以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。この地図情報処理装置は、入力装置1、位置検出装置2、更新情報取得装置3、地図情報記憶装置4、プロセッサ5および出力装置6を備えている。
入力装置1は、使用者の操作による指示に応じて指示信号を生成し、プロセッサ5に送る。この入力装置1は、例えば、使用者の音声を認識して指示信号を生成する音声認識装置、使用者の手動操作に応じて指示信号を生成する操作ボタン、および、その他の入力装置のうちの少なくとも1つから構成されている。
位置検出装置2は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機(図示は省略する)を用いて当該地図情報処理装置が搭載された車両の現在位置を検出する。なお、位置検出装置2は、GPS受信機に代えて、または、GPS受信機と併用して、車速センサおよび角速度センサ(いずれも図示は省略する)を用いて現在位置を検出するように構成できる。この位置検出装置2で検出された現在位置を示す位置情報は、プロセッサ5に送られる。
更新情報取得装置3は、例えばメモリカードリーダから構成されており、メモリカードに記憶されている更新情報を読み取ってプロセッサ5に送る。また、更新情報取得装置3は、メモリカードが挿入された旨の信号をプロセッサ5に送る。更新情報の詳細については後述する。なお、更新情報取得装置3は、更新用の地図情報を管理しているサーバから通信によって更新情報を取得する通信装置から構成することもできる。
地図情報記憶装置4は、例えば、記憶媒体としてハードディスクを用いたハードディスクドライブから構成されており、地図情報を記憶している。この地図情報記憶装置4に記憶される地図情報の詳細は後述する。この地図情報記憶装置4に記憶されている地図情報は、プロセッサ5によって読み出される。
プロセッサ5は、入力装置1から送られてくる指示信号、位置検出装置2から送られてくる位置情報および地図情報記憶装置4から読み込んだ地図情報を用いて地図情報処理を実行する。地図情報処理には、位置検出装置2から得られた位置情報と地図情報記憶装置4から読み出した地図情報とに基づいて車両の現在位置を推定するマップマッチング処理、出発地から目的地までの経路を算出する経路計算処理(経路探索処理)、経路計算処理によって得られた好適な経路の候補を道路地図とともに出力装置6に含まれる表示装置(後述する)の画面に表示する経路表示処理、好適な経路の候補から選択された経路に従って出発地から目的地までの案内を行う経路誘導処理、現在位置周辺の地図を表示する表示処理、あるいは、施設、住所または電話番号などの各種情報を検索する検索処理などが含まれる。
また、プロセッサ5は、入力装置1から送られてくる指示信号、位置検出装置2から送られてくる位置情報および更新情報取得装置3から送られてくる更新情報を用いて、地図情報記憶装置4に記憶されている地図情報を更新するとともに、更新の不適正、開始または終了などのメッセージを表すデータを出力装置6に送る。
出力装置6は、プロセッサ5から送られてくるデータに従って、使用者に種々の情報を提示する。この出力装置6は、図示は省略するが、表示装置および音声発生装置の少なくとも1つから構成されている。表示装置は、プロセッサ5から送られてくるデータに含まれる表示データに従って、地図情報に基づく地図、地図上での車両の現在位置、経路探索処理によって得られた地図上の好適な経路の候補、好適な経路の候補から選択された1つの経路に従って出発地から目的地までの案内を行うための案内情報、または、検索によって得られた各種情報などを表示する。音声発生装置は、プロセッサ5から送られてくるデータに含まれる音声データに従って、表示装置に表示された内容と同様または関連する内容を音声で出力し、使用者に対する指示または案内を行う。
以上のように構成された実施の形態1に係る地図情報処理装置によれば、使用者が例えば目的地周辺の道路状況を確認したいと考えた場合、使用者が入力装置1を用いて表示すべき範囲を指示することにより、地図情報処理装置は、指示された範囲の地図を出力装置6の表示装置に表示する。したがって、使用者は、表示装置を見ることによって目的地周辺の道路状況を確認することができる。
また、使用者が例えば目的地に至るまでの地図情報を更新しようと考えた場合、使用者は、まず、目的地を含む地域の更新情報が記憶されたメモリカードを更新情報取得装置3にセットする。次に、使用者が入力装置1を用いて地図情報の更新を指示することにより、地図情報処理装置は、メモリカードから読み出した更新情報に基づいて地図情報記憶装置4に記憶されている地図情報を更新する。その結果、使用者は、目的地に至るまでの最新バージョンの地図情報を利用することができる。
また、地図情報処理装置は、位置検出装置2から、使用者が乗車している車両の現在位置を示す位置情報を得ることができるので、当該車両の現在位置から目的地までの地図を表示するために必要な地図情報を得ることができる。その結果、使用者は、出力装置6の表示装置を見ることによって現在位置から目的地までの経路を案内するための案内情報を知ることができる。
次に、実施の形態1に係る地図情報処理装置で使用される地図情報について説明する。地図情報の作成範囲は、緯線と経線により囲まれた矩形によって規定される。また、地図情報は、情報の詳細さの度合いによって階層化されており、地図情報の作成範囲は、階層毎に、所定間隔の緯線と経線によって囲まれた矩形領域であるメッシュに区画されて管理される。このメッシュに区画された地図情報を「メッシュ情報」と呼ぶ。
図2は、各階層のメッシュの例を示す図である。この例では、レベル0、レベル1およびレベル2といった3階層に階層化されており、レベル2→レベル1→レベル0の順に詳細さの度合いが増している。レベル0では、作成範囲は、8×8個のメッシュに区画され、レベル1では、4×4個のメッシュに区画され、レベル2では、2×2個のメッシュに区画されている。
したがって、作成範囲の左端の経度をWxmin、右端の経度をWxmax、下端の緯度をWymin、上端の緯度をWymax、作成範囲の経度方向の幅をWxおよび緯度方向の幅をWyとするとき、Wx=Wxmax−Wxmin、Wy=Wymax−Wyminとなり、レベル0のメッシュの経度方向の幅はWx/8、緯度方向の幅はWy/8となり、レベル1のメッシュの経度方向の幅はWx/4、緯度方向の幅はWy/4となり、レベル2のメッシュの経度方向の幅はWx/2、緯度方向の幅はWy/2となる。
また、メッシュを特定するために、各メッシュにはメッシュ座標(X,Y)が付与されている。メッシュ座標Xとして、左端のメッシュから右端のメッシュに向かって順に0、1、2、・・・が付与され、メッシュ座標Yとして、下端のメッシュから上端のメッシュに向かって順に0、1、2、・・・が付与されている。例えば、図2に示すレベル0の太線で囲まれたメッシュのメッシュ座標は(2,3)である。
