JP5173041B1 - 洗濯装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、脱水後の被洗浄物における繊維の状態を整える機能を備えた洗濯装置を提案することを目的とする。
【解決手段】本発明の洗濯装置は、洗濯ドラム2の内壁面に凹凸曲面22を備える。この凹凸曲面22が、洗浄工程及び濯ぎ工程において、擬似無重力洗浄方式による洗浄又は濯ぎを実現するとともに、脱水工程の後の整形工程において、脱水後の生地や繊維の歪みの補修を実現する。そして、洗濯動作時に、洗浄工程、濯ぎ工程、脱水工程及び整形工程を順番に実行することにより、MA値10以下の洗浄を実現し、被洗浄物となる衣類の傷みを防具洗浄が可能となる。
【選択図】図5

Description

本発明は、被洗浄物を洗浄する洗濯装置に関するもので、特に、被洗浄物への負荷の小さい洗浄を実行する洗濯装置に関する。
従来の洗濯装置として、鉛直方向に回転軸を形成する洗濯槽を備えるものだけでなく、水平方向或いは水平方向から傾斜させた方向(以下、単に「水平傾斜方向」と呼ぶ)に回転軸を形成する洗濯槽を備えるものが、広く普及されている。鉛直方向に回転軸を形成する洗濯槽を備えた洗濯装置は、洗濯槽の底部に設置されたパルセータを回転させて、洗濯槽内の洗浄液に回転流(渦巻き水流)を発生させる。そして、発生した洗浄液の回転流の力によって、衣類などの被洗浄物同士が擦り合わさることで、被洗浄物が洗浄される(もみ洗い方式)。一方、水平方向或いは水平傾斜方向に回転軸を形成する洗濯槽を備えた洗濯装置は、洗濯槽内に設けられた洗濯ドラムを回転させることで、洗濯ドラムの内壁面に突設されたバッフル(羽根)により被洗浄物を洗濯槽の上側に移動させた後、その被洗浄物を自重で落下させる。この被洗浄物が落下したときに、洗濯槽の内壁面との衝突による衝撃力によって、被洗浄物が洗浄される(たたき洗い方式)。
このような従来の洗濯装置に対して、本出願人は、中心軸が水平方向となる洗濯ドラムがその内部に設置された洗濯槽内を洗浄液で充填させて、洗濯ドラムを回転させることで、洗濯ドラム内に収容された被洗浄物を洗浄液中で浮遊させるようにして洗浄する洗濯方法(特許文献1参照)及び洗濯装置(特許文献2、特許文献3参照)を提案した。これらの特許文献における洗濯装置ではそれぞれ、内壁面に周方向に連続した凹凸が設けられた洗濯ドラムを回転させることで、洗濯ドラムの内壁面側の洗浄液において、洗濯ドラムの内壁面の凹凸毎の渦流を発生させる。この渦流が洗濯ドラムの内壁面に沿って連続して形成されることで、洗濯ドラム内の洗浄液には、洗濯ドラムの回転に沿った大きな流れが発生する。被洗浄物は、このようにして発生した渦流と大きな流れの影響を受けて、洗濯ドラム内で漂うように浮遊して広がって、洗浄される。
即ち、本出願人は、特許文献1〜特許文献3における洗濯装置のように、洗濯槽内に充填させた洗浄液に対して、洗濯ドラムの回転に基づく圧力分布を形成して洗浄を行うことで、被洗浄物の損傷を防ぐとともに、その洗浄効果を高めることができた。又、洗浄液に形成される圧力分布が、被洗浄物の洗浄液中での挙動に影響するため、これらの効果を十分に発揮するためには、洗濯槽内に充填させた洗浄液に対して、その圧力分布を効果的に形成する必要がある。この洗浄液中の圧力分布は、本出願人の更なる検証の結果、洗濯ドラムの内壁面に周方向に連続して設けられた凹凸面の回転で形成されることが明らかとなった。以下、この特許文献2〜特許文献4における洗濯装置における、洗浄方式について、「擬似無重力洗浄方式」と呼ぶものとする。
このように、本出願人が提案した擬似無重力洗浄方式をはじめ、もみ洗い方式やたたき洗い方式等、洗濯装置に採用される洗浄方式として、複数の洗浄方式が採用されている。更に、洗濯槽の回転軸が鉛直方向となる縦型洗濯装置には、上記のパルセータによるもみ洗い方式だけでなく、洗濯槽自身の回転による水流と遠心力により洗浄する押し洗い方式をも選択できる構成のものがある。又、洗濯槽の回転軸が水平方向(水平傾斜方向を含む)となるドラム型洗濯装置には、洗濯ドラムの回転によるたたき洗い方式だけでなく、洗濯ドラムの揺動によるもみ洗い方式をも選択できる構成のものがある。これらの複数の洗浄方式を選択できる洗濯装置では、対象となる被洗浄物の種類に応じて洗浄方式を選択的に設定できる。
特許3841822号公報 特許3863176号公報 特開2010−22645号公報
上記した複数の洗浄方式それぞれを利用した洗濯装置において、被洗浄物である衣類の寿命を長く保たせるために、衣類へ与えるダメージがより小さくなるような洗浄方法が開発されている。特に、擬似無重力洗浄方式による洗濯装置では、他の洗浄方式のように機械力を用いることなく、水流を利用した洗浄方法であることから、繊維へのダメージを低減させるだけでなく、洗浄後の衣類のシルエットや風合いを保つことができる。
しかしながら、洗浄時に与える衣類のダメージを低減させたとしても、洗浄後の衣類を早く乾燥させるためには、洗濯ドラムの回転による脱水(脱液)を行う必要があり、この脱水により、衣類にダメージを与えることとなる。特に、水による洗浄を行う場合は、洗浄後の脱水により、衣類の生地を構成する縦糸及び横糸の並びが崩れるだけでなく、繊維自体に与えるダメージも大きくなるという問題があった。
