JP5164094B2 - クリンチ用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、クリンチ用ゴム組成物および該ゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤに関する。
従来、空気入りタイヤのリムとのチェーフィング部分にはクリンチゴムが設けられている。クリンチゴムは、走行時にリムからタイヤに駆動力を伝達する機能、およびタイヤの荷重を保持する機能を有する。よって、クリンチゴムは高硬度でかつ耐熱老化特性に優れることが必要である。また、走行時におけるタイヤの繰返し変形に伴うリムとのこすれによって生じる摩滅を軽減するため、クリンチゴムには所定の耐摩耗性も要求される。また、クリンチゴムの剛性、硬度および機械的強度等の物理的特性は、走行時の操縦安定性能に大きな影響を及ぼすため、これらの性能を適切な範囲内に設定することも要求される。
一方、近年、環境問題への関心の高まりから、石油資源由来の原料の使用量を低減するための方法が種々の技術分野で検討されている。現在一般的に市販されているタイヤは、全重量の半分以上が石油資源である原料から構成されている。たとえば、一般的な乗用車用タイヤは、合成ゴム約20質量%、カーボンブラック約20質量%、軟化剤、合成繊維などを含んでいるため、タイヤ全体の約50質量%以上が石油資源の原料から構成されている。また、タイヤ用のゴム組成物には、粘着性の向上および粘度の低減により加工性を向上させる目的で、粘着付与剤が配合されるが、この粘着付与剤としても、C5系樹脂、C9系樹脂、フェノール系樹脂などの石油資源由来の樹脂が一般的に用いられている。そこで、石油資源由来の原料を用いる場合と同様ないしそれ以上の要求特性を満足する、天然資源由来の原料を用いたタイヤ用ゴムの開発が望まれている。
ここで、工業作業性を満足し、グリップ性に優れた性能が得られるトレッドゴム組成物を提供する目的で、ジエン系ゴム100重量部に対し、テルペン系樹脂を100〜150重量部配合してなるトレッドゴム組成物が知られている。また、ジエン系ゴム成分のうち天然ゴムまたはポリイソプレンゴムを50重量部以上含み、特定の動粘度のテルペン樹脂を1〜50重量部配合してなることにより、石油系アロマオイルに代わる、環境への付加が小さいタイヤ用ゴム組成物を提供できる技術も知られている。さらに、同様の目的で、ジエン系ゴム成分のうち天然ゴムを50重量部以上含み、シリカを60重量%以上含む補強性充填剤を含み、特定の軟化点、水酸基価および動粘度のフェノール変性テルペン樹脂を0.5〜15重量部配合してなるタイヤトレッド用ゴム組成物も知られている。しかしながら、これらのゴム組成物は、石油系樹脂を配合せずに天然資源材料を多く配合し、環境への負荷を低減したものではあるものの、クリンチゴムおよびこれに要求される性能については何ら考慮されておらず、また、加工性は十分なものではない。
また特開平11−11106号公報(特許文献1)には、ジエン系ゴムとイソブチレン/p−メチルスチレン共重合体の臭化物からなるゴム成分100重量部に対し、粘着付与剤1〜10重量部を含有するケースコード被覆ゴム層用ゴム組成物を用いたインナーライナーのないチューブレスタイヤが開示されており、この粘着付与剤としてテルペン樹脂、ロジン誘導体が例示されている。特許文献1によれば、このようなゴム組成物を用いたことで他のタイヤ部材との接着性が優れると記載されている。
また、特開2004−2584号公報(特許文献2)には、ゴム成分100重量部に対し、充填剤40〜500重量部およびレジン15重量部以上を配合したタイヤ用ゴム組成物が開示されており、このレジンとしてテルペン樹脂、ロジン樹脂が例示されている。特許文献2によれば、このような組成とすることでトレッド部に用いてウエットグリップ性能および耐摩耗性を両立することができると記載されている。
さらに、特開2006−63093号公報(特許文献3)には、天然ゴムおよび/またはエポキシ化天然ゴムを80重量%以上含むゴム成分100重量部に対し、8重量部以上のレジンおよび白色充填剤80重量%以上からなる充填剤を含有するトレッド用ゴム組成物が開示されており、このレジンとしてテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、ロジン樹脂が例示されている。特許文献3によれば、石油外資源の含有率を高めることができるとともに、従来の性能を同等に維持できると開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3のいずれに開示された発明も、クリンチゴムおよびこれに要求される性能については何ら考慮されておらず、また、加工性は十分なものとは言い難い。
特開平11−11106号公報 特開2004−2584号公報 特開2006−63093号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、石油資源由来の原料の使用量を低減しつつ、剛性、硬度、機械的強度などの物理的特性の維持と加工性向上との両立が可能なクリンチ用ゴム組成物およびそれを用いたクリンチゴムを備える空気入りタイヤを提供することである。
