JP5168693B2 - 試料の高さの計測方法 - Google Patents

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この発明は、細胞など微細かつ不定形な試料について、個々の精密な高さ及び屈折率の測定が要求される計測の分野で利用されるものである。
従来から、薄片化した試料の屈折率分布を干渉計で計測することは広く知られている。例えば、図1に示すような手法である。
すなわち、試料片にレーザ光などの可干渉光を照射し、試料片を通過した可干渉光(物体光)と試料片を通過しない可干渉光(参照光)とを拡大レンズで拡大し、両可干渉光を重畳して結像させて干渉像を得、この干渉像内における計測部分と非計測部分との位相差に基づき試料片の屈折率分布を計測するものである。
上記における干渉像の位相差に基づき試料の屈折率分布を計測する原理は以下のとおりである。
図1のような干渉計で、試料計測部近傍を通過した可干渉光、すなわち物体光を対物レンズで拡大して結像し、これと試料計測部を含まない経路を通った可干渉光すなわち参照光とを像面で重ねることにより、図2のような干渉像が得られる。干渉縞の間隔dは、物体光と参照光のなす角度2θとレーザ光の波長λ0によって決まり、それらの間には
Figure 0005168693
という関係がある。上の干渉像は、試料の中央の四角の領域の厚さ(あるいは屈折率あるいはその両者)が周囲とは異なるが、それぞれの部分では均一であるときの例で、物体光と参照光は、横方向にわずかに角度をもって重ねられている。物体光と参照光に上下方向の角度ずれが有れば干渉縞が傾き、2本のレーザ光を全く同じ方向から重ねれば、中央部と周囲とはそれぞれ均一の明るさになる。
物体光部分を拡大した図を図3に示す。
厚さ、あるいは屈折率を測定したい部分は中央灰色の部分で、不定形の微小物体の場合はこれが被計測試料、周囲の白い部分は例えば液体である。被計測部分の屈折率をnb、厚さをtとし、周りの部分の屈折率をnaとする。Aを通った光すなわち参照光とBを通った光すなわち物体光を比べると、両者の差は厚さtの部分の有無だけである。照射する光の波長をλ0とし、屈折率naの部分における波長をλa、 屈折率nbの部分における波長をλbとすると、被計測部分と周囲部における照射光の波長は、屈折率の定義から
Figure 0005168693
Figure 0005168693

と表される。これより、それぞれの部分の厚さtの中に入る波の数をNa、 Nbとすると、
Figure 0005168693

Figure 0005168693

となる。従って、厚さtの部分を通過したときにA、B間に生じる波の数の差は
Figure 0005168693

と表すことができる。この波の数の差は、試料を透過した後も光路差としてそのまま残るため、A,B間の光路差は
Figure 0005168693
となる。従って、AとBの光のラジアン単位で表した位相差Δφは
Figure 0005168693

とあらわされる。これに上記数2および数4を代入すると

Figure 0005168693
となる。
前ページの干渉像を例にとると、干渉縞の強度分布は干渉縞に垂直な方向をx、干渉縞に平行な方向をyとして、一般に
Figure 0005168693

とあらわされる。C1およびC2は、物体光と参照光の振幅で決まる定数である。位相分布は、図3の参照光Aに対してはφA(x、y)、物体光Bに対してはφB(x,y)となるので、上記式(1)左辺の位相差は、
Figure 0005168693

である。この値は、干渉像の干渉縞分布から直接求めることもできるが、高精度に求める方法として物体波と参照波の相対的な位相を2π/M(M:3以上の正数)ずつずらしたM枚の干渉像から、
Figure 0005168693

