JP5172429B2 - 画像診断支援システム - Google Patents

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Description

本発明は、被験者の画像を健常者などの画像と対比して疾患の診断を支援するための技術に関する。
近年、被験者等に大きな負担をかけずに、身体内の様子を画像として捕らえ正確な診断を行なうための画像診断機(X線CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、超音波診断機、放射線診断機等)は現在の医療の現場において必須なものとなっている。
核医学の臨床の場においては、被験者体内に放射性同位元素を導入し、その放射性同位元素から発せられるγ線を利用する単光子放出コンピュータ断層撮影(Single Photon Emission Computed Tomography、SPECT)および陽電子放出断層撮影(Positron
Emission Tomography、PET)が、それぞれ利用されている。これにより、脳の断層画像を撮影して解析することにより、疾患ごとに脳の特定部位の血流が上昇または低下することが明らかになってきている。従って、被験者と健常者のSPECTやPETの画像を比較することによって異常部位の有無を抽出することが可能となっている。
そして、特許文献1には、被験者と健常者などの特定グループに属する者の断層画像を比較して、被験者の断層画像における異常部位を抽出して、診断支援を行う画像診断支援システムが記載されている。
特開2006−204641号公報
ところで、断層画像において、特定の疾患については、疾患別に共通の特徴を示すことがある。その特徴は、断層画像内の複数の箇所に現れることもある。
そこで、本発明の目的は、断層画像内に複数の領域を設定して、被験者及び特定グループに属する者の断層画像を比較し、被験者が所定の疾患であるか否かを鑑別するための支援をすることである。
本発明の一つの態様に従う画像診断支援システムは、被験者及び特定グループに属する者の断層画像を対比して診断の支援を行うシステムであって、所定部位について、被験者の断層画像の画像データと、特定グループに属する者の断層画像の画像データとを記憶する画像データ記憶手段と、前記所定部位の断層画像内の複数の領域を示す領域データを記憶する領域データ記憶手段と、前記被験者の断層画像の画像データと、前記特定グループに属する者の断層画像の画像データと、前記領域データとに基づいて、前記被験者の断層画像と前記特定グループに属する者の断層画像とを比較し、前記複数の領域のそれぞれについて、前記被験者の断層画像が前記特定グループに属する者の断層画像と異なる特徴を有する特徴領域であるか否かを判定する判定手段と、一つ以上の疾患について、疾患別に前記複数の領域のそれぞれが前記特徴領域であるか否かを定めた疾患別の鑑別データを記憶する鑑別データ記憶手段と、前記判定手段による判定結果と前記鑑別データとを比較して、その比較結果を出力する出力手段と、を備える。
好適な実施形態では、前記判定手段は、前記被験者の断層画像と前記特定グループに属する者の断層画像とを比較して、前記被験者の断層画像が前記特定グループに属する者の断層画像と異なる特徴の特徴部位を抽出し、前記複数の領域のそれぞれについて、前記抽出された特徴部位に基づく所定の特徴量を算出し、算出された前記特徴量に基づいて各領域が前記特徴領域であるか否かを判定してもよい。
好適な実施形態では、前記判定手段は、前記被験者の断層画像の画像データ及び前記特定グループに属する者の断層画像の画像データに基づいて、血流の増加または減少を示す指標を算出し、前記算出された血流の増加または減少を示す指標に基づいて、前記特徴部位を抽出してもよい。
好適な実施形態では、前記判定手段は、前記被験者の断層画像の画像データ及び前記特定グループに属する者の断層画像の画像データに基づいてZ値を算出し、算出されたZ値に基づいて前記特徴部位を抽出してもよい。
好適な実施形態では、前記判定手段は、Z値が所定の閾値を超える相対的増加部位と、Z値が所定の閾値を下回る相対的減少部位を特定し、各領域における特徴量を、
特徴量(1a)=相対的増加部位のZ値の総和/相対的増加部位の面積
特徴量(1b)=相対的減少部位のZ値の総和/相対的減少部位の面積
により算出してもよい。
好適な実施形態では、前記判定手段は、Z値が所定の閾値を超える相対的増加部位と、Z値が所定の閾値を下回る相対的減少部位を特定し、各領域における特徴量を、
特徴量(2a)=(相対的増加部位の面積/領域全体の面積)×100(%)
