JP5164656B2 - センサ及びバイオセンサ - Google Patents

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本発明は、センサ及びバイオセンサに関する。
従来、気体試料中や液体試料中の特定物質の濃度を検出するバイオセンサ等のセンサの研究・開発が盛んに行われている。
ところで、センサでは、気体試料中や液体試料中における検出対象物質の濃度が未知である場合が多いため、広範な検出濃度範囲を有することが望まれている。
そこで、例えば、酵素電極において、測定電極群配置部に予め設定された配置高さで酸素透過膜を配置形成して検体を充填する空間を形成し、かつ当該空間内に検体を充填して検体の空気界面と測定電極群との高さを小さくすることによって、高濃度の検体を検出可能となるように構成した酸素反応律速による反応制限の解決を目的とした酵素電極が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、電気化学センサにおいて、作用電極を覆う半透膜の層数を増加させることによって、高濃度の検体を検出可能となるように構成した電気化学センサが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、例えば、少なくともトランスデューサ、機能性膜及び制限透過膜の順に設けられた化学センサにおいて、制限透過膜における機能性膜と対向する側の面に形成された凹凸形状を適宜設定することによって、検出可能な検出対象物質の濃度領域を設定できる化学センサが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許2536780号公報(図7) 特開平08−193969号公報(図25、図26) 特許3683150号公報
しかしながら、特許文献1及び2記載の発明では、検体の空気界面と測定電極群との高さを小さくしたり、半透膜の層数を増加させたりすることによって、線形の検出域を有する濃度領域が拡大されているが、線形の検出域を有する濃度領域が広範囲になるほど、その広範囲の濃度領域を部分的に見た場合には精度が悪く、検出誤差が大きくなる傾向がある。
また、特許文献3記載の発明では、目的とする検出対象物質の濃度に合わせて、制限透過膜の凹凸形状を設定するようになっているが、目的とする検出対象物質の濃度が未知である場合、凹凸形状がそれぞれ異なる複数の制限透過膜を用意しなければならないという問題がある。
本発明の課題は、簡易な構成で、検出対象物質の濃度が未知であっても、適切な濃度領域で当該検出対象物質を検出することができるセンサ及びバイオセンサを提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
センサにおいて、
所定の基板と、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜と、前記基板と前記透過膜との間に形成された電解液及び触媒を含む検出層と、を有し、前記検出対象物質と前記検出層に含まれる触媒との反応に伴う所定の変化を検出するためのセンサ部を複数備え、
前記複数のセンサ部のうちの少なくとも一のセンサ部における前記基板と前記透過膜との間の距離は、他のセンサ部における前記基板と前記透過膜との間の距離と異なることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のセンサにおいて、
前記センサ部は、前記基板に設けられたスペーサを備え、
前記スペーサは、前記透過膜を支持することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のセンサにおいて、
前記基板は、電極を備え、
電気化学的計測法によって前記検出対象物質を検出することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、
請求項1又は2に記載のセンサにおいて、
光学的計測法によって前記検出対象物質を検出することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、
バイオセンサにおいて、
請求項1〜4の何れか一項に記載のセンサはバイオセンサであり、
前記検出層は、前記透過膜を透過した前記検出対象物質と選択的に反応するレセプタを含有
前記センサ部における前記基板と前記透過膜との間の距離は、センサ部毎にそれぞれ異なることを特徴とする。
本発明によれば、センサにおいて、所定の基板と、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜と、基板と透過膜との間に形成された電解液を含む検出層と、を有するセンサ部を複数備え、複数のセンサ部のうちの少なくとも一のセンサ部における基板と透過膜との間の距離は、他のセンサ部における基板と透過膜との間の距離と異なっている。
ここで、線形の検出域を有する濃度領域は、基板と透過膜との間の距離に依存するため、センサは、線形の検出域を有する濃度領域が異なるセンサ部を複数備えていることになる。したがって、基板と透過膜との間の距離が異なるセンサ部を複数備えるという簡易な構成で、センサ全体では、広範な検出濃度範囲を有することができるとともに、検出対象物質の濃度が未知であっても、センサが備える複数のセンサ部のうちの適切なセンサ部(適切な濃度領域で線形の検出域を有するセンサ部)で当該検出対象物質を検出することができる。
以下、図を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、発明の範囲は、図示例に限定されない。
本実施の形態では、センサ(バイオセンサ)として酵素センサを例示して説明することとする。
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態における酵素センサ1について説明する。
図1は、酵素センサ1の要部を模式的に示す図である。図2は、酵素センサ1の平面斜視図である。図3は、図2のIII−III線における断面を模式的に示す図である。図4は、酵素センサ1が備えるセンサ部10の分解図である。
ここで、酵素センサ1における検出層L1側を下側、供給層L2側を上側とする。
<酵素センサの構成>
まず、酵素センサ1の構成について説明する。
酵素センサ1は、例えば、図1に示すように、所定の基板110と、基板110の上方に配置された透過膜400と、基板110と透過膜400との間に形成され、透過膜400を透過した検出対象物質Tと選択的に反応するレセプタとしての酵素300を含有する検出層L1と、基板110の上面に配置されたスペーサ200と、を有するセンサ部10を複数備えて構成される。
基板110と透過膜400との間に形成された検出層L1は、例えば、電解液等の液体で満たされており、透過膜400の上側の供給層L2には、例えば、検出対象物質Tを含有する気体試料や液体試料が供給されるようになっている。
基板110は、上面に電極140を備えており、酵素センサ1は、透過膜400を透過して供給層L2から検出層L1に移行してきた検出対象物質Tを、電気化学的計測法によって検出するようになっている。
ここで、酵素センサ1が備える各センサ部10における基板110(基板110が備える電極140)と透過膜400との間の距離dは、それぞれ異なるものとなるように設定されている。すなわち、酵素センサ1は、厚み(上下方向の長さ)がそれぞれ異なる複数の検出層L1を有している。
具体的には、酵素センサ1が備えるセンサ部10は、例えば、図2〜図4に示すように、電極基板部100と、電極基板部100の上面に配置されたスペーサ200,200と、電極基板部100の上面にスペーサ200,200に挟まれて配置された検出層L1と、検出層L1内における電極基板部100の上面に配置された担体310に固定されている酵素300と、スペーサ200,200及び検出層L1の上面に配置された透過膜400と、透過膜400の上面に配置された支持部材500と、支持部材500の上面に配置されたカバー部材600と、などを備えて構成される。
電極基板部100は、例えば、図4に示すように、基板110と、基板110の上面に設けられた、開口部(分析部120)を有する疎水性絶縁膜130と、基板110の上面における分析部120の内部に配置された作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160と、作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160と配線を介して接続されたパッド170,170,170と、などを備えて構成される。
スペーサ200は、具体的には、例えば、分析部120を露出するように基板110(疎水性絶縁膜130)と透過膜400との間に配置され、透過膜400を支持している。すなわち、分析部120内及び分析部120上側のスペーサ200,200に挟まれた領域が検出層L1になる。
