JP5158728B2 - 通信インフラリスク管理支援システム - Google Patents

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Description

本発明は、通信インフラリスク管理支援システムに関する。
インフラ(インフラストラクチャ/基盤)は、社会生活を快適に送る上で重要な社会インフラである。特に、電力、ガス、水道の3大インフラは非常に重要なものであり、とりわけ電力インフラが最も重要である。現代では、他の社会インフラ(水道、ガス、通信、電車などの交通インフラ)も電力で稼働するものがほとんどであり、従って、総合インフラは最も重要な社会インフラと言えるであろう。そして、電力のみならず他のインフラも有機的に作用して、総合的な社会インフラが構築されているのが現代社会の特徴である。そして、これらのインフラの1つでも機能不全を起こすと他のインフラもそれに応じで何らかの影響を被ることになる。
従って、電力インフラを代表として全てのインフラは、堅牢なシステムとして構築する必要があり、あらゆる事故、災害に対して脆弱であってはならない。例えば、電力インフラでは、これを形成する要素である「発電所、送電線、変電所、および配電線」などを結ぶ接続形態はライフライン(生命線)と呼ばれ、文字通り生命維持のために重要な社会インフラである。従って、電力会社では、発電所、送電線、変電所、および配電線などを監視するための大規模な監視システムを構築している(例えば、特許文献1を参照されたい。)。ガス、水道、最近では、通信回線もライフラインと呼ばれ、それぞれ監視システムが構築され、快適な社会生活の維持のために監視システムは運用されている。
工事を行う労働者の労働安全衛生を管理するための従来システムとして、労働安全衛生マネージメントシステムが提案・開発されている(例えば、特許文献2を参照されたい。)。
特開2003-299262号公報 特開2006-59332号公報
上述した従来の監視システムは、ライフライン上で発生した事故、災害、破壊活動などを監視するには便利であるが、事故などが発生する前に、リスクを事前に評価したり見積ったりすることはできない。一方、総合インフラ(本明細書では、電力インフラ、水道インフラ、ガスインフラ、通信インフラ、交通インフラの2つ以上を含むものを総合インフラと定義する。)を形成するライフライン上では、構成要素である送電線や変電所を保守したり、新設したりするため、日夜、各種工事(典型的には、保守工事や検査工事)が実施されている。ライフラインを扱う工事であるため、これらの工事は専門の技術者によって行われるものであり、事故や災害が発生しないように最善の努力が注がれている。しかしながら、どのような工事であっても、ある程度の確率で事故が発生してしまう可能性は否定できない。また、総合工事の事故/失敗は、送電線、ガス導管、給水管などのライフライン上で発生するため、ライフラインが切断されることがある。従って、例えば、電力インフラでは、その事故が発生した地点を経て電力供給を受けるライフラインの川下の方で停電を代表とする電力供給障害が発生してしまう。電力供給障害、即ち停電は、当該ライフラインから電力供給を受ける施設、工場、一般家庭などに多大な損害をもたらすため大きな社会リスクである。工事を実施する前に、このような社会リスクを事前に予測し、把握することができれば便利であるが、そのような技法やシステムは開発されていない。
また、上述した従来の労働安全衛生マネージメントシステムは、個別の工事や作業を実施する労働者の労働安全衛生、即ち、作業者リスクを評価する技法であるが、作業リスクのうち労働者のリスク(典型的には骨折などの怪我)、および、その周辺環境のみ(例えば、油漏れや薬品漏れによる周囲の環境被害など)を評価するものに過ぎない。このように、作業リスク全体を評価したり、作業から生じる広域的な社会リスクを評価したりするシステムは開発されていない。
そこで、本発明は、総合インフラを形成するライフライン上で実施される総合工事情報に基づき、当該総合工事によって発生する社会リスクを求める総合インフラリスク管理支援システムを提供することを目的とする。
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による総合インフラリスク管理支援システム(装置)は、
総合工事と当該総合工事が実施される地点のリスクとを対応付けた総合工事リスクマスターテーブルと、総合工事と当該総合工事によって引き起こされる、前記地点から離れた少なくとも1つの遠隔地のリスクとを対応付けた総合工事リスクリンク情報とを格納する記憶部と、
総合工事情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得した総合工事情報に基づき、前記総合工事リスクマスターテーブルおよび総合工事リスクリンク情報を参照して、前記総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出するリスク算出部と、
を具える。
ここで、本明細書では、総合工事とは、総合インフラ(即ち、電力インフラ、水道インフラ、ガスインフラ、通信インフラ、交通インフラ)が関連する工事情報を意味するものとする。例えば、電力インフラでは、総合工事とは電力工事であり、送電線、配電線、これらを支持する鉄塔、電柱、地下電線、電線やガス管などを収容する共同溝、変電所、発電所、蓄電施設、電力の制御機器などの保守、敷設、交換、新設、改修などの各種工事を意味する。また、総合工事には、電力関連施設/機器/設備などの建設工事、敷設工事などの土木工事、機器や設備関連の機械工事や電気工事を含むものである。
例えば、水道インフラでは、総合工事とは水道工事であり、取水場から浄水場を結ぶ導水路、小口径配水管、中口径配水管、大口径配水管、配水管やガス管などを収容する共同溝、給水所、浄水場、貯水場(貯水タンク)、減圧弁、バルブ、送水ポンプなどの配水のための制御機器などの保守、敷設、交換、新設、改修などの各種工事を意味する。また、水道工事には、水道関連施設/機器/設備などの建設工事、敷設工事などの土木工事、機器や設備関連の機械工事や電気工事を含むものである。
例えば、ガスインフラでは、総合工事とはガス工事であり、LNG船とLNGタンクとを結ぶLNG移送管、LNG(液化天然ガス)タンク、LNG気化器、ガス導管、電線やガス管などを収容する共同溝、ガスホルダー、タンク、ガバナ、ガバナステーション、地区ガバナ、減圧弁、バルブ、或いは、ガス供給に影響を及ぼす機器などの保守、敷設、交換、新設、改修などの各種工事を意味する。また、ガス工事には、ガス関連施設/機器/設備などの建設工事、敷設工事などの土木工事、機器や設備関連の機械工事や電気工事を含むものである。
例えば、通信インフラでは、総合工事とは通信関連工事であり、伝送線、光ファイバ、通信回線の敷設、交換、保守の工事、ルータ、サーバ、ノードなどの交換、保守、設置、改修などの各種工事を意味する。また、通信関連工事には、通信関連施設/機器/設備などの建設工事、敷設工事などの土木工事、機器や設備関連の機械工事や電気工事を含むものである。例えば、交通インフラでは、電車、汽車、新幹線などの大規模輸送機関インフラであり、総合工事とは交通関連工事であり、線路の敷設、交換、保守の工事、電車、車両、信号機などの交換、保守、設置、改修などの各種工事を意味する。また、交通関連工事には、交通関連施設(駅舎、ホームなど)/機器/設備などの建設工事、敷設工事などの土木工事、機器や設備関連の機械工事や電気工事を含むものである。
また、第2の発明による総合インフラリスク管理支援システムは、
前記社会的リスクが、
前記対象工事が実施される地点の局所的リスク、および、広域(遠隔地)リスクである、ことを特徴とする。
また、第3の発明による総合インフラリスク管理支援システムは、
前記総合工事リスクリンク情報が、総合工事が行われる地点と、当該地点とは離れており、かつ、ライフラインが接続している少なくとも1つの遠隔地とを接続するライフライン接続形態情報(ライフラインのリンク情報/ネットワーク情報などの地理的情報)を含み、
前記社会的リスクを工事影響ネットワーク図(工事影響リンク図)として出力する出力部をさらに具える、
ことを特徴とする。
また、第4の発明による総合インフラリスク管理支援システムは、
前記総合工事リスクリンク情報が、
前記総合工事が行われる地点、および/または、前記少なくとも1つの遠隔地における、人的リスク(ライフライン断絶、機能不全、障害による生命リスク、疾病リスク、怪我のリスク、救急病院、総合病院、電力/ガス/上下水道施設などへの影響度など)、経済的リスク(ライフライン断絶、機能不全、障害による工場、事業所、交通機関、駅、電話局などの通信施設、コンピュータセンタ、ネットワークノード、交通信号機、ガス/上下水道施設などの操業停止/サービス停止に起因する想定損害額など)、および治安・政治的リスク(ライフライン断絶、機能不全、障害による官公庁、警察署、自衛隊、軍事基地、電話局、基地局、交換機、中継局などの通信施設、コンピュータセンタ、ネットワークノード、議事堂、交通信号機などへの影響度)のうちの少なくとも1つを含み、
前記社会的リスクは、
前記対象工事が実施される地点、および/または、当該地点と離れた遠隔地の人的リスク(生命リスク、疾病/傷害などの健康被害リスクなど)、経済的リスク、および治安・政治的リスクのうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする。
また、第5の発明による総合インフラリスク管理支援システムは、
前記総合工事情報が、工事対象となる地点の蓄積量、当該ライフラインの時間当たりの供給量、時間当たりの通過量、伝送可能量、電圧、圧力、処理量、および、口径から選択される1つ以上の物理量を含み、
前記リスク算出部は、前記物理量に基づき、前記総合工事リスクマスターテーブルおよび総合工事リスクリンク情報を参照して、前記総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する、
ことを特徴とする。
例えば、総合工事が電力工事である場合には、総合工事情報は、物理量として、工事対象となる送電線、配電線、発電所、給電所、変電所、変圧器、配電機器、或いは、電力供給に影響を及ぼす機器の電圧情報を含み、
前記リスク算出部は、前記電圧情報に基づき、前記総合工事リスクマスターテーブルおよび総合工事リスクリンク情報を参照して、前記総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。
例えば、総合工事が水道工事である場合には、水道工事情報は、物理量として、工事対象となる配水管、給水管、浄水場、給水所、貯水タンク、貯水池、ポンプ、バルブ、或いは、水道水供給に影響を及ぼす機器に関連する水圧または管口径の情報を含み、
前記リスク算出部は、前記水圧または管口径の情報に基づき、前記水道工事リスクマスターテーブルおよび水道工事リスクリンク情報を参照して、前記水道工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。
