JP5165217B2 - ゲル状又はフィルム状組成物並びにその製造方法及び用途 - Google Patents
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Description
クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、オキサロ酢酸、フマル酸、アコニット酸。
カルボキシメチルセルロースの塩、カルボキシエチルセルロースの塩、カルボキシプロピルセルロースの塩。
クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、オキサロ酢酸、フマル酸、アコニット酸。
カルボキシメチルセルロースの塩、カルボキシエチルセルロースの塩、カルボキシプロピルセルロースの塩。
本発明製造方法は、カルボキシアルキルセルロースの塩と、水難溶性化剤として「分子内に2個以上のカルボキシル基を有する有機酸」とを含有する混合水溶液を調製するステップを少なくとも含むことを特徴とする、水難溶性組成物の製造方法である。
本発明製造方法によれば、水難溶性を有する水難溶性組成物を得ることができる。本明細書中において、「水難溶性組成物」とは、水に容易に溶解しない組成物であることを意味するが、なかでも室温(例えば15℃)の精製水に浸したとき、24時間後において目視的に形状を認めることができるものが好ましく、48時間後において目視的に形状を認めることができるものがより好ましい。また、なかでも60℃のPBS中に浸したとき、3週間後において目視的に形状を認めることができ、且つカルボキシアルキルセルロースの塩の溶出量が50%以下であるものが好ましく、60℃のPBS中に浸したとき、3週間後において目視的に形状を認めることができ、且つカルボキシアルキルセルロースの塩の溶出量が30%以下であるものがより好ましい。さらに、6週間後において目視的に形状を認めることができ、且つカルボキシアルキルセルロースの塩の溶出量が50%以下であるものがより好ましく、6週間後において目視的に形状を認めることができ、且つカルボキシアルキルセルロースの塩の溶出量が30%以下であるものがさらに好ましい。カルボキシアルキルセルロースの塩の溶出量は、後述する実施例1に記載の高速液体クロマトグラフィー法(以下、「HPLC法」)を用いた方法により測定、算出することができる。
本発明水難溶性組成物は、カルボキシアルキルセルロースの塩を、分子内に2個以上のカルボキシル基を有する有機酸を介して水難溶性化させてなる水難溶性組成物である。
フィルム状の本発明水難溶性組成物は、例えばカルボキシアルキルセルロースの塩の水溶液に、水難溶性化剤として分子内に2個以上のカルボキシル基を有する有機酸を含む水溶液を混合し、該混合後の水溶液を「乾燥」することにより、効率的に製造することができる。
ゲル状の本発明水難溶性組成物は、例えばカルボキシアルキルセルロースの塩の水溶液に、水難溶性化剤として分子内に2個以上のカルボキシル基を有する有機酸を含む水溶液を混合し、該混合後の水溶液を「加温」又は「放置」することにより、効率的に製造することができる。
本発明水難溶性組成物は、「医用材料」、例えば、癒着防止材、創傷部を保護するために用いられる創傷被覆材、薬剤徐放用基材、空隙保持材等の用途等に応用することが可能である。
本発明水難溶性組成物は、外科手術後の組織間の癒着を防止し、回復を早めるための癒着防止材に応用することが可能である。例えば、フィルム状又はゲル状の本発明水難溶性組成物で、子宮角、腹壁、又は肝臓等に例示される腹腔内臓器を被覆し、腹膜損傷部(腹膜欠損部)を保護することによって癒着を防止し、創傷治癒を促進することができる。
本発明水難溶性組成物は、その高次構造中に薬剤を包埋させ、薬剤を徐放させるための薬剤徐放用基材として用いることができる。
