JP5165952B2 - 気相成長装置及び気相成長方法 - Google Patents
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Description
シリコンウェハ等の半導体基板に単結晶膜を成膜させるエピタキシャル成長には、一般に常圧化学気相成長法が用いられ、場合によっては減圧化学気相成長(LPCVD)法が用いられている。
これらの気相成長方法は、シリコンウェハ等の半導体基板が配置された気相成長反応炉内を、常圧(0.1MPa(760Torr))、或いは減圧に保持する。そして、半導体基板を加熱し回転させながら、シリコン源となる原料ガスに、ボロン系のジボラン(B2H6)、リン系のホスフィン(PH3)、砒素系のアルシン(AsH3)等のドーパントガスを混合したプロセスガスを気相成長反応炉内に供給する。そして、加熱された半導体基板の表面で、原料ガスの熱分解反応或いは水素還元反応が行なわれ、ボロン(B)、リン(P)、或いは砒素(As)がドープされた気相成長膜が成膜されることにより行なわれる(特許文献1参照)。
チャンバ201内には、半導体基板203、半導体基板203を載置する支持台204、回転胴205、及び熱源206が収納されている。
支持台204は、チャンバ201外に設けられた図示しない回転機構に接続する回転胴205の上部に取り付けられ、略水平方向への回転が可能である。
支持台204の形状はリング状であって、その内端部には、半導体基板203が載置されたときに、略水平の方向への遊動を拘束する凹部209が形成されている。支持台204の中央部は開口されており、支持台204の直下に設けられたヒータ206により半導体基板203を加熱しやすい構成となっている。かかる状態で、回転胴205が支持台204を回転させる事に伴い半導体基板203を回転させる。そして、気相成長のための原料ガスを含んだプロセスガス210をチャンバ201内に供給する。ガス供給部202には、半導体基板203の表面に対してプロセスガス210を均一に供給するためのシャワープレート220が取り付けられている。シャワープレート220を介して供給されたプロセスガス210は、半導体基板203表面で熱分解反応或いは水素還元反応が行われ、気相成長膜を成膜する。
なお、気相成長膜を成膜させた反応後のプロセスガスは、変性された生成ガス212となり、チャンバ201下部に設けられたガス排気部208から、プロセスガス210とともに排気される。
図7において実線の矢印で示すように、チャンバ201内面の上部に生じた相対的な高温部分にプロセスガス210が接触すると、半導体基板203の表面と同様の熱分解反応或いは水素還元反応が起きる。すると、チャンバ201内面の上部には、シリコン結晶211が生成される。
したがって、パーティクルを除去するメンテナンス作業を定期的に行なう必要性がある従来の気相成長装置200は、稼働率をある一定以上に向上させることができなかった。
ウェハが配置され、前記ウェハ上に成膜を行うチャンバと、
前記ウェハを裏面より加熱する加熱手段と、
前記チャンバの上方より前記ウェハ表面に気相成長の原料となる成膜前のプロセスガスを供給するガス供給部と、
前記ウェハの外周方向に排出された成膜後のプロセスガスである生成ガスを含むガスを前記チャンバの下方から排気するガス排気部とを備えた気相成長装置であって、
前記チャンバ内の上部に、貫通孔を均等に配置し、流体を均等に通過させるガス整流板を設け、該ガス整流板の端部を、前記チャンバ内部に配置した内壁部であるライナの上端と接触させた状態で前記チャンバ内に固定し、前記ガス整流板を、前記チャンバ内の上部領域と下部領域とを区分するように設け、前記ライナを上部ライナと下部ライナとを組み合わせて構成し、前記上部ライナの下端部と前記下部ライナの上端部を、所定の距離だけ離間させた気相成長装置において、
前記上部ライナは、成膜時に前記下部ライナより高い前記成膜前のプロセスガス濃度でかつ低い前記生成ガス濃度の雰囲気に晒される位置に設けられ、
前記下部ライナは、前記上部ライナより、熱エネルギーを吸収しやすくかつ蓄熱性の高い物性の基材で構成されることを特徴とする。
前記ウェハを裏面より加熱し、
前記チャンバの上方より前記ウェハ表面に気相成長の原料となる成膜前のプロセスガスを供給し、
前記ウェハの外周方向に排出された成膜後のプロセスガスである生成ガスを含むガスを前記チャンバの下方から排気し、
前記ウェハに気相成長を行なう
点にある。
図1は、本実施形態における気相成長装置100を断面して示す概念図である。