例えば、総合工事がガス工事である場合には、総合工事情報は、物理量として、工事対象となる、気化器、ガス導管、ガスホルダー、タンク、ガバナ、ガバナステーション、減圧弁、バルブ、或いは、ガス供給に影響を及ぼす機器のガス圧または管口径の情報を含み、
前記リスク算出部は、前記ガス圧または管口径の情報に基づき、前記ガス工事リスクマスターテーブルおよびガス工事リスクリンク情報を参照して、前記ガス工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。
また、第6の発明による総合インフラリスク管理支援システムは、
前記情報取得部が、工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報を取得し、
前記情報取得部により取得された工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報から1または複数の総合工事情報を抽出する情報抽出部をさらに具え、
前記リスク算出部は、
前記情報抽出部により抽出した総合工事情報に基づき、前記総合工事リスクマスターテーブルおよび総合工事リスクリンク情報を参照して、前記総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する、
ことを特徴とする。
また、第7の発明による総合インフラリスク管理支援システムは、
他のコンピュータから工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信された工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報から1または複数の総合工事情報を抽出する情報抽出部と、をさらに具え、
前記リスク算出部は、
前記情報抽出部により抽出した総合工事情報に基づき、前記総合工事リスクマスターテーブルおよび総合工事リスクリンク情報を参照して、前記総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する、
ことを特徴とする。
ここで、本システムは、リスク算出部により算出された社会的リスクを前記他のコンピュータに送信する送信部をさらに具えることが好適である。また、他のコンピュータは、総合工事会社、インフラ管理会社(電力会社、水道局、ガス会社など)が運用している既存の工事単価積算システム、工事費用見積システム、工事進捗管理システムとすることが好適である。これらの既存のシステムが扱う情報/データには、総合インフラリスク管理支援システムが必要とする総合工事情報が含まれており、これらの既存システムから容易に本システムが必要とする総合工事情報を抽出/取得することが可能である。即ち、本システムは既存システムが使用し、保持しているデータを容易に流用・活用することが可能である。
また、第8の発明による総合インフラリスク管理支援システムは、
外部の工事見積サーバから見積データを受信する受信部と、
前記受信部により受信された見積データに含まれる少なくとも1つの積算要素を抽出する情報抽出部と、をさらに具え、
前記記憶部は、積算要素とリスクとを対応付けた積算要素−リスク変換テーブルをさらに格納し、
前記リスク算出部は、
前記情報抽出部により抽出した少なくとも1つの積算要素に基づき、前記積算要素−リスク変換テーブル、前記総合工事リスクマスターテーブル、および総合工事リスクリンク情報を参照して、前記見積データに含まれる積算要素(これら構成要素によって構成される対象工事)によって発生する社会的リスクを算出する、
ことを特徴とする。
また、第9の発明による総合インフラリスク管理支援システムは、
前記社会的リスクを時系列に表示する表示部、
をさらに具えることを特徴とする。
また、第10の発明による総合インフラリスク管理支援システムは、
前記社会的リスクが所定の基準値を超える場合、その旨を報知する警告部(スピーカで警告音を出す、警告メッセージを発声する、警告メッセージを表示する、警告電子メールを出すなど)、をさらに具える、
ことを特徴とする。
本発明によれば、総合工事のリスクを適正に管理することが可能になる。特に、本発明によれば、リスクを数値で求めることができるため、定量的なリスク管理が可能となる。また、本発明によるシステムは、総合工事の工事会社が、社員のモラル向上のために使用することができる。例えば、本発明によって、工事担当者や工事責任者に、各工事において事故が発生した場合に生じる直接的/間接的な局所的リスクや社会的リスクを提示して、工事に対する責任感を向上させることができる。このことは、電力会社や電力会社を監督する官公庁においても同様である。また、複数の総合工事がある場合には、工事間のスケジュール調整を行うことによって、リスクの集中を回避して、リスク分散することが可能となる。社会リスクが高い工事の発生が予期される場合には、当該社会リスクを低減するような、代替ライフラインを敷設したり、障害時の切り替え装置を新設したり、工事を構成する要素別に分割したり、或いは工事内容そのものを変更するなどの対処を取ることも可能である。
また、予定工事のみならず、過去の工事の情報からも社会リスクを算出することが可能である。この場合、総合工事リスクマスターテーブルおよび総合工事リスクリンク情報は、現在の情報を使用してもさほど誤差はないが、過去の工事情報から社会リスクを算出する場合には、総合工事リスクマスターテーブルおよび総合工事リスクリンク情報を当該過去の工事が時点の情報で更新して、「過去の総合工事リスクマスターテーブル」および「過去の総合工事リスクリンク情報」を使用すれば、より正確な過去の工事による社会リスクを算出・評価することが可能となる。さらには、ライフラインを構成する要素、例えば変電所や送電線などを新設、改造する際には、総合工事リスクマスターテーブルおよび総合工事リスクリンク情報に対して、これらを新設・改造した情報で更新することによって、設計段階において、社会リスクをシミュレーション評価することも可能である。或いは、ある実施態様によれば、工場、病院などを新設・設備増強する際には、総合工事リスクリンク情報に対して、これらを新設・設備増強した情報で更新することによって、設計段階において、社会リスクをシミュレーション評価することも可能である。
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施態様(実施例1)による総合インフラリスク管理支援システムの概要を示すブロック図である。図に示すように、総合インフラリスク管理支援システム(TIRM、サーバ)100は、制御部(CPU)110と、入力部120と、出力部130と、通信部140と、記憶部150と、表示部160とを有する。記憶部150は、総合工事と当該総合工事が実施される地点のリスクとを対応付けた総合工事リスクマスターテーブル152と、総合工事と当該総合工事によって引き起こされる前記地点から離れた少なくとも1つの遠隔地のリスクとを対応付けた総合工事リスクリンク情報154とを格納している。制御部110は、情報取得部112とリスク算出部114を有する。情報取得部112は、キーボードなどの入力部120を介して、或いは、通信部140を介して他のサーバ、コンピュータ、端末などから総合工事情報を取得する。リスク算出部114は、情報取得部112により取得した総合工事情報に基づき、総合工事リスクマスターテーブル152および総合工事リスクリンク情報154を参照して、総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。
総合工事の代表的なものとして電力工事を例示して説明する。表1に、総合工事と当該総合工事が実施される地点のリスクとを対応付けた総合工事リスクマスターテーブル152の例を示し、表2に、総合工事と当該総合工事によって引き起こされる前記地点から離れた少なくとも1つの遠隔地(地点や地域)のリスクとを対応付けた総合工事リスクリンク情報154の例を示す。
Figure 0005158728
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このような、表1のような総合工事リスクマスターテーブル152および表2のような総合工事リスクリンク情報154を参照して、TIRMサーバ100のリスク算出部114は、情報取得部112により取得した総合工事情報に基づき、総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。
他に総合工事の例として水道工事、ガス工事を表3−6に挙げる。同様に、表3−6を参照して社会的リスクを算出することも可能である。即ち、本システムは、取得した工事情報の種類に応じて、適切なデータ(表1−6)を参照して社会的リスクを算出する。
Figure 0005158728
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通信部140は、インターネットなどのネットワークNETに接続され、ネットワークNETを介して遠隔地の端末PC1,PC2、携帯端末PDA1、携帯電話端末MS1などとデータを送受信することが可能である。TIRM100は、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)の総合インフラリスク管理支援サーバとして機能させることもできる。例えば、通信部140がネットワークNETを介して、端末PC1からデータ(工程管理表などの総合工事情報)を取得し、処理結果(算出された社会的リスク)を端末PC1に返送する。出力部130は、算出した社会的リスク、工事リスクを反映させた工事影響ネットワーク図、本システムから生成された中間データ、最終データなどの諸データをプリンタPRNに出力したり、外部ディスプレイ(図示せず)に出力したりすることができる。
図2は、図1の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図2に示すように、ステップS11にて、記憶部150が、総合工事と当該総合工事が実施される地点のリスクとを対応付けた総合工事リスクマスターテーブル152と、総合工事と当該総合工事によって引き起こされる、前記地点から離れた少なくとも1つの遠隔地のリスクとを対応付けた総合工事リスクリンク情報154とを格納する。次にステップS12にて、情報取得部112が、直接的に、或いは入力部120などを介して総合工事情報を取得する。続いてステップS13にて、リスク算出部114が、情報取得部112により取得した総合工事情報に基づき、総合工事リスクマスターテーブル152および総合工事リスクリンク情報154を参照して、総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。
最後にステップS14にて、表示部160が、算出した社会的リスクを画面に表示する。なお、社会的リスクは、対象工事が実施される地点の局所的リスク、および、広域(遠隔地)リスクとして規定することができる。例えば、局所的リスクと広域リスクは下記の式を使って算出する。リスクのファクターとして電圧に着目すれば、双方のリスクとも電圧の関数として規定することができる。
局所的リスク=工事の事故発生可能性×工事地点の電圧×経路の非代替性×経路切り替えの困難度
広域リスク=局所的リスクの発生頻度×(WR1+WR2+…WRn)
