本発明は、エバネッセント波を発生させるエバネッセント波発生装置及びそれを用いた観察装置に関するものである。
近年組織工学では、細胞培養を基本とした組織再生の研究が注目を集め、医療の質までもかえると言われている。その中でも、培養した細胞を医療デバイスに付与することで移植時に生体との適合性をあげる技術(例えば、骨基材の上に培養細胞をのせる技術)や、各機能を有する細胞へ培養する技術(例えば、間葉系幹細胞から心筋、血管、皮膚などの細胞へ分化する技術)などが再生医療の発展により急速に進歩して来ている。このような細胞培養技術においては、培養された細胞の状態を評価した上で、医療目的で用いる必要があり、そのための装置や技術も組織工学の進歩と共に発展しつつある。
特に、エバネッセント波を用いた全反射顕微鏡(観察装置)は、全反射面から細胞の一部(全反射面から上方約100nm)だけを観察することができ、バックグラウンドを抑えた鮮明な観察図を得ることが可能であるため、培養容器に接触し増殖する細胞の状態を、より明確に観察することができるものとして注目されつつある。
具体的には、例えば、観察する細胞の乗ったサンプル容器の底面(屈折率境界面であり、全反射面となる)にプリズムなどを利用し、所定角度で励起光を照射して、サンプル容器の底面(屈折率境界面、且つ、全反射面)で反射させ、そのとき全反射面の上に発生するエバネッセント波により全反射面から上方約100nmの間にある測定(観察)サンプル(細胞)を励起させるものである。
このように、光(エバネッセント波)が到達する領域を約100nmに限定して、その領域にある測定サンプル(細胞)から発生した散乱光や蛍光を検出することで、測定サンプルの状況をより明確に検出することが可能となり、バックグラウンドのノイズを抑えることができるようになり、より鮮明な蛍光観察が可能になった(例えば、特許文献1参照)。
また、このようなエバネッセント波を用いた観察装置として、表面プラズモン共鳴現象の原理を利用した観察装置もある。この装置は、プリズムの上面に形成された金属薄膜表面に測定サンプル(細胞)を配置し、この測定サンプルを配置した金属薄膜のプリズム側の面にプリズムを介して光(レーザー)を入射させると、金属薄膜と測定サンプルとの境界面に電子の粗密波SP(表面プラズモン)との共鳴が発生する。このとき、光(レーザー)の入射角度を変化させて金属薄膜のプリズム側の面で全反射させると、ある特定の入射角度で反射光が減衰する現象、即ち、表面プラズモン共鳴が生じる。この表面プラズモン共鳴が生じる光の入射角度(共鳴角)は、測定サンプルの誘電率に依存するので、この共鳴角を測定することで、金属薄膜表面における測定サンプルを観察することができるというものである。即ち、光の入射角度を調整して、共鳴角の変化を測定することで、金属薄膜表面で測定サンプルのプロセス(例えば、抗体と抗原の相互作用)をリアルタイムで定量分析できるようになった(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−61346号公報
特許第2758904号公報
ところで、従来の全反射顕微鏡では、照明と観察を一つのレンズで可能にするために、口径の大きい高倍率の対物レンズを使用していたため、短時間で多くの観察対象を処理することが困難であり、且つ、装置のコストを高騰させていた。また、最近の再生医療の現場では、細胞の培養が頻繁に行われており、できる限り短時間で培養された測定サンプル(細胞)を評価したいとの要望がある。そして、再生医療が普及し、より医療現場での応用が進むと、培養された測定サンプルを全体的に判断する必要が生じてくる。そのため、多くのサンプルが一括して処理できるマイクロプレートで培養されたサンプルを瞬時或いは同時に観察判断したいとの要望があるが、従来の装置では、瞬時若しくは同時に複数の観察対象を観察することができなかった。
また、このような装置では、観察対象に照射する励起光を全反射が生じる角度である、臨界角以上の入射角度で全反射のポイントに入射させる必要がある。この全反射を起こすための臨界角(全反射のポイントの面に対して垂直な線と励起光とが成す角度)は、測定サンプルによって異なるため、測定サンプルに応じて適切な入射角度となるように調整しなければならなかった。また、臨界角以上の入射角でも臨界角に近いほどエバネッセント波が到達する領域は全反射面からの距離が遠くなり、反面、臨界角から離れるとエバネッセント波の到達する領域は全反射面からの距離が短くなることから、入射角を変えることで、照明領域が変わる(エバネッセント波到達領域を100nmから変更することができる)ことになり、観察の幅を広げるためにも入射角の調整が必要であった。従来では、励起光の角度を変更することにより入射角度を調整していた。しかしながら、励起光の角度を変更すると、全反射のポイントが変わってしまうため、当該全反射のポイントが対象の測定サンプルに合うように励起光照射手段の位置も移動させなければならず、特に複数の測定サンプルのそれぞれを照明して同時に観察しようとする場合には、著しく作業性が煩雑化する問題がある。
