JP5158623B2 - ジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法 - Google Patents

ジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5158623B2
JP5158623B2 JP2007106512A JP2007106512A JP5158623B2 JP 5158623 B2 JP5158623 B2 JP 5158623B2 JP 2007106512 A JP2007106512 A JP 2007106512A JP 2007106512 A JP2007106512 A JP 2007106512A JP 5158623 B2 JP5158623 B2 JP 5158623B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
treatment
wastewater
acid
decanter
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007106512A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008229599A (ja
Inventor
正嗣 真柳
Original Assignee
小清水町農業協同組合
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 小清水町農業協同組合 filed Critical 小清水町農業協同組合
Priority to JP2007106512A priority Critical patent/JP5158623B2/ja
Publication of JP2008229599A publication Critical patent/JP2008229599A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5158623B2 publication Critical patent/JP5158623B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/20Fertilizers of biological origin, e.g. guano or fertilizers made from animal corpses
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/40Bio-organic fraction processing; Production of fertilisers from the organic fraction of waste or refuse

Landscapes

  • Fertilizers (AREA)
  • Removal Of Specific Substances (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
  • Treatment Of Sludge (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Description

本発明は、ジャガイモ澱粉製造過程におけるデカンター排水が、PH2.5〜3.4に調整された酸による等電点処理を採用し、徹底した資源化構造に改革する方法であって、小規模で、既設施設であっても極めて簡単かつ低価格にて可能とする。
ジャガイモ澱粉製造過程は、ジャガイモを磨り潰し、非常に大量の清水を何度も繰り返し使用して澱粉質を沈殿させ、この沈殿物が乾燥されることで澱粉を得ている。
この澱粉抽出方法には、大量の清水による精製が必要で、膨大な排水の処理を伴い、特に高濃度タンパク質含有排水(デカンター排水)が環境に及ぼす影響は甚大で、これらの環境対応に多大な費用を費やすことになる。
ジャガイモ澱粉製造は、利益率が非常に低い状況であるにも係わらず、環境対応に費用が嵩むことになり、よって、現実では、ジャガイモ澱粉製造工場は、過小規模の嫌気処理(メタン発酵による浄化で河川放流を可能とする)施設などを設立し、その施設償却及びランニングコストの削減を計る一方、この施設による未処理デカンター排水を、一時退避用プールが設置されて、このプールに貯留しておき、嫌気発酵施設の処理能力復帰後に、同施設へ逆送して処理する方法がとられている。しかし、この方法では、未処理デカンター排水の退避用プールへの退避中に強い腐敗臭が発生し、環境上の弊害となっている。
そして、これらの処理によらぬ殆どの場合は、未処理デカンター排水の濃度を一定程度薄めるなどして、有機物還元を要する圃場に散布している。しかし、この方法でも、散布できる圃場にも限度があり、しかも、ジャガイモ表皮に罹病する土壌伝染病菌であるソウカ病菌(Streptomyces turgidiscabies scabiesなど)が、ジャガイモ澱粉製造過程でのジャガイモを表皮ごと磨り潰し、精製している結果生ずるデカンター排水などの廃棄物には、殺菌もされないので存在し、このソウカ病菌を保有するデカンター排水がそのまま圃場に散布されれば、ソウカ病菌を拡散することになって、この増殖や伝播が懸念されている。
