JP5168212B2 - 液冷ジャケットの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液冷ジャケットの製造方法に関する。
金属部材同士を接合する方法として、摩擦攪拌接合(FSW=Friction Stir Welding)が知られている。摩擦攪拌接合とは、回転ツールを回転させつつ金属部材同士の突合部に沿って移動させ、回転ツールと金属部材との摩擦熱により突合部の金属を塑性流動させることで、金属部材同士を固相接合させるものである。
ところで、近年、パーソナルコンピュータに代表される電子機器は、その性能が向上するにつれて、搭載されるCPU(熱発生体)の発熱量が増大し、CPUの冷却が益々重要になっている。従来、CPUを冷却するために、空冷ファン方式のヒートシンクが使用されてきたが、ファン騒音や、空冷方式での冷却限界といった問題がクローズアップされるようになり、次世代冷却方式として、液冷ジャケットが注目されている。
このような液冷ジャケットにおいて、構成部材同士を摩擦攪拌接合によって接合した技術が特許文献1で開示されている。この液冷ジャケットは、たとえば、金属製フィンを収容するフィン収容室を有するジャケット本体と、フィン収容室を封止する封止体とを備えており、フィン収容室を取り囲むジャケット本体の周壁と封止体の外周面との突合部に沿って回転ツールを一周させて、摩擦攪拌接合することで液冷ジャケットを製造するように構成されている。封止体は、ジャケット本体と比較して薄く形成されており、ジャケット本体に形成された段差の底面からなる支持面に載置されている。そして、回転ツールは、その中心が突合部上に位置するように突合部に沿って移動して、ジャケット本体と封止体とを接合するようになっている。
ところで、前記のように、薄肉の封止体をジャケット本体の支持面に載置して、その突合部を摩擦攪拌接合する場合、ジャケット本体の表面から摩擦攪拌を行うため、熱収縮及び熱膨張によって封止体が反って撓んでしまうという問題があった。この問題は、ジャケット本体が大きいときに顕著に現れる。
そこで、このような問題を解決するために、摩擦攪拌接合を行う箇所に、冷却ノズルによって水を噴射するとともに、摩擦攪拌接合後の接合部をローラーで押圧する技術が、特許文献2で開示されている。
特開2006−324647号公報 特開2001−87871号公報
しかしながら、特許文献2に係る発明では、摩擦攪拌接合を行う箇所に水を噴射させるため、摩擦攪拌装置に水が浸入してしまい、その駆動系統等に悪影響が及ぶ可能性がある。また、接合箇所に水を噴射するため、回転ツールの回転により水が周囲に飛び散り、水の管理が煩雑になるという問題があった。
このような観点から本発明は、封止体の変形を容易に抑制できる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、熱発生体が発生する熱を外部に輸送する熱輸送流体が流れるとともに同一面に向かって開口した複数の凹部を、ジャケット本体に形成する凹部形成工程と、前記ジャケット本体の複数の前記凹部の開口部の開口周縁部に、前記ジャケット本体の表面より下がった段差底面からなる支持面を、複数の前記凹部の開口部に跨るように面一で形成する段差形成工程と、前記支持面に、複数の前記凹部を覆うように封止体を載置して、前記ジャケット本体の段差側面と前記封止体の外周面とを突き合わせるとともに、隣り合う前記凹部同士を区画する区画壁の上面と前記封止体の下面とを重ね合わせる封止体載置工程と、前記ジャケット本体の前記段差側面と前記封止体の外周面との突合部の全周に沿って摩擦攪拌接合用の回転ツールを移動させて塑性化領域を形成する突合部接合工程と、前記区画壁の上面と前記封止体の下面との重合部に沿って前記回転ツールを移動させて塑性化領域を形成する重合部接合工程と、を備えており、前記回転ツールを前記突合部と前記重合部に沿って一つの移動軌跡で連続的に移動させ、前記突合部接合工程および前記重合部接合工程を連続して行うとともに、一の前記重合部における前記回転ツールの移動軌跡が重複せずに一本となるように前記回転ツールを移動させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法である。
このような方法によれば、ジャケット本体に複数の凹部を形成しているので、ジャケット本体が大型化した場合でも凹部個々の大きさを抑えることができる。さらに、封止体は区画壁の上面に当接して重なり合うので、封止体の変形を抑制することができる。また、仮に封止体に反りが発生したとしても、区画壁の上面と封止体の下面との重合部に沿って摩擦攪拌接合用の回転ツールを移動させて塑性化領域を形成するので、封止体の反りを緩和することができる。さらに、複数の凹部を一枚の封止体で覆うようにしているので、封止体とジャケット本体とを摩擦攪拌接合する際の手間を軽減できる。また、回転ツールを突合部と重合部に沿って一つの移動軌跡で連続的に移動させて、突合部接合工程および重合部接合工程を連続して行っているので、回転ツールの押込みや引抜き等の加工操作は1回ずつで済み、回数を軽減できるので、摩擦攪拌接合の作業手間を軽減することができる。
また、本発明は、熱発生体が発生する熱を外部に輸送する熱輸送流体が流れるとともに同一面に向かって開口した複数の凹部を、ジャケット本体に形成する凹部形成工程と、前記ジャケット本体の複数の前記凹部の開口部の開口周縁部に、前記ジャケット本体の表面より下がった段差底面からなる支持面を、複数の前記凹部の開口部に跨るように面一で形成する段差形成工程と、前記支持面に、複数の前記凹部を覆うように封止体を載置して、前記ジャケット本体の段差側面と前記封止体の外周面とを突き合わせるとともに、隣り合う前記凹部同士を区画する区画壁の上面と前記封止体の下面とを重ね合わせる封止体載置工程と、前記ジャケット本体の前記段差側面と前記封止体の外周面との突合部に沿って摩擦攪拌接合用の回転ツールを一周させて塑性化領域を形成する突合部接合工程と、前記区画壁の上面と前記封止体の下面との重合部に沿って摩擦攪拌接合用の回転ツールを移動させて塑性化領域を形成する重合部接合工程と、を備え、前記突合部接合工程を完了した後に、前記重合部接合工程を別工程として行うとともに、前記重合部接合工程において、摩擦攪拌接合用の回転ツールの挿入位置を前記突合部から外側に外れたジャケット本体の周壁の上面に設定するとともに、当該回転ツールの引抜位置を前記挿入位置とは反対側で前記突合部から外側に外れたジャケット本体の周壁の上面に設定し、一の前記重合部における当該回転ツールの移動軌跡が重複せずに一本となるように当該回転ツールを移動させることを特徴とする液冷ジャケットの製造方法である。
このような方法によれば、ジャケット本体に複数の凹部を形成しているので、ジャケット本体が大型化した場合でも凹部個々の大きさを抑えることができる。さらに、封止体は区画壁の上面に当接して重なり合うので、封止体の変形を抑制することができる。また、仮に封止体に反りが発生したとしても、区画壁の上面と封止体の下面との重合部に沿って摩擦攪拌接合用の回転ツールを移動させて塑性化領域を形成するので、封止体の反りを緩和することができる。さらに、複数の凹部を一枚の封止体で覆うようにしているので、封止体とジャケット本体とを摩擦攪拌接合する際の手間を軽減できる。また、突合部接合工程を完了した後に、重合部接合工程を別工程として行っているので、凹部が多数形成された場合であっても、回転ツールの移動軌跡を単純な形状にすることができ、摩擦攪拌接合の作業手間を軽減することができる。
そして、本発明は、前記突合部接合工程および前記重合部接合工程で用いられる前記回転ツールが、前記封止体の厚さ寸法よりも大きい長さ寸法の攪拌ピンを備えていることを特徴とする。
このような方法によれば、回転ツールの攪拌ピンが支持面からジャケット本体内に挿入されるので、塑性化領域がジャケット本体の内部の深い部分まで入り込む。これによって、塑性化領域の熱収縮による応力をジャケット本体に分散でき、封止体の変形を抑制することができる。
また、本発明は、前記突合部接合工程で用いられる前記回転ツールが、そのショルダー部の半径寸法が前記突合部における前記支持面の幅寸法よりも小さいことを特徴とする。
