JP5158693B2 - 等速ジョイント用ブーツ - Google Patents
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Description
このようなブーツは、等速ジョイントの外筐が挿入される第1の端部(大径側の端部)と、その第1の端部よりも小径に形成されるとともに前記等速ジョイントに接続された軸部が挿入される第2の端部(小径側の端部)と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に形成されたベローズ部とで全体略円すい状に構成されている。そして、通常その第1の端部および第2の端部をそれぞれディファレンシャルギア(デフ)側またはハブ側の等速ジョイントの外筐(ケーシング)の外周面と、ドライブシャフト軸部の外周面とにそれぞれバンドによって締結することによって固定される。
例えば、デフ側(インボード側)の等速ジョイント及び前記等速ジョイントに用いられるブーツを一例に挙げて、以下に従来技術構成(図22乃至図26)を説明する。なお、図面は、ブーツの第1の端部(大径側の端部)の薄肉部の断面図である。
このトリポッドジョイントの外筐には、その薄肉化および軽量化を図るため、外周面の軸方向に凹設された軸方向溝が、例えば3本周方向に分散して形成されている。一方、等速ジョイント用ブーツの第1の端部の内周面には、前記外筐の軸方向溝の溝面に適合して、例えば軸方向視形状が円弧状に張り出して形成された厚肉部が形成されている。
「先行技術1」
「先行技術2」
すなわち、ずれ防止部(ずれ防止突部105又は302・ずれ防止凹部104又は303)を意識的にバンド締結部(バンド締結用の凹溝101)から軸方向に外れた位置に設けていたため、先行技術1の従来技術構成では、バンド200の締結による外側からの締付力が前記ずれ防止部には作用しない。
従って、ブーツの第2の端部方向(図中矢印Aで示す方向)へのずれは規制できるものの、第1の端部方向(図中矢印Bで示す方向)のずれを規制する力が極めて弱いものであったため、ブーツの第1の端部がトリポッドジョイントの外筐300に対して軸方向にずれる虞があった。
また、先行技術2の従来技術構成では、前記先行技術1と同様にバンド200の締結による外側からの締付力がずれ防止部(ずれ防止突部105又は302・ずれ防止凹部104又は303)に作用しない。
従って、ブーツの第1の端部方向(図中矢印Bで示す方向)へのずれは規制できるものの、第2の端部方向(図中矢印Aで示す方向)のずれを規制する力が極めて弱いものであったため、ブーツの第1の端部がトリポッドジョイントの外筐300に対して軸方向にずれる虞があった。
「先行技術3」
一方、トリポッドジョイントの外筐外周面301は、シールリップ103が押圧される断面視平坦状に形成されるとともに、ずれ防止突部105が係合するずれ防止凹部303が設けられて、第1の端部方向(図中矢印Bで示す方向)と第2の端部方向(図中矢印Aで示す方向)の双方向へのずれ防止が図られている(例えば、特許文献3を参照。)。
「先行技術4」
一方、トリポッドジョイントは、ずれ防止凹部104に係合するずれ防止突部302を外筐外周面301端部に設けることによって、第1の端部方向(図中矢印Bで示す方向)と第2の端部方向(図中矢印Aで示す方向)の双方向へのずれ防止を図っている。
「先行技術5」
一方、トリポッドジョイントは、ずれ防止凹部104に係合するずれ防止突部302を外筐外周面301端部に設けることによって、第1の端部方向(図中矢印Bで示す方向)と第2の端部方向(図中矢印Aで示す方向)の双方向へのずれ防止を図っている。また、この先行技術5では、さらにブーツ側にずれ防止突部105を設けるとともに、ずれ防止突部105が係合するずれ防止凹部303を外筐外周面301に設けて二重のずれ防止構造を採っている(例えば、特許文献4を参照。)。