このような問題を鑑みて、本発明は、脱水後の被洗浄物における繊維の状態を整える機能を備えた洗濯装置を提案することを目的とする。又、本発明は、被洗浄物のシルエットや風合いを維持するとともに、繊維や生地を傷めることのない洗濯を実行できる洗濯装置を提案することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の洗濯装置は、被洗浄物の洗浄又は濯ぎを実行する際に、前記洗濯ドラムに供給される洗浄液中で被洗浄物を浮遊させて洗浄する洗浄方式であって、鉛直方向より水平方向に傾いた方向或いは水平方向となる回転軸により回転するとともに被洗浄物が内部に収容される洗濯ドラムと、該洗濯ドラムを覆うとともに洗浄液が供給される洗濯槽と、前記洗濯ドラムの内壁面上に設けられるとともに前記洗濯ドラムの径方向に滑らかな曲線で凹凸させた凹凸曲面と、前記洗濯ドラムを回転させる駆動機構と、該駆動機構を制御する制御装置と、を備えた洗濯装置において、 洗浄された被洗浄物を脱水する脱水工程において、前記制御装置により制御される前記駆動機構によって、前記洗濯ドラムを第1回転数で回転させ、
該脱水工程の終了後に、前記制御装置により制御される前記駆動機構によって、前記洗濯ドラムを、前記第1回転数よりも低い第2回転数で回転させ、
該第2回転数は、前記被洗浄物が前記洗濯ドラムの回転に合わせて回転することなく、前記凹凸曲面上を該被洗浄物が滑ってほぼ一定の位置にとどまらせる回転数であり、該被洗浄物を該凹凸曲面の凸部によって均して整形工程を実行することを特徴とする洗濯装置である。
このような洗濯装置において、洗濯槽に供給される洗浄液中で被洗浄物を浮遊させて洗浄する第1洗浄方式と、被洗浄物を攪拌して洗浄する第2洗浄方式とのいずれかを選択可能としたものでもよい。
このような洗濯装置において、前記第2回転数は、前記第1回転数から徐々に低回転の該第2回転数に変化させるようにしたこと、又は、前記第1回転数を徐々に低くして回転を停止してから、前記第2回転数まで高くすること、又は、一定期間毎に回転方向を逆方向に切り換え、一定期間が経過するまで正転方向で洗濯ドラムを低速回転数で回転させた後、反転方向で洗濯ドラムを同じ低速回転数で回転するようにして、前記被洗浄物が前記洗濯ドラムの回転に合わせて回転することなく、記凹凸曲面上を前記被洗浄物が滑る回転数であり、被洗浄物を凹凸曲面の凸部によって均して整形工程を実行する。
上記の洗濯装置それぞれにおいて、前記脱水工程及び前記整形工程を含む洗濯動作による機械力が、MA値が10以下の機械力に相当するものであってもよいし、更には、前記脱水工程及び前記整形工程を含む洗濯動作による機械力が、MA値が5以下の機械力に相当するものであってもよい。
本発明によると、脱水工程の後に、脱水工程の回転数より低い回転数で洗濯ドラムを回転させる整形工程を実行するため、凹凸曲面での凸部によって被洗浄物の表面を均すことができ、洗浄及び脱水に起因する歪みを補修できる。又、凹凸曲面を内壁に備えた洗濯ドラム上を被洗浄物が滑るように洗濯ドラムを回転させることにより、被洗浄物の繊維及び生地の歪みを修復し、繊維及び生地の傷みを防ぐことができる。
即ち、前記整形工程は、生地表面に生じた歪みが、低速回転で被洗浄物が滑りほぼ一定の位置にとどまらせ、凹凸曲面の凸部によって均されることで、生地表面の状態が整えられる。これにより、被洗浄物の繊維や生地の損傷を抑制し、衣類の場合は、シルエットや風合いを崩すことを防げことができる。
更に、MA値が10以下の機械力となる洗濯動作を実行できることから、被洗浄物となる衣類の風合いやシルエットを維持させることができるだけでなく、繊維や生地の傷みも低減されるため、衣類の寿命を長く保たせることができる。
は、第1の実施形態の洗濯装置の構成を示す概略斜視図である。 は、図1の洗濯装置の洗濯槽内に設けられる洗濯ドラムの構成を示す概略斜視図である。 は、図2に示す洗濯ドラムの回転軸に垂直な方向における洗濯ドラムの概略断面図である。 は、図1の洗濯装置における配管システム及び制御システムの概略構成を示すブロック図である。 は、図1の洗濯装置の脱水工程及び整形工程における、洗濯ドラムの回転数の変遷を示す図である。 は、図1の洗濯装置の脱水工程及び整形工程における、洗濯ドラムの回転数の変遷の別例を示す図である。 は、第2の実施形態の洗濯装置における洗濯ドラムの概略断面図である。
<第1の実施形態>
本発明の洗濯装置における第1の実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。図1は、本実施形態の洗濯装置の構成を示す概略斜視図であり、図2は、図1の洗濯装置における洗濯ドラムの構成を示す概略斜視図である。又、図3は、図2に示す洗濯ドラムの回転軸に垂直な方向における洗濯ドラムの概略断面図である。更に、図4は、本実施形態の洗濯装置の配管システムの概略と制御システムの概略とを示すブロック図である。
(1)洗濯装置の構成
図1に示す洗濯装置は、洗浄液が内部に供給される洗濯槽1と、この洗濯槽1内部に設けられる円筒形状の洗濯ドラム2と、洗濯槽1の前面側を開口して設けられた被洗浄物の投入口10を覆う扉部3と、洗濯槽1を貫通して洗濯ドラム2に接続された回転軸4と、回転軸4を通じて回転力を伝達させて洗濯ドラム2を回転させる駆動機構5と、を備える。図1に示す洗濯槽1及び洗濯ドラム2のそれぞれは、その中心軸が水平方向又は水平傾斜方向となる円筒形状で構成されている。即ち、洗濯ドラム2は、水平方向又は水平傾斜方向となる中心軸を回転軸として、洗濯槽1内で回転する。尚、洗濯槽1は、洗濯ドラム2と同心円状の断面を備える円筒形状に限られるものではなく、その内部で洗濯ドラム2が自由に回転できる形状であればよい。