(ここで、各遠隔地のリスクWR1〜n=想定被害×経路の非代替性×経路切り替えの困難度)
図3は、図1の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図3のフローチャートの処理のうちステップS21、S22は、図1のステップS11、S12と同様の処理であり、説明を省略し、その他の異なる処理のみを説明する。図に示すように、ステップS23では、リスク算出部114が、情報取得部112により取得した総合工事情報に基づき、総合工事リスクマスターテーブル152、および、「ライフライン接続形態情報を含む総合工事リスクリンク情報」154(L1)を参照して、総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。最後にステップS24にて、表示部160は、算出した社会的リスクを、工事影響ネットワーク図N1として画面に表示する。
工事影響ネットワーク図N1は、「元のライフライン接続形態情報を含む総合工事リスクリンク情報」に、社会的リスクに関連する地点/地域を強調表示(この図では、社会的リスクに関連する地点/地域を太線にして、影響を受ける接続関係を示すために棒部分を幅広の矢印にして、強調してある)したものとすることが好適である。本構成によって、社会的リスクが生ずる地点/地域、およびそれらの根本原因である工事の地点との接続関係、地理的位置などが一目瞭然となる。即ち、本実施態様では、工事影響ネットワーク図および総合工事リスクリンク情報は、ライフラインの接続関係のみならず各地点/地域の地理的情報を含むものである。この例の工事影響ネットワーク図N1では、Y地点(ハッチングを施してある)は工事が行われる地点であり、リスクの発生元である。リスク発生元であるY地点からインフラ提供物供給(例えば、電力供給、水道水供給、ガス供給など)を受ける(即ち、Y地点から下りのライフラインが接続される)地点は、Y1〜Y4,Yn地点である。Y1地点、Yn地点は直接的にインフラ提供物供給を受け、他の代替のライフラインを持たないため、その社会リスクは甚大である。Y2地点、Y4地点は、X1地点とライフラインで結ばれているため、代替可能である。但し、代替可能であっても、切り替えの容易性などによって代替困難度が異なる。Y2地点は、X1地点(ライフライン分岐点)におけるY2地点用の自動切り替え装置などの装備により容易に切り替え可能であるため、Y2地点のリスクは、その容易性に応じて軽減されている(容易性を示すために接続線を「破線」で示してある)。Y4地点は、X1地点におけるY4地点用の自動切り替え装置が装備されていないため、切り替えが困難である(困難度を示すために「接続線」を一点鎖線で示してある)。
表2、4、6のように、総合工事リスクリンク情報は、総合工事が行われる地点、および/または、前記少なくとも1つの遠隔地/遠隔地域における、人的リスク(ライフライン断絶、機能不全或いは障害による生命リスク、疾病リスク、怪我のリスク、健康被害リスク、救急病院、総合病院、ガス/上下水道施設などへの影響度など)、経済的リスク(ライフライン断絶、機能不全或いは障害による工場、事業所、交通機関、駅、電話局などの通信施設、コンピュータセンタ、ネットワークノード、交通信号機、ガス/上下水道施設などの操業停止/サービス停止に起因する想定損害額など)、および治安・政治的リスク(ライフライン断絶、機能不全或いは障害による官公庁、警察署、自衛隊、軍事基地、電話局、基地局、交換機、中継局などの通信施設、コンピュータセンタ、ネットワークノード、議事堂、交通信号機などへの影響度)を含ませることができる。
表2、4、6のような総合工事リスクリンク情報を参照した場合には、本システムが算出する社会的リスクには、対象工事が実施される地点、および/または、当該地点と離れた遠隔地/遠隔地域の人的リスク(生命リスク、疾病/傷害などの健康被害リスクなど)、経済的リスク、および治安・政治的リスクを含ませることができる。このような社会的リスクを数値で表した例を以下に示す。
図4は、図1のTIRM100で求めた社会的リスクを表示した形態の工事影響ネットワーク図である。工事影響ネットワーク図は、出力部130が出力したものであり、プリンタPRNに印刷したり、表示部260に表示したり、通信部240を介して他のコンピュータ、端末、サーバなど送信したりすることができる。図4の工事影響ネットワーク図N11は、図3の工事影響ネットワーク図N1と同様のライフラインの接続関係を持つ。図4の工事影響ネットワーク図N11が図3のそれと異なる点は、各地点・地域のリスクを併せて表示してあることである。Y地点の社会リスクはリスクウィンドウW0に示してある。リスクウィンドウW0には、人的リスク=3、経済的リスク=3、治安・政治的リスク=3という指数が表示される。これらの指数は、数値が高いほどリスクが大きく、低いほどリスクが小さいものとする。
例えば、人的リスクは、当該地点(地域)において、インフラ/ライフライン提供物(電気、水道、ガス、通信データなど)が供給される病院、総合病院、医療施設、救急病院、老人ホームなどの規模、収容人員、ガス/上下水道施設などの規模などと、予定の総合工事の種類などから求めることができる。地点において、上記の施設の規模が大きいほど、数、収容人数が多いほど、人的リスクの指数を高く設定することが好適である。即ち、人的リスクは、ライフライン断絶、機能不全或いは障害による生命リスク、疾病リスク、健康被害リスク、怪我のリスク、救急病院、総合病院、ガス/上下水道施設などへの影響度などを表す数値である。
経済的リスクは、ライフライン断絶、機能不全或いは障害による工場、事業所、交通機関、駅、電話局などの通信施設、コンピュータセンタ、ネットワークノード、交通信号機、ガス/上下水道施設などの操業停止/サービス停止に起因する想定損害額などを示すものであり、これらの施設の数、規模、納税額、従業員数、トラフィック数、通行量、処理量、出荷金額などから求めることができる。治安・政治的リスクは、ライフライン断絶、機能不全或いは障害による官公庁、警察署、自衛隊、軍事基地、電話局、基地局、交換機、中継局などの通信施設、コンピュータセンタ、ネットワークノード、議事堂、交通信号機などへの影響度を示すものであり、これらの施設の数、規模、納税額、従業員数、トラフィック数、通行量、処理量、出荷金額、政治的重要度、治安的重要度、防衛的重要度、師団数、隊員数、署員数、議員数などから求めることができる。地点において、上記の施設の規模が大きいほど、トラフィック数、処理量などの数が多いほど、経済的リスクの指数を高く設定することが好適である。
リスクを示すこれらの数値は、自治体、政府、各種統計情報発行機関などの公式統計資料などから設定することができる。同様に、他の遠隔地(地域)であるY1〜YnにもリスクウィンドウW1〜Wnが付随して表示される。これらリスクウィンドウW0〜Wnのリスク数値を集計して表示したものが総合社会リスクウィンドウSRである。この総合社会リスクウィンドウSRを見るだけで、Y地点で行われる総合工事による遠隔地に及ぼす社会的リスクを把握することが可能となる。なお、各ウィンドウのリスク数値は、Y地点で行われる総合工事の種類によって、変動し得るものであることに注意されたい。
各リスクウィンドウにて、基準値(基準条件)として、人的リスクが8を超える、経済的リスクが10を超える、治安・政治的リスクが10を超える場合を設定しておき、その基準条件に合う場合にはリスクサブウィンドウを表示することができる。例えば、リスクウィンドウW3では、経済的リスクが14であり、基準値10を超えるため、リスクサブウィンドウW31を表示して、経済的リスクが基準値10を超えること、および、その対応策(予防対策)を示す。ここでの対応策は、対象工事が行われるY地点の影響を受けない「X1地点」から代替ルート(矢印AR)を設けることであり、リスクサブウィンドウW31にはその対応策が示される。ここでは、経済的リスクなどの個別リスクが基準値を超える場合に対応策を示す態様で示したが、各地点の社会的リスクが基準値を超える場合に対応策を示す形式で実施してもよい。このように、適正な基準値を予め設定しておけば、本実施態様では、予想されるリスク、および、基準値を超える(何らかの対応策を講ずるべき「基準条件」に合致する)リスクへの対応策を提示することが可能となる。従来であれば、経験豊富で高度なスキルを持つリスク管理者が、経験や勘で行ってきたリスク管理のためのデータを、本実施態様では、極めて簡便、かつ、ほぼ正確に自動的に作成することが可能となる。もちろん、リスク管理のための、基準値や基準条件は、リスク管理者が事前に設定して、記憶部に格納しておき、本システムが必要に応じて読み出して使用する。これら基準値(基準条件)と算出した各リスクとの比較および表示制御は、リスク算出部114が行うが、後述するリスク報知部に行わせてもよい。
総合工事情報には、例えば、電力インフラの電力工事の場合には、工事対象となる送電線、配電線、発電所、給電所、変電所、変圧器、配電機器、或いは、電力供給に影響を及ぼす機器の電圧情報を物理量として含ませることができる。このようにリスクのファクターとして、工事対象地点のライフラインに関連する物理量に着目すればリスクを物理量(電圧)の関数として規定することができる。物理量は、工事対象となる地点のライフラインそのもの(即ち、ガス管、電線、水道管などの伝送管)、ライフライン制御機器、一時的貯蓄容器(ガスホルダ、貯水池など)などに関連する蓄積量、時間当たりの供給量、時間当たりの通過量、伝送可能量、電圧、圧力、処理量、および、当該ライフラインの口径などである。
そして、下式が最もシンプルに社会リスクを求めることができる公式である。説明を簡単にするために、電力インフラの物理量である電圧を例示して説明するが、他の物理量を適用可能であることはもちろんである。
社会的リスク(広域リスク)=「工事地点の電圧」×「標準的なリスク」
電圧が高いほど、最も多くの電力を川下に供給する能力があり、川下に電力供給対象の地点や地域を多く有するという原則を活用した公式である。
或いは、以下の式のように、各工事の標準的なリスクを考慮する、工事種類係数を導入すると、より正確なリスクを算出することができる。
社会的リスク(広域リスク)=「工事地点の電圧」×「工事種類係数」×「標準的なリスク」×「個別工事係数」
ここで、工事種類係数は、工事の種類に応じて設定される係数である。工事の種類に応じて「0〜1、或いは0〜10程度」に設定しておく。
さらに、以下の式のように各遠隔地の標準的なリスクを考慮するとさらに正確なリスクを算出することができる。
社会的リスク(広域リスク)=「工事地点の電圧」×「工事種類係数」×「工事地点から電力供給を受ける各遠隔地の標準的なリスクWR1〜nの総和」
下式のように「対象工事における事故発生頻度係数」(但し0〜1)を係数として乗じるとさらにより正確な社会的リスクを算出することができる。
社会的リスク(広域リスク)=「工事地点の電圧」×「対象工事における事故発生頻度係数」×(工事地点から電力供給を受ける各遠隔地の標準的なリスクWR1〜nの総和)