このような方法によれば、回転ツールを突合部の真上で移動させたときに、塑性化領域を支持面内に形成することができ、回転ツールの押込み力を支持面で確実に支持することができ、封止体の変形を抑制することができる。
さらに、本発明は、前記重合部接合工程で用いられる前記回転ツールが、そのショルダー部の直径寸法が前記重合部における前記支持面の幅寸法よりも小さいことを特徴とする。
このような方法によれば、回転ツールを重合部の幅方向中心上で移動させたときに、塑性化領域を区画壁の上面の幅内に形成することができ、回転ツールの押込み力を支持面で確実に支持することができ、封止体の変形を抑制することができる。
また、本発明は、前記突合部接合工程を完了した後に、前記重合部接合工程を別工程として行う場合において、前記重合部接合工程で用いられる前記回転ツールが、記突合部接合工程で用いられる前記回転ツールとは別のものであって、そのショルダー部の直径寸法が前記突合部接合工程で用いられる前記回転ツールのショルダー部の直径寸法よりも大きいことを特徴とする。
このような方法によれば、封止体と区画壁との接合強度が高くなり、液密性を高めることができるとともに、封止体の変形をより一層抑制することができる。
さらに、本発明は、前記区画壁には、隣り合う凹部間で冷却水を流通させるための貫通孔が形成されていることを特徴とする。
さらに、本発明は、前記突合部接合工程において、前記回転ツールを周回状の前記突合部に対して右回りに移動させるときは、前記回転ツールを右回転させ、前記回転ツールを前記突合部に対して左回りに移動させるときは、前記回転ツールを左回転させることを特徴とする。
このような方法によれば、万一、塑性化領域に空洞欠陥が発生したとしても、突合部よりも外側位置の離反した部分であって、熱輸送流体の流路から離れた位置に発生することとなる。したがって、熱輸送流体が流路から外部に漏れ難く、接合部の密閉性能に悪い影響を与えることはない。
また、本発明は、前記突合部接合工程および前記重合部接合工程で前記塑性化領域を形成する工程に先立って、前記突合部の一部を前記回転ツールよりも小型の仮接合用回転ツールを用いて仮接合する仮接合工程を、さらに備えたことを特徴とする。
このような方法によれば、ジャケット本体と封止体とを仮接合することによって、摩擦攪拌接合(以下「本接合」と言う場合がある)の際に、封止体が移動することがなく、接合しやすくなる。また、仮接合用回転ツールが本接合用の回転ツールよりも小さいので、本接合用の回転ツールを、仮接合部分の上で移動させて摩擦攪拌するだけで、本接合が仕上げられる。
さらに、本発明は、前記突合部が矩形枠状を呈しており、前記仮接合工程において、前記突合部の一方の対角同士を先に仮接合した後に、他方の対角同士を仮接合することを特徴とする。
また、本発明は、前記突合部が矩形枠状を呈しており、前記仮接合工程において、前記突合部の一方の対辺の中間部同士を先に仮接合した後に、他方の対辺の中間部同士を仮接合することを特徴とする。
このような方法によれば、封止体をバランスよく仮接合することができ、封止体のジャケット本体に対する位置決め精度が向上する。
本発明によれば、封止体の変形を容易に抑制することができるといった優れた効果を発揮する。
本発明の第1実施形態に係る液冷ジャケットを示した分解斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法を説明するための図であって、(a)および(b)は摩擦攪拌接合工程での回転ツールの移動軌跡を順次示した平面図である。 本発明の第1実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法を説明するための図であって、(a)および(b)は摩擦攪拌接合工程での図2に続く回転ツールの移動軌跡を順次示した平面図である。 本発明の第1実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法を説明するための図であって、突合部における摩擦攪拌接合工程を示した断面図である。 本発明の第1実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法を説明するための図であって、重合部における摩擦攪拌接合工程を示した断面図である。 本発明の第2実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の摩擦攪拌工程を説明するための図であって、(a)は仮接合工程を示した平面図、(b)は本接合工程を示した平面図である。 本発明の第3実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の摩擦攪拌工程を説明するための図であって、(a)は仮接合工程を示した平面図、(b)は本接合工程を示した平面図である。 本発明の第4実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法を説明するための図であって、(a)は摩擦攪拌接合工程での突合部における回転ツールの移動軌跡を示した平面図、(b)は摩擦攪拌接合工程での重合部における回転ツールの移動軌跡を示した平面図である。 本発明の第4実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法を説明するための図であって、重合部における摩擦攪拌接合工程を示した断面図である。 本発明の第5実施形態に係る液冷ジャケットのジャケット本体を示した平面図である。 本発明の第6実施形態に係る液冷ジャケットを示した分解斜視図である。 本発明の第6実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法を説明するための図であって、(a)、(b)および(c)は摩擦攪拌接合工程での回転ツールの移動軌跡を順次示した平面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図面を適宜参照して詳細に説明する。
まず、本発明に係る液冷ジャケットの構成について説明する。液冷ジャケットは、例えば、パーソナルコンピュータ等の電子機器に搭載される冷却システムの構成部品であって、CPU(熱発生体)等を冷却する部品である。液冷システムは、CPUが所定位置に取り付けられる液冷ジャケットと、熱輸送流体(冷却水)が輸送する熱を外部に放出するラジエータ(放熱手段)と、熱輸送流体を循環させるマイクロポンプ(熱輸送流体供給手段)と、温度変化による熱輸送流体の膨張/収縮を吸収するリザーブタンクと、これらを接続するフレキシブルチューブと、熱を輸送する熱輸送流体とを主に備えている。熱輸送流体は、熱発生体であるCPU(図示せず)が発生する熱を外部に輸送する。熱輸送流体としては、例えば、エチレングリコール系の不凍液が使用される。そして、マイクロポンプが作動すると、熱輸送流体がこれら機器を循環するようになっている。
液冷ジャケットは、その下方側の中央に、熱拡散シート(図示せず)を介してCPU(図示せず)が取り付けられるようになっており、CPUが発生する熱を受熱すると共に、内部を流通する熱輸送流体と熱交換する。これによって、液冷ジャケットは、CPUから受け入れた熱を熱輸送流体に伝達し、その結果として、CPUを効率的に冷却する。なお、熱拡散シートは、CPUの熱を、液冷ジャケットに効率的に伝達させるためのシートであり、例えば、銅などの高熱伝導性を有する金属から形成されている。
図1に示すように、液冷ジャケット1は、ジャケット本体10に、熱発生体が発生する熱を外部に輸送する熱輸送流体が流れるとともに同一面に向かって開口した複数の凹部11,11・・が形成されている。ジャケット本体10の複数の凹部11,11・・の開口部12,12・・の開口周縁部12a,12a・・には、ジャケット本体10の表面10aより下がった段差底面16a,16a・・からなる支持面17が形成されている。支持面17は、複数の凹部11,11・・の開口部12,12・・に跨るように面一で形成されている。支持面17には、複数の凹部11,11・・を覆うように封止体30が載置されており、ジャケット本体10の段差側面16bと封止体30の外周面30aとが突き合わされている。そして、ジャケット本体10の段差側面16bと封止体30の外周面30aとの突合部40(図2〜図4参照)に沿って摩擦攪拌接合用の回転ツール50(図4参照)を一周させて摩擦攪拌を行うことで、塑性化領域41(図2〜図4参照)が形成されている。また、隣り合う凹部11,11同士を区画する区画壁15の上面(支持面17)と封止体30の下面30bとの重合部60(図2、図3および図5参照)に沿って摩擦攪拌接合用の回転ツール50を移動させて摩擦攪拌を行うことで、塑性化領域61(図2、図3および図5参照)が形成されている。これらの塑性化領域41および塑性化領域61によって、封止体30がジャケット本体10に固定されている。
