《代表的な実施の形態》
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
〔1〕本発明の代表的な実施の形態によるRF電力増幅装置は、RF増幅入力信号(Pin)を増幅してRF増幅出力信号(Pout)を生成する増幅段(10)と、前記増幅段(10)のトランジスタ(Q10)の直流バイアス電流(I3)を設定するバイアス制御ユニット(20、30、40)とを具備する。
温度上昇により、前記増幅段(10)の前記トランジスタ(Q10)の増幅利得が低下するものである。
前記バイアス制御ユニット(20、30、40)に動作モード信号(Non-Linear、Linear)が供給されることにより、前記増幅段(10)が飽和型の非線形増幅の第1動作モードと非飽和型の線形増幅の第2動作モードとで動作するように前記バイアス制御ユニットは前記増幅段(10)を制御する。
前記増幅段(10)が飽和型の非線形増幅の前記第1動作モードで動作する際には、前記バイアス制御ユニットは前記増幅段(10)の前記トランジスタ(Q10)の前記直流バイアス電流(I3)を小さな温度依存性に設定するものである。
前記増幅段(10)が非飽和型の線形増幅の前記第2動作モードで動作する際には、前記バイアス制御ユニットは前記増幅段(10)の前記トランジスタ(Q10)の前記直流バイアス電流(I3)を前記小さな温度依存性よりも大きな正の温度依存性に設定するものである(図1参照)。
前記実施の形態によれば、飽和型の非線形増幅の前記第1動作モードでの動作では、波形クリップを生じている前記トランジスタの直流バイアス電流は温度上昇時に増大することはないので、温度上昇時の消費電力の無駄な増大と伴に電力付加効率の低下を回避することができる。また、非飽和型の線形増幅の前記第2動作モードでの動作では、線形増幅を行っている前記トランジスタの直流バイアス電流は温度上昇時に増加されているので、温度上昇による前記増幅段(10)の前記トランジスタ(Q10)の増幅利得の低下を補償することができる。
好適な実施の形態では、飽和型の非線形増幅の前記第1動作モードでの動作では、前記RF増幅入力信号(Pin)はGSM通信での一定包絡線信号であり、非飽和型の線形増幅の前記第2動作モードでの動作では、前記RF増幅入力信号(Pin)はEGDE通信とWCDMA通信とのいずれか一方の包絡線変化信号である。
より好適な実施の形態では、飽和型の非線形増幅の前記第1動作モードでの前記直流バイアス電流(I3)の前記小さな温度依存性は、前記バイアス制御ユニット(40)に含まれるバンドギャップ基準電圧発生器(401)を利用して設定されたものである。
更により好適な実施の形態では、非飽和型の線形増幅の前記第2動作モードでの前記直流バイアス電流(I3)の前記正の温度依存性は、前記バイアス制御ユニット(30)に含まれる感温素子(D1)を利用して設定されたものである。
具体的な一つの実施の形態では、前記増幅段(10)の前記トランジスタ(Q10)はLDMOSトランジスタである(図1参照)。
他の具体的な一つの実施の形態では、前記増幅段(10)の前記トランジスタ(Q10)はヘテロバイポーラトランジスタである(図6参照)。
〔2〕本発明の別の観点の代表的な実施の形態によるRF電力増幅装置(RF_PAM1)は、第1電力増幅器(HPA1)と、第2電力増幅器(HPA2)と、バイアス制御ユニット(20、30、40)とを具備する。
前記第1電力増幅器(HPA1)は、略0.8GHzから1.0GHzの第1周波数帯域を持つTDMA方式の第1RF送信入力信号(Pin_LB)を増幅するものである。
前記第2電力増幅器(HPA2)は、略1.7GHzから2.0GHzの第2周波数帯域を持つTDMA方式と略1.7GHzから2.0GHzの第3周波数帯域を持つWCDMA方式との第2RF送信入力信号(Pin_HB)を増幅するものである。
前記第1電力増幅器(HPA1)は前記第1RF増幅入力信号(Pin_LB)を増幅して第1RF増幅出力信号(Pout_LB)を生成する第1増幅段(10_LB)を具備するものであり、温度上昇により前記第1増幅段(10_LB)の第1トランジスタ(Q10_LB)の増幅利得が低下するものである。
前記第2電力増幅器(HPA2)は前記第2RF増幅入力信号(Pin_HB)を増幅して第2RF増幅出力信号(Pout_HB)を生成する第2増幅段(10_HB)を具備するものであり、温度上昇により前記第2増幅段(10_HB)の第2トランジスタ(Q10_HB)の増幅利得が低下するものである。
前記バイアス制御ユニット(20、30、40)に動作モード信号(Non-Linear、Linear)が供給されることにより、前記第1増幅段(10_LB)と前記第2増幅段(10_HB)とが飽和型の非線形増幅の第1動作モードと非飽和型の線形増幅の第2動作モードとで動作するように前記バイアス制御ユニットは前記第1増幅段と前記第2増幅段とを制御する。
前記第1増幅段と前記第2増幅段とが飽和型の非線形増幅の前記第1動作モードで動作する際には、前記バイアス制御ユニットは前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとの前記直流バイアス電流(I3)を小さな温度依存性に設定するものである。
前記第1増幅段と前記第2増幅段とが非飽和型の線形増幅の前記第2動作モードで動作する際には、前記バイアス制御ユニットは前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとの前記直流バイアス電流(I3)を前記小さな温度依存性よりも大きな正の温度依存性に設定するものである(図7参照)。
好適な実施の形態では、飽和型の非線形増幅の前記第1動作モードでの動作では、前記第1RF増幅入力信号と前記第2RF増幅入力信号とはGSM通信での一定包絡線信号であり、非飽和型の線形増幅の前記第2動作モードでの動作では、前記1RF増幅入力信号と前記第2RF増幅入力信号とはEGDE通信とWCDMA通信とのいずれか一方の包絡線変化信号である。
より好適な実施の形態では、飽和型の非線形増幅の前記第1動作モードでの前記直流バイアス電流(I3)の前記小さな温度依存性は、前記バイアス制御ユニット(40)に含まれるバンドギャップ基準電圧発生器(401)を利用して設定されたものである。
更により好適な実施の形態では、非飽和型の線形増幅の前記第2動作モードでの前記直流バイアス電流(I3)の前記正の温度依存性は、前記バイアス制御ユニット(30)に含まれる感温素子(D1)を利用して設定されたものである。
具体的な一つの実施の形態では、前記第1増幅段と前記第2増幅段との前記第1トランジスタと前記第2トランジスタはLDMOSトランジスタである(図1参照)。
他の具体的な一つの実施の形態では、前記第1増幅段と前記第2増幅段との前記第1トランジスタと前記第2トランジスタはヘテロバイポーラトランジスタである(図6参照)。
《実施の形態の説明》
次に、実施の形態について更に詳述する。
《マルチモードをサポートするRF電力増幅器》
図1は、GSM通信でのGMSK一定包絡線信号を送信する飽和型の非線形増幅の第1動作モードとEDGE通信での3π/8-8PSKとWCDMAでの通信でのHPSKとの包絡線変化信号を送信する非飽和型の線形増幅の第2動作モードとをサポートする本発明の実施の形態によるRF電力増幅器を示す図である。