一方、昨今のジャガイモ生産地帯では、カルシウム不足の圃場が多く、ビートや麦、その他作物にも支障が出ている。そこで、広大な畑へのカルシウムの補給は、高価な硫酸カルシウム等によれば最もよいのだが、大量を要するので多少でも安価な炭酸カルシウムで補うことが一般的である。
以上を対処するべく、タンパク質回収をも視野に入れた技術、若しくはプラントそのものの経済性、機能性が問われ、技術開発手段に多大な期待が寄せらている。
そこで、澱粉製造過程に生じる高濃度タンパク質含有排水、即ちデカンター排水をタンパク析出反応槽に導入し、蒸気および/または酸の添加でタンパク質を熱変性および/または等電点処理により析出させ、反応液を凝集槽に導入して凝集し、固液分離機(遠心分離機)で固液分離し、分離液を後処理である嫌気発酵処理槽に導入して嫌気発酵処理を行うといった、所謂、嫌気発酵処理液の処理効率をアップさせるための方法がある。(特許文献1)
また、タンパク質高濃度のデカンター排水が処理されるには、タンパク質を分離除去して、濃度の低下をする前処理と、この前処理の経過後においても、少なくとも電気化学反応で低滅させる電気化学処理とを含み、前処理の経過後の処理排水が所定濃度以上である場合には、前記電気化学処理前に嫌気発酵処理を行うといった処理管理方法がある。(特許文献2)
特開2001−129590号 特開2005−349320号
いずれにしても、これらデカンター排水処理方法は、嫌気発酵処理効率を上げるがための前処理として、蒸気(熱エネルギー)若しくは酸資材と、その中和資材との費用のいずれかが犠牲にされた上でのデカンター排水のタンパク質濃度の低下をし、もって嫌気発酵効率に寄与することで全体処理効率の改善を狙っているものである。
しかし、ジャガイモ澱粉製造処理費用の節減が望まれている現状では、施設の大規模化による設備投資及び資材費用の犠牲が容認できない。
だからといって、現状の未処理デカンター排水を退避用プールへ退避させ、腐敗臭が漂うなどの環境問題を起しても不都合である。また、未処理デカンター排水を濃度を薄めて圃場に散布するとしても、濃度を薄めたからとて未処理デカンター排水本来の腐敗臭が醸し出され、公害問題を起し、更には、ジャガイモの表皮に罹病するソウカ病菌が圃場に散布されることになって不都合である。
また、デカンター排水から析出分離したタンパク質は栄養価が高いにもかかわらず、飼料として有効利用するための採算的且つ具体的方法が未だ示されていない。
なおまた、カルシウム不足の圃場が多く、困惑しているにも係わらず、一般的には炭酸カルシウムに依存されているのみで、よりよい対処が望まれている実情である。
本発明は、ジャガイモ澱粉製造過程におけるデカンター排水を始めとする廃棄物が熱処理を施すことなく、副産物として有効活用される方法を得ることが目的とされるものである。
本発明は、ジャガイモ澱粉製造プラントが抱えている各問題点を連携思考し、一括解消するに当たって、ジャガイモ澱粉製造過程でのタンパク質資源の有効活用や、その製造における省エネルギー化、更には廃棄物である絞り粕のポテトパルプと畜産経済効果との連携等を通じ、継続的な環境保全型農業プラントの実現と、その経済活動の持続性に寄与することであって、極めて小規模な設備であっても、理想的な総合プラントの構築が可能とされる方法を得ることを目的とするものである。
また、各現場固有の実情と、現存施設との活用を図りながら、環境、その他不適当な状況を解消してゆく、即ち嫌気発酵処理施設の小規模設計のもとに現存している一時退避用プールや、圃場還元の為に償却期間にあるローリー散布車を活用しながら改善してゆく方法であり、よって、最新式プラントへの大幅改造投資以外の手段として、投資現場に選択肢が提供されることを目的とする
本発明のジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法は、デカンター排水が酸を使用して、タンパク質の残存率を最小にし、且つソウカ病菌を死滅させるPH2.5〜3.4に調整され、等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離して、この固形分回収後の低負荷酸性水(処理後残排水)を中和せず、長期的にプールに退避させても酸性保持によるタンパク質などの変敗抑制効果により、退避中における腐敗臭の発生防止に寄与し、その後、該低負荷酸性水を有機質液肥として圃場に散布されてもソウカ病菌が死滅しているので拡散されないことにある。(請求項1)
本発明のジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法は、デカンター排水に対し、PH2.5〜3.4の酸による等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離し、この固形分回収後の低負荷酸性水(処理後残排水)が一時的にプールに退避され、ジャガイモに罹病するソウカ病菌を酸性液中で死滅させた後、製糖工場廃棄物からなる有機アルカリ土壌改良剤であるライムケーキにて中和してから、有機質液肥として圃場還元することにある。(請求項2)
