JP5161687B2 - 屋上断熱防水構造 - Google Patents

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Description

この発明は、屋上断熱防水構造に関し、鉄筋コンクリート造りや鉄骨造りなどの集合住宅やオフィスビルなどの屋上の断熱・防水を従来のアスファルトによる接着・防水層に代えて水性接着剤を使用して断熱層を施工できるようにしたものである。
建築物の屋上の断熱・防水工法としては、従来、屋上の下地上に断熱材を接着させるため熱アスファルトを使用したり(特許文献1参照)、有機溶剤系接着剤を使用することが行われており、断熱材の外側(屋外側)に防水層を設けて断熱および防水を図ることが行われている。
この熱アスファルトを用いる場合には、溶融アスファルトによる煙やにおいに加え、施工作業者の火傷のおそれの問題などがあり、また、溶剤系接着剤の場合には、臭いや発火の危険など、施工上や取扱い上の制約がある。
また、熱アスファルトや溶剤系接着剤を用いて断熱材を全面接着すると、下地に含まれる水分や屋内から下地を通して浸入する水分、あるいはアスファルトや溶剤が日射によって加熱され、気化膨張するため断熱材やその上の防水層を持ち上げる、いわゆるふくれ現象が発生し、夜間の気温低下と日射によって膨張と収縮が繰り返されると、接着力の低下や水分によるカビの発生、水分による断熱性能の低下を招いてしまう。
このため、断熱材の接着を下地に部分的に接着する部分接着を行うことで、中空層を形成し、この中空層に外気に開放される脱気筒などを設けて水分などの気化膨張による圧力を開放するようにし、ふくれを防止することが行われている(特許文献2参照)。
特開平1−151642号公報 特開昭58−47855号公報
このような断熱材の接着に熱アスファルトや有機溶剤系接着剤を用いることによる問題を解消するため、水性の接着剤を用いることが行われつつあるが、水性の接着剤では、溶媒として多量の水を使用するため、接着剤のなじみ易さや浸透性に優れ、施工性が容易にできるものの、一旦、施工してしまうと、大部分の水分が余剰水となり、これまでのアスファルトや有機溶剤系接着剤を用いる場合に比べ一層ふくれ現象が生じ易いという問題がある。
また、水性の接着剤では、余剰水を中空層に設けた脱気筒を介して外部に放出するようにしても通常、脱気筒を25〜100m2毎に1個設置することが多く、中空層を流れる空気の経路の圧力損失が大きく、中空層内の余剰水がほとんど動かない状態になって長期間滞留することになり、断熱性能の低下や接着剤の接着面のカビ発生による接着力の低下を引き起こすという問題がある。
さらに、中空層の圧力損失を小さくするため部分接着する接着剤の間隔を大きくすると、断熱層やその上の防水層にたわみが発生し易くなるという問題もある。
この発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、屋上の断熱・防水のための断熱層の接着に水性接着剤を使用しても余剰水の影響を無くすことができ、断熱性能の低下や接着強度の低下を招くことがなく、断熱層や防水層にたわみが発生することのない剛性を確保することができる屋上断熱防水構造を提供しようとするものである。
上記従来技術が有する課題を解決するこの発明の請求項1記載の屋上断熱防水構造は、建築物の屋上に断熱層と防水層とを設けて断熱・防水する屋上断熱防水構造であって、屋上の下地上に、断続的に配置した水性接着剤を介して断熱ボードを接着して断熱層を形成し、この断熱層と前記下地との間に形成した中空層に水分を吸放出する吸放湿材を当該断熱層と前記下地とに接して前記断熱ボードを支持可能に設置する一方、この吸放湿材が設置された前記中空層に連通させて外気に開放される脱気筒を設けたことを特徴とするものである。
また、この発明の請求項2記載の屋上断熱防水構造は、請求項1記載の構成に加え、前記吸放湿材を、湿分の透過性を有する袋体に収納して設置したことを特徴とするものである。
さらに、この発明の請求項3記載の屋上断熱防水構造は、請求項1または2記載の構成に加え、前記脱気筒の前記中空層内の部分を、前記吸放湿材で覆うように構成したことを特徴とするものである。
また、この発明の請求項4記載の屋上断熱防水構造は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記下地は、断熱材、防水層、躯体のいずれかであることを特徴とするものである。
