図11を参照。)。
さらに、第1装置において、
前記制御手段(図10、図11)は、
前記基準開度差Oecvdrefが所定の閾値Oecvth2よりも大きい場合(図11のステップ1120にて「Yes」と判定される場合)における前記基準応答時間長さTecvrefと、前記基準開度差Oecvdrefと、を前記応答時間長さ関連パラメータとして採用する。
さらに、第2装置において、
前記内燃機関10は、
過給圧Pimを取得する過給圧取得手段(過給圧センサ73)と、
燃料噴射量の基準量Qref、および、燃料噴射量の上限量Qmax、のうちの小さい方を燃料噴射量の目標量Qtgtとして決定する燃料噴射量決定手段(図13のルーチンを参照。)と、
前記目標量Qtgtの燃料を前記燃焼室に噴射する燃料噴射手段(燃料噴射装置22)と、
を備る。
そして、第2装置は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、前記制御弁66の開度を第1開度Oecvから第2開度Oecvtgtに変更する指示が前記制御弁66に対して与えられた第1時点t1から、前記制御弁66の開度が前記第2開度Oecvtgtに一致する第2時点t3まで、の間に前記上限量Qmaxが前記基準量Qrefよりも小さい期間である燃料制限期間が存在する場合(図12を参照。)、前記基準量Qrefと前記上限量Qmaxとの差を前記燃料制限期間に亘って積算して得られる積算燃料制限量Qlsumと、前記第1開度Oecvの大きさと前記第2開度Oecvtgtの大きさとの差である基準開度差Oecvdrefと、を採用する(図15のルーチンを参照。)。
第2装置において、前記制御手段(図14、図15)は、
前記基準開度差Oecvdrefが所定の閾値Oecvth3よりも大きい場合(図15のステップ1520にて「Yes」と判定される場合)における前記積算燃料制限量Qlsumと、前記基準開度差Oecvdrefと、を前記応答時間長さ関連パラメータとして採用する。
第1装置および第2装置において、第1開度Oecvおよび第2開度Oecvtgtの具体的な大きさは特に制限されない。例えば、第1装置および第2装置は、
前記第1開度Oecvは前記タービン61bに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最小である開度(すなわち、全開)であり、かつ、前記第2開度Oecvtgtは前記タービン61bに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最大である開度(すなわち、全閉)である、ように構成され得る。
さらに、第1装置および第2装置は、
前記第1開度Oecvは前記タービン61bに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最大である開度(すなわち、全閉)であり、かつ、前記第2開度Oecvtgtは前記タービン61bに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最小である開度(すなわち、全開)である、ように構成され得る。
そして、第1装置および第2装置において、
前記制御手段(図10、図11、図13および図14)は、
前記目標開度差|Oecvtgt−Oecv|が所定の閾値Oecvth1よりも大きい場合(図10のステップ1025にて「Yes」と判定される場合、図14のステップ1025にて「Yes」と判定される場合)、前記第1指示を前記開口面積変更部材61cに与える。
ところで、第1装置および第2装置において、本発明の考え方に従って可変ノズル開度が「制御される」ときの可変ノズル開度(すなわち、補償開度Ovncom)は、可変ノズル開度が「制御されない」ときの可変ノズル開度(すなわち、通常開度Ovnnml)に一致しない。換言すると、上記開口面積制御則に従う上記通過領域の開口面積と、上記開口面積制御則に従わない上記通過領域の開口面積と、は異なる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
例えば、第1装置および第2装置は、応答時間長さ関連パラメータを「1回のみ」取得すると共に、その応答時間長さ関連パラメータに基づいて可変ノズル開度を制御している。しかし、本発明の制御装置は、応答時間長さ関連パラメータを「複数回」取得すると共に、それらの平均値に基づいて可変ノズル開度を制御するように構成され得る。さらに、本発明の制御装置は、所定の期間が経過する毎に応答時間長さ関連パラメータを取得することを繰り返し、応答時間長さ関連パラメータが取得される毎に応答時間長さ関連パラメータを「更新」するように構成され得る。
さらに、本発明の考え方に従って可変ノズル開度を制限するか否かを判定するための「閾値Oecvth1(図10のステップ1025)」は、応答時間長さ関連パラメータを取得するか否かを判定するための「閾値Oecvth2(図11のステップ1120)」および「閾値Oecvth3(図15のステップ1520)」と同じ値であっても異なる値であってもよい。
加えて、第1装置および第2装置が適用される内燃機関は、2つの過給機(高圧段過給機61および低圧段過給機62)を備えている。しかし、本発明の制御装置は、1つの過給機を備える内燃機関、および、3つ以上の過給機を備える内燃機関にも適用され得る。
さらに、第1装置および第2装置は、排気切替弁66の開度Oecvを排気切替弁開度センサ75によって取得している。しかし、本発明の制御装置は、排気切替弁66の開度Oecvを取得する手段(第1装置および第2装置における排気切替弁開度センサ75)を必ずしも必要としない。