扉部3は、図1に示すように、その一部が投入口10より洗濯槽1内に挿入される突起部31を有し、扉部3により投入口10を閉じたときに、扉部3の突起部31が投入口10に嵌入することで、外部に洗浄液が漏れないように、洗濯槽1が扉部3により密封される。そして、扉部3は、その開閉時に作業者によって把持される把持部32を備えるとともに、ヒンジ部33を介して洗濯槽1の投入口10が設けられた端面で連結する。これにより、作業者は、把持部32を持って、ヒンジ部33を支点として扉部3を回動させることによって、扉部3を開閉させる。又、扉部3は、洗濯槽1を密封したときに、作業者が洗濯槽1内部を確認できるように、ガラスやアクリル板などの透明部材で構成された窓部36を備える。この窓部36が扉部3に設けられることにより、作業者は、洗濯槽1内に供給される洗浄液の量や、洗浄中の被洗浄物の様子などを視認できる。
一方、洗濯槽1は、投入口10が設けられた端面上に、扉部3による洗濯槽1の密封状態を維持するためのロック機構11を複数具備する。複数のロック機構11はそれぞれ、投入口10の外周に沿うように設けられ、扉部3が閉じられたときに、扉部3と連結することによって、扉部3による洗濯槽1の密封状態を維持させる。このとき、複数のロック機構11が投入口10を閉じた扉部3を複数箇所で固定することで、扉部3が、洗濯槽1内の洗浄液による内圧に基づく反発力を複数箇所で押さえることができるため、洗浄液の漏液を防止できる。
そして、駆動機構5は、回転軸4を備えた電動モータで構成するものとしてもよいし、回転軸4を間接的に回転させる電動モータと、電動モータの回転を回転軸4に伝達させるプーリ及びベルトとによって構成するものとしてもよい。又、この駆動機構5は、ケーシング1の外部に設けられるため、回転軸4は、ケーシング1に挿入されて洗濯ドラム2と接続される。よって、ケーシング1は、この回転軸4が挿入される軸受部が設けられる。この軸受部は、ケーシング1内の洗浄液が外部に漏れないようにするシール構造を備える。
このように構成される洗濯装置における洗濯ドラム2の構成について、図2〜4を参照して以下に説明する。図2に示すように、円筒形状に構成された洗濯ドラム2は、一方の底面に開口された開口部21を備えた籠形状である。洗濯ドラム2の内壁面には、洗濯ドラム2の回転軸に対して垂直な断面が円周方向に連続した凹凸形状となる凹凸曲面22と、洗濯ドラム2の回転軸の方向を長手方向として開口したスリット23とを備える。そして、図3に示すように、洗濯ドラム2の回転軸に対して垂直な洗濯ドラム2の内壁面の断面における円周方向に沿って、凹凸曲面22とスリット23とが交互に形成される。
洗濯ドラム2の内壁面に構成される凹凸曲面22は、図2及び図3に示すように、洗濯ドラム2の回転軸に対して垂直となる凹凸形状による断面を洗濯ドラム2の回転軸方向に沿って連続させた曲面によって形成される。即ち、洗濯ドラム2の回転軸方向をそれぞれの長手方向とする凹部22a及び凸部22bが、洗濯ドラム2の回転軸に垂直な円周方向に沿って交互に連続して形成されることで、洗濯ドラム2の内壁面に凹凸曲面22が構成される。又、スリット23は、洗濯ドラム2の内壁から外壁に向かって貫通するため、このスリット23によって、洗濯ドラム2内の洗浄液が洗濯槽1と洗濯ドラム2との間の領域に排出されるとともに、洗濯槽1と洗濯ドラム2との間の領域内の洗浄液が洗濯ドラム2内に流入される。
尚、図2の構成では、スリット23を、洗濯ドラム2の回転軸方向を長手方向として開口させたものとしたが、洗濯ドラム2の回転軸方向に対して配列させた複数の孔によって形成されるものとしてもよい。又、このスリット23は、洗濯ドラム2の周面となる内壁面だけでなく、開口面21に対抗した底面24にも設けられるものとしてもよいし、洗濯槽1(図1参照)と開口面21との間に間隙を設けて構成してもよい。そして、洗濯槽1と開口面21との間又は底面24だけにスリット23を設けるものとしてもよい。更に、洗濯ドラム2の構成についても、その内壁面に凹凸曲面22とスリット23とが交互に形成されるものに限らず、洗濯ドラム2の内壁面の全周面にわたって、凹凸曲面22が形成されるとともに、凹部22aの一部にスリット23が設けられる構成としてもよい。
このように構成される洗濯ドラム2において、図3に示すように、洗濯ドラム2の周方向に隣接するスリット23の間に設けられた凹凸曲面22は、複数の凹部22aと複数の凸部22bとが交互に形成された構成となる。凹部22aの底部、凸部22bの頂部、及び凹部22aと凸部22bとの接続部それぞれにおける形状の変化を緩やかなものとすることで、凹凸曲面22の周方向の断面による曲線を滑らかなものとする。これにより、凹凸曲面22が洗濯ドラム2の周方向に沿って回転したとき、凹部22aの内側の流体に対して、凸部22bが流れを形成する際、その流れに与える乱れを抑制できる。この凹凸曲面22は、洗濯ドラム2の周方向に対して同じ幅に形成されるものとしてもよいし、図3に示すように、洗濯ドラム2の周方向に沿った幅が異なるものとしてもよい。尚、この凹凸曲面22は、湾曲させた薄肉の金属板で形成し、スリット23を設けられた円筒籠状の洗濯ドラム2の内壁面に取り付けられるものとしてもよい。
又、本実施形態の洗濯装置は、図4に示すように、洗濯槽1に洗浄液を供給する給液流路12と、洗濯槽1内の空気の排気と吸気とを行う空気流路13と、洗濯槽1から洗浄液を排出する排液流路14と、洗濯槽1内に供給された洗浄液の液位を計測するための液位計測用配管15及び圧力センサ16と、を備える。そして、この洗濯装置は、給液流路12から供給される洗浄液の流量を制御する流量制御弁17と、排液流路14から排出される洗浄液の流量を制御する流量制御弁18と、作業者による操作を受け付ける操作部19と、弁開度を指定して流量制御弁17,18それぞれの開閉制御を行う制御部20と、を備える。
