JP2011122188A - 伸びおよび伸びフランジ特性に優れた引張強度が780MPa以上の高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

伸びおよび伸びフランジ特性に優れた引張強度が780MPa以上の高強度熱延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安価に、かつ安定して780MPa以上のTSが得られる伸び特性や伸びフランジ特性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.06〜0.15%、Si:1.2%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.03〜0.15%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、組織全体に占めるベイナイト相およびベイニティックフェライト相の合計の体積率が50%以上で、ベイナイト相およびベイニティックフェライト相とポリゴナルフェライト相の合計の体積率が95%以上であるミクロ組織を有し、平均直径20nm未満の析出物中のTi含有量の合計が、鋼中に析出している全ての析出物中のTi含有量の合計の50%以上であることを特徴とする引張強度が780MPa以上の高強度熱延鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車の構造部品に適した高強度熱延鋼板、特に、伸びおよび伸びフランジ特性に優れた引張強度TSが780MPa以上の高強度熱延鋼板およびその製造方法に関する。
近年、環境問題に対する関心が高まるなか、自動車用鋼板には、軽量化による燃費向上を目的に一層の高強度-薄肉化が要求されている。現在では、自動車のピラーやメンバーなどの構造部品に主として440MPa級や590MPa級のTSを有する高強度熱延鋼板が使用されるようになっているが、近い将来、780MPa以上のTSを有する高強度熱延鋼板の実用化が予測されている。
そのため、780MPa以上のTSを有する高強度熱延鋼板を対象とした研究開発が活発に行われており、高強度化にともなって劣化する加工性の向上、なかでも伸びおよび伸びフランジ特性の向上を図った種々の高強度熱延鋼板が提案されている。
例えば、特許文献1には、ベイナイト相を体積率で5〜70%含み、残部が実質的にフェライト相からなる複合組織を有し、フェライト相中に以下の(1)式を満たす範囲でTiおよびMoを含む析出物が分散析出していることを特徴とするTSが690MPa以上の加工性(伸びおよび伸びフランジ特性)に優れた高強度熱延鋼板が開示されている。
(Mo/96)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≧0.25・・・(1)
ただし、(1)式中のTi、Moは析出物中の各成分の重量%を表す。
また、特許文献2には、質量%で、C:0.04〜0.15%、Si:1.5%以下、Mn:0.5〜1.6%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.04%以下、Ti:0.03〜0.15%、およびMo:0.03〜0.5%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、析出物の存在するフェライト相と、ベイナイト相および/またはマルテンサイト相からなる第二相と、前記フェライト相および第二相以外のその他の相と、からなる組織を有し、かつ前記析出物の存在するフェライト相の割合が40〜95%、前記その他の相の割合が5%以下である高強度熱延鋼板が開示されている。
さらに、特許文献3には、質量%で、C:0.06〜0.15%、Si:1.2%以下、Mn:0.5〜1.6%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.03〜0.20%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、体積占有率で50〜90%がフェライト相で、かつ残部が実質的にベイナイト相であって、フェライト相とベイナイト相の体積占有率の合計が95%以上であり、フェライト相中にはTiを含む析出物が析出し、該析出物の平均直径が20nm以下である組織を有し、かつ、鋼中のTi量の80%以上が析出していることを特徴とする伸び特性、伸びフランジ特性および引張疲労特性に優れたTSが780MPa以上の高強度熱延鋼板が開示されている。
