本発明は、表示用駆動装置、及び、駆動装置に用いられる駆動回路のレイアウト方法に関する。
近年の液晶表示装置の大型化に伴い、液晶駆動装置の様々な性能の向上が望まれている。特に鮮やかな色彩を表示するために、高階調が望まれている。近年の技術では、階調電圧がRGB各々10ビット(1024)で約10億色の液晶表示装置も登場してきている。色数が増えると一般的に隣り合う諧調電圧間の電位差は小さくなり、出力電圧のズレ、所謂オフセットが大きな問題となる。オフセット電圧をキャンセルする技術として、特許文献1や特許文献2が挙げられる。
特許文献1には、入力端子と帰還側の端子間に誤差電圧(以下オフセット電圧)をチャージするための容量を持ったオフセットキャンセル用の出力回路が開示されており、チャージ(サンプリング)時においてはオフセット電圧を容量に保持し、出力状態においては容量の一端を帰還側のゲートに接続を変える事によってオフセット電圧を乗せたボルテージフォロア状態となり、出力電圧は入力電圧とほぼ同じ電圧となりオフセット電圧を低減できる。
特許文献2には、サンプリング時に帰還側の端子とGND間に入力電圧にオフセット電圧が乗った出力電圧で容量をチャージする。このオフセット電圧を持った特性のオペアンプは、ボルテージフォロア状態において入力端子と帰還端子がオフセット電圧分の電位差を持った状態がバーチャルショートとなって安定している。出力時にオペアンプの極性を反転させ、容量にチャージした入力電圧にオフセット電圧を乗せた電圧を反転後の入力端子に印加する事でオペアンプは入力電圧と同じ出力電圧を出す事でサンプリング時と同じオフセット電圧の電位差を持ったバーチャルショート状態で安定し、実質的に入力電圧と出力電圧間のオフセット電圧を低減している。
特開平09−244590号公報
特開2005−110065号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたオフセットキャンセル用の出力回路をLCDドライバ等に適用することは非常に困難である。特に近年のLCDドライバに使用する場合においては、720chや960chの多出力を持っていることが多く、オフセット電圧をチャージするための容量が、出力ピン数倍で階調電圧を出力する回路(階調電圧発生回路)の負荷となってしまう。一般的な階調電圧発生回路では、1サイクル内で高負荷の容量へのオフセット電圧のチャージを収束させるのは非常に困難である。
また、特許文献2に記載されたオフセットキャンセル用の出力回路を用いれば、オペアンプの入力端子に直接容量が見えない形式であるため先述の課題が解決できるが、出力に直接容量が見える事になり位相余裕の確保が難しくなる。LCDドライバの場合は使用条件上、1サイクル内でチャージ(サンプリング)と出力を行わなければならず、位相余裕の無いオペアンプでは短いサンプリング時間では出力のリンギング(揺れ)が大きく、結果としては意図しない電圧を容量にチャージする事になり、オフセットキャンセルの精度が悪くなる。
また、上記の点を鑑みて様々な機能を備えた出力回路を考案する上で、より小面積で、高性能なオフセットキャンセルが可能となる表示用駆動装置が望まれる。
本発明は、近年の高性能な表示装置であっても、小面積で精度を高く出力回路のオフセットをキャンセルすることが可能な表示用駆動装置、及び、駆動回路のレイアウト方法を提供する。
本発明の表示用駆動装置は、上述した課題を解決すべく、出力に対応するドライバセルを複数備えた表示用駆動装置であって、ドライバセルは、デコーダと出力回路を備え、出力回路は、増幅回路と、オフセットキャンセル用容量と、オフセットキャンセル用容量と増幅器の接続関係を制御するスイッチ群と、スイッチ群を制御する制御回路とを備え、制御回路は、増幅器とスイッチ群との間に配置され、スイッチ群は、オフセットキャンセル用容量と制御回路との間に配置され、オフセットキャンセル用容量は、デコーダとスイッチ群との間に配置される。
また、本発明の駆動回路のレイアウト方法は、上述した課題を解決すべく、ドライバセルブロックを決定する工程と、ドライバセルブロック内に、DAコンバータブロックと出力回路ブロックを決定する工程と、出力回路ブロック内に増幅回路ブロック、制御スイッチブロック、制御回路ブロック、及び、オフセット補償容量ブロックを決定し、該オフセット補償容量ブロックと該増幅回路ブロックとの間に該制御スイッチブロックを配置し、該制御スイッチブロックと該増幅回路ブロックとの間に該制御回路ブロックを配置する工程と、設計回路図に基づいて、増幅回路ブロック、制御スイッチブロック、制御回路ブロック、及び、オフセット補償容量ブロック内に素子を配置する工程と、を備える。
