JP5171668B2 - 基板の位置ずれを補正する方法 - Google Patents

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本発明は、エバネッセント光を利用して蛍光観察を行う装置に関する。
DNAやタンパク質などの生体物質を観察する際、蛍光色素で標識を行い、レーザなどの励起光を照射し、発生する蛍光を観察する方法が一般的である。近年では1分子レベルの蛍光測定を可能とする技術として、エバネッセント光を利用した観察方法がある(非特許文献1)。屈折率が高い媒質から低い媒質に向けて一定以上の角度をもった光が入るときに、低い屈折率の媒質に入射光が伝播せず全反射が生じる。このとき、境界面の低屈折率媒質側表面に、僅かに光が染み出す現象が生じる。この染み出し光をエバネッセント光と呼ぶ。エバネッセント光の強度は屈折率境界平面から離れるに従って指数関数的に減衰し、屈折率境界平面から150nm程度の距離で励起光強度が1/eとなる。このため、観察試料を境界面に固定することにより、励起光を境界面近傍の試料のみに照射することが可能となり、遊離蛍光体や水のラマン散乱などに由来する背景光を抑制し、高コントラストな像を得ることができる。
さらに、前述の1分子蛍光検出の技術を利用したDNAシーケンシングが提案されている(非特許文献2)。分析すべき試料DNA断片を基板表面にランダムに1分子ずつ捕捉し、ほぼ1塩基ずつ伸長させて、前述のエバネッセント光を利用した蛍光検出によって測定する。この測定結果から塩基配列を決定する。具体的には、ビオチン−アビジンのタンパク質結合を利用して、屈折率境界平面上の溶液層側に単一のターゲットDNA分子を固定化する。そして、DNAポリメラーゼの基質として鋳型DNAに取り込まれてDNA鎖伸長反応を保護基の存在により停止することができ、かつ検出され得る標識を持つ4種のdNTPの誘導体(MdNTP)を用いてDNAポリメラーゼ反応を行う工程、次いで取り込まれたMdNTPを蛍光などで検出する工程、及びMdNTPを伸長可能な状態に戻す工程を1サイクルとし、これを繰り返すことにより試料DNAの塩基配列を決定する。
尚、フォーカスを補正するための、いわゆるオートフォーカス機能は今日では様々な装置に利用されている。例えば特許文献1記載の顕微鏡は、オートフォーカス機能を搭載している。
特開2002−341234号公報
Nature 1995, Vol. 374, pp. 555-559. PNAS 2003, Vol. 100, pp. 3960-3964.
本願発明者が、エバネッセント光を利用して蛍光観察を行う装置について鋭意検討した結果、次のような知見を得るに至った。
エバネッセント光照射は、バックグラウンドが低く微弱な信号を観察可能というメリットがある反面、ピント調整を厳密に行わなければならないというデメリットがある。単分子観察に使用するレンズは、一般的に高倍率,高NAである。そのため、焦点深度が浅く、僅かな基板の厚みの変化によってピントがずれる。観察者は、視野を移動するごとにフォーカスのずれが生じていないか確認し、必要に応じて補正する必要がある。
しかしながら、特許文献1に代表されるオートフォーカスは、単分子蛍光観察には不十分である。エバネッセント照射による蛍光観察においては、基板の傾きも観察結果に影響する。基板表面の傾きによって励起光の入射角が変化し、エバネッセント光の強度分布が変化するためである。基板表面は一見平滑であるが、局所的に凹凸が存在するため、照射領域ごとに入射角が変化し、その結果、励起光強度が一定せず、観察結果にばらつきが生じる。安定した結果を得るためには、サンプル面と対物レンズの相対的な位置関係を一定に(望ましくは平行に)保つことが必要となる。つまり、単分子蛍光観察を行う場合、基板Z軸方向に加えて、傾きについても調整が必要である。
本発明の目的は、操作性が良く、感度が高く、かつ信頼性の高い蛍光観察手法及び装置を提供することにある。