特徴量(2b)=(相対的減少部位の面積/領域全体の面積)×100(%)
により算出してもよい。
好適な実施形態では、前記判定手段は、Z値が所定の閾値を超える相対的増加部位と、Z値が所定の閾値を下回る相対的減少部位を特定し、各領域における特徴量を、
特徴量(3a)=相対的増加部位のZ値の総和
特徴量(3b)=相対的減少部位のZ値の総和
により算出してもよい。
好適な実施形態では、前記判定手段は、Z値が所定の閾値を超える相対的増加部位と、Z値が所定の閾値を下回る相対的減少部位を特定し、各領域における特徴量を、
特徴量(4a)=相対的増加部位のZ値の総和/領域全体の面積
特徴量(4b)=相対的減少部位のZ値の総和/領域全体の面積
により算出してもよい。
好適な実施形態では、前記領域データ記憶手段に記憶されている領域データは、前記所定部位の断層画像に対して設定されたROI(Region Of Interest)であってもよい。
好適な実施形態では、前記領域データ記憶手段に記憶されている領域データは、前記所定部位を解剖学的または機能的な分類に基づいて定められたセグメントであってもよい。
好適な実施形態では、前記判定手段は、特徴領域と判定された領域について、さらに、前記特徴の程度を示す特徴レベルを判定し、前記鑑別データ記憶手段に記憶されている鑑別データは、特徴領域については前記特徴レベルも定められていてもよい。
好適な実施形態では、前記被験者の断層画像及び前記特定グループに属する者の断層は、いずれも正規化された脳のSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)断層画像であってもよい。
以下、本発明の一実施形態に係る画像診断支援システムについて図面を用いて説明する。本実施形態に係る画像診断支援システムは、健常者と被験者の脳のSPECT断層画像(以下、単に断層画像という場合もある)を対比して、被験者の疾患の診断の支援を行うものである。
図1に、本実施形態にかかる画像診断支援システム1の全体構成図を示す。
本実施形態に係る画像診断支援システム1は、画像診断支援システム本体10と、画像診断支援システム本体10に接続された入力装置2と、表示装置3とを備える。画像診断支援システム本体10は、例えば汎用的なコンピュータシステムにより構成され、以下に説明する画像診断支援システム本体10内の個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。
画像診断支援システム本体10には、診断の対象となる被験者の画像データを記憶する被験者データ記憶部11と、あらかじめ収集しておいた正規化された健常者の画像データを記憶する健常者データ記憶部12と、被験者データを正規化する正規化処理部13と、Z値を算出するZ値算出部14と、被験者データから健常者とは異なる特徴を有する特徴部位を抽出する特徴部位抽出部15と、特徴部位を抽出するための抽出条件を記憶した抽出条件テーブル16と、特徴部位抽出部15が抽出した特徴部位に基づく特徴量を算出する特徴量算出部17と、画像内に複数の領域を定める領域データを記憶した領域データ記憶部20と、特徴量算出部17が算出した特徴量に基づいて、各領域が特徴領域であるか否かを判定する領域別判定部18と、一つ以上の疾患について、疾患別の鑑別データを記憶する鑑別データ記憶部21と、領域別判定部18による特徴領域か否かの判別結果と、鑑別データ記憶部21の鑑別データとを対比するマッチング部19と、領域別判定部18による特徴領域か否かの判別結果、あるいは、マッチング部19による対比結果を表示装置3に表示する表示処理部30と、を備える。
被験者データ記憶部11は、SPECT断層画像撮影装置5で撮影した被験者のSPECT断層画像のボクセル値データ(以下、被験者データという)111を記憶している。
健常者データ記憶部12には、予め収集しておいた、多数の健常者の脳の断層画像のボクセル値データの平均値(以下、健常者データという)121と、多数の健常者の脳の断層画像のボクセル値データの標準偏差データ122とが記憶されている。人の脳の形状及び大きさは、それぞれ個人差があるので、健常者データ121は、所定の形状及び大きさに正規化された健常者の標準脳の断層画像データを用いて平均値を求めたものである。標準偏差データ122も同様に、正規化された健常者の標準脳の断層画像データを用いて標準偏差を求めたものである。
なお、本実施形態では健常者の断層画像を用いているが、健常者以外にも、特定グループに属する者の脳の断層画像を用いてもよい。例えば、特定の疾患を有する患者の断層画像と、被験者(健常者であってもよい)の断層画像を用いてもよい。