本発明の表示用駆動装置、及び、駆動回路のレイアウト方法は、近年の高性能な表示装置であっても小面積で精度を高く出力回路のオフセットをキャンセルすることを可能とする。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付の図面において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一の符号を付すことにより重複説明を省略する。
図1は、本発明の実施例1における表示装置100のブロック図である。液晶パネル110に対して、ソース駆動用IC120とゲート駆動用IC130が搭載されている。ソース駆動用IC120は、少なくとも階調電圧発生回路140、デジタルアナログコンバータ150、及び出力回路160とを備えている。入力データDINに応じた階調電圧を階調電圧発生回路140からデジタルアナログコンバータ120によって選択し、出力回路160へ出力する。出力回路160の出力は、ソース駆動用IC120の出力パッドを介して液晶パネル110に出力信号である所定の階調電圧を出力する。
図2を用いて、本発明の実施例1における出力回路160の詳細を説明する。出力回路160は、増幅回路210と、第1〜6スイッチ221〜226と、制御回路230と、オフセットキャンセル用の容量であるオフセット補償容量240で構成される。オフセット補償容量240と増幅回路210との接続関係を制御する第4〜6のスイッチを総称してスイッチ群220と、以下称する場合もある。増幅回路210は、一般的にオペアンプを呼ばれるものであり、第1入力端子211、第2入力端子212、第1出力端子213、及び切り替え回路214を備える。切り換え回路214は、第1入力端子211と第2入力端子212の極性を反転させる回路である。増幅回路210は、例えば、引用文献2の図7に記載されている差動増幅回路を用い実現することも可能である。
第1のスイッチ221は、データ入力端子INと第1出力端子211との間に接続され、データ入力端子INと第1出力端子211との接続/非接続を制御する。
第2のスイッチ222は、第1入力端子211と第1出力端子213との間に接続され、第1入力端子211と第1出力端子213との接続/非接続を制御する。
第3のスイッチ223は、データ出力端子OUTと第1出力端子213との間に接続され、データ出力端子OUTと第1出力端子213との接続/非接続を制御する。
第4のスイッチ224は、第1出力端子213と第2入力端子212との間に接続され、第1出力端子213と第2入力端子212との接続/非接続を制御する。
第5のスイッチ225は、オフセット補償容量240の一端と第2入力端子212との間に接続され、オフセット補償容量240の一端と第2入力端子212との接続/非接続を制御する。
第6のスイッチ226は、オフセット補償容量240の一端と第1出力端子213との間に接続され、オフセット補償容量240の一端と第1出力端子213との接続/非接続を制御する。なお、第6のスイッチ226は、第5のスイッチ225よりもオン抵抗が高いスイッチで構成されている。例えば、ディメンジョン(ゲート長、幅)が異なる大小のMOSトランジスタで構成されていたり、不純物濃度の異なるMOSトランジスタで構成したりすることが可能である。一般的には、第5のスイッチ225をアナログスイッチを称し、第6のスイッチ226をデジタルスイッチを称することもある。制御回路230は、例えば、インバーターの集合で構成されており、必要に応じて第1〜第6のスイッチ(トランスファーゲート)221〜226のゲートに接続されている。図2では、第1〜3のスイッチへの接続は簡略化のため省略している。
次に図3を用いて、オフセットキャンセル動作について詳細に説明する。近年の高性能な表示装置の一つにフルスペックハイビジョンやFull-HDと呼ばれる表示パネルの画素数が1920×1080(横×縦)のものがある。現在のテレビでは120Hzが主流であり、ゲート駆動用ICで1080本の走査線を駆動する時間が1/120秒となっている。