本発明は、エバネッセント光を利用して蛍光観察を行うための観察基板に対して特定波長の光を照射し、それによって生じた蛍光や散乱光の観察によってフォーカスを調整し、照射した光の座標を求め、その結果をもとに基板の傾きを調整することに関する。
本発明によれば、エバネッセント光を利用して蛍光観察において、マニュアルでの調整操作が不要となる。観察基板を一定角度に保つことも可能となり、励起光の入射角が一定となるため、観察視野間においてエバネッセント光の染み出し深さは変化せず、蛍光観察の安定性や信頼性が向上する。また、エバネッセント光の照射領域を常に視野の中心に存在させることが可能となり、観察ロスの心配が無くなるため、スループットを向上させることもできる。
実施例1における装置の説明図。 実施例1における反応基板の説明図。 実施例1における観察のフロー図。 実施例2における装置の説明図。 実施例3における装置の説明図。 実施例3における観察のフロー図。 実施例4における装置の説明図。 実施例4における観察のフロー図。
実施例は、エバネッセント光を利用して蛍光観察を行う装置において、ステージの移動に伴って生じる観察基板のZ軸方向の変化や傾きを検知・補正し、視野ごとの観察条件を一定に保つ方法に関する。この方法は、観察基板に対して特定の波長の光を照射し、それによって生じた蛍光または散乱光観察によってフォーカスを調整する工程と、照射した光の座標を求め、その結果をもとに基板の傾きを調整する工程とを含む。
また、実施例では、基板表面に調整用の光を照射し、蛍光と反射光を検出することにより、観察視野間の条件のばらつきを補正する。この方法では、観察視野に調整用の光を照射する工程と、その結果生じる蛍光を検出する工程と、検出結果をもとにフォーカスを調整する工程と、反射した調整用の光を検出する工程と、検出結果をもとに基板の傾きを補正する工程とを含む。
また、実施例では、基板表面に調整用の光を照射し、散乱光と反射光を検出することにより、観察視野間の条件のばらつきを補正する。この方法では、観察視野に調整用の光を照射する工程と、その結果生じる散乱光を検出する工程と、検出結果をもとにフォーカスを調整する工程と、反射した励起光を検出する工程と、検出結果をもとに基板の傾きを補正する工程とを含む。
また、実施例では、基板表面に調整用の光を照射し、散乱光と、照射スポットの形状を解析することにより、観察視野間の条件のばらつきを補正する。この方法では、観察視野に励起光を照射する工程と、その結果生じる散乱光を検出する工程と、検出結果をもとにフォーカスを調整する工程と、照射した調整用の光の照射スポット形状を検出する工程と、検出結果からスポットのアスペクト比を算出する工程と、算出した結果をもとに基板の傾きを補正する工程とを含む。
尚、実施例では、表面に測定試料が配置された基板と、基板を照射する光源と、基板から生じる発光を検出する検出器と、基板の位置を調整する駆動機構と、検出結果に基づいて装置内における基板の相対的な位置を解析し、駆動機構を制御する演算装置と、を有する全反射蛍光観察装置を開示する。
また、実施例では、エバネッセント光を利用した蛍光観察装置において、ステージ移動に伴う基板の位置ずれを補正する方法であって、基板表面に調整用の光を照射し、照射によって生じる蛍光を少なくとも1つの光センサで検知し、基板表面で反射した調整用の光を少なくとも1つの光センサで検知し、検知結果に基づいて装置内における基板の相対的な位置を演算装置により解析し、解析結果に基づいて基板の位置を調整する方法を開示する。
また、実施例では、エバネッセント光を利用して蛍光観察装置において、ステージ移動に伴う基板の位置ずれを補正する方法であって、基板表面に調整用の光を照射し、照射によって生じる蛍光を少なくとも1つの光センサで検知し、基板表面に生じた照射スポットの形状からアスペクト比を演算装置により算出し、検知結果及びアスペクト比に基づいて装置内における基板の相対的な位置を演算装置により解析し、解析結果に基づいて基板の位置を調整する方法を開示する。
