JP5165921B2 - グリース組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、グリース組成物に関し、詳しくは、アルミニウム−鉄、鉄−鉄摺動下に用いる工作機械用又は電動工具用として適するグリース組成物に関する。
グリースは、自動車、電気機器、建設機械、情報機器、産業機械、工作機械などの各種機械およびそれらを構成する各部品の潤滑に広く使われている。
近年、これらの機械の高速化、小型化、軽量化、省エネルギー化、長寿命化、環境や人への負荷が少ないことなどが求められている。これに伴い、前記機械に使用されるグリース組成物への要求も年々多岐にわたり、これらの要求を全て満足させることが要求されている。
例えば、ハンマードリル、インパクトドライバーなどの電動工具は、上記のような観点より、摺動部材としてアルミニウムが使用されている場合が多い。よって、これに使用されるグリース組成物には、鉄およびアルミニウム部材の両部材に対しても良好な摺動特性を得られることを併せもつ必要が生じている。
しかしながら、従来使用されているグリース組成物は、一般用途で使用させている汎用のグリース組成物が転用されている場合が多く、特にアルミニウム部材に対して十分な摺動特性を得られていない。
アルミニウムに対しての摺動特性を改善するための技術として、特許文献1には、アルミニウムの加工用潤滑剤として、酸性リン酸エステルを添加した潤滑剤が提案されており、特許文献2には、亜リン酸エステルを添加した潤滑剤が提案されている。また、特許文献3には、亜リン酸エステルとホスホン酸エステルを添加した潤滑剤が提案されており、特許文献4には、アルミニウムの加工潤滑油として、中性亜リン酸エステルを添加した潤滑油が記載されている。
しかしながら、これらの従来技術に用いられる添加剤は、極圧下での条件では効果がなく、要求特性を満たすことができない。
なお、特許文献5、6及び7には、酸性リン酸エステルアミン塩を用いた潤滑油が記載されているが、増稠剤が配合されておらず、グリース組成物において酸性リン酸エステルアミン塩がいかなる作用をするか明らかでない。
特開昭54−36303号公報 特開昭57−2397号公報 特開昭61−85492号公報 特開平7−18284号公報 特開平2000−256692号公報 特開平2004−026921号公報 特開平2005−290161号公報
本発明は、鉄およびアルミニウム部材に対して摺動摩耗を低減し得る、工作機械および電動工具用として適するグリース組成物を提供することを課題とする。
本発明の他の課題は以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
鉱油および又は合成炭化水素油からなる基油に、金属せっけん及び又は金属複合せっけんからなる増稠剤を1〜40重量%および酸性リン酸エステルアミン塩を1.510重量%配合してなり、
摺動部材の一方がアルミニウムである電動工具の当該摺動箇所に用いられることを特徴とするグリース組成物。
(請求項2)
前記酸性リン酸エステルアミン塩を2〜6重量%配合してなることを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
本発明によれば、アルミニウム部材に対して摺動摩耗を低減し得るグリース組成物を提供することができる。また本発明によれば、工作機械および電動工具用として適するグリース組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のグリース組成物は、基油、増稠剤及び酸性リン酸エステルアミン塩を含む。
本発明に用いられる基油としては、鉱油、合成炭化水素油又は鉱油と合成炭化水素油の混合物を用いることができる。
鉱油としては、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、あるいはこれらを精製した精製鉱油類などの少なくとも1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
合成炭化水素油としては、例えばポリ−α−オレフィン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどの少なくとも1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
本発明に用いられる増稠剤としては、金属石けん、金属複合石けん、有機化ベントナイトやシリカゲルなどの無機系増稠剤、ポリウレアなどのウレア化合物、ポリテトラフルオロエチレンなどの高分子系増稠剤などのうちの1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
金属石けんとしては、Li石けん、Ca石けん、アルミニウム石けんなどが挙げられ、Li石けんでは12−ヒドロキシステアリン酸やステアリン酸を使用したものなどが挙げられる。また、金属複合石けんでは、Li複合石けん、Ca複合石けん、Ba複合石けんなどが挙げられる。
増稠剤はグリース組成物全体の1〜40重量%の割合で配合され、好ましくは3〜30重量%の割合で配合される。1重量%未満の配合量ではグリース組成物として軟らかすぎてしまい、一方、40重量%を越えるとグリース組成物が硬くなりすぎてしまうので潤滑性に劣るものとなってしまう。
本発明のグリース組成物には、酸性リン酸エステルアミン塩を0.5〜15重量%配合される。
本発明に用いられる酸性リン酸エステルアミン塩は、下記一般式(1)で表される化合物を好ましく用いることができる。
一般式(1)(RO)PO(OH)(3−n)・(HNR’(3−n)
一般式(1)において、nは1又は2であり、Rは炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基など)、アルケニル基(例えば、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基など)若しくは芳香族基(例えばフェニル基、ナフチル基などのアリール基)である。
