JP4807646B2 - ジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法 - Google Patents

ジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジャガイモ澱粉製造過程におけるデカンター排水が、PH3の酸による等電点処理を採用し、徹底した資源化構造に改革する方法であって、小規模で、既設設備であっても、極めて簡単かつ低価格にて可能とする。
ジャガイモ澱粉製造過程は、ジャガイモを磨り潰し、非常に大量の清水を何度も繰り返し使用して澱粉質を沈殿させ、この沈殿物が乾燥されることで澱粉を得ている。
この澱粉抽出方法には、大量の清水による精製が必要で、膨大な排水の処理を伴い、特に高濃度タンパク質含有排水(デカンター排水)が環境に及ぼす影響は甚大で、これらの環境対応に多大な費用を費やすことになる。
ジャガイモ澱粉製造は、利益率が非常に低い状況であるにも係わらず、環境対応に費用が嵩むことになり、よって、現実では、ジャガイモ澱粉製造工場は、過小規模の嫌気処理(メタン発酵による浄化で河川放流を可能とする)施設などを設立し、その施設償却及びランニングコストの削減を計る一方、この施設による未処理デカンター排水を、一時退避用プールが設置されて、このプールに貯留しておき、嫌気発酵施設の処理能力復帰後に、同施設へ逆送して処理する方法がとられている。しかし、この方法では、未処理デカンター排水の退避用プールへの退避中に強い腐敗臭が発生し、環境上の弊害となっている。
そして、これらの処理によらぬ殆どの場合は、未処理デカンター排水の濃度を一定程度薄めるなどして、有機物還元を要する圃場に散布している。しかし、この方法でも、散布できる圃場にも限度があり、しかも、ジャガイモ表皮に罹病する土壌伝染病菌であるソウカ病菌(Streptomyces turgidiscabies scabiesなど)を、ジャガイモ澱粉製造過程でのジャガイモを表皮ごと磨り潰し、精製している結果生ずるデカンター排水などの廃棄物には、殺菌もされないので存在することになり、このソウカ病菌を保有するデカンター排水がそのまま圃場に散布されれば、ソウカ病菌を拡散することになって、この増殖や伝播が懸念されている。
以上を対処するべく、タンパク質回収をも視野に入れた技術、若しくはプラントそのものの経済性、機能性が問われ、技術開発手段に多大な期待が寄せらている。
そこで、澱粉製造過程に生じる高濃度タンパク質含有排水、即ちデカンター排水をタンパク析出反応槽に導入し、蒸気および/または酸の添加でタンパク質を熱変性および/または等電点処理により析出させ、反応液を凝集槽に導入して凝集し、固液分離機(遠心分離機)で固液分離し、分離液を後処理である嫌気発酵処理槽に導入して嫌気発酵処理を行うといった、所謂、嫌気発酵処理液の処理効率をアップさせるための方法がある。(特許文献1)
また、タンパク質高濃度のデカンター排水が処理されるには、タンパク質を分離除去して、濃度の低下をする前処理と、この前処理の経過後においても、少なくとも電気化学反応で低滅させる電気化学処理とを含み、前処理の経過後の処理排水が所定濃度以上である場合には、前記電気化学処理前に嫌気発酵処理を行うといった処理管理方法である。(特許文献2)
特開2001−129590号 特開2005−349320号
いずれにしても、これらデカンター排水処理方法は、嫌気発酵処理効率を上げるがための前処理として、蒸気(熱エネルギー)若しくは酸資材と、その中和資材との費用のいずれかが犠牲にされた上でのデカンター排水のタンパク質濃度の低下をし、もって嫌気発酵効率に寄与することで全体処理効率の改善を狙っているものである。
しかし、ジャガイモ澱粉製造処理費用の節減が望まれている現状では、施設の大規模化による設備投資及び資材費用の犠牲が容認できない。
だからといって、現状の未処理デカンター排水を退避用プールへ退避させ、腐敗臭が漂うなどの環境問題を起しても不都合である。また、未処理デカンター排水を濃度を薄めて圃場に散布するとしても、濃度を薄めたからとて未処理デカンター排水本来の腐敗臭が醸し出され、公害問題を起し、更には、ジャガイモの表皮に罹病するソウカ病菌が圃場に散布されることになって不都合である。
また、デカンター排水から析出分離したタンパク質は栄養価が高いにもかかわらず、飼料として有効利用するための採算的且つ具体的方法が未だ示されていない。
本発明は、ジャガイモ澱粉製造過程におけるデカンター排水を始めとする廃棄物が熱処理を施すことなく、副産物として有効活用される方法を得ることが目的とされるものである。