特開2003-321739号公報 特開2004-339606号公報 特開2007-9322号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の高強度熱延鋼板には、次のような問題がある。すなわち、特許文献1、2に記載の高強度熱延鋼板は、Moを使用しているためコスト高であり、特許文献1〜3に記載の高強度熱延鋼板では、安定して780MPa以上のTSを確保することができない場合がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、安価に、かつ安定して780MPa以上のTSが得られる伸びおよび伸びフランジ特性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、安価に、かつ安定して780MPa以上のTSが得られる伸びおよび伸びフランジ特性に優れた高強度熱延鋼板について検討を重ねた結果、以下のことを見出した。
すなわち、Moを使用せず、ベイナイト相とベイニティックフェライト相を主体とし、20nm未満のサイズのTiを含む析出物を析出させたポリゴナルフェライト相を実質的な残部としたミクロ組織を形成させることにより、安定して780MPa以上のTSを確保できるとともに、優れた伸びおよび伸びフランジ特性が得られる。
本発明は、このような知見に基づいてなされたもので、質量%で、C:0.06〜0.15%、Si:1.2%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.03〜0.15%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、組織全体に占めるベイナイト相およびベイニティックフェライト相の合計の体積率が50%以上で、ベイナイト相およびベイニティックフェライト相とポリゴナルフェライト相の合計の体積率が95%以上であるミクロ組織を有し、平均直径20nm未満の析出物中のTi含有量の合計が、鋼中に析出している全ての析出物中のTi含有量の合計の50%以上であることを特徴とする引張強度が780MPa以上の高強度熱延鋼板を提供する。
本発明の高強度熱延鋼板では、さらに、質量%で、V:0.005〜0.2%やB:0.0005〜0.002%やCa:0.0005〜0.005%を、個別にあるいは2以上の元素を同時に含有する成分組成とすることが好ましい。
本発明の高強度熱延鋼板は、上記の成分組成を有する鋼スラブを、1150〜1350℃の加熱温度で加熱し、850〜950℃の仕上温度で熱間圧延後、30℃/秒以上の平均冷却速度で550℃以上630℃未満の冷却停止温度まで一次冷却し、引き続き0.5〜10秒間空冷後、20℃/秒以上の平均冷却速度で二次冷却して、300〜500℃の巻取温度で巻取ることによって製造できる。
本発明により、安価に、かつ安定して780MPa以上のTSが得られる伸びおよび伸びフランジ特性に優れた高強度熱延鋼板が製造可能になった。本発明の高強度熱延鋼板を自動車のピラーやメンバーなどの構造部品に適用すれば、乗客の安全性を確保しながら薄肉化が可能となり、自動車の環境負荷が低減されることが期待される。
以下に、本発明の詳細について説明する。なお、各成分元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
1) 成分組成
C:0.06〜0.15%
Cは、硬質なベイナイト相やベイニティックフェライト相の形成を促進したり、ポリゴナルフェライト相中に微細なTiの炭化物(析出物)として析出し、高強度化に有効な元素である。780MPa以上のTSを得るためにはC量を0.06%以上とする必要がある。一方、C量が0.15%を超えると溶接性が低下する。したがって、C量は0.06〜0.15%、好ましくは0.07〜0.12%とする。
Si:1.2%以下
Siは、固溶強化に寄与する元素であるが、その量が1.2%を超えると表面性状が著しく劣化し、耐食性が低下する。したがって、Si量は1.2%以下、好ましくは0.9%以下とする。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは、高強度化に有効な元素であるが、その量が0.5%未満だと780MPa以上のTSが得られない。一方、Mn量が2.0%を超えると中心偏析が顕著になり、伸びフランジ特性などの加工性や溶接性が低下する。したがって、Mn量は0.5〜2.0%、好ましくは0.8〜1.8%とする。
P:0.04%以下
P量が0.04%を超えると粒界に偏析し、低温靱性や伸びフランジ特性などの加工性の低下を招く。したがって、P量は0.04%以下とするが、極力低減することが好ましい。
S:0.005%以下
Sは、MnやTiと硫化物を形成し、伸び特性などの加工性を低下させる。したがって、S量は0.005%以下とするが、極力低減することが好ましい。
Al:0.05%以下
Alは、鋼の脱酸剤として添加され、その清浄度を向上させるのに有効な元素であるので、0.001%以上含有されていることが好ましい。しかし、Al量が0.05%を超えると介在物が多量に生成し、表面疵の原因になる。したがって、Al量は0.05%以下、好ましくは0.01〜0.04%とする。
Ti:0.03〜0.15%
