JP2006334584A - 糖化残渣の有効活用を前提としたバイオマス燃料電池発電システム - Google Patents

糖化残渣の有効活用を前提としたバイオマス燃料電池発電システム Download PDF

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Abstract

【課題】バイオマスを糖化し、糖化液中の多様な有機物を電子供給源として用いた燃料電池発電若しくは有用発酵物質生産を行い残渣を土壌改良材等に有効利用する方法を提供する。
【解決手段】(1)木質・草本系バイオマス等を必要に応じて細分化・粉砕後、硫酸糖化して得た糖化液を、酸性のまま「生物有機物−空気電池」等による燃料電池発電の電子供給源に用いると同時に、残渣を生石灰で中和後土壌改良材等に活用、(2)糖化液を、「生物有機物−空気電池」等による燃料電池発電に用いるか、若しくは有機酸、エタノール等の生産に利用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、稲藁等の木質・草本系バイオマス、活性汚泥等の糞尿系バイオマス、食品産業廃棄物、古紙、生ゴミを含む全てのバイオマスの酸糖化液を中和後に発生するバイオマス残渣を土壌改良材、濁水抑制材、微細土壌流出抑制材、堆肥化素材、建築資材のいずれかとして有効利用する事を前提とした上で、糖化液中の多様な有機物を電子供給源として用いた燃料電池発電若しくは有用発酵物質生産を行う方法及び装置、更にはこのシステムを用いた植物環境修復法に関する。
燃料電池に関する技術開発は近年、急激に増加しているが、(体内埋め込み機器用以外の)グルコース燃料電池に関する報告は少なく(文献:「血液で発電する電池を開発、体内埋め込み医療具に利用」読売新聞、2005.5.13)、専門家間でさえ燃料電池分野全体に占めるこの技術の重要性が必ずしも理解されている状況にない。それはこの技術で電子供給源として用いるグルコース等の生物有機物のマクロな供給源が、経済システムの中で循環利用できる形では確保できていないからである(なお、体内埋め込み機器で用いられているミクロな供給源としては血糖が利用されている)。
グルコース燃料電池のマクロな電子供給源として古くから生物系廃棄物の利用が専門家間で言及されている(文献:谷口功、「グルコース酸化用機能性電極の開発とグルコース−空気電池の作製」月刊エコインダストリー、Vol.10,No.4,p36−45、2005)。また、電子抽出に金属ではなく生きた微生物を活用する微生物燃料電池の分野でも下水処理場等を発電プラントに変える試みが行われてきている(文献:ロクサン・カムシ、「開発進む微生物利用のバイオ燃料電池」、ホットワイヤードニュース、2003;デビッド・スノウ、「発電と汚水浄化を同時に行なうバイオ燃料電池」、ホットワイヤードニュース、2004)。しかし、現時点では、この生物系廃棄物からグルコース等の電子供給源を経済的かつ効率的に取り出す方法及び社会制度が確立できていない。例えば単一の生きた微生物を活用する生物燃料電池の直接利用では、如何にグルコースから効率よく電子を抽出できるバクテリアを使っても、生物系廃棄物の多くはグルコースとなる前の段階のヘミセルロース、セルロース等の多様な難分解性有機物群を含んでいる以上、生物系廃棄物から電子を十分に抽出する事はできない。そして、それが本技術のマクロな社会適用の最大のネックになっていると考えられる。
一方、生物系廃棄物自体はグルコース燃料電池のマクロなグルコース供給源として十分な利用規模を持ち、1億2千万人余りの日本国民全体の家庭電力使用量を賄える規模に到達している。その計算根拠を以下に示す。
1モルのグルコースを(自然界の光合成の逆反応で)完全に二酸化炭素と水に転換した場合、1モルのグルコースから24モルの電子を取り出す事ができる。電子1モル96500C(クーロン)であるから,96500×24クーロンを取り出す事が可能である.そうなると,1Ah(1Aで1時間流したときの電気量)は3600クーロンなので1モルのグルコースで96500×24÷3600=約643Ah。つまり643Aを1時間取り出せる事になる。実際の電力はこのグルコース燃料極と組み合わせる酸素極との兼ね合いで電圧が決まるので,先ほどの電気量に取り出しうる電圧を掛け合わせれば,電力(Wh)となり、仮に0.7Vの場合、643×0.7=約450Whとなる。グルコースの分子量は180なのでこれをグルコース1gあたりに換算すると2.50Whとなる。