スペーサ200は、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを一定に保つためのものである。したがって、酵素センサ1が備える各センサ部10が有するスペーサ200の厚みは、それぞれ異なるものとなっている。
スペーサ200を構成する材料としては、スペーサ200によって基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを一定に保つことができるのであれば任意であり、例えば、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂やその他の合成樹脂、シリコン等のセラミックス、金属及び金属表面をコーティングしたもの、ガラスなどを用いることができる。
透過膜400は、具体的には、例えば、分析部120を覆うように、スペーサ200,200の上面に配置されている。すなわち、透過膜400によって、検出層L1と供給層L2とは隔てられている。
供給層L2に供給された検出対象物質Tは、透過膜400を透過して検出層L1に移行し、そして、検出層L1に含有された酵素300と反応するようになっている。したがって、透過膜400は、少なくとも検出対象物質Tが透過する膜であれば任意であり、検出対象物質Tの種類によって適宜変更可能である。
特に、供給層L2に気体試料を供給して、酵素センサ1で、当該気体試料に含有される検出対象物質Tを検出する場合には、検出層L1中の電解液等の液体の蒸発を防止する等の観点から、透過膜200としては、検出対象物質T(検出対象ガス)は透過するが、電解液等の液体は透過しないガス透過膜が好ましい。
支持部材500は、具体的には、例えば、分析部120を覆うように、透過膜400の上面に配置されている。
支持部材500は、酵素センサ1の使用中に透過膜400が変形しないよう、透過膜400を支持するためのものである。したがって、支持部材500によって、より確実に基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを一定に保つことができることになる。
支持部材500の材質は、支持部材500によって透過膜400を変形しないように支持することができるのであれば任意であり、具体的には、例えば、ステンレスメッシュ等のメッシュ体などが挙げられる。
ここで、支持部材500は、透過膜400を変形しないように支持することができるのであれば、透過膜400の下面に配置されていても良いし、透過膜400を挟むように透過膜400の上面及び下面に配置されていても良い。
カバー部材600は、具体的には、例えば、センサ部10に気体試料や液体試料を供給するための供給口610を有しており、当該供給口610が分析部120に対応するように、支持部材500の上面に配置されている。すなわち、カバー部材600の供給口610内がセンサ部10の供給層L2になる。
カバー部材600は、カバー部材600によってスペーサ200,200、透過膜400及び支持部材500を電極基板部100に押さえつけた状態で、電極基板部100に固定されるようになっている。
カバー部材600の材質は、カバー部材600と電極基板部100とによってスペーサ200,200、透過膜400及び支持部材500を挟んで固定できるのであれば任意であり、具体的には、例えば、ガラスエポキシ製の板体等の板状部材などが挙げられる。
酵素300が固定された担体310は、具体的には、例えば、分析部120内における作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160の上面に配置されている。
酵素300が固定された担体310を分析部120内に配置するだけで、酵素300を検出層L1に含有させることができる。したがって、担体310によって、酵素300を検出層L1に含有させる操作が簡易になる。
担体310の材質は、担体310によって酵素300を固定(保持)することができるのであれば任意であり、具体的には、例えば、親水性テフロン膜、ナイロン膜やその他の材質(例えば、セルロース混合エステル、ポリビニリデンジフロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタートなど)からなる親水性膜、多孔質アルミナ等の多孔体、ナイロンメッシュ等のメッシュ体、カーボンナノチューブ等の繊維状集合体などが挙げられる。
ここで、酵素300が固定された担体310の厚みは、スペーサ200によって基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを一定に保つ等の観点から、スペーサ200の厚みと同等又はそれ以下であるのが好ましい。また、担体310は、酵素センサ1の使用中に、透過膜400が変形するのを防止して、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを一定に保つためのスペーサの役割も担っている。
なお、酵素300が固定された担体310は、少なくとも分析部120内における作用電極(電極140)の上面に配置されていてれば良い。
酵素300は、検出対象物質Tと選択的に反応する酵素であれば任意であり、検出対象物質Tの種類によって適宜変更可能である。
具体的には、酵素300は、例えば、酸化還元酵素や、加水分解酵素、転移酵素、異性化酵素などの酵素(酵素タンパク質)である。
また、酵素300は、例えば、生来の酵素分子であっても、活性部位を含む酵素の断片であっても良い。当該酵素分子又は当該活性部位を含む酵素の断片は、例えば、動植物や微生物から抽出したものであっても、所望によりそれを切断したものであっても、遺伝子工学的に又は化学的に合成したものであっても良い。
酸化還元酵素としては、例えば、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、ホルムアルデヒドオキシダーゼ、ソルビトールオキシダーゼ、フルクトースオキシダーゼ、ザルコシンオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、サルコシンオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、アミンオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、ソルビトールデヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、グリセロールデヒドロゲナーゼ、グルタメートデヒドロゲナーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、ウリカーゼ等を用いることができる。この他に、コレステロールエステラーゼ、クレアチニナーゼ、クレアチナーゼ、DNAポリメラーゼ、さらにこれら酵素のミュータント等を用いることができる。
加水分解酵素としては、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、インベルターゼ、マルターゼ、β−ガラクトシダーゼ、リゾチーム、ウレアーゼ、エステラーゼ、ヌクレアーゼ群、ホスファターゼ群等を用いることができる。
転移酵素としては、例えば、各種アシル転移酵素、キナーゼ群、アミノトランスフェラーゼ群等を用いることができる。
異性化酵素としては、例えば、ラセマーゼ群、ホスホグリセリン酸ホスホムターゼ、グルコース6−リン酸イソメラーゼ等を用いることができる。
検出層L1に含有される酵素300は、1種類の酵素であっても、2種類以上の酵素であっても良い。
具体的には、検出層L1に含有される酵素300は、例えば、1種類の酵素であっても、分子量及び/又はサイズ(径)が略同一の2種類以上の酵素であっても、分子量及び/又はサイズが異なる2種類以上の酵素であっても良い。また、検出層L1に含有される酵素300が2種類以上である場合、酵素300は、例えば、同種の検出対象物質T(基質)に作用する2種類以上の酵素であっても、異種の検出対象物質Tに作用する2種類以上の酵素であっても、同種及び/又は異種の検出対象物質Tに作用する2種類以上の酵素であっても良い。
ここで、特に、検出層L1に含有された酵素300が2種類以上であって、その2種類以上の酵素が異種の検出対象物質Tに作用する場合、例えば、検出電位を変える、或いは、分析部120内に電極を複数配置する等により、酵素センサ1は、その異種の検出対象物質T(2種類以上の検出対象物質T)を同時に検出することができる。
<酵素センサの製造方法>
次に、酵素センサ1の製造方法について説明する。
(1)電極基板部100の作成
まず、電極基板部100を作成する。
基板110上に、例えば、図4に示すような、作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160の三極構造のパターンを複数個作成する。
具体的には、例えば、公知のフォトリソグラフィー法とリフトオフ又はエッチング法とによって、基板110上に、作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160の三極構造のパターンを複数個作成する。
