JP5163651B2 - プライミング粒子放出粉体ペースト - Google Patents

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Description

本発明は、プライミング粒子放出粉体の技術に関し、特に、プライミング粒子放出層(膜)を有するプラズマディスプレイパネル(PDP)等の表示デバイスの製造に用いるペースト等の技術に関する。
従来、PDP(パネル)などにおける、表示面を持つ前面基板構造体などにおいて、ガラス基板上、表示電極(X電極、Y電極)を覆って形成される誘電体層を有する。更に、誘電体層の面(放電空間に向く側)に、酸化マグネシウム(MgO)等による保護層(膜)を有する(なお保護層を設けない構成も可能である)。保護層(MgO層)の機能としては、放電による誘電体層等の劣化の保護(スパッタリング耐性)や、放電に伴う放電空間への粒子(二次電子)の放出、などがある。保護層は、電子ビーム蒸着法などにより形成(成膜)される。保護層により、PDP長寿命化、駆動電圧低減、などの効果を得る。
また、上記保護層(または誘電体層)の面(放電空間に向く側)に、放電空間に露出するように、更に、プライミング粒子放出粉体(P粉体と略称する)が形成される技術がある。このP粉体またはそれによる層(膜)は、対象面(保護層表面など)に対し、当該粒子(粉末)が、密あるいは疎に分布する形態で形成される(なお疎に分布する場合も層(膜)と称する)。以下、このP粉体による層(膜)を、プライミング粒子放出層(P層)またはプライミング粒子放出粉体層と称する。P粉体としては、特に、MgO結晶体などが用いられる。この場合、P層を、MgO結晶体層などと称する。
P粉体(P層)は、所定の機能性を持つ。この機能は、P粉体その他の材料や、製造方法(成膜方法)などに応じて決まり、実験等により確認可能である。P層の機能としては、放電空間に対するプライミング粒子(電子)の放出などがある。具体的には、放電ガスを含む放電空間(表示セルに対応する単位領域)における放電に伴い、放電空間からのソース(励起原子など)の供給による反応により、P層のP粉体(MgO結晶体)から放電空間へプライミング粒子(電子)が放出される。これにより、当該空間(領域)における放電特性(放電遅れ等)の改善や調整などの効果が得られる。
上記P粉体(P層)に関する技術としては、例えば、特開2006−59786号公報(特許文献1)に記載されているものがある。これは、PDPの放電遅れを改善する手段として、プライミング粒子放出層として、MgO結晶体層を設ける技術である。
従来のPDPにおけるP粉体(P層)に関する技術として、前面基板構造体の保護層表面等を対象面として、以下のような、P粉体含有材料(P層形成用組成物)を用いてP粉体(P層)を形成するものがある。
(1) 対象面の全面に、P粉体含有材料として、低粘度(所定以下の粘度)でほぼ液状に近い性質のスラリー(P粉体スラリー)を、塗装用のスプレーガンや、あるいはインクジェット等により噴霧(散布)して付着させることにより、P層を成膜する技術(第1の技術とする)が用いられている。上記噴霧に使用するスラリーとしては、P粉体であるMgO結晶体(MgO等の無機粉体)などを、揮発性の溶剤(IPA(イソプロピルアルコール)等)に混合、分散させてなるスラリーが使用される。噴霧されたスラリーは、加温(乾燥工程)などにより、スラリー中の溶剤成分が除去される。このスラリーは、樹脂を含まず、低粘度で液状に近い性質でありペーストではないので、各種の印刷やコーティング等の方法によるP層の塗布形成は不可能または困難である。
(2) 対象面に、P粉体含有材料として、高粘度(所定以上の粘度)で樹脂(ポリマ)を含有するペースト(P粉体ペースト)を、各種の印刷(スクリーン印刷法等)やコーティング(スロットコート法等)、ディスペンサ等の方法により、塗布することで、P層を成膜する技術(第2の技術とする)がある。塗布されたペーストは、加温(乾燥や焼成の工程)などにより、ペースト中の溶剤成分が除去される。上記ペーストの塗布(配置)の工程では、例えば、対象面に対し、当該ペーストを、全面に、あるいは所定のパターン形状で、塗布(配置)する。更に、当該ペーストを焼成等することによりP層として完成する。上記印刷やコーティング等のためには、当該ペーストとしては、P粉体であるMgO結晶体(MgO等の無機粉体)などと、それを分散させる揮発性の溶剤(IPA等)以外に、バインダ(増粘剤)となる樹脂(アクリル・エトセル等)を添加する。これにより、当該P粉体含有材料(ペースト)に、所定の粘度(チクソ性)を発現させる必要がある。
上記ペーストの技術、特に樹脂を含有させて所定の粘度(高粘度)の特性を持つことは、P層の形成(加工)のために当該ペーストを所定の状態や形状で対象面上に塗布(配置)するプロセス(ペースト塗布(配置)工程)において必要なものである。換言すれば、当該P粉体含有材料(ペースト)は、P層の形成(加工)の方法・手段(具体的には印刷法など)に対応した所定の粘度(チクソ性)を有している必要がある(例えば高粘度でないと適切に形成し難い等の理由から)。しかしながら、当該工程を含むPDP製造においては、後述の問題点に示すような不具合を引き起こす要因となる。