本発明のジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法は、デカンター排水に対し、PH2.5〜3.4の酸による等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離し、この固形分回収後の低負荷酸性水が製糖工場廃棄物からなる有機アルカリ土壌改良剤であるライムケーキにて中和し、中和後の上清水を有機質液肥として、またその沈殿物をカルシウム分豊富な土壌改良剤として圃場還元することにある。(請求項3)
本発明のジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法は、ジャガイモ澱粉製造と、その廃棄物処理とに二極化している従来の施設を、徹底した廃棄物資源化プラントへ構造改変する方法である。
そして、今後のエネルギー事情を考慮して、熱源エネルギーの継続使用に基ずく処理方法がコストの高騰を招くことになるので、この熱エネルギーが使用されない酸による等電点処理を採用することによって、サイレージ化、及び圃場への液肥による資源付加価値の向上を図ることができる。
従来の嫌気発酵処理効率を上げる為の前処理は、デカンター排水中のタンパク質の熱変性沈殿、もしくはPH3.5〜5の酸(電解質)による沈殿分離をし、遠心分離していたが、これらはプラント施設増となるのみならず、ランニングコストが高額であった。
そこで、デカンター排水を酸によるPH2.5〜3.4に調整し、等電点処理と遠心分離することによってタンパク質の残存量を究極まで下げることができ、よって、処理後回収残排水が腐敗臭発生を防止し、臭気改善問題を大幅に解決することができる。
そして、デカンター排水を、酸によるPH2.5〜3.4に調整し、等電点処理と遠心分離することによって固形分残存量が究極まで下げられ、タンパク質などの固形分を析出分離でき、これによって、一層の液肥の合理化形成ができる。
ジャガイモ澱粉製造工場は、同時に甜菜製糖工場の立地地帯であり、公害問題になりつつある甜菜製糖過程の産業廃棄物からなる有機アルカリ土壌改良剤であるライムケーキ(有機炭酸カルシウムが主成分)の実質無料提供によって、ジャガイモ澱粉製造過程の強酸化したデカンター排水を中和し、有効な液肥にさせ、この液肥を圃場に散布することができる。
ところで、デカンター排水は、PH2.5〜3.4の酸による等電点処理と遠心分離で高分子タンパク質が析出除去され、その処理された処理後残排水には低分子タンパク質が多く、この低分子タンパク質は、根毛生育剤(高分子タンパク質は分子が大きく根毛より吸収されにくいが、低分子タンパク質は分子が小さいので根毛より吸収されやすく、よって、根毛が肥え、結果的には植物を繁茂させる)にすることができる。
デカンター排水のPH2.5〜3.4の酸による等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離した後の処理後残排水は、強酸性であるので、ジャガイモに罹病しているソウカ病菌をこの酸によって迅速に死滅させることができ、圃場へ散布してもソウカ病菌の拡散とならない。
そこで、本発明のジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法は、既設小型プラントのままで効率アップし、圃場への散布やデカンター排水の退避プール敷地の極小化、もしくは取り止め、またはタンパク質濃度低下と酸による腐敗臭気減などの問題解決ができることになる。
本発明は、PH2.5〜3.4の酸による等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離し、この固形分回収後の低負荷酸性水が製糖工場廃棄物からなる有機アルカリ土壌改良剤であるライムケーキにて中和された場合、その中和後の上清水を有機質液肥として圃場還元することができ、また、その中和後の沈殿した沈殿物はカルシウムが豊富であって、カルシウム不足の圃場へカルシウム分豊富な土壌改良剤として最良の補給ができる。
また、現存のカルシウム不足の圃場には、硫酸カルシウムや炭酸カルシウム等をもって補給されているが、ジャガイモ生産地帯の土壌に多く分布するソウカ病は、一般的には土壌PHがアップされることにより罹病を助長することになっているので、この点、ライムケーキにて中和された後のその沈殿物を使用することによって、この沈殿物は、PHをアップさせないが高価な硫酸カルシウムや安価であるがPHを上げてしまう炭酸カルシウム等の代用肥料となり得て、安価で、価値の高い土壌改良剤となり得る。
本発明は、ジャガイモ澱粉製造過程におけるデカンター排水の前処理負荷軽減として、PH2.5〜3.4の酸による等電点処理を採用する際に、同工場副産物の付加価値増に適合するべく酸の選択と使用手段、更には処理後の酸性残排水の中和の際のアルカリ剤の選択、及び処理後酸性水の処分や目的別に中和時期をコントロールすることができる。
また、現場固有の実情と現存施設の活用とを図りながら、環境、その他不適切な状況を解消していくことができる。
発明を実施するための形態
ジャガイモ澱粉製造過程は、ジャガイモを磨り潰し、非常に大量の清水を何度も繰り返し使用することで澱粉を沈殿させ、乾燥させるという抽出手段を採り、当然ながら膨大な排水を伴い、高濃度のタンパク質などを含有するデカンター排水の処理には特に苦慮している。
そこで、本発明は、図1に示す如く、このデカンター排水1に、繰り返し酸を注入2し、攪拌機3で攪拌し、そしてPH計4で計測しながらPH2.5〜3.4に調整し、タンパク析出反応槽5で等電点処理し、凝集処理進行度がレベルセンサー6で測定され、上清水7と沈殿物8とに分離される。