図1に示した1個のRF電力増幅器は飽和型の非線形増幅の第1動作モードと非飽和型の線形増幅の第2動作モードとに共通使用されると伴に、1個のRF電力増幅器の動作はこの第1動作モードとこの第2動作モードとの間で切り換えられるものである。
図1に示した1個のRF電力増幅器は、シリコン半導体チップに形成された増幅段10とバイアス制御回路20と温度依存電流発生回路30と基準電流・電圧発生器40とによって構成されている。増幅段10は、RF増幅用LDMOSデバイスRF_LDMOSにより構成されている。RF増幅用LDMOSデバイスは、ソース接地NチャンネルMOSトランジスタQ10とダイオード接続NチャンネルMOSトランジスタQ11と抵抗Rgとから構成される。抵抗Rgを介してソース接地MOSトランジスタQ10とダイオード接続MOSトランジスタQ11とはカレントミラーの形態で接続されている。その結果、増幅段10は、シリコン半導体チップの製造バラツキや温度変化に対しても安定に動作することができる。また、増幅段10は、エミッタ接地NPN型HBTとダイオード接続NPN型HBTとにより構成されることもできる。
RF増幅用LDMOSデバイスのバイアス入力としてのダイオード接続MOSトランジスタQ11にはバイアス制御回路20から生成された直流バイアス電流I3が供給される。ダイオード接続MOSトランジスタQ11の両端の間から直流バイアス電流I3に依存したバイアス電圧が生成され、このバイアス電圧はソース接地MOSトランジスタQ10のゲート・ソース間に供給される。
バイアス制御回路20は、制御入力電流源Icont、抵抗R4、差動増幅器DA3、スイッチSW11、SW12、SW2、抵抗R51、R52、PチャンネルMOSトランジスタQ7、Q8により構成されている。差動増幅器DA3の反転入力端子−には制御入力電流源Icontが接続され、差動増幅器DA3の反転入力端子−と接地電圧との間には抵抗R4が接続されている。制御入力電流源Icontは差動増幅器DA4の出力電圧であるAPC制御電圧Vapcにより制御され、差動増幅器DA4の非反転入力端子+と反転入力端子−とにはランプ電圧Vrampとパワー検出信号VDETとがそれぞれ供給されている。ランプ電圧Vrampはベースバンド処理ユニットやRFアナログ信号処理ICから供給される送信信号レベルを示す信号であり、携帯電話端末と基地局との間の通信距離に比例する。増幅段10の出力端子のRF増幅出力信号Poutの一部が方向性カップラーを介してパワー検出器の入力端子に供給され、パワー検出信号VDETはパワー検出器の出力端子から生成される。
差動増幅器DA3の出力端子はPチャンネルMOSトランジスタQ7、Q8のゲート端子に接続され、PチャンネルMOSトランジスタQ7のドレインは差動増幅器DA3の非反転入力端子+と抵抗R51、R52の一端とスイッチSW2の一端とに接続されている。抵抗R51の他端はスイッチSW11を介して接地電圧に接続され、抵抗R52の他端はスイッチSW12を介して接地電圧に接続され、スイッチSW2の他端は温度依存電流発生回路30に接続されている。
図1のRF電力増幅器には、動作モード信号Non-Linear、Linearが供給される。図1のRF電力増幅器が飽和型の非線形増幅の第1動作モードを行う時には、動作モード信号Non-Linearの信号によって、SW11にはハイレベル“1”が入力され、スイッチSW12とスイッチSW2とにローレベル“0” が入力される。従って、図1のRF電力増幅器が飽和型の非線形増幅の第1動作モードでは、スイッチSW11はオン状態、スイッチSW12はオフ状態、スイッチSW2はオフ状態に制御される。図1のRF電力増幅器が非飽和型の線形増幅の第2動作モードを行う時には、動作モード信号Linearの信号によって、SW11にはローレベル“0”が入力され、スイッチSW12とスイッチSW2とにハイレベル“1” が入力される。従って、図1のRF電力増幅器が非飽和型の線形増幅の第2動作モードでは、スイッチSW11はオフ状態、スイッチSW12はオン状態、スイッチSW2はオン状態に制御される。飽和型の非線形増幅の第1動作モードのための抵抗R51の抵抗値は、非飽和型の線形増幅の第2動作モードのための抵抗R52の抵抗値よりも小さな値に設定されている。
制御入力電流源IcontがAPC制御電圧Vapcにより制御されているので、パワー検出信号VDETよりもランプ電圧Vrampが高レベルとなると、APC制御電圧Vapcは増加するので、制御入力電流源Icontの電流値は増加して、抵抗R4の電圧V4は増加する。差動増幅器DA3の非反転入力端子+と反転入力端子−との間の入力オフセット電圧が無視できるならば、差動増幅器DA3の非反転入力端子+の入力電圧V4のレベルに出力端子および反転入力端子−の出力電圧V5のレベルは追従する。差動増幅器DA3の非反転入力端子+の入力電圧V4が増加するので、差動増幅器DA3の出力電圧V5のレベルは増大する。パワー検出信号VDETがランプ電圧Vrampと同一レベルであると、APC制御電圧Vapcは零レベルに低下するので、制御入力電流源Icontの電流値は温度依存性の極めて小さな基準電流に低下して、抵抗R4の電圧V4は温度依存性の極めて小さな基準電圧に低下する。差動増幅器DA3の非反転入力端子+と反転入力端子−との間の入力オフセット電圧が無視できるならば、差動増幅器DA3の非反転入力端子+の入力電圧V4のレベルに出力端子および反転入力端子−の出力電圧V5のレベルは追従する。差動増幅器DA3の非反転入力端子+の入力電圧V4が基準電圧に低下するので、差動増幅器DA3の出力電圧V5のレベルも基準電圧に減少する。パワー検出信号VDETよりもランプ電圧Vrampが低レベルとなると、APC制御電圧Vapcは更に低下するので、制御入力電流源Icontの電流値は更に減少して、抵抗R4の電圧V4は更に低下する。差動増幅器DA3の非反転入力端子+と反転入力端子−との間の入力オフセット電圧が無視できるならば、差動増幅器DA3の非反転入力端子+の入力電圧V4のレベルに出力端子および反転入力端子−の出力電圧V5のレベルは追従する。差動増幅器DA3の非反転入力端子+の入力電圧V4が更に低下するので、差動増幅器DA3の出力電圧V5のレベルは更に低下する。
温度依存電流発生回路30は、差動増幅器DA2、PチャンネルMOSトランジスタQ3、Q4、抵抗R3、感温素子としてのダイオードD1、NチャンネルMOSトランジスタQ5、Q6により構成されている。差動増幅器DA2の反転入力端子−には、基準電流・電圧発生器40で生成される基準電圧V2が供給される。差動増幅器DA2の出力端子はPチャンネルMOSトランジスタQ3、Q4のゲート端子に接続され、PチャンネルMOSトランジスタQ3のドレインは差動増幅器DA2の非反転入力端子+と抵抗R3の一端とに接続されている。抵抗R3の他端は、感温素子としてのダイオードD1を介して接地電圧に接続されている。NチャンネルMOSトランジスタQ5、Q6はカレントミラーを構成しており、ゲートとドレインとが接続されたNチャンネルMOSトランジスタQ5はカレントミラーの入力トランジスタである。また、ゲート・ソースが入力トランジスタQ5の両端間の電圧によりバイアスされるNチャンネルMOSトランジスタQ6は、カレントミラーの出力トランジスタである。