さらに、この発明の請求項5記載の屋上断熱防水構造は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記下地が、既設断熱材を剥離除去した当該断熱材の不陸表面であることを特徴とするものである。
また、この発明の請求項6記載の屋上断熱防水構造は、請求項1〜5のいずれかに記載の構成に加え、前記吸放湿材は、前記中空層内部の相対湿度を50〜70%に保持可能とする充填量として充填設置してなることを特徴とするものである。
この発明の請求項1記載の屋上断熱防水構造によれば、建築物の屋上に断熱層と防水層とを設けて断熱・防水する屋上断熱防水構造であって、屋上の下地上に、断続的に配置した水性接着剤を介して断熱ボードを接着して断熱層を形成し、この断熱層と前記下地との間に形成した中空層に水分を吸放出する吸放湿材を当該断熱層と前記下地とに接して前記断熱ボードを支持可能に設置する一方、この吸放湿材が設置された前記中空層に連通させて外気に開放される脱気筒を設けたので、屋上の下地上に点状や破線状などの断続的に設置した水性接着剤で断熱ボードを接着することで中空層を形成して断熱ボードを接着することができ、中空層内に吸放湿材を充填することで余剰水を吸水して中空層内を所定の湿度に保持することができるとともに、吸放湿材によっても断熱ボードを支持することで、剛性を高めてたわみを防止することができる。また、中空層内と外部とを脱気筒を介して連通させることで、吸放湿材に吸収された水分を外部に徐々に放出することもできる。
これにより、水性接着剤を使用しても余剰水などの水分による接着強度の低下や断熱性能の低下を招くことがなく、中空層内を所定の湿度に保ってカビなどの発生を防止することができる。
また、この発明の請求項2記載の屋上断熱防水構造によれば、前記吸放湿材を、湿分の透過性を有する袋体に収納して設置したので、吸放湿材の設置が容易となるとともに、吸放湿材の形状を保持することができ、これにより、たわみ力が加わる場合の剛性を高めことができる。
さらに、この発明の請求項3記載の屋上断熱防水構造によれば、前記脱気筒の前記中空層内の部分を、前記吸放湿材で覆うように構成したので、例えば粒状やテープ状の吸放湿材で覆うことで、吸収した水分の外部への放出が円滑に行われるとともに、脱気筒を介して中空層内に害虫等の侵入を阻止することができる。
また、この発明の請求項4記載の屋上断熱防水構造によれば、前記下地は、断熱材、防水層、躯体のいずれかであるので、屋上の躯体表面に施工したり、防水層の表面に施工したり、あるいは断熱層の表面に施工することができ、いずれの表面に対しても断熱材を水性接着剤で接着することができ、余剰水の影響を排除することができる。
さらに、この発明の請求項5記載の屋上断熱防水構造によれば、前記下地が、既設断熱材を剥離除去した当該断熱材の不陸表面であるので、新設の建築物の屋上への施工に限らず、既設の建築物の屋上の断熱・防水構造の改修に対しても施工することができ、既設断熱層を剥離除去した不陸の大きい表面であっても接着強度を確保できるとともに、余剰水の影響を排除することができる。
また、この発明の請求項6記載の屋上断熱防水構造によれば、前記吸放湿材は、前記中空層内部の相対湿度を50〜70%に保持可能とする充填量として充填設置してなるので、吸放湿材の充填量を定めて中空層内の相対湿度を50〜70%に保つことで、水分による影響を受けることなく、水性接着剤で施工することができる。
以下、この発明の最良の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2はこの発明の屋上断熱防水構造の一実施の形態にかかり、図1は改修完了状態の一部分の横断面図、図2はその中空層部分の平面図である。
この屋上断熱防水構造10は、例えば、既設の鉄筋コンクリート造りの建築物の屋上の断熱防水構造の改修として施工されるほか、新規の建築物の屋上の断熱防水構造として施工されるが、ここでは、改修のために適用する場合を例に説明する。
この屋上断熱防水構造10が適用される既設の屋上断熱防水構造は、例えば、建築物1の屋上のコンクリート躯体2上に熱アスファルトなどによる1次防水層3を介して合成樹脂発泡体のボードなどによる断熱材4が接着され、この断熱材4の上に図示しない防水層および仕上げ層が接着などにより設けられて構成されるのが一般的である。