デカンター排水が、酸を使用してPH2.5〜3.4に調整され、等電点処理してタンパク質など固形分10を析出分離する際の上清水7は、沈殿物8の遠心分離機9による分離がされた分離液11をも共に合流し、固形分回収後の中和されない低負荷酸性水であって、この低負荷酸性水中であることによって、ジャガイモに罹病するソウカ病菌が死滅される。よって、その後、該上清水の低負荷酸性水は有機質液肥として圃場へ散布20される。
また、甜菜製糖工場はジャガイモ澱粉工場近郊に設立されていることが往々であって、該ジャガイモ澱粉工場に隣接設置のプール18に、デカンター排水をPH2.5〜3.4の酸で調整され、等電点処理してタンパク質など固形分10を析出分離した際の上清水7の低負荷酸性水が退避貯留され、該低負荷酸性水は、製糖工場廃棄物からなる有機アルカリ土壌改良剤であるライムケーキが近郊該製糖工場から供給され、これによってプールと隣接するライムケーキ浸透桝19で中和され、その上で、中和後の上清水を有機質液肥とし、またその中和後の沈殿物をカルシウム分豊富な土壌改良剤として圃場還元してもよい。
更にまた、上清水7は、水酸化ナトリウム(NaOH)でPH4〜11に中和21し、嫌気発酵処理施設22で嫌気発酵し、更に好気発酵である表面バッキ23し、河川放流24にしてもよいことは云うまでもない。
前記上清水7と分離された沈殿物8は、遠心分離機9にかけられ、更にタンパク質など固形分10と分離液11に遠心分離され、該分離液は上清水7に合流されるが、タンパク質など固形分10は、定量ポンプ12にてベルトコンベア13へ定量抽出された吸水性豊富な飼料であるフスマなどとジャガイモ澱粉製造過程にて別途排出される絞り粕のポテトパルプ15とが混合調整されてサイレージベースとなし、このサイレージベースに前記タンパク質など固形分10が加えられ、スクリューオーガー16で二次混合し、送り出され、高タンパクサイレージとしての混合飼料17が排出されることになる。
本発明は、デカンター排水がプールに退避されても、その退避中における腐敗臭の発生防止に寄与するためには、タンパク質を究極まで下げることにあり、熱エネルギーを全く使用せずに減少させる為には、酸をもって等電点処理と遠心分離とで行うことにある。タンパク質などの固形分がより多く析出分離され、残存を少なくする領域は、デカンター排水が酸のPH2.5〜3.4に調整されたときであって、この領域外では低下する(図2A、図2B)。
よって、デカンター排水を酸でPH2.5〜3.4に調整し、等電点と遠心分離処理をすることによってタンパク質などの残存量を究極まで下げ、それでプールに長期的に退避されていても悪臭を漂わすことがない。
したがって、このデカンター排水の悪臭のない固形分回収後の処理後残排水は、液肥として圃場に散布することができる。
本発明は、デカンター排水を、原料受入れ期間の終了期まで、酸のPH2.5〜3.4で調整し、等電点処理による濃度低下後の処理後残排水を、その酸性状態のままプールに退避させておきこのことで、腐敗進行やそれに伴う臭気発生を防御することができ、また、ジャガイモの表皮に罹病して広く汚染しているソウカ病菌を死滅させることができる
なお、ソウカ病菌の圃場拡散の危険性について、これの参考事例として、酸にてPH3〜5調整したYMブロス培地に、同ソウカ病菌(Streptomyces.turgidiscabiesおよびS.scabies)の胞子懸濁液を摂取し、25℃恒温静置培養した試験が公表されている(北海道立畜産試験場、北海道立十勝農業試験場)。これによれば、発生消長はPH4.5以上では増殖したが、PH4.0、PH3.5、PH3.0においてはそれぞれ5日後、2日後、1日後に不検出となった旨の報告がなされている。
そこで、本発明は、デカンター排水を酸にてPH2.5〜3.4に調整し、等電点処理と遠心分離でタンパク質などの固形分を最も多量に析出除去し、その固形分回収後の処理後残排水は、使用したPH2.5〜3.4の酸によってジャガイモに罹病しているソウカ病菌を死滅させる。この後、近傍設立されている製糖工場の廃棄物からなる有機アルカリ土壌改良剤であるライムケーキで中和し、中和後のその上清水を有機質液肥として圃場還元し、また、中和後のその沈殿物はカルシウム豊富であるので、カルシウム不足の圃場へ土壌改良剤として補給する。
ところで、各澱粉工場では、圃場への有機質還元散布が多いため、ローリー散布車装備が充実している。
PH2.5〜3.4の酸で調整、等電点処理した処理後残排水はプールに退避され、圃場へ散布直前においてPH6程度までに酸性緩和することが好ましく、同プールに隣接したライムケーキ浸透桝を設置することにより、同桝を一旦通過してライムケーキで中和された液がローリー散布車に汲み上げられて圃場へ散布される。このことでローリー散布車の酸性腐蝕などのリスクが回避されると共に、圃場散布の上でも良好である。
そこで、ライムケーキについて、その有効成分は、含水率約30%であり、カルシウム30%、窒素0.3%、リン酸0.8%、有機物7%とされる。よって、窒素・有機質含有の関係で嫌気発酵処理への前処理中和剤としては不向きであるものの、圃場還元散布にはむしろ有効であり、中和力を失った沈殿物は堆肥の増量材としても利用できる。
