本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フレキシブルな円筒体のストッカからのマンドレルへの移送、及び、該マンドレルからの該ストッカへの移送においても、該円筒体の折れや破損などの失敗が生じない筒状体移載搬送装置を提供することを目的とする。
本発明の筒状体移載搬送装置は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、ストッカ上に軸が鉛直になるよう載置された筒状体を、筒状体移載位置にある軸が鉛直に保たれた円柱状のマンドレル部へ移載した後、前記円柱状のマンドレル部に載置された前記筒状体を所定位置へ搬送し、その後、前記筒状体が載置された前記円柱状のマンドレル部を前記所定位置から前記筒状体移載位置に搬送し、次いで、前記円柱状のマンドレル部に載置された前記筒状体を前記ストッカ上に軸が鉛直になるよう再度移載する筒状体移載搬送装置であって、(イ)前記ストッカと筒状体移載位置での前記円柱状のマンドレル部との間の水平方向と、前記ストッカの上方及び前記円柱状のマンドレル部の上方での垂直方向と、を往復動するアーム部が設けられ、(ロ)前記筒状体の端部から内側へ滑入する鉛直に保持された円筒部と、前記円筒部が前記筒状体に滑入する際には、変形して外径が小さくなり、滑入終了後には、復元して外径が拡径する弾性部材からなる前記円筒部の側面または下端に設けられた拡縮径部と、を有する前記筒状体を保持するための円柱状のチャック部が、前記アーム部に設けられ、かつ、(ハ)気体を吹き出すマンドレル気体吹出部が、前記円柱状のマンドレルの上部側面に設けられていることを特徴とする筒状体移載搬送装置である。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の筒状体移載搬送装置において、前記拡縮径部には空間と該空間に接続された吸排気手段とが設けられ、前記空間はその壁の少なくとも一部が前記弾性部材により構成され、そして、前記吸排気手段が、前記円筒部が前記筒状体に滑入する際に該空間内部の気体を排気して前記拡縮径部の外径を小さくし、前記筒状体が前記円筒部に滑入した後には該空間内部に気体を給気して拡縮径部の外径を大きくするものであることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の筒状体移載搬送装置において、前記円柱状のチャック部が軸部材と該軸部材にはめ込まれる円筒部材とからなり、かつ、該円筒部材が交換可能となっていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の筒状体移載搬送装置において、前記円柱状のチャック部の側面に気体を吹き出す円柱状のチャック部気体吹き出し部を備えていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項5に記載の通り、請求項4に記載の筒状体移載搬送装置において、前記円柱状のチャック部気体吹き出し部が、円柱状のチャック部の側面の周方向等間隔に気体噴出孔を4つ以上備えていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項6に記載の通り、請求項4または請求項5に記載の筒状体移載搬送装置において、前記円柱状のチャック部気体吹き出し部が、複数の気体噴出孔を円柱状のチャック部の側面の周方向に配した気体噴出孔からなる列を、該円柱状のチャック部の軸方向に、2列以上備えていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項7に記載の通り、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の筒状体移載搬送装置において、前記筒状体を前記円柱状のマンドレルへ移載する際に該筒状体、前記円柱状のチャック部及び前記円柱状のマンドレルから形成される空間の内部の空気を該空間の外部へ逃がすための空気孔を前記円柱状のチャック部に備え、かつ、該空気孔と前記空間の外部とを接続する空気経路に開閉弁を備えていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項8に記載の通り、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の筒状体移載搬送装置において、前記円柱状のチャック部の下端または該下端の付近に円錐形状または円錐台形状のガイド部を備えていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項9に記載の通り、請求項8に記載の筒状体移載搬送装置において、前記ガイド部が前記円柱状のチャック部の下端に該円柱状のチャック部よりも細径の棒状部材を介して取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項10に記載の通り、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の筒状体移載搬