図2は、健常者データ121及び標準偏差データ122のデータ構造の一例を示す図である。同図(a)の健常者データ121は、頭の左右方向をX軸、前後方向をY軸、上下方向をZ軸としたとき、Z軸方向にN枚のX−Y断面の画像データからなる。各画像データに含まれるボクセル値は、各画像の画素値と対応する。同図(b)の標準偏差データ122は、健常者データ121と同様の構造になっていて、多数の健常者データの平均値である健常者データ121を算出したときに同時に求めた標準偏差が格納されている。
再び図1を参照すると、正規化処理部13は、被験者データ記憶部11に格納されている被験者データ(ボクセル値データ)を正規化する。ここでは、正規化後の被験者データを健常者データと比較するので、正規化処理部13は健常者データ121と同一の構造に正規化する。なお、被験者データ記憶部11に予め正規化した被験者データを記憶しておいてもよいし、正規化処理部13による正規化後の被験者データを被験者データ記憶部11に格納してもよい。
画像診断支援システム1は、何れも正規化されている健常者データ121及び被験者データに基づいて、健常者の画像と被験者の画像とを比較し、予め定められている複数の領域のそれぞれについて、被験者画像が健常者画像と異なる特徴を有する特徴領域であるか否かを判定する。本実施形態では、Z値算出部14、特徴部位抽出部15、特徴量算出部17及び領域別判定部18においてこの判定処理を行う。
Z値算出部14は、被験者データ及び健常者データのそれぞれ対応する画像(同一部位の画像)を対比させてZ値を算出する。すなわち、Z値算出部14は、正規化処理部13で正規化された被験者データと健常者データ記憶部12に記憶されている健常者データ121及び標準偏差データ122とを用いて、Z値を算出する。Z値算出部14は、正規化された被験者データの全断層画像の全画素(つまり、全ボクセル値)について、以下の式を用いてZ値を算出する。
Z値={(健常者データのボクセル値)−(被験者データのボクセル値)}/標準偏差
抽出条件テーブル16は、特徴部位抽出部15で特徴部位を抽出するための抽出条件を記憶する。ここに格納される抽出条件としては、例えばZ値の閾値でもよい。閾値としては、例えば、具体的な閾値の値(例えば、+2.0、−2.0など)でもよいし、各断層画像におけるZ値の最大値または最小値に対する割合を示す値(例えば、Z値の最大値または最小値の80%など)であってもよい。
領域データ記憶部20には、対象画像における特定の領域を指定する領域データが記憶されている。
領域データは、例えば、ROI(Region Of Interest:関心領域)を示すデータでもよい。ROIは、例えば、疾患別に定義されていてもよいし、疾患別に加えて、さらに疾患別重症度(病期、進行度)別に定義されていてもよい。ここで、ROIは、脳のSPECT断層画像において、疾患の診断を行う際に着目すべき領域である。つまり、疾患別のROIは、それぞれの疾患で血流量の変化が生じる領域である。従って、ROIは、疾患別、さらには疾患の病期重症度別に、それぞれ異なる断層画像の異なる領域が設定される。1枚の断層画像に複数のROIが設定されていてもよい。脳の疾患例としては、アルツハイマー型痴呆、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、マシャド・ジョセフ病、オリーブ橋小脳萎縮症などが挙げられる。ROIは、例えば、NINCDS−ADRDAなど所定の診断基準や各種検査に基づいて定められる。例えば、疾患群(ある疾患の多数の患者データ)と健常者群(多数の健常者データ)とを群間比較して、検定統計量(t検定etc)によってその閾値を決めることによって作成することができる。
また、領域データは、例えば、脳をセグメントに分割したときの各セグメント領域を示すデータでもよい。セグメント領域は、対象の画像の脳の部分の全領域(全脳)を、解剖学的または機能的な分類に基づいて複数の領域に分割したときの各領域(セグメント)である。ここで、解剖学的な分類に基づく分割とは、例えば、脳の領域を大脳、小脳などに分割する場合を指す。解剖学的な分類は階層的になっているので、セグメント領域も階層化されていてもよい。機能的な分類とは、例えば、脳の各部位に局在する運動野、言語野などの機能野ごとに分割する場合を指す。それぞれのセグメント領域の設定は、所定の解剖学的または機能的な知見に基づいて行われる。