特開2006−59786号公報
前記P粉体(P層)を有するPDPの技術では、以下のような問題がある。
(1) 前記第1の技術のような、スラリーの噴霧によるP層の形成では、以下のような不具合が生じる。対象面(保護層表面等)に対するスラリーの噴霧の際、粒子(液)の回り込みなどにより、基板構造体におけるP層形成が不必要な部分(例えば裏面)に対しても当該粒子が付着されてしまう。また、それにより次工程への弊害を誘発する。これらに対処する手段のコストがかかる。
また、上記スラリーの噴霧により粒子が散逸することにより、P粒子(P粒子含有材料)の使用効率が低くなり(使用量が多くなり)、コストが高くなる。例えば、用意したP粒子含有材料(スラリー)の30%〜40%が散逸により無駄になってしまう。
また、スラリーを用いる場合、印刷等の方法を用いて、対象面に局所的に所定のパターン形状でP層(領域)を塗布により形成することは、困難(使用不可能)である。理由は、スラリーの粘度特性(低粘度)等から、精度良い塗布(配置)等が困難であるからである。従来では、対象面に、全面ベタで、なるべく均一になるように、P層を形成している。上記局所的形成(詳細形状でのパターニング等)を実現するためには、噴霧などの方法ではなく、印刷やコーティング等の方法(第2の技術)が必要であり、また、そのためには、バインダ(樹脂)を含んでなるペーストが必要になる。
(2) 前記第2の技術のような、ペーストの塗布(印刷やディスペンサ等の方法)によるP層の形成では、以下のような不具合が生じる。適切な形成(ペースト塗布(配置))のためには、それに対応した所定の程度以上の粘性(高粘度)が必要となる。そのため、P粉体含有材料(ペースト)として、バインダとなる樹脂(ポリマ)の含有が必要となる。このような樹脂含有のペーストを使用する場合、最終的なP層を形成するためには、系内から当該樹脂(バインダ)成分を脱離させる、脱バインダ工程が必要になる。この脱バインダ工程は、例えば350〜450℃程度での焼成工程である。
脱バインダ工程の必要により、PDP製造の効率やコストの点で不利である。また、脱バインダ工程により、バインダからの脱ガス(バインダ分解ガス)が発生し、パネル特性に悪影響を与える可能性がある。また特に、当該ペーストの乾燥工程(溶剤成分除去工程)以後にもバインダ成分が残留するため、それ(残渣)を完全に除去するためには、相応の長時間・高温度の脱バインダ工程(焼成工程)が必要になる。また、脱バインダ工程以後にも、カーボン等の不純物が残留するため、パネルの信頼性への影響が生じる。
また基本的に、P層形成それ自体によって、対象面となる保護層(MgO層)等に対するダメージが、ある程度は存在する。P層形成により保護膜(MgO層)のスパッタが早められる傾向に有り、電圧の上昇等につながる。当該ダメージ分により、必要印加電圧の上昇や輝度低下などにつながる。
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定の粘度特性が得られるP粉体ペースト、及びそのペーストを用いて形成されるP層を有するPDPなどの製品の製造効率を向上できる技術を提供することである。特に、脱バインダ工程に起因する製造効率や信頼性の低下の防止、P層(P粉体含有材料)に係わるコスト低減、P層の形成の自由度の向上などを実現できる技術を提供することである。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。前記目的を達成するために、本発明は、所定の粘度特性が得られるP粉体ペースト(P粉体含有材料、P層形成用ペースト)、及びそのペーストを用いてP粉体(P層)が形成されるPDPなどの技術であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
本発明のP粉体ペーストは、樹脂などのポリマを使用(含有)せずに所定の粘度の特性が得られるものであり、所定特性の高粘度溶剤(第1有機化合物)と、その中に分散されるP粉体と、を有して構成される。P粉体は、特に、MgO結晶体(MgOなどの無機粉体)を使用する。前記高粘度溶剤(第1有機化合物)は、テルペン骨格を有し、その25℃(常温)での粘度が10,000〜1,000,000mPa・sである。
本ペーストは、対象面(PDPの前面基板構造体の保護層(もしくは誘電体層)表面など)に対する当該ペーストの塗布(配置)などのために用いる、印刷やコーティング、ディスペンサ等の方法に対応した、所定の粘度の特性を持つものとして作製される。本ペーストの特性は、例えば、25℃での粘度が15,000〜35,000mPa・sである。
また、本ペーストは、溶剤としては、上記の単一の高粘度溶剤を使用する以外にも、粘度調整用の他の溶剤(第2有機化合物、希釈溶剤)との組み合わせによる溶剤を使用する構成としてもよい。上記他の溶剤(第2有機化合物)は、高粘度溶剤(第1有機化合物)よりも25℃での粘度が低いものを用いる。
本発明のPDPの製造方法においては、上記ペーストを、前記塗布(配置)のための印刷等の方法を用いて、パネルの表示領域に対応した対象面に対し、全面に、もしくは一部に(局所的な所定パターン形状で)、塗布することにより、P層(その領域)を放電空間に露出するように形成する。そして、塗布されたペーストは、加温による乾燥工程(溶剤除去工程)により、溶剤成分(前記高粘度溶剤など)が除去(蒸発)されることで、P層として完成される。