送装置において、前記円柱状のチャック部が前記アーム部にチャック支持手段を介して取り付けられ、前記チャック支持手段が、(a)前記円柱状のチャック部と同軸の支柱部、(b)該支柱部に同軸に接合され非磁性の筐体に収納された表裏で磁極が異なる円盤形状の磁石、(c)前記円盤形状の磁石側の磁極が対向する円盤形状の磁石の面と同磁極となるように前記非磁性の筐体の前記円盤形状の磁石の前記アーム部側面に前記円盤形状の磁石と平行に配された第1の平板形状の磁石、(d)該円盤形状の磁石側の磁極が対向する円盤形状の磁石の面と同磁極となるように前記非磁性の筐体の前記円柱状のチャック部側面でかつ前記第1の平板形状の磁石とともに前記円盤形状の磁石を離間して挟む位置に配された第2の平板形状の磁石、から構成され、かつ、前記第2の平板形状の磁石と前記筐体とを連通する貫通孔に前記支柱部が挿通されていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項11に記載の通り、請求項10に記載の筒状体移載搬送装置において、気体を吹き出す貫通孔気体吹き出し部が、前記貫通孔の内側面に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項12に記載の通り、請求項11に記載の筒状体移載搬送装置において、上記貫通孔気体吹き出し部が、前記貫通孔の内側面の周方向に4つ以上の気体噴出孔を配した列を、該貫通孔の軸方向に、2列以上備えていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項13に記載の通り、請求項10ないし請求項12のいずれか1項に記載の筒状体移載搬送装置において、前記第1の平板形状の磁石及び前記第2の平板形状の磁石のどちらか一方が電磁石であることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項14に記載の通り、請求項10ないし請求項13のいずれか1項に記載の筒状体移載搬送装置において、電流の変化を計測する電流計測手段が、前記第1の平板形状の磁石及び前記第2の平板形状の磁石のどちらか一方の異なった2箇所に接続されていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項15に記載の通り、請求項10ないし請求項13のいずれか1項に記載の筒状体移載搬送装置において、前記第1の平板形状の磁石及び前記第2の平板形状の磁石のどちらか一方が、4つ以上に等しい形状の分割体に分割され、そして、電流の変化を計測する電流計測手段がそれぞれの前記分割体の異なった2箇所に接続されていることを特徴とする。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項16に記載の通り、請求項15に記載の筒状体移載搬送装置において、前記分割体が全部電磁石であり、それぞれの電磁石からなる前記分割体には、電流の変化を測定する電流計測手段と電流調整手段とが接続されており、前記電流調整手段が、前記電流計測手段により測定された電流変化とは逆向きの電流変化をそれぞれの電磁石からなる前記分割体に流れる電流に対して加えるように設定されている電源装置であることを特徴とする請求項15に記載の筒状体移載搬送装置。
また、本発明の筒状体移載搬送装置は、請求項17に記載の通り、請求項14ないし請求項16のいずれか1項に記載の筒状体移載搬送装置において、前記円柱状のマンドレルから前記筒状体を抜く直前の前記電流計測手段による電流値と、前記円柱状のマンドレルから前記筒状体を抜いている際の前記電流計測手段による電流値と、を比較して、両電流値の差が小さくなるように前記アーム部の垂直方向の移動速度を制御するアーム部垂直速度制御手段を備えていることを特徴とする。
本発明の筒状体移載搬送装置によれば、ストッカ上に軸が鉛直になるよう載置された筒状体を、筒状体移載位置にある軸が鉛直に保たれた円柱状のマンドレル部へ移載した後、前記円柱状のマンドレル部に載置された前記筒状体を所定位置へ搬送し、その後、前記筒状体が載置された前記円柱状のマンドレル部を前記所定位置から前記筒状体移載位置に搬送し、次いで、前記円柱状のマンドレル部に載置された前記筒状体を前記ストッカ上に軸が鉛直になるよう再度移載する筒状体移載搬送装置であって、前記ストッカと筒状体移載位置での前記円柱状のマンドレル部との間の水平方向と、前記ストッカの上方及び前記円柱状のマンドレル部の上方での垂直方向と、を往復動するアーム部が設けられ、前記筒状体の端部から内側へ滑入する鉛直に保持された円筒部と、前記円筒部が前記筒状体に滑入する際には、変形して外径が小さくなり、滑入終了後には、復元して外径が拡径する弾性部材からなる前記円筒部の側面または下端に設けられた拡縮径部と、を有する前記筒状体を保持するための円柱状のチャック部が、前記アーム部に設けられ、かつ、気体を吹き出すマンドレル気体吹出部が、前記円柱状のマンドレルの上部側面に設けられているために、筒状体はマンドレルに保持されるときと同様の極めて高い精度で、その軸と円柱状のチャック部の円筒部との軸が一致しかつ、これら軸が鉛直になるように保持されるので、円柱状のマンドレル部にセットされるときにも、また円柱状のマンドレル部から外されるときにも折れや過剰な力が掛かることなく確実に行うことができる上に、マンドレル気体吹出部からのエア噴出しにより、円筒体の内面とマンドレル部の側面との摩擦は極めて小さくなっているので、これら作業は迅速化されるとともに、自動化による無人化を行っても、問題なく、移載及び搬送を行うことができる。
