JP5176892B2 - マニュアルトランスミッションの回転同期制御装置 - Google Patents
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Description
かといって、クラッチの前後回転が同期するのを待っていたのでは、クラッチを締結させ得る同期状態になるまでに相当時間を要し、変速が完了するまでに長い時間が必要になる。
この回転同期制御装置は、変速レバーのセレクト操作位置を検出するセレクト位置センサからの出力、および、変速レバーのストローク操作位置を検出するストローク位置センサからの出力を基に目標ギヤ位置を判定し、
この目標ギヤ位置および車速(トランスミッション出力回転数)から、変速後のクラッチ出力側回転数、つまり変速後にクラッチ前後回転を一致させておくのに必要な目標エンジン回転数を求め、実エンジン回転数がこの目標エンジン回転数となるようエンジンを回転数フィードバック制御するものである。
従って、例えば変速レバーを第2速位置から第3速位置へ操作する場合について述べると、当該操作の途中(中立位置近辺)で、ストローク位置センサ出力とセレクト位置センサ出力とに基づいて求めた目標ギヤ位置が、第2速位置対応値から一時的に逆向きの変動を生じつつ第3速位置対応値へ変化することがある。
この場合、回転同期制御中に目標エンジン回転数が不自然な変動を生じてしまい、これに追従されるよう制御される実エンジン回転数も不自然に変動し、運転者に違和感を与えるという問題を生ずる。
先ず、本発明の回転同期制御装置を適用するマニュアルトランスミッションを説明するに、これは、
変速レバーのストローク操作方向中立位置でのセレクト操作と、該中立位置からのストローク操作とで、対応するギヤ位置への変速が可能なものである。
上記の変速に際しマニュアルトランスミッションの入力軸および原動機間のクラッチが解放されている間、該クラッチの原動機側回転数が、前記変速レバーのセレクト操作位置およびストローク操作位置を検出するセレクト位置検出手段およびストローク位置検出手段の検出結果から演算した目標ギヤ位置、および、マニュアルトランスミッションの出力回転数から求め得るクラッチの目標原動機側回転数に一致するよう前記原動機を回転速度制御する型式のものである。
先ずセレクト位置センサは、変速レバーが低速セレクト列対応位置から高速セレクト列対応位置へセレクト操作されるにつれ順次大きな、数値化したセレクト位置を発するような構成となす。
またストローク位置検出手段は、変速レバーが低速段対応位置から、中立対応位置を経て、高速段対応位置へストローク操作されるにつれ順次大きな、数値化したストローク位置を発するような構成となす。
該手段からの目標ギヤ位置が、前記変速中において所望される原動機回転数変化を惹起する態様で変化するよう、前記セレクト位置検出手段からの数値化したセレクト位置および前記ストローク位置検出手段からの数値化したストローク位置の少なくとも一方を補正して、前記目標ギヤ位置の演算に資する補正処理手段を設けた構成に特徴づけられる。
セレクト位置検出手段およびストローク位置検出手段からの数値化したセレクト位置およびストローク位置の和値を目標ギヤ位置として、回転同期制御に用いる目標原動機側回転数の演算に供するようにし、
この目標ギヤ位置が、変速中(回転同期制御中)において所望される原動機回転数変化を惹起する態様で変化するよう、セレクト位置検出手段からの数値化したセレクト位置およびストローク位置検出手段からの数値化したセレクト位置の少なくとも一方を補正して目標ギヤ位置の演算に資するため、
変速レバーの操作途中(中立位置近辺)で目標ギヤ位置が変速前ギヤ位置対応値から逆向き変動することなく変速後ギヤ位置対応値へ連続的に変化するようにしたり、
変速中(回転同期中)において所望される如何なる原動機回転数変化をも惹起させ得るような目標ギヤ位置にすることができる。
回転同期制御中に目標原動機側回転数が不自然な変動を生じないこととなり、これに一致するよう制御される原動機回転数の変動が不自然なものになることがなくて、運転者に違和感を与えるという問題を回避可能である。
また後者の目標ギヤ位置によれば、これが変速中(回転同期中)において所望される如何なる原動機回転数変化をも惹起させ得ることから、変速応答を高めるなどの要求を実現することができる。
図1は、本発明の第1実施例になる回転同期制御装置を具えたマニュアルトランスミッションを搭載する車両のパワートレーンを示す概略系統図である。
図1において、1は、原動機であるエンジン、2は、マニュアルトランスミッションを示し、エンジン1およびマニュアルトランスミッション2間をクラッチ3により断接可能とする。
マニュアルトランスミッション2は変速レバー5を具え、運転者がこの変速レバー5を操作することで、マニュアルトランスミッション2は同期噛合機構(シンクロメッシュ機構)を介して任意の変速段(ギヤ位置)を選択した状態にされるものとする。
シフトゲート6は、変速レバー5を図3(a)の左右方向(車幅方向)へセレクト操作可能にガイドすると共に、図3(a)の上下方向(車両前後方向)へストローク操作可能にガイドする。
このためシフトゲート6は、セレクト操作方向に沿って延設されるニュートラル(中立)ゲート部6aと、
ニュートラル(中立)ゲート部6aの左端に連なって、ここから図の上下方向(ストローク操作方向)に延設される1st(第1速選択位置)‐2nd(第2速選択位置)ゲート部6bと、
ニュートラル(中立)ゲート部6aの中央部に連なって、ここから図の上下方向(ストローク操作方向)に延設される3rd(第3速選択位置)‐4th(第4速選択位置)ゲート部6cと、
ニュートラル(中立)ゲート部6aの右端に連なって、ここから図の上下方向(ストローク操作方向)に延設される5th(第5速選択位置)‐6th(第6速選択位置)ゲート部6dとを有する。
この後退選択位置ゲート部は、本発明の対策を施す必要がない後退選択に係わるものであるため、また、煩雑になるのを避けるため省略した。
なお変速レバー5は、ニュートラル(中立)ゲート部6a内に位置されているとき、図3(a)に二点鎖線で示すごとく、ニュートラル(中立)ゲート部6aと3rd‐4thゲート部6cとが交差する中立位置に弾支されるものとする。
この変速レバー5を、ニュートラル(中立)ゲート部6aに沿って1st‐2ndゲート部6bへセレクト操作し、1速位置へストローク操作することによりマニュアルトランスミッション2は第1速ギヤ位置へ投入され、同じセレクト位置で、2速位置へストローク操作することによりマニュアルトランスミッション2は第2速ギヤ位置へ投入される。
変速レバー5を、ニュートラル(中立)ゲート部6aに沿って5th‐6thゲート部6dへセレクト操作し、5速位置へストローク操作することによりマニュアルトランスミッション2は第5速ギヤ位置へ投入され、同じセレクト位置で、6速位置へストローク操作することによりマニュアルトランスミッション2は第6速ギヤ位置へ投入される。
次いで変速レバー5をこのニュートラル(中立)ゲート部6aに沿いセレクト操作して変速後ギヤ位置に対応したセレクト位置となし、
