JP2003347851A - 高周波電力増幅器および無線通信装置 - Google Patents

高周波電力増幅器および無線通信装置

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JP2003347851A
JP2003347851A JP2002154012A JP2002154012A JP2003347851A JP 2003347851 A JP2003347851 A JP 2003347851A JP 2002154012 A JP2002154012 A JP 2002154012A JP 2002154012 A JP2002154012 A JP 2002154012A JP 2003347851 A JP2003347851 A JP 2003347851A
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frequency power
power amplifier
current source
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voltage
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JP2002154012A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Mizutani
潔 水谷
Hiroshi Koshida
浩旨 越田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波増幅器の出力の温度依存性を少なく抑
えて、高周波電力増幅素子の自己発熱などによる温度上
昇に対する動作の安定性を確保し、かつ広範囲にわたる
電力制御を行う。 【解決手段】 高周波電力増幅用GaAsHBT41
A,41Bと同じ温度特性をもつダイオード結線したG
aAsHBT40を同じ半導体チップ33上に配置し、
別の半導体チップ35上には、GaAsHBT40に電
流を供給して基準電圧を発生させる定電流源44と、外
部電圧により制御される可変電流源46と、2つの電流
源44,46に接続された抵抗45を配置して基準電圧
から電圧降下させたバイアス電圧を得る。高周波電力増
幅素子41A,41Bの温度特性に応じた電位を基準電
圧に使うことにより温度依存性が改善し、外部電圧に対
して線形の関係の電位変化をベースに印加することによ
って出力電力を指数関数的に広範囲に変化させることが
可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無線通信装置およ
び無線通信装置の送信部に用いられる高周波電力増幅器
に関し、特に広範囲に出力電力を制御する必要のある携
帯電話機等において、高周波電力増幅素子としてGaA
sヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)やSi
Geバイポーラ接合トランジスタを用いた場合に有効な
技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】携帯電話機では、基地局との距離に応じ
て出力電力を制御することや送信の開始・終了時に安定
に送信電力制御を行うことが要求されている。
【0003】例えば、欧州やアジアで普及しているGS
M方式では、送信電力に関して時間応答が規定されてお
り、約28μsecの間に送信電力を立ち上げる必要が
あり、その出力レベル変化は30dB以上に及ぶ。
【0004】この出力電力制御を行うために、APC(A
utomatic Power Control)と呼ばれる回路が採用されて
おり、ベースバンド回路より出力されるランピングパル
ス(Ramping Pulse)と呼ばれる送信電力制御信号に応
じて高周波電力増幅器の電力を決定する。したがって、
高周波電力増幅器では、APC回路からの電力制御電圧
に応じて出力電力を変化させることが要求される。
【0005】高周波電力増幅器としては、従来GaAs
FET(Field Effect Transistor)がよく用いられてい
たが、最近はGaAs HBTが採用され始めている。
これは、GaAs HBTが負電源を必要としない、同
じ電力を得るのに必要なチップサイズが小さい等の利点
を有するためである。ところが、GaAs FETとは
異なり、GaAs HBTはベース電流により制御され
る素子であり、電力制御のためにはバイアス回路が重要
になる。
【0006】図6は、バイアス回路を内蔵した従来の高
周波電力増幅器の一例の構成を示すブロック図である。
この高周波電力増幅器3Cは、GaAs HBTからな
る2段の高周波電力増幅素子により構成され、モジュー
ルに搭載されている。
