JP5174660B2 - Hivインヒビターとしての1’−[2’−3’−ジデオキシ−3’c−(ヒドロキシメチル)−ベータ−d−エリトロペントフラノシル]シトシン誘導体 - Google Patents

Hivインヒビターとしての1’−[2’−3’−ジデオキシ−3’c−(ヒドロキシメチル)−ベータ−d−エリトロペントフラノシル]シトシン誘導体 Download PDF

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Description

本発明は、HIVなどのレトロウイルス、特に、薬物回避突然変異体の治療における新規な二環式テトラヒドロフラン誘導体およびその使用に関する。
プロテアーゼインヒビターまたは非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターなどの他のHIV抗ウイルス薬とは異なって、ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI)は、その投与された形態では薬理学的に不活性であり、活性三リン酸代謝産物を産生するために宿主の細胞キナーゼによるリン酸化を必要とする。この三リン酸体は、ウイルス逆転写酵素の天然のデオキシヌクレオチド三リン酸基質に似ており、ウイルスDNAへのHIV−1 RT結合および取り込みに競合する。
HIVの治療用として承認されたすべてのNRTIならびに特許または学術文献で提案された他のNRTIすべての大部分は、ヌクレオシドのリボース部分において3'−ヒドロキシ官能基を欠いている。例として、ジドブジン(AZT)、スタブジン(d4T)、ラミブジン(3TC)、ザルシタビン(ddC)、アバカビル(ABC)、ジダノシン(ddI)およびテノホビル(TNF)(後者は、フマル酸ジソプロキシルのプロドラッグとして、代表的に投与される)が挙げられる。リン酸化に際して、このようなヌクレオシドまたはヌクレオチド類縁体は、逆転写酵素によって新生DNA鎖へ共有的に結合されるが、ヌクレオシドまたはヌクレオチドにおける3'−ヒドロキシル官能基の欠如が、追加のヌクレオチドのさらなる付着を防止する。したがって、これらのNRTIは、ウイルスDNA鎖伸長を終結させ、それによってHIV複製の阻害をもたらす(Mitsuyaら、1990、Jacob Molinaら、1993、Reardon 1993)。
現行の抗レトロウイルス療法(ART)はすべて、NRTIの使用である。しかし、NRTIは、血流中のHIV増殖を遅らせることができるだけであり、今まで、患者からHIVを根絶することはできていない。HIVは、そのDNAをヒト免疫記憶に関与する潜在的宿主細胞に挿入することによって機能する。感染のこのモードは、療法が終了した後の回復からHIV力価を妨げるために、患者が生涯にわたってHIV抗ウイルス薬を服用せざるをえないことを意味する。
しかし、実際には、ある患者にとっての特定のHIV薬の効果的な投与期間は、「回避突然変異体」の出現によって劇的に限定される。回避突然変異体は、薬物耐性を生み出し、薬物の存在下で増殖することを可能にする、個別的な一群の突然変異を含むウイルスである。回避突然変異体は、患者が服用している特定の抗ウイルス薬の選択圧により患者に発生する。結果として、薬物の有効投与期間は、回避突然変異体がどれだけ素早く発生し、増殖するかに依存する。
常にHIV抗ウイルス薬を処方している国々では、HIVの新規患者における一次感染が、野生型のHIVによるものではないことが多く、むしろ、部分的または多様に、現在の抗ウイルス薬に耐性がすでにあることがますます明らかになっている。言い換えれば、感染した患者において原位置で発生した回避突然変異体が、水平または垂直感染によって初回患者に伝播することもできる。同様に、これは、他の言い方で治療未経験として分類される患者でさえも、慣例の第一選択薬に耐性のあるウイルスにすでに感染していることを意味する。
複数の因子が、総HIVプールサイズ、ウイルスゲノム複製におけるRT処理能力および非忠実度、ウイルス適応性および標的細胞の多重アベイラビリティーなどの薬物回避突然変異体の選択に寄与している。1990年代までに、ジドブジン(AZT)またはスタブジン(d4T)に基づく組み合わせの長期使用からの証拠から、RTにおける特定の突然変異の群が、一貫して生み出されることが示唆された。これらの突然変異群は、現在チミジンアナログ突然変異(TAM)として知られているプロトタイプである。TAMsの存在は、さらなる突然変異を選択する可能性を高め、チミジンアナログのファミリーであることが明らかではない、より進行したNRTI耐性表現型の発生をもたらす。このような表現型は、現在、ヌクレオシドアナログ突然変異(NAM)および多剤耐性(MDR)HIVとして知られている。
NRTI耐性についての仮説
AZTは、最初の広範に用いられる抗レトロウイルス薬であり、予想通り、最初に回避突然変異体を生み出した(Larderら、1989)。しかし、典型的な患者の分離株におけるHIVゲノム全体にわたる多数の突然変異を考慮すると、特定のTAMを有する組換えRT酵素を用いてインビトロ耐性表現型を作成することは不可能である。結果として、TAMsが耐性を授与するメカニズムを解明するのは容易ではない。TAM耐性の背後にあるメカニズムについての種々の仮説モデルおよび理論的予測が、ピロリン酸塩供与体による求核攻撃の関与において叙述されている(Boyerら、2002 and Meyerら、2002)。おそらくRT転座理論は、TAM関連耐性メカニズムを理解することにおいて1つの重要な段階である。しかし、このことは、RT転座前および転座後中間体が一過性で短命であり、実験的に容易に接近できないので、2002年の終わりまでは十分に理解されていなかった。
RT転座理論の現代の理解は、RT触媒DNAポリメリゼーションが、Sarafianosら(2003)が採用した図3に示すような精密なカスケード様式で起こると考える。これらのステップは、以下のようである:
1)遊離の酵素EによるDNA基質の結合が、3'−プライマー末端をP部位(プライマー部位)に置く。
2)N部位(dNTP部位)に近いdNTPの結合が、「開(open)」三重複合体を形成する。
3)酵素コンホメーション変化によって、「閉(closed)」三重複合体が形成される。
4)3'−OHプライマー末端とdNTPのアルファリン酸との間のホスホジエステル結合の形成は、ピロリン酸塩(PPi)の放出をともない、N部位において転座前RT複合体を形成する。
5)次のdNTP結合およびDNA合成の継続のための必要条件である転座後複合体を形成することによるN部位からP部位へのプライマー末端の転座。
DNA鎖ターミネーターヌクレオシド(NRTI)三リン酸塩(典型的には、デオキシリボース部分における3'−ヒドロキシ官能基を欠いたヌクレオシドアナログ)を用いるならば、それは、その天然のdNTP対応物を模倣し、RTに結合する。類似の化学的プロセシングの後、取り込まれたNRTIは、ポリメリゼーションのN部位において転座前複合体を形成する。これは、NRTIのデオキシリボース部分における3'−ヒドロキシルプライマーの欠如により、さらなるDNA合成を終結させる。
対照的に、TAM関連RT突然変異は、野生型RTに比べて異なるヌクレオチド取り込みメカニズムを利用する。特に、新規メカニズムは、プライマー末端に取り込まれたNRTIの放出(切り取り)をもたらし、NRTIの鎖終結活性を無効にする。この新規メカニズムは、転座前状態の複合体の蓄積(N部位における)と、感染部位、すなわち正常なリンパ球において豊富であることが多いATPまたはピロリン酸塩供与体のアベイラビリティーとの間の相互作用に依存する。
ATPまたはピロリン酸塩は、通常は、ウイルスのDNAポリメリゼーション反応に関与しないが、TAM関連耐性表現型を発現しているRTの構造は、新たに取り込まれたNRTIに隣接する部位へのその侵入を促進する。転座前と転座後の動力学的種類の間の平衡は、N部位へのプライマー末端の自由な接近を確実にするメカニズムを提供し、NRTI鎖ターミネーターの取り込みおよびピロリン酸塩の放出後のP部位におけるピロリン酸塩供与体ATPの同時結合を可能にする。これが起こるとき、ATP(またはピロリン酸塩)は、DNAの末端に取り込まれたNRTIを連結するホスホジエステル結合を攻撃し、加ピロリン酸分解を介するNRTIの除去をもたらす。ピロリン酸塩供与体がATPである場合、NRTIは、ジヌクレオシド四リン酸塩産物として放出される。図4は、AZT−終結DNA(ClinicCareOptionsTMから入手)におけるこの「プライマースキュー」を示す。
今や、NRTIに対する表現型耐性には、2つの別のメカニズムが関与していると考えられる(Sluis−Cremerら、2000)。第1の「プライマーレスキュー」活性として知られるものは、すぐ前に記述したものである。ここで、鎖終結ヌクレオチドは、ATP依存性またはリン酸塩依存性加ピロリン酸分解を介してプライマー末端の3'末端から除去される。しかし、「区別的突然変異体(discriminative mutant)」で示される耐性表現型のもう1つの群がある。これらの突然変異体は、増強された、NRTIと天然のdNTPを区別する能力をもつRTを有する。この場合、該メカニズムによって、的確な基質(すなわち、dNTP)を優先的に選択しうるRTがもたらされ、そのことによって、NRTIによる鎖終結が回避され、ウイルスゲノムの増殖が確実になる。
HIVにおける突然変異の発生
HIVなどのレトロウイルスは、急速な遺伝子多様化能力をもつ。これは、エネルギー的に非効率的プロセスであるが、微生物への明らかな適応利点を提供する。HIVによって用いられる複製機構は、多数の突然変異を発生し、特に変異性であり、微生物が選択圧下にある場合に、突然変異の蓄積をもたらす能力をもつ。
一般に、ウイルス複製によって発生する圧倒的多数の突然変異は、生存能力の低い酵素をもたらす。ここで、第2の突然変異が蓄積しなければならない範囲内での確率が低い突然変異のための集団プールは、より速く増殖する野生型微生物によって希釈されるので、第2および特に第3の突然変異の蓄積は確率が低い。
さらに生存能力のあるウイルス突然変異体が発生し、2つの可能な経路によって広がることができる。第1の経路は、全ウイルス集団中にすでに存在する耐性の高い変異体の急速な生長がある場合に起こる。これが、選択圧に表現型耐性を授与する単一点突然変異であることが最も頻度が高い。薬物回避突然変異に関連して、例として、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターであるネビラピンによって急速に誘発されたK103が挙げられる。
第2の経路は、選択圧下で継続されたウイルス複製がある場合に起こる。これは、次に広がりうる、突然変異の進行性蓄積を可能にする。この場合、突然変異蓄積の確率は、起こっているウイルス複製の量に関連する。すなわち、より高いウイルス負荷(たとえば、>200、000 コピー/ml)において、二重突然変異の蓄積が起こりうる。しかし、三重突然変異の蓄積は、まれであり、典型的には、患者がそれを順守するのが困難である、数種の異なる薬物を含む複合的療法計画の結果としてのみ得られる。したがって、すべての活性成分が、毎日の「24時間トラフ濃度」で全24時間にわたって、血液中に必要な阻害濃度以上のレベルで存在するのを確実にするのは、熱心な患者にとってさえも非常に困難である。ここで、1つ以上の薬物の24時間トラフ濃度での投与の廃止による、薬物処置の選択圧のいずれか1つの一時的除去は、抑制の効かないウイルス複製を可能にし、それによって多くの新しい突然変異の発生および定着が許容される。選択圧が再度適用される場合(すなわち、複合薬物療法の再開)、よりよい薬物耐性を授与するもう1つの点突然変異を蓄積した少数の新しい突然変異が、第1の経路で見られるものと同様の方法で広がることができる(上記参照)。
上記議論は、たとえば、欠失または付加突然変異とは対照的に、点突然変異の蓄積に焦点を合わせている。しかし、ここに、三重突然変異について記載したのと同様のシナリオを適用することができる。すなわち、大部分の欠失/付加突然変異には、最初、単一のヌクレオチドが関与する。このことは、もし変化がコーティング領域内で起こり、切断型および/または不活性タンパク質がもたらされるならば、コードされるタンパク質の下流アミノ酸配列を完全に変化させるという効果を有する。リーディングフレームを保存し、単一のアミノ酸の欠失または付加によって最終タンパク質を変化させるためには、3つのヌクレオチドが欠失/付加されなければならない。不活性な酵素は、特に、影響を及ぼされる酵素がRTである場合、HIV微生物の生存能力を低下させるので、欠失/付加は、それ自体蓄積しないが、同時に起こらなければならない。言い換えれば、1つのイベントにおいて三重突然変異の等価物が起こらなければならず、そのことは、非常にまれである(Boyerら(2004)J Virol 78(18):9987−9997を参照、これは、全体として参照することにより本発明に援用される)。
三重突然変異蓄積/導入のためのこのプロセスの結果として、特に強力な多剤耐性を作り出す、RTに少なくとも3つの突然変異を提示しているHIVウイルスが定着するのは比較的最近である。たとえば、米国では、FDAが併用剤療法(ddCとAZT)の使用を承認する1992年であった。さらに、臨床試験がAZTとddCまたはddIとの併用がAZT単独よりも有効であることを明らかにしたのは1995年9月からである。西洋で今日知られている多剤耐性HIVウイルス特に問題のある株がうみだされたのは、多剤が用いられるが、個々の薬物の適切な24時間トラフ濃度を有効に保証することが不可能な投薬管理における併用療法の使用の結果としてのみである。
プライマーレスキュー突然変異
最初に記載されたTAMプライマーレスキュー突然変異は、一群の6種の薬物耐性表現型内でRT上のアミノ酸位置M41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/FおよびK219Q/Eにおいて多様な順列置換を含んだ(LarderおよびKemp、1989、Schinaziら、2000)。初期のデータは、両方が未知の因子によって生じる、多重TAMプライマーレスキュー変異体の発生にいたる2つの別個の突然変異経路を指摘した。第1の経路は、コドン210におけるアミノ酸置換(210W)をもたらし、コドン41における突然変異(41L;98%以上)および215における突然変異(215Y;94%以上)ならびにコドン67における置換(67N)を優先的に伴った。第2の経路は、コドン219における突然変異(219K/E)を生み出し、コドン67における突然変異(67N)およびコドン70における突然変異(70R)を優先的に伴った(Yahiら、1999)。したがって、2つの表現型パターンがあった:(1)L210W、M41L、T215Y/F、±D67N(AZTおよびd4Tに対する高レベルのウイルス耐性を授与する)および(2)K219K/E、D67N、K70R(AZTおよびd4Tに対する中レベルのウイルス耐性を授与する)。
Marcelinら(2004)は、ウイルス学的失敗の患者におけるTAMプライマーレスキュー関連突然変異をまとめた。ここでは、1098 RT配列を調査し、図1および図2に示すような2つの遺伝子型パターンを得た。療法に先立って異なる遺伝的背景が存在しているとはいえ、薬理学における個々の差異と組み合わせた場合に着手される抗レトロウイルス療法の順序および較正は、AZTおよびd4Tのみならず、他のNRTIに対するウイルス耐性をも引き起こす。存在する突然変異パターンに応じて、薬物耐性として、アバカビル(ABC)、ジダノシン(ddI)、テノホビル(TNF)、ラミブジン(3TC)、エムトリシタビン(FTC)およびザルシタビン(ddC)が挙げられた。したがって、プライマーレスキュー関連TAMの出現は、より顕著な耐性HIV遺伝子型パターンのさらなる発生において重要な役割を演じることが多い。したがって、多重ヌクレオシド耐性の防止における1つのステップが、プライマーレスキュー関連TAMの蓄積を回避することを目的にした新たなHIVを発現させることになる。
プライマーレスキュー関連TAM突然変異は、典型的に抗レトロウイルス併用療法(別名カクテル療法として知られる)から出現する回避突然変異体の他のファミリーと同時に進化することができる。今日、カクテル「コンビビル(combivir)」(AZT+3TC)が、HIV初回患者の治療のために最も頻繁に用いられ、第一選択薬処方を推奨される。しかし、それは、両方の薬物に耐性がある回避突然変異体をもたらす。たとえば、Millerら(1998)は、M184V突然変異をもつ3TC耐性ウイルスが、AZT+3TC併用療法の開始後わずか4−12週間で選ばれることを報告した。やがて、今日、治療経験患者に通常見出される、M184V、M41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/FおよびK219Q/Eという特徴的な遺伝子型パターンを生じさせる、さらなるAZT関連突然変異が徐々に出現する。RTのH208、R211およびL214位置(Sturmerら、2003)およびG333位置(Kempら、1998)におけるさらなる突然変異が、AZT−3TC二重耐性に関与し、特に、AZTに耐える能力を増加させることが報告されている。したがって、プライマーレスキュー関連TAMの遺伝子型構成は、M184V、M41L、D67N、K70R、H208Y、L210W、R211K、L214F、T215Y/F、K219Q/EおよびG333Eの内の順列を包含するように拡大されている。