このセレクト位置で変速後ギヤ位置に対応した方向へストローク操作することにより(ストローク操作後半により)、変速後ギヤ位置への切り替え(変速)を行う。
その後、クラッチペダル4の釈放によりクラッチ3を締結してマニュアルトランスミッション2をエンジン1に結合することで、上記変速後ギヤ位置への切り替え(変速)を完了することができる。
そのため本実施例においては、エンジン1の回転制御によりクラッチ3の前後回転を同期させるようにするため、図1に示すごとく当該回転同期のためのエンジンコントローラ11を設ける。
エンジン1の回転数Ne(クラッチ3の前側回転数)を検出するエンジン回転センサ13から信号と、
変速機出力回転数Noを検出する変速機出力回転センサ14からの信号と、
変速レバー5のセレクト操作量を検出するセレクト位置センサ15からのセンサ出力Vse(電圧)と、
変速レバー5のストローク操作量を検出するストローク位置センサ16からのセンサ出力Vst(電圧)と、
アクセルペダル7の踏み込み量(アクセル開度APO)を検出するアクセル開度センサ17からの信号とを入力する。
このセンサ出力Vse(電圧)を基に、図3(a)に示すごとく、
変速レバー5が低速側の1st-2ndセレクト列(1st‐2ndゲート部6b)にあるときのセレクト位置SEを0と数値化し、
変速レバー5が中速の3rd‐4thセレクト列(3rd‐4thゲート部6c)にあるときのセレクト位置SEを2と数値化し、
変速レバー5が高速側の5th‐6th セレクト列(5th‐6thゲート部6d)にあるときのセレクト位置SEを4と数値化する。
そして以後、変速レバー5のセレクト位置SEを、上記の通り数値化した「セレクト位置SE=0」、「セレクト位置SE=2」、「セレクト位置SE=4」のように呼称することとする。
このセンサ出力Vst(電圧)を基に、図3(a)に示すごとく、
変速レバー5が1st,3rd,5thの低速段側ストローク位置にあるときのストローク位置STを0と数値化し、
変速レバー5がニュートラル(中立)ゲート部6aの近辺位置へストロークされているときのストローク位置STを0.5と数値化し、
変速レバー5が2nd,4th,6thの高速段側ストローク位置にあるときのストローク位置STを1と数値化する。
そして以後、変速レバー5のストローク位置STを、上記の通り数値化した「ストローク位置ST=0」、「ストローク位置ST=0.5」、「ストローク位置ST=1」のように呼称することとする。
なおエンジン1の回転速度制御は、一般的な手法を用いて、図1に示す電子制御式スロットルバルブ21の開度(スロットル開度)を加減することにより実現することができる。
エンジンコントローラ11は通常、スロットルバルブ21の目標開度(目標スロットル開度)TVOをアクセル開度APOに対応した開度とし、この目標スロットル開度TVOとなるようモータ22によりスロットルバルブ21を開度制御するが、
クラッチ3の回転同期を図るべくエンジン1を回転速度制御する際は、目標スロットル開度TVOをアクセル開度APOとは別に、クラッチ3の回転同期が実現されるように加減するものとする。
目標ギヤ位置検出部31は基本的には図3(b)に明示するごとく、前記の通り数値化したセレクト位置SEおよびストローク位置STを加算して、両者の和値(SE+ST)を、運転者が変速レバー5で指令する目標ギヤ位置tG(単位のない数値)として出力する。
変速レバー5が2nd(2速)位置にあるとき、目標ギヤ位置tGは1であり、
変速レバー5が3rd(3速)位置にあるとき、目標ギヤ位置tGは2であり、
変速レバー5が4th(4速)位置にあるとき、目標ギヤ位置tGは3であり、
変速レバー5が5th(5速)位置にあるとき、目標ギヤ位置tGは4であり、
変速レバー5が6th(6速)位置にあるとき、目標ギヤ位置tGは5である。
よって、目標ギヤ位置tGの数値から、運転者が変速レバー5で指令している目標ギヤ位置を判定することができる。
回転同期制御実行判定部33は、クラッチペダルスイッチ12からの信号および変速機出力回転数Noから、クラッチペダル4が踏み込まれてクラッチ3が解放状態であり、且つ、変速機出力回転数Noがクラッチ回転同期制御を行ってもよい車速域である時に、クラッチ回転同期制御実行許可信号を出力する。
エンジントルク制御部35は、この目標エンジントルクtTeが達成されるような目標スロットル開度TVOを求め、これを図1のモータ22へ指令してスロットルバルブ21の開度を目標スロットル開度TVOに一致させる。
変速レバー5を2nd位置から中立ゲート部6aへストローク操作するストローク操作前半で、目標ギヤ位置tGが2速対応値の1から0.5へと低下し、
変速レバー5を中立ゲート部6a内で3rd-4thセレクト列へセレクト操作する時、目標ギヤ位置tGが0.5から2.5へ上昇し、
変速レバー5を3rd-4thセレクト列で3rd位置へストローク操作するストローク操作後半で、目標ギヤ位置tGが2.5 から3速対応値の2へと低下する。
また回転同期制御が、実エンジン回転数Neを目標エンジン回転数tNeに追従させるよう制御するものであるため、実エンジン回転数Neが図5に実線で示すごとく不自然に上下変動し、運転者がこれを違和感と感ずる。
これにより、ストローク位置STおよびセレクト位置SEをそれぞれ後述するごとくに補正したストローク位置補正値SToおよびセレクト位置補正値SEoを加算器31bで合算して得られる両者の和値を目標ギヤ位置tG(=STo+SEo)となすよう構成する。
変速レバー5を図7(a)に実線矢印で示すように、変速前ギヤ対応位置から中立対応位置までストロークさせるストローク操作前半では、ストローク位置補正値SToが図7(b)に実線矢印で示すごとく、ストローク位置STの変化に関係なく変速前ギヤ対応値に保たれるよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
このストローク操作後半がセレクト操作後のものである場合、ストローク位置補正値SToが図7(b)に水平破線矢印で示すごとく、ストローク位置STの変化に関係なく、変速レバー5が中立対応位置にある時の数値に保たれるよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなし、
上記のストローク操作後半がセレクト操作無しに行われるものである場合、ストローク位置補正値SToがストローク位置STに対し図7(b)に斜め破線矢印で示すごとく変化するよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
ストローク位置補正値SToが図7(b)に一点鎖線矢印および二点鎖線矢印で示すごとく、ストローク位置STの0.5での固定状態に関係なく、現在の数値(1または0)から反対側限界数値(0または1)に切り替えられるよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
セレクト位置補正値SEoが図7(c)に一点鎖線矢印および二点鎖線矢印で示すごとく、セレクト位置SEと同じに保たれるよう、セレクト位置SEを補正せず、これをそのままセレクト位置補正値SEoとなす。