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、ゴム成分と、前記ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上のテルペン系樹脂およびロジン系樹脂のうちの少なくともいずれかを含み、前記ゴム成分が、天然ゴムおよび変性天然ゴムの少なくともいずれかからなる天然ゴム成分を20〜100質量%の範囲内で含有することを特徴とする。
本発明はまた、上述した本発明のゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤについても提供する。
本発明によれば、石油資源由来の原料の使用量を低減しつつ、剛性、硬度、機械的強度などの物理的特性の維持と加工性向上との両立が可能なクリンチ用ゴム組成物およびそれを用いたクリンチゴムを備える空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、ゴム成分と、当該ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上のテルペン系樹脂およびロジン系樹脂のうちの少なくともいずれかを含有する。また、本発明において用いられるゴム成分は、天然ゴム(NR)および変性天然ゴムの少なくともいずれかからなる天然ゴム成分(以下、単に「天然ゴム成分」ともいう)を20〜100質量%の範囲内で含有する。
<ゴム成分>
本発明のクリンチ用ゴム組成物において、ゴム成分は、天然ゴムおよび変性天然ゴムの少なくともいずれかからなる天然ゴム成分を含有する。すなわち、本発明における天然ゴム成分は、天然ゴムのみからなるものであってもよいし、変性天然ゴムのみからなるものであってもよいし、両者を含むものであってもよい。
本発明に用いられる天然ゴムは、天然ゴムとして知られるものであればいずれのものも含まれ、原産地等は限定されない。このような天然ゴムは、シス1,4ポリイソプレンを主体として含むが、要求特性に応じてトランス1,4ポリイソプレンを含むこともできる。したがって、上記天然ゴムには、シス1,4ポリイソプレンを主体として含む天然ゴムの他、たとえば南米産アカテツ科のゴムの一種であるバラタなど、トランス1,4イソプレンを主体として含む天然ゴムも含まれる。本発明における天然ゴム成分は、このような天然ゴムを1種または2種以上(すなわち1成分または2成分以上)含むことができる。このような天然ゴムとしては、たとえば、RSS#3、TSRなどのグレードの天然ゴムを好適に用いることができる。
本発明に用いられる変性天然ゴムは、上述した天然ゴムを変性または精製したものを指し、たとえばエポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴムなどが挙げられる。本発明における天然ゴム成分は、このような変性天然ゴムを1種または2種以上含むことができる。上記中でも、本発明における天然ゴム成分は、変性天然ゴムとしてエポキシ化天然ゴムを含むことが好ましい。
エポキシ化天然ゴムは、天然ゴムの不飽和二重結合がエポキシ化された変性天然ゴムの一種であり、極性基であるエポキシ基により分子凝集力が増大する。そのため、天然ゴムよりもガラス転移温度(Tg)が高く、かつ機械的強度や耐摩耗性、耐空気透過性に優れる。このようなエポキシ化天然ゴムとしては、たとえばENR25(クランプーランスガリー社製)(エポキシ化率:25%)、ENR50(クランプーランスガリー社製)(エポキシ化率:50%)などの市販のものを用いてもよいし、天然ゴムをエポキシ化したものを用いてもよい。天然ゴムをエポキシ化する方法としては、特に限定されるものではなく、たとえばクロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法などを挙げることができる。過酸法としては、たとえば天然ゴムのエマルジョンに過酢酸や過蟻酸などの有機過酸をエポキシ化剤として反応させる方法を挙げることができる。
エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率は、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。ここで、エポキシ化率とは、エポキシ化前の天然ゴム中の二重結合の全数のうちエポキシ化された数の割合((エポキシ化された二重結合の数)/(エポキシ化前の二重結合の数))を意味し、たとえば滴定分析、核磁気共鳴(NMR)分析などにより求められる。エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率が5モル%未満の場合、エポキシ化天然ゴム(ENR)のガラス転移温度が低いために、クリンチ用ゴム組成物のゴム硬度が低く、該クリンチ用ゴム組成物を用いたクリンチゴムを備える空気入りタイヤの耐久性および耐疲労性が低下する傾向がある。また、エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率は、65モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。エポキシ化天然ゴム(ENR)のエポキシ化率が65モル%を超える場合、クリンチ用ゴム組成物が硬くなり過ぎることによって機械的強度が低下する傾向がある。