【0007】図6において、高周波電力増幅器3Cは、
セラミック等のモジュール基板300上に、入力整合回
路30と、段間整合回路31と、出力整合回路32と、
チョークインダクタ34A,34Bと、半導体チップ3
8とがマウントされることで構成されている。モジュー
ル基板300には、RF信号Pinが入力されるRF入
力端子11と、RF信号Poutが出力されるRF出力
端子12と、電力制御電圧Vapcが入力される電力制
御電圧入力端子13とが設けられている。
【0008】半導体チップ38は、GaAs基板上にG
aAs HBTからなる高周波電力増幅素子41A,4
1Bと、高周波電力増幅素子41A,41Bのバイアス
回路50とが形成された構造を有している。
【0009】RF信号Pinは、RF入力端子11より
入力され、入力整合回路30、初段の高周波電力増幅素
子41A、段間整合回路31、次段の高周波電力増幅素
子41Bおよび出力整合回路32を経てRF出力端子1
2よりRF信号Poutとして外部のアンテナ等へ出力
される。
【0010】バイアス回路50は、トランジスタQ6
0,Q61,Q62および抵抗R60,R61からな
り、電力制御電圧入力端子13より印加された電力制御
電圧Vapcに応じて高周波電力増幅素子41A,41
Bのベース電圧を決定する。図6の回路では、1つのバ
イアス回路50により、チョークインダクタ34A,3
4Bを介して2つの高周波電力増幅素子41A,41B
へバイアス電圧を供給しているが、各段に対してそれぞ
れ個別にバイアス回路を配置する場合もある。上記のト
ランジスタQ60,Q61,Q62は、高周波電力増幅
素子41A,41Bと同様に、GaAs HBTからな
る。
【0011】高周波電力増幅素子41A,41Bのベー
ス電位は、トランジスタQ62のベース電位より、その
ベース・エミッタ間電圧VBE低い電位になっている。ト
ランジスタQ62のベース電圧は、2個のトランジスタ
Q60,Q61のベース・エミッタ間電圧VBEの和にな
る。トランジスタQ60,Q61のベース・エミッタ間
電圧VBEは、電力制御電圧Vapcと抵抗R60によっ
て決まる電流値に依存する。ここで、トランジスタQ6
0,Q61に流れる電流は、(Vapc−2*VBE)/R
60で決まる。
【0012】電力制御電圧Vapcが高くなると、トラ
ンジスタQ60,Q61の電流値が増え、したがってト
ランジスタQ60,Q61のベース・エミッタ間電圧V
BEが増大し、高周波電力増幅素子41A,41Bのベー
スに加えられるバイアス電圧が上昇することになる。そ
の結果、高周波電力増幅素子41A,41Bのコレクタ
電流も増えることになり、出力電力が増大する。
【0013】しかしながら、上記の高周波電力増幅器3
Cの場合は、動作時に発熱が起こり、モジュール基板3
00の温度が上昇することがある。このとき、トランジ
スタQ60,Q61も温度上昇し、これによってトラン
ジスタQ60,Q61のベース・エミッタ間電圧VBE
温度特性上小さくなる。ところが、このとき電力制御電
圧Vapcは一定であるため、トランジスタQ60,Q
61の電流が増大し、これによってトランジスタQ6
0,Q61のベース・エミッタ間電圧VBEが増大する。
その結果、高周波電力増幅素子41A,41Bのベース
に加えられるバイアス電圧が上昇し、高周波電力増幅素
子41A,41Bのコレクタ電流も増えることになる。
結果として高周波電力増幅器3Cの出力電力も増大し、
さらに温度上昇が起こる。このように、自己発熱による
電流増加により、発熱はさらに大きくなり、熱暴走を起
こす場合もある。つまり、図6の高周波電力増幅器は自
己発熱などによる温度上昇に対する動作の安定性に欠け
るという問題があった。
【0014】図7は、バイアス回路を内蔵した高周波電
力増幅器のもう一つの例の構成を示すブロック図であ
る。図7では、バイアス回路における温度依存性の改善
を図っている。高周波電力増幅器3Dが2段の高周波電
力増幅素子により構成され、モジュールに搭載されてい
ることは、図6と同様である。
【0015】図7において、高周波電力増幅器3Dは、
セラミック等のモジュール基板300上に、入力整合回
路30と、段間整合回路31と、出力整合回路32と、
チョークインダクタ34A,34Bとがマウントされ、
モジュール基板300にRF信号Pinが入力されるR
F入力端子11と、RF信号Poutが出力されるRF
出力端子12とが設けられているのは図6の場合と同じ
であり、以下の点が図6とは異なる。
【0016】図7では、上記の構成の他に、複数、例え
ば2つの半導体チップ33,39がマウントされてい
る。
【0017】半導体チップ33は、GaAs基板上に、
GaAs HBTからなる高周波電力増幅素子41A,
41Bと、高周波電力増幅素子41A,41Bのバイア
ス回路のうちのダイオード接続されたGaAs HBT
