JP5166368B2 - 潰瘍性大腸炎を診断するための方法およびキット - Google Patents

潰瘍性大腸炎を診断するための方法およびキット Download PDF

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Description

本発明は、炎症性腸疾患の診断に関し、特に、潰瘍性大腸炎を予想および/または診断する方法およびキットに関する。本発明は、全体的または部分群的いずれかの発現状態の変化が潰瘍性大腸炎を示すような特定のマーカー遺伝子を開示する。本発明はさらに、前記病気に関連するマーカー遺伝子の発現レベルを直接生検から定量化することにより、病気のタイプに関する迅速で正確な診断テストおよび/または特定の治療計画の効果の評価を可能にするDNA関連方法に関する。本発明はさらに、前記遺伝子の発現レベルを検出するための診断キットを開示する。
炎症性腸疾患(IBD)は、消化管における慢性炎症に関与する数種の状態をを含む用語である。最も衰弱性のIBDの形態のうち2種は、潰瘍性大腸炎(UC)と、クローン病(CD)である。これらの病気は、若年層に影響を及ぼし、その典型的な発症は20〜30歳代であり、現在のところいずれの状態に対しても治療法がないため、病気の管理は患者と医師両方にとって長期にわたる献身である。約30%のIBD患者が、一生のうちに外科処置を受け、長期にわたりIBDに罹っている患者は、結腸直腸のガンを発症させる危険がかなりある。今日、10人のIBD患者うち3人は、利用可能な最善の薬物療法を高用量で用いたとしても反応せず、かなりの副作用を引き起こす。
活動性UCに罹った患者の治療は、炎症を減少させ、結腸の治癒と粘膜の回復を促進することを目的としている。UCの根本的な原因が不明であるだけでなく、何がこの病気にその非活動性型と活動性型とを繰り返させるきっかけになっているのかもわかっていない。しかしながら、この病気の活動性期は、粘膜の顕著な炎症を特徴とし、細胞の透過性、タンパク質と体液の損失を高める。重症期では、腹部の圧痛、頻脈、発熱および腸穿孔の危険を伴い、腸壁の深い炎症が生じる可能性がある。
潰瘍性大腸炎の初期症状の1つは、便に血液または粘液の排出を伴う便秘である。腹部痛を伴う下痢を発症するまでに、数ヶ月または数年が経過する場合がある。後期の症状としては、重度の疲労,体重の減少、食欲の減退、発熱、場合によっては関節痛が挙げられる。
潰瘍性大腸炎の確立された診断への道はしばしば、患者の病歴の徹底的な研究、その他の状態の排除、および、数種の試験、例えば血液試験、検便、バリウム注腸X線、S状結腸鏡検査、結腸鏡検査、および、生検を含む。生検は、S状結腸鏡検査または結腸鏡検査試験の一環として行ってもよい。
初期段階でUCと結腸のCDとを臨床的に識別する可能性は、患者と医師の両方に多大な利点を提供し得ることは明らかである。この可能性により、正確な治療計画の設計を可能にし、不必要な薬物療法を防ぎ、治療コストを減少させることができる。総合的なIBD患者の臨床像において主要なUC患者群とCD患者群との間で臨床的に重要ないくつかの差が示されたとしても、実質的に類似しているため、ヘルスケア系の従事者にとって正しい診断を確立することを難しくしている。
従来技術
従来技術によれば、IBDの型を識別する、特にUCとCDとを識別する利用可能な方法は、上述の様々な試験方法の例を除いて、抗体に基づく方法に焦点を合わせていることが示されている。
例えば、WO03/036262では、クローン病のマーカーとして糞便の抗サッカロミセス・セレビジエ抗体(ASCA)の存在を用いた、クローン病を潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群のようなその他の胃腸疾患と識別するための方法および装置が提供されること、を説明している。この装置は、ヒト糞便サンプル中の総内因性ASCAを測定するための、ヒトイムノグロブリンに特異的な抗体を利用する酵素結合免疫検査法またはその他の免疫検査法を含む。この方法および装置は、ヘルスケア供給者によって、クローン病を潰瘍性大腸炎および過敏性腸症候群のようなその他の胃腸疾患と識別するのに使用可能である。
WO01/58927では、罹患した組織のhTMに対する自己抗原反応に関する病気、特に潰瘍性大腸炎を検出するための診断方法を説明している。
正確で迅速で信頼できる潰瘍性大腸炎の診断のための、特にIBD患者において潰瘍性大腸炎とクローン病とを識別するという観点で改善された方法の必要性が未だにある。
本発明の目的の1つは、この目的のためのこのような方法およびキットを利用可能にすることである。1つの特定の目的は、病気の初期段階において信頼できる診断に到達できるような方法およびキットを利用可能にすることである。その他の目的は、臨床像が極めて類似し得るような困難なケースにおいても、CDとUCとの識別を可能にすることである。
本発明の基礎となるさらなる目的、同様に、本発明が提供する解決方法、および、関連する利点は、本発明の説明、実施例および請求項を研究すれば当業者にとって明白となり得る。
本発明者等は、驚くべきことに、潰瘍性大腸炎とクローン病とを識別することは、患者の腸の炎症を起こした領域、または場合により炎症を起こしていない領域から得られた生検サンプルの遺伝子発現プロファイルを研究する多重遺伝子法によって可能になることを見出した。
本発明は、全体的または部分群的いずれかでヒトの潰瘍性大腸炎(UC)状態を示す可能性のあるマーカー遺伝子の発見に基づく。本発明者等は、驚くべきことに、多数の特定の遺伝子の発現レベルの定量化が、患者がUCまたは例えばクローン病の状態に罹っているかどうかを生検から正確かつ簡便に診断することに利用可能であることを見出した。
より特定には、前記遺伝子マーカーの発現レベルを半定量化することが可能な予め選択された遺伝子特異的プライマーを用いて、7種の異なる遺伝子マーカーまたはそれらのサブセットの核酸の増幅を可能にする方法を提供する。遺伝子特異的プライマーは、所定の遺伝子マーカーをコードするDNAの対となる鎖にハイブリダイズし、PCR増幅によって遺伝子マーカー遺伝子のコードDNAの定義された領域が生産されるように設計される。生物学的サンプル中の、前記7種のマーカー遺伝子またはそれらのサブセットの発現状態を検出およびモニターするための分析およびキットを提供する。この分析は、前記マーカー遺伝子を検出するための、培養ではなくPCRに基づいた分析である。
潰瘍性大腸炎(UC)またはクローン病(CD)のいずれかに罹った患者からの生検サンプルにおける、7種のマーカー遺伝子の発現状態のRT−PCR分析を示す。
図面の説明
本発明は、添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明および実施例でより詳細に説明される;
図1は、潰瘍性大腸炎(UC)またはクローン病(CD)のいずれかに罹った患者からの生検サンプルにおける、7種のマーカー遺伝子の発現状態のRT−PCR分析を示す。実験プロトコールを実施例6で概説する。(記号:Mは、塩基対マーカー、Hは、全体的に正常で健康な個体からの生検を示し、Iは、炎症を起こした領域から採取した生検サンプルを示し、Nは、同じ患者の炎症を起こしていない領域から採取した生検を示す。図の下部の数字は患者数を示し、縦の黒い線は、同じ患者から得られたNおよびIの生検サンプルを示す)。ガンマアクチンをローディングコントロールとして用いたが、これは、全てのRT−PCR反応で等しいmRNA投入量を実証するのに一般的に用いられるハウスキーピング遺伝子の発現状態を示す。
発明の詳細な説明