本発明は、従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、複数の測定サンプルを同時に観察することができ、且つ、ノイズの発生も低減したエバネッセント波発生装置とこの発生装置を用いた観察装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明のエバネッセント波発生装置は、プリズム内に導入された光によりエバネッセント波を発生させるものであって、光軸に平行な光が入射した場合に、入射位置にかかわらず、当該光を一点に集中させる屈折機能を有した複数の導入用レンズが並設されて成るレンズアレイと、複数条の平行光を発生する光入射手段と、各導入用レンズにおいて発生し、隣接する他の導入用レンズに入る反射光を遮断する反射光遮断手段とを備え、光入射手段からレンズアレイの各導入用レンズに光をそれぞれ入射し、各導入用レンズをそれぞれ通過した複数条の光をプリズム内に導入すると共に、反射光遮断手段は、各導入用レンズのプリズム側の端部から光入射手段側に向けて所定距離延在していることを特徴とする。
請求項2の発明のエバネッセント波発生装置は、上記において反射光遮断手段は、隣接する各導入用レンズ間にそれぞれ設けられた隔壁であることを特徴とする。
請求項3の発明のエバネッセント波発生装置は、請求項1の発明において反射光遮断手段は、それぞれ導入用レンズが収納された複数の筒体であることを特徴とする。
請求項4の発明のエバネッセント波発生装置は、請求項1の発明において反射光遮断手段は、各導入用レンズに入射する光を相互に隔離する通路であることを特徴とする。
請求項5の発明のエバネッセント波発生装置は、上記各発明において光入射手段は、各導入用レンズの光軸に対して同時に平行に入射させる移動手段を有し、各導入用レンズの直径よりも狭い幅の光を各導入用レンズにそれぞれ入射させることを特徴とする。
請求項6の発明のエバネッセント波発生装置は、上記において光入射手段は、入射位置の変更方向に対して所定の幅を有し、且つ、各導入用レンズの光軸に平行な光を発生させる平行光発生手段と、この平行光発生手段からの光の一部が通過する複数の窓孔を有した遮蔽部材とを備え、この遮蔽部材を移動させて各導入用レンズへの光の入射位置を同時に変更することを特徴とする。
請求項7の発明のエバネッセント波発生装置は、上記において平行光発生手段は、点光源と、この点光源からの拡散光を各導入用レンズの光軸に平行な光に屈折させる光源用レンズとを有することを特徴とする。
請求項8の発明のエバネッセント波発生装置は、請求項6又は請求項7の発明において平行光発生手段からの光を、波長に応じて選択的に通過させるフィルタを備えたことを特徴とする。
請求項9の発明のエバネッセント波発生装置は、請求項5の発明において光入射手段は、レーザー光を発生する複数のレーザー光源を有し、各レーザー光源からのレーザー光を各導入用レンズにそれぞれ入射させると共に、各レーザー光源を同時に移動させて各導入用レンズへのレーザー光の入射位置を同時に変更することを特徴とする。
請求項10の発明のエバネッセント波発生装置は、上記各発明において導入用レンズは、一つのレンズのうちの必要箇所のみを残して切除して成るレンズ断片であることを特徴とする。
請求項11の発明の観察装置は、請求項1乃至請求項10の何れかに記載のエバネッセント波発生装置の各エバネッセント波発生面において発生するエバネッセント波により、複数の測定サンプルの散乱光、及び/又は、蛍光を検出する手段を備えたことを特徴とする。
請求項12の発明の観察装置は、請求項1乃至請求項10何れかに記載のエバネッセント波発生装置の各エバネッセント波を用いた表面プラズモン共鳴による複数の反射光強度の変化を検出する手段を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、プリズム内に導入された光によりエバネッセント波を発生させるエバネッセント波発生装置において、光軸に平行な光が入射した場合に、入射位置にかかわらず、当該光を一点に集中させる屈折機能を有した複数の導入用レンズが並設されて成るレンズアレイと、複数条の平行光を発生する光入射手段とを備え、この光入射手段からレンズアレイの各導入用レンズにそれぞれ入射し、各導入用レンズをそれぞれ通過した複数条の光をプリズム内に導入するようにしているので、複数の測定ポイントにおいてそれぞれエバネッセント波を発生させることができるようになる。これにより、例えばマイクロプレートの各ウエルにそれぞれ収容された複数の測定サンプルを同時に照明して同時或いは瞬時に観察することができるようになり、観察効率を著しく向上させることができるようになる。
ここで、複数の導入用レンズを用いてレンズアレイを構成した場合、レンズの数が多くなる分、各レンズ面での反射光も増加する。そのため、この反射光が隣接する他の導入用レンズに入り、ノイズの発生など、観察に悪影響を及ぼすことになるが、本発明では各導入用レンズにおいて発生し、隣接する他の導入用レンズに入る反射光を遮断する反射光遮断手段を設け、この反射光遮断手段が、各導入用レンズのプリズム側の端部から光入射手段側に向けて所定距離延在するようにしたので、各導入用レンズにおいて発生した反射光を遮断し、当該反射光が隣接する他の導入用レンズに入る不都合を防止若しくは抑制することが可能となる。これにより、ノイズの発生など、反射光が観察に及ぼす悪影響を低減することができるようになるものである。
