JP5167485B2 - メチルシトシンの簡便検出法 - Google Patents

メチルシトシンの簡便検出法 Download PDF

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Description

本発明は、DNA試料中の目的塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを判定するメチルシトシン検出方法、及びそれに用いるプローブ、キット、核酸チップ、及びメチルシトシン検出装置に関する。
エピジェネティクスは、ゲノムを生理的に修飾するDNAメチル化、DNAとタンパク質との複合体であるクロマチン、クロマチンを構成する多くのタンパク質の翻訳後修飾から成立しており、統合的に遺伝子発現を制御している。
クロマチン中のヒストンの修飾については、転写誘導の際に、ヒストン修飾によるクロマチン構造変換が重要な役割を果たす。例えば、ヒストンアセチル化酵素によるアセチル化が引き金となって、クロマチンのリモデリングが誘導され、基本転写因子とRNAポリメラーゼによる転写が開始する。また、ヒストンのメチル化やリン酸化は、転写の制御、サイレンシング、クロマチン凝縮などを引き起こす。
また、多くの真核生物ではゲノム中のCpGジヌクレオチドの60〜90%が、シトシン5位炭素原子のメチル化を受けている。メチル化CpGは反復配列を多く含むヘテロクロマチンやトランスポゾンに見られており、ウィルスやトランスポゾンの活性化を抑えていると考えられる。また、CpGのメチル化とヒストン修飾とは、相互に協調している。
例外的に、多くの遺伝子のプロモーター領域にあるCGリッチな領域(CpGアイランド)ではメチル化を受けていない。さらにその例外として、インプリンティングされる遺伝子、女性の不活化X染色体ではCpGアイランドがメチル化されている。また、がん細胞におけるがん抑制遺伝子のプロモーター領域でもCpGアイランドがメチル化されている。従って、シトシンのメチル化は、癌の発生、再発、転移のマーカーとして使用することができ、遺伝子中のシトシンがメチル化されているか否かの簡単な検出方法が求められている。
特許文献1,2は、DNA試料を重亜硫酸塩で処理してメチル化されていないシトシンをウラシルに変化させ、次いで、ウラシルよりメチル化シトシンを優先的に増幅するプライマーを用いてPCRを行い、増幅の有無を検出することによりシトシンがメチル化されていたか否かを判定する方法を教えている。しかし、この方法は、メチルシトシンではなく大多数を占めるシトシンを変化させるため、全てのシトシンの変換効率が判定結果に影響を与え、その分判定精度が低くなる。
また、特許文献3は、5−メチルシトシンと特異的に結合する抗体を1本鎖DNAと接触させ、DNA鎖に結合した抗体量を測定することにより、DNAメチル化率を決定する方法を教えている。しかし、この方法は、抗体の作成や、DNA試料のPCRによる増幅などを行う必要があり、手間がかかる。
また、非特許文献1は、2本鎖DNA試料を過マンガン酸カリウム及びヒドロキシルアミンで酸化し、次いでピペリジン処理することにより、2本鎖DNAにミスマッチが存在するか否かを検出できることを教えている。この方法はヒドロキシルアミンが必須である(図2、3参照)。しかし、この方法はミスマッチの存在を検出できるだけであり、DNA試料中のシトシンとメチルシトシンとを区別することはできない。
特表2004−527241号 特表2004−500892号 特表2004−347508号 Chinh Bui et al., "Chemical cleavage reactions of DNA on solid support: application in mutation detection", BMC Chemical Biology,2003,Vol.3
本発明は、DNA試料中の目的塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを判定できる簡便な方法、及びそれに用いるプローブ、キット、核酸チップ、及びメチルシトシン検出装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らは研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) メチルシトシンとシトシンとを区別するために、メチルシトシン,又はシトシンに特異的な反応を誘導し、その反応の有無を検出すれば、目的塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを判定することができる。しかし、このような反応は、DNA試料中の各ヌクレオチドの塩基に対して等しく引き起こされ、シトシンであるかメチルシトシンであるかが問題となる目的塩基にのみ反応を引き起こすことはできない。
(ii) そこで、目的塩基を有するヌクレオチドを除きそれに隣接する両側の領域と相補的なガイドプローブ(バルジ形成プローブ)とDNA試料とをハイブリダイズさせれば、目的塩基を有するヌクレオチドのみ二重らせんから外部に飛び出したバルジ構造を形成し、DNA試料中のその他のヌクレオチドは二重らせん構造中に埋没するため、目的塩基にのみ反応を引き起こすことができる。
また、目的塩基と対応する塩基とだけがミスマッチしているガイドプローブ(ミスマッチ形成プローブ)とDNA試料とをハイブリダイズさせれば、目的塩基を有するヌクレオチドを含む塩基対が二重らせん中で緩んだ構造をとり、DNA試料中のその他のヌクレオチドは二重らせん構造中に埋没するため、目的塩基にのみ反応を引き起こすことができる。
(iii) シトシンよりメチルシトシンの方が、メチル基が結合した炭素原子が酸化を受け易いため、酸化の有無によりシトシンとメチルシトシンとを区別することができる。
従って、メチルシトシンに特異的な反応として、目的塩基にのみ酸化反応を誘導し、酸化反応物の有無を検出することにより、そのヌクレオチドがシトシンであるかメチルシトシンであるかを判定することができる。
(iv) 酸化されたDNAを塩基性物質で処理すると、酸化されたメチルシトシンの塩基と糖との間のN−グリコシド結合が分解されるとともに、その酸化メチルシトシンを有するヌクレオチドと隣接するヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合も加水分解される。従って、塩基性物質で処理した後に、DNA断片の大きさをPCRなどで検出することにより、問題となる塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを判定することができる。
(v) また、目的塩基の酸化反応物を標識することによっても、その塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを判定することができる。この場合、DNA試料中のプローブとハイブリダイズしない1本鎖部分にメチルシトシンが存在すれば酸化されてアルデヒドが生成し、誤検出の原因となる。これを避けるためには、バルジ形成プローブとDNA試料とをハイブリダイズさせた後、酸化処理前に、ハイブリダイズ産物を1本鎖DNA特異的なエキソヌクレアーゼで処理して1本鎖部分を除去すればよい。
(vi) 標識方法として、上記酸化反応物をさらに酸化してアルデヒドを生成し、このアルデヒドを例えばイミノ基を介して酵素で標識する方法がある。この方法によれば、問題となる塩基がメチルシトシンである場合にだけ酵素標識されることになる。
(vii) DNAを重亜硫酸塩で処理すると、シトシンはウラシルに変化するが、メチルシトシンは変化しない。重亜硫酸塩処理されたDNAをウラシルDNAグリコシダーゼで処理し、次いで塩基性物質処理を行うと、目的塩基がウラシルである場合は、ウラシルと糖との間のN−グリコシド結合が分解されるとともに、ウラシルを有していたヌクレオチドと隣接するヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合が加水分解される。従って、生じるDNA断片の大きさをPCRなどで検出することにより、目的塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを判定することができる。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記のメチルシトシン検出方法などを提供する。
項1. DNA試料中のシトシンのメチル化を検出する方法であって、
目的とするシトシン又はメチルシトシンがバルジ構造又はミスマッチを形成するようDNA試料とガイドプローブとをハイブリダイズさせる第1工程と、
バルジ構造又はミスマッチを形成するシトシン又はメチルシトシンに特異的な反応を誘導し、この反応の有無によりメチル化を検出する第2工程とを含むメチルシトシン検出方法。
項2. 第1工程が、目的とするシトシン又はメチルシトシンがバルジ構造を形成するようDNA試料とガイドプローブとをハイブリダイズさせる工程であり、
第2工程が、バルジ構造を形成する前記シトシン又はメチルシトシンに特異的な反応を誘導し、この反応の有無によりメチル化を検出する工程である項1に記載のメチルシトシン検出方法。
項3. 第2工程においてメチルシトシンに特異的な反応を誘導する項1に記載のメチルシトシン検出方法。
項4. 第2工程が、バルジ構造又はミスマッチを形成するシトシン又はメチルシトシンに酸化剤を作用させる第2A工程と、酸化剤による酸化反応物の有無を検出する第2B工程とを含む項3に記載のメチルシトシン検出方法。
項5. 第2B工程が、塩基性物質を作用させる工程を含む項4に記載のメチルシトシン検出方法。
項6. 第2B工程が、塩基性物質を作用させる工程の後、DNA試料の断片を検出する工程を含む項5に記載のメチルシトシン検出方法。
項7. バルジ構造又はミスマッチを形成するシトシン又はメチルシトシンを含む領域を増幅することにより、DNA試料の断片を検出する項6に記載のメチルシトシン検出方法。
項8. 塩基性物質として、窒素含有物質を用いる項5に記載のメチルシトシン検出方法。
項9. 第1工程の後、エキソヌクレアーゼ処理によりハイブリダイズ産物の1本鎖部分を除去する工程を有する項3に記載のメチルシトシン検出方法。
項10. 第2B工程が、第2A工程で生成する酸化反応物を標識する工程と、標識物質を検出する工程とを含む項9に記載のメチルシトシン検出方法。
項11. 前記第2B工程が、酸化剤による酸化反応物に対してさらに第2の酸化処理を行なう工程を含む項10に記載のメチルシトシン検出方法。
項12. 標識酵素を用いて標識する項10に記載のメチルシトシン検出方法。