このような既設の屋上断熱防水構造を改修する必要がある場合として、断熱材4の外側の防水層及び仕上げ層の劣化が生じた場合であるが、このような場合には、一般的に断熱材4も日射の影響を受けて高温下に晒されて劣化が著しいことおよび断熱材4、防水層、仕上げ層の各層が接着剤で強固に接着されていることから、剥離し易い断熱層4部分から取り除き、下地11としてその上に新規に断熱材を施工して改修が行われる。
この改修に当たり断熱材4より上の防水層及び仕上げ層を断熱材4とともに剥離除去することで得られる凹凸(不陸)が残る断熱材4の表面が下地11とされ、このある程度の不陸が残る断熱材4の表面が改修下地11とされて新たな屋上断熱防水構造10が設けられる。ここでの断熱材4の不陸は、合成樹脂発泡体(例えば、断熱ボード)の成形の際の表面粗さよりも大きな不陸をいい、例えば1mm/m以上の凹凸をいう。
この屋上断熱防水構造10では、新らたな断熱層13の施工に熱アスファルトや有機溶剤系接着剤を使用することなく、水を溶媒とする水性接着剤12を使用しており、下地11の表面に水性接着剤12を点状に配置することで、連続させずに断続的に水性接着剤12を施工する(いわゆる、団子張り)。そして、この断続的に配置した水性接着剤12の上に断熱層13として合成樹脂発泡体の断熱ボードを押し付けるようにして接着され、下地11と断熱層13の断熱ボード下面との間に中空層14が形成され、中空層14内が水性接着剤12で分断されずに連通したひとつの空間を形成するようにする。これにより、下地11の不陸を吸収して断熱層13を構成する断熱ボードを平坦に施工することができる。
この中空層14は下地11の不陸を吸収でき、しかも後述する湿気を吸放出する吸放湿材の設置空間および湿気を外部に排出する流路として機能するものであり、例えば平均高さとして5mm程度とされる。平均高さが5mm以下になると、吸放湿材の設置量の確保が難しくなるとともに、湿気の排出流路としての圧力損失が大きくなってしまう。一方、平均高さが5mmを超えて大きくなると、水性接着剤の使用量が増大したり、断熱層13の剛性の確保などが難しくなる。
この中空層14には、断熱層13の接着前に、点在する水性接着剤12の間に水分を吸放出する吸放湿材15が配置されるとともに、外部と連通する脱気筒16が中空層の一定面積毎に設けられ、例えば25〜100m2毎に1個設けられる。すなわち、水性接着剤12同士の間隔に対して数倍程度の大きな間隔で設けてあり、水性接着剤12同士のピッチを、例えば1000mmとすると、脱気筒16同士のピッチを、例えば5000mmとして配置することで、25m2毎に1個設けることができる。
この吸放湿材15により水性接着剤12の溶媒として多量に使用される水が接着後、その大部分が余剰水となって残留し、中空層14内の湿度(相対湿度)を高く高湿度に保持することによる悪影響を排除するためのもので、余剰水を吸収させることで、中空層14内の湿度(相対湿度)を低くする。この吸放湿材15によって中空層14内の相対湿度を、接着剤自身と隣接する各層に悪影響が及ばない範囲の乾燥状態に保つことができれば良く、例えば中空層14内の乾燥状態として相対湿度を0〜70%、好ましくは、0〜60%、さらに好ましくは、0〜50%に保つようにすれば良い。
この吸放湿材15を用いることで、図3(a)に示すように、中空層14内の水性接着剤12の余剰水による高湿度の湿気を吸放湿材15が吸収し、中空層14内は速やかに相対湿度が0〜70%の乾燥状態になる。すなわち、吸放湿材15は雰囲気が高湿度状態になると湿気を吸収し、逆に雰囲気が低湿度状態になると湿気を放出する可逆的な湿気の吸収放出を行う材料である。
したがって、中空層14内の湿気と吸放湿材15とは、中空層14内の雰囲気、すなわち湿度の高低によって吸放湿材15が湿気を吸ったり、放出したりする平衡状態にあり、吸放湿材15によって吸収された湿気は、中空層14内と吸放湿材15の間を常に行ったり来たりする。
これと同時に、脱気筒16の近辺の中空層14内にある吸放湿材15からは、脱気筒16の外側の風によって生じる負圧力で、吸収されていた湿気が奪われて脱気筒16を介して外気に放出され、脱気筒16の近辺の中空層14部分が低湿度になる。すると、湿気を放出して低湿度になった脱気筒16近辺の中空層14部分には、脱気筒16より遠い高湿度状態の中空層14部分から湿気が濃度拡散によって運ばれ、再び高湿度となり、脱気筒16近辺の吸放湿材15は再び湿気を吸収する。
