JP2008274141A - グリース組成物 - Google Patents
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Abstract
【目的】耐樹脂性、耐ゴム性が良く、起動低温トルクを維持しながら、樹脂性グリースボックスの開口部からのグリースの滲み出しや漏れを防ぐグリース組成物を提供すること。
【構成】基油と増稠剤を含み、放熱用の開口部を有する電動工具のギヤボックスに用いるグリース組成物において、前記基油が合成炭化水素油であり、増稠剤が金属石けん又は金属複合石けんから選ばれる少なくとも1種であり、調製後の混和稠度(試験温度25℃においてJIS K2220.7に準拠し、60回混和し測定した値)が285〜320の範囲であることを特徴とするグリース組成物。
【選択図】なし
【構成】基油と増稠剤を含み、放熱用の開口部を有する電動工具のギヤボックスに用いるグリース組成物において、前記基油が合成炭化水素油であり、増稠剤が金属石けん又は金属複合石けんから選ばれる少なくとも1種であり、調製後の混和稠度(試験温度25℃においてJIS K2220.7に準拠し、60回混和し測定した値)が285〜320の範囲であることを特徴とするグリース組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、開口部を有する樹脂製のグリースボックスに充填して使用されるグリース組成物に関し、詳しくは、耐樹脂性、耐ゴム性が良く、起動低温トルクを維持しながら、樹脂性グリースボックスの開孔部からのグリースの滲み出しや漏れを防ぐグリース組成物に関する。
グリース組成物は、自動車、電気機器、建設機械、情報機器、産業機械、工作機械などの各種機械及びそれらを構成する各部品の潤滑に広く使われているが、これらの機械は機能が多岐に渡り、それぞれの特性に応じたグリース組成物の開発が求められている。
本発明者らは、中でも電動工具用の樹脂製のギアボックスに使用されるグリース組成物に関して研究開発を継続している。
電動工具は、小型化、軽量化、低コスト化、省エネルギー化の観点から、グリースボックスをはじめ、樹脂成形品、ゴム成形品が多く使用されている。しかし、従来グリースボックスに充填させるグリース組成物は、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、あるいはこれらを精製した精製鉱油など、鉱油系基油を用いたものが使用されており、これら鉱油は耐樹脂性、耐ゴム性が悪く、樹脂成形品、ゴム成形品を劣化させてしまうという問題があった。このため樹脂製ギアボックスに使用されるグリース組成物の性能として耐樹脂性及び耐ゴム性が要求される。
また電動工具の高速化、省エネルギー化の観点から、グリース組成物には、起動低温トルクを低く維持し、高速発進稼動及び消費電力低減が求められている。
一方、グリースの軟化による放熱用の開口部からのグリースの漏れ出し防止が求められている。
以上のように、電動工具用の樹脂製のギアボックスに使用されるグリース組成物には、耐樹脂性及び耐ゴム性が求められ、更に起動低温トルクを維持しつつ、放熱用の開口部からのグリースの漏れがないという相反する性質を持つことが求められている。
従来、特許文献1には、電動工具モータ用転がり軸受けにおいて、基油に合成炭化水素油のみを用いて、グリースの耐樹脂性、耐ゴム性を良くし、また、基油に動粘度(40℃)が20〜150mm2/sの範囲のものを用いて低温トルクを低く維持する方法が開示されている。
しかし、特許文献1ではグリース漏れ防止対策は、シール板によって行っており、グリース組成物の性質による漏れ防止が全く考慮されていない。また増稠剤としてウレア化合物を用いていることから、熱や時間の経過によってグリース組成物が硬化するものが発生するという問題がある。更に、混和稠度については全く開示されていない。
特許文献2には増稠剤としてウレアを用い、グリースの混和稠度を230〜280に調製し、軸受外にグリースを飛散させ難くした高速転がり軸受用のグリースが記載され、また特許文献3には潤滑剤にウレア化合物を用い、グリースの混和稠度を220〜280に調製した潤滑剤組成物が記載されている。しかし、グリースの混和稠度が低く、電動工具用のギアボックスに使用した場合にグリース組成物が硬くなりすぎ低温起動性や低温トルクが悪化する問題がある。また増稠剤としてウレア化合物を用いていることから、熱や時間の経過によってグリース組成物が硬くなり、低温起動性や低温トルクが悪化するという問題もある。
特許文献4には、グリースの混和稠度を180〜260に調製した低発塵性転がり軸受用グリースが開示されている。しかし、グリースの混和稠度が低く、電動工具用のギアボックスに使用した場合に低温起動性や低温トルクが悪化する問題がある。
特許文献5には、プーリ幅調節装置に用いるグリース組成物が開示され、実施例7には増稠剤としてリチウムコンプレックスを用い、基油として合成炭化水素油(PAO)を用い、混和調度280のグリース組成物が記載されている。しかし、この実施例7のグリース組成物では混和調度が低いために、電動工具用の樹脂製のギアボックスに使用した場合に、低温起動性や低温トルクが悪化する問題がある。
特開2002−155959号公報
特開2000−169872号公報
特開2002−180077号公報
特開2000−192070号公報
特開2004−225809号公報
そこで、本発明の課題は、耐樹脂性、耐ゴム性が良く、起動低温トルクを維持しながら、樹脂性グリースボックスの開口部からのグリースの滲み出しや漏れを防ぐグリース組成物を提供することにある。
