JP2008125470A - ビピリジン修飾ヌクレオシド又はヌクレオチド、及びそれを用いたメチルシトシンの検出法 - Google Patents
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Abstract
Description
R1は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、又はアミノ基を示し、
Zは、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、及びカルバモイル基よりなる群から選択される少なくとも1種で置換されていてもよい4,4'−ビピリジン基が、リンカーを介して結合している核酸塩基を示す。]
(a)ガイドプローブ
(1)DNA試料とハイブリダイズできる、
(2)DNA試料の検出目的とするシトシン又はメチルシトシンと対合する塩基はミスマッチする、及び
(3)下記一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基を含んでいる。
(1)DNA試料とハイブリダイズできる、
(2)DNA試料の検出目的とするシトシン又はメチルシトシンと対合するヌクレオチドを欠失している、及び
(3)上記一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基を含んでいる。
項1. 一般式(1)で表されるヌクレオシド又はヌクレオチド。
R1は、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、又はアミノ基を示し、
Zは、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、及びカルバモイル基よりなる群から選択される少なくとも1種で置換されていてもよい4,4'−ビピリジン基が、リンカーを介して結合している核酸塩基を示す。]
項2. 前記核酸塩基が、プリン塩基、7−デアザプリン塩基、又はピリミジン塩基である、項1に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド。
項3. 前記リンカーが、以下のいずれかの構造である、項1又は2に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド。
−(O−CH2−CH2)l−O− [lは1〜100の整数を示す]
−(CH2)k− [kは1〜20の整数を示す]
項4. Zが、メチル基で置換されている4,4'−ビピリジン基が、−(CH2)m1−NH−CO−(CH2)m2−(m1及びm2は前記と同じ)をリンカーとして介して結合しているプリン塩基である、項1に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド。
項5. 以下の一般式(1-a)で表される化合物である、項1に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド。
項6. DNA試料中のシトシンのメチル化の有無を検出する方法であって、
検出目的とするシトシン又はメチルシトシンが、バルジ構造又はミスマッチを形成するように、DNA試料と、下記一般式(1-1)で表されるヌクレオチドの残基を含むガイドプローブとをハイブリダイズさせる第1工程、
第1工程で得られたハイブリダイズ産物に対して、オスミウム酸塩を作用させることにより、バルジ構造又はミスマッチを形成したメチルシトシンと、ガイドプローブに挿入されている一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基中の4,4'−ビピリジン基とをクロスリンクさせる第2工程、及び
前記ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクの有無を検出する第3工程
を含むことを特徴とする、メチルシトシン検出方法。
項7. 前記ガイドプローブが、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンとミスマッチを形成してDNA試料とハイブリダイズするものであり、該ガイドプローブにおいて、一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基が、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンに対して対合してミスマッチする部位に含まれている、項6に記載の検出方法。
項8. 前記ガイドプローブが、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンがバルジ構造を形成してDNA試料とハイブリダイズするものであり、該ガイドプローブにおいて、一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基が、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンに隣接する塩基に対して対合する部位に含まれている、項6に記載の検出方法。