本発明を開示および説明する前に、当業者であれば、本発明は、目的を実行し、上述の結果および利点が得られるように、同様に、本発明に固有の目的を実行し、その結果および利点が得られるようにうまく改変されることは容易に理解し得る。本発明の実施例、同様に、本発明で説明される方法、手順、治療、分子、および、特定の化合物は、現状での好ましい実施形態の典型であり、代表であって、本発明の範囲を限定するような意図はない。当業者が考慮し得るそれらへの変化およびその他の用途は、特許請求の範囲で定義された本発明の本質に包含される。
本発明で用いられる用語「相補DNAプライマー」は、本発明で説明される条件下で、生物学的サンプル中で、RNAテンプレートに特定の方向でアニールし、逆転写酵素の存在下で新生DNA鎖の合成を可能にするオリゴヌクレオチドを意味する。
また、本発明で用いられる、DNA鎖が合成される「条件」とは、逆転写酵素が逆転写酵素阻害剤によって阻害されない場合、RNAテンプレートとDNAプライマーとがアニールし、オリゴヌクレオチドが合成されたDNA鎖に取り込まれるような量および温度で、ヌクレオチド、カチオンおよび適切な緩衝剤が存在することを含む。典型的な条件を下記の実施例に示す。説明された条件は、その他の既知のRT/cDNA合成プロトコールから最適化したものである。一般的に、当業者周知のプロトコールに基づき特定の逆転写酵素反応を最適化するためにその他の条件を確立することができることがわかっている。
本発明で用いられる用語「プライマー対」は、2種のプライマーを意味し、センス配列とアンチセンス配列とからなる二本鎖DNA分子におけるそれぞれの方向に対して、一方はフォワードに設計されており、他方はリバースに設計されており、それにより、本発明で説明される増幅条件下で、フォワードプライマーはセンス配列にアニールし増幅を開始し、リバースプライマーはアンチセンス配列にアニールし増幅を開始することができる。プライマーは、増幅反応で用いるために、反応の際に他方のプライマーと最小限の相補性を有し(プライマーダイマー形成を最小化するため)、Tm値が増幅方法(好ましくはPCR)に適した反応温度の範囲内にあることに基づき選択することができる。加えて、プライマーは、生じたDNA増幅産物のサイズ範囲が、100〜500塩基対の長さ、最も好ましくは約300塩基対の長さになるように、RNAテンプレートの特定の領域とアニールするように選択することができる。
例えば、上述の条件下で、プライマー対は、配列番号13のオリゴヌクレオチド(フォワードプライマーとして)と、配列番号14のオリゴヌクレオチド(リバースプライマーとして)で構成されていてもよい。
本発明で用いられる用語である、増幅DNAを「検出すること」または増幅DNAの「検出」は、逆転写酵素が分析混合物に添加された逆転写酵素阻害剤に耐性である場合にのみ合成された増幅DNA鎖の存在を、定性的または定量的に測定することを意味する。合成DNAの増幅は、当業界既知のあらゆるDNA検出方法で検出することができる。例えば、増幅DNAの検出は、サザンブロットハイブリダイゼーション分析、エチジウムブロマイド染色されたアガロースゲル上で特定の分子量のDNA増幅産物を可視化すること、放射標識されたヌクレオチドの合成DNA鎖への取り込みのオートラジオグラフィまたはシンチレーション測定による測定によって可能である。
好ましい検出方法は、エチジウムブロマイド染色とUV光下での可視化を用いたアガロースゲル電気泳動による検出方法である。
PCRの原理と、標的核酸の増幅および検出条件は、当業界周知であり、当業者既知の数多くの参考文献で見出すことができ、例えば、米国特許第4,683,195号;米国特許第4,683,202号、および、米国特許第4,965,188号が挙げられる(いずれもMullis等)。簡単に言えば、増幅され得る領域の両端にある標的配列に相補的な2種のオリゴヌクレオチドプライマーの存在下で、標的核酸を含むと推測されるサンプルを加熱して、二本鎖核酸を変性させる。プライマーは、分離した標的鎖にアニールし、熱安定性ポリメラーゼのような重合剤によって各3’ヒドロキシル末端から伸長が起こる。二本鎖または一本鎖DNAはPCRで増幅することができる。RNAはまた、cDNAへの逆転写RNAによって標的として役立たせることもできる。
変性、プライマーアニーリングおよびDNA合成の工程はそれぞれ別個の温度で行われ、サイクルを繰り返すことにより、指数関数的な標的核酸の蓄積が起こる。一般的にPCR容器は、栓付きプラスチック容器、または、キュベット、または、ポーチ(米国特許第5,229,297号で説明される)である。典型的には、PCR増幅用試薬は1つの容器中で混合され、一般的に、プライマー、ヌクレオシド三リン酸(一般的に、dATP、dCTP、dGTP、および、dTTPまたはdUTP)、熱安定性DNAポリメラーゼ、マグネシウム含有緩衝液、および、標的核酸を含む。PCR用試薬および条件は当業者周知であり、例えば、Guatelli等(1989年)Clin.Microbiol.Rev.2:217で見出すこと
ができる。RNA標的を増幅するために、熱安定性DNAポリメラーゼに加えて、または、その代わりに、逆転写酵素を利用してもよい。熱安定性の逆転写酵素、および逆転写酵素活性を有する熱安定性DNAポリメラーゼは、特に有用である。RNA標的のPCR増幅方法は当業者既知であり、例えば、米国特許第5,176,995号、第5,310,652号、および、第5,322,770号で説明される。
一般的に、PCRで増幅されたDNAの検出は、DNAをアガロースゲル、アクリルアミドゲルなどを用いた電気泳動で処理し、続いて核酸特異的な染色試薬で染色処理する方式で行われる。二本鎖DNAを検出する場合、通常は、エチジウムブロマイドのような蛍光試薬をDNAの2つの鎖の間に侵入させ、続いて蛍光試薬を紫外線光源で励起させる。DNAの2つの鎖の間に侵入したエチジウムブロマイドは蛍光を放出するので、CCDカメラなどで蛍光を捕らえることによって検出が行われる。
本発明の目的は、7種の特定のマーカー遺伝子またはそれらのサブセットのPCRによる増幅、および、この増幅産物を電気泳動することによるラダー分離(latter separation)、続いて、ゲル中でDNAが十分に可視化される適切な染色技術によって達成され、このような染色技術としては、これらに限定されないが、銀塩、放射性同位体、および検出を可能にする基質を共に用いた酵素による染色が挙げられる。
本発明の特定の実施形態の目的は、単一の反応チャンバーで核酸の増幅反応が行われ、そこで内部プライマー対が前記標的遺伝子マーカー遺伝子の対となる領域にハイブリダイズし、ポリメラーゼ連鎖反応により増幅が起こる方法を提供することである。
内部コントロールプライマー対は、半定量的な対照が作成できるように、適切なコントロールハウスキーピング遺伝子の対となる鎖にハイブリダイズするように設計される。このような好ましいハウスキーピング遺伝子としては、アクチン、GADPH、または、延長因子が可能である。内部コントロールシグナルの強度を測定し、それと前記遺伝子マーカー遺伝子により生じたシグナルとを比較することにより、前記遺伝子マーカー遺伝子の発現の変化の度合いを、正常な発現レベル(すなわち病気の症状がない場合のレベル)から決定することができる。
本発明の方法において、PCR増幅は、適切な遺伝子特異的プライマーと熱安定性ポリメラーゼ酵素との存在下で、全PCR試薬と標的核酸を含むサンプルをプレインキュベートすることによって達成される。得られた反応混合物を、プライマー伸長産物の形成と増幅を可能にする条件下で周期的に加熱する。