このとき、液位計測用配管15は、洗濯槽1に対して、洗濯ドラム2の中心軸よりも低い位置に接続されるとともに、鉛直方向に屈曲された構成となる。この液位計測用配管15は、洗濯槽1の接続側と逆側の端部に、液位計測用配管15内の圧力を測定する圧力センサ16が、鉛直方向において洗濯ドラム2の最上位よりも高い位置に設置される。このように圧力センサ16が設置された液位計測用配管15は、洗濯槽1内に供給された洗浄液の一部が流入し、その洗浄液の鉛直方向における液位が、洗濯槽1内の洗浄液の液位と同一の高さ位置となる。そして、圧力センサ16が、液位計測用配管15内の空圧を測定することで、液位計測用配管15内の洗浄液の液位を測定するため、液位計測用配管15の液位と同一高さとなる洗濯槽1内の液位が測定されることとなる。
このように構成される洗濯装置において、制御部20は、操作部19で受け付けられた操作内容に基づく信号を受けるとともに、操作部19での操作内容に応じて、圧力センサ16からの信号に基づいて、流量制御弁17,18それぞれの弁開度を設定する。即ち、作業者により操作部19が操作されて、洗濯される被洗浄物の内容が入力されると、制御部20は、洗濯ドラム2に投入された被洗浄物の内容より、洗濯槽1内に供給される洗浄液の液位を算出する。そして、制御部20は、算出した洗浄液の液位が保持されるように、圧力センサ16からの信号による液位に基づいて、流量制御弁17,18の弁開度を最適な開度となるように制御する。
尚、上記構成の洗濯装置において、図4に示すように、給液流路12が洗濯槽1の上部に設置されるとともに、排液流路14が洗濯槽1の下部に設置されるものとしてもよいし、逆に、給液流路12が洗濯槽1の下部に設置されるとともに、排液流路14が洗濯槽1の上部に設置されるものとしてもよい。又、ケーシング1内の洗浄液の液位を測定する液位センサとして、液位計測用配管15と圧力センサ16を用いた構成としたが、静電容量や電気抵抗を測定して液位を測定する構成のもののように、別の構成であってもよい。
(2)洗濯動作
このような構成の洗濯装置による洗濯動作は、洗浄工程、濯ぎ工程、脱水工程、整形工程の4工程によって構成される。即ち、被洗浄物である衣類が洗濯ドラム2に投入されると、洗濯装置は、界面活性剤を含む洗浄液を洗濯槽1に供給して、洗浄液によって衣類を洗浄する洗浄工程を実行する。この洗浄工程が終了すると、次に、洗濯装置は、洗浄液を洗濯槽1から排出した後、水を洗濯槽1に供給して、被被洗浄物から洗浄液を濯ぎとる濯ぎ工程を実行する。そして、濯ぎ工程が終了すると、続いて、洗濯装置は、洗濯ドラム2を回転して衣類に含まれる水を取り除く脱水工程を実行する。最後に、この脱水工程が終了すると、洗濯装置は、繊維や生地の歪みを整形するための整形工程を実行する。このような洗濯動作における各工程について、工程毎に詳細を説明する。
(2−1)洗浄工程
上記洗濯装置の洗濯動作における洗浄工程について、以下に説明する。洗濯ドラム2に被洗浄物が投入された後に、操作部19が操作されて洗濯動作の開始が指示されると、制御部20は、不図示の扉開閉検出センサからの信号によって、扉部3が閉じられていることを確認する。そして、制御部20は、扉部3が閉じられていることを確認すると、制御信号を流量制御弁17,18に与えて、流量制御弁17を開くとともに、流量制御弁18を閉じる。これにより、洗濯槽1には、被洗浄物が投入された洗濯ドラム2が洗浄液中に浸漬するまで、給液流路12より洗浄液が供給される。そして、制御部20が、圧力センサ16から電気信号を受けて、洗濯ドラム2に対する洗浄液の液位を確認し、操作部19によって入力された被洗浄物の内容に応じて設定された液位となったか否かを判定する。
洗濯ドラム2における洗浄液の液位が被洗浄物を浮遊させるのに十分な液位となったことを、制御部20が確認すると、制御部20が、駆動機構5を駆動させることによって、洗濯ドラム2の回転が開始する。これにより、洗濯ドラム2が洗濯槽1内の洗浄液中を回転することで、洗濯ドラム2内の被洗浄物が洗浄液中で浮遊しながら拡がり、擬似無重力洗浄方式による洗浄が行われる。このとき、制御部20は、不図示のポンプを駆動させると同時に、流量制御弁17,18それぞれの開度を調節することにより、洗濯ドラム2に対して洗浄液を循環させる。尚、制御部20が、洗濯槽1内に洗浄液が充填されたことを確認したとき、流量制御弁17,18それぞれを閉じ、洗浄液を循環させることなく、洗濯ドラム2を回転させて、擬似無重力洗浄方式による洗浄動作を実行するものとしてもよい。
この擬似無重力洗浄方式による洗浄動作が実行されると、洗濯ドラム2内の洗浄液中では、回転方向の大きな流れに加えて、凹凸曲面22によって形成される渦流が存在することとなる。そのため、この洗浄液の流れによって、被洗浄物の洗濯ドラム2の内壁面に対する衝突が防がれるだけでなく、回転軸側に強制的に移動させられる。更に、洗浄液の流速が異なることで洗浄液中に圧力分布が形成されるため、各層の流速の影響を受ける被洗浄物は、洗浄液中を漂うとともに拡がる。これにより、被洗浄物は、洗浄液の液体分子と接触する面が拡がるため、洗浄液による洗浄の効果が高くなるだけでなく、被洗浄物に対して、洗浄液の流れに基づく捻りや洗濯槽への衝突などの負担が軽減されるため、洗浄による損傷が低減される。