エポキシ化天然ゴム(ENR)として、より典型的には、エポキシ化率25モル%のエポキシ化天然ゴム、エポキシ化率50モル%のエポキシ化天然ゴムなどを例示できる。
本発明において、ゴム成分中の天然ゴム成分の含有率は20質量%以上とされる。ゴム成分中の天然ゴム成分の含有率が20質量%未満であると、石油資源由来の原料の使用量の低減効果が十分得られないためである。ゴム成分中の天然ゴム成分の含有率は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。石油資源由来の原料の使用量の低減効果が良好である点で、ゴム成分中の天然ゴム成分の含有率は100質量%である(すなわち、ゴム成分が天然ゴム成分からなる)ことが好ましい。
また、ゴム成分は、本発明の効果を損なわない範囲で石油資源由来のゴムを含有してもよい。石油資源由来のゴムとしては、たとえば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレン共重合体ゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、イソブチレンとp−メチルスチレンとの共重合体のハロゲン化物などを例示できる。中でも、クリンチ用ゴム組成物の硬度を高くでき、空気入りタイヤに対して特に良好な耐久性および耐疲労性を付与できる点で、SBR、BR、IRが好ましい。
ゴム成分が天然ゴムを含む場合、ゴム成分中の天然ゴムの含有率は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。ゴム成分中の天然ゴムの含有率が20質量%未満の場合、クリンチ用ゴム組成物の機械的強度が低くなる傾向がある。
<テルペン系樹脂、ロジン系樹脂>
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、天然素材を用いた樹脂として、テルペン系樹脂およびロジン系樹脂の少なくともいずれかを含有する。すなわち、本発明のクリンチ用ゴム組成物は、テルペン系樹脂のみを含有していてもよいし、ロジン系樹脂のみを含有していてもよいし、これらの両者を含有していてもよい。また、複数種のテルペン系樹脂、ロジン系樹脂を含有していてもよい。
ここで、本明細書中でいう「テルペン系樹脂」とは、一般に植物の葉、樹、根等から得られる植物精油に含まれるテルペン化合物を主モノマーとして重合された樹脂を指す。テルペン化合物は、一般に、イソプレン(C58)の重合体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、たとえばα−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、カンフェン、トリシクレン、サビネン、パラメンタジエン類、カレン類などが挙げられる。
本発明におけるテルペン系樹脂には、上述したテルペン化合物を原料とする、たとえばα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β−ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、テルペン化合物と芳香族化合物とを原料とする芳香族変性テルペン樹脂、テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料とするテルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂も含まれる。ここで、本発明における芳香族テルペン樹脂の原料となる芳香族化合物としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルトルエンなどが挙げられ、また、テルペンフェノール樹脂の原料となるフェノール系化合物としては、たとえばフェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。
このようなテルペン系樹脂としては、たとえばPX300N(ヤスハラケミカル(株)製)、PX1000N(ヤスハラケミカル(株)製)などの市販品を好適に用いることができる。
本発明のクリンチ用ゴム組成物がテルペン系樹脂を含有する場合、テルペン系樹脂としては、軟化点が150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。軟化点が150℃を超える場合には、混練の際に分散しにくく、また粘着性が低いという傾向にあるためである。
また、本明細書中でいう「ロジン系樹脂」は、松脂を加工することにより得られる、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、レボピマール酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸などの樹脂酸を主成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの天然産のロジン樹脂(重合ロジン)の他、水素添加ロジン樹脂、マレイン酸変性ロジン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂などの変性ロジン樹脂、ロジングリセリンエステルなどのロジンエステル、ロジン樹脂を不均化することによって得られる不均化ロジン樹脂なども包含する。