項9. 一般式(1-1)で表されるヌクレオチドの残基が、以下の一般式(1-1-a)で表されるヌクレオチド残基である、項6乃至8のいずれかに記載の検出方法。
項10. ガイドプローブが20〜100塩基の長さである、項6乃至9のいずれかに記載の検出方法。
項11. ガイドプローブが固相担体に結合されたものである、項6乃至10のいずれかに記載の検出方法。
項12. DNA試料中のシトシンのメチル化の有無を検出するためのプローブであって、以下の特性を具備している核酸からなるメチルシトシン検出用プローブ:
(1)DNA試料とハイブリダイズできる、
(2)DNA試料の検出目的とするシトシン又はメチルシトシンと対合する塩基はミスマッチする、及び
(3)一般式(1-1)で表されるヌクレオチドの残基を含んでいる。
項13. DNA試料中のシトシンのメチル化の有無を検出するためのプローブであって、以下の特性を具備している核酸からなるメチルシトシン検出用プローブ:
(1)DNA試料とハイブリダイズできる、
(2)DNA試料の検出目的とするシトシン又はメチルシトシンと対合するヌクレオチドを欠失している、及び
(3)一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基を含んでいる。
項14. 項12又は13に記載のプローブとDNA試料とのハイブリダイズ産物。
項15. 項12又は13に記載のプローブと、オスミウム酸塩とを備えるメチルシトシン検出用キット。
項16. 項12又は13に記載のプローブの1種以上が、基体上に固定された核酸チップ。
項17. 項16に記載の核酸チップと、チップ上の発色パターンを検出できる装置とを備えるメチルシトシン検出用装置。
(I)一般式(1)で表されるヌクレオシド又はヌクレオチド
本発明は、一般式(1)で表されるヌクレオシド又はヌクレオチドを提供する。
−(O−CH2−CH2)l−O− [lは1〜100の整数、好ましくは1〜10の整数を示す]
−(CH2)k− [kは1〜20の整数、好ましくは1〜10の整数を示す]
これらのリンカーの中でも、好ましくは−(CH2)m1−NH−CO−(CH2)m2−が挙げられる。当該リンカーは、特に限定されないが、左側の結合部位に核酸塩基が結合し、右側の結合部位に置換又は未置換の4,4'−ビピリジン基が結合するように構成されていることが望ましい。
本発明のメチルシトシン検出方法は、DNA試料中のシトシンのメチル化の有無を検出、即ち、DNA試料中の目的とする塩基がシトシンであるか、又はメチルシトシンであるかを検出するための方法である。
前記第1工程で得られたハイブリダイズ産物に対して、オスミウム酸塩を作用させることにより、バルジ構造又はミスマッチを形成したメチルシトシンと、ガイドプローブに挿入されている一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基中の4,4'−ビピリジン基とをクロスリンクさせる第2工程、及び
前記ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクの有無を検出する第3工程。
第1工程
DNA試料中の検出対象塩基に特異的な反応を誘導するためには、反応に使用される薬剤が検出対塩基に接近する必要があるが、通常各ヌクレオチドは2本鎖DNAのらせん構造中に埋没していて、上記薬剤が接近できない。
(1)DNA試料とハイブリダイズできる、
(2)DNA試料の検出目的とするシトシン又はメチルシトシンと対合(ペアリング)するヌクレオチドを欠失している、即ち、
(3)一般式(1-1)で表されるヌクレオチドの残基を含んでいる。
(1)DNA試料とハイブリダイズできる、
(2)DNA試料の検出目的とするシトシン又はメチルシトシンと対合(ペアリング)する塩基はミスマッチする、及び
(3)一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基を含んでいる。
本第2工程では、第1工程で形成させたバルジ構造又はミスマッチを形成させた目的塩基に対して選択的な反応を誘導する。具体的には、本第2工程では、前記第1工程で得られたハイブリダイズ産物に対して、オスミウム酸塩を作用させることにより、バルジ構造又はミスマッチを形成したメチルシトシンと、ガイドプローブに挿入されている一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基中の置換又は未置換の4,4'−ビピリジン基とをクロスリンクさせる。
一方、本第2工程では、目的塩基がシトシンである場合には、前述するようなクロスリンクが形成されない。
本第3工程では、前記ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクの有無を検出する。ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクが検出されると、目的塩基がメチルシトシンであると判定される。一方、ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンク構造が検出されなければ、目的塩基がシトシンであると判定される。