より具体的には、例えば、基板110上にスピンコーター等を用いてフォトレジストを適量塗布する。次いで、紫外露光装置にて数秒間露光し、作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160の三極構造のフォトマスクパターンを転写する。次いで、ポストベーク処理を行い、その後、現像液にて現像を行って、フォトレジストのパターンを形成する。次いで、スパッタ法によって、例えば、膜厚が数百nm程度の金属薄膜を成膜し、その後、リフトオフ法によって、レジストを剥がして三極電極を形成する。
ここで、基板110は、例えば、絶縁体であれば特に制限されるものではなく、具体的には、例えば、ガラスエポキシ製の基板等を用いることができる。
また、成膜される金属薄膜としては、例えば、金、白金、銅等の貴金属を挙げることができる。
なお、作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160の三極構造のパターンの作成は、上記のフォトリソプロセスでの作成に限定されるものではなく、例えば、スクリーン印刷の手法を用いて簡易的に行っても良い。また、金属薄膜の成膜法は、スパッタ法に限定されるものではなく、例えば、蒸着法を用いても良い。
次いで、例えば、スパッタ法等によって、分析部120に対応する領域の周囲にSiO等の疎水性薄膜を形成することによって、分析部120の周囲に疎水性絶縁膜130を作成する。
次いで、例えば、前記作成された、作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160の三極構造のパターンのうちの、参照電極160のパターンに、例えば、銀/塩化銀インクを塗布してベーキングすることによって、銀/塩化銀電極である参照電極160を作成する。
(2)酵素固定化担体の作成
次に、酵素300が固定された担体310(酵素固定化担体)を作成する。
担体310を複数個用意し、それぞれに酵素300を固定する。
具体的には、例えば、担体310を複数個用意し、各担体310の上に、酵素300が溶解する酵素溶液をそれぞれ同量ずつピペットやディスペンサーなどで滴下する。これにより、各担体310のそれぞれに、同量の酵素300が物理的に固定化される。
なお、酵素300が固定された担体310は、固定化後に乾燥処理を行うことが好ましい。
ところで、酵素300は、分子量が1万〜20万程度のタンパク質であり、酵素分子内の活性中心が電極140と速い電子移動を行うことが難しい場合がある。そこで、酵素300と電極140との間の電子の受け渡しを促進するための電子伝達体を検出層L1に導入するのが好ましい。また、反応が溶存酸素濃度に律速され、低濃度の試料しか測定できない場合にも、検出濃度範囲の拡大を目的として検出層L1に電子伝達体を導入することが効果的である。
具体的には、電子伝達体としては、例えば、フェリシアン化カリウム、フェロセン、フェロセン誘導体、ベンゾキノン、キノン誘導体、オスミウム錯体等が用いられる。
また、検出層L1に、例えば、酵素300の活性の発現を触媒する補酵素を導入するのも好ましい。
例えば、酵素300と検出対象物質Tとの反応が、不安的中間体を経由する反応等、酵素300のアミノ酸側鎖の触媒作用では容易に進まない反応の場合には、適当な構造を有し、酵素反応の発現に関与する低分子量の有機化合物である補酵素を使用することが多い。特に、酵素300として、補酵素依存型酵素を用いた場合、検出層L1の補酵素を導入することによって、酵素反応を効率よく行わせることができる。
補酵素は、酵素300(補酵素依存型酵素)の種類に応じて、適宜選択することができる。具体的には、補酵素としては、例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、補酵素I、補酵素II、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、リポ酸、補酵素Q等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。なかでも、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)等のNAD系の補酵素が用いられる。
検出層L1に電子伝達体や補酵素を導入する場合、例えば、グルタルアルデヒドや光架橋性樹脂などの架橋剤を用いて、電子伝達体や補酵素を担体310に固定しても良いし、酵素溶液の中に電子伝達体や補酵素を溶解させて、酵素300とともに電子伝達体や補酵素を担体310に固定しても良いし、電子伝達体や補酵素を導電性高分子等に物理的又は化学的に結合させて固定したものを検出層L1内に配置しても良い。また、電子伝達体や補酵素を電解液中に溶解・分散させて、それを検出層L1内に滴下等して配置しても良い。
(3)酵素センサの作成
次に、酵素センサ1を作成する。
厚みがそれぞれ異なる複数種類のスペーサ200を用意し、それぞれを、例えば、図5に示すように、分析部120を露出するように配置して、基板110(疎水性絶縁膜130)上に接着固定する。
ここで、スペーサ200は、粘着性を持つテープ等であっても良いし、接着剤等によって基板110上に接着固定されても良い。
次いで、前記作成した酵素固定化担体(酵素300が固定された担体310)のそれぞれを、例えば、図5に示すように、各分析部120内における作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160の上面に配置する。
次いで、透過膜400及び支持部材500をそれぞれ複数個用意し、例えば、図6に示すように、複数の透過膜400のそれぞれで各分析部120を覆い、その後、複数の支持部材500のそれぞれで各透過膜400を覆う。
次いで、カバー部材600を複数個用意し、それぞれを、例えば、図7に示すように、供給口610が分析部140に対応するように各支持部材500の上面に配置して、基板110(疎水性絶縁膜130)上に固定する。
以上のようにして、酵素センサ1を製造する。なお、酵素センサ1の製造方法は、上記製造方法に限定されるものではない。
さて、酵素センサ1による電気化学的計測法としては、例えば、酸化電流又は還元電流を測定するクロノアンペロメトリー法、クーロメトリー法、サイクリックボルタンメトリー法等の公知の計測法を用いることができる。測定方式としては、デスポーザブル方式、バッチ方式、フローインジェクション方式等、何れであっても良い。
検出対象物質Tの検出の際に酵素センサ1を取り付ける測定器本体は、例えば、データをパソコンに有線又は無線で送信できる機能を有し、リアルタイムで測定値を確認できることが好ましい。また、酵素センサ1が備える各センサ部10による検出結果を同時に計測して、データを相互比較したり検討したりできる機能を有することが望ましい。
なお、検出対象物質Tの検出に際しては、参照電極160に対する作用電極(電極140)の電圧を特定の電圧に設定することによって、測定妨害物質の影響を避け、検出対象物質Tを高感度かつ選択的に測定することができる。この設定電圧は、検出対象物質Tにより異なる。
また、酵素センサ1では、検出対象物質Tによって酵素300の種類を変えることが必要である。具体的には、酵素300としては、例えば、検出対象物質Tがグルコースの場合にはグルコースオキシターゼ又はグルコースデヒドロゲナーゼを、検出対象物質Tがエタノールの場合にはアルコールオキシターゼ又はアルコールデヒドロゲナーゼを、検出対象物質Tがホルムアルデヒドの場合にはホルムアルデヒドオキシターゼ又はホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼを、検出対象物質Tが総コレステロールの場合にはコレステロールエステラーゼとコレステロールオキシダーゼとの混合物等を用いることができる。
以下、具体的な実施例によって本発明を説明するが、発明はこれらに限定されるものではない。
基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dがそれぞれ異なる5個のセンサ部10を備える酵素センサ1を作成した。そして、酵素センサ1の評価を行った。
<1>酵素センサ1の作成
まず、酵素センサ1を作成した。本実施例では、ホルムアルデヒドガスを検出するための酵素センサ1を作成した。酵素300としては、補酵素(NAD)依存型酵素であるホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ホルムアルデヒド脱水素酵素)を用いた。
<1−1>電極基板部100の作成
まず、基板110上に、作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極150の三極構造のパターンを5個作成した。