基準電流・電圧発生器40は、バンドギャップ基準電圧発生器401、差動増幅器DA1、PチャンネルMOSトランジスタQ1、Q2、抵抗R1、R2により構成されている。差動増幅器DA1の反転入力端子−には、バンドギャップ基準電圧発生器401で生成されるバンドギャップ基準電圧VBGRが供給される。温度変化もしくは電源電圧Vddが変動してもバンドギャップ基準電圧発生器401で生成されるバンドギャップ基準電圧VBGRは、略1.2ボルトのシリコンの安定なバンドギャップ電圧となる。略1.2ボルトのバンドギャップ基準電圧VBGRが差動増幅器DA1の反転入力端子−に供給され、差動増幅器DA1の出力端子はPチャンネルMOSトランジスタQ1、Q2のゲート端子に接続され、PチャンネルMOSトランジスタQ1のドレインは差動増幅器DA1の非反転入力端子+と抵抗R1の一端とに接続されている。抵抗R1の他端は、抵抗R2を介して接地電圧に接続されている。差動増幅器DA1とPチャンネルMOSトランジスタQ1とによる負帰還動作により、PチャンネルMOSトランジスタQ1のドレインの電圧V1は略1.2ボルトのバンドギャップ基準電圧VBGRのレベルに等しく制御される。
基準電流・電圧発生器40で抵抗R1、R2の抵抗値は、温度依存性が極めて小さく設定されている。抵抗R1、R2には安定な略1.2ボルトのバンドギャップ基準電圧VBGRと等しい電圧V1が印加されるので、PチャンネルMOSトランジスタQ1、Q2のソース・ドレイン経路と抵抗R1、R2とを流れる電流I1も安定な電流となる。その結果、抵抗R1、R2の共通接続点に生成される基準電圧V2は、温度依存性が極めて小さな安定な電圧となる。また、PチャンネルMOSトランジスタQ1のソース・ゲート電圧VgsQ1は安定な電流I1に依存するので、ソース・ゲート電圧VgsQ1がソース・ゲート間に印加されるPチャンネルMOSトランジスタQ2のソース・ドレイン経路に流れる基準電流Irefも温度依存性が極めて小さな安定な電流となる。
温度依存電流発生回路30で差動増幅器DA2の反転入力端子−には、基準電流・電圧発生器40で生成された安定な基準電圧V2が供給されている。差動増幅器DA2とPチャンネルMOSトランジスタQ3とによる負帰還動作により、PチャンネルMOSトランジスタQ3のドレインの電圧V3は基準電圧V2のレベルに等しく制御される。抵抗R3の抵抗値は温度依存性が極めて小さいが、感温素子としてのダイオードD1の順方向電圧VFは−2mV/℃の負の温度依存性を持っている。従って、温度依存電流発生回路30でPチャンネルMOSトランジスタQ3のソース・ドレイン経路と抵抗R3とダイオードD1とに流れる電流IT1は正の温度依存性を持つようになり、温度上昇によって電流IT1は増大する。PチャンネルMOSトランジスタQ3のソース・ゲート電圧VgsQ3は正の温度依存性を持つ電流IT1に依存するので、ソース・ゲート電圧Vgs Q3がソース・ゲート間に印加されるPチャンネルMOSトランジスタQ4のソース・ドレイン経路に流れる電流IT2も正の温度依存性を持つようになる。正の温度依存性を持つ電流IT2はカレントミラーの入力トランジスタQ5に流れるので、カレントミラーの出力トランジスタQ6に流れる電流IT3も正の温度依存性を持つようになる。また、カレントミラーの出力トランジスタQ6のドレインから接地電圧に向かって電流IT3が流れ、基準電流・電圧発生器40からの基準電流Irefがカレントミラーの出力トランジスタQ6のドレインに向かって流れるものとなる。
図2は、図1に示したRF電力増幅器の各部の電流の温度依存性を示す図である。
図2(A)は、基準電流・電圧発生器40からの基準電流Irefと温度依存電流発生回路30のカレントミラーの出力トランジスタQ6に流れる電流IT3との温度依存性を示す図である。図2(A)に示すように、基準電流・電圧発生器40のPチャンネルMOSトランジスタQ2に流れる基準電流Irefは温度依存性が極めて小さなものとなり、温度依存電流発生回路30のカレントミラーの出力トランジスタQ6に流れる電流IT3は正の温度依存性を持つものとなる。また、室温の25℃において、電流IT3の電流値と基準電流Irefの電流値とは等しくなっている。
図2(B)は、バイアス制御回路20でスイッチSW11、SW12の一方がオン状態とされることにより抵抗R51、R52の一方に流れる電流I2と、非飽和型の線形動作の第2動作モードでオン状態とされるスイッチSW2に流れる電流I4の様子を示す図である。
《飽和型の非線形動作の第1動作モード》
図2(B)に示すように、飽和型の非線形動作の第1動作モードでは、低抵抗R51に接続されたスイッチSW11がオン状態とされる一方、基準電流・電圧発生器40に接続されたスイッチSW2はオフ状態とされる。従って、バイアス制御回路20の差動増幅器DA3の出力電圧V5と低抵抗R51とにより、電流I2の電流は極めて小さな温度依存性を持つ安定な大きな値となる。
図2(C)に示すように、バイアス制御回路20の直流バイアス電流I3は低抵抗R51に流れる電流I2により決定されて極めて小さな温度依存性を持つ安定な大きな値となる。従って、飽和型の非線形動作の第1動作モードでは、増幅段10のソース接地MOSトランジスタQ10のDCバイアス電流I3と増幅利得とは小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に設定される。
その結果、増幅段10のソース接地MOSトランジスタQ10は波形クリップを生じて飽和型の非線形動作によるGSM通信でのGMSK一定包絡線信号を増幅するものとなる。この時に、温度上昇によりDCバイアス電流I3が増大することが無いので、消費電力の無駄な増大と電力付加効率(PAE)の低下とを回避することができる。
《非飽和型の線形動作の第2動作モード》
図2(B)に示すように、非飽和型の線形動作の第2動作モードでは、高抵抗R52に接続されたスイッチSW12がオン状態とされる一方、基準電流・電圧発生器40に接続されたスイッチSW2はオン状態とされる。図2(B)に示すように、バイアス制御回路20の差動増幅器DA3の出力電圧V5と高抵抗R52とにより、電流I2は極めて小さな温度依存性を持つ安定な小さな値となる。オン状態のスイッチSW2に流れるバイアス制御回路20の電流IT4は、温度依存電流発生回路30の正の温度依存性を持つ電流IT3と基準電流Irefとの差電流となる。
また、図2(C)に示すように、バイアス制御回路20の直流バイアス電流I3は、極めて小さな温度依存性を持つ安定な小さな値の電流I2と正の温度依存性を持つ電流IT4との和の成分を持つ電流となる。従って、非飽和型の線形動作の第2動作モードでは、増幅段10のソース接地MOSトランジスタQ10のDCバイアス電流I3は正の温度依存性を持つようになる。従って、温度上昇により増幅段10のソース接地MOSトランジスタQ10のチャンネルコンダクタンス(利得)が低下しても、MOSトランジスタQ10のDCバイアス電流I3が増大することで、MOSトランジスタQ10のチャンネルコンダクタンス(利得)が増加する。その結果、バイアス制御回路20の正の温度依存性を持つ直流バイアス電流I3により、温度上昇による増幅段10のソース接地MOSトランジスタQ10のチャンネルコンダクタンス(利得)の低下を補償することが可能となる。従って、温度上昇による増幅段10の非飽和型の線形動作を行うソース接地MOSトランジスタQ10のチャンネルコンダクタンス(利得)の低下が補償される。