からなる基準電圧生成素子40とが形成された構造を有
している。高周波電力増幅素子41A,41Bは入力さ
れた高周波信号を増幅するための素子である。基準電圧
生成素子40は、高周波電力増幅素子41A,41Bの
ベースにバイアス電圧として与えるための基準電圧を生
成するための素子、つまりバイアス電圧を決めるための
素子である。これらの高周波電力増幅素子41A,41
Bと基準電圧生成素子40とは同一の温度特性を有して
いる。
【0018】半導体チップ39は、シリコン基板上に、
バイポーラトランジスタを用いて構成され基準電圧生成
素子40に電流を供給する定電流源44と、バイポーラ
トランジスタを用いて構成され高周波電力増幅素子41
A,41Bにそれぞれバイアス電圧を与えるバッファア
ンプ42A,42Bとが形成された構造を有している。
【0019】RF信号Pinは、RF入力端子11より
入力され、入力整合回路30、初段の高周波電力増幅素
子41A、段間整合回路31、次段の高周波電力増幅素
子41Bおよび出力整合回路32を経てRF出力端子1
2よりRF信号Poutとして外部のアンテナ等へ出力
される。このことは図6と同様である。
【0020】半導体チップ39では、定電流源44が半
導体チップ33に構成されている基準電圧生成素子40
に接続し、定電流源44の電流を基準電圧生成素子40
に流し込むことにより、基準電圧生成素子40と定電流
源44との接続点に基準電圧を得ている。そして、この
基準電圧をバッファアンプ42A,42Bにより高周波
電力増幅素子41A,41Bのベースにバイアス電圧と
してそれぞれ供給する。上記の基準電圧は、GaAs
HBTのベース・エミッタ間電圧VBEに相当する。
【0021】高周波電力増幅素子41A,41Bのベー
ス電位は基準電圧生成素子40で発生する電圧VBEに等
しく、高周波電力増幅素子41A,41Bのコレクタ電
流の温度依存性は電流源44の温度依存性に等しい。定
電流源44は、バンドギャップ回路の採用等により温度
依存性を小さくすることが可能であるため、高周波電力
増幅素子41A,41Bのコレクタ電流および出力電力
の温度依存性を小さくすることができる。
【0022】定電流源44としては、具体的には、バン
ドギャップ回路を用いて温度依存性のない電圧を生成
し、この電圧を抵抗に印加することにより抵抗の逆の温
度依存性をもった電流源を作ることができる。温度依存
性の小さい抵抗を使うことにより、電流源の温度依存性
を小さくすることが可能である。
【0023】したがって、自己発熱などによる温度上昇
に対する動作の安定性を確保することができる。
【0024】なお、上記図7の構成では、高周波電力増
幅素子41A,41BとしてGaAs HBTを用いて
おり、バイアス回路の構成素子とは素子材料が異なるた
め、半導体チップを2つに分けている。このように、半
導体チップを2つに分けることにより、熱的絶縁も結果
として実現できる。
【0025】図7の構成で電力制御を行うためには、定
電流源44の電流値を変えることが考えられるが、図7
の回路は、広範囲に電流値を変化させることが極めて難
しく、電力制御電圧Vapcに対して送信電力を指数関
数的に変化させる必要があるGSM方式等の電力制御に
は適さない。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】上記の説明のように、
HBTを用いた高周波電力増幅器で出力電力を制御する
場合、高周波増幅器の出力の温度依存性を少なく抑え
て、高周波電力増幅器の自己発熱などによる温度上昇に
対する動作の安定性を確保すること、あるいは広範囲に
わたる指数関数的な電力制御を実現することは、各々個
別的には可能であったが、この2つを同時に実現するこ
とが困難であるという課題があった。
【0027】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、高周波増幅器の出力の温度依存性を少なく抑え
て、高周波電力増幅素子の自己発熱などによる温度上昇
に対する動作の安定性を確保し、かつ広範囲にわたる電
力制御を行うことができる高周波電力増幅器およびそれ
を用いた無線通信装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】上記の目的を実現するた
めに、本発明の請求項1記載の高周波電力増幅器は、第
1のバイポーラトランジスタからなり入力された高周波
信号を増幅する高周波電力増幅素子と、第2のバイポー
ラトランジスタからなり高周波電力増幅素子と同一の温
度特性を有する基準電圧生成素子と、バイアス回路とを
備えている。
【0029】バイアス回路は、基準電圧生成素子に接続
して電流を供給することにより基準電圧生成素子との接
続点に基準電圧を発生させる定電流源と、外部から印加
される電力制御電圧により電流値が制御される可変電流