具体的には、略矩形状に形成されたガラスエポキシ製の基板110(厚さ0.8mm、松下電工製)を、ホットプレートを用いて95℃にて90秒間プレベークした。その後、スピンコーターを用いてネガ型レジストを100μL塗布し、紫外露光装置を用いて作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160の三極構造のフォトマスクパターンを転写した。次いで、120℃で60秒間ポストベークして、その後、現像液にて70秒間現像し、蒸留水で洗浄した。次いで、スパッタ法によって、膜厚が800nmの金属薄膜(白金薄膜)を成膜して、その後、リフトオフ法によって、基板110をアセトンに浸して超音波で30分間洗浄し、レジストを剥がして白金電極を形成した。白金層の成膜条件は、真空度を10−5Pa、基板温度を60℃、アルゴンガスの流量を40sccmとした。
次いで、分析部120の周囲に疎水性絶縁膜130を作成し、銀/塩化銀電極である参照電極160を作成した。
具体的には、スパッタ法によって、分析部120に対応する領域の周囲に、膜厚が500nmのSiO薄膜を形成することによって、分析部120の周囲に疎水性絶縁膜130を作成した。その後、参照電極160のパターンに、銀/塩化銀インクを塗布して、120度で焼結し、銀/塩化銀電極である参照電極160を作成した。
<1−2>酵素固定化膜の作成
まず、酵素溶液を作成した。
具体的には、0.5Uのホルムアルデヒド脱水素酵素、0.25μmolのNAD、10μmolのナフサキノンを、1000μLのリン酸緩衝液(pH7.5)へ溶解して、酵素溶液を作成した。
次いで、酵素固定化担体として酵素固定化膜を作成した。
具体的には、担体310として、略矩形状に形成された、厚みがそれぞれ異なる5種類の親水性テフロン膜(孔径:0.1μm、厚み:50μm、100μm、200μm、500μm、1000μm、日本ミリポア製)を1枚ずつ用意し、前記作成した酵素溶液を各々20μLずつマイクロピペットで採取して、これらの親水性テフロン膜のそれぞれに滴下した。その後、室温(25℃)で3時間自然乾燥させて、厚みがそれぞれ異なる5種類の酵素固定化膜を作成した。
<1−3>酵素センサ1の作成
まず、スペーサ200を設置した。
具体的には、スペーサ200として、略L字状に形成された、厚みがそれぞれ異なる5種類の粘着性を持つ疎水性テフロンテープ(厚み:50μm、100μm、200μm、500μm、1000μm、日東電工製)を2枚ずつ用意し、これらの疎水性テフロンテープのそれぞれを、分析部120を露出するように配置して、疎水性絶縁膜130上に接着固定した。
より具体的には、例えば、上記形成された5個の分析部120のそれぞれを「分析部a」、「分析部b」、「分析部c」、「分析部d」、「分析部e」と呼ぶとすると、厚み50μmの疎水性テフロンテープを、「分析部a」を囲うように配置して疎水性絶縁膜130上に接着固定し、厚み100μmの疎水性テフロンテープを、「分析部b」を囲うように配置して疎水性絶縁膜130上に接着固定し、厚み200μmの疎水性テフロンテープを、「分析部c」を囲うように配置して疎水性絶縁膜130上に接着固定し、厚み500μmの疎水性テフロンテープを、「分析部d」を囲うように配置して疎水性絶縁膜130上に接着固定し、厚み1000μmの疎水性テフロンテープを、「分析部e」を囲うように配置して疎水性絶縁膜130上に接着固定した。
次いで、酵素固定化膜を設置した。
具体的には、前記作成した酵素固定化膜のそれぞれを、疎水性テフロンテープの厚みに対応付けて、各分析部120内における作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160の上面に配置した。
より具体的には、例えば、厚み50μmの疎水性テフロンテープに囲まれた「分析部a」内に、厚み50μmの親水性テフロン膜から成る酵素固定化膜を配置し、厚み100μmの疎水性テフロンテープに囲まれた「分析部b」内に、厚み100μmの親水性テフロン膜から成る酵素固定化膜を配置し、厚み200μmの疎水性テフロンテープに囲まれた「分析部c」内に、厚み200μmの親水性テフロン膜から成る酵素固定化膜を配置し、厚み500μmの疎水性テフロンテープに囲まれた「分析部d」内に、厚み500μmの親水性テフロン膜から成る酵素固定化膜を配置し、厚み1000μmの疎水性テフロンテープに囲まれた「分析部e」内に、厚み1000μmの親水性テフロン膜から成る酵素固定化膜を配置した。
次いで、透過膜400、支持部材500及びカバー部材600を設置した。
具体的には、透過膜400として、略矩形状に形成されたガス透過膜(厚み:100μm、ゴアテックス製)を5枚用意して、それぞれで各分析部120を覆った。次に、支持部材500として、略矩形状に形成されたステンレスメッシュ(目開き100μm、セミテック製)を5枚用意して、それぞれで各透過膜400を覆った。次に、カバー部材500として、略矩形状に形成された、開口部(供給口610)を有するガラスエポキシ製の板体を5枚用意して、それぞれを、開口部が分析部140に対応するように各支持部材500の上面に配置して、疎水性絶縁膜130上に固定した。
<2>酵素センサ1の評価
次に、酵素センサ1を評価した。
まず、酵素センサ1を評価するための測定装置Mについて説明する。
測定装置Mは、例えば、図8に示すように、標準空気生成器M1と、ホルムアルデヒド貯蔵部M2と、ガス生成器M3と、センサチャンバーM4と、ポテンショスタットM5と、信号処理部M6と、コンピュータM7と、等を備えて構成される。
センサチャンバーM4は、酵素センサ1を支持するための支持部M41を有している。酵素センサ1が備える各センサ部10は、カバー部材600の供給口610がOリングを介して支持部M41と接続されるようになっており、酵素センサ1の供給層L2(供給口610内)には、支持部M41を介してガス生成器M3から規定濃度のホルムアルデヒドガスが導入されるようになっている。これにより、酵素300(ホルムアルデヒド脱水素酵素)の基質であるホルムアルデヒド(検出対象物質T)が、透過膜400を透過して、供給層L2から検出層L1に移行し、検出層L1において検出されることになる。
作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160は、それぞれ対応するパッド170からリード線によって、ポテンショスタットM5(BAS製)に接続されている。
次いで、測定装置Mを用いて酵素センサ1を評価した。
具体的には、酵素センサ1が備える各センサ部10が有する酵素固定化膜(酵素固定化膜における、透過膜400からはみ出る部分(図6参照))のそれぞれに、30μLのリン酸緩衝液(pH7.5)を電解液として滴下し、親水性テフロン膜から成る酵素固定化膜の端から毛細管現象により電解液を吸引させることによって、電解液を検出層L1内に浸入させ、酵素、補酵素及び電子伝達体を含んだ電解液で検出層L1内を満たすようにした。
そして、参照電極160に対して作用電極(電極140)に+650mVの電圧を印加して、室温(25℃)でガス生成器M3によって連続的に濃度を変化させたホルムアルデヒドガスをセンサチャンバーM4へ導入し、アンペロメトリー法による電流計測により測定を行った。その結果を図9に示す。
図9は、導入するホルムアルデヒドガスの濃度を変化させた際の、各センサ部10の応答電流の変化を示す。
図9においては、横軸にホルムアルデヒドガス濃度、縦軸に応答電流(平衡状態の値)を示し、菱形(◇)プロットでスペーサ200及び酵素固定化膜(スペーサの役割を担う担体310から成る酵素固定化膜)の厚みが50μmのセンサ部10の結果を示し、四角(□)プロットでスペーサ200及び酵素固定化膜の厚みが100μmのセンサ部10の結果を示し、三角(△)プロットでスペーサ200及び酵素固定化膜の厚みが200μmのセンサ部10の結果を示し、丸(○)プロットでスペーサ200及び酵素固定化膜の厚みが500μmのセンサ部10の結果を示し、逆三角(▽)プロットでスペーサ200及び酵素固定化膜の厚みが1000μmのセンサ部10の結果を示した。
図9によれば、スペーサ200及び酵素固定化膜の厚みが50μmのセンサ部10は、0.2ppb〜100ppbの濃度領域で良好な線形性を保っており、100ppbを超える濃度領域では飽和している。
また、スペーサ200及び酵素固定化膜の厚みが100μmのセンサ部10は、1ppb〜900ppbの濃度領域で良好な線形性を保っており、900ppbを超える濃度領域では飽和している。
また、スペーサ200及び酵素固定化膜の厚みが200μmのセンサ部10は、10ppb〜3000ppbの濃度領域で良好な線形性を保っており、3000ppbを超える濃度領域では飽和している。
また、スペーサ200及び酵素固定化膜の厚みが500μmのセンサ部10は、100ppb〜10000ppbの濃度領域で良好な線形性を保っており、10000ppbを超える濃度領域では飽和している。
また、スペーサ200及び酵素固定化膜の厚みが1000μmのセンサ部10は、100ppb〜100000ppbの濃度領域で良好な線形性を保っている。