すなわち、先行技術3にあっては、バンド締結による締付力は、ずれ防止突部105とずれ防止凹部303との接触面C1と、各シールリップ103,103とトリポッドジョイント外筐300の外周面301との接触面C2,C2に作用するものであるため、接触面積(両接触面C1とC2,C2の総接触面積)が大きく、シールリップ103,103が受ける単位面積当たりの力は小さくなってしまう。
先行技術4にあっては、バンド締結による締付力は、ずれ防止突部302とずれ防止凹部104との接触面C1と、各シールリップ103,103とトリポッドジョイント外筐300の外周面301との接触面C2,C2に作用するものであるため、接触面積(両接触面C1とC2,C2の総接触面積)が大きく、シールリップ103,103が受ける単位面積当たりの力は小さくなってしまう。
先行技術5にあっては、バンド締結による締付力は、ずれ防止突部105とずれ防止凹部303との接触面C1と、各シールリップ103,103とトリポッドジョイント外筐300の外周面301との接触面C2,C2に作用するものであるため、接触面積(両接触面C1とC2,C2の総接触面積)が大きく、シールリップ103,103が受ける単位面積当たりの力は小さくなってしまう。
これでは、シール性が弱くなり各シールリップ103によるシールの実効が図り得ない。
このような状態でバンド200による締付力が掛かると、中心(ずれ防止突部105部位)が下がった状態に撓んでしまい、シールリップ103,103を外筐300の外周面301に押圧する力(締付力)が垂直にならず均一に潰れないため、バンド200による十分な締付力が両シールリップ103,103に与えられなくなるという不具合が生じ、シール性能が低くなる虞が高いばかりか、長期にわたるシール性が確保できない虞もある。
先行技術5の場合では、ずれ防止突部105が浮いている、いわゆる片持ち梁状態となる。
このような状態でバンド200による締付力が掛かると、第1の端部100の端縁側が下がった状態に撓んでしまい、シールリップ103,103を外筐300の外周面301に押圧する力(締付力)が垂直にならず均一に潰れないため、上述した先行技術3の場合と同様の不具合が生じてしまう。
前記等速ジョイントに接続された軸部が挿入される第2の端部(小径側の端部)7と、
第1の端部13と第2の端部7との間に形成されたベローズ部12とで構成され、
第1の端部13と第2の端部7は、外周面の周方向にバンド締結部(例えば大径側バンド締結部14、小径側バンド締結部8)を備え、バンド締結部(例えば大径側バンド締結部14)に設けられるバンド15によって前記外筐と前記軸部に締結固定される等速ジョイント用ブーツであって、
第1の端部13と第2の端部7のいずれか一方若しくは双方のバンド締結部(例えば大径側バンド締結部14)の内周面には、その仮想延長線E1,E2,E3がブーツの軸心Wと交差する少なくとも一つの段差部20,21,23を備えるとともに、その段差部20,21,23を境にした小径の内周面と、前記小径の内周面よりも径方向に大きい大径の内周面を備え、
前記小径の内周面に、小径突条27が周方向に一つ備えられているとともに、
前記大径の内周面に、大径突条26が周方向に一つ備えられており、
前記小径突条27及び大径突条26は、前記バンド締結部(例えば大径側バンド締結部14)の内周面に一体成形されており、
前記バンド締結部(例えば大径側バンド締結部14)から小径突条27までの間及びバンド締結部(例えば大径側バンド締結部14)から大径突条26までの間にはそれぞれ空間部を備えていないことを特徴とする等速ジョイント用ブーツとしたことである。
第1の端部13の内周面には、軸方向溝5に対応して中心方向に張り出して形成された複数個の厚肉部28と、
夫々の厚肉部28間に形成され、厚肉部28よりも径方向の厚さが小さい薄肉部18とを備え、
段差部20,21,23は、薄肉部18の内周面に備えられており、