尚、各製糖工場は、廃棄物からなる有機アルカリ土壌改良剤であるライムケーキを概ね運賃程度の取引価格で譲渡していることから、大量に仕入れることができ、中和剤としては極端に安価な経費で実現できる。
なお、必要に応じて、デカンター排水が硫酸を使用してPH2.5〜3.4に調整し、等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離し、この固形分回収後の処理後残排水を水酸化ナトリウム(NaOH)などで中和することにより、後処理である嫌気発酵が可能になり、この嫌気発酵に適したPH4〜11に中和調整されよって、嫌気発酵処理されたものは、河川への放流が可能になる。
続いて、等電点処理後排水のタンパク質濃度低下情況の把握と、遠心分離機の機能と経済性、及び酸の種類選択との関連を探るべく、PHや酸の種類、更には沈殿スピード及び沈殿エリア域を調査した。(図2A、図2B)
例えば、塩酸にてPH2,3,4,5、に調整したデカンター排水と未処理デカンター排水を対比した場合で、処理後24時間経過の上清水タンパク質濃度をブラッドフォード法により定量した場合、各上清水1mg中に残存するPH2,3,4,5、及び未処理区のタンパク質量の平均値(μg)は、それぞれ1091,819,4565,5572、及び未処理の6086となり、除去量はPH3が最高だった。(なお、未処理デカンターも若干の自然沈殿が認められた)
これは、排水処理力に乏しい大多数の工場が、隣接プールを用いて慣習的に行っている一時退避方法に鑑み、24時間放置実験にてその再現性を考慮した実験である。
以上、他の酸においてもPH3付近がより好ましい傾向を示したため、今度は新たなサンプルにて、PH3に固定した酸の種類別実験を行った(図3A、図3B)ところ、塩酸、硫酸、蟻酸、乳酸、酢酸及び未処理における24時間経過後の上清水1g中のタンパク質量の平均値(μg)は、それぞれ739,738,801,901,527,及び未処理の5717となった。以上から、同実験方法によれば塩酸・硫酸・酢酸がより残存値が少なく好ましいと考えられるが、総じて酸の経費では一般的に硫酸が有利であり、またサイレージ処理としては蟻酸にも特殊有利性が認められる。
尚、微粒子専門の高速連続遠心分離機は一般的に単位時間当たり処理能力に比して高価な為、別途反応待機槽を設置の上、一定反応時間経過後に上清水部分を排除した沈殿エリアのみの遠心分離処理が有利な場合も考えられる。この点、硫酸、塩酸は沈降速度と圧密度の両面において非常に良好であり、続いて蟻酸が有利であった。また酢酸は沈殿速度が極端に遅く、好ましいとは云えない。
これらのことから、先ず、ライムケーキ自体がもっている特性を把握する為、実験を行った(図4)。
PH7に調整した純粋100ml中にライムケーキ1gを添加した後、攪拌し続けながらPH計測すると、反応時間が実験開始5分程度で急速に上昇し、その後、30分経過の時点でPH9.51にて安定した。
また、20wt%硫酸を用いてPH3にて等電点処理したデカンター排水を、24時間静置してタンパク質などを沈殿させた。その上清水100mlを採取してサンプルとし、これに、5分毎にライムケーキを500mgづつの連続添加を施したところ、5分後、10分後、15分後,20分後、25分後、30分後、35分後、40分後、の各PHはそれぞれ3.63、4.25、4.88、5.58、5.84、5.98、6.11、6.24、となった。そこで、実験開始30分直後に投下したライムケーキの総投入累計値は3.5gである。これが、その5分後である35分経過時点での発現効果とみて、投入量3.5gをもって、目標PH6.00を通過したとみなせる。
よって、PH3による等電点処理されたデカンター排水をPH6まで上昇させるに必要なアルカリ剤は、同排水1万tあたりライムケーキ約350tである。すると、10t車35台程度の料金である。ライムケーキがt当たり500〜1000円とすると数十万円の経費となる。
それに対して、20wt%硫酸を用いてPH3にて等電点処理したデカンター排水を24時間静置してタンパク質などを沈殿させた。その上清水100mlを採取してサンプルとし、これに、水酸化ナトリウム(NaOH)の微量連続添加を施す。すると、PH5.95には742.6mg投入したことになる。よって、PH3であったデカンター排水をPH6にするために必要な水酸化ナトリウムは、同排水1万tあたり約74.26tである。水酸化ナトリウムの場合は、tあたり12.5万円位とすると、約一千万円になる。
以上から、経費に格段の格差がある。
ジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法のフローチャートである 塩酸の場合の各PHによるタンパク質濃度定量結果表及びその図である 塩酸の場合の各PHにおけるタンパク質残存率図である 各酸におけるPH3によるタンパク質濃度結果表及びその図である 各酸におけるPH3によるタンパク質残存率である ライムケーキ中和力試験図である
符号の説明
1 デカンター排水
2 酸
3 攪拌機
4 pH計
5 タンパク析出反応槽
6 レベルセンサー
7 上清水
8 沈殿物
9 遠心分離機
10 タンパク質など固形分
11 分離液
12 定量ポンプ
13 ベルトコンベア
14 タンク
15 ポテトパルプ
16 スクリューオ−ガー
17 混合飼料
18 プール
19 ライムケーキ
20 圃場
21 中和(NaOH)
22 嫌気処理施設
23 表面バッキ
24 河川