その結果、EDGE通信の3π/8-8PSKまたはWCDMAの通信でのHPSKの包絡線変化信号の送信に際して、RF電力増幅器のパワーゲインの低下を補償することができる。
図8は、増幅段10としてのNチャンネルRF増幅用LDMOSトランジスタQ10のゲート・ソース間電圧VGS・ドレイン電流IDの温度依存性を示す図である。図8には、周囲温度Taが−25℃、25℃、100℃での特性が示され、零温度係数点(ZTC)でのドレイン電流IDは略30mAとなっている。ドレイン電流IDが略30mA以上の動作領域では、周囲温度Taが−25℃、25℃、100℃と上昇すると、同一のゲート・ソース間電圧VGSに対するドレイン電流IDが低下する。すなわち、温度上昇によって、LDMOSトランジスタのチャンネルコンダクタンス(利得)が低下するものとなる。
このような温度上昇に際して、図1のRF電力増幅器の非飽和型の線形動作の第2動作モードでは、バイアス制御回路20の正の温度依存性を持つ直流バイアス電流I3により、温度上昇による増幅段10のソース接地MOSトランジスタQ10のチャンネルコンダクタンス(利得)の低下を補償することができる。
《第2動作モードの送信電力の温度依存特性》
図3は、図1に示したRF電力増幅器がEDGE通信の3π/8-8PSKまたはWCDMAの通信でのHPSKの包絡線変化信号を送信するための非飽和型の線形動作の第2動作モードを行う際の送信電力の温度依存特性を示すものである。
特性L1は、図1のRF電力増幅器でバイアス制御回路20のスイッチSW2が非飽和型の線形動作の第2動作モードでもオフ状態に維持され、温度上昇による増幅段10のソース接地MOSトランジスタQ10の利得低下が補償されない場合の送信電力の温度依存特性を示すものである。特性L2は図1のRF電力増幅器でバイアス制御回路20のスイッチSW2が非飽和型の線形動作の第2動作モードでオン状態に制御され、温度上昇による増幅段10のソース接地MOSトランジスタQ10の利得低下が補償される場合の送信電力の温度依存特性を示すものである。
図3の特性L1は目標とする送信電力の温度依存特性の仕様TSの範囲外に温度変動により送信電力が逸脱するものであり、図3の特性L2は目標とする送信電力の温度依存特性の仕様TSの範囲内に温度変動により送信電力が維持されるものである。
《携帯電話の構成≫
図4は、図1に示した本発明の1つの実施の形態によるRF電力増幅装置RF_PAM1を搭載した基地局との通信を行う携帯電話のシステム構成を示す図である。
同図に示すように、携帯電話のマイクMICの音声信号はベースバンドLSI(BB_LSI)のようなベースバンド信号処理ユニット(BB_SPU)により処理されて送信用ベースバンド信号が、RF集積回路RF_ICの送信信号処理ユニット(Tx_SPU)に供給される。RF集積回路RF_ICは、GSM850とGSM900とDCS1800とPCS1900とにおいて時分割のTDMA方式による受信スロットと送信スロットで受信動作と送信動作とを行う。また、RF集積回路RF_ICは、WCDMA1900では周波数分割のCDMA方式による1920MHz〜1980MHzの送信周波数による常時送信動作と2110MHz〜2170MHzの受信周波数による常時受信動作との並列動作を行う。
《携帯電話の受信動作≫
携帯電話の受信動作は、次のように行われる。
すなわち、RF集積回路RF_ICの受信信号処理ユニット(Rx_SPU)には、スイッチSW1と第1表面弾性波フィルタSAW1とを介して携帯電話のアンテナANTで受信されたGSM850(受信周波数869〜894MHz)のRF受信信号とGSM900(受信周波数925〜960MHz)のRF受信信号とが供給される。また、受信信号処理ユニット(Rx_SPU)には、スイッチSW2と第2表面弾性波フィルタSAW2とを介して携帯電話のアンテナANTで受信されたDCS1800(受信周波数1805〜1880MHz)のRF受信信号とPCS1900(受信周波数1930〜1990MHz)のRF受信信号と、が供給される。また、受信信号処理ユニット(Rx_SPU)には、分波器SPLを介して携帯電話のアンテナANTで受信されたWCDMA1900(受信周波数2110〜2170MHz)のRF受信信号が供給される。受信信号処理ユニット(Rx_SPU)は、受信したRF受信信号を受信ベースバンド信号に周波数ダウンコンバージョンして、ベースバンドLSI(BB_LSI)のようなベースバンド信号処理ユニット(BB_SPU)へ供給する。ベースバンド信号処理ユニット(BB_SPU)の信号処理により生成された音声信号は図示しない音声増幅器を介して携帯電話のスピーカーSPに供給される。
《携帯電話の送信動作≫
携帯電話の送信動作は、次のように行われる。
すなわち、ベースバンド信号処理ユニット(BB_SPU)により処理された送信用ベースバンド信号をRF集積回路RF_ICの送信信号処理ユニット(Tx_SPU)は、送信用ベースバンド信号をGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900、WCDMA1900のいずれかの送信周波数への周波数アップコンバートを行う。尚、GSM850の送信周波数は824MHz〜849MHzであり、GSM900の送信周波数は880MHz〜915MHzである。また、DCS1800の送信周波数は1710MHz〜1785MHzであり、PCS1900の送信周波数は1850MHz〜1910MHzであり、WCDMA1900の送信周波数は1920MHz〜1980MHzである。周波数アップコンバートされたRF送信信号は、GSM850とGSM900とのための第1RF電力増幅器HPA1、DCS1800とPCS1900とWCDMA1900とのための第2RF電力増幅器HPA2のいずれかで増幅される。増幅されたRF送信信号は、アンテナスイッチのスイッチSW1、SW2もしくは分波器SPLを介して携帯電話のアンテナANTに供給される。
尚、GSM850とGSM900とのための第1RF電力増幅器HPA1とDCS1800とPCS1900とWCDMA1900とのための第2RF電力増幅器HPA2とは、マルチバンドをカバーするRF電力増幅器モジュールRF_PAM1として構成されている。
第1RF電力増幅器HPA1は、GSM850とGSM900とのいずれかの送信で、GSM通信でのGMSK一定包絡線信号を増幅する際に、図1で説明したRF電力増幅器の飽和型の非線形動作の第1動作モードを行うものである。また、第1RF電力増幅器HPA1は、GSM850とGSM900とのいずれかの送信で、EDGE通信の3π/8-8PSKの包絡線変化信号を増幅する際に、図1で説明したRF電力増幅器の非飽和型の線形動作の第2動作モードを行うものである。この第2動作モードでは、温度上昇による第1RF電力増幅器HPA1の増幅段10のソース接地MOSトランジスタQ10の利得低下がバイアス電流の増加により補償されるものである。