大径突条26及び小径突条27は、薄肉部18の内周面に備えられていることを特徴とする等速ジョイント用ブーツとしたことである。
第1の端部13の内周面には、軸方向溝5に対応して中心方向に張り出して形成された複数個の厚肉部28と、
厚肉部28よりも径方向の厚さが小さく、厚肉部28の周方向両側に連続して形成される薄肉部18と、
薄肉部18よりも径方向の厚さが大きく、かつ、厚肉部28よりも径方向の厚さが小さく、周方向に隣接する薄肉部18の間に連続して形成される中肉部60とを備え、
段差部20,21,23は、薄肉部18の内周面に備えられおり、
大径突条26及び小径突条27は、薄肉部18の内周面に備えられていることを特徴とする等速ジョイント用ブーツとしたことである。
図1に示すように、トリポッドジョイント1の外筐2は、全体を筒状に形成され、本実施例のブーツ6は、外筐2の開口端部2aに装着される。
すなわち、外筐2の外周面3は、120°ずつ周方向にずれて3面が形成された円筒面4と、これら各円筒面4間に夫々設けられた3つの軸方向溝5とからなる。
円筒面4には、図1に示すように、開口端部2aに近い領域において周方向溝4aが形成され、周方向溝4aと開口端部2aとの間に所望範囲の面部4bが形成されている。
この周方向溝4aの断面形状は、例えば図1に示すように矩形に形成されている。なお、外筐2の外周面3であっても、上述した軸方向溝5には、このような周方向溝4aの加工は施されていない。また、周方向溝4aの断面視形状は特に限定されず、台形状など本発明の範囲内で設計変更可能である。
図3に示すように、ブーツ6は全体を筒状に形成され、トリポッドジョイント1の外筐2側に固定される第1の端部(大径側の端部)13と、その第1の端部13よりも小径に形成され、図示しないドライブシャフトの軸部側に固定される第2の端部(小径側の端部)7とを有する。
そして、第1の端部13と第2の端部7との間には、可撓性を有し屈曲可能に構成された蛇腹状のベローズ部12が形成されている。
なお、本実施例の場合には、ブーツ6は、例えば熱可塑性のポリエステル系エラストマ等の弾性を有する樹脂から形成されている。
この小径側バンド締結部8には、ブーツ6を前記図示しないドライブシャフトの軸部側に締結するためのバンド(図示省略)が装着される。
また、小径側バンド締結部8の軸方向端部には、バンドが軸方向にずれることを防止するための段部9(10)が形成されている。なお、本実施例では、ベローズ部12寄りの端部には、全周にわたって段部9が設けられ、開口寄りの端部には、全周にわたって段部10が突条に設けられている。
なお、この段部10は、周方向の任意箇所にのみ断続的に設けるものとすることも可能である。
第2の端部7の内周面は、前記図示しないドライブシャフトの軸部側の外周面に適合して嵌合可能な内径を有しており、かつ、その軸方向略中央には、軸心方向に向けて突出する周方向に連続した一条の突条(シールリップ)11が形成されている。この突条11の形状及び配設本数は特に限定されず本発明の範囲内で設計変更可能である。
この大径側バンド締結部14には、ブーツ6をトリポッドジョイント1の外筐2の周方向溝4a及び軸方向溝5の溝面を含む外周面3に締結するためのバンド15(図6、7にて図示)が装着される。
また、大径側バンド締結部14のブーツ6の軸方向端部には、バンド15が軸方向にずれることを防止するための段部16(17)が形成されている。なお、本実施例では、ベローズ部12寄りの端部には、全周にわたって段部16が形成され、開口寄りの端部には、後述する3箇所の薄肉部18の夫々の周方向領域内にのみ断続的に段部17が形成されている。この段部17は、後述する3箇所の厚肉部28の夫々の周方向領域内にのみ断続的に設けるものとすることも可能で、また、端部の全周にわたって連続して設けるものとすることも可能である。