n=2の場合は、RO基はそれぞれ同じでも、異なっていてもよいが、少なくとも一方が芳香族基であることが好ましい。
また、R’は炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基(上記Rで挙げたものと同様な基を挙げることができる)である。
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミンなどが挙げられる。
本発明において、酸性リン酸エステルアミン塩は、グリース組成物全体の0.5〜15重量%、好ましくは1.5〜10重量%の割合で配合される。0.5重量%未満では添加剤の能力が十分発揮されず、一方、15重量%より多いと添加剤の配合量を増加してもアルミニウム摺動部材との耐摩耗性は向上せず経済的に不利である。
酸性リン酸エステルアミン塩を用いることにより他の特性を阻害することなく鉄およびアルミニウム部材の両部材に対して摺動摩耗を低減し得ることができ、耐摩耗性、耐久性に優れたグリース組成物となる。また、摺動部材の一方がアルミニウムの場合に優れた耐摩耗性、耐久性を発揮する。
本発明において、添加剤には、必要に応じ、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、油性剤、固体潤滑剤などの従来潤滑剤に使用されている公知の添加剤を用途に応じて配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系や、アルキルジフェニルアミン(アルキル基は炭素数4〜20のもの)、トリフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェノチアジン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミンアルキル化フェノチアジンなどのアミン系酸化防止剤などが挙げられ、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
防錆剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸石けん、アルキルスルホン酸塩、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどを挙げることができる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾール、チアジアゾールなどを挙げることができる。
油性剤としては、例えば、脂肪酸、高級アルコール、多価アルコール、多価アルコールエステル、脂肪族エステル、脂肪族アミン、脂肪酸モノグリセライドなどを挙げることができる。
固体潤滑剤としては、例えば、二硫化モリブデン、グラファイト、窒化ホウ素、窒化シランなどを挙げることができる。
本発明のグリース組成物は、酸性リン酸エステルアミン塩を配合することで、鉄およびアルミニウム部材の両材質に対して摺動摩耗を低減させることができる。
また、極圧条件下においても、鉄およびアルミニウム部材の両材質に対して摺動摩耗を低減させることができる。
また、本発明のグリース組成物を電動工具に用いると、潤滑油にない付着性の良さがあるため、オイルシールなどで漏れ防止をできないアルミニウム−鉄および鉄−鉄の摺動箇所に対しても、摺動摩耗を低減させることができる。これは、本発明のグリース組成物には増稠剤が1〜40重量%の割合で配合されているため、硬すぎず、軟らかすぎないという性質も持つためである。
本発明のグリース組成物を電動工具に用いると、使用者が電動工具をどのような角度で使用してもグリース組成物が、アルミニウム−鉄および鉄−鉄の摺動箇所に付着しているため、鉄およびアルミニウム部材の両材質に対して摺動摩耗を低減させることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されるものではない。
比較例9
<配合成分とその配合量>
(1)基油
ポリ−α−オレフィン
;(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)
;(100℃動粘度5.6mm/s) ・・・64重量%
エチレン−α−オレフィン共重合体
;(三井化学株式会社製「ルーカント HC−100」)
;(100℃動粘度100mm/s) ・・・27重量%
(2)増稠剤
Li石けん;(勝田化工株式会社製「Li−OHST」)
・・・7.5重量%
(3)添加剤
酸性リン酸エステルアミン塩
;(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製
「IRGALUBE349」)
・・・0.5重量%
ジフェニルアミン系酸化防止剤
;(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製
「IRGANOX L57」)
・・・1重量%
<グリースの調製>
上記基油及び増稠剤を混合撹拌釜に配合し、加熱攪拌した。溶融温度まで加熱攪拌した後、冷却を行った。生成したゲル状物質に各種添加剤を加え、攪拌した後、ロールミルに通し、グリース組成物を調製した。
得られたグリース組成物について、混和稠度および耐摩耗性を測定した。その結果を表1に示す。
<測定方法>
(稠度)
試験温度:25℃
試験方法:JIS K2220に準拠し、稠度測定を行った。
(耐摩耗性試験)
試験方法:シェル四球試験機を使用し、下記条件下で試験した後の下部試験
球3個の摩耗痕径(単位mm)を測定した。
試験条件:試験片:上・下部試験球 SUJ2(鋼材)(1/2インチ)、
20等級
回転数:1200rpm
荷重 :40kgf
温度 :25℃
試験時間:60分
試験条件:試験片:上部試験 SUJ2(鋼材)(1/2インチ)、
20等級
下部試験 A2014(アルミニウム材)
(1/2インチ)
回転数:1200rpm
荷重 :10kgf
温度 :25℃
試験時間:30分
比較例10(増稠剤および酸性リン酸エステルアミン塩の配合量が異なる)
