JP5167604B2 - 撮像装置 - Google Patents
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本発明の目的は、撮影用の撮像素子に焦点検出用の画素を配置せずに、その撮像素子を利用して高速に焦点検出を行える撮像装置を提供することにある。
また、上記の撮像装置において、前記撮像素子の前記異なる領域に形成される前記複数の被写体像には、前記撮影用の被写体像と同じ結像状態の被写体像が含まれる他に、前記撮影用の被写体像とは結像状態が僅かに異なる被写体像が含まれることが好ましい。
ここでは、本実施形態の撮像装置について図1の一眼レフタイプのデジタルカメラ10を例に説明する。
デジタルカメラ10には、撮影光学系11の像面側に、クイックリターンミラー12と、焦点検出用の分離光学系(13,14)と、撮影用の撮像素子15と、ファインダ光学系16とが配置される。さらに、デジタルカメラ10の全体的な制御を行うため、制御部17が設けられる。
分離光学系(13,14)は、クイックリターンミラー12と撮像素子15との間に配置され、例えばクイックリターンミラー12の裏面に対して傾けて設置され、その傾き角度が変更可能となっている。ただし、クイックリターンミラー12とは独立に分離光学系(13,14)を配置してもよい。
クイックリターンミラー12の裏面に設置された分離光学系(13,14)をミラーアップに連動して撮影光学系11の光路から退避させるときには、ミラーアップの最中(または前後)に、クイックリターンミラー12の裏面に対する分離光学系(13,14)の傾き角度の変更動作が行われる。すなわち、その傾き角度を小さくして、分離光学系(13,14)をクイックリターンミラー12の裏面に接近させ、両者が略平行な一体化した状態(図1の点線の状態)で変更動作が停止される。
このように、被写体の撮影時には、撮影光学系11の光路からクイックリターンミラー12と分離光学系(13,14)とが退避するため、所定のタイミングで不図示のシャッタが開放されると、被写体からの光は、撮影光学系11を通過した後、そのまま直進して撮像素子15の撮像面に入射する。この撮像面には、撮影光学系11の集光作用により被写体の光学像が形成される。
撮像素子15には、CCDセンサを用いても構わないが、高速に部分読み出しが可能なCMOSセンサを用いる方がより好ましい。CMOSセンサの場合、各々の画素にて生成された信号電荷は画素アンプや信号線などを介してXYアドレス方式で外部に読み出される。撮像素子15の読み出し動作や撮像素子15からの出力信号の処理(撮影時や焦点検出時の演算処理など)は、制御部17が行う。
このため、撮影光学系11を通過して撮像素子15に向かう集光光は、その一部(光量の約半分)がクイックリターンミラー12で反射した後、ファインダ光学系16に導かれる。ファインダ光学系16では、撮影光学系11の集光作用による被写体像がスクリーンに形成され(図2)、そこでの透過光がペンタプリズムと接眼レンズとを介して撮影者の眼に導かれる。
分離光学系(13,14)について具体的に説明する。
AF絞り13は、焦点検出エリアを設定するための部材であり、図3に示す通り、円形状の開口部3Aを有する。また、本実施形態では、開口部3Aの中心3Bを撮影光学系11の光軸と略一致させ、図4(a)に示す通り、焦点検出エリア20を視野中心2A(撮影光学系11の光軸)の近傍エリアに設定している。
また、AF絞り13の配置は、分離光学系(13,14)を撮影光学系11の光路から退避させたときに、焦点検出エリア20の各部(図4(a)の視野中心2A,上部2B,下部2Cなど)から発生する光(図4(b)に示す光LA,LB,LCなど)に対して、次のようになっている。
また、焦点検出エリア20の上部2Bから発生した光LBは、その主光線が撮影光学系11の光軸に対して斜めであり、撮影光学系11の射出瞳の各部を通過して、撮像素子15の撮像面の中心部2A'より下方の部分2B'に向けて集光する光となる。焦点検出エリア20の下部2Cから発生した光LCも同様であり、撮影光学系11の射出瞳の各部を通過し、撮像面の中心部2A'より上方の部分2C'に向けて集光する光となる。
プリズム4A,4B,4C,4Dには、AF絞り13の開口部3Aからの光(図6(b)に示す光LAの全体,光LBの上部,光LCの下部)が入射する側に所定のパワーを持つレンズ面が形成され、その反対側にプリズム面が形成されている。
また、各々のプリズム面は、プリズム4A,4B,4C,4Dの接合部(分離プリズム14の中心部4E)から周辺に向かうほど撮像素子15に近づく方向に傾斜した平面であり、その頂角θが何れも等しい。
以下の説明では、便宜上、分離プリズム14の中心部4Eに対するプリズム4Aの位置を左上という。また同様に、プリズム4B,4C,4Dの位置をそれぞれ右上,左下,右下という。さらに、AF絞り13の開口部3Aを、プリズム4A,4B,4C,4Dの各々に対応する4つの領域に分けて考え、各々の領域を左上領域,右上領域,左下領域,右下領域ということにする。