また、請求項2の発明の如く上記反射光遮断手段を、隣接する各導入用レンズ間にそれぞれ設けられた隔壁で構成すれば、比較的簡単な構成で隣接する導入用レンズからの反射光を排除できるものである。
また、請求項3の発明の如く前記反射光遮断手段を、それぞれ導入用レンズが収納された複数の筒体で構成するようにすれば、それぞれ導入用レンズを収納した筒体を複数用意して並設することにより、極めて容易に反射光遮断手段を構成することができるようになる。また、導入用レンズの周囲が必ず遮蔽されることになるので、隣接する導入用レンズからの反射光を極めて効果的に排除できるようになるものである。
また、請求項4の発明の如く反射光遮断手段を、各導入用レンズに入射する光を相互に隔離する通路で構成すれば、光入射手段からの光以外の光が導入用レンズに入射することを遮ることができるので、これによっても各導入用レンズにおいて発生する反射光が隣接する他の導入用レンズに入る不都合を防止若しくは抑制することが可能となる。これにより、ノイズの発生など、反射光が観察に及ぼす悪影響を低減することができるようになるものである。
また、請求項5の発明によれば、上記各発明において光入射手段は、各導入用レンズの光軸に対して同時に平行に入射させる移動手段を有し、各導入用レンズの直径よりも狭い幅の光を各導入用レンズにそれぞれ入射させるので、各々の全反射のポイントが変わることなく、複数条の光の入射角度のみを同時に変更することが可能となる。
ここで、観察対象に照射する励起光は全反射が生じる角度である、臨界角以上の入射角度で全反射のポイントに入射させる必要がある。この全反射を起こすための臨界角は、測定サンプルによって異なるため、測定サンプルに応じて適切な入射角度となるように調整しなければならない。また、臨界角以上の入射角でも臨界角に近いほどエバネッセント波が到達する領域は全反射面からの距離が遠くなり、反面、臨界角から離れるとエバネッセント波の到達する領域は全反射面からの距離が短くなることから、入射角を変えることで、照明領域が変わる(エバネッセント波到達領域を100nmから変更することができる)ことになり、観察の幅を広げるためにも入射角の調整が必要である。従来では、励起光の角度を変更することにより入射角度を調整しており、その場合は励起光の角度を変更することにより、全反射のポイントも変わってしまうため、当該全反射のポイントが対象の測定サンプルに合うように励起光照射手段の位置も移動させなければならず、作業性の煩雑化を招いていたが、この発明によれば、複数の測定ポイントに対する入射角度の調整に伴う作業を著しく簡便に行うことが可能となる。
また、直径が大きい単一の導入用レンズに複数条の光を導入する場合は、導入用レンズの焦点に複数条の光が集約して多点観測できなくなるが、本発明では複数の導入用レンズを並設してレンズアレイを構成し、各導入用レンズにそれぞれ光を入射させるようにしているので、各導入用レンズへの光の入射位置を変化させることで、各測定ポイントに対する光の入射角度を顕著に変化させることができるようになる。
請求項6の発明によれば、上記発明において光入射手段は、入射位置の変更方向に対して所定の幅を有し、且つ、各導入用レンズの光軸に平行な光を発生させる平行光発生手段と、この平行光発生手段からの光の一部が通過する複数の窓孔を有した遮蔽部材とを備え、この遮蔽部材を移動させて各導入用レンズへの光の入射位置を同時に変更するので、遮蔽部材により必要な部分の光のみを各導入用レンズに入射させることができるようになる。また、遮蔽部材を移動させることで、各々の全反射の位置を変えることなく、入射角度のみを変えることができるようになる。これにより、各導入用レンズの光軸に平行な光を発生可能な光入射手段であれば、どのようなものであっても光源として用いることが可能となる。
請求項7の発明では、上記発明において平行光発生手段は、点光源と、この点光源からの拡散光を各導入用レンズの光軸に平行な光に屈折させる光源用レンズとを有するので、点光源(例えばランプ)の性能により、多くの波長成分を含んだ光を得ることができるようになる。
請求項8の発明では、請求項6又は請求項7に記載の発明において平行光発生手段からの光を、波長に応じて選択的に通過させるフィルタを備えたので、フィルタにより任意の波長の光を自在に抽出することができるようになる。
請求項9の発明によれば、上記請求項5の発明において光入射手段は、レーザー光を発生する複数のレーザー光源を有し、各レーザー光源からのレーザー光を各導入用レンズにそれぞれ入射させると共に、各レーザー光源を同時に移動させて各導入用レンズへのレーザー光の入射位置を同時に変更することで、簡単に全反射角を変えることができるようになる。また、単位面積当たりの出力が強い複数のレーザー光源を使うことで、より強い複数のエバネッセント波を得ることができるようになる。