気相成長装置100の外壁であるチャンバ101内の上部には、貫通孔が均等に配置され、プロセスガス110等の流体を均等に通過させられるガス整流板120が設けられる。ガス整流板120の端部は、チャンバ101内部に配置された内壁部の一例であるライナ130の上端と接した状態でチャンバ101内に固定される。ガス整流板120は、チャンバ101内の上部領域と下部領域とを区分するように設けられる。このチャンバ101の上部領域は、チャンバ101の最上部に設けられたガス供給部102から供給されたプロセスガス110を一時貯留し、整流板120から均等にプロセスガスを供給するためのバッファ領域121を形成する。また、チャンバ101の壁面内部には、チャンバ101の表面が過熱しないため、冷却水を循環させる冷媒流路122が設けられている。
本実施形態では、冷媒流路122に循環させる冷媒には水(H2O)を用いるが、空気或いは冷却油など、チャンバ101を効果的に冷却することができるその他の冷媒を適宜用いても良い。
図2に示すように、ライナ130は、上部ライナ131と下部ライナ132とが組み合わされて構成されている。このとき、上部ライナ131の下端部と下部ライナ132の上端部は、所定の距離だけ離間されている。
ライナ130を構成する上部ライナ131の上端は、整流板120と接さない一端である外側の端部をチャンバ101に固定する。そして、ライナ130を構成する下部ライナ132の下端は、チャンバ101内の底面に接地して固定する。但し、下部ライナ132の下端には、所定の大きさの通気部133が複数個所形成されている。
ライナ130は、チャンバ101の内面を保護するように円筒形状に形成されているが、ライナ130の外側面とチャンバ101の内側面は接触していない。即ち、ライナ130とチャンバ101の間には空間が形成される。この空間には、気相成長反応のための環境を乱さない、例えば水素(H2)等のガスが上部から下部へと流れるように供給されていると好適である。供給された水素等は下部ライナ132の下端の通気部133を通過し、ガス排気部108からチャンバ101外へと排気される。
また、ホルダ104は、ウェハ103表面と直交する中心線を軸とする、図示しない回転機構に接続された回転胴105の回転に伴い回転する。そして、ホルダ104に載置されたウェハ103は、これに付随して回転させられる。
かかる状態で、プロセスガス110をバッファ領域121に供給し、整流板120を介してウェハ103の表面に均等に供給する。
また同様に、回転胴105内に供給するパージガス等がウェハ103の表面側の領域に流出させず、気相成長反応の環境を乱すことを抑止する。
ライナ130のウェハ103やホルダ104に対向した面(内側面)は、気相成長によってウェハ103に成膜させるとき、常にプロセスガス110や生成ガス112に晒される。しかし、ライナ130の物性は、上部ライナ131と下部ライナ132とで異なるように構成されている。例えば、本実施形態においては、下部ライナ132は、上部ライナ131に比べ、熱エネルギーが吸収されやすく、且つ蓄熱性が高い物性の基材で構成されている。即ち、上部ライナ131は、下部ライナ132に比べ、熱エネルギーが吸収されにくく、且つ蓄熱性が低い物性の基材で構成されている。
上述した物性の基材で構成されているため、本実施形態の上部ライナ131においてはシリコン結晶が生成されにくく、下部ライナ132においては生成ガス112の固体物質が生成されにくい。
上部ライナ131は、ウェハ103、インヒータ106やアウトヒータ107といった、気相成長装置100の最も高温の部分に近い。そのため、上述の高温部分からの輻射熱の影響を強く受ける。また、チャンバ101の上部に位置するため、チャンバ101内全体の対流熱も伝わりやすい。したがって、上部ライナ131は、ライナ130における相対的な高温部分が生じやすい要件が揃っている。
低温に維持された状態の上部ライナ131においては、シリコン結晶の生成は抑止することができる。
本実施形態では上部ライナ131は石英或いはアルミナで構成すると好適であるとしたが、熱エネルギーを吸収しにくく、且つ蓄熱性の低い基材で構成されていれば良く、上述の基材に限定するものではない。
下部ライナ132は、上述の高温部分からの距離が開いており、その上、回転胴105が遮蔽しているため、輻射熱の影響を受けにくい。さらに、チャンバ101の下部に位置するため、チャンバ101内の対流熱も伝わりにくい。したがって、下部ライナ132はライナ130における相対的な低温部分を生じやすい要件が揃っている。
生成ガス112が凝結しない温度に維持された下部ライナ132においては、生成ガス112による固体物質の生成を抑止することができる。
また、上述の固体物質の主成分であるシリコンハイドライドは可燃性、発火性を有する。本実施形態においては、上述の固体物質の生成が抑止されるため、気相成長装置100のメンテナンス時の危険性を低減させることもできる。