本発明は、ジャガイモ澱粉製造プラントが抱えている各問題点を連携思考し、一括解消するに当たって、ジャガイモ澱粉製造過程でのタンパク質資源の有効活用や、その製造における省エネルギー化、更には廃棄物である絞り粕のポテトパルプと畜産経済効果との連携などを通じ、継続的な環境保全型農業プラントの実現と、その経済活動の持続性に寄与することであって、極めて小規模な設備であっても、理想的な総合プラントの構築が可能とされる方法を得ることを目的とするものである。
本発明は、ジャガイモ澱粉製造過程におけるデカンター排水の前処理負荷軽減として、PH3の酸による等電点処理を採用し、その際に、副産物の付加価値増に適合するべく酸の選択と使用手段、更には処理後の酸性残排水の中和の際のアルカリ剤の選択、及び処理後の酸性残排水の処理や目的別に中和時期をコントロールすることを特徴とし、もって、プラント周辺の諸問題が合理的に解決される一連の対処方法を目的とする。
また、各現場固有の実情と、現存施設との活用を図りながら、環境、その他不適切な状況を解消してゆく、即ち嫌気発酵処理施設の小規模設計のもとに現存している一時退避用プールや、圃場還元の為に償却期間にあるローリー散布車を活用しながら改善してゆく方法である。よって、最新式プラントへの大幅改造投資以外の手段として、投資現場に選択肢を提供することにある。
本発明のジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法は、デカンター排水が予めサイレージ添加剤として有効な蟻酸を使用して、タンパク質の残存率を最小にさせるPH3に調整され、等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離してサイレージ化し、該サイレージ化したタンパク質などの固形分と、澱粉製造過程にて別途排出される廃棄物である絞り粕のポテトパルプを吸水性豊富な飼料であるフスマと混合調整したサイレージベースとが二次混合されて、高タンパクサイレージとすることを特徴とする。(請求項1)
本発明のジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法は、デカンター排水が、予め硫酸を使用してPH3に調整され、等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離し、この固形分の分離物に対して、析出分離に使用した硫酸に対応したアルカリ剤の水酸化ナトリウムをもって中和し、硫酸と水酸化ナトリウムによる硫酸ナトリウムが得られるように飼料添加物として定められたミネラルを含有するサイレージとすることを特徴とする。(請求項2)
本発明のジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法は、析出分離したタンパク質など固形分の分離物内の硫酸と水酸化ナトリウムによる硫酸ナトリウムが得られるように飼料添加物として定められたミネラルを得る為の中和反応が施され、この分離物と、澱粉製造過程にて別途排出される廃棄物である絞り粕のポテトパルプを吸水性豊富な飼料であるフスマと混合調整したサイレージベースとが二次混合されて、高タンパクミネラル入りサイレージとすることを特徴とする。(請求項3)
本発明のジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法は、ジャガイモ澱粉製造と、その廃棄物処理とに二極化している従来の施設を、徹底した廃棄物資源化プラントへ構造改変する方法である。
そして、今後のエネルギー事情を考慮して、熱源エネルギーの継続使用に基ずく処理方法がコストの高騰を招くことになるので、この熱エネルギーが使用されない酸による等電点処理を採用し、よって、サイレージ化、及び圃場への液肥による資源付加価値の向上を図ることができる。
酸に、サイレージ添加剤として有効な蟻酸を使用することによって、デカンター排水を簡単かつ容易にサイレージ化することができる。
そして、デカンター排水を、酸によるPH3に調整し、等電点処理と遠心分離することによって、残存量を究極の減少するまでタンパク質などの固形分を析出分離することができ、これによって、一層のサイレージ及び液肥の合理化形成ができる。
ジャガイモ澱粉製造過程には、デカンター排水の他に繊維を主体とする絞り粕のポテトパルプが排出される。これは澱粉製品に対し約4割の排出であり、廃棄物処理に苦慮している。ところで、これは牛の餌として消化率良好であるにもかかわらず、現在の酪農は牛乳生産という立場からカロリー主体のアンバランス食材と摂られている関係上、即ち、該絞り粕のポテトパルプは、牛乳生産に必要なタンパク質が不足しているという理由で採用されにくい。