更に、請求項10の発明の如く導入用レンズを、一つのレンズのうちの必要箇所のみを残して切除して成るレンズ断片とすれば、導入用レンズを必要最小限の大きさとすることができるので、レンズアレイの小型化を図ることができる。
請求項11の発明の観察装置によれば、請求項1乃至請求項10の何れかに記載のエバネッセント波発生装置の各エバネッセント波発生面において発生するエバネッセント波により、複数の測定サンプルの散乱光、及び/又は、蛍光を検出する手段を備えたので、細胞などの観察対象となる複数の測定サンプルの散乱光や蛍光を検出することができるようになる。この場合、前述した如く各導入用レンズにおいて発生する反射光が隣接する他の導入用レンズに入る不都合を防止若しくは抑制しているので、観察時のノイズを効果的に防止若しくは低減できることになる。
また、請求項12の発明の観察装置によれば、請求項1乃至請求項10の何れかに記載のエバネッセント波発生装置において発生するエバネッセント波を用いた表面プラズモン共鳴による複数の反射光強度の変化を検出する手段を備えたので、測定サンプルのプロセスをリアルタイムで定量分析することができるようになる。この場合も、前述した如く各導入用レンズにおいて発生する反射光が隣接する他の導入用レンズに入る不都合を防止若しくは抑制しているので、観察時のノイズを効果的に防止若しくは低減できることになる。
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。
図1は本発明の一実施例のエバネッセント波発生装置1を備えた観察装置Sの構成図、図2は図1の一部拡大図をそれぞれ示している。この観察装置Sは、後述するエバネッセント波発生装置1と、光検出手段20とを備えている。具体的に、本実施例の観察装置Sは、エバネッセント波発生装置1により発せられたエバネッセント波を細胞等の観察対象物質となる測定サンプル(本実施例では測定対象を励起光の照射により蛍光を発する細胞とする)が収容されたサンプル容器40の下面から照射することにより、サンプル容器40の底壁40Bの上面40Cでエバネッセント波を発生させて、このエバネッセント波の発生面である上記サンプル容器40の底壁40Bの上面40から所定の範囲内にある細胞を励起させ、散乱光や蛍光を発生させて、この散乱光や蛍光をサンプル容器40の一方(図1では上方)に配置された光検出手段20にて検出する構成とされている。
実施例のサンプル容器40はガラス製のマイクロプレートであり、図2に示すような複数のウエル40Aを備え、各ウエル40A内にそれぞれ測定サンプルが収容されている。そして、各ウエル40Aの底壁(当該ウエル40Aに対応するマイクロプレートの底壁)40Bの上面40Cでエバネッセント波を発生させ、所定の範囲内にある細胞を励起させ、散乱光や蛍光を発生させて観察するものである。
上記光検出手段20は、エバネッセント波発生装置1からの励起光により各ウエル40A内の細胞から発せられた散乱光や蛍光を同時に、又は、瞬時に検出するための手段である。本実施例の光検出手段20は、細胞からの散乱光や蛍光を集光するためのレンズ又は対物レンズ45と、散乱光や蛍光から特定の波長を除去する光フィルタ(蛍光フィルタ)46と、この光フィルタ46を通過した散乱光や蛍光を結像する図示しない結像レンズと、結像レンズからの光像を二次元的に検出し撮像するCCDカメラ48とから構成されている。尚、散乱光や蛍光を検出する手段は、本実施例の光検出手段に限らず、散乱光や蛍光を検出できるものであればどのような検出手段であっても差し支えない。例えば、実施例ではCCDカメラを用いるものとしたが、フォトダイオード等の受光素子を用いても構わない。
更に、光検出手段として、エバネッセント波を用いた表面プラズモン共鳴による反射光強度の変化を検出する手段を用いるものとしても有効である。具体的に、その場合の観察装置は、この表面プラズモン共鳴現象の原理を利用した観察装置である。当該装置は、プリズムの上面に形成された金属(例えば金)薄膜表面に測定サンプル(細胞)を配置し、この測定サンプルを配置した金属薄膜のプリズム5側の面にプリズム5を介して光(レーザー)を入射させると、金属薄膜と測定サンプルとの境界面に電子の粗密波SP(表面プラズモン)との共鳴が発生する。
このとき、光(レーザー)の入射角度を変化させて金属薄膜のプリズム5側の面で全反射させると、ある特定の入射角度で反射光が減衰する現象、即ち、表面プラズモン共鳴が生じる。この表面プラズモン共鳴が生じる光の入射角度(共鳴角)は、測定サンプルの誘電率に依存するので、この共鳴角を測定、即ち、エバネッセント波を用いた表面プラズモン共鳴による反射光強度の変化を検出することで、金属薄膜表面における測定サンプルを測定することができる。従って、光の入射角度を調整して、共鳴角の変化を測定することで、金属薄膜表面で測定サンプルのプロセス(例えば、抗体と抗原の相互作用)をリアルタイムで定性、定量分析することができる。