また、実施例では、前記基板が、光を透過する部材で形成されていることを開示する。
また、実施例では、前記測定試料が、基板の表面に存在する構造体上に存在することを開示する。
また、実施例では、前記構造体が、金属元素、又は化合物からなる微粒子、若しくは突起物であり、測定試料が、当該構造体の表面に存在することを開示する。
また、実施例では、前記構造体が、基板の表面の金属薄膜に設けられた微細孔であり、測定試料が、微細孔の内部に存在することを開示する。
また、実施例では、前記発光の波長が、励起光の波長より大きいことを開示する。
また、実施例では、前記駆動機構が、基板を保持するステージに設けられていることを開示する。
また、実施例では、前記駆動機構が、ステージの高さ方向と、XY軸に対する回転方向の調整を行うことを開示する。
以下、上記及びその他の新規な特徴と効果について図面を用いて説明する。図面は専ら発明の理解に用いるものであり、権利範囲を減縮するものではない。また、各実施例は適宜組み合わせることができる。
図1は、本実施例における、調整機能を有するDNA塩基配列解析装置の構成図を示す。装置は倒立型の顕微鏡様の構成であり、反応基板1に捕捉される蛍光分子を蛍光検出により測定する。なお、正立型の装置構成にすることも可能である。また、単分子蛍光検出法に基づく場合、測定はHEPAフィルタを介したクリーンルーム様の環境にて行う。
励起用のレーザ装置2からのレーザ光2aは、λ/4波長板3を通過して円偏光となり、レンズ4,偏向素子5を介してプリズム6に入射され、反応基板1の裏側から照射される。プリズム6と反応基板1はマッチングオイルを介して接触させており、レーザ光2aはその界面で反射することなく、反応基板1に入射する。プリズムとマッチングオイル,反応基板の材質は、光の反射損を考慮して同等の屈折率であることが望ましい。材質は、例えばプリズムと反応基板は合成石英で、マッチングオイルは無蛍光グリセリンである。レーザ光2aは、反応基板1の表面で全反射し、エバネッセント光を発生させる。このときの入射角θは、反応基板1の屈折率と、基板表面に存在する媒質の屈折率から以下の式によって求められる。例えば、反応基板1が合成石英で、媒質が水であった場合、入射角θは約66度となる。
(式) θ=arcsin(n2/n1)
n1:基板の屈折率、n2:媒質の屈折率、n1>n2
反応基板1は、透過型のXY自動ステージ7に固定される。ステージ7には反応基板1の高さを調整するためのZ軸駆動機構8と、傾きを調整するためのα・β軸駆動機構9が備え付けられている。α・β軸駆動機構9の回転中心でエバネッセント光が発生するように、レーザ光2aを入射させる。反応基板1上での発光10は、対物レンズ11で集められ、フィルタユニット12で波長成分が選択され、結像レンズ13を介して2次元センサカメラ14で検出される。フィルタユニット12には、検出する波長に対応したフィルタが複数保持されている。例えば、4種の蛍光色素が付加されたdNTPを観察する場合は、該当する4種の蛍光体用のフィルタをフィルタユニット12で切り替えて蛍光像を検出する。2次元センサカメラ14は、例えば、画素サイズが16×16μmで、画素数512×512画素のEM−CCDカメラである。その他一般的な冷却CCDカメラの他、C−MOSエリアセンサなどの各種撮像カメラなどを使うことができる。2次元センサカメラ14は冷却型が望ましく、−20℃程度以下にすることにより、センサの持つダークノイズを低減でき、測定の精度を高めることができる。尚、XYステージ7の回転中心が観察視野の中心となるよう、各構成部品は設置されている。
調整用光源18は、観察用の光源であるレーザ装置2とは反対側から反応基板1表面に照射される。調整用光源18は、照射によって測定試料が消光しないよう、レーザ装置2とは別の波長であることが望ましい。調整用光源18は、例えば、波長694nmのLDが使用できる。LD光16はハーフミラー17を介して反応基板1に照射される。反応基板1の表面で反射した光はハーフミラー17を通過し、2次元センサカメラ14に到達する。このとき、LD光16が反応基板1に入射する光軸は、XYステージ7中心と2次元センサカメラ14の中心を結ぶ直線に同軸であるため、LD光16は観察視野の中心に照射される。