そこで、絞り粕のポテトパルプに、デカンター排水より析出分離したタンパク質の固形分を混合することによって、高タンパクサイレージにすることができる。
デカンター排水は、酸に硫酸を使用して、PH3に調整し、等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離し、この析出分離した固形分に対して、析出分離に使用した硫酸に対応したアルカリ剤の水酸化ナトリウムをもって中和することによって、硫酸と水酸化ナトリウムによる硫酸ナトリウムが得られるように飼料添加物として定められたミネラルを得る為の中和反応が施された分離物と、絞り粕のポテトパルプを吸水性豊富な飼料であるフスマを混合調整したサイレージベースとを二次混合して、高タンパクミネラル入りサイレージができることになる。
なお、ジャガイモ澱粉製造過程による絞り粕のポテトパルプに水分調整の目的で吸水性豊富な飼料であるフスマが混合されるが、これは酸による析出分離されたミネラル入りタンパク質などの固形分と混合することによって、酸が、この混合でフスマなどの糖化に貢献することになって、良好な高タンパクミネラル入りサイレージを構成することができる。
発明を実施するための形態
ジャガイモ澱粉製造過程は、ジャガイモを磨り潰し、非常に大量の清水を何度も繰り返し使用することで澱粉を沈殿させ、乾燥させるという抽出手段を採り、当然ながら膨大な排水を伴い、高濃度のタンパク質などを含有するデカンター排水の処理には、特に苦慮している。
そこで、本発明は、図1に示す如く、このデカンター排水1に、繰り返し酸を注入2し、攪拌機3で攪拌し、そしてPH計4で計測しながらPH3に調整し、タンパク析出反応槽5で等電点処理し、凝集処理進行度がレベルセンサー6で測定され、上清水7と沈殿物8とに分離される。
一方の該沈殿物8は、遠心分離機9にかけられ、タンパク質などの固形分10と分離液11とに分離され、該分離液は前記上清水7と合流されるが、タンパク質など固形分10は定量ポンプ12にてベルトコンベア13へ定量抽出され、該ベルトコンベアにてタンク14から排出された吸水性豊富な飼料であるフスマと澱粉製造過程にて別途排出される絞り粕のポテトパルプ15とが混合調整されてサイレージベースとなし、このサイレージベースに前記タンパク質など固形分10が加えられ、スクリューオーガー16で二次混合し、送り出され、高タンパクサイレージとしての混合飼料17が排出されることになる。
そして、酸注入2に、予めサイレージ添加剤として有効な蟻酸を使用すれば、中和剤を必要とせずに、廃棄物である絞り粕のポテトパルプ15を吸水性豊富な飼料であるフスマと混合調整したサイレージベースに前記タンパク質など固形分10を二次混合することができ、高タンパクサイレージができる。
また、酸注入2に、予め硫酸もしくは塩酸を使用してタンパク質など固形分10を析出分離した場合には、析出分離に使用した酸のそれぞれに対応したアルカリ剤をもって中和することにより、その分離物中に存在する硫酸根もしくは塩酸根に対して、飼料添加物として定められたミネラルを得る為の中和反応が施されて、高タンパクミネラル入りサイレージを排出することができる。
他方、酸を使用してPH3に調整され、等電点処理したタンパク質など固形分10を析出分離した後の上清水7は、沈殿物8の遠心分離機9により分離がされた分離液11をも共に、固形分回収後の中和されていない低負荷酸性液であって、この低負荷酸性液中でジャガイモに罹病する土壌伝染病菌であるソウカ病菌が死滅させられることになる。よって、その後、該上清水の低負荷酸性液は有機質液肥として圃場へ散布20される。
また、プール18に退避貯留された上清水7及び分離液11が合流した低負荷酸性液は、製糖工場廃棄物からなる有機アルカリ土壌改良剤であるライムケーキによって、ライムケーキ桝19で中和され、その上で、有機質液肥として圃場還元してもよい。
更にまた、上清水7及び分離液11の合流水は、水酸化ナトリウム(NaOH)でPH4〜11に中和し、嫌気発酵処理施設22で嫌気発酵し、更に好気発酵である表面バッキ23し、河川放流24にしてもよいことは云うまでもない。