という式で求める方法(位相シフト法)が知られている。ここで、Im(x,y)はm枚目の干渉像の強度分布、左辺の単位はラジアンである。左辺第1項は、2本の光が角度θ傾いて干渉したことに対応するもので、数値的に取り除くことができるため、求められたφ(x,y)から式(1)の左辺を求めることができる。すなわち、厚さtが既知であればA,B2点間の屈折率の差(nb-na)、被計側部と周辺部の屈折率が既知であれば厚さtが求められる。
この技術に関連した特許文献としては以下のものがあるが、いずれも一般的な技術水準を示すものであり、本願発明との関連性は薄い。
特開平7-218430 特開2002-107119 特開2004-150913 特開2004-61141
上記から明らかなように、計測試料の高さ(厚さ)を計測するためには、一般には計測試料の屈折率を求めることが必要であり、屈折率と高さの両者が未知の場合には、いずれか一方を別の方法で測定することが必要である。
この発明は、屈折率と高さが未知の不定型な微小試料の高さ(厚さ)を同一の装置、方法を用いて高精度で計測することを可能とすることを課題とするものである。
従来の技術においては、通常厚さの測定にはマイクロメータが利用されているが、細胞の厚さをマイクロメータで測定することは不可能である。
他方、生物・医学の分野では、細胞の形態と細胞の健全性とは関連があると考えられている。
しかしながら、生きたままの細胞の厚さの計測手段はこれまで存在しなかった。この発明は、計測試料を細胞に限定するものではないが、主に、従来不可能であった生きたままの細胞の厚さの計測を可能とすることを課題とするものである。
この発明は、計測試料の屈折率あるいは光路に沿った厚さのいずれか一方が既知であれば、可干渉光を用いた干渉計測により残りの他方を計算により求めることができるという知見に基づいている。これを、さらに厚さと屈折率の両者が未知の場合でも、同一の装置、方法に基づいて未知量を順次計測可能にするべく発展させたものである。
この発明は以下の3つのプロセスで構成される。
すなわち、計測試料を液体中に配設し、液体の組成、濃度あるいはその両者を変化させつつ計測を行い、その屈折率が計測試料の屈折率と等しくなるような組成、濃度などの条件を備えた液体を特定する第一のプロセスと、前記第一のプロセスで特定された液体中に置かれた計測基準体を用いてその液体の屈折率を測定して、計測試料の屈折率を求める第二のプロセスと、第一、第二のプロセスとは異なる液体中に計測試料を配設し、その液体の屈折率が既知であればその値を用い、液体の屈折率が未知の場合は前記第二のプロセスと同様の方法あるいは別の方法により事前に計測して既知となった計測試料の屈折率を用いて、計測試料の高さを計測する第三のプロセスで構成するもので、具体的には以下のとおりである。
前記第一のプロセスにおいては、計測試料である屈折率と厚さが未知の物体を、屈折率が未知の液体中に配設し、前記計測試料と前記液体とが含まれる領域を通過した可干渉光と、視野内の屈折率が均一である部分のみを通過した可干渉光とを干渉させて干渉像を形成し、前記干渉像から前記計測試料と前記液体のそれぞれを通過した可干渉光の間の位相差を計測し、液体の組成、濃度を変化させ、該位相差がゼロとなる条件を備えた液体を特定する。