(1)まず、ガイドプローブとDNA試料のハイブリダイズ産物において、DNA試料の領域であってガイドプローブとハイブリダイズしていない領域ができるように、前記ガイドプローブを設計しておく。即ち、ガイドプローブの塩基数をDNA試料の塩基数よりも少なくなるように設定しておく。
(2) 前記第2工程後のガイドプローブとDNA試料のハイブリダイズ産物を、クロスリンクが形成されている場合にはハイブリダイズ産物が安定であるが、クロスリンクが形成されていない場合にはハイブリダイズ産物が不安定になって二本鎖構造が損なわれる条件下で処理した後に洗浄する。このような条件の一例として、95℃で10分間煮沸処理する条件が例示される。このような処理を行うことによって、クロスリンクが形成されているハイブリダイズ産物は、二本鎖構造を保持させた状態できるのに対して、クロスリンクが形成されていないハイブリダイズ産物は二本鎖構造を喪失し、ガイドプローブのみになる。
(3)別途、DNA試料において、ガイドプローブとハイブリダイズしていない領域に対して、ハイブリダイズでき、且つ標識物質が結合しているクロスリンク検出用プローブを準備しておく。このクロスリンク検出用プローブを、前記(2)の工程の処理物に対して作用させることにより、DNA試料中のガイドプローブとハイブリダイズしていない領域とハイブリダイズさせる。
クロスリンクが形成されていないハイブリダイズ産物は、前記(2)の工程によってガイドプローブのみになっているので、クロスリンク検出用プローブがハイブリダイズできない。これに対して、クロスリンクが形成されているハイブリダイズ産物は、前記(2)の工程によっても二本鎖構造が維持されているので、クロスリンク検出用プローブがDNA試料の所定の領域に対してハイブリダイズできる。
(4)前記工程(3)の後に、標識物質の有無を検出する。標識物質が検出されるとハイブリダイズ産物においてクロスリンクが形成されていると判定でき、また標識物質が検出されなければ、ハイブリダイズ産物においてクロスリンクが形成されていないと判定できる。
本発明のメチルシトシン検出用キットは、上記メチルシトシン検出方法を実施するためのキットであり、上記ガイドプローブと、オスミウム酸塩とを備える。本メチルシトシン検出用キットは、更に酸化活性化剤を含んでいてもよい。また、本メチルシトシン検出用キットは、上記ガイドプローブとDNA試料との間で形成されたクロスリンクを検出するための試薬を備えるものであってもよい。
基体上に、1種以上のガイドプローブが固定された核酸チップを用いれば、様々な遺伝子について様々な位置のシトシンのメチル化の有無を、一度に検出することができる。
本発明のメチルシトシン検出装置は、上記説明した核酸チップと、チップ上の発色パターンを検出できる装置とを備える装置である。発色パターンの検出装置としては、蛍光、吸収、蛍光偏光、蛍光寿命などを測定できるマイクロプレートリーダー、マイクロチップリーダー、蛍光顕微鏡、蛍光イメージャーなどが挙げられる。
以下に示す工程に従って、4'-メチル-2,2'-ビピリジン修飾プリンヌクレオシドのホスホロアミダイト化合物を合成した。具体的な合成方法は以下の通りである。
(4'-メチル-2,2'-ビピリジン-4-イル)ヘキサン酸(568mg、2.0mmol)とPyBOP(Benzotriazole-1-yl-oxy-trispyrrolidinophosphonium hexafluorophosphate)(1.14g、2.2mmol)とをDMF(ジメチルホルムアミド)(10ml)中に添加し、室温で30分間撹拌を行った。次いで、この溶液に、1,2-ジアミノエタン(222μL、2.2mmol)を添加し、その混合物を室温で2時間撹拌した。得られた溶液は減圧濃縮し、クロロホルムで希釈した。有機相を1Nの水酸化ナトリウムでの洗浄、塩化ナトリウム溶液での洗浄、及び乾燥剤(硫酸マグネシウム)による乾燥処理に供し、更に減圧濃縮して、褐色オイル状の化合物1(603mg、1.7mmol、収率85%)を得た。1H NMR(CDCl3) δ8.46 (t, 2H, J = 5.4 Hz), 8.20 (d, 2H, J = 6.8 Hz), 7.12-7.08 (m, 2H), 2.66 (quartet, 2H, J= 7.8 Hz), 2.42 (s, 3H), 2.20-2.12 (m, 2H), 1.72-1.52 (m, 4H), 1.42-1.39 (m, 4H), 1.32-1.25 (m, 2H); 13C NMR(CDCl3) δ155.9, 152.4, 148.8, 148.7, 148.0, 124.5, 123.8, 121.9, 121.1, 38.8, 36.2, 35.1, 29.9, 28.7, 26.7, 20.1; FABMS (NBA/CHCl3) m/z327 ([(M+H)+]), HRMS calcd. for C19H27ON4([(M+H)+]) 327.2185, found 327.2184.