以上のようなストローク位置補正値SToおよびセレクト位置補正値SEoに基づく回転同期制御を、図8〜22により以下に説明する。
図4の場合と同様、変速レバー5を図8(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、2nd位置から3rd位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第2速から第3速へ変速させる場合について先ず説明する。
つまり、図5の目標ギヤ位置tG波形を移記した図9に破線で示す目標ギヤ位置tG波形と、図9に実線で示す目標ギヤ位置tG波形との比較から明らかなように、
目標ギヤ位置tGが2速対応値の1から3速対応値の2へ変化する途中で、2速対応値の1よりも低い値に低下したり、3速対応値の2よりも高い値へ上昇するというように、一時的な逆向きの変動を生じたり、変速操作範囲外の値を経由しつつ、変速前ギヤ位置(2速)対応値の1から変速後ギヤ位置(3速)対応値の2に向かうことがない。
このため、実エンジン回転数Neを目標エンジン回転数tNeに追従させる回転同期制御中において、実エンジン回転数Neが図9に実線で示すごとく変速前回転数から変速後回転数へと絶えず順方向に変化し、実エンジン回転数Neが不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図10(a)に実線矢印および破線矢印で示すごとく、1st位置からセレクト操作無しに2nd位置へ切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第1速から第2速へ変速させる場合について次に説明する。
つまり、目標ギヤ位置tGが1速対応値の0から2速対応値の1へ変化する途中で、1速対応値の0よりも低い値に低下したり、2速対応値の1よりも高い値へ上昇するというように、一時的な逆向きの変動を生じたり、変速操作範囲外の値を経由しつつ、変速前ギヤ位置(1速)対応値の0から変速後ギヤ位置(2速)対応値の1に向かうことがない。
このため、実エンジン回転数Neを目標エンジン回転数tNeに追従させる回転同期制御中において、実エンジン回転数Neが変速前回転数から変速後回転数へと絶えず順方向に変化し、実エンジン回転数Neが不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図11(a)に実線矢印および破線矢印で示すごとく、3rd位置からセレクト操作無しに4th位置へ切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第3速から第4速へ変速させる場合について次に説明する。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する3→4変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図12(a)に実線矢印、二点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、4th位置から5th位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第4速から第5速へ変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=4は、セレクト後の5th-6thセレクト列における二つのギヤ位置(5速、6速)に対応した数値(4,5)のうち、変速前ギヤ位置(3)に近い方のギヤ位置(4)である。
従って、この目標ギヤ位置tGの数値を基に算出する4→5変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図13(a)に実線矢印および破線矢印で示すごとく、5th位置からセレクト操作無しに6th位置へ切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第5速から第6速へ変速させる場合について次に説明する。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する5→6変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図14(a)に実線矢印および破線矢印で示すごとく、6th位置からセレクト操作無しに5th位置へ切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第6速から第5速へ変速させる場合について次に説明する。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する6→5変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図15(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、5th位置から4th位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第5速から第4速へ変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=3は、セレクト後の3rd-4th セレクト列における二つのギヤ位置(3速、4速)に対応した(2,3)のうち、変速前ギヤ位置(4)に近い方のギヤ位置(3)である。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する5→4変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図16(a)に実線矢印および破線矢印で示すごとく、4th位置からセレクト操作無しに3rd位置へ切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第4速から第3速へ変速させる場合について次に説明する。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する4→3変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図17(a)に実線矢印、二点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、3rd位置から2nd位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第3速から第2速へ変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=1は、セレクト後の1st-2nd セレクト列における二つのギヤ位置(1速、2速)に対応した(0,1)のうち、変速前ギヤ位置(3)に近い方のギヤ位置(1)である。