従来技術(前記第2の技術)では、樹脂含有のペーストに対する脱バインダ工程が必要である。一方、本発明では、大きな特徴として、本ペーストが樹脂(バインダ)を含有しないので、従来のような脱バインダ工程(焼成工程など)が不必要である。即ち、本ペーストでは、高粘度溶剤(第1有機化合物)を使用(含有)して、塗布等の方法・手段に応じた所定の粘度の特性を得ることにより、当該方法・手段を用いたP層の形成(PDP製造)においても、脱バインダ工程が必要無く、溶剤除去のための乾燥工程(例えば上限200℃程度の加熱)のみで処理可能である。乾燥工程(溶剤除去工程)は、焼成工程(脱バインダ工程)よりも、短時間・低温度で処理可能である。
本発明として例えば以下がある。本発明は、P層を有するPDPの製造方法であって、P層を形成するためのP粉体ペーストは前述のようなペーストであり、冷却等により25℃での粘度が15,000〜35,000mPa・sである状態としたP粉体ペーストを準備する工程と、PDPを構成する基板構造体において、電極群を被覆する誘電体層もしくはその上の保護層の面(当該パネルの表示領域に対応するように形成される)に対し、P粉体ペーストを、印刷、コーティング、ディスペンサ等のいずれかの方法により、塗布(配置)する工程と、加温(乾燥など)により、前記塗布(配置)されたP粉体ペーストの有機化合物成分を除去して固着させることでP層を形成する工程と、を有する。
また特に、前記P粉体ペーストを配置(塗布)する工程では、当該ペーストを、対象面に対し、全面のうち一部に所定のパターン形状で塗布する構成とする。
また、本発明は、P層を有するPDPであって、当該パネルを構成する基板構造体において、当該パネルの表示領域に対応して、電極群を被覆する誘電体層を有し、もしくは更にその誘電体層上に保護層を有し、誘電体層もしくは保護層の面上に、放電空間に露出するように、所定の厚さ等でP層を有し、P層は、対象面に対し、全面のうち、縦方向もしくは横方向のストライプ状を含む一部に形成されている構成とする。
また、本発明は、P層を有するPDPであって、上記同様に誘電体層もしくは保護層の面上に、放電空間に露出するようにP層を有し、P層は、対象面に対し、全面のうち、表示セル(単位領域)毎の一部に、表示領域全体で見て一様な所定のパターン形状になるように形成されている構成とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。本発明によれば、所定の粘度特性が得られるP粉体ペースト、及びそのペーストを用いて形成されるP層を有するPDPなどの製品の製造効率を向上できる。特に、脱バインダ工程に起因する製造効率や信頼性の低下の防止、P粉体(P粉体含有材料)に係わるコスト低減、P層の形成の自由度や容易さの向上などを実現できる。
本発明の一実施の形態であるプライミング粒子放出粉体ペーストの構成(組成)及び製造フローを示す説明図である。 本発明の一実施の形態における、プライミング粒子放出粉体ペーストに用いる高粘度溶剤の粘度と蒸発量の温度依存性を示す説明図である。 本発明の一実施の形態であるPDPの基本的な構造例を、要部を拡大して分解斜視構成を示す図である。 本発明の一実施の形態のPDPにおける、プライミング粒子放出層を含む前面基板構造体の断面構成例について示す図である。 本発明の一実施の形態であるPDPの製造方法における、プライミング粒子放出層を含む前面基板構造体の製造方法(プライミング粒子放出層の形成方法)の例の概略フローを示す図である。 本発明の一実施の形態のPDPにおける、表示領域の平面に対するプライミング粒子放出層の領域形成の構成例を一部拡大して示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
<従来の脱バインダ工程の問題点>
本実施の形態の特徴に関連して、前述した従来技術における第2の技術(樹脂含有のペーストの塗布による方法)に関する問題点のうち、脱バインダ工程の問題点については、詳しくは以下である。
第2の技術を用いてPDPにP層を形成するには、P粉体含有材料(樹脂含有のP粉体ペースト)を対象面に面状に形成(成膜)した後に、有機化合物(溶剤)成分を除去する必要がある。この溶剤除去工程では、当該ペーストを加熱することにより、当該溶剤成分をガス化(蒸発)させて系外に排出する方法(蒸散)が用いられる。当該ペーストのうち、P粉体及び樹脂を分散させる溶媒として用いられる溶剤は、比較的蒸散させ易く、例えば150℃程度に加熱することにより蒸散する(乾燥工程と呼ばれる)。
ところが、樹脂含有のペーストを用いる場合、バインダとして用いられる樹脂は、溶剤と比較して蒸散し難く、当該ペーストを例えば350℃以上に加熱しても、加熱後の物質中にバインダの残渣が残る場合がある。残渣が残ると、P層の特性(プライミング粒子放出の性能など)に悪影響を与える可能性がある。この悪影響を防止するために、ペースト中のバインダ成分を完全に取り除く工程(脱バインダ工程と呼ばれる)が必要となる。ペーストに所定の粘度を付与するための樹脂(ポリマ)としては、エチルセルロースやアクリル系樹脂などが用いられる。