このようなロジン系樹脂としては、たとえば、トール油ロジンTP90B(ハリマ化成(株)製)などの市販品を好適に用いることができる。
本発明のクリンチ用ゴム組成物がロジン系樹脂を含有する場合、ロジン系樹脂としては、軟化点が150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。軟化点が150℃を超える場合には、混練の際に分散しにくく、また粘着性が低いという傾向にあるためである。
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、上述したテルペン系樹脂およびロジン系樹脂から選ばれる少なくともいずれかを、ゴム成分100質量部に対し0.5質量部以上含有する。ここで、テルペン系樹脂およびロジン系樹脂の両者を含有する場合には、その総量がゴム成分100質量部に対し0.5質量部以上であるものとする。テルペン系樹脂およびロジン系樹脂から選ばれる少なくともいずれかの含有量がゴム成分100質量部に対し0.5質量部未満である場合には、加工上必要な粘着性が不足するという不具合がある。
また本発明のクリンチ用ゴム組成物において、上述したテルペン系樹脂およびロジン系樹脂から選ばれる少なくともいずれかの含有量は、ゴム成分100質量部に対し20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。テルペン系樹脂およびロジン系樹脂から選ばれる少なくともいずれかの含有量が、ゴム成分100質量部に対し20質量部を超える場合には、クリンチゴムに求められる硬さ、機械的強度が不足する傾向にあるためである。
<シリカ>
本発明のクリンチ用ゴム組成物には、さらにシリカを含有させることが好ましい。シリカは、補強用充填剤として機能するものであり、シリカを配合することにより、得られるクリンチゴムの引張強度を向上させることができる。また、シリカは石油外資源由来であるため、たとえばカーボンブラックなどの石油資源由来の補強剤を主な補強剤として配合する場合と比べて、ゴム組成物中の石油資源由来の原料の使用量を低減できる。
シリカを含有させる場合、BET比表面積が50m2/g以上のシリカを用いることが好ましく、BET比表面積が80m2/g以上のシリカを用いることがより好ましい。BET比表面積が50m2/g未満のシリカを用いた場合には、クリンチゴムとして十分な硬度が得られない傾向にあるためである。また、シリカのBET比表面積は、500m2/g以下であることが好ましく、300m2/g以下であることがより好ましい。BET比表面積が500m2/gを超えるシリカを用いた場合には、ゴムの加工性が低下する傾向にあるためである。なお、上述したシリカのBET比表面積は、たとえばASTM−D−4820−93に準拠した方法にて測定することができる。
シリカを含有させる場合、その含有量については、特に制限されるものではないが、ゴム成分100質量部に対して、35質量部以上、好ましくは45質量部以上である。シリカの含有量がゴム成分100質量部に対して35質量部未満である場合には、クリンチゴムとして十分な強度が得られない傾向にあり、特に十分な引張強度が得られない傾向にある。また、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、150質量部以下であることが好ましく、130質量部以下である。シリカの含有量がゴム成分100質量部に対して150質量部を超える場合には、ゴムの加工性が低下するとともに、走行時におけるゴムの発熱が高くなる傾向にあるためである。
シリカは、湿式法により調製されたものであってもよく、乾式法により調製されたものであってもよい。また、好ましい市販品としては、たとえば、ウルトラジルVN2(デグッサ製)(BET比表面積:125m2/g)、ウルトラジルVN3(デグッサ製)(BET比表面積:210m2/g)などを例示できる。
<シランカップリング剤>
本発明のクリンチ用ゴム組成物にシリカを含有させる場合、シリカとともに、シランカップリング剤を配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、従来公知のシランカップリング剤を用いることができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのスルフィド系;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのグリシドキシ系;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのクロロ系;などを挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、加工性が良好であるという理由から、Si69(デグッサ製)(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)、Si266(デグッサ製)(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)などが好ましく用いられる。