ジャケット本体10は、一方側(本実施形態では図1中、上側)が開口した浅底の箱体であって、本実施形態では平面視長方形を呈している。ジャケット本体10は、その内側に上部が開口した複数(本実施形態では3つ)の凹部11,11,11が形成されている。3つの凹部11,11,11は、ジャケット本体10の長手方向(図1中、X軸方向)に沿って直線状に配置されており、ジャケット本体10は、凹部11の底壁13と、ジャケット本体10の外周部を構成する周壁14と、隣り合う凹部11,11間を区画する区画壁15とを有している。ここで、凹部11は、3つ直列配置されて形成されているので、区画壁15は、2箇所形成されることとなる。すなわち、真中に位置する凹部11の両側には、互いに対向する区画壁15,15(以下、それぞれを「第一区画壁15a、第二区画壁15b」と称する場合がある)がそれぞれ位置している。区画壁15,15は、ともにジャケット本体10の短手方向(図1中、Y軸方向)に延在し、互いに平行に配置されている。このようなジャケット本体10は、例えば、ダイキャスト、鋳造、鍛造、熱間圧延などによって作製される。ジャケット本体10は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成されている。これにより、液冷ジャケット1は軽量化が達成されており、取り扱い容易となっている。
ジャケット本体10の各凹部11の開口部12は、四隅が円弧状に面取りされた略長方形を呈している。ジャケット本体10の複数の凹部11の開口部12の開口周縁部12aには、ジャケット本体10の表面10aから凹部11の底面側に一段下がった段差底面16aが形成されている。開口周縁部12aは、周壁14と区画壁15とを含む位置となる。各開口周縁部12a,12a,12aに形成された段差底面16a,16a,16aは、複数の凹部11,11,11に跨るように面一で形成されており、これら段差底面16a,16a,16aにて支持面17が構成されている。すなわち、支持面17を構成する段差底面16a・・は、周壁14の内周縁部と区画壁15の上面全体とに亘って、同一の深さで一体的に形成されている。
図4に示すように、ジャケット本体10の表面10a(上面)と支持面17との高低差寸法H1は、封止体30の厚さ寸法T1と同じ長さとなっている。支持面17は、封止体30を支持する面であって、支持面17上には、封止体30の周縁部31が載置される。また、支持面17の幅(封止体30の周縁部31が載置される部分の幅)寸法W1は、摩擦攪拌接合に用いられる回転ツール50のショルダー部51の半径寸法R2よりも大きく設定されている。
図1に示すように、凹部11の周囲の周壁14は、ジャケット本体10の長手方向(図1中、X軸方向)の両端に位置する一対の壁部14a,14bと、短手方向(図1中、Y軸方向)の両端に位置する一対の壁部14c,14dとで構成されている。一対の壁部14a,14bは、ともにY軸方向に延在して、X軸方向に所定の距離を隔てて互いに平行に形成されている。一対の壁部14c,14dは、ともにX軸方向に延在して、Y軸方向に所定の距離を隔てて互いに平行に形成されている。
ジャケット本体10の壁部14a,14bには、凹部11内に冷却水を流通させるための貫通孔18a,18aがそれぞれ形成されている。また、区画壁15,15には、隣り合う凹部11,11間で冷却水を流通させるための貫通孔18b,18bがそれぞれ形成されている。各貫通孔18a,18bは、本実施形態では、それぞれX軸方向に延在して、円形断面を有し、凹部11の深さ方向中間部に形成されている。また、隣り合う貫通孔18a,18b,18b,18a同士は、X軸方向に沿って見たときに、左右交互になって千鳥状に配置されており、凹部11,11,11内を流れる冷却水が蛇行するように構成されている。なお、貫通孔18a,18bの形状、数および形成位置は、これに限られるものではなく、冷却水の種類や流量に応じて適宜変更可能である。
図1および図2に示すように、封止体30は、ジャケット本体10の段差側面16bと同じ形状(本実施形態では四隅が円弧状に面取りされた略長方形)の外周形状を有する板状に形成されている。なお、本実施形態では、封止体30は板状に形成されているが、この形状に限定されるものではなく、凹部11側に延出するフィンを設けて、表面積を大きくするようにしてもよい。
封止体30もジャケット本体10と同様に、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成されている。これにより、液冷ジャケット1は軽量化が達成されており、取り扱い容易となっている。封止体30は、アルミニウムまたはアルミニウム合金から形成された押出形材のコーナー部を面取加工することで作製されている。なお、作製方法はこれに限定されるものではなく、例えば、ダイキャスト、鋳造、鍛造などによって作製してもよい。
次に、本発明に係る液冷ジャケット1の製造方法について、図1乃至図5を参照しながら説明する。なお、図2乃至図5では、ジャケット本体10に、封止体30を摩擦攪拌接合によって固定する工程を説明する。
(凹部形成工程)
まず、図1に示すように、ジャケット本体10に複数の凹部11,11,11を形成する。凹部11の形成は、例えば、溶かした金属(本実施形態ではアルミニウム合金)を精密な金型に圧力をかけて流し込むダイキャストによってジャケット本体10の作製時に同時に行われる。なお、ジャケット本体10および凹部11の作製は、ダイキャストに限定されるものではなく、鋳造、鍛造、熱間圧延など他の方法であってもよい。また、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の直方体状のブロックを切削加工して凹部を形成するようにしてもよい。
なお、凹部形成工程と同時またはその後に、周壁14の壁部14a,14bに貫通孔18a,18aを、区画壁15,15に貫通孔18b,18bをそれぞれ形成する。貫通孔18a,18bは、ジャケット本体10の作製と同時に一体成型してもよいし、凹部形成後にドリル等で切削加工して形成してもよい。
(段差形成工程)
凹部形成工程と同時またはその後に、ジャケット本体10の複数の凹部11,11,11の開口部12,12,12の開口周縁部12a,12a,12aに、ジャケット本体10の表面10aより下がった段差底面16a,16a,16aからなる支持面17を形成する。本実施形態では、支持面17は、その形状が金型に形成されており、ジャケット本体10の作製時に同時に形成される。すなわち、凹部形成工程と段差形成工程が同時に施工される。なお、支持面17の形成方法は、ジャケット本体10との一体成形に限定されるものではなく、凹部11が形成されたジャケット本体10を切削加工して形成するようにしてもよい。この場合、凹部形成工程の後に段差形成工程が施工されることとなる。支持面17は、例えば、リーマー(図示せず)を用いて形成するとよい。リーマーで加工すれば、支持面17の外周コーナー部は円弧状に形成される。
次に、ジャケット本体10と封止体30とが互いに接触する接触面(ジャケット本体10の支持面17および段差側面16bや、封止体30の周縁部31、外周面30aおよび下面30b等)を、面削加工して平坦にした後、脱脂して表面の油脂を除去する。
(封止体載置工程)
その後、図2の(a)に示すように、別工程で形成された板状の封止体30を、ジャケット本体10の凹部11,11,11の開口周縁部12a,12a,12aの段差部に挿入して、封止体30の周縁部31を、支持面17上に載置する。すると、封止体30で、複数の凹部11,11,11が一体的に覆われる。そして、ジャケット本体10の段差側面16bと、封止体30の外周面30aとが突き合わされ、突合部40が構成される。また、これと同時に、区画壁15,15の上面(支持面17の一部)に封止体30が重ね合わされ重合部60が構成される。