各種試薬やバッファーは、試薬保管ユニット15に保管され、分注ユニット31を介し、送液チューブ32を通じて反応基板1に送られる。反応後の試薬は、廃液チューブ33を通じて廃液容器19に溜まる。分注ユニット31は、Z軸駆動機構8,α・β軸駆動機構9,フィルタユニット12,2次元センサカメラ14とともに制御PC20によってその動作が制御されている。取り込まれた観察データはモニタ21で確認できる。
図2は、反応基板1の表面を拡大したものである。反応基板1は、透明部材22と構造体23で構成される。透明部材22は、例えば、合成石英などが使用できる。構造体23は、例えば、Auなどである。構造体23の表面には測定試料24が固定されている。固定は、例えば、測定試料24の末端がチオール化されており、構造体23との間でAu−SH共有結合を介して行われている。構造体23は、透明部材22上にランダムに配置されていても構わないが、観察時の効率を考慮し、規則的に配置されていることが望ましい。透明部材22の構造体23以外の領域については、例えば、観察時に背景光を遮蔽するための金属薄膜などを配置しても構わない。
図3は、本実施例における蛍光観察のフロー図である。具体的な方法は、以下の手順に従って行う。反応基板1をXYステージ7に固定したのち、ハーフミラー17を介して調整用のLD光16を反応基板1表面の第一の視野に照射する。照射強度は、例えば1mW/mm2である。LD光16で照射された反応基板1表面の構造体23は蛍光を発する。この蛍光を、調整用のバンドパスフィルタを装着した状態で2次元センサカメラ14により検出し、得られた蛍光像をもとにZ軸駆動機構8を動作させてフォーカスを調整する。調整の方法は、既知のオートフォーカス技術を用いる。例えば、画像処理方式や位相差検出方式が使用できる。次に、LD光16の反射光のスポット位置を解析する。調整用のバンドパスフィルタを外し、LD反射光のスポット強度をX軸方向,Y軸方向にプロットして中心座標を算出する。反応基板1に対しLD光16が垂直に入射していた場合、LD反射光は2次元センサカメラ14の中心に位置するはずであるが、反応基板1に傾きがあった場合、LD光16は垂直に入射せず、2次元センサカメラ14の中心からずれた位置で検出される。LD反射光のスポットが2次元センサカメラ14の中心からずれていた場合、XYステージ7に取り付けられたα・β軸駆動機構9を調整し、LD反射光のスポット中心が2次元センサカメラ14の中心となるよう、反応基板1の傾きを調整する。調整後、LD光16の照射を終了し、ハーフミラー17を取り外す。観察用バンドパスフィルタを装着し、レーザ光2aの照射を開始する。観察視野中心で全反射したレーザ光2aによって、反応基板1表面にエバネッセント光が生じる。エバネッセント光によって励起された測定試料24の蛍光を2次元センサカメラ14で検出する。第一の視野の観察終了後、レーザ照射を終了し、必要であればXYステージ7を移動させ第二の視野の観察に移る。第二の視野へ移動後は、再び第一の視野観察時と同様の操作を行う。以上の操作を繰り返し、反応基板の全観察視野を観察する。
具体的な配列解析方法は以下の手順に従って行う。測定サンプルである一本鎖核酸を、反応基板1上の構造体23に固定されたプライマにハイブリダイズさせる。反応は、例えば、60℃・10分間で行う。プライマの配列は、前記一本鎖核酸と少なくとも一部が相補的であればよい。なお、プライマの塩基長は、ハイブリダイゼーション効率を鑑みて10以上であることが望ましい。