Tiは、ポリゴナルフェライト相中で主としてCと結合し微細な析出物を析出し、その高強度化に寄与する元素である。こうした効果を得るにはTi量を0.03%以上とする必要があるが、0.15%を超えるとその効果は飽和し、コストアップを招く。したがって、Ti量は0.03〜0.15%、好ましくは0.05〜0.12%とする。
残部はFeおよび不可避的不純物であるが、以下の理由により、V:0.005〜0.2%やB:0.0005〜0.002%やCa:0.0005〜0.005%を、個別にあるいは2種以上の元素を同時に含有させることが好ましい。
V:0.005〜0.2%
Vは、鋼を析出強化または固溶強化し、高強度化や疲労強度の向上に寄与する元素である。しかし、その量が0.005%未満だとその効果が乏しく、0.2%を超えるとその効果が飽和し、コストアップを招く。したがって、V量は0.005〜0.2%とすることが好ましい。
B:0.0005〜0.002%
Bは、オーステナイト粒界からのフェライト相の生成や成長を抑制する作用を有する元素であるので、必要に応じて含有させることができる。その効果を得るには、B量を0.0005%以上とすることが好ましい。一方、B量が0.002%を超えると伸び特性などの加工性が低下する。したがって、B量は0.0005〜0.002%とすることが好ましい。
Ca:0.0005〜0.005%
Caは、硫化物の形状を球状化し、伸びフランジ特性を改善するために有効な元素である。その効果を得るには、Ca量を0.0005%以上とすることが好ましい。一方、Ca量が0.005%を超えると介在物等の増加を招き、表面欠陥や内部欠陥の原因となる。したがって、Ca量は0.0005〜0.005%とすることが好ましい。
2) ミクロ組織
2-1) 組織全体に占めるベイナイト相およびベイニティックフェライト相の合計の体積率が50%以上、ベイナイト相およびベイニティックフェライト相とポリゴナルフェライト相の合計の体積率が95%以上
780MPa以上のTSと優れた伸びおよび伸びフランジ特性とを両立させるには、ベイナイト相およびベイニティックフェライト相を主体とする。すなわち、本発明では、フェライト相生成温度域より低い冷却停止温度で空冷することにより、比較的硬質なベイニティックフェライト相を生成させる。このようなベイニティックフェライト相を存在させることにより、従来、ベイナイト相とポリゴナルフェライト相との混合組織で問題となっていた、これら組織間の大きな硬度差が生じる界面を減少させ、伸びフランジ特性を大幅に改善できることになる。なお、ベイニティックフェライト相は粒内にラスが、ベイナイト相は粒内に炭化物が確認できるものであるが、本発明では、上記のようにベイニティックフェライト相を生成させるため、巻取りの段階で生成するベイナイト相と上記ベイニティックフェライト相の明確な識別が難しい。ただし、結晶粒の形状や炭化物の析出状態から、ベイニティックフェライト相あるいはベイナイト相であることは確認でき、その他の組織とは識別できる。このため、本願発明では、ベイナイト相およびベイニティックフェライト相の合計として、組織規定を行う。このとき、組織全体に占めるベイナイト相およびベイニティックフェライト相の合計の体積率が50%未満であると、780MPa以上のTSが得られない。このため、ベイナイト相およびベイニティックフェライト相の合計の体積率は50%以上とし、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上であり、100%であってもよい。残部組織を有する場合は、これを実質的にポリゴナルフェライト相とすることが好ましく、組織全体に占めるベイナイト相およびベイニティックフェライト相とポリゴナルフェライト相の合計の体積率を95%以上とする必要がある。ベイナイト相およびベイニティックフェライト相とポリゴナルフェライト相以外の組織、具体的には、パーライト相やマルテンサイト相などが合計で5%を超える程多くなると、伸びや伸びフランジ性を著しく損ねることとなるためである。
ここで、組織全体に占めるベイナイト相、ベイニティックフェライト相、ポリゴナルフェライト相の体積率は、走査型電子顕微鏡(SEM)用試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面を研磨後、3%ナイタール溶液で腐食し、倍率1000倍でSEM写真を3視野撮影し、ベイナイト相、ベイニティックフェライト相、ポリゴナルフェライト相を画像処理により抽出し、画像解析処理により各相の面積を測定し、観察視野の面積に占める割合(百分率)として求めた。なお、ベイナイト相およびベイニティックフェライト相は、粒の形状と炭化物の析出状態を観察し、粒内に炭化物が確認されたりラスが認められる組織をベイナイト相およびベイニティックフェライト相とした。
2-2) 平均直径20nm未満の析出物中のTi含有量の合計:鋼中に析出している全ての析出物中のTi含有量の合計の50%以上