図3は、領域データ記憶部20に記憶されている領域データの一例を示す図である。同図に示すのは、「アルツハイマー重度1」、「アルツハイマー重度2」・・・などの疾患別病期重症度別に設定されている領域データ、及び、「前頭葉」、「頭頂側頭葉」・・・などのセグメントの領域データである。各領域データは、それぞれの断層画像ごとに、対象となる領域の画素には「1」、それ以外の領域の画素には「0」がセットされている。
改めて図1を参照すると、特徴部位抽出部15は、Z値算出部14で算出されたZ値に基づいて、被験者の断層画像から健常者とは異なる特徴を示す部位を特徴部位として抽出する。例えば、特徴部位抽出部15は、抽出条件テーブル16に示すZ値の閾値に従って、その閾値以上または以下である領域を特徴部位として抽出する。ここで、本実施形態で用いているSPECT断層画像の場合、Z値がプラス(つまり、健常者データの方が被験者データよりボクセル値が高い)のときは、被験者の血流量が健常者の血流量よりも少ないことを示し、逆に、Z値がマイナス(つまり、健常者データの方が被験者データよりボクセル値が低い)のときは、被験者の血流量が健常者の血流量よりも多いことを示している。従って、本実施形態では、被験者データにおいて、健常者と比べて血流量が増減している箇所が特徴部位として抽出されることになる。これは、特定の疾患に関しては、特定の箇所の血流の増減があることが知られているので、それを利用するためである。
なお、本実施形態では、特徴部位の抽出にZ値を用いているが、例えばt値あるいはF値などの、これ以外の指標を用いて健常者と異なる特徴の部位を抽出してもよい。
特徴部位抽出部15におけるZ値を用いた特徴部位抽出には、例えば、(A)固定の閾値を用いた閾値判定と、(B)全脳の最大値及び最小値に基づく閾値による判定と、(C)各領域内の最大値及び最小値に基づく閾値による判定とがある。以下、(A)〜(C)について、図4に示すZ値の分布例を用いて説明する。
(A)特徴部位抽出部15は、抽出条件テーブル16から固定閾値を取得して、その固定閾値を超えるZ値の部位を抽出する。固定閾値は、プラス、マイナスのそれぞれについて設定されている。例えば、+2.0及び−2.0でよい。特徴部位抽出部15は、図4Aに示すように、Z値が+2.0以上及び−2.0以下のボクセルを特徴部位(相対的増加部位220及び相対的減少部位230)として抽出する。
(B)特徴部位抽出部15は、まず、各断層画像において、その画像の全脳領域(全脳)における最大値250及び最小値260を検出する(図4B参照)。そして、特徴部位抽出部15は、抽出条件テーブル16からその最大値250及び最小値260に対する割合(例えば75%、80%、など)を取得する。特徴部位抽出部15は、図4Bに示すように、最大値250及び最小値260に対して、取得した割合を超えるZ値を有する画素を特徴部位として抽出する。例えば、図4Bに示すように、最大値250が6.5、最小値260が−4.6、最大値250及び最小値260に対する割合が75%だとすると、Z値が4.9以上のボクセルが相対的増加部位270として抽出され、Z値が−3.5以下のボクセルが相対的減少部位280として抽出される。
(C)各領域内の最大値及び最小値に基づく閾値判定処理は、最大値及び最小値をそれぞれ領域別に行う点が(B)と異なる。すなわち、特徴部位抽出部15は、領域データ記憶部20から領域データを取得して、領域200ごとの最大値250及び最小値260を抽出する(図4B参照)。そして、特徴部位抽出部15は、抽出条件テーブル16からその最大値250及び最小値260に対する割合(例えば75%、80%、など)を取得して、領域内の最大値及び最小値に対する、取得した割合を超えるZ値を有する画素を特徴部位(相対的増加部位270及び相対的減少部位280(図4B参照))として抽出する。
上記(A)〜(C)以外にも、例えば、正の値のZ値、及び負の値のZ値のそれぞれの平均値に基づく閾値を用いて特徴領域を抽出したり、これらの平均値に対する所定の割合の閾値を用いて特徴領域を抽出したりしてもよい。
特徴量算出部17は、特徴部位抽出部15によって抽出された特徴部位の分布状態に基づく特徴量を算出する。本実施形態では、特徴量算出部17は、領域データ記憶部20に記憶されている領域データを用いて、様々な特徴量を算出する。
例えば、特徴量算出部17は、特徴部位抽出部15により抽出された特徴部位に基づいて、特徴量(1)〜(5)を算出する。特徴量(1)〜(5)の求め方について、図4を参照して説明する。