PCRに必要な試薬は当業者既知であり、一般的に、標的核酸の保存された領域に十分相補的でそれらにハイブリダイズすることができる少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、4種の異なるヌクレオシド三リン酸、熱安定性の重合剤、および、重合剤に必要なあらゆる補因子が挙げられる。好ましいヌクレオシド三リン酸は、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、dATP、dCTP、dGTP、および、dTTPまたはdUTPであり、集合的にdNTPという。ヌクレオシド三リン酸は市販されている。
プライマーは、標的核酸へのアニーリングが可能であり、適切な条件下で、すなわちヌクレオシド三リン酸、重合剤、適切な温度、pHおよび緩衝液の存在下で核酸合成の開始点として作用する天然に存在する、または、合成で生産されたオリゴヌクレオチドを含む。プライマーは、それらにハイブリダイズする標的核酸に十分に相補な配列を有し、重合剤の存在下で伸長産物の合成を開始させるのに十分な長さ、典型的には10〜60個のヌクレオチドからなる。プライマーは、当業者周知の方法で自動合成により合成的に製造可能である。
プライマーの設計に考慮すべき事柄は当業界周知である。プライマーは、1種のプライマーから合成された伸長産物が、その相補物から分離した際に、他方のプライマーの伸長産物のためのテンプレートとして役立ち得るように、増幅しようとする特定の核酸の鎖の配列に実質的に相補であるように選択される。好ましくは、プライマーは、標的領域と正確に相補的である。本発明の明細書、実施例および請求項で提供されたプライマー対は、本発明の範囲を逸脱することなくマーカー遺伝子への特異性を示す機能的に同等なプライマーと置き換え可能であることを特記する。
本発明者等は、予期せずして、全体的または部分群的な発現状態におけるその特定の変化が、炎症性腸疾患状態(UC)を示すような7種のマーカー遺伝子を同定した。これは、病気のタイプを正しく予測することにおいて検査医師の補助となるように設計された、分子レベルでの迅速な検出プロトコールの可能性を開くものである。
図1と下記の表1に、炎症を起こした組織、および、炎症を起こしていない組織での発現プロファイルを例示する。
Figure 0005166368
遺伝子マーカーは、溶質(solute)キャリアーファミリー6メンバー14(SLC6A14)、溶質キャリアーファミリー26メンバー2(SLC26A2)、CXCケモカイン成長関連腫瘍遺伝子−α(Gro−α)または(CXCL−1)、マトリライシン(または、マトリックスメタロプロテイナーゼ−7(MMP−7)としても知られている)、胃腸で分泌されるタンパク質(GISP)(または、再生遺伝子IV型(Reg IV)としても知られている)、膜結合型タンパク質17(MAP−17)、および、バニン(Vanin)−1である。表2を参照。
Figure 0005166368
重合剤は、プライマー伸長産物の合成が達成されるように機能する化合物である。重合剤は、熱安定性であり、すなわち、典型的にはPCRでDNA鎖を変性させるのに用いられる温度(例えば93〜95℃)に短時間で加熱する際に一時的に不活性化され、高温で優先的に活性化される。好ましい実施形態において、重合剤は、熱安定性DNAポリメラーゼであり、例えば、高温細菌、例えばサーモコッカス−リトラリス(Thermococcus litoralis)、バチルス−ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、メタノテルムス−フェルビダス(Methanothermus fervidus)、サーマス−アクアティカス(Thermus aquaticus)、T.フィリフォルミス(T.filiformis)、T.フラーブス(T.flavus)、T.ラクテウス(T.lacteus)、T.ルーベンス(T.rubens)、T.ルーベル(T.ruber)、および、T.サーモフィルス(T.thermophilus)から得られたDNAポリメラーゼ;または、好熱古細菌、例えばデスルフロコッカス−モビリス(Desulfurococcus mobilis)、メタノバクテリウム−サーモオートトロフィルカム(Methanobacterium thermoautotrophilcum)、サルホロバス−ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)、S.アシドカルダリウス(S.acidocaldarius)、および、サーモプラズマ−アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)から得られたDNAポリメラーゼが挙げられる。最も好ましい実施形態において、重合剤は、サーマス−アクアティカス(Taq)ポリメラーゼ、サーマス・サーモフィルス(Tth)ポリメラーゼ、または、サーモコッカス−リトラリスポリメラーゼである。熱安定性の逆転写酵素、および、逆転写酵素活性を有するDNAポリメラーゼもまた、重合剤として考慮される。
熱安定性ポリメラーゼは、市販のものを入手してもよいし、または、当業界既知の方法で得てもよい。特に、Taqポリメラーゼは、組換え型と野生型で市販されており(パーキン・エルマー・シータス(Perkin Elmer-Cetus))、または、は、Lawyer等(1989年)、または、米国特許第4,889,818号で説明されている方法で製造することもできる。Tthポリメラーゼは、フィンザイム社(Finnzyme Co.,フィンランド)、および、株式会社東洋紡(日本)から市販されている。サーモコッカス−リトラリスポリメラーゼは、ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs)から市販されており、また米国特許第5,322,785号で説明されている方法で製造してもよい。
熱安定性の重合剤に特異的な抗体を、増幅の前に重合剤を阻害するための予備増幅工程に含ませてもよい。抗体は、当業者既知の方法、および、例えばHarlowe等(1988年)Antibodies:A Laboratory Manual(コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor),ニューヨーク)で見出される方法で製造することができる。本発明において、用語「抗体」は、従来の方法論でで製造されたモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、組換えで製造された抗体、および、化学的または組換えで製造された抗体フラグメント、例えばFabフラグメントを含む。好ましい実施形態において、抗体は、モノクローナルである。
本発明の好ましい実施形態において、抗体は、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、または、サーモコッカス−リトラリスポリメラーゼに対するモノクローナル抗体である。より好ましい実施形態において、抗体は、Taqポリメラーゼに対するモノクローナル抗体である。Taqポリメラーゼに対するモノクローナル抗体は、当業界既知であり、例えば、米国特許第5,338,671号で説明されている。本発明において、重合剤に特異的と定義された抗体は、温度約20〜40℃で重合剤の酵素活性を阻害することができる抗体である。本発明の抗体は、PCRの熱サイクルの際に使用される高温により不活性化される。ポリメラーゼの酵素活性を阻害する抗体の能力は、例えばSharkey等(1994年
)により説明されているような当業者既知の分析によって測定することができる。