上記のいずれかの式を用いるリスク算出部は、「電圧情報」に基づき、総合工事リスクマスターテーブルおよび総合工事リスクリンク情報を参照して、総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。この実施態様のメリットは、複雑なリスク情報を管理することなく、電圧情報を利用することによって、簡便に社会的リスクを算出することができることである。
実施例2では、既存の他のコンピュータ/システム(工事見積サーバ、工事進捗管理サーバなど)の情報を利用して、社会的リスクを求める実施態様を説明する。図5は、本発明の一実施態様(実施例2)による総合インフラリスク管理支援システムの概要を示すブロック図である。図に示すように、総合インフラリスク管理支援システム(TIRM、サーバ)200は、制御部(CPU)210と、入力部220と、出力部230と、通信部240と、記憶部250と、表示部260とを有する。記憶部250は、総合工事と当該総合工事が実施される地点のリスクとを対応付けた総合工事リスクマスターテーブル252と、総合工事と当該総合工事によって引き起こされる前記地点から離れた少なくとも1つの遠隔地のリスクとを対応付けた総合工事リスクリンク情報254とを格納している。
制御部210は、情報取得部212、情報抽出部214、およびリスク算出部216を有する。情報取得部212は、入力部220を介して、或いは、受信部として機能させた通信部240を介して他のサーバ、コンピュータ、端末など、典型的には工事見積サーバCESや工事進捗管理サーバSMSから工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報を取得/受信する。通信部240は、インターネットなどのネットワークNETに接続され、ネットワークNETを介して遠隔地の端末PC1,PC2、携帯端末PDA1、携帯電話端末MS1、典型的には工事見積サーバCESや工事進捗管理サーバSMSなどとデータを送受信することが可能である。本実施態様では、TIRM200は、ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)の総合インフラリスク管理支援サーバとして機能する。例えば、通信部240がネットワークNETを介して、工事見積サーバCES、工事進捗管理サーバSMSからデータ(工程管理表などの総合工事情報)を取得する
工事スケジュール情報および工事見積情報には、詳細な工事のスケジュール、対象工事の場所/地点、工事の内容、人員、単価などが含まれる。情報抽出部214は、情報取得部212が取得した工事スケジュール情報および工事見積情報から本システムが必要とする形式で総合工事情報を抽出する。リスク算出部216は、情報抽出部214により抽出された総合工事情報に基づき、総合工事リスクマスターテーブル252および総合工事リスクリンク情報254を参照して、総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。算出したリスクは、表示部260が画面に表示する。或いは、処理結果(算出された社会的リスク)は、通信部(送信部)240が、端末PC1、工事見積サーバCES、工事進捗管理サーバSMSに送信してもよい。
図6は、図5の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップS31にて、記憶部250が、総合工事と当該総合工事が実施される地点のリスクとを対応付けた総合工事リスクマスターテーブル252と、総合工事と当該総合工事によって引き起こされる、前記地点から離れた少なくとも1つの遠隔地のリスクとを対応付けた総合工事リスクリンク情報254とを格納する。次にステップS22にて、受信部として機能する通信部240或いは入力部220が、他のコンピュータ(工事見積サーバCESや工事進捗管理サーバSMSなど)から工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報を受信する。
次にステップS33にて、情報抽出部214が、受信した工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報から1または複数の総合工事情報を抽出する。続いてステップS34にて、リスク算出部216が、抽出した総合工事情報に基づき、総合工事リスクマスターテーブル252および総合工事リスクリンク情報254を参照して、総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。最後にステップS35にて、表示部260が、算出した社会的リスクを画面に表示する。或いは、通信部240が、他のコンピュータに算出した社会的リスクを送信してもよい。
図7は、図5の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図7のフローチャートの処理のうちステップS41、S42、S43は、図1のステップS11、S12、S13と同様の処理であり、説明を省略し、その他の異なる処理のみを説明する。但し、ステップS43では、総合工事情報(複数の対象工事/工事工程およびそれらの予定日時を含む)からそのリスクの時間推移も計算する。即ち、本態様では、複数の総合工事(或いは工事工程)を含む1つの総合工事情報を取得したり、複数の総合工事情報を取得したりして、これらの情報から社会的リスクを時系列で計算する。図に示すように、ステップS44では、リスク報知部218は、算出した社会的リスクの時間推移のうち予め定めた基準値(線)を超える時間帯(或いは期間)があるか否かを判定する。ステップS45では、基準値を超える時間帯があった場合、警告付きで、表示部260が、算出した社会的リスクの時間推移を画面に表示する。ステップS46では、基準値を超える時間帯がなかった場合は、表示部260は、算出した社会的リスクの時間推移を画面に表示する。
図8は、本発明の一実施態様(実施例2)による総合インフラリスク管理支援システムにより算出された社会的リスクを時系列で表示したグラフである。図8では、縦軸は社会的リスク、横軸は時間(日付)である。第1の工事情報(1つの工事工程チャートに含まれる複数の工事要素からなる工事情報)から生じる社会的リスクの時間推移を示す個別リスク曲線R1が画面上に描画されている。同様に、第2〜5の工事情報についても、個別リスク曲線R2〜R5が描画されている。個別リスク曲線R1、R5は、電力インフラの電力工事のリスクを示す曲線であり、個別リスク曲線R2は、ガスインフラのガス工事のリスクを示す曲線であり、個別リスク曲線R3は、水道インフラの水道工事のリスクを示す曲線であり、個別リスク曲線R4は、通信インフラの通信関連工事のリスクを示す曲線である。個別警戒基準線wlは、これを超えるリスク曲線がある場合には、制御部210に設けたリスク報知部218がこれを検出し、その旨を報知する。例えば、このグラフではリスク報知部218は、個別リスク曲線R5が個別警戒基準線wlを超えていることを検知し、個別リスク曲線R5は太字、点線にして強調表示し、さらに、基準を超えたことを報知する警告ウィンドウWW1を表示するように表示部260を制御する。ユーザは、個別の工事単位のリスクの推移を観察し、適切なリスク管理を行うことが可能となる。
図9は、本発明の一実施態様(実施例2)による総合インフラリスク管理支援システムにより算出された社会的リスクの総和を時系列で表示したグラフである。図8では、縦軸は社会的リスク、横軸は時間(日付)である。本システムが扱う全てのインフラ(即ち総合インフラ)における複数の工事情報から生じる社会的リスクの総和の時間推移を示すリスク曲線RLが画面上に描画されている。時間間隔t1−t2において、リスク曲線RLが警戒基準線WLを超えている。リスク報知部218は、基準を超えたことを報知する警告ウィンドウWW2を画面に表示するように表示部260を制御する。ユーザは、全体的なリスクの推移を観察し、適切なリスク管理を行うことが可能となる。即ち、本構成によれば、複数の対象工事の工事スケジュールの影響によって発生する社会的リスクの時間的推移を観察することが可能となる。そして本構成では、総合工事情報は、工程スケジュールを含む工程管理表(ガンチャート、工程進捗予定表など)、または、詳細な工事スケジュールを含む見積情報から情報抽出部216により抽出することが好適である。
図10は、本発明の一実施態様(実施例2)による総合インフラリスク管理支援システムにより算出された社会的リスクのうち経済的リスクと人的リスクとを時系列で表示したグラフである。図10の(a)では、縦軸は経済的リスク、横軸は時間(日付)である。複数の工事情報から生じる社会的リスクの総和の時間推移を示す経済的リスク曲線ERLが画面上に描画されている。時間間隔t3−t4において、経済的リスク曲線ERLが経済リスク警戒基準線ELを超えている。リスク報知部218は、基準を超えたことを報知する警告ウィンドウWW3を画面に表示するように表示部260を制御する。ユーザは、経済的リスクの推移を観察し、適切なリスク管理を行うことが可能となる。即ち、本構成によれば、複数の対象工事の工事スケジュールの影響によって発生する社会的リスクのうち経済的リスクに限定した時間的推移を観察することが可能となる。そして本構成では、総合工事情報は、工程スケジュールを含む工程管理表(ガンチャート、工程進捗予定表など)、または、詳細な工事スケジュールを含む見積情報から情報抽出部216により抽出することが好適である。
図10の(b)では、縦軸は人的リスク、横軸は時間(日付)である。複数の工事情報から生じる人的リスクの総和の時間推移を示す人的リスク曲線HRLが画面上に描画されている。時間間隔t5−t6において、人的リスク曲線HRLが人的リスク警戒基準線HLを超えている。リスク報知部218は、基準を超えたことを報知する警告ウィンドウWW4を画面に表示するように表示部260を制御する。ユーザは、人的リスクの推移を観察し、適切なリスク管理を行うことが可能となる。即ち、本構成によれば、複数の対象工事の工事スケジュールの影響によって発生する社会的リスクのうち人的リスクに限定した時間的推移を観察することが可能となる。そして本構成では、総合工事情報は、工程スケジュールを含む工程管理表(ガンチャート、工程進捗予定表など)、または、詳細な工事スケジュールを含む見積情報から情報抽出部216により抽出することが好適である。上記と同様に、治安・政治的リスクの推移を監視して、基準値を超える場合にはその旨を同様に警告ウィンドウで表示することも可能である。また、図10では、複数の工事の各リスクの総和を表示したが、個別の工事のリスクを人的、経済的、治安・政治的リスクに細分化して表示することもできる。
実施例3では、工事見積サーバ(積算見積サーバ/システム)の情報を利用して、社会的リスクを求める実施態様を説明する。図11は、本発明の一実施態様(実施例3)による総合インフラリスク管理支援システムの概要を示すブロック図である。図に示すように、総合インフラリスク管理支援システム(TIRM、サーバ)300は、制御部(CPU)310と、入力部320と、出力部330と、通信部340と、記憶部350と、表示部360とを有する。記憶部350は、総合工事と当該総合工事が実施される地点のリスクとを対応付けた総合工事リスクマスターテーブル252と、総合工事と当該総合工事によって引き起こされる前記地点から離れた少なくとも1つの遠隔地のリスクとを対応付けた総合工事リスクリンク情報254とを格納している。記憶部350は、積算要素とリスクとを対応付けた積算要素−リスク変換テーブル356をさらに格納している。