グリセロールに例示される可塑剤、インドメタシン、メフェナム酸、アセメタシン、アルクロフェナック、イブプロフェン、塩酸チアラミド、フェンブエン、メピリゾール及びサリチル酸等の解熱鎮痛消炎剤、メトトレキサート、フルオロウラシル、硫酸ビンクリスチン、マイトマイシンC、アクチノマイシンC及び塩酸ダウノルビシン等の抗悪性腫瘍剤、L−グルタミン、P−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)−フェニルプロピオン酸塩酸塩、塩酸セトラキサート、スルピリド、ゲファルナート及びシメチジン等の抗潰瘍剤、キモトリプシン、ストレプトキナーゼ、塩化リゾチーム、ブロメライン及びウロキナーゼ等の酵素製剤、塩酸クロニジン、塩酸ブニトロロール、塩酸ブラゾシン、カプトプリル、硫酸ベタニジン、酒石酸メトプロロール及びメチルドバ等の血圧降下剤、塩酸フラボキサート等の泌尿器官用剤、ヘパリン、ジクロマール及びワーファリン等の血液凝固阻止剤、クロフィブラート、シンフィブラート、エラスターゼ及びニコモール等の動脈硬化用剤、塩酸ニカルジピン、塩酸ニモジピン、チトクロームC及びニコチン酸トコフェロール等の循環器官用剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン及びベタメタゾン等のステロイド剤、成長因子及びコラーゲン等の創傷治癒促進剤(特開昭60−222425参照)、その他生理活性を有するポリペプチド、ホルモン剤、抗結核剤、止血剤、糖尿病治療剤、血管拡張剤、不整脈治療剤、強心剤、抗アレルギー剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、筋弛緩剤、鎮咳去たん剤、抗生物質等に例示される薬剤。
1−1 CMCNa及びクエン酸を用いたフィルムの調製
CMCNa(ナカライテスク製、質量平均分子量22万)1gに注射用水24mLを加えて4質量% CMCNa水溶液を調製した。次いで無水クエン酸(特級、和光純薬製)1gに注射用水24mLを加えて4質量%クエン酸水溶液を調製した。4質量%クエン酸水溶液のpHを測定したところ、pH2.2であった。これらを1:1で混合し、遊星式攪拌・脱法装置KK−100(クラボウ製)を用い、室温で30分間攪拌(速度段数:自転レベル6、公転レベル9)したものを、滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、50℃の乾燥機中で乾燥することにより、シャーレ上に乾燥状態のフィルムを得た。このシャーレに注射用水を満たし、10分間静置して、厚さ約0.06mmの膨潤したフィルム(以下、実施例1において「CMC/クエン酸フィルム」という)を得た。
上記1−1で得たCMC/クエン酸フィルムを1cm×2cmの短冊状に切り出し、注射用水2mLに浸し、室温中で1ヶ月放置したが、フィルムは残存し、形状に変化は認められなかった。
上記1−1で得たCMC/クエン酸フィルムを室温下、蒸留水200mL中で1時間膨潤させ、更に蒸留水200mL中で3回繰り返して洗浄した。洗浄後のフィルムに0.1N水酸化ナトリウム水溶液10.0mLを精確に加え、室温で2時間震盪撹拌して十分に溶解した。ここに0.1%フェノールフタレイン/エタノール溶液2滴を指示薬として加え、0.1N塩酸で滴定を行ない、消費された水酸化ナトリウム量を定量した結果、上記の水溶液中におけるCMCNaとクエン酸の組成比は、質量比にして無水クエン酸質量換算で100:18.3と算出された。
上記1−1で得たCMC/クエン酸フィルムと、癒着防止材として市販されているSeparaFilm(科研製薬)の破断強度を比較した。試験は湿潤状態及び乾燥状態のそれぞれで行った。測定にはTexture Analyzer TA-XT2(Stable Micro Systems社製)を用いた。被験物質を3×2.5cmの大きさに切り出してステージ上に固定し、これに直径12.7mmの球状プローブを1mm/secの速度で押し当て、プローブが被験物質を突き破る際の最大応力を測定した。