上述したように、本発明においてはベイナイトおよびベイニティックフェライト以外の残部としては、ポリゴナルフェライトとすることが好ましいが、主体であるベイナイト相やベイニティックフェライト相との硬度差が大き過ぎると伸びフランジ特性の低下を招く。そこで、本発明では、ポリゴナルフェライト相が生成する場合でも、これをある程度硬質化するために、転位の移動を抑制して大きな析出強化能の期待できる平均直径20nm未満のTiを含む微細な析出物を、これら微細な析出物の全析出物中のTi含有量の合計が鋼中に析出している全ての析出物中のTi含有量の合計の50%以上となるように析出させる。このようなTiを含む微細な析出物は、主にTiCであるが、オーステナイト相とフェライト相のTiCの溶解度積の違いから、オーステナイト相からフェライト相へ変態する際に析出しやすく、ポリゴナルフェライト相が生成する場合はポリゴナルフェライト相中に析出して、ポリゴナルフェライト相を硬質化する役割を果たしている。平均直径20nm未満の析出物中のTi含有量の合計:鋼中に析出している全ての析出物中のTi含有量の合計の50%未満だと、平均直径20nm未満の析出物の数が少なく、ポリゴナルフェライト相の硬質化を図れないため、良好な伸びフランジ性が確保できない。
ここで、平均直径20nm未満の析出物中のTi含有量は、次のような方法で求めることができる。すなわち、試料を、10%AA系電解液(10vol%アセチルアセトン-1mass%塩化テトラメチルアンモニウム-メタノール)中で、約0.2gを電流密度20mA/cm2で定電流電解後、表面に析出物が付着している試料を電解液から取り出して、ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液(500mg/l)(以下、SHMP水溶液と称す)中に浸漬し、超音波振動を付与して、析出物を試料から剥離しSHMP水溶液中に抽出した。次いで、析出物を含むSHMP水溶液を、孔径20nmのフィルタを用いてろ過し、ろ過後のろ液に対してICP発光分光分析装置を用いて分析し、ろ液中のTiの絶対量を測定した。そして、Tiの絶対量を電解重量で除して、大きさ20nm未満の析出物に含まれるTi含有量(鋼における質量%)を得る。なお、電解重量は、析出物剥離後の試料に対して重量を測定し、電解前の試料重量から差し引くことで求める。また、鋼中に析出している全ての析出物中のTi含有量(鋼における質量%)は、孔径20nmのフィルタを用いてろ過する前のSHMP水溶液に対してICP発光分光分析装置を用いて分析し、上記と同様にして求まる。これらのTi含有量から、平均直径20nm未満の析出物中のTi含有量の合計の鋼中に析出している全ての析出物中のTi含有量の合計に対する割合が算出できることになる。
3) 製造条件
スラブの加熱温度:1150〜1350℃
熱間圧延後ポリゴナルフェライト相中に微細なTiを含む析出物を析出させるには、スラブ中に析出している粗大なTiを含む析出物などを熱間圧延前に溶解させる必要がある。そのためには、スラブを1150℃以上に加熱する必要がある。一方、スラブを1350℃を超えて加熱するとスケール増大による歩留まり低下を招きやすい。したがって、スラブの加熱温度は1150〜1350℃、好ましくは1170〜1260℃とする。
熱間圧延の仕上温度:850〜950℃
仕上温度が850℃未満だとフェライトとオーステナイトの二相域で圧延されるため、圧延後に加工組織が残り、伸びフランジ特性が低下する。一方、仕上温度が950℃を超えるとTiを含む析出物が少なくなり、必要な析出強化能を得ることができず、伸びフランジ特性が低下する。したがって、熱間圧延の仕上温度は850〜950℃とする。
熱間圧延後の一次冷却条件:平均冷却速度30℃/秒以上、冷却停止温度550℃以上630℃未満
一次冷却の平均冷却速度が30℃/秒未満ではパーライト相が生成し、伸びおよび伸びフランジ特性が劣化する。したがって、一次冷却の平均冷却速度は30℃/秒以上とする。平均冷却速度の上限は、特に限定しないが、次の冷却停止温度域で冷却を停止させるには100℃/秒程度の冷却速度が好ましい。なお、一次冷却の方法は、特に限定する必要はなく、例えば、公知のラミナー冷却による水冷を利用できる。
一次冷却の冷却停止温度が550℃未満ではベイニティックフェライト相が生成せず、630℃以上ではポリゴナルフェライト相が過剰に生成し、ベイナイト相とベイニティックフェライト相主体のミクロ組織が得られない。したがって、一次冷却の冷却停止温度は550℃以上630℃未満とする。
一次冷却後の空冷条件:空冷時間0.5〜10秒
一次冷却後は、ポリゴナルフェライト相中に微細なTiを含む析出物の析出を促進させるために空冷する必要がある。このとき、空冷時間が0.5秒未満では析出物の析出が十分でなく、10秒を超えても析出強化の効果が飽和する。したがって、一次冷却後の空冷時間は0.5〜10秒間、好ましくは0.75〜5秒間とする。なお、空冷時の冷却速度は、概ね15℃/秒以下である。
空冷後の二次冷却条件:平均冷却速度20℃/秒以上