なお、3箇所の薄肉部18を周方向に結んだ仮想円は、第1の端部13の外周面と同心円を構成している。
すなわち、第一乃至第三段差部20,21,23は、夫々の仮想延長線E1,E2,E3がブーツ6の軸心Wに対して交差するように形成されており、小径の内周面19と第一段差部20、第二段差部21によって周方向溝4aに適合する(嵌合する)断面視矩形状に形成されたずれ防止突条部24を構成している。一方、大径の内周面22と第二段差部21・第三段差部23によって外筐2側の面部4bが適合する(嵌合する)断面視矩形状に窪ませて形成されたずれ防止凹溝部25を構成している。
なお、厚肉部28の内面には、薄肉部18のようなずれ防止凹溝部25、ずれ防止突条部24が本実施例の場合には設けられていない。
また、本実施例では、第二段差部21の基端(小径の内周面19との交点)21aを、バンド締結部14の幅方向領域Aの内周面の略中央に位置するように構成している。
また、本実施例では、厚肉部28の内面には、それぞれ大径突条26と対向するとともに、その大径突条26と周方向に連続する第1の突条28aと、小径突条27と対向するとともに、その小径突条27と周方向に連続する第2の突条28bが所定間隔あけて並設されている。第1の突条28aと第2の突条28bは、それぞれ断面視三角形を有して同一高さで突出している。
従って、大径突条26の先端26aと第1の突条28aとを結ぶ直径線の長さをL1、小径突条27の先端27aと第2の突条28bとを結ぶ直径線の長さをL2とした時に、L1>L2の関係を有する。
また、図6に示すように、バンド締結部14の幅方向領域Aの内周面略中央位置Acから大径突条26までの距離と小径突条27までの距離を夫々符号L3,L3とすると、本実施例では、バンド締結部14の幅方向領域Aの内周面略中央位置Acから、ブーツ6の軸方向で均等に大径突条26と小径突条27が離間する位置に配設されている(L3=L3)。
このように構成することにより、バンド締結時に大径突条26と小径突条27の先端(シールリップ)26a,27aに掛かる締付力は大径突条26と小径突条27の夫々に均等となり安定した締付及びシール性が与えられる。
なお、本実施例では、厚肉部28の内面に備えられる第1の突条28aと第2の突条28bは、同一の高さH3,H3をもって構成している。
なお、前記段差部は、本実施例では第1の端部13の内面に設けられているが、第2の端部7の内面に設けるものであっても、第1の端部13と第2の端部7の双方の内面に設けるものであってもよく本発明の範囲内で設計変更可能である。
すなわち、先行技術5によれば、バンド締結による締付力f1は、ずれ防止突部105とずれ防止凹部303との接触面C1と、2本のシールリップ103,103と等速ジョイント外筐の外周面301との接触面C2(両接触面C2,C2の総接触面積a1)に作用する。
従って、各シールリップ103が受ける単位面積当たりの力σ1(σ1=f1/a1)は小さくなってしまう。
これに比して、本実施例1によれば、バンド締結による締付力f2は、2本のシールリップ(大径突条26,小径突条27)と等速ジョイント外筐2の外周面(周方向溝4aと面部4b)3との接触面(2本のシールリップの総接触面積a2)にのみ作用する。
従って、各シールリップ(大径突条26,小径突条27)が受ける単位面積当たりの力σ2(σ2=f2/a2)は大きい。
よって、上述の通りa1>a2であることから、σ1<σ2の関係が成立し、本実施例1の方がシールリップ(大径突条26,小径突条27)に作用する締付力が大きくなる。すなわち、本実施例1の方がシール効果が大きいといえる。
まず、トリポッドジョイント1は、外筐2の円筒面4における開口端部2aに近い領域にずれ防止突条部50が形成されている。
そして、ブーツ6は、トリポッドジョイント1の外筐2に装着可能なように、図8に示す特有の第1の端部13の形態が採用されている。すなわち、第1の端部13の厚肉部28形状は実施例1と同一であるが、薄肉部18の内面形状が実施例1と異なっている。
