JP5165128B1 - 土運船の船倉排水装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】船倉12に積まれた土砂の高さが、ドレン管15の周壁のろ過孔18の高さを越えた時、土砂中の濁水がろ過孔を通してドレン管に流れ込む。こうして管内に溜まった濁水は、その後、排水手段の排水ポンプ23を作動することで排水ホース22を通して吸い上げられ、船外に排水される。これにより、土運船11の航行前に、船倉に溜まった濁水を容易に船外に排水できる。その結果、土砂を積んだ土運船の航行中、高波などの影響で船倉から漏出した濁水による海洋汚染を防止できるとともに、土運船への土砂の積載量が増大し、浚渫作業の作業効率が高まる。
【選択図】図1
Description
従来、これを解消するため、土砂の積載量を減らす方法がとられている。しかしながら、この方法では、1回の土運船の曳航によって処分される土砂の量が少なくなり、浚渫作業の作業効率が低下していた。
そのため、土運船の航行前(押し船による曳航の前)に、船倉に溜まった濁水を容易に船外へ排水することができる。その結果、土砂を積んだ土運船の航行中、高波などの影響で船倉から漏出した濁水による海洋汚染を防止することができる。しかも、土運船への土砂の積載量も減らす必要がなくなり、浚渫作業の作業効率も高めることができる。
また、この濁水の排水作業後、土運船は所定の土砂廃棄場まで航行される。そこで待機する例えば揚土船のバックホーを運転し、回動アームおよびバケットを動かして船倉の土砂を掬い上げ、土砂が廃棄される(特に、密閉式の土運船の場合)。このとき、ドレン管が船倉の底部の外周部に環状に配管されているため、例えばドレン管を船倉の中央部に配置したり、船倉の上部に配置した場合に比べて、バックホーのバケットを動かして船倉の土砂を掬い上げるときにドレン管が邪魔になり難い。
船倉の形状は限定されないが、一般的には平面視して矩形状である。
「船倉の底板の外周縁から立ち上がる全ての側板の立ち上がり部分に沿って、ドレン管を環状に配管する」とは、船倉の内部空間のうち、その底部の外周部分(底板と全ての側板との連結部の近く)に、環状(船倉が平面視して矩形状の場合には平面視して矩形枠状)のドレン管を、船倉の底部に設けることをいう。
ドレン管の平面視した形状(環形状)は、船倉の平面視した形状に応じて適宜変更される。
ドレン管および排水ホースの直径や長さは、船倉の大きさ(最大積載量)などにより適宜変更される。例えば、ドレン管の直径としては、100〜1500mmである。
排水ホースは、船倉の上面の開口(土砂投入口)から船倉の底部に配置されたドレン管に向かって吊下される。
ドレン管および排水ホースの素材としては、例えば各種の合成樹脂、各種の金属、これらの複合素材などを採用することができる。
ドレン管および排水ホースの使用本数は1本でも2本以上でもよい。
排水ホースのドレン管における連通位置は限定されない。例えば、ドレン管の長さ方向の端部でも、その長さ方向の中間部でもよい。
ドレン管および排水ホースの船倉への取り付け方法は限定されない。例えば、ワイヤやロープによる締結方法、U字形状などの連結ブラケットを船倉の底板にボルト連結する方法などを採用することができる。
排水ポンプの種類は限定されない。例えば、排水ホースの先端部に取り付けられ、使用時にはドレン管内に配置される水中ポンプでも、甲板などに据え付けられる固定式ポンプでもよい。
「ドレン管の周壁のうち、ドレン管の長さ方向に直交する断面の上部」とは、ドレン管を、その長さ方向に直交する断面で切断した際、その断面の半分より上部をいう。ろ過孔の形成領域が、ドレン管の周壁のうち、ドレン管の長さ方向に直交する断面の上部より下方まで広がった場合には、ドレン管に濁水が少量溜まっただけで、濁水がろ過孔から船倉に漏れるおそれがある。
ろ過孔の形成間隔は限定されない。例えば、それぞれ10〜250mmである。
また、ドレン管のろ過孔を、織布、不織布、編布などの布帛により内側または外側から覆って、ろ過孔の目詰まりを防止したり、ドレン管への土砂の流入防止効果をさらに高めるようにしてもよい。
このように、ドレン管を平面視して矩形枠状としたため、平面視して矩形状の船倉を有する一般的な土運船に、本発明の土運船の船倉排水装置を適用することができる。また、ドレン管の各コーナーにホース投入用縦管を連通したため、仮に波の影響などにより土運船が前後左右に揺れる状況での排水作業であっても、各ホース投入用縦管に排水ホースを挿入して各排水ポンプを作動することにより、ドレン管内を前後左右に流動する濁水を、ドレン管の各コーナーから支障なく吸い上げることができる。
ホース投入用縦管の使用本数は4本である。全てのホース投入用縦管に排水ホースを投入してドレン管の濁水を吸い上げてもよい。また、任意に選択した1本〜3本のホース投入用縦管に排水ホースを投入して、ドレン管の濁水の排水を行ってもよい。
なお、ドレン管には、管内の濁水が排水手段を作動する水位まで上昇した(溜まった)ことを検知する液面センサを設けてもよい。これにより、排水手段を常時作動させる必要がなくなり、省エネが図れる。
ろ過孔の形成間隔は限定されない。例えば、10〜250mmである。