比較例9において、基油に100℃動粘度8mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN168」)のみを用い、その配合量を76重量%とし、増稠剤をLi複合石けんに代え、その配合量を22重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を1重量%に代えた以外は比較例9と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例11(増稠剤および酸性リン酸エステルアミン塩の配合量が異なる)
比較例9において、基油に100℃動粘度5.6mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)55.2重量%と、100℃動粘度2000mm/sのエチレン−α−オレフィン共重合体(三井化学株式会社製「ルーカント HC−2000」)39.2重量%を用い、増稠剤のLi石けんの配合量を4重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を1重量%にし、ジフェニルアミン系酸化防止剤の配合量を0.6重量%に代えた以外は比較例9と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例(増稠剤および酸性リン酸エステルアミン塩の配合量が異なる)
比較例9において、基油に100℃動粘度8mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN168」)のみを用い、その配合量を70.5重量%とし、増稠剤にBa複合石けんを用い、その配合量を26.5重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を2重量%に代えた以外は比較例9と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例(増稠剤および酸性リン酸エステルアミン塩の配合量が異なる)
比較例9において、基油に100℃動粘度8mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN168」)のみを用い、その配合量を84.5重量%とし、増稠剤にLi複合石けんを用い、その配合量を12.5重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を2重量%に代えた以外は比較例9と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例(鉱物系基油を用いていること、増稠剤および酸性リン酸エステルアミン塩の配合量が異なる)
比較例9において、基油にパラフィン系鉱油(新日本石油株式会社製「タービンオイル46」:100℃動粘度6.8mm/s)のみを用い、その配合量を82.5重量%にし、増稠剤にLi複合石けんを用い、その配合量を13.5重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を3重量%に代えた以外は比較例9と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例(基油に鉱物系基油と合成炭化水素油を併用していること、および、酸性リン酸エステルアミン塩の配合量が異なる)
比較例9において、基油に100℃動粘度5.6mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)を54重量%と、パラフィン系鉱油33.5重量%とを用い、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を4重量%に代えた以外は比較例9と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例(増稠剤および酸性リン酸エステルアミン塩の配合量が異なる)
比較例9において、基油に100℃動粘度5.6mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)のみを用い、その配合量を88重量%とし、増稠剤のLi石けんの配合量を7重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を4重量%に代えた以外は比較例9と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例(増稠剤および酸性リン酸エステルアミン塩の配合量が異なる)
比較例9において、基油に100℃動粘度5.6mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)のみを用い、その配合量を86重量%とし、増稠剤にLi石けんを用い、その配合量を9重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を4重量%に代えた以外は比較例9と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例(増稠剤および酸性リン酸エステルアミン塩の配合量が異なる)
比較例9において、基油に100℃動粘度5.6mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)を43重量%と、100℃動粘度40mm/sのエチレン−α−オレフィン共重合体を42.5重量%用い、増稠剤にCa石けんを用い、その配合量を7.5重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を6重量%に代えた以外は比較例9と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例1(酸性リン酸エステルアミン塩を用いていないもの)