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する3→2変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図18(a)に実線矢印および破線矢印で示すごとく、2nd位置からセレクト操作無しに1st位置へ切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第2速から第1速へ変速させる場合について次に説明する。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する2→1変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図19(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、1st位置から3rd位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第1速から第3速へ変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=2は、セレクト後の3rd-4th セレクト列における二つのギヤ位置(3速、4速)に対応した(2,3)のうち、変速前ギヤ位置(0)に近い方のギヤ位置(2)である。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する1→3変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図20(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、2nd位置から4th位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第2速から第4速へ変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=2は、セレクト後の3rd-4th セレクト列における二つのギヤ位置(3速、4速)に対応した(2,3)のうち、変速前ギヤ位置(1)に近い方のギヤ位置(2)である。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する2→4変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図21(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、二点鎖線矢印および破線矢印で示すごとく、2nd位置から5th位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第2速から第5速へ変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=4は、セレクト後の5th-6th セレクト列における二つのギヤ位置(5速、6速)に対応した(4,5)のうち、変速前ギヤ位置(1)に近い方のギヤ位置(4)である。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する2→5変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図22(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、二点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、5th位置から2nd位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第5速から第2速へ変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=1は、セレクト後の1st-2nd セレクト列における二つのギヤ位置(1速、2速)に対応した(0,1)のうち、変速前ギヤ位置(4)に近い方のギヤ位置(1)である。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する5→2変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
図23は本発明の第2実施例を示し、図7に対応する図面であるが、本実施例においては、セレクト操作を伴うダウンシフト時に、前記した第1実施例と異なる目標ギヤ位置tGの決定要領として、同様な作用効果が得られるにしたものである。
このために、図6の補正処理部31aによるストローク位置STおよびセレクト位置SEの補正要領を、図23に基づき以下に説明するようなものとする。
このストローク操作後半がセレクト操作後のものであって、低速段側へのストロークである場合、ストローク位置補正値SToが図23(b)に水平破線矢印で示すごとく、ストローク位置STの変化に関係なく、変速レバー5が中立対応位置にある時の数値0に保たれるよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなし、
上記のストローク操作後半がセレクト操作無しに行われるものである場合、また、このストローク操作後半がセレクト操作後のものであっても、高速段側へのストロークである場合、ストローク位置補正値SToがストローク位置STに対し図23(b)に斜め破線矢印で示すごとく変化するよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
ストローク位置補正値SToが図23(b)に一点鎖線矢印(アップシフト時)および二点鎖線矢印(アップシフト時)で示すごとく、ストローク位置STの0.5での固定状態に関係なく、現在の数値(1)から反対側限界数(0)に切り替えられるよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
セレクト位置補正値SEoが図23(c)に45°勾配の一点鎖線矢印(アップシフト時)および二点鎖線矢印(アップシフト時)で示すごとく、セレクト位置SEと同じに保たれるよう、セレクト位置SEを補正せず、これをそのままセレクト位置補正値SEoとなす。
セレクト位置補正値SEoが図23(c)に一点鎖線矢印(通常ダウンシフト時)および二点鎖線矢印(通常ダウンシフト時、飛び越しダウンシフト時)で示すごとく、セレクト位置SEの低下に対し遅れを持って低下するよう、セレクト位置SEを補正してセレクト位置補正値SEoとなす。
以上のようなストローク位置補正値SToおよびセレクト位置補正値SEoに基づく回転同期制御を、図24〜26に基づき以下に説明する。
なお、アップシフト時の回転同期制御は第1実施例と同じであるため、ダウンシフト時の回転同期制御について説明するのみとする。
変速レバー5を図24(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、5th位置から4th位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第5速から第4速へ変速させる場合について先ず説明する。