本発明の他の課題は以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
基油と増稠剤を含み、放熱用の開口部を有する電動工具のギヤボックスに用いるグリース組成物において、
前記基油が合成炭化水素油であり、増稠剤が金属石けん又は金属複合石けんから選ばれる少なくとも1種であり、調製後の混和稠度(試験温度25℃においてJIS K2220.7に準拠し、60回混和し測定した値)が285〜320の範囲であることを特徴とするグリース組成物。
基油と増稠剤を含み、放熱用の開口部を有する電動工具のギヤボックスに用いるグリース組成物において、
前記基油が合成炭化水素油であり、増稠剤が金属石けん又は金属複合石けんから選ばれる少なくとも1種であり、調製後の混和稠度(試験温度25℃においてJIS K2220.7に準拠し、60回混和し測定した値)が285〜320の範囲であることを特徴とするグリース組成物。
(請求項2)
下記測定方法による起動低温トルクが9.3〜13.5であり、下記測定方法による漏れ滲み時間が150〜180時間であり、下記測定方法による垂れ時間が200時間以上であることを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
(起動低温トルクの測定方法)
試験温度:−30℃
試験方法:JIS K2220.18に準拠し、−30℃の起動トルクを測定する。
(漏れ滲み時間の測定方法)
試験温度:60℃
試験方法:電動工具にグリースを詰め、通気口からグリース、オイルの漏れ滲みがあるか観察し、漏れた時間を測定する。
(垂れ時間の測定方法)
試験温度:60℃
試験方法:PA6(ナイロン6)樹脂上にグリース量0.5g、直径20mmになるように樹脂片に塗布し、樹脂片を45°に傾け、グリースの垂れ性を観察し、垂れ落ちた時間を測定する。
下記測定方法による起動低温トルクが9.3〜13.5であり、下記測定方法による漏れ滲み時間が150〜180時間であり、下記測定方法による垂れ時間が200時間以上であることを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
(起動低温トルクの測定方法)
試験温度:−30℃
試験方法:JIS K2220.18に準拠し、−30℃の起動トルクを測定する。
(漏れ滲み時間の測定方法)
試験温度:60℃
試験方法:電動工具にグリースを詰め、通気口からグリース、オイルの漏れ滲みがあるか観察し、漏れた時間を測定する。
(垂れ時間の測定方法)
試験温度:60℃
試験方法:PA6(ナイロン6)樹脂上にグリース量0.5g、直径20mmになるように樹脂片に塗布し、樹脂片を45°に傾け、グリースの垂れ性を観察し、垂れ落ちた時間を測定する。
本発明によれば、耐樹脂性、耐ゴム性が良く、起動低温トルクを維持しながら、樹脂性グリースボックスの開口部からのグリースの滲み出しや漏れを防ぐグリース組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のグリース組成物は、基油と増稠剤を含み、放熱用の開口部を有する電動工具のギヤボックスに用いるものである。
本発明が適用されるグリースボックスは、樹脂製であり、放熱のための開口部を有する。従って、特許文献1のようなシール材が存在しないので、組成物の性質として開口部からのグリースの滲み出しや漏れを防止できる性質が要求される。
本発明において、基油には、鉱油を除く合成炭化水素油を用いる。合成炭化水素油としては、例えばポリ−α−オレフィン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどの少なくとも1種または2種以上の混合物が用いられている。
また、本発明が適用される電動工具は、樹脂材料やゴム材料が使用されているので、これらの材料に対して特に影響の少ない(劣化させにくい)合成炭化水素油、一般にはポリ−α−オレフィン、エチレン−α−オレフィン共重合体またはこれらを主体とするものを用いることが好ましい。
基油に合成炭化水素油を用いることで温度の影響によって軟化が起きづらいグリース組成物が得られる。このため、チクソトロピー性付与剤など添加剤を入れなくても、垂れ性、漏れ滲み性の改善が可能なので、低温性に優れ、トルクの悪化を抑えることができる。
また、動粘度の異なる合成炭化水素油を併用することも好ましい。
本発明において使用する増稠剤としては、金属石けん又は金属複合石けんから選ばれる少なくとも1種である。従って、本発明では、ウレア化合物は除かれる。ウレア化合物を用いると熱や時間の経過によって硬くなるという性質から低温起動性や低温トルクが悪化するという問題が発生する。
金属石けんとしては、Li石けん、Ca石けん、アルミニウム石けんなどが挙げられ、Li石けんでは12−ヒドロキシステアリン酸やステアリン酸を使用したものなどが挙げられる。また、金属複合石けんでは、Li複合石けん、Ca複合石けん、Ba複合石けんなどが挙げられる。
本発明において、混和稠度は25℃の混和稠度で285〜320の範囲であり、好ましくは287〜310の範囲である。320より大きいと、グリース組成物が軟らかく、漏れ滲み性が悪くなり、グリースボックスの開口部からグリース組成物の漏れが発生する。また、285未満では、グリース組成物が硬い為、低温性、起動低温トルクが悪くなる。
本発明において混和稠度は、JIS K2220.7に準拠し、25℃で60回混和し測定され、この混和稠度は、主に増稠剤の添加量によって変化させることが可能である。