(6-(2-(6-(4'-メチル-2,2'-ビピリジン-4-イル)ヘキサンアミド)エチルアミノ-9H-プリン-9-イル)-5'-O-ジメトキシトリチル-2'-デオキシリボサイド(以下、化合物2と表記する)の合成
(6-クロロ-9H-プリン-9-イル)-5'-O-ジメトキシトリチル-2'-デオキシリボサイド(11.0g、19.2mmol)を含むDMF(50ml)に、ジイソプロピレンアミン(23ml)及び化合物1(11.0g、55.4mmol)を含むDMF(50ml)を添加し、混合物を75℃で12時間撹拌した。酢酸エチル(1L)で希釈した後、得られた混合液を、塩化ナトリウム溶液による洗浄処理、乾燥剤(硫酸マグネシウム)による乾燥処理、濾過処理、及び減圧蒸留処理に供した。斯くして得られた粗生成物に対してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1、1%NH4OH含有)を行い、白色固形状の化合物2(15.8g、18.3mmol、収率95%)を得た。1H NMR(CD3OD) δ8.41 (dd, 2H, J= 4.8, 10.1 Hz), 8.17 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 8.04 (s, 2H), 7.33 (d, 2H, J = 7.3 Hz), 7.20 (d, 4H, J = 8.8 Hz), 7.15-7.08 (m, 5H), 6.71 (dd, 4H, J = 4.0, 8.4 Hz), 6.38 (t, 1H, J = 6.2 Hz), 4.60 (quartet, 1H, J = 4.2 Hz), 4.10 (quartet, 1H, J = 4.4 Hz), 3.66 (s, 6H), 3.43 (t, 2H, J = 5.9 Hz), 3.32-3.27 (m, 2H), 2.83 (dt, 1H, J = 6.2, 13.5 Hz), 2.56 (t, 2H, J = 7.5 Hz), 2.44 (ddd, 1H, J = 4.6, 6.2, 13.4 Hz), 2.36 (s, 3H), 2.11 (t, 2H, J = 7.1 Hz), 1.61-1.50 (m, 4H), 1.29-1.23 (m, 2H); 13C NMR(CD3OD) δ176.3 160.0, 157.0, 156.3, 154.7, 153.8, 150.3, 150.0, 149.9, 146.2, 140.4, 137.10, 137.06, 131.23, 131.20, 129.3, 128.7, 127.8, 126.0, 125.4, 123.6, 122.9, 114.0, 87.9, 87.6, 85.8, 72.6, 65.0, 55.7, 40.8, 40.3, 36.9, 36.0, 30.9, 29.6, 26.5, 21.2; FABMS (NBA/CH3OH) m/z 863 ([(M+H)+]), HRMS calcd. for C50H55O6N8 ([(M+H)+]) 863.4245, found 863.4235.
化合物2のホスホロアミダイト化合物(以下、化合物3と表記する)の合成
無水アセトニトリル(500μL)に化合物2(47mg、54μmol)及びテトラゾール(3.8mg,54μmol)添加されている溶液に、2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(17.1μl、54μmol)を窒素雰囲気下で添加した。混合物を室温で30分間撹拌した。得られた反応物を濾過して、化合物3を得た。
化合物2の脱ジメトキシトリチル化
化合物2から保護基(ジメトキシトリチル基)を脱離させることにより、本発明のヌクレオシド(一般式(1)中のnが0、R1が水素原子、Zが下記一般式(Za-1)で表される4'-メチル-2,2'-ビピリジン修飾プリンである化合物)が得られる。
また、化合物2から保護基(ジメトキシトリチル基)を脱離させ、更に所定数のリン酸を付加させることにより、本発明のヌクレオチド(一般式(1)中のnが1〜3、R1が水素原子、Zが一般式(Za-1)で表される4'-メチル-2,2'-ビピリジン修飾プリンである化合物)が得られる。
1,2-ジアミノエタンの代わりに1,5-ジアミノペンタンを使用すること以外は、上記製造例1と同様の方法で、本発明のヌクレオシド(一般式(1)中のnが0、R1が水素原子、Zが下記4'-メチル-2,2'-ビピリジン修飾プリンである化合物)及びヌクレオチド(一般式(1)中のnが1〜3、R1が水素原子、Zが下記一般式(Za-4)で表される4'-メチル-2,2'-ビピリジン修飾プリンである化合物)を合成した。