第2RF電力増幅器HPA2は、DCS1800とPCS1900とのいずれかの送信で、GSM通信でのGMSK一定包絡線信号を増幅する際に、図1で説明したRF電力増幅器の飽和型の非線形動作の第1動作モードを行うものである。また、第2RF電力増幅器HPA2は、DCS1800とPCS1900とWCDMA1900とのいずれかの送信で、EDGE通信の3π/8-8PSKまたはWCDMAの通信でのHPSKの包絡線変化信号を増幅する際に、図1で説明したRF電力増幅器の非飽和型の線形動作の第2動作モードを行うものである。この第2動作モードでは、温度上昇による第2RF電力増幅器HPA2の増幅段10のソース接地MOSトランジスタQ10の利得低下がバイアス電流の増加により補償されるものである。
≪LDMOSによるRFパワーモジュール≫
図5は、図4に示した本発明の1つの実施の形態によるRF電力増幅装置RF_PAM1の第1RF電力増幅器HPA1と第2RF電力増幅器HPA2との構成を示す回路図である。この図5に示すように本発明の1つの実施の形態によるRF電力増幅装置は、1つのパッケージ中に組み込まれたRFパワーモジュールRF_PAM1として構成されている。
携帯電話端末のような通信端末機器中に搭載されるRF集積回路RFICからの第1RF送信入力信号Pin_LBと、第2RF送信入力信号Pin_HBとが、RFパワーモジュールRF_PAM1の第1RF電力増幅器HPA1と第2RF電力増幅器HPA2とにそれぞれ供給される。第1RF送信入力信号Pin_LBはGSM850とGSM900の略0.8GHz〜1.0GHzの第1周波数帯域を持ち、第2RF送信入力信号Pin_HBはDCS1800とPCS1900とWCDMA1900との略1.7GHz〜2.0GHzの第2周波数帯域を持つ。
GSM850のバンドのRF送信信号とGSM900のバンドのRF送信信号とは第1周波数帯域を持つ第1RF送信入力信号Pin_LBとして、第1RF電力増幅器HPA1の入力に供給される。尚、GSM850のバンドのRF送信信号の周波数帯域は824MHz〜849MHzで、GSM900のバンドのRF送信信号の周波数帯域は880MHz〜915MHzである。
DCS1800のバンドのRF送信信号とPCS1900のバンドのRF送信信号とは第2周波数帯域を持つ第2RF送信入力信号Pin_HBとして、第2RF電力増幅器HPA2の入力に供給される。また、WCDMA1900のバンドのRF送信信号も第2RF送信入力信号Pin_HBとして、第2RF電力増幅器HPA2の入力に供給されることもできる。尚、DCS1800のバンドのRF送信信号の周波数帯域は1710MHz〜1785MHzで、PCS1900のバンドのRF送信信号の周波数帯域は1850MHz〜1910MHzで、WCDMA1900のバンドのRF送信信号の周波数帯域は1920MHz〜1980MHzである。
図5に示したRF電力増幅装置RF_PAM1では、2つの第1RF電力増幅器HPA1と第2RF電力増幅器HPA2の基本的な増幅器としての構成は略同一となっている。
第1RF電力増幅器HPA1では、第1RF送信入力信号Pin_LBは、結合容量C11を介して多段増幅器の入力側増幅器1st_Stg_LBのRF増幅素子Q11で増幅される。入力側増幅器1st_Stg_LBのRF増幅信号は高調波トラップ回路HTCと結合容量C12とを介して多段増幅器の出力側増幅器2nd_Stg_LBのRF増幅素子Q12で増幅されて、RF増幅素子Q12の出力より第1RF送信出力信号Pout_LBが得られる。入力側増幅器1st_Stg_LBのRF増幅素子Q11の出力電極には負荷インダクターL11を介して、出力側増幅器2nd_Stg_LBのRF増幅素子Q12の出力電極には負荷インダクターL12を介して動作電源電圧VLVDO_LBがAPC動作電源電圧供給制御回路APC_Pw_Spl_Cnt_LBから供給される。尚、APCは、Automatic Power Controlの略である。入力側増幅器1st_Stg_LBのRF増幅素子Q11の入力電極には、内部増幅器OP11により構成された入力側ボルテージフォロワVF11を介して、入力側バイアス回路1st_BC_LBで形成されたバイアス電圧が供給される。この入力側バイアス回路1st_BC_LBの入力バイアス電流I11は、APCバイアス制御回路APC_Bias_Cnt_LBの定電流素子Q31の出力電極から供給される。出力側増幅器2nd_Stg_LBのRF増幅素子Q12の入力電極には、内部増幅器OP12により構成された出力側ボルテージフォロワVF12を介して、出力側バイアス回路2nd_BC_LBで形成されたバイアス電圧が供給される。この出力側バイアス回路2nd_BC_LBの入力バイアス電流I12は、APCバイアス制御回路APC_Bias_Cnt_LBの定電流素子Q32の出力電極から供給される。尚、ボルテージフォロワVF11、VF12は内部増幅器OP11、OP12により構成されているが、回路構成の簡単なソースフォロワやエミッタフォロワに置換することが可能である。
APCバイアス制御回路APC_Bias_Cnt_LBでは、第1RF送信出力信号Pout_LBの一部がパワーカップラーPCLPL_LBとパワー検出器DET_LBとによって検出される。このパワー検出出力信号VDET_LBが第1差動増幅器DA1の反転入力端子−に供給される一方、第1差動増幅器DA1の非反転入力端子+にはランプ電圧Vrampが供給される。ランプ電圧VrampはベースバンドLSIのようなベースバンド信号処理ユニットからRF ICを介してRF電力増幅器に供給されるものであり、基地局と携帯電話端末との距離に比例したり、EDGE方式でのAM変調振幅に比例する送信電力指示信号である。第1差動増幅器DA1の出力端子のAPC制御電圧Vapcは第2差動増幅器DA2の反転入力端子−に供給される一方、第2差動増幅器DA2の非反転入力端子+にはバイアス電圧Vbias_LBが供給される。バイアス電圧Vbias_LBは、バイアス電流Ibias_LBが抵抗R31に流れることにより発生される。
第1RF電力増幅器HPA1が飽和型の非線形動作の第1動作モードを行う際には、バイアス電流Ibias_LBは、図2(C)の直流バイアス電流I3(Non-Linear)に示すように極めて小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に制御される。従って、飽和型の非線形動作の第1動作モードでは、入力側バイアス回路1st_BC_LBの入力バイアス電流I11と出力側バイアス回路2nd_BC_LBの入力バイアス電流I12とは、極めて小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に制御される。従って、入力側増幅器1st_Stg_LBのRF増幅素子Q11と出力側増幅器2nd_Stg_LBのRF増幅素子Q12との増幅利得は、小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に設定される。その結果、最終増幅段としての出力側増幅器2nd_Stg_LBのソース接地RF増幅MOSトランジスタQ12は波形クリップを生じて飽和型の非線形動作によるGSM通信でのGMSK一定包絡線信号を増幅するものとなる。この時には、温度上昇によりRF増幅素子Q11、Q12のDCバイアス電流が増大することが無いので、消費電力の無駄な増大と電力付加効率(PAE)の低下とを回避することができる。