図3は、作成範囲内に存在する任意領域の例であり、A、B、C、D、EおよびFの任意領域が存在する。なお、簡単のために、メッシュ情報を領域地図ファイル(詳細は後述する)に格納することを、以下においては、「メッシュを領域地図ファイルに格納する」と記述し、領域地図ファイルに対応する任意領域に含まれるメッシュを「領域地図ファイルのメッシュ」と記述する。
図4は、図2に示すメッシュに区画された作成範囲を、任意領域A、B、C、D、EおよびFに対応する領域地図ファイルに格納するメッシュを示し、例えば、レベル0のメッシュ(1,1)のように、メッシュの中に任意領域Aしか含まない場合は、任意領域Aに対応する領域地図ファイルにのみメッシュが格納されるが、レベル0のメッシュ(2,3)のように、3つの任意領域A、BおよびCを含むメッシュの場合は、任意領域A、BおよびCに対応する領域地図ファイルの全てに当該メッシュが格納される。このようなメッシュの格納が作成範囲の全てのメッシュに対して行われることにより、領域地図ファイルには、その領域地図ファイルに対応する任意領域が一部でも含まれる全てのメッシュが含まれることになる。
地図情報記憶装置4には、各階層の任意領域内の地図情報を格納した領域地図ファイルが、作成範囲に含まれる任意領域に対応して記憶され、また、メッシュを管理するメッシュ管理情報(詳細は後述する)が記憶される。
図5および図6は、地図情報記憶装置4に記憶される領域地図ファイルの例を示す図である。領域地図ファイルには、任意領域に含まれる全ての階層の全てのメッシュが格納される。図5においては、任意領域A〜Fに対応して領域地図ファイル#0(A)〜領域地図ファイル#5(F)が地図情報記憶装置4に記憶される例を示している。
図6は、図5に示す領域地図ファイル#0(A)の例を示している。この領域地図ファイル#0(A)は、図4に示すレベル2、1および0の任意領域Aを含む全てのメッシュのメッシュ情報からなり、具体的には、レベル2のメッシュ(0,0)、(0,1)、レベル1のメッシュ(0,0)、(0,1)、(0,2)、(1,0)、(1,1)、ならびに、レベル0のメッシュ(0,0)、(0,1)、・・・、(3,1)、(3,2)のメッシュ情報からなる。
また、領域地図ファイルには、当該領域地図ファイルに対応する任意領域を特定する文字列が設定される。
図7は、メッシュ情報の例を示す図である。このメッシュ情報は、マップマッチングおよび道路の表示に使用される道路データ、河川および海などといった地図の背景を表示するための背景データ、道路名、地名、河川名および領域名称などを表示するための名称データ、交差点案内図、方面名称、レーン情報および料金所案内用情報などといった経路をユーザに適切に提示して誘導するための経路誘導データ、経路計算のための経路計算データ、施設などを検索するための検索データなどを含み、これら各データの所在およびデータサイズを示す地図情報ヘッダを含んでいる。
図8は、図4に示す階層および区画を有する場合の地図情報記憶装置4に記憶されるメッシュ管理情報の例を示す図である。メッシュ管理情報は、メッシュ管理情報ヘッダと各階層のメッシュに対応して設けられたメッシュ管理レコードとから構成されている。
メッシュ管理情報ヘッダは、作成範囲、階層数、各階層に対応して設けられた階層管理レコードおよび各メッシュ管理レコードのメッシュ管理情報における記憶位置を示すメッシュ管理レコード位置テーブルから構成されている。作成範囲は、地図情報の作成範囲である矩形領域の左端経度、右端経度、下端緯度および上端緯度を表す情報からなる。階層管理レコードは、対応する階層のメッシュ数、メッシュの経度方向の幅およびメッシュの緯度方向の幅を示す情報からなる。
メッシュ管理レコードは、対応するメッシュの階層、メッシュ座標、当該メッシュに含まれる領域数を示す所属領域数、該当する領域に対応する領域地図ファイルを特定するための所属領域特定情報からなる。所属領域特定情報は、領域地図ファイルのファイル名および当該領域地図ファイルの先頭から当該メッシュ情報までのオフセットからなる。なお、検索を容易にするために、メッシュ管理レコードは階層およびメッシュ座標によりソートされている。
図8に示すメッシュ管理情報において、レベル0のメッシュ(2,3)は、任意領域A、BおよびCの各一部を含むため、任意領域A、BおよびCに対応する全ての領域地図ファイルに当該メッシュの情報が含まれる。当該メッシュのメッシュ管理レコードにより、任意領域A、BおよびCが当該メッシュに格納されていることが領域地図ファイルのファイル名から判断することが可能であり、各領域地図ファイルのメッシュ情報が置かれている位置をオフセットから判断することが可能である。
図9は、地図情報記憶装置4に記憶される地図情報のバージョンを管理するバージョン管理情報の例を示す図である。このバージョン管理情報により、地図情報記憶装置4に格納されている各領域地図ファイルの最新バージョンを特定できる。
例えば、図10に示す例において、任意領域Aに対応する領域地図ファイルのバージョンがVer.1、任意領域Bに対応する領域地図ファイルのバージョンがVer.2、任意領域Cに対応する領域地図ファイルのバージョンがVer.3であることから、レベル0のメッシュ(2,3)のメッシュ管理レコードには所属領域数として3が設定される。所属領域特定情報には、各領域地図ファイルを特定するための領域地図ファイルのファイル名(“A.MAP”、“B.MAP”、“C.MAP”)および各領域地図ファイルの先頭からメッシュ情報へのオフセットが設定される。バージョン管理情報には、所属領域地図ファイル“A.MAP”における領域バージョンには“1.0”、所属領域地図ファイル“B.MAP”における領域バージョンには“2.0”、所属領域地図ファイル“C.MAP”における領域バージョンには“3.0”がそれぞれ設定される。
なお、図11に示す例において、任意領域Aに対応する領域地図ファイルのバージョンがVer.1、任意領域Bに対応する領域地図ファイルのバージョンがVer.2、任意領域Cに対応する領域地図ファイルのバージョンがVer.2である場合も、レベル0のメッシュ(2,3)のメッシュ管理レコードには所属領域として3が設定され、バージョン管理情報の任意領域BおよびCに対応するバージョン管理レコードの領域バージョンは、それぞれ“2.0”が設定される。