本発明は、標的核酸の増幅方法、および、場合によりそれに続く標的核酸を含むと推測されるサンプル中での核酸の検出方法を提供する。このサンプルは、標的核酸を含むと推測されるあらゆるサンプルが可能であり、例えば、組織サンプル、血液、毛髪、体液、細菌、ウイルス、真菌、細菌感染細胞、ウイルス感染細胞などである。標的核酸は、DNAまたはRNAであり得る。PCR増幅に適した位置で標的核酸の異なる鎖にハイブリダイズ可能なプライマーを設計するために、増幅され得る配列の両末端における十分な数の塩基が予めわかっていなければならない。標的核酸は、PCRの前に組織サンプルから、例えばサンプルからタンパク質または細胞形質成分を除去することによって、抽出してもよいし、または、部分的に抽出してもよい。核酸をサンプルから抽出する方法は当業者既知であり、例えば Sambrook等(1989年)、および、Saiki等(1985年)で見出すことが出来る。
好ましい実施形態において、材料源として、胃腸管および病気の徴候を示すと考えられている領域から切除された生検が特に好ましい。
本発明の増幅方法において、サンプルまたはサンプルから抽出された核酸の調製物を、一般的にPCRで用いられる試薬(少なくとも1種のホスホロチオエート結合を含むように改変された少なくとも2種のオリゴヌクレオチドプライマー、4種の異なるヌクレオシド三リン酸、熱安定性の重合剤、および、適切な緩衝液を含む)と接触させ、さらにエキソヌクレアーゼと接触させて反応混合物を形成する。他の実施形態において、重合剤に特異的な抗体が混合物に含まれる。
プライマー、ヌクレオシド三リン酸、重合剤、および、適切な緩衝液を含む従来のPCR試薬は、一般的に、PCRに適した濃度で利用され、当業者に既知である。好ましい実施形態において、ヌクレオシド三リン酸は、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPである。好ましい実施形態において、重合剤は、熱安定性DNAポリメラーゼである。好ましいDNAポリメラーゼは、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、および、サーモコッカス−リトラリスポリメラーゼである。Taqポリメラーゼが特に好ましい。
好ましくは、増幅方法は、連続的な自動方式で行われる。自動PCRに適した機器は当業者既知であり、例えば、米国特許第4,965,188号、第5,089,233号、および、第5,229,297号で説明されている。当業者は、容易に増幅産物を検出することができ、例えば、アガロースゲル電気泳動によるPCR産物の分離、および、エチジウムブロマイド染色での可視化、または、増幅された核酸とハイブリダイズ可能な標識されたプローブを用いたハイブリダイゼーションによる検出、または、多種多様な当業者周知のその他の検出方法により検出することができる。
従って、本発明の一実施形態は、患者の腸の炎症を起こした領域、および、炎症を起こしていない領域から得られた生検サンプル中での遺伝子発現プロファイルの分析に基づく潰瘍性大腸炎とクローン病とを識別する方法であって、本方法において、多数のマーカー遺伝子のうち少なくとも2種の発現レベルが測定され、前記少なくとも2つのマーカー遺伝子は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号7から選択される。
本発明の他の実施形態は、配列番号1と配列番号2との発現レベルを測定し、配列番号1の炎症を起こした組織での発現、および、炎症を起こしていない組織での発現の欠如を、配列番号2の炎症を起こした組織での発現の欠如と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱う方法である。
本発明の第3の実施形態は、配列番号1、配列番号2および配列番号3の発現レベルを測定し、配列番号1の炎症を起こした組織での発現、および、炎症を起こしていない組織での発現の欠如を、配列番号2の炎症を起こした組織での発現の欠如、および、配列番号3の炎症を起こした組織での発現、および、炎症を起こしていない組織での発現の欠如と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱う方法である。
第4の実施形態は、配列番号1、配列番号2および配列番号4の発現レベルを測定し、配列番号1の炎症を起こした組織での発現、および、炎症を起こしていない組織での発現の欠如を、配列番号2の炎症を起こした組織での発現の欠如、および、配列番号4の炎症を起こした組織での発現、および、炎症を起こしていない組織での発現の欠如と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱う方法である。
第5の実施形態は、配列番号1〜7の発現レベルを測定し、配列番号1、3、4、5、6および7の炎症を起こした組織での発現、および、炎症を起こしていない組織での発現の欠如を、配列番号2の炎症を起こした組織での発現の欠如と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱う方法である。
好ましい実施形態において、上記実施形態のいずれか1つの方法は、遺伝子特異的プライマーを用いた前記遺伝子の核酸の増幅、および、増幅結果の決定により、各マーカー遺伝子の発現レベルを測定する工程を含む。核酸の増幅は、好ましくは、PCRを用いて、および、好ましくは配列番号13〜26から選択される遺伝子特異的プライマーを用いて行われる。
増幅結果の決定は、好ましくは、エチジウムブロマイド染色とUV光下での可視化を用いて行われる。
本発明はさらに、同一または別個のコンテナーに、熱安定性の重合剤、および、前記標的遺伝子がPCRで増幅可能なように設計されたプライマー対を含むPCR用キットを提供する。例えば、PCR重合剤およびPCR用試薬(例えばヌクレオシド三リン酸、プライマーおよび緩衝液)に特異的な追加の抗体を含めるために、追加のコンテナーが提供されてもよい。
その結果として、本発明は、患者の腸の炎症を起こした領域、および、炎症を起こしていない領域から得られた生検サンプル中での遺伝子発現プロファイルの分析に基づく潰瘍性大腸炎とクローン病とを識別するためのキットを利用可能にし、前記キットは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号7から選択される少なくとも2つのマーカー遺伝子に向けられた遺伝子特異的プライマー対を含む。
前記遺伝子特異的プライマー対は、好ましくは、配列番号13および配列番号14;配列番号15および配列番号16;配列番号17および配列番号18;配列番号19および配列番号20;配列番号21および配列番号22;配列番号23および配列番号24;および、配列番号25および配列番号26から選択される。
本発明の一実施形態において、前記特異的プライマーは、配列番号13および配列番号14;配列番号15および配列番号16;ならびに、配列番号17および配列番号18である。
本発明の他の実施形態において、前記特異的プライマーは、配列番号13および配列番号14;配列番号15および配列番号16;ならびに、配列番号19および配列番号20である。
本発明に係るキットは、好ましくは、熱安定性の重合剤および必要な補因子をさらに含む。好ましい実施形態において、重合剤は、DNAポリメラーゼである。より好ましい実施形態において、ポリメラーゼは、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、または、サーモコッカス−リトラリスポリメラーゼである。Taqポリメラーゼが特に好ましい。好ましい抗体は、Taqポリメラーゼに特異的なモノクローナル抗体である。