源と、定電流源と可変電流源とに両端がそれぞれ接続さ
れて基準電圧からの電位降下によって可変電流源との接
続点に発生する電圧を決定する抵抗とからなる。
【0030】そして、抵抗と可変電流源との接続点に発
生する電圧が高周波電力増幅素子にバイアス電圧として
供給される。
【0031】この構成によれば、高周波電力増幅素子の
他に高周波電力増幅素子と同一の温度特性を有する基準
電圧生成素子を設け、基準電圧生成素子との接続点に基
準電圧を発生させる定電流源を設けているので、定電流
源の温度依存性を小さく設計することにより、基準電圧
が高周波電力増幅素子の温度特性の変化に連動して、高
周波電力増幅素子の出力の温度依存性を少なく抑える方
向に変化することになり、したがって、高周波電力増幅
素子に与えられるバイアス電圧も基準電圧に連動して変
化し、高周波電力増幅素子の自己発熱などによる温度上
昇に対する動作の安定性を確保することができる。
【0032】また、バイアス回路として、定電流源の他
に抵抗と可変電流源とを設け、抵抗の抵抗値と可変電流
源の電流値とによって決まる電圧だけ基準電圧から降下
させた電圧を高周波電力増幅素子にバイアス電圧として
与えるようにしたので、可変電流源の電流を変化させる
ことにより、高周波電力増幅素子に与えるバイアス電圧
を広範囲にわたって変化させることができる。その結
果、広範囲にわたる電力制御を行うことができる。しか
も、高周波電力増幅素子に与えるバイアス電圧は、基準
電圧より大きくなることはないので、バイアス電圧を変
化させても、高周波電力増幅素子の出力の温度依存性
は、バイアス電圧の最大値である基準電圧を高周波電力
増幅素子にバイアス電圧として加えたときの高周波電力
増幅素子の出力の温度依存性より大きくなることはな
い。したがって、バイアス電圧を基準電圧より小さくな
る方向に変化させても高周波電力増幅素子の自己発熱な
どによる温度上昇に対する動作の安定性は確保できる。
【0033】本発明の請求項2記載の高周波電力増幅器
は、請求項1記載の高周波電力増幅器において、高周波
電力増幅素子が第1のGaAsヘテロ接合バイポーラト
ランジスタからなり、基準電圧生成素子がダイオード接
続された第2のGaAsヘテロ接合バイポーラトランジ
スタからなる。
【0034】この構成によれば、請求項1記載の高周波
電力増幅器と同様の作用を有する。
【0035】本発明の請求項3記載の高周波電力増幅器
は、第1のバイポーラトランジスタからなり入力された
高周波信号を増幅する高周波電力増幅素子と、第2のバ
イポーラトランジスタからなり高周波電力増幅素子と同
一の温度特性を有する基準電圧生成素子と、バイアス回
路とを備えている。
【0036】バイアス回路は、外部から印加される第1
の電力制御電圧により電流値が制御され、基準電圧生成
素子に接続して電流を供給することにより基準電圧生成
素子との接続点に基準電圧を発生させる第1の可変電流
源と、外部から印加される第2の電力制御電圧により電
流値が制御される第2の可変電流源と、第1の可変電流
源と第2の可変電流源とに両端がそれぞれ接続されて基
準電圧からの電位降下によって第2の可変電流源との接
続点に発生する電圧を決定する抵抗とからなる。
【0037】そして、抵抗と第2の可変電流源との接続
点に発生する電圧が高周波電力増幅素子にバイアス電圧
として供給される。
【0038】この構成によれば、高周波電力増幅素子の
他に高周波電力増幅素子と同一の温度特性を有する基準
電圧生成素子を設け、基準電圧生成素子との接続点に基
準電圧を発生させる第1の可変電流源を設けているの
で、第1の可変電流源の温度依存性を小さく設計するこ
とにより、基準電圧が高周波電力増幅素子の温度特性の
変化に連動して、高周波電力増幅素子の出力の温度依存
性を少なく抑える方向に変化することになり、したがっ
て、高周波電力増幅素子に与えられるバイアス電圧も基
準電圧に連動して変化し、高周波電力増幅素子の自己発
熱などによる温度上昇に対する動作の安定性を確保する
ことができる。
【0039】また、バイアス回路として、第1の可変電
流源の他に抵抗と第2の可変電流源とを設け、抵抗の抵
抗値と第2の可変電流源の電流値とによって決まる電圧
だけ基準電圧から降下させた電圧を高周波電力増幅素子
にバイアス電圧として与えるようにしたので、第2の可
変電流源の電流を変化させることにより、高周波電力増
幅素子に与えるバイアス電圧を広範囲にわたって変化さ
せることができる。その結果、広範囲にわたる電力制御
を行うことができる。
【0040】しかも、高周波電力増幅素子に与えるバイ
アス電圧は、基準電圧より大きくなることはないので、
バイアス電圧を変化させても、高周波電力増幅素子の出
力の温度依存性は、バイアス電圧の最大値である基準電
圧を高周波電力増幅素子にバイアス電圧として加えたと