図4は、断層画像において一つの領域(例えばROI)200を示す。つまり、領域200内に複数の画素210(図4において、符号は1つの画素に対してのみ付する)が含まれている。各画素210に表示された数値が、その画素のZ値である。図4Aの例では、特徴部位抽出部15において固定閾値(±2.0)により、Z値の相対的増加部位220と相対的減少部位230とが抽出されている。同図Bの例では、特徴部位抽出部15において最大値250と最小値260とが抽出され、Z値の相対的増加部位270と相対的減少部位280とが抽出されている。
特徴量(1)〜(4)は、いずれも、相対的増加部位及び相対的減少部位のそれぞれについて算出されるので、相対的増加部位に対応する特徴量は特徴量1aなどのように“a”を付けて表現し、相対的減少部位に対応する特徴量は特徴量1bなどのように“b”
を付けて表現する。以下、図4Aを用いて、特徴量(1)〜(5)の算出方法を示す。
すなわち、特徴量(1)は、相対的増加部位220及び相対的減少部位230のそれぞれについて、以下のように定まる(Severity)。
特徴量(1a)=相対的増加部位220のZ値の総和/相対的増加部位220の面積
特徴量(1b)=相対的減少部位230のZ値の総和/相対的減少部位230の面積
つまり、相対的増加部位220及び相対的減少部位230における、単位面積あたりの増加量または減少量(相対的増加(または減少)部位の面積に対する平均)を示す。
図4Aの例では、特徴量(1a)=3.6、特徴量(1b)=(−)3.8である。
特徴量(2)は、相対的増加部位220及び相対的減少部位230のそれぞれについて、以下のように定まる(Extent)。
特徴量(2a)=(相対的増加部位220の面積/領域200全体の面積)×100(%)
特徴量(2b)=(相対的減少部位230の面積/領域200全体の面積)×100(%)
つまり、特徴量(2)は、領域200全体の面積のうち、相対的増加部位220または相対的減少部位230が占める割合を示す。
図4Aの例では、特徴量(2a)=57%、特徴量(2b)=33%である。
特徴量(3)は、相対的増加部位220及び相対的減少部位230のそれぞれについて、以下のように定まる(Extent×Severity)。
特徴量(3a)=相対的増加部位220のZ値の総和
特徴量(3b)=相対的減少部位230のZ値の総和
図4Aの例では、特徴量(3a)=61.2、特徴量(3b)=(−)38.0である。
特徴量(4)は、相対的増加部位220及び相対的減少部位230のそれぞれについて、以下のように定まる(Extent×Severity(単位面積あたり))。
特徴量(4a)=相対的増加部位220のZ値の総和/領域200全体の面積
特徴量(4b)=相対的減少部位230のZ値の総和/領域200全体の面積
つまり、特徴量(4)は、領域全体の面積における、単位面積あたりの増加量または減少量(領域全体面積に対する平均)を示す。
図4Aの例では、特徴量(4a)=2.04、特徴量(4b)=(−)1.30である。
特徴量(5)は、相対的増加部位220及び相対的減少部位230のそれぞれについて、その他の方法で代表値を定めるやり方である。相対的増加部位220の代表値の定め方としては、例えば、相対的増加部位220における最大値、2番目に大きい値、3番目に大きい値、中央値、最頻値、平均値、その平均値の所定割合を示す値、相対的増加部位220の面積、相対的増加部位220の画素数、あるいは相対的増加部位220の容量のいずれかでよい。同様に、相対的減少部位230の代表値の定め方としては、例えば、相対的減少部位230における最小値、2番目に小さい値、3番目に小さい値、中央値、最頻値、平均値、その平均値の所定割合を示す値、相対的減少部位230の面積、相対的減少部位230の画素数、あるいは相対的減少部位230の容量のいずれかでよい。
再び図1を参照すると、領域別判定部18は、特徴量算出部17で算出されたいずれかの特徴量に基づいて、領域データで定まる各領域が特徴領域であるか否かを判定する。例えば、領域別判定部18は、特徴量算出部17で算出された同種の特徴量を用いて、各領域が、Z値の増加傾向または減少傾向の何れが優勢であるかを判定する。そして、その判定結果に基づいて、領域ごとに、それぞれの領域がZ値の増加傾向(血流減少傾向)の特徴領域であるか、Z値の減少傾向(血流増加傾向)の特徴領域であるか、何れでもない(血流変化なし)かを決定する。
なお、Z値の増加傾向(血流減少傾向)またはZ値の減少傾向(血流増加傾向)であるときには、領域別判定部18は、さらに、特徴量の値の大きさに基づいて、その増加または減少の程度を示すレベル分けをしてもよい。