1走査線の駆動時間だと約7.7μsが最大の時間となる。当然駆動時間のマージンが必要になるので、一般的にソース用駆動ICで許容される時間は6〜7μs程度である。本発明のオフセットキャンセル動作は、オフセット補償容量240にオフセット電圧をチャージする時間であるサンプリング期間とオフセット補償容量240にチャージされたオフセット電圧を加味した出力電圧をデータ出力端子から出力する出力期間とを7μs以内に精度高く実現することを可能とするものである。
まず、図3の(A)に示すように、サンプリング期間には、第1のスイッチ221、第4のスイッチ224、及び第6のスイッチ226が接続状態となる。また、第2のスイッチ222、第3のスイッチ223、及び第5のスイッチが非接続状態となる。なお、増幅回路210の第1入力端子211は、非反転入力端子として機能し、第2入力端子212は、反転入力端子として機能するように切り換え回路214が接続されている。第2入力端子212と第1出力端子213が第4のスイッチ224を介して接続されることで増幅回路210は、ボルテージフォロアとして機能する。データ入力端子INに入力された当該出力回路160に対応する階調電圧が第1入力端子211へ印加され、第1出力端子213には、当該出力回路160に対応する階調電圧にオフセット電圧が乗った電圧が出力される。当該出力回路160に対応する階調電圧にオフセット電圧が乗った電圧でオフセット補償容量240はチャージされる。チャージは、第6のスイッチ226を介して行われる。オフセット補償容量240の他端側は、一例としてグランドへ接続しているが、固定された電源であれば、実現可能である。
次に、図3の(B)に示すように、出力期間には、第1のスイッチ221、第4のスイッチ224、及び第6のスイッチ226が非接続状態となる。また、第2のスイッチ222、第3のスイッチ223、及び第5のスイッチが接続状態となる。増幅回路210の第1入力端子211は、反転入力端子として機能し、第2入力端子212は、非反転入力端子として機能するように切り換え回路214が接続されている。第2入力端子212には、当該出力回路160に対応する階調電圧にオフセット電圧が乗った電圧が印加される。第1入力端子211と第1出力端子213が第2のスイッチ222を介して接続されることで増幅回路210は、ボルテージフォロアとして機能する。第2入力端子212に対して当該出力回路160に対応する階調電圧にオフセット電圧が乗った電圧が印加されることで、第1出力端子213には、データ入力端子INに印加された当該出力回路160に対応する階調電圧が出力されることになり、実質的に増幅回路210で発生するオフセット電圧をキャンセルすることが可能となる。
次に図4を用いて、増幅回路210の詳細を説明する。増幅回路210は、少なくとも増幅段410と出力段420と位相補償容量群430から構成されている。増幅段410は、第1入力端子211と第2入力端子212とに応じて第1増幅段出力411と第2増幅段出力412に信号を出力する差動増幅回路415で構成されている。
出力段420は、電源と第1出力端子213との間に接続された出力トランジスタ421と、第1出力端子213とグランドとの間に接続された出力トランジスタ422とで構成されている。出力トランジスタ421のゲートには、第1増幅段出力411が接続されている。出力トランジスタ422のゲートには、第2増幅段出力412が接続されている。
位相補償容量群430は、位相補償容量としての第1〜4補償容量C1〜4で構成されている。第1補償容量C1は、第1増幅段出力411と第1出力端子213との間に接続される。第2補償容量C2は、第2増幅段出力412と第1出力端子213との間に接続される。第3補償容量C3は、一端が第1増幅段出力411に接続され、他端が第7のスイッチ431を介して第1出力端子213に接続されると共に、第9のスイッチ433を介して電源に接続されている。第4補償容量C4は、一端が第2増幅段出力412に接続され、他端が第8のスイッチ432を介して第1出力端子213に接続されると共に、第10のスイッチ434を介してグランドに接続されている。第1補償容量C1及び第2補償容量C2は主の位相補償容量とし機能し、第3補償容量C3及び第4補償容量C4はサブ位相補償容量として機能する。
図5を用いて増幅回路210の動作を詳細に説明する。図5の(A)は増幅回路210のサンプリング期間の状態を示す。第7のスイッチ431及び第8のスイッチ432は非接続状態であり、第9のスイッチ433及び第10のスイッチ434は接続状態となるように制御される。図5の(B)は増幅回路210の出力期間の状態を示す。第7のスイッチ431及び第8のスイッチ432は接続状態であり、第9のスイッチ433及び第10のスイッチ434は非接続状態となるように制御される。第7〜10のスイッチ431〜434の制御は、図2に示した制御回路230の信号を使用することが可能である。