より具体的に述べると、本発明の制御装置は、「可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる制御を行うか否か」を判定するとき(例えば、図10および図14のステップ1025を参照。)、「現時点における排気切替弁66の開度Oecv」として、目標開度Oecvtgtが決定される前の時点における排気切替弁アクチュエータ66aへの指示信号に対応する値(開度)を採用するように構成され得る。さらに、本発明の制御装置は、「応答遅れ関連パラメータを取得するか否か」を判定するとき(例えば、図11のステップ1120、図15のステップ1520を参照。)においても、同様の値を採用するように構成され得る。本発明の制御装置がこのように構成される場合、排気切替弁66の開度Oecvは取得される必要はない。
また、本発明の制御装置は、「排気切替弁アクチュエータ66aに対して排気切替弁66の開度を所定開度差だけ変更する指示が与えられてから、排気切替弁66の開度がその所定開度差だけ変化するまでに要する時間の長さ(すなわち、応答時間長さ)」と「所定開度差」との関係を実験などによってあらかじめ定めたテーブル(マップ)に基づき、排気切替弁66の開度Oecvを「推定」するように構成され得る。そして、本発明の制御装置は、この排気切替弁66の開度Oecvの推定値に基づき、基準応答時間長さTecvref(例えば、図11のステップ1140を参照。)および積算燃料制限量Qlsum(例えば、図15のステップ1540を参照。)を取得するように構成され得る。本発明の制御装置がこのように構成される場合、排気切替弁66の開度Oecvは取得される必要はない。
また、本発明の制御装置は、目標開度差|Oecvtgt−Oecv|の大きさがゼロである場合を除いて(すなわち、排気切替弁66の開度Oecvが変更される場合は必ず)可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる制御を行うように構成され得る(例えば、図10のステップ1025の閾値Oecvth1をゼロに設定するように構成され得る。)。本発明の制御装置がこのように構成される場合、排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる指示に基づいて「可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる制御を行うか否か」を判定することができるので、排気切替弁66の開度Oecvは取得または推定される必要はない。
これに対し、本発明の制御装置は、目標開度差|Oecvtgt−Oecv|の大きさが最大値となる場合に限って(すなわち、排気切替弁66の開度Oecvが全開から全閉に変更される場合、または、排気切替弁66の開度Oecvが全閉から全開に変更される場合に限って)可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる制御を行うように構成され得る(例えば、図10のステップ1025にて「|Oecvtgt−Oecv|が上記最大値に一致するか否か」を判定するように構成され得る。)。本発明の制御装置がこのように構成される場合、上記最大値があらかじめ実験などによって取得されていれば、排気切替弁アクチュエータ66aに対して与えられる指示に基づいて「可変ノズル開度を補償開度Ovncomに一致させる制御を行うか否か」を判定することができるので、排気切替弁66の開度Oecvは取得または推定される必要はない。
また、本発明の制御装置は、目標開度差|Oecvtgt−Oecv|の大きさが上記最大値となる場合における基準開度差Oecvdref、基準応答時間長さTecvrefおよび積算燃料制限量Qlsum(例えば、図11および図15を参照。)を、応答遅れ関連パラメータとして採用するように構成され得る。本発明の制御装置がこのように構成される場合、これらパラメータがあらかじめ実験などによって取得されていれば、排気切替弁66の開度Oecvは取得または推定される必要はない。あるいは、これらのパラメータは、上記排気切替弁66の開度の推定値を用いて算出され得る(例えば、図11および図15を参照。)。
さらに、第2装置は、応答時間長さ関連パラメータの1つとして、「目標燃料噴射量と、燃料噴射量の上限量と、の差を燃料制限期間に亘って積算した値Qlsum」を採用している(図12、および、図15のステップ1540を参照。)。しかし、本発明の制御装置は、「目標燃料噴射量と、燃料噴射量の上限量と、の差そのもの」を応答時間長さ関連パラメータの1つとして採用するように構成され得る。
Claims (11)
- 内燃機関の排気通路に設けられると共に通過領域を通過した排ガスが導入されることによって駆動されるタービンと、内燃機関の吸気通路に設けられると共に前記タービンが駆動されることによって駆動されて前記吸気通路内を流れる空気を圧縮するコンプレッサと、第1指示に応じて前記通過領域の開口面積を変更することによって前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさを変化させる開口面積変更部材と、を有する少なくとも1つの過給機と、
少なくとも1つの制御弁であって、第2指示に応じて該制御弁の開度を変更することによって前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさを変化させる少なくとも1つの制御弁と、