しかし、このような脱気筒16の外側の風は年間を通じて一定ではなく、また、強さも平均で数m/s程度しかなく平均すると、風による負圧の力は小さく、必ずしも常に風で中空層14内の湿気が外気に排出されるわけではないが、上記サイクルが繰り返されると、やがては脱気筒16から一番遠い中空層14部分の湿気まで徐々に吸放湿材15を介して脱気筒16から外気に放出されることになる。
このような脱気筒16を介して中空層14内の吸放湿材15の湿気を外気に放出するサイクルを繰り返すことで、中空層14内は、外気の相対湿度と同一となる平衡状態まで乾燥状態にすることができる。
なお、中空層14内に吸放湿材を使用せずに水性接着剤12だけを用いる場合には、図3(b)に示すように、水性接着剤12の余剰水で中空層14内が湿気で満たされた状態の相対湿度が略100%の高湿状態になり、脱気筒を介して中空層14から放出される湿気がわずかであるため、吸放湿材15に一旦吸収させて中空層14内を乾燥状態にしてから徐々に湿気を外部に放出するのとは大きく異なり、高湿度状態が長期間保持されてしまう。
さらに、この屋上断熱防水構造10では、吸放湿材15で中空層14内を乾燥状態に保つほか、この吸放湿材15を中空層14の上下面を構成する下地11上面と断熱ボードの下面とに接蝕させることで、断熱ボードに加わる力を水性接着剤12と協働して支持するようにしている。
すなわち、吸放湿材15を、点在する水性接着剤12の間に、例えば交互に配置することで、水性接着剤12だけを点在させて断熱層13を支持する場合に比べ、支点間距離(支持間隔)を短くすることができ、断熱層13の曲げ剛性を大幅に高めている。
これにより、屋上断熱防水構造10として断熱層13の上に、例えば防水層や仕上げ層を施工して完成した状態で、風圧が作用したり、人が乗った際の曲げたわみを極力抑えることができるとともに、たわみが大きくなって座屈破壊を起こすことを完全に防止することができる。
このような水性接着剤12の余剰水に吸収と断熱層13の支持に用いる吸放湿材15は、粉状や粒状、その他の形状のもののいずれでも良いが、施工場所が屋上であるため、施工時に吸放湿材15が風で飛ばされる虞があること、および粒状のものでは、粒子同士の隙間に余剰水の湿気が通り易く吸放湿材15の吸放湿効果が持続できることから、粒状のものが望ましい。
また、この吸放湿材15は、図1に示すように、粒状のものや粉状のものをそのまま設けるほか、図4に示すように、透湿性を備えたシート等で構成された袋体21に収納して設置するようにしても良く、袋体21に収納された状態で設置できるので、設置が容易にできるとともに、断熱層13等からのたわみ力が加わっても袋体21により形状を保持でき、一層曲げ強度を向上することができる。
この袋体21としては、湿気を透過するシートのほか、物理的に湿気を透過するものが使用でき、例えば不織布や網目状のシートなどの隙間・空間を有するものを挙げることができる。
また、吸放湿材15としては、図5に示すように、吸放湿材15を予め成形して吸放湿材成形体31としたものを用いるようにしても良く、プレート状、円柱(錠剤状)や角柱状にして設置する。このような予め成形した吸放湿材成形体31を用いることで、一層施工が容易にできるとともに、形状保持効果を増大することができる。
このようにして下地11上に断熱層13として断熱ボードを接着した後、改修した断熱層13の断熱ボード上には、通常施工される防水層17および仕上げ層18が施工されて屋上断熱防水構造10が完成する。これら防水層17および仕上げ層18の施工法としては、例えば、コンクリートや砂利などによる押え工法や露出防水工法等を挙げることができ、防水層17や仕上げ層18は単層で構成されたり、複数の層を組み合わせて構成される。
この屋上断熱防水構造10では、水性接着剤12としてアクリル系、酢酸ビニル系、ウレタン系、エポキシ系の水性エマルジョン接着剤、またはこれに砂や珪砂等の無機骨材を含有したもの、モルタルまたは樹脂含有モルタル、石膏、漆喰等、水を溶媒とした反応型、非反応型の接着剤ならなんでも使用できる。また、水性接着剤12は、施工の際、下地11上に断続的に配置すれば良く、点状(いわゆる団子張り)に施工することが基本であるが、屋上断熱防水構造10が完成した状態で中空層14が連続した1つの空間になっていれば良く、円形状、楕円形状、縞状、曲線状等やこれらの組み合わせ形状などの任意の形状で断続して配置して施工したものであれば良い。