その場合、一般家庭の平均年間電力使用量3600kWhはグルコース1.44トンからの発電量に相当する。これをグルコースポリマーであるセルロースを45%含む稲藁に換算すると稲藁3.20トンに相当する。一方、我が国の生物系廃棄物は年間3.20億トン。これが全て稲藁と同程度のグルコースを含むと仮定した場合、驚くべき事に年間約1億世帯分の電力がグルコース燃料電池で賄える計算になる。一世帯4名とした場合、日本の人口1億2000万人余の3倍以上が恩恵を受ける計算となる。また、この計算はグルコースのみに限定して行われたものであるが、キシロース等のC5糖や糖以外の生物有機物も電力転換可能なので、上の数値以上の電力生産が可能となる。従って、現在の技術での実際効率は理論値の十数%程度に過ぎないとしても、それでもやはり日本の人口1億2000万人余全員の年間家庭消費電力を賄える計算になる。但し、生物系廃棄物の全てが稲藁と同程度の糖を含有している訳ではなく、その点は補正が必要であるが、必要ならば雑草を刈り取って発電に回せばよいだけなので、大きな問題にならない。
本発明はこの日本国民全員の家庭電力を賄えるだけの潜在性を有する廃棄物バイオマスから経済システムの中で循環利用できる形でグルコース等の電子供給可能な生物有機物を取り出す方法及びそれを用いた植物環境修復法に関したものである。すなわち、稲藁、刈草等の木質・草本系バイオマス、活性汚泥等の糞尿系バイオマス、食品産業廃棄物、古紙、生ゴミを含む全てバイオマスを糖化するコストを、糖化ステップで発生する廃棄物を有価物(土壌改良材、濁水抑制材、微細土壌流出抑制材、堆肥化素材、若しくは建設資材)に転換する事によって糖化コストをゼロ若しくは逆に黒字にし、糖化コストのために今まで使えなかったバイオマスを燃料電池発電及び有用物質生産に利用可能としたと同時に、より効率的な植物環境修復法を可能とした。後50年と言われる石油資源、後70年と言われるウラン資源を持続的に活用するためにも、本発明を用いた段階的な社会システム転換が望まれよう。
本発明は、稲藁等の木質・草本系バイオマス、活性汚泥等の糞尿系バイオマス、食品産業廃棄物、古紙、生ゴミを含む全てのバイオマスの酸糖化液を中和後に発生するバイオマス残渣を土壌改良材、濁水抑制材、微細土壌流出抑制材、堆肥化素材、建築資材のいずれかとして有効利用する事を前提とした上で、糖化液中の多様な有機物を電子供給源として用いた燃料電池発電若しくは有用発酵物質生産を行う方法及び装置、更にはこのシステムを用いた植物環境修復法を提供する事を目的とする。
上記目的を達成するため、(1)稲藁、刈草等の木質・草本系バイオマス、活性汚泥等の糞尿系バイオマス、食品産業廃棄物、古紙、生ゴミを含むバイオマスを必要に応じて細分化・粉砕後、硫酸糖化して得た糖化液を、酸性のまま「生物有機物−空気電池」等による燃料電池発電の電子供給源に用いると同時に、発電前後に固液分離によって生じた固体残渣を生石灰で中和した後に発生する石膏含有残渣を、土壌改良材、濁水抑制材、微細土壌流出抑制材、堆肥化素材、建設資材等のいずれかとして活用する事を特徴とする資源循環方法及び装置、(2)硫酸水溶液を電解液とし白金等の金属を陰極に活性炭等の炭素素材を陽極とした金属空気電池作成方法、(3)稲藁、刈草等の木質・草本系バイオマス、活性汚泥等の糞尿系バイオマス、食品産業廃棄物、古紙、生ゴミを含むバイオマスを必要に応じて細分化・粉砕後、硫酸、燐酸等で酸糖化して得た糖化液を、そのまま「生物有機物−空気電池」等による燃料電池発電に用いるか、若しくは、酸化カルシウム等のアルカリ物質で中和して得た糖化液に、乳酸・コハク酸等有機酸産生菌、有機酸及びエタノール産生酵母、アミノ酸発酵菌、イノシン等核酸発酵菌、微生物蛋白(SCP)関係菌、抗生物質等生理活性物質産生菌、生理活性蛋白・ペプチド生産菌、産業用酵素産生菌、植物成長促進微生物(PGPR、菌根菌、窒素固定菌)のいずれかを植菌し培養する事によって各種有機酸、エタノール、アミノ酸、イノシン等核酸、抗生物質等生理活性物質、生理活性蛋白・ペプチド、産業用酵素、微生物蛋白(SCP)、プロバイオティクス剤、生物肥料のいずれかの生産を行うか、のどちらかを行うと同時に、中和後に固液分離によって発生するバイオマス残渣を、土壌改良材、濁水抑制材、微細土壌流出抑制材、堆肥化素材、建設資材等のいずれかとして活用する事を特徴とする資源循環方法及び装置、(4)1、3において重金属含有土壌、塩類集積土壌、有害物質汚染物質含有土壌で生育した植物体を酸糖化対象にする事によって問題土壌の植物環境修復を同時に行う方法及び装置、(5)1〜4の方法を用いた二酸化炭素排出量の抑制方法、の計5技術のうちの1つ以上を適用すればよい。