この目標ギヤ位置tG=3は、セレクト後の3rd-4th セレクト列における二つのギヤ位置(3速、4速)に対応した(2,3)のうち、変速前ギヤ位置(4)に近い方のギヤ位置(3)である。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する5→4変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図25(a)に実線矢印、二点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、3rd位置から2nd位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第3速から第2速へ変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=1は、セレクト後の1st-2nd セレクト列における二つのギヤ位置(1速、2速)に対応した(0,1)のうち、変速前ギヤ位置(2)に近い方のギヤ位置(1)である。
従って、この目標ギヤ位置tGの数値を基に算出する3→2変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
変速レバー5を図26(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、二点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、5th位置から2nd位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第5速から第2速へ飛び越し変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=1は、セレクト後の1st-2nd セレクト列における二つのギヤ位置(1速、2速)に対応した(0,1)のうち、変速前ギヤ位置(4)に近い方のギヤ位置(1)である。
従って、この目標ギヤ位置tGの数値を基に算出する5→2変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
図27は本発明の第3実施例を示し、図7,23に対応する図面である。
本実施例においては、変速中の回転同期制御に際しエンジン回転数が低下方向へ変化する分には運転者に違和感を与えにくいため、セレクト操作を伴う変速時に目標ギヤ位置tGが、変速後セレクト列における二つのギヤ位置の中間ギヤ位置を経由し、ストローク操作後半で、目標ギヤ位置tGがこの中間ギヤ位置相当値から変速後ギヤ位置相当値に切り替わるような構成として、変速応答を向上させ得るようにしたものである。
このために、図6の補正処理部31aによるストローク位置STおよびセレクト位置SEの補正要領を、図27に基づき以下に説明するようなものとする。
このストローク操作後半がセレクト操作後のものである場合、ストローク位置補正値SToが図27(b)に破線矢印(セレクト有)で示すごとく、ストローク位置STと同じに保たれて変化するよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなし、
上記のストローク操作後半がセレクト操作無しに行われたものである場合、ストローク位置補正値SToが図27(b)に破線矢印(セレクト無)で示すごとく、図7(b)に示す第1実施例の場合と同様な変化を呈するよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
変速レバー5を低速段側ストローク位置から中立ゲート部6aまでストロークさせた後にセレクト操作した場合、0であったストローク位置補正値SToが図27(b)に一点鎖線矢印(セレクト操作前半)および二点鎖線矢印(セレクト操作後半)で示すごとく0.5に上昇するよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
以上のようなストローク位置補正値SToおよびセレクト位置補正値SEoに基づく回転同期制御を、図28〜32により以下に説明する。
変速レバー5を図28(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、2nd位置から4th位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第2速から第4速へ変速させる場合について先ず説明する。
この目標ギヤ位置tG=2.5は、セレクト後の3rd-4th セレクト列における二つのギヤ位置(3速、4速)に対応した(2,3)の中間値(中間ギヤ位置2.5)である。
従って、この目標ギヤ位置tGの数値を基に算出する2→4変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも変速前目標値から変速後目標値へ絶えず順方向に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
前記した第1,2実施例による2→4飛び越し変速の場合、図20(a)に示すように目標ギヤ位置tGが1(2速相当値)から2(3速相当値)を経て3(4速相当値)へと変化するため、この目標ギヤ位置tGは図29のセレクト操作開始からストローク操作後半開始までのセレクト操作中に破線で示すような経時変化となる。
従って、目標ギヤ位置がセレクト操作時に変速前の2速から一旦3速となり、その後ストローク操作後半で変速後の4速となるよう変化することとなる。
そのため、目標エンジン回転数tNeおよびエンジン回転数Neが図29に破線で示すごとく、一旦3速相当の高い回転数で停滞した後に、ストローク操作後半で4速相当の回転数へと低下するように変化し、変速応答が悪化する懸念を払拭しきれない。
そのため、目標エンジン回転数tNeが図29に一点鎖線で示すごとく、中間ギヤ位置2.5に対応した低い回転数で停滞した後に4速相当の回転数へと低下するように変化することとなり、エンジン回転数Neを図29に実線で示すごとく速やかに4速相当値へ低下させ得て、変速応答を同図にΔtで示す時間だけ早めることができる。
変速レバー5を図30(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、2nd位置から3rd位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第2速から第3速へ変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=2.5は、セレクト後の3rd-4th セレクト列における二つのギヤ位置(3速、4速)に対応した(2,3)の中間値(中間ギヤ位置2.5)である。