次に、前述した本発明のエバネッセント波発生装置について説明する。本発明のエバネッセント波発生装置は、プリズム内に複数条の光を導入し、複数のエバネッセント波発生面においてそれぞれ全反射させるものである。具体的に、本実施例のエバネッセント波発生装置1は、プリズム5と、レンズアレイ30と、光入射手段10とを備え、プリズム5内に複数条の光を導入し、複数のエバネッセント波発生面(本実施例では、エバネッセント波発生面は、サンプル容器40の底面40Bの上面40C)においてそれぞれ全反射させるものである。
実施例のプリズム5は、BK7(SCHOTT GLASS社製)から成るもので、この屈折率は、1.52である。このプリズム5の一面(図1では左側面)は、後述する光入射手段10からの励起光をプリズム5内に入射するための光入射部とされている。
一方、前述したレンズアレイ30は、図2に示すように円形の複数の導入用レンズ6を並設してなるものである。各導入用レンズ6は、当該導入用レンズ6の光軸Lに平行な光が入射した場合に、入射位置に拘わらず、それぞれ光を一点に集中させる屈折機能を有したレンズである。また、各導入用レンズ6は全て光軸Lを平行として並べられている。本実施例では、導入用レンズ6としてアクロマートレンズを用いるものとする。このアクロマートレンズは、光の波長で生じる色収差を補正したレンズである。具体的に、屈折率と色分散の異なる2枚のレンズ(凸レンズと凹レンズ)を貼り合わせて2色(通常は赤と青)の焦点位置のずれを補正したものである。尚、実施例では導入用レンズ6として、アクロマートレンズを用いるものとするが、3枚以上のレンズを組み合わせて、球面収差とコマを修正し、且つ、アクロマートレンズより色収差を小さくしたアポクロマートレンズを導入用レンズ6として用いるものとしても本発明は有効である。
また、この実施例の場合レンズアレイ30は、各導入用レンズ6間及び両端の導入用レンズ6の外側に、それぞれ隔壁(反射光遮断手段)61を備えている。各隔壁61は光が透過せず、且つ、反射も防止若しくは最小限に抑えられる部材(例えば黒色艶消し素材の板材)にて構成されており、各導入用レンズ6のプリズム5側の端部から光入射手段10(後述する遮蔽部材55)側に向けて所定距離延在している。但し、光入射手段10には至らず、光入射手段10の動作には干渉しない。
また、各隔壁61は少なくとも各導入用レンズ6間に介在し、それらの間における光の入射を遮断する。即ち、各隔壁61は、導入用レンズ6のレンズ面において発生した反射光が、隣接する他の導入用レンズ6に入ることを遮るものである。また、各隔壁61は各導入用レンズ6の光軸Lに平行に設けられている。
一方、前述した光入射手段10は、複数条の平行光を発生し、各平行光をレンズアレイ30の各導入用レンズ6にそれぞれ入射させるための手段であり、前記プリズム5内に光を導入、即ち、本実施例ではレンズアレイ30の各導入用レンズ6へそれぞれ入射させ、各導入用ンズ6をそれぞれ通過した複数条の光をプリズム5内に導入するための励起光源と、導入用レンズ6の光軸Lに対して平行に光を入射させながら、光入射手段10をエバネッセント波が発生する面に対する各光の入射角度が変化する方向に同時に移動させる移動手段とを有する。そして、この光入射手段10は、各導入用レンズ6の直径(本実施例では図1に示すD)よりも狭い幅の光を、各隔壁61間を通して各導入用レンズ6に同時にそれぞれ入射させるよう構成されている。
具体的には、この実施例の光入射手段10は、入射位置の変更方向(レンズアレイ30を構成する各導入用レンズ6の直径方向)におけるレンズアレイ30の寸法に対応可能な所定の幅を有し、且つ、各導入用レンズ6の光軸Lに平行な光を発生させる平行光発生手段10Aと、遮蔽部材55とを備える。この遮蔽部材55は、平行光発生手段10Aからの一部の光を各導入用レンズ6にそれぞれ入射させるための部材であり、平行光発生手段10Aからの光の一部を通過させるため、導入用レンズ6の数と同数(複数)の窓孔56(スリット)を有している。各窓孔56は各導入用レンズ6の直径よりも狭い幅を有し、この遮蔽部材55は平行光発生手段10Aとレンズアレイ30の隔壁61との間に配置されている。
そして、この場合はモータ及びラックアンドピニオンギアなどにより構成された移動手段により、実施例では各導入用レンズ6の光軸Lに対して直交する方向に遮蔽部材55を移動させて各導入用レンズ6への光の入射位置をそれぞれ変更する。尚、図1の破線で示す方向に遮蔽部材55を移動させてもよい。これにより、この遮蔽部材55の各窓孔56を通過した光入射手段10(平行光発生手段10A)からの一部の光のみが隔壁61間を通して各導入用レンズ6にそれぞれ入射される。従って、この実施例では光源である平行光発生手段10Aを移動させることなく、遮蔽部材55を移動させることで、入射角度を変更することが可能となる。具体的に、遮蔽部材55を移動させて、遮蔽部材55により必要な部分の光のみが各導入用レンズ6に入射されるように調整することで、各ウエル40Aにおける全反射のポイントを変えることなく、容易に光の入射角度を各ウエル40Aで同時に変えることができるようになる。
上記レンズアレイ30は、光入射手段10とプリズム5との間に配置され、図2に示すようにレンズアレイ30の各導入用レンズ6にそれぞれ入射され、各導入用レンズ6をそれぞれ通過した複数条の光をプリズム5内に導入するよう構成されている。
