JP5175656B2 - 内燃機関 - Google Patents
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Description
そこで下記特許文献に開示された点火栓では、図13に示すごとく、噴出口94よりも混合ガス気流98の上流側に突起部96を設けている。この文献によれば、突起部96を設けることにより、その下流にて混合ガス気流98の流速が遅くなり、高温ガス97が吹き飛ばされなくなるため、着火性が向上する。
また、電極91、95に供給する電気エネルギーを増やすことにより、高温ガス97の発生量を多くして、混合ガスの着火性を向上させる方法も考えられる。しかし、電気エネルギーを増やすと、電極91,95が磨耗しやすくなるという問題が生じる。
未燃焼の上記混合ガスよりも温度が高い高温ガスを上記燃焼室へ噴射して上記混合ガスに点火する高温ガス噴射部と、
該高温ガス噴射部のガス噴射口よりも上記混合ガス気流の下流側に設けられ、上記燃焼室内に突出する突起部と、
を備え、上記突起部は、上記燃焼室の内面に取り付けられた取付部から先端部に向かうほど、上記混合ガス気流の上流側に進むように湾曲した形状に形成され、
上記高温ガス噴射部は上記燃焼室に取り付けられた点火栓によって構成され、上記突起部は上記点火栓と一体に形成されており、
上記高温ガス噴射部は、中心電極と接地電極とが露出する放電チャンバを備え、これら上記中心電極と上記接地電極との間に電圧が印加されることにより上記放電チャンバに上記高温ガスとしてのプラズマが発生するとともに、該プラズマを上記燃焼室へ噴射して上記燃焼室内の上記混合ガスに点火するプラズマ点火栓であり、
上記突起部は、筒状に形成された上記接地電極の端面に取り付けられ、該端面が上記燃焼室の上記内面の一部をなしており、
上記突起部は、上記ガス噴射口よりも、上記燃焼室内を周回する上記混合ガス気流のうち上記端面の近傍を通過する上記混合ガス気流の下流側に設けられていることを特徴とする内燃機関にある(請求項1)。
本発明では、ガス噴射口よりも混合ガス気流の下流側に上記突起部を設けたため、着火性を向上させることができる。
すなわち本発明では、上記高温ガス噴射部にて高温ガスが生成され、ガス噴射口から燃焼室へ高温ガスが勢いよく飛び出る。飛び出た高温ガスは火炎成長しながら混合ガス気流に乗って下流側に移動する。そして、ガス噴射口の下流側に設けられた突起部の下流に高温ガスが回り込む。
突起部の下流では混合ガス気流の流速は遅いため、高温ガスは吹き消されず、長時間滞留することができる。これにより火炎が成長しやすくなり、混合ガスの着火性を向上させることが可能となる。
これに対して本発明では、従来のようにガス噴射口付近にて高温ガスを保持するのではなく、高温ガスをガス噴射口から勢いよく飛び出させ、そのガス噴射口の下流に配置された突起部を高温ガスが飛び越えて、裏側に回り込んで滞留するようにしている。
そのため、高温ガスが噴射後すぐに吹き飛ばされるようなことがなく(図13参照)、突起部の裏側に高温ガスを長時間にわたって滞留させることができる。これにより火炎が成長しやすくなり、混合ガスの着火性が格段に向上する。
本発明(請求項1)において、上記突起部は、上記燃焼室の内面に取り付けられた取付部から先端部に向かうほど、上記混合ガス気流の上流側に進むように湾曲した形状に形成されている。
したがって、突起部の上流側と下流側とに混合ガスの循環流または乱流が生じるため、この上流側と下流側との双方にて高温ガスを保持でき、混合ガスの着火性をさらに向上させることができる。
したがって、ガス噴射口の近傍に突起部が形成されるため、噴射された高温ガスがすぐに突起部の下流に回り込む。これにより、突起部の下流に高温ガスが滞留しやすくなり、混合ガスの着火性が向上する。
この場合には、突起部が点火栓と一体に形成されている場合と比較して、突起部をガス噴射口の下流に配置するために特別な調節をする必要がない。
すなわち、突起部が点火栓と一体に形成されている場合は、その点火栓をシリンダに取付ける際に、突起部が噴射口の下流に配置されるように点火栓の取付方向を調整する必要があるが、シリンダと突起部とが一体形成されている場合は、そのような調整は不要である。
また、ガス噴射口から離れた位置に突起部を設けることができる。つまり、高温ガスを滞留させるのに最適な位置に突起部を形成することができ、これにより、内燃機関の設計自由度を高めることができる。
この場合には、突起部をピストンの端面にも形成することができるので、内燃機関の設計自由度をさらに高めることができる。