Z値の増加傾向と減少傾向の何れが優勢であるかを判定する手法としては、例えば、対象となる領域内に相対的増加部位または相対的減少部位のいずれか一方しか存在しない領域の場合、その相対的増加部位または相対的減少部位の存在する方の傾向が優勢であるとする。また、対象となる領域内に相対的増加部位及び相対的減少部位の両方が存在する場合、特徴量(1)〜(5)のいずれか一つ以上を用いて、“a”で表す相対的増加に対応する特徴量と、“b”で表す相対的減少に対応する特徴量とを対比して、数値の絶対値が大きい方を優勢としてもよい。例えば、相対的増加に対応する特徴量(1a)と、相対的減少に対応する特徴量(1b)とを対比して、数値の絶対値が大きい方を優勢としてもよい。さらに、特徴量の数値の絶対値の差によって、増加または減少の程度を示すレベルを定めてもよい。
鑑別データ記憶部21に記憶されている鑑別データは、一つ以上の疾患について、疾患別に複数の領域のそれぞれが特徴領域であるか否かのパターンを定めている。例えば、図5に鑑別データ21aのデータ構造の一例を示す。
同図に示すように、鑑別データ21aでは、疾患21b別に、各領域21cが特徴領域であるか否かのパターンが定められている。同図の例では、例えば、“疾患A”であれば、「前頭葉」、「頭頂側頭葉」、「後部帯状回」及び「ROR1」において血流が減少し、「後頭葉」では血流に変化がないときは、“疾患A”である可能性が高いことを示している。ここで、「血流増加」及び「血流減少」は、それぞれ、増加及び減少の程度を示すレベル分けがされていてもよい。
図1に戻ると、マッチング部19は、領域別判定部18による特徴領域であるか否かの判定結果と、鑑別データ21aとを対比する。例えば、領域別判定部18から、特徴領域の判定結果として、各領域の血流の増減傾向(増加、減少、変化なし)を取得すると、そのパターンと鑑別データ21aのパターンとをマッチングさせる。このマッチング結果が、次に説明する表示処理部30により表示される。このとき、特徴領域の判定結果及び鑑別データが、血流の増加または減少の程度を示すレベル分けがされているときは、マッチングの際に、そのレベルも一致させるようにしてもよい。
表示処理部30は、特徴量算出部17により算出された特徴量、領域別判定部18による特徴領域か否かの判定結果、あるいは、マッチング部19によるマッチング結果を、被験者別に表示装置3に表示させる。表示処理部30が表示させる表示態様の例を図6に示す。
例えば、表示処理部30は、図6Aに示すような表示画面300をマッチング結果として表示させてもよい。図6Aの表示画面300は、ある被験者について、鑑別データのパターン310を含み、このパターン310に、領域別判定部18による判定結果320を重ねて表示している。つまり、パターン310上で、領域別判定部18による判定結果320に対応する部分を太枠で表現している。これにより、被験者ごとに、特徴領域と鑑別データとのマッチングの度合いを把握できる。なお、図中において符号320は1カ所のみ示している。
また、表示処理部30は、図6Bに示すような表示画面400により、特徴量算出部17により算出された特徴量、または領域別判定部18による特徴領域か否かの判定結果を表示してもよい。すなわち、図6Bの表示画面400は、領域別の特徴量をグラフ表示したものである。
さらには、表示処理部30は、断層画像及び脳表表示のいずれか一方または両方において、血流が増加及び減少している特徴領域の分布を表示してもよい。そのときに、血流が増加している特徴領域は暖色系の色で表示し、減少している特徴領域は寒色系の色で表示してもよい。
次に、図7に示すフローチャートに従って、本システムの処理手順を説明する。
まず、本システムは、SPECT断層画像撮影装置5から被験者データを取得し、被験者データ記憶部11に格納する(S11)。
つぎに、正規化処理部13が被験者データ記憶部11に記憶されている被験者データを正規化する(S12)。
そして、正規化された被験者データと、健常者データ記憶部12に予め格納されている健常者データとを用いて、Z値算出部14がZ値を算出する(S13)。
被験者データの全画像についてZ値が算出されると、特徴部位抽出部15は、抽出条件テーブル16に従って、Z値が所定の閾値以上(または以下)である特徴部位を抽出する(S14)。ここで抽出される特徴部位は、例えば、相対的増加部位及び相対的減少部位である。
特徴量算出部17は、領域データ記憶部20に記憶されている領域データ、及び特徴部位抽出部15により抽出された特徴部位のZ値に基づいて、特徴量を算出する(S15)。ここでは、一種類以上の特徴量が算出される。