図9の結果から、各センサ部10は、それぞれ線形の検出域を有する濃度領域の範囲は狭いが、それぞれで線形の検出域を有する濃度領域が異なることが分かった。したがって、酵素センサ1全体では、広範な検出濃度範囲を有するとともに、酵素センサ1が備える複数のセンサ部10のうちの適切なセンサ部10(適切な濃度領域で線形の検出域を有するセンサ部10)で検出対象物質Tを検出できることが分かった。
ここで、供給層L2に供給されたホルムアルデヒドガス中のホルムアルデヒドは、ガス透過膜400を透過して供給層L2から検出層L1に移行して電解液に溶け込み、酵素300と反応する。そして、最終的に、電子伝達体が電極140上で酸化される。すなわち、検出層L1中での拡散は、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dに依存するため、センサ部10の感度は、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dによって変化すると考えられる。
以上説明した第1の実施の形態の酵素センサ1によれば、電極140を備える基板110と、少なくとも検出対象物質Tが透過する透過膜400と、基板110と透過膜400との間に形成され、透過膜400を透過した検出対象物質Tと選択的に反応するレセプタとしての酵素300を含有する検出層L1と、を有するセンサ部10を複数備え、センサ部10における基板110と透過膜400との間の距離は、センサ部10毎にそれぞれ異なっている。
ここで、線形の検出域を有する濃度領域は、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dに依存するため、酵素センサ1は、線形の検出域を有する濃度領域が異なるセンサ部10を複数備えていることになる。したがって、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dが異なるセンサ部10を複数備えるという簡易な構成で、酵素センサ1全体では、広範な検出濃度範囲を有することができるとともに、検出対象物質Tの濃度が未知であっても、酵素センサ1が備える複数のセンサ部10のうちの適切なセンサ部10(適切な濃度領域で線形の検出域を有するセンサ部10)でその検出対象物質Tを検出することができる。
また、以上説明した本発明の酵素センサ1によれば、センサ部10は、基板110に設けられたスペーサ200及び酵素固定化膜(スペーサの役割を担う担体310から成る酵素固定化膜)を備え、スペーサ200及び酵素固定化膜は、透過膜400を支持している。
したがって、スペーサ200及び酵素固定化膜によって、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを一定に保つことができるため、検出対象物質Tの検出を安定して行うことができる。
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態における酵素センサ1Aについて説明する。
図10は、酵素センサ1Aの要部を模式的に示す図である。図11は、酵素センサ1Aの平面斜視図である。図12は、図11のXII−XII線における断面を模式的に示す図である。図13は、酵素センサ1Aの分解図である。
<酵素センサの構成>
まず、酵素センサ1Aの構成について説明する。
なお、第2の実施の形態の酵素センサ1Aは、センサ部10Aを1つ備えて構成されており、そのセンサ部10Aにおける基板110(基板110が備える電極140)と透過膜400との間の距離dが可変である点が、第1の実施の形態の酵素センサ1と異なる。したがって、異なる箇所のみについて説明し、その他の共通する部分は同一符号を付して説明する。
酵素センサ1Aは、例えば、図10に示すように、下側ケース体1100A(後述)に載置された所定の基板110と、基板110の上方に配置された透過膜400と、基板110と透過膜400との間に形成され、透過膜400を透過した検出対象物質Tと選択的に反応するレセプタとしての酵素300を含有する検出層L1と、基板110の上面に配置されたスペーサ200Aと、を有するセンサ部10Aを備えて構成される。
基板110と透過膜400との間に形成された検出層L1は、例えば、電解液等の液体で満たされており、透過膜400の上側の供給層L2には、例えば、検出対象物質Tを含有する気体試料や液体試料が供給されるようになっている。
基板110は、上面に電極140を備えており、酵素センサ1Aは、透過膜400を透過して供給層L2から検出層L1に移行してきた検出対象物質Tを、電気化学的計測法によって検出するようになっている。
ここで、酵素センサ1Aが備えるセンサ部10Aにおける基板110(基板110が備える電極140)と透過膜400との間の距離dは、変えることができるようになっている。
具体的には、酵素センサ1Aは、例えば、図11〜図13に示すように、センサ部10Aと、センサ部10Aを収容するためのケース体1000Aと、などを備えて構成される。
酵素センサ1Aが備えるケース体1000Aは、例えば、外形が略円筒形状を成し、上下方向略中央の位置で上下方向に直交する方向(水平方向)に分割される下側ケース体1100A及び上側ケース体1200Aと、下側ケース体1100Aと上側ケース体1200Aを連結するための連結部材1300Aと、などを備えて構成される。
下側ケース体1100Aには、例えば、酵素センサ1A内に注入された電解液等の液体を貯めるための液貯め部1110Aと、酵素センサ1Aの外側から内側に向けて電解液等の液体を注入するための注入口1120Aと、酵素センサ1Aの内側から外側に向けて電解液等の液体を排出するための排出口1130Aと、電極基板部100を載置するための載置部1140Aと、下側ケース体1100Aの上面縁部に形成された、連結部材1300Aが挿入可能な凹部1150A,1150A,…と、などが設けられている。
ここで、液貯め部1110A及び載置部1140Aの深さは、例えば、電極基板部100(基板110)の厚みと略同一となるよう設定されている。
上側ケース体1200Aには、例えば、上側ケース体1200Aの上面における液貯め部1110Aに対応する位置に形成された、センサ部10Aに検出対象物質Tを含有する気体試料や液体試料が供給される供給口1210Aと、上側ケース体1200Aの上面縁部における凹部1150A,1150A,…に対応する位置に形成された、連結部材1300Aが貫通可能な孔部1220A,1220A,…と、などが設けられている。すなわち、上側ケース体1200Aの供給口1210A内がセンサ部10Aの供給層L2になる。
連結部材1300Aは、例えば、孔部1220Aに貫通可能であるとともに、凹部1150Aに挿入可能であり、下側ケース体1100Aと上側ケース体1200Aとでセンサ部10Aを挟んだ状態で、連結部材1300Aを、孔部1220Aの上側から下側に向けて貫通させて、凹部1150Aに挿入することによって、下側ケース体1100Aと上側ケース体1200Aとを連結することができるとともに、ケース体1000Aに対するセンサ部10A(スペーサ200A、透過膜400及び支持部材500)の位置決めができるようになっている。
ここで、凹部1150A、孔部1220A及び連結部材1300Aにはねじ切り加工が施されていないため、連結部材1300Aで下側ケース体1100Aと上側ケース体1200Aとを連結した状態で、上側ケース体1200Aに対する下側ケース体1100Aの位置(下側ケース体1100Aと上側ケース体1200Aとの間の距離)を変えることができる。これにより、センサ部10Aにおける基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを変えることができるようになっている。
酵素センサ1Aが備えるセンサ部10Aは、例えば、載置部1140Aに載置された電極基板部100と、下側ケース体1100Aの上面に配置された、液貯め部1110Aに対応する位置に設けられた開口部210Aを有するスペーサ200Aと、液貯め部1110A内及び開口部210A内に配置された検出層L1と、検出層L1に含有されている酵素300と、スペーサ200A及び検出層L1の上面に配置された透過膜400と、透過膜400の上面に配置された支持部材500と、などを備えて構成される。
ここで、センサ部10Aが備える電極基板部100は、例えば、第1の実施の形態において作成された、複数の電極基板部100が連なる電極基板部群から1つ分を切り出したものである。
スペーサ200Aは、酵素センサ1A内に注入された電解液等の液体を酵素センサ1Aの外側に漏らすことなく、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを変えることができるようにするためのものである。したがって、スペーサ200Aは、少なくとも厚み方向に伸縮自在となっている。
スペーサ200Aの材質は、スペーサ200Aによって酵素センサ1A内に注入された電解液等の液体を酵素センサ1Aの外側に漏らすことなく、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを変えることができるのであれば任意であり、具体的には、例えば、シリコンゴムシート等の弾性部材などが挙げられる。