治療経験患者において一般的に見られる他のタイプの突然変異は、V118IおよびE44D/Aである。これらの突然変異は、ddIおよびd4Tに先に曝露されていることに強く相関している。さらに、それらは、M41L+T215Y/FまたはD67N+L210Wなどの特定のTAM群の存在を伴うことが多い。結果は、チミジンアナログのファミリーに対するプライマーレスキュー関連TAM耐性の増加ならびにAZT+3TCに対する二重耐性における特殊な役割である(Montesら、2002、Girouardら、2003)。
薬物回避突然変異体の罹患率は、療法の経過中に用いたNRTIの数に応じて増加し、M41L、E44D/A、D67N、K70R、V118I、M184V、H208Y、L210W、R211K、L214F、T215Y/F、K219Q/EおよびG333Eの内の種々の順列を含む拡大されたTAMまたはNAMのパターンを形成する。この群は、AZT−およびd4T−含有併用療法でも通例効果がなく、NRTIのすべてのクラスに交差耐性がある。
チミジンアナログ、特にAZT、d4TおよびTNFに対する著しい耐性は、TAMと同時に起こるT69Gにおけるアミノ酸置換に関連することが多い、RTのフィンガー領域の位置67(Δ67)でのアミノ酸欠失を有する回避突然変異体においても見出される。この特定の遺伝子型に不随する強化されたRTポリメリゼーション活性が、増加された耐性を引き起こす、より有効な加ピロリン酸分解依存性プライマー切除(前述)をもたらすことが提案され、Boyerら(2004)は、TAMと同時に起こるΔ67が、TAM単独と比べて、プライマーレスキュー(切除)ウイルスAZTおよびTNF耐性を促進する能力を増加させることも観察している。
HIVは、抗レトロウイルス療法が発達するにつれて共進化している。二重および三重ヌクレオシドアナログカクテルをHIVの臨床管理において、特に初回患者において用いた場合、新たな突然変異表現型が出現した。食物とともに、あるいは食物なしで、日中の種々の時点で服用される複数の薬物を必要とする複合的治療計画は、患者にとって困難である。24時間トラフの失敗をもたらす、これらの投与計画に正確に従うことに対する失敗が、ウイルス獲得NAMまたはMDRの結果として優勢に、複数のNRTI耐性HIVウイルスの出現を促進している。たとえば、多くのグループ(たとえば、Masら、2000)が、AZTの使用に伴う突然変異T69S−XXウイルスの出現を観察している。この突然変異は、そのRTコーティング領域において、アミノ酸69および70を特定する核酸の間に6−bpの挿入を有する。得られる二重アミノ酸挿入複合体(典型的には、SS、SGまたはAG挿入)は、AZTに対するウイルス耐性を生じないのみならず、d4T、3TC、ddI、ddCおよびABC、およびTNFなどのNRTIのコレクションのほとんどすべてに対して耐性を生じない。増強された加ピロリン酸分解依存性プライマーレスキューが、特に、TAMの存在下で、T69S+二重アミノ酸挿入とともに見られる。この表現型は、典型的に、「M41L/T215Y」または「M41L/L210W/R211K/L214F/T215Y」耐性表現型を伴い、多重ヌクレオシド耐性において重要な表現型の役割を演じる(Meyerら、2003)。
もう1つのクラスのMDRは、コドンQ151Mにおいてアミノ酸置換を有する。この突然変異は、臨床において比較的低い頻度で観察され、A62V、V75I、F77L and F116Yという第2の突然変異と一緒に存在することが多い。しかし、それは、ほとんどすべてのクラスのNRTIに対する重要な耐性を授与する。さらに、それは、TAMに、典型的には、「M41L、L210WおよびT215Y/F」または「D67N、K70RおよびK219K/E」遺伝子型に付随して観察されている。それは、AZT/ddIおよびAZT/ddC併用療法による強い治療を経験している患者に出現する。
L74Vは、ddI単剤療法によって最も頻繁に選ばれ(Martinら、1993)、ABCおよび3TC交差耐性を示す。ウイルス回避を生み出すことにおけるその効果は、他の突然変異の存在に依存する。L74V突然変異は、ウイルス複製において減少効果を引き起こし、多数のTAMを含むAZT耐性ウイルスを再感作する(St.Clairら、1991)と考えられていたにもかかわらず、耐性調査は、L74Vの頻度が、典型的にはM41L、L210WおよびT215Y/Fバックグラウンドにおいて、TAMと著しく関連する(Marcelinら、2004)ことを示唆する。HIV−1 RTにおけるL74VおよびM184V突然変異の組み合わせは、ABCおよびddIの両方に対する耐性にともなう最も頻繁におこるパターンである(Harriganら、2000 and Millerら、2000)。
高レベルのABC耐性は、K65R、L74V、Y115FおよびM184Vを含む多重突然変異を典型的に必要とするが、単一突然変異であるM184Vが最初に出現することが多い。現在、薬物回避耐性の区別メカニズムにおける重要な突然変異として認識されているこの突然変異は、ABC感受性を中程度減少させる(Tisdaleら、1997)。全部で562名の患者に、ABCまたはddIとともにAZTおよび3TCをランダムに投与したCNA3005試験は、AZTおよび3TCプラスABC治療群におけるTAMを保有する患者の比率のゆっくりではあるが着実な増加を明らかにした。第48週までに、56%以下の患者が、急速に誘発されたM184V突然変異以外に、少なくとも1つのプライマーレスキュー関連TAM(1xTAM)を有し、このことはプライマーレスキュー関連耐性の出現を妨げることの重要性を説明している。同様に、3TC選択圧下で67、70、215および219という遺伝子型パターンを有するAZT耐性ウイルスのインビトロ継代は、M184V突然変異の選択をもたらし、ABCに対する交差耐性を与えた(Tisdaleら、1997)。このことは、再度、既存のプライマーレスキュー関連TAMを治療し、プライマーレスキュー関連TAMの蓄積を妨げることが、多重ヌクレオシド耐性の発生を回避することにおいて、極めて重要なステップであるという概念を強調する。
K65R突然変異が、TNFまたはABCを投与されている患者の非常に高い割合においてすぐに現れることがますます明らかになってきている。Valerら(2004)は、K65Rが、マドリッド病院において、1997−2000年の間の<1%から、2003年には7%に、2004年の最初の4ヶ月には12%に罹患率が増加したことを報告した。K65R突然変異体の影響は、ABC、3TC、ddIおよびddCへの感受性の減少に伴う他の突然変異の存在下で悪化する(Parikhら、2003)。さらに、めったに起こらないが、プライマーレスキュー関連TAMのK65Rの同時出現は、AZTよりもTNFのプライマーレスキュー(切除)において深刻な影響をもたらす(Naegerら、2001)。TNFは、TAM群がM41LまたはL210W突然変異を含まない限り、3xまでのTAMをもつHIV−1に対して活性であることが報告された。現在のところ、なぜ、本来、TNFおよびABCへの感受性に関してプライマー切除突然変異体を妨げると考えられるTAMがK65Rの影響のいくつかを逆行させることができるのかは不明である。
最後に、T69D突然変異が、最初は、そのddC耐性を引き起こす役割について同定された。該変異には、T215Y突然変異および別のプライマーレスキュー関連TAM遺伝子型と組み合わせて起こる場合に、ddIへの応答の減少が伴うことも報告されている。
長年、WHOおよびDHHS(米国保健社会福祉省)は、3TC+ネビラピンまたはエファビレンツと併用してのd4TまたはAZTからなる、初回患者の治療における第一選択抗レトロウイルス薬を推奨している(HIV−1感染成人および青年における抗ウイルスレトロウイルス薬の使用のためのガイドライン、2003年7月14日および2004年3月23日)。しかし、相当な数のHIV感染患者が、最初の高活性抗ウイルス療法(HAART)処方計画中に治療の失敗を経験しており、これらの患者がすでに薬物回避ウイルスに感染していることを示唆する。プライマーレスキュー関連TAM耐性突然変異体は、薬物耐性の発生において極めて重要な役割を演じ続けている。したがって、プライマーレスキュー関連TAM耐性突然変異体の影響に対抗することができる薬物または療法の開発によって、初回患者を治療するための既存のNRTIの使用の薬効を高めるかまたは延長することができ、また、プライマーレスキュー関連耐性突然変異体を保有するHIV感染集団を治療するのにも用いることができる。
プライマーレスキュー突然変異体を予防/阻害するための薬物方策
プライマーレスキューおよび区別的突然変異は、現行の治療方策が主因で、同じ遺伝子型において一緒に出現することが多い。M184V突然変異は、区別的突然変異体のファミリーを代表するものである。しかし、もしそれがM41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/FおよびK219Q/Eなどのプライマーレスキュー関連突然変異体と併せて起こるならば、AZTおよび3TCに対する二重耐性において役割を演じる (Millerら、1998)。
これらのプライマーレスキューおよび区別的耐性表現型は、RTにおける異なる群の突然変異と相関するように見える。たとえば、M41L、E44D/A、D67N、K70R、V118I、M184V、H208Y、L210W、R211K、L214F、T215Y/F、K219Q/EおよびG333Eの内の種々の順列を含むAZT関連突然変異、6−bp挿入をもつMDR T69S突然変異およびΔ67は、典型的に、プライマーレスキュー突然変異活性を示す。他方、位置65、74、89、151および184における突然変異は、NRTIとそれぞれのdNTP対応物を区別する能力をもたらすか、またはそれらは、プライマー−テンプレート複合体の再配置に関与することができる。
最近の記事「Designing anti−AIDS drugs targeting the major mechanism of HIV−1 RT resistance to nucleoside analog drugs」(IJBCB 36(2004)1706−1715、Sarafianosら(これは、全体として参照することにより本発明に援用される)では、プライマーレスキュー(切除)メカニズムは、N部位におけるRT転座の前のみに起こることができると、さらに、それはNRTI耐性の支配的メカニズムになっていると結論付けている。「Strategies for Inhibition of the Excision Reaction」(p1711参照)と題する章では、このような耐性メカニズムに打ち勝つための3つのアプローチが提案されている:
1.おそらく、ATP結合部位か、またはその近くにおける結合によるATPの生産的な(P部位における)結合を妨害し、それによってDNA合成の正反応に影響を及ぼすことなく切除反応を遮断する抗ウイルス薬の使用。
2.現在のNRTIのボラノまたはチオ置換アルファリン酸塩変異体などの、DNA合成を遮断しうるが、どういうわけか切除に抵抗する化合物の使用。同様に、3TCによって誘発されたM184I/V突然変異体の乏しい切除能力が示唆するように、現在のNRTIの変異体を工作して、非切除可能なモードに伸長/終端したテンプレート/プライマーを再配置することができる。
3.NおよびP部位の両方における二座結合を提供するためのヌクレオチド四リン酸ベースインヒビターの使用。
NRTI耐性のプライマーレスキューメカニズムを防止するためのこれらの3つの提案された各アプローチは、種々の理論的欠陥という批判を受けやすい。たとえば、第一のアプローチであるATP結合は、通常のRT機能では要求されない。したがって、潜在的なウイルスの適応は、このような作用剤によって危険にさらされないので、競合または遮断によってATPまたはリン酸塩結合を阻害することに基づく対抗手段は、耐性の発生を防止しない。言い換えれば、耐性突然変異は、非進化的犠牲において起こる。正常なリンパ球に存在する豊富なATPは、このアプローチの後にある論理的根拠にも異議を申し立てる。
第二の提案されたアプローチにおいては、3TCおよびFTCにおいて見られているように、ボラノまたはチオ置換アルファリン酸塩類縁体が、区別的耐性突然変異体のために選ばれ、HIV耐性突然変異体を生み出すことがありそうに思える。
第3の提案されたアプローチは、大きい高電荷の四リン酸ジヌクレオチド種の標的細胞への薬物動態学的取り込みの必要性によって制限される。これは、厳しい医薬的およびドラッグデリバリーの挑戦である。
それ自体は抗ウイルス薬ではないが、慣例のNRTIの共投与を前提とするアプローチ1を含むSerafanianoのアプローチのそれぞれが、現世代のNRTIの変形体に基づくことは注目に値する。すなわち、3−ヒドロキシル官能基を欠く化合物であり、したがって絶対的な鎖ターミネーターとして働く。
上記の「古典的」NRTI(すなわち、3'−ヒドロキシ官能基を欠いている)とは対照的に、Ohruiら( J Med Chem(2000)43、4516−4525、これは、全体として参照することにより本発明に援用される)は、4'−C−エチニル HIVインヒビター:
Figure 0005174660
式(I)
を記載する。これらの化合物は、3'−ヒドロキシ官能基を保持するにもかかわらず、A62V、V75L、F77L、F116YおよびQ151M突然変異を有する典型的な区別的MDR株などのHIV−1に対する活性を示す。作用のメカニズムは、ヌクレオシドリン酸化キナーゼに対する親和性を介することが前提とされた。しかし、これらの化合物が、そのネオペンチルアルコール特性および近接するcis 4'置換基の厳しい立体障害によりDNA鎖ターミネーターとして機能することができ、3'−ヒドロキシの反応性が激しく減少されることも観察された。
Kodamaら(Antimicrob Agents Chemother(2001)1539−1546、これは、全体として参照することにより本発明に援用される)は、さらなるHIV耐性株を用いる細胞培養においてアッセイされた、保持された3'−ヒドロキシ官能基に隣接する4'−C−エチニル基を有する化合物の非常に類似したセットを記載する。Kodamaらは、その化合物の三リン酸塩を製造しなかったので、作用のメカニズムを解明することはできなかったが、種々の状況的観察から化合物が実際にNRTIとして作用していると推測する。Kodamaらは、インビトロでの4−C−エチニル ヌクレオシドの選択圧下で、RT触媒部位に位置するT165IおよびM184V突然変異を有する飛躍的な耐性HIVが見出されたと後に報告した(アブストラクト 388−T、2003 9th Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections、これは、全体として参照することにより本発明に援用される)。この突然変異体表現型は、はっきりと区別的型の突然変異であり、3TCに対する強い交差耐性がある。このように、4−C−エチニルヌクレオシド取り込みを遮断する立体的軋轢が、関与した。このことは、3TC阻害メカニズムによって確立されており、したがって、ほとんど間違いなく区別的耐性メカニズムを表す。したがって、Kodamaの化合物が、プライマーレスキュー(ATPまたはピロリン酸塩切除)を促進する突然変異体を取り扱うガイダンスを提供するとは考えられない。
Chenら(Biochemistry(1993)32:6000−6002、これは、全体として参照することにより本発明に援用される)は、4'にアジド基を有する構造的に関連する系列の化合物:
Figure 0005174660
式(II)
において大規模な機構的研究を実施した。Chenは、RTが2つの連続した4'−アジドチミジン一リン酸ヌクレオチドを効率的に取り込み、鎖延長を終結させることを実証した。さらに、RTは、第一の4'−アジドチミジン一リン酸、続いて天然のdNTP、次いで、第二の4'−アジドチミジンヌクレオチドを取り込むこともでき、これも鎖終結をもたらした。これらのメカニズムの両方が、終結したDNAプライマー末端に存在する4'−アジドチミジン一リン酸塩をもたらしたが、これは現在のNRTIに非常によく似た阻害メカニズムであることに留意すべきである。細胞(すなわち、非ウイルス)ポリメラーゼαおよびβが、それぞれ、宿主DNAの新生鎖に単一の4'−アジドヌクレオチドを取り込むことができるが、第二のものはできないことも明らかであった。次いで、これらの細胞ポリメラーゼは、さらなる天然のdNTPによる宿主DNA鎖の延長を可能にし、そこで、NRTIヌクレオチドを宿主DNA遺伝子に永久に取り込んだ。細胞酵素による非天然ヌクレオチドの誤取り込みは、発ガンにおいて明らかな影響を有するので、これらの化合物は、ヒトにおいて追求されていない。同様に、高等生物における強い毒性によるとされるが、Kodamaの対応4'−C−エチニル化合物の医薬的開発は中止された。
EP 341 911は、式:
Figure 0005174660
式(III)
で示される3'−C−ヒドロキシメチルヌクレオシドの広範なファミリーを記載し、CMVなどのヘルペスウイルスに優勢に対抗するが、レトロウイルスにも対抗するそれらの使用を提案している。WO92/06201は、同様の一連の化合物および適応も開示する。
US 5,612,319(これは、全体として参照することにより本発明に援用される)は、急性HIV感染のカニクイザルモデルにおける野生型HIVHIV−1IIIおよびサルの等価物であるSIV−1に対抗する2'−3' ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチルシトシンのレトロウイルス活性を開示する。この刊行物は、特に針刺し傷に対する曝露後予防薬としての化合物の使用を提案している。曝露後予防とは、活性成分を、HIV感染の可能性がある注射器で自分自身をうっかり突き刺してしまった医療関係者などの人々にすぐに投与することを意味する。当然のことながらショックを受けている健康管理専門家の迅速な治療を確実にするために、化学および生物学戦争に対する解毒剤のために使用されるような、自己投与バネ内臓注射器が、好ましい投与経路である。
曝露後予防の意図は、継続中の感染を治療するよりはむしろ感染自体の確立を防止することである。したがって、極めて高用量の化合物を用いて24−48時間などの短時間の間に治療が行われるべきであることが意図された。この刊行物は、はっきり区別されている投与時間ゆえに、投与される人は不治の疾患を防止しようとしているので、一時的毒性は許容できると記載している。US 5,612,319に記載された曝露後予防法は、ヒトにおいて試みられていない−実際に、知る限りでは、2'−3' ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチルシトシンは、ヒトにまったく投与されていない。
US 5,612,319として付与されている出願が出願された1994年において、今日知られている多重耐性HIVは、どのような強制力のある形態においても生じていなかった。今日の多重耐性HIVは、長年のNRTI療法からの選択圧によって誘発され、選択圧から蓄積したプライマーレスキュー突然変異を有する。言い換えれば、これらの特許が付与された時点で存在したHIV、特にRTは、今日のウイルスとは構造的およびメカニズム的に非常に異なっていた。
本願の優先日には未公開であった国際特許出願PCT/EP2005/057196は、HIV回避突然変異体の治療における2',3'−ジデオキシ−3'−ヒドロキシメチルシトシンおよびそのプロドラッグの使用を開示する。
2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチルシトシンが、細胞酵素によって対応する5'−三リン酸塩にリン酸化されると考えられている。突然変異体HIVの激しく突然変異したRT、特にプライマーレスキュー関連突然変異体RTは、5'−(2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチルシトシン)一リン酸塩としてこの三リン酸塩を新生のDNA鎖内に取り込む。
慣例のNRTIは、N部位でDNA合成を終結させる絶対的な鎖ターミネーターとして作用し、したがって、多重耐性HIVに独特な上記のATPまたはピロリン酸塩媒介性プライマーレスキュー(切除)メカニズムに感受性がある。対照的に、5'−(2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチルシトシン)一リン酸塩は、絶対的な鎖ターミネーターとして作用せず、むしろ、さらなる残基が5'−(2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチルシトシン)一リン酸塩の3'−ヒドロキシメチル官能基に共有的に結合するのを許容する。次いで、これは、RTが、次回のポリメリゼーションのためにそれ自身をP部位へ転座するのに必要な変形的変化を受けるのを促進する。予備的証拠は、結合した末端残基がさらなる5'−(2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチルシトシン)一リン酸塩であるよりもむしろ天然のヌクレオチドであることを示唆する。
重要なことには、データは、最後に取り込まれた非−2'3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチルシトシンヌクレオチドが、突然変異した逆転写酵素によるヌクレオチドのさらなる付加を受け入れないことを示唆する。すなわち、鎖の終結が、NRTIにおいて、よりもむしろ、発明のNRTIを越えた1つの塩基で起こるように思われる。さらに、2',3'−ジデオキシ−3'−ヒドロキシメチルシトシンの取り込みに続いて、RTは、次に入ってくるヌクレオチドのために、順次P部位に転座するように思われる。この証拠は、プライマーレスキュー関連突然変異RTに関連して、2',3'−ジデオキシ−3'−ヒドロキシメチルシトシンが、ATPまたはピロリン酸塩誘発切除を受け入れない鎖終結の形態を達成することを示唆する。結果として、2',3'−ジデオキシ−3'−ヒドロキシメチルシトシンは、現行の薬物投薬計画に対して無反応であるHIV感染の有効な治療を可能にする。
したがって、すぐ上で議論した阻害メカニズムは、取り込まれた4−置換化合物の後に数個のヌクレオチドが取り込まれるのを許可するChenら(前記参照)の4'−置換ヌクレオシドの鎖終結メカニズムとは根本的に異なる。第一に、Chenのメカニズムは、「読み過ごし」の危険を劇的に増加する。すなわち、DNAポリメラーゼが、コーティング鎖の追跡を継続し、コードされた残基を正常な停止コドンに付加し、それによって、異常なヌクレオシドをDNA鎖内に誤取り込みする。しかし、ウイルスDNA鎖がウイルスポリメラーゼ(すなわち、RT)によって構築される場合、読み過ごし構築物が、誤取り込みされた4'−置換ヌクレオシドにもかかわらず、まだ生存能力があるので、抗ウイルス薬の効力は失われる。さらに重要なことには、Chenが記載したように、もし4'−置換ヌクレオシドが細胞(すなわち、宿主)ポリメラーゼによって読み過ごされるならば、その後に得られる構築物は、催奇形物質を表し、細胞損傷およびガンの危険性を劇的に増加する。
Chenの化合物は、第一の誤取り込みされた4'−置換ヌクレオチドに直接隣接する(すなわち、X−X)か、または1つの天然のヌクレオチドによって分散された(すなわち、X−N−X)、第二の4'−置換ヌクレオチドの添加をさらに必要とする。実際には、このことは、プライマー末端の最後の位置におけるヌクレオチドが、非天然(すなわち、薬物)ヌクレオチドであることを意味する。これは、古典的NRTI(すなわち、3−ヒドロキシ基を欠いている)鎖終結の場合に類似した状況である。ここに、NRTIヌクレオチドは、上述したように、ATPまたはピロリン酸塩媒介切除に感受性のあるプライマー末端の最後の位置にも存在する。
Chenの4'−置換ヌクレオチドの多重ユニットは、それが効率的なRTインヒビターとして働くために必要である。結果として、薬物の有効性は、リーディング鎖の配列に応じて変わる。たとえば、もしChenの化合物がチミジンアナログであるならば、リーディング鎖がAAまたはA−N−A配列をもつ場合に最もよい親和性をもつ。ここで、薬物は、DNA合成を終結させるのに効率的で有効である。しかし、もしリーディング鎖の配列が、AAまたはA−N−A配列の豊富なリサイタルを含まないならば、Chenの薬物は、DNA合成を終結させる能力が低下する。AA二重項またはA−N−A三重項は、一重項Aよりもゲノムにおいてずっとまれであるので、Chenの薬物は、多重ユニット要求をもたない他のNRTIよりもずっと効率が悪い。
Mauldinら、Bioorganic and Medicinal Chemistry 1998 6:577−585は、多くの2',3'−ジデオキシ−3'−ヒドロキシメチルシトシンプロドラッグを開示する。特に注目すべきなのは、著者らが、アルコール位置における置換に関与しているプロドラッグが事実上彼らのアッセイのすべてにおいて抗ウイルス活性の減少をもたらすことを見出したという事実である。
本発明の目的は、2',3'−ジデオキシ−3'−ヒドロキシメチルシトシンの新規なプロドラッグ、HIVの治療、さらに詳しくはHIV回避突然変異体の治療におけるその使用を提供することである。
発明の簡単な説明
本発明の第一の態様において、式(I):
Figure 0005174660
[式中、
R1は独立して、H、−OR3、−NHR4;C1−C4アルキルである;
または、nが2である場合、隣接するR1と一緒になって、オレフィン結合を形成する;
R2は、Hである;
またはジェムR1がC1−C4アルキルである場合、R2はC1−C4アルキルであってもよい;
またはジェムR1が−OR3である場合、R2は−C(=O)OHまたはその医薬的に許容しうるエステルであってもよい;
R3は独立して、Hまたはその医薬的に許容しうるエステルである;
R4は独立して、Hまたはその医薬的に許容しうるアミドである;
R5は、H、−C(=O)R7またはアミド結合L−アミノ酸残基である;
R6は、Hである;
またはR5およびR6は一緒になって、イミン=CR8R8'を形成する;
R7は、C1−C6アルキル、C0−C3アルキルシクリルである;
R8およびR8'は独立して、H、C1−C6アルキル、C0−C3アルキルシクリルである;
またはR8がHであり、R8'が−NR9R9'である;
R9およびR9'は独立して、H、C1−C6アルキル、C0−C3アルキルシクリルである;
またはR9およびR9'はそれらが結合するN原子と一緒になって、飽和5または6員環を形成する;
nは、1、2または3である]
で示される新規な化合物およびその医薬的に許容しうる塩を提供する。
本発明の1つの実施態様において、nが1である化合物は、一般式:
Figure 0005174660
を有する。
この実施態様におけるR1:R2の好ましい異形として、H:H、H:OHまたはその医薬的に許容しうるエステル、およびMe:Meが挙げられる。この実施態様のさらに好ましい異形は、R5およびR6としてHを有する。
本発明の別の実施態様は、n=2であり、したがって一般式:
Figure 0005174660
で示される化合物を作り出す。
この実施態様におけるR1a:R1b:R2a:R2bの好ましい異形として、
H:H:H:H;
H:H:H:OHまたはその医薬的に許容しうるエステル;
H:H:H:NH2またはその医薬的に許容しうるアミド;
H:OHまたはその医薬的に許容しうるエステル:H:H;
H:NH2またはその医薬的に許容しうるアミド:H:H;
Me:Me:H:H;
H:H:Me:Me;
H:OH:H:OH;
H:C=C:H;
が挙げられる。
この実施態様の特に好ましい変形は、R5およびR6としてHを有する。
本発明のさらなる実施態様は、n=3を有し、一般式:
Figure 0005174660
で示される。
R1a:R2a:R2a:R2b:R1c:R2cの好ましい変形として、
H:H:H:H:H:H;
H:H:Me:Me:H:H;
H:H:OH:H:H:H;
H:H:OH:COOH:H:H;
H:H:H:H:H:NH2
またはその医薬的に許容しうるエステルまたはアミド;
が挙げられる。
この実施態様の特に好ましい変形は、R5およびR6としてHを有する。
本発明の1つの実施態様は、修飾塩基を有し、すなわち、R5および/またはR6が水素以外である。このような実施態様の1つは、イミンであり、ここで、R5およびR6は一緒になってイミン=CR8R8'を形成する。典型的に、R8およびR8'は、それぞれ同じアルキル基であるが、非対称のR8/R8'変形も本発明の範囲に含まれる。この実施態様に含まれる代表的なイミンとして、
=CHN(CH3)2
=CHN(ipr)2
=CHN(pr)2
が挙げられる。
別の態様において、R8およびR8'は一緒になって、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、N−メチルピペラジンまたはモルホリンなどの環式基を形成することができる。したがって、代表的なイミンとして、
=CHN(CH2)4
=CHN(CH2)5
=CHN(CH2)6
=CHN(CH2CH2)2O
が挙げられる。
R5およびR6がHであるのが、現在のところ好ましい。
R5およびR6がH以外である本発明の他の実施態様として、Ile、Val、Leu or PheアミドといったようなL−アミノ酸アミドなどのアミドが挙げられる。別のアミドとして、たとえば、R5がC(=O)CH3、C(=O)CH2CH3またはC(=O)C(CH3)3であるものといったようなC1−C6アルキルアミドなどのアルキルアミドが挙げられる。他のアミドとして、C(=O)PhまたはC(=O)BzなどのC(=O)C0−C3アルキルアリールアミドが挙げられる。
現在のところ好ましい実施態様として、
2−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−オクタヒドロ−1,5,10−トリオキサシクロペンタ−シクロデセン−6,9−ジオン;または
2−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−オクタヒドロ−1,5,11−トリオキサ−シクロペンタシクロウンデセン−6,10−ジオン;
という名称である式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩が挙げられる。これらの化合物は、インビボ加水分解において、コハク酸またはグルタル酸などの無毒の副生成物を放出する。
理論に結びつけられることを望むものではないが、本発明化合物またはその活性代謝物は、HIV−1、HIV−2、HTLVおよびSIVなどのレトロウイルスの逆転写酵素に対する活性があると考えられる。
したがって、本発明のさらなる態様は、式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩の投与を含む、ヒトまたは動物におけるレトロウイルス感染の予防または治療方法を提供する。典型的に、投与は経口である。
本発明のさらなる態様は、ヒトまたは動物におけるレトロウイルス感染の予防または治療用医薬の製造における式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩の使用を提供する。典型的に、医薬は、経口投与に適した剤形である。
本発明のもう1つの実施態様は、ATP依存性またはピロリン酸依存性切除メカニズムによって除去がもたらされるHIVプライマー/テンプレート複合体に取り込まれた鎖終結NRTIヌクレオチドを除去する能力があるHIVプライマーレスキュー突然変異体の出現および増殖を阻害する方法を提供する。方法は、HIVに感染した個体に、有効量の本発明化合物およびプライマーレスキュー突然変異体を誘発する少なくとも1つの鎖ターミネーターNRTIを同時または連続投与することを含む。
従来のNRTIは、絶対的鎖ターミネーターとして作用し、N部位においてDNA合成を終結させ、したがって、多重耐性HIVに独特な上記のATPまたはピロリン酸塩媒介性プライマーレスキュー(切除)メカニズムに感受性がある。対照的に、予備的証拠は、本発明化合物が、絶対的鎖ターミネーターとして作用せず、むしろ、さらなる残基が5'−(2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチルシトシン)一リン酸塩の3'−ヒドロキシメチル官能基に共有的に結合するのを許容することを示唆する。次いで、これは、RTが、次回のポリメリゼーションのためにそれ自身をP部位へ転座するのに必要な変形的変化を受けるのを促進する。下記に示すテンプレートの配列に基づく予備的証拠は、この結合した末端残基が天然のヌクレオチドであることを示唆する。
本発明にしたがって典型的に治療または予防されうる多重耐性HIVは、典型的に、少なくとも1つの以下の遺伝子型パターンをもつRTを有する。
(a)M41、±D67、L210およびT215;
(b)D67、K70およびK219;
(c)T69S−XXまたは
(d)Δ67
ここで、XXは、いずれか2つの天然アミノ酸のRT配列への付加を表し、Δ67は、コドン67におけるアミノ酸欠失を表す。
上記の4つの遺伝子パターンは、切除薬物回避表現型の本質的基礎を表すと考えられるが、本発明の使用によって治療または予防された突然変異体が、RT遺伝子などにおける追加の突然変異を典型的に含むことが明らかであり、RT遺伝子における少なくとも3つの突然変異であることが多い。
一般に、しかし限定的ではないが、M41、±D67、L210およびT215からなる群は、M41L、±D67N、L210WおよびT215YまたはT215Fを含むことが多い。
任意に、上記の群は、E44、K70、V118、H208、R211K、L214、K219またはG333位置に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含んでもよい。
上記の群は、Δ67、T69、E203、L210、D218、H221、D223またはL228位置に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらにふくんでもよい。