請求項2記載の自動移載装置によれば、前記拡縮径部には空間と該空間に接続された吸排気手段とが設けられ、前記空間はその壁の少なくとも一部が前記弾性部材により構成され、そして、前記吸排気手段が、前記円筒部が前記筒状体に滑入する際に該空間内部の気体を排気して前記拡縮径部の外径を小さくし、前記筒状体が前記円筒部に滑入した後には該空間内部に気体を給気して拡縮径部の外径を大きくするものであるので、拡径によって容易に円筒体の保持が可能となると共に、縮径時に円柱状のチャック部の円筒部より小さくするようにすることが容易であり、そのとき、円筒部が保持対象の円筒体の端部から内部に挿入される挿入作業を妨げることがなく、基体端部の破損を防ぎ、品質を維持するこ
とができる。また、周方向に亘って均一な力で円筒体の保持が可能となるので、円筒体の品質を損なうおそれが未然に防止されている。
請求項3記載の自動移載装置によれば、前記円柱状のチャック部が軸部材と該軸部材にはめ込まれる円筒部材とからなり、かつ、該円筒部材が交換可能となっているために、円柱状のチャック部全体を交換する必要なしに様々な形状の円筒体に対応できるので、設備コストが低廉で済むと、同時に、異なる形状の円筒体に対応するために必要な時間が短くて済むと云う効果が得られる。
請求項4記載の自動移載装置によれば、前記円柱状のチャック部の側面に気体を吹き出す円柱状のチャック部気体吹き出し部を備えているために、円柱状のチャック部の円筒部と筒状体との間に気体による膜が形成されて円筒部が筒状体の端部から内側へ滑入する動作が容易かつ確実に行え、その結果、円筒部が筒状体の端部から内側へ滑入する際の、筒状体の磨耗や傷付きを防ぎ、品質が維持されると云う効果が得られる。
請求項5記載の自動移載装置によれば、前記円柱状のチャック部気体吹き出し部が、円柱状のチャック部の側面の周方向等間隔に気体噴出孔を4つ以上備えているために、より均一で薄い気体膜が形成されるので、上記効果を維持しながら、筒状体の内径寸法により近い外径の円筒部を用いることができるので、このような円筒部による筒状体の保持時の両者の軸の一致の精度、すなわち保持精度をより高くすることができ、マンドレルへの移載時の筒状体の破損頻度を低減させるとともに、欠陥発生を低減させて品質を安定させると云う効果が得られる。
請求項6記載の自動移載装置によれば、前記円柱状のチャック部気体吹き出し部が、複数の気体噴出孔を円柱状のチャック部の側面の周方向に配した気体噴出孔からなる列を、該円柱状のチャック部の軸方向に、2列以上備えているために、保持時の筒状体の軸方向を円柱状のチャック部の軸方向に対してより正確に矯正することができるのでより高い保持精度を得ることができる。
請求項7記載の自動移載装置によれば、前記筒状体を前記円柱状のマンドレルへ移載する際に該筒状体、前記円柱状のチャック部及び前記円柱状のマンドレルから形成される空間の内部の空気を該空間の外部へ逃がすための空気孔を前記円柱状のチャック部に備え、かつ、該空気孔と前記空間の外部とを接続する空気経路に開閉弁を備えているために、円筒体を円柱状のマンドレルに移載するときの円筒体内部の空気を逃がすことができる。一方、円筒体から円柱状のマンドレルを抜取るときは、開閉弁を閉じることにより、前記空間はマンドレル上部のマンドレル気体吹出部からのエアにより正圧に保つことができるので、筒状体のつぶれによる破損や外側面に塗装を行った筒状体の場合であっても塗装面の品質を保つことができる。
請求項8記載の自動移載装置によれば、前記円柱状のチャック部の下端または該下端の付近に円錐形状または円錐台形状のガイド部を備えているために、円筒体端部から内部へ円柱状のチャック部を挿入する際に円柱状のチャック部がこのようなガイド部によって確実に円筒体端部から内部へ挿入でき、その結果、円筒体の破損が低減すると云う効果が得られる。
請求項9記載の自動移載装置によれば、前記ガイド部が前記円柱状のチャック部の下端に該円柱状のチャック部よりも細径の棒状部材を介して取り付けられているために、円筒体の保持精度向上効果を得ながらも、円柱状のチャック部全体の重量の増加を抑制することができ、アーム部及びその動作制御の負担を大きくしないで済み、かつ、同時にコスト増大も防止することができると云う効果が得られる。