前記二つの可干渉光の位相差が0であるということは、液体の屈折率と計測試料の屈折率とが一致していることを意味している。
すなわち、第一のプロセスの目的は、計測試料と屈折率が一致した液体を求めることであり、その液体の具体的な組成や濃度、屈折率を知る必要はない。
第二のプロセスにおいては、第一のプロセスにより求めた条件の液体中に、屈折率が既知でかつその値が異なる2種以上の透明な板状体を積層し、かつ少なくとも対向する2端面を積層面に垂直に形成してなる計測基準体を配設し、前記計測基準体の視野内の前記2種以上の透明な板状体の境界部分を挟んで、一の板状体と他の板状体の両者が含まれる領域を通過した可干渉光と、視野内の屈折率が均一である部分のみを通過した可干渉光とを干渉させて干渉像を形成し、前記干渉像から一の板状体と他の板状体のそれぞれを通過した可干渉光の間の位相差を計測する。いずれの板状体も屈折率が既知であるため、該位相差から前記式(1)により前記計測基準体の高さを決定する。
次いで前記計測基準体と液体とを視野内に含む領域を通過した可干渉光と、屈折率が均一である部分のみを通過した可干渉光とを干渉させて干渉像を形成し、前記干渉像内の前記計測基準体の高さが既知の部分を透過した可干渉光と前記液体を通過した可干渉光の間の位相差を計測し、該位相差と前記板状体の既知の屈折率並びに高さから前記液体の屈折率を計測する。前記液体の屈折率と計測試料の屈折率は等しいので、このプロセスにより、計測試料の屈折率を決定することができる。
第三のプロセスにおいては、第一及び第二のプロセスにおける液体とは異なる液体中に前記計測試料を配設し、前記液体と計測試料とを視野内に含む領域を通過した可干渉光と、液体のみを通過した可干渉光とを干渉させて干渉像を形成する。このとき、液体の屈折率が未知である場合には、事前に第二のプロセスの手法を用いて液体の屈折率を計測するか、別の方法を用いて液体の屈折率を計測する。得られた干渉像から、前記液体のみを通過した可干渉光と前記計測試料を透過した可干渉光の間の位相差を計測し、既に既知となった前記液体の屈折率、および前記計測試料の屈折率を用いて、式(1)に基づいて計測試料の任意の部分の厚さを計測する。
この発明の方法は、透光性のある計測試料であれば適用可能であるが、特に細胞のような不定形で微細、かつ屈折率、厚さが未知の計測試料の計測に適している(請求項2)。
この発明に使用する計測基準体は可干渉光の入射面および射出面が研磨されていればその形状に制約はないが、細胞を計測する場合は計測基準体として2枚のガラス板を積層し、その積層面と直交する面を研磨して楔状に形成したものを使用することが好ましい(請求項3)。その理由は以下のとおりである。
2枚のガラスの屈折率差が0.01、厚さが30ミクロンの場合、波長単位で表した2枚のガラス板に起因する位相のずれは
Figure 0005168693