項13. 第2B工程における、目的塩基の酸化反応物がピリミジン環の5位炭素原子の酸化反応物である項4に記載のメチルシトシン検出方法。
項14. 第2A工程が、バルジ構造又はミスマッチを形成するシトシン又はメチルシトシンに酸化剤を作用させて、メチルシトシン部分に式(5)で示されるオスミウム含有複素環基を形成させる工程であり、
第2B工程が、前記オスミウム含有複素環基の有無を検出する工程である、項4に記載のメチルシトシン検出方法。


(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、又は置換アルキル基を示す)
項15. 第2B工程が、標識物質により式(5)で示されるオスミウム含有複素環基を標識する工程と、標識化された当該オスミウム含有複素環基を検出する工程とを含む項14に記載のメチルシトシン検出方法。
項16. 第1工程で使用されるガイドプローブが、蛍光物質が結合されたガイドプローブであり、且つ
第2B工程が、前記蛍光物質に対して蛍光共鳴エネルギー移動を生じさせる蛍光物質を用いて、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基を標識する工程と、蛍光共鳴エネルギー移動の有無を測定する工程とを含む、
項14に記載のメチルシトシン検出方法。
項17. 第1工程で使用されるガイドプローブが、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基の存在によって消光する蛍光物質を結合させたガイドプローブであり、且つ
第2B工程が、前記蛍光物質の消光の有無を測定する工程である、
項14に記載のメチルシトシン検出方法。
項18. 第2工程における目的塩基に特異的な反応がシトシンに特異的な反応である請求項1に記載のメチルシトシン検出方法。
項19. 第2工程が、目的塩基を重亜硫酸塩処理する第2C工程と、第2C工程で生成するウラシルを検出する第2D工程とを含む項18に記載のメチルシトシン検出方法。
項20. 第2工程が、第1工程で得られたハイブリダイズ産物において、前記ガイドプローブとDNA試料中のメチルシトシンとをクロスリンクさせる第2E工程と、前記ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクの有無を検出する第2F工程とを含む項3に記載のメチルシトシン検出方法。
項21. ガイドプローブの長さが20〜100塩基の長さである項1に記載のメチルシトシン検出方法。
項22. ガイドプローブの長さが40〜100塩基である項5に記載のメチルシトシン検出方法。
項23. ガイドプローブが固相担体に結合されたものである項1に記載のメチルシトシン検出方法。
項24. DNA試料のシトシンであるかメチルシトシンであるかを検出するべき目的塩基を有するヌクレオチドを除く領域と相補的なメチルシトシン検出用プローブ。
項25. DNA試料とハイブリダイズするメチルシトシン検出用プローブであって、DNA試料のシトシンであるかメチルシトシンであるかを検出するべき目的塩基との間でのみミスマッチするメチルシトシン検出用プローブ。
項26. 項24又は25に記載のプローブとDNA試料とのハイブリダイズ産物。
項27. 項24又は25に記載のプローブと、メチルシトシンを酸化可能な試薬とを備えるメチルシトシン検出用キット。
項28. 酸化されたメチルシトシンを有するヌクレオチドとそれに隣接するヌクレオチドとの間の結合を切断可能な塩基性物質を備える項27に記載のメチルシトシン検出用キット。
項29. 1本鎖DNAを特異的に分解するエキソヌクレアーゼと、末端にNHNH−基、又はNHO−基を有するビオチン又はアビジンと、アビジン又はビオチンと結合した標識酵素と、標識酵素の発色基質とを備える項27に記載のメチルシトシン検出用キット。
項30. 1本鎖DNAを特異的に分解するエキソヌクレアーゼと、下記式(1)又は(2)の標識物質とを備える項27に記載のメチルシトシン検出用キット。
(式中、Rは標識物質を示す。)
(式中、Rは標識物質を示す。)
項31. メチルシトシンを酸化可能な試薬として、オスミウム酸塩とビピリジンとを備える項27に記載のメチルシトシン検出用キット。
項32.
メチルシトシン検出用プローブが、蛍光物質が結合されてなるものである、請求項31に記載のメチルシトシン検出用キット。
項33. メチルシトシン検出用プローブが、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基の存在によって消光する蛍光物質が結合されてなるものである、項31に記載のメチルシトシン検出用キット。
項34. 項24又は25に記載のプローブと、重亜硫酸塩とを備えるメチルシトシン検出用キット。
項35. メチルシトシンと特異的に結合可能な基を結合させた項24又は25に記載のプローブを備えるメチルシトシン検出用キット。
項36. 項24又は25に記載のプローブの1種以上が、基体上に固定された核酸チップ。
項37. 項36に記載の核酸チップと、チップ上の発色パターンを検出できる装置とを備えるメチルシトシン検出装置。
本発明の第1の方法の手順を説明する図である。 本発明の第2の方法の手順を説明する図である。 実施例1及び比較例1で行った電気泳動の結果を示す図である。 実施例2で行った電気泳動の結果を示す図である。 実施例3で行った電気泳動の結果を示す図である。 実施例4で行った電気泳動の結果を示す図である。 実施例5で行った電気泳動の結果を示す図である。 実施例6で行った電気泳動の結果を示す図である。 実施例7で行ったリアルタイムPCRでの蛍光強度の変化を示す図である。(A)はバルジ生成プローブを用いることによりメチルシトシンを検出できたことを示しており、(B)は酸化処理することによりメチルシトシンを検出できたことを示している。 実施例7で行ったリアルタイムPCRの増幅産物量を比較したグラグである。 実施例8で行った矩形波ボルタンメトリー測定の結果を示す図である。 実施例9で行った蛍光強度の測定の結果を示す図である。 実施例10で行った蛍光強度の測定の結果を示す図である。 実施例11で行った電気泳動の結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)メチルシトシン検出方法
DNA試料中のシトシンのメチル化を検出する方法であって、目的とする塩基であるシトシン又はメチルシトシンがバルジ構造又はミスマッチを形成するようDNA試料とガイドプローブとをハイブリダイズさせる第1工程と、バルジ構造又はミスマッチを形成する目的塩基に特異的な反応を誘導し、この反応の有無によりメチル化を検出する第2工程とを含む方法である。
「目的塩基のバルジ構造」とは、DNA試料とプローブとで形成される2本鎖核酸において、塩基対を形成せずに2本鎖から外部に飛び出した、目的塩基(シトシン又はメチルシトシン)を含むヌクレオチドからなる膨らみをいう。
第2工程がメチルシトシンに特異的な反応を誘導するものである場合、第2工程は、それには限定されないが、バルジ構造又はミスマッチを形成するシトシン又はメチルシトシンを酸化処理する第2A工程と、目的塩基の酸化の有無(具体的には、炭素原子の酸化の有無)を検出する第2B工程とを含むものとすることができる。第2B工程では、酸化反応物が検出されれば目的塩基がメチルシトシンであると判定することができる。
さらに、第2B工程における判定方法により、第1及び第2の二つの方法に分類される。第1工程は、両方法で共通である。
また、第2工程がシトシンに特異的な反応を誘導するものである場合、第2工程は、それには限定されないが、目的塩基を重亜硫酸塩処理する第2C工程と、目的塩基のウラシルへの変化の有無を検出する第2D工程とを含むものとすることができる。第2D工程では、ウラシルになっている場合に目的塩基がシトシンであると判定することができる。この方法を第3の方法とする。
そして更に、第2工程は、第1工程で得られたハイブリダイズ産物において、前記ガイドプローブとDNA試料中のメチルシトシンとをクロスリンクさせる第2E工程と、前記ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクの有無を検出する第2F工程とを含むものとすることができる。第2F工程では、前記ガイドプローブとDNA試料がクロスリンクされている場合に目的塩基がメチルシトシンであると判定することができる。この方法を第4の方法とする。
DNA試料
DNA試料は、血液、尿、痰、精液、髪、皮膚などの生体サンプルそのものであってもよく、生体サンプルから単離されたものであってもよいが、単離されたDNAを用いることが好ましい。
ハイブリダイゼーション
前述したように、DNA試料中の目的塩基に特異的な反応を誘導するためには、酸化剤などが目的塩基に接近する必要があるが、通常各ヌクレオチドは2本鎖DNAのらせん構造中に埋没していて、酸化剤が接近できない。
従って、本発明方法では、一つの選択肢として、シトシンであるかメチルシトシンであるかが問題となる目的塩基のみ塩基対を形成せずにその塩基を有するヌクレオチドが外部に飛び出した2本鎖DNAを作製する。このためには、例えば、DNA試料の目的塩基を有するヌクレオチドを除く領域、即ち目的塩基を有するヌクレオチドを除きそれに隣接する両側の領域と相補的なガイドプローブとDNA試料とをハイブリダイズさせる。このガイドプローブは、2本鎖DNAから飛び出した、目的塩基を有するヌクレオチドの「バルジ」を形成するためのバルシ生成プローブである。
プローブは上記両側の領域に相補的である。メチルシトシンの他にチミンもピリミジン環の5位炭素にメチル基を有するため酸化を受け易い。従って、チミンの誤検出を避ける必要があるため、プローブは上記両側の領域に相補的なものとする。また、目的塩基のみ塩基対を作らないように設計され、これにより目的塩基に隣接してチミンが存在していても、それが酸化されてメチルシトシンの誤検出の原因となることがない。
また本発明方法では、第2の選択肢として、目的塩基のみミスマッチするようにして2本鎖DNAを作製する。ミスマッチによって孤立したメチルシトシンは、バジル構造を形成した場合と同様に、酸化を受け易い。目的塩基のみでミスマッチさせるには、DNA試料との間で目的塩基のみミスマッチするようなガイドプローブとDNA試料とをハイブリダイズさせればよい。このガイドプローブは、2本鎖DNA中でミスマッチ塩基対からなる緩んだ構造を形成するためのミスマッチ生成プローブである。ミスマッチ生成プローブとDNA試料との間では、ミスマッチ塩基対を除き全ての塩基対が相補的である。