また、水性接着剤12を介して断熱層13を接着する下地11としては、既設の剥離除去した断熱材に限らず、無断熱の防水層であれば、防水層やコンクリート躯体を下地として施工することができるとともに、既設の屋上断熱防水構造の改修に適用する場合に限らず、新築の場合に適用することができ、この場合でも下地としては、断熱層、防水層、コンクリート躯体などのいずれであっても良い。
さらに、断熱層13を構成する断熱ボードは、硬質ウレタンフォーム、スチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォームなどの表面材つき、あるいは表面材なしのプラスチック系断熱材のほか、グラスウールやロックウール、セルローズファイバーなどの表面材つきまたは表面材なしの板状繊維系断熱材を用いることができる。
また、脱気筒16は、中空層14と外気を通気しかつ防水できるものであれば良く、円筒形、円盤形、チューブ形等その形状は特に制限はなく、市販されているものを使用することができる。
吸放湿材15は、例えばシリカゲル、生石灰、塩化カルシウム、アルミナ、ゼオライト、活性炭などを使用することができ、粉状であっても粒状であっても、またシート状やテープ状等に成形したものであっても、袋体31に収納したものあっても良い。
また、この吸放湿材15の中空層14への充填量は、中空層14の大きさと水性接着剤12の余剰水の量とを勘案して吸放湿材の吸湿率や形態から中空層14内を相対湿度が50〜70%の乾燥状態にできる量を算出して定めるようにすれば良く、例えば中空層の平均厚さを5mm、水性接着剤の余剰水量を0.36kg/m2、吸湿率を77%(相対湿度100%時)、13%(相対湿度50%時)とした場合には、吸放湿材を0.56kg/m2充填することで、中空層内の相対湿度を施行後4日で98%から63%まで乾燥することができた(後述する実施例参照)。
このような屋上断熱防水構造10によれば、いずれの実施の形態でも、中空層14に吸放湿材15を設置して水性接着剤12の余剰水を吸収して中空層14を施工後速やかに乾燥状態にすることができるとともに、下地11と断熱層13とに接触させて吸放湿材15を設置することで、断熱層13の曲げ剛性を高めることができる。
これにより、これまでの熱アスファルトや有機溶剤系接着剤を用いる場合の煙や臭い等の影響を回避することができ、しかも水性接着剤の余剰水の影響を無くして乾燥状態にできるので、断熱材の吸湿による断熱性能の低下やカビの発生を防止することができる。
また、特殊な材料を使用せずに屋上断熱防水構造を構成することができ、これまでの施工方法と同様な工程で施工することができる。
さらに、この屋上断熱防水構造10では、さらに脱気筒16の中空層14内の部分を覆うように吸放湿材19が設けてある。これにより、例えば粒状やテープ状の吸放湿材17で脱気筒16の中空層14内の部分を覆うことで、この脱気筒16近辺で吸収した水分の吸収放出ができ、外部の湿度の影響が中空層14に及ぶことを緩和できるとともに、隙間を狭くすることで、脱気筒16を介して中空層14内に害虫等が侵入することを阻止することができる。
以下、この発明の実施例について比較例とともに、具体的に説明する。
(実施例)
屋上断熱防水構造の下地として劣化部分を除去して残した押出しスチレンの厚さ35mmの断熱材を用意し、表面を洗浄乾燥した。
この断熱材の下地上にシーラーとして日本化成製ハイフレックスHF1000を水で5倍に希釈したものをローラーで全面に塗布し、乾燥した。
水性接着剤として日本化成製NSポリマーミックス#30を25kgと、日本化成製ハイフレックスHF1000を水で5倍に希釈した希釈液を6.5リットルとの比率で混練した樹脂モルタルを用意し、塗布量を3.5kg/m2で高さ20mmの団子状に鏝で1000mmのピッチで格子状に配置した。
吸放湿材として日本化工機材製シリカゲルB形1種品を用意し、団子状に配置した水性接着剤の間に充填量を0.56kg/m2として1000mmのピッチで格子状に設置した。
これら水性接着剤及び吸放湿材の上に断熱層として硬質プレタンフォームの厚さ30mmのアキレス製GFボードを用意し、水性接着剤を押しつぶすようにして下地の不陸を調整しながら吸放湿材が上下面に接触するように施工するとともに、脱気筒として東亜工業製の脱気筒を100m2ごとに1個の割合で設置した。このときの中空層の平均厚さは5mmとなった。