第1RF電力増幅器HPA1が非飽和型の線形動作の第2動作モードを行う際には、バイアス電流Ibias_LBは、図2(C)の直流バイアス電流I3(Linear)に示すように正の温度依存性を持つ直流バイアス電流に制御される。従って、非飽和型の線形動作の第2動作モードでは、入力側バイアス回路1st_BC_LBの入力バイアス電流I11と出力側バイアス回路2nd_BC_LBの入力バイアス電流I12とは、正の温度依存性を持つ直流バイアス電流に制御される。従って、温度上昇による入力側増幅器1st_Stg_LBのRF増幅素子Q11と出力側増幅器2nd_Stg_LBのRF増幅素子Q12とのチャンネルコンダクタンス(利得)の低下を補償することが可能となる。その結果、最終増幅段としての出力側増幅器2nd_Stg_LBのソース接地RF増幅MOSトランジスタQ12のチャンネルコンダクタンス(利得)の低下が補償される。その結果、EDGE通信の3π/8-8PSKまたはWCDMAの通信でのHPSKの包絡線変化信号の送信に際して、RF電力増幅器のパワーゲインの低下を補償することができる。
パワー検出出力信号VDET_LBがランプ電圧Vrampよりも低レベルであると、APC制御電圧Vapcが高レベルとなる。APC制御電圧Vapcがバイアス電圧Vbias_LBのレベルよりも高くなると、第2差動増幅器DA2の出力電圧は低レベルとなる。すると、P−MOSQ30のドレイン電圧と第2差動増幅器DA2の非反転入力端子+の電圧とは、APC制御電圧Vapcのレベルに追従して増加する。すると、P−MOSQ30と抵抗R31とに流れる電流が増加する。また、P−MOSQ31のドレインからの電流I11も、P−MOSQ32のドレインからの電流I12も増加する。これらの電流I11、電流I12は、それぞれ入力側バイアス回路1st_BC_LBの電流源I11、出力側バイアス回路2nd_BCの電流源I12となっている。従って、パワー検出出力信号VDET_LBがランプ電圧Vrampよりも低レベルであると、入力側増幅器1st_Stg_LBのRF増幅素子Q11の入力端子のバイアス電圧と出力側増幅器2nd_Stg_LBの次段RF増幅素子Q12の入力端子のバイアス電圧とが増加する。その結果、第1RF電力増幅器HPA1の入力側増幅器1st_Stg_LBと出力側増幅器2nd_Stg_LBとの全てのRF増幅利得が増加する。
また、APC電源供給制御回路APC_Pw_Spl_Cnt_LBでは、APCバイアス制御回路APC_Bias_Cnt_LBの第1差動増幅器DA1の出力端子からのAPC制御電圧Vapcが第3差動増幅器DA3の反転入力端子−に供給される。第3差動増幅器DA3の非反転入力端子+には、P−MOSQ33と分圧抵抗R32、R33からの負帰還信号が供給されている。P−MOSQ33のソースに携帯電話端末のバッテリーからの電源電圧Vddが供給されることによって、APC電源供給制御回路APC_Pw_Spl_Cnt_LBはAPC制御電圧Vapcのレベルに追従する動作電源電圧VLVDO_LBを第1RF電力増幅器HPA1に供給する。その結果、APC入力バイアス制御とAPC電源電圧制御とにより、更に効果的なAPC制御が行われる。このAPCドレイン電源電圧制御は、GSM850とGSM900の通信で通信転送レートの高いEDGE方式でのAM変調を第1RF電力増幅器HPA1が実行する際に有効なAM変調のための方法となる。
また、図5のRF電力増幅装置RF_PAM1では、GSM850とGSM900のための第1RF電力増幅器HPA1の入力側増幅器1st_Stg_LBのソース接地のN−MOSQ11のドレインには、インダクターL101、容量C101で構成された高調波トラップ回路HTCが接続されている。高調波トラップ回路HTCのインダクターL101、容量C101の直列共振周波数はGSM850、GSM900のRF送信入力信号RFPin_LBの周波数の2倍高調波の周波数(1700MHz〜1800MHz)に略共振するように設定されている。その結果、第1RF電力増幅器HPA1のソース接地のN−MOSQ11のドレインの2倍高調波は高調波トラップ回路HTCのインダクターL101、容量C101の極めて低い直列共振インピーダンスを介して接地電位点にバイパスされる。第1RF電力増幅器HPA1のソース接地のN−MOSQ11のドレインに接続された高調波トラップ回路HTCは、GSM850、GSM900のRF送信入力信号RFPin_LBの周波数の2倍高調波が妨害信号となることを軽減する。従って、DCS1800、PCS1900、WCDMA1900のRF送信入力信号RFPin_HBを増幅する第2RF電力増幅器HPA2のN−MOSQ21、Q22への2倍高調波による妨害信号の影響を、低減することができる。
第2RF電力増幅器HPA2では、第2RF送信入力信号Pin_HBは結合容量C21を介して多段増幅器の入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅素子Q21で増幅される。入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅信号は結合容量C22を介して多段増幅器の出力側増幅器2nd_Stg_HBのRF増幅素子Q22で増幅されて、RF増幅素子Q22の出力より第2RF送信出力信号Pout_HBが得られる。入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅素子Q21の出力電極には負荷インダクターL21を介して、出力側増幅器2nd_Stg_HBのRF増幅素子Q22の出力電極には負荷インダクターL22を介して動作電源電圧VLVDO_HBがAPC動作電源電圧供給制御回路APC_Pw_Spl_Cnt_HBから供給される。入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅素子Q21の入力電極には、内部増幅器OP21により構成された入力側ボルテージフォロワVF21を介して、入力側バイアス回路1st_BC_HBで形成されたバイアス電圧が供給される。この入力側バイアス回路1st_BC_HBの入力バイアス電流I21は、APCバイアス制御回路APC_Bias_Cnt_HBの定電流素子Q31の出力電極から供給される。出力側増幅器2nd_Stg_HBのRF増幅素子Q22の入力電極には、内部増幅器OP22により構成された出力側ボルテージフォロワVF22を介して、出力側バイアス回路2nd_BC_HBで形成されたバイアス電圧が供給される。この出力側バイアス回路2nd_BC_HBの入力バイアス電流I22は、APCバイアス制御回路APC_Bias_Cnt_HBの定電流素子Q32の出力電極から供給される。