好ましくは、オリゴヌクレオチドプライマーは、19〜25個のヌクレオチドの長さであり、標準的な条件下で、前記遺伝子マーカー遺伝子の標的DNAにアニールし得るプライマー対として設計される。この場合、7種の前記遺伝子マーカー遺伝子がうまく増幅されるような7種のプライマー対が提供される。用いられた特異的プライマーを表3に示す。
Figure 0005166368
開示された遺伝子マーカーは、溶質キャリアーファミリー6メンバー14(SLC6A14)(配列番号1で示される)、溶質キャリアーファミリー26メンバー2(SLC26A2)(配列番号2で示される)、CXCケモカイン成長関連腫瘍遺伝子−α(Gro−α)または(CXCL−1)(配列番号3で示される)、マトリライシン(または、マトリックスメタロプロテイナーゼ−7(MMP−7)として知られており、配列番号4で示される)、胃腸で分泌されるタンパク質(GISP)(または、再生遺伝子IV型(Reg IV)としても知られている)(配列番号で示される)、膜結合型タンパク質17(MAP−17)(配列番号で示される)、および、バニン−1(配列番号7で示される)である。上記の表2を参照。
実施例で説明される方法において、多数の方法に基づく配列を用いた。これらを表4に示す。
Figure 0005166368
溶質キャリアー(SLC)タンパク質は、エネルギー依存性の輸送分子の極めて大きいファミリーを構成しており、栄養素の輸送において重要な生理学的な役割を有し、薬物吸収を増加させるメカニズムとして利用されることもある。しかしながら、これらタンパク質の分子レベルでの理解は、高解像度の結晶構造がないために限定的である。
総じて、腎結石に罹っている成人の1〜2%、および、子供の6〜8%は、シスチン尿症、アミノ酸輸送の異常があり、それによって尿中にシスチンが高濃度になる。2種の遺伝子、すなわち、アミノ酸輸送体系に関連するタンパク質をコードする、溶質キャリアーファミリー3(シスチン、塩基性および)中性アミノ酸輸送体、メンバー1(SLC3A1)、および、溶質キャリアーファミリー7、メンバー9(SLC7A9)が関係している。これら溶質キャリアーはいずれも、尿路感染を引き起こし最終的には腎不全を引き起こす石形成に関与すると考えられている。
本発明者等は、2種の既知の溶質キャリアー(SLC6A14およびSLC26A2)の発現がIBDで有意に変化することを同定した。これは、本発明者等の知る限り、炎症性腸疾患に溶質キャリアーが関与する可能性があることについて最初の報告である。それゆえに、溶質キャリアーがIBDの病因の一因であり得るということは、新規の発見である。
CXCケモカイン成長関連腫瘍遺伝子−α(Gro−α、または、GRO1として知られている)は、サイトカインと説明されており、そのようなものとして、炎症の局所的領域において数多くの細胞型の移動性の反応を改変させることができる。さらに、ヒトの炎症を起こした角膜において過剰発現されることも説明されており(Spandau等,2003年)
、加えて、消化管の炎症を示すように化学的に誘導されたラットは、GRO1レベルのアップレギュレートを示すことも示されている(Hirata等,2001年)。cDNAマイクロアレイアプローチを用いて、ケモカインGroαのリウマチ様関節炎および炎症性腸疾患における新たな関与が説明されているが(Heller等,1997年)、本明細書において示される本発明は、GRO1は、UC状態においては過剰発現されるが、CD状態ではダウンレギュレートされることを、本発明者等の知る限りにおいて、初めて説明する。Isaacs等,1992年では、UCにおけるGRO1の発現はCDでみられるよりも高いことが説明されているが、本発明では、GRO1発現レベルに関し、UCとCDとに逆の相間性があることを実証した。最後に、Lawrence等,2001年では、UCにおいてアップレギュレートされるGRO1を同定することを説明しているが、この研究の設計では、生検サンプルが分析前にプールされるために、2人以上の患者においてGRO1がアップレギュレートされるのかどうかを知ることは不可能である。
マトリライシン(または、マトリックスメタロプロテイナーゼ−7)は、内巻きのラットの子宮で最初に発見され、これは、子宮メタロプロテイナーゼ、推定のメタロプロテイナーゼ(Pump−1)、および、マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP−7)としても知られている。これは、いずれも細胞外マトリックスの高分子のほとんどを分解することができる15種のMMPファミリーの最小のメンバー(28kDa)である。このファミリーは、簡単には以下のように総論される;全てのメンバーは、システインでブロックされた活性部位の亜鉛を有する酵素原の形態で生じる亜鉛メタロプロテイナーゼである。マトリライシンは、マトリックスの多種多様なゼラチン、プロテオグリカンおよび糖タンパク質を分解させることができ、コラゲナーゼなどの数種のその他のMMPを活性化することができる(Woessner,1996年に総論されている)。
これは、様々なタイプのガン、例えば結腸、胃、前立腺および脳のガンにおいて頻繁に発現される。これまでの研究によれば、マトリライシンは、結腸ガンの進行および転移において重要な役割を果たすことが示されている。近年、Newell等,2002年により、UC関連の異常増殖の様々な期でマトリライシン発現の増加が起こることが説明されている。しかしながら、この研究は、このような発現の増加は、UCの結果なのか、または、むしろ異常増殖の存在によるものなのかを決定してはいない。
膜結合型タンパク質17(MAP−17)(またはDD96としても知られている)は、小さいタンパク質であるが、これまでその機能は説明されていない。GISPに関して、これもまたほとんどわかっていない。いずれにおいても、炎症に関与する可能性があることは説明されていない。
パントテイナーゼ(Pantetheinase)(EC3.5.1.)は、遍在的な酵素であり、インビトロで、パントテン酸(ビタミンB5)をリサイクルし、システアミン、有効な抗酸化剤を生産することが示されている。この酵素は、バニン−1遺伝子でコードされており、マウス組織で広く発現される。バニン−1は、GPIアンカーパントテイナーゼであり、従って細胞外酵素である。バニン/パントテイナーゼは、恐らくは酸化的ストレス応答の観点で、いくつかの免疫機能の調節に関与する可能性があることが示唆されている(Pitari等,2000年)。
本発明者等の知る限り、これは、IBDにおけるバニン−1の可能性のある役割を初めて説明するものである。
本発明を特定の好ましい実施形態に従って特に説明したが、以下の実施例は、単に本発明を説明することを意図したものであって、本発明を限定するものではない。これらは使用可能な方法および方法の工程の典型であって、当業者既知のその他の方法および方法の工程を、不適当な実験を行わうことなく取り入れることが可能である。
実施例1.生検材料の収集
CDまたはUCの炎症状態を有する臨床的および病理学的な証拠に基づき選択された患者から生検を採取した。一人の患者の結腸の炎症を起こした部位から、トータルで3つの生検を、炎症を起こしていない領域からの3つの生検サンプルと共に収集した。これをトータルで16人の異なる患者に行い、ここで、16人のうち8人はCDと診断されており(患者1〜8)、残りの8人はUCと診断されている(患者9〜16)。UC患者群は、女性2人および男性6人からなり、年齢の範囲は29〜77歳であった。同様に、CD患者群は、女性3人および男性5人からなり、年齢の範囲は27〜59であった。
1人の患者の各解剖部位からの生検をプールし、キアゲン(Quiagen)Rneasyキットと
、ペレット・ペステル(Pellet Pestel)のモーターホモジナイザーを製造元のプロトコ