本発明を適用すれば、高い糖化コストのために、従来、十分に活用されていなかった稲藁等の木質・草本系バイオマス、活性汚泥等の糞尿系バイオマス、食品産業廃棄物、古紙、生ゴミを含む全てバイオマスからの燃料電池発電及び有用発酵物質生産が可能となるだけでなく、酸糖化過程で発生する残渣を土壌改良材、濁水抑制材、微細土壌流出抑制材、堆肥化素材、建築用素材として有効活用する事が可能となると同時に、従来より効率的な植物環境修復が可能となる。それによって、廃棄物処理の面でも地域雇用創出の面でも石油資源節約の面でも、そして汚染土壌浄化や二酸化炭素排出抑制の面でも社会貢献を行う事が可能となろう。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。まず、稲藁等の木質・草本系バイオマス、活性汚泥等の糞尿系バイオマス、食品産業廃棄物、古紙、生ゴミを含む全てバイオマスを必要に応じて粉砕後、酸糖化する。酸糖化は硫酸は硫酸が望ましい。硫酸を用いた場合は中和過程で石膏が発生可能となるので有利である。硫酸糖化方法は濃硫酸法でも(加圧処理が必要な)希硫酸法でもよい。ただ糖化後の残渣を石膏ボード等の建築用資材として再利用する場合は希硫酸法では石膏生産量が少なく後で石膏を別途添加せねばならない状況になるので効率的ではなく硫酸の消費量が多い濃硫酸法の方が良い。その一方で糖化後の残渣を塩類集積土壌・アルカリ土壌等用の土壌改良材、濁水抑制材、微細土壌流出抑制材、堆肥化素材として再利用する場合はバイオマス残渣の割合が石膏量よりも多い方が望ましいので希硫酸法を選択するのが望ましい。なお、この酸糖化過程で発生するバイオマス残渣は(グルコースポリマーである)セルロースや(キシロース等C5糖を含むポリマーである)ヘミセルロースが除かれた状況になっているものと推測される。
バイオマスの酸糖化液は、そのまま金属空気電池等を用いた燃料電池発電に供する事が可能である。実際、発明者らは稲藁糖化液を中和する事なく、5M硫酸を電解液とし白金陰極、活性炭陽極を用いた金属空気電池の燃料として供したところ、80℃条件で0.3Vの起電力を得る事に成功した。従来、硫酸水溶液を電解液とした酸性領域での金属空気電池は開発されておらず、本発明により中和処理、アルカリ化処理を経ずに燃料電池発電ができる分だけ有利に電子が獲得できるものと考えられる。すなわち、稲藁等の生物系廃棄物を硫酸糖化し、生石灰や水酸化カリウムで中和すると大量の沈殿が発生し、その中に(本来、燃料電池発電への電子供給源となるはずの)生物有機物が少なからず含まれている事が推測できるが、本発明によってそういった生物有機物を沈殿させる事なく燃料電池発電に活用できる事が可能となり、より有利な発電効果が期待できる。またアルカリ化を伴わなければ、その分だけ使用するアルカリ物質の量が少なくてすむので、経済的にも有利となる。
燃料電池発電を行った後に、中和に生石灰を用いた場合、中固液分離後に発生したバイオマス残渣は(中和の過程で発生した)硫酸カルシウム、すなわち石膏が混ざっている状態になっている。前述したようにバイオマス糖化において濃硫酸法を用いた場合はこの石膏の割合が希硫酸法の場合よりも多くなっており、その場合は残渣が含まれたままで建築用石膏ボードとして活用するのが望ましい。建築資材として用いるならば石膏の中に一定割合でバイオマス残渣が混ざっていても性能に大きな影響が出るものではなく特にグリーン購入法の適用を受ければ市場で流通可能であろう。また石膏に一定割合で混ざったバイオマス残渣が建築資材に保水性、保温性、ホルムアルデヒド吸収性などの何らかの機能を持たせる可能性もあり今後検討していく必要がある。また、燃料電池発電のために硫酸以外の酸や生石灰以外のアルカリ物質を用いた場合は、この過程で発生するバイオマス残渣に石膏は含まれないが、それでもそれを用いた建築資材、肥料資材、土壌改良資材を製造するのは可能である。