上述したように、光の一部が通過可能な窓孔56を有した遮蔽部材55を設けて、当該遮蔽部材55を移動することで、各導入用レンズ6への光の入射位置を同時に変更することができるので、各ウエル40Aにおける全反射の位置を変えることなく、入射角度を同時に変えることが可能となる。これにより、各導入用レンズ6の光軸Lに平行な光を発生可能な平行光発生手段であれば、どのようなものであっても光源として用いることが可能となる。
そして、光入射手段10からの複数条の励起光が各導入用レンズ6の何れかの部分に各導入用レンズ6の光軸Lに対して平行に入射されると、各導入用レンズ6を通過した光は各導入用レンズ6への入射位置や波長に拘わらず、屈折してそれぞれある一点に集中することとなる。そこで、当該光が集中する一点にそれぞれのウエル40A内の測定サンプルを配置すると共に、この測定サンプルに照射される各励起光を全反射が生じる角度である臨界角以上の入射角度で入射させて、それぞれ各測定サンプルの臨界面で全反射させ、そのとき、全反射面の上側に発生するエバネッセント波により全反射面から上方の所定範囲内にある各測定サンプルを励起させる。
このように、入射位置や波長にかかわらず、光入射手段10からの複数条の光をそれぞれ一点に集中させる屈折機能を有した複数の導入用レンズ6を並設して成るレンズアレイ30を設けて、光入射手段10から導入用レンズ6の直径Dよりも狭い幅の各光を各導入用レンズ6へ入射し、各導入用レンズ6を通過した光をそれぞれプリズム5内に導入することで、各導入用レンズ6を通過したそれぞれの光は、各導入用レンズ6への入射位置や波長にかかわらず、それぞれ一点に集中することとなる。即ち、光入射手段10からの複数条の光を、如何なる位置で各導入用レンズ6に入射させたとしても、各導入用レンズ6を経た光は、それぞれ必ず一点に集中するので、光入射手段10の位置が変わった場合であっても、それぞれの全反射のポイントは変わらず、各ポイントに入射するそれぞれの光の入射角度のみが同時に変わることとなる。
このように、本発明では光入射手段10からの複数条の光をプリズム5内に導入し、複数のエバネッセント発生面においてそれぞれ全反射させるので、複数のポイント(各ウエル40Aの底壁4Bの上面40C)においてぞれぞれエバネッセント波を発生させることができる。これにより、各ウエル40Aのエバネッセント波の発生面にそれぞれ測定サンプルを配置すれば、各測定サンプルを同時に照明して同時或いは瞬時に観察することができるようになり、観察効率を著しく向上させることができるようになる。
また、光軸Lに平行な光が入射した場合に、入射位置にかかわらず、当該光を一点に集中させる屈折機能を有した複数の導入用レンズ6が並設されて成るレンズアレイ30と、複数条の平行光を発生する光入射手段10とを設け、この光入射手段10からレンズアレイ30の各導入用レンズ6へそれぞれ入射し、各導入用レンズ6をそれぞれ通過した複数条の光をプリズム5内に導入すると共に、各導入用レンズ6の光軸Lに対して同時に平行に入射させながら、図1の実施例におけるエバネッセント波が発生する面であるサンプル容器40の底壁40Bの上面40Cに対する光の入射角度を変更する方向に移動させる移動手段を有し、各導入用レンズ6の直径よりも狭い幅の光を各導入用レンズ6に入射させるようにしているので、各々の全反射のポイントが変わることなく、複数条の光の入射角度のみを同時に変更することが可能となる。
これにより、複数の測定ポイントに対する入射角度の調整に伴う作業を著しく簡便に行うことが可能となる。ここで、直径が大きい単一の導入用レンズに複数条の光を導入する場合は、導入用レンズの焦点に複数条の光が集約して多点観測できなくなるが、この発明の如く複数の導入用レンズ6を並設してレンズアレイ30を構成し、各導入用レンズ6にそれぞれ光を入射させるようにしているので、各導入用レンズ6への光の入射位置を変化させることで、各測定ポイント(各ウエル40Aの底壁40Bの上面40C)に対する光の入射角度を顕著に変化させることができるようになる。
特に、レンズアレイ30に、隣接する各導入用レンズ6間に設けられた隔壁61を設けているので、各導入用レンズ6において発生した反射光を隔壁61によって遮断し、当該反射光が隣接する他の導入用レンズ6に入る不都合を防止若しくは抑制することが可能となる。これにより、ノイズの発生など、反射光が観察装置Sによる測定サンプルの観察に及ぼす悪影響を低減することができるようになる。
次に、本発明の他の実施例について図3を用いて説明する。尚、図3において図1、図2と同一の符号が付されているものは、同様、或いは、類似の効果を奏するものとして説明を省略する。図3に示す本実施例の光入射手段60の平行光発生手段65は、点光源67(例えば、キセノンランプ、水銀ランプ等)と、光源用レンズ68とを有する。この光源用レンズ68は、点光源67からの拡散光を各導入用レンズ6の光軸Lに平行な光に屈曲させるためのレンズであり、点光源67と遮蔽部材55との間に配設されている。遮蔽部材55は、図1、図2に示す前記実施例1と同様であるため説明を省略する。