ガイドプローブの好適な長さは各方法で異なっており、通常、20〜100塩基程度が好ましく、20〜50塩基程度がより好ましい。中でも、第1の方法では40〜100塩基程度が好ましく、50〜80塩基程度がより好ましい。また、この程度の長さであれば、安定に2本鎖を形成できるとともに、DNA自動合成機で合成することができる。第1の方法では、後述するように、プローブとの2本鎖形成領域に対してPCRなどの核酸増幅を行う場合があるため、PCRプライマーが結合できる程度の長さのプローブが必要となる。
また、ガイドプローブを、どの位置にバルジ又はミスマッチを形成するように設計するかは特に限定されない。好ましくは、目的塩基のバルジ又はミスマッチを2本鎖の中央付近に形成できるように設計すればよい。
ガイドプローブは、上記領域とハイブリダイズできるようにそれに相補的なものであればよく、DNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、修飾核酸などのいずれであってもよい。DNA試料として細胞抽出液のようにヌクレアーゼを含むものを用いる場合は、修飾核酸プローブとすることによりヌクレアーゼによる分解を受け難くなる。修飾核酸としては、ホスホロチオエート修飾核酸、モルホリノ修飾核酸、2'−O−アルキル核酸、2'−N−アルキル核酸、2'−S−アルキル核酸、2'−ハロゲン核酸などが挙げられる。また、ハイブリダイゼーションを安定化するため、プローブの配列中に2−アミノアデニン、5−アルキニルウリジンのような修飾塩基を有するヌクレオチドを配したり、プローブの末端又は内部をアミン、ポリアミン等で修飾したり、プローブの末端にジデオキシヌクレオチドを付加したりすることもできる。
また、核酸プローブは、ビーズ状又は平板状の担体に固定されていることが好ましく、これにより、プローブに結合したDNA試料に対して順次異なる処理を行ったり、処理間にDNA試料を洗浄することができる。また、プローブの再利用が可能となる。このような担体材料として、例えば、ポリスチレン、金、ガラス、磁性を持つ酸化鉄微粒子、量子ドット性を持つ硫化亜鉛微粒子などが挙げられる。
ハイブリダイゼーションの条件は特に限定されない。DNA試料の種類、プローブの長さなどによって異なるが、例えば、pH7のリン酸ナトリウム緩衝液などのハイブリダイゼーション溶液を用いて室温〜100℃程度で5分間〜1時間程度処理した後、pH7のリン酸ナトリウム緩衝液などを用いて5〜25℃程度で1〜5分間程度洗浄する条件が挙げられる。
<第1の方法・第2の方法>
酸化処理
第1、第2の方法では、第2工程において目的塩基を含むハイブリダイズ産物を酸化剤で処理し、目的塩基がメチルシトシンである場合は、メチル基を有する炭素原子を酸化する(第2A工程)。メチルシトシンとしては5−メチルシトシンが代表的である。5−メチルシトシンは、シトシンに比べて、ピリミジン環の5位炭素原子が酸化され易いため、酸化処理物を比較して、酸化反応物の有無を検出すること(第2B工程)により両者を識別できる。
DNA試料の5−メチルシトシン部分の酸化反応後の構造の代表例としては、下記の式(3)で示されるジヒドロキシ置換ピリミジル基、又は下記の式(4)で示されるエポキシ置換ピリミジル基が挙げられる。
本発明方法では、炭素原子を酸化できる公知の酸化剤を制限なく使用できる。このような酸化剤として、ピリミジン環の5位炭素原子と6位炭素原子との間の2重結合を酸化できる酸化剤、例えば、過マンガン酸カリウム(KMnO)のような過マンガン酸塩;四酸化オスミウム(OsO)、オスミウム酸カリウム(KOsO)のようなオスミウム酸塩、タングステン酸ナトリウム(NaWO)のようなタングステン酸塩、過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)のような過ヨウ素酸塩、過酸化水素(H)、t−ブチルヒドロペルオキシド(t−BuOOH)、過安息香酸及びその置換体(m−クロロ過安息香酸(mCPBA)、3,5−ジニトロ過安息香酸)、ヨウ素(I)、酸化レニウム(Re)、過酢酸(AcOOH)及びその置換体、マンガン−サレン錯体などが挙げられる。
また、上記の炭素−炭素2重結合を酸化できる酸化剤が還元状態になったときにこれを再酸化する作用のある酸化剤も使用できる。このような再酸化剤として、N−メチルモルホリンN−オキシド(NMO)、フェリシアン化カリウム(KFe(CN))等が挙げられる。2重結合の酸化剤とその再酸化剤とを含むものとしてオキソン(Oxone)(デュポン社製)・重過硫酸カリウム(KHSO)のような重過硫酸塩が挙げられる。
その他、酸化バナジウムアセチルアセトナート、酸素、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)のような次亜塩素酸塩、ジメチルジオキシランなどの酸化補助剤も使用できる。
酸化処理は、酸化剤の種類に応じた濃度(例えば0.1〜1000 mM)の酸化剤水溶液をハイブリダイズ産物に添加して、温度0〜40℃程度で1分間〜1時間程度行えばよい。酸化処理は、pH7〜9程度の塩基性条件下で行うことが好ましく、これにより酸化速度が高くなりシトシンとメチルシトシンとを一層明確に区別できるようになる。また上記pH範囲内であれば、2本鎖が安定に保たれる。
上記範囲内で、酸化剤の種類に応じて適した条件を選択すればよい。また、例えばオスミウム酸塩にはフェリシアン化カリウムやメチルモルホリンオキシド等の酸化活性化剤を併用することができる。
また、酸化反応液に、ピリジン、ビピリジン、又はフェナンスロリンのような酸化剤に配位できる化合物を10〜500mM程度添加することにより反応速度が高くなる。なお、ビピリジンを添加して酸化処理を行う場合、式(3)で示されるジヒドロキシ置換ピリミジル基を生成させるには、Na2SO3のような亜硫酸塩で処理することが必要である。このような亜硫酸塩による処理条件は公知である。
さらに、ピリジン、ビピリジン又はフェナンスロリンの存在下で、炭素−炭素2重結合を酸化できる酸化剤と再酸化剤とを併用するには、酸化速度が著しく高くなり、その結果、シトシンとメチルシトシンとを一層明確に区別できるようになる。再酸化剤の使用量は、その種類により異なるが、通常10mM〜1M程度とすることができ、10〜100mM程度が好ましい。
第1の方法
第1の方法を図1を参照しながら説明する。
第1の方法では、ハイブリダイズ産物に含まれる目的塩基の酸化処理物を塩基性物質で処理する。これにより、酸化されたメチルデオキシシチジル酸が、酸化されたメチルシトシンと糖とに分解されるとともに、酸化されたメチルデオキシシチジル酸とそれに隣接するヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合が加水分解される。従って、第1の方法では、塩基性物質処理によりこのような分解が生じるような酸化剤を用いる。塩基の炭素原子を酸化できる酸化剤であれば、塩基性物質処理によりこのような分解が生じる。このような酸化剤として、例えば、上記例示したものを使用できる。中でも、酸化反応効率の点で、過マンガン酸塩、四酸化オスミウム、オスミウム酸カリウムのようなオスミウム酸塩が好ましく、四酸化オスミウムがより好ましい。
酸化処理に続き、塩基性物質処理を行う(図1a)。目的塩基がメチルシトシンであればメチルシトシンが酸化されるため、プローブとハイブリダイズした領域は塩基性物質処理により目的塩基を有するヌクレオチドの部分で切断される。一方、目的塩基がシトシンであればシトシンは酸化されないため、プローブとハイブリダイズした領域は塩基性物質処理によっても切断されない。従って、目的塩基を有するヌクレオチドとそれに隣接する両ヌクレオチドとの間の少なくとも1つのホスホジエステル結合が分解されたか否かを判定すれば、目的塩基が酸化されたか否か、ひいては目的塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを判定することができる。即ち、塩基性物質処理によって、メチルシトシン部分で特異的な切断が生るため、生成するDNA断片の大きさを測定することによって、メチルシトシンの有無が判定できる。
このような塩基性物質としては、例えばピペリジン、アニリン等の窒素含有塩基性物質を用いることができる。中でも、反応効率がよい点で、ピペリジンが好ましい。
塩基性物質による処理は、その種類に応じて適切な濃度の水溶液をDNA試料に添加し、60〜100℃程度で1分間〜1時間程度行えばよい。
ホスホジエステル結合の分解の有無は、塩基性物質処理により得られるDNA断片のうち目的塩基を有するヌクレオチドを含むものの大きさを検出することにより知ることができる。
例えば、塩基処理後のDNA試料の目的塩基を有するヌクレオチドを含む領域に対して核酸増幅を行い、このDNA領域全体が増幅したか否かを電気泳動などで検出することにより、目的塩基を有するヌクレオチドとそれに隣接するヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合が分解されたか否かが分かる。代表的には、プローブとハイブリダイズさせた領域全体を増幅できるプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を電気泳動に供すればよい(図1b)。特に、Real Time PCRを行うときには、PCRのサイクル毎の増幅効率をモニタリングすることができるため、増幅の有無を効率よく検出できる。また、採取した細胞群の中でどの程度の細胞がメチル化されているかを定量することができる。
また、質量分析によりDNA断片の重さを測定したり、水晶発振子マイクロバランスを用いた電気化学的分析により、ホスホジエステル結合の有無を調べることによっても、目的塩基を有するヌクレオチドヌクレオチドとそれに隣接するヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合が分解されたか否かを検出することができる。さらに、表面プラズモン共鳴によるDNA断片の重量に対する応答量を検出することによってもホスホジエステル結合が分解されたか否かを検出することができる。
第2の方法
第2の方法では、ハイブリダイズ産物に含まれる目的塩基の酸化処理物を特異的に検出することにより、目的塩基の酸化の有無を判定する。
第2の方法では、通常目的塩基を酸化処理する前(第2A工程前)に、1本鎖DNA特異的なエキソヌクレアーゼで処理することにより、プローブとハイブリダイズしていない1本鎖の部分を除去しておくことが望ましい。これにより、プローブとハイブリダイズしない領域にメチルシトシンが存在していても、それによる誤検出を避けることができる。エキソヌクレアーゼの種類は特に限定されず、公知のものを使用することができる。このようなエキソヌクレアーゼは、例えばUSB社から市販されている。なお、エキソヌクレアーゼ処理は、目的塩基を酸化処理した後に行ってもよい。また、エキソヌクレアーゼ処理は、第2の方法だけでなく、第1の方法や第3の方法において行ってもよい。