所要の地図情報の階層および範囲が指定されると、図8に示すメッシュ管理情報ヘッダの作成範囲、所望の階層のメッシュの経度方向の幅および緯度方向の幅から、所要のメッシュのメッシュ座標は容易に算出することができる。例えば、所要の階層のメッシュとしてレベル0のメッシュ(2,3)が得られたとすると、図8に示すメッシュ管理情報を検索し、階層がレベル0、メッシュ座標が(2,3)のメッシュ管理レコード#46(レベル0−(2,3))を求め、そのメッシュ管理レコード中に設定されている所属領域特定情報の領域地図ファイルのファイル名および図9に示すバージョン管理情報のバージョン管理レコードのうち該当する領域地図ファイルに関する情報を保有するバージョン管理レコード#2、#3および#4を参照して各領域地図ファイルのバージョン情報を取得し、そのバージョン情報から領域地図ファイルのうちの最新バージョンの領域地図ファイルを特定することにより、参照先の領域地図ファイルを確定する。そして、確定された領域地図ファイルに対し、メッシュ管理レコードの所属領域特定情報のメッシュ情報までのオフセットとして設定されている値を元に当該メッシュの地図情報が取得される。
次に、実施の形態1に係る地図情報処理装置で使用される更新情報の詳細について説明する。更新情報は、地図情報記憶装置4に記憶された地図情報のうちの、利用者が所望する更新領域を更新するために使用される情報であり、メモリカードに格納されて提供される。
図12は、更新情報の例を示す図である。更新情報は、領域変化有無情報、更新用管理情報、更新領域地図ファイル、不要になった領域地図ファイルを削除するための消去情報および更新領域地図ファイル範囲情報からなる。
領域変化有無情報は、行政区画の拡大/縮小の有無を示す情報である。この領域変化有無情報により、行政区画の拡大または縮小の有無を判断することが可能となる。なお、実施の形態1に係る地図情報処理装置では、行政区画は変更しないことを仮定しているため、領域変化有無情報はオフに設定されている。
また、更新情報は、複数の領域地図ファイルから構成されることが可能であり、更新対象となる領域数はユーザの設定に依存する。
更新領域地図ファイルは、更新領域の領域地図ファイルである。更新領域地図ファイルの作成範囲と、地図情報記憶装置4に格納されている領域地図ファイルの作成範囲とが相違しない場合、地図情報記憶装置4に格納されている領域地図ファイルが更新領域地図ファイルで書換えられる。例えば、作成範囲に変更がない場合は、領域地図ファイル#0(A)に対応するVer.1の“A001.MAP”が、更新の際に、Ver.2の“A001.MAP”で上書きされ、Ver.2の“A001.MAP”が地図情報記憶装置4に記憶された状態となる。
図13は、消去情報の構造を示す図である。消去情報は、消去情報ヘッダおよび消去情報レコードからなる。消去情報は、更新情報によって、行政界が変更される場合に使用される。更新対象領域が他の領域を完全に包含する変更の場合において、包含された領域は、更新後にはいずれのメッシュからも参照されなくなるため、更新時に前もって該当領域の領域地図ファイルを削除することを可能としている。
消去情報ヘッダには、消去情報レコードの数の他に、更新情報に含まれる更新領域地図ファイルの数の分だけの更新領域地図ファイルのファイル名と、その更新領域地図ファイルに対応する消去情報レコードまでのオフセットが含まれる。消去情報レコードは、消去領域地図ファイルの数と、その数の分だけの消去すべき領域地図ファイルのファイル名からなる。
事前に更新後のメッシュ管理情報から参照されることがなくなる領域地図ファイルの特定が定かではないこともあるため、更新後のメッシュ管理情報の各メッシュ管理レコードに設定されている領域地図ファイルのファイル名と、地図情報記憶装置4に記憶されている領域地図ファイルのファイル名を取得し比較することにより、いずれのメッシュ管理レコードからも参照されない領域地図ファイルが判明した場合は、その領域地図ファイルが削除される。参照されなくなった領域地図ファイルの検索は、更新後に直ちに実施してもよいし、プロセッサ5のアイドリング時間を利用して実施してもよい。
更新情報に含まれる領域地図ファイルが更新対象の領域であり、該当する領域地図ファイルに対するバージョン管理情報内のバージョン管理レコードの領域バージョンの内容が当該更新情報のバージョンの内容に書換えられる。
更新領域地図ファイル範囲情報は、更新領域地図ファイルの作成範囲を表す情報を含み、その範囲に限定して更新するかどうかを判定することにより、更新処理の高速化を図ることができる。図14は、更新領域地図ファイル範囲情報の構造を示す図である。更新領域地図ファイル範囲情報として、例えば、更新領域地図ファイルの外形を概説する矩形情報のリストが用いられる。
更新領域地図ファイル範囲情報は、更新領域地図ファイル範囲情報ヘッダと更新領域地図ファイル範囲情報レコードからなる。
更新領域地図ファイル範囲情報ヘッダは、更新領域地図ファイルの数の他に、各更新領域地図ファイルのファイル名と、当該更新領域地図ファイルに対応する更新領域地図ファイル範囲情報レコードまでのオフセットを含む。更新領域地図ファイル範囲情報レコードは、矩形情報数と、その数の分だけの矩形範囲情報を含む。矩形範囲情報は、該矩形範囲情報が示す矩形の上端緯度、下端緯度、右端経度および左端経度を示す情報からなる。
なお、更新用管理情報に関しては、行政界に変化があった場合に使用される情報であるため、後述する実施の形態2において詳細を説明する。
次に、実施の形態1に係る地図情報処理装置の動作を、図15に示すフローチャートを参照しながら説明する。地図情報処理装置が起動されると、まず、更新用のメモリカードが挿入されたかどうかが調べられる(ステップST10)。すなわち、プロセッサ5は、更新情報取得装置3からメモリカードが挿入された旨の信号が送られてきているかどうかを調べる。このステップST10において、更新用のメモリカードが挿入されていないことが判断されると、シーケンスはステップST12に進む。
一方、ステップST10において、更新用のメモリカードが挿入されたことが判断されると、地図更新処理が実行される(ステップST11)。すなわち、プロセッサ5は、更新情報取得装置3に挿入された更新用のメモリカードに記憶されている更新情報を読み取り、この読み取った更新情報を用いて地図情報記憶装置4に記憶されている地図情報を更新する。この地図更新処理については、後に、詳細に説明する。その後、シーケンスはステップST12に進む。
ステップST12においては、入力処理が行われる。すなわち、使用者は、入力装置1を操作して地図情報処理装置に指示、例えば、地図の表示縮尺、目的地または経路計算の開始指示などを入力する。入力装置1は、使用者の操作による指示に応じて指示信号を生成しプロセッサ5に送る。
次いで、現在位置が取得される(ステップST13)。すなわち、位置検出装置2は、当該地図情報処理装置が搭載された車両の現在位置を検出し、位置情報としてプロセッサ5に送る。プロセッサ5は、位置検出装置2から送られてくる位置情報を取得し、内部に記憶する。
次いで、地図情報取得処理が実行される(ステップST14)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST12で入力された指示と、ステップST13で取得された現在位置によって定まる所要の階層の所要範囲のメッシュのメッシュ情報を地図情報記憶装置4から取得する。この地図情報取得処理については、後に、さらに詳細に説明する。