湿潤状態のフィルムとしては、乾燥状態のフィルムを予め注射用水中で十分に膨潤させたものを用いた。下記表1にそれぞれのフィルムの厚さを示す。
2−1 CMCNaとクエン酸の混合比を変化させた場合におけるフィルムの性状
4質量%CMCNa(質量平均分子量22万、ナカライテスク製)水溶液及び4質量%クエン酸水溶液を、それぞれ1:1、2:1、4:1、8:1で混合した4種類の混合水溶液を調製した。これらを、それぞれ滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、50℃の乾燥機中で乾燥した後、シャーレに注射用水を満たし、10分間静置し、フィルムの性状を観察した。
4質量% CMCNa(東京化成製 cp500、平均分子量:22万、粘度820mPa・s)水溶液20mLと4質量%クエン酸水溶液10mLとを混合した液3.3mLをφ6cmシャーレに注ぎ50℃で一晩乾燥して透明な乾燥フィルムを得た。
3−1 異なるCMCNaを用いたフィルムの調製
以下の異なる置換率及び分子量を有する4種類のCMCNaを用いてフィルムを調製した。
東京化成製cp500(平均分子量:22万、粘度820mPa・s、以下「CMCNa(i)」と記載する。)
東京化成製cp1050(平均分子量:48万、粘度8040mPa・s、以下「CMCNa(ii)」と記載する。)
MP Biomedicals製(平均分子量:139万、粘度12.0Pa・s、以下「CMCNa(iii)」と記載する。)
MP Biomedicals製(平均分子量:6万、粘度120mPa・s、以下「CMCNa(iv)」と記載する。)
(上記の粘度は、濃度2% w/wの各CMCNa水溶液を、E型回転粘度計を用い、標準コーン、20℃、1rpm、サンプル量1mLで測定した結果である。)
上記3−1で得られた各フィルムの組成比の検討を行った。
4−1 可塑剤を用いたフィルムの調製
4質量% CMCNa(iv)水溶液10mL、4質量%クエン酸水溶液10mL及び可塑剤としてグリセロール1mLを混合し、混合液を調製した。上記混合液5mLをφ6cmシャーレに注ぎ50℃で一晩乾燥して透明な乾燥フィルムを得た。
CMC/クエン酸/グリセロールフィルムを室温下、蒸留水200mL中で1時間膨潤させ、更に蒸留水200mL中で3回繰り返して洗浄した。洗浄後のフィルムに0.1N水酸化ナトリウム水溶液10.0mLを精確に加え、室温で2時間震盪撹拌して十分に溶解した。ここに0.1%フェノールフタレイン/エタノール溶液2滴を指示薬として加え、0.1N塩酸で滴定を行なって消費された水酸化ナトリウム量を定量した結果、上記の水溶液中におけるCMCNaとクエン酸の組成比は、質量比にして無水クエン酸質量換算で100:19.7と算出された。
CMCNa及びクエン酸を用いたゲルの調製及び分析
CMCNa(ナカライテスク製、質量平均分子量22万)1gに注射用水24mLを加えて4質量%CMCNa水溶液を調製した。次いで無水クエン酸(特級、和光純薬製)1gに注射用水24mLを加えて4質量%クエン酸水溶液を調製した。これらを1:1で混ぜ、十分に混合したものを、滅菌済みプラスチックビーカー(コーニング製)に15mL分注し、蓋をして50℃の恒温槽中で3日間加温して、グミ状のゲルを得た。
6−1 CMCNaとクエン酸の混合比を変化させた場合におけるゲルの性状
4質量%CMCNa(質量平均分子量22万、ナカライテスク製)水溶液及び4質量%クエン酸水溶液を、それぞれ1:1,2:1,4:1、8:1で混合した4種類の混合水溶液を滅菌済みプラスチックビーカー(コーニング製)に15mL分注し、蓋をして50℃の恒温槽中で3日間加温して、ゲル化の具合を観察するとともに、粘度の変化を回転粘度計で測定した。
各種有機酸を用いたフィルムの調製及び分析1