プラズマ点火栓は、混合ガスの点火効率が良いが、プラズマの噴射速度が高い問題がある。そのため、本発明によって得られる効果が特に大きい。
本発明の参考例にかかる内燃機関につき、図1、図2を用いて説明する。
本例の内燃機関1は、図1に示すごとく、燃料と空気との混合ガス60が供給され、混合ガス60の気流6が内部に発生する燃焼室2を備える。また、未燃焼の混合ガス60よりも温度が高い高温ガス5を燃焼室2へ噴射して混合ガス60に点火する高温ガス噴射部3を備える。また、高温ガス噴射部3のガス噴射口32よりも混合ガス気流6の下流側に設けられ、燃焼室2内に突出する突起部4を備える。
本例では、高温ガス噴射部3はプラズマ点火栓31から構成される。図1および図2に示すごとく、プラズマ点火栓31は、中心電極33と接地電極34とが露出する放電チャンバ37を備え、これら中心電極33と接地電極34との間に電圧が印加されることにより放電チャンバ37内に高温ガス5としてのプラズマが発生するとともに、該プラズマを燃焼室2へ噴射して燃焼室2内の混合ガス60に点火する。
本例の内燃機関1は、図1に示すごとく、ガス噴射口32よりも混合ガス気流6の下流側に突起部4を設けたため、着火性を向上させることができる。
すなわち、高温ガス噴射部3にて高温ガス5が生成され、ガス噴射口32から燃焼室2へ高温ガス5が勢いよく飛び出る。飛び出た高温ガス5は火炎成長しながら混合ガス気流6に乗って下流側に移動する。そして、ガス噴射口32の下流側に設けられた突起部4の下流に高温ガス5が回り込む。
突起部4の下流では混合ガス気流6の流速は遅いため、高温ガス5は吹き消されず、長時間滞留することができる。これにより火炎が成長しやすくなり、混合ガス60の着火性を向上させることが可能となる。
これに対して本発明では、従来のようにガス噴射口32付近にて高温ガス5を保持するのではなく、高温ガス5をガス噴射口32から勢いよく飛び出させ、そのガス噴射口32の下流に配置された突起部4を高温ガス5が飛び越えて、裏側に回り込んで滞留するようにしている。
そのため、高温ガス5が噴射後すぐに吹き飛ばされるようなことがなく(図13参照)、突起部4の裏側に高温ガス5を長時間にわたって滞留させることができる。これにより火炎が成長しやすくなり、混合ガス60の着火性が格段に向上する。
この場合には、ガス噴射口32の近傍に突起部4が形成されるため、噴射された高温ガス5がすぐに突起部4の下流に回り込む。これにより、突起部4の下流に高温ガス5が滞留しやすくなり、混合ガス60の着火性が向上する。
プラズマ点火栓31は、混合ガス60の点火効率が良いが、プラズマの噴射速度が高い問題がある。そのため、本発明によって得られる効果が特に大きい。
本例は、突起部4の形状を変えた例である。図3、図4に示すごとく、本例の突起部4は、燃焼室2の内面に取り付けられた取付部40から先端部41に向かうほど、混合ガス気流6の上流側に進むように湾曲した形状に形成されている。
より詳しくは、図4に示すごとく、本例の突起部4は、一端が燃焼室2の内面に取り付けられた半円筒形状の半円筒形部42と、該半円筒形部42の半径と同一の半径を有する球殻を1/4に切断した形状に形成されるとともに、半円筒形部42に連接された球殻部43とから構成される。そして、これら半円筒形部42と球殻部43との内側空間が、混合ガス気流6の上流側に開放したガス淀み空間Sとされている。
その他、参考例1と同様の構成を有する。
本例では、突起部4が、取付部40から先端部41に向かうほど、混合ガス気流6の上流側に進むように湾曲した形状とされている。
この場合、突起部4の上流側と下流側とに混合ガス60の循環流または乱流が生じるため、この上流側と下流側との双方にて高温ガス5を保持でき、混合ガス60の着火性をさらに向上させることができる。
その他、参考例1と同様の作用効果を有する。
本例は、突起部4の形状をさらに変えた例である。まず、図5(A)に示すごとく、突起部4を板状にすることができる。また、図5(B)に示すごとく半円筒形状にし、その外周面49が混合ガス気流6の上流側を向くように取り付けることもできる。
さらに、図5(C)に示すごとく、2枚の板状部材44a,44bを接合し、これら2枚の板状部材44a,44bのなす角度θが混合ガス気流6の下流側にて鋭角となるように取り付けることもできる。
また、図5(D)に示すごとく、板状に形成され、その主面45aが混合ガス気流6に対して垂直となるように取り付けられる板状部45と、その板状部45の先端に取り付けられ混合ガス気流6の下流側に延出する板状の延出部46とから構成することもできる。