次いで、古いバージョンのメッシュを読み込んだかどうかが調べられる(ステップST15)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST14で取得した所要の階層の所要範囲のメッシュの判別を行い、現在地を含むメッシュよりも古いメッシュが含まれるかどうかを調べる。このステップST15において、古いバージョンのメッシュを読み込んでいない、つまり現在地を含むメッシュと同じバージョン以上のバージョンのメッシュを含むことが判断されると、シーケンスはステップST18に進む。
一方、ステップST15において、古いバージョンのメッシュを読み込んだことが判断されると、次いで、現在地よりも古いメッシュへ進入したかどうかが調べられる(ステップST16)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST14で取得した所要の階層の所要範囲のメッシュにおいて、現在地を含むメッシュよりも古いバージョンのメッシュへ進入したかどうかを調べる。このステップST16において、現在地よりも古いメッシュへ進入していないことが判断されると、シーケンスはステップST18に進む。
一方、ステップST16において、現在地よりも古いメッシュへ進入したことが判断されると、次いで、更新情報取得を促す処理が実行される(ステップST17)。すなわち、プロセッサ5は、更新情報の入手が可能な地点(ディーラまたは販売店など)を経由地に設定するように促すメッセージを出力装置6の表示装置に表示させる。または、プロセッサ5は、更新情報の入手が可能な地点(ディーラまたは販売店など)までの経路を探索し、現在表示されている経路線とは別に、更新情報が入手可能な地点までの経路を出力装置6の表示装置に重畳表示させる。その後、シーケンスはステップST18に進む。
ステップST18においては、地図情報処理が行われる。すなわち、プロセッサ5は、ステップST14で取得したメッシュ情報を用いて、ステップST12で入力された指示と、ステップST13で取得された現在位置によって決定される地図情報処理を実行する。その後、シーケンスはステップST10へ戻り、上述した処理が繰り返される。
次に、上述したステップST11で実行される地図更新処理の詳細を、図16に示すフローチャートを参照しながら説明する。
地図更新処理では、更新する任意領域が選択されると、まず、領域変化が有るかどうかが調べられる(ステップST20)。すなわち、プロセッサ5は、更新情報から領域変化有無情報を取得し、その更新情報で領域が変化する更新が実施されるかどうかを調べる。なお、更新対象領域の領域変化情報が変化ありを示している場合の詳細については、実施の形態2において説明するので、ここでは詳細な説明は省略する。
このステップST20において、領域変化が無い、つまり領域が変化する更新が実施されないことが判断されると、シーケンスはステップST23に進む。一方、ステップST20において、領域変化が有ることが判断されると、次いで、メッシュ管理レコードが取得される(ステップST21)。次いで、メッシュ管理情報の更新が行われる(ステップST22)。その後、シーケンスはステップST23に進む。
ステップST23においては、バージョン管理レコードが取得される。すなわち、プロセッサ5は、地図情報記憶装置4の内部の更新対象の領域地図ファイルのバージョン管理レコードを書換えるために、バージョン管理情報から、該当領域地図ファイルのバージョン管理レコードを取得する。
次いで、バージョン管理レコードの追加/書換えが行われる(ステップST24)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST23で取得したバージョン管理レコードを当該更新情報のバージョンに書換え、地図情報記憶装置4に再配置する。
次いで、領域地図ファイルの追加/書換えが行われる(ステップST25)。すなわち、プロセッサ5は、地図情報記憶装置4の内部の更新対象領域の領域地図ファイルを更新領域地図ファイルに書換える。その後、地図更新処理は終了する。
以上のようにして、メモリカードから取得した更新情報により、地図情報記憶装置4のバージョン管理情報および領域地図ファイルを書換えることにより最新のバージョンに更新でき、任意領域を含むメッシュの地図情報および管理情報を容易に更新できる。
次に、上述したステップST14で実行される、任意のメッシュの地図情報を取得するための地図情報取得処理の詳細を、図17に示すフローチャートを参照しながら説明する。
地図情報取得処理では、まず、地図情報を取得するためのメッシュの選択が行われる(ステップST26)。すなわち、プロセッサ5は、地図情報を取得するメッシュのメッシュ管理レコードを特定するためにメッシュ管理情報を探索し、取得するメッシュ管理レコードを特定する。
次いで、領域地図ファイルのバージョン情報が取得される(ステップST27)。すなわち、プロセッサ5は、当該メッシュを構成する領域地図ファイルのバージョン情報を取得する。
次いで、最新の領域地図バージョンを特定できたかどうかが調べられる(ステップST28)。すなわち、プロセッサ5は、当該メッシュを構成する領域地図ファイルのうち、最新バージョンの領域地図ファイルから地図情報を取得するために、最新の領域地図ファイルを特定できたかどうかを調べる。このステップST28で行われる処理の詳細については後述する。
このステップST28において、最新の領域地図バージョンを特定できたことが判断されると、シーケンスはステップST31に進む。一方、ステップST28において、最新の領域地図バージョンを特定できなかったことが判断されると、次いで、同一バージョンが複数個あるかどうかが調べられる(ステップST29)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST28において、最新の領域地図ファイルが特定できないケースとして、同一バージョンの領域地図ファイルが複数個ある場合が想定されるため、そのケースに該当するか否かを調べる。
このステップST29において、同一バージョンが複数個ないことが判断されると、地図情報の読み込み失敗と判断され、地図情報取得処理は終了する。一方、ステップST29において、同一バージョンが複数個あることが判断されると、次いで、最新バージョンの領域地図ファイルの選択が行われる(ステップST30)。この場合、同一バージョンにおける領域地図ファイルの該当メッシュに設定される地図情報は、いずれの領域地図ファイルから取得しても同じであるため、どの領域地図ファイルから取得しても構わない。その後、シーケンスはステップST31に進む。
ステップST31においては、領域地図ファイルの読み込みが行われる。すなわち、プロセッサ5は、特定された領域地図ファイルから、該当メッシュの地図情報を取得するために、該当メッシュを探索し該当メッシュを特定する。