このようにして洗濯装置が洗浄動作を行っているとき、制御部20が、洗浄液の汚れ具合や洗浄時間などを測定することで、洗浄工程の終了を確認する。そして、制御部20は、洗浄工程の終了を確認すると、駆動機構5を停止させて、洗濯ドラム2の回転を停止させるとともに、流量制御弁18を開く。尚、不図示のポンプにより洗浄液が循環されているときは、制御部20は、ポンプの動作も停止させる。これにより、洗濯ドラム2の回転が停止するとともに、洗濯槽1内の洗浄液が、排液流路14から排出される。このとき、洗浄動作完了後に洗濯槽1から排出される洗浄液は、濾過や化学処理などの再生処理が施されて、外部に排出されるものとすることが望ましい。
尚、擬似無重力洗浄方式による洗浄動作を実行する場合、洗濯ドラム2の中心軸以上となる高さから洗濯ドラム2の最上位よりも高い高さ(洗濯ドラム2を完全に洗浄液で満たした状態とする高さ)までの間で、洗浄液の液位が設定される。このとき、基本的に、洗濯ドラム2を完全に洗浄液で満たすように、洗浄液の液位が設定されるものとしてもよい。そして、比重の小さいダウンコートなどのように、浮力が大きく働く被洗浄物の場合に、例外的に、洗濯ドラム2の上部に空気の層を形成させるように、洗浄液の液位を低く設定して、洗濯ドラム2が洗浄液で完全に満たされない状態としてもよい。
(2−2)濯ぎ工程
上記濯ぎ工程が完了した後、制御部20は、圧力センサ16からの電気信号を受けて、洗浄液が洗濯槽1から排出されたか否かを確認する。そして、制御部20は、洗浄液が全て洗濯槽1から排出されたことを確認すると、被洗浄物を濯ぐための水を洗濯槽1に供給するために、制御信号を流量制御弁17,18に与えて、流量制御弁17を開くとともに、流量制御弁18を閉じる。これにより、洗濯槽1には、被洗浄物が投入された洗濯ドラム2が洗浄液中に浸漬するまで、給液流路12より水が供給される。
その後、洗浄工程の場合と同様、洗濯ドラム2における洗浄液の液位が被洗浄物を浮遊させるのに十分な液位となったことを、制御部20が確認すると、制御部20が、駆動機構5を駆動させることによって、洗濯ドラム2の回転が開始する。これにより、洗濯ドラム2が洗濯槽1内の洗浄液中を回転し、洗濯ドラム2内の被洗浄物が洗浄液中で浮遊しながら拡がって、擬似無重力洗浄方式による濯ぎが行われる。これにより、洗濯槽1内の水中において被洗浄物が拡がることで、濯ぎ用の水と被洗浄物との接触面積が拡大するだけでなく、被洗浄物に水が浸透しやすくなるため、被洗浄物から洗浄液を濯ぐ効果を高めることができる。又、凹凸曲面22によって形成される渦流によって、被洗浄物の洗濯ドラム2の内壁面に対する衝突が防がれて、濯ぎにおける損傷が低減される。
このとき、制御部20は、不図示のポンプを駆動させると同時に、流量制御弁17,18それぞれの開度を調節することにより、洗濯ドラム2に対して濯ぎ用の水を循環させるものとしてもよいし、流量制御弁17,18それぞれを閉じて、濯ぎ用の水を循環させないものとしてもよい。又、流量制御弁17,18の開度を調節する場合、不図示のポンプを駆動させることなく、濯ぎ用の水を給液流路12から供給すると同時に、洗濯ドラム2内で濯ぎを行った水を排液流路14から排出するようにしてもよい。
このようにして洗濯装置が濯ぎ動作を行っているとき、制御部20が、洗浄液の残留状態や濯ぎ時間などを測定することで、濯ぎ工程の終了を確認する。そして、制御部20は、濯ぎ工程の終了を確認すると、駆動機構5を停止させて、洗濯ドラム2の回転を停止させる。その後、流量制御弁18を開くことによって、洗濯槽1内の水が、排液流路14から排出される。このとき、濯ぎ動作完了後に洗濯槽1から排出される洗浄液及び水は、濾過や化学処理などの再生処理が施されて、外部に排出されるものとすることが望ましい。尚、不図示のポンプにより濯ぎ用の水が循環されているときは、制御部20は、ポンプの動作も停止させる。又、給液流路12より濯ぎ用の水を洗濯槽1に供給しているときは、制御部20は、流量制御弁17を閉じるなどして、給液流路12からの濯ぎ用の水の供給を停止させる。
尚、上述の洗浄工程及び濯ぎ工程において、洗濯ドラム2の回転について、一定方向の回転のみを所定時間連続して行うものとしてもよいし、一定方向の回転を所定時間毎に断続して行うものとしてもよい。即ち、洗濯ドラム2を正転方向(或いは逆転方向)に一定時間連続して回転させてもよいし、洗濯ドラム2を正転方向(或いは逆転方向)に回転させる回転期間と洗濯ドラム2の回転の停止期間とを一定期間が経過するまで繰り返し行うものとしてもよい。
又、洗浄や濯ぎのための洗濯ドラム2の回転を断続的に行う場合において、断続的に開始される回転毎に、その回転方向を逆方向に切り換えるものとしてもよい。即ち、洗濯ドラム2を回転させる回転期間と洗濯ドラム2の回転の停止期間とを一定期間が経過するまで繰り返し行い、且つ、回転期間毎に洗濯ドラム2の回転方向を正転方向と反転方向とで切り換えるものとしてもよい。このとき、停止期間がなく、回転方向を一定時間毎に逆方向に切り換えるものであってもよい。
更に、本実施形態の洗濯装置が、洗浄液又は水を昇温させるヒータを備えるものして、上記洗浄工程及び濯ぎ工程のそれぞれにおいて、被洗浄物に合わせて、洗浄又は濯ぎを実行する際の洗浄液又は水の温度を設定できるものとしてもよい。このとき、洗浄工程及び濯ぎ工程それぞれについて、複数サイクル実行されるものとし、実行される各工程それぞれに対して、洗浄液又は水の温度を変更するだけでなく、洗濯ドラム2の回転数についても変更させるものとしてもよい。
(2−3)脱水工程