より、0.5ないし0.6波長程度になる。一方、水の屈折率は1.33、細胞を計測する場合には培養液は濃度が濃い場合でも1.38程度と予想されるので、ガラスとの屈折率差は少なくとも0.08,一般には0.1ないし0.15程度になると予想される。この値を上式に代入すると、位相のずれは8倍から10数倍になり、数波長に達する。計測できる位相ずれの量は波長の整数倍を除いた部分なので、正確に波長単位で書くと数14のΔφ’の部分である。
Figure 0005168693

整数Nは波長数が1とか2のときには容易に類推できるが、数波長になった場合にはこの結果だけからNの値を決めることは困難である。培養液の屈折率も必ずしも均一ではなく、たとえば細胞が成長している周辺では組成、濃度が変化していることが考えられ、また培養が進めば当初とは濃度は変わり得るので、この整数波長分の曖昧さが問題となる。
計測基準体をくさび状にすると、同一試料、同一条件で連続して計測基準体の異なる厚さの位置で計測ができるため、複数の計測結果から上式のNを決めることができるので、液体の屈折率を高精度で計測可能となり、もって計測試料の高さを高精度で計測することができる。
この発明によれば、計測試料を液体中に配設し、液体の組成、濃度を変化させつつ計測を行い、その屈折率が計測試料の屈折率と等しくなる液体を特定する第一のプロセス、前記第一のプロセスで特定された液体中に置かれた計測基準体を用いてその液体の屈折率を測定して、計測試料の屈折率を求める第二のプロセス、第一、第二のプロセスとは異なる液体中に計測試料を配設し、その液体の屈折率が既知であればその値を用い、液体の屈折率が未知の場合は事前に第2のプロセスと同様の方法あるいは別の方法で求められた計測試料の屈折率を用いて、計測試料の高さを計測する第三のプロセスを組み合わせたこと、特に屈折率が既知の計測基準体を用いて計測試料の屈折率を高精度で計測することができ、ここで得られた計測試料の屈折率に基づき、上記式(1)より計測試料の高さ(厚さ)を高精度で計測することができる。
ここでは、本特許の主要な適用分野である細胞培養を念頭において説明する。
まず第一のプロセスでは、液体中に計測試料すなわち細胞をおき、該液体すなわち培養液の組成、濃度を変化させ、前記式(1)の値がゼロとなるような条件を求める。式(1)の値がゼロということは、式(1)および図3において、nとnbが等しいことを意味している。従って、培養液の屈折率を何らかの方法で知ることが出来れば、それが計測試料の屈折率ということになる。
液体の屈折率自体は従来から測定可能であり、アッベの方法などが知られているが、標準サンプルとの目視比較により屈折率を求めるため、個人差が出やすく、高い精度も得られにくい。一方干渉計測では、高い精度は達成可能であるが、計測される位相変化が厚さと屈折率の積に比例するので、何らかの方法で厚さを決めないと屈折率を求めることができない。
そこで本発明の第二のプロセスにおいて、可干渉光の光路に沿った液体の所定の距離に対する位相変化量を計測し、液体の屈折率を決定する。
図4は計測基準体1の斜視図である。
屈折率の異なるガラス板2とガラス板3(屈折率の差は0.01以下程度であることが好ましい。例えば屈折率1.5168と屈折率1.5112)とを積層し、積層面と直交する面4を研磨して楔状に形成して計測基準体1を構成してある。この計測基準体1の高さは楔状根本側で50ミクロン程度、先端側で10ミクロン以下程度が望ましい。
前記計測基準体1を液体である培養液6が入れられたトレー8に、楔形状の斜面が可干渉光の入射面および射出面になるごとく、すなわち一般には積層面が垂直になるごとく載置する(図5)。
以下における位相差の計測は例えば図6に示すように、干渉計測装置を用いて行う。
この干渉計測装置では、干渉素子14として複プリズムを用いている。図示されていない光源から可干渉光、例えばレーザ光を計測基準体1の積層面と平行な方向、ここでは鉛直方向に照射する。光路Aは培養液6のみ(もしくはサンプル外など屈折率が均一である部分)を透過し、他方の光路Bは前記計測基準体1を構成するガラス板2とガラス板3を含む領域を透過するように設定してある。
ここで、光路Aと光路Bの可干渉光は、それぞれ対物レンズ13及び図示されていない共通の拡大レンズを経て拡大され、干渉素子14によって重畳して結像し、図7のような干渉像15を形成する。
ここでは説明の便宜上、ガラス板2、ガラス板3および培養液6を全て領域内に含む場合の干渉像を示した。この干渉像は、図6の干渉光学系で得られるものに対応している。従って計測基準体1は右下がりのくさび状で、斜面を上から見たものである。ガラス板2とガラス板3の周囲は培養液で、深さと屈折率が一定であるため、均一な間隔の直線的な干渉縞となっている。また屈折率は、培養液<ガラス板3<ガラス板2であるので、培養液部に対してガラス板3の部分で干渉縞が右にずれ、ガラス板2の部分ではさらに右にずれている。前記干渉像から前記ガラス板2,ガラス板3それぞれを透過した両可干渉光の間の位相差を、例えば図7のガラス板2とガラス板3の積層面に垂直な線A−A’上で計測する。
高い精度でこの位相差を計測するためには、[0005]で述べたように、位相シフト法、すなわち光路Aと光路Bを通る可干渉光の相対的な位相差を2π/M(M:3以上の正数)ずつずらせたM枚の干渉像から、式(2)を用いて計算で求める。
こうして得られた位相差と、前記2枚のガラス板の既知の屈折率から前記式(1)により前記計測基準体1の計測部における高さtを計測する。図4あるいは図5における計測基準体の上下面は、ガラス板2とガラス板3の積層面に垂直に形成された面であるので、A−A’線上ではガラス板2とガラス板3の厚さは等しく、かつ一定である。
すなわち、ガラス板2を透過した光とガラス板3を透過した光の位相の差をΔφ1として、前述式(1)をここに当てはめると、
Figure 0005168693