請求項10記載の自動移載装置によれば、前記円柱状のチャック部が前記アーム部にチャック支持手段を介して取り付けられ、前記チャック支持手段が、前記円柱状のチャック部と同軸の支柱部、該支柱部に同軸に接合され非磁性の筐体に収納された表裏で磁極が異なる円盤形状の磁石、前記円盤形状の磁石側の磁極が対向する円盤形状の磁石の面と同磁極となるように前記非磁性の筐体の前記円盤形状の磁石の前記アーム部側面に前記円盤形状の磁石と平行に配された第1の平板形状の磁石、該円盤形状の磁石側の磁極が対向する円盤形状の磁石の面と同磁極となるように前記非磁性の筐体の前記円柱状のチャック部側面でかつ前記第1の平板形状の磁石とともに前記円盤形状の磁石を離間して挟む位置に配された第2の平板形状の磁石、から構成され、かつ、前記第2の平板形状の磁石と前記筐体とを連通する貫通孔に前記支柱部が挿通されているため、第1の平板形状の磁石及び第2の平板形状の磁石との反発により、円盤形状の磁石に支柱部を介して接合された円柱状のチャック部の水平方向の位置自由度が高くなって、円柱状のチャック部の円筒体端部からの挿入時での、円筒体端部位置への円柱状のチャック部の位置への追従が可能となり、挿入時での円柱状のチャック部による円筒体の破損を低減させると云う効果が得られる。
請求項11記載の自動移載装置によれば、気体を吹き出す貫通孔気体吹き出し部が、前記貫通孔の内側面に設けられているために、円柱状のチャック部の円筒体内部への挿入動作、あるいは、円柱状のチャック部の円筒体からの抜去動作においても貫通孔気体吹き出し部からの気体による気体膜による潤滑によって円柱状のチャック部に接合された支柱部が低摩擦状態で滑らかに上下動するために、支柱、及び、貫通孔部分の寿命を長くすると云う効果が得られる。
請求項12記載の自動移載装置によれば、上記貫通孔気体吹き出し部が、前記貫通孔の内側面の周方向に4つ以上の気体噴出孔を配した列を、該貫通孔の軸方向に、2列以上備えているために、上記気体膜をより均一なものとすることができ、より安定した姿勢に円柱状のチャック部を維持することができ、保持された筒状体へのマンドレルの挿入時または基体へのチャック装置の挿入時の基体の破損を低減させ、品質を安定させると云う効果が得られる。
請求項13記載の自動移載装置によれば、前記第1の平板形状の磁石及び前記第2の平板形状の磁石のどちらか一方が電磁石であるために、その電磁石へ供給する電流の極性を反転させることにより、円盤形状の磁石をその平板形状の電磁石に固定することができるために、水平方向への高速搬送時であっても円柱状のチャック部に保持された筒状体を安定して保持できると云う効果が得られる。
請求項14記載の自動移載装置によれば、電流の変化を計測する電流計測手段が、前記第1の平板形状の磁石及び前記第2の平板形状の磁石のどちらか一方の異なった2箇所に接続されているために、円盤形状の磁石の平板形状の磁石に対する相対的な変位により発生する誘導電流を計測することが可能となり、円柱状のチャック部または保持時の筒状体に必要以上に負荷がかかった場合を検知できるために、そのような負荷を検知したときに装置を止めることにより筒状体の破損を未然に防ぐと云う効果が得られる。
請求項15記載の自動移載装置によれば、前記第1の平板形状の磁石及び前記第2の平板形状の磁石のどちらか一方が、4つ以上に等しい形状の分割体に分割され、そして、電流の変化を計測する電流計測手段がそれぞれの前記分割体の異なった2箇所に接続されているために、これら分割体に対する円盤形状の磁石の相対的な変位により発生する誘導電流を計測することが可能となり、円柱状のチャック部または筒状体の傾きの方向も検出できるために、筒状体にかかる局所的な負荷を特に検知しやすくなっている。そして、異常負荷を検知したときに装置を止めることにより筒状体の破損を未然に防ぐと云う効果が得られる。
請求項16記載の自動移載装置によれば、前記分割体が全部電磁石であり、それぞれの電磁石からなる前記分割体には、電流の変化を測定する電流計測手段と電流調整手段とが接続されており、前記電流調整手段が、前記電流計測手段により測定された電流変化とは逆向きの電流変化をそれぞれの電磁石からなる前記分割体に流れる電流に対して加えるように設定されている電源装置であるために、4つの各磁極での誘導電流を計測することが可能となり、円柱状のチャック部または筒状体の傾きの方向が検出でき、さらに各磁極に流す電流を制御することで筒状体にかかる負荷を逃がすことが可能となるため、筒状体が本来位置からずれた場合でも装置を止めないで作業を継続できるという効果が得られる。
請求項17記載の自動移載装置によれば、前記円柱状のマンドレルから前記筒状体を抜く直前の前記電流計測手段による電流値と、前記円柱状のマンドレルから前記筒状体を抜いている際の前記電流計測手段による電流値と、を比較して、両電流値の差が小さくなるように前記アーム部の垂直方向の移動速度を制御するアーム部垂直速度制御手段を備えているために、円柱状のマンドレルからの筒状体の抜取り時に筒状体内部の圧力が負圧にならないように筒状体の抜取り速度を制御することが可能となる。これにより筒状体が円柱状のマンドレルに触れずに抜き取れるため、例えば、塗装後の筒状体の場合、その塗装面の品質を維持しながら、抜き取ることが可能となるという効果が得られる。
以下に本発明の筒状体移載搬送装置を定着ベルトの樹脂性基体(筒状体)への塗装装置に付属する定着ベルトの自動移載搬送装置としたときの実施例について説明する。
図1は定着ベルトの自動移載搬送装置全体概要を示す外観図である。