APCバイアス制御回路APC_Bias_Cnt_HBでは、第2RF送信出力信号Pout_HBの一部がパワーカップラーPCLPL_HBとパワー検出器DET_HBとによって検出される。このパワー検出出力信号VDET_HBが第1差動増幅器DA1の反転入力端子−に供給される一方、第1差動増幅器DA1の非反転入力端子+にはランプ電圧Vrampが供給される。第1差動増幅器DA1の出力端子のAPC制御電圧Vapcは第2差動増幅器DA2の反転入力端子−に供給される一方、第2差動増幅器DA2の非反転入力端子+にはバイアス電圧Vbias_HBが供給される。バイアス電圧Vbias_HBは、バイアス電流Ibias_HBが抵抗R31に流れることにより発生される。
第2RF電力増幅器HPA2が飽和型の非線形動作の第1動作モードを行う際には、バイアス電流Ibias_HBは、図2(C)の直流バイアス電流I3(Non-Linear)に示すように極めて小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に制御される。従って、飽和型の非線形動作の第1動作モードでは、入力側バイアス回路1st_BC_HBの入力バイアス電流I21と出力側バイアス回路2nd_BC_HBの入力バイアス電流I22とは、極めて小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に制御される。従って、入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅素子Q21と出力側増幅器2nd_Stg_HBのRF増幅素子Q22との増幅利得は、小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に設定される。その結果、最終増幅段としての出力側増幅器2nd_Stg_HBのソース接地RF増幅MOSトランジスタQ22は波形クリップを生じて飽和型の非線形動作によるGSM通信でのGMSK一定包絡線信号を増幅するものとなる。この時には、温度上昇によりRF増幅素子Q21、Q22のDCバイアス電流が増大することが無いので、消費電力の無駄な増大と電力付加効率(PAE)の低下とを回避することができる。
第2RF電力増幅器HPA2が非飽和型の線形動作の第2動作モードを行う際には、バイアス電流Ibias_HBは、図2(C)の直流バイアス電流I3(Linear)に示すように正の温度依存性を持つ直流バイアス電流に制御される。従って、非飽和型の線形動作の第2動作モードでは、入力側バイアス回路1st_BC_HBの入力バイアス電流I21と出力側バイアス回路2nd_BC_HBの入力バイアス電流I22とは、正の温度依存性を持つ直流バイアス電流に制御される。従って、温度上昇による入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅素子Q21と出力側増幅器2nd_Stg_HBのRF増幅素子Q22とのチャンネルコンダクタンス(利得)の低下を補償することが可能となる。その結果、増幅段としての出力側増幅器2nd_Stg_HBのソース接地RF増幅MOSトランジスタQ22のチャンネルコンダクタンス(利得)の低下が補償される。その結果、EDGE通信の3π/8-8PSKまたはWCDMAの通信でのHPSKの包絡線変化信号の送信に際して、RF電力増幅器のパワーゲインの低下を補償することができる。
パワー検出出力信号VDET_HBがランプ電圧Vrampよりも低レベルであると、APC制御電圧Vapcが高レベルとなる。APC制御電圧Vapcがバイアス電圧Vbias_HBのレベルよりも高くなると、第2差動増幅器DA2の出力電圧は低レベルとなる。すると、P−MOSQ30のドレイン電圧と第2差動増幅器DA2の非反転入力端子+の電圧とは、APC制御電圧Vapcのレベルに追従して増加する。すると、P−MOSQ30と抵抗R31とに流れる電流が増加する。また、P−MOSQ31のドレインからの電流I21も、P−MOSQ32のドレインからの電流I22も増加する。これらの電流I21、電流I22は、それぞれ入力側バイアス回路1st_BC_HBの電流源I21、出力側バイアス回路2nd_BC_HBの電流源I22となっている。従って、パワー検出出力信号VDET_HBがランプ電圧Vrampよりも低レベルであると、入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅素子Q21の入力端子のバイアス電圧と出力側増幅器2nd_Stg_HBの次段RF増幅素子Q22の入力端子のバイアス電圧とが増加する。その結果、第2RF電力増幅器HPA2の入力側増幅器1st_Stg_HBと出力側増幅器2nd_Stg_HBとの全てのRF増幅利得が増加する。
また、APC電源供給制御回路APC_Pw_Spl_Cnt_HBでは、APCバイアス制御回路APC_Bias_Cnt_HBの第1差動増幅器DA1の出力端子からのAPC制御電圧Vapcが第3差動増幅器DA3の反転入力端子−に供給される。第3差動増幅器DA3の非反転入力端子+には、P−MOSQ33と分圧抵抗R32、R33からの負帰還信号が供給されている。P−MOSQ33のソースに携帯電話端末のバッテリーからの電源電圧Vddが供給されることによって、APC電源供給制御回路APC_Pw_Spl_Cnt_HBはAPC制御電圧Vapcのレベルに追従する動作電源電圧VLVDO_HBを第2RF電力増幅器HPA2に供給する。その結果、APC入力バイアス制御とAPC電源電圧制御とにより、更に効果的なAPC制御が行われる。このAPCドレイン電源電圧制御は、DCS1800とPCS900の通信で通信転送レートの高いEDGE方式でのAM変調とWCDMA1900の広帯域AM変調とを第2RF電力増幅器HPA2が実行する際に有効なAM変調のための方法となる。
≪HBTによるRFパワーモジュール≫
図6は、本発明の更に他の1つの実施の形態によるRF電力増幅装置を示す回路図である。
図6の実施の形態が図5の実施の形態と相違するのは、第1RF電力増幅器HPA1の増幅素子Q11、Q12とバイアス素子Q14、Q15と、第2RF電力増幅器HPA2の増幅素子Q21、22とバイアス素子Q24、Q25との全てが、エミッタ接地のNPN型のHBT(ヘテロバイポーラトランジスタ)により構成されていることである。このHBTは、SiGeまたはGaAs、InP、InGaP等により構成されることができる。図6の実施の形態において、その他の点は図5の実施の形態と同一である。
図6で第1RF電力増幅器HPA1が飽和型の非線形動作の第1動作モードを行う際には、バイアス電流Ibias_LBは、図2(C)の直流バイアス電流I3(Non-Linear)に示すように極めて小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に制御される。従って、飽和型の非線形動作の第1動作モードでは、入力側バイアス回路1st_BC_LBの入力バイアス電流I11と出力側バイアス回路2nd_BC_LBの入力バイアス電流I12とは、極めて小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に制御される。従って、入力側増幅器1st_Stg_LBのRF増幅HBTQ11と出力側増幅器2nd_Stg_LBのRF増幅HBTQ12との増幅利得は、小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に設定される。その結果、増幅段としての出力側増幅器2nd_Stg_LBのエミッタ接地RF増幅HBTQ12は波形クリップを生じて飽和型の非線形動作によるGSM通信でのGMSK一定包絡線信号を増幅するものとなる。この時には、温度上昇によりRF増幅HBTQ11、Q12のDCバイアス電流が増大することが無いので、消費電力の無駄な増大と電力付加効率(PAE)の低下とを回避することができる。