制御部310は、情報取得部312、情報抽出部314、およびリスク算出部316を有する。情報取得部312は、入力部320を介して、工事進捗管理サーバSMSや工事見積サーバ500などから工事見積情報を取得することができる。或いは、情報取得部312は、受信部として機能させた通信部340を介して他のサーバ、コンピュータ、端末など、典型的には工事見積サーバ500や工事進捗管理サーバSMSから工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報を受信する。通信部340は、インターネットなどのネットワークNETに接続され、ネットワークNETを介して遠隔地の端末PC1,PC2、携帯端末PDA1、携帯電話端末MS1、典型的には工事見積サーバ500や工事進捗管理サーバSMSなどとデータを送受信することが可能である。本実施態様では、TIRM300は、は工事見積サーバ500から、ネットワークNETを介して、総合工事情報を含む見積データを取得(受信)する形態で説明する。
工事見積サーバ(積算見積サーバ、ユニットプライス型積算見積サーバ)500は、既存の汎用的な工事見積機能を持つコンピュータシステム(装置)である。このような工事見積サーバは、土木工事、建設工事などの公共工事の分野では一般的なものである。特に公共工事では、歩掛積算データに基づく単価計算による見積データを用いた入札、会計処理などを必要とされる。歩掛積算データは、工事要素(資材、作業工程など)毎に詳細に単価が規定されているため、見積データの計算が複雑かつ煩雑なものである。これを自動化するのが工事見積サーバであり、公共工事の業界を代表として工事業界では広く普及している。
本実施態様では、公共工事を行う工事業界ではこのような積算システムが導入されていることが多いことに着目し、積算見積サーバ/システムに蓄積されているデータを利用することによって、社会的リスクを自動的に生成することを可能にする。従って、工事会社や電力会社に積算見積サーバ/システムが導入されており必要な見積データ(工事関連データ)が存在すればこのデータをそのまま利用することによって、人手をかけずに社会リスクや環境影響評価データ(環境影響評価書、環境影響評価表など)を自動的に作成することが可能となる。
最近では、ユニットプライス型の入札、見積もりが国の指導によって普及しつつあり、これに対応したユニットプライス型の工事見積サーバも開発されている。また、歩掛積算データを活用できるユニットプライス型の工事見積サーバも開発され、一般に使われ始めている。本実施態様では、このような広く普及している工事見積サーバ500から総合工事情報を含む見積データを受信/入力する。工事見積サーバのデータは、ビジネスの根幹である受注作業/営業活動に必要な入札や会計処理のために常に最新のデータに更新しなければならず、従って、予定されている総合工事の積算マスターテーブルおよび目的とする総合工事情報を含む見積データも常に最新で正確かつ詳細なものとなっている。即ち、本実施態様では、このような工事見積サーバ500が最新のものに管理している総合工事情報(見積データ)を利用することが可能であるため、本システムTIRM300のためにわざわざデータを用意する必要がないという大きなメリットがある。
工事見積サーバ500は、制御部(CPU)510、入力部520、通信部(出力部)540、および記憶部550を具える。制御部510は、情報取得部512と見積算出部514とを具える。記憶部550は、歩掛マスターテーブル552を格納している。歩掛マスターテーブル552は、複数の工事の名称、および前記複数の工事の各々に含まれる各要素の単位数量あたりの標準数値からなる標準統計情報を含む。積算マスターテーブル554には、実際に受注した工事の名称、工事に含まれる各要素の単位数量あたりの実数値からなるカスタマイズされた統計情報(即ち、各企業にカスタマイズされた歩掛データ)を含む。工事を構成する積算要素のコード、名称、単価などを格納されている。積算要素は、様々な階層で規定することができる。例えば、工種「工事種類」(土工、建設工事、電気工事など)、種別(機械土工、機器電気工事、配線電気工事など)、規格(バックホー床堀、高圧電線敷設など)、作業工程(高所足場組立、変圧器設置、配電盤設置など)、作業に必要な部材/部品(高圧電線、送電線、配電盤、変圧器、電柱、電線敷設管など)などである。
なお、本実施態様における工事見積サーバ500での対象工事の工事名称の入力形式は、大別して、従来からある積み上げ方式での工事名称と、ユニットプライス形式での工事名称との2つが想定される。ここで、目的工事であるユニットプライス形式で規定された工事名称は、従来の積み上げ方式と同じ名称のものも想定され、このような場合には、歩掛マスターテーブルなどの各種テーブルは、従来からある積み上げ式の積算方式で構築されたものであっても何ら問題なく使用可能である。しかしながら、工事名称が、ユニット定義などによって異なったり、より包括的なものになったりしている場合などに適切に対応するために、「ユニットプライス型積算方式に準拠した工事名称」と、これに含まれる各要素との関連付けを再設定することが望ましい。さらに、両方式が併用可能になるように、工事名称にはユニットプライス形式であることを示すフラグ、或いは通常の積み上げ形式のものであることを示すフラグを設けることが好適である。
ユニットプライス型積算方式では、目的工事に含まれる個々の要素(工程、部材)、例えば、建設資材や燃料などの単価や数量などには着目しないため、基本的には歩掛/積算テーブルを作成する必要はない。しかしながら、ユニットに含まれる各要素に基づきユニットプライスを決定するときの根拠や社内での原価管理などのために歩掛/積算テーブルを構築する必要性がある。さらに、環境影響評価データや社会的リスクを算出するためには、歩掛/積算テーブル上に構築されている各要素の情報が必須である。そこで、本実施態様では、従来からある歩掛/積算テーブルに構築されているこれらの要素のデータを継承して有効利用を図るものである。
情報取得部512は、入力部520や通信部540を介して、ローカル接続された、或いはネットワークを介して接続された端末PC1などから評価対象工事(見積もり対象の工事であり、最終的には社会的リスクや環境影響評価の対象となる工事)の名称、場所およびその数量を入力する。見積算出部514(内訳データ生成手段)は、記憶部550に格納されている歩掛マスターテーブル552を参照して、入力された評価対象工事の名称、場所およびその数量に基づき、評価対象工事に含まれる各要素およびそれらの数量を含む内訳データを演算手段(MPU,CPUなど。図示せず)を使用して生成する。さらに、見積算出部514は、評価対象工事に含まれる各要素と、積算マスターテーブル554に含まれるカスタマイズされた統計情報内の各要素とを比較して、合致する要素が所定の閾値を超える場合は、積算マスターテーブル554をも参照して、評価対象工事およびその数量に基づき、内訳データを生成することもできる。見積算出部514は、内訳データに含まれる細分化された要素(積算要素)の数量および統計情報(即ち、当該要素の単価)から、評価対象工事の見積データを生成する。生成した見積データには内訳データも含まれる。また、一般的に、歩掛/積算データは、地区毎に異なる単価が設定されるため、対象工事が実施される場所に対応して正確な見積を算出するために、内訳データには、当該場所の地区コード/場所情報などを含む。本実施態様では、このように設定/記述された地区コード/場所情報などを有効に利用する。
総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)300の情報取得部312は、通信部340或いは入力部320を介して、工事見積サーバ500の通信部540から、見積データを受信/取得する。情報抽出部314は、受信/取得した見積データから、総合工事情報を構成すべき「積算要素、数量(数量表示がない場合はデフォルトの1を設定する)、工事が行われる場所を示す場所情報」を抽出する。リスク算出部316は、情報抽出部314により抽出された総合工事情報「積算要素、数量、場所情報」に基づき、積算要素―リスク変換テーブル(図12のERT)、総合工事リスクマスターテーブル252(図12のPRM)および総合工事リスクリンク情報254(図12のPRL)を参照して、総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。算出したリスクは、表示部360が画面に表示する。或いは、処理結果(算出された社会的リスク)は、通信部(送信部)340が、端末PC1、工事見積サーバCES、工事進捗管理サーバSMS、工事見積サーバ500に送信してもよい。なお、リスク報知部318の機能はリスク報知部218の機能と同様である。同様の名称名を持つ機能部は、特に言及しない限り同様の機能を持つことに注意されたい。
図12は、図11の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図12に示すように、ステップS51にて、積算要素−リスク変換テーブル(ERT)と、総合工事リスクマスターテーブルPRMと、総合工事リスクリンク情報PRLとを格納する。ステップS52にて、工事見積サーバ500から見積データを取得する。次にステップS53にて、見積データから積算要素(その数量)および場所情報を抽出する。続いてステップS54にて、抽出した積算要素(その数量)に基づき、積算要素−リスク変換テーブルERTを参照して、要素リスクを算出する。例えば、抽出した積算要素を示すコードがE2,E4、E5であり、それぞれの数量が1、3、1であった場合、下記の計算式により要素リスクは45となる。
ER=(E2:送水ポンプ(中容量)のERである8×数量1)+(E4:高圧電線100mのERである10×数量3)+(E5:変圧器(小容量)のERである7×数量1)
=(8×1)+(10×3)+(7×1)=8+30+7
=45
ステップS55では、求めた要素リスクおよび場所情報に基づき、総合工事リスクマスターテーブル(PRM)、総合工事リスクリンク情報(PRL)を参照して、対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。本実施態様では、総合工事リスクマスターテーブル(PRM)、総合工事リスクリンク情報(PRL)は、本システムが扱うインフラを全て考慮した包括的なものであるが、後述するように、インフラ/ライフライン毎に、合工事リスクマスターテーブル(PRM)、総合工事リスクリンク情報(PRL)を記憶部に格納して参照した方がより精度よくリスクを求めることができる。総合工事リスクリンク情報(PRL)は、接続状態を図形で示すトポロジー形式のテーブルPRL−Xとしてもよい。図12の総合工事リスクリンク情報(PRL)では、1つの場所に直接的に接続している地点を規定している。このような規定方法によれば、1つの場所の変更は、当該地点に隣接している地点のリスクリンク情報のみを変更すればよいため、管理が非常に簡単になる。もちろん、表2のように地点毎に影響を受ける場所を全て記述する方式であってもよい。