これにより、土運船の航行前に、船倉に溜まった濁水を容易に船外に排水することができる。その結果、土砂を積んだ土運船の航行中、高波などの影響で船倉から漏出した濁水による海洋汚染を防止することができる。しかも、従来は船倉から濁水が漏出しないように土運船への土砂の積載量を減らしていたが、その必要がなくなる。その結果、土運船に積載される土砂の量が増大し、浚渫作業の作業効率を高めることができる。
また、この濁水の排水作業後、土運船は所定の土砂廃棄場まで航行される。そこで待機する例えば揚土船のバックホーを運転し、回動アームおよびバケットを動かして船倉の土砂を掬い上げ、土砂が廃棄される(特に、密閉式の土運船の場合)。このとき、ドレン管が船倉の底部の外周部に環状に配管されているため、例えばドレン管を船倉の中央部に配置したり、船倉の上部に配置した場合に比べて、バックホーのバケットを動かして船倉の土砂を掬い上げるときにドレン管が邪魔になり難い。
また、ドレン管の各コーナーにホース投入用縦管を連通したため、仮に波の影響などにより土運船が前後左右に揺れる状況で排水作業を行っても、各ホース投入用縦管に排水ホースを挿入して各排水ポンプを作動することで、ドレン管内を前後左右に流動する濁水を、ドレン管の各コーナーから支障なく吸い上げることができる。
図2および図3に示す土運船11は、平面視して矩形状の船倉12の底板13が開閉しない密閉方式のもので、図示しない押し船により曳航される。船倉12のサイズは縦25m、横10m、深さ4mで、最大積載量は1000m3である。
図1〜図4に示すドレン管15としては、高密度ポリエチレンからなる鳥居化成株式会社製の独立山シングルプレスト管(直径50cm)を採用し、これを船倉12の底板13の各辺に沿うように、平面視して矩形枠状(縦25m×横10m)に、底板13の上面に接触状態で配置している。ドレン管15は、船倉12の底板13に逆U字形状の連結ブラケットを介してボルト連結されている。
図1および図5に示す4つの排水手段17としては、負圧力発生源である水中ポンプ(排水ポンプ)23が、長尺な排水ホース22の先端部に連通されたものを採用している。なお、排水手段17は、水中ポンプ23に代わる固定ポンプが甲板に据え付けられ、かつ固定ポンプが排水ポンプの途中部に設けられたものでもよい。
図1、図4および図5に示すように、浚渫工事に先立ち、4本のホース投入用縦管16にそれぞれ水中ポンプ23が先端に装着された排水ホース22を挿入し、水中ポンプ23の下端の吸引口を、ドレン管15の管内の例えば底板13から20cmの高さに配置し、水中ポンプ23を作動させる。
次に、図示しないグラブ浚渫船による浚渫工事において、グラブ浚渫船の船体に装備された揚重機を運転し、グラブバケットを昇降して海底の土砂を掬い上げ、そのまま旋回して、土運船11の船倉12へ土砂を順次積み込む。
その後、土運船11は、図示しない押し船により所定の土砂廃棄場まで曳航される。この土砂廃棄場では、待機中の揚土船の船体に装備されたバックホーを運転し、バケットにより船倉12の土砂を掬い上げ、その後、一般的な方法によってバケット内の土砂の廃棄が行われる。このとき、ドレン管15は、船倉12の底部の外周部に環状に配管されているため、バックホーのバケットを動かして船倉12の土砂を掬い上げる際、例えばドレン管15を船倉12の中央部に配置したり、船倉12の上部に配置した場合に比べて、ドレン管15が邪魔になり難い。
また、ドレン管15を、船倉12の形状に合わせて平面視して矩形枠状としたため、平面視して矩形状の船倉12を有する一般的な土運船11にドレン管15を配管することができる。
また、ドレン管15の各コーナーにホース投入用縦管16を連通したため、仮に波の影響などにより土運船11が前後左右に揺れる状況で排水作業を行っても、各ホース投入用縦管16にそれぞれ排水ホース22を挿入してこれらの水中ポンプ23を作動することで、ドレン管15内を前後左右に流動する濁水を、ドレン管15の各コーナーから支障なく吸い上げることができる。
さらに、ドレン管15として合成樹脂からなるリング状波管を採用したため、新造される土運船11だけでなく既成の土運船11に対しても、船倉排水装置10を簡単に配備することができる。
11 土運船、
12 船倉、
13 底板、
14 側板、
14a 立ち上がり部分、
15 ドレン管、
16 ホース投入用縦管、
17 排水手段、
18 ろ過孔、
22 排水ホース、
23 水中ポンプ(排水ポンプ)。
Claims (2)
- 土運船に設けた船倉の内部空間の底部に、該船倉の底板の外周縁から立ち上がる全ての側板の立ち上がり部分に沿って環状に配管したドレン管と、
排水ポンプを有し、かつ前記ドレン管に溜まった濁水を前記排水ポンプの負圧力により排水ホースを通して吸い上げる排水手段とを備え、
前記ドレン管の周壁のうち、該ドレン管の長さ方向に直交する断面の上部のみには、該ドレン管の長さ方向に所定間隔をあけて、土砂の中から濁水を濾し取るろ過孔が多数形成された土運船の船倉排水装置。 - 前記船倉は平面視して矩形状で、
前記ドレン管は、前記船倉の底部に平面視して矩形枠状に配管され、
前記ドレン管の各コーナーには、前記排水ホースを前記ドレン管に投入するホース投入用縦管が連通された請求項1に記載の土運船の船倉排水装置。
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