図8に基づいて説明すると、薄肉部18における第1の端部13の開口端部寄りに外筐2のずれ防止突条部50が適合する(嵌合する)ずれ防止凹溝部29が形成されるとともに、ずれ防止凹溝部29よりもベローズ部12寄りに、外筐2のずれ防止突条部50と外筐2の開口端部2aの間に形成される面部4bに適合する小径の内周面30が形成されている。そして、小径の内周面30とずれ防止凹溝部29の大径の内周面29aに夫々突条が備えられ、小径の内周面30に備えられる突条を小径突条27とし、他方、ずれ防止凹溝部29の大径の内周面29aに備えられる突条を大径突条26とする。
従って、このようなブーツ形状を採用することにより、トリポッドジョイント1の外筐2の円筒面4には、ずれ防止突条部32が適合する(嵌合する)周方向溝部4aが、外筐2の開口端部2aに近い領域に設けられている。
従って、このようなブーツ形状を採用することにより、トリポッドジョイント1の外筐2の円筒面4には、ずれ防止凹溝部35に適合する(嵌合する)ずれ防止突条部51が、外筐2の開口端部2aに近い領域に設けられている。
第一ずれ防止凹溝部38は、第一段差部20と第二段差部21と、夫々の段差部20,21間に備えられる断面視平坦状の面部(大径の内周面)41とで断面視凹形状に形成されている。
第二ずれ防止凹溝部39は、第三段差部23と第四段差部42と、夫々の段差部23,42間に備えられる断面視平坦状の面部(大径の内周面)43とで断面視凹形状に形成されている。
そして、第一ずれ防止凹溝部38の面部(大径の内周面)41と、第二ずれ防止凹溝部39の面部(大径の内周面)43の中央には、周方向に連続した大径突条26,26が夫々備えられている。これら両大径突条26は、小径突条27からブーツ軸方向に均等に離間した位置に備えられている。
従って、このようなブーツ形状を採用することにより、トリポッドジョイント1の外筐2の円筒面4は、開口端部2a寄りから第二ずれ防止凹溝部39に適合する(嵌合する)第二ずれ防止突条部52が設けられ、次いで第二ずれ防止突条部52に連続して、ずれ防止突条部37に適合する(嵌合する)ずれ防止凹溝部53が設けられ、そして、ずれ防止凹溝部53に連続して第一ずれ防止凹溝部38に適合する(嵌合する)第一ずれ防止突条部54が設けられている。
第一ずれ防止突条部45は、第一段差部20と第二段差部21と、夫々の段差部20,21間に備えられる断面視平坦状の面部(小径の内周面)48とで断面視矩形突形状に形成されている。
第二ずれ防止突条部46は、第三段差部23と第四段差部42と、夫々の段差部23,42間に備えられる断面視平坦状の面部(小径の内周面)49とで断面視矩形突形状に形成されている。
そして、第一ずれ防止突条部45の面部(小径の内周面)48と、第二ずれ防止突条部46の面部(小径の内周面)49の中央には、第1の端部13内面の周方向に連続した円環状の小径突条27,27が夫々備えられている。これら両小径突条27は、大径突条26からブーツ軸方向に均等に離間した位置に備えられている。
従って、このようなブーツ形状を採用することにより、トリポッドジョイント1の外筐2の円筒面4は、開口端部2a寄りから第二ずれ防止突条部46に適合する(嵌合する)第二ずれ防止凹溝部55が設けられ、次いで第二ずれ凹溝部55に連続して、ずれ防止凹溝部44に適合する(嵌合する)ずれ防止突条部56が設けられ、そして、ずれ防止突条部56に連続して第一ずれ防止突条部45に適合する(嵌合する)第一ずれ防止凹溝部57が設けられている。
「変形例1」
「変形例2」
「変形例3」
本実施例において、外筐2は全体を筒状に形成し、本実施例のブーツ6は外筐2の開口端部2aに装着される。