きの高周波電力増幅素子の出力の温度依存性より大きく
なることはない。したがって、第1の可変電流源の電流
値を固定し、バイアス電圧を基準電圧より小さくなる方
向に変化させた場合に高周波電力増幅素子の自己発熱な
どによる温度上昇に対する動作の安定性は確保できる。
【0041】また、第2の可変電流源の電流値を零にし
て第1の可変電流源の電流値を増大させて基準電圧を増
大させることにより、高周波電力増幅素子に与えるバイ
アス電圧の変化範囲をさらに広げ、電力制御範囲を広げ
ることができる。しかも、第1の可変電流源の温度依存
性は小さく設計されているため、基準電圧を増大させる
ことによって、バイアス電圧の変化範囲を広げ、電力制
御範囲を広げても、高周波電力増幅素子の自己発熱など
による温度上昇に対する動作の安定性は確保できる。
【0042】本発明の請求項4記載の高周波電力増幅器
は、請求項3記載の高周波電力増幅器において、高周波
電力増幅素子が第1のGaAsヘテロ接合バイポーラト
ランジスタからなり、基準電圧生成素子がダイオード接
続された第2のGaAsヘテロ接合バイポーラトランジ
スタからなる。
【0043】この構成によれば、請求項3記載の高周波
電力増幅器と同様の作用を有する。
【0044】また、本発明の請求項5記載の無線通信装
置は、ベースバンド回路と、このベースバンド回路から
の出力信号を変調する変調回路部と、変調回路部の出力
信号を高周波増幅してアンテナへ供給する高周波電力増
幅器とで送信部が構成されており、高周波電力増幅器と
して請求項1記載の高周波電力増幅器を備えている。
【0045】この構成によれば、高周波電力増幅器が請
求項1記載の高周波電力増幅器と同様の作用を有する。
【0046】また、本発明の請求項6記載の無線通信装
置は、ベースバンド回路と、このベースバンド回路から
の出力信号を変調する変調回路部と、変調回路部の出力
信号を高周波増幅してアンテナへ供給する高周波電力増
幅器とで送信部が構成されていて、高周波電力増幅器と
して請求項2記載の高周波電力増幅器を備えている。
【0047】この構成によれば、高周波電力増幅器が請
求項2記載の高周波電力増幅器と同様の作用を有する。
【0048】また、本発明の請求項7記載の無線通信装
置は、ベースバンド回路と、このベースバンド回路から
の出力信号を変調する変調回路部と、変調回路部の出力
信号を高周波増幅してアンテナへ供給する高周波電力増
幅器とで送信部が構成されており、高周波電力増幅器と
して請求項3記載の高周波電力増幅器を備えている。
【0049】この構成によれば、高周波電力増幅器が請
求項3記載の高周波電力増幅器と同様の作用を有する。
【0050】また、本発明の請求項8記載の無線通信装
置は、ベースバンド回路と、このベースバンド回路から
の出力信号を変調する変調回路部と、変調回路部の出力
信号を高周波増幅してアンテナへ供給する高周波電力増
幅器とで送信部が構成されていて、高周波電力増幅器と
して請求項4記載の高周波電力増幅器を備えている。
【0051】この構成によれば、高周波電力増幅器が請
求項4記載の高周波電力増幅器と同様の作用を有する。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態の高周波電力増幅器および無線通信装置につ
いて説明する。
【0053】図1は、本発明が適用される無線通信装置
の送信部の構成を示すブロック図である。図1におい
て、ベースバンド回路1は、送信信号(Signal)と電力
制御パルス(Ramping Pulse)とを出力する。送信信号
は、変調回路9と周波数変換回路10とにより構成され
る変調回路部2により所定のRF(無線)周波数に変換
された後に、RF入力端子11とRF出力端子12と電
力制御信号入力端子13を備えた高周波電力増幅器3に
入力される。送信信号は、高周波電力増幅器3で所定の
電力に増幅された後、方向結合器4およびRFフィルタ
5を通り、アンテナ6へ出力される。このとき、送信信
号は、方向性結合器4から電力検出回路7への出力され
る。電力検出回路7は、高周波電力増幅器3の出力電力
を検出し、その値に応じた検出電圧を出力する。
【0054】もう一方の電力制御パルスは、電力制御回
路8に入力される。電力制御回路8は、方向結合器4か
らのRF信号が入力される電力検出回路7の検出電圧と
電力制御パルスの差を検出し、この差に応じた電力制御
信号を高周波電力増幅器3の電力制御信号入力端子13
へ出力する。
【0055】つぎに、このようなブロック構成の無線通
信装置の動作を説明する。ベースバンド回路1は、送信
電力を上げる場合に電力制御パルスの電位を上昇させ
る。一方、高周波電力増幅器3の出力電力は、電力検出
回路7において電力レベルが検出され、送信電力が大き
くなると電力検出電圧が上昇し、この電力検出電圧が電
力制御回路8に入力される。電力制御回路8では、電力