符号1は定着ベルトの基体(筒状体)を表しており、その材質は主にポリイミド樹脂である。ただし、定着ベルトの基体は無形状であるので、ストッカ2を用いてストッカ上に軸が鉛直になるよう載置され、保持されている。符号3、4はそれぞれ移載装置の搬送アクチュエータであり、垂直及び水平の搬送を担っている。アクチュエータ3、4はアングル5で直交するように接続されており、架台6に固定され、ストッカ2と後述する筒状体移載位置での円柱状のマンドレル部との間の水平方向の往復動と、ストッカ2の上方及び円柱状のマンドレル部の上方での垂直方向の往復動と、が可能なアーム部を構成している。
アクチュエータ3にブラケット7を介して円柱状のチャック部8が設置されている。円柱状のチャック部8上部にはこの例では、筒状体1が円柱状のチャック部の円筒部10に滑入する際には変形して外径が小さくなり、滑入終了後には復元して外径が拡径する弾性部材からなる拡縮径部としてゴムワッシャ9が取り付けられており円柱状のチャック部8の胴部のスリーブ10に固定されている。ストッカ2のアーム部に対しての反対側の筒状体移載位置に筒状体1を保持する円柱状のマンドレル11が配置されている。ストッカ2及び円柱状のマンドレル11はそれぞれ搬送コンベア12及び13上にあり、ストッパ14、15によってアクチュエータ4のストローク内のそれぞれの筒状体移載位置で位置決めされている。また、円柱状のマンドレル11はこの例では中空となっており、上端付近の側面には気体を吹き出すマンドレル気体吹出部として微小穴16が周方向に均等な位置に、この例では4つで開いており、レギュレータ17を介して任意の量のエアがこの微小穴16から噴出する構造となっている。
以下にその動作について説明する。ストッカ2上に軸が鉛直になるよう載置された筒状体1は前工程より搬送コンベア12によりストッパ14の位置(筒状体移載位置)まで運ばれる。一方、搬送アクチュエータ4により円柱状のチャック部8はスリーブ10がストッカ2と同軸となる位置で停止し、垂直アクチュエータ3により円筒形の円柱状のチャック部8が筒状体1の端部からその内部に挿入される。このとき、筒状体1の内径に比べ円筒形の円柱状のチャック部8の外径は若干小さいが両者はほぼ等しいために円柱状のチャック部8は筒状体1内面をすべりながら滑入する。
その挿入の際、弾性部材であるゴムからなるゴムワッシャ9は筒状体1の内面によって押されて変形(弾性限界の変形)してその外径が小さくなり、滑入終了後には復元して外径が拡径する拡縮径部として機能し、その結果、滑入終了後にはゴムワッシャ9の弾性により筒状体1が円柱状のチャック部8に固定される。
次いで、垂直アクチュエータ3及び搬送アクチュエータ4により図1中の破線で示す位置まで移動する。
ここで、円柱状のマンドレル11はストッパ15によって円柱状のチャック部8と同軸になる位置(筒状体移載位置)で固定されているが、垂直アクチュエータ3により円柱状のマンドレル11を下降させながら筒状体1に挿入させる。
図2は挿入時の様子を示している。筒状体1は塗装時に高精度保持が求められるため、筒状体1の内径Dpと円柱状のマンドレル11の外径Dmとは円柱状のマンドレル11の外径Dmに比べ、筒状体1の内径Dpが等しいか、わずかに小さい、Dm≧Dpを満足する関係となっている。そのため、微小穴16からエアを吹き出すことによって一時的に(柔軟な)筒状体1を膨張(拡径)させることにより円柱状のマンドレル11を筒状体1へ挿入可能となる。
円柱状のチャック部8の下降終了後に、微小穴16からのエアの噴出を止めることにより、円柱状のマンドレル11側面と筒状体1の内側面とが密着してこれらの面の間に摩擦力が働くようになるために、垂直アクチュエータ3を上昇させると、円柱状のチャック部8は筒状体1から抜け(離脱し)、筒状体1は円柱状のマンドレル11側面に残る。
その後、筒状体1がセットされた円柱状のマンドレル11は搬送アクチュエータ4によって図示しない塗装装置(所定位置)へ搬送され、そこで、筒状体の外側面が塗装される。
また塗装後の筒状体1は塗装装置(所定位置)から円柱状のマンドレル11にセットされた状態で筒状体移載位置へ搬送された後、その上方から円柱状のチャック部8を下降させ、筒状体1にその上端部から挿入させる。
その挿入の際も、弾性部材であるゴムからなるゴムワッシャ9は筒状体1の内面によって押されて変形してその外径が小さくなり、滑入終了後には復元して外径が拡径するからなる拡縮径部として機能し、その結果、滑入終了後にはゴムワッシャ9の弾性により筒状体1が円柱状のチャック部8に固定される。次いで、円柱状のチャック部8を上昇させるが、この際、微小穴16からのエアの噴出を行うことで、円柱状のマンドレル11と筒状体1との摩擦は極小となるために、筒状体1は円柱状のチャック部8に保持されたまま上昇し、円柱状のマンドレル11が抜ける。
このような装置において、タイマ、各種スイッチ、位置センサ等の一般的な手段を用いることにより容易に自動化できる。