なお硫酸カルシウム(すなわち石膏)はナトリウム系塩類集積土壌等に対する有効な土壌改良材であり土壌の物理性が改善できる事が知られているので、「石膏系土壌改良材」としてそのまま資源化する事も可能である。硫酸カルシウムによるナトリウム土壌の改良効果自体は1950年代に米国で開発された後(文献:U.S.Salinity Labo.Staff、Diagnosis and Improvement of Saline and Alkali Soils、U.S.Dept.Agri.Handbook.60:48−54.1953)、世界中で用いられ近年では松本らによる中国河北省でのポプラ植林におけるアルカリ土壌改良でも用いられている(文献:松本聰,中野圭一,雷 玉平,石川祐一.「中国河北省九連城地域のアルカリ土壌改良と植林」、日本土壌肥料学会講演要旨集.50:163、2004)。塩類集積土壌・アルカリ土壌に対する土壌改良の基本は土壌のナトリウムコロイドをカルシウムイオンで置換し、構造性の優れたカルシウムコロイドを生成させると共に、土壌pHを低下させることにある。この場合、ナトリウムイオンとの置換を着実に行わせるには、溶解度積定数の低いカルシウム塩を用いることが重要で、難溶性塩である硫酸カルシウム(2水塩)が有効に働く事が報告されているが(文献:松本聰、日本農芸化学会シンポジウム「地球環境の再生へ向けて」世界の問題土壌とその再生への要素技術の開発、2000)、現時点では十分には普及していないためもあり、中国、オーストラリアをはじめ世界各国で塩類集積による土壌荒廃が問題となっている事を考えれば、本資材が我が国の新たな輸出品に加わる可能性もあろう。また必要ならば本資材に窒素源を別途添加しC/N比を整えて肥料化、堆肥化する事も可能と考えられる。なお、その場合の窒素源として糞尿を用いれば資源循環上、更に望ましいだろう。また肥料として用いる場合はカルシウムが特に豊富な肥料としての機能性を持つ側面もあり有効利用が望まれる。
ところで秋田県においては農業用排水に代掻きに起因するSS(浮遊懸濁物)が大量に含まれ八郎潟残存湖水質問題の主因になっていると報告されている(文献:近藤正、「水の循環・利用・汚濁機構と定量評価」、平成11〜13年度科学研究費補助金研究成果報告書「限界閉鎖系水圏環境における環境保全型農法の高度化と測定評価に関する研究」、p.34)が、石膏に含まれるカルシウムイオンはSSの分散を抑止する効果もあるので、実施例でモデル実験結果を示したが、そのようなケースでは本資材を施用する事によって水質問題を軽減できる可能性も考えられる。このカルシウムイオンによる土壌分散抑止効果を活用した本残渣資材を今後、濁水抑制材、微細土壌流出抑制材として、国内外の土木現場において幅広く利用する事が可能であろう。
次に酸糖化後に中和した糖化液の活用方法について述べる。ここで得られた糖化液の組成は用いたバイオマスの組成によって異なるが、例えば稲藁の場合は元々セルロース45%、ヘミセルロース30%、その他リグニン等25%という組成であるので(文献:山地憲治、小木知子、湯川英明、酒井正康、渡邊裕、遠藤真弘、正田剛、横山伸也、大内健二、杉浦純、美濃輪智朗、木田建次、小寺栄、『バイオマスエネルギーの特性とエネルギー変換・利用技術 地域特性にあった技術選定・最適プロセスの構築から事業採算性・市場展望まで』、株式会社エヌ・ティー・エス、2002)、糖化液にはセルロース由来のグルコースが45%、ヘミセルロース由来のキシロースが30%の他様々な抽出物が含まれた液体が得られる事になる。驚くべき事にこの糖化液のグルコース量はトヨタ自動車株式会社が生分解性プラスチック用乳酸の生産のために利用しているサツマイモ(グルコースポリマーである澱粉含量20%)より多く、稲藁という廃棄物であるのにも関わらず、サツマイモよりもむしろ乳酸発酵に適している成分になっている。
実際、発明者らは酵母Kluyveromyces thermotoleransを小麦ふすま糖化液に植菌し3日間、25℃で静置培養したところ小麦ふすま1kgあたりの乳酸生産量31.3±3.3gにも昇っている事が確認できている。この数値は驚くべき事にジャガイモ可食部からの乳酸生産収率(モンサント社の乳酸転換実質効率を当てはめた場合)と大きくは変わらないが、乳酸生産のための最適化条件(培養日数、pH、温度、酸素条件、栄養条件等)を検討していない段階での数値であるから、今後、更に生産量は改善できる事が期待される。従って簡単な実験であるが本実験結果一つとっても生分解性プラスチックを製造するに当たって今後は貴重な農作物可食部を使う理由がなくなる事が予想できる。農業系廃棄物で十分であろう。