制御パルスの電位と電力検出電圧の電位を比較し、電力
検出電圧が電力制御パルスに一致するように電力制御電
圧Vapcを変化させる。高周波電力増幅器3は、電力
制御電圧Vapcの電位に対応して内蔵の高周波電力増
幅素子のバイアス電圧を変え、出力電力を変化させる。
GSM方式の場合、この電力制御範囲は30dB以上に
及ぶ。
【0056】つぎに、本発明の無線通信装置を構成する
高周波電力増幅器の実施の形態について説明する。
【0057】図2は本発明の第1の実施の形態の高周波
電力増幅器の構成を示すブロック図である。この高周波
電力増幅器3Aは、図1の高周波電力増幅器3として使
用されるもので、GaAs HBTからなる2段の高周
波電力増幅素子により構成され、モジュールに搭載され
ている。
【0058】図2において、高周波電力増幅器3Aは、
セラミック等によるモジュール基板300上に、入力整
合回路30と、段間整合回路31と、出力整合回路32
と、チョークインダクタ34A,34Bと、半導体チッ
プ33と、半導体チップ35とがマウントされることに
より構成されている。
【0059】モジュール基板300には、RF信号Pi
nが入力されるRF入力端子11と、RF信号Pout
が出力されるRF出力端子12と、電力制御電圧Vap
cが入力される電力制御電圧入力端子13とが設けられ
ている。
【0060】半導体チップ33は、GaAs基板上に、
GaAs HBTからなる高周波電力増幅素子41A,
41Bと、高周波電力増幅素子41A,41Bのバイア
ス回路のうちのダイオード接続されたGaAs HBT
からなる基準電圧生成素子40とが形成された構造を有
している。高周波電力増幅素子41A,41Bは入力さ
れた高周波信号を増幅するための素子である。基準電圧
生成素子40は、高周波電力増幅素子41A,41Bの
ベースにバイアス電圧として与えるための基準電圧を生
成するための素子、つまりバイアス電圧を決めるための
素子である。これらの高周波電力増幅素子41A,41
Bと基準電圧生成素子40とは同一の温度特性を有して
いる。
【0061】半導体チップ35は、シリコン基板上に、
バイアス電圧を発生するバイアス回路43と、バイポー
ラトランジスタを用いて構成して高周波電力増幅素子4
1A,41Bにそれぞれバイアス電圧を与えるバッファ
アンプ42A,42Bとが形成されている。
【0062】バイアス回路43は、バイポーラトランジ
スタを用いて構成した定電流源44、抵抗45、バイポ
ーラトランジスタを用いて構成して電力制御電圧Vap
cに応じて電流値Ictlが変化する可変電流源46を
備えている。定電流源44は基準電圧生成素子40に接
続され、抵抗45は両端が定電流源44と可変電流源4
6とにそれぞれ接続されている。
【0063】RF信号Pinは、RF入力端子11より
入力され、入力整合回路30、初段の高周波電力増幅素
子41A、段間整合回路31、次段の高周波電力増幅素
子41Bおよび出力整合回路32を経てRF出力端子1
2よりRF信号Poutとして外部のアンテナ等へ出力
される。
【0064】半導体チップ35では、定電流源44の電
流I0を基準電圧生成素子40に流し込むことにより定
電流源44とトランジスタ44の接続点に基準電圧(基
準電圧生成素子40であるGaAs HBTのベース・
エミッタ間電圧VBE)を得、この基準電圧より抵抗45
の両端の電位差分を電位降下させた電圧を、抵抗45と
可変電流源46の接続点に得るようにしている。そし
て、この電圧をバイアス電圧として、バッファアンプ4
2より高周波電力増幅素子41A,41Bのベースに供
給する。図2において、2段の高周波増幅素子41A,
41Bに対してバイアス回路43は1つであるが、各段
でそれぞれ個別にバイアス回路を別々に備えることも可
能である。
【0065】つぎに、本実施の形態による高周波電力増
幅器の動作について説明する。定電流源44は、バイポ
ーラトランジスタを用いた集積回路で構成されており、
電流I0の温度依存性を小さくすることは容易である。
したがって、基準電圧生成素子40のベース・エミッタ
間電圧VBEは温度依存性を示すが、高周波電力増幅素子
41A,41Bのコレクタ電流および高周波電力増幅器
の出力電力は温度依存性を小さくすることができる。そ
の理由は図7に関して説明したとおりである。
【0066】バイアス回路43では、基準電圧生成素子
40と電流I0で決まる基準電位、つまりベース・エミ
ッタ間電圧VBEより、抵抗45の両端の電位差(Rsh
ift*Ictl)分だけ電位降下させることでバイア
ス電圧を決定する。このバイアス電圧は、電流I0で決
まるベース・エミッタ間電圧VBEを超えることはないた
め、高周波電力増幅素子41A,41Bの温度依存性を
悪化させることはない。また、電力制御電圧Vapcに
よるバイアス電圧の変化を線形にすることは容易であ