Claims (3)

  1. デカンター排水が酸を使用して、タンパク質の残存率を最小にし、且つソウカ病菌を死滅させるPH2.5〜3.4に調整され、等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離して、この固形分回収後の低負荷酸性水(処理後残排水)を中和せず、長期的にプールに退避させても、酸性保持によるタンパク質などの変敗抑制効果により、退避中における腐敗臭の発生防止に寄与し、その後、該低負荷酸性水は有機質液肥として圃場へ散布されてもソウカ病菌が死滅しているので拡散されないことを特徴とするジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法。
  2. デカンター排水に対し、酸による等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離し、この固形分回収後の低負荷酸性水(処理後残排水)が一時的にプールに退避され、ジャガイモに罹病するソウカ病菌を酸性液中で死滅させた後、製糖工場廃棄物からなる有機アルカリ土壌改良剤であるライムケーキにて中和してから、有機質液肥として圃場還元することを特徴とする請求項1記載のジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法。
  3. デカンター排水に対し、酸による等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離し、この固形分回収後の低負荷酸性水が製糖工場廃棄物からなる有機アルカリ土壌改良剤であるライムケーキにて中和し、中和後の上清水を有機質液肥とし、またその沈殿物をカルシウム分豊富な土壌改良剤として圃場還元することを特徴とする請求項2記載のジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法。
JP2007106512A 2007-03-19 2007-03-19 ジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法 Active JP5158623B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007106512A JP5158623B2 (ja) 2007-03-19 2007-03-19 ジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007106512A JP5158623B2 (ja) 2007-03-19 2007-03-19 ジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008229599A JP2008229599A (ja) 2008-10-02
JP5158623B2 true JP5158623B2 (ja) 2013-03-06