プリズム4A,4B,4C,4Dのプリズム面は、何れも、分離プリズム14の中心部4Eから周辺に向かうほど撮像素子15に近づくように傾斜しているため、上記の光L1〜L4は、各々のプリズム面により撮影光学系11の光軸から離れる方向に偏向して互いに分離され、異なる方向に進行することになる。そして、撮像素子15の撮像面の異なる領域に導かれ、図8(a)に示す4つの被写体像31〜34となる。
また、撮像素子15の撮像面における4つの被写体像31〜34は、何れも、分離プリズム14が配置されないときに形成される1つの被写体像23(図6(c))の位置から約3.5mmだけシフトして形成される(D4=3.5mm)。このとき、4つの被写体像31〜34の間隔(D5)は約5mmとなる。
左上の被写体像31は、開口部3Aの左上領域とプリズム4Aとを通過した光L1(図7(b)参照)(図6(b)の光LA,LCの一部を含む)による焦点検出エリア20(図4(a))の像である。ただし、光L1には、焦点検出エリア20の中心部(2A)と下部2Cから発生した光LA,LCの一部が含まれ、上部2Bから発生した光LBは含まれない。
このような理由で、4つの被写体像31〜34の各々の大きさ(D6)は、分離プリズム14がないときの被写体像23(D3=4mm)より小さくなる。したがって、4つの被写体像31〜34の間隔(D5)を被写体像23の大きさ(D3)以上とし、例えば約5mmとすれば、各々の被写体像31〜34を互いに十分に分離することができる。
被写体像31〜34を十分に分離するためには、分離プリズム14のプリズム4A,4B,4C,4Dの各プリズム面における偏向角ψ(または頂角θ)と、AF絞り13の開口部3Aを撮像素子15から見た大きさ(または開口部3AのサイズD2,撮像素子15からAF絞り13までの距離D1)を適切に設定することが必要である。本実施形態では、その一例として、偏向角ψを14.3度、開口部3Aの見た目の大きさをf5.6程度にした。
さらに、光LAのうち射出瞳の右上領域を通過した成分は、開口部3Aの右上領域とプリズム4Bとを介して被写体像32の一部となる。同様に、光LAのうち射出瞳の左下領域と右下領域とを通過した各々の成分は、開口部3Aの対応領域とプリズム4C,4Dとを介して被写体像33,34の一部となる。
同様に、焦点検出エリア20の上部2Bから発生した光LBに注目すると、この光LBは、分離光学系(13,14)を通過する際、射出瞳における通過位置に応じて2つの異なる方向の光に分離され、撮像素子15の撮像面の異なる領域に導かれ、被写体像33,34の一部となる。
このように、分離光学系(13,14)を介して形成される4つの被写体像31〜34は、撮影光学系11の射出瞳における通過位置に応じて分割された像と考えられる(瞳分割)。したがって、被写体像31〜34の一部分(特に境界付近)には、焦点検出エリア20の同じ部分に対応する共通の絵柄が現れる(例えば図8(a)に示す小さい円形状の点ハッチング部分)。
4つの被写体像31〜34は、何れも、撮影光学系11の集光作用と分離プリズム14のプリズム4A,4B,4C,4Dの各レンズ面の集光作用によって形成される。このため、被写体像31〜34の結像状態は、プリズム4A,4B,4C,4Dの各レンズ面のパワーに応じて変化する。
このため、分離光学系(13,14)を光路に挿入したときに被写体像31〜34の各々の結像状態が図9(a),(b)のようになっていれば、分離光学系(13,14)を光路から退避させ、撮影光学系11の集光作用のみを働かせたとき(つまり被写体の撮影時)に、被写体からの光L5は撮像面に結像し、鮮明な合焦状態の被写体像35(撮影用)を得ることができる。
焦点検出の際には、撮像素子15の撮像面における4つの被写体像31〜34の各々のコントラストを評価値として用いる。例えば、被写体像31〜34の結像状態が図9(a),(b)のようであれば、各々のコントラスト評価値は、図9(c)に示す通り、被写体像33,34で最も高く、その他の被写体像31,32で低くなる。これは、上記したように、撮影光学系11のデフォーカス量がゼロの状態である。
例えば図10の場合には、被写体像32のコントラスト評価値が最も高いため、被写体像32の形成に関わる光L2の結像位置と目標である被写体像33,34の形成に関わる光L3,L4の結像位置とのずれ量(既知)に基づいて、撮影光学系11のデフォーカスの量と方向を求める。
そして、求めたデフォーカスの量と方向に応じて、撮影光学系11の合焦機構部(不図示)を駆動し、図9に示すように被写体像33,34を撮像面に略合焦させる。このとき、被写体像33,34のコントラスト評価値が最大となり、分離光学系(13,14)を光路から退避させたときに、鮮明な合焦状態の被写体像35(撮影用)を撮像面に形成することができる。