本発明のグリース組成物は、基油に鉱油を除く合成炭化水素を用い、かつ、混和稠度を285〜320の範囲にすることで、低温時(0〜40℃の範囲)にもグリース組成物がある程度の軟らかさを持ち、かつ高温時(50〜110℃の範囲)でもグリースの軟化がおこりにくいという相反する性質を持つことができる。高温時が問題になるのは、電動工具を長時間連続して使用したときに発熱してグリース組成物に影響を与えるからである。
本発明のグリース組成物には、上記の基油、増稠剤以外に、必要に応じ、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、極圧添加剤、油性剤、固体潤滑剤などの従来潤滑剤に使用されている公知の添加剤を用途に応じて配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系や、アルキルジフェニルアミン(アルキル基は炭素数4〜20のもの)、トリフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェノチアジン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン、フェニチアジン、アルキル化フェノチアジンなどのアミン系酸化防止剤などが挙げられ、単独、または2種以上を混合して用いることができる。
防錆剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸石けん、アルキルスルホン酸塩、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどを挙げることができる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾール、チアジアゾールなどを挙げることができる。
極圧添加剤としては、例えば、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステルアミン塩などのリン系化合物、スルフィド類、ジスルフィド類などの硫黄系化合物、塩素化パラフィン、塩素化ジフェニルなどの塩素系化合物、及びジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTP)などの金属有機化合物などを挙げることができる。
油性剤としては、例えば、脂肪酸、高級アルコール、多価アルコール、多価アルコールエステル、脂肪族エステル、脂肪族アミン、脂肪酸モノグリセライドなどを挙げることができる。
固体潤滑剤としては、例えば、二硫化モリブデン、グラファイト、窒化ホウ素、窒化シランなどを挙げることができる。
本発明のグリース組成物によると、低温時にもグリースがある程度の軟らかさを持ち、かつ高温時でもグリースの軟化がおこりにくいという相反する性質を持つために、本発明のグリース組成物のみで(シール材を用いないという意味)、放熱用の開口部からの漏れを防ぎながら、且つ起動低温トルクを低く維持することができる。
従って、漏れ防止のために、開口部をシール部材を用いて密封することがなく、さらには稼動時に無駄なエネルギーを使うことがなく、使用エネルギーも最小限に抑えることができるので、電動工具自体の仕事効率が良くなる。本発明のグリース組成物は、それのみで電動工具の低コスト化及び省エネルギー化に高く寄与することができる。
また、省エネルギー化によって工具自体の発生熱量を抑えることができるので、グリースボックス内のゴム製品、樹脂製品のような熱の影響を受けて劣化しやすい部品の長寿命化を同時にはかることもでき、メンテナンスの手間を削減することもできる。
また、本発明のグリース組成物は、例えば長時間の電動工具作動による高温環境内においても電動工具の開口部からのグリースの漏れを防ぎながら、起動低温トルクを低く維持することができる。
本発明のグリース組成物は通常の製造方法を用いて製造することができ、例えば基油に増稠剤を混合し、熱処理を行ってからロールミルなどによる分散処理を行う方法などを用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定さるものではない。
実施例1
<配合成分とその配合量>
(1)基油
ポリ−α−オレフィン
;(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)
;(100℃動粘度5.6mm2/s)
・・・64重量%
エチレン−α−オレフィン共重合体
;(三井化学株式会社製「ルーカントHC−100」)
;(100℃動粘度100mm2/s)
・・・27重量%
(2)増稠剤
Li石けん;(勝田化工株式会社製「Li−OHST」)
・・・7.5重量%
(3)添加剤
酸性リン酸エステルアミン塩
;(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製
「IRGALUBE349」)
・・・0.5重量%
ジフェニルアミン系酸化防止剤
;(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製
「IRGANOX L57」)
・・・1重量%
<配合成分とその配合量>
(1)基油
ポリ−α−オレフィン
;(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)
;(100℃動粘度5.6mm2/s)
・・・64重量%
エチレン−α−オレフィン共重合体
;(三井化学株式会社製「ルーカントHC−100」)
;(100℃動粘度100mm2/s)
・・・27重量%
(2)増稠剤
Li石けん;(勝田化工株式会社製「Li−OHST」)
・・・7.5重量%
(3)添加剤