DNA試料として、20mer DNA(5'-GGTGGGGGCAGNGCCTCACA-3';Nはシトシン又はメチルシトシンを示す)(配列番号1)を用い、その5'末端を放射標識(32P)し、精製した。
ミスマッチ形成プローブにおける一般式(Za-4)で表される4'-メチル-2,2'-ビピリジン修飾プリンとして下記の構造のものを使用する以外は、上記試験例1と同様の方法で試験を行い、メチルシトシンの検出を行った。
長鎖のDNAを試料としても、メチルシトシンの検出を行えるかを確認するために、以下の試験を実施した。
<試験方法>
以下の工程a〜hを実施することにより、標識物質を使用したメチルシトシンの検出を行った。なお、本試験における各工程の模式図について図6に示す。
工程a:ミスマッチ形成プローブのチップへの結合
ミスマッチ形成プローブとして20mer DNA(5'-AAACTCCACNCACAAACACG-3'; Nは一般式(Za-1)で表される4'-メチル-2,2'-ビピリジン修飾プリンを示す)(配列番号4)を準備し、その5'末端を基−(CH2)18−NH2で修飾することによりアミノ化した。
次に、チップに結合したミスマッチ形成プローブに対して、PBS(phosphate buffered saline; pH 7.0)4mL、水酸化硼素ナトリウム10mg、及びエタノール1mLを添加し、室温で5分間放置し、水で2回洗浄した後に乾燥させて、チップとミスマッチ形成プローブとの間を結合させている窒素原子を還元させた(即ち、チップとミスマッチ形成プローブとの間を結合させている基を、基−N=C-から基−NH-CH2−に変換させた)。
次に、DNA試料として50mer DNA(5'-TTTGAGGTGNGTGTTTGTGCCTGTCCTGGGAGAGACCGGCGCACAGAGGA-3';Nはシトシン又はメチルシトシンを示す)(配列番号5)を用いて、当該DNA試料(配列番号5においてNがメチルシトシンのものとシトシンのものとが所定量混在)と、チップに結合させたミスマッチ形成プローブとをハイブリダイズさせた。具体的には、チップに結合させたミスマッチ形成プローブに対して、DNA試料(1μM)及びNaCl(0.1M)を含む50mMのリン酸ナトリウム溶液(pH 7.0)を2μL添加し、室温で30分間静置した。その後、1×SSCで洗浄した後に、更に0.1×SSCで洗浄し、乾燥させることにより、チップ上でミスマッチ形成プローブとDNA試料とのハイブリダイズ産物を得た。
更に、上記で得られたハイブリダイズ産物に対して、5mMオスミウム酸カリウム及び100mMフェレシアン化カリウムを含むトリス塩酸緩衝溶液(pH 7.7、1mMEDTA含有)を2μL添加し、室温で1時間反応させた。次いで、0.15重量%SDS含有水溶液で洗浄した後に乾燥させて、ハイブリダイズ産物においてクロスリンクが形成された反応物を得た。
次に、上記処理を行った反応産物を95℃の水に10分間浸漬した後に乾燥させることにより、クロスリンクが形成されていないハイブリダイズ産物を分解させた。
更に、クロスリンク検出用プローブとして、3'末端にトリエチレングリコールを介してビオチンを結合させている20mer DNA(3'-TCTCTGGCCGCGTGTCTCCT-5')(配列番号6)を準備した。上記処理を行った反応産物に対して、このクロスリンク検出用プローブ(10μM)及びNaCl(0.1M)を含む50mMのリン酸ナトリウム溶液(pH 7.0)を2μL添加し、室温で30分間静置した。その後、1×SSCで洗浄した後に、更に0.1×SSCで洗浄し、乾燥させることにより、チップ上でDNA試料とクロスリンク検出用プローブとをハイブリダイズさせた反応物を得た。
次いで、上記で得られたチップ上の反応産物に対して、子牛血清アルブミン(BSA)(50mg/mL)を含むPBSを1.5mL添加して室温で5分間静置した。その後、PBSで洗浄することにより、反応産物が結合しているチップをブロッキングした。
更に、上記でチップ上の反応産物に対して、BSA(50mg)、PBS(1.5mL)及びCy3-アビジンコンジュゲート(15μL)を添加して室温で5分間反応させた。その後、PBSで洗浄した後に乾燥させることにより、チップ上の反応産物に存在するビオチンにCy3-アビジンコンジュゲートを結合させた反応物を得た。
斯くして処理されたチップ上の反応物のCy3の蛍光強度を測定した(励起波長532nm、検出波長585±45nm)。
この結果、DNA試料における、目的塩基がメチルシトシンであるDNAの割合に応じて、強い蛍光輝度が検出された(図7参照)。即ち、この結果から、本発明によれば、予めメチル化頻度と検出される蛍光輝度との関係を示す検量線を作成することによって、シトシンのメチル化頻度が未知のDNA試料に対して、メチル化量の定量が可能になることが確認された。
Claims (17)