次いで、該当メッシュの地図情報が取得される(ステップST32)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST31において特定されたメッシュから、当該メッシュの地図情報を取得する。その後、地図情報取得処理は終了する。
次に、上述したステップST28で実行される判定処理、つまり、最新の領域地図バージョンを特定できたかどうかを判定する判定処理の詳細を、図18に示すフローチャートを参照しながら説明する。
この判定処理では、まず、該当メッシュの領域地図ファイルの名称が取得される(ステップST33)。すなわち。プロセッサ5は、当該メッシュを構成する領域地図ファイルの名称をメッシュ管理レコードの所属領域特定情報から取得する。
次いで、バージョン管理情報レコード#Nが取得される(ステップST34)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST27で取得したバージョン管理情報のレコードを取得する。
次いで、メッシュ管理とバージョン管理の領域が一致するかどうかが調べられる(ステップST35)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST33で取得した所属領域特定情報の領域地図ファイルのファイル名とステップST34で取得したバージョン管理情報レコードの領域地図ファイルのファイル名が一致するかどうかを調べる。
このステップST35において、メッシュ管理とバージョン管理の領域が一致しないことが判断されると、係数Nがインクリメント(+1)される(ステップST36)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST35で所属領域特定情報の領域地図ファイルのファイル名とバージョン管理情報レコードの領域地図ファイルのファイル名が一致しないことが判断されたので次のバージョン管理情報レコードを読み込むために、参照レコード番号Nをインクリメントする。その後、シーケンスはステップST34に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST35において、メッシュ管理とバージョン管理の領域が一致することが判断されると、バージョン情報が取得される(ステップST37)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST35で所属領域特定情報の領域地図ファイルのファイル名とバージョン管理情報レコードの領域地図ファイル名が一致したことが判断されたため、当該領域地図ファイルのバージョン情報をバージョン管理情報レコードから取得する。
次いで、全ての領域地図バージョンが取得されたかどうかが調べられる(ステップST38)。すなわち、プロセッサ5は、当該メッシュを構成する全ての領域地図ファイルのバージョン情報が取得できたかどうかを調べる。このステップST38において、全ての領域地図バージョンが取得されていないことが判断されると、参照レコード番号Nがゼロに設定される(ステップST39)。すなわち、プロセッサ5は、新たな領域地図ファイルのバージョン情報を調べるために、バージョン管理情報レコードの探索を始めから行うべく、バージョン管理情報レコード参照用の参照レコード番号Nを0に設定する。その後、シーケンスはステップST34に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST38において、全ての領域地図バージョンが取得されたことが判断されると、バージョン情報をキーにソートが行われる(ステップST40)。すなわち、プロセッサ5は、地図情報を取得する領域地図ファイルを一意に特定するために、取得された領域地図ファイルのバージョン情報をキーに領域地図ファイルをソートする。その後、判定処理は終了する。
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る地図情報処理装置によれば、任意領域を含むメッシュを1つの領域地図ファイルで管理するため管理が容易であり、任意領域を含む領域地図ファイル単位で更新が可能である。
また、領域変化有無を判断の上、領域変化がない場合、領域地図ファイルは単純な置き換えを行うのみであるため、更新オペレーションが容易である。
また、1つのメッシュ内に複数個の任意領域を持つ場合、同一メッシュの地図情報を持つ領域地図ファイルのうち、常に最新の地図情報を持つ領域地図ファイルを特定して取得することが可能である。
また、領域地図ファイルの作成範囲が変わらない場合はファイルごと置き換えるという単純な操作で更新領域地図ファイルに更新可能であり、ファイル内を書換える必要はなく、上書きコピーを行うだけで済む。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る地図情報処理装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成と同じである。また、この実施の形態2に係る地図情報処理装置で使用される地図情報は、上述した実施の形態1に係る地図情報処理装置で使用される地図情報と同じである。
更新情報は、基本的には実施の形態1の更新情報と同一であるが、実施の形態2においては行政界が変化する場合の更新情報となる。行政界が変更される際は、領域変化有無情報には“領域変化有り”が設定された状態であり、任意領域の構成が変化することにより、任意領域に変化が発生するメッシュに対し、地図情報記憶装置4の内部のメッシュ管理レコードの所属領域特定情報の構成が変化するため、構成の変化を設定するための情報が更新用管理情報に格納されている。地図情報の更新時に更新用管理情報によってメッシュ管理レコードは書換えられる。
図19は、更新用管理情報の例を示す図である。更新用管理情報は、更新用管理情報ヘッダと更新用管理レコードから構成されている。更新用管理情報ヘッダには、各レベルの変更対象となる範囲が定義される。更新用管理情報は、更新によって変化が発生するメッシュのみの更新用管理レコードで構成され、更新用管理レコードは変更後の各メッシュを特定する所属領域特定情報を含む。
更新領域地図ファイルの作成範囲が、地図情報記憶装置4に格納されている領域地図ファイルの作成範囲と異なる場合、更新領域地図ファイルと地図情報記憶装置4に格納されている領域地図ファイルは異なるファイル名になる。その結果、更新領域地図ファイルを地図情報記憶装置4にコピーすると、1つの任意領域に対応する更新領域地図ファイルと領域地図ファイルの両方が残ることになるが、領域地図ファイルの作成範囲の変更により、更新前から地図情報記憶装置4に格納されていた領域地図ファイルにしか格納されていないメッシュ情報が存在する場合、ファイル名の変更によって、これらのメッシュ情報が失われることはない。