従って、この目標ギヤ位置tGの数値を基に算出する2→3変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも、目標ギヤ位置tGの上記変化に対応して変速前目標値から変速後目標値へ変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
なお、上記の中間ギヤ位置2.5は目標エンジン回転数tNeを一旦、3速相当値よりも低下させるように作用するが、エンジン回転数Neの低下は運転者の違和感になりにくいため、上記の作用効果が阻害されることはない。
図29につき前述したと同様の理由により、エンジン回転数Neを速やかに4速相当値へ低下させ得て、変速応答を早めることができる。
変速レバー5を図31(a)に実線矢印、二点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、4th位置から5th位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第4速から第5速へ変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=4.5は、セレクト後の5th-6th セレクト列における二つのギヤ位置(5速、6速)に対応した(4,5)の中間値(中間ギヤ位置4.5)である。
従って、この目標ギヤ位置tGの数値を基に算出する4→5変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも、上記目標ギヤ位置tGの変化に対応して変速前目標値から変速後目標値に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
なお、上記の中間ギヤ位置4.5は目標エンジン回転数tNeを一旦、5速相当値よりも低下させるように作用するが、エンジン回転数Neの低下は運転者の違和感になりにくいため、上記の作用効果が阻害されることはない。
図29につき前述したと同様の理由により、エンジン回転数Neを速やかに5速相当値へ低下させ得て、変速応答を早めることができる。
変速レバー5を図32(a)に実線矢印、二点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、3rd位置から5th位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第3速から第5速へ変速させる場合について次に説明する。
この目標ギヤ位置tG=4.5は、セレクト後の5th-6th セレクト列における二つのギヤ位置(5速、6速)に対応した(4,5)の中間値(中間ギヤ位置4.5)である。
従って、この目標ギヤ位置tGの数値を基に算出する3→5変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも、上記目標ギヤ位置tGの変化に対応して変速前目標値から変速後目標値に変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
なお、上記の中間ギヤ位置4.5は目標エンジン回転数tNeを一旦、5速相当値よりも低下させるように作用するが、エンジン回転数Neの低下は運転者の違和感になりにくいため、上記の作用効果が阻害されることはない。
図29につき前述したと同様の理由により、エンジン回転数Neを速やかに5速相当値へ低下させ得て、変速応答を早めることができる。
図33〜36は本発明の第4実施例を、2→3変速時(図33,34)、3→2変速時(図35)、2→4変速時(図36)の動作に関して示すものである。
本実施例においては、変速中の回転同期制御に際しエンジン回転数が低下方向へ変化する分には運転者に違和感を与えにくいため、ストローク操作前半で目標ギヤ位置tGが変速前変速段よりも高速段(図示例では最高速段の第6速)相当値となるようにし、その後のセレクト操作中は目標ギヤ位置tGがこの高速段相当値に保持されるようにし、その後のストローク操作後半で目標ギヤ位置tGが高速段相当値から変速後変速段相当値へと変化されるような構成として、変速応答を向上させ得るようにしたものである。
このために、図6の補正処理部31aによるストローク位置STおよびセレクト位置SEの補正要領を、図33(2→3変速時)、図35(3→2変速時)、図36(2→4変速時)につき説明する以下のようなものとする。
(2→3変速時のストローク位置およびセレクト位置補正要領・効果)
変速レバー5を図33(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、2nd位置から3rd位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第2速から第3速へ変速させる場合について先ず説明する。
また、この間変速レバー5のセレクト位置が1st-2ndセレクト列に保たれ、セレクト位置SEが0であっても、セレクト位置補正値SEoが図33(c)に実線矢印で示すように0から4に上昇するよう、セレクト位置SEを補正してセレクト位置補正値SEoとなす。
この目標ギヤ位置tG=5は、変速前ギヤ位置(第2速)対応値「1」よりも高速段側である最高速段(第6速)のギヤ位置相当値である。
一方、当該セレクト操作前半では、ストローク位置が不変であるためストローク位置補正値SToが図33(b)に●印で示すように1に保たれるよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
一方、この間変速レバー5のセレクト位置が3rd-4thセレクト列のままでセレクト位置SEが不変であっても、セレクト位置補正値SEoが図33(c)に破線矢印で示すよう4から2に低下するよう、セレクト位置SEを補正してセレクト位置補正値SEoとなす。
従って、この目標ギヤ位置tGの数値を基に算出する2→3変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも、目標ギヤ位置tGの上記変化に対応して変速前目標値から変速後目標値へ変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
なお、上記の高速側変速段(第6速)ギヤ位置5は目標エンジン回転数tNeを一旦、3速相当値よりも低下させるように作用するが、エンジン回転数Neの低下は運転者の違和感になりにくいため、上記の作用効果が阻害されることはない。
前記した第1,2実施例による2→3変速の場合、目標ギヤ位置tGが図34のセレクト操作開始からストローク操作後半開始までのセレクト操作中に破線で示すごとく1(2速相当値)から2(3速相当値)へと変化する。
そのため、目標エンジン回転数tNeおよびエンジン回転数Neが図34に破線で示す経時変化を持って、2速相当値から3速相当値へと低下することとなり、変速応答が悪化する懸念を払拭しきれない。
そのため、目標エンジン回転数tNeが図34に一点鎖線で示すごとく、最高速段(6速)ギヤ位置(tG=5)に対応した低い回転数で停滞した後に3速相当の回転数となるように変化することとなり、エンジン回転数Neを図34に実線で示すごとく速やかに3速相当値へ低下させ得て、変速応答を同図にΔtで示す時間だけ早めることができる。