ここで、前述の通りバインダとなる樹脂は蒸散し難いため、脱バインダ工程では、当該ペーストを例えば450℃程度まで加熱し、数十分から数時間程度保持する必要がある(焼成工程と呼ばれる)。しかしながら、この脱バインダ工程(焼成工程)による処理の方法では、処理温度が高いため、加工に要するエネルギー消費量が多い。また、加熱に要する時間あるいは高温で保持する時間が長いため、製造効率が悪い。
<概要>
以上を踏まえ、図1〜図6を用いて、本発明の一実施の形態のP粉体ペースト及びPDP製造方法(P層形成方法)等について説明する。本実施の形態の概要構成は以下である。本P粉体含有材料(P粉体ペースト1)は、P粉体2であるMgO結晶体(粉末)と、高粘度溶剤3(イソボルニルシクロヘキサノール)と、希釈溶剤4(テレピオネール、IPA等)とを混合してなる。本P粉体ペースト1の特性は、25℃での粘度が25,000±10,000mPa・s(15,000〜3,5000mPa・s)である。本PDP10におけるP層7は、上記ペースト1を使用して、印刷やコーティング、ディスペンサ等の方法により、対象面である前面基板構造体の保護層18表面に対し、全面もしくは一部に、塗布により形成される。そして、塗布されたペースト1に対する乾燥工程(溶剤除去工程)により、P層7として完成される。
<プライミング粒子放出粉体ペースト及びその製造方法>
図1を用いて、本実施の形態のP粉体ペースト1の構成(組成)及び製造フローの一例等について説明する。本P粉体ペースト1は、P粉体2(MgO結晶体)と、第1有機化合物である高粘度溶剤3(イソボルニルシクロヘキサノール)と、第2有機化合物である粘度調整用の希釈溶剤4(テレピオネール、IPA等)と、を有してなる。ペースト1における組成比は、例えば、P粉体2(MgO結晶体)が10wt%以下で、高粘度溶剤3などの溶剤が90wt%以上である。
本製造フローの概略は以下である。(S1)P粉体2を準備する。P粉体2は、溶剤に分散させやすいように、粉末状として用意する。
(S2)希釈溶剤4を用意し、P粉体2を、希釈溶剤4中に分散させる。分散方法としては、例えば、ナノマイザー、ジェットミルを用いることができる。これにより、希釈溶剤4中に少なくともP粉体2が分散されてなるスラリー5が得られる。
(S3)高粘度溶剤3を用意し、高粘度溶剤3を加温することで低粘度(ほぼ液状)の状態にする。スラリー5とその高粘度溶剤3とを均一に混合する。混合した液(組成物)を冷却(例えば25℃)することにより、高粘度の状態にされたP粉体ペースト1が得られる。
上記により、P粉体ペースト1の特性として、例えば、25℃での粘度が15,000〜35,000mPa・s程度の特性を得る。
<ペーストの構成材料>
以下、本P粉体ペースト1の構成材料や各工程などを詳しく説明する。P粉体2としては、MgO結晶体(MgO結晶粉体(粉末))を用いる。P粉体2の種類は、目的とする所定の機能に応じたものであり、特にMgO結晶体に限定されない。P粉体2は、例えば、金属酸化物の粉体、あるいは、これに更にハロゲン元素(例えばフッ素(F))が添加されたもの、等を用いることができる。P粉体(MgO結晶体)2は、粒径がある程度均一のものや、粒径がある程度以上大きいもの、を用いることが好ましい。
希釈溶剤4は、本ペースト1の粘度を調整するために用いられ、高粘度溶剤3よりも25℃での粘度が低い材料を用いることが好ましい。また、高粘度溶剤3及び希釈溶剤4は、ポリマ(重合体、高分子有機化合物)を含有しない。
希釈溶剤4の材料としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、テトラヒドロフラン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル化合物、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、フタル酸ジオクチル等のエステル化合物、イソプロピルアルコール、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアルコール、テルピネオール、2−フェノキシエタノール等のアルコール化合物等を挙げることができる。
高粘度溶剤3は、本ペースト1に所定の粘度を付与するために混合される溶剤である。高粘度溶剤3は、25℃で液体である。本ペースト1の粘度は、主にこの高粘度溶剤3と希釈溶剤4の配合割合により規定される。高粘度溶剤3を用いることにより、本ペースト1は、従来のペーストにおいてバインダとして用いられる樹脂を含まずに、所定の粘度特性を得ることができる。
本P粉体ペースト1の所定の粘度特性とは、本ペースト1を加工に供する(本例では、対象面に塗布する)際に必要な粘度特性であり、その加工の方法・手段に応じて、値は異なる(詳しくは後述する)。
高粘度溶剤3は、ペースト1の増粘剤として機能するので、ペースト1を加工に供する際の温度(例えば25℃)における高粘度溶剤3の粘度が低すぎる場合、本ペースト1が所定の粘度を得られなくなる。