一般に、しかし限定的ではないが、D67、K70およびK219からなる群は、D67N、K70RおよびK219QまたはK219Eを含む。
任意に、D67、K70およびK219からなる群は、M41、E44、V118、H208、L210、R211K、L214、T215またはG333位置に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含んでもよい。
さらに、D67、K70およびK219からなる群は、Δ67、T69、E203、L210、D218、H221、D223またはL228位置に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含んでもよい。
一般に、しかし限定的ではないが、T69S−XXからなる群は、M41、E44、D67、K70、V118、H208、L210、R211K、L214、T215、K219またはG333位置に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含んでもよい。
任意に、T69S−XXからなる群は、Δ67、T69、E203、L210、D218、H221、D223またはL228位置に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含んでもよい。
一般に、しかし限定的ではないが、Δ67からなる群は、M41、E44、D67、K70、V118、H208、L210、R211K、L214、T215、K219またはG333位置に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含んでもよい。
任意に、Δ67からなる群は、T69、T69S+XX、E203、L210、D218、H221、D223またはL228位置に少なくとも1つのさらなる突然変異をさらに含んでもよい。
任意に、逆転写酵素は、K65、L74、M184またはQ151位置に少なくとも1つの区別的突然変異を、特にK65R、L74VまたはM184VまたはQ151Mをさらに有してもよい。
典型的に、区別的突然変異体の群は、A62、V75、F77、Y115またはF116位置に少なくとも1つのさらなる突然変異と連結してもよい。
本発明によって治療されうるHIV株のうち、そのRTが、鎖終結NRTIヌクレオチドのATPまたはピロリン酸塩媒介性プライマーレスキュー(切除)を促進する突然変異を有し、ズドブジン(AZT、ZDV)、スタブジン(d4T)、ザルシタビン(ddC)、ジダノシン(ddI)、アバカビル、(ABC)、ラミブジン(3TC)、エムトリシタビン(FTC)、アデフォビル(ADV)、エンタカビル(BMS 200475)、アロブジン(FLT)、テノホビルジイソプロキシルフマレート(TNF)、アムドキサビル(DAPD)、D−d4FC(DPC−817)、−dOTC(SPD754)、SPD−756、ラシビル、D−FDOCまたはGS7340から選ばれた少なくとも1つの抗ウイルス薬による先のHIV治療の結果として患者に生じている、多重耐性HIV株がある。
別法として、HIV株は、上記NRTI抗ウイルス薬のリストからの少なくとも1つの抗ウイルス薬による持続性治療によって耐性または多重耐性HIV株を誘発した別の個人から直接または間接的にこのような耐性または多重耐性HIV株を受けた患者に見出される株である。多重耐性HIV株は、野生型と比べてウイルスRTに少なくとも3つの突然変異を含むことが多い。
したがって、本発明方法および組成物を、HAARTなどの現行の抗レトロウイルス療法への追加物として、あるいはある場合において、レスキューまたはサルベージ療法として用いることができるのが明らかであろう。これは、典型的には、現実の患者の早期抗レトロウイルス薬治療歴によってその患者において多剤耐性HIVが誘発されているである場合であろう。あるいは、本発明の方法および組成物は、典型的には最初のHIV感染がすでに突然変異した多剤耐性株によって起こった患者における、第一選択療法となるであろう。以下の抗ウイルス薬は、鎖終結NRTIヌクレオチドのATPまたはピロリン酸塩媒介性切除を促進するRTプライマーレスキュー突然変異を有するこのような多剤耐性HIV株を誘発することが多い:ズドブジン、ラミブジンまたはその併用剤形であるコンビビルまたはトリジビル;ラミブジン、アバカビルまたはその併用剤形であるエプジコム;テノホビル、エムトリシタビンまたはその併用剤形であるトルバダ。これらの薬剤は、このような多剤耐性HIV株を頻繁に誘発するが、この薬物リストは限定的なものではない。
したがって、鎖終結NRTIヌクレオチドのATPまたはピロリン酸塩媒介性切除を促進するRTプライマーレスキュー突然変異を有する1つ以上の多剤耐性HIV株の出現を予防するために本発明化合物が投与されることは明らかである。この予防は、このような突然変異を誘発するNRTI薬が併用して投与される場合であっても起こる。
NRTIの持続性投与が、プライマー/テンプレート複合体の3'−末端からの取り込まれたNRTI一リン酸塩のATP依存性またはピロリン酸塩依存性切除を促進するHIVのRTプライマーレスキュー突然変異を誘発し、DNA合成の再開を許容する場合、本発明の第三の態様は、式(I)で示される化合物および少なくとも1つの鎖ターミネーターNRTIを含む単位投与剤形での医薬組成物を提供する。
本発明の医薬組成物および本発明方法の好ましい実施態様として、NRTIが、ズドブジン(AZT、ZDV)、スタブジン(d4T)、ザルシタビン(ddC)、ジダノシン(ddI)、アバカビル、(ABC)、ラミブジン(3TC)、エムトリシタビン(FTC)、アデフォビル(ADV)、エンタカビル(BMS 200475)、アロブジン(FLT)、テノホビルジイソプロキシルフマレート(TNF)、アムドキサビル(DAPD)、D−d4FC(DPC−817)、−dOTC(SPD754)、SPD−756、ラシビル、D−FDOCまたはGS7340およびそれらの組み合わせから選ばれる場合が挙げられる。
特に好ましい実施態様として、NRTIが、ジドブジン、スタブジン、ジダノシン、ラミブジン、アバカビル、テノホビル、エムトリシタビンまたはそれらの組み合わせから選ばれる場合が挙げられる。
HIV薬、特にHIV逆転写酵素インヒビターの経験は、最適でない薬物動態および複合薬物投与計画が、不注意な服薬遵守の失敗を素早くもたらすことを重視する。これは、言い換えると、HIV投薬計画における各薬物についての24時間トラフ濃度(最小血漿濃度)が、1日の大部分の間、IC90またはED90閾値以下に頻繁に落ちることを意味する。少なくともIC50の、より現実的にはIC90またはED90の24時間トラフ濃度が、薬物回避突然変異体の発生を抑制するために必要不可欠であるとみなされる。
本発明化合物は、持続性長期治療の期待に見合う用量で患者に典型的に投与される。したがって、高用量の急性の曝露後予防処置での式(I)で示される化合物の使用が、多少の一過性の毒性を容認しうることは、許容しうるが、治療計画は、毒性を回避しつつ確定した薬物濃度を保証することを目標とする。式(I)で示される化合物は、1−25 mg/kg/日、好ましくは10 mg/kg/日以下、好ましくは0.05−0.5 mg/kg/日の範囲で典型的に投与される。適当な用量は、適応症および患者に応じて変わり、慣例の動物薬物代謝および薬物動態(DMPK)または臨床試験ならびにコンピューター内予測ソフトウェアによって容易に決定される。
本発明の単位用量医薬組成物は、対応する量、典型的には、60 kgまたは75 kgの成人に対して見積もられた量の式(I)で示される化合物を含み、QD(1日1回)、BID(1日2回)またはTID(1日3回)の投与計画のために任意に1、2または3回に分割される。もし治療用量が、0.05−0.5mg/kg/日の範囲にあるならば、臨床的QD用量/ヒト/日は、60 kgの成人に対して3mg−30mg、75kgの成人に対して3.75−37.5mgである。本発明の併用単位用量医薬組成物における追加の慣例のNRTIの用量および投与計画の制限は、QD、BIDまたはTID投薬を必要としてもよい。
本発明は、有機酸、特に、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、パントテン酸塩、イセチオン酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、酪酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、蓚酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、ニコチン酸塩、パルモエート、ペクチン酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、ラクトビオン酸塩、ピボレート、カンホレート、ウンデカン酸塩およびコハク酸塩といったようなカルボン酸の塩などの医薬的に許容しうる塩を包含するが、これらに限定されるものではない。メタンスルホン酸塩、スルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−クロロベンゼンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩などの有機スルホン酸の塩も包含される。許容しうる塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ヘミスルファート、チオシアネート、過硫酸塩、リン酸およびスルホン酸などの無機酸からの塩も包含する。
本発明は、式(I)で示される化合物を放出する水和物、溶媒和物、複合体およびその他の物理的形状である活性剤にまで及ぶ。
該活性剤を単独で投与することが可能であるが、医薬製剤の一部として投与するのが好ましい。このような製剤は、式(I)で示される化合物の活性剤とともに1つ以上の許容しうる担体/賦形剤を含み、任意に、他の治療成分を含む。担体は、製剤の他の成分と適合可能であるという意味で許容可能でなければならず、レシピエントとにとって有害であってはならない。
製剤は、直腸、経鼻、局所(バッカルおよび舌下など)、経膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内および皮内など)投与に適したものを包含する。製剤が、経口投与製剤であるのが好ましい。製剤は、たとえば、錠剤および持続放出性カプセル剤などの単位投与剤形で提供されるのが都合がよく、製薬業界で公知のいずれかの方法によって製造することができる。
このような公知の方法は、式(I)で示される化合物の活性剤と担体を合わせるようにするステップを含む。一般に、製剤は、活性剤を液体担体または微粉化固体担体またはその両方と均質および十分に合わせ、次いで、要すれば、製品に成型することによって製造される。本発明は、式(I)で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩を、医薬的に許容しうる担体またはビヒクルと同時または併用で用いるようにすることを含む医薬組成物の製造方法にまで及ぶ。医薬製剤の製造が医薬品賦形剤の十分な混合を含み、活性成分が塩の形態ならば、天然で塩基性でない、すなわち、酸性または中性である賦形剤を用いるのが好ましいことが多い。
本発明の経口投与用製剤は、カプセル剤、カシェ剤または錠剤などのそれぞれが規定量の活性剤を含む個別の単位として存在することができる。あるいは、それらは、粉末剤または顆粒剤;水性液体または非水性液体中の活性剤の溶液剤または懸濁液剤;または水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョン;ボーラス剤として存在することができる。
経口投与用組成物(たとえば、錠剤およびカプセル剤など)に関して、用語「適当な担体」は、たとえば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メチルセルロース、エチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロースおよびデンプンなどの結合剤;たとえば、コーンスターチ、ゼラチン、ラクトース、スクロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸ジカルシウム、塩化ナトリウムおよびアルギン酸などの充填剤および担体;およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウムおよびその他のステアリン酸金属塩、ステアリン酸グリセロール、ステアリン酸、シリコン溶液、タルク、ワックス、オイルおよびコロイダルシリカなどの滑沢剤などの一般的な賦形剤などのビヒクルを包含する。ペパーミント、冬緑油、チェリーフレーバーなどの風味剤を用いることもできる。投与剤形を容易に識別できるようにするための着色剤を加えるのが望ましい。錠剤を、当業界で公知の方法でコーティングすることもできる。
錠剤は、任意の1つ以上の副成分とともに圧縮または成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、任意に結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、界面活性剤または分散剤と混合した、粉末または顆粒などの自由流動体中の活性剤を、適当な機械で圧縮することによって製造することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を、適当な機械で成形することによって製造することができる。錠剤は、任意にコーティングするか、または刻み目を入れることができ、活性剤の遅延または制御放出を提供するように製剤することができる。
経口投与に適した他の製剤として、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントである香味付けした基剤に活性剤を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤に活性剤を含むトローチ;および適当な液体担体に活性剤を含む口腔洗浄薬が挙げられる。
本明細書で適用する「C1−C6アルキル」(C1−C6alkと略すこともあり、あるいはC1−C6アルキルオキシなどの化合物表記中に用いることもある)は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびその単純な異性体などの直鎖または分枝鎖の脂肪族炭素鎖を包含することを意味する。さらに、C1−C6アルキル中のいずれかのC原子は、任意に、1、2または原子価が許容する場合3個のハロゲンで置換され、および/またはヘテロ原子S、O、NHで置換されるか、または中断されたアルキレン鎖でありうる。もしヘテロ原子が鎖末端に位置するならば、1または2個の水素原子で適切に置換される。C1−Cnアルキルは、炭素数に必要なように調節されたC1−C6アルキルに対応する意味をもつ。
本明細書で適用する「C0−C3アルキルアリール」は、たとえば、アリールが直接結合する(すなわち、C0)かまたは上記C1−C3アルキレンで定義した中間メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピル基を介するインダニルなどのC3−C7シクロアルキルに縮合したフェニル、ナフチルまたはフェニルなどのアリール部分を包含することを意味する。他に特記しない限り、アリールおよび/または縮合したシクロアルキル部分は、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、C1−C6アルカノイル、アミノ、アジド、オキソ、メルカプト、ニトロ、C0−C3アルキルカルボシクリル、C0−C3アルキルヘテロシクリルから選ばれる1−3個の置換基で任意に置換される。「アリール」は、対応する意味を有し、すなわち、C0−C3アルキル連鎖がない。
本明細書で適用する「C0−C3アルキルC3C7シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルなどのC3−C7シクロアルキル基を包含することを意味し、シクロアルキルは、直接結合する(すなわち、C0アルキル)か、または中間上記C1−C3アルキレンで定義した中間メチル、エチルまたはプロピル基を介する。シクロアルキル基は、不飽和結合を含むことができる。他に特記しない限り、シクロアルキル部分は、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、C1−C6アルカノイル、アミノ、アジド、オキソ、メルカプト、ニトロ、C0−C3アルキルカルボシクリル、C0−C3アルキルヘテロシクリルから選ばれる1−3個の置換基で任意に置換される。
本明細書で適用する「C0−C3アルキルカルボシクリル」は、C0−C3アルキルアリールおよびC0−C3アルキルC3−C7シクロアルキルを包含することを意味する。他に特記しない限り、アリールまたはシクロアルキル基は、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、C1−C6アルカノイル、アミノ、アジド、オキソ、メルカプト、ニトロ、C0−C3アルキルカルボシクリルおよび/またはC0−C3アルキルヘテロシクリルから選ばれる1−3個の置換基で任意に置換される。「カルボシクリル」は、対応する意味を有し、すなわち、C0−C3アルキル連鎖がない。