シランカップリング剤をさらに含有させる場合、その含有量については特に制限されるものではないが、シリカ100質量部に対して4質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましい。シランカップリング剤の含有量がシリカ100質量部に対し4質量部未満である場合には、ゴム強度が低下する傾向にある。また、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の含有量がシリカ100質量部に対し20質量部を超える場合には、ゴムの混練りおよび押し出し加工性の改善効果は小さい一方、コストが上昇してしまい経済的ではなく、また、ゴム強度が低下する傾向にある。
<カーボンブラック>
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、補強剤としてカーボンブラックをさらに含有してもよい。カーボンブラックを配合することによって、クリンチ用ゴム組成物に良好な機械的強度が付与されるが、カーボンブラックは一般に石油資源由来であるため、石油資源由来の原料の使用量を低減するためには、カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100質量部に対して5質量部以下、さらに3質量部以下、さらに2質量部以下であることが好ましい。一方、カーボンブラックを配合する場合、カーボンブラックの配合による機械的強度の向上効果を良好に得る点では、カーボンブラックの配合量が、ゴム成分100質量部に対して10質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましい。
カーボンブラックの好ましい市販品としては、たとえば、ショウブラックN220(キャボネットジャパン(株)製)などを例示できる。
<その他の配合剤>
本発明のクリンチ用ゴム組成物には、上記した成分以外にも、従来ゴム工業で使用される他の配合剤、たとえば加硫剤、ステアリン酸、加硫促進剤、加硫促進助剤、オイル、硬化レジン、ワックス、老化防止剤などを配合してもよい。
加硫剤としては、有機過酸化物もしくは硫黄系加硫剤を使用することが可能であり、有機過酸化物としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシロキサン、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレートなどを使用することができる。これらの中で、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼンおよびジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。また、硫黄系加硫剤としては、たとえば、硫黄、モルホリンジスルフィドなどを使用することができる。これらの中では硫黄が好ましい。これらの加硫剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するものを使用することが可能である。スルフェンアミド系としては、たとえばCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物などを使用することができる。チアゾール系としては、たとえばMBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩、銅塩、シクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾールなどのチアゾール系化合物などを使用することができる。チウラム系としては、たとえばTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系化合物を使用することができる。チオウレア系としては、たとえばチアカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素などのチオ尿素化合物などを使用することができる。グアニジン系としては、たとえばジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド、ジフェニルグアニジンフタレートなどのグアニジン系化合物を使用することができる。ジチオカルバミン酸系としては、たとえばエチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシル(またはオクタデシル)イソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウムなどのジチオカルバミン酸系化合物などを使用することができる。アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系としては、たとえばアセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物などのアルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系化合物などを使用することができる。イミダゾリン系としては、たとえば2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物などを使用することができる。キサンテート系としては、たとえばジブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテート系化合物などを使用することができる。これらの加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫促進助剤としては、たとえば酸化亜鉛、ステアリン酸などを使用できる。