本発明者が検討した結果、高粘度溶剤3の粘度特性として、25℃での粘度が、10,000〜1,000,000mPa・sの範囲内のものを用いることが好ましい。ポリマ(樹脂)を含まない有機化合物で上記粘度特性を有する材料は殆ど知られていないが、本発明者が調査した所、高粘度溶剤3として以下の材料を適用できることが判った。すなわち、下記構造式(1)で示されるテルペン骨格を有する有機化合物(イソボルニルシクロヘキサノール)を用いることができる。
Figure 0005163651
上記構造式(1)で示される有機化合物(イソボルニルシクロヘキサノール)は、ポリマではないが、25℃で336,000mPa・s(もしくは322,000mPa・s)、30℃で65,500mPa・sの粘度を有しており、上記10,000〜1,000,000mPa・sの粘度特性の範囲に含まれる。また、上記有機化合物(第1有機化合物)は、他に以下の物性的特徴を有している。
<高粘度溶剤>
図2を用いて、高粘度溶剤3として用いる上記第1有機化合物の物性的特徴について説明する。図2は、本実施の形態のペースト1に用いる、高粘度溶剤3の粘度と、蒸発量の温度依存性を示している。図2において、横軸は、高粘度溶剤3の温度(℃)を、第1縦軸(図2中左側の縦軸)(実線)は、高粘度溶剤3の粘度を、第2縦軸(図2中右側の縦軸)(破線)は、高粘度溶剤3の蒸発量を示している。
このように、高粘度溶剤3を25℃から加温すると、粘度は急激に低くなり、40℃まで加温すると、25℃での粘度の1/10以下となる。また、粘度の温度曲線は、約40℃付近に変位点を有しており、高粘度溶剤3を40℃以上に加温しても粘度は大きくは低下しない。一方、蒸発量については、高粘度溶剤3を70℃程度まで加温しても殆ど上昇しないが、この温度曲線は、約70℃を超えた地点に変位点を有しており、70℃を超えると蒸発量が増加する。
本実施の形態では、高粘度溶剤3の上記特性を利用して、図1に示すスラリー5と高粘度溶剤3とを混合する前に、高粘度溶剤3を40℃〜70℃の範囲で加温する。これにより、高粘度溶剤3の蒸発を抑制しつつ、粘度を低下させることができるので、極めて簡易的な混合装置で容易にスラリー5と高粘度溶剤3とを均一に混合することができる。すなわち、P粉体ペースト1の製造効率を向上させることが可能となる。混合装置としては、例えばホモミクサなどの攪拌混合装置を用いることができる。
<ペーストの実施例>
以上に従い、本実施の形態では、P粉体ペースト1の実施例として以下を作製した。P粉体ペースト1に対する重量割合(wt%)を、高粘度溶剤3が48wt%、希釈溶剤4が30wt%、P粉体2(MgO結晶体)が2wt%とした。このP粉体ペースト1全体としての粘度は、25℃で12,000mPa・s程度であった。
<他の製造方法>
なお、本実施の形態では、P粉体ペースト1の製造方法として、希釈溶剤4中にP粉体2(粉末)を分散させてスラリー5を作製し、それと高粘度溶剤3とを混合してペースト1を作製する方法を用いているが、これに限らず、例えば工程の順番を変えた方法などを用いることもできる。
<PDP(基本構造)>
次に、図3を用いて、本実施の形態のP粉体ペースト1の適用例であるPDP10の基本的な構造の一例について説明する。図3において、本PDP10の要部(画素に対応する一部)を拡大して分解構成を示している。なお、説明のために、x方向(第1方向、横(表示ライン)方向)、y方向(第2方向、縦(表示列)方向)、z方向(第3方向、パネル面垂直方向)を有する。
PDP10は、前面基板構造体(第1構造体)11と背面基板構造体(第2構造体)12とを有している。第1構造体11と第2構造体12は、対向した状態で組み合わされる。
第1構造体11は、PDP10の表示面を有し、表示面側には、主にガラスで構成される前面ガラス基板(第1基板)13を有している。前面ガラス基板13の表示面と反対側の面には、維持放電などを行うために用いる電極(表示電極)である、複数のX電極(維持電極)14及びY電極(走査電極)15が、x方向に伸びて、y方向に繰り返し形成されている。
X電極14及びY電極15は、PDP10の表示面側に形成される。このため、X電極14及びY電極15は、例えば、それぞれ、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明な電極材料で構成される透明電極(X透明電極14a,Y透明電極15a)と、各透明電極に電気的に接続されるバス電極(Xバス電極14b,Yバス電極15b)と、により構成されている。
バス電極(14b,15b)は、表示電極(X電極14,Y電極15)の電気抵抗を低減するために形成され、透明電極(14a,15a)よりも電気抵抗の低い材料、例えばCuやAgなどにより、直線状に形成され、駆動回路と接続される。
透明電極(14a,15a)の形状は、例えば図3では、バス電極(14b,15b)幅よりも広く、x方向に延びる帯形状である。あるいは、当該形状は、維持放電の放電効率向上などを目的として、放電空間(表示セル)の位置に対応して局所的にX電極14及びY電極15の間隔距離を近付けて面放電ギャップを形成する形状など、各種形状が可能である。
また、表示電極(X電極14,Y電極15)は、x方向と交差するy方向に所定間隔で配置されている。また、隣り合うX電極14とY電極15との対により表示ラインが構成できるように、例えばX電極14とY電極15が交互に配置されている。