なおここで用いた酵母は醸造用酵母でありエタノール発酵出来る事も知られている。現在、ブラジルやアメリカ合衆国ではトウモロコシやサトウキビの可食部をエタノール発酵させて得たエタノールで自動車燃料(ガソホール)の一部を賄っているだけでなく、エタノールは燃料電池の電子供給源としても機能する事が知られている。従って、本小麦廃棄物糖化液に適当な株の酵母を植菌し培養する事によって生分解性プラスチック製造に必要な乳酸等の「素材」だけでなく、燃料電池用電子供給源やガソホールとして利用可能なエタノール等の「エネルギー」も同時生産する事が可能となる。
更に、発明者らは稲藁や小麦廃棄物糖化液が、他に栄養物質を添加していないにも関わらず、酵母や乳酸菌だけでなく様々な微生物の良好な増殖基質になる事も見出している。これが意味する事は当該バイオマス糖化液は乳酸・コハク酸等の有機酸産生菌やエタノール発酵菌の増殖基質になるだけでなく、アミノ酸発酵菌、イノシン等核酸発酵菌、微生物蛋白(SCP)関係菌、抗生物質等生理活性物質産生菌、(遺伝子組み替え菌を含む)生理活性蛋白・ペプチド生産菌、産業用酵素産生菌、植物成長促進微生物(PGPR、菌根菌、窒素固定菌)等にとっても良好な増殖基質になる可能性が高い事を意味している。本方法論で糖化液を得る上での糖化コストが(土壌改良材や建築資材の製品化によって)事実上ゼロになる事と稲藁・麦藁等の木質・草本系バイオマスの原料費が廃棄物故にゼロである事を併せて考えると、当該糖化液は、あらゆる発酵産業にとって安価かつ良好な増殖基質になりえ、各種有機酸、エタノール、アミノ酸、イノシン等核酸、抗生物質等生理活性物質、生理活性蛋白・ペプチド、産業用酵素、微生物蛋白(SCP)、プロバイオティクス剤、生物肥料を生産するにあたって有効である可能性を示唆しているものと考えられる。なお、糖化に用いるバイオマスによって成分は変わってくるので、用いる微生物の種類によっては必要に応じて別途、栄養物質を補強してもよいであろう。また、このような発酵生産を行った後の残渣や発酵生産を行わずに燃料電池発電に用いたバイオマス糖化液の発電後残渣は、pH調整を行った上で肥料として農地還元する事が、(特に稲藁等の農業系廃棄物を活用した場合)農業生産性を維持する上で肝要である。稲藁等の農業系廃棄物は古来から農地にとって無視できない窒素源、ケイ酸源(稲作の場合)となってきており、農耕地の窒素収支、ケイ酸収支等、更にはカルシウム過多等、作物生育に不都合を来たさないよう元素循環をモニタリングする事が必要となろう。
ところで、前述したように燃料電池分野では数年前からグルコース燃料電池が開発され体内埋め込み型機器の微小電源として使われているだけでなく(文献:「血液で発電する電池を開発、体内埋め込み医療具に利用」読売新聞、2005.5.13)、最近では廃木材等を用いた発電システムも提案されている(文献:谷口功、「グルコース酸化用機能性電極の開発とグルコース−空気電池の作製」月刊エコインダストリー、Vol.10,No.4,p36−45、2005)が、廃木材等の木質・草本系の廃棄物バイオマスを糖化するコストが高く採算が合わないために、事実上、使えない状態にある。従ってこのグルコース燃料電池の分野において本発明を適用する事によって木質・草本系バイオマスの糖化コストを低減させ、そこで得られたグルコース及びキシロースをはじめとする多様な生物有機物を大量に含む糖化液から燃料電池発電を行えば、前述のように我が国の生物系廃棄物を全て処理すれば日本国民全体の家庭消費電力全体を賄えるポテンシャルがある事を考えれば、エネルギー分野で構造改革が起こるかもしれない。
なお、発明者らは前述した稲藁、牛糞、廃木材の各々の硫酸糖化液を、(白金電極・活性炭電極を使った)簡易型金属空気燃料電池の燃料として活用した結果、いずれも80℃条件で0.2〜0.3V程度の起電力が簡単に得られる事を既に確認できている。従ってこういった燃料電池セルを数百、直列につなぐと100Vの電力発生が可能となり、今後はそういった装置を用いて事業所単位でバイオマス燃料電池発電を行うのが望ましいだろう。以下にそのシステムの一例を示す。稲藁・刈草・生ゴミ・雑草・籾殻、糞尿等を各事業所で適宜集め、その機械に投入すると、機械内でまず破砕機にかけられた上で機械内に設置された硫酸タンクから硫酸等の酸が注入され糖化が始まる。糖化は希硫酸法の場合は120℃程度の加温加圧処理装置が必要となるが、濃硫酸法の場合は常温でも糖化可能である。糖化反応後、中和処理を行う事無く、(同じく機械内に設置され直列につながれ80℃程度に加温された)数百セルの金属空気燃料電池発電室(各セルの起電力は0.7V程度にするのが望ましい)に送り込んだ上で、事業所内で発電し、発生した電力を充電した上で適宜、事業所で使うと共に、発電後の残渣を生石灰で中和後、土壌改良剤・水質浄化剤・肥料とて活用する事業所用小型プラントを全国に普及させるのがジェレミー・リフキンが提唱するエネルギー・ウェブ社会(エネルギーの民主化)を実現させる上で望ましい。