具体的には、スペーサ200Aは、例えば、開口部210Aを有する略リング形状に形成されている。そして、スペーサ200Aには、例えば、スペーサ200Aの縁部における凹部1150A,1150A,…に対応する位置に、連結部材1300Aが貫通可能な孔部220A,220A,…が設けられており、孔部220Aに連結部材1300Aを貫通させることによって、ケース体1000Aに対するスペーサ200Aの位置決めができるようになっている。
以下、具体的な実施例によって本発明を説明するが、発明はこれらに限定されるものではない。
酵素センサ1Aを作成し、酵素センサ1Aの評価を行った。
<1>酵素センサ1Aの作成
まず、酵素センサ1Aを作成した。本実施例では、ホルムアルデヒドガスを検出するための酵素センサ1を作成した。酵素300としては、補酵素(NAD)依存型酵素であるホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ホルムアルデヒド脱水素酵素)を用いた。
<1−1>電極基板部100の作成
第1の実施の形態の実施例において作成された、5個の電極基板部100が連なる電極基板部群から1個の電極基板部100を切り出すことによって、電極基板部100を作成した。
<1−2>酵素センサ1Aの作成
まず、ケース体1000Aを作成した。
具体的には、下側ケース体1100Aや上側ケース体1200Aを、旋盤やフライス盤などを用いて、絶縁体であるピーク材を加工することによって作成した。
液貯め部1110A及び載置部1140Aの深さは、電極基板部100の厚み(0.8mm)と略同一となるように設定した。
なお、ケース体1000Aの材質は、絶縁性であればピーク材に制限されるものではなく、具体的には、例えば、セラミックス、ガラス、プラスチック、テフロンなどであっても良い。
次いで、下側ケース体1100Aに電極基板部100を設置した。
具体的には、前記作成した電極基板部100を、分析部120が液貯め部1110A内に配置されるとともに、パッド170が酵素センサ1Aの外側に配置されるように、前記作成した下側ケース体1100Aの載置部1140Aに載置して、下側ケース体1100Aに固定した。
なお、下側ケース体1100Aに対する電極基板部100の固定方法は、テフロンテープ等のテープ部材を用いてシール及び固定する方法であっても良いし、接着剤等を用いて固定する方法であっても良い。
次いで、下側ケース体1100Aを精密型ZステージN1に設置した。
具体的には、例えば、図14に示すように、精密型ZステージN1上に、電極基板部100が装着された下側ケース体1100Aを、ネジ等(図示省略)を用いて固定した。
次いで、スペーサ200Aを設置した。
具体的には、スペーサ200Aとして、略リング形状に形成された、孔部220Aを有するシリコンゴムシート(厚み:500μm)を1枚用意し、そのシリコンゴムシートを、孔部220Aが下側ケース体1100Aの凹部1150Aに対応するように配置した。
次いで、透過膜400及び支持部材500を設置した。
具体的には、透過膜400として、略円形状に形成されたガス透過膜(ゴアテックス製)を1枚用意するとともに、支持部材500として、略円形状に形成されたステンレスメッシュを1枚用意し、そのガス透過膜とステンレスメッシュで、スペーサ200Aの開口部210Aを覆った。
ここで、ガス透過膜の強度を向上させるために、ガス透過膜とステンレスメッシュとを重ね合わせて、ガス透過膜及びステンレスメッシュにおける、電極基板部100の分析部120に対応する部分以外の部分を接着し、ガス透過膜とステンレスメッシュとを一体化した。そして、このガス透過膜とステンレスメッシュとを一体化したもので、スペーサ200Aの開口部210Aを覆った。
次いで、上側ケース体1200Aを設置した。
具体的には、前記作成した上側ケース体1200Aを、孔部1220Aが下側ケース体1100Aの凹部1150Aに対応するように配置し、連結部材1300Aで下側ケース体1100Aに連結させた。そして、例えば、図14に示すように、ホルダーN2で、上側ケース体1200Aの位置を固定した。
<2>酵素センサ1Aの評価
次に、酵素センサ1Aを評価した。
まず、酵素センサ1Aを評価するための測定装置Nについて説明する。
測定装置Nは、例えば、図15に示すように、標準空気生成器M1と、ホルムアルデヒド貯蔵部M2と、ガス生成器M3と、精密型ZステージN1と、ホルダーN2と、ポテンショスタットM5と、信号処理部M6と、コンピュータM7と、等を備えて構成される。
酵素センサ1Aの供給層L2(供給口1210A内)には、ガス生成器M3から規定濃度のホルムアルデヒドガスが直接導入されるようになっている。これにより、酵素300(ホルムアルデヒド脱水素酵素)の基質であるホルムアルデヒド(検出対象物質T)が、透過膜400を透過して、供給層L2から検出層L1に移行し、検出層L1において検出されることになる。
精密型ZステージN1は、例えば、10μm単位でZ軸方向(上下方向)に移動できるようになっている。
酵素センサ1Aの下側ケース体1100Aが精密型ZステージN1に固定されているとともに、上側ケース体1200Aの位置がホルダーN2に固定されており、また、連結部材1300Aで下側ケース体1100Aと上側ケース体1200Aとを連結した状態で、上側ケース体1200Aに対する下側ケース体1100Aの位置を変えることができるようになっているため、精密型ZステージN1により下側ケース体1100Aを上下方向に移動させることによって、スペーサ200Aを変形させてスペーサ200Aの厚みを変えて、センサ部10Aにおける基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを変えることができるようになっている。
作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160は、それぞれ対応するパッド170からリード線によって、ポテンショスタットM5(BAS製)に接続されている。
次いで、測定装置Nを用いて酵素センサ1Aを評価した。
具体的には、1.0Uのホルムアルデヒド脱水素酵素、0.5μmolのNAD、20μmolのナフサキノンを、2000μLのリン酸緩衝液(pH7.5)へ溶解して、酵素溶液を作成した。その酵素溶液を、スペーサ200Aの厚みが500μmとなるように調整された酵素センサ1A内に、シリンジを用いて注入口1120Aから注入し、排出口1130Aから漏れ出すまで注入し続けることによって、酵素溶液で検出層L1を満たした。このとき、約1000μLの酵素溶液が酵素センサ1A内に注入された。
その後、酵素溶液が入ったシリンジを注入口1120Aに接続したままの状態で、排出口1130Aをシリコンシール等でキャップした。
そして、参照電極160に対して作用電極(電極140)に+650mVの電圧を印加して、室温(25℃)でガス生成器M3によって連続的に濃度を変化させたホルムアルデヒドガスを酵素センサ1Aの供給層L2(供給口1210内)へ導入し、アンペロメトリー法による電流計測により測定を行った。その結果を図16及び図17に示す。
図16は、導入するホルムアルデヒドガスの濃度を一定(100ppb)として、精密型ZステージN1を用いてスペーサ200Aの厚みを50μm〜500μmの範囲で変化させた際の、センサ部10Aの応答電流の変化を示す。
図16においては、横軸にスペーサ200Aの厚み、縦軸に応答電流(平衡状態の値)を示した。
図16によれば、スペーサ200Aの厚みが小さくなるにつれて(すなわち、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dが小さくなるにつれて)、応答電流が増加することが分かった。
ここで、供給層L2に供給されたホルムアルデヒドガス中のホルムアルデヒドは、ガス透過膜400を透過して供給層L2から検出層L1に移行して電解液に溶け込み、酵素300と反応する。そして、最終的に、電子伝達体が電極140上で酸化される。すなわち、検出層L1中での拡散は、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dに依存するため、センサ部10Aの感度は、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dによって変化すると考えられる。
図17は、精密型ZステージN1を用いてスペーサ200Aの厚みを調整し、各厚みで、導入するホルムアルデヒドガスの濃度を変化させた際の、センサ10Aの応答電流の変化を示す。
図17においては、横軸にホルムアルデヒドガス濃度、縦軸に応答電流(平衡状態の値)を示し、菱形(◇)プロットでスペーサ200Aの厚みを50μmに調整した場合の結果を示し、四角(□)プロットでスペーサ200Aの厚みを100μmに調整した場合の結果を示し、三角(△)プロットでスペーサ200Aの厚みを200μmに調整した場合の結果を示し、丸(○)プロットでスペーサの厚み500μmに調整した場合の結果を示した。