変速レバー5を図35(a)に実線矢印、二点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、3rd位置から2nd位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第3速から第2速へ変速させる場合について次に説明する。
また、この間変速レバー5のセレクト位置が3rd-4thセレクト列に保たれ、セレクト位置SEが2であっても、セレクト位置補正値SEoが図35(c)に実線矢印で示すように2から4に上昇するよう、セレクト位置SEを補正してセレクト位置補正値SEoとなす。
この目標ギヤ位置tG=5は、変速前ギヤ位置(第3速)に対応した「2」よりも高速段側である最高速段(第6速)のギヤ位置相当値である。
一方、当該セレクト操作後半では、ストローク位置が不変であるためストローク位置補正値SToが図35(b)に●印で示すように1に保たれるよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
一方、この間変速レバー5のセレクト位置が1st-2ndセレクト列のままでセレクト位置SEが不変であっても、セレクト位置補正値SEoが図35(c)に破線矢印で示すよう4から0に低下するよう、セレクト位置SEを補正してセレクト位置補正値SEoとなす。
従って、この目標ギヤ位置tGの数値を基に算出する3→2変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも、目標ギヤ位置tGの上記変化に対応して変速前目標値から変速後目標値へ変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
なお、上記の高速側変速段(第6速)ギヤ位置5は目標エンジン回転数tNeを一旦、2速相当値よりも低下させるように作用するが、エンジン回転数Neの低下は運転者の違和感になりにくいため、上記の作用効果が阻害されることはない。
変速レバー5を図36(a)に実線矢印、一点鎖線矢印、および破線矢印で示すごとく、2nd位置から4th位置に切り替え操作して、マニュアルトランスミッション2を第2速から第4速へ変速させる場合について先ず説明する。
また、この間変速レバー5のセレクト位置が1st-2ndセレクト列に保たれ、セレクト位置SEが0であっても、セレクト位置補正値SEoが図36(c)に実線矢印で示すように0から4に上昇するよう、セレクト位置SEを補正してセレクト位置補正値SEoとなす。
この目標ギヤ位置tG=5は、変速前ギヤ位置(第2速)に対応した「1」よりも高速段側である最高速段(第6速)のギヤ位置相当値である。
一方、当該セレクト操作前半では、ストローク位置が不変であるためストローク位置補正値SToが図36(b)に●印で示すように1に保たれるよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
一方、この間変速レバー5のセレクト位置が3rd-4thセレクト列のままでセレクト位置SEが不変であっても、セレクト位置補正値SEoが図36(c)に破線矢印で示すよう4から2に低下するよう、セレクト位置SEを補正してセレクト位置補正値SEoとなす。
従って、この目標ギヤ位置tGの数値を基に算出する2→4変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも、目標ギヤ位置tGの上記変化に対応して変速前目標値から変速後目標値へ変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
なお、上記の高速側変速段(第6速)ギヤ位置5は目標エンジン回転数tNeを一旦、4速相当値よりも低下させるように作用するが、エンジン回転数Neの低下は運転者の違和感になりにくいため、上記の作用効果が阻害されることはない。
図37,38は本発明の第5実施例を、3→2変速時の動作に関して示すものである。
上記した第4実施例においては図34に示すように、ストローク操作前半開始時に最高速段(6速)相当値の5へ上昇させた目標ギヤ位置tGを、セレクト操作中もそのままの値に保ち、その後のストローク操作後半で目標ギヤ位置tGを変速後ギヤ位置相当値になるようにしたが、
この場合、ダウンシフト変速時にストローク操作後半時までエンジン回転数を高めることができないことから、ダウンシフト変速応答が悪くなるという懸念がある。
これにより、ダウンシフト変速時に必要なエンジン回転上昇を、ストローク操作後半時よりも前のセレクト操作時に行わせ得るようにして、当該ダウンシフトの変速応答が悪くなるという懸念をなくすようにしたものである。
このために、図6の補正処理部31aによるストローク位置STおよびセレクト位置SEの補正要領を、3→2ダウンシフト時について代表的に説明すると、図37に示すようなものとする。
(3→2変速時のストローク位置およびセレクト位置補正要領・効果)
かかる3→2変速に際し、変速レバー5を図37(a)に実線矢印で示すごとく3rd位置から中立ゲート部6aに向けストローク操作するストローク操作前半では、ストローク位置補正値SToが図37(b)に実線矢印で示すように、ストローク位置STの0から0.5への上昇につれて、0から高速段側ストローク位置対応値(1)へ上昇するよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
また、この間変速レバー5のセレクト位置が3rd-4thセレクト列に保たれ、セレクト位置SEが2であっても、セレクト位置補正値SEoが図37(c)に実線矢印で示すように2から4に上昇するよう、セレクト位置SEを補正してセレクト位置補正値SEoとなす。
この目標ギヤ位置tG=5は、変速前ギヤ位置(第3速)相当の「2」よりも高速段側である最高速段(第6速)に相当する。
一方、当該セレクト操作後半では、ストローク位置が不変であるためストローク位置補正値SToが図37(b)に●印で示すように1に保たれるよう、ストローク位置STを補正してストローク位置補正値SToとなす。
一方、この間変速レバー5のセレクト位置が1st-2ndセレクト列のままでセレクト位置SEが不変であるため、セレクト位置補正値SEoが図37(c)に●印で示すよう0に保たれるよう、セレクト位置SEを補正してセレクト位置補正値SEoとなす。
従って、この目標ギヤ位置tGを基に算出する3→2変速時の回転同期用目標エンジン回転数tNeも、目標ギヤ位置tGの上記変化に対応して変速前目標値から変速後目標値へ変化し、
回転同期制御中この目標エンジン回転数tNeに追従するよう制御される実エンジン回転数Neが、変速前回転数から変速後回転数へ変化する途中で不自然に上下変動して運転者に違和感を与えるようなことがない。
なお、上記の高速側変速段(第6速)ギヤ位置5は目標エンジン回転数tNeを一旦、2速相当値よりも低下させるように作用するが、エンジン回転数Neの低下は運転者の違和感になりにくいため、上記の作用効果が阻害されることはない。