この周方向溝4aの断面形状は、例えば図17に示すように矩形に形成されている。なお、外筐2の外周面3であっても、上述した第1の周面62と第3の周面66には、このような周方向溝4aの加工は施されていない。また、周方向溝4aの断面視形状は特に限定されず、台形状など本発明の範囲内で設計変更可能である。
すなわち、外筐2の第3の周面66に対応して内周面に等間隔で円弧状に張り出して形成された3箇所の厚肉部28と、第2の周面64に対応し、厚肉部28よりも径方向の厚さが薄肉であって、厚肉部28の周方向両側に連続して形成される6箇所の薄肉部18と、第1の周面62に対応して薄肉部18よりも径方向の厚さが厚肉、かつ、厚肉部28よりも径方向の厚さが薄肉であって、薄肉部18の厚肉部28に連続する側の反対側から連続して形成される3箇所の平坦状の中肉部60を備えている。
そして、バンド締結部14の幅方向領域Aの内周面のずれ防止突条部32の軸方向の両側の面部(大径の内周面)33,33には、夫々周方向に連続した大径突条26,26が備えられている。
また、夫々の大径突条26は、小径突条27からブーツ軸方向に均等に離間した位置に備えられている。
そして、厚肉部28の内周面には、大径突条26と周方向に連続する第1の突条28aと、小径突条27と周方向に連続する第2の突条28bが平行に備えられている。
第1の突条60aと第2の突条60bは、厚肉部28の第1の突条28a,第2の突条28bと同様に同一の高さをもって断面視三角形に形成されている。第1の突条60a、第2の突条60bの断面視形状は、本実施例では断面視三角形であるが、本発明の範囲内で設計変更可能である。
また、本実施例は、外筐2の外面形状に合わせた、厚肉部28、薄肉部18、中肉部60を備えた点に特徴を有するものであって、その他は実施例1乃至6と同様であって、それぞれ説明した各実施の形態が本実施例においても適用可能である。
また、実施例7のように二次成形品として中肉部60を有する形態の場合には、二次成形工程において、一次成形工程において成形された一次成形品の大径側端部に、二次成形品である薄肉部18と厚肉部28と中肉部60を一体成形する。
以下の説明では、二次成形品である薄肉部18と厚肉部28を有する形態について説明するが、外周面形状が異なるコア型を採用することで中肉部60を有する形態の場合であっても採用可能である。
まず、第1の端部13を構成する大径側端部と、その大径側端部よりも小径で第2の端部7を構成する小径側端部(第2の端部)と、その大径側端部と小径側端部の間に一体に形成され、可撓性を有し屈曲可能に構成された蛇腹状のベローズ部12とで構成された一次成形品を一体成形する。ここで、前記大径側端部は、その肉厚が均一な薄肉状に形成される。一次成形品の成形方法としては、例えばブロー成形や射出ブロー成形などが良く知られているが、特に限定されず、本発明の範囲内で適宜最適な成形方法が適用される。
本工程は、一次成形にて成形された上述の一次成形品を、射出成形用金型内に保持するとともに、この金型内に所望な溶融材料、例えば260℃以上の高温の熱可塑性樹脂を高速で射出することにより、前記一次成形品の大径側端部の内周面に、二次成形品たる肉厚の異なる部分、すなわち、複数の薄肉部18と複数の厚肉部28を一体成形して第1の端部13を形成する。なお、以下に説明する構成以外の構成については既知の構成が適用されるためそれらの説明については省略する。なお、上述したとおり、射出される熱可塑性樹脂は260℃以上であるが、特に限定されず、素材が変化しない範囲で適宜設計変更可能である。
そして、一次成形品とコア型を割型の設置空間に保持して型締めする。
なお、予め一次成形品を設置空間に保持し、そしてその一次成形品の大径側端部の内周面との間に所望な二次成形空間を形成してコア型を配置し、その後型締めする工程を採用することも可能で本発明の範囲内である。
このようにコア型を一次成形品の大径側端部の内周面に挿入することにより形成される二次成形空間は、コア型の外周面形状と大径側端部の内周面形状とにより所望な空間に形成される。