本明細書で適用する「C0−C3アルキルヘテロシクリル」は、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアジノリル、イソチアジノリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、1、2、3−トリアゾリル、1、2、4−トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラゾリル、またはキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアジノリル、ベンズイソチアジノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサジアゾリル、ベンゾ−1,2、3−トリアゾリル、ベンゾ−1,2、4−トリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾピリジル、ベンゾピリミジル、ベンゾピリダジニル、ベンゾピラゾリルなどのフェニル環に縮合した基のいずれかなどの単環式、飽和または不飽和、ヘテロ原子−含有環を包含することを意味し、環は、直接結合する(すなわち、C0)かまたは上記C1−C3アルキレンで定義した中間メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピル基を介する。芳香族特性を有するこのような不飽和環のいずれかは、本明細書においてヘテロアリールと称されることができる。他に特記しない限り、ヘテロ環および/またはその縮合フェニル部分は、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシC1−C6アルキル、C1−C6アルカノイル、アミノ、アジド、オキソ、メルカプト、ニトロ、C0−C3アルキルカルボシクリル、C0−C3アルキルヘテロシクリルから選ばれる1−3個の置換基で任意に置換される。「ヘテロシクリル」および「ヘテロアリール」は、対応する意味を有し、すなわち、C0−C3アルキル連鎖がない。
したがって、典型的に、上記定義の範囲内のヘテロシクリルおよびカルボシクリル部分は、5個または特に6個の環原子を有する単環式環であるか、もしくは4、5または6員環に縮合した6員環を含む二環式環構造である。
典型的なこのような基として、C3−C8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、テトラヒドロナフチル、インデニル、インダニル;アゼパニル、アゾカニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、インドリニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、チオピラニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、テトラゾリル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キナゾリニル、テトラヒドロキナゾリニルおよびキノキサリニルなどのヘテロシクリルが挙げられ、これらのいずれかは、本明細書で定義するように任意に置換されうる。
したがって、飽和ヘテロ環部分として、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、チオピラニル、ピペラジニル、インドリニル、アゼチジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニルアミン、ジヒドロ−オキサゾリル、1,2−チアジナニル−1,1−ジオキシド、1,2,6−チアジアジナニル−1,1−ジオキシド、イソチアゾリジニル−1,1−ジオキシドおよびイミダゾリジニル−2,4−ジオンなどのラジカルが挙げられ、一方、不飽和ヘテロ環として、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリルなどの芳香族特性を有するラジカルが挙げられる。各ケースにおいて、ヘテロ環は、フェニル環と縮合して、二環式環系を形成することができる。
式(I)で示される化合物は、医薬的に許容しうるエステルまたはアミドを包含する。したがって、代表的なエステルとして、エステル群のカルボン酸部分の非カルボニル部分が、直鎖または分枝鎖アルキル(たとえば、メチル、n−プロピル、t−ブチルまたはn−ブチル)、シクロアルキル、アルコキシアルキル(たとえば、メトキシメチル)、アラルキル(たとえば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(たとえば、フェノキシメチル)、アリール(たとえば、ハロゲン、C14アルキルまたはC14 アルコキシまたはアミノによって任意に置換されたフェニルなど);アルキル−またはアラルキルスルホニル(たとえば、メタンスルホニル)などのスルホン酸エステル;アミノ酸エステル(たとえば、L−バリルまたはL−イソロイシル);および一、二または三リン酸エステルから選ばれるカルボン酸エステルが挙げられる。このようなエステルにおいて、他に特記しない限り、存在するいずれかのアルキル部分は、1−18個の炭素原子、特には1−6個の炭素原子、なお特には1−4個の炭素原子を含むのが都合がよい。このようなエステルに存在するいずれかのシクロアルキル部分は、3−6個の炭素原子を含むのが都合がよい。このようなエステルに存在するいずれかのアリール部分は、上記カルボシクリルの定義に示したように任意に置換されるフェニル基を含むのが都合がよい。
したがって、医薬的に許容しうるエステルとして、アセチル、t−ブチルなどのC1−C22脂肪酸エステル、またはパルモイル、ステアロイルなどの長鎖直鎖または分枝鎖不飽和もしくはオメガ−6 モノ不飽和脂肪酸が挙げられる。
別のアリールまたはヘテロアリールエステルとして、ベンゾイル、ピリジルメチロイルなどが挙げられ、これらのいずれかは、上記カルボシクリルの定義のように置換されることができる。好ましい医薬的に許容しうるエステルとして、ロイシル、イソロイシルおよび特にバリルなどの脂肪族L−アミノ酸エステルが挙げられる。さらなる好ましいアミノ酸エステルとして、WO99 09031に記載の2−O−AA−C3−C22脂肪酸エステル(ここで、AAは、脂肪族アミノ酸エステル、特に、L−乳酸およびL−バリルから誘導されるものである)が挙げられる。
医薬的に許容しうるアミドとして、1−3個の不飽和を任意に含み、上記カルボシクリルで定義された置換基で任意に置換されたC1−C22分枝鎖または直鎖アミノアルキルまたはアニリンまたはベンジルアミンから誘導されたものが挙げられる。好ましいアミドとして、アミンとC1−C4直鎖または分枝鎖アルカン酸の反応から形成されたものが挙げられる。アミン官能基の他の医薬的に許容しうるアミドは、上記エステルに好ましいカルボン酸のアミドに対応する。
合成
本発明化合物は、反応工程式1:
Figure 0005174660
に概略されるように、Svansson L.ら、in J.Org.Chem(1991)Vol 56:2993−2997と類似の手順で製造される別個に保護されたビス−4,5−ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン誘導体から典型的に合成される。
反応工程式1において、J Org Chem 1987、52、2596に示されるシャープレス酸化を用いて、キラルエポキシアルコール1が容易に製造される。Rsは、たとえば、パラ−ブロモベンジルなどの後述するような従来のヒドロキシル保護基である。エポキシアルコール1は、たとえば、ジメチルエーテル中のアリルマグネシウムブロミドで−50℃にて、C−3において位置選択的にアルキル化される。任意に、過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤により所望でない位置異性体のビシニル(vicinyl)ヒドロキシルを切断する区別ステップの後、たとえば、シリカゲルによるクロマトグラフィーで所望の異性体2を分離する。さらなる保護基で2中の第一のヒドロキシル基を保護し、たとえば、ピリジン中、0℃にて塩化ベンゾイルでベンゾイル化して、区別的に保護された3を製造する。Tet.Lett 1976 17 1973に記載のように、触媒量の四酸化オスミウムおよび再酸化体としてN−メチルモルホリン N−オキシドを用いるオレフィン結合のCis−ヒドロキシル化により、対応するジアルコールを得、次いで、水性テトラヒドロフランなどの有機溶媒中、過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤で切断する。このように製造された不安定なフラノースを0.5% w/w メタノール/塩酸などのアルコール/酸で脱ブロックして、区別的に保護されたビス−4、5−ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン中間体4を得る。
保護基を除去し、さらなるヒドロキシル保護基で再保護することによって保護基の選択された一方の選択的除去の容易さが最適化され、他方が後のステップで除去されるように、保護基RsおよびRs1を処理するのが望ましい。したがって、下記反応工程式2および3に示すように、このような保護基の一方の選択的除去および露出されたヒドロキシル官能基のアシル化を可能にするように、4における区別的保護基を選択する。多くのこのような対の区別的に選択可能なヒドロキシル保護基は、公知であり、たとえば、O−保護基がGreene、「Protective Groups In Organic Synthesis」(John Wiley & Sons、New York(1981))に開示されている。
したがって、ヒドロキシ−保護基は、たとえば、メトキシメチル(MOM)、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、テロヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロ−ピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル S,S ジキシド、テトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロチオフラニルなどのメチルエーテルまたは置換メチルエーテルなどのエーテルを含む。エチルエーテルとして、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−(イソプロポキシ)エチル、2,2,2−トリクロロエチルおよび2−(フェニルセレニル)エチルが挙げられる。他のエーテルとして、t−ブチル、アリル、シンナミル、p−クロロフェニルおよび非置換ベンジル、p−メトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジルおよびp−シアノベンジルなどのベンジルエーテルが挙げられる。他のエーテルとして、3−メチル−2−ピコリル N−オキシド、ジフェニルメチル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、アルファナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、p(p'−ブロモフェナシルオキシ)フェニルジフェニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル(トリチロン)およびベンズイソチアゾリル S,S ジオキソドが挙げられる。シリルエーテルとして、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、(トリフェニルメチル)ジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、メチルジイソプロピルシリル、メチルジ−t−ブチルシリル、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリイソプロピルシリルおよびトリペニルシリルが挙げられる。別のヒドロキシル保護基として、ギ酸エステル、ベンゾイルギ酸エステル、酢酸エステル、クロロ酢酸エステル、ジクロロ酢酸エステル、トリクロロ酢酸エステル、トリフルオロ酢酸エステル、メトキシ酢酸エステル、トリフェニルメトキシ酢酸エステル、フェノキシ酢酸エステル、p−クロロフェノキシ酢酸エステル、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシ酢酸エステル、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシ酢酸エステル、2,4−ビス(1、1−ジメチルプロピル)フェノキシ酢酸エステル、クロロジフェニル酢酸エステル、p−(P)−フェニル酢酸エステル、3−フェニルプロピオン酸エステル、3−ベンゾイルプロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、モノコハク酸エステル、4−オキソペンタン酸エステル(levinulate)、ピバロエート、アダマントエート、クロトン酸エステル、4−メトキシクロトン酸エステル、(E)−2−メチル−2−ブテノエート(tigloate)および非置換もしくはo−(ジブロモメチル)−、o−(メトキシカルボニル)−、p−フェニル−、2,4,6−トリメチル−(メシテート)もしくはp−(P)−安息香酸エステルなどの安息香酸エステルまたはアルファ−ナフトエ酸エステルなどのエステルが挙げられる。カルボン酸エステルヒドロキシル保護基として、メチル、エチル、2,2,2−トリクロロエチル、イソブチル、ビニル、アリル、シンナミル、p−ニトロフェニル、非置換、p−メトキシ−、3,4−ジメトキシ−、o−ニトロ−もしくはp−ニトロベンジルなどのベンジルまたはS−ベンジルチオカルボン酸エステルが挙げられる。種々のヒドロキシル保護基として、N−フェニルカルバメート、N−イミダゾリルカルバメート、ホウ酸塩、硝酸塩、N,N,N,N−テトラメチルホスホロジアミデートおよび2,4−ジニトロフェニルスルフェネートが挙げられる。Greeneは、区別的保護基の相互補完関係にある一対を選択するのを容易にする広範な反応性チャートを提供する。
代表的なヒドロキシル保護基として、実施例中のもの、およびt−ブチルなどのエーテルおよびイソプロピル、エチルおよび特にメチル、ベンジルおよびトリフェニルメチルなどの他の低級アルキルエーテル;テトラヒドロピラニルエーテル;たとえば、2,2,2−トリクロロエチルなどの置換エチルエーテル;たとえば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリルおよびt−ブチルジフェニルシリルなどのシリルエーテル;およびたとえば、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、安息香酸エステルなどのヒドロキシル基とカルボン酸との反応によって製造されたエステルが挙げられる。
次いで、反応工程式2に示すように、区別的に保護されたビス−4,5 ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン4を、シリル化され、任意にN−保護された4−アミノ−ピリミジノンと縮合させ、次いで、アシル化および環化を行う。別法として、反応工程式3に示すように、4をまず二環化し、次いで、縮合を行う。
Figure 0005174660
反応工程式2は、区別的に保護された中間体4とシリル化4−アミノ−ピリミジン−2−オンとのVorbruggen縮合(Chem Ber.1981、114、1234)を示し、ここで、4−アミノ官能基は、Greene、"Protective Groups In Organic Synthesis、"(John Wiley & Sons、New York(1981))に示されるような従来のアミノ保護基で任意に保護される。このような基の例として、以下が挙げられる:
1)ホルミル、トリフルオロアセチル、フタリルおよびp−トルエンスルホニルなどのアシル基;2)ベンジルオキシカルボニル(CbzまたはZ)および置換ベンジルオキシカルボニルおよび9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などの芳香族カルバメート基;3)tertブチルオキシカルボニル(Boc)、エトキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニルおよびアリルオキシカルボニルなどの脂肪族カルバメート基;4)シクロペンチルオキシカルボニルおよびアダマンチルオキシカルボニルなどの環式アルキルカルバメート基;5)トリフェニルメチルおよびベンジルなどのアルキル基;6)トリメチルシリルなどのトリアルキルシリル;および7)フェニルチオカルボニルおよびジチアサクシノイルなどのチオール含有基。当然のことながら、アミノ保護基は、その脱保護条件が区別的ヒドロキシル保護基の除去順序と調和するように選択される。別法として、Rs2は、R5およびR6について定義されるアミドおよびイミドのシントンである。多くの場合、4−アミノ官能基は、保護基を全く必要とせず、したがって、Rs2はHである。