ールに従って用いてトータルRNAを単離した。この方法で、トータルRNAを、患者1人あたり2サンプル(炎症を起こした(標的)、および、炎症を起こしていない(コントロール))で、計32サンプルを単離した。
実施例2.RNAからのcDNA合成の実行
各RNAサンプル(トータルで32)の2μgを、第一の鎖のcDNA合成で用いて、10pMのオリゴ−dT−プライマーdT−ジョイント(5’−TAG TCT ATG ATC GTC GAC GGC TGA TGA AGC GGC CGC TGG AGT TTT TTT TTT TTT TTT TTV−3’(配列番号8)を用いて、各合成cDNA分子に3種の制限酵素切断部位:SalI、NotIおよびBpmIを導入した。緩衝液、デゾキシヌクレオチド三リン酸(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、および、酵素の逆転写酵素(スーパースクリプト(Superscript)II)は、ギブコ・BRL(Gibco BRL)から購入し、製造元のガイドラインに従って反応を行った。酵素を除く第一の鎖の合成のための反応混合物を、PCR機(PCRスプリント(PCR sprint),Hybaid製)で、65℃で5分間プレインキュベートし、氷上で冷却し、次に、42℃に予備加熱し、その後、酵素スーパースクリプトIIを加え、PCR機(PCRスプリント,Hybaid製)で、42℃で1時間インキュベートした。
第二の鎖の合成のために、提供されたプロトコール(ギブコ・BRL)に従って、第二の鎖の緩衝液ミックス(41μl)を反応液に加え、4μlのE.coliポリメラーゼI(ニューイングランドバイオラボ)、1.5μlのE.coli DNAリガーゼ(ニューイングランドバイオラボ)、および、0.7μlのRNアーゼH(ギブコ・BRL)で総体積を160μlにした。PCR機PCRスプリントで、16℃で2.5時間反応液をインキュベートし、次に、提供されたプロトコールに従ってキアゲンPCR精製キットを用いて精製した。各サンプル(トータルで32)を溶出緩衝液(32μl)で溶出させ、各サンプル(26μl)を以下の工程で用いた。
実施例3.cDNAの3’末端の増幅
このような生検から得られた材料の量は限定されているため、予備増幅工程が必要であった。cDNAの3’末端をインビトロで増幅するため、各サンプルからのcDNA(26μl)を、体積30μlで、制限酵素Dpn II(10U)で、37℃で3時間消化した。切断されたcDNAを、キアゲンPCR精製キットを用いて1回以上精製し、cDNAを溶出緩衝液(47μl)中で溶出させた。以下の環化ライゲーション工程を、Dpn IIで切断したcDNA(44μl)と、2000UのT4DNAリガーゼ(ニューイングランドバイオラボ)を含む体積50μlで行った。これら反応混合物を22℃で1時間インキュベートし、65℃で10分間加熱して不活性化し、各反応混合物の25μlを増幅工程で用いた。1サンプルあたり5回の反応混合物を一つに合わせ(5×50μl=トータルで250μl)、これには、25μlのcDNA(Dpn IIで切断し環状にライゲートした)、25μlの10×アドバンテージ(Advantage)2PCR緩衝液(クロンテック(Clontech))、5μlのジョイント−Notプライマー(10pモル/μl;5’−TGA TGA AGC GGC CGC TGG−3’(配列番号9))、5μlのジョイント−Salプライマー(10pモル/μl;5’−TTC ATC AGC CGT CGA CGA TC−3’(配列番号10)、5plの10mM dNTPミックス、および、5μlの50×アドバンテージ2Taq−ポリメラーゼ(クロンテック)が含まれる。各サンプルに、このミックスを5個のPCR反応チューブに分配し、以下の条件下でPCRを行った:94℃で1分間、次に、16×(94℃で20秒間、55℃で20秒間、72℃で1分間)。
1サンプルあたり4個の反応液を取り出して氷上に置き、1サンプルあたり1個の反応液を用いて最適なサイクル数を決定した。最適なサイクル数は、全32サンプルにおいて18サイクルと決定されたので、残りの1サンプルあたり4個の反応液には、2つの追加サイクル[2×(94℃で20秒間、55℃で20秒間、72℃で1分間)]を行った。引き続き、1サンプルあたり4個のPCR反応液をキアゲンPCR精製キットを用いて精製した。精製のために、1サンプルあたり4個の反応液をプールし(トータルで200μl)、次に、溶出緩衝液(34μl)で溶出させた。精製した反応液を、差別的に発現された遺伝子の同定プロトコールのための出発材料とした。
実施例4.ヒト生検からの差別的に発現されたcDNAの単離(サブトラクションプロトコール)
差別的に発現されたcDNAの単離を、von Stein O.D.,2001年で概説されたプロトコールに従って行った(多少のプロトコール改変を含む)。
実施例5.差別的に発現された遺伝子のスクリーニング
cDNAライブラリー構築において、各サブトラクションから2.000個のクローンを、1個の22cm2寒天プレートにプレーティングした。これらプレートから、384個のコロニーをピックアップし、バイオロボティクス(バイオロボティクス)(ケンブリッジ,UK)のバイオピック(BioPick)機を用いて、ウェルあたり70μlのLB培地を含む384ウェルのプレートに撒いた(Maniatis等,Molecular cloning laboratory book, Appendix A.1を参照)(+アンピシリン100mg/ml)。細菌クローンを37℃で一晩インキュベートし、次に、コロニーPCRで用いた。このPCRは、384PCRウェルプレートで、1サンプルあたり体積20μlで行われた。1つのPCR反応は、10×PCR緩衝液(2μl)、0.4μlのSport-Notプライマー(10pモルの5’−CGT AAG CTT GGA TCC TCTAGA GC−3’(配列番号11)、0.4μlのSport−Salプライマー(10pモルの5’−TGC AGG TAC CGG TCC GGA ATT CC−3’(配列番号12))、1.6μlのdNTPミックス(各25mM)、0.4μlの0.1%ブロモフェノールブルー、および、0.5μlのDynAzyme Taq−ポリメラーゼ(2U/μl;フィンザイム)を含む。全反応液のためのマスターミックスを製造し、分配し、次に、384個のプラスチック製レプリカで播種した。PCRサイクルパラメーターは、以下の通りである:94℃で2分間、37回(94℃で30秒間;50℃で30秒間、72℃で1分間)、および、72℃で5分間。
増幅の後、バイオロボティクスのマイクログリッド(Microgrid)TASを用いて、ハイボンド(Hybond)N+メンブレン(アマシャム(Amersham))上にPCR反応液をスポットした。全てのクローンを二連でスポットし、ガイド用ドットとしてゲノムDNAを用いた。1つのフィルター上で、全ての4個のサブトラクションの384個の遺伝子を配置させた。異なる放射活性cDNAプローブを用いたハイブリダイゼーション分析のために、24個の複製を作成した。
次に、これらフィルターを、全ての8人の患者のサブトラクションされた放射活性標識cDNAとハイブリダイズした。16の異なるハイブリダイゼーション実験で、16個のフィルターを用いた。そのため、cDNA(1μl)をクレノーポリメラーゼでの標識に用いた。ハイブリダイゼーションプロトコールは、MaxamおよびGilbert,1984年で概説されているチャーチ(Church)−プロトコールであった。