第2の方法の具体的実施態様としては、ハイブリダイズ産物に含まれる目的塩基を酸化処理して、式(3)で示されるジヒドロキシ置換ピリミジル基又は式(4)で示されるエポキシ置換ピリミジル基を形成させた後、これらの基を検出する方法(以下、第2-2の方法と表記する)が挙げられる。また、第2の方法の他の実施態様としては、ハイブリダイズ産物に含まれる目的塩基に対して、オスミウム酸塩及びビピリジル化合物を用いて処理して、下記の式(5)で示されるオスミウム含有複素環基を形成させた後、当該オスミウム含有複素環基を検出する方法(以下、第2-2の方法と表記する)が挙げられる。なお、本明細書において「第2の方法」と表記する場合には、上記第2-1の方法と第2-2の方法の双方を包含する意を示す。
以下、第2の方法を上記第2-1の方法と第2-2の方法に分けて説明する。
第2-1の方法
第2-1の方法では、前述したようにして、酸化処理を行う(第2B工程)。第2-1の方法では、上記例示した炭素原子を酸化できる酸化剤を制限なく使用できる。中でも、反応速度が大きい点で、過マンガン酸カリウムのような炭素−炭素2重結合を酸化できる酸化剤が好ましい。
次いで、酸化処理物を標識処理する。目的塩基がメチルシトシンであれば、前述の酸化処理によりジヒドロキシ置換ピリミジル基又はエポキシ置換ピリミジル基が生成するため、例えば化合物(1)を作用させることにより、下記のようにしてジヒドロキシ置換ピリミジル基又はエポキシ置換ピリミジル基が標識物質Rで標識される。標識は、酵素標識、蛍光標識、又は放射標識のいずれであってもよい。
また、例えば化合物(2)を作用させることにより、下記のようにしてジヒドロキシ置換ピリミジル基又はエポキシ置換ピリミジル基が標識物質Rで標識される。
上記化合物(1)及び(2)において、Rは標識物質を示す。
また、ジヒドロキシ置換ピリミジル基又はエポキシ置換ピリミジル基をさらに別の官能基に変換してそれを介して標識物質を結合させることもできる。この方法の1例を図2を参照して説明する。図2において、1本鎖DNA特異的なエキソヌクレアーゼで処理して、プローブとハイブリダイズしていない1本鎖の部分を除去した後(図2a)、酸化処理を行う(図2b)。
酸化処理した目的塩基に対して、さらに第2の酸化処理を行う。酸化剤の種類は特に限定されず、例えば上記例示したものを使用できる。中でも、過ヨウ素酸塩が好ましい。この酸化処理は、0〜40℃程度で1分間〜1時間程度行えばよい。DNA断片中に、前述の式(3)で示されるジヒドロキシ置換ピリミジル基、又は式(4)で示されるエポキシ置換ピリミジル基が存在していれば、いずれか一方の水酸基又はエポキシ基がアルデヒドに変換される(図2c)。
次いで、標識物質を用いてこのアルデヒドを検出する。標識物質とアルデヒドとの結合には、アルデヒドと反応してイミノ基を形成するような官能基を使用することができ、このような官能基として、NHNH−又はNHO−などを挙げることができる(図2d)。
標識物質は、標識酵素、蛍光物質、放射性物質などのいずれであってもよい。中でも、標識酵素は酵素反応により検出感度が高くなる点で好ましい。標識酵素は特に限定されず、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)のようなペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、ガラクトシダーゼなどの公知の標識酵素を制限なく使用できる。これらの酵素の発色基質は周知である。HRPで標識する場合は例えばHPPA、オルトフェニレンジアミン、TMBZのような発色基質を用いればよい。中でもHPPAは蛍光を発するため検出感度が高くなる。またアルカリフォスファターゼで標識する場合は、NBT/BCIPのような発色基質を用いればよい。ガラクトシダーゼで標識する場合はx−galのような発色基質を用いればよい。
アルデヒドをイミノ基を介して標識するにあたっては、例えばビオチン−アビジン反応を利用することができる。詳述すれば、DNA側のアルデヒドと、NHNH−又はNHO−を結合させたビオチン誘導体とを反応させて、末端をビオチンとする。これに対してアビジンを結合させた標識物質を作用させて、5〜40℃程度で1分間〜1時間程度反応させることによりビオチン−アビジン結合を形成すればよい。ビオチンとアビジンとの位置関係を逆にすることもできる。これにより、イミノ基及びビオチン−アビジン結合を介してアルデヒドを標識することができる。
例えば標識酵素を使用する場合、その存在は発色基質との反応により検出できる。酵素反応により基質が発色すれば、目的ヌクレオチドの塩基にアルデヒドが存在していたこと、ひいては、目的ヌクレオチドが酸化されたこと、及び目的塩基がメチルシトシンであることが分かる。

第2-2の方法
第2-2の方法では、まず、ハイブリダイズ産物に対して、オスミウム酸カリウムのようなオスミウム酸塩と共に式(A)で示されるビピリジン化合物を作用させて処理を行い、酸化反応物である式(5)で示されるオスミウム含有複素環基を形成させる。
式(5)及び(A)において、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、又は置換アルキル基を示す。アルキル基、又は置換アルキル基のアルキル基部分としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基,イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基が例示される。置換アルキル基の置換基としては、例えばハロゲン原子、シアノ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、低級アルコキシ基、低級アルカノイルオキシ基、モノ低級アルキルアミノ基、ジ低級アルキルアミノ基、カルバモイル基、低級アルキルアミノカルボニル基、ジ低級アルキルアミノカルボニル基、低級アルコキシカルボニルアミノ基、(N−アミノ低級アルキル)アミノカルボニル基、低級アルキルスルホンアミド基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルフィニル基、低級アルキルスルホニル基、低級アルカノイルアミノ基等が挙げられる。ここで、「低級アルキル」とは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基であり、その具体例は、前記で例示した基が挙げられる。また、置換アルキル基の置換基の数は、1又は2以上であればよく、好ましくは1又は2である。
特に、式(A)で示されるビピリジン化合物の中でも、以下の式で示される化合物(以下、Bipyridyl Ligand 4と表記する)は、簡便に標識物質を結合できるように設計されており、好適である。
Bipyridyl Ligand 4の合成は、公知の方法に従って行うことができるが、代表的な合成経路としては、以下の化学式に示す合成経路が例示される。
オスミウム酸塩と式(A)で示されるビピリジン化合物の使用量としては、特に制限されないが、通常、オスミウム酸塩を0.1〜1000mM程度、及び式(A)で示されるビピリジン化合物を0.1〜1000mM程度とすることができ、オスミウム酸塩を1〜100mM程度、及び式(A)で示されるビピリジン化合物を10〜100mM程度が好ましい。
また、オスミウム酸塩及びビピリジンに加えて、フェリシアン化カリウムやメチルモルホリンオキシド等の酸化活性化剤を併用することができる。これらの酸化活性剤を併用する場合、その使用量は、通常0.1〜100mM程度、好ましくは0.1〜50mM程度に設定することができる。
上記酸化処理は、温度0〜40℃程度で30秒〜1時間程度行えばよい。また、上記酸化処理は、pH7〜9程度の塩基性条件下で行うことが好ましく、これにより酸化速度が高くなりシトシンとメチルシトシンとを一層明確に区別できるようになる。また上記pH範囲内であれば、2本鎖が安定に保たれる。
次いで、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基の検出を行う。当該オスミウム含有複素環基は、例えば、以下の3つの検出方法に従って検出することができる。
(検出方法1)
検出方法1は、標識物質により式(5)で示されるオスミウム含有複素環基を標識する工程と、標識化された当該オスミウム含有複素環基を検出する工程とを行う。式(5)で示されるオスミウム含有複素環基の標識は、酵素標識、蛍光標識、電気化学的標識、又は放射標識のいずれであってもよい。中でも、アントラキノンによる標識は、電気化学的に検出可能であり、簡便な検出ができる点で利点がある。式(5)で示されるオスミウム含有複素環基の標識は、ポスト修飾法等の公知の方法に従って実施される。例えば、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基が形成された酸化処理物と、アントラキノンに−NHSを結合させたアントラキノン誘導体とを反応させることにより、アントラキノン標識オスミウム含有複素環基を得ることができる。当該アントラキノン標識オスミウム含有複素環基としては、具体的には、式(6)で示される基が例示される。
(式中、AQとはアントラキノンを示す。R2は前記と同じ。)
標識化された当該オスミウム含有複素環基の検出は、標識物質の種類に応じた公知の方法で実施される。例えば、標識物質がアントラキノンの場合であれば、矩形波ボルタンメトリー(Square wave voltammetry)測定等の電気化学的な手法を用いて検出することができる。
(検出方法2)
検出方法2では、蛍光物質を結合させたガイドプローブを使用して第1工程を実施した上で、以下の工程:
当該蛍光物質に対してFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を生じさせる蛍光物質を用いて式(5)で示されるオスミウム含有複素環基を標識する工程と、
FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)の有無を測定する工程と、
を行う。
当該検出方法2において、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基が存在する場合には、ガイドプローブに結合した蛍光物質と、オスミウム含有複素環基に結合した蛍光物質との間にFRETが生じて、ガイドプローブに結合した蛍光物質の蛍光波長領域又は蛍光強度に変化が認められる。一方、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基が存在しない場合には、ガイドプローブに結合した蛍光物質の蛍光波長領域又は蛍光強度に変化は認められない。