酸性リン酸エステルアミン塩
;(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製
「IRGALUBE349」)
・・・0.5重量%
ジフェニルアミン系酸化防止剤
;(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製
「IRGANOX L57」)
・・・1重量%
<グリースの調製>
上記基油及び増稠剤を混合撹拌釜に配合し、加熱攪拌した。溶融温度まで加熱攪拌した後、冷却を行った。生成したゲル状物質に各種添加剤を加え、攪拌した後、ロールミルに通し、グリース組成物を調製した。
上記基油及び増稠剤を混合撹拌釜に配合し、加熱攪拌した。溶融温度まで加熱攪拌した後、冷却を行った。生成したゲル状物質に各種添加剤を加え、攪拌した後、ロールミルに通し、グリース組成物を調製した。
得られたグリース組成物について、混和稠度、動粘度、起動低温トルク、漏れ滲み時間、垂れ時間を測定した。その結果を表1に示す。
<測定方法>
(混和稠度)
試験温度:25℃
試験方法:JIS K2220.7に準拠し、60回混和し測定する。
(混和稠度)
試験温度:25℃
試験方法:JIS K2220.7に準拠し、60回混和し測定する。
(動粘度)
試験条件:100℃
試験方法:JIS K2283に準拠し、動粘度の測定を行う。
試験条件:100℃
試験方法:JIS K2283に準拠し、動粘度の測定を行う。
(起動低温トルク)
試験温度:−30℃
試験方法:JIS K2220.18に準拠し、−30℃の起動トルクを測定する。
試験温度:−30℃
試験方法:JIS K2220.18に準拠し、−30℃の起動トルクを測定する。
(電動工具漏れ滲み試験)
試験温度:60℃
試験方法:電動工具にグリースを詰め、通気口からグリース、オイルの漏れ滲みがあるか観察し、漏れた時間を測定する。
試験温度:60℃
試験方法:電動工具にグリースを詰め、通気口からグリース、オイルの漏れ滲みがあるか観察し、漏れた時間を測定する。
(樹脂におけるグリース垂れ性試験)
試験温度:60℃
試験方法:PA6(ナイロン6)樹脂上にグリース量0.5g、直径20mmになるように樹脂片に塗布し、樹脂片を45°に傾け、グリースの垂れ性を観察し、垂れ落ちた時間を測定する。
試験温度:60℃
試験方法:PA6(ナイロン6)樹脂上にグリース量0.5g、直径20mmになるように樹脂片に塗布し、樹脂片を45°に傾け、グリースの垂れ性を観察し、垂れ落ちた時間を測定する。
実施例2(基油の動粘度が異なる)
実施例1において、基油に100℃動粘度8mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN168」)のみを用い、その配合量を70.5重量%とし、増稠剤にBa複合石けんを用い、その配合量を26.5重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を2重量%に代えた以外は実施例1と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例1において、基油に100℃動粘度8mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN168」)のみを用い、その配合量を70.5重量%とし、増稠剤にBa複合石けんを用い、その配合量を26.5重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を2重量%に代えた以外は実施例1と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例3(基油の動粘度が異なる)
実施例1において、基油に100℃動粘度8mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN168」)のみを用い、その配合量を84.5重量%とし、増稠剤にLi複合石けんを用い、その配合量を12.5重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を2重量%に代えた以外は実施例1と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例1において、基油に100℃動粘度8mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN168」)のみを用い、その配合量を84.5重量%とし、増稠剤にLi複合石けんを用い、その配合量を12.5重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を2重量%に代えた以外は実施例1と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例4(基油の動粘度が異なる)
実施例1において、基油に100℃動粘度5.6mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)のみを用い、その配合量を86重量%とし、増稠剤にLi石けんを用い、その配合量を9重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を4重量%に代えた以外は実施例1と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例1において、基油に100℃動粘度5.6mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)のみを用い、その配合量を86重量%とし、増稠剤にLi石けんを用い、その配合量を9重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を4重量%に代えた以外は実施例1と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例5(基油の動粘度が異なる)