Vorbruggen縮合においては通常、反応混合物は、TBDMSOTfおよびCH2Cl2を含み、所望の異性体5を、たとえば、HPLCなどのクロマトグラフィーによって分離する。次いで、5中のヒドロキシル保護基の1つを、選択的に除去して、ヒドロキシル官能基を露出する。反応工程式2の化合物6において、最初に除去されるのはRsであり、したがって、ヒドロキシル保護基の区別的ペアは、たとえば、Rsについてはテトラヒドロフラン中のTBAFにより選択的に除去されたTBDP(tert−ブチル−シラニル)であり、Rs1についてはその後に酢酸により除去されたMMTR(4−メトキシ−フェニル−ジフェニルメチル)でありうる。しかし、保護基の他の置換が同じゴールを達成することは容易に分かる。Greeneは、このような選択を促進する多様な保護基にわたる広範な反応性チャートを提供する。さらに、4の適当な操作によるRsおよびRs1の位置の交換は、4−ヒドロキシメチル官能基を最初に露出し、アシル化する中間体を生成する。
6中の曝露されたヒドロキシル官能基を、活性化ωω−ジカルボン酸 HOOC−A−COOH(ここで、Aは、上記で定義されたように−(CR1R2)n−に対応する)でアシル化し、7を得る。R1またはR2 が、OH、NH2またはCOOHなどの潜在的に反応性の基を含む場合、前記Greeneに記載のように、これらを従来のとおり保護する。
アシル化で用いた活性化酸には、たとえば、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのカップリング試薬の存在下での、たとえば、酸ハライド、酸無水物、活性化酸エステルまたは酸が含まれる。代表的な活性化酸誘導体として、イソブチルオキシカルボニルクロリドなどのアルコキシカルボニルハライドから誘導された酸塩化物、無水物など、N−ヒドロキシスクシンアミド誘導エステル、N−ヒドロキシフタルイミド 誘導エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン− 2,3−ジカルボキサミド誘導エステル、2,4,5−トリクロロフェノール誘導エステルなどが挙げられる。さらなる活性化酸として、式:HCOOHACOOX(ここで、Xは、たとえば、COCH3、COCH2CH3またはCOCF3またはベンゾトリアゾールである)が挙げられる。
次いで、二環式テトラヒドロフラン環系の第二の環の環化のための準備において、化合物7中の保護基Rs1を除去して、8の4−ヒドロキシメチル基を解放する。これは、前述した法則で述べたように、アシル化を介して進行する。
次いで、化合物8のRs2基を操作して、必要に応じて、式(I)で示される化合物を製造する。後述するように、たとえば、Rs2としてのアミノ保護基を除去して、R5およびR6における遊離アミンおよび/またはアミドまたはイミンに変換されたアミン官能基を得ることができる。
式(I)で示される化合物のための別の合成反応工程式を反応工程式3に示す。
Figure 0005174660
反応工程式3において、まず、上述の区別的に保護されたテトラヒドロフラン4を二環化し、次いで、Vorbruggen縮合を行う。二環化は、相補的保護基のRs/Rs1ペアの一つめの脱保護を介して進行する。この場合、それは、アシル化に備えて最初に解放されるテトラヒドロフランの4−ヒドロキシメチル官能基であるが、この一般法は、Rs/Rs1保護基の適当な選択により、環化への第一のステップとして5−ヒドロキシメチル官能基の除去およびアシル化を介して進行することもできる。
ωω−ジカルボン酸 HOOC−A−COOH中のAが非対称である場合、すなわち、mが2または3であり、種々のメチレンマーにおけるR1/R2が同一でない式(I)で示される化合物において、最初の4−または5−脱保護の選択が重要である。たとえば、たとえば、Aが、−CH(OH)CH2−(すなわち、式(I)において、nが2、第一のメチレン基におけるR1がOHであるが、R2がHであり、第二のメチレン基におけるR1およびR2の両方がH)である場合、テトラヒドロフラン中間体の4−ヒドロキシメチル官能基へのエステル結合に隣接するR1ヒドロキシ基の局在化を、最初にRsを脱保護し、活性酸PG−OC−CH2−CH(OH)−COOH(ここで、PGは、従来のカルボキシ保護基であり、当然のことながら、その除去条件が意図するRS1の除去に調和するように選択される)を用いることによって保証することができる。Greeneは、このような選択を促進するための広範な反応性チャートを提供する。
カルボキシ保護基は、Greeneの同書において広く概観されており、典型的には、メチルまたはたとえば、メトキシメチル、メチルチオメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、メトキシエトキシエチル、ベンジルオキシメチル、p−ブロモ、アルファメチルまたはp−メトキシフェナシルなどのフェナシル、ジアシルメチルまたはN−フタルイミドメチルなどの置換メチルエステルなどのエステルを含む。エチルエステルとして、非置換エチルおよび2,2,2−トリクロロエチル、2−ハロエチル、ω−クロルアルキル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−メチルチエチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチルおよび1−メチル−1−フェネチルが挙げられる。他のエステルとして、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、シンナミルおよびm−メチルチオフェニルなどのフェニルが挙げられる。ベンジルエステルとして、非置換ベンジル、トリフェニルメチル、ビス(o−ニトロフェニル)メチルなどのジフェニルメチル、9−アントリルメチル、2−(9,10−ジオキソ)アントリルメチル、ジベンゾスベリル、2,4,6−トリメチルベンジル、p−ブロモベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−メトキシベンジル、ピペロニル、4−ピコリルおよびp−(P)−ベンジルが挙げられる。シリルエステルとして、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、i−プロピルジメチルシリルおよびフェニルジメチルシリルが挙げられる。活性化エステルとして、S−t−ブチル、S−フェニル、S−2−ピリジル、N−ヒドロキシピペリジニル、N−ヒドロキシスクシンイミドイル、N−ヒドロキシフタルイミドイルおよびN−ヒドロキシベンゾトリアゾリルが挙げられる。種々のエステルカルボキシ保護基として、O−アシルオキシム、2,4−ジニトロフェニルスルフェニル、2−アルキル−1,3−オキサゾリン、4−アルキル−5−オキソ−1,3−オキサゾリジンおよび5−アルキル−4−オキソ−1,3−ジオキソランが挙げられる。スタンニルエステルとして、ジエチルスタンニルおよびトリ−n−ブチルスタンニルが挙げられる。非エステルカルボキシ−保護基として、N−N−ジメチル、ピロリジニル、ピペリジニル、o−ニトロフェニル、7−ニトロインドリル、8−ニトロテトラヒドロキノリルおよびp−(P)ベンゼンスルホンアミドなどのアミドが挙げられる。非エステルカルボキシ−保護基として、N−フェニルヒドラジドまたはN,N'−ジイソプロピルヒドラジドなどのヒドラジドも挙げられる。
区別的に保護されたテトラヒドロフラン誘導体への別の反応工程式を反応工程式4に示す。
Figure 0005174660
反応工程式4は、学術文献において広範に報告されている。ウリジン類縁体前駆体の製造は、Sanghviら、Synthesis 1994、1163、Sanghviら、Tett Lett vol 35 p 4697(1994)およびHaly & Sanghvi nucleosides & nucleotides Vol 15 1383(1996)において示される。シトシン類縁体へのウリジンの変換は、Kozlov、nucleosides & nucleotides vol 17 2249(1998)において示される。
塩基の変換を必要としない区別的に保護されたテトラヒドロフラン誘導体への別の経路を反応工程式5に示す。
Figure 0005174660
a:TrCl、ピリジン、b:i)MsCl、Pyr、ii)1N NaOH、THF、c)i)EtAlCN、65C、ii)トルエン/THF、d)i)MsCl、Et3N、ii)EtOAc、f)i)NaBH4、ii)EtOH、α/β 1:3−4、g)i)DIBAL、ii)シリカゲル EtOAc、エピマー化α/β 93:7、g)i)NaBH4、ii)EtOH/CH2Cl2
反応工程式5は、TrO保護基およびR5R6=Hで説明されるが、当然のことながら、アミンおよびヒドロキシル保護基のための他の変形は、この経路に従う。
すべての反応工程式に関し、R5およびR6が一緒になって=CR8R8'を形成するイミンは、典型的にはDMF中、Mauldonら、Bioorg Med Chem 6(1998)577−585の手順と同様にして、R5およびR6がである式(I)で示される化合物または対応する中間体5(任意に脱保護されたもの)と式:(CH3O)2CHNR8R8'で示される化合物との縮合によって典型的に製造される。適当なホルムアミドアセタールは、一般に、中間体ジアルキルホルムアミドおよび硫酸ジメチルから室温にて製造される。中間体塩とナトリウムメトキシドとの反応により、セミアセタールが提供され、次いで前述のように縮合される。
R5が、アミドである式(I)で示される化合物は、H2O/1,4−ジオキサン中での適当なROORによるN−4非保護の式(I)で示される化合物または対応する中間体5のアキヤマアシル化(Chem Pharm Bull 1978、26,981)によって典型的に製造される。R5がアミノ酸残基である化合物を、従来のペプチドカップリング条件を用いてN−保護アミノ酸残基とカップリングさせる。
実施態様の詳細な記載
本発明方法および化合物の種々の実施態様を、一例にすぎないが、以下の実施例および図面を参照して説明する。
実施例1
2−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−オクタヒドロ−1,5,10−トリオキサシクロペンタ−シクロデセン−6,9−ジオン
Figure 0005174660
a)N−(1−{5−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシメチル)−4−[(4−メトキシ−フェニル)−ジフェニル−メトキシメチル]−テトラヒドロ−フラン−2−イル}−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル)−2,2−ジメチル−プロピオンアミド
Figure 0005174660
窒素下、ジオキサン(25 ml)中の上記反応工程式4で製造した0.75 g(1 mmol)の4−アミノ−1−{5−(tert−ブチル−シラニルオキシメチル)−4−[(4−メトキシフェニル)−ジフェニル−メトキシメチル]−テトラヒドロフラン−2−イル}−1H−ピリミジン−2−オンの溶液に、ジオキサン(2ml)中のジカルボン酸ジ−tert−ブチル(0.44 g、2 mmol)の溶液を加える。反応混合物を室温にて48時間撹拌する。反応混合物をシリカゲルで蒸発し、溶離液として酢酸エチル/ヘキサン 2:1を用いるシリカゲルカラムで残渣を精製して、0.42 g(49%)の上記生成物を得る。
プロトンNMR(CDCl3):8.33(d、1H)、7.64−7.59(m、4H)、7.45−7.18(m、18H)、6.91(d、1H)、6.79−6.77(m、2H)、6.10−6.08(m、1H)、4.08−4.06(m、1H)、3.98−3.96(m、1H)、3.77(s、3H)、3.59(dd、1H)、3.19−3.16(m、1H)、3.02−2.98(m、1H)、2.57−2.53(m、2H)、2.72−2.25(m、1H)、1.50(s、9H)、1.08(s、9H)。
b)(1−{5−ヒドロキシメチル−4−[(4−メトキシフェニル−ジフェニル−メトキシメチル]−テトラヒドロフラン−2−イル}−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−カルバミン酸tert.−ブチルエステル
Figure 0005174660
テトラヒドロフラン(10 ml)中の上記化合物(0.33 g、0.4 mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン(1 ml)中のTBAF(0.19 g、0.6 mmol)の溶液を加える。反応混合物を室温にて3時間撹拌する。反応混合物をシリカゲルで蒸発し、溶離液として酢酸エチル/ヘキサン 2:1を用いるシリカゲルカラムで残渣を精製する。適当なフラクションを蒸発して、0.20 g(80%)の(1−{5−ヒドロキシメチル−4−[(4−メトキシフェニル−ジフェニル−メトキシメチル]−テトラヒドロフラン−2−イル}−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−カルバミン酸tert.−ブチルエステルを得る。
プロトンNMR(CDCl3):8.22(d、1H)、7.40−7.38(m、4H)、7.38−7.23(m、10H)、6.85−6.82(m、1H)、6.03−6.00(m、1H)、4.04−3.94(m、2H)、3.85−3.81(m、1H)、3.80(s、3H)、3.29(dd、1H)、3.11(dd、1H)、2.35−2.22(m、3H)、1.52(s、9H)。
c)コハク酸モノ−{5−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−3−[(4−メトキシ−フェニル)−ジフェニル−メトキシメチル]−テトラヒドロ−フラン−2−イル−メチル}エステル
Figure 0005174660
ジクロロメタン(20 ml)中の上記化合物(200 mg、0.33 mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(98 mg、0.8 mmol)の溶液に、コハク酸無水物(80 mg、0.8 mmol)を加える。反応混合物を室温にて一夜撹拌し、その後、ジクロロメタンおよび飽和塩化アンモニウムの混合物に反応混合物を加える。有機相を水で洗浄し、乾燥する。溶媒を蒸発して、222 mg(94%)の上記化合物を得る。
プロトンNMR(CDCl3):8.02(d、1H)、7.38−7.36(m、4H)、7.30−7.15(m、9H)、6.84−6.81(m、2H)、5.89−5.87(m、1H)、4.58(dd、1H)、4.26(dd、1H)、4.13−4.08(m、1H)、3.79(s、3H)、3.24(dd、1H)、3.05(t、1H)、2.80−2.60(m、4H)。2.31−2.26(m、1H)、2.17−2.12(m、2H)、1.51(s、9H)。
d)コハク酸モノ−[5−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−3−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル−メチル]エステル
Figure 0005174660
酢酸(10 ml)および水(5 ml)中の上記化合物(222 mg、0.31 mmol)の溶液を室温にて3時間撹拌する。LC/MSが、M+1イオン442により出発物質が所望の脱保護化合物に完全に変換したことを示す。反応混合物を蒸発乾固し、アセトニトリル/水 1:1.5で溶離するC−8逆相カラムで残渣を精製して、100 mg(73%)の上記所望化合物を得る。
プロトンNMR(CDCl3):8.18(d、1H)、7.23(d、1H)、5.93(ブロード s、1H)、4.66−4.63(m;1H)、4.33(d、1H)、4.15(ブロード s、1H)、3.66(ブロード s、2H)、2.80−2.59(m、4H)、2.37(ブロード s、2H)、2.28−2.44(m、1H)、1.51(s、9H)。
e)[1−(6,9−ジオキソ−デカヒドロ−1,5,10−トリオキサ−シクロペンタシクロデセン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005174660
ジクロロメタン(65 ml)およびDMF(2 ml)中の上記化合物(74 mg、0.168 mmol)、HOBT(27 mg、0.2 mmol)およびトリエチルアミン(0.14 ml、1 mmol)の溶液に、EDAC(39 mg、0.2 mmol)を加える。反応混合物を室温にて48時間撹拌した後、反応混合物にジクロロメタン(100 ml)および水性クエン酸(100 ml)を注ぐ。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液および食塩水で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発して得た残渣を、溶離液として酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムで精製して、22 mg(31%)の上記化合物を得る。