例えば、作成範囲が変更された場合は、領域地図ファイル#0(A)に対応するVer.1の“A001.MAP”が、更新の際に、Ver.2の“A002.MAP”となり、ファイル名が異なるため、上書きされず、Ver.1の“A001.MAP”とVer.2の“A002.MAP”の2つの領域地図ファイルが地図情報記憶装置4に記憶された状態となる。
このように、更新領域地図ファイルの作成範囲の変更によって古い領域地図ファイルが残された場合においても、更新後のメッシュ管理情報から参照されなくなる領域地図ファイルが事前に判明している場合は、消去情報が作成され更新情報として提供される。
次に、この発明の実施の形態2に係る地図情報処理装置の動作を説明する。この地図情報処理装置の更新動作は、領域変更に伴う処理内容に差があることを除けば、図16のフローチャートに示した実施の形態1に係る地図情報処理装置の動作と同じである。そこで、以下においては、図16に示すフローチャートを流用して実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
地図更新処理では、更新する任意領域が選択されると、まず、領域変化が有るかどうかが調べられる(ステップST20)。このステップST20において、領域変化が無い、つまり領域が変化する更新が実施されないことが判断されると、シーケンスはステップST23に進む。
一方、ステップST20において、領域変化が有ることが判断されると、次いで、メッシュ管理レコードが取得される(ステップST21)。すなわち、プロセッサ5は、更新対象領域の領域変化がある場合は、地図情報記憶装置4の内部に記録されているメッシュ管理情報を書換えるためにメッシュ管理情報を取得し、また、更新用管理情報から、メッシュ管理情報が書換え得られるメッシュを特定する。
領域変化が発生する更新においては、地図情報処理装置4の内部のメッシュ管理情報の設定内容が変化するため、更新対象となるメッシュのメッシュ管理レコードが、更新用管理情報の更新用管理レコードに書換えられることになる。
次いで、メッシュ管理情報の更新が行われる(ステップST22)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST21で取得したメッシュ管理情報を、更新対象の領域を含むメッシュのメッシュ管理情報に書換える。なお、領域が新規に設定される場合、その領域地図ファイルに該当するバージョン管理レコードが新規に追加される。
ステップST23においては、バージョン管理レコードが取得される。すなわち、プロセッサ5は、地図情報記憶装置4の内部の更新対象の領域地図ファイルのバージョン管理レコードを書換えるために、バージョン管理情報を取得し、該当領域地図ファイルのバージョン管理レコードを特定する。
次いで、バージョン管理レコードの追加/書換えが行われる(ステップST24)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST23で取得したバージョン管理レコードを当該更新情報のバージョンに書換え、地図情報記憶装置4に再配置する。なお、新規に領域が追加される場合は、対応するバージョン管理レコードが追加される。
次いで、領域地図ファイルの追加/書換えが行われる(ステップST25)。すなわち、プロセッサ5は、地図情報記憶装置4の内部の更新対象領域の領域地図ファイルを更新領域地図ファイルで書換える。なお、新規に領域が追加される場合は、対応する領域地図ファイルが追加される。その後、地図更新処理は終了する。
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る地図情報処理装置によれば、メモリカードから取得した更新情報により、地図情報記憶装置4のバージョン管理情報および領域地図ファイルを書換え、または、追加することにより最新のバージョンに更新できるので、任意領域を含むメッシュの地図情報および管理情報を容易に更新できる。
また、領域変化有無を判断の上、領域変化がある場合、領域管理の変更を容易に行い、領域地図ファイルは単純な置き換えを行うのみであるため、更新オペレーションが容易である。
また、例えば更新領域を行政区とした場合、行政区の統合または分裂などにより行政区の領域形状に変化があった場合においても、既に格納されている領域地図情報の作成範囲を意識することなく更新処理を行うことが可能となり、また、そのような場合でも単純に更新領域地図ファイルを地図情報記憶装置4にコピーするだけでよい。
また、領域地図ファイルの作成範囲の変更に伴い、既に格納されていた領域地図情報が残存することを想定しているが、複数回、または、複数地域の更新によって、残存している領域地図情報が参照されなくなるケースが考えられるが、それらの領域地図ファイルの参照がなくなったときにファイルを削除することにより、データ容量の削減を図る。
また、実際に参照されているかどうかを見て削除を行うので、地図情報処理装置4に保持されている領域地図ファイルの状態に関わらず、参照されていない領域地図ファイルを確実に削除可能である。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る地図情報処理装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成と同じである。
また、実施の形態3に係る地図情報処理装置で使用される地図情報は、実施の形態1に係る地図情報処理装置で使用される地図情報と同一のメッシュに区画された地図情報であるメッシュ情報を含むが、メッシュ管理情報の構造は、図20および図21に示すように、当該メッシュを構成する領域地図ファイルおよびそのバージョン情報を参照できる構造を有し、該当するメッシュに対しての領域地図ファイルの変移を履歴情報として参照できるようになっている。
また、地図情報記憶装置4の内部に格納されている領域地図ファイルを管理するための領域地図ファイル管理情報を有し、同一領域地図ファイルであってもバージョンが異なる領域地図ファイルをそれぞれ参照する状態の場合、その両方を参照可能な構造を有する。図22は、領域地図ファイル管理情報の例を示す図である。
更新情報は、基本的には実施の形態1の更新情報と同一であるが、更新用管理情報の構造に差異があり、メッシュ管理レコード内の該当領域地図ファイルのファイル名およびそのバージョン情報を有する。
実施の形態3に係る地図情報処理装置で使用される更新情報に含まれる更新用管理情報の更新用管理レコードは、地図情報処理装置で定義される全てのメッシュが作成対象であり、ユーザが更新を設定した行政界とは関係なく、全てのメッシュ管理レコードを最新内容に書換えるように構成されている。なお、領域地図ファイルの書換えは、ユーザが更新を設定した行政界のみである。