例えば、コア型の外周面部分に一定間隔をあけて三個の凹部が形成され、この凹部と一次成形品の大径側端部の内周面との間で厚肉部形成空間が形成され、凹部以外の外周と一次成形品の大径側端部の内周面との間で、上記厚肉部形成空間と連通する薄肉部形成空間が形成される。
例えば、この射出ゲートは、薄肉部成形空間の任意の一箇所乃至複数箇所を選択して備えられる。すなわち、二次成形空間における薄肉部成形空間の任意の一箇所乃至複数箇所に二次成形用の熱可塑性樹脂射出(注入)ポイントを設けると、射出ゲートから厚肉部成形空間までの薄肉部成形空間が狭いランナーとしての役割を兼ね、高温状態を維持しつつ厚肉部成形空間まで溶融材料が高速・高温で一瞬にして送り込まれるため、エアー巻き込みの発生やウェルなどの発生の問題も皆無となる。
なお、射出ゲートは厚肉部成形空間に備え、厚肉部成形空間のみから若しくは厚肉部成形空間を含む複数箇所から熱可塑性樹脂を射出するものとしてもよいが、エアー巻き込み発生防止やウェルド発生防止などの観点からすれば薄肉部成形空間に射出ゲートを備えるのが好ましい。
例えば、周方向に連続する凹状部と凸状部が、大径側端部の内周面の高さ方向に交互に複数個設ければ、一次成形品の大径側端部の内周面と二次成形品たる薄肉部18及び厚肉部28との溶着面積が広くなるため強固に溶着される。なお、上述の通り溶着が強固となり得る構成であればこれに限定して解釈されるものではなく、例えば単独の突起や窪みなどを一個乃至複数個設けることも考えられ、この場合の突起の長さなども任意に設定できる。
このように複数個の流動空間に流れた熱可塑性樹脂が同時に厚肉部成形空間に到達し得るように凸状部の高さ・長さを調整するのが好ましい。
なお、この凸状部は、少なくとも薄肉部成形空間に対応する大径側端部の内周面に形成されていれば良い。また、凸状部は本発明において任意に設けられるものであり、その凸状部本数も適宜設計変更可能である。
すなわち、一次成形品の大径側端部の内周面に対し、射出ゲートの向きθを、0°≦θ≦90°の条件のもとに設定するとともに、一次成形品の大径側端部の内周面と射出ゲートの距離をt、二次成形空間の射出側端部の径方向距離をaとしたときに、その射出ゲートの位置条件を、0≦t≦2a/3とする。
これにより、一次成形品の大径側端部の内周面に高温の熱可塑性樹脂が高速で摺接するように射出され、熱可塑性樹脂が二次成形空間に充填される。
この時、射出された高温の熱可塑性樹脂が、大径側端部の内周面を高速で摺接して流れ込むため、大径側端部の内周面に付着した一次成形用材料の不純物が押し流され、かつ、該内周面に高温・高速で流れた熱可塑性樹脂の熱を伝達して該内周面を溶融させる。
従って、射出された熱可塑性樹脂が、該熱可塑性樹脂の熱により溶融した大径側端部の内周面と強固に溶着し、大径側端部の内周面に薄肉部18と厚肉部28が一体的に二次成形される。
なお、一次成形品の大径側端部の内周面と外周面の双方に熱可塑性樹脂を射出して二次成形品である薄肉部18と厚肉部28を備えた第1の端部13を一体成形することも可能である。
2 等速ジョイントの外筐
6 等速ジョイント用ブーツ
7 第2の端部
12 ベローズ部
13 第1の端部
14 バンド締結部
15 バンド
18 薄肉部
21 第二段差部
24 ずれ防止突条部
25 ずれ防止凹溝部
26 大径突条
27 小径突条
26a,27a 先端
28 厚肉部
28a 第1の突条
28b 第2の突条
E1,E2,E3 仮想延長線
L1 直径線の長さ(小径突条)
L2 直径線の長さ(大径突条)
W ブーツの軸心
60 中肉部
60a 第1の突条
60b 第2の突条
Claims (9)
- 等速ジョイントの外筐が挿入される第1の端部と、
前記等速ジョイントに接続された軸部が挿入される第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に形成されたベローズ部とで構成され、