次に、標識されたdATP,dTTP,dCTP,dGTPを逐次添加しながら塩基伸長反応を行い、プライマ下流の塩基配列を解読する。例えば、まずCy3−dATP及び、DNAポリメラーゼを含む反応溶液(20nM Cy3−dATP、0.1U/μL TaqDNAポリメラーゼ、10mM Tris−HCl pH7.8、2mM MgCl2)を、反応基板1上のフラグメントと5分間反応させる。次に、洗浄バッファー(10mM Tris−HCl pH7.8、2mM MgCl2)によって、未反応のCy3−dATPを除去する。各種試薬やバッファーは試薬保管ユニット15に保管される。試薬保管ユニット15には、試料液容器15a,4種の標識dNTP溶液容器15b,15c,15d,15e,dNTP mixture溶液容器15f,ポリメラーゼ溶液容器15g,洗浄バッファー容器15hなどが用意される。
波長532nmのYAGレーザを励起光として照射し、Cy3−dATPの取り込みが行われたフラグメントから蛍光を発生させる。なお、Cy3分子から発生する蛍光は強い励起光の照射で消光するため、観察時にはより低い励起光強度で観察を行うことが望ましい。励起光強度は、例えば、1000mW/mm2である。消光を抑制する手段としては、脱酸素剤の添加も有効である。これはCy3分子の消光が、溶液中の溶存酸素との反応に起因するためである。脱酸素剤は、例えば、ペルオキシダーゼやスーパーオキシドディスムターゼなどが使用できる。蛍光観察データをもとにCy3−dATPの取り込みが行われたフラグメントの位置を特定し、配列を決定する。Cy3蛍光を観察後、強い励起光を照射するなどして、既に取り込まれたCy3−dATP由来の蛍光が次工程で生じないようにする。以上の一連の反応工程をdATP,dTTP,dCTP,dGTPの順に行う。この操作を80サイクル行うことにより、各フラグメントの固相側のおよそ20〜30塩基が解読できる。本実施例では蛍光色素としてCy3を、励起光源として波長532nmのYAGレーザを用いているが、標識分子や光源の組み合わせはこれに限るものではない。
また、本実施例では1種類の蛍光色素を用い、逐次反応による塩基配列解読を行っているが、別の方式を用いても構わない。例えば、4種類のdNTPの3′−OH基に対し、ニトロベンジル基を介して異なる4種類の蛍光色素を結合させた標識dNTPを用いる場合、本実施例のようにdNTPを1種類ずつ反応させなくても良い。すなわち、3′−OH基の蛍光色素が保護基となり、取り込みが行われた段階でその後の伸長反応が進まなくなる。このことを利用して、塩基配列の解読を行う。例えば、4種類の蛍光標識dNTP及び、DNAポリメラーゼを含む反応溶液(20nM 蛍光標識dNTP mixture、0.1U/μL TaqDNAポリメラーゼ、10mM Tris−HCl pH7.8、2mM MgCl2)を、反応基板1上のフラグメントと5分間反応させる。次に、洗浄バッファー(10mM Tris−HCl pH7.8、2mM MgCl2)によって、未反応の蛍光標識dNTPを除去する。励起光を照射し前記4種類の蛍光を観察し、各蛍光標識dNTPの取り込みが行われたフラグメントを特定し、配列を決定する。4種類の蛍光色素としては、例えば、Cy3,Cy5,Cy5.5,Alexa fluor(登録商標)488を用いることができる。蛍光のクロスコンタミネーションを防ぐため、なるべく蛍光波長帯が離れているものを選択することが好ましい。励起光は、それぞれの蛍光色素の波長特性に適した励起光源を用いるか、バンドパスフィルタなどを用いて多波長光から目的の波長成分を分離して用いる。蛍光も同様に、それぞれの蛍光色素の波長特性に適したバンドパスフィルタなどを用いて、目的の波長成分を分離して蛍光観察を行う。観察後、化学的又は物理的手段によって蛍光色素を切り離し、直前に取り込まれた蛍光標識dNTPの3′−OH基を解放する。切り離す手段は、例えば、波長360nm以下のUV照射などである。切り離した蛍光色素を洗浄バッファーにより除去する。以上の一連の操作を複数回行うことにより、塩基配列の解読が可能である。