プロトンNMR(CDCl3):7.75(d、1H)、7.36(ブロード s、1H)、7.25(d、1H)、6.02−5.99(m、1H)、4.58(dd、1H)、4.36−4.28(m、2H)、4.14(t、2H)、2.64(s、4H)、2.58−2.55(m、1H)、2.29−2.25(m、2H)、1.52(s、9H)。
f)2−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−オクタヒドロ−1,5,10−トリオキサ−シクロペンタシクロデセン−6,9−ジオン
ジクロロメタン(2 ml)中の上記化合物(22 mg、0.052 mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(2 ml)を加える。反応混合物を室温にて1時間撹拌し、蒸発乾固する。トルエンで2回共蒸発して、注意深く乾燥した後、12.7 mgの標記化合物をビス−トリフルオロ酢酸塩で得る。LC/MSにより、324(M+1)および647(2M+1)の特徴的イオンをもつ構造が確認され、HPLCによる精製は、254 nmにて90%以上である。
実施例2
7−アミノ−2−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−オクタヒドロ−1,5,10−トリオキサシクロペンタシクロデセン−6,9−ジオン
Figure 0005174660
a)2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−コハク酸 4−{5−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル]−3−[(4−メトキシ−フェニル)−ジフェニル−メトキシメチル]−テトラヒドロ−フラン−2−イル−メチル}エステル
Figure 0005174660
ジクロロメタン(20 ml)中の(1−{5−ヒドロキシメチル−4−[(4−メトキシフェニル−ジフェニル−メトキシメチル]−テトラヒドロフラン−2−イル}−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−カルバミン酸tert.−ブチルエステル[98 mg、0.4 mmol、実施例1に記載]および4−メチルアミノピリジン(98 mg、0.8 mmol)の溶液に、N−Boc−(S)−asp無水物[172 mg、0.8 mmol(prepared as described in J.Med. Chem. 1971、pp 24−30)]を加える。反応混合物を室温にて一夜撹拌した後、反応混合物に酢酸エチル(150 ml)および飽和塩化アンモニウム(100 ml)を注ぐ。有機相を水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発して、371 mgの粗上記生成物を得、精製することなく次のステップに用いる。
プロトンNMR(CDCl3):7.76(d、1H)、7.38−7.20(m、12 H)、7.08(d、1H)、6.83(d、2H)、6.13(d、1H)、5.80(d、1H)、4.83(t、1H)、4.61−4.58(m、1H)、4.14−4.06(m、2H)、3.79(s、3H)、3.25−3.23(m、1H)、3.17−3.12(m、1H)、3.00(t、1H)、2.80−2.76(m、1H)、2.26−2.15(m、3H)、1.56(s、9H)、1.4(s、9H)。
b)2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−コハク酸 4−[5−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−3−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル−メチル]エステル
Figure 0005174660
酢酸(10 ml)および水(5 ml)中の上記化合物(330 mg、0.40 mmol)の溶液を室温にて一夜撹拌する。反応混合物を蒸発乾固し、溶離液としてアセトニトリル/水 1:1.5で用入りするC−8逆相カラムで残渣を精製して、72 mg(32%)の所望化合物を得る。LC/MSにより、557(M+1)の分子イオンをもつ構造が確認される。
c)[1−(7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−6,9−ジオキソ−デカヒドロ−1,5,10−トリオキサ−シクロペンタシクロデセン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005174660
ジクロロメタン(50 ml)およびDMF(1 ml)中の上記化合物(72 mg、0.13 mmol)、HOBT(20 mg、0.16 mmol)およびトリエチルアミン(0.07 ml、0.5 mmol)の溶液に、EDAC(31 mg、0.16 mmol)を加える。反応混合物を室温にて24時間撹拌した後、反応混合物にジクロロメタン(100 ml)を注ぎ、有機相をクエン酸溶液、炭酸水素ナトリウム溶液および食塩水で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発して残渣を得、溶離液として酢酸エチルを用いるシリカゲルカラムで精製して、26 mg(37%)の上記化合物を得る。LC/MSにより、正確なM+1イオン539およびM−1イオン537が得られる。
プロトンNMR(CDCl3):7.73(d、1H)、7.40(ブロード s、1H)、7.24(d、1H)、6.02−6.00(m、1H)、5.26−5.24(m、1H)、4.87−4.85(m、1H)、4.64−4.55(m、2H)、4.20−4.18(m、1H)、4.06(t、1H)、3.84(t、1H)、3.00−2.90(m、1H)、2.76−2.66(m、1H)、2.57−2.52(m、1H)、2.31−2.17(m、2H)、1.52(s、9H)、1.45(s、9H)。
d)7−アミノ−2−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−オクタヒドロ−1,5,10−トリオキサシクロペンタシクロデセン−6,9−ジオン
Figure 0005174660
ジクロロメタン(2 ml)中の上記化合物(26 mg、0.05 mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(2 ml)を加える。反応混合物を室温にて2時間撹拌し、蒸発乾固する。トルエンで2回共蒸発して、注意深く乾燥した後、24 mgの標記化合物をビス−トリフルオロ酢酸塩で得る。LC/MSにより、339(M+1)、677(2M+1)および337(M−1)の特徴的イオンをもつ構造が確認される。
実施例3
2−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−オクタヒドロ−1,5,11−トリオキサシクロペンタシクロウンデセン−6,10−ジオン
Figure 0005174660
a)ヘキサンジオン酸モノ−{5−[4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル]−3−[(4−メトキシ−フェニル)−ジフェニル−メトキシメチル]−テトラヒドロ−フラン−2−イル−メチル}エステル
Figure 0005174660
ジクロロメタン(80 ml)中の(1−{5−ヒドロキシメチル−4−[(4−メトキシフェニル−ジフェニル−メトキシメチル]−テトラヒドロフラン−2−イル}−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−カルバミン酸tert.−ブチルエステル[730 mg、1.19 mmol、実施例1に記載]および4−メチルアミノピリジン(350 mg、2.86 mmol)の溶液に、グルタル酸無水物(327 mg、2.86 mmol)を加える。反応混合物を室温にて一夜撹拌した後、反応混合物にジクロロメタンを注ぐ。有機相を希塩化アンモニウム溶液、希クエン酸溶液、水および食塩水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、蒸発して、819 mg(95%)の粗上記生成物を得、精製することなく次のステップに用いる。
b)ヘキサンジオン酸モノ−[5−[4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル]−3−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル−メチル]エステル
Figure 0005174660
酢酸(50 ml)および水(25 ml)中の上記化合物(1.09 g、1.5 mmol)の溶液を室温にて2.5時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固し、溶離液としてEtOAc/MeOH 9:1で溶離するシリカゲルカラムで残渣を精製して、435 mg(64%)の所望化合物を得る。
c)[1−(6,10−ジオキソ−デカヒドロ−1,5,11−トリオキサ−シクロペンタシクロウンデセン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
Figure 0005174660
DMF(120 ml)中の上記化合物(395 mg、0.87 mmol)、HOBT(235 mg、1.74 mmol)およびDMAP(213 mg、1.74 mmol)の溶液に、EDAC(334 mg、1.74 mmol)を加える。反応混合物を室温にて48時間撹拌した後、溶媒を蒸発する。反応残渣にジクロロメタンを加ええ、希塩化アンモニウム溶液、希クエン溶液、水および食塩水で洗浄し、蒸発して、350 mgの粗生成物を得る。LC/MSは、438(M+1)、496(M+酢酸エステル)、875(2M+1)および436(M−1)におけるイオンの所望生成物を示す。アセトニトリル/水 1:1およびアセトニトリル/水 1:1.25で溶離するC−8逆相カラムで2回精製し、蒸発し、凍結乾燥した後、220 nMにてHPLCで測定された純度約50%の標記化合物31 mgを得る。
d)2−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−オクタヒドロ−1,5,11−トリオキサ−シクロペンタシクロウンデセン−6,10−ジオン
Figure 0005174660
ジクロロメタン(2 ml)中の上記化合物(31 mg)の溶液に、±0 ℃にてトリフルオロ酢酸(2 ml)を加える。反応混合物を±0 ℃にて2時間、次いで室温にてさらに2時間撹拌する。その後、反応混合物を蒸発乾固し、最後にトルエンで共蒸発して、粗生成物を得、アセトニトリル/水 1:2で溶離するC−8逆相カラムで精製する。TFAを加えた後、適当なフラクションを蒸発し、31 mgの標記化合物をトリフルオロ酢酸塩で得る。LC/MSにより、338(M+1)、396(M+酢酸エステル)および675(2M+1)の特徴的イオンをもつ構造が確認され、220 nMにおける純度は約70%である。
生物学的実施例1A
ラット薬物動態
実施例1の化合物をMQグレードの水に3 mg/mlで溶解し、二匹のラットに経口投与する。用量は15 mg/kgであり、血漿サンプルを0、15および30分、1、2、4および6 時間の時点で採取する。血漿中の回収(代謝産物2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチル−β−D−エリスロペントフラノシルシトシンとして)を、質量分析で測定し、ナトリウムアダクトm/z 264(M+Na)+として検出する。
図1に示すように、本発明化合物は、約4 μMの用量にて、ピーク濃度で代謝産物2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチル−β−D−エリスロペントフラノシルシトシンの実質的血漿濃度を提供する。ラットをHIVに感染させることはできないので、本実施例でこの製剤の抗レトロウイルス活性を直接測定することはできないが、代謝産物2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチル−β−D−エリスロペントフラノシルシトシンのED50が、ヒトH9細胞において、典型的に、約0.01μMであることが留意される。したがって、このことは、ピーク血漿濃度が、ED50の数百倍であることを意味する。AUCおよびクリアランスなどの他の医薬的パラメーターは、QDまたはBID投与においてED50をはるかに上回る24時間トラフ濃度を達成するのに調和する。
生物学的実施例1B
透過性
この実施例は、ヒト胃腸管の細胞を通るインヒビターの輸送を測定する。アッセイは、40〜60の間の継代数をもつ公知のCaco−2細胞を用いる。
アピカル(尖端)からバソラテラル(側底)への輸送
一般に、すべての化合物を、2−4ウエルで試験する。バソラテラルおよびアピカルウエルは、それぞれ1.5 mLおよび0.4 mLの輸送緩衝液を(TB)含み、被検物質の標準濃度は、10 μMである。さらに、すべての試験溶液および緩衝液は、1% DMSOを含む。実験の前に、10%血清を含む培養培地で30分間輸送プレートをプレコートして、プラスチック材料への非特異的結合を回避する。フィルターサポート上での培養の21〜28日後、細胞は、透過性実験の準備ができる。
輸送プレート番号1は、3列の4ウエルをそれぞれ含む。列1は「洗浄」、列2は「30分」および列3は「60分」と表示される。輸送プレート番号2は、3列の4ウエルをそれぞれ含み、列4は「90分」、列5は「120分」と表示され、残りの列は割当なしである。
アピカルウエルから培養培地を除去し、すでに列1〜5において1.5 mLの輸送緩衝液(HBSS、25 mM HEPES、pH 7.4)で調製されているインサートの入っていない2つのプレートのうち、輸送プレート(プレート番号1)の洗浄列(番号1)へインサートを移す。A→Bスクリーニングにおいて、バソラテラルウエル中のTBは、1%ウシ血清アルブミンを含む。
0.5 mLの輸送緩衝液(HBSS、25 mM MES、pH 6.5)をインサートに加え、ポリマーリミックスシェーカーにて、細胞単層を輸送緩衝液系中で37℃にて30分間平衡化する。緩衝液系に平衡化された後、EVOMチョップスティック装置によって、経上皮電気抵抗(TEER)値を測定する。TEER値は通常、400〜1000Ωである(使用した継代数によって変わる)。
輸送緩衝液(TB、pH 6.5)をアピカル側から除去し、インサートを30分の列(番号2)に移し、試験物質を含む新鮮な425 μLのTB(pH 6.5)をアピカル(ドナー)ウエルに加える。プレートをポリマーリミックスシェーカー中で、約150〜300 rpmの低い振とう速度にて37℃にてインキュベートする。列2を30分間インキュベートした後、インサートを新たに予熱したバソラテラル(レシーバー)ウエルに30分毎に移す;列3(60分)、4(90分)および5(120分)。
〜2分後および実験終了時にアピカル溶液から25 μLのサンプルを採取する。これらのサンプルは、実験の開始および終了からのドナーサンプルを意味する。
予定の時点毎にバソラテラル(レシーバー)ウエルから300 μLを採取し、実験の終了時にTEERのポスト値を測定する。すべての集めたサンプルに、アセトニトリルを加えて、サンプル中の最終濃度50%にする。HPLCまたはLC−MSによって分析するまで、集めたサンプルを−20℃にて保管する。
バソラテラル(側底)からアピカル(尖端)への輸送
一般に、すべての化合物を、2−4ウエルで試験する。バソラテラルおよびアピカルウエルは、それぞれ1.55 mLおよび0.4 mLの輸送緩衝液を(TB)含み、被検物質の標準濃度は、10 μMである。さらに、すべての試験溶液および緩衝液は、1% DMSOを含む。実験の前に、10%血清を含む培養培地で30分間輸送プレートをプレコートして、プラスチック材料への非特異的結合を回避する。
フィルターサポート上での培養の21〜28日後、細胞は、透過性実験の準備ができる。アピカルウエルから培養培地を除去し、すでに列1〜5において1.5 mLの輸送緩衝液(HBSS、25 mM HEPES、pH 7.4)で調製されているインサートの入っていない新たなプレート(輸送プレート)の洗浄列(番号1)へインサートを移す。
輸送プレートは、3列の4ウエルを含む。列1は「洗浄」および列3は「実験列」と表示される。輸送プレートは、洗浄列N番号1において1.5 mL TB(pH 7.4)、実験列番号3(ドナー側)はを試験物質を含む1.55 mL TB(pH 7.4)で予め調製されている。
0.5 mLの輸送緩衝液(HBSS、25 mM MES、pH 6.5)を列番号1中のインサートに加え、ポリマーリミックスシェーカーにて、細胞単層を輸送緩衝液系中で37℃にて30分間平衡化する。緩衝液系に平衡化された後、EVOMチョップスティック装置によって、TEER値を測定する。