図17によれば、スペーサ200Aの厚みを約50μmに調整した場合は、0.2ppb〜100ppbの濃度領域で良好な線形性を保っており、100ppbを超える濃度領域では飽和している。
また、スペーサ200Aの厚みを約100μmに調整した場合は、10ppb〜300ppbの濃度領域で良好な線形性を保っており、300ppbを超える濃度領域では飽和している。
また、スペーサ200Aの厚みを約200μmに調整した場合は、10ppb〜1000ppbの濃度領域で良好な線形性を保っており、1000ppbを超える濃度領域では飽和している。
また、スペーサ200Aの厚みを約500μmに調整した場合は、100ppb〜10000ppbの濃度領域で良好な線形性を保っており、100000ppbを超える濃度領域では飽和している。
図17の結果から、スペーサ200Aの厚み(すなわち、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離d)が一定の場合は線形の検出域を有する濃度領域の範囲は狭いが、スペーサAの厚み(すなわち、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離d)を変えると、線形の検出域を有する濃度領域が変化することが分かった。したがって、酵素センサ1A全体では、広範な検出濃度範囲を有するとともに、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離の可変範囲のうちの適切な距離d(適切な濃度領域で線形の検出域を有する距離d)で検出対象物質Tを検出することができることが分かった。
以上説明した第2の実施の形態の酵素センサ1Aによれば、基板110と、少なくとも検出対象物質Tが透過する透過膜400と、基板110と透過膜400との間に形成された検出層L1と、を有するセンサ部10Aを備え、センサ部10Aにおける基板110と透過膜400との間の距離dは、可変である。
具体的には、電極140を備える基板110と、少なくとも検出対象物質Tが透過する透過膜400と、基板110と透過膜400との間に形成され、透過膜400を透過した検出対象物質Tと選択的に反応するレセプタとしての酵素300を含有する検出層L1と、を有するセンサ部10Aを備え、センサ部10Aにおける基板110(電極140)と透過膜00との間の距離dは、可変となっている。
ここで、線形の検出域を有する濃度領域は、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離に依存するため、酵素センサ1Aは、センサ部10Aにおける基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを変えることによって、線形の検出域を有する濃度領域を可変とすることができる。したがって、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを変えるという簡易な構成で、酵素センサ1A全体では、広範な検出濃度範囲を有することができるとともに、検出対象物質Tの濃度が未知であっても、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dの可変範囲のうちの適切な距離d(適切な濃度領域で線形の検出域を有する距離d)でその検出対象物質Tを検出することができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
<変形例1>
第1の実施の形態では、透過膜400を透過して供給層L2から検出層L1に移行してきた検出対象物質Tを、電気化学的計測法によって検出するようにしたが、例えば、図18及び図19に示す酵素センサ1Bのように、透過膜400を透過して供給層L2から検出層L1に移行してきた検出対象物質Tを、光学的計測法によって検出するようにしても良い。
なお、変形例1の酵素センサ1Bは、基板110及び透過膜400の材質と、基板110に電極140等を備えていない点と、が第1の実施の形態の酵素センサ1と異なる。
また、変形例1の酵素センサ1Bにおいては、検出層L1に含有される酵素は、基板110上に直接固定されているのが好ましい。
基板110は、例えば、少なくとも所望の波長を有する光が透過する透明基板であり、透過膜400は、例えば、少なくとも所望の波長を有する光が透過する透明透過膜である。
酵素センサ1Bによる光学的計測法としては、例えば、生成物の吸光度の変化を見る方法、酵素標識したものの吸光度の変化を見る方法、表面に金属をコーティングしてSPR(表面プラズモン共鳴)を利用する方法、生成物として蛍光物質を生成させてその蛍光測定を行なう方法等が挙げられる。
生成物の吸光度の変化を見る方法について、例えば、酵素300としてホルムアルデヒド脱水素酵素を用いて、基質としてホルムアルデヒドを検出する場合を例に挙げて説明する。ホルムアルデヒド脱水素酵素を、基板110(例えば、透明ガラス基板)上に公知の固定化方法で固定して、補酵素(NAD)の存在下で、ホルムアルデヒドをギ酸に酸化する触媒反応をさせる。そして、例えば、基板110の下面側からレーザ等の光源を用いて光を照射し、反射又は透過によって、NAD(酸化型)の還元により生じたNADH(還元型)に特徴的な波長(340nm)での吸光度の変化を測定する。これにより、生成したNADHの濃度、すなわち、基質濃度を決定することができる。
酵素標識したものの吸光度の変化を見る方法について、例えば、酵素300としてアルコール酸化酵素を用いて、基質としてアルコールを検出する場合を例に挙げて説明する。標識酵素(ペルオキシダーゼ)を、基板110(例えば、透明ガラス基板)上に公知の固定化方法で固定する。電解液として、アルコール酸化酵素と4−アミノアンチピリン(4−AA)、N−(3−スルホプロピル)−3−メトキシ−5−メチルアニリン(HMMPS)を調合したものを用意し、酸素の存在下で、アルコール酸化酵素がアルコールを酸化して過酸化水素を発生する反応をさせる。発生した過酸化水素はペルオキシダーゼの作用により4−AAとHMMPSを酸化縮合させ、結果として、青色の色素が生成するため、例えば、基板110の下面側からレーザ等の光源を用いて光を照射し、反射又は透過によって、生成した青色の色素の吸光度を測定することにより、基質濃度を決定することができる。なお、この場合、基板110に固定するのは、アルコール酸化酵素とペルオキシダーゼの両方であっても良いし、アルコール酸化酵素のみであっても良いし、上記のようにペルオキシダーゼのみであっても良い。
表面に金属をコーティングしてSPRを利用する方法としては、例えば、基板110としてSPRセンサ基板を用意し、基板110の表面に抗体(レセプタ)を固定し、透過膜400を透過して検出層L1に導入された抗原(検出対象物質)を基板110上に固定された抗体と結合させ、抗原の濃度に応じたSPRの共鳴角の増加を計測する方法等が挙げられる。ここで、基板110としては、例えば、ガラス基板上に金薄膜をスパッタ法により形成したもの等を用いることができる。また、基板110に抗体を固定する方法としては、例えば、チオール結合を利用した化学結合法や物理吸着法などが挙げられる。
生成物として蛍光物質を生成させてその蛍光測定を行なう方法としては、例えば、抗原-抗体反応をサンドウィッチ法で行い、予め2次抗体に酵素標識して、反応の生成物として蛍光物質を生成させ、その蛍光測定を行なう方法等が挙げられる。
<変形例2>
第2の実施の形態では、透過膜400を透過して供給層L2から検出層L1に移行してきた検出対象物質Tを、電気化学的計測法によって検出するようにしたが、例えば、図20及び図21に示す酵素センサ1Cのように、透過膜400を透過して供給層L2から検出層L1に移行してきた検出対象物質Tを、光学的計測法によって検出するようにしても良い。
なお、変形例2の酵素センサ1Cは、基板110及び透過膜400の材質と、基板110に電極140等を備えていない点と、が第2の実施の形態の酵素センサ1Aと異なる。
また、変形例2の酵素センサ1Cにおいては、検出層L1に含有される酵素は、基板110上に直接固定されているのが好ましい。
基板110は、例えば、少なくとも所望の波長を有する光が透過する透明基板であり、透過膜400は、例えば、少なくとも所望の波長を有する光が透過する透明透過膜である。
酵素センサ1Cによる光学的計測法としては、例えば、生成物の吸光度の変化を見る方法、酵素標識したものの吸光度の変化を見る方法、表面に金属をコーティングしてSPR(表面プラズモン共鳴)を利用する方法、生成物として蛍光物質を生成させてその蛍光測定を行なう方法等が挙げられる。
なお、基板110の下面側から光学的計測を行う場合(すなわち、例えば、基板110の下面側からレーザ等の光源を用いて光を照射して計測を行う等の場合)、基板110を、少なくとも所望の波長を有する光が透過するガラス等の透明基板で作成し、下側ケース体1100A(少なくとも液貯め部1110Aの底面)、或いは、下側ケース体1100A(少なくとも液貯め部1110Aの底面)、透過膜400及び支持部材500を、少なくとも所望の波長を有する光が透過する透明材料で形成する必要がある。