DL−リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、オキサロ酢酸、cis−アコニット酸をそれぞれ約1g計量し、濃度が4質量%となるよう蒸留水を加えて調製した水溶液を以下のフィルムの調製に用いた。
4質量%CMCNa水溶液5mLとDL−リンゴ酸水溶液5mLとを混合し、滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、50℃の乾燥機中で乾燥し、乾燥状態のフィルムを得た。乾燥したシャーレ底面より切り出したフィルムを蒸留水に浸し、1時間静置したところ、膨潤したCMC/リンゴ酸フィルムを得た。フィルムは無色透明で膨潤時の厚さは約0.06mmであった。
4質量%CMCNa水溶液5mLとコハク酸水溶液5mLとを混合し、滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、50℃の乾燥機中で乾燥し、乾燥状態のフィルムを得た。乾燥したシャーレ底面より切り出したフィルムを蒸留水に浸し、1時間静置したところ、膨潤したCMC/コハク酸フィルムを得た。フィルムは乳白色を呈し、膨潤時の厚さは約0.06mmであった。
4質量%CMCNa水溶液5mLとマレイン酸水溶液5mLとを混合し、滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、50℃の乾燥機中で乾燥し、乾燥状態のフィルムを得た。乾燥したシャーレ底面より切り出したフィルムを蒸留水に浸し、1時間静置したところ、膨潤したCMC/コハク酸フィルムを得た。膨潤時の厚さは約0.06mmであった。
4質量%CMCNa水溶液5mLとオキサロ酢酸水溶液5mLとを混合し、滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、50℃の乾燥機中で乾燥し、乾燥状態のフィルムを得た。乾燥したシャーレ底面より切り出したフィルムを蒸留水に浸し、1時間静置したところ、膨潤したCMC/オキサロ酢酸フィルムを得た。フィルムは無色透明で、やや肉厚、膨潤時の厚さは約0.1mmであった。
4質量%CMCNa水溶液5mLとcis−アコニット酸水溶液5mLとを混合し、滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、50℃の乾燥機中で乾燥し、乾燥状態のフィルムを得た。乾燥したシャーレ底面より切り出したフィルムを蒸留水に浸し、1時間静置したところ、膨潤したCMC/cis−アコニット酸フィルムを得た。フィルムは薄黄色の透明で脆く、膨潤時の厚さは約0.06mmであった。
各種有機酸を用いたフィルムの調製及び分析2
8−1 コハク酸を用いたフィルムの調製及び分析
4質量% CMCNa(i)水溶液と4質量%コハク酸水溶液をそれぞれ10mLずつ混合し、混合液を得た。上記混合液5mLをφ6cmシャーレに注ぎ50℃で一晩乾燥して乳白色の乾燥フィルムを得た。
4% CMCNa(i)水溶液と4質量%リンゴ酸水溶液をそれぞれ10mLずつ混合し、混合液を得た。上記混合液5mLをφ6cmシャーレに注ぎ50℃で一晩乾燥して透明な乾燥フィルムを得た。
4質量% CMCNa(i)水溶液と4質量%アコニット酸水溶液とをそれぞれ10mLずつ混合し、混合液を得た。上記混合液5mLをφ6cmシャーレに注ぎ50℃で一晩乾燥して透明な薄黄色の乾燥フィルムを得た。
4質量% CMCNa(i)水溶液と4質量%オキサロ酢酸水溶液とをそれぞれ10mLずつ混合し、混合液を得た。上記混合液5mLをφ6cmシャーレに注ぎ50℃で一晩乾燥して透明な乾燥フィルムを得た。
各種有機酸を用いたゲルの調製及び分析
実施例7で調製した各種有機酸水溶液及びCMCNa水溶液を以下のフィルムの調製に用いた。
4質量%CMCNa水溶液1mLとDL−リンゴ酸水溶液1mLとを混合し、滅菌済みプラスチック試験管に移し、50℃の恒温槽中で静置、加温した。5日後に恒温槽からプラスチック試験管を取り出し、上下逆さまに5分間静置したところ、内容物は試験管底部から移動せず、ゲル化が確認された。