この断熱層の上には、2次防水層として田島ルーフィング製強力バンクルーフ(粘着形改質アスファルトシート)及び仕上げ材として同社製仕上げ塗料SPカラーライトグレーを施工し、屋上断熱防水構造を完成した。
施工後、中空層内の湿度を測定したところ、図6および表1に示すように、施工後4日で初期の湿度が98%から63%まで低下し、その後はこの湿度(63%)を維持しながら、最終的に115日後に外気の湿度とほぼ同じ湿度58%まで低下した。
また、接着力をオックスジャッキ製建研式引っ張り試験機で測定したところ、全てが下地の押出しスチレン部分から破壊し、その平均強度は1.9kg/cm2であった。
この後、中空層を解体して水性接着剤の状態を観察したが、カビなどの発生は全く見られなかった。
以上のように、この実施例から水性接着剤を使用しても余剰水による接着強度やカビ発生などの影響は全くなく、何ら支障なく熱アスファルトや有機溶剤系接着剤に代えて使用できることが確認できた。
(比較例)
比較例として、吸放湿材としてシリカゲルを設置しないこと以外は、上記実施例と同一のものを施工して屋上断熱防水構造を完成した。
施工後、中空層内の湿度を測定したところ、図6および表1に示すように、初期の湿度99%がゆっくり低下し、湿度が61%になるまでに115日を要した。
また、接着力をオックスジャッキ製建研式引っ張り試験機で測定したところ、55%が下地の押出しスチレン部分から破壊し、45%が水性接着剤と硬質ウレタンフォームのGFボードとの界面からの破壊であり、これらの平均強度は0.7kg/cm2であった。
この後、中空層を解体して水性接着剤の状態を観察したところ、数箇所にカビが発生し、その大きさは直径0.7〜2.8cmであった。
Figure 0005161687
この発明の屋上断熱防水構造の一実施の形態にかかる改修完了状態の一部分の横断面図である。 この発明の屋上断熱防水構造の一実施の形態にかかる改修完了状態の一部分の中空層部分の平面図である。 この発明の屋上断熱防水構造の一実施の形態にかかり、水性接着剤の余剰水の吸放湿材による吸収・放出の説明図である。 この発明の屋上断熱防水構造の他の一実施の形態にかかる改修完了状態の一部分の横断面図である。 この発明の屋上断熱防水構造のさらに他の一実施の形態にかかる改修完了状態の一部分の横断面図である。 この発明の屋上断熱防水構造の一実施の形態にかかり、中空層内の湿度の変化の実験結果の説明図である。
符号の説明
1 建築物
2 コンクリート躯体
3 1次防水層
4 断熱材
10 屋上断熱防水構造
11 下地
12 水性接着剤
13 断熱層(新らたな断熱ボード)
14 中空層
15 吸放湿材
16 脱気筒
17 防水層
18 仕上げ層
19 吸放湿材(脱気筒中空層部分)
21 袋体
31 吸放湿材成形体

Claims (6)

  1. 建築物の屋上に断熱層と防水層とを設けて断熱・防水する屋上断熱防水構造であって、
    屋上の下地上に、断続的に配置した水性接着剤を介して断熱ボードを接着して断熱層を形成し、この断熱層と前記下地との間に形成した中空層に水分を吸放出する吸放湿材を当該断熱層と前記下地とに接して前記断熱ボードを支持可能に設置する一方、この吸放湿材が設置された前記中空層に連通させて外気に開放される脱気筒を設けたことを特徴とする屋上断熱防水構造。
  2. 前記吸放湿材を、湿分の透過性を有する袋体に収納して設置したことを特徴とする請求項1記載の屋上断熱防水構造。
  3. 前記脱気筒の前記中空層内の部分を、前記吸放湿材で覆うように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の屋上断熱防水構造。
  4. 前記下地は、断熱材、防水層、躯体のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の屋上断熱防水構造。
  5. 前記下地が、既設断熱材を剥離除去した当該断熱材の不陸表面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の屋上断熱防水構造。
  6. 前記吸放湿材は、前記中空層内部の相対湿度を50〜70%に保持可能とする充填量として充填設置してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の屋上断熱防水構造。
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