前記した第4実施例による3→2変速の場合、目標ギヤ位置tGが図38に破線で示すように、ストローク操作前半開始時に最高速段(6速)相当値の5へ上昇させた目標ギヤ位置tGを、セレクト操作開始からストローク操作後半開始までのセレクト操作中もそのままの値に保ち、その後のストローク操作後半で目標ギヤ位置tGを変速後ギヤ位置(2速)相当値(1)になるようにする。
このため当該ダウンシフト変速時に、目標エンジン回転数tNeおよびエンジン回転数Neが図38に破線で示す経時変化を持って、3速相当値から2速相当値へと低下することとなり、ストローク操作後半時までエンジン回転数を高めることができずに、ダウンシフト変速応答が悪くなるという懸念がある。
そのため、目標エンジン回転数tNeが図38に一点鎖線で示すごとく、ストローク操作後半開始よりも前のセレクト操作開始時に、最高速段(6速)ギヤ位置5に対応した低い回転数から2速相当の高い回転数となるように変化することとなり、エンジン回転数Neを図38に実線で示すごとく速やかに2速相当値へ上昇させ得て、ダウンシフト変速応答を同図にΔtで示す時間だけ早めることができる。
2 マニュアルトランスミッション
3 クラッチ
4 クラッチペダル
5 変速レバー
6 シフトゲート
6a ニュートラル(中立)ゲート部
6b 1速‐2速ゲート部
6c 3速‐4速ゲート部
6d 5速‐6速ゲート部
7 アクセルペダル
11 エンジンコントローラ
12 クラッチペダルセンサ
13 エンジン回転センサ
14 変速機出力回転センサ
15 セレクト位置センサ(セレクト位置検出手段)
16 ストローク位置センサ(ストローク位置検出手段)
17 アクセル開度センサ
21 スロットルバルブ
22 モータ
31 目標ギヤ位置検出部(目標ギヤ位置検出手段)
31a 補正処理部(補正処理手段)
32 目標エンジン回転数算出部
33 回転同期制御実行判定部
34 回転同期制御部
35 エンジントルク制御部
Claims (5)
- 変速レバーのストローク操作方向中立位置でのセレクト操作と、該中立位置からのストローク操作とで、対応するギヤ位置への変速が可能なマニュアルトランスミッションに用いられ、
該変速に際しマニュアルトランスミッションの入力軸および原動機間のクラッチが解放されている間、該クラッチの原動機側回転数が、前記変速レバーのセレクト操作位置およびストローク操作位置を検出するセレクト位置検出手段およびストローク位置検出手段の検出結果から演算した目標ギヤ位置、および、マニュアルトランスミッションの出力回転数から求め得るクラッチの目標原動機側回転数に一致するよう前記原動機を回転速度制御する回転同期制御装置において、
前記セレクト位置検出手段は、変速レバーが低速セレクト列対応位置から高速セレクト列対応位置へセレクト操作されるにつれ順次大きな、数値化したセレクト位置を発するよう構成し、
前記ストローク位置検出手段は、変速レバーが低速段対応位置から、中立対応位置を経て、高速段対応位置へストローク操作されるにつれ順次大きな、数値化したストローク位置を発するよう構成し、
これらセレクト位置検出手段およびストローク位置検出手段からの数値化したセレクト位置およびストローク位置の和値を前記目標ギヤ位置として前記目標原動機側回転数の演算に供する目標ギヤ位置検出手段を設け、
該手段からの目標ギヤ位置が、前記変速中において所望される原動機回転数変化を惹起する態様で変化するよう、前記セレクト位置検出手段からの数値化したセレクト位置および前記ストローク位置検出手段からの数値化したストローク位置の少なくとも一方を補正して、前記目標ギヤ位置の演算に資する補正処理手段を設けたことを特徴とするマニュアルトランスミッションの回転同期制御装置。 - 請求項1に記載のマニュアルトランスミッションの回転同期制御装置において、
前記補正処理手段は、
前記変速レバーのセレクト操作を伴わないストローク操作のみによる変速時は、変速レバーを変速前ギヤ対応位置から中立対応位置までストロークさせるストローク操作前半で、前記目標ギヤ位置が変速前の目標ギヤ位置のままに保持されるよう、また、変速レバーを中立対応位置から変速後ギヤ対応位置までストロークさせるストローク操作後半で、前記目標ギヤ位置が前記保持した目標ギヤ位置から変速後の目標ギヤ位置へ変更されるよう、前記数値化したセレクト位置およびストローク位置の少なくとも一方の補正を行う構成とし、
前記変速レバーのセレクト操作を伴う変速時は、前記ストローク操作前半で前記目標ギヤ位置が変速前の目標ギヤ位置のままに保持されるよう、また、前記セレクト操作で前記目標ギヤ位置が、変速後セレクト列の二つのギヤ位置のうち前記変速前目標ギヤ位置に近い方のギヤ位置を変速後の目標ギヤ位置として設定されるよう、前記セレクト位置およびストローク位置の少なくとも一方の補正を行う構成としたことを特徴とするマニュアルトランスミッションの回転同期制御装置。 - 請求項1または2に記載のマニュアルトランスミッションの回転同期制御装置において、
前記補正処理手段は、
前記変速レバーのセレクト操作を伴い、且つ、原動機回転数が低下する変速時は、
変速レバーを変速前ギヤ対応位置から中立対応位置までストロークさせるストローク操作前半で、前記目標ギヤ位置が変速前の目標ギヤ位置のままに保持されるよう、また、前記セレクト操作時に前記目標ギヤ位置が、前記変速前の目標ギヤ位置から、変速後セレクト列の二つのギヤ位置に対応したギヤ位置間の中間ギヤ位置となるよう、更に、変速レバーを中立対応位置から変速後ギヤ対応位置までストロークさせるストローク操作後半で、前記目標ギヤ位置が前記中間ギヤ位置から変速後の目標ギヤ位置となるよう、前記セレクト位置およびストローク位置の少なくとも一方の補正を行う構成としたことを特徴とするマニュアルトランスミッションの回転同期制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のマニュアルトランスミッションの回転同期制御装置において、
前記補正処理手段は、
変速レバーを変速前ギヤ対応位置から中立対応位置までストロークさせるストローク操作前半で、前記目標ギヤ位置が変速前の目標ギヤ位置よりも高速側の目標ギヤ位置にされるよう、また、セレクト操作時は前記目標ギヤ位置が高速側の目標ギヤ位置に保持されるよう、更に、変速レバーを中立対応位置から変速後ギヤ対応位置までストロークさせるストローク操作後半で、前記目標ギヤ位置が変速後の目標ギヤ位置となるよう、前記セレクト位置およびストローク位置の少なくとも一方の補正を行う構成としたことを特徴とするマニュアルトランスミッションの回転同期制御装置。 - 請求項4に記載のマニュアルトランスミッションの回転同期制御装置において、
前記補正処理手段は、
変速後に低速側のギヤ列へ変化する場合、前記セレクト操作時に前記目標ギヤ位置が変速後の目標ギヤ位置となるよう、前記セレクト位置およびストローク位置の少なくとも一方の補正を行う構成としたことを特徴とするマニュアルトランスミッションの回転同期制御装置。
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