以上の操作により、エバネッセント光を利用して蛍光観察を行う装置について、ステージ移動に伴って生じる対物レンズのピントおよび反応基板の水平のずれを自動的に補正し、調整する。
本実施例によれば、マニュアルでの調整操作が不要となり、従来法と比較して操作性が向上する。また、反応基板を常に水平に保つことが可能となるため、励起光の入射角は一定となることからエバネッセント光の染み出し深さは一定となり、従来法と比較して安定性,信頼性が向上する。さらに、エバネッセント光の照射領域を常に視野の中心に存在させることが可能となるため、ロスが無く、従来法と比較してスループットが向上する。
実施例1では励起用光源とは別に調整用光源を用意しているが、これらを同一の光源とすることも可能である。具体的には、多波長成分を有する光源から励起用,調整用の波長成分を抽出することにより、実施例1同様の効果を得るものである。図4に本実施例の装置構成を示す。光源25から出射された光は、ダイクロイックミラー26で波長分離される。光源は25、例えばキセノンランプなどである。分離後の波長成分はブロードであるため、バンドパスフィルタ27,28などによって単一の波長成分とする。ミラーなどの光学素子29によって反応基板表面に照射する。そして、実施例1同様の手順によって調整や観察を行う。
実施例1では調整用光源と励起用光源の波長が異なるが、同一波長の光源を使用することも可能である。具体的には、反応基板で反射したレーザ光をセンサで検知し、その反射光のスポット位置を一定に保つよう調整することにより、ステージ移動に伴って生じる基板のZ軸方向の変化や傾きを検知・補正し、サンプル面と対物レンズの相対的な位置関係を一定に保つ。
図5に本実施例の装置構成を示す。図6は本実施例における蛍光観察のフロー図である。具体的な方法は以下の手順に従って行う。反応基板1をXYステージ7に固定したのち、照射強度を弱めた状態でレーザ光2aを第一の視野に照射する。蛍光測定用のバンドパスフィルタを外した状態で、反応基板1表面の構造体23を散乱光で観察する。得られた散乱光像をもとにZ軸駆動機構8を駆動させ、フォーカスを調整する。調整の方法は、既知のオートフォーカス技術を用いる。例えば、画像処理方式や位相差検出法式が使用できる。例えば、反応基板1が合成石英で、媒質が水であった場合、入射角θは約66度となる。照射強度は、反応基板1表面の測定試料24が消光しない程度に弱い強度である必要がある。照射強度は、例えば、1mW/mm2である。次に、観察視野内におけるエバネッセント光のスポット位置を解析する。エバネッセント光のスポット強度をX軸方向,Y軸方向にプロットして中心座標を算出する。中心座標が観察視野の中心となるよう、偏向素子5を用いてエバネッセント光の照射位置を調整する。反射光のスポット位置を光センサ30で検知し、その位置情報を初期状態として記憶する。調整終了後、蛍光観察を行う。蛍光観察用のバンドパスフィルタを装着し、通常の照射強度でレーザ光2aを照射する。照射強度は例えば1000mW/mm2である。反応基板1表面に生じたエバネッセント光によって励起された測定試料24の蛍光を2次元センサカメラ14で検出する。第一の視野の観察終了後、レーザ照射を終了し、必要であればXYステージ7を移動させ第二の視野の観察に移る。第二の視野へ移動後は、第一の視野同様、再び弱いレーザ光によるZ軸調整を行う。その後反射光のスポット位置を光センサ30で検知し、初期状態と比較する。比較の結果ずれが生じていた場合、α・β軸駆動機構9を調整して補正する。調整終了後、第一の視野観察の手順と同様に蛍光観察を行う。以上の操作を繰り返し、反応基板の全観察視野を観察する。
本実施例では各種調整を観察視野で行っているが、例えば、観察視野に隣接する領域で調整を行うことにより、調整に伴う測定試料の消光の恐れを排除できる。
実施例3では反射光を検出することよって基板の傾きを補正しているが、反射光を用いることなく補正することが可能である。具体的には、エバネッセント光のスポットのアスペクト比をもとに、基板の傾きを補正する。