当該検出方法2を採用する場合に使用されるガイドプローブにおいて、蛍光物質の結合位置については特に限定されないが、バルジ構造を形成させるバルジ生成プローブの場合であれば、DNA試料の目的塩基に隣接する塩基に対して、塩基対を形成する塩基に蛍光物質が結合されていることが好ましい。また、ミスマッチを形成させるミスマッチ生成プローブの場合であれば、目的塩基に対してミスマッチする塩基に蛍光物質が結合されていることが好ましい。
FRETが生じる蛍光物質の組み合わせとしては、例えば、HEXとフルオレセイン;TAMRAとフルオレセイン;Cy3とCy5等が例示される。
(検出方法3)
検出方法3では、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基の存在によって消光する蛍光物質を結合させたガイドプローブを使用して第1工程を実施した上で、当該蛍光物質の消光の有無を測定する。当該検出方法3では、オスミウム含有複素環基が存在する場合には、ガイドプローブに結合させた蛍光物質の消光が認められる。
検出方法3を採用する場合に、第1工程で使用されるガイドプローブとしては、具体的には、下記の式(7)で示される基が結合している塩基を含むガイドプローブが例示される。当該ガイドプローブにおいて、式(7)で示される基の結合部位については、該基が結合する塩基の種類に応じて適宜設定される。式(7)で示される基の結合部位の好適な例としては、結合対象となる塩基がアデニン又はグアニンの場合にはプリン環の6位の炭素に結合している窒素原子又は酸素原子が挙げられ;結合対象となる塩基がシトシン又はチミンの場合にはピリミジン環の4位の炭素に結合している窒素原子又は酸素原子、或いはピリミジン環の5位の炭素が挙げられる。
また、当該検出方法3を採用する場合に使用されるガイドプローブにおいて、式(7)で示される基の結合位置については特に限定されないが、バルジ生成プローブの場合であれば、DNA試料の目的塩基に隣接する塩基に対して、塩基対を形成する塩基に式(7)で示される基が結合されていることが好ましい。また、ミスマッチ生成プローブの場合であれば、目的塩基に対してミスマッチする塩基に式(7)で示される基が結合されていることが好ましい。
<第3の方法>
第3の方法では、第2C工程において、目的塩基を重亜硫酸塩で処理する。この処理により、目的塩基がシトシンであればそれがウラシルに変化する。従って、第2D工程では、ウラシルになっているか否かを検出する。ウラシルになっている場合は目的塩基がシトシンであると判定することができる。
重亜硫酸塩(酸性亜硫酸塩、亜硫酸水素塩)は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などのいずれであってもよい。またこの処理は、濃度0.1〜10M程度、温度5〜95℃程度で、0.5〜60分間程度行えばよい。
ウラシルの検出方法としては、それには限定されないが、重亜硫酸塩処理された目的塩基を有するハイブリダイズ産物を、ウラシルDNAグリコシダーゼで処理し、次いで塩基性物質で処理した後、目的塩基を有するヌクレオチドとそれに隣接するヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合が分解されたか否かを検出する方法が挙げられる。
目的塩基がウラシルに変化している場合、ウラシルDNAグリコシダーゼ処理によりウラシルと糖との間のN−グリコシド結合が加水分解される。次いで、塩基性物質処理することにより、目的塩基を有するヌクレオチドとそれに隣接する両ヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合が分解される。ウラシルDNAグリコシダーゼ処理は、例えば0〜50℃程度で1〜30分間程度行えばよい。塩基性物質処理については、第1の方法で説明した通りである。
また、目的塩基を有するヌクレオチドとそれに隣接するヌクレオチドとの間のホスホジエステル結合が分解されたか否かは、第1の方法について説明した通り、例えば目的塩基を有するヌクレオチドを含む領域に対する核酸増幅などにより検出することができる。
また、重亜硫酸塩処理された目的塩基を有するハイブリダイズ産物に対して、目的塩基がウラシルである場合にのみ増幅するようなプライマーを用いた核酸増幅を行うことによっても、目的塩基がウラシルに変化しているか否かを検出することができる。また、目的塩基がウラシルであってもメチルシトシンであっても増幅させることができるようなプライマーを用いて核酸増幅を行い、増幅産物の大きさの僅かな差異(ウラシルとメチルシトシンとの差)を検出することによっても、それがウラシルであるかメチルシトシンであるかを検出することができる。
さらに、重亜硫酸塩処理されたハイブリダイズ産物をウラシルDNAグリコシダーゼ処理したものに対して、目的のヌクレオチドが塩基を有さないヌクレオチドであってもメチルシトシンを有するヌクレオチドであっても増幅させることができるようなプライマーを用いて核酸増幅を行い、増幅産物の大きさの僅かな差異(メチルシトシンの大きさの差異)を検出することによっても、目的塩基がウラシルであるかメチルシトシンであるかを検出することができる。
<第4の方法>
第4の方法は、第1工程において、メチルシトシンと特異的に結合可能な基が結合したガイドプローブを使用してハイブリダイゼーションを行った上で、以下の工程:
第1工程で得られたハイブリダイズ産物において、前記ガイドプローブとDNA試料中のメチルシトシンとをクロスリンクさせる第2E工程と、
前記ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクの有無を検出する第2F工程と、
を実施する。
第4の方法において、ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクが検出されると、目的塩基がメチルシトシンであると判定される。一方、ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクが検出さればければ、目的塩基がシトシンであると判定される。
検出方法4を採用する場合に、第1工程で使用されるガイドプローブは、メチルシトシンに対して特異的に結合可能な基が結合されてなるものである。当該ガイドプローブに結合している「メチルシトシンに対して特異的に結合可能な基」は、当該ガイドプローブとDNA試料がハイブリダイズした状態で、バルジ構造又はミスマッチを形成しているメチルシトシンと結合可能である限り、特に限定されるものではないが、好適な一例として、下記の式(8)で示される基が例示される。式(8)中、R2は前記と同様である。
(式(8)中、R2は前記と同じ。)
また、第4の方法を採用する場合に使用されるガイドプローブにおいて、「メチルシトシンに対して特異的に結合可能な基」の結合位置については特に限定されないが、バルジ生成プローブの場合であれば、DNA試料の目的塩基に隣接する塩基に対して、塩基対を形成する塩基に「メチルシトシンに対して特異的に結合可能な基」が結合されていることが好ましい。また、ミスマッチ生成プローブの場合であれば、目的塩基に対してミスマッチする塩基に「メチルシトシンに対して特異的に結合可能な基」が結合されていることが好ましい。
第4の方法において、第2E工程の前に、第2の方法と同様に、1本鎖DNA特異的なエキソヌクレアーゼで処理することにより、プローブとハイブリダイズしていない1本鎖の部分を除去しておいてもよい。
第2E工程において、ガイドプローブとDNA試料中のメチルシトシンとをクロスリンクさせる条件は、ガイドプローブに結合している「メチルシトシンに対して特異的に結合可能な基」の種類に応じて適宜設定すればよい。例えば、式(8)で示される基が結合しているガイドプローブを使用する場合には、オスミウム酸塩を0.1〜1000mM程度、好ましくは1〜100mM程度の存在下で、0〜40℃程度で30秒〜1時間程度処理すればよい。かかる処理は、pH6〜7程度のpH条件下で実施することが望ましい。更に、かかる処理では、フェリシアン化カリウムやメチルモルホリンオキシド等の酸化活性化剤を、0.1〜100mM程度、好ましくは0.1〜50mM程度添加して実施することにより、前記クロスリンクの形成速度を高めることができる。
なお、第2E工程は、第1工程と同時に実施してもよい。即ち、ガイドプローブ、DNA試料、その他クロスリンク形成に必要な化合物を同時に混合し、所定の条件で反応させることにより、第4の方法を実施することもできる。
第2F工程は、簡便には、DNA試料の質量分析又はゲル電気泳動による分子量の測定を行うことによって実施される。詳述すれば、以下の通りである。ガイドプローブとDNA試料とがクロスリンクしていれば、ハイブリダイズできない条件下でも、両者が結合した状態で存在する。一方、ガイドプローブとDNA試料とがクロスリンクしていなければ、ハイブリダイズできない条件下では、両者は分離して存在する。従って、ハイブリダイズできない条件下で、DNA試料の質量分析又はゲル電気泳動を行い、DNA試料の重量又は分子量が増加していれば、ガイドプローブと被験DNAとがクロスリンクしており、DNA試料の重量又は分子量に変動がなければ、ガイドプローブとDNA試料はクロスリンクしていないと判定される。
(II)メチルシトシン検出用キット
本発明の第1のキットは、上記説明した本発明のメチルシトシン検出方法の内、第1又は第2の方法に供するキットである。このキットは、上記説明したガイドプローブとメチルシトシンを酸化できる試薬とを備える。メチルシトシンを酸化できる試薬は、代表的には前述した炭素原子を酸化できる酸化剤であるが、このような酸化剤に変化する前駆体もメチルシトシンを酸化できる試薬に含まれる。
また、第1の方法に供するものである場合は、さらに上記説明した塩基性物質を備えていればよい。さらに、PCR試薬のセットを備えることが好ましい。
また、第2-1の方法に供するものである場合は、さらに、1本鎖DNAを特異的に分解できるエキソヌクレアーゼと、末端にNHNH−基、又はNHO−基を有するビオチン又はアビジンと、アビジン又はビオチンと結合した標識酵素と、この標識酵素の発色基質とを備えていればよい。また、第2-1の方法に供するキットとして、さらに、1本鎖DNAを特異的に分解できるエキソヌクレアーゼと、前述の式(1)の化合物、又は式(2)の化合物を備えるものも挙げられる。
また、第2-2の方法に供するものである場合は、酸化剤としてオスミウム酸塩が使用され、更にビピリジンを含むものが挙げられる。
また、上記説明した第3の方法に供する第2のキットは、バルジ生成プローブと、重亜硫酸塩とを備える。さらに、PCR試薬のセットを備えることが好ましい。