この場合、点光源67の光は、点光源(例えばランプ)の性能により、多くの波長成分を含んだ光であり、且つ、拡散光であるが、光源用レンズ68を通過させることで、当該拡散光を屈折させて、各導入用レンズ6の光軸Lに平行な光とすることができる。即ち、点光源67からの拡散光は、光源用レンズ68を通過する過程で各導入用レンズ6の光軸Lと平行な光とされた後、遮蔽部材55により必要な部分の光のみが隔壁61間を通って各導入用レンズ6にそれぞれ入射されるように調整される。これにより、各導入用レンズ6に当該導入用レンズ6の光軸Lと平行な必要な部分の光を入射させることが可能となる。また、各導入用レンズ6を通過した光は前記実施例で詳述したようにそれぞれ一点に集中される。これにより、点光源を用いた場合であっても、上記で詳述した本実施例の如き構成とすることで、各ウエル40Aにおける全反射のポイントを変えることなく、容易に光の入射角度を変更することができるようになる。
尚、本実施例、或いは、前記実施例1において、例えば、本実施例の構成において、図4に示すように平行光発生手段65と各導入用レンズ6との間に平行光発生手段65からの光を波長に応じて選択的に通過させるフィルタ70(例えば、バンドパスフィルタ等)を設置するものとすれば、複数の波長を含む光を光源として用いた場合であっても、当該フィルタ70により必要とされる特定の波長以外の光をカットし、当該特定の波長の光(予め設定された波長の光)のみを通過させることができる。このようにフィルタ70を設けることで、複数波長の光を含む光源からの光から任意の波長の光を自在に選択することができるようになる。
尚、上記各実施例では、光入射手段10、60を平行光発生手段10A、65と遮蔽部材55とで構成したが、本発明の請求項1の発明に記載の光入射手段は、これに限定されるものではない。図5及び図6は、この場合の一実施例を説明する図である。尚、図6は図5の光入射手段50及びレンズアレイ30の拡大図であり、この図及び図5において図1乃至図4と同一の符号が付されたものは、同様、若しくは、類似の効果、或いは、作用を奏するものとして、説明を省略する。
本実施例の光入射手段50は、前述した励起光源として、レーザー光を発生するレーザー光源(例えば、固体レーザーなど)を用いる。即ち、この実施例の光入射手段50は、それぞれ平行なレーザー光(導入用レンズ6の直径よりも狭い幅のレーザー光)を発生する複数のレーザー光源52を有し、各レーザー光源52からのレーザー光を、隔壁61間を通して導入用レンズ6にそれぞれ同時に入射させると共に、各レーザー光源52を同時に移動させて各導入用レンズ6へのレーザー光の入射位置を同時に変更可能に構成されている。
具体的に、上記移動手段は例えばモータとラックアンドピニオンギアなどから構成されており、レンズアレイ30の各導入用レンズ6の光軸Lに対して平行に光を入射させながら、エバネッセント波が発生する面であるサンプル容器40の各ウエル40Aの底壁40Bの上面40Cに対する複数条の光の入射角度を変更する方向に、レーザー光源52を同時に移動させるものであり、本実施例では、図5に実線矢印で示すように各導入用レンズ6の光軸Lに対して直交する方向に各レーザー光源52を移動可能に構成されている。尚、本実施例の移動手段は、各導入用レンズ6の光軸Lに対して直交する方向に同時に複数条の光を移動させるものであれば良く、例えば、図1に破線矢印で示したような方向に移動するものであっても有効である。
そして、光入射手段50の各レーザー光源52からの複数条の励起光(レーザー光)を各導入用レンズ6の何れかの部分に各導入用レンズ6の光軸Lに対して平行に入射させると、各導入用レンズ6を通過した光は各導入用レンズ6への入射位置や波長に拘わらず、屈折してそれぞれある一点に集中する。そこで、当該光が集中する一点にそれぞれのウエル40A内の測定サンプルを配置すると共に、この測定サンプルに照射される各励起光を全反射が生じる角度である臨界角以上の入射角度で入射させて、それぞれ各測定サンプルの臨界面で全反射させ、そのとき、全反射面の上側に発生するエバネッセント波により全反射面から上方の所定範囲内にある各測定サンプルを励起させる。
このように、この場合も入射位置や波長にかかわらず、光入射手段50からの複数条のレーザー光をそれぞれ一点に集中させる屈折機能を有した複数の導入用レンズ6を並設して成るレンズアレイ30を設けて、光入射手段50から導入用レンズ6の直径Dよりも狭い幅の各光を各導入用レンズ6へ入射し、各導入用レンズ6を通過した光をそれぞれプリズム5内に導入することで、各導入用レンズ6を通過したそれぞれのレーザー光は、各導入用レンズ6への入射位置や波長にかかわらず、それぞれ一点に集中することとなる。即ち、光入射手段50からの複数条のレーザー光を、如何なる位置で各導入用レンズ6に入射させたとしても、各導入用レンズ6を経たレーザー光は、それぞれ必ず一点に集中するので、光入射手段50の位置が変わった場合であっても、それぞれの全反射のポイントは変わらず、各ポイントに入射するそれぞれのレーザー光の入射角度のみが同時に変わることとなる。
特に、この場合は励起光としてレーザー光を用いているので、単一面積当たりの出力が強い複数のレーザー光により、複数の強いエバネッセント波を得ることができるようになる。