有機酸としてコハク酸を用いることの他、上記7−1と同様にしてゲルを調製、分析した。加温5日後に恒温槽からプラスチック試験管を取り出し、上下逆さまに5分間静置したところ、内容物はゲル状を呈していたものの緩やかな流動性を認めた。
有機酸としてオキサロ酢酸を用いることの他、上記7−1と同様にしてゲルを調製、分析した。加温5日後に恒温槽からプラスチック試験管を取り出し、上下逆さまに5分間静置したところ、内容物は試験管底部から移動せず、ゲル化が確認された。
有機酸としてcis−アコニット酸を用いることの他、上記7−1と同様にしてゲルを調製、分析した。加温5日後に恒温槽からプラスチック試験管を取り出し、上下逆さまに5分間静置したところ、内容物は試験管底部から移動せず、ゲル化が確認された。
有機酸としてマレイン酸を用いることの他、上記7−1と同様にしてゲルを調製、分析した。加温5日後に恒温槽からプラスチック試験管を取り出し、上下逆さまに5分間静置したところ、内容物は試験管底部から移動せず、ゲル化が確認された。
癒着モデルへの適用
10−1 ラット子宮角癒着モデル
4質量%CMCNa水溶液と4質量%クエン酸水溶液を1:1で混合した混合液を、滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、50℃の乾燥機中で乾燥し、乾燥状態のフィルムを得た。このシャーレに生理食塩水を浸して得られた、膨潤したフィルムを動物試験に用いた。
上記10−1で用いたフィルムと同じフィルムを用い、ラット腹壁欠損盲腸擦過モデルを用いて、癒着防止効果および生体内における分解性の検討を行った。ラット盲腸側を脱脂綿で数回軽く擦過した後、腹壁側に30×40mmの欠損部を作成し、その上を直径5cm×厚さ0.1mmのフィルムで被覆した。7日後に解剖を行い、腹壁と盲腸間での癒着の有無およびフィルムの残留の有無を判定した。
酢酸を用いたフィルム及びゲルの調製及び分析
1−1 フィルムの調製及び分析
CMCNa(ナカライテスク製、質量平均分子量22万)1gに注射用水24mLを加えて4質量%CMC水溶液を調製した。次いで酢酸 (特級、和光純薬製)1gに注射用水24mLを加えて4質量%酢酸水溶液を調製した。これらを1:1で混合したものを、滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、50℃の乾燥機中で乾燥し、乾燥状態のフィルムを得た。乾燥したシャーレに注射用水を満たし、10分間静置して、厚さ0.06mmの膨潤したCMC/酢酸フィルムを得た。
4質量%クエン酸水溶液のpHを測定したところpH2.2を示した事から、pH2.2に調整した酢酸水溶液を別途調製し、4質量%CMC水溶液と1:1で混合したものを、滅菌済みプラスチックビーカー(コーニング製)に15mL分注し、蓋をして50℃の恒温槽中で3日間加温したが、ゲル化を認めなかった。
アスコルビン酸を用いたフィルム及びゲルの調製及び分析
2−1 フィルムの調製及び分析
アスコルビン酸を約1g計量し、濃度が4質量%となるよう蒸留水を加えて調製した水溶液(pH2.5)を以下のフィルムの調製に用いた。
有機酸としてアスコルビン酸を用いることの他、上記7−1と同様にしてゲルを調製、分析した。加温5日後に恒温槽からプラスチック試験管を取り出し、上下逆さまにしたところ、ゲル化が認められなかった(写真を図3に示す)。
ヒドロキシプロピルセルロースナトリウムを用いたフィルムの調製検討及び分析
ヒドロキシプロピルセルロースナトリウム(以下「HPC」という。和光製、特級)1gに注射用水24mLを加えて4質量%HPC水溶液を調製した。次いで無水クエン酸(特級、和光純薬製)1gに注射用水24mLを加えて4質量%クエン酸水溶液を調製した。これらを1:1で混合したものを、滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、50℃の乾燥機中で乾燥し、乾燥状態のフィルムを得た。乾燥したシャーレに注射用水を満たしたところ、速やかに膨潤し消失した。