さらに、図5(E)に示すごとく、板状に形成され、その主面47aが混合ガス気流6に対して垂直となるように取り付けられる板状部47と、その板状部47に連接し、先端48aに向かうほど混合ガス気流6の下流側に進む湾曲形状の湾曲部48とから構成することもできる。
その他、参考例1と同様の構成を有する。
図5(B)〜図5(E)の例では、混合ガス気流6の下流側にて、高温ガス5が特に滞留しやすい形状をしている。そのため、混合ガス60の着火性が一層向上する。
また、図5(A)の例では、突起部6が簡単な形状をしているため、製造しやすい。
その他、参考例1と同様の作用効果を有する。
本例は、突起部4の取り付け場所を変えた例である。
図6に示すごとく、本例は、2個のインテークバルブ17a,17bと2個のエキゾーストバルブ18a,18bとが、シリンダ20に設けられている。燃焼室2には、混合ガス気流6としてタンブル流が形成されるようになっている。そして、突起部4は、燃焼室2を構成するシリンダ20の内壁面21に、シリンダ20と一体に形成されている。
より詳しくは、本例の突起部4は、高温ガス噴射部3のガス噴射口32よりも混合ガス気流6の下流側であって、2個のエキゾーストバルブ18a,18bに挟まれる位置に設けられている。
さらに、図7に示すごとく、突起部4を、燃焼室2を構成するシリンダ20の内壁面21であって、2個のインテークバルブ17a,71bに挟まれる位置に設けることもできる。
その他、参考例1と同様の構成を有する。
この場合には、突起部4が点火栓と一体に形成されている場合と比較して、突起部4をガス噴射口32の下流に配置するために特別な調節をする必要がない。
すなわち、突起部4が点火栓と一体に形成されている場合は、その点火栓をシリンダ20に取付ける際に、突起部4が噴射口32の下流に配置されるように点火栓の取付方向を調整する必要があるが、シリンダ20と突起部4とが一体形成されている場合は、そのような調整は不要である。
また、ガス噴射口32から離れた位置に突起部4を設けることができる。つまり、高温ガス5を滞留させるのに最適な位置に突起部4を形成することができ、これにより、内燃機関1の設計自由度を高めることができる。
この場合には、内燃機関1の設計自由度をさらに高めることができる。
その他、参考例1と同様の作用効果を有する。
本例は、高温ガス噴射部3の形状を変えた例である。図10に示すごとく、本例の高温ガス噴射部3は、ガス噴射口32を介して燃焼室2と連通する副室7と、副室7に燃料を供給する燃料供給部72と、副室7にて燃料に点火する点火栓71とを備える副室型高温ガス噴射部3である。そして、ガス噴射口32よりも混合ガス気流6の下流側に、突起部4が設けられている。
その他、参考例1と同様の構成を備える。
本例では、高温ガス噴射部3として、副室型の高温ガス噴射部3を用いている。
副室型高温ガス噴射部3は、混合ガス60の点火効率が良いが、高温ガス5の噴射速度が高い問題がある。そのため、得られる効果が特に大きい。
2 燃焼室
20 シリンダ
21 内壁面
22 ピストン
23 (ピストンの)端面
3 高温ガス噴射部
31 プラズマ点火栓
32 ガス噴射口
4 突起部
5 高温ガス
6 混合ガス気流
60 混合ガス
Claims (1)
- 燃料と空気との混合ガスが供給され、該混合ガスの気流が内部に発生する燃焼室と、
未燃焼の上記混合ガスよりも温度が高い高温ガスを上記燃焼室へ噴射して上記混合ガスに点火する高温ガス噴射部と、
該高温ガス噴射部のガス噴射口よりも上記混合ガス気流の下流側に設けられ、上記燃焼室内に突出する突起部と、
を備え、上記突起部は、上記燃焼室の内面に取り付けられた取付部から先端部に向かうほど、上記混合ガス気流の上流側に進むように湾曲した形状に形成され、
上記高温ガス噴射部は上記燃焼室に取り付けられた点火栓によって構成され、上記突起部は上記点火栓と一体に形成されており、
上記高温ガス噴射部は、中心電極と接地電極とが露出する放電チャンバを備え、これら上記中心電極と上記接地電極との間に電圧が印加されることにより上記放電チャンバに上記高温ガスとしてのプラズマが発生するとともに、該プラズマを上記燃焼室へ噴射して上記燃焼室内の上記混合ガスに点火するプラズマ点火栓であり、
上記突起部は、筒状に形成された上記接地電極の端面に取り付けられ、該端面が上記燃焼室の上記内面の一部をなしており、
上記突起部は、上記ガス噴射口よりも、上記燃焼室内を周回する上記混合ガス気流のうち上記端面の近傍を通過する上記混合ガス気流の下流側に設けられていることを特徴とする内燃機関。
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