また、副生成物の生成が抑制されることに伴い、チャンバ101内を洗浄する等のメンテナンスを行なう頻度も低減させることができ、気相成長装置の稼働率を向上させることができる。
さらに、下部ライナ132は、相対的な高温で維持されることを特徴とする。しかしながら、下部ライナ132は、周囲の成膜前のプロセスガス110の濃度が低く、且つシリコン結晶が生成されるほどの絶対的な高温(千数百℃程度)にまで昇温されるわけではない。そのため、プロセスガス110の反応によるシリコン結晶は生成されない。
これにより、気相成長反応中に熱エネルギーを受け、それぞれの熱膨張係数の違いによって、互いを破損させることを防止できる。
この結果、気相成長装置100が稼動するために生じる熱エネルギーの影響を受け、上部ライナ131aと下部ライナ132aそれぞれが異なる熱膨張係数で膨張しても、互いにせめぎ合わない。このため、ライナ130aは、熱応力によって破損されない。
この結果、上述したライナ130aと同様、気相成長装置100が稼動するために生じる熱エネルギーの影響を受け、それぞれが異なる熱膨張係数で膨張しても、かぎ型の端部に存在する空隙が膨張を緩衝する。このため、ライナ130bは、熱応力によって破損されない。
また、本発明は気相成長装置の一例としてエピタキシャル成長装置について説明したが、これに限るものではなく、ウェハ表面に所定の気相成長膜を気相成長させるための装置であれば構わない。例えば、ポリシリコン膜を成長させることを目的とした装置等であってもよい。
101…チャンバ
102…ガス供給部
103…ウェハ
104…ホルダ
105…回転胴
106…インヒータ
107…アウトヒータ
108…ガス排気部
109…凹部
110…プロセスガス
112…生成ガス
120…整流板
121…バッファ領域
122…冷媒流路
130…ライナ
131…上部ライナ
132…下部ライナ
133…通気部
Claims (4)
- ウェハが配置され、前記ウェハ上に成膜を行うチャンバと、
前記ウェハを裏面より加熱する加熱手段と、
前記チャンバの上方より前記ウェハ表面に気相成長の原料となる成膜前のプロセスガスを供給するガス供給部と、
前記ウェハの外周方向に排出された成膜後のプロセスガスである生成ガスを含むガスを前記チャンバの下方から排気するガス排気部とを備えた気相成長装置であって、
前記チャンバ内の上部に、貫通孔を均等に配置し、流体を均等に通過させるガス整流板を設け、該ガス整流板の端部を、前記チャンバ内部に配置した内壁部であるライナの上端と接触させた状態で前記チャンバ内に固定し、前記ガス整流板を、前記チャンバ内の上部領域と下部領域とを区分するように設け、前記ライナを上部ライナと下部ライナとを組み合わせて構成し、前記上部ライナの下端部と前記下部ライナの上端部を、所定の距離だけ離間させた気相成長装置において、
前記上部ライナは、成膜時に前記下部ライナより高い前記成膜前のプロセスガス濃度でかつ低い前記生成ガス濃度の雰囲気に晒される位置に設けられ、
前記下部ライナは、前記上部ライナより、熱エネルギーを吸収しやすくかつ蓄熱性の高い物性の基材で構成されることを特徴とする気相成長装置。 - 前記上部ライナは、石英(SiO2)或いはアルミナ(Al2O3)で構成されていることを特徴とする請求項1記載の気相成長装置。
- 前記下部ライナは、炭化ケイ素(SiC)、カーボン(C)、チッ化珪素(SiN)、チッ化アルミ(AlN)、或いは気泡入り石英で構成されていることを特徴とする請求項1或いは2記載の気相成長装置。
- ウェハ上に成膜を行うチャンバであって、前記チャンバ内の上部に、貫通孔を均等に配置し、流体を均等に通過させるガス整流板が設けられ、該ガス整流板の端部が、前記チャンバ内部に配置した内壁部であるライナの上端と接触させた状態で前記チャンバ内に固定され、前記ガス整流板が、前記チャンバ内の上部領域と下部領域とを区分するように設けられ、前記ライナは上部ライナと下部ライナとを組み合わせて構成され、前記上部ライナの下端部と前記下部ライナの上端部を、所定の距離だけ離間させ、前記上部ライナは、成膜時に前記下部ライナより高い前記成膜前のプロセスガス濃度でかつ低い前記生成ガス濃度の雰囲気に晒される位置に設けられ、前記下部ライナは、前記上部ライナより、熱エネルギーを吸収しやすくかつ蓄熱性の高い物性の基材で構成されたチャンバ内に、前記ウェハを配置し、
前記ウェハを裏面より加熱し、
前記チャンバの上方より前記ウェハ表面に気相成長の原料となる成膜前のプロセスガスを供給し、
前記ウェハの外周方向に排出された成膜後のプロセスガスである生成ガスを含むガスを前記チャンバの下方から排気し、
前記ウェハに気相成長を行なうことを特徴とする気相成長方法。
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