例えば、求めた場所情報がB地点であり、求めた要素リスクが45である場合は、B地点における局所的な社会的リスクは、下記の計算式により135となる。
B地点の社会的リスク=リスク係数3×要素リスク45=135
B地点の対象工事によって発生する広域的な社会的リスクは、下記の計算式により180となる。
広域的な社会的リスク=(B地点の社会的リスク)+(C地点の社会的リスク)
=135+(C地点の社会的リスク)
=135+(C地点のリスク係数1×要素リスク45)
=135+45
=180
最後にステップS56にて、算出した社会的リスクを表示する。積算要素−リスク変換テーブル(ERT)、総合工事リスクマスターテーブル(PRM)には、人的リスク(HR)、人的リスク係数(H)、経済的リスク(ECR,E)、経済的リスク係数(E)、治安・政治的リスク(SPR)、治安・政治的リスク係数(P)がリスク内訳、リスク係数内訳欄に規定されている。これらの内訳数値を使えば、広域/局所の社会的リスクを構成する人的リスク、経済的リスク、治安・政治的リスクをそれぞれ求めることが可能となる。本システムTIRM300は、見積データに複数の総合工事や工事スケジュール情報が含まれる場合には、図8−10のような社会的リスクなどを時系列で求め、これを時系列に表示することが可能である。
本発明による総合インフラリスク管理支援システムは、総合工事についての労働安全衛生評価システムとしても機能させることができる。労働安全衛生マネージメントシステムOHSAS(Occupational Health and Safety Assessment Series)18001とは、国際的な規模で認証を行っている諸機関(例えば、ロイド、SGS、日本規格協会)などが参加した国際コンソーシアムが策定した労働安全衛生マネージメントシステムの規格である。この規格は、企業などの組織内での労働衛生災害リスクを最小化し、将来の発生リスクを回避する活動を継続的に改善しているかどうかをチェックするためのものである。また、OHSAS18001は、ISO14001規格と同様に、計画、実施及び運用、点検及び是正処置、経営層による見直し、という、プラン(計画)−ドゥー(実行)−チェック(点検)−アクション(見直し)から成るいわゆるデミングサイクルで構成されるものであり、OHSAS18001の求めるマネージメントシステムでは、このサイクルの実施が求められている。
従って、この労働安全衛生規格に準拠(登録審査及び維持審査に合格)するためには、事業活動のすべてを網羅して、労働安全衛生における危険源、即ち、リスクを抽出しこれの影響を算出・評価しなければならないが、手計算でも、コンピュータを用いるにしても、手際よく、定量的に処理する方法を模索しているのが現状である。このような状況において、企業が独自に労働安全衛生関連の書類を整えその登録を受けることは非常に困難であり、一般的には、専門の労働安全衛生コンサルタントに依頼し、危険源評価に関する書類を作成してもらう必要があった。さらに、この規格は一定の周期で維持審査があり、上述したデミングサイクルを常時実践し続け、危険源(リスク)評価表を作成する必要があった。
ところで、建設会社では、施工する工事に関して労働者及び周辺に影響を及ぼす要素(典型的なものは、工事作業者の転落、転倒、工事用重機による作業者のけがなど)が多数存在し、これらの各要素の影響を考慮した危険源評価表を作成する必要があるが、1つの工事であっても様々な多数の要素(作業工程)から構成されており、さらに、建設会社では多数の工事を抱えているのが通常であるため、多数の工事の各要素の危険源を適切に評価した危険源評価表を作成するのは非常に労力や時間がかかるものであった。
本発明による総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)100,200,300は、総合工事についての労働安全衛生評価システムとしても機能させ、工事の各要素の危険源を適切に評価した危険源(リスク)評価表を作成することが可能である。危険源(リスク)評価表は、ユーザの要求、工事データ、危険源評価マスターテーブルの完全性などに応じて労働安全衛生マネージメントシステムOHSAS18001に完全に準拠したもの、或いは、この規格に準拠する危険源(リスク)評価表の一部だけとすることできる。労働安全衛生評価システムとしても機能させる場合は、総合工事リスクマスターテーブルとしては、危険源評価マスターテーブルを規定する。図13は、総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)100,200,300が各記憶部に格納する危険源評価マスターテーブル(総合工事リスクマスターテーブル)の一例を示す図である。図に示すように、危険源評価マスターテーブルは作業工程で分類されており、この図では、右側に、人力掘削に関する作業工程(掘削作業や持ち場の点検など)とその有害要因(通路、岩石など)およびそれに関連付けられた事故型分類(つまずき、切れなど)が表示されている。また、テーブル中では、これらの有害要因別にその重要度、発生可能性、評価(重要度×発生可能性)、ランク(例えば評価の数値が70以上ならA、50以上70未満はB、30以上50未満ならC、0から30未満ならDという基準でランク付けする)なども数値化或いはランク付けされている。このような危険源評価マスターテーブルを参照することによって、各リスク算出部は、当該工事が行われる地点における局所的な社会的リスクの一部を構成する「労働安全衛生リスク」を含む危険源を評価することが可能となる。ちなみに算出されるリスク(危険源/リスク評価表)は、図13の一部を抽出したような形式となる。図13の危険源/リスク評価表では、各リスク、危険源、作業(リスクを伴う作業)に対して、対応策(防止対策/予防対策)を提供することが好適である。ユーザは、この対応策を作業者に提示して、対応策を実施させたり、対応策の実施状況を管理したりすることが可能となる。
本発明による総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)100,200,300は、総合工事についての環境影響評価システムとしても機能させることができる。環境マネージメントシステムとは、国際規格ISO14001およびこれに則った日本工業規格JISQ14001などで新しく規定されて出現した環境管理手法で、環境監査、環境パフォーマンス評価、環境ラベル、ライフサイクルアセスメントなど、環境マネジメントを支援する様々な手法に関する規格から構成されている。これらは経営面での管理手法について定めているものであり、具体的な対策の内容や水準を定めるものではなく、かなりの程度、個々の事業者に委ねられている。また、ISO14001規格は、計画、実施及び運用、点検及び是正処置、経営層による見直し、という、プラン(計画)−ドゥー(実行)−チェック(点検)−アクション(見直し)から成るいわゆるデミングサイクルで構成されるものであり、ISO14001の求めるマネージメントシステムでは、このサイクルの実施が求められている。
従って、この環境ISOに準拠(登録審査及び維持審査に合格)するためには、事業活動のすべてを網羅して、環境に対する影響を算出・評価しなければならないが、手計算でも、コンピュータを用いるにしても、手際よく、定量的に処理する方法を模索しているのが現状である。このような状況において、企業が独自にISO関連の書類を整えその登録を受けることは非常に困難であり、一般的には、専門のISOコンサルタントに依頼し、環境評価に関する書類を作成してもらう必要があった。さらに、このISOは一定の周期で維持審査があり、上述したデミングサイクルを常時実践し続け、環境影響評価表を作成する必要があった。
本発明による総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)100,200,300は、総合工事についての環境影響評価システムとしても機能させ、環境影響評価表(データ)を生成することが可能である。環境影響評価表(データ)は、ユーザの要求、工事データ、資源別環境マスターテーブルの完全性などに応じて、国際規格ISO14001や日本工業規格JISQ14001に完全に準拠したもの、或いは、これら規格に準拠する環境影響評価表(データ)の一部だけとすることできる。環境影響評価システムとしても機能させる場合は、総合工事リスクマスターテーブルとしては、環境影響評価マスターテーブルを規定する。その場合には、TIRM100,200,300に設けた環境評価データ生成部が、工事見積情報に基づき、前記資源別環境マスターテーブルを参照して、環境側面データおよび環境影響データを含む環境影響評価データを演算手段を使用して生成する。即ち、工事見積情報に含まれる情報と合致する情報が環境側面データの項目に含まれる場合は、その項目を抽出し、さらにこの項目に関連付けられている環境影響データの項目も抽出して環境影響データとする。
例えば工事見積情報が表7に示すような内容を含む場合は、歩掛コードB0001、B0002をキーとして表8のような環境側面データを検索し、同じキーB0001、B0002を持つものを探し出し、該当項目から環境影響評価データを抽出する。
Figure 0005158728
Figure 0005158728
このように、本システムTIRM100,200,300は、社会的リスクを構成する環境側面の影響をも評価して出力することが可能である。
実施例4は、実施例1の変形例である。図14は、本発明の一実施態様(実施例4)による総合インフラリスク管理支援システムの概要を示すブロック図である。本実施態様は、記憶部の各テーブル、リスクリンク情報を3大インフラである電力インフラ、ガスインフラ、水道インフラ用に個別に用意してより精度が良いリスクを求めるための構成である。図14の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM、サーバ)100Aの構成要素のうち、図1のTIRM100のそれらと同じ符号のものは、同様の機能、作用を有するものであり、それらの説明は省略する。即ち、総合インフラリスク管理支援システム100Aの記憶部150Aは、総合工事リスクマスターテーブル152Aと、総合工事リスクリンク情報154Aとを格納している。総合工事リスクマスターテーブル152Aは、電力工事と当該電力工事が実施される地点のリスクとを対応付けた電力工事リスクマスターテーブル152P、水道工事と当該水道工事が実施される地点のリスクとを対応付けた水道工事リスクマスターテーブル152W、ガス工事と当該ガス工事が実施される地点のリスクとを対応付けたガス工事リスクマスターテーブル152Gを格納している。総合工事リスクリンク情報154Aは、電力工事と当該電力工事によって引き起こされる前記地点から離れた少なくとも1つの遠隔地のリスクとを対応付けた電力工事リスクリンク情報154P、ガス工事と当該ガス工事によって引き起こされる前記地点から離れた少なくとも1つの遠隔地のリスクとを対応付けたガス工事リスクリンク情報154G、水道工事と当該水道工事によって引き起こされる前記地点から離れた少なくとも1つの遠隔地のリスクとを対応付けた水道工事リスクリンク情報154Wを格納している。