図6〜9を用いて、本発明の原理を説明する。図6は、一般的な帰還回路の概略を示す概念図である。オペアンプの開ループ電圧利得をAo、帰還率をβとすると閉ループ電圧利得Acは
Ac = vo/vi = -Ao / (1+ Aoβ) :式1
これより、Aoβ = -1(Ao=0dB) の時、入出力の位相が180度以上遅れているとオペアンプは発振を起こす。
図7は、図6に示す増幅回路の周波数特性をボーデ線図にて示したものである。開ループ電圧利得Aoが0dBになった時に位相が180度以上遅れるとオペアンプは発振する。
図8は、図6を具体化した帰還回路の概略を示す。図8では、図6に対して、位相余裕改善用に抵抗Rload を入れた構成となっている。帰還量βを近似式で表すと次の式のようになる。
1/β = (Rs + Rload )/ Rload :式2
つまり出力抵抗が大きいほど帰還量βは大きくなる。これを式1にあてはめて考えると帰還量が増えると電圧利得Aoはさがっていくので、Ao=0dBになるポイントは低い周波数領域にそのまま移動することになり実質的な1極だけのオペアンプの周波数特性に近くなり高域側の極が影響を与えないので位相余裕を容易に確保でき安定した動作が実現できることになる。
図9に図8に示す帰還回路の概略図の周波数特性を示す。実際の出力回路160に当てはめて考えると、図8の概略図のRloadに相当する抵抗は、第6のスイッチ226のオン抵抗であり、チャージ(サンプリング期間)時の状態は第6のスイッチ226のオン抵抗が第5のスイッチ225に比べて高くしている。第6のスイッチ226のオン抵抗が高いということは、位相余裕の十分にある出力回路160となる。
なお、第6のスイッチ226のオン抵抗を高くすることによって、位相余裕を確保できると第1、2補償容量C1、C2を小さくすることが可能となる。サンプリング期間の負荷となっているオフセット補償容量240も小さいため、第1、2補償容量C1、C2を小さくすることと合わせて、高スルーレートを実現でき、位相余裕を確保した状態で、サンプリング期間を短時間で安定させることを可能とする。
また、本実施例1における出力回路160特に第1、2補償容量C1、C2の容量値を極限まで低くした場合には、サンプリング期間の短縮を最大限行うことが可能となるが、出力期間時の位相余裕の確保が不十分な可能性も考えられる。図4及び図5で示した第3、第4補償容量C3、C4を出力期間時に接続することで、位相補償容量の容量値を確保することが可能となり、サンプリング時及び出力時の双方において、高スルーレートと位相余裕を確保することが可能となる。
図10は、本発明の出力回路160と一般的な出力回路とを10ビット出力のソース駆動用ICに適用した場合のオフセット量を示すグラフである。グラフAは、一般的なrail to rail方式の出力回路を適用した場合のオフセット量の最大最小値を示す。またグラフBは本発明の出力回路160を適用した場合のオフセット量の最大最小値を示す。
グラフAでは、±15〜30mVのオフセット量がどの階調でも発生している。しかし、本発明のグラフBでは、±5mV以内でおさめることが可能となっている。また、グラフAでは、階調の0又は1024近辺で極端にオフセット量が高くなっているが、グラフBではどの階調でも大きな差が無いオフセット量とすることが可能となっている。
なお、本発明の効果は、液晶駆動用のICに限らず、電圧駆動型の駆動用ICであれば適用可能である。特に有機ELパネル等では、バックライトを使用せず、自発光型であるので、全階調においてオフセット量がフラットである特性は、より画像を綺麗に見せることを可能とする。
また、オフセットキャンセル精度が高い出力回路160では、増幅段410のサイズ縮小にも寄与する。一般的にオフセット量を減らすために、トランジスタサイズを大きくして設計せざるを得ないが、本発明の出力回路160を適用することで、多少のオフセットを相殺することが可能となるからである。