更新処理において、更新領域地図ファイルが追加または書換えられる場合、その領域地図ファイルのファイル名およびバージョン情報が領域地図ファイル管理情報の領域地図ファイル管理レコードとして追加または書換えられる。領域地図ファイル管理情報に追加された領域地図ファイル管理レコードで管理される領域地図ファイルに対し当該領域地図ファイルよりも古いバージョンの領域地図ファイルが地図情報記憶装置4の内部に存在する場合、該当する領域地図ファイルが何れかのメッシュから参照されるかがメッシュ管理レコードの情報で比較され、どのメッシュ管理レコードからも参照されない領域地図ファイルであることが判明した場合は、該当する領域地図ファイル管理レコードおよびその領域地図ファイルは削除される。1メッシュだけでも参照される場合、該当するバージョンの領域地図ファイルは削除されない。参照されなくなった領域地図ファイルの検索は、更新後に直ちに実施してもよいし、プロセッサ5のアイドリング時間を利用して実施してもよい。
次に、この発明の実施の形態3に係る地図情報処理装置で行われる地図更新処理の詳細を図23に示すフローチャートを参照しながら説明する。
地図更新処理では、まず、メッシュ管理情報の書換えが行われる(ステップST42)。すなわち、プロセッサ5は、更新用管理情報の更新用管理レコードの内容に、地図情報処理装置4の内部のメッシュ管理情報の内容を書換える。
次いで、領域地図ファイル管理情報が追加される(ステップST43)。すなわち、プロセッサ5は、この地図情報の更新において追加される領域地図ファイルに関する情報を、領域地図ファイル管理情報に追加する。
次いで、所属領域地図ファイル名が重複するかどうかが調べられる(ステップST44)。すなわち、プロセッサ5は、この地図情報の更新において追加される領域地図ファイルの所属領域地図ファイル名が既に領域地図ファイル管理情報に存在するか、領域地図ファイル管理レコードの所属領域地図ファイル名を確認する。このステップST44において、所属領域地図ファイル名が重複しないことが判断された場合は、シーケンスはステップST47に進む。
一方、ステップST44において、所属領域地図ファイル名が重複することが判断された場合は、次いで、当該バージョン(Ver)を含まない古いバージョン(Ver)を含むメッシュが存在するかどうかが調べられる(ステップST45)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST44において、更新情報で更新する領域地図ファイルと同じファイル名で異なるバージョンの領域地図ファイルに対し、この領域地図ファイルが何処かのメッシュから参照されているかを調べる。この場合、当該領域地図ファイルが存在するメッシュにおいて、今回の更新時のバージョンを含まない、古いバージョンでのみ構成されたメッシュが存在する場合、古いバージョンの領域地図ファイルは参照対象となるため、削除対象とはならない。
このステップST45において、当該バージョンを含まない古いバージョンを含むメッシュが存在することが判断されると、古いバージョンのみで構成されたメッシュ管理情報レコードが存在する旨が認識され、シーケンスはステップST47に進む。
一方、ステップST45において、当該バージョンを含まない古いバージョンを含むメッシュが存在しないことが判断されると、次いで、古いバージョン(Ver)の領域地図ファイルが削除される(ステップST46)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST45において、古いバージョンを参照するメッシュが存在しないことを確定するためには、当該領域地図ファイルは今回更新した領域地図ファイルのみを参照すればよく、古いバージョンの領域地図ファイルは不要となるため削除する。その後、シーケンスはステップST47に進む。
ステップST47においては、領域地図ファイルの追加が行われる。すなわち、プロセッサ5は、この地図更新において変更される領域地図ファイルを地図情報記憶装置4に格納する。その後、地図更新処理は終了する。
次に、地図情報処理装置の動作を説明する。地図情報処理装置が地図情報を参照する際、参照先メッシュを構成する領域地図ファイルを特定するために、地図情報処理装置は、領域地図ファイル管理情報に登録されている領域地図ファイルのファイル名称およびバージョンを用いて、メッシュ管理レコードの更新情報が最新のものから順に所属領域特定情報の領域地図ファイルのファイル名および領域地図ファイルバージョン情報を参照し、該当する領域地図ファイルが存在することが判明した場合、該当する領域地図ファイルから該当する地図情報を取得することにより最新地図情報の取得を可能とする。
図24は、地図情報処理装置が、特定メッシュの地図情報を取得する地図情報取得処理を示すフローチャートである。
この地図情報取得処理では、まず、地図情報を取得するためのメッシュが特定される(ステップST48)。すなわち、プロセッサ5は、地図情報を取得するメッシュを特定するために、該当メッシュのメッシュ管理レコードを探索する。
次いで、ファイル管理情報が取得される(ステップST49)。すなわち、プロセッサ5は、地図情報記憶装置4に格納されているファイル管理情報を取得する。次いで、当該メッシュの領域地図ファイルが特定される(ステップST50)。すなわち、プロセッサ5は、該当メッシュの地図情報を取得するための領域地図ファイルを特定する。このステップST50で行われる処理の詳細は後述する。
次いで、当該メッシュの地図情報が取得される(ステップST51)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST50で特定された領域地図ファイルから該当メッシュの地図情報を取得する。その後、地図情報取得処理は終了する。
次に、上述したステップST50で行われる領域地図ファイル特定処理の詳細を、図25に示すフローチャートを参照しながら説明する。
この領域地図ファイル特定処理では、まず、領域地図ファイル管理情報が取得される(ステップST52)。すなわち、プロセッサ5は、地図情報を取得するメッシュのバージョン情報を含む所属領域地図ファイルを特定するために、現状の地図情報記憶装置4に格納された領域地図ファイル管理情報を取得する。
次いで、更新情報Nの所属領域特定情報Mが取得される(ステップST53)。すなわち、プロセッサ5は、メッシュ管理情報に設定されている更新情報Nを構成する所属領域特定情報Mの領域地図ファイルのファイル名称およびバージョン情報を取得する。
次いで、領域地図ファイル管理レコードAが取得される(ステップST54)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST52で取得した領域地図ファイル管理情報内の領域地図ファイル管理レコードAを取得する。