また、上記説明した第4の方法に供する第3のキットは、上記説明したガイドプローブと、上記説明したガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクさせるための試薬とを備える。
(III)メチルシトシン検出用核酸チップ
基体上に、1種以上のガイドプローブが固定された核酸チップを用いれば、様々な遺伝子について様々な位置のシトシンのメチル化の有無を、一度に検出することができる。
プローブは、上記説明したプローブであるが、複数の目的塩基を判定できるように互いに異なるプローブを用いればよい。
この核酸チップの基体の材料は特に限定されず、例えばガラス、シリカ、金などの公知の材料を用いることができる。基体上へのプローブのスポット径は例えば50〜200μm程度とすることができ、スポットピッチは例えば100〜500μm程度とすることができる。
この核酸チップ上のプローブ群に対して、上記説明した本発明方法の各操作を行えばよい。
第1の方法では、核酸チップ上のプローブ群に対して、同時にPCRを行い、PCR増幅産物を例えば、蛍光、吸収、蛍光偏光、蛍光寿命などを測定できるマイクロプレートリーダー(例えば、Berthold社のMithras LB940などの市販品)、マイクロチップリーダー、蛍光顕微鏡、蛍光イメージャーなどにより検出すればよい。これにより、チップ上の各DNA断片の大きさを検出でき、ひいては複数のDNA試料の目的塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを一度に判定することができる。
また、第2の方法では、チップ上の発色パターンを、上記と同様にしてマイクロプレートリーダー等を用いて読み取ることができ、これにより、複数のDNA試料の目的塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを一度に判定することができる。
第3の方法では、チップ上のプローブ群に対して、同時にPCRを行い、PCR増幅産物をマイクロプレートリーダーなどにより検出すればよい。
(IV)メチルシトシン検出装置
本発明のメチルシトシン検出装置は、上記説明した核酸チップと、チップ上の発色パターンを検出できる装置とを備える装置である。発色パターンの検出装置としては、蛍光、吸収、蛍光偏光、蛍光寿命などを測定できるマイクロプレートリーダー、マイクロチップリーダー、蛍光顕微鏡、蛍光イメージャーなどが挙げられる。
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下の実施例及び比較例において、表記「mC」は5−メチルシトシンを意味する。
実施例1(第1の方法)
ここでは、PCRを行わずにDNA断片の大きさを電気泳動により検出するために、先ず、標的DNAを放射標識した。即ち、T4 polynucleotide kinase 2μL及び[γ-32P]ATP 4μLを、標的DNA断片の100 μM水溶液の4μLと混合させ、水を加えてtotal 20μLにした。メチルシトシンを含むDNA試料は、13mer DNA(5'-GCGTTGCGTTGCG)(配列番号1)であり、メチルシトシンを含むDNA試料は13merDNA(5'-GCGTTGnGTTGCG;nはmCを示す)(配列番号2)である。配列番号1のDNAは塩基番号7のヌクレオチドの塩基がシトシンであり、配列番号2のDNAは塩基番号7のヌクレオチドの塩基がメチルシトシンである。
この混合液を37℃で40分間静置して、5'末端の標識化を行った。反応溶液を15% polyacrylamide / 7 M ureaゲル電気泳動に供して、標的DNA断片を精製した。
次いで、ラベル化を行ったDNA 10μLとプローブとなる12merのDNA (5'-CGCAACCAACGC)(配列番号3)の1.33μM水溶液の20μLを300 mM 酢酸ナトリウム緩衝液pH6.0に溶解させ、水を加えてtotal 50μLにし、室温中で二本鎖を形成させた。
次いで、この二本鎖に5 mMカコジル酸緩衝液pH 6.0に溶解させた3.2 mMのKMnO4水溶液の50μLを加え酸化反応を開始させた。3分間静置後、1.5 M酢酸ナトリウム緩衝液pH 7.0に溶解させたβ-mercaptoethanol (1 M)を50μL添加し反応を終了させた。
反応後サンプルをエタノール沈澱により精製し、続いて1 M piperidine 50μLを加えて90℃で60分間静置した。
その後、真空乾燥し、水を加えた反応サンプルを、LSCを用いて放射線量を一定になるように調製した後、15% polyacrylamide / 7 M ureaゲル電気泳動で解析した。切断バンドの確認はMaxam-Gilbert G+A reactionを行ったレーンと比較することにより決定した。
比較例1
実施例1において、プローブとして、13merのDNA (5'-CGCAACGCAACGC)(配列番号4)を用いた他は、実施例1と同様の操作を行った。
配列番号4の下線を付したGは、DNA試料の配列番号1の塩基番号7のC、又は配列番号2の塩基番号7のmCと塩基対を形成させるためのものである。
電気泳動の結果を図1に示す。図1のレーン1は配列番号1のDNA試料(13mer;mC)に対して配列番号3のプローブ(12mer)をハイブリダイズさせた結果を示し、レーン2は配列番号2のDNA試料(13mer;C)に対して配列番号3のプローブ(12mer)をハイブリダイズさせた結果を示し、レーン3は配列番号1のDNA試料 (13mer;mC)に対して配列番号4のプローブ(13mer)をハイブリダイズさせた結果を示し、レーン2は配列番号2のDNA試料 (13mer;C)に対して配列番号4のプローブ(13mer)をハイブリダイズさせた結果を示す。
レーン1とレーン2とを比較すると、メチルシトシン(mC)を有するDNA試料に対してバルジを形成できるプローブを用いた場合はピペリジン処理によりDNA試料が切断されているが、シトシン(C)を有するDNA試料に対してバルジを形成できるプローブを用いた場合はピペリジン処理によりDNA試料が切断されなかったことが分かる。
また、レーン3、4から、バルジを形成できないプローブを用いた場合は、DNA試料がメチルシトシン(mC)を有する場合もシトシン(C)を有する場合も、ピペリジン処理によってはDNA試料が切断されなかったことが分かる。
実施例2(再酸化剤の併用)
DNA試料として、15mer DNA(5'-AAAAAAGnGAAAAAA-3';nはmCを示す)(配列番号5)を用い、実施例1と同様にして、これらの5'末端を放射標識し、精製した。
次いで、ラベル化を行ったDNA 10μLとプローブとなる14merのDNA (5'-TTTTTTCCTTTTTT-3')(配列番号6)の1.33μM水溶液の20μLを300 mM 酢酸ナトリウム緩衝液pH6.0に溶解させ、水を加えてtotal 50μLにし、室温中で二本鎖を形成させた。
次いで、この二本鎖を、1mM EDTA,100mM Tris-HCl(pH7.7),100mMビピリジン、5mM K2OsO4, 10% MeCN,及び濃度10〜100mMのヘキサシアノ鉄錯体[Fe(III)(CN)6]3-の存在下又は非存在下で、0℃で3分間インキュベートすることにより酸化反応を行った。3分間のインキュベートの後、0.5 M酢酸ナトリウム緩衝液pH 7.0とHerring Sperm DNA (1mg/mL)を加え、エタノール沈殿操作を行った。
その後は、実施例1と同様にして、ピペリジン処理、及び電気泳動を行った。
結果を図4に示す。図4からK2OsO4に[Fe(III)(CN)6]3-を併用することにより、酸化速度が向上して、メチルシトシンの検出が容易になったことが分かる。
実施例3(再酸化剤の併用)
DNA試料として、15mer DNA(5'-AAAAAAGnGAAAAAA-3';nはmCを示す)(配列番号5)、及び15mer DNA(5'-AAAAAAGCGAAAAAA-3')(配列番号7)を用い、プローブとして、14merのバルジ形成DNA (5'-TTTTTTCCTTTTTT-3')(配列番号6)、及びフルマッチDNA(5'-TTTTTTCGCTTTTTT-3')(配列番号8)を用いた。
また、酸化処理時の[Fe(III)(CN)6]3-の影響を検討するために、[Fe(III)(CN)6]3-を使用しない酸化と、濃度100mMで使用した酸化との双方を行った。その他は、実施例2と同様にして、DNA試料の標識、二本鎖形成、酸化処理、ピペリジン処理、及び電気泳動を行った。
また、メチルシトシン検出のポジティブコントロールとして、プローブを用いない1本鎖のDNA試料に対して、実施例2と同様にして、酸化処理、ピペリジン処理、及び電気泳動を行った。
結果を図5に示す。図5から、バルジ形成プローブを用いたときは、特に[Fe(III)(CN)6]3-を併用したときに、メチルシトシンの濃い切断バンドが検出され、シトシンとメチルシトシンとを明確に区別できたことが分かる。また、メチルシトシンであるときに検出される切断バンドは、プローブを用いない1本鎖DNA試料をピペリジンで切断したときと同じ大きさであり、バルジ形成プローブの使用により、目的とするメチルシトシンを正確に検出していることが分かる。一方、バルジを形成しないフルマッチプローブを用いたときは、メチルシトシンとシトシンとを区別できなかった。
実施例4(酸化処理に及ぼすpHの影響)
DNA試料として、15mer DNA(5'-AAAAAAGnGAAAAAA-3';nはmCを示す)(配列番号5)、及び15mer DNA(5'-AAAAAAGCGAAAAAA-3')(配列番号7)を用い、プローブとして、14merのバルジ形成DNA (5'-TTTTTTCCTTTTTT-3')(配列番号6)を用いた。
また、酸化処理は、1mM EDTA,100mM Tris-HCl(pH7.7),100mMビピリジン、5mM K2OsO4, 10% MeCNの存在下で、0℃で3分間インキュベートすることにより行った。ここでは、再酸化剤の[Fe(III)(CN)6]3-を併用しなかった。その他は、実施例1と同様にして、DNA試料の放射標識、2本鎖形成、酸化処理、ピペリジン処理、及び電気泳動を行った。
結果を図6に示す。図6から、pH7.15〜9.01の範囲では、pH6.02又は6.54の場合に比べて、メチルシトシンの場合にのみより濃い切断バンドが検出され、メチルシトシンの検出感度が高いことが分かる。
実施例5(酸化処理時の酸化剤の配位子の検討)
DNA試料として、15mer DNA(5'-AAAAAAGnGAAAAAA-3';nはmCを示す)(配列番号5)、及び15mer DNA(5'-AAAAAAGCGAAAAAA-3')(配列番号7)を用い、プローブとして、14merのバルジ形成DNA (5'-TTTTTTCCTTTTTT-3')(配列番号6)を用いた。