領域別判定部18は、特徴量算出部17により算出された一種類以上の特徴量に基づいて、各領域が特徴を有する特徴領域であるか否かを判定する(S16)。例えば、各領域が、血流の増加傾向を有する領域であるか、減少傾向を有する領域であるか、あるいは、血流の増減については特徴を有しない領域であるかが判定される。
最後に、表示処理部30は、上記の処理により求められた特徴量あるいは特徴領域が表示装置3に表示する(S17)。
これにより、被験者と健常者のSPECT断層画像を用いて、被験者の鑑別診断の支援をすることができる。
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
例えば、本実施形態では、SPECTによる断層画像を用いて特徴領域を抽出し、これに基づいて診断支援を行っているが、SPECT以外にもPET、X線CT、MRIによる断層画像を用いることもできる。ここで、SPECT及びPET画像の場合、血流を示すボクセル値の他、例えばレセプターへの集積増減を示す集積値を用いてもよい。さらに、CT画像の場合はCT値、MRI画像の場合はT1値、T2値(緩和時間)を用いてもよい。
また、上述の実施形態では、被験者データが比較されるデータは健常者データであるが、これ以外にも、例えば、特定の疾患の多数の患者データの平均値と被験者データを比較するようにしてもよい。例えば、比較対象データとして初期のアルツハイマー患者の患者データを用いた場合、被験者データから初期のアルツハイマー患者に対して特徴的な領域が抽出される。そして、後期アルツハイマーの疾患別分割領域データを用いて上記の評価をすれば、アルツハイマーの進行度を判定することができる。さらには、ある疾患(例えば前頭葉型アルツハイマー)の多数の患者データの平均値とその疾患の被験者データとを比較して特徴領域を抽出し、別の疾患(例えば鬱病)の領域データを用いて特徴領域の広がりを評価した場合、別の疾患を併発している被験者とそうでない被験者とを鑑別することもできる。
本発明の一実施形態にかかる画像診断支援システム1の全体構成図である。 健常者データ及び標準偏差データのデータ構造の一例を示す。 領域データ記憶部20に記憶されている領域データの一例を示す。 断層画像におけるZ値の分布例を示す。 鑑別データ記憶部21に記憶されている鑑別データのデータ構造の一例を示す。 表示処理部30が表示させる表示態様の一例を示す。 本システムにおける処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 画像診断支援システム
2 入力装置
3 表示装置
5 断層画像撮影装置
10 画像診断支援システム本体
11 被験者データ記憶部
12 健常者データ記憶部
13 正規化処理部
14 Z値算出部
15 特徴部位抽出部
16 抽出条件テーブル
17 特徴量算出部
18 領域別判定部
19 マッチング部
20 領域データ記憶部
21 鑑別データ記憶部
30 表示処理部

Claims (13)

  1. 被験者及び特定グループに属する者の断層画像を対比して診断の支援を行うシステムであって、
    所定部位について、被験者の断層画像の画像データと、特定グループに属する者の断層画像の画像データとを記憶する画像データ記憶手段と、
    前記所定部位の断層画像内の複数の領域を示す領域データを記憶する領域データ記憶手段と、
    前記被験者の断層画像の画像データと、前記特定グループに属する者の断層画像の画像データと比較し、前記比較に基づく指標を算出し、第1閾値と前記第1閾値より小さい第2閾値とを用いて、前記指標が前記第1閾値を超える第1部位と、前記指標が前記第2閾値を下回る第2部位とを特徴部位として抽出し、前記特徴部位の分布状態に基づいて前記特徴部位の特徴量を算出し、前記複数の領域のそれぞれに含まれる特徴部位の特徴量に基づいて、前記複数の領域のそれぞれが予め定められた複数の種類の何れであるかを判定する判定手段と、
    一つ以上の疾患について、疾患別に前記複数の領域のそれぞれが前記複数の種類の何れであるかを定めた疾患別の鑑別データを記憶する鑑別データ記憶手段と、
    前記複数の領域のそれぞれについて、前記鑑別データに定められた種類と、前記判定された種類とを比較して、その比較結果を出力する出力手段と、を備え
    前記複数の種類は、前記指標が正の傾向を有する第1領域と、前記指標が負の傾向を有する第2領域と、前記指標が正の傾向及び負の傾向の何れも有しない第3領域とを含む、
    画像診断支援システム。
  2. 前記指標は、前記特定グループに属する者の断層画像の画像データにおける血流に対する前記被験者の断層画像の画像データにおける血流の増加または減少を示す求項記載の画像診断支援システム。