図11は、本発明の実施例2を示す出力回路である。実施例1と同一の機能を有するものは同一の符号を付すことで説明を省略する。実施例2の出力回路360は、実施例1の出力段420から補償容量群430への帰還経路にバッファ回路525、526を備えている。バッファ回路525、526は、出力段420の出力が入力されている。また、実施例1の補償容量群430に対して、実施例2では、補償容量群330を備えている。補償容量群330は、バッファ回路525の出力と第1増幅段出力411との間に接続された補償容量C12と、バッファ回路525の出力と第1増幅段出力412との間に接続された補償容量C21と、バッファ回路526の出力と第1増幅段出力411との間に接続された補償容量C11と、バッファ回路526の出力と第1増幅段出力412との間に接続された補償容量C22と、第3および第4の補償容量C3、C4とを備える。
出力段420のP型MOSトランジスタで構成された出力トランジスタ421は、ソース電極が電源端子に接続されソース電極に電源電圧VDDが供給されると共に、ドレイン電極が増幅回路310の第1出力端子213に接続されており、N型MOSトランジスタで構成された出力トランジスタ422は、ソース電極が増幅回路310の第1出力端子213に接続され、ドレイン電極が接地端子に接続されている。出力トランジスタ421、422は、各々のゲート電極に入力された信号の電圧レベルに対する動作電圧範囲が互いに異なるプッシュプル回路(詳しくは各々の動作電圧範囲が一部重なっていることでAB級動作をするプッシュプル回路)として動作し、出力トランジスタ421は出力電圧を増大させる場合に作動され、出力トランジスタ422は出力電圧を減少させる場合に作動される。
次に増幅回路310の動作を説明する。増幅回路310の出力段420は、出力トランジスタ421及び出力トランジスタ422が、前述のようにプッシュプル回路(詳しくはAB級動作をするプッシュプル回路)として動作するので、表示パネル110の駆動(表示パネル110の個々の画素(セル)に相当する容量性負荷242へのデータ電圧の印加)に好適な広い有効動作範囲を得ることができる。
また、増幅回路310のバッファ回路525は、N型MOSトランジスタ527のソースフォロア構成のレベルシフト回路であり、増幅回路310の出力電圧Voutが、電源電圧VDD〜接地電圧よりもN型MOSトランジスタ527の閾値電圧Vtn高い値の範囲内のときに動作する。そして、バッファ回路525の出力電圧は増幅回路310の出力電圧Voutよりも閾値電圧Vtnだけ低い電圧となり、出力電圧Voutに応じて変化するバッファ回路525の出力電圧は、補償容量C12を介して出力トランジスタ421のゲート電極に帰還されると共に、補償容量C21を介して出力トランジスタ422のゲート電極に帰還される。
また、バッファ回路526は、P型MOSトランジスタ528のソースフォロア構成のレベルシフト回路であり、増幅回路310の出力電圧Voutが、電源電圧VDDよりもP型MOSトランジスタ528の閾値電圧Vtp低い値〜接地電圧の範囲内のときに動作する。そして、バッファ回路526の出力電圧は増幅回路310の出力電圧Voutよりも閾値電圧Vtpだけ高い電圧となり、出力電圧Voutに応じて変化するバッファ回路526の出力電圧は、補償容量C11を介して出力トランジスタ421のゲート電極に帰還されると共に、補償容量C22を介して出力トランジスタ422のゲート電極に帰還される。
このように、本実施例2に係る増幅回路310では、ミラー効果を利用して位相補償を行う場合実施例1と比較して、増幅回路の帰還経路にバッファ回路が挿入されることで、位相余裕を確保するための位相補償用の容量(補償容量C11、C12、C21C22)を小さくすることができる。そして、位相補償用の容量(補償容量C11、C12、C21C22の合計容量)を小さくできることで、大振幅動作時における補償容量C11、C12、C21C22のカップリングによる出力トランジスタ421、422のゲート電極の電圧変動を小さくすることができるので、出力トランジスタ421、422が本来は動作しない期間に動作して貫通電流が流れることを防止することができる。また、位相補償用の容量を小さくできることで、入力増幅段410の負荷が小さくなると共に、出力電圧Voutの変化に対するバッファ回路421、422の追従性が向上し、増幅回路310のスルーレートを向上させることができる。更に、増幅回路310を搭載したチップの小サイズ化も実現することができる。