上記濯ぎ工程が完了した後、制御部20は、圧力センサ16からの電気信号に基づき、濯ぎ用の水が洗濯槽1から排出されたことを確認すると、制御部20が、駆動機構5を駆動させることによって、洗濯ドラム2の回転が開始する。この洗濯ドラム2を、図5に示すように、200〜2000rpmの回転数R1(高速回転数)で回転させることによって、被洗浄物に含まれた水を被洗浄物から分離させるための脱水が行われる。このとき、洗濯ドラム2が高速回転数で回転することで、被洗浄物に働く遠心力が被洗浄物の重力より大きくなるため、洗濯ドラム2の凹凸曲面22に被洗浄物が張り付いた状態となる。
このように脱水が行われるとき、被洗浄物は、凹凸曲面22の凸部22bの頂部に当接した状態となるため、洗濯ドラム2の内壁面に全てに被洗浄物が接触する状態とはならない。従って、洗濯ドラム2に対して被洗浄物が強く接触するものの、その接触部分を小さくすることができるだけでなく、その接触する凸部22bの頂部が滑らかな曲面であるため、脱水による被洗浄物の損傷を低減できる。このとき、洗濯ドラム2の回転数を200〜500rpmのように、やや低い回転数とすることによって、被洗浄物にかかる遠心力を弱めることで、被洗浄物への損傷を更に抑制できる。
(2−4)整形工程
このようにして洗濯装置が脱水動作を行っているとき、制御部20は、脱水時間などを測定することで、脱水工程の終了を確認すると、制御部20は、駆動機構5に制御信号を与え、図5に示すように、脱水工程時よりも低い回転数(低速回転数)R2で洗濯ドラム2を回転させる。このように、脱水工程から整形工程に移行するとき、駆動機構5によって、洗濯ドラム2の回転速度を高速回転数R1から徐々に低速回転数R2に変化させることで、被洗浄物が洗濯ドラム2内で落下することを防ぐことができ、被洗浄物の損傷を抑制できる。
尚、図6に示すように、脱水工程を終了した後に、洗濯ドラム2の回転速度を回転速度R1から徐々に低くして、洗濯ドラム2の回転を停止し、その後に、洗濯ドラム2の回転速度を回転速度R2まで高くすることで、整形工程に移行するものとしてもよい。脱水工程から整形工程に移行する際に、図6のようにして、洗濯ドラム2の回転を制御することでも、被洗浄物が洗濯ドラム2内で落下することを防ぐことができる。
この洗濯ドラム2の回転による整形動作が実行されるとき、洗濯ドラム2は、5〜200rpmの低速回転数で回転するため、被洗浄物に働く遠心力が被洗浄物の重力よりも小さくなる。そのため、被洗浄物が洗濯ドラム2の凹凸曲面22が、被洗浄物の下側(凹凸曲面22との接触面側)を滑るように回転する。即ち、脱水工程と異なり、被洗浄物が洗濯ドラム2の回転に合わせて回転することなく、ほぼ一定の位置にとどまるため、洗濯ドラム2の凹凸曲面22が、被洗浄物の洗濯ドラム2との接触面に対して、その凸部22bが当接しながら滑ることとなる。
このような整形動作を行う際、凹凸曲面22における滑らかな曲面による凸部22bが被洗浄物の生地表面を滑ることによって、洗浄工程から脱水工程までの各工程の影響による繊維の歪みを洗浄前に近い状態に整形することができる。即ち、生地表面に生じた歪みが、凹凸曲面22の凸部22bによって均されることで、生地表面の状態が整えられる。これにより、被洗浄物の繊維や生地の損傷を抑制し、衣類の場合は、シルエットや風合いを崩すことを防げる。
尚、上述の整形工程において、一定期間毎に、その回転方向を逆方向に切り換えるものとしてもよい。即ち、一定期間Tが経過するまで正転方向で洗濯ドラム2を低速回転数R2で回転させた後、反転方向で洗濯ドラム2が同じ低速回転数R2で回転するように、徐々にその回転方向を切り換え、同一の一定期間Tの間、反転方向で洗濯ドラム2を回転させる。そして、この一定期間Tが経過すると、同様に、正転方向で洗濯ドラム2を低速回転数R2で回転させるよう、その回転方向を徐々に変化させ、その後、整形工程が完了するまで、上記動作を繰り返す。
このように、洗濯ドラム2の回転方向を正逆で切り換えることによって、被洗浄物が洗濯ドラム2の回転に合わせて、洗濯ドラム2内で偏った位置にとどまることを防ぐことができるだけでなく、繊維の歪みを整形する方向が偏らない。又、整形工程において、洗濯ドラム2の正転と逆転とを切り換えるとともに、その回転数を連続的に変化させ続けるようにしてもよい。このようにすることで、洗濯ドラム2の回転数が低いときには、被洗浄物が洗濯ドラム2に回転に合わせることなくとどまるとともに、洗濯ドラム2の回転数が高いときに、被洗浄物が洗濯ドラム2の回転に合わせて転がる。よって、被洗浄物の整形位置が定位置にとどまることを防ぐことができ、被洗浄物の全面に対して整形を施すことができる。
<第2の実施形態>
本発明の洗濯装置における第2の実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。図7は、本実施形態の洗濯装置における洗濯ドラムの概略断面図である。本実施形態の洗濯装置は、第1の実施形態と異なり、洗浄工程及び濯ぎ工程において、擬似無重力洗浄方式だけでなく、たたき洗い方式を採用できる。そのため、本実施形態の洗濯装置は、第1の実施形態の洗濯装置と比べて、洗濯ドラム2の構成が異なるが、その他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
本実施形態における洗濯装置の洗濯ドラム2は、図7の断面図に示すように、その凹凸曲面2の凸部22bの一部をバッフル25に置換した構成を備える。即ち、洗濯ドラム2において、バッフル25は、一部の凹凸曲面22上で2つの凹部22aに挟まれて設置されるとともに、洗濯ドラム2の径方向の高さが凸部22bよりも高くなるように突起された構成を備える。そして、バッフル25は、凸部22bと同様、洗濯ドラム2の内壁から回転軸に向かって突起させた断面形状を洗濯ドラム2の回転軸に沿って連続させた形状となる。