また、酸化処理は、1mM EDTA,100mM Tris-HCl(pH7.7),100mMピリジン、ビピリジン又はフェナンスロリン、5mM K2OsO4, 10% MeCNの存在下で、0℃で3分間インキュベートすることにより行った。ここでは、再酸化剤の[Fe(III)(CN)6]3-を併用しなかった。その他は、実施例1と同様にして、DNA試料の放射標識、2本鎖形成、酸化処理、ピペリジン処理、及び電気泳動を行った。
結果を図7に示す。図7から、ピリジン、ビピリジン又はフェナンスロリンのいずれを用いる場合でも、メチルシトシンとシトシンとを区別できるが、特にビピリジンを用いる場合には、メチルシトシンでのみ切断バンドが検出され、メチルシトシンとシトシンとをより明確に区別できたことが分かる。
実施例6(実在する遺伝子におけるメチルシトシンの検出)
実在する遺伝子では、メチルシトシンが近接して存在する場合が多い。このような場合でも、本発明方法により特定のメチルシトシンを検出できることを示すために、DNA試料としてp53の部分配列を用いて、メチルシトシンの検出を試みた。
DNA試料として、5'-TACTGGGACGGAACAGCTTTGAGGTGCGTGTTTGT-3'(配列番号9)、5'-TACTGGGAnGGAACAGCTTTGAGGTGCGTGTTTGT-3'(nは mCを示す;配列番号10)、5'-TACTGGGACGGAACAGCTTTGAGGTGCGTGTTTGT-3'(配列番号11)、及び5'-TACTGGGACGGAACAGCTTTGAGGTGnGTGTTTGT-3'(nは mCを示す;配列番号12)を用いた。配列番号9及び10は、それぞれ塩基番号9の第1の目的塩基がシトシン及びメチルシトシンであり、配列番号11及び12は、それぞれ塩基番号17の第2の目的塩基がシトシン及びメチルシトシンである。また、バルジ形成プローブとして、第1の目的塩基を検出ための5'-ACAAACACGCACCTCAAAGCTGTTCCTCCCAGTA -3'(配列番号13)、及び第2の目的塩基を検出ための5'-ACAAACACCACCTCAAAGCTGTTCCGTCCCAGTA -3'(配列番号14)を用いた。さらに、ネガティブコントロールとしてフルマッチプローブ5'-ACAAACACGCACCTCAAAGCTGTTCCGTCCCAGTA -3'(配列番号15)も用いた。
酸化処理は、1mM EDTA,100mM Tris-HCl(pH7.7),100mMビピリジン、5mM K2OsO4, 10% MeCNの存在下で、0℃で5分間インキュベートすることにより行った。ここでは、再酸化剤の[Fe(III)(CN)6]3-を併用しなかった。その他は、実施例1と同様にして、被験DNAの放射標識、2本鎖形成、酸化処理、ピペリジン処理、及び電気泳動を行った。
結果を図8に示す。図8から、第1及び第2の目的塩基を特異的に検出できるバルジ形成プローブを用いることにより、各塩基のメチル化の有無を検出できたことが分かる。
実施例7(リアルタイムPCRによるメチルシトシンの定量)
DNA試料として、5'-GCTATCTGAGCAGCGCTCATGGTGGGGGCAGCGCCTCACAACCTCCGTCATGTGCTGTGA-3'(配列番号16)、5'-GCTATCTGAGCAGCGCTCATGGTGGGGGCAGnGCCTCACAACCTCCGTCATGTGCTGTGA-3'(nは mCを示す;配列番号17)を用いた。これらの配列はp53の部分配列である。本実施例では、PCRで切断断片を検出するため、DNA試料は放射標識しなかった。
また、バルジ形成プローブとして、5'-TCACAGCACATGACGGAGGTTGTGAGGCCTGCCCCCACCATGAGCGCTGCTCAGATAGC…PS-3'(配列番号18)を用いた。このプローブは、3'末端がポリスチレンビーズに結合している。
先ず、ガイドプローブ少量、10nM DNA試料を10μL、10mM 1M Tris-HCl(pH7.7) 10μL、milliQ水 30μLを混合して合計50μLとした。ガイドプローブに対してDNA試料は大過剰存在している。この混合液を90℃で5分間インキュベートすることにより2本鎖を形成し、次いで終夜冷却した。
次いで、20mM K2OsO4水溶液 25μL、1MビピリジンのMeCN溶液 10μL、milliQ水 15μLを混合して合計50μLとした。この混合液を0℃で5分間インキュベートして酸化処理し、3M 酢酸ナトリウム(pH6.0)200μLを添加して酸化反応を停止した。
次いで、以下のようにして1本鎖DNAを回収し、精製した。即ち、ボルテックス、遠心、上清廃棄、反応停止液(3M 酢酸ナトリウム(pH6.0))200μL添加からなる操作を2回繰り返し、さらにボルテックス、遠心、上清廃棄を1回行った。上清を廃棄して得られたプローブ付きビーズに7M尿素50μLを添加し、55℃で20分間インキュベートし、上清を回収する操作を2回繰り返した。次いで、得られた上清に1mM冷エタノールを添加して−78℃で終夜静置し、-9℃の下1500rpmで15分間遠心し、上清を廃棄した後、150μLの80%冷エタノールを添加し、5分間遠心し、上清を廃棄した後、5分間エバポレートした。
このようにして得られた精製1本鎖DNAに1Mピペリジン50μLを加え、90℃で20分間インキュベートした後、40分間エバポレートした。さらにmilliQ水20μLを添加して、20分間エバポレートする操作を2回繰り返した。
ピペリジン処理したDNAをリアルタイムPCRに供した。また、ネガティブコントロールとして、酸化処理を行わなかったサンプルについてもリアルタイムPCRに供した。
PCR反応溶液としては、HotStarTaq Master Mix 10μL、5μL プライマー混合物、5×104希釈SYBRI GREEN 6μLの合計20μLの混合液を用いた。プライマーとしては5'-TCACAGCACATGACGGAGGT-3'(配列番号19)、及び5'-GCTATCTGAGCAGCGCTCAT-3'(配列番号20)を用いた。
PCR条件は、95℃で15分間;94℃で30秒、50℃で30秒、72℃で1分間のサイクルを40サイクル;その後40℃に冷却する条件とした。リアルタイムPCR装置としてはロシュ・ダイアグノスティックス株式会社・LightCyclerを用いた。
結果を図9に示す。バルジ形成プローブとメチルシトシン含有DNAとをハイブリダイズさせた場合のみ、増幅速度が遅かった(図9(A))。また、酸化処理を行うことにより増幅速度が遅くなった(図9(B))。
また、リアルタイムPCRでの増幅曲線から検量線を用いて換算された増幅産物量を測定した結果を図10に示す。バルジ形成プローブとメチルシトシンとのハイブリダイズ産物を酸化処理した場合のみ、増幅産物が少なかった。
これらの結果、リアルタイムPCRを行うことにより、メチルシトシン化度を定量できることが分かる。
実施例8(オスミウム含有複素環基の形成によるメチルシトシンの検出−1)
DNA試料として、5’-GGGGCAGnGCCTCAC-3’(nはmCを示す;配列番号21)、5’- GGGGCAGCGCCTCAC-3’(配列番号22)を用いた。これらの配列はp53の部分配列である。
また、バルジ形成プローブとして、5’-GTGAGGCCTGCCCC-(CH2)6-SH- 3’(配列番号23)を用いた。このプローブは、3'末端に基-(CH2)6 -SHが結合している。
先ず、10μMバルジ形成プローブの1μLを、洗浄した金電極表面上に滴下し、3時間、室温で固定化した。次いで、得られた金電極表面を少量のMilliQ水(500〜1000μL程度)で洗浄後、10mMのMCHを1μL滴下し、0.5時間室温で、該金電極表面のマスキングを行った。次に、少量のMilliQ水(500〜1000μL程度)で洗浄後、10μM DNA試料を1μL滴下し、1時間室温でインキュベートして、電極表面上でバルジ構造を有する2本鎖を形成させた。その後、電極表面上に残っている1本鎖のバルジ形成プローブを埋めるため、保護DNAとして5’- GGGGCAGGCCTCAC-3’を10μMで1μL滴下し、0.5時間室温でインキュベートして、電極表面上に2本鎖DNA又はバルジ構造を有する2本鎖DNAのみになるようにした。
また、別途、20 mM K2OsO4水溶液を25μL、1M Bipyridyl Ligand 4 in MeOHを10μL、10mM EDTAを10μL、1M Tris-HCl(pH 7.7)緩衝液を10μL、1M K3[Fe(CN)6]水溶液を10μL、及びMilliQ水を45μL混合して、反応液を調製した。この反応液1μLを前記処理後の電極表面上に滴下し、室温で30分間反応させた(式(5)で示されるオスミウム含有複素環基の形成)。次いで、少量のMilliQ水(500〜1000μL程度)で洗浄後、5mMアントラキノン-NHS溶液(溶媒:H2O/N,N-Dimethylformamide=90/10(容量比))を1μL滴下し、ポスト修飾を室温で12時間行った(式(6)で示されるアントラキノン標識オスミウム含有複素環基の形成)。
次いで、少量のMilliQ水(500〜1000μL程度)で洗浄後、1M NaCl水溶液中で、電気化学測定装置ALS660Aを用いて矩形波ボルタンメトリー(Square wave voltammetry)測定を行った。
得られた結果を図11に示す。配列番号21のDNA試料を対象とした場合には、メチルシトシン部分が式(6)で示されるアントラキノン標識オスミウム含有複素環基に変換されていることに起因して、-0.66 Vでのピークトップでは、0.737μAと高い電流量を示した。これに対して、配列番号22のDNA試料を対象とした場合には、式(6)で示されるアントラキノン標識オスミウム含有複素環基が形成されていないので、-0.66 Vでのピークトップでは、0.450μAの電流量しか示さなかった。以上の結果から、バルジ構造を形成しているメチルシトシンの検出は、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基を形成させ、該基を検出することによって可能になることが確認された。
実施例9(オスミウム含有複素環基の形成によるメチルシトシンの検出−2)
DNA試料として、5’-AAAAAAGnGAAAAAA-3’(nはmCを示す;配列番号24)、5’-AAAAAAGCGAAAAAA-3’(配列番号25)を用いた。
また、ミスマッチ形成プローブとして、5’-TTTTTTCnCTTTTTT-3’(nは介してフルオレセインがリンカーを介してデオキシウリジンのピリミジン環の5位の炭素にリンカーを介して結合している塩基を示す;配列番号26)を用いた。