これらの電極群(X電極14,Y電極15)は、誘電体層(前面誘電体層)17により被覆されている。また、誘電体層17の表面には、MgOなどの酸化金属で構成される保護層(保護膜)18が形成されている。保護層18は、誘電体層17の表面(放電空間に向く側)を覆うように形成されている。
一方、第2構造体12において、主にガラスで構成される背面ガラス基板(第2基板)19を有し、第2基板19上には、複数のアドレス電極(第2電極)20が、y方向に伸びて、x方向の所定配置間隔で、形成されている。
また、アドレス電極20は、誘電体層(背面誘電体層)21により被覆されている。誘電体層21上には、z方向の厚さを持つ複数の隔壁22が形成されている。隔壁22は、表示セル構造に対応して、基板間領域(放電空間)を区画する。例えば、図3のようにストライプ状の隔壁22の構造の場合、隔壁22は、アドレス電極20間に沿ったy方向に伸びて、x方向の所定配置間隔で、ストライプ状に形成されている。また、例えばボックス状(マトリクス状)の隔壁22の構造の場合、隔壁22は、x方向に伸びる壁部分とy方向に伸びる壁部分とを含んで、ボックス状に形成されている。
また、隔壁22間において、即ち、アドレス電極20上の誘電体層21上面及び隔壁22側面などには、真空紫外線により励起されて赤(R),緑(G),青(B)の各色の可視光を発生する蛍光体23が、所定の位置に繰り返し形成されている。
PDP10において、一対のX電極14とY電極15とアドレス電極20との交差に対応して表示セルが構成される。各表示セルには、R用の蛍光体23、G用の蛍光体23、またはB用の蛍光体23のいずれかが、表示列ごとに色分けされて、それぞれ形成されている。これらのR,G,Bの表示セルのセットにより画素が構成される。
更に、本実施の形態のPDP10では、後述するように、第1構造体11側で、保護層18表面に、放電空間に露出して、プライミング粒子放出層(P層)7が形成される構成である。
上記構造を有する第1構造体11と第2構造体12は、対向した状態で組み合わされて固定される。これにより、前面側の保護層18(P層7)と背面側の誘電体層22との間、隔壁22等で区画された領域、すなわち放電空間24が形成される。この基板間領域(放電空間24の領域)のz方向の距離は、隔壁22の高さで規定される。なお、実際には、ガラス基板の厚さに比べて基板間領域の厚さはかなり小さい。
PDP10の周囲部は、例えばフリットと呼ばれる低融点ガラス材料などの封着剤により封着される。そして、放電空間24に対し、排気後、放電ガスと呼ばれるガス(例えばNeとXeの混合ガス)が所定の圧力で封入される。以上に限らず、PDP10は、要求性能や駆動方式などに応じて各種構造が存在する。
<プライミング粒子放出層を有するPDP>
次に、図4を用いて、PDP10におけるP層7を含む前面基板構造体11の断面構成例について説明する。本実施の形態では、P層7は、PDP10を構成する前面基板構造体11における、放電空間24に露出する保護層18の表面の全面に対し形成される。
図4において、表示セルに対応する単位領域90を含む全面にP層7を有する前面基板構造体11の構成例について示している。前面基板構造体11において、前面ガラス基板13上(非表示面側)に、透明電極(14a,15a)が形成され、その上にバス電極(14b,15b)が積層される。透明電極(14a,15a)は、バス電極(14b,15b)と重なる部分と、そこから表示セル及び表示ライン対応の単位領域90の内側へ張り出す部分(面放電ギャップを形成する部分)とを有する。前面ガラス基板13上、透明電極(14a,15a)及びバス電極(14b,15b)は、誘電体層17により覆われる。更に誘電体層17上(放電空間24に向く側)に、MgO等による保護層18が形成される。保護層18は、PDP10の表示領域(40)に対応する全面に形成される。そして、保護層18の表面を対象面として、その全面(全領域)に、P層7が形成される。P層7では、P粉体2が疎または密に分布している。
<プライミング粒子放出層の機能>
P層7(P粉体2)の機能やプライミング粒子放出メカニズム等は、詳細は省略するが、概略的には以下である。放電空間24での放電に伴い、放電空間24からP層7(P粉体2)へプライミング粒子放出のためのソースが供給され、それにP層7のP粉体2(MgO結晶体)が反応して、特定波長域(230〜250nm)にピークを有する発光(CL発光)が起きる。これにより、P層7のP粉体2から放電空間24の方向へ、プライミング粒子が放出される。プライミング粒子の供給により、放電遅れの改善効果等が得られる。
<プライミング粒子放出層を有するPDPの製造方法>
次に、図5を用いて、P層7を有するPDP10(前面基板構造体11)の製造方法の例について説明する。P層7の形成方法は、従来技術では、前述した第1の技術(スラリーの噴霧による方法)、第2の技術(ペーストの塗布による方法)があるが、本実施の形態では、前記第2の技術に準じてそれを改良した方法を用いる。即ち、前述した樹脂を含有しないP粉体ペースト1を、印刷やコーティング、ディスペンサ等の方法を用いて、対象面(保護層18)に塗布し、更に乾燥させることで、P層7を形成する。樹脂を含有しないので、脱バインダ工程は不要である。