次いで、所属領域特定情報Mと領域地図ファイル管理レコードAの情報は一致するかどうかが調べられる(ステップST55)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST53で取得した所属領域特定情報MとステップST54で取得した領域地図ファイル管理レコードAが同一であるか否かを調べる。
このステップST55において、所属領域特定情報Mと領域地図ファイル管理レコードAの情報は一致しないことが判断されると、次いで、領域地図ファイル管理レコードAが0であるかどうかが調べられる(ステップST56)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST55において所属領域特定情報Mと領域地図ファイル管理レコードAが同一でないと判断した場合、当該領域地図ファイル管理レコードを変えて再調査するべく、領域地図ファイル管理レコードAの番号が0であるかどうかを調べる。
このステップST56において、領域地図ファイル管理レコードAの番号が0でないことが判断されると、領域地図ファイル管理レコードの番号を変えて調査するべく、領域地図ファイル管理レコードAの番号がデクリメント(−1)される(ステップST57)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST56において領域地図ファイル管理レコードAの番号を変えて調査するために、領域地図ファイル管理レコードAの番号を1だけ減じる。その後、シーケンスはステップST54に戻り、上述した処理が繰り返される。
一方、ステップST56において、領域地図ファイル管理レコードAが0である、つまり、該当領域地図ファイル管理レコードAの番号が0であることが判断されると、既に全ての領域地図ファイル管理レコードと所属領域特定情報Mとの比較を行った結果、所属領域地図情報Mに該当する領域地図ファイル管理レコードが存在せず、当該更新情報Nから該当領域地図ファイル管理レコードに該当する情報は取得できない旨を認識し、次いで、更新情報Nが0であるかどうかが調べられる(ステップST58)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST56において領域地図ファイル管理レコードAが0と判断した場合、更新情報を変えて調査するべく、更新情報Nが0であるかどうかを調べる。
このステップST58において、更新情報Nが0でないことが判断された場合、更新情報を変えて調査するべく、更新情報Nがデクリメント(−1)される(ステップST59)。すなわち、プロセッサ5は、更新情報Nを1だけ減じた更新情報を参照の対象とする。
次いで、領域地図ファイル管理レコードAの領域管理レコード数が戻される(ステップST60)。すなわち、プロセッサ5は、参照元の更新情報を変えて、再度全ての領域地図ファイルのファイル名およびバージョンを特定するために、領域地図ファイル管理レコードAの番号を初期値に戻す。その後、シーケンスはステップST53に戻り上述した処理が繰り返される。
上記ステップST58において、更新情報Nが0であることが判断された場合は、最も古い更新情報を参照しても当該領域地図ファイルのファイル名およびバージョンがないため、地図情報読み込み失敗として領域地図ファイル特定処理は終了する。
上記ステップST55において、所属領域特定情報Mと領域地図ファイル管理レコードAの情報が一致することが判断されると、Get_flagがインクリメント(+1)される(ステップST61)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST55において所属領域特定情報Mと領域地図ファイル管理レコードAの情報が同一であると判断した場合、当該領域地図ファイルのバージョンが特定され、領域地図ファイル特定フラグ(Get_flag)情報に1を加える。
次いで、Get_flagが所属領域特定情報数と一致するかどうかが調べられる(ステップST62)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST61において特定された領域地図ファイルが当該メッシュを構成する全ての領域地図ファイルであるか否かを調べる。
このステップST62において、Get_flagが所属領域特定情報数と一致しないことが判断された場合は、当該メッシュを構成する他の領域地図ファイルが存在するため、領域地図ファイルを変えて、再探索するべく、所属領域特定情報Mがデクリメント(−1)される(ステップST63)。すなわち、プロセッサ5は、当該メッシュを構成する他の領域地図ファイルを探索するために、所属領域特定情報Mを1だけ減じる。その後、シーケンスはステップST60に戻り、上述した処理が繰り返される。
上記ステップST62において、Get_flagが所属領域特定情報数と一致することが判断された場合は、最新の領域地図ファイル管理情報が取得される(ステップST64)。すなわち、プロセッサ5は、ステップST62で当該メッシュを構成する全ての領域地図ファイルのファイル名およびバージョンが特定できたため、当該領域地図ファイル管理情報より、地図情報を取得する領域地図ファイルを特定の上、該当領域地図ファイルから地図情報を取得する。その後、領域地図ファイル特定処理は終了する。
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る地図情報処理装置によれば、メッシュ管理情報に履歴の情報を格納することが可能な構造のため、地図情報更新時の更新用管理情報が常に全てのメッシュで構成されることにより、容易にメッシュ管理情報の更新が可能となる。また、この構造により、領域が縮小した場合の領域対象から外れたメッシュにおいても古い領域地図ファイルからの地図情報取得が可能となる。
また、領域変化がある場合、領域管理の変更を容易に行い、領域地図ファイルは単純な置き換えを行うのみであるため、更新オペレーションが容易である。また、変更対象となるメッシュのみの更新用管理情報ではなく、全メッシュが書換え対象となるため、更新情報作成時の更新用管理情報の作成および更新が容易である。
また、地図情報記憶装置4に格納されている領域地図ファイルのファイル名およびそのバージョン特定が可能となる領域地図ファイル管理情報を設けることにより、領域地図ファイル管理情報と該当メッシュ管理レコードを用いて、取得すべき最新地図情報を含む領域地図ファイルを容易に特定することが可能となる。
また、行政界が拡大または縮小する領域地図ファイルの更新を行う場合に、地図情報更新時に参照されなくなる領域地図ファイルを調査し該当ファイルが存在する場合は、そのファイルを削除することにより地図情報記憶装置のリソースの有効活用が可能となる。
さらに、領域地図ファイルの作成範囲が変わらない場合はファイルごと置き換えるという単純な操作で更新領域地図ファイルに更新可能であり、ファイル内を書換える必要はなく、上書きコピーを行うだけで済む。