(突合部接合工程および重合部接合工程)
次に、回転ツール50による本接合を行う。本実施形態では、図2および図3に示すように、回転ツール50を突合部40および重合部60に沿って、一筆書きの要領で、一つの移動軌跡で連続的に移動させて、封止体30をジャケット本体10に接合する。よって、突合部接合工程および重合部接合工程が適宜入り混じって連続して施工されることになる。
回転ツール50は、ジャケット本体10や封止体30よりも硬質の金属材料からなり、図4に示すように、円柱状を呈するショルダー部51と、このショルダー部51の下端面に突設された攪拌ピン(プローブ)52とを備えて構成されている。回転ツール50の寸法・形状は、ジャケット本体10および封止体30の材質や厚さ等に応じて設定されるものである。本実施形態では、攪拌ピン52は、下部が縮径した円錐台状を呈しており、その突出長さ寸法L1は、封止体30の厚さ寸法T1以上となっている。そして、摩擦攪拌接合時には、回転ツール50のショルダー部51の先端が、ジャケット本体10および封止体30の表面から所定深さ押し込まれ、攪拌ピン52の先端が支持面17を突き抜ける。また、ショルダー部51の半径寸法R2は、突合部40における支持面17の幅寸法W1より小さくなっている。さらに、図5に示すように、ショルダー部51の直径寸法R1は、重合部60における支持面17の幅寸法(区画壁15の上面の幅寸法)W2よりも小さくなっている。回転ツール50の回転速度は、例えば、500〜15000(rpm)、送り速度は0.05〜2(m/分)で、突合部40を押さえる押込み力は1〜20(kN)程度で、ジャケット本体10および封止体30の材質や板厚および形状に応じて適宜選択される。
以下に、回転ツール50の動きを具体的に説明する。図2の(a)に示すように、まず、回転ツール50を回転させながら挿入位置53に挿入する。回転ツール50の挿入位置53は、突合部40から外側に外れた周壁14(第一区画壁15aが近い側の壁部14b)の上面となっている。なお、回転ツール50の挿入位置53に、予め下穴(図示せず)を形成していてもよい。このようにすれば、回転ツール50の挿入時間(押込み時間)を短縮できる。
このとき、ジャケット本体10の周壁14の外周面に、ジャケット本体10を四方向から囲む治具(図示せず)を予め当てておくのが好ましい。これによれば、周壁14の厚さが薄く、回転ツール50のショルダー部51(図4参照)の外周面と、周壁14の外周面との距離(隙間)が、例えば、2.0mm以下であっても、回転ツール50の押込み力によって周壁14が外側に変形しにくくなる。なお、周壁14の厚さが厚い場合は、前記の治具は設置しなくてもよい。
その後、回転ツール50を、挿入位置53から突合部40の真上位置(回転ツール50の軸芯が突合部40上になる位置)へ回転させながら移動させる。回転ツール50が突合部40の真上位置まで移動したならば、回転ツール50の中心(軸芯)が突合部40に沿って移動するように移動方向を変えて、回転ツール50を移動させる。回転ツール50が移動方向を変えた位置が、周回移動の始端54aとなる。このとき、回転ツール50のフロー側50aに、封止体30が位置するように、回転ツール50を回転、移動させる。フロー側50aとは、回転ツール50の移動方向(図2中、矢印Y1参照)を見て、回転ツール50の軸芯を挟んで左右両側に分けたとき、移動方向の反対方向に回転ツール50が回動する側である。なお、フロー側50aとは逆側で、回転ツール50の移動方向と同じ方向に回転ツール50が回動する側をシアー側50bという。
具体的には、突合部40における回転ツール50の回転方向(自転方向)が、移動方向(公転方向)と同じ方向となるようにする。すなわち、本実施形態では、図2および図3に示すように、回転ツール50を周回状の突合部40に対して右回りに移動(図2および図3中、矢印Y1参照)させているので、回転ツール50を右回転(図2および図3中、矢印Y2参照)させる。なお、回転ツール50を突合部40に対して左回りに移動させるときは、回転ツール50を左回転させることとなる。
このようにすることによって、封止体30に対する回転ツール50の外周の相対速さは、回転ツール50の外周における接線速度の大きさから移動速度の大きさを減算した値となる(封止体30がフロー側50aとなる)ので、回転ツール50の移動方向と同じ方向に回転ツール50が回動するシアー側50bと比較して低速となる。これによって、封止体30側には、空洞欠陥が発生し難い。また、シアー側50bは、突合部40の外側寄りのジャケット本体10の厚肉部に位置するので、メタル不足に陥ることはない。
また、このとき、図4に示すように、回転ツール50の攪拌ピン52は、その長さ寸法L1が、封止体30の厚さ寸法T1よりも長いため、攪拌ピン52の先端部が支持面17を突き抜けて、ジャケット本体10の内部の奥側(図4中、下方)に入り込む。これによって、回転ツール50によって形成される塑性化領域41の先端部(下端部)が、ジャケット本体10の内部の奥側に深く入り込んで形成されることとなる。ここで、「塑性化領域」とは、回転ツール50の摩擦熱によって加熱されて現に塑性化している状態と、回転ツール50が通り過ぎて常温に戻った状態の両方を含むこととする。
その後、回転ツール50は、その回転および移動を継続し、突合部40の短辺40a(図2中、下辺)から長辺40b(図2中、左辺)へと移動する。そして、回転ツール50は、図2の(b)に示すように、長辺40bと第一区画壁15aとの交点19a、および長辺40bと第二区画壁15bとの交点19bを越えて、短辺40c(図2中、上辺)へと移動する。さらに、回転ツール50は、長辺40d(図2中、右辺)へと移り、長辺40dと第二区画壁15bとの交点19cを越えて、長辺40dと第一区画壁15aとの交点19dまで移動する。ここで、回転ツール50は、移動方向を、進行方向の右側(図2中、左側)へ屈曲して変えて、第一区画壁15a上の重合部60に沿って移動する。ここで、重合部60に塑性化領域61が形成される。
重合部60に沿って移動する際は、回転ツール50は、その軸芯が区画壁15の幅方向中心部に位置するようになっている。このとき、図5に示すように、回転ツール50の攪拌ピン52は、その長さ寸法L1が、封止体30の厚さ寸法T1よりも長いため、攪拌ピン52の先端部が支持面17を突き抜けて、ジャケット本体10の区画壁15の内部の奥側(図5中、下方)に入り込む。これによって、回転ツール50によって形成される塑性化領域61の先端部(下端部)が、区画壁15の内部の奥側に深く入り込んで形成されることとなる。また、ショルダー部51の直径寸法R1が、区画壁15の上面の幅寸法W2よりも小さくなっているので、塑性化領域61は、区画壁15上の支持面17の幅の範囲内に形成されることとなり、区画壁15の側面にはみ出すことはない。
その後、図3の(a)に示すように、回転ツール50は、長辺40bと第一区画壁15aとの交点19aに到達したところで、移動方向を、進行方向の右側(図3中、上側)へ屈曲して変えて、長辺40bに沿って移動する。そして、回転ツール50は、長辺40bと第二区画壁15bとの交点19bまで移動したところで、移動方向を、進行方向の右側(図3中、右側)へ屈曲して変えて、第二区画壁15b上の重合部60に沿って移動する。そして、回転ツール50は、長辺40dと第二区画壁15bとの交点19cに到達したところで、さらに移動方向を、進行方向の右側(図3中、下側)へ屈曲して変えて、長辺40dに沿って移動する。
その後、図3の(b)に示すように、回転ツール50は、長辺40dと第一区画壁15aとの交点19dを超えて、短辺40aへと戻り、突合部40を一周する。これによって、回転ツール50は一筆書きの移動軌跡で、突合部40および重合部60上を移動し、塑性化領域41,61を形成することとなる。そして、回転ツール50は、周回状の突合部40に対して常に右回りで移動することとなる。