図5において、図4に対応した前面基板構造体11の製造フローとして、前面ガラス基板13上に、表示電極(X電極14、Y電極15)、誘電体層17、保護層18、P層7の順に積層する構成の場合を示している。前面基板構造体11の(1)〜(4)の工程は、従来技術を同様に用いることができる。なお、背面基板構造体12の製造、及びPDP10全体の組み立てなどは、従来技術同様に可能である。
(1)まず、前面ガラス基板13を準備する。
(2)前面ガラス基板13上に、表示電極(X電極14、Y電極15)群を形成する。例えば、透明電極パターンを、ITOを用いて、フォトリソ法等とエッチング等のプロセスにより加工することで形成する。また、透明電極パターン(一部)の上に、バス電極パターンを、例えばCu,Cr等の金属導体ペーストを用いて、スクリーン印刷やフォトリソ法等により形成する。更にこれらのパターンを焼成等することで固着される。
(3)前面ガラス基板13上、表示電極(X電極14、Y電極15)群を被覆して、全面にわたって、誘電体層17を形成する。誘電体層17は、例えば、低融点ガラスペーストを、スクリーン印刷法などにより塗布し、焼成することにより形成される。
(4)誘電体層17上に、保護層18を形成する。誘電体層17及び保護層18が形成される面領域は、PDP10の表示領域(40)に対応した全面である。保護層18は、例えば、MgO等から成り、誘電体層17の表面に対し、当該材料を、電子ビーム蒸着法などの蒸着法により成膜することで形成される。あるいは、スパッタ法や、塗布等の方法(MgOペーストを印刷などにより塗布する方法)を用いて形成されてもよい。
(5)次に、保護層18の表面に対して、P層7を形成する。これにより前面基板構造体11が構成される。P層7の形成は、以下のような工程を有する。
(5−1)P粉体ペースト1を準備する。例えば、前述(図1等)したようにP粉体ペースト1を作製する。
(5−2)次に、P粉体ペースト1の塗布工程を行う。P粉体ペースト1を、印刷、コーティング、ディスペンサ等のうちの所定の方法を用いて、対象面(保護層18表面)に、できるだけ均一な厚さになるように面状に塗布する。また特に、対象面に対し、全面ベタでP層7(ペースト1)を塗布してもよいし、あるいは、所定のパターン形状になるように形成してもよい(後述)。パターニングを行う場合は、例えば、スクリーン印刷、ディスペンサ、インクジェット、バブルジェット(登録商標)等の方法を使用する。
(5−3)次に、P粉体ペースト1の乾燥工程(溶剤成分除去工程)を行う。対象面(保護層18表面)上に塗布形成されているP粉体ペースト1を乾燥させることで、溶剤成分を除去して、P粉体2を固着させる。これによりP層7として完成する。本乾燥工程では、例えば、加熱による蒸散(例えばドライエアの吹き付け等の処理方法)により、溶剤(高粘度溶剤3、希釈溶剤4)成分を蒸散させる。本乾燥工程では、例えば、上限200℃以下の所定温度、例えば150℃、に加熱して、所定時間、例えば30〜60分間、保持することによる。なお、上記のような塗布工程や乾燥工程を必要に応じて繰り返すことでP層7を形成してもよい。基本的なフローは以上である。
<プライミング粒子放出層の領域形成例>
図6を用いて、PDP10の表示領域40の平面に対するP層7の領域形成の構成例について説明する。図6において、PDP10の一構成例において、映像が表示される表示領域40(画面)を正面から見て、そのうちの画素に対応付けられる部分を拡大して示している。この部分は、R,G,Bの各色の表示セル(Cr,Cg,Cb)のセットを有する。
本例で、表示ラインを構成する表示電極対(X電極14、Y電極15)において、x方向の直線状のバス電極(14b,15b)に対し、透明電極(14a,15a)は、バス電極(14b,15b)同様の直線状の部分と、そこから表示セル単位で表示セル内側方向へT字形状に張り出す部分と、を有する。隣接する透明電極(14a,15a)の張り出し部分の対により、その間に、放電ギャップ(cで示す部分)が構成されている。y方向には、ストライプ状の隔壁22とアドレス電極22とを有する。cで示す放電ギャップでは、X電極14とY電極15との間での電圧印加により、面放電すなわち維持放電(表示放電)が発生する。
PDP10の表示領域40に対応した対象面に対するP層7の領域形成例として、まず、従来同様に全面ベタで形成する構成とすることができる(前記図4)。
また、表示領域40に対応した対象面に対するP層7の領域形成例として、一部領域に局所的に形成する構成(あるいは逆に一部領域に形成しない構成)とすることができる。P粉体2の形成の面積や量が、全面ベタの場合よりも少ない構成である。本P粉体ペースト1を用いて前述した所望の粘度特性を容易に得られるので、対象面にP層7(P粉体2)を所望の形状(詳細なパターニング)で形成可能となる。特に、各表示セル(Cr,Cg,Cb)に対応する面領域毎に、その面領域内で一部領域のみにP粉体2領域を形成する構成(あるいは逆に一部領域に形成しない構成)が可能である。なお、P層7(領域)を、各表示セルで同じ位置に形成することで、表示領域40全体で見て一様なパターンや模様になるように構成する。これにより、視覚的特性上でも問題無いようにする。