また本実施例2において、バッファ回路421とバッファ回路422は動作電圧範囲が相違されており、バッファ回路421における最大動作電圧が電源電圧VDDに一致し、バッファ回路422における最小動作電圧が接地電圧に一致していることから、バッファ回路421及びバッファ回路422は、増幅回路310の出力電圧Voutの全範囲(電源電圧VDD〜接地電圧)に亘って少なくとも一方が動作することになるので、電圧バッファを1個のみ設ける場合と比較して、位相余裕の出力電圧依存性も改善することができる。なお、第1〜6スイッチ221〜226については、実施例1と同様に動作するので、実施例1の効果も合わせて得ることが可能である。
図12は、本発明の実施例3を示す表示用駆動装置の一部を示す上面図である。表示用駆動装置500は、半導体基板(半導体チップ)上に集積回路が形成されたもので一般的に短辺と長辺から構成される矩形である。表示用駆動装置500は、短冊状のドライバセル570が長辺方向に複数並べられている。ドライバセル570は、一般的に表示データに相当する信号を受け取るラッチ回路、デジタル信号をアナログ信号に変換するデジタルアナログコンバータ、信号レベルを変換するレベルシフタ、出力信号を高駆動能力で出力する出力回路等が形成される。本発明では、特にデジタルアナログコンバータ、及び出力回路を取り上げて説明する。
ドライバセル570は、短冊状であり、長方形型の領域にデジタルアナログコンバータが形成されるDAコンバータブロック550、及び出力回路が形成される出力回路ブロック560から構成される。ドライバセル570の長辺方向は、表示用駆動装置500の短辺方向である。ドライバセル570の長辺方向において、出力回路ブロック560は、DAコンバータブロック550よりチップエッジ590に近く配置されている。出力回路ブロック560は、増幅回路ブロック510、制御スイッチブロック520、制御回路ブロック530、及び、オフセット補償容量ブロック540で構成される。増幅回路ブロック510は、増幅段410や出力段420を備える増幅回路210が形成されるブロックである。制御スイッチブロック520は、第4〜6のスイッチ224〜226が形成されるブロックであり、オフセット補償容量240と増幅回路210との接続関係を制御するスイッチ群220が形成されるブロックである。制御回路ブロック530は、制御回路230が形成されるブロックである。オフセット補償容量ブロック540は、オフセット補償容量240が形成されるブロックである。
増幅回路ブロック510、制御スイッチブロック520、制御回路ブロック530、及び、オフセット補償容量ブロック540は、ドライバセル570の長辺方向に一列に並んで配置されている。オフセット補償容量ブロック540と増幅回路ブロック510との間に制御スイッチブロック520が配置され、制御スイッチブロック520と増幅回路ブロック510との間に制御回路ブロック530が配置されている。なお、増幅回路ブロック510は、出力回路ブロック560内で最もチップエッジ590の近くに配置されている。
増幅回路ブロック510、制御スイッチブロック520、制御回路ブロック530、及び、オフセット補償容量ブロック540を上述の配置とすることで以下の効果を得ることが可能となる。まず、各ブロックを一列に配置することでドライバセル570の幅を縮小することが可能となる。また、DAコンバータブロック550の出力と増幅回路ブロック510の出力とのオフセット電圧をより出力したい電圧に近い位置にオフセット補償容量240を配置することが出来るため精度を高くすることが可能となる。また、制御スイッチ520と増幅回路ブロック510との間に制御回路ブロック530を配置することで、制御スイッチ520と増幅回路ブロック510との双方に効率的に信号を供給することが可能となる。
次に、本実施例の駆動装置のレイアウト方法に関して説明する。一般的に駆動装置の設計を開始するに当って、様々な仕様が決められている。例えば、入力インターフェースの形式や、出力ピン数などである。仕様と1ウェハ当りの取れ数によって、大まかなチップサイズが決定される。チップサイズ、仕様が決まるとドライバセル1つ当りのブロックの大きさも決定することが可能となる。次にドライバセル内の各ブロック(増幅回路ブロック、制御スイッチブロック、制御回路ブロック、及び、オフセット補償容量ブロック)についても位置決めを行う。別途設計したDAコンバータや出力回路の設計図に基づき、先に決定した各ブロックへ素子配置、所謂レイアウト設計を行う。