そして、回転ツール50は、突合部40に沿って一周させた後、一周目の始端54aから一定距離進んだ部分(終端54b)を含む始端部に沿ってさらに移動させる。これによって、回転ツール50の一周目における始端54aと終端54bとがオーバーラップして、塑性化領域41の一部が重複するようになっている。
そして、回転ツール50の、終端54bまでの周回移動が終了したならば、回転ツール50を塑性化領域41(突合部40)から外側に外れたジャケット本体10の壁部14aの上面へと移動させ、壁部14a上の引抜位置55で、回転ツール50を引き抜く。このように、回転ツール50の引抜位置55が、突合部40から外側に外れた位置となっているので、攪拌ピン52の引抜穴56が突合部40に形成されることはない。これにより、ジャケット本体10と封止体30との接合性をさらに高めることができる。なお、ジャケット本体10の周壁14の上面の引抜穴56は、溶接金属を埋める等の加工を行って補修してもよい。
その後、摩擦攪拌で発生したバリを除去する。以上の工程によって、液冷ジャケット1が形成される。
以上の説明したジャケット本体の製造方法およびこの方法によって製造されたジャケット本体10によれば、ジャケット本体10に複数の凹部11を形成しているので、ジャケット本体10が大型化した場合でも、凹部11個々の大きさを小さく抑えることができる。さらに、封止体30は、各凹部11の開口周縁部12aに形成された段差底面16aからなる支持面17上に支持される。これによって、封止体30は、その周縁部31が支持されるだけでなく、内側部分も各区画壁15の上面に当接して重なり合って支持される。したがって、封止体30は、比較的小さい凹部11の周囲の支持面17で矩形状に支持されることとなり、平面性が保持されるので、摩擦攪拌接合時の熱を受けても、変形を抑制することができる。
また、万一、封止体30に反りが発生したとしても、重合部60に沿って回転ツール50を移動させて塑性化領域61を形成する際に、封止体30が区画壁15の上面の支持面17に押し付けられるので、封止体30の反りを緩和できる。
さらに、複数の凹部11,11,11を一枚の封止体30覆うようにしているので、封止体30をジャケット本体10に固定する摩擦攪拌接合の施工手間を軽減でき、施工が容易になる。
また、封止体30の厚さ寸法T1よりも大きい長さ寸法L1の攪拌ピン52を備えた回転ツール50を用いて、摩擦攪拌接合を行っているので、塑性化領域41,61の先端部が、ジャケット本体10の内部の奥側の深い部分まで入り込んで形成される。これによって、塑性化領域41,61の熱収縮による応力をジャケット本体10に分散できる。ここで、ジャケット本体10は、肉厚であるので応力を受けても変形が少ない。また、封止体30へ伝わる応力を少なくできる。したがって、封止体30の変形を抑制することができる。
さらに、区画壁15,15の幅寸法W2が、回転ツール50のショルダー部51の直径寸法R1よりも大きいので、回転ツール50を区画壁15の真上で移動させたときに、塑性化領域61を区画壁15の表面内に形成することができる。これによって、塑性化領域61が区画壁15の側面に露出しないので、区画壁15の表面(支持面17)が凹部11の底壁13側に下がることがなく、回転ツール50の押込み力を区画壁15で確実に支持することができる。よって、封止体30にかかる、回転ツール50の下方への押込み力は区画壁15に支持されるので、封止体30の変形を抑制できる。
また、本実施形態では、回転ツール50を周回状の突合部40に対して右回りに移動させて、右回転させている。特に、本実施形態では、前記のような移動軌跡で回転ツール50を移動させているので、回転ツール50は、突合部40に対して常に右回りで回転することとなる。したがって、薄肉である封止体30がフロー側50aとなり、封止体30側には、空洞欠陥が発生し難い。一方、ジャケット本体10がシアー側50bとなるが、ジャケット本体10は厚肉であるので、ジャケット本体10に対する回転ツール50の外周の相対速さが早くても、メタル不足に陥ることはない。したがって、突合部40におけるメタル不足による空洞欠陥の発生を抑制でき、突合部40の接合強度の低下を防止できる。そして、万一、空洞欠陥が発生したとしても、突合部40よりも外側位置に離反した部分であって、熱輸送流体の流路から離れた位置に発生することとなるので、熱輸送流体が流路から外部に漏れ難く、接合部の密閉性能に影響を及ぼすことはない。
また、回転ツールを突合部40と重合部60に沿って一つの移動軌跡で連続的に移動させて、突合部接合工程および重合部接合工程を連続して行っているので、回転ツール50の押込みや引抜き等の加工操作は1回ずつで済み、回数を軽減できるので、摩擦攪拌接合の作業手間を軽減することができる。
なお、回転ツール50の移動軌跡は、前記の軌跡に限定されるものではなく、回転ツール50が、突合部40に対して常に同一方向回りに移動すればよい。また、回転ツール50の移動は、一筆書きの移動軌跡に限定されるものでもない。
また、本実施形態では、ジャケット本体10の外部と各凹部11,11,11を連通させる貫通孔18a,18bが千鳥状に配置されているので、凹部11と封止体30とで囲まれる冷却水流路の全体に熱輸送流体が攪拌されて均一に流れることになり、効率的な冷却を行うことができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について、図6を参照して説明する。
かかる実施形態は、図6の(a)に示すように、第1実施形態の回転ツール50で塑性化領域41(図6の(b)参照),61を形成する工程に先立って、ジャケット本体10の段差側面16bと封止体30の外周面30aとの突合部40の一部を回転ツール50よりも小型の仮接合用回転ツール70を用いて仮接合することを特徴とする。仮接合を行った後に、回転ツール50を用いて第1実施形態と同様の本接合を行う(図6の(b)参照)。なお、第1実施形態と同様の構成は、同じ符号を付してその説明を省略する。
仮接合用回転ツール70は、回転ツール50の攪拌ピン52よりも小径の攪拌ピン(図示せず)を備えており、形成される塑性化領域71は、後の工程で回転ツール50によって形成される塑性化領域41(図6の(b)参照)の幅よりも小さい幅を有することとなる。これによって、仮接合における塑性化領域71は、塑性化領域41で完全に覆われることとなるので、塑性化領域71に残った仮接合用回転ツール70の引抜穴および塑性化領域71の跡が残らない。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、突合部40が長方形(矩形環状)を呈しており、仮接合用回転ツール70で突合部40を仮接合する工程において、突合部40の一方の対角44a,44b同士を先に仮接合した後に、他方の対角44c,44d同士を仮接合するようになっている。このような順序で仮接合することで、封止体30をバランスよくジャケット本体10に仮接合することができ、封止体30のジャケット本体10に対する位置決め精度が向上するとともに、封止体30の変形を防止できる。また、封止体30の仮接合を行ったことによって、回転ツール50による本接合時の封止体30のズレを防止でき、接合部の密閉性能をより一層向上させることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について、図7を参照して説明する。
かかる実施形態は、図7の(a)に示すように、第1実施形態の回転ツール50で塑性化領域41(図7の(b)参照),61を形成する工程に先立って、ジャケット本体10の段差側面16bと封止体30の外周面30aとの突合部40の一部を回転ツール50よりも小型の仮接合用回転ツール70を用いて仮接合することを特徴とする。ここでの仮接合は、第2実施形態が、長方形の突合部40の角部を摩擦攪拌接合しているのに対して、各辺の中間部を摩擦攪拌接合することによって直線状に行われている。具体的には、突合部40が長方形(矩形環状)を呈しており、仮接合用回転ツール70で突合部40を仮接合する工程において、突合部40の一方の対辺である短辺40a,40cの中間部45a,45c同士を先に仮接合した後に、他方の対辺である長辺40b,40dの中間部45b,45d同士を仮接合するようになっている。このとき仮接合用回転ツール70で形成される塑性化領域72は、それぞれ同じ長さの直線状になるようになっている。