さらに、本実施形態のデジタルカメラ10では、プリズム4C,4D(共にレンズ面が略平面)に対応する被写体像33,34(結像状態が同じ像)を比較することで、より精密なAFも可能である。この場合、焦点検出の方式としては、瞳分割位相差方式を用いることが考えられる。
2つの被写体像33,34が分離プリズム14によって理想的に分離される間隔は既知であるため、この理想的な間隔と実際の被写体像33,34のコントラストピークの間隔(図12(a),(b)の距離D7,D8)とを比較して、その大小関係から、微細なデフォーカスの量と方向を求めればよい(図12(c))。そして、撮影光学系11の合焦機構部を微調整して撮像面に正確に合焦させる。
また、本実施形態では、撮像素子15上で複数の画像を取得して焦点検出を行うため、焦点検出の際には、撮像素子15によるライブビュー機能を使用できない。逆に、ライブビュー機能による観察を優先すると、本実施形態の高速焦点検出を行うことができない。ライブビュー機能による観察時には高速焦点検出の必要性が極めて低いため、分離光学系(13,14)を光路から退避させて、従来より周知の撮像素子15によるコントラスト方式で焦点検出を行えばよい。この場合、撮影光学系11を動かしながら焦点の異なる複数枚の画像を連続的に取得し、焦点検出エリアでデフォーカスの量と方向を求め、被写体像のコントラストが最大となるように撮影光学系11を追従させる。複数枚の画像を取得するため、焦点検出に時間が掛かるが、確実に焦点検出を行うことができる。
(変形例)
上記した実施形態では、瞳分割位相差方式によって高精度な焦点検出(図12)を行うために、分離プリズム14の2つのプリズム4C,4Dのレンズ面を共に略平面にしたが、本発明はこれに限定されない。プリズム4Aと同様の凸面(またはプリズム4Bと同様の凹面)を2つ設け、同じ結像状態の2つの被写体像を形成し、それらを使って瞳分割位相差方式による高精度な焦点検出を行ってもよい。この場合でも、同じ結像状態の2つの被写体像を比較するため、瞳分割位相差方式による微調整を良好に行える。ただし、瞳分割位相差方式では2つのレンズ面に付加するパワーを小さくする方が好ましい。
さらに、上記した実施形態では、AF絞り13に1つの開口部3Aを設けて、撮影光学系11の光軸上の1箇所に焦点検出エリア20を設定したが、本発明はこれに限定されない。開口部3Aの中心3Bを軸外に位置決めして焦点検出エリアを軸外に設定してもよい。また、分離光学系(13,14)の挿入場所や撮像素子15の撮像面における被写体像の形成領域が許せば、AF絞り13に複数の開口部を設けて、複数の焦点検出エリアを設定してもよい。
また、上記した実施形態では、一眼レフタイプのデジタルカメラ10を例に説明したが、コンパクトタイプのデジタルカメラやビデオカメラなどにも本発明を適用できる。
Claims (4)
- 撮影光学系の像面側に配置される撮像素子と、
前記撮影光学系を通過して前記撮像素子に向かう集光光を、前記撮影光学系の射出瞳における通過位置に応じて複数の方向の光に分離すると共に、該複数の光のうち少なくとも1つの光を前記複数の光のうちの他の光と異なる集光状態に設定する少なくとも2つの異なるパワーを持つレンズ面を有し、前記複数の光を前記撮像素子の異なる領域に導く分離光学系と、
前記分離光学系を駆動して、被写体の撮影時には前記集光光の光路から退避させ、前記撮影光学系の焦点検出時には前記光路に挿入する駆動手段と、
前記分離光学系が前記光路に挿入されたときに、前記分離光学系と前記撮影光学系とを介して前記撮像素子の前記異なる領域に形成される複数の被写体像の結像状態に基づいて、前記撮影光学系の焦点検出を行う検出手段とを備えた
ことを特徴とする撮像装置。 - 請求項1に記載の撮像装置において、
前記分離光学系と前記撮影光学系とを介して前記撮像素子の前記異なる領域に形成される前記複数の被写体像のうち少なくとも1つは、前記分離光学系が前記光路から退避されたときに前記撮影光学系を介して前記撮像素子に形成される撮影用の被写体像と同じ結像状態である
ことを特徴とする撮像装置。 - 請求項2に記載の撮像装置において、
前記撮像素子の前記異なる領域に形成される前記複数の被写体像には、前記撮影用の被写体像と同じ結像状態の被写体像が含まれる他に、前記撮影用の被写体像とは結像状態が僅かに異なる被写体像が含まれる
ことを特徴とする撮像装置。 - 請求項1に記載の撮像装置において、
前記分離光学系と前記撮影光学系とを介して前記撮像素子の前記異なる領域に形成される前記複数の被写体像のうち少なくとも2つは、互いに同じ結像状態であり、かつ、前記分離光学系が前記光路から退避されたときに前記撮影光学系を介して前記撮像素子に形成される撮影用の被写体像と同じ結像状態である
ことを特徴とする撮像装置。
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