という関係が成り立つ。いま、ガラス板2の屈折率ng2とガラス板3の屈折率ng3は既知であるから、このΔφ1を用いてこの部分の厚さtを求めることができる。たとえば、上述のng2=1.5168、ng3=1.5112を用い、計測に用いる可干渉光の波長をλ0=0.5000ミクロン
、測定された位相差をΔφ1=0.8500ラジアンとすると、A-A’線の高さは12.08ミクロンとなる。
次に、前記計測基準体1の一方のガラス板2と培養液6とを視野内に含む領域を通過した可干渉光と、培養液6のみを通過した可干渉光とを干渉させて干渉像を形成し、前記干渉像からガラス板2の高さの判明した部分を透過した可干渉光と前記培養液6を透過した部分の可干渉光の間の位相差を計測する。すなわち図7において、A−A’線上で、ガラス板2の部分とガラス板2の下の部分とで位相差を計測する。該位相差と前記ガラス板2の既知の屈折率並びに計測基準体1の計測部のA−A’線上の厚さtから前記式(1)により前記培養液6の屈折率を求めることができる。
ガラス板2を透過した光と培養液6のみを透過した光の位相の差をΔφ2とすると、
Figure 0005168693

の関係を満たす。厚さtは前段の測定で判明した量、屈折率ng2は既知であるから、このΔφ2を用いて未知であった培養液6の屈折率nliqを求めることができる。
上記において、前記両可干渉光の位相差は、[0014]で説明したように、数波長にわたることがある。特にガラスと液体の場合には位相差が大きくなりがちで、その場合波長数を正確に把握しなければ培養液6の屈折率を求めることができない。図8はその様子を説明するためのものである。計測基準体1の厚さが1点の計測だけで解る量は前記式(3)及び図8のΔφ’のみである。図8には縦軸に0〜6の数値(整数波長分の位相変化)がカッコ付きで記入されているが、これは説明のためで、実際に判っている横軸は「4」の高さにある。本来のグラフは縦軸のカッコ数値付きの点線グラフであるが、縦軸の数値「4」は直接計測することはできないので、厚さに対する位相変化のグラフも、A−Eのいずれか、あるいはそれよりさらに急な傾斜の直線なのか、すなわち何波長分の不確定さを含んでいるか判断することができない。
しかし同一試料、同一条件で数点の測定ができれば、厚さとの関連から整数分を決定することができる。図9はその原理を示したものである。今、計測基準体1の斜面上で、A,B,CおよびDの4点で計測したとする。実際に得られる位相差は、横軸の上下に記したΔφ’AないしΔφ’Dである。計測基準体1の楔状厚さ分布の薄い側、図7では右端の厚さを10ミクロン以下程度とすれば、[0018]で示した計算例のように、位相差が1波長以下程度になるので、図9においてtDの位置を適当に選ぶことにより、厚さtと位相変化Δφの関係の近似的な直線を引くことができる。Δφ’A、Δφ’B、Δφ’Cはそれぞれ2Nπ(N=0,1,2???)から上向きもしくは下向きに量った量であるので、図9に示したように前記の近似的な直線と各測定値とが全てつじつまが合うように並べることにより、波長の整数倍の曖昧さを完全に排除することができ、培養液の屈折率を高い精度で求めることが可能になる。また、この複数測定値から培養液の屈折率を決定する過程で、最小自乗法等を併用すれば、屈折率の値をさらに正確に決定することができる。こうして得られた培養液の屈折率は、第一のプロセスにおいて細胞の屈折率と同じであることが判っているので、この第二のプロセスによって、細胞の屈折率を決定できたことになる。
第三のプロセスにおいては、細胞を培養している状態で細胞の高さを計測する。細胞の培養には目的、用途に応じて適した培養液があるので、適当な容器内を培養液で満たし、その中に細胞を入れて培養する。図10はその状態を示した模式図である。トレー8に培養液6を満たし、培養する細胞5が入れられている。培養液6の屈折率は、別途測定した値を用いても良いが、ここでは経時変化する可能性をふまえて随時同時に測定できるように、計測基準体1も同一容器内においた。培養液6の屈折率の計測法は既に第二プロセスにて説明してあるので、ここでは省略する。
細胞の干渉像を得るためには、細胞5を含む領域を透過した可干渉光と、培養液6のみ、あるいはトレーの外部の屈折率が均一である領域を通った可干渉光とを干渉させる。この干渉像の例を図11に示す。
細胞の周囲では、可干渉光は屈折率が均一で深さが一定の培養液のみを透過しているので、干渉縞は間隔が一定で直線である。細胞内部における位相変化は、前記式(1)で、横方向の位置座標をx、縦方向の位置座標をyとすると、
Figure 0005168693