図6で第1RF電力増幅器HPA1が非飽和型の線形動作の第2動作モードを行う際には、バイアス電流Ibias_LBは、図2(C)の直流バイアス電流I3(Linear)に示すように正の温度依存性を持つ直流バイアス電流に制御される。従って、非飽和型の線形動作の第2動作モードでは、入力側バイアス回路1st_BC_LBの入力バイアス電流I11と出力側バイアス回路2nd_BC_LBの入力バイアス電流I12とは、正の温度依存性を持つ直流バイアス電流に制御される。従って、温度上昇による入力側増幅器1st_Stg_LBのRF増幅HBTQ11と出力側増幅器2nd_Stg_LBのRF増幅HBTQ12との利得の低下を補償することが可能となる。その結果、最終増幅段としての出力側増幅器2nd_Stg_LBのエミッタ接地RF増幅HBTQ12の利得の低下が補償される。その結果、EDGE通信の3π/8-8PSKまたはWCDMAの通信でのHPSKの包絡線変化信号の送信に際して、RF電力増幅器のパワーゲインの低下を補償することができる。
図6で第2RF電力増幅器HPA2が飽和型の非線形動作の第1動作モードを行う際には、バイアス電流Ibias_HBは、図2(C)の直流バイアス電流I3(Non-Linear)に示すように極めて小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に制御される。従って、飽和型の非線形動作の第1動作モードでは、入力側バイアス回路1st_BC_HBの入力バイアス電流I21と出力側バイアス回路2nd_BC_HBの入力バイアス電流I22とは、極めて小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に制御される。従って、入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅HBTQ21と出力側増幅器2nd_Stg_HBのRF増幅HBTQ22との増幅利得は、小さな温度依存性を持つ安定な大きな値に設定される。その結果、最終増幅段としての出力側増幅器2nd_Stg_HBのエミッタ接地RF増幅HBTQ22は波形クリップを生じて飽和型の非線形動作によるGSM通信でのGMSK一定包絡線信号を増幅するものとなる。この時には、温度上昇によりRF増幅HBTQ21、Q22のDCバイアス電流が増大することが無いので、消費電力の無駄な増大と電力付加効率(PAE)の低下とを回避することができる。
図6で第2RF電力増幅器HPA2が非飽和型の線形動作の第2動作モードを行う際には、バイアス電流Ibias_HBは、図2(C)の直流バイアス電流I3(Linear)に示すように正の温度依存性を持つ直流バイアス電流に制御される。従って、非飽和型の線形動作の第2動作モードでは、入力側バイアス回路1st_BC_HBの入力バイアス電流I21と出力側バイアス回路2nd_BC_HBの入力バイアス電流I22とは、正の温度依存性を持つ直流バイアス電流に制御される。従って、温度上昇による入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅HBTQ21と出力側増幅器2nd_Stg_LBのRF増幅HBTQ22との利得の低下を補償することが可能となる。その結果、最終増幅段としての出力側増幅器2nd_Stg_HBのエミッタ接地RF増幅HBTQ22の利得の低下が補償される。その結果、EDGE通信の3π/8-8PSKまたはWCDMAの通信でのHPSKの包絡線変化信号の送信に際して、RF電力増幅器のパワーゲインの低下を補償することができる。
《2個のRF電力増幅器に共通のバイアス制御》
図7は、図5に示した本発明の1つの実施の形態によるRF電力増幅装置RF_PAM1の第1RF電力増幅器HPA1と第2RF電力増幅器HPA2とに共通に使用されるバイアス制御の構成を示す図である。
図7で第1RF電力増幅器HPA1の増幅段10_LBと第2RF電力増幅器HPA2の増幅段10_HBとに共通使用のバイアス制御は、バイアス制御回路20と温度依存電流発生回路30と基準電流・電圧発生器40により構成されている。図7の共通使用のバイアス制御のバイアス制御回路20と温度依存電流発生回路30と基準電流・電圧発生器40は、図1のRF電力増幅器の回路と略同様に構成されている。
ただし、図7のバイアス制御回路20では、抵抗R51、R52の抵抗値がハイバンド・ローバンド選択信号HB/LBにより切り換えられるように構成されている。
すなわち、GSM850とGSM900とのいずれかを送信するため第1RF電力増幅器HPA1が活性化される場合には、ハイバンド・ローバンド選択信号HB/LBによって抵抗R51、R52の抵抗値は比較的高い値に設定される。GSM850とGSM900の略0.8GHz〜1.0GHzの第1周波数帯域の第1RF送信入力信号Pin_LBを第1RF電力増幅器HPA1が増幅する際に、第1RF電力増幅器HPA1の増幅段10_LBのRF増幅素子Q22は比較的高い利得を持つ。この条件では、抵抗R51、R52の比較的高い抵抗値により、第1RF電力増幅器HPA1の増幅段10_LBのRF増幅素子Q22のバイアス電流I3は比較的低い電流値に設定される。
また、DCS1800とPCS1900とWCDMA1900とのいずれかを送信するため第2RF電力増幅器HPA2が活性化される場合には、ハイバンド・ローバンド選択信号HB/LBによって抵抗R51、R52の抵抗値は比較的低い値に設定される。DCS1800とPCS1900とWCDMA1900との略1.7GHz〜2.0GHzの第2周波数帯域を持つ第2RF送信入力信号Pin_HBを第2RF電力増幅器HPA2が増幅する際に、第2RF電力増幅器HPA2の増幅段10_LHのRF増幅素子Q22は比較的低い利得を持つ。この条件では、抵抗R51、R52の比較的高い抵抗値により、第2RF電力増幅器HPA2の増幅段10_LHのRF増幅素子Q22のバイアス電流I3は比較的高い電流値に設定される。その結果、第2RF電力増幅器HPA2の増幅段10_LHのRF増幅素子Q22の利得の低下が補償されることができる。
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、図5や図6おいて、RF電力増幅器の送信パワーを検出する送信出力電力レベルを検出するためのパワーカップラーPCLPL_LB、PCLPL_HB以外に、カレントセンス形検出器も採用することができる。このカレントセンス形検出器は、RF電力増幅器の最終段パワー増幅素子と並列に検出増幅素子を接続して、最終段パワー増幅素子のDC・AC動作電流に比例する小さな検出DC・AC動作電流を検出増幅素子に流すものである。
更に図5や図6において、出力側増幅器2nd_Stg_LBのHBTQ12と出力側増幅器2nd_Stg_HBのHBTQ22の熱暴走を抑圧するために、ベースバラストもしくはエミッタバラストの抵抗をHBTに接続することが推奨される。