り、この線形変化を高周波電力増幅素子41A,41B
のベースに与えた場合、高周波電力増幅素子41A,4
1Bのコレクタ電流を指数関数的に広範囲に変化させる
ことができる。このときの対数表示(dBm)された出力
電力Poutの変化は線形であり、電力制御電圧Vap
cに対する出力電力Pout(dBm)の関係が線形にな
ることを意味する。
【0067】この実施の形態の高周波電力増幅器によれ
ば、半導体チップ33には、高周波電力増幅素子41
A,41Bの他に高周波電力増幅素子41A,41Bと
同一の温度特性を有する基準電圧生成素子40を設け、
半導体チップ35には、基準電圧生成素子40との接続
点に基準電圧を発生させる定電流源44を設けているの
で、定電流源44の温度依存性を小さく設計することに
より、基準電圧が高周波電力増幅素子41A,41Bの
温度特性の変化に連動して、高周波電力増幅素子41
A,41Bの出力(高周波電力増幅素子41A,41B
のコレクタ電流、高周波電力増幅器の出力電力)の温度
依存性を少なく抑える方向に変化することになり、した
がって、高周波電力増幅素子41A,41Bに与えられ
るバイアス電圧も基準電圧に連動して変化し、高周波電
力増幅素子41A,41Bの自己発熱などによる温度上
昇に対する動作の安定性を確保することができる。
【0068】また、バイアス回路43として、定電流源
44の他に抵抗45と可変電流源46とを設け、抵抗4
5の抵抗値と可変電流源46の電流値とによって決まる
電圧だけ基準電圧から降下させた電圧を高周波電力増幅
素子41A,41Bにバイアス電圧として与えるように
したので、可変電流源46の電流を変化させることによ
り、高周波電力増幅素子41A,41Bに与えるバイア
ス電圧を広範囲にわたって変化させることができる。そ
の結果、広範囲にわたる電力制御を行うことができる。
しかも、高周波電力増幅素子41A,41Bに与えるバ
イアス電圧は、基準電圧より大きくなることはないの
で、バイアス電圧を変化させても、高周波電力増幅素子
41A,41Bの出力の温度依存性は、バイアス電圧の
最大値である基準電圧を高周波電力増幅素子41A,4
1Bにバイアス電圧として加えたときの高周波電力増幅
素子41A,41Bの出力の温度依存性より大きくなる
ことはない。したがって、バイアス電圧を基準電圧より
小さくなる方向に変化させても高周波電力増幅素子41
A,41Bの自己発熱などによる温度上昇に対する動作
の安定性は確保できる。
【0069】図3は、本発明の第2の実施の形態の高周
波電力増幅器の構成を示すブロック図である。高周波電
力増幅器3Bは、第1の実施の形態と同様に、2段の高
周波電力増幅素子により構成され、モジュールに搭載さ
れている。
【0070】図3において、高周波電力増幅器3Bは、
セラミック等によるモジュール基板300上に、第1の
実施の形態と同様に、入力整合回路30と、段間整合回
路31と、出力整合回路32と、チョークインダクタ3
4A,34Bと、半導体チップ33と、半導体チップ3
6とがマウントされることによって構成されている。
【0071】モジュール基板300には、RF信号Pi
nが入力されるRF入力端子11と、RF信号Pout
が出力されるRF出力端子12と、電力制御電圧Vap
cが入力される電力制御電圧入力端子13とが設けられ
ている。
【0072】半導体チップ33の構成は、第1の実施の
形態と同様である。
【0073】半導体チップ36は、シリコン基板上に、
バイアス電圧を発生するバイアス回路47と、バイポー
ラトランジスタを用いて構成して高周波電力増幅素子4
1A,41Bにそれぞれバイアス電圧を与えるバッファ
アンプ42A,42Bとが形成された構造を有してい
る。
【0074】バイアス回路47は、バイポーラトランジ
スタを用いて構成して電流値Ictl2が電力制御電圧
Vapcに応じて変化する可変電流源48、抵抗45、
バイポーラトランジスタを用いて構成して電力制御電圧
Vapcに応じて電流値Ictl1が変化する可変電流
源46を備えている。可変電流源46は第1の実施の形
態と同じである。可変電流源48は、第1の実施の形態
とは異なり電流が可変であり、基準電圧生成素子40に
接続され、抵抗45は両端が可変電流源48と可変電流
源46とにそれぞれ接続されている。
【0075】RF信号Pinの流れは、第1の実施の形
態と同じである。半導体チップ36では、第1の実施の
形態とは異なり、基準電圧生成素子40に流し込む可変
電流源48の電流Ictl2が電力制御電圧Vapcに
より変化する構成になっており、電力制御電圧Vapc
の変化に対してどちらか一方の可変電流源46または4
8を変化させる。
【0076】具体的には、電力制御電圧Vapcが所定
の電圧より低い場合、可変電流源48の電流Ictl2
を一定に保ち、可変電流源46の電流値Ictl1のみ