そうすれば電信柱数、原子力発電所数、火力発電所数は大きく低減できると同時に二酸化炭素排出量も低減できるであろう。この機械の大きさは従来の事業所要生ゴミ処理機と同程度の大きさに収めることが望ましい。なお、糖液は一般に腐りやすいが熱硫酸条件ならば腐敗は起こらない点、有利である。その一方で、生きた微生物を電子抽出に用いる微生物燃料電池やグルコースデヒドロゲナーゼ等の固定化酵素を用いる手法は使えない。生きた微生物や酵素を用いる時はどうしても極端な酸・アルカリ条件ではないpH領域が必要である。そういった意味では、まず金属電極による発電を行った上で、その後に中和し微生物や酵素を用いる燃料電池発電を行うようなハイブリッド発電システムを考慮する事も肝要であろう。
なお、ここで重要なのはC6糖であるグルコースのみ電力転換するのではなく、グルコン酸やグルコノラクトン等のグルコースの分解産物や、ヘミセルロースの分解産物の1つであるキシロース等のC5糖からも発電できるシステムを活用する事である。そのためには広い範囲の有機物から電子を取り出せる電極を使う必要がある。実際、金や銀及び塩化銀を用いた金属電極ではグルコースからだけでなくキシロース、マンノース、ガラクトースからも電力転換する事は既に可能になっている(文献:谷口功、「グルコース酸化用機能性電極の開発とグルコース−空気電池の作製」月刊エコインダストリー、Vol.10,No.4,p36−45、2005)。純系ではなく様々な有機物を含む複合系であるバイオマス糖化液を用いる以上、多様な有機物から電子を一括取得できる電極を活用する事が重要と言えよう。そういった意味で白金、金等の複数種の金属電極を組み合わせて同じセル内で1つの陰極として同時に利用する方式も有効であろう。
また、重金属含有土壌、塩類集積土壌、有害物質汚染物質含有土壌で生育した植物体を酸糖化対象にし、ここで示したバイオマス燃料電池発電システムを活用する事によって、燃料電池発電等の経済活動を行いながら、各種問題土壌の植物環境修復を同時に行う事も可能である。植物環境修復は一般に期間と労力がかかるので、それを軽減するために本システムは有効に働きうるであろう。例えばオーストラリアや中国等では塩類が集積した土壌が増加し、そこでは作物の生育が困難になっている。そういった場合、本システムを用いて塩類集積植物体に吸収された塩類を除きながら燃料電池発電を行えば、塩類集積土壌中の塩類がよりスムーズに除去できるものと考えられる。また、同じ事はカドミウム等の重金属汚染土壌に関しても言える。汚染土壌由来のカドミウム等の重金属を蓄積した植物体に本システムを適用する事によって効率的に土壌カドミウムを除去しながらも燃料電池発電で経済活動を行う事が可能となる。特にこれを稲に適用した場合、農家は稲生産と燃料電池発電とで二重に収入を得ながら、稲藁に含まれたカドミウムを毎年一定割合ずつ除去する事が可能となり、経済活動の面でも「食の安全性」向上の面でもコーデックス対応のためにも有利となろう。
以上、述べてきた方法を用いる事によって現在、農作物の可食部を利用するポリ乳酸系生分解性プラスチック業界で認められているカーボンニュートラル以上の二酸化炭素排出量抑制効果が期待できる。この方法を用いれば用いたバイオマスを一切焼却しないので発生する二酸化炭素量は糖化液の発酵過程で発生する微生物による二酸化炭素発生に限定できる。これは現在、木質・草本系バイオマスの大半が焼却されそこで発生している二酸化炭素量と比べると微々たるものである。また本方法で得られたエタノール若しくはグルコース等を用いた燃料電池発電量が従来の火力発電による発電量の代替になりうるならば、今まで火力発電で発生していた二酸化炭素も節減できる事になる。また本方法で得られたエタノールやグルコースを含む糖化液を電子供給源とする自動車、船舶、家電等が稼働すれば自動車等の排気ガスから発生している二酸化炭素量も削減できる。二酸化炭素が本当に地球温暖化に大きく影響しているのかは専門家の間でも議論が分かれているが、少なくとも京都議定書で日本政府が国際社会に公約した二酸化炭素削減量を確保したり、ウォール街で一部稼働している二酸化炭素排出権市場を有利に進める上では有効に働く事は間違いないだろう。