Family

ID=39903023

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007106512A Active JP5158623B2 (ja) 2007-03-19 2007-03-19 ジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5158623B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103553739A (zh) * 2013-09-30 2014-02-05 眉县果业技术推广服务中心 利用淀粉废水生产液体有机肥料的方法
CN108083577A (zh) * 2017-12-27 2018-05-29 张秋生 一种用于天然药物提取污水处理调节系统及污水处理方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5233812B2 (ja) * 2009-01-27 2013-07-10 株式会社Ihi 嫌気性処理設備及び方法並びに澱粉製造排水の処理設備及び方法
JP2011088051A (ja) * 2009-10-21 2011-05-06 Ihi Corp 排液処理設備及び排液処理方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3066577B2 (ja) * 1997-03-28 2000-07-17 株式会社三興製作所 馬鈴薯等を原料とする澱粉工場のデカンター濃厚汁液排水処理方法及び装置
JP3846131B2 (ja) * 1999-10-29 2006-11-15 栗田工業株式会社 澱粉製造排水の嫌気性処理方法
JP3870712B2 (ja) * 2000-05-02 2007-01-24 栗田工業株式会社 循環冷却水の処理方法及び処理装置
CN1240277C (zh) * 2001-04-05 2006-02-08 东丽株式会社 水处理用杀菌剂、水处理方法和水处理装置
JP2005161173A (ja) * 2003-12-02 2005-06-23 Ebara Corp たんぱく質含有排水のメタン発酵処理方法と装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103553739A (zh) * 2013-09-30 2014-02-05 眉县果业技术推广服务中心 利用淀粉废水生产液体有机肥料的方法
CN103553739B (zh) * 2013-09-30 2015-06-10 眉县果业技术推广服务中心 利用淀粉废水生产液体有机肥料的方法
CN108083577A (zh) * 2017-12-27 2018-05-29 张秋生 一种用于天然药物提取污水处理调节系统及污水处理方法
CN108083577B (zh) * 2017-12-27 2020-12-11 张秋生 一种用于天然药物提取污水处理调节系统及污水处理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008229599A (ja) 2008-10-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Bolzonella et al. Nutrients recovery from anaerobic digestate of agro-waste: Techno-economic assessment of full scale applications
Kapellakis et al. Olive oil history, production and by-product management
Ubalua Cassava wastes: treatment options and value addition alternatives
EP1809578B1 (en) Method and installation for producing biogas with anaerobic hydrolysis
US10781143B2 (en) Method and plant for treatment of organic waste
US20160318819A1 (en) Organics and nutrient recovery from anaerobic digester residues
US10766826B2 (en) Process for producing a fuel from lignocellulosic feedstock
Schnürer et al. Microbiology of the biogas process
DK152038B (da) Fremgangsmaade til anaerob omdannelse af fast organisk affaldsmateriale stammende fra planter og/eller dyr
CN103342590A (zh) 一种厨余垃圾制作生物有机肥的方法
CN102584357B (zh) 一种蔬菜废弃物快速资源化零排放的处理方法
Akhiar Characterization of liquid fraction of digestates after solid-liquid separation from anaerobic co-digestion plants
JP5158623B2 (ja) ジャガイモ澱粉製造過程における排水処理方法
JP2006334584A (ja) 糖化残渣の有効活用を前提としたバイオマス燃料電池発電システム
JP2006176765A (ja) キノコ栽培廃菌床の加圧熱水処理方法およびこれを利用した堆肥物の製造方法ならびにこの製造方法による堆肥物
JP2005013909A (ja) 有機性廃棄物由来の発酵産物の処理方法、飼料の製造方法
US20140370566A1 (en) High-nitrogen loading for ammonia processing via anaerobic digestion
DE102007006483A1 (de) Verfahren zur Gewinnung eines Wertproduktes, insbesondere Stärke, aus einem Getreidemehl
CN104926052B (zh) 一种可回收利用的污泥处理方法
CN104530447A (zh) 从酒精废醪液中提取生物腐植酸的方法
JP4807646B2 (ja) ジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法
EP1149805A1 (en) Process for generation of energy from industrially processed fruits and vegetable waste
JP5112793B2 (ja) メタン発酵消化液の廃液処理方法及び装置
CN102924258A (zh) 一种利用糖厂滤泥生产甲酸钙的方法
JP4524522B2 (ja) タンパク質含有廃水の処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100420

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110202

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110726

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5158623

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20221221

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350