本実施形態では、前記のような順序で仮接合することで、封止体30をバランスよくジャケット本体10に仮接合することができ、封止体30のジャケット本体10に対する位置決め精度が向上するとともに、封止体30の変形を防止できる。また、封止体30の仮接合を行ったことによって、回転ツール50による本接合時の封止体30のズレを防止できる。さらに、本実施形態によれば、仮接合の摩擦攪拌接合が直線状であるので、仮接合用回転ツール70を直線的に移動させるだけでよく、加工が容易である。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について、図8および図9を参照して説明する。
かかる実施形態は、第1実施形態における回転ツール50の移動が、一筆書きの移動軌跡となっているのに対して、図8の(a)に示すように、回転ツール50を突合部40に沿って一周させて引き抜いた後に、図8の(b)に示すように、回転ツール75を第一区画壁15a上の重合部60、および第二区画壁15b上の重合部60をそれぞれ別途に移動させるようになっている。すなわち、本実施形態では、突合部接合工程を行った後に、重合部接合工程を行うことになる。
以下に、回転ツール50,75の動きを具体的に説明する。なお、以下に記載する符号で第1実施形態と同じ符号は、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
(突合部接合工程)
まず、回転ツール50を回転させながら挿入位置53に挿入する。回転ツール50の挿入位置53は、図8の(a)に示すように、突合部40から外側に外れた周壁14の上面となっている。
その後、回転ツール50を、挿入位置53から突合部40の真上位置(回転ツール50の軸芯が突合部40上になる位置)へ回転させながら移動させる。回転ツール50が突合部40の真上位置まで移動したならば、回転ツール50の中心(軸芯)が突合部40に沿って移動するように移動方向を変えて、回転ツール50を移動させる。このとき、回転ツール50のフロー側50aに、封止体30が位置するように、回転ツール50を回転、移動させる。具体的には、回転ツール50を周回状の突合部40に対して右回りに移動(図8中、矢印Y1参照)させ、回転ツール50を右回転(図8中、矢印Y2参照)させる。なお、回転ツール50を突合部40に対して左回りに移動させるときは、回転ツール50を左回転させることとなる。
その後、回転ツール50は、その回転および移動を継続し、突合部40の短辺40a(図8中、下辺)から長辺40b(図8中、左辺)、短辺40c(図8中、上辺)、長辺40d(図8中、右辺)の順に移動する。そして、回転ツール50は、そのまま回転を継続し、短辺40aへと戻り、突合部40を一周する。これによって、回転ツール50は突合部40上を移動し、塑性化領域41を形成することとなる。
そして、回転ツール50は、突合部40に沿って一周させた後、一周目の始端54aから一定距離進んだ部分(終端54b)を含む始端部に沿ってさらに移動させる。これによって、回転ツール50の一周目における始端54aと終端54bとがオーバーラップして、塑性化領域41の一部が重複するようになっている。
その後、回転ツール50の、終端54bまでの周回移動が終了したならば、回転ツール50を塑性化領域41(突合部40)から外側に外れたジャケット本体10の壁部14aの上面へと移動させ、壁部14a上の引抜位置55で、回転ツール50を引き抜く。なお、ジャケット本体10の周壁14の上面の引抜穴56は、溶接金属を埋める等の加工を行って補修してもよい。
(重合部接合工程)
続いて、重合部60に沿って回転ツール75(図9参照)を移動させて塑性化領域62を形成する重合部接合工程を行う。図9に示すように、本実施形態の重合部接合工程で用いられる回転ツール75は、突合部接合工程で用いられる回転ツール50とは別のものであって、そのショルダー部76の直径寸法R3が、突合部接合工程で用いられる回転ツール50(図4参照)のショルダー部51の直径寸法R1よりも大きいものが用いられる。但し、回転ツール75のショルダー部76の直径寸法R3は、区画壁15の上面の幅寸法W2よりも小さい。回転ツール75の攪拌ピン77は、封止体30の厚さ寸法T1よりも長くなっており、回転ツール50の攪拌ピン52と同等の長さ寸法L1を有している。
図8の(b)に示すように、まず、回転ツール75を、突合部40から外側に外れたジャケット本体10の周壁14(壁部14d)の上面に設定された挿入位置78に、回転させながら挿入する。この挿入位置78は、区画壁15の幅方向中間に位置する軸芯の延長線上に設定されている。その後、回転ツール75を、その位置から突合部40(長辺40b)側へ移動させた後、突合部40を横断させて、第一区画壁15a上(または第二区画壁15b上)を重合部60に沿って移動させる。そして、回転ツール75を、さらに移動させて、反対側の突合部40(長辺40d)を横断させて、挿入位置78とは反対側で突合部40から外側に外れたジャケット本体10の周壁14(壁部14c)の上面に設定された引抜位置79まで移動させ、その引抜位置79で引き抜く。なお、ジャケット本体10の周壁14の上面の引抜穴80は、溶接金属を埋める等の加工を行って補修してもよい。
本実施形態によれば、重合部接合工程で用いられる回転ツール75(図9参照)のショルダー部76の直径寸法R3が、突合部接合工程で用いられる回転ツール50のショルダー部51の直径寸法R1よりも大きいので、重合部60における塑性化領域62の幅が大きくなる。したがって、封止体30と区画壁15との接合面積が大きくなり、接合強度が高くなる。そして、液密性を高めることができるとともに、封止体30の変形をより一層抑制することができる。
また、本実施形態では、突合部接合工程を完了した後に、重合部接合工程を別工程として行っているので、凹部11が多数形成された場合であっても、回転ツール50,75の移動軌跡を単純な形状にすることができ、摩擦攪拌接合の作業手間を軽減することができる。さらに、本実施形態では、第1実施形態と同等の作用効果のうち、回転ツール50を一筆書きの移動軌跡で移動させることによって得られる作用効果を除いた作用効果を得ることができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る液冷ジャケットについて、図10を参照して説明する。
かかる実施形態は、第1実施形態におけるジャケット本体10の凹部11がその長手方向に沿って隣り合って形成されているのに対して、図10に示すように、凹部111が、ジャケット本体110の短手方向(図10中、Y軸方向)に沿って隣り合うように形成されている。凹部111は、ジャケット本体110の長手方向に延在して形成されており、長方形を呈している。凹部111は、本実施形態では3つ形成されており、隣り合う凹部111,111間には、これらを区画する区画壁115が形成されている。凹部111の上部には封止体(図示せず)が設けられ、摩擦攪拌接合によって、ジャケット本体110に固定される。封止体は、第1実施形態と同様に、3つの凹部111,111,111を覆うように配置される。
ジャケット本体110の凹部111,111,111の周囲の周壁114は、ジャケット本体110の長手方向(図10中、X軸方向)の両端に位置する一対の壁部114a,114bと、短手方向(図10中、Y軸方向)の両端に位置する一対の壁部114c,114dとで構成されている。一対の壁部114a,114bは、ともにY軸方向に延在して、X軸方向に所定の距離を隔てて互いに平行に形成されている。一対の壁部114c,114dは、ともにX軸方向に延在して、Y軸方向に所定の距離を隔てて互いに平行に形成されている。
壁部114a,114bには、凹部111に冷却水を流通させるための貫通孔118a,118aがそれぞれ形成されている。壁部114aに形成される貫通孔118aは、隣り合う凹部111,111,111のうち、一端(例えば図10中、右端)の凹部111に開口するように形成されている。壁部114bに形成される貫通孔118aは、隣り合う凹部111,111,111のうち、他端(例えば図10中、左端)の凹部111に開口するように形成されている。貫通孔118aは、それぞれX軸方向に延在して、円形断面を有し、凹部111の深さ方向中間部に形成されている。