実施例1において、基油に100℃動粘度5.6mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)を43重量%と、100℃動粘度40mm2/sのエチレン−α−オレフィン共重合体を42.5重量%用い、増稠剤にCa石けんを用い、その配合量を7.5重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を6重量%に代えた以外は実施例1と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例1において、基油に100℃動粘度5.6mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)を43重量%と、100℃動粘度40mm2/sのエチレン−α−オレフィン共重合体を42.5重量%用い、増稠剤にCa石けんを用い、その配合量を7.5重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を6重量%に代えた以外は実施例1と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例6(基油の動粘度が異なる)
実施例1において、基油に100℃動粘度1.7mm2/sのポリ−α−オレフィンのみを用い、その配合量を84重量%とし、増稠剤にLi複合石けんを用い、その配合量を13重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩を酸性リン酸エステルを用い、その配合量を2重量%に代えた以外は実施例1と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例1において、基油に100℃動粘度1.7mm2/sのポリ−α−オレフィンのみを用い、その配合量を84重量%とし、増稠剤にLi複合石けんを用い、その配合量を13重量%とし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩を酸性リン酸エステルを用い、その配合量を2重量%に代えた以外は実施例1と同様にしてグリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例1(鉱物系基油のみを用いているもの)
実施例1において、基油にパラフィン系鉱油(新日本製油株式会社製「タービンオイル46」:100℃動粘度6.8mm2/s)のみを用い、その配合量を82.5重量%にし、増稠剤にLi複合石けんを用い、その配合量を13.5重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を3重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例1において、基油にパラフィン系鉱油(新日本製油株式会社製「タービンオイル46」:100℃動粘度6.8mm2/s)のみを用い、その配合量を82.5重量%にし、増稠剤にLi複合石けんを用い、その配合量を13.5重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を3重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例2(鉱物系基油のみを用いているもの)
実施例1において、基油に精製鉱油(市販の潤滑油から抽出分離したもの:100℃動粘度6.8mm2/s)のみを用い、その配合量を70.5重量%にし、増稠剤にBa複合石けんを用い、その配合量を26.5重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩を酸性リン酸エステルに代え、その配合量を2重量%にした以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例1において、基油に精製鉱油(市販の潤滑油から抽出分離したもの:100℃動粘度6.8mm2/s)のみを用い、その配合量を70.5重量%にし、増稠剤にBa複合石けんを用い、その配合量を26.5重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩を酸性リン酸エステルに代え、その配合量を2重量%にした以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例3(鉱物系基油と合成炭化水素油を併用しているもの)
実施例1において、基油に100℃動粘度5.6mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)を54重量%と、パラフィン系鉱油33.5重量%とを用い、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を4重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例1において、基油に100℃動粘度5.6mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)を54重量%と、パラフィン系鉱油33.5重量%とを用い、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を4重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例4(鉱物系基油のみを用いているもの)