又、バッフル25は、洗濯ドラム2の内壁面上に複数設けられるものであってもよいし、1つだけ設けられるものであってもよい。更に、洗濯ドラム2の内壁面上にバッフル25が複数設けられる場合、バッフル25は、洗濯ドラム2の周方向に沿って等間隔で設置されることが好ましい。尚、図7において、3個のバッフル25が洗濯ドラム2の内壁面上に凸設されるものとしたが、バッフル25は、1個以上設置されていればよく、その個数が3個に限定されるものではない。
この図7のような断面構成による洗濯ドラム2を備えた洗濯装置は、上述のように、洗濯ドラム2内の洗浄液の液位を、洗濯ドラム2の中心軸以上となる高さから洗濯ドラム2の最上位よりも高い高さとすることにより、擬似無重力洗浄方式による洗浄又は濯ぎを実行できる。一方、洗濯ドラム2内の洗浄液の液位を、洗濯ドラム2の回転軸よりも低くなるように設定されるなどのように、擬似無重力洗浄方式による洗浄動作の場合に比べて低く設定することによって、たたき洗い方式による洗浄及び濯ぎが実行される。
このたたき洗い方式による洗浄及び濯ぎが実行される場合においても、上記擬似無重力洗浄方式の場合と同様、洗濯ドラム2内の洗浄液を循環させるようにしても構わないし、洗濯ドラム2内の洗浄液を洗濯ドラム2内に滞留させて、循環させないものとしても構わない。又、たたき洗い方式による洗浄又は濯ぎを行う場合、たたき洗い方式による効果を十分に得られるようにする場合には、洗濯ドラム2における洗浄液の液位が低くなるように設定される。一方、たたき洗いに不向きな被洗浄物に対して洗浄又は濯ぎを実行する場合は、洗濯ドラム2における洗浄液の液位を高くなるように設定し、もみ洗いによる効果に基づいて洗浄を行うようにしてもよい。
又、たたき洗い方式においても、洗浄や濯ぎのための洗濯ドラム2の回転を断続的に行うものとしても、連続させるものとしてもよい。そして、洗濯ドラム2の回転が断続的に行われる場合は、断続的に開始される回転毎に、その回転方向を逆方向に切り換えるものとしてもよい。このとき、停止期間がなく、回転方向を一定時間毎に逆方向に切り換えるものであってもよい。更に、たたき洗い方式において、洗濯ドラム2の回転方向を切り換えて、洗濯ドラム2を揺動させることによって、洗濯ドラム2の内壁面上を被洗浄物が転動させ、もみ洗い効果による洗浄又は濯ぎが実行される。
このように、本実施形態の洗濯装置は、洗浄及び濯ぎのそれぞれについて、擬似無重力洗浄方式又はたたき洗い方式のいずれかを選択できる構成とすることで、被洗浄物となる衣類の布地や繊維、又は、その縫製などの特性に応じて、最適な洗濯を施すことができる。そして、本実施形態の洗濯装置においても、第1の実施形態の洗濯装置と同様、洗浄工程、濯ぎ工程、脱水工程、整形工程の4工程を経て、被洗浄物の洗濯を実行する。
この洗濯動作において、本実施形態の洗濯装置では、第1の実施形態と異なり、洗浄工程及び濯ぎ工程のそれぞれにおいて、被洗浄物の特性に合わせて、擬似無重力方式及びたたき洗い方式を選択し、その被洗浄物に最適な洗浄及び濯ぎを実行する。又、洗浄工程及び濯ぎ工程それぞれについて、複数サイクルが実行される場合、第1の実施形態のように、各サイクルにおいて、洗浄液又は水の温度及び洗濯ドラム2の回転数が設定されるだけでなく、各サイクル毎に、擬似無重力方式及びたたき洗い方式が選択される。
本実施形態の洗濯装置は、その洗濯動作において、洗浄工程及び濯ぎ工程で擬似無重力方式だけでなくたたき洗い方式をも選択できることが、第1の実施形態における洗濯装置と異なる。一方、この洗浄工程及び濯ぎ工程が実行された後は、第1の実施形態の洗濯装置と同様、洗濯ドラム2を高速回転数R1により回転させる脱水工程が実行された後、洗濯ドラム2を低速回転数R2により回転させる整形工程が実行される。尚、この脱水工程及び整形工程における本実施形態の洗濯装置の動作は、第1の実施形態における洗濯装置の動作と同様であるため、その詳細な説明は、第1の実施形態を参照するものとして省略する。
尚、上述の各実施形態の洗濯装置において、洗浄工程に供給される洗浄液は、水系又は非水系のいずれであっても構わない。そして、水系の洗浄液としては、水、或いは水に界面活性剤を調合させたものなどが使用される。この水系の洗浄液により、水溶性の汚れを洗浄することができる。又、界面活性剤が調合される場合は、この界面活性剤が化学的に反応することで、油性の汚れをも洗浄できる。一方、非水系の洗浄液としては、石油系(炭化水素系)溶剤、或いは有機系溶剤などが使用される。この非水系の洗浄液は、主に油性の汚れを洗浄でき、又、水系の洗浄液に比べて乾燥性が良いという特性を備える。そして、非水系の洗浄液が使用される場合は、洗濯動作における濯ぎ工程が省略される。
<実施例1>
上述の各実施形態の洗濯装置において、洗浄工程及び濯ぎ工程で擬似無重力洗浄方式を採用し、洗濯ドラム2の回転速度(洗濯ドラム2の内壁の周速度)を毎分10〜90mとすることで、被洗浄物における繊維のダメージを防ぐだけでなく、その風合い及びシルエットを損なうことのない洗濯を実現できる。そして、その内径が250〜1000mmとなる洗濯ドラム2を備えた洗濯装置が、脱水工程において、高速回転数R1を200〜500rpm(毎分50〜500mの回転速度に相当する)に設定して洗濯ドラム2を回転させるとともに、整形工程において、低速回転数R2を5〜100rpm(毎分1.25〜100mの回転速度に相当する)に設定して洗濯ドラム2を回転させることにより、被洗浄物の状態を洗浄前とほぼ同じ状態に維持できる。