ジャガイモ澱粉製造過程におけるデカンター排水負荷軽減に対する嫌気発酵処理を目的とした、従来の熱・酸処理(等電点処理の応用)については、これまでタンパク質濃度やBODの削減効果と、その際の最適PHもしくは温度にこそ着目しようとしてきた(タンパク質を熱変性させたものは、タンパク質ではなくなる)。しかし、澱粉製造過程にて廃棄物として排出される絞り粕のポテトパルプの資源利用には考えが至らなかった。そこで、本発明は資源利用価値に連携思考し、蟻酸(乳酸発酵助長、酪酸菌による変敗を防止)を使用してタンパク質を析出し、これを使用することにより、ポテトパルプサイレージの欠点であるタンパク質不足解消を実現するのみならず、サイレージ発酵の基本である良好な乳酸菌発酵環境及びタンパク質の不良発酵原因である酪酸発酵を押える効果が同時に得られるようにしたことにある。この場合、飼料添加剤として定めのある蟻酸使用であることから、析出されたタンパク質など固形分の中和処理を不要とし、そのことが寧ろより有効であることに特徴がある。
そして、サイレージ発酵の一般理論によれば、特に、タンパク質はPH4.2以下にて酪酸菌による腐敗分解を免れ、従って、乳酸発酵によるPHダウンが完成する数日間は、タンパク質を低PHで包んでサイレージ化することに意義がある。
また、デカンター排水を酸で調整し、等電点処理することは、PH3.5〜4.5でタンパク質などの固形分の析出が盛んであるが、この領域を越えると析出が減少することになる。しかし、減少したからといっても析出が続けられ、PH3で最高の除去率になる。この領域は、小規模化設備及びランニングコスト軽減などに有効領域となる。また、このPH3領域より高い場合は変敗し易く、抽出タンパク質の保存及び資源化には、熱風エネルギーを採用するなどして水分15%程度まで乾操する必要が生じ、その為の設備投資及びランニングコストが掛り、不都合である。
そこで、本発明は、デカンター排水が蟻酸を使用してPH3に調整され、等電点処理と遠心分離することによって、タンパク質などの固形分を最大量析出分離し、流通・在庫を想定しないでよい地域内酪農家へのサイレージ利用の合理性を見出したことになる。
なお、蟻酸が予めサイレージ添加剤であることを表1に示す。
Figure 0004807646
Figure 0004807646
デカンター排水から析出分離したタンパク質などの固形分と、澱粉製造過程にて別途排出される廃棄物である絞り粕のポテトパルプを吸水性豊富な飼料であるフスマと混合調整したサイレージベースとが二次混合されて高タンパクサイレージにするに当って、絞り粕であるポテトパルプは、水分80%であって、且つこれを他のものと混合するにしても水分が多すぎてべた付き適応性がよくない。そこで、吸水性豊富な飼料であるフスマを混合して水分調整する必要が生じる。
また、サイレージについては、第一に適度な水分、第二に適度な糖質、第三に適度なタンパク質の含有である。そこで、最適な調整水分は70%程度であり、また適度な澱粉質もしくは糖質があるとより良いとされている。即ち、通性嫌気性菌である乳酸菌発酵の繁殖良好な条件として示されている。これをもとに吸水性及び糖質も兼ね備えたフスマ(水分約10%)を選択したことになる。
ここで、現実のジャガイモ澱粉製造過程においては、絞り粕であるポテトパルプの抽出吐き出し口には一般的にスクリューコンベアが既設されており、これをそのまま活用し、そこを流れるポテトパルプ(水分80%)の手前にて重量比14%程度のフスマを落下させることでスクリュー回転にて混合しながら押し出される結果、均一良好に混合された水分70%のサイレージベースが製造できる。
尚、ポテトパルプの水分の調整材としての有効なものは、必ずしもフスマに限るものではなく、即ち、各単体飼料の糖質及びタンパク含有率などに配慮し、吸水性の豊富な飼料を使用することであればより好ましい。
流通のフスマは、水分10%程度の粉状物であり、しかも粗タンパク質は約18%程度であることから配合飼料のタンパク質含有に近い上に適度な糖質が含まれる為、乳酸発酵にも良好である。また、その他の方法として、コーングルテンミール、またはタンパク質濃度をより高レベルにすることを重視する場合は、市販のポテトプロテインなどのタンパク源飼料を使用することにより、効率の良いタンパク質含有率アップが期待できる。
次に、デカンター排水が予め硫酸もしくは塩酸を使用してPH3に調整され、等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離し、この固形分の分離物に対して、析出分離に使用した酸のそれぞれに対応したアルカリ剤をもって中和することにより、この分離物中に存在する硫酸根もしくは塩酸根が、飼料添加物として定められたミネラルを生成するよう施されてサイレージとする。このサイレージに当って、PH3に調整されるときが最もデカンター排水からタンパク質などの固形分を多量に析出し、除去率が高く、その他の領域では除去率が低下することが証明されている(図4A、図4B)。
以上の反応の具体例としては、例えば、硫酸で酸調整された場合、水酸化ナトリウムで中和すれば、硫酸ナトリウムとなる。
