JP5163451B2 - 鋼材の設計方法 - Google Patents
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W.C.Leslie:「レスリー鉄鋼材料化学」、丸善株式会社(1985)P213
1) 他の一以上の試験材で同様にして得られた析出物等の組成、析出物等のサイズおよび着目元素の固溶量のうちの相当する結果、
2) 試験材の所望の特性の測定値の結果、
3) 前記鋼材の所望の特性の目標値。
先ず、本発明者らが開発した、高精度に析出物等の組成、サイズおよび着目元素の固溶量を分析する方法について説明する。
図3に示した従来の設計方法では、多数の製造条件を組み合わせた実験と評価を繰り返す必要があった。一方、図4に示すように、本発明である鋼材の設計方法では、成分および各工程における製造条件が分析結果に基づいて最適化できるため、製造条件の確定を非常に効率的に行えることがわかる。例えば、強度780MPa以上の鋼板を開発する際に、強度不足が発生した場合、従来の設計方法では、析出強化元素の含有量が不足しているのか、各工程における製造条件が不適切なため析出物等の析出量が不足しているのか、あるいは析出物等が粗大化しているかの判別を行うことが非常に困難であった。このため、経験に頼って析出強化元素の含有量を増加したり、製造条件を種々変更する実験を行って原因を特定する必要があった。しかしながら、本発明の鋼材の設計方法を用いれば、最終製品における析出強化元素のサイズ別析出物等中の含有量および固溶量を分析することにより、強度不足の原因が特定できる。すなわち、鋼材に含まれている析出強化元素の大半が微細な析出物等として析出しているにも関わらず、強度不足が生じているのであれば、析出強化元素の含有量不足が強度低下の主原因であり、サイズが100nm以上の粗大な析出物等中の析出強化元素の含有量が多いのであれば、スラブ加熱温度の低下が強度不足の主原因であり、サイズが20nm以上から100nm未満程度の析出物等中の析出強化元素の含有量が多いあるいは析出強化元素の固溶量が多い場合は、熱間圧延および/またはその後の制御冷却条件が不適切であることが強度不足の主原因であることが直ちにわかり、成分および/または製造条件の修正が直ちに行える。逆に、本発明の鋼材の設計方法により強度過剰を是正し、含有元素の削減を図ることも可能である。すなわち、最終製品における析出強化元素のサイズ別析出物等中の含有量および固溶量を分析し、強度過剰の原因が析出物等の析出量過多であることがわかれば、直ちに添加元素量の削減を図ることが可能となる。
1) スラブ加熱温度および巻取温度の絞込み
析出物等の形成元素が固溶する温度を決めるため、上記鋼片を、1150、1200、1250、1300℃の4水準の加熱温度で加熱後、8パスの熱間圧延により仕上温度900℃で板厚3mmの熱延板とした。その後、平均冷却速度70〜80℃/sで冷却し、550、600℃の2水準の巻取温度で1時間保持の巻取り処理後、室温まで炉冷した。巻取り処理後の熱延板を酸洗した後、JIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241 に従い引張試験を行い、引張強度(TS)を調査した。また、熱延板中の析出物等中のTi含有量を、従来法により、すなわち10%AA系電解液(10%アセチルアセトン-1%塩化テトラメチルアンモニウム-メタノール)でサンプルを電解処理したのち抽出残渣をフィルタ孔径0.2μmのフィルタでろ過捕集して、定量分析する方法により求めた。Ti含有量の単位は質量ppmで、試験片の全成分の合計が100質量%となる。
巻取り時の析出物等の析出状態の適正化を図るために、鋼片を、1250℃に加熱後、従来例1と同様な熱間圧延を行い、600、650、700℃の3水準の巻取温度で1時間保持の巻取り処理後、室温まで炉冷した。その後、従来例1と同様に、TSおよび析出物等を調査した。
1) スラブ加熱温度の決定
上記鋼片から一辺約30mmの直方体の試料を切り出し、1150、1200、1250、1300℃に1時間加熱後、直ちに水冷し、本発明者らが開発した上記分析方法により固溶Ti量を求めた。具体的には、水冷後の試料の中心部近辺から適当な大きさの試験片を切り出し、10%AA系電解液中で電流密度20mA/cm2で約0.2gだけ定電流電解後、表面に析出物が付着している試験片を電解液から取り出した後の電解液中のTi量を求めた。Ti量の単位は質量ppmで、試験片の全成分の合計が100質量%となる。
上記した試料を、1250℃に加熱後、550℃〜700℃で1時間保持し、水冷した。その後、中心部付近から試験片を切り出し、本発明者らが開発した上記分析方法により析出強化に寄与するサイズ20nm未満の析出物等中のTi含有量を分析した。具体的には、上記電解液から取り出した試験片を、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液(500mg/l)(以下、SHMP水溶液とよぶ)中に浸漬し、超音波振動を付与して、析出物等を試験片から剥離しSHMP水溶液中に分離した後、析出物等を含むSHMP水溶液を、フィルタ孔径20nmのフィルタを用いてろ過し、ろ過後のろ液に対してICP発光分光分析装置を用いて分析し、ろ液中のTiの絶対量を測定し、Tiの絶対量を電解重量で除して、サイズ20nm未満の析出物等中のTi含有量を求めた。なお、電解重量は、析出物等剥離後の試験片に対して重量を測定し、電解前の試験片重量から差し引くことで求めた。Ti含有量の単位は質量ppmで、試験片の全成分の合計が100質量%となる。
目標TS780〜820MPa、目標穴広げ率40%以上の高強度熱延鋼板の設計方法を例に取り、以下の実験を行った。
Claims (2)
- 素材の鋼片から複数の工程を経て製造される鋼材の製造条件を確定するに際し、
前記複数の工程のうち少なくとも一つの工程から、試験材をサンプリングするサンプリングステップと、
前記サンプリングされた試験材中の析出物および/または介在物(以下、析出物等という)の組成、前記析出物等のサイズおよび着目元素の固溶量を分析する分析ステップと、を有し、
前記分析ステップでは、前記サンプリングされた試験材を有機溶媒系の電解液中で電解後に、分散性を有する溶液に浸漬して超音波を付与することにより前記試験材に付着している析出物等を前記分散性を有する溶液に分離後、該分散性を有する溶液を、一定の開口形状で貫通しているフィルタ孔を有し、かつ空隙率が4%以上のフィルタにより二段以上ろ過することにより、前記析出物等をサイズ別に分別して、前記析出物等の組成および/またはサイズを分析し、
前記分析された析出物等の組成、析出物等のサイズおよび着目元素の固溶量のうち少なくとも一つの結果と、次の1)から3)に記載の少なくとも一つの事項とを対比することにより、製造条件を確定することを特徴とする鋼材の設計方法;
1) 他の一以上の試験材で同様にして得られた析出物等の組成、析出物等のサイズおよび着目元素の固溶量のうちの相当する結果、
2) 試験材の所望の特性の測定値の結果、
3) 前記鋼材の所望の特性の目標値。 - 分析ステップでは、さらに、試験材を電解した後の有機溶媒系の電解液を分析し、前記電解液中の着目元素の濃度と鉄の濃度との比を求め、求められた比に前記試験材の鉄の含有量を乗じることで、着目元素の固溶量を分析することを特徴とする請求項1に記載の鋼材の設計方法。
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