比較例9において、基油を100℃動粘度5.6mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)のみを用い、その配合量を88重量%とし、増稠剤にウレアを用い、その配合量を8重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩をMoDTC(旭電化工業株式会社製「サクラルーブ600」)に代え、その配合量を3重量%にした以外は比較例9と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例2(酸性リン酸エステルアミン塩を用いていないもの)
比較例9において、基油に精製鉱油のみを用い、その配合量を86重量%にし、増稠剤にCa石けんを用い、その配合量を8重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩をMoDTCに代え、その配合量を5重量%にした以外は比較例9と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例3(酸性リン酸エステルアミン塩を用いていないもの)
比較例9において、基油に100℃動粘度1.7mm/sのポリ−α−オレフィンのみを用い、その配合量を84重量%とし、増稠剤にLi複合石けんを用い、その配合量を13重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩を酸性リン酸エステルに代え、その配合量を2重量%に代えた以外は比較例9と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例4(酸性リン酸エステルアミン塩を用いていないもの)
比較例9において、基油に精製鉱油(市販の潤滑油から抽出分離したもの:100℃動粘度6.8mm/s)のみを用い、その配合量を70.5重量%にし、増稠剤にBa複合石けんを用い、その配合量を26.5重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩を酸性リン酸エステルに代え、その配合量を2重量%にした以外は比較例9と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例5(酸性リン酸エステルアミン塩を用いていないもの)
比較例9において、基油に100℃動粘度5.6mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)のみを用い、その配合量を88重量%とし、増稠剤のLi石けんの配合量を8重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩を、Zn−DTPに代え、その配合量を3重量%にした以外は比較例9と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例6(酸性リン酸エステルアミン塩を用いていないもの)
比較例9において、基油に100℃動粘度5.6mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)のみを用い、その配合量を87重量%とし、増稠剤のLi石けんの配合量を9重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩を、ホスホン酸エステルに代え、その配合量を3重量%にした以外は比較例9と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例7(酸性リン酸エステルアミン塩を用いていないもの)
比較例9において、基油に100℃動粘度8mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN168」)のみを用い、その配合量を86重量%とし、増稠剤としてCa石けんを用い、その配合量を10重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩を亜リン酸エステルに代え、その配合量を3重量%にした以外は比較例9と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例8(酸性リン酸エステルアミン塩を用いていないもの)
比較例9において、基油に100℃動粘度5.6mm/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)のみを用い、その配合量を86重量%とし、増稠剤のLi石けんの配合量を9重量%とに代え、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩を亜リン酸エステル2重量%およびホスホン酸エステル2重量%に代えた以外は比較例9と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
Figure 0005165921
上記表1より、酸性リン酸エステルアミン塩を添加した実施例1〜実施例のグリース組成物は、鉄−鉄の摺動および鉄−アルミニウムの摺動における耐摩耗性試験結果は、共に摩耗痕径が小さく、鉄およびアルミニウムの摺動摩耗を低くするグリース組成物であることがわかる。
また、酸性リン酸エステルアミン塩を添加していない比較例1〜比較例8のグリース組成物は、鉄−鉄の摺動および鉄−アルミニウムの摺動における耐摩耗性試験結果は、片方又は両方の摩耗痕径が大きく、鉄およびアルミニウムの両方の部材に対して摺動摩耗を低くすることができないことがわかる。

Claims (2)

  1. 鉱油および又は合成炭化水素油からなる基油に、金属せっけん及び又は金属複合せっけんからなる増稠剤を1〜40重量%および酸性リン酸エステルアミン塩を1.510重量%配合してなり、
    摺動部材の一方がアルミニウムである電動工具の当該摺動箇所に用いられることを特徴とするグリース組成物。
  2. 前記酸性リン酸エステルアミン塩を2〜6重量%配合してなることを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
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