また、区画壁115,115には、隣り合う凹部111,111間で冷却水を流通させるための貫通孔118b,118bがそれぞれ形成されている。貫通孔118bは、一の区画壁115に対して、長手方向両端の近傍にそれぞれ2箇所ずつ形成されている。貫通孔118bは、それぞれY軸方向に延在して、円形断面を有し、凹部111の深さ方向中間部に形成されている。なお、貫通孔118a,118bの形状、数および形成位置は、これに限られるものではなく、冷却水の種類や流量に応じて適宜変更可能である。なお、その他の構成については、第1実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
以上のように配置された貫通孔118a,118bによれば、冷却水は、図10中、矢印にて示すように、壁部114aに形成された貫通孔118aから、図10中、右端の凹部111に流れ込む。そして、一部の冷却水が凹部111の長手方向に沿って流れ、その他の冷却水が貫通孔118bを介して他の凹部111,111へと流れる。そして他の凹部111,111へ流れた冷却水は、その長手方向に沿って流れる。図10中、左端の凹部111を除く他の凹部111,111内で壁部114b側へ流れた冷却水は、壁部114b側の貫通孔118bを介して左端の凹部111へと流れ込む。左端の凹部111へと流れ込んだ冷却水は、最終的に壁部114bに形成された貫通孔118aから流れ出る。すなわち、区画壁115に形成された貫通孔118bが、各凹部111,111,111に冷却水を流すヘッダ部の役目を果たしている。
本実施形態における液冷ジャケットの製造方法および回転ツールの移動軌跡は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、回転ツールの移動軌跡は、一筆書きに限定されるものではなく、第4実施形態のように、回転ツールを突合部に沿って移動させた後に、別工程で重合部に沿って移動させるようにしてもよい。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係る液冷ジャケットについて、図11および図12を参照して説明する。
かかる実施形態は、第1実施形態におけるジャケット本体10の凹部11がその長手方向に沿って直列配置されて3つ形成されているのに対して、図11に示すように、凹部211が、ジャケット本体210の長手方向(図11中、X軸方向)に沿って2つ形成されている。隣り合う2つの凹部211,211間には、これらを区画する区画壁215が形成されている。凹部211の上部には封止体230が設けられ、摩擦攪拌接合によって、ジャケット本体210に固定される。封止体230は、2つの凹部211,211を一体で覆うように配置される。
ジャケット本体210の凹部211,211の周囲の周壁214は、ジャケット本体210の長手方向(図11中、X軸方向)の両端に位置する一対の壁部214a,214bと、短手方向(図11中、Y軸方向)の両端に位置する一対の壁部214c,214dとで構成されている。一対の壁部214a,214bは、ともにY軸方向に延在して、X軸方向に所定の距離を隔てて互いに平行に形成されている。一対の壁部214c,214dは、ともにX軸方向に延在して、Y軸方向に所定の距離を隔てて互いに平行に形成されている。
壁部214c,214dには、凹部211に冷却水を流通させるための貫通孔218,218がそれぞれ形成されている。本実施形態では、貫通孔218は、凹部211ごとに壁部214c,214dの両方に形成されており、冷却水の流路が、凹部211,211で別個に形成されている。貫通孔218は、それぞれY軸方向に延在して、円形断面を有し、凹部211の深さ方向中間部に形成されている。なお、その他の構成については、第1実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
次に本実施形態における突合部接合工程および重合部接合工程について説明する。なお、その他の工程については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態では、図12に示すように、回転ツール50を突合部40および重合部60に沿って、一筆書きの要領で、一つの移動軌跡で連続的に移動させて、封止体30をジャケット本体10に接合する。なお、前記構成によれば、突合部接合工程の後に重合部接合工程が連続して施工されることになる。
以下に、回転ツール50の動きを具体的に説明する。図12の(a)に示すように、まず、回転ツール50を回転させながら挿入位置253に挿入する。回転ツール50の挿入位置253は、突合部240から外側に外れた周壁214(壁部214d)の上面となっている。挿入位置253は、後記する周回移動の始端254aが、区画壁15と突合部240との交点219aよりも回転ツール50の移動方向の上流側に所定間隔あけた場所になるように、位置が決定されている。
その後、回転ツール50を、挿入位置253から突合部240の真上位置(回転ツール50の軸芯が突合部240上になる位置)へ回転させながら移動させる。回転ツール50が突合部240の真上位置まで移動したならば、回転ツール50の中心(軸芯)が突合部240に沿って移動するように移動方向を変えて、回転ツール50を移動させる。回転ツールが移動方向を変えた位置が、周回移動の始端254aとなる。回転ツール50は、区画壁215と突合部240との交点219aに向かう方向に移動方向を変える。このとき、回転ツール50のフロー側50aに、封止体230が位置するように、回転ツール50を回転、移動させる。具体的には、回転ツール50を周回状の突合部240に対して右回りに移動(図12中、矢印Y1参照)させ、回転ツール50を右回転(図12中、矢印Y2参照)させる。なお、回転ツール50を突合部240に対して左回りに移動させるときは、回転ツール50を左回転させることとなる。
その後、回転ツール50は、その回転および移動を継続し、突合部240の長辺240a(図12中、下辺)上を移動して、区画壁215と突合部240との交点219aを通過した後、短辺240b(図12中、左辺)、長辺240c(図12中、上辺)、短辺240d(図12中、右辺)の順に移動する。そして、回転ツール50は、そのまま回転を継続し、長辺240aへと戻り、突合部240を一周する。これによって、回転ツール50は突合部240上を移動し、塑性化領域41を形成することとなる。
そして、回転ツール50は、突合部240に沿って一周させた後、一周目の始端254aから一定距離進んだ部分(終端254b)を含む始端部に沿ってさらに移動させる。これによって、回転ツール50の一周目における始端254aと終端254bとがオーバーラップして、塑性化領域41の一部が重複するようになっている。
本実施形態では、終端254bは、区画壁215と突合部240(長辺240a)との交点219aと同じ位置である。その後、回転ツール50の終端254b(交点219a)までの周回移動が終了したならば、回転ツール50の移動方向を、進行方向の右側(図12中、上側)へ屈曲して変えて、区画壁215上の重合部260に沿って移動する。ここで、重合部260に塑性化領域61が形成される。重合部260に沿って移動する際は、回転ツール50は、その軸芯が区画壁215の幅方向中心部に位置するようになっている。
回転ツール50を、重合部260に沿ってさらに移動させて、区画壁215と突合部240(長辺240c)との交点219b上を通過して、反対側の突合部240(長辺240c)を横断させて、突合部240から外側に外れたジャケット本体210の周壁214の上面に設定された引抜位置255まで移動させ、その引抜位置255で引き抜く。なお、ジャケット本体210の周壁214の上面の引抜穴256は、溶接金属を埋める等の加工を行って補修してもよい。