老化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩などを適宜選択して使用することができる。
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、ステアリン酸金属塩を含有してもよい。ステアリン酸金属塩としては、ステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛などを挙げることができる。ステアリン酸金属塩のなかでも、耐熱性改良効果およびエポキシ化天然ゴムとの相溶性の観点から、ステアリン酸アルカリ土類金属塩が好ましく、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウムがより好ましい。
オイルとしては、プロセスオイル、植物油脂、またはこれらの混合物、などを例示できる。プロセスオイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどを例示できる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油、桐油、などを例示できる。
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、石油資源由来の原料の使用量を低減しつつ、剛性、硬度、機械的強度などの物理的特性の維持と加工性向上との両立が可能となったものである。ここで、向上された「加工性」とは、ピクマタックテスタ((株)東洋精機製作所製)を用いて測定された(測定条件などの詳細は後述)未加硫ゴム組成物の粘着力から下記計算式によって算出された粘着性指数が105以上(さらに好適には110以上)であり、かつ、JIS K6300の規定に準拠し、ムーニー粘度計(ムーニービスコメータ(株式会社島津製作所製))を用いて測定された(測定条件などの詳細は後述)未加硫ゴム組成物のムーニー粘度から下記計算式によって算出されたムーニー粘度指数が105以上(さらには110以上)であることをいう。
・粘着性指数
=(本発明のゴム組成物の粘着力/基準配合ゴム組成物の粘着力)×100
・ムーニー粘度指数
=(基準配合ゴム組成物のムーニー粘度)/(本発明のゴム組成物のムーニー粘度)×100
なお、上記各計算式中の基準配合ゴム組成物は、テルペン系樹脂およびロジン系樹脂のうちの少なくともいずれかを含有しないこと以外は同じ本発明のゴム組成物と同様の組成に配合されたゴム組成物を指す。
本発明はまた、上述したような本発明のクリンチ用ゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤをも提供する。ここで、図1は、本発明の空気入りタイヤの一例を示す概略断面図である。空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、該トレッド部2の両端からタイヤ半径方向内方に延びる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の内方端に位置するビード部4とを備える。またビード部4,4間にはカーカス6が架け渡されるとともに、このカーカス6の外側かつトレッド部2内にはタガ効果を有してトレッド部2を補強するベルト層7が配される。
上記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道COに対して、たとえば70〜90°の角度で配列する1枚以上のカーカスプライ6aから形成され、このカーカスプライ6aは、上記トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5の廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折返されて係止される。
上記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ赤道COに対して、たとえば40°以下の角度で配列した2枚以上のベルトプライ7aからなり、各ベルトコードがプライ間で交差するよう向きを違えて重置している。なお、必要に応じてベルト層7の両端部のリフティングを防止するためのバンド層(図示しない)を、ベルト層7の少なくとも外側に設けてもよく、このときバンド層は、低モジュラスの有機繊維コードを、タイヤ赤道COとほぼ平行に螺旋巻きした連続プライで形成する。
またビード部4には、上記ビードコア5から半径方向外方に延びるビードエイペックスゴム8が配されるとともに、カーカス6の内側には、タイヤ内腔面をなすインナーライナゴム9が隣設され、カーカス6の外側は、クリンチゴム4Gおよびサイドウォールゴム3Gで保護される。本発明のクリンチ用ゴム組成物は、上記クリンチゴム4Gに使用されるものである。
なお図1には、乗用車用の空気入りタイヤについて例示しているが、本発明はこれに限定されず、乗用車用、トラック用、バス用、重車両用など、各種車両の用途に対して用いられる空気入りタイヤを提供する。