(実施例1)乾燥稲藁、乾燥籾殻、乾燥松枯被害木樹皮、乾燥松枯被害木葉、乾燥松枯被害木木部の計5種類の生物系廃棄物を各々50g、及び乾燥させていない生の牛糞150gをそれぞれ3Lの三角フラスコに入れ、濃硫酸5mlを予め加えた蒸留水500mLを加え懸濁した上で、120℃、3時間、加温加圧処理後、吸引濾過し各生物系廃棄物の糖化液を得た。得られた糖化液を中和する事無く各々200mlとり、それぞれを燃料液として、5M硫酸300mlを電解液とし、素焼き筒をセパレーターとし1Lビーカー内で作成した白金電極(陰極)・活性炭電極(陽極)金属空気電池(80℃)に供しマルチメーターで起電力を測定したところ、稲藁0.30V、籾殻0.22V、樹皮0.23V、木葉0.25V、木部0.20V、牛糞0.22Vという測定値が得られた。この水準はいずれもグルコース酸化反応(C6H1206+602=6C02+6H20)の理論起電力の2割程度であるが、
の項で述べたように、たとえ理論効率の十数%でも日本全体の家庭消費電力量全体を賄えるだけの生物廃棄物量(3.2億トン)が日本全体で見ればある以上、何ら問題がない。また、今回用いたのが1Lビーカーで作成したに過ぎない極めて簡易的な金属空気燃料電池を用いた結果に過ぎない事を考えれば、今後これらの数値は更なる向上が期待できる。なお、ここで得られた起電力がどの程度の期間続くかは今後検討したい。しかしながら、いずれにせよ本実施例で挙げたデータは今後、都市下水処理場が都市発電プラントに、畜産糞尿処理場が農村発電プラントに、林業工場が山間地発電プラントに、農協が農村地域発電プラントにそれぞれ生まれ変わる事が可能である事を示唆しており、地方分権が今後、「エネルギー面での自立」を伴った形で行われやすくなるであろう。
(実施例2)松葉50gおよび松の樹皮50gを鋏等で裁断しミルで粉砕後,濃硫酸10mLを予め加えた蒸留水1Lを加え,懸濁した上で120℃,3時間,加温加圧処理後,酸化カルシウムでpH7.5に調整した。吸引濾過で固液分離し,硫酸カルシウム・有機物残渣を主成分とする濁水発生抑制剤と糖化液を得た。代掻き開始後に秋田県南秋田郡大潟村内農業用幹線用水路で微細土壌粒子が懸濁した濁水を採取した。500Lビーカーに,濁水400mL,もしくは濁水400mLおよび濁水発生抑制剤5.0gを添加した。緩やかに撹拌した後,静置した。18時間後に,適宜希釈後,JIS K0102に則り,濁度を測定した。すなわち,1mg/Lカオリン懸濁液の波長660nmにおける吸光度を濁度1度とし,0〜100mg/Lのカオリン懸濁液を用いて作成した検量線から,試料の吸光度を測定し,濁度に換算した。その結果,原水の濁度が280度,18時間静置後に160度までしか低下しなかったのに対して,濁水発生抑制剤5.0gを添加することにより,濁度は18度まで顕著に低下した。この結果は,本濁水発生抑制剤が,原水に含まれる微細土壌粒子を効果的に凝集・沈降させ,排水への環境汚濁を抑制できることを示唆している。
(実施例3)小麦ふすま100gに濃硫酸10mlを予め加えた蒸留水1Lを加え懸濁した上で、120℃、3時間、加温加圧処理後、吸引濾過で固液分離し糖化液を得た。得られた糖化液を酸化カルシウムでpH7.5に中和後、硫酸カルシウムを主とする沈殿物を吸引濾過で除いた上で1Lにフィルアップした。得られた糖化液を100ml三角フラスコに20mlずつ分注しシリコ栓を設定した上でオートクレーブ滅菌し稲藁糖化液培地とした。次にこの培地に以下の3種の微生物を各々植菌した。用いた微生物は以下の通りである。(1)クルイエロミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)(2)サッカロマイセス・サケ(Saccharomyces sake)、(3)バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)NBRC12714。3日間、25℃で静置培養後、培養液を遠心分離し上清をSepPak(C18)でクリーンアップし、2種類の条件でHPLC分析した。一つめの条件は逆相ODS−HPLC(カラム:Mightysil RP−18GP Aqua、4.6×250mm、移動相:0.1vol% H3P04,H20/CH3CN=97.5/2.5、流速:1.0ml/min、検出:UV215nm)で、二つめの条件はイオン交換HPLC(カラム:Waters Organic Acid Column7.8×300mm、移動相:3mM HCl04、流速:1.0ml/min、検出:UV215nm)を用い、双方の分析条件の両方が乳酸標準物質と一致する事を確認した上で各々の物質の定量を行い、稲藁1kgあたりに換算した場合、各々何gの乳酸生産性を有しているかを推定した結果、それぞれ31.3±3.3g、14.7±1.7g、32.0±6.4gという数値を示していた。このうちバチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)に関してはL乳酸のみを選択的に生産しているものと考えられる。なお、HPLC/UVだけでなく、より精密性が高いLC/MS/MSを用いても同様な結果が得られた。また、ここではデータを示さないが、稲藁に関してもやや収量に劣るものの同様な結果が得られた。
本発明を適用すれば、高い糖化コストのために、従来、十分に活用されていなかった稲藁等の木質・草本系バイオマス、活性汚泥等の糞尿系バイオマス、食品産業廃棄物、古紙、生ゴミを含む全てのバイオマスからの燃料電池発電及び有用物質生産が可能となるだけでなく、酸糖化過程で発生する残渣を土壌改良材、濁水抑制材、微細土壌流出抑制材、堆肥化素材、建築用素材として有効活用する事が可能となる。またこのバイオマス燃料電池発電システムを用いれば従来より効率的に植物環境修復を土壌汚染に適用する事が可能となる。それによって、廃棄物処理の面でも地域雇用創出の面でも石油資源節約の面でも、そして環境保全(汚染土壌修復や二酸化炭素排出抑制)の面でも社会貢献を行う事が可能となろう。今後、このようなバイオコンビナートをインターネットのような分散型かつ双方向的な素材&エネルギー源(素材・エネルギーウェブ)として世界各地の農村地域に段階的に設立していく事により都市部に偏った富や雇用を分散させる事も可能となろう。すなわち、素材及びエネルギーを世界的規模で民主化し新しい形の世界経済をもたらす可能性が考えられる。本発明は21世紀後半型の新しい形でのグローバリゼーション(ポスト・グローバリゼーション)につながるかもしれない。民主主義と基本的人権を尊重した上で「持続可能な方法で資源管理できれば戦争が減る」と言うのが昨年のノーベル平和賞受賞者、マータイ女史の思想であるが、本発明による「エネルギーの民主化」「素材の民主化」そして「技術の民主化」がマータイ女史の思想実現の一助になれば望外の幸せである。

Claims (5)

  1. 稲藁、刈草等の木質・草本系バイオマス、活性汚泥等の糞尿系バイオマス、食品産業廃棄物、古紙、生ゴミを含むバイオマスを必要に応じて細分化・粉砕後、硫酸糖化して得た糖化液を、酸性のまま「生物有機物−空気電池」等による燃料電池発電の電子供給源に用いると同時に、発電前後に固液分離によって生じた固体残渣を生石灰で中和した後に発生する石膏含有残渣を、土壌改良材、濁水抑制材、微細土壌流出抑制材、堆肥化素材、建設資材等のいずれかとして活用する事を特徴とする資源循環方法及び装置。
  2. 硫酸水溶液を電解液とし白金等の金属を陰極に活性炭等の炭素素材を陽極とした金属空気電池作成法。
  3. 稲藁、刈草等の木質・草本系バイオマス、活性汚泥等の糞尿系バイオマス、食品産業廃棄物、古紙、生ゴミを含むバイオマスを必要に応じて細分化・粉砕後、硫酸、燐酸等で酸糖化して得た糖化液を、酸性のまま「生物有機物−空気電池」等による燃料電池発電に用いるか、若しくは、酸化カルシウム等のアルカリ物質で中和して得た糖化液に、乳酸・コハク酸等有機酸産生菌、有機酸及びエタノール産生酵母、アミノ酸発酵菌、イノシン等核酸発酵菌、微生物蛋白(SCP)関係菌、抗生物質等生理活性物質産生菌、生理活性蛋白・ペプチド生産菌、産業用酵素産生菌、植物成長促進微生物(PGPR、菌根菌、窒素固定菌)のいずれかを植菌し培養する事によって各種有機酸、エタノール、アミノ酸、イノシン等核酸、抗生物質等生理活性物質、生理活性蛋白・ペプチド、産業用酵素、微生物蛋白(SCP)、プロバイオティクス剤、生物肥料のいずれかの生産を行うか、のどちらかを行うと同時に、中和後に固液分離によって発生するバイオマス残渣を、土壌改良材、濁水抑制材、微細土壌流出抑制材、堆肥化素材、建設資材等のいずれかとして活用する事を特徴とする資源循環方法及び装置。
  4. 請求項1、3において重金属含有土壌、塩類集積土壌、有害物質汚染物質含有土壌で生育した植物体を酸糖化対象にする事によって問題土壌の植物環境修復を同時に行う方法及び装置。
  5. 請求項1〜4の方法を用いた二酸化炭素排出量の抑制方法。
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