リスク算出部114は、情報取得部112により取得した総合工事情報の種類に応じて、各テーブル152P、152W,152G、各リンク情報154P,154W、154Gを参照して、総合工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する。本構成によれば、より精度良く社会的リスクを求めることが可能となる。
実施例5は、実施例4の変形例である。図15は、本発明の一実施態様(実施例5)による総合インフラリスク管理支援システムの概要を示すブロック図である。図15の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM、サーバ)100Bの構成要素のうち、図14のTIRM100Aのそれらと同じ符号のものは、同様の機能、作用を有するものであり、それらの説明は省略する。即ち、総合インフラリスク管理支援システム100Bの制御部110Bは、情報取得部112Bおよびリスク算出部114Bを有し、それぞれが全て各インフラ別に情報を取得し、リスクを算出する構成となっている。情報取得部112Bは、電力工事用の電力工事情報取得部112P、水道工事用の水道工事情報取得部112W、ガス工事用のガス工事情報取得部112Gを有する。なお、情報取得部は図14のように1つで構成させてもよい。リスク算出部114Bは、電力工事(電力インフラ)用の電力リスク算出部114P、水道工事(水道インフラ)用の水道リスク算出部114W,ガス工事(ガスインフラ)用のガスリスク算出部114Gを有する。リスク算出部114Bは、これら各リスク算出部114P,114G,114Wで求めたリスクの和を求める総合リスク算出部114Tをさらに有する。本構成によれば、各インフラ別の社会リスク、全てのインフラを考慮した総合的な社会リスクをそれぞれ求めることができるため、より詳細な評価を行うことが可能となる。
<水道インフラ/水道工事の実施例>
図16は、図14,15の総合インフラリスク管理支援システムTIRM100A,100Bで実行される処理の一例を示すフローチャートである。図16のフローチャートのステップW21−W24は、水道工事を対象としている点を除けば、図3のステップS21−S24と同様である。即ち、本フローチャートでは、水道水供給管接続形態情報を含む水道工事リスクリンク情報L1wを参照して、工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出し、算出した社会的リスクを、工事影響ネットワーク図N1wとして画面に表示する。図17は、図14,15のTIRM100A,100Bにて、図16のような処理で求めた社会的リスクを表示した形態の工事影響ネットワーク図である。工事影響ネットワーク図N11wは、水道インフラ/水道工事の工事影響を詳細に示すものである。
<ガスインフラ/ガス工事の実施例>
図18は、図14,15の総合インフラリスク管理支援システムTIRM100A,100Bで実行される処理の一例を示すフローチャートである。図18のフローチャートのステップG21−G24は、ガス工事を対象としている点を除けば、図3のステップS21−S24と同様である。即ち、本フローチャートでは、ガス供給管接続形態情報を含むガス工事リスクリンク情報L1gを参照して、工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出し、算出した社会的リスクを、工事影響ネットワーク図N1gとして画面に表示する。図19は、図14,15のTIRM100A,100Bにて、図18のような処理で求めた社会的リスクを表示した形態の工事影響ネットワーク図である。工事影響ネットワーク図N11gは、ガスインフラ/ガス道工事の工事影響を詳細に示すものである。
<電力インフラ/電力工事の実施例>
図20は、図14,15の総合インフラリスク管理支援システムTIRM100A,100Bで実行される処理の一例を示すフローチャートである。図20のフローチャートのステップP21−P24は、電力工事を対象としている点を除けば、図3のステップS21−S24と同様である。即ち、本フローチャートでは、電力供給線続形態情報を含む電力工事リスクリンク情報L1pを参照して、工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出し、算出した社会的リスクを、工事影響ネットワーク図N1pとして画面に表示する。図21は、図14,15のTIRM100A,100Bにて、図18の処理で求めた社会的リスクを表示した形態の工事影響ネットワーク図である。工事影響ネットワーク図N11pは、ガスインフラ/ガス道工事の工事影響を詳細に示すものである。
<実施例3を水道インフラに適用した場合>
図22は、実施例3のTIRM300で実行される処理を水道インフラに適用した場合の一例を示すフローチャートである。図22のフローチャートのステップW51−W56は、水道工事/水道インフラだけを対象としている点を除けば、図12のステップS51−S56と同様である。水道工事/水道インフラに対応している積算要素−リスク変換テーブルERTwと、水道工事リスクマスターテーブルPRMwと、水道工事リスクリンク情報PRLw、PRLw−Xを参照しているため、より精度良く社会的リスクを求めることが可能である。
<実施例3をガスインフラに適用した場合>
図23は、実施例3のTIRM300で実行される処理をガスインフラに適用した場合の一例を示すフローチャートである。図23のフローチャートのステップG51−G56は、ガス工事/ガスインフラだけを対象としている点を除けば、図12のステップS51−S56と同様である。ガス工事/ガスインフラに対応している積算要素−リスク変換テーブルERTgと、ガス工事リスクマスターテーブルPRMgと、ガス工事リスクリンク情報PRLg、PRLg−Xを参照しているため、より精度良く社会的リスクを求めることが可能である。
<実施例3を電力インフラに適用した場合>
図24は、実施例3のTIRM300で実行される処理を電力インフラに適用した場合の一例を示すフローチャートである。図24のフローチャートのステップP51−P56は、電力工事/電力インフラだけを対象としている点を除けば、図12のステップS51−S56と同様である。電力工事/電力インフラに対応している積算要素−リスク変換テーブルERTpと、電力工事リスクマスターテーブルPRMpと、電力工事リスクリンク情報PRLp、PRLp−Xを参照しているため、より精度良く社会的リスクを求めることが可能である。
図25は、総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)100,200,300,100A,100Bが各記憶部に格納する危険源評価マスターテーブル(総合工事リスクマスターテーブル)の一例を示す図である。基本的には図13に示したものと同様であるが、図25では、水道、ガス、電力の用途別に危険源評価マスターテーブルRA1,RA2,RA3と規定している点が異なる。図13の場合と同様に、このような危険源評価マスターテーブルRA1,RA2,RA3を参照することによって、各リスク算出部は、当該工事が行われる地点における局所的な社会的リスクの一部を構成する「労働安全衛生リスク」を含む危険源を評価することが可能となる。ちなみに算出されるリスク(危険源/リスク評価表)は、図25の一部を抽出したような形式となる。図25の危険源/リスク評価表では、各リスク、危険源、作業(リスクを伴う作業)に対して、対応策(防止対策/予防対策)を提供することが好適である。ユーザは、この対応策を作業者に提示して、対応策を実施させたり、対応策の実施状況を管理したりすることが可能となる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。実施態様では、水道インフラ、電力インフラ、ガスインフラについての社会的リスクを算出する態様で説明したが、本発明は、各インフラ用の工事リスクマスターテーブルや工事リスクリンク情報を用意したり、総合工事リスクマスターテーブルや総合工事リスクリンク情報に各インフラ用の情報を格納しておくことで、他のインフラ、例えば、通信インフラや鉄道インフラなどにも適用可能である。
本発明の一実施態様(実施例1)による総合インフラリスク管理支援システムの概要を示すブロック図である。 図1の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図1の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図1のTIRM100で求めた社会的リスクを表示した形態の工事影響ネットワーク図である。 本発明の一実施態様(実施例2)による総合インフラリスク管理支援システムの概要を示すブロック図である。 図5の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図5の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施態様(実施例2)による総合インフラリスク管理支援システムにより算出された社会的リスクを時系列で表示したグラフである。 本発明の一実施態様(実施例2)による総合インフラリスク管理支援システムにより算出された社会的リスクの総和を時系列で表示したグラフである。 本発明の一実施態様(実施例2)による総合インフラリスク管理支援システムにより算出された社会的リスクのうち経済的リスクと人的リスクとを時系列で表示したグラフである。 本発明の一実施態様(実施例3)による総合インフラリスク管理支援システムの概要を示すブロック図である。 図11の総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)で実行される処理の一例を示すフローチャートである。 総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)100,200,300が各記憶部に格納する危険源評価マスターテーブル(総合工事リスクマスターテーブル)の一例を示す図である。 本発明の一実施態様(実施例4)による総合インフラリスク管理支援システムの概要を示すブロック図である。 本発明の一実施態様(実施例5)による総合インフラリスク管理支援システムの概要を示すブロック図である。 図14,15の総合インフラリスク管理支援システムTIRM100A,100Bで実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図14,15のTIRM100A,100Bにて、図16のような処理で求めた社会的リスクを表示した形態の工事影響ネットワーク図である。 図14,15の総合インフラリスク管理支援システムTIRM100A,100Bで実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図14,15のTIRM100A,100Bにて、図18のような処理で求めた社会的リスクを表示した形態の工事影響ネットワーク図である。 図14,15の総合インフラリスク管理支援システムTIRM100A,100Bで実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図14,15のTIRM100A,100Bにて、図18の処理で求めた社会的リスクを表示した形態の工事影響ネットワーク図である。 実施例3のTIRM300で実行される処理を水道インフラに適用した場合の一例を示すフローチャートである。 実施例3のTIRM300で実行される処理をガスインフラに適用した場合の一例を示すフローチャートである。 実施例3のTIRM300で実行される処理を電力インフラに適用した場合の一例を示すフローチャートである。 総合インフラリスク管理支援システム(TIRM)100,200,300,100A,100Bが各記憶部に格納する危険源評価マスターテーブル(総合工事リスクマスターテーブル)の一例を示す図である。