なお、第1の実施の形態において、酵素300が固定された担体310を検出層L1内に配置することによって、酵素300を検出層L1に含有させるようにしたが、酵素300を検出層L1に含有させる方法としてはこれに限定されるものではなく、公知の固定化方法で電極140上に直接固定する方法であっても良いし、酵素300が溶解する酵素溶液を検出層L1内に直接導入する方法であっても良い。また、これらの方法で、酵素300を検出層L1に含有させる場合、担体310(酵素300が固定されていない担体310)を、基板110(電極140)と透過膜400との間の距離dを一定に保つためのスペーサとして、基板110(電極140)と透過膜400との間に配置しても良い。
第2の実施の形態において、酵素300が溶解する酵素溶液を検出層L1内に直接導入することによって、酵素300を検出層L1に含有させるようにしたが、酵素300を検出層L1に含有させる方法としてはこれに限定されるものではなく、電極140上に直接固定する方法であっても良いし、酵素300が固定された担体310を検出層L1内に配置する方法であっても良い。
また、第1の実施の形態や第2の実施の形態において、酵素300を担体310や電極140上に固定する場合、グルタルアルデヒドや光架橋性樹脂などの架橋剤を用いて、固定しても良い。
第1の実施の形態の実施例や第2の実施の形態の実施例においては、供給層L2に気体試料を供給して、酵素センサ100,100Aを用いて気体試料中の検出対象物質Tを検出したが、供給層L2に液体試料を供給すると、酵素センサ100,100Aを用いて液体試料中の検出対象物質Tを検出することができる。
第2の実施の形態において、精密型ZステージN1とホルダーN2とを用いて、センサ部10Aにおける基板(電極140)と透過膜400との間の距離dを変えるようにしたが、センサ部10Aにおける基板(電極140)と透過膜400との間の距離dを変える手段は、これに限定されるものではなく、その他の電気的あるいは機械的手段、例えば、ピエゾ素子等を用いて、距離dを変えるようにしても良い。
変形例2においても同様である。
第1の実施の形態において、センサ部10における基板110と透過膜400との間の距離dを、センサ部10毎にそれぞれ異なるようにしたが、これに限定されるものではなく、複数のセンサ部10のうちの少なくとも一のセンサ部10における距離dが、他のセンサ部10における距離dと異なっていれば良い。すなわち、酵素センサ1が有する複数の検出層L1の厚みが全て同一でなければ良い。
変形例1においても同様である。
第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、レセプタは、酵素300に限定されるものではなく、検出対象物質Tと選択的に反応する生体物質(生体由来の分子識別素子)であれば任意であり、具体的には、例えば、抗体や微生物などであっても良い。
変形例1及び変形例2においても同様である。
第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、作用電極(電極140)、対電極150及び参照電極160の一例として、例えば、図4や図13に示すように、フォトリソグラフィーにより作成した微小電極を用いたが、これらの電極は、その大きさ、形状、構成に特に制限されるものではない。
具体的には、例えば、これらの電極は、市販の電解セル、測定セル等で使用する大きな電極であっても良いし、ディスク電極、回転リングディスク電極、ファイバー電極等であっても良いし、例えば、フォトリソグラフィー等の公知の微細加工技術により作成した微小電極(円盤電極、円筒電極、帯状電極、配列帯状電極、配列円盤電極、リング電極、球状電極、櫛型電極、ペア電極等)であっても良い。
また、第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、3極式電極を用いたが、2極式電極を使用してもよい。
変形例1及び変形例2においても同様である。
第1の実施の形態において、担体310としては、フォトレジストを用いることができる。例えば、光架橋性のフォトレジストであれば、光架橋して担体310として電極140上に固めることができ、しかも透過膜400も兼ね備えた膜となる。最初のフォトレジストの塗布において、積層条件を変えて(例えば、スピンコーターなら回転数や時間)、厚みを変えることで、透過膜400(或いは、スペーサを含んだガス透過膜という言い方もできる)の厚みを変化させることが可能となる。
変形例1においても同様である。
第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、センサを、検出層L1に検出対象物質と選択的に反応する生体触媒(レセプタ)を含有するバイオセンサとしたが、本発明のセンサは、必ずしも検出層L1に生体触媒を含有するセンサでなくても良い。
具体的には、例えば、検出層L1に金属触媒を含有させたセンサであっても良い。
検出層L1に金属触媒を含有させたセンサとしては、例えば、電極140上に、金や白金などの金属触媒を担持させた電解質型センサ(定電位電解式センサ)等が挙げられる。定電位電解式センサとは、一定の電位に保たれた作用電極(電極140)上でガスを電気分解し、そのときに発生する電流をガス濃度として検知するセンサである。
変形例1及び変形例2においても同様である。
第1の実施の形態の酵素センサの要部を模式的に示す図である。 第1の実施の形態の酵素センサの平面斜視図である。 図2のIII−III線における断面を模式的に示す図である。 第1の実施の形態のセンサ部の分解図である。 第1の実施の形態の酵素センサが備えるセンサ部の構成を説明するための第1の図である。 第1の実施の形態の酵素センサが備えるセンサ部の構成を説明するための第2の図である。 第1の実施の形態の酵素センサが備えるセンサ部の構成を説明するための第3の図である。 第1の実施の形態の実施例の酵素センサを評価するための測定装置を模式的に示す図である。 第1の実施の形態の実施例の酵素センサの評価結果を示す図である。 第2の実施の形態の酵素センサの要部を模式的に示す図である。 第2の実施の形態の酵素センサの平面斜視図である。 図11のXII−XII線における断面を模式的に示す図である。 第2の実施の形態の酵素センサの分解図である。 第2の実施の形態のセンサ部における基板と透過膜との間の距離の変化のさせ方を説明するための図である。 第2の実施の形態の実施例の酵素センサを評価するための測定装置を模式的に示す図である。 第2の実施の形態の実施例の酵素センサの第1の評価結果を示す図である。 第2の実施の形態の実施例の酵素センサの第2の評価結果を示す図である。 変形例1の酵素センサの要部を模式的に示す図である。 変形例1の酵素センサの平面斜視図である。 変形例2の酵素センサの要部を模式的に示す図である。 変形例2の酵素センサの平面斜視図である。
符号の説明
1,1A,1B,1C 酵素センサ(センサ、バイオセンサ)
10,10A,10B,10C センサ部
110 基板
140 電極
200 スペーサ
300 酵素(レセプタ)
310 担体(スペーサ)
400 透過膜
L1 検出層
T 検出対象物質

Claims (5)

  1. 所定の基板と、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜と、前記基板と前記透過膜との間に形成された電解液及び触媒を含む検出層と、を有し、前記検出対象物質と前記検出層に含まれる触媒との反応に伴う所定の変化を検出するためのセンサ部を複数備え、
    前記複数のセンサ部のうちの少なくとも一のセンサ部における前記基板と前記透過膜との間の距離は、他のセンサ部における前記基板と前記透過膜との間の距離と異なることを特徴とするセンサ。
  2. 請求項1に記載のセンサにおいて、
    前記センサ部は、前記基板に設けられたスペーサを備え、
    前記スペーサは、前記透過膜を支持することを特徴とするセンサ。
  3. 請求項1又は2に記載のセンサにおいて、
    前記基板は、電極を備え、
    電気化学的計測法によって前記検出対象物質を検出することを特徴とするセンサ。
  4. 請求項1又は2に記載のセンサにおいて、
    光学的計測法によって前記検出対象物質を検出することを特徴とするセンサ。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のセンサはバイオセンサであり、
    前記検出層は、前記透過膜を透過した前記検出対象物質と選択的に反応するレセプタを含有し、
    前記センサ部における前記基板と前記透過膜との間の距離は、センサ部毎にそれぞれ異なることを特徴とするバイオセンサ。
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