SO(硫酸) + 2NaOH(水酸化ナトリウム)
→ NaSO(硫酸ナトリウム) + 2H
なお、硫酸ナトリウムは飼料添加物のミネラルとして定められたものである(表1)。
以上によって、硫酸もしくは塩酸でPH3に調整され、デカンター排水より析出分離された固形物は、使用した酸のそれぞれに対応したアルカリ剤をもって中和することにより、固形物中の硫酸根もしくは塩酸根が飼料添加物として定められたミネラルを生成し、これらを含有するサイレージとなり、これをジャガイモ澱粉製造過程での廃棄物である絞り粕のポテトパルプに混合すれば、更に、望ましい高タンパクミネラル入りサイレージが造られる。
なお、ミネラルを含有するサイレージの固形分をポテトパルプと混合する際に、ポテトパルプ自体が水分80%もあってべた付き、直接混合するには適応できないので、吸水性豊富な飼料であるフスマと混合し、サイレージに適した水分70%にするための調整をする。そして、このフスマなどで混合調整されたポテトパルプのサイレージベースに、ミネラルを含有するタンパク質などの固形分を混合すれば、牛乳生産に必要なタンパク質不足であったポテトパルプと、デカンター排水から析出分離し、ミネラルを含有するタンパク質などの固形分とで、最良の高タンパクミネラル入りサイレージが造られることになる。
本発明は、フスマ入りポテトパルプサイレージをベースにして、ジャガイモタンパク質の固形分を添加したサイレージにすることが可能である。
このフスマ調整によるサイレージベースを、20トン規模2ヶ所にて密閉保管し、その30日経過後開封し、発酵サンプリング調査をした。一般的には、乳酸は1%以上、酪酸は未検出が理想とされるが、これによれば、乳酸濃度は2.01%と1.29%となり、不良発酵の目安である酪酸濃度は未検出であった。このことより単価の高い高泌乳牛用配合飼料に近づけるべくタンパク質濃度を添加することが可能となる。
デカンター排水のタンパク質含有量検査から出来上がりサイレージのタンパク質含有量を導き、配合飼料との価値比較を検討する。
これについては、デカンター排水を2点サンプリングし、常圧加熱乾燥法により固形分含有率4.54%をえた(図2)。またこの乾燥物を窒素定量換算法により推定した含有タンパク質は、2者平均で同固形物中50.35%となった(図3)ことから、全デカンター排水中に占めるタンパク質の乾物重量は、
概ね、 4.54%×50.35%=2.3%
となり、他の文献および調査報告と非常に近似する値になった。
一方、工場間によって多少の格差はあるものの、乾物換算のポテトパルプ排出トン数の約34〜38倍程度のデカンター排水が排出されることから、乾物ポテトパルプ重量の82.8%(2.3%×36倍)程度のタンパク質資源がデカンター排水中に存在すると推定される。
さてここで、サイレージベースには、ポテトパルプ自体が保持しているタンパク質(乾物比4〜6%)およびフスマタンパク質(乾物比18%)がすでに含まれていることを考慮し、高泌乳牛用配合飼料(市価44円/kg相当)の約20%含有率に匹敵するサイレージ製造の為に、追加を要するタンパク質回収量を求めると以下の通りとなる。
ポテトパルプ(水分80%)の原物重量を8600トン、フスマ(水分10%)原物重量を1400トンでサイレージベースを製造した場合
{8600トン×0.2(乾物比)×4%(蛋白)+1400トン×0.9(乾物比)×18%(蛋白)+排水回収蛋白乾物重}÷{8600トン×0.2(乾物比)+1400トン×0.9(乾物比)+排水回収蛋白乾物重}=20%
よって、排水タンパク質の要回収量は375トンとなり、デカンター排水中の全タンパク質推定重量である
(8600トン×0.2)×82.8%(乾物ポテトパルプ重量の概ね82.8%)=1424トンのうちの
375÷1424=26%
以上の回収率を要する。この数値は、これまでの様々な文献における等電点処理にて充分可能な数値であり、またカロリー他栄養素や消化率も考慮した結果、配合飼料(市価44円/kg相当)製品原物の約3800トン程度の栄養価値と試算できる。このことは処理に必要な酸及び通常の中和処理剤、およびフスマなどランニングコストを多大に上回る栄養価値額であることから、熱風乾燥による資源化方式に充分勝る経済的証明といえると伴に、エタノール問題に端を発する国際的な穀物価格の上昇や原油情勢などに鑑みたプラントとして、将来的利点が期待できる。
続いて、等電点処理後排水のタンパク質濃度低下情況の把握と、遠心分離機の機能と経済性、及び酸の種類選択との関連を探るべく、PHや酸の種類、更には沈殿スピード及び沈殿エリアを調査した(図4A、図4B、図5A、図5B)。