本実施形態によれば、回転ツール50を突合部240と重合部260に沿って一つの移動軌跡で連続的に移動させて、突合部接合工程および重合部接合工程を連続して行っているので、回転ツール50の押込みや引抜き等の加工操作は1回ずつで済み、回数を軽減できるので、摩擦攪拌接合の作業手間を軽減することができる。さらに、この作用効果と同時に、回転ツール50の移動軌跡が重複せず、移動軌跡を単純な形状にすることができるので、摩擦攪拌接合の作業手間をさらに軽減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であり、例えば、前記実施形態では、封止体30が平面視略長方形であるが、これに限定されるものではなく、多角形や円形等の他の形状であってもよい。さらに、凹部の形状、数や配列形状も前記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
また、前記実施形態では、回転ツールを突合部に対して一周させて、摩擦攪拌接合を行っているが、これに限定されるものではなく、突合部に対して複数周移動させるようにしてもよい。複数周移動させる際には、回転ツールを塑性化領域の外周側へ偏移させて移動させればよい。これによれば、シアー側が再攪拌されて空洞欠陥の発生を軽減できる。
さらに、前記の実施形態では、攪拌ピン付きの回転ツール50を利用して摩擦攪拌接合を実施しているが、封止体が薄い場合には、ピンなしの回転ツールを利用するようにしてもよい。
1 液冷ジャケット
10 ジャケット本体
11 凹部
12 開口部
12a 開口周縁部
15 区画壁
16a 段差底面
16b 段差側面
17 支持面
30 封止体
30a 外周面
30b 下面
31 (封止体の)周縁部
40 突合部
41 塑性化領域
50 回転ツール
51 ショルダー部
52 攪拌ピン
60 重合部
61 塑性化領域
62 塑性化領域
75 回転ツール
76 ショルダー部
77 攪拌ピン
L1 攪拌ピンの長さ寸法
R1 ショルダー部(51)の直径寸法
R2 ショルダー部(51)の半径寸法
R3 ショルダー部(76)の直径寸法
T1 封止体の厚さ寸法
W1 突合部における支持面の幅寸法
W2 重合部における支持面の幅寸法
110 ジャケット本体
111 凹部
115 区画壁
210 ジャケット本体
211 凹部
230 封止体
240 突合部
260 重合部

Claims (11)

  1. 熱発生体が発生する熱を外部に輸送する熱輸送流体が流れるとともに同一面に向かって開口した複数の凹部を、ジャケット本体に形成する凹部形成工程と、
    前記ジャケット本体の複数の前記凹部の開口部の開口周縁部に、前記ジャケット本体の表面より下がった段差底面からなる支持面を、複数の前記凹部の開口部に跨るように面一で形成する段差形成工程と、
    前記支持面に、複数の前記凹部を覆うように封止体を載置して、前記ジャケット本体の段差側面と前記封止体の外周面とを突き合わせるとともに、隣り合う前記凹部同士を区画する区画壁の上面と前記封止体の下面とを重ね合わせる封止体載置工程と、
    前記ジャケット本体の前記段差側面と前記封止体の外周面との突合部の全周に沿って摩擦攪拌接合用の回転ツールを移動させて塑性化領域を形成する突合部接合工程と、
    前記区画壁の上面と前記封止体の下面との重合部に沿って前記回転ツールを移動させて塑性化領域を形成する重合部接合工程と、を備えており、
    前記回転ツールを前記突合部と前記重合部に沿って一つの移動軌跡で連続的に移動させ、前記突合部接合工程および前記重合部接合工程を連続して行うとともに、一の前記重合部における前記回転ツールの移動軌跡が重複せずに一本となるように前記回転ツールを移動させる
    ことを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。
  2. 熱発生体が発生する熱を外部に輸送する熱輸送流体が流れるとともに同一面に向かって開口した複数の凹部を、ジャケット本体に形成する凹部形成工程と、
    前記ジャケット本体の複数の前記凹部の開口部の開口周縁部に、前記ジャケット本体の表面より下がった段差底面からなる支持面を、複数の前記凹部の開口部に跨るように面一で形成する段差形成工程と、
    前記支持面に、複数の前記凹部を覆うように封止体を載置して、前記ジャケット本体の段差側面と前記封止体の外周面とを突き合わせるとともに、隣り合う前記凹部同士を区画する区画壁の上面と前記封止体の下面とを重ね合わせる封止体載置工程と、
    前記ジャケット本体の前記段差側面と前記封止体の外周面との突合部に沿って摩擦攪拌接合用の回転ツールを一周させて塑性化領域を形成する突合部接合工程と、
    前記区画壁の上面と前記封止体の下面との重合部に沿って摩擦攪拌接合用の回転ツールを移動させて塑性化領域を形成する重合部接合工程と、を備えており、
    前記突合部接合工程を完了した後に、前記重合部接合工程を別工程として行うとともに、
    前記重合部接合工程において、摩擦攪拌接合用の回転ツールの挿入位置を前記突合部から外側に外れたジャケット本体の周壁の上面に設定するとともに、当該回転ツールの引抜位置を前記挿入位置とは反対側で前記突合部から外側に外れたジャケット本体の周壁の上面に設定し、一の前記重合部における当該回転ツールの移動軌跡が重複せずに一本となるように当該回転ツールを移動させる
    ことを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。
  3. 前記突合部接合工程および前記重合部接合工程で用いられる前記回転ツールは、前記封止体の厚さ寸法よりも大きい長さ寸法の攪拌ピンを備えている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  4. 前記突合部接合工程で用いられる前記回転ツールは、そのショルダー部の半径寸法が前記突合部における前記支持面の幅寸法よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  5. 前記重合部接合工程で用いられる前記回転ツールは、そのショルダー部の直径寸法が前記重合部における前記支持面の幅寸法よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  6. 前記重合部接合工程で用いられる前記回転ツールは、記突合部接合工程で用いられる前記回転ツールとは別のものであって、そのショルダー部の直径寸法が前記突合部接合工程で用いられる前記回転ツールのショルダー部の直径寸法よりも大きい
    ことを特徴とする請求項2に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  7. 前記区画壁には、隣り合う凹部間で冷却水を流通させるための貫通孔が形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  8. 前記突合部接合工程において、前記回転ツールを周回状の前記突合部に対して右回りに移動させるときは、前記回転ツールを右回転させ、
    前記回転ツールを前記突合部に対して左回りに移動させるときは、前記回転ツールを左回転させる
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  9. 前記突合部接合工程および前記重合部接合工程で前記塑性化領域を形成する工程に先立って、前記突合部の一部を前記回転ツールよりも小型の仮接合用回転ツールを用いて仮接合する仮接合工程を、さらに備えた
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  10. 前記突合部が矩形枠状を呈しており、
    前記仮接合工程において、前記突合部の一方の対角同士を先に仮接合した後に、他方の対角同士を仮接合する
    ことを特徴とする請求項9に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  11. 前記突合部が矩形枠状を呈しており、
    前記仮接合工程において、前記突合部の一方の対辺の中間部同士を先に仮接合した後に、他方の対辺の中間部同士を仮接合する
    ことを特徴とする請求項9に記載の液冷ジャケットの製造方法。
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