ホスホイメージャー・フジフィルム(Fuji film)BAS1800 IIを、BAS1800 III Rプログラム、および、アレイ(Array)バージョン6.0(イメージング・リサーチ社(Imaging Research Inc))と共に用いて、差別的な発現の度合いを測定した。8人の患者のうち少なくとも3人において誘導率または減少率が3倍で差別的に発現された遺伝子を配列解析し、BLAST分析を行い、これらの単離された差別的に発現された遺伝子を同定した。
実施例6.適正な差別的な発現の確認
これらの分析で、数種の遺伝子が強い調節障害を示した。これらのデータを確認するために、遺伝子特異的オリゴヌクレオチドと、同じ8人の患者から得られた非増幅cDNA材料を用いてRT−PCRを行った。炎症を起こした組織、および、炎症を起こしていない組織(サブトラクションで用いらたものと同じ)の、およそ2μgのトータルRNAが、実施例5で説明された第一の鎖cDNA合成のために採取された。cDNA合成後、サンプルを96℃で3分間インキュベートし、次に、蒸留水で1:10に希釈した。
10μlのさらなる1:10の希釈液を、1個のPCR反応液(50μl)のために取った。このPCR反応液は、以下を含む:5μlの10×PCR 緩衝液、1μlのフォワードプライマー(10pモル/μl)、および、1μlの特異的遺伝子(配列番号1〜7)のリバースプライマー(10pモル/μl)、0.5μlのdNTPミックス(各25mM)、および、0.5μlのDynAzyme Taq−ポリメラーゼ(2U/μl;フィンザイム)。反応のためのcDNAを除いたマスターミックスを製造し、分配し、次に、cDNAを加えた。PCRサイクルパラメーターは以下の通りである:94℃で1分間、26〜35回(94℃で30秒間;55℃で30秒間、72℃で1分間)、および、72℃で5分間。サイクル数は、遺伝子フラグメントが増幅されるかどうかによって変化させた。プライマー対は、表3で示したものであった。
これらの分析により、正常な組織と比較して全体的または部分群的な発現状態の変化により、UCに関して90%超の正しい予測率が考察できる7種の遺伝子マーカーが同定される。これらの発見を確認するために、これらマーカーを、より大規模な生検サンプル収集に対してさらにスクリーニングした。
実施例7.ハイスループットスクリーニング
8人のUC患者と3人のCD患者のcDNAを用いたRT−PCRの予備的な結果(実施例6を参照)を確認するために、全ての単離された遺伝子の発現を大規模に分析することを決定した。その目的のために、スクリーニングで単離され得る全ての遺伝子を、ハイボンドN+メンブレン(アマシャム)に、マイクログリッドTAS(バイオロボティクス)を用いてスポットした。実施例5で説明したように、スポットのために、遺伝子をコロニーPCRで増幅した。
次に、このマスターフィルターメンブレンを240回合成し、UC患者50個体とCD患者50個体からの生検から得られた放射活性標識cDNAとハイブリダイズさせた。生検は、患者の結腸の左側の炎症を起こした領域、および、炎症を起こしていない領域から採取された。基準のコントロールとして、5人の健康な人の結腸の左側から得られた生検をプールした。
実施例8.盲検試験による検証
より大きい統計学的な重要性を提供するために、その生検がUCまたはCDに罹った患者から得られたものかどうかがわかっていない「盲目」生検サンプルで7種の遺伝子マーカーの発現分析を行うことが必要であった。上述したように、前記遺伝子マーカーのRT−PCR分析を行い、前記遺伝子マーカーから得られた発現パターンの全画像を総合したところ、90%超の確実性で正しいIBD型の決定が可能であった。
結果の分析(盲検試験)により、配列番号1および2の組み合わせでも信頼できる結果が得られたが、配列番号1、2および3の組み合わせ、または、配列番号1、2および4の組み合わせでさらに改善された結果が得られたことが示された。予備的な結果により、配列番号1,2,3および4の組み合わせを用いたところ約90%の精度が達成されたことが示された。配列番号1〜7の完全なセットを用いたところ、90%超の精度が得られたことが示された。
本発明を現在本発明者等が知る最良の形態を構成する好ましい実施形態の観点で説明したが、当業者に明白と思われる様々な変化および改変が、添付の請求項に記載の本発明の範囲を逸脱することなくなされ得ると理解されるべきである。
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Claims (19)

  1. 患者の腸から得られた1つまたはそれ以上のサンプルの遺伝子発現プロファイルの分析に基づく潰瘍性大腸炎とクローン病とを識別する方法であって、前記1つまたはそれ以上のサンプルは患者の腸における炎症を起こした領域から得られ、そして多数のマーカー遺伝子のうち少なくとも2種の発現レベルが測定され、少なくとも2種の上記のマーカー遺伝子は、SLC6A14、SLC26A2、GRO1、MMP−7、MAP−17、GISPおよびバニン−1から選択され、ここで、
    −SLC6A14については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱い、
    −SLC26A2については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現をクローン病の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、
    −GRO1については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱い、
    −MMP−7については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱い、
    −MAP−17については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱い、
    −GISPについては、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における優先的発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現をクローン病の指標として扱い、
    −バニン−1については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱い、そして
    ここで、前記少なくとも2種のマーカー遺伝子のうちの1つは、SLC6A14である
    ことを特徴とする、上記方法。
  2. 一つまたはそれ以上のサンプルは、患者の腸における炎症を起こした領域から得られたサンプルと炎症を起こしていない領域から得られた別のサンプルである、請求項1に記載の方法。
  3. 一つまたはそれ以上のサンプルが生検である請求項1または2に記載の方法。
  4. SLC6A14とSLC26A2との発現レベルを測定し、SLC6A14の炎症を起こした組織での発現を、SLC26A2の炎症を起こした組織での発現の欠如、または炎症を起こしていない組織での優先的な発現と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そしてSLC26A2の炎症を起こした組織における発現とSLC6A14の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱う、請求項1または2に記載の方法。