本発明の空気入りタイヤは、本発明のクリンチ用ゴム組成物を用いて、従来公知の方法により製造される。すなわち、上述した必須成分、および必要に応じて配合されるその他の配合剤を含有するクリンチ用ゴム組成物を混練りし、未加硫の段階でタイヤのクリンチの形状に合わせて押出し加工し、タイヤの他の部材とともに、タイヤ成形機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明のタイヤを得ることができる。
かかる本発明の空気入りタイヤは、クリンチゴムにおける石油資源由来の成分の含有比率がより低減され、省資源および環境保護への配慮が十分なされているとともに、良好な物理的特性の維持と加工性の向上とが両立されたゴム組成物が使用されているため、地球環境に優しい「エコタイヤ」であるとともに、加工性が改善され、良好な耐久性および操縦安定性能を有する。
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜3および比較例1、2>
表1に示す配合処方に従い、神戸製鋼所(株)製1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を除く配合成分を充填率が58%になるように充填し、回転数80rpmで160℃に到達するまで3分間混練りした。ついで、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を表1に示す配合量で加えた後、オープンロールを用いて、80℃で5分間混練りし、各実施例および各比較例に係る配合の未加硫ゴム組成物を得た。
Figure 0005164094
実施例および比較例で使用した各種配合成分の詳細は以下のとおりである。
(1)天然ゴム(NR):SIR(インドネシア製)
(2)エポキシ化天然ゴム(ENR):ENR25(MRB社製)(エポキシ化率:25%)
(3)カーボンブラック:ショウブラックN220(キャボットジャパン(株)製)
(4)シリカ:ウルトラジルVN3(デグッサ社製)(BET比表面積:210m2/g)
(5)シランカップリング剤:Si266(デグッサ社製)
(6)オイル:NH60(出光興産(株)製)
(7)樹脂(1):マルカレッツT100AS(丸善石油化学(株)製)
(8)樹脂(2):テルペン樹脂PX300N(ヤスハラケミカル(株)製)
(9)ワックス:サンノックワックス(大内新興化学工業(株)製)
(10)老化防止剤:ノクラック6C(大内新興化学工業(株)製)(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン))
(11)ステアリン酸:桐(日本油脂(株)製)
(12)酸化亜鉛:亜鉛華(三井金属鉱業(株)製)
(13)硫黄:粉末硫黄(鶴見化学(株)製)
(14)加硫促進剤:ノクセラーNS(大内新興化学工業(株)製)
実施例および比較例で得られた未加硫ゴム組成物について、以下の試験を行なった。表1には試験結果についても併せて示している。
(粘着性試験)
ピクマタックテスタ((株)東洋精機製作所製)を用いて、上昇スピード30mm/min、測定時間2.5秒間の条件下で、温度23℃、湿度55%での未加硫ゴム組成物の粘着力[N]を測定した。さらに、基準配合ゴム組成物として比較例1のゴム組成物の粘着性指数を100とし、下記計算式により、粘着力を指数表示した。粘着性指数が大きいほど粘着力が大きく、優れていることを示す。
・粘着性指数=(各実施例、各比較例の粘着力/基準配合の粘着力)×100
(ムーニー粘度指数)
JIS K6300に準じて、130℃で未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定し、基準配合ゴム組成物として比較例1のゴム組成物を100とし、下記計算式により、ムーニー粘度を指数表示した。ムーニー粘度指数が大きいほど粘度が低く、加工が容易であることを示す。
・ムーニー粘度指数
=(基準配合ゴム組成物のムーニー粘度)/(本発明のゴム組成物のムーニー粘度)×100
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の空気入りタイヤの一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 タイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカス、7 ベルト層、8 ビードエイペックスゴム、9 インナーライナゴム、4G クリンチゴム。

Claims (2)

  1. ゴム成分と、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜20質量部のテルペン系樹脂およびロジン系樹脂のうちの少なくともいずれかと、35〜150質量部のシリカと、0質量部を超えて5質量部以下のカーボンブラックとを含み、
    前記ゴム成分が、天然ゴムおよび変性天然ゴムの少なくともいずれかからなる天然ゴム成分を20〜100質量%の範囲内で含有する、クリンチ用ゴム組成物。
  2. 請求項1に記載のゴム組成物からなるクリンチゴムを備える空気入りタイヤ。
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