空冷後は、巻取りまで平均冷却速度20℃/秒以上で二次冷却する。これは、平均冷却速度が20℃/秒未満ではパーライト相が生成し、伸びフランジ特性の低下を招くためである。
巻取温度:300〜500℃
巻取温度が300℃未満では著しく硬質なマルテンサイト相が生成し、500℃を超えるとパーライト相が生成して、伸びフランジ特性の著しい低下を招く。したがって、巻取温度は300〜500℃、好ましくは380〜500℃とする。
その他の製造条件には通常の条件を適用できる。例えば、所望の成分組成を有する鋼は転炉や電気炉などで溶製後、真空脱ガス炉にて2次精錬を行って製造される。その後の鋳造は、生産性や品質上の点から連続鋳造法で行うのが好ましい。鋳造後は、本発明の方法にしたがって熱間圧延を行う。熱間圧延後は、表面にスケールが付着した状態であっても、酸洗を行いスケールを除去した状態であっても、鋼板の特性が変わることはない。また、熱間圧延後、調質圧延を行ったり、溶融亜鉛系めっき、電気亜鉛系めっき、化成処理を施すことも可能である。ここで、亜鉛系めっきとは、亜鉛および亜鉛を主体とした(すなわち亜鉛を約90%以上含有する)めっきであり、亜鉛のほかにAl、Crなどの合金元素を含んだめっきや亜鉛系めっき後に合金化処理を行っためっきのことである。
表1に示す成分組成を有する鋼No.A〜Hを転炉で溶製し、連続鋳造により鋼スラブとした。これらの鋼スラブを、1250℃に加熱後、表2に示す熱延条件で板厚3.4mmの熱延鋼板No.1〜14を作製した。
そして、上記の方法により、ベイナイト相とベイニティックフェライト相の合計の体積率、および平均直径20nm未満の析出物中のTi含有量の合計の鋼中に析出している全ての析出物中のTi含有量の合計に対する割合(%)を求めた。
また、JIS 5号引張試験片(圧延方向に平行)を採取し、JIS Z2241に準拠して歪み速度10mm/minで引張試験を行い、TSと全伸びElを測定し、TSが780MPa以上、Elが21%以上であれば本発明の目標を達成しているとした。
さらに、伸びフランジ特性を評価するために、130mm角の穴広げ試験用試験片を採取し、鉄連規格JFST 1001に準拠して穴広げ試験を行い、穴広げ率λを求め、λが80%以上であれば本発明の目標を達成しているとした。
結果を表2に示す。本発明例では、780MPa以上のTSが得られ、Elが21%以上で、λが80%以上であり、伸びおよび伸びフランジ特性に優れていることがわかる。
Figure 2011122188
Figure 2011122188

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.06〜0.15%、Si:1.2%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.04%以下、S:0.005%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.03〜0.15%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、組織全体に占めるベイナイト相およびベイニティックフェライト相の合計の体積率が50%以上で、ベイナイト相およびベイニティックフェライト相とポリゴナルフェライト相の合計の体積率が95%以上であるミクロ組織を有し、平均直径20nm未満の析出物中のTi含有量の合計が、鋼中に析出している全ての析出物中のTi含有量の合計の50%以上であることを特徴とする引張強度が780MPa以上の高強度熱延鋼板。
  2. さらに、質量%で、V:0.005〜0.2%を含有する成分組成を有することを特徴とする請求項1に記載の引張強度が780MPa以上の高強度熱延鋼板。
  3. さらに、質量%で、B:0.0005〜0.002%を含有する成分組成を有することを特徴とする請求項1または2に記載の引張強度が780MPa以上の高強度熱延鋼板。
  4. さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.005%を含有する成分組成を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の引張強度が780MPa以上の高強度熱延鋼板。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の成分組成を有する鋼スラブを、1150〜1350℃の加熱温度で加熱し、850〜950℃の仕上温度で熱間圧延後、30℃/秒以上の平均冷却速度で550℃以上630℃未満の冷却停止温度まで一次冷却し、引き続き0.5〜10秒間空冷後、20℃/秒以上の平均冷却速度で二次冷却して、300〜500℃の巻取温度で巻取ることを特徴とする引張強度が780MPa以上の高強度熱延鋼板の製造方法。
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