  5. SLC6A14とSLC26A2との発現レベルを測定し、SLC6A14の炎症を起こした組織での発現、および炎症を起こしていない組織での発現の欠如を、SLC26A2の炎症を起こした組織での発現の欠如、または炎症を起こしていない組織での優先的な発現と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱う、請求項2に記載の方法。
  6. SLC6A14、SLC26A2およびGRO1の発現レベルを測定し、SLC6A14の炎症を起こした組織での発現を、SLC26A2の炎症を起こした組織での発現の欠如、または炎症を起こしていない組織での優先的な発現、および、GRO1の炎症を起こした組織での発現と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そしてSLC26A2の炎症を起こした組織における発現とSLC6A14およびGRO1の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱う、請求項1または2に記載の方法。
  7. SLC6A14、SLC26A2およびGRO1の発現レベルを測定し、SLC6A14の炎症を起こした組織での発現、および炎症を起こしていない組織での発現の欠如を、SLC26A2の炎症を起こした組織での発現の欠如、または炎症を起こしていない組織での優先的な発現、および、GRO1の炎症を起こした組織での発現、および炎症を起こしていない組織での発現の欠如と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱う、請求項2に記載の方法。
  8. SLC6A14、SLC26A2およびMMP−7の発現レベルを測定し、SLC6A14の炎症を起こした組織での発現を、SLC26A2の炎症を起こした組織での発現の欠如、または炎症を起こしていない組織での優先的な発現、および、MMP−7の炎症を起こした組織での発現と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そしてSLC26A2の炎症を起こした組織における発現とSLC6A14およびMMP−7の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱う、請求項1または2に記載の方法。
  9. SLC6A14、SLC26A2およびMMP−7の発現レベルを測定し、SLC6A14の炎症を起こした組織での発現、および炎症を起こしていない組織での発現の欠如を、SLC26A2の炎症を起こした組織での発現の欠如、または炎症を起こしていない組織での優先的な発現、および、MMP−7の炎症を起こした組織での発現、および炎症を起こしていない組織での発現の欠如と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱う、請求項2に記載の方法。
  10. SLC6A14、SLC26A2、GRO1、MMP−7、MAP−17、GISPおよびバニン−1の発現レベルを測定し、SLC6A14、GRO1、MMP−7、MAP
    −17、およびバニン−1の炎症を起こした組織での発現またはGISPの炎症を起こした組織での優先的な発現を、SLC26A2の炎症を起こした組織での発現の欠如、または炎症を起こしていない組織での優先的な発現と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱う、請求項1または2に記載の方法。
  11. SLC6A14、SLC26A2、GRO1、MMP−7、MAP−17、GISPおよびバニン−1の発現レベルを測定し、SLC6A14、GRO1、MMP−7、MAP−17、およびバニン−1の炎症を起こした組織での発現またはGISPの炎症を起こした組織での優先的な発現、およびSLC6A14、GRO1、MMP−7、MAP−17およびバニン−1の炎症を起こしていない組織での発現の欠如を、SLC26A2の炎症を起こした組織での発現の欠如、または炎症を起こしていない組織での優先的な発現と共に、潰瘍性大腸炎の指標として扱う、請求項2に記載の方法。
  12. 遺伝子特異的プライマーを用いて前記遺伝子の核酸を増幅させ、増幅結果を測定することにより、前記各マーカー遺伝子の発現レベルを測定する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 核酸の増幅は、PCRと、配列番号13〜26から選択される遺伝子特異的プライマーを用いて行われる、請求項12に記載の方法。
  14. 増幅結果の測定は、エチジウムブロマイド染色とUV光下での可視化を用いて行われる、請求項12に記載の方法。
  15. 患者の腸から得られたサンプルの遺伝子発現プロファイルの分析に基づく潰瘍性大腸炎とクローン病とを識別するためのキットであって、SLC6A14、SLC26A2、GRO1、MMP−7、MAP−17、GISPおよびバニン−1から選択される少なくとも2つのマーカー遺伝子に対して向けられた遺伝子特異的プライマー対を含み、ここで、
    −SLC6A14については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱い、
    −SLC26A2については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現をクローン病の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、
    −GRO1については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱い、
    −MMP−7については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱い、
    −MAP−17については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱い、
    −GISPについては、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における優先的発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現をクローン病の指標として扱い、
    −バニン−1については、前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現を潰瘍性大腸炎の指標として扱い、そして前記マーカー遺伝子の炎症を起こした組織における発現の欠如をクローン病の指標として扱い、そして
    ここで、前記少なくとも2つのマーカー遺伝子のうちの1つは、SLC6A14であることを特徴とする、上記キット。
  16. 遺伝子特異的プライマー対は、配列番号13および配列番号14;配列番号15および配列番号16;配列番号17および配列番号18;配列番号19および配列番号20;配列番号21および配列番号22;配列番号23および配列番号24;および、配列番号25および配列番号26からなるプライマー対から選択される、請求項15に記載のキット。
  17. 特異的プライマーは、配列番号13および配列番号14;配列番号15および配列番号16;および、配列番号17および配列番号18である、請求項15に記載のキット。
  18. 特異的プライマーは、配列番号13および配列番号14;配列番号15および配列番号16;および、配列番号19および配列番号20である、請求項15に記載のキット。
  19. 熱安定性の重合剤、および、必要な補因子をさらに含む、請求項15〜18のいずれか一項に記載のキット。
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