100,100A,100B 総合インフラリスク管理支援システム
110,110B 制御部
112,112B 情報取得部
114,114B リスク算出部
120 入力部
130 出力部
140 通信部
150,150A 記憶部
152,152A 総合工事リスクマスターテーブル
154,154B 総合工事リスクリンク情報
160 表示部
NET ネットワーク
PC1 端末
PDA1 携帯端末
PRN プリンタ
MS1 携帯電話端末
200 総合インフラリスク管理支援システム
210 制御部
212 情報取得部
214 情報抽出部
216 リスク算出部
218 リスク報知部
220 入力部
230 出力部
240 通信部
250 記憶部
252 総合工事リスクマスターテーブル
254 総合工事リスクリンク情報
CES 工事見積サーバ
SMS 工事進捗管理サーバ
EL 経済リスク警戒基準線
ERL 経済的リスク曲線
HL 人的リスク警戒基準線
HRL 人的リスク曲線
N1,N11 工事影響ネットワーク図
R1-R5 個別リスク曲線
RL リスク曲線
SR 総合社会リスクウィンドウ
W0-Wn リスクウィンドウ
W31 リスクサブウィンドウ
AR,ARw,ARg,ARp 矢印
WL 警戒基準線
WR1-n リスク
WW1−4 警告ウィンドウ
wl 個別警戒基準線
300 総合インフラリスク管理支援システム
310 制御部
312 情報取得部
314 情報抽出部
316 リスク算出部
318 リスク報知部
320 入力部
330 出力部
340 通信部
350 記憶部
352 総合工事リスクマスターテーブル
354 総合工事リスクリンク情報
356 積算要素―リスク変換テーブル
500 工事見積サーバ
510 制御部
512 情報取得部
514 見積算出部
520 入力部
540 通信部
550 記憶部
552 歩掛マスターテーブル
554 積算マスターテーブル
RA1,RA2,RA3 危険源評価マスターテーブル

Claims (10)

  1. 通信インフラリスク管理支援システムであって、
    通信関連工事が実施される地点と、当該地点のリスクの情報とを対応付けた通信関連工事リスクマスターテーブルと、通信関連工事が実施される地点と、ライフラインで直接的に接続された、或いは、少なくとも1つの別の地点を経て間接的に接続された、前記通信関連工事によって引き起こされる、前記地点から離れた少なくとも1つの遠隔地とを対応付けた通信関連工事リスクリンク情報とを格納する記憶部と、
    少なくとも1つの対象工事に関する情報と、該対象工事が実施される地点と、を含む通信関連工事情報を取得する情報取得部と、
    前記情報取得部により取得した通信関連工事情報に含まれる前記対象工事が実施される地点に基づき、前記通信関連工事リスクマスターテーブルを参照して、前記対象工事が実施される地点に対応付けられたリスクの情報を求め、求めたリスクの情報および前記対象工事に関する情報に基づき、局所的リスクを求め、該対象工事が実施される地点に基づき、前記工事リスクリンク情報を参照して、前記ライフラインで直接的に接続された、或いは、少なくとも1つの別の地点を経て間接的に接続された、少なくとも1つの遠隔地を求め、求めた少なくとも1つの遠隔地に基づき、前記通信関連工事リスクマスターテーブルを参照して、該少なくとも1つの遠隔地に対応付けられたリスクの情報を求め、求めた該遠隔地に対応付けられたリスクの情報、および、前記対象工事に関する情報に基づき、広域リスクを求め、求めた広域リスクおよび前記局所的リスクを含むものを該対象工事によって発生する社会的リスクとするリスク算出部と、
    を具える通信インフラリスク管理支援システム。
  2. 請求項1に記載の通信インフラリスク管理支援システムにおいて、
    前記リスク算出部が、
    前記情報取得部により取得した通信関連工事情報に含まれる前記対象工事が実施される地点に基づき、前記通信関連工事リスクマスターテーブルを参照して、前記対象工事が実施される地点に対応付けられたリスクの情報を求め、求めたリスクの情報および前記対象工事に関する情報に基づき、局所的リスクを求め、該対象工事が実施される地点に基づき、前記通信関連工事リスクリンク情報を参照して、前記ライフラインで直接的に接続された、或いは、少なくとも1つの別の地点を経て間接的に接続された、少なくとも1つの遠隔地を求め、求めた少なくとも1つの遠隔地に基づき、前記通信関連工事リスクマスターテーブルを参照して、該少なくとも1つの遠隔地に対応付けられたリスクの情報を求め、
    前記求めた該遠隔地に対応付けられたリスクの情報、および、前記局所的リスクに基づき、広域リスクを求め、
    求めた広域リスクおよび前記局所的リスクを含むものを該対象工事によって発生する社会的リスクとする、
    ことを特徴とする通信インフラリスク管理支援システム。
  3. 請求項1または2に記載の通信インフラリスク管理支援システムにおいて、
    前記通信関連工事リスクリンク情報が、通信関連工事が行われる地点と、当該地点とは離れており、かつ、ライフラインが接続している少なくとも1つの遠隔地とを接続するライフライン接続形態情報を含み、
    前記社会的リスクを工事影響ネットワーク図として出力する出力部をさらに具える、
    ことを特徴とする通信インフラリスク管理支援システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信インフラリスク管理支援システムにおいて、
    前記通信関連工事リスクリンク情報が、
    前記通信関連工事が行われる地点、および/または、前記少なくとも1つの遠隔地における、人的リスク、経済的リスク、および治安・政治的リスクのうちの少なくとも1つを含み、
    前記社会的リスクは、
    前記対象工事が実施される地点、および/または、当該地点と離れた遠隔地の人的リスク、経済的リスク、および治安・政治的リスクのうちの少なくとも1つを含む、
    ことを特徴とする通信インフラリスク管理支援システム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の通信インフラリスク管理支援システムにおいて、
    前記通信関連工事情報が、工事対象となる地点の蓄積量、時間当たりの供給量、時間当たりの通過量、伝送可能量、および、処理量から選択される1つ以上の物理量を含み、
    前記リスク算出部は、前記物理量に基づき、前記通信関連工事リスクマスターテーブルおよび通信関連工事リスクリンク情報を参照して、前記通信関連工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する、
    ことを特徴とする通信インフラリスク管理支援システム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信インフラリスク管理支援システムにおいて、
    前記情報取得部が、工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報を取得し、
    前記情報取得部により取得された工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報から1または複数の通信関連工事情報を抽出する情報抽出部をさらに具え、
    前記リスク算出部は、
    前記情報抽出部により抽出した通信関連工事情報に基づき、前記通信関連工事リスクマスターテーブルおよび通信関連工事リスクリンク情報を参照して、前記通信関連工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する、
    ことを特徴とする通信インフラリスク管理支援システム。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信インフラリスク管理支援システムにおいて、
    他のコンピュータから工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報を受信する受信部と、
    前記受信部により受信された工事スケジュール情報、および/または、工事見積情報から1または複数の通信関連工事情報を抽出する情報抽出部と、をさらに具え、
    前記リスク算出部は、
    前記情報抽出部により抽出した通信関連工事情報に基づき、前記通信関連工事リスクマスターテーブルおよび通信関連工事リスクリンク情報を参照して、前記通信関連工事情報に含まれる対象工事によって発生する社会的リスクを算出する、
    ことを特徴とする通信インフラリスク管理支援システム。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信インフラリスク管理支援システムにおいて、
    外部の工事見積サーバから見積データを受信する受信部と、
    前記受信部により受信された見積データに含まれる少なくとも1つの積算要素を抽出する情報抽出部と、をさらに具え、
    前記記憶部は、積算要素とリスクとを対応付けた積算要素−リスク変換テーブルをさらに格納し、
    前記リスク算出部は、
    前記情報抽出部により抽出した少なくとも1つの積算要素に基づき、前記積算要素−リスク変換テーブル、前記通信関連工事リスクマスターテーブル、および通信関連工事リスクリンク情報を参照して、前記見積データに含まれる積算要素によって発生する社会的リスクを算出する、
    ことを特徴とする通信インフラリスク管理支援システム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の通信インフラリスク管理支援システムにおいて、
    前記社会的リスクを時系列に表示する表示部、
    をさらに具える、ことを特徴とする通信インフラリスク管理支援システム。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の通信インフラリスク管理支援システムにおいて、
    前記社会的リスクが所定の基準値を超える場合、その旨を報知する警告部、
    をさらに具える、ことを特徴とする通信インフラリスク管理支援システム。
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