を備えた内燃機関に適用され、
所定の指示時点において前記制御弁の開度を目標開度差だけ変更させる第2指示が前記制御弁に対して与えられたとき、該目標開度差と、前記制御弁の開度を変更する所定の指示が前記制御弁に対して与えられた時点から前記制御弁の開度が前記所定の指示に応じた開度に一致する時点までに要する時間の長さである応答時間長さに関連するパラメータである応答時間長さ関連パラメータと、に基づいて前記通過領域の開口面積と時間経過との関係である開口面積制御則を決定すると共に、前記指示時点を始点として該始点から前記開口面積制御則に従って前記通過領域の開口面積を変更させる第1指示を前記開口面積変更部材に与える制御手段、
を備えた内燃機関の制御装置。 - 請求の範囲1に記載の制御装置において、
前記開口面積変更部材は、
前記第1指示に応じた該開口面積変更部材による前記通過領域の開口面積の変化速度が、前記第2指示に応じた前記制御弁による該制御弁の開度の変化速度よりも速い部材である、内燃機関の制御装置。 - 請求の範囲1または請求の範囲2に記載の制御装置において、
前記制御手段は、
前記開口面積制御則として、前記通過領域の目標開口面積と、前記通過領域の開口面積を前記目標開口面積に一致させる指示を前記開口面積変更部材に対して与える時間の長さである目標指示時間長さと、を決定すると共に、
前記第1指示として、前記指示時点を始点として前記始点から前記目標指示時間長さが経過する時点までの期間中に前記通過領域の開口面積を前記目標開口面積に一致させる指示を前記開口面積変更部材に対して与える、内燃機関の制御装置。 - 請求の範囲3に記載の制御装置において、
前記開口面積変更部材は、
前記指示時点から前記通過領域の開口面積が前記目標開口面積に一致する時点までに要する時間の長さが、前記指示時点から前記制御弁の開度が前記目標開度差だけ変更される時点までに要する時間の長さよりも短い部材である、内燃機関の制御装置。 - 請求の範囲1〜請求の範囲4のいずれか一項に記載の制御装置において、
前記制御手段は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、前記制御弁の開度を第1開度から第2開度に変更する指示が前記制御弁に対して与えられた第1時点から、前記制御弁の開度が前記第2開度に一致する第2時点まで、に要する時間の長さである基準応答時間長さと、前記第1開度の大きさと前記第2開度の大きさとの差である基準開度差と、を採用する、内燃機関の制御装置。 - 請求の範囲5に記載の制御装置において、
前記制御手段は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、前記基準開度差が所定の閾値よりも大きい場合における前記基準応答時間長さと、前記基準開度差と、を採用する、内燃機関の制御装置。 - 請求の範囲1〜請求の範囲4のいずれか一項に記載の制御装置であって、
前記内燃機関は、
前記コンプレッサによって圧縮された後に前記内燃機関の燃焼室に導入される空気の圧力である過給圧を取得する過給圧取得手段と、
前記内燃機関の運転状態に基づいて定まる燃料噴射量の基準量、および、前記過給圧を含む所定の運転パラメータに基づいて定まる燃料噴射量の上限量、のうちの小さい方を燃料噴射量の目標量として決定する燃料噴射量決定手段と、
前記目標量の燃料を前記燃焼室に噴射する燃料噴射手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、前記制御弁の開度を第1開度から第2開度に変更する指示が前記制御弁に対して与えられた第1時点から、前記制御弁の開度が前記第2開度に一致する第2時点まで、の間に前記上限量が前記基準量よりも小さい期間である燃料制限期間が存在する場合、前記基準量と前記上限量との差を前記燃料制限期間に亘って積算して得られる積算燃料制限量と、前記第1開度の大きさと前記第2開度の大きさとの差である基準開度差と、を採用する、内燃機関の制御装置。 - 請求の範囲7に記載の制御装置において、
前記制御手段は、
前記応答時間長さ関連パラメータとして、
前記基準開度差が所定の閾値よりも大きい場合における前記積算燃料制限量と、前記基準開度差と、を採用する、内燃機関の制御装置。 - 請求の範囲5〜請求の範囲8のいずれか一項に記載の制御装置において、
前記第1開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最小である開度であり、かつ、前記第2開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最大である開度である、内燃機関の制御装置。 - 請求の範囲5〜請求の範囲8のいずれか一項に記載の制御装置において、
前記第1開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最大である開度であり、かつ、前記第2開度は前記タービンに導入される前記排ガスのエネルギの大きさが最小である開度である、内燃機関の制御装置。 - 請求の範囲1〜請求の範囲10のいずれか一項に記載の制御装置において、
前記制御手段は、
前記目標開度差が所定の閾値よりも大きい場合に前記第1指示を前記開口面積変更部材に与える、内燃機関の制御装置。
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