表示セルパターン(電極や隔壁などによる所定形状の構造)に対応した、P層7の所定パターン形状での領域形成例として以下がある。一例として、x方向またはy方向などにライン状(ストライプ状)にP層7の領域を形成する構成とする。このためのペースト1の塗布の方法としては、例えば印刷法(スクリーン印刷法等)、コーティング法(スロットコート法等)などを用いることができる。例えば、aで示すように、表示電極(X電極14、Y電極15)と重なる領域に形成する構成とする。例えば、バス電極または透明電極と重なる領域に形成する構成とする。また例えば、非表示ライン領域(表示ライン領域となる表示電極対の逆側の領域(逆スリット))に形成する構成なども可能である。また、x方向、y方向の両方のラインを含むマトリクス状に形成する構成なども可能である。
一例として、各表示セル対応領域のうち、bのような同じ位置の一部領域(例えば透明電極15a上)に、例えば島状に分離してP層7(領域)を形成する構成とする。このためのペースト1の塗布の方法としては、例えばディスペンサ、インクジェット等を用いることができる。表示領域40全体で見て点状パターンになる構成である。
一例として、各表示セル対応領域のうち、cのような放電ギャップの領域(あるいは更に透明電極の張り出し部)を除く部分にP層7(領域)を形成する構成とする。cのような放電ギャップの領域(放電発生部分)にP層7を形成しないことで、放電時の発光などの特性を改善する(保護層18のスパッタ量を抑制することができ、電圧・輝度の特性変動を抑える)。
なお、従来技術において、PDPの表示領域に対応する保護層等の対象面に対して、P層(領域)を、全面ではなく一部に(表示セル毎の所定のパターン形状等)で、精度良く確実に形成するための詳細な技術については、十分考慮されてはいない。一方、本実施の形態では、前述の所定の粘度特性のペースト1を用いることで、精度良く詳細なパターニングが可能である。
<比較及び効果など>
従来技術と比較して本実施の形態の効果などを説明する。本方法では、スラリーの噴霧等による従来方法(第1の技術)ではなく、各種の印刷等の方法によるP層7(P粉体2)の塗布形成を、従来のような問題無しで実現可能になる。よって、不必要な部分へのP粉体含有材料の付着が避けられ、必要な部分のみへのP粉体2(P層7)の形成を行うことができる。また、対象面に対して、P層7(領域)の局所的形成(詳細形状でのパターニング等)が実現可能になる。
上記により、P粉体2(P粉体含有材料)の使用効率を向上でき(使用量を低減でき)、コスト低減できる。また、P層7(領域)の形成の自由度の向上などを実現できる。また、P層7の形状に応じた所定機能やコスト低減が実現できる。また上記局所的形成とした場合、その分、P粉体2の形成量が低減されるので、保護層18へのダメージの低減(必要印加電圧の低下、輝度増加)が実現できる。
また、本方法では、P粉体ペースト1が樹脂を含有しないので、ペーストの塗布による従来方法(第2の技術)で必要とする脱バインダ工程(焼成工程など)が不要化できる。これにより、脱バインダ工程を起因とする製造効率や信頼性の低下の防止が実現できる。即ち、プロセス時間の短縮による効率化、脱ガスや残渣の発生の防止によるパネル信頼性向上などが実現できる。
また、本方法では、高粘度溶剤3を用いることで、容易にペースト化(スラリー5とペースト1との状態遷移)することが可能になる。これにより、製造時の容易さ、扱いやすさ等の利点がある。高粘度溶剤3の粘度が加温により大きく低下するため、ペースト作製時の混練が容易である(樹脂であれば溶解させるのにかなりの時間を要する。また分子量の制御が必要となり、使用可能な樹脂を選別する必要がある)。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
本発明は、PDP等の表示デバイスに利用可能である。

Claims (4)

  1. 下記構造式(1)で示されるテルペン骨格を有する第1有機化合物と、
    前記第1有機化合物中に分散される、プライミング粒子放出粉体と、を有し、
    前記第1有機化合物は、
    5℃での粘度が10,000〜1,000,000mPa・sであること、を特徴とするプライミング粒子放出粉体ペースト。
    Figure 0005163651
  2. 請求項1記載のプライミング粒子放出粉体ペーストにおいて、
    前記プライミング粒子放出粉体は、酸化マグネシウム(MgO)結晶体であること、を特徴とするプライミング粒子放出粉体ペースト。
  3. 請求項1記載のプライミング粒子放出粉体ペーストにおいて、
    前記第1有機化合物よりも25°Cでの粘度が低い第2有機化合物を有していること、を特徴とするプライミング粒子放出粉体ペースト。
  4. 請求項1記載のプライミング粒子放出粉体ペーストにおいて、
    前記プライミング粒子放出粉体ペーストは、プラズマディスプレイパネルの基板構造体における誘電体層もしくはその上の保護層の面に対する、放電空間に露出するプライミング粒子放出粉体層の形成に用いられること、を特徴とするプライミング粒子放出粉体ペースト。
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