となる。厳密には細胞各部で屈折率の分布があるが、ここでは簡単のため、細胞内部では屈折率が均一であるとした。この式から判るように、位相変化量は細胞の各部の厚さtに比例するので、厚い部分ほど干渉縞がずれることになる。[0017]で説明した位相シフト法を用いれば、Δφ(x,y)の分布を高精度で求めることができる。細胞5の屈折率ncellは第一および第二のプロセス、培養液6の屈折率は第二のプロセスと同様の手法によって求めることにより既知であるので、細胞5の各部の厚さが解る。
この発明によれば、従来計測が困難であった細胞のような不定形で微細、かつ屈折率も未知であった物体の高さ(厚さ)を高精度で計測することができ、産業上有益なものである。
干渉計測の説明図 干渉像の説明図 物体光の説明図 計測基準体の斜視図 第二のプロセスにおける計測状態の斜視図 干渉計測装置の概略図 実施例における干渉像の説明図 厚さに対する位相変化のグラフ 複数の厚さにおいて測定した位相変化を解析したグラフ 第三のプロセスにおける計測状態の正面図 第三のプロセスにおける干渉像の説明図
符号の説明
1 計測基準体
2 ガラス板
3 ガラス板
4 端面(入射面)
5 細胞(計測試料)
6 培養液
15 干渉像

Claims (3)

  1. 屈折率及び厚さの分布が未知である計測試料の形状を計測するものであって、
    前記計測試料を液体中に浸漬させ、前記液体の屈折率を変化させる毎に、前記計測試料と前記液体部分を含む領域を透過した可干渉光と、屈折率が均一である領域のみを通過した可干渉光を干渉させて干渉像を形成し、該干渉像から前記液体部分を通った可干渉光と前記計測試料部分を通った可干渉光の間の位相差を計測し、該位相差がゼロとなる条件を備えた液体を特定する第一のプロセスと、
    前記第一のプロセスにより特定された液体中に、屈折率が既知でかつその値が異なる2種以上の透明な板状体を積層した積層板状体から少なくとも対向する2端面が積層界面に垂直となるごとく切り出し、かつ該両端面を平滑になした計測基準体を、その平滑になした端面が入射面および射出面になるごとく浸漬し、視野内に前記2種以上の透明な板状体の境界部分を含む領域を通過した可干渉光と、視野内の屈折率が均一である部分のみを通過した可干渉光とを干渉させて干渉像を形成し、
    前記干渉像から一の板状体と他の板状体のそれぞれを通過した可干渉光の間の位相差を計測し、該位相差と前記板状体の既知の屈折率から前記計測基準体の高さを計測し、
    次いで、視野内に前記2種以上の透明な板状体の内の一の板状体と前記液体部分の境界を含む領域を通過した可干渉光と、視野内の屈折率が均一である部分のみを通過した可干渉光とを干渉させて干渉像を形成し、
    前記干渉像から一の板状体と前記液体のそれぞれを通過した可干渉光の間の位相差を計測し、該位相差と前記板状体の既知の屈折率および先に求めた前記板状体の厚さから前記液体の屈折率を求め、該屈折率をもって計測試料の屈折率と見なす第二のプロセスと、
    屈折率が既知であり、かつ前記第一および第二のプロセスとは異なる液体中に前記計測試料を浸漬し、視野内に前記計測試料と前記液体部分とを含む領域を通過した可干渉光と、視野内の屈折率が均一である部分のみを通過した可干渉光とを干渉させて干渉像を形成し、
    前記干渉像から前記計測試料と前記液体のそれぞれを通過した可干渉光の間の位相差を計測し、該位相差と第二のプロセスで既知となった前記計測試料の屈折率および前記液体の屈折率に基づいて、計測試料の高さを計測する第三のプロセスとを備えることを特徴とする、
    計測試料の高さ計測方法
  2. 計測試料は細胞とした、請求項1記載の計測試料の高さ計測方法
  3. 計測基準体は、2枚以上の板ガラスを積層し、その積層面と直交する面を研磨して楔状に形成した、請求項1又は2に記載の計測試料の高さ計測方法
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