上記レイアウト方法においては、設計図上で回路の小規模な修正、変更を行った場合であっても、予めブロックの位置が決定されており、それぞれのブロック間又はドライバセル間のバラツキや干渉などの予測値が想定の範囲内で収めることが可能となり、回路の小規模な修正、変更から設計の収束までを短時間で実現することが可能となる。言い換えれば、予想外の設計トラブルの発生を未然に防ぐことを可能とする。
図13は、本発明の実施例4を示す表示用駆動装置の一部を示す上面図である。表示用駆動装置600は、半導体基板(半導体チップ)上に集積回路が形成されたもので一般的に短辺と長辺から構成される矩形である。表示用駆動装置600は、短冊状のドライバセル670が長辺方向に複数並べられている。ドライバセル670は、一般的に表示データに相当する信号を受け取るラッチ回路、デジタル信号をアナログ信号に変換するデジタルアナログコンバータ、信号レベルを変換するレベルシフタ、出力信号を高駆動能力で出力する出力回路等が形成される。本発明では、特にデジタルアナログコンバータ、及び出力回路を取り上げて説明する。
ドライバセル670は、短冊状であり、長方形型の領域にデジタルアナログコンバータが形成されるDAコンバータブロック650、及び出力回路が形成される出力回路ブロック660から構成される。ドライバセル670の長辺方向は、表示用駆動装置600の短辺方向である。ドライバセル670の長辺方向において、出力回路ブロック660は、DAコンバータブロック650よりチップエッジ690に近く配置されている。
出力回路ブロック660は、増幅回路ブロック610、制御スイッチブロック620、制御回路ブロック630、及び、オフセット補償容量ブロック640で構成される。増幅回路ブロック610は、増幅段410や出力段420を備える増幅回路210が形成されるブロックである。制御スイッチブロック620は、第4〜6のスイッチ224〜226が形成されるブロックであり、オフセット補償容量240と増幅回路210との接続関係を制御するスイッチ群220が形成されるブロックである。制御回路ブロック630は、制御回路230が形成されるブロックである。オフセット補償容量ブロック640は、オフセット補償容量240が形成されるブロックである。
増幅回路ブロック610、制御スイッチブロック620、制御回路ブロック630、及び、オフセット補償容量ブロック640は、ドライバセル670の長辺方向に一列に並んで配置されている。オフセット補償容量ブロック640と増幅回路ブロック610との間に制御スイッチブロック620が配置され、制御スイッチブロック620と増幅回路ブロック610との間に制御回路ブロック630が配置されている。なお、増幅回路ブロック610は、出力回路ブロック660内で最もチップエッジ690の近くに配置されている。増幅回路ブロック610の出力は、出力パッド680に接続されている。本実施例においては、増幅回路ブロック610、制御スイッチブロック620、制御回路ブロック630、及び、オフセット補償容量ブロック640の配列は、一列となっていれば、順序が入れ替わっても良い。ただし、それぞれのドライバセル670における増幅回路ブロック610、制御スイッチブロック620、制御回路ブロック630、又は、オフセット補償容量ブロック640の位置は、表示用駆動装置600の長辺方向において一致することが望ましい。
それぞれのドライバセル670の増幅回路ブロック610をまとめて増幅回路ブロック群とし、それぞれのドライバセル670の制御スイッチブロック620をまとめて制御スイッチブロック群とすると、増幅回路ブロック群及び制御スイッチブロック群は、それぞれ表示用駆動装置600の長辺方向に延在する個別の電源線601およびグランド線602を備えている。
図14を用いて、表示用駆動装置600の一部の動作を説明する。図14は、出力回路160の一部を示した図である。出力回路760増幅回路210と、第5のスイッチ225とオフセット補償容量240とを備える。増幅回路210は第1の電源が供給されている。増幅回路210の第2入力端子212と第5のスイッチ225の一端が接続されている。第5のスイッチ225の他端は、オフセット補償容量240の一端に接続されている。オフセット補償容量240の他端はグランドに接続されている。第5のスイッチ225は、MOSトランジスタで構成されたスイッチであり、基板電位として増幅回路210に供給される第1の電源が供給されている。本表示用駆動装置600では、一例として階調電圧の範囲が0〜18Vであるとする。