ヒアルロン酸ナトリウムを用いたフィルムの調製検討及び分析
ヒアルロン酸ナトリウム(以下「HA」という。生化学工業製、重量平均分子量88万)1gに注射用水24mLを加えて4質量%HA水溶液を調製した。次いで無水クエン酸(特級、和光純薬製)1gに注射用水24mLを加えて4質量%クエン酸水溶液を調製した。これらを1:1で混合したものを、滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、50℃の乾燥機中で乾燥し、乾燥状態のフィルムを得た。乾燥したシャーレに注射用水を満たし、室温中で放置したところ、膨潤直後にはフィルム形状を維持していたものの、24時間後においては溶解・消失していた。
CMCNa(ナカライテスク製、質量平均分子量22万)1gに注射用水24mLを加えて4質量%CMC水溶液を調製した。次いで無水クエン酸(特級、和光純薬製)1gに注射用水24mLを加えて4質量%クエン酸水溶液を調製した。これらを1:1で混合したものを、滅菌済みプラスチックシャーレ上に5mL分注し、−80℃の冷凍庫中で凍結した。これを室温で凍結乾燥し、白色のスポンジ様乾燥物を得た。この乾燥物を注射用水に浸したところ、速やかに溶解、消失した。
SepraFilmを用い、ラット子宮角癒着モデルにおける、癒着防止効果および生体内における分解性の検討を行った。試験は、実施例10に記載の方法と同様の方法により行った。
Claims (8)
- カルボキシアルキルセルロースの塩と、「分子内に2個以上のカルボキシル基を有する有機酸」とを含有する混合水溶液を、2価以上の金属イオン及びカルボジイミドの非存在下で調製するステップを少なくとも含み、前記混合水溶液について下記(A)〜(C)のいずれかの操作を実施するステップを含み、凍結乾燥するステップを含まないことを特徴とする、ゲル状又はフィルム状組成物の製造方法であって、
前記混合水溶液中の、前記カルボキシアルキルセルロースの塩と分子内に2個以上のカルボキシル基を有する有機酸の質量比が、100:25〜100:100であり、前記混合水溶液における分子内に2個以上のカルボキシル基を有する有機酸の終濃度が0.2%〜5%であり、前記組成物について、60℃のリン酸緩衝生理食塩水中に浸したとき、3週間後において目視的に形状を認めることができ、且つカルボキシアルキルセルロースの塩の溶出量が50%以下であることを特徴とする、製造方法:
(A)10〜70℃で5〜72時間乾燥する
(B)20〜80℃で1〜5日間加温する
(C)0℃〜室温で5日〜3ヶ間放置する。 - 分子内に2個以上のカルボキシル基を有する有機酸が、下記群より選択される1又は2以上の有機酸である、請求項1に記載のゲル状又はフィルム状組成物の製造方法;
クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、オキサロ酢酸、フマル酸、アコニット酸。 - カルボキシアルキルセルロースの塩が下記の群より選択されるものである、請求項1又は2に記載のゲル状又はフィルム状組成物の製造方法;
カルボキシメチルセルロースの塩、カルボキシエチルセルロースの塩、カルボキシプロピルセルロースの塩。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲル状又はフィルム状組成物の製造方法によって製造されるゲル状又はフィルム状組成物。
- 請求項4に記載の組成物から形成される医用材料。
- 癒着防止材である、請求項5記載の医用材料。
- 薬剤徐放用基材である、請求項5記載の医用材料。
- 空隙保持材である、請求項5記載の医用材料。
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