この場合もレンズアレイ30に、隣接する各導入用レンズ6間に設けられた隔壁61を設けているので、各導入用レンズ6において発生した反射光(レーザー光)を隔壁61によって遮断し、当該反射光が隣接する他の導入用レンズ6に入る不都合を防止若しくは抑制することが可能となる。これにより、ノイズの発生など、反射光が観察装置Sによる測定サンプルの観察に及ぼす悪影響を低減することができるようになる。
次に、図7及び図8は前記各実施例のレンズアレイ30の他の実施例を示している。この場合、導入用レンズ6は、前述した隔壁61と同様の素材にて構成された筒体62内に収納されており、係る導入用レンズ6が収納された筒体62(反射光遮断手段)を複数並設して構成されている。即ち、この場合は筒体62の周側壁が前述した隔壁を構成することになる。
そして、光入射手段50(光入射手段10、光入射手段60でも同様)からの複数条の平行光を各筒体62にそれぞれ入射させる。これにより、それぞれ導入用レンズ6を収納した筒体62を複数用意して並設することにより、極めて容易にレンズアレイ30を構成することができるようになる。また、この場合は導入用レンズ6の周囲が必ず遮蔽されることになるので、隣接する導入用レンズ6からの反射光を極めて効果的に排除できるようになる。
次に、図9は前記各実施例の光入射手段10、光入射手段60の他の実施例を示している。この場合、遮蔽部材55は励起光の進行方向(導入用レンズ6の光軸L方向)に所定の厚さ寸法を備えたブロック体(反射光遮断手段となる)により構成されており、窓孔56(導入用レンズ6の光軸Lに平行)は複数条の励起光を、導入用レンズ6に入るまでの間、相互に隔離するための所定の距離(遮蔽部材55の厚さ分)を有した通路にて構成されている。そして、遮蔽部材55はレンズアレイ30を構成する導入用レンズ6に可能な限り近接して設けられる(移動可能な状態は維持される)。
このような構成としたことで、光入射手段10から発せられた複数条の励起光は、相互に隔離された状態で各導入用レンズ6にそれぞれ入射することになる。これにより、励起光源からの平行光以外の光の入射が遮断されるので、同様に各導入用レンズ6において発生した反射光が隣接する他の導入用レンズ6に入る不都合を防止若しくは抑制することが可能となり、ノイズの発生など、反射光が観察に及ぼす悪影響を低減することができるようになる。
また、このような構成とすることで、レンズアレイ30に前述したような隔壁61や筒体62を設ける必要は無くなる。尚、光入射手段50に適用する場合には、レーザー光源52の移動と共に遮蔽部材55も移動することになる。
次に、図10は前記各実施例のレンズアレイ30を構成する各導入用レンズ6の他の実施例を示している(図ではレーザー光源と筒体の例で説明している)。この場合、各導入用レンズ6は、一つの円形のレンズを全て使用するのでは無く、導入用レンズ6の光軸Lに平行な面で、実施例では半分に切断された断片を用いる。即ち、この場合の各導入用レンズ6は、エバネッセント波発生ポイントに入射する励起光の入射角度を変更するために必要な箇所(実施例では中心から半分)のみを残して切除されたものを用いている。
そして、この場合の励起光はこのように切断された半分の寸法の導入用レンズ6の半径よりも幅の狭いものとされる。
このように各導入用レンズ6を、一つのレンズのうちの必要箇所のみを残して切除して成るレンズ断片とすれば、各導入用レンズ6を必要最小限の大きさとすることができるので、当該導入用レンズ6を複数並設した場合に、レンズアレイ30の小型化を図ることができるようになる。
尚、上記各実施例ではサンプル容器としてガラス製のマイクロプレートを使用したが、材質はそれに限らず、また、区画されていない容器の複数箇所にそれぞれ測定サンプルを配置してもよく、更に、複数の容器を使用し、それぞれに測定サンプルを収容する場合や、容器を用いずにプリズム上に直接複数の測定サンプルを配置する場合にも本発明は有効である。
本発明の一実施例のエバネッセント波発生装置を備えた観察装置の構成図である。(実施例1)
図1のエバネッセント波発生装置の一部拡大図である。
図1の観察装置の他の実施例のエバネッセント波発生装置の説明図である(実施例2)。
図1の観察装置のもう一つの他のエバネッセント波発生装置を説明する図である。
図1の観察装置の更にもう一つの他のエバネッセント波発生装置を説明する図である(実施例3)。
図5のエバネッセント波発生装置の一部拡大図である。
図1の観察装置の更にもう一つの他のエバネッセント波発生装置を説明する図である(実施例4)。
図7のエバネッセント波発生装置の一部拡大図である。
図1の観察装置の更にもう一つの他のエバネッセント波発生装置を説明する図である(実施例5)。
図1の観察装置の更にもう一つの他のエバネッセント波発生装置を説明する図である(実施例6)。
S 観察装置
1 エバネッセント波発生装置
5 プリズム
6 導入用レンズ
10、50、60 光入射手段
20 光検出手段
40 サンプル容器
40A ウエル
40B 底壁
45 対物レンズ
48 CCDカメラ
61 隔壁
62 筒体