上述の出力回路760においては、サンプリング期間にて出力電圧にオフセット電圧が乗った電圧がオフセット補償容量240にチャージされる。例えば、階調電圧範囲の上限に近い17.8Vで多数のドライバセルの出力回路にてオフセット補償容量240がチャージされていた場合、同時に多くの出力回路にて高い電圧を出力しようとすると一時的に電源の電圧が下がることとなる。オフセット補償容量240にチャージされている電圧より下がると、基板に形成されたダイオードが動作して、オフセット補償容量240にチャージしていた電荷が抜けてしまう。結果として予定のオフセットキャンセルが行えないこととなり、オフセットキャンセル動作の精度を悪化させてしまう。
図15を用いて実施例4を示す表示用駆動装置を詳細に説明する。本図では、図11で示される出力回路360がドライバセル670内に配置されている図である。表示用駆動装置600は、チップエッジ690に沿って出力パッド680、電源パッド681、グランドパッド682、制御スイッチ用電源パッド683、及びオフセットキャンセル用グランドパッド684が配置されている。電源パッド681、グランドパッド682、制御スイッチ用電源パッド683、及びオフセットキャンセル用グランドパッド684の位置はチップエッジ690に必ずしも沿っている必要は無い。
増幅回路ブロック610に形成された増幅回路310は、電源パッド681とグランドパッド682とに配線601A、602Aとを介して接続され電源が供給される。また、制御スイッチブロックに形成されたスイッチ群220は、制御スイッチ用電源パッド683とオフセットキャンセル用グランドパッド684とに配線601B、602Bとを介して接続され電源が供給される。電源パッド681、グランドパッド682、制御スイッチ用電源パッド683、及びオフセットキャンセル用グランドパッド684は、外部より独立して電源が供給される。制御回路ブロック630は、電源パッド681とグランドパッド682とに配線601A、602Aとを介して接続され電源が供給されているが、別途独立して電源供給しても良い。
本実施例では、増幅回路ブロック610、制御スイッチブロック620、制御回路ブロック630、及び、オフセット補償容量ブロック640をドライバセル670の長辺方向に一列に並んで配置することで、少なくとも増幅回路ブロック610と制御スイッチブロック620とに個別の電源配線601及びグランド配線602を形成することを容易に可能とする。増幅回路ブロック610と制御スイッチブロック620とに個別の電源配線601A、B及びグランド配線602A、Bを形成することにより、各出力回路の出力電圧が集中した場合にも、オフセットキャンセルの精度を落とすことなくオフセットキャンセル動作を行うことを可能とする。当然、増幅回路ブロック610と制御スイッチブロック620だけでなく、制御回路ブロック630の電源及びグランドも個別に設けることも可能であり、増幅回路ブロック610の動作による電源の揺らぎに対して悪影響を及ぼすことを防止できる。なお、増幅回路ブロック610、制御スイッチブロック620、制御回路ブロック630、及び、オフセット補償容量ブロック640は、矩形の領域である必要はなく、それぞれに独立して電源供給できる構造であれば本実施例の効果を得ることが可能である。
本発明の実施例1における表示装置である。
図1における出力回路の具体例を示す回路図である。
図2における出力回路の動作を示す回路図である。
図2における増幅回路の具体例を示す回路図である。
図4における増幅回路の動作を示す回路図である。
一般的な帰還回路の概略図である。
図6に示す帰還回路の周波数特性示すボーデ線図である。
図6に示す帰還回路を具体化した概略図である。
図8に示す帰還回路の周波数特性を示す図である。
従来と本発明を比較したオフセット量を示すグラフである。
本発明の実施例2における出力回路を示す回路図である。
本発明の実施例3における駆動装置を示すレイアウト図である。
本発明の実施例4における駆動装置を示すレイアウト図である。
本発明の実施例4における原理説明図である。
本発明の実施例4における他の駆動装置を示すレイアウト図である。
符号の説明
100 表示装置
110 表示パネル
120 ソース駆動用IC
130 ゲート駆動用IC
140 階調電圧発生回路
150 DAコンバータ
160 出力回路
210 増幅回路
220 スイッチ群
230 制御回路
240 オフセット補償容量