図3にその他の例(例2)を示す。この実施例における円柱状のチャック部8にはスリーブ10にリング状のゴムチューブ18(弾性部材からなる部材が壁の一部を構成する空間が構成されている)が固定されており、レギュレータ19及びバルブ20により、筒状体1が円柱状のチャック部8の円筒部に滑入する際にリング状のゴムチューブ18内部の気体を排気して拡縮径部の外径を小さくし、筒状体1が円柱状のチャック部8の円筒部の円筒部に滑入した後にはリング状のゴムチューブ18内部に気体を給気して拡縮径部の外径を大きくする吸排気手段を構成している。
このように機能する円柱状のチャック部8の内部構造の例として図4に示す。
リング状のゴムチューブ18が入れ子リング22、固定リング21及び中空スリーブ(円筒部材)10によって固定されており、固定リング21の両端は、Oリング24によって密閉されている。また、中空スリーブ10はその小内径部で芯部材23と同軸となるように位置決めされ、その大内径部のネジによりテーパ部でゴムチューブ18の上下の開放端を入れ子リング22に押しつけながら固定する。
筒状体1が円柱状のチャック部8の円筒部に滑入した後、ゴムチューブ18はその入れ子リング22側に導入されるエアにより膨張して筒状体1内面に密着してその把持を行う。導入されたエアを抜くとゴムチューブ18は弾性で収縮するために、筒状体1に触れることなく円柱状のチャック部8の抜き差しが可能となる。またゴムチューブ18は上記エアの圧を変えることにより膨張量が変わるため、この円柱状のチャック部8では、中空スリーブ10を他の径の中空スリーブに交換するだけで内径の異なる筒状体に対応可能となる。
さらに、図5(a)での断面図で示すように円柱状のチャック部8の円筒部を構成する中空スリーブ(円筒部材)10に、円柱状のチャック部の側面に気体を吹き出す円柱状のチャック部気体吹き出し部として直径1mm程度の気体噴出孔25がその側面に放射状の経路によって開口されていて、この気体噴出孔25にはレギュレータ28からバルブ27を介して芯部材23内部の流路を通りエアが供給される。芯部材23と気体噴出孔25の接面には円周溝26があるため、中空スリーブ10を芯部材23嵌めたときに気体噴出孔25と流路の位置がずれていても確実にエアが供給される(断面A−A(図5(b)参照))。
このような円柱状のチャック部8の側面に気体を吹き出す円柱状のチャック部気体吹き出し部により、円柱状のチャック部8での筒状体1の着脱の際に、気体噴出孔25からエアを噴射することによって筒状体1と中空スリーブ10との間に薄層空気膜を形成することができ、極低摩擦状態での操作が可能となり、滑入する動作が容易かつ確実に行え、その結果、円筒部が筒状体1の端部から内側へ滑入する際の、円筒部の磨耗や傷付きを防ぎ、その結果、筒状体1の保持精度が維持されると云う効果が得られる。
さらに、図6(a)及びそのA−A断面図(図6(b))で示す例では、円柱状のチャック部気体吹き出し部が、円柱状のチャック部8の側面の周方向等間隔に気体噴出孔25を4つ備えている。この例でも芯部材23と気体噴出孔25の接面には円周溝26があるため、気体噴出孔25は周方向どの位置でも均等なエア噴出が可能となっている。気体噴出孔の数は周方向4個以上であることが好ましく、例えば、4、8あるいは12個であることが好ましい。気体噴出孔25の数を増やすことにより筒状体1と中空スリーブ10との間に形成される薄層空気膜がより均等な膜となるため、上記で示した、筒状体1の円柱状のマンドレル11への着脱と同様に、筒状体1の内径をスリーブ10の外径以下とした場合に、スリーブ10と筒状体1が隙間なく接触することができ、その結果、筒状体1のスリーブ10による把持部分の形状が高精度の真円形状が得られ、このような円筒部による筒状体の保持時の両者の軸の一致の精度、すなわち保持精度をより高くすることができて、マンドレルへの移載時の筒状体1の破損頻度を低減させるとともに、欠陥発生を低減させて品質を安定させると云う効果が得られる。
さらに、図7に示すように円柱状のチャック部気体吹き出し部が、複数の気体噴出孔25を円柱状のチャック部8のスリーブ10側面の周方向に配した気体噴出孔からなる列を、円柱状のチャック部8の軸方向に2列以上備えている。
この例では、各列に対応するよう、芯部材23に複数の円周溝26が設けられ、各列ごとに周方向に均等なエアの噴出が可能となっている。このようにエアを噴射することで、中空スリーブ10の軸方向に対する筒状体1の軸方向の倒れを矯正しながら筒状体1への滑入が可能となり、より高い保持精度を得ることができる。
図8(a)及びそのA−A断面図(図8(b))に示す例では、円柱状のチャック部8の芯部材23の下方に貫通孔29が空気孔として設けられ外気との導通が可能となっており、貫通孔29にはバルブ30が接続され開閉を切り替えられる構造となっている。