例えば、塩酸にてPH2.0、3.0、4.0、5.0に調整したデカンター排水と未処理デカンター排水を対比した場合で、処理後24時間経過の上清水タンパク質濃度をブラッドフォード法により定量した場合、各上清水1mg中に残存するPH2.0、3.0、4.0、5.0、および未処理区のタンパク質量の平均値(μg)は、それぞれ1091、819、4565、5572、及び未処理の6086となり(図4A、図4B)、PH3.0で除去率が最高になった。
また、同実験方法によって、塩酸・硫酸・蟻酸・乳酸・酢酸、及び未処理区のタンパク質量の平均値(μg)は、それぞれ739、738、801、901、527、および未処理の5717となった。そして、それぞれの除去率は、87%、87%、86%、84%、91%となって、残存値が少なく好ましいと考えられるが、総じて酸の経費では一般的に硫酸が有利であり、サイレージ処理としては蟻酸に特殊有利性が認められる。
尚、微粒子専用の高速連続遠心分離機などは、一般的に単位時間当たり処理能力に比して高価な為、別途反応待機槽を設置の上、一定反応時間経過後に上清水部分を排除した沈殿エリアのみの遠心分離処理が有利な場合も考えられる。この点、硫酸、塩酸は沈降速度と圧密度の両面において非常に良好であり、続いて蟻酸が有利であった。また、酢酸は沈降速度が極端に遅く、好ましいとは云えない。
ジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法のフローチャートである デカンター排水(ジャガイモ澱粉処理液)の常圧加熱乾燥法による水分含量表である デカンター排水(ジャガイモ澱粉処理液)凍結乾燥物の窒素定量換算法による成分表である 塩酸の場合の各PHによるタンパク質濃度定量結果表及びその図である 塩酸の場合の各PHにおけるタンパク質残存率図である 各酸におけるPH3によるタンパク質濃度結果表及びその図である 各酸におけるPH3によるタンパク質残存率図である
符号の説明
1 デカンター排水
2 酸
3 攪拌機
4 PH計
5 タンパク析出反応槽
6 レベルセンサー
7 上清水
8 沈殿物
9 遠心分離機
10 タンパク質など固形分
11 分離液
12 定量ポンプ
13 ベルトコンベア
14 タンク
15 ポテトパルプ
16 スクリューオーガー
17 混合飼料
18 プール
19 ライムケーキ
20 圃場
21 中和(NaOH)
22 嫌気処理施設
23 表面バッキ
24 河川

Claims (3)

  1. デカンター排水が、予めサイレージ添加剤として有効な蟻酸を使用して、PH3に調整され、等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離してサイレージ化し、該サイレージ化したタンパク質などの固形分と、澱粉製造過程にて別途排出される廃棄物である絞り粕のポテトパルプを吸水性豊富な飼料であるフスマと混合調整したサイレージベースとが二次混合されて、高タンパクサイレージとすることを特徴とするジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法。
  2. デカンター排水が、予め硫酸を使用してPH3に調整され、等電点処理と遠心分離によってタンパク質などの固形分を析出分離し、この固形分の分離物に対して、析出分離に使用した硫酸に対応したアルカリ剤の水酸化ナトリウムをもって中和し、硫酸と水酸化ナトリウムによる硫酸ナトリウムが得られるように飼料添加物として定められたミネラルを含有するサイレージとすることを特徴とするジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法。
  3. 析出分離したタンパク質など固形分の分離物内の硫酸と水酸化ナトリウムによる硫酸ナトリウムが得られるように飼料添加物として定められたミネラルを得る為の中和反応が施され、この分離物と、澱粉製造過程にて別途排出される廃棄物である絞り粕のポテトパルプを吸水性豊富な飼料であるフスマと混合調整したサイレージベースとが二次混合されて、高タンパクミネラル入りサイレージとすることを特徴とする請求項2記載のジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法。
JP2007106513A 2007-03-19 2007-03-19 ジャガイモ澱粉製造過程における廃棄物処理方法 Active JP4807646B2 (ja)

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