- 前記核酸塩基が、プリン塩基、7−デアザプリン塩基、又はピリミジン塩基である、請求項1に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド。
- 前記リンカーが、以下のいずれかの構造である、請求項1又は2に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド。
−(CH2)m1−NH−CO−(CH2)m2− [m1及びm2は同一又は異なって1〜20の整数を示す]
−(O−CH2−CH2)l−O− [lは1〜100の整数を示す]
−(CH2)k− [kは1〜20の整数を示す] - Zが、メチル基で置換されている4,4'−ビピリジン基が、−(CH2)m1−NH−CO−(CH2)m2−(m1及びm2は前記と同じ)をリンカーとして介して結合しているプリン塩基である、請求項1に記載のヌクレオシド又はヌクレオチド。
- DNA試料中のシトシンのメチル化の有無を検出する方法であって、
検出目的とするシトシン又はメチルシトシンが、バルジ構造又はミスマッチを形成するように、DNA試料と、下記一般式(1-1)で表されるヌクレオチドの残基を含むガイドプローブとをハイブリダイズさせる第1工程、
第1工程で得られたハイブリダイズ産物に対して、オスミウム酸塩を作用させることにより、バルジ構造又はミスマッチを形成したメチルシトシンと、ガイドプローブに挿入されている一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基中の4,4'−ビピリジン基とをクロスリンクさせる第2工程、及び
前記ガイドプローブとDNA試料とのクロスリンクの有無を検出する第3工程
を含むことを特徴とする、メチルシトシン検出方法。 - 前記ガイドプローブが、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンとミスマッチを形成してDNA試料とハイブリダイズするものであり、該ガイドプローブにおいて、一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基が、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンに対して対合してミスマッチする部位に含まれている、請求項6に記載の検出方法。
- 前記ガイドプローブが、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンがバルジ構造を形成してDNA試料とハイブリダイズするものであり、該ガイドプローブにおいて、一般式(1-1)で表されるヌクレオチド残基が、検出目的とするシトシン又はメチルシトシンに隣接する塩基に対して対合する部位に含まれている、請求項6に記載の検出方法。
- ガイドプローブが20〜100塩基の長さである、請求項6乃至9のいずれかに記載の検出方法。
- ガイドプローブが固相担体に結合されたものである、請求項6乃至10のいずれかに記載の検出方法。
- 請求項12又は13に記載のプローブとDNA試料とのハイブリダイズ産物。
- 請求項12又は13に記載のプローブと、オスミウム酸塩とを備えるメチルシトシン検出用キット。
- 請求項12又は13に記載のプローブの1種以上が、基体上に固定された核酸チップ。
- 請求項16に記載の核酸チップと、チップ上の発色パターンを検出できる装置とを備えるメチルシトシン検出用装置。
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WO2014103980A1 (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-03 | 和光純薬工業株式会社 | Dna中のヒドロキシメチル化シトシンの検出方法及び検出用試薬キット |
JP2019187361A (ja) * | 2018-04-27 | 2019-10-31 | 国立大学法人 東京大学 | メチル含有基修飾核酸を精製、分離または濃縮する方法 |
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2006
- 2006-11-22 JP JP2006316189A patent/JP5114705B2/ja active Active
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WO2014103980A1 (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-03 | 和光純薬工業株式会社 | Dna中のヒドロキシメチル化シトシンの検出方法及び検出用試薬キット |
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