  3. 前記指標は、前記被験者の断層画像の画像データ及び前記特定グループに属する者の断層画像の画像データに基づZ値である請求項記載の画像診断支援システム。
  4. 前記判定手段は、Z値が前記第1閾値を超える相対的増加部位と、Z値が前記第2閾値を下回る相対的減少部位を特定し、各特徴部位における特徴量を、
    特徴量(1a)=相対的増加部位のZ値の総和/相対的増加部位の面積
    特徴量(1b)=相対的減少部位のZ値の総和/相対的減少部位の面積
    により算出する請求項記載の画像診断支援システム。
  5. 前記判定手段は、Z値が前記第1閾値を超える相対的増加部位と、Z値が前記第2閾値を下回る相対的減少部位を特定し、各特徴部位における特徴量を、
    特徴量(2a)=(相対的増加部位の面積/領域全体の面積)×100(%)
    特徴量(2b)=(相対的減少部位の面積/領域全体の面積)×100(%)
    により算出する請求項記載の画像診断支援システム。
  6. 前記判定手段は、Z値が前記第1閾値を超える相対的増加部位と、Z値が前記第2閾値を下回る相対的減少部位を特定し、各特徴部位における特徴量を、
    特徴量(3a)=相対的増加部位のZ値の総和
    特徴量(3b)=相対的減少部位のZ値の総和
    により算出する請求項記載の画像診断支援システム。
  7. 前記判定手段は、Z値が前記第1閾値を超える相対的増加部位と、Z値が前記第2閾値を下回る相対的減少部位を特定し、各特徴部位における特徴量を、
    特徴量(4a)=相対的増加部位のZ値の総和/領域全体の面積
    特徴量(4b)=相対的減少部位のZ値の総和/領域全体の面積
    により算出する請求項記載の画像診断支援システム。
  8. 前記領域データ記憶手段に記憶されている領域データは、前記所定部位の断層画像に対して設定されたROI(Region Of Interest)である請求項1〜のいずれかに記載の画像診断支援システム。
  9. 前記領域データ記憶手段に記憶されている領域データは、前記所定部位を解剖学的または機能的な分類に基づいて定められたセグメントである請求項1〜のいずれかに記載の画像診断支援システム。
  10. 前記判定手段は、前記第1領域又は前記第2領域と判定された領域について、さらに、前記正の傾向又は前記負の傾向の程度を示す特徴レベルを判定し、
    前記鑑別データ記憶手段に記憶されている鑑別データは、前記第1領域又は前記第2領域については前記特徴レベルも定められている請求項1〜のいずれかに記載の画像診断支援システム。
  11. 前記被験者の断層画像及び前記特定グループに属する者の断層画像は、いずれも正規化された脳のSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)断層画像である請求項1〜1のいずれかに記載の画像診断支援システム。
  12. 所定部位について、被験者の断層画像の画像データと、特定グループに属する者の断層画像の画像データとを記憶する画像データ記憶手段と、前記所定部位の断層画像内の複数の領域を示す領域データを記憶する領域データ記憶手段とを備えた画像診断支援システムが、
    前記被験者の断層画像の画像データと、前記特定グループに属する者の断層画像の画像データと比較し、前記比較に基づく指標を算出し、第1閾値と前記第1閾値より小さい第2閾値とを用いて、前記指標が前記第1閾値を超える第1部位と、前記指標が前記第2閾値を下回る第2部位とを特徴部位として抽出し、前記特徴部位の分布状態に基づいて前記特徴部位の特徴量を算出し、前記複数の領域のそれぞれに含まれる特徴部位の特徴量に基づいて、前記複数の領域のそれぞれが予め定められた複数の種類の何れであるかを判定し、
    一つ以上の疾患について、疾患別に前記複数の領域のそれぞれが前記複数の種類の何れであるかを定めた疾患別の鑑別データを用い、前記複数の領域のそれぞれについて、前記鑑別データに定められた種類と、前記判定された種類とを比較して、その比較結果を出力することを備え、
    前記複数の種類は、前記指標が正の傾向を有する第1領域と、前記指標が負の傾向を有する第2領域と、前記指標が正の傾向及び負の傾向の何れも有しない第3領域とを含む、
    画像による診断の支援方法。
  13. 請求項1〜1に記載の画像診断支援システムをコンピュータで実現するためのコンピュータプログラム。
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