前記第1の端部と前記第2の端部は、外周面の周方向にバンド締結部を備え、前記バンド締結部に設けられるバンドによって前記外筐と前記軸部に締結固定される等速ジョイント用ブーツであって、
前記第1の端部と前記第2の端部のいずれか一方若しくは双方の前記バンド締結部の内周面には、その仮想延長線が前記ブーツの軸心と交差する少なくとも一つの段差部を備えるとともに、その段差部を境にした小径の内周面と、前記小径の内周面よりも径方向に大きい大径の内周面を備え、
前記小径の内周面に、小径突条が周方向に一つ備えられているとともに、
前記大径の内周面に、大径突条が周方向に一つ備えられており、
前記小径突条及び大径突条は、前記バンド締結部の内周面に一体成形されており、
前記バンド締結部から小径突条までの間及びバンド締結部から大径突条までの間にはそれぞれ空間部を備えていないことを特徴とする等速ジョイント用ブーツ。 - 前記外筐の外周面に複数の軸方向溝が形成されてなるトリポッドジョイントに用いられる等速ジョイント用ブーツであって、
前記第1の端部の内周面には、前記軸方向溝に対応して中心方向に張り出して形成された複数個の厚肉部と、
前記夫々の厚肉部間に形成され、前記厚肉部よりも径方向の厚さが小さい薄肉部とを備え、
前記段差部は、前記薄肉部の内周面に備えられており、
前記大径突条及び前記小径突条は、前記薄肉部の内周面に備えられていることを特徴とする請求項1に記載の等速ジョイント用ブーツ。 - 前記外筐の外周面に複数の軸方向溝が形成されてなるトリポッドジョイントに用いられる等速ジョイント用ブーツであって、
前記第1の端部の内周面には、前記軸方向溝に対応して中心方向に張り出して形成された複数個の厚肉部と、
前記厚肉部よりも径方向の厚さが小さく、前記厚肉部の周方向両側に連続して形成される薄肉部と、
前記薄肉部よりも径方向の厚さが大きく、かつ、前記厚肉部よりも径方向の厚さが小さく、周方向に隣接する前記薄肉部の間に連続して形成される中肉部とを備え、
前記段差部は、前記薄肉部の内周面に備えられおり、
前記大径突条及び前記小径突条は、前記薄肉部の内周面に備えられていることを特徴とする請求項1に記載の等速ジョイント用ブーツ。 - 前記段差部は、周方向に連続して備えられており、前記大径突条と前記小径突条の少なくとも一方が周方向に連続していることを特徴とする請求項1に記載の等速ジョイント用ブーツ。
- 前記厚肉部の内周面には、前記大径突条と周方向に連続する第1の突条と、前記小径突条と周方向に連続する第2の突条が備えられていることを特徴とする請求項2に記載の等速ジョイント用ブーツ。
- 前記厚肉部及び前記中肉部の内周面には、前記大径突条と周方向に連続する第1の突条と、前記小径突条と周方向に連続する第2の突条が備えられていることを特徴とする請求項3に記載の等速ジョイント用ブーツ。
- 前記段差部が軸方向に二つ以上備えられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の等速ジョイント用ブーツ。
- 前記大径突条と前記小径突条は、前記バンド締結部の軸方向略中央位置を境にして、軸方向に略均等に離間した位置に備えられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の等速ジョイント用ブーツ。
- 前記大径突条と前記小径突条のいずれか一方が、前記バンド締結部の軸方向略中央位置に備えられるとともに、前記大径突条と前記小径突条の他方が、前記中央位置を境にして、軸方向に略均等に離間した位置に備えられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の等速ジョイント用ブーツ。
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