図7に本実施例の装置構成を示す。図8は本実施例の蛍光観察のフロー図である。具体的な方法は以下の手順に従って行う。反応基板1をXYステージ7に固定したのち、照射強度を弱めた状態でレーザ光2aを第一の視野に照射する。蛍光測定用のバンドパスフィルタを外した状態で、反応基板1表面の構造体23を散乱光で観察する。得られた散乱光像をもとにZ軸駆動機構8を駆動させ、フォーカスを調整する。調整の方法は、既知のオートフォーカス技術を用いる。例えば、画像処理方式や位相差検出法式が使用できる。例えば、反応基板1が合成石英で、媒質が水であった場合、入射角θは約66度となる。照射強度は、反応基板1表面の測定試料24が消光しない程度に弱い強度である必要がある。照射強度は、例えば、1mW/mm2である。次に、観察視野内におけるエバネッセント光のスポット位置を解析する。エバネッセント光のスポット強度をX軸方向,Y軸方向にプロットして中心座標を算出する。中心座標が観察視野の中心となるよう、偏向素子5を用いてエバネッセント光の照射位置を調整する。エバネッセント照射領域の形状はレーザ光2aのビーム形状に依存するため、円形または楕円形となる。前述の中心座標算出の際に用いた強度プロットから、エバネッセント光照射領域のアスペクト比を求め、その情報を初期状態として記憶する。調整終了後、蛍光観察を行う。蛍光観察用のバンドパスフィルタを装着し、通常の照射強度でレーザ光2aを照射する。照射強度は、例えば、1000mW/mm2である。反応基板1の表面に生じたエバネッセント光によって励起された測定試料24の蛍光を2次元センサカメラ14により検出する。第一の視野の観察終了後、レーザ照射を終了し、必要であればXYステージ7を移動させ第二の視野の観察に移る。第二の視野へ移動後は、第一の視野同様、再び弱いレーザ光によるZ軸調整を行う。その後、エバネッセント光照射領域のアスペクト比を算出し、初期状態と比較する。比較の結果ずれが生じていた場合、α・β軸駆動機構9を調整して補正する。調整終了後、第一の視野観察の手順と同様に蛍光観察を行う。以上の操作を繰り返し、反応基板の全観察視野を観察する。
本実施例においても実施例3同様、例えば、観察視野に隣接する領域で調整を行うことにより、調整に伴う測定試料の消光の恐れを排除できる。
本発明は、単分子蛍光観察に有用である。したがって、生物,化学,医療などを含むライフサイエンス分野において幅広く利用可能である。
1 反応基板
2 レーザ装置
2a レーザ光
3 λ/4波長板
4 レンズ
5 偏向素子
6 プリズム
7 ステージ
8 Z軸駆動機構
9 α・β軸駆動機構
10 発光
11 対物レンズ
12 フィルタユニット
13 結像レンズ
14 2次元センサカメラ
15 試薬保管ユニット
15a 試料液容器
15b,15c,15d,15e 標識dNTP溶液容器
15f dNTP mixture溶液容器
15g ポリメラーゼ溶液容器
15h 洗浄バッファー容器
16 LD光
17 ハーフミラー
18 調整用光源(LD)
19 廃液容器
20 制御PC
21 モニタ
22 透明部材
23 構造体
24 測定試料
25 光源
26 ダイクロイックミラー
27 バンドパスフィルタ1
28 バンドパスフィルタ2
29 ミラー
30 光センサ
31 分注ユニット
32 送液チューブ
33 廃液チューブ

Claims (1)

  1. エバネッセント光を利用した蛍光観察装置において、ステージ移動に伴う基板の位置ずれを補正する方法であって、
    基板に対し、励起光を照射し、
    前記基板の表面に生じたエバネッセント光照射領域を検出し、
    前記エバネッセント光照射領域のアスペクト比を求め、
    該アスペクト比を、予め求めておいた初期状態のアスペクト比と比較し、
    両者のずれを補正するように、前記基板の傾きを調整する、方法。
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