先ず、1 M Tris-HCl (pH 7.7)、10 mM EDTA、100 mM Bipyridyl Ligand 4、5 mM K2OsO4、及び100 mM Fe3(CN)6の存在下で、10 μM DNA試料を37℃で2時間インキュベートした(式(5)で示されるオスミウム含有複素環基の形成)。次いで、HPLC(0.1 M TEAA/acetonitrile from 5% to 30% for 50 min)によりDNA試料を精製した。50 mM リン酸ナトリウム水溶液(pH 8.0)中に、上記処理後のDNA試料を添加し、更にHEX-NHS(1 mg/mL in DMSO)を10μL加え、全量を100μLにした後、37℃で(5)時間インキュベートした(HEX含有オスミウム含有複素環基の形成)。再度、HPLCにより、斯くして処理されたDNA試料を精製した。斯くして処理されたDNA試料を、50 mM リン酸ナトリウム水溶液(pH 8.0)中0.9 M NaCl存在下で、ミスマッチ形成プローブと混合した。インキュベート後の水溶液について、495nmで励起し、蛍光強度を測定した。
得られた結果を図12に示す。配列番号24のDNA断片を対象とした場合には、メチルシトシン部分が式(5)で示されるオスミウム含有複素環基に形成されていることに起因して、フルオレセイン由来の蛍光強度(520 nm)と共にHEX由来の蛍光強度(550 nm)も高い値を示した。一方、配列番号25の被験DNA断片を対象とした場合には、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基が形成されていないので、HEX由来の蛍光強度(550 nm)は低い値であった。以上の結果から、バルジ構造を形成しているメチルシトシンの検出は、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基を形成させ、該基をFERTを利用して検出することによっても可能になることが確認された。
実施例10(オスミウム含有複素環基の形成によるメチルシトシンの検出−3)
DNA試料として、5’-AAAAAAGnGAAAAAA-3’(nは mCを示す;配列番号27)、5’-AAAAAAGCGAAAAAA-3’(配列番号28)を用いた。
また、ミスマッチ形成プローブとして、5’-TTTTTTCnCTTTTTT-3’(nは、式(7)で表される基がグアニンのプリン環の6位の炭素上の酸素原子に結合している塩基を示す;配列番号29)を用いた。
先ず、1 M Tris-HCl (pH 7.7)、10 mM EDTA、100 mM ビピリジル、5 mM K2OsO4、及び100 mM Fe3(CN)6の存在下で、10 μM DNA試料を37℃で2時間インキュベートした(式(5)で示されるオスミウム含有複素環基の形成)。インキュベート後の反応液をゲルろ過スピンカラムに供してろ液を回収し、得られたろ液を濃縮した。次いで、50 mM リン酸ナトリウム水溶液(pH 8.0)中に、得られたろ液を添加し、更に1μM ミスマッチ形成プローブを加え、全量を100μLにした後、37℃で3時間インキュベートした。インキュベート後の水溶液について、380 nm又は390 nmで励起し、蛍光強度を測定した。また、配列番号27のDNA試料を使用し、オスミウム含有複素環基の形成を行う工程を削除して、上記と同様の方法で実験を行い、蛍光強度を測定した(図13中、Mと表記する)。また、配列番号28のDNA試料の1本鎖の場合に呈する蛍光強度についても測定した(図13中、SSと表記する)。
得られた結果を図13に示す。配列番号27のDNA試料を使用した場合(図13中、MOSと表記する)には、メチルシトシン部分が式(5)で示されるオスミウム含有複素環基に形成されていることに起因して、式(7)で示される基由来の蛍光が減弱されていることが確認された。一方、。配列番号28のDNA試料を使用した場合(図13中、Cと表記する)には、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基が形成されていないことに起因して、式(7)で示される基由来の蛍光の減弱は認められなかった。以上の結果から、ミスマッチを形成しているメチルシトシンの検出は、式(5)で示されるオスミウム含有複素環基を形成させ、該基を利用した蛍光物質の消光を検出することによっても可能になることが確認された。
実施例11(オスミウム含有複素環基の形成によるメチルシトシンの検出−3)
DNA試料として、5'-GGTGGGGGCAGnGCCTCACA-3'(nはmCを示す;配列番号30)、5'-GGTGGGGGCAGCGCCTCACA-3'(配列番号31)を用いた。本DNA試料の5'は32Pにより放射標識されている。
また、ミスマッチ形成プローブとして、5'-TGTGAGGCYCTGCCCCCACC-3'(Yは、式(8)で表される基がアデニンのプリン環の6位の炭素上の窒素原子に結合している塩基を示す;配列番号32)を用いた。
先ず、5 μMミスマッチ形成プローブ、5 mM 四酸化オスミウムカリウム塩、1 mM EDTA、100 mM Tris-HCl、及び100 mM フェリシアン化カリウム(pH 7.0)の存在下で、10 μM DNA試料を50℃で10分間インキュベートした(DNA試料とミスマッチ形成プローブとのハイブリダイズ及びクロスリンクの形成)。その後、1 mg/mL Salmon Sperm DNAを10μL、3 M 酢酸ナトリウム(pH 5.0)水溶液を15 μL、更に冷却エタノールを900 μM加え、十分撹拌した後に-20℃で30分間放置した。次いで、15分間冷却遠心を行い、上澄みを廃棄後、80%冷却エタノールを150 μM加えて遠心後、再び上澄みを廃棄した。5分間減圧留去した後、2000 CPM/μLになるように Loading Bufferで希釈したサンプルをゲル電気泳動で流した。
得られた結果を図14に示す。配列番号29のDNA試料を使用した場合には、配列番号29のDNA試料単独のバンドに加えて、DNA試料とミスマッチ形成プローブとの複合物に相当するバンドが検出された。一方、配列番号30のDNA試料を使用した場合には、DNA試料とミスマッチ形成プローブとのクロスリンクが認められず、配列番号30のDNA試料のバンドのみが観察された。以上の結果から、ミスマッチを形成しているメチルシトシンの検出は、ミスマッチ形成プローブと当該メチルシトシンとをクロスリンクさせることによっても検出できることが明らかとなった。

Claims (18)

  1. DNA試料中の目的塩基がシトシンであるかメチルシトシンであるかを検出する方法であって、
    目的塩基のみ塩基対を形成せず、目的塩基を有するバルジ構造を形成するよう;又は目的塩基のみミスマッチを形成するようDNA試料とガイドプローブとをハイブリダイズさせる第1工程と、
    バルジ構造又はミスマッチを形成するシトシン又はメチルシトシンに特異的な反応を誘導し、この反応の有無によりメチル化を検出する第2工程とを含むメチルシトシン検出方法。
  2. 第1工程が、目的とするシトシン又はメチルシトシンがバルジ構造を形成するようDNA試料とガイドプローブとをハイブリダイズさせる工程であり、
    第2工程が、バルジ構造を形成する前記シトシン又はメチルシトシンに特異的な反応を誘導し、この反応の有無によりメチル化を検出する工程である請求項1に記載のメチルシトシン検出方法。
  3. 第2工程においてメチルシトシンに特異的な反応を誘導する請求項1または2に記載のメチルシトシン検出方法。
  4. 第2工程が、バルジ構造又はミスマッチを形成するシトシン又はメチルシトシンに酸化剤を作用させる第2A工程と、酸化剤による酸化反応物の有無を検出する第2B工程とを含む請求項3に記載のメチルシトシン検出方法。
  5. 第2A工程が、酸化剤として核酸塩基の炭素原子を酸化できる酸化剤を用いるものであり、かつ
    第2B工程が、塩基性物質を作用させる工程、および少なくとも1つのホスホジエステル結合が分解されたか否かを判定する工程順次含む請求項4に記載のメチルシトシン検出方法。
  6. 上記ホスホジエステル結合が分解されたか否かを判定する工程が、DNA試料の断片を検出する工程を含む請求項5に記載のメチルシトシン検出方法。
  7. バルジ構造又はミスマッチを形成するシトシン又はメチルシトシンを含む領域を増幅することにより、DNA試料の断片を検出する請求項6に記載のメチルシトシン検出方法。
  8. 塩基性物質として、窒素含有物質を用いる請求項5〜7のいずれかに記載のメチルシトシン検出方法。
  9. 第1工程の後、エキソヌクレアーゼ処理によりハイブリダイズ産物の1本鎖部分を除去する工程を有する請求項3〜8のいずれかに記載のメチルシトシン検出方法。
  10. 第2B工程が、第2A工程で生成する酸化反応物を標識する工程と、標識物質を検出する工程とを含む請求項4に記載のメチルシトシン検出方法。
  11. 前記第2B工程が、酸化剤による酸化反応物に対してさらに第2の酸化処理を行なってアルデヒドを生成し、このアルデヒドをイミノ基を介して酵素で標識する工程、を含む請求項10に記載のメチルシトシン検出方法。
  12. 第2B工程における、目的塩基の酸化反応物がピリミジン環の5位炭素原子の酸化反応物である請求項4〜11のいずれかに記載のメチルシトシン検出方法。
  13. 第2工程における目的塩基に特異的な反応がシトシンに特異的な反応である請求項1または2に記載のメチルシトシン検出方法。
  14. 第2工程が、目的塩基を重亜硫酸塩処理する第2C工程と、第2C工程で生成するウラシルを検出する第2D工程とを含む請求項13に記載のメチルシトシン検出方法。
  15. 第2工程が、第1工程で得られたハイブリダイズ産物において、前記ガイドプローブとDNA試料中のメチルシトシンとをクロスリンクさせる第2E工程と、前記ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクの有無を検出する第2F工程とを含む請求項1〜のいずれかに記載のメチルシトシン検出方法。
  16. ガイドプローブの長さが20〜100塩基の長さである請求項1〜15のいずれかに記載のメチルシトシン検出方法。
  17. ガイドプローブの長さが40〜100塩基である請求項5〜9のいずれかに記載のメチルシトシン検出方法。
  18. ガイドプローブが固相担体に結合されたものである請求項1〜17のいずれかに記載のメチルシトシン検出方法。
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