実施例1において、基油に精製鉱油(市販の潤滑油から抽出分離したもの:100℃動粘度6.8mm2/s)のみを用い、その配合量を86重量%にし、増稠剤にCa石けんを用い、その配合量を8重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩をMoDTCに代え、その配合量を5重量%にした以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例1において、基油に精製鉱油(市販の潤滑油から抽出分離したもの:100℃動粘度6.8mm2/s)のみを用い、その配合量を86重量%にし、増稠剤にCa石けんを用い、その配合量を8重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩をMoDTCに代え、その配合量を5重量%にした以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例5(合成炭化水素油のみを用いているが混和稠度が範囲外のもの)
実施例1において、基油に100℃動粘度5.6mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)のみを用い、その配合量を88重量%とし、増稠剤のLi石けんの配合量を7重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を4重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例1において、基油に100℃動粘度5.6mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN166」)のみを用い、その配合量を88重量%とし、増稠剤のLi石けんの配合量を7重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を4重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
比較例6(合成炭化水素油のみを用いているが混和稠度が範囲外のもの)
実施例1において、基油に100℃動粘度8mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN168」)のみを用い、その配合量を76重量%とし、増稠剤をLi複合石けんに代え、その配合量を22重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を1重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
実施例1において、基油に100℃動粘度8mm2/sのポリ−α−オレフィン(イオネスオリゴマーズ社製「DURASYN168」)のみを用い、その配合量を76重量%とし、増稠剤をLi複合石けんに代え、その配合量を22重量%にし、添加剤の酸性リン酸エステルアミン塩の配合量を1重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、グリース組成物の調製を行い、物性評価を行った。
上記表1より、実施例1〜実施例6は、合成炭化水素油のみからなる基油を用い、混和稠度を285〜320の範囲に調製したため、起動低温トルクが低く、且つ、漏れ滲み及び垂れを長時間抑えられることがわかった。
比較例1〜比較例4は、鉱油系基油を用いているため、混和稠度が285〜320の範囲内であっても、漏れ滲みが発生した。
また、比較例5は、合成炭化水素油のみからなる基油を用いているが、混和稠度が285〜320の範囲になく、軟らかいため、漏れ滲みが発生した。
比較例6は、合成炭化水素油のみからなる基油を用いているが、混和稠度が285〜320の範囲になく、硬いため、起動低温トルクが悪化した。
Claims (2)
- 基油と増稠剤を含み、放熱用の開口部を有する電動工具のギヤボックスに用いるグリース組成物において、
前記基油が合成炭化水素油であり、増稠剤が金属石けん又は金属複合石けんから選ばれる少なくとも1種であり、調製後の混和稠度(試験温度25℃においてJIS K2220.7に準拠し、60回混和し測定した値)が285〜320の範囲であることを特徴とするグリース組成物。 - 下記測定方法による起動低温トルクが9.3〜13.5であり、下記測定方法による漏れ滲み時間が150〜180時間であり、下記測定方法による垂れ時間が200時間以上であることを特徴とする請求項1記載のグリース組成物。
(起動低温トルクの測定方法)
試験温度:−30℃
試験方法:JIS K2220.18に準拠し、−30℃の起動トルクを測定する。
(漏れ滲み時間の測定方法)
試験温度:60℃
試験方法:電動工具にグリースを詰め、通気口からグリース、オイルの漏れ滲みがあるか観察し、漏れた時間を測定する。
(垂れ時間の測定方法)
試験温度:60℃
試験方法:PA6(ナイロン6)樹脂上にグリース量0.5g、直径20mmになるように樹脂片に塗布し、樹脂片を45°に傾け、グリースの垂れ性を観察し、垂れ落ちた時間を測定する。
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