即ち、洗浄工程及び濯ぎ工程において擬似無重力洗浄方式を採用するとともに、洗浄工程、濯ぎ工程、脱水工程、及び整形工程それぞれにおいて、洗濯ドラム2の回転数又は回転速度を上記の値で設定することにより、MA(Mechanical Action)値が5以下となる洗濯を実現できる。尚、MA値とは、デンマーク技術研究所(DANISH TECNOLOGIC INSTITE)によるMA試験法に基づき測定される、洗濯装置の機械力を表す値であり、5つの穴を有するMA試験布によって測定される(特開2007−256249号公報の段落[0007]参照)。
<実施例2>
第2の実施形態の洗濯装置において、洗浄工程及び濯ぎ工程でたたき洗い方式を採用するとともに、洗濯ドラム2の回転速度(洗濯ドラム2の内壁の周速度)を毎分10〜90mとすることで、擬似無重力洗浄方式を採用した場合に比べて被洗浄物の状態は悪くなるが、被洗浄物を比較的良好な状態で維持させることができる。そして、実施例1と同様、その内径が250〜1000mmとなる洗濯ドラム2を備えた洗濯装置が、脱水工程において、高速回転数R1を200〜500rpm(毎分50〜500mの回転速度に相当する)に設定して洗濯ドラム2を回転させるとともに、整形工程において、低速回転数R2を5〜100rpm(毎分1.25〜100mの回転速度に相当する)に設定して洗濯ドラム2を回転させる。このように、第2の実施形態の洗濯装置を動作させることにより、MA値が10以下となる洗濯を実現できる。
本発明は、その回転軸が水平方向又は水平傾斜方向となる洗濯槽を回転させて被洗浄物の洗浄を行う洗濯装置に適用できる。又、この洗濯装置において使用する洗浄液として、水系の洗浄液であっても構わないし、非水系の洗浄液であっても構わない。
1 洗濯槽
2 洗濯ドラム
3 扉部
4 回転軸
5 駆動機構
10 投入口
11 ロック機構
12 給液流路
13 空気流路
14 排液流路
15 液位計測用配管
16 圧力センサ
17,18 流量制御弁
19 操作部
20 制御部
21 開口面
22 凹凸曲面
22a 凹部
22b 凸部
23 スリット
24 底面
25 バッフル
31 突起部
32 把持部
33 ヒンジ部
36 窓部

Claims (4)

  1. 被洗浄物の洗浄又は濯ぎを実行する際に、洗濯ドラムに供給される洗浄液中で被洗浄物を浮遊させて洗浄する洗浄方式であって、鉛直方向より水平方向に傾いた方向或いは水平方向となる回転軸により回転するとともに被洗浄物が内部に収容される洗濯ドラムと、該洗濯ドラムを覆うとともに洗浄液が供給される洗濯槽と、前記洗濯ドラムの内壁面上に設けられるとともに前記洗濯ドラムの径方向に滑らかな曲線で凹凸にさせた凹凸曲面と、前記洗濯ドラムを回転させる駆動機構と、該駆動機構を制御する制御装置と、を備えた洗濯装置において、
    洗浄された被洗浄物を脱水する脱水工程において、前記制御装置により制御される前記駆動機構によって、前記洗濯ドラムを第1回転数で回転させ、
    該脱水工程の終了後に、前記制御装置により制御される前記駆動機構によって、前記洗濯ドラムを、前記第1回転数よりも低い第2回転数で回転させ、
    該第2回転数は、前記被洗浄物が前記洗濯ドラムの回転に合わせて回転することなく、前記凹凸曲面上を該被洗浄物が滑ってほぼ一定の位置にとどまらせる回転数であり、該被洗浄物を該凹凸曲面の凸部によって均して整形工程を実行することを特徴とする洗濯装置。
  2. 被洗浄物の洗浄又は濯ぎを実行する際に、洗濯ドラムに供給される洗浄液中で被洗浄物を浮遊させて洗浄する第1洗浄方式と、被洗浄物を攪拌して洗浄する第2洗浄方式とのいずれかを選択可能とし、鉛直方向より水平方向に傾いた方向或いは水平方向となる回転軸により回転するとともに被洗浄物が内部に収容される洗濯ドラムと、該洗濯ドラムを覆うとともに洗浄液が供給される洗濯槽と、前記洗濯ドラムの内壁面上に設けられるとともに前記洗濯ドラムの径方向に滑らかな曲線で凹凸にさせた凹凸曲面と、前記洗濯ドラムを回転させる駆動機構と、該駆動機構を制御する制御装置と、を備えた洗濯装置において、
    洗浄された被洗浄物を脱水する脱水工程において、前記制御装置により制御される前記駆動機構によって、前記洗濯ドラムを第1回転数で回転させ、
    該脱水工程の終了後に、前記制御装置により制御される前記駆動機構によって、前記洗濯ドラムを、前記第1回転数よりも低い第2回転数で回転させ、
    該第2回転数は、前記被洗浄物が前記洗濯ドラムの回転に合わせて回転することなく、前記凹凸曲面上を該被洗浄物が滑ってほぼ一定の位置にとどまらせる回転数であり、該被洗浄物を該凹凸曲面の凸部によって均して整形工程を実行することを特徴とする洗濯装置。
  3. 請求項1から請求項2のいずれかにおいて、前記第2回転数は、前記第1回転数から徐々に低回転の該第2回転数に変化させるようにしたこと、又は、前記第1回転数を徐々に低くして回転を停止してから前記第2回転数まで高くすること、又は、一定期間毎に回転方向を逆方向に切り換え、一定期間が経過するまで正転方向で洗濯ドラムを低速回転数で回転させた後、反転方向で洗濯ドラムを同じ低速回転数で回転するようにしたことを特徴とする洗濯装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、
    前記脱水工程及び前記整形工程を含む洗濯動作による機械力が、MA値が10以下の機械力に相当することを特徴とする洗濯装置。
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