輸送緩衝液(TB、pH 6.5)をアピカル側から除去し、インサートを列3に移し、試験物質を含む新鮮な400 μLのTB(pH 6.5)をインダートに加える。30分後、アピカル(レシーバー)ウエルから250 μL回収し、新たな輸送緩衝液と交換する。その後、250 μLのサンプルを回収し、120分の時点の実験の終了まで、30分毎に新たな輸送緩衝液と交換し、最後に、実験の終了時に、TEERのポスト値を測定する。〜2分後および実験終了時にバソラテラル(ドナー)コンパートメントから25 μLのサンプルを採取する。これらのサンプルは、実験の開始および終了からのドナーサンプルを意味する。
すべての集めたサンプルに、アセトニトリルを加えて、サンプル中の最終濃度50%にする。HPLCまたはLC−MSによって分析するまで、集めたサンプルを−20℃にて保管する。
計算
吸収された累積フラクションFAcum対時間の決定
FAcumを式:
Figure 0005174660
[ここで、CRiは、間隔iの終了時のレシーバー濃度であり、CDiは、間隔iの開始時のドナー濃度である]
から計算する。直線関係が得られるべきである。
透過係数(Papp、cm/s)の決定を式:
Figure 0005174660
[ここで、kは、時間(分)の関数として吸収された累積フラクション(FAcum)の線形回帰によって得られる傾きとして定義される輸送速度(/分)であり、VRは、レシーバー室内の容積(mL)であり、Aは、フィルターの面積(cm2)である]
から計算する。
参照化合物
Figure 0005174660
生物学的実施例2
PhenoSense HIVアッセイにおけるTAMプライマーレスキュー−関連耐性HIVに対する活性
典型的なTAMプライマーレスキュー突然変異耐性遺伝子型をもつ患者の血漿サンプルからのHIV−1単離株における血漿代謝産物2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチル−β−D−エリスロペントフラノシルシトシンとして測定される本発明化合物の感受性は、市販のPhenoSense HIVアッセイ(Petropoulos、CJら、(2000)Antimicrob.Agents Chemother.44:920−928に記載され、ViroLogics、Incによって行われた)によって決定される。アッセイは、患者の血漿からのHIV pol遺伝子のプロテアーゼ(PR)−RTセグメントを増幅し、NL4−3分子クローン由来の修飾HIV−1ベクター内に増幅産物を挿入することによって行う。
組換えウイルスDNAベクターおよび両種指向性マウス白血病ウイルスエンベロープタンパク質を産生する発現ベクターで293細胞培養物を同時形質導入することによって、ウイルスストックを調製する。形質移入された細胞培養物から偽型ウイルス粒子を収集し、新鮮な293細胞培養物を感染させるのに用いる。組換えウイルスDNAは、HIV env遺伝子領域内にルシフェラーゼ遺伝子カセットを含み、標的細胞におけるルシフェラーゼの産生は、1回のウイルス複製の完了に従属する。連続的濃度の本発明化合物および参照化合物を細胞に加えることによって、薬物感受性を測定する。ウイルス複製を阻害する薬物は、ルシフェラーゼシグナルを用量依存性様式で減少させ、薬物感受性の定量的測定を提供する。
実施例2a
第1表は、HIVに耐性があり、AZTを含む抗レトロウイルス療法中に典型的に出現する特徴的なTAM遺伝子型をもつ実験に用いたプライマーレスキュー関連TAM突然変異体の主要群をまとめたものである。
第1表:プライマーレスキュー関連TAM患者単離株20および21における特徴的遺伝子型
Figure 0005174660
結果を図2に示す。野生型HIVウイルスを参照として用いる。ここで、患者単離株20および21株の阻害を、参照を用いる並列実験と比較した、治療薬に対する感受性の低下における倍数変化として表す。以下の抗ウイルス薬を試験した:AZT、3TC、TNF、ABC、d4T、FTCおよび血漿代謝産物2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチル−β−D−エリスロペントフラノシルシトシンとして本発明化合物。本発明化合物が、TAMをもつ株に対する活性を保有することが明らかである。結果は、単離株20株について1.0倍感受性が低下し、単離株21株について1.0倍未満感受性が低下したことを示す。これは、本発明化合物が、野生型HIV RTに対する効力と同程度の効力のレベルで患者のプライマーレスキュー関連突然変異体HIV RTに対する活性を保有することを意味する。対照的に、他の薬物、特にAZT(感受性が451倍低下)のみならず3TC、TFN、ABC、d4TおよびFTCも、野生型と比較して、これらの患者からのウイルスに対する効力を失った。言い換えれば、これらの患者からのウイルスは、図2に示すように、これらの薬物に対して、耐性、すなわち感受性の大きな低下を示した。
2つの患者単離株が、コドン215において異なるアミノ酸転移(単離株20においてTからF、および単離株21においてTからY)を抱えることに留意することが重要である。これは、プライマーレスキュー関連TAM耐性突然変異体の代表的な特徴である。
実施例2b
第2表は、ごく一般的に用いられる抗レトロウイルス療法であるAZT+3TC(コンビビル)によって典型的に選ばれる、遺伝的背景M184V(区別的突然変異体)をもつプライマーレスキュー関連突然変異体HIVの概要を示す。
第2表:TAM−プライマーレスキュー関連患者単離株19における遺伝子型変化
Figure 0005174660
図3に示すように、血漿代謝産物2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチル−β−D−エリスロペントフラノシルシトシンによって測定される本発明化合物は、この耐性ウイルスに対する活性をまたもや保有し、野生型HIVと比較して、感受性において1.78倍の相異を示すにすぎない。3TCおよびAZTの両方が、活性を失い、耐性ウイルスに対して低下した効力(すなわち、ウイルス感受性における明らかな低下)を示した(図3)。
実施例2c
抗ウイルス薬による継続的チャレンジは、MDRの出現をもたらす。RTのフィンガー領域におけるアミノ酸68と70の間の6塩基対の挿入をもつT69S突然変異は、種々の形態のTAMとの組み合わせにおいて見られることが多く、プライマーレスキュー活性の増進に寄与する。TAMと組み合わせての一群のMDR(アミノ酸挿入の異なる形態をもつ)は、第3表に概要を示すように選ばれた。
第3表:プライマーレスキュー関連患者単離株31、32および35における遺伝子型変化
Figure 0005174660
図4に示すように、本発明化合物は、これらの患者単離株を阻害し、現在慣例の抗ウイルス薬療法において用いられている6つの参照抗ウイルス薬と比較して、薬物感受性において最小の変化しか与えなかった。
患者単離株32および35において、AZTに対するウイルス感受性には明らかな(500−1000倍の)低下が観察され、一方、本発明化合物では、それぞれ2.79および4.29倍の変化しか示さなかったことに留意されたい。このことは、従来のNRTIによって代表される必須のDNA鎖ターミネーターと比べて、異なる阻害メカニズムを提示している本発明化合物と一致する。
実施例2d
単離株4は、R211SおよびK219Eにおける突然変異からなる非必須TAM背景においてK65R+M184V遺伝子型をもつさらなる区別的突然変異体を表す。この単離株は、アバカビル、3TCおよび新たに承認されたヌクレオシドFTCに対して典型的な交差耐性を引き起こすが、AZTおよびd4Tなどのチミジンアナログに対するその感受性は保有する。この単離株は、典型的なプライマーレスキュー突然変異を有さないが、FC値が3.88であることによって示されるように、本発明化合物はなお、このウイルス表現型を阻害する。この値は、チミジンアナログであるAZT(FC=1.11)およびd4T(FC=0.71)に匹敵し、一方、有意な耐性が、3TC(FC>200)、FTC(FC>40)に対して、およびある程度ABC(FC>9.0)に対して見出された。この実験データは、本発明化合物が、「プライマーレスキュー」突然変異体に対する独特の特性を有するのみならず、区別的ファミリーからのHIV突然変異体を阻害することもできることを実証する。したがって、これは、3TCおよびFTCならびに4'−C−エチニル化合物の可能性のあるメカニズムによって採用された阻害メカニズムと対照的である。触媒領域内のコドンT165Rにおけるもう1つのアミノ酸変化とともにM184Vは、4−C−エチニル ヌクレオシドに対する交差耐性に寄与する(Kodama 2002)。
生物学的実施例3
PBMCにおけるプライマーレスキュー−関連耐性HIVに対する2',3'−ジデオキシ−3−C−ヒドロキシメチル−シトシンの活性
さらなるTAMプライマーレスキュー関連耐性HIV単離株に対する本発明化合物の抗ウイルスパフォーマンスをPBMC培養物においてアッセイした。HIV−1の単離株を作成し、感染患者のPBMCとPHA−刺激ドナーPBMCの共培養によって高力価にする(ACTG HIV Laboratoriesのためのウイルス学マニュアル)。無細胞上清を回収し、配列し、薬物感受性アッセイのために−70℃にてアリコートで保管する。
修飾ACTG/DODコンセンサス法を用いてインビトロ薬物感受性アッセイを行った(ACTG HIV Laboratoriesのためのウイルス学マニュアル)。加湿した5% CO2雰囲気中で、PBMCをウイルスストックで37℃にて4時間予備感染させ、次いで、4時間インキュベートした。感染した細胞を培地で2回洗浄し、8つのシリアル希釈した薬物を入れたマイクロタイタープレートにピペットで移した。各ウエルは、100,000個の予備感染PBMCを含み、すべての薬物希釈物は細胞培養培地で作成した。薬物希釈物を選んで、各単一薬物について50%阻害濃度(IC50)を測った。各プレートにて細胞およびウイルスを含むコントロールウエルを共インキュベートした。5% CO2のミイラ化雰囲気(mummified atmosphere)での37℃にて7日間のインキュベーション後に、上清におけるp24抗原アッセイ(Abbott Laboratories、シカゴ、USA)を用いて、ウイルス増殖を測定した。薬物を含まないコントロールウエルと比較してのウイルス増殖の阻害パーセントを計算し、コントロールウエルと比較しての倍数変化(化合物の感受性の低下)で表した。参照化合物AZTを本発明化合物との並列実験に付した。
プライマーレスキュー関連TAM耐性RT突然変異の必須の特徴を抱える代表的プライマーレスキュー関連突然変異体ウイルスの群を選んだ。第4表に示すように、区別的突然変異体M184Vの有無にかかわらず種々の組み合わせでM41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/FおよびK219Q/E位置に突然変異をもつ株を用いた。
第4表:8個の患者単離株におけるTAMプライマーレスキュー関連遺伝子型
Figure 0005174660
大部分のこれらの選ばれたプライマーレスキュー突然変異体は、AZT感受性に対する顕著な耐性を付与し、FC値において2、3百倍の低下があった。例外は、T215V アミノ酸突然変異を有する単離株7086(FC=3.0)であった。FC値の完全な報告を図5に示す。ここで、2',3'−ジデオキシ−3'−C−ヒドロキシメチルシトシンは、わずか2.7という高いFC値で8個の単離株すべてを阻害した。
特許および特許出願を含む本願において言及したすべての参考文献は、これらは、可能な限りの範囲で、参照することにより本発明に援用される
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、明細書および請求の範囲を通して、語句「含む(comprise)」および「含む(comprises)」や「含んでいる」などの変形は、述べられた完全体、段階、完全体のグループまたは段階のグループの包含を意味し、いずれかの他の完全体、段階、完全体のグループまたは段階のグループの排除を意味しないことが理解されるであろう。
図1は、ラットへの本発明化合物の経口投与後のインビボ代謝産物の経時的血漿濃度のグラフである。 図2は、生物学的実施例2aでさらに検討する、従来のNRTIの阻害と比較した、本発明化合物の親による、典型的なプライマーレスキュー表現型を有するTAM株の阻害を表す。 図3は、生物学的実施例2bでさらに検討する、従来のNRTIの阻害と比較した、本発明化合物の親による、典型的なプライマーレスキュー表現型を有するM184V+TAMsの阻害を表す。 図4は、生物学的実施例2cでさらに検討する、従来のNRTIの阻害と比較した、本発明化合物の親による、典型的なプライマーレスキュー表現型を有するT69S+XX+TAMsの阻害を表す。 図5は、生物学的実施例3でさらに検討する、ジドブジンおよびラミブジンによる阻害と比較した、本発明化合物の親による、TAM株の阻害を表す。

Claims (20)

  1. 式(I):
    Figure 0005174660
    [式中、
    R1は独立して、H、−OR3、−NHR4;C1−C4アルキルである;
    または、nが2である場合、隣接するR1と一緒になって、オレフィン結合を形成する;
    R2は、Hである;
    またはジェムR1がC1−C4アルキルである場合、R2はC1−C4アルキルであってもよい;
    またはジェムR1が−OR3である場合、R2は−C(=O)OHまたはその医薬的に許容しうるエステルであってもよい;
    R3は独立して、Hまたはその医薬的に許容しうるエステルである;
    R4は独立して、Hまたはその医薬的に許容しうるアミドである;
    R5は、Hである;
    R6は、Hである;
    nは、1、2または3である]
    で示される化合物またはその医薬的に許容しうる塩。
  2. nが1である請求項1に記載の化合物。
  3. R1がH、OHまたはその医薬的に許容しうるエステルである請求項2に記載の化合物。
  4. nが2である請求項1に記載の化合物。
  5. 第1のR1がH;および第2のR1が−OHもしくは−NH2、またはその医薬的に許容しうるエステルもしくはアミドである請求項4に記載の化合物。
  6. 式:
    Figure 0005174660
    [式中、R5およびR6は請求項1と同意義であり、R1*は、該第2のR1である]
    で示される請求項5に記載の化合物。
  7. 2−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−オクタヒドロ−1,5,10−トリオキサシクロペンタ−シクロデセン−6,9−ジオンの名称である請求項4に記載の化合物またはその医薬的に許容しうる塩。
  8. nが3である請求項1に記載の化合物。
  9. 2−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−オクタヒドロ−1,5,11−トリオキサ−シクロペンタシクロウンデセン−6,10−ジオンの名称である請求項8に記載の化合物またはその医薬的に許容しうる塩。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物および医薬的に許容しうる担体または賦形剤を含む医薬組成物。
  11. 医薬として用いるための請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物。
  12. HIVの治療または予防に用いるための請求項11に記載の化合物。
  13. HIVが多剤耐性HIVである請求項12に記載の化合物。
  14. 多剤耐性HIVの逆転写酵素が、ATPまたはピロリン酸塩媒介性切除によって、絶対的鎖終結ヌクレオシドまたはヌクレオチドリン酸が新生DNA鎖から切除されるのを可能にする、少なくとも1つの突然変異を有する請求項13に記載の化合物。
  15. 逆転写酵素が、少なくとも1つの以下の遺伝子型パターン:
    (a)M41、±D67、L210およびT215;
    (b)D67、K70およびK219;
    (c)T69S−XXまたは
    (d)Δ67(67における欠失)。
    を有する請求項14に記載の化合物。
  16. 逆転写酵素が、少なくとも3つの突然変異を有する請求項15に記載の化合物。
  17. 安全かつ有効量の請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物を含む、HIV感染の治療または予防用医薬組成物
  18. HIVが多剤耐性HIVである請求項17に記載の医薬組成物
  19. HIV感染の治療または予防のための医薬の製造における請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物の使用。
  20. HIVが多剤耐性HIVである請求項19に記載の使用。
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