このように円柱状のチャック部8に、筒状体1を円柱状のマンドレル11へ移載する際に筒状体1、円柱状のチャック部8及び円柱状のマンドレル11から形成される空間の内部の空気をその空間の外部へ逃がす空気孔として貫通孔29を備え、かつ、貫通孔29とこの空間の外部とを接続する空気経路にバルブ30を備えているために、筒状体1への円柱状のマンドレル11への挿入時はバルブ30を開とすることで円柱状のマンドレル11と筒状体1及び円柱状のチャック部8で形成される空間の空気を逃がすことができるので、一定の圧力での挿入が可能となる。一方、円柱状のマンドレル11からの抜取り時にバルブ30を閉とすることでマンドレル気体吹出部からのエアにより上記空間内は正圧となるために筒状体1は膨張する(図9参照)。このとき、円柱状のマンドレル11に筒状体1が接触しないために、図のように円柱状のマンドレル11上部に設けたテーパ形状部と側面とがなす角の部分による悪影響を筒状体1の塗膜面に与えずに筒状体1を抜き取ることが可能となる。
さらに図10で示す例では、円柱状のチャック部8の芯部材23下端に円錐台形状のガイド部31が同軸になるように取り付けられている。さらに、ガイド部31は貫通穴29と同軸となる位置に貫通穴31aが設けられていて、筒状体1、円柱状のチャック部8(及びガイド部31)及び円柱状のマンドレル11から形成される空間の内部の空気の排気の妨げにならないようになっている。このようなガイド部31によって円柱状のチャック部8を筒状体1端部に挿入(滑入)する際に、筒状体1端部がガイド31に沿うため、滑らかに挿入することができ、その結果、筒状体1やその塗膜の破損が低減すると云う効果が得られる。
さらに図11で示す例では円筒形の円柱状のチャック部8とガイド部31が金属棒32を介して同軸に取り付けられている。ガイド部31は中空スリーブ10の外径と同じ外径である。加えてガイド部31側面には筒状体1に挿入しやすいように、エアを噴出する噴射穴33を設けてあり、金属棒32内部に設けられた図示しないエア経路を介してエアが供給される。これら構成により筒状体1にガイド31を滑らかに挿入(滑入)することが可能となり、さらにガイド部31をスリーブ10から離して固定することで、円柱状のチャック部8の全長の延長を行わなくても容易に筒状体1の先端の真円を高精度化することができ、円筒体の保持精度向上効果を得ながらも、円柱状のチャック部全体の重量の増加を抑制することができるのでアーム部及びその動作制御の負担を大きくしないで済み、かつ、同時にコスト増大も防止することができると云う効果が得られる。
図12に示す例では、円柱状のチャック部8がアーム部のブラケット7にチャック支持手段を介して取り付けられ、チャック支持手段が、円柱状のチャック部8と同軸の支柱部34、支柱部34に同軸に接合され非磁性の筐体38に収納された、表裏で磁極が異なる円盤形状の磁石35、非磁性の筐体38の円盤形状の磁石35のブラケット7側面に円盤形状の磁石35と平行にかつ離間して、円盤形状の磁石35側の磁極が対向する円盤形状の磁石35の面と同磁極となるように配された第1の平板形状の磁石36、前記非磁性の筐体38の円盤形状の磁石35の円柱状のチャック部8側面であって、第1の平板形状の磁石36とともに円盤形状の磁石35を離間して挟む位置に、円盤形状の磁石35側の磁極が対向する円盤形状の磁石35の面と同磁極となるように配された第2の平板形状の磁石37、からなり、かつ、第2の平板形状の磁石37と前記筐体とを連通する貫通孔38aに支柱部34が挿通されている。
各平板形状の磁石36、37はそれぞれ円盤形状の磁石35に向いた面が、円盤形状の磁石35に対して同極であるため反発力が働く。
ここで、円盤形状の磁石35の下方に配された第2の平板形状の磁石37の磁束密度を、円柱状のチャック部8の重さによって生じる重力、及び、第1の平板形状の磁石36と円盤形状の磁石35との間の反発力の和と吊り合うようにする。これにより筒状体1に円柱状のチャック部を挿入(滑入)する際の筒状体1先端にかかる負荷を緩衝することができ、同様に筒状体1を保持して円柱状のマンドレル11が挿入される時も筒状体1下端にかかる負荷を緩衝することができるので筒状体の損傷を防ぐことができる。
また、支柱部34は貫通孔38aに対し、その軸方向、すなわち、上下に対して自由微動可能であるようにすきま嵌めとなっている。また、支柱部34の外径が貫通孔38aの内径よりも若干細くなっているので、円柱状のチャック部の円筒体端部からの挿入時での、円筒体端部位置への円柱状のチャック部の位置への追従が可能となり、挿入時での円柱状のチャック部による円筒体の破損を低減させると云う効果が得られる。
さらに、図12に示す例では、第1の平板形状の磁石36または第2の平板形状の磁石37を電磁石とすることで、その電磁石へ供給する電流の極性を反転させることにより、円盤形状の磁石35をその平板形状の電磁石に固定することができるために、水平方向への高速搬送時であっても円柱状のチャック部に保持された筒状体を安定して保持できると云う効果が得られる。
さらに図13に示す例では、貫通孔38aの内側面に気体を吹き出す貫通孔気体吹き出し部として噴射穴39とこの噴射穴39にエアを供給するレギュレータ40とを備えているために、円柱状のチャック部の円筒体内部への挿入動作、あるいは、円柱状のチャック部の円筒体からの抜去動作においても貫通孔気体吹き出し部からの気体による気体膜による潤滑によって円柱状のチャック部に接合された支柱部34が低摩擦状態で、かじることなしに滑らかに上下動するために、支柱、及び、貫通孔部分の寿命を長くすると云う効果が得られる。
また、図14に示す例では、上記の、噴射穴39が列方向に2列、周方向に4方向設けられており、それらが接続された溝41によって均一なエアの噴射が可能となっている。より安定した姿勢に円柱状のチャック部を維持することができ、保持された筒状体へのマンドレルの挿入時または基体へのチャック装置の挿入時の基体の破損を低減させ、品質を安定させると云う効果が得られる。また、円柱状のチャック部8が傾きがなく、安定して保持される。
また、図15に示す例では、上側の第1の平板形状の磁石36の異なる2箇所に微小電流計42が、この2箇所の間に流れる電流の変化を計測する電流計測手段として接続されており、円盤形状の磁石35が変位したときに生じる磁束密度の変化による誘導電流を計測することができる。また発生する誘導電流の正負によって円盤形状の磁石35の上下の変位方向も判断することができる。これにより、円柱状のマンドレル11のストッパ15への突き当て不具合による筒状体移載位置への誘導失敗時などの要因によって、筒状体1にかかる瞬間的な負荷を検知し、筒状体1での不良発生検知や、または筒状体が不良となる前に装置を停止させることができる。
但し、このとき、誘導電流の計測は円盤形状の磁石35の平均的な変位を見られるにとどまるが、図16に示すように、平板形状の磁石36または37のどちらか(この例では平板形状の磁石36)を回転対称な等しい形状(扇状)に等分割(この例では4分割)した分割体(この例では36a〜36d。各磁石は非磁性の絶縁体で区切られている)とし、それぞれの分割体36a〜36dの異なった2箇所にその2箇所の間に流れる電流の変化を計測する電流計測手段(電流計)42a〜42dを備えていると、4つの各磁極での誘導電流を計測することが可能となり、図16に示したように平板形状の磁石36(または37)を分割構造とすることによって円柱状のチャック部または筒状体の傾きの方向が検出でき、さらに各磁極に流す電流を制御することで筒状体にかかる負荷を逃がすことが可能となるため、筒状体が本来位置からずれた場合でも装置を止めないで作業を継続できるという効果が得られる。
このように、平板形状の磁石36(あるいは37)の分割はより多く分割することでより局所的な変位をとらえることが可能となる。このような構造により、筒状体1への挿入前の円柱状のチャック部8の姿勢や、円柱状のマンドレル11への挿入時の筒状体1の傾きによる重心のずれ等を検知することができ、折れなどの不良の発生を未然に防止することができる。
ここで、前記分割体が全部電磁石であり、かつ、それぞれの電磁石からなる分割体に流れる電流の変化を測定する電流計測手段と、この電流計測手段により測定された電流変化とは逆向きの電流変化を前記それぞれの電磁石からなる分割体に流れる磁力維持用の電流に対して加えるように設定された電源装置などの電流調整手段と、を備えていることにより、図17に示すように円柱状のチャック部8または筒状体1が垂直軸に対して傾いた場合、傾いた方向の磁極の電流を変化させ磁束密度を大きくすることによって局所的に反発力が高まり姿勢を矯正させることができる。これにより、常時安定した円柱状のチャック部の姿勢の維持が可能となる。
さらに、図18に示すように平板形状の磁石36が電磁石であり、その2箇所に電流計測手段として微小電流計42が接続されている。さらに微小電流計42には制御機器44が接続されており、電流計42の計測値の値に応じて垂直アクチュエータ3の速度を変化させる構成となっている。図18に示すように円柱状のマンドレル11から筒状体1を抜き取る際に、筒状体1、円柱状のマンドレル11及び円柱状のチャック部8とによって形成される空間には円柱状のマンドレル11の側面の微小穴16からエアが供給されるので、上記空間の体積増加量がそのエア供給量未満となるような速度で筒状体1を引き上げれば、筒状体1内面と円柱状のマンドレル11側面との間にエア層が形成されて、摩擦抵抗が事実上発生せずに引き上げることができ、そのとき筒状体1外側面の塗装面が損なわれることはない。しかしながら、上記空間の体積増加量がそのエア供給量未満の速度となるとエア層が充分に形成されず、引き上げ力に対して摩擦抵抗が生じる。
ここで、筒状体1からの円柱状のマンドレル11を抜き取る直前の電流計測手段による電流値と、移載、すなわち、筒状体1からの円柱状のマンドレル11抜き取り中の電流計測手段による電流値と、を比較して、両電流値の差が小さくなるように移載時の前記アーム部の垂直方向の移動速度を制御するアーム部垂直速度制御手段としてCPUなどの制御機器44を備えていることにより、この摩擦抵抗の発生を上記電流計測手段での電流変化として制御機器44で監視し、上記摩擦抵抗が生じない範囲となるよう、すなわち、円柱状のマンドレル11からの筒状体の抜取り時に筒状体内部の圧力が負圧にならないよう抜き取り速度を制御することが可能となる。このとき筒状体が円柱状のマンドレル11に触れずに抜き取れるために、例えば、塗装後の筒状体の場合、その塗装膜への悪影響を防止しながら、円柱形の円柱状のチャック部8を抜き取ることが可能となるという効果が得られる。