を変えて第1の実施の形態と同様の変化をさせる。
【0077】つぎに、電力制御電圧Vapcが所定の電
圧より高い場合、可変電流源46の電流Ictl1をゼ
ロにし、可変電流源48の電流Ictl2のみを変え
る。
【0078】つぎに、本実施の形態による高周波電力増
幅器の動作について説明する。可変電流源48は、バイ
ポーラトランジスタを用いた集積回路で構成されてお
り、電流Ictl2の温度依存性を小さくすることは容
易である。したがって、基準電圧生成素子40のベース
・エミッタ間電圧VBEは温度依存性を示すが、高周波電
力増幅素子41A,41Bのコレクタ電流および出力電
力は温度依存性を小さくすることができる。その理由は
図7に関して説明したとおりである。
【0079】バイアス回路47では、電力制御電圧Va
pcが所定の電圧より低い場合、可変電流源48の電流
Ictl2は一定に保ち、可変電流源46の電流値Ic
tl1のみを変えて第1の実施の形態と同様の変化をさ
せるため、高周波電力増幅素子41A,41Bのコレク
タ電流および出力電力を指数関数的に広範囲に変化させ
ることができ、しかも、電力制御電圧Vapcが上記の
範囲では、電流Ictl2で決まるベース・エミッタ間
電圧VBEを超えることはないため、高周波電力増幅素子
41A,41Bの温度依存性は悪化させることがない。
また、電力制御電圧Vapcによるバイアス電圧の変化
を線形にすることは容易であり、この線形変化を高周波
電力増幅素子41A,41Bのベースに与えた場合、高
周波電力増幅素子41A,41Bのコレクタ電流を指数
関数的に広範囲に変化させることができる。このときの
対数表示(dBm)された出力電力Poutの変化は線形
であり、電力制御電圧Vapcに対する出力電力Pou
t(dBm)の関係が線形になることを意味する。
【0080】一方、電力制御電圧Vapcが所定の電圧
より高い場合、可変電流源46の電流Ictl1はゼロ
にし、可変電流源48の電流Ictl2のみを変える。
バンドギャップ回路の採用により温度依存性の小さい可
変電流源48を実現することは可能である。基準電圧生
成素子40で発生する基準電圧は高周波電力増幅素子4
1A,41Bのベースに印加されるため、高周波電力増
幅素子41A,41Bのコレクタ電流の温度依存性を小
さくすることができ、温度依存性が極めて少ない電力制
御を行うことができる。また、定電流源44に代えて、
可変電流源48を設けたことにより、温度依存性の少な
く安定な電力制御範囲をさらに広げることができる。
【0081】この実施の形態の高周波電力増幅器によれ
ば、半導体チップ33には、高周波電力増幅素子41
A,41Bの他に高周波電力増幅素子41A,41Bと
同一の温度特性を有する基準電圧生成素子40を設け、
半導体チップ36には、基準電圧生成素子40との接続
点に基準電圧を発生させる可変電流源48を設けている
ので、可変電流源48の温度依存性を小さく設計するこ
とにより、基準電圧が高周波電力増幅素子41A,41
Bの温度特性の変化に連動して、高周波電力増幅素子4
1A,41Bの出力の温度依存性を少なく抑える方向に
変化することになり、したがって、高周波電力増幅素子
41A,41Bに与えられるバイアス電圧も基準電圧に
連動して変化し、高周波電力増幅素子41A,41Bの
自己発熱などによる温度上昇に対する動作の安定性を確
保することができる。
【0082】また、バイアス回路36として、可変電流
源48の他に抵抗45と可変電流源46とを設け、抵抗
45の抵抗値と可変電流源46の電流値とによって決ま
る電圧だけ基準電圧から降下させた電圧を高周波電力増
幅素子41A,41Bにバイアス電圧として与えるよう
にしたので、可変電流源46の電流を変化させることに
より、高周波電力増幅素子41A,41Bに与えるバイ
アス電圧を広範囲にわたって変化させることができる。
その結果、広範囲にわたる電力制御を行うことができ
る。しかも、高周波電力増幅素子41A,41Bに与え
るバイアス電圧は、基準電圧より大きくなることはない
ので、バイアス電圧を変化させても、高周波電力増幅素
子41A,41Bの出力の温度依存性は、バイアス電圧
の最大値である基準電圧を高周波電力増幅素子41A,
41Bにバイアス電圧として加えたときの高周波電力増
幅素子41A,41Bの出力の温度依存性より大きくな
ることはない。したがって、可変電流源48の電流値を
固定し、バイアス電圧を基準電圧より小さくなる方向に
変化させた場合に高周波電力増幅素子41A,41Bの
自己発熱などによる温度上昇に対する動作の安定性は確
保できる。また、可変電流源46の電流値を零にして可
変電流源48の電流値を増大させて基準電圧を増大させ
ることにより、高周波電力増幅素子41A,41Bに与
えるバイアス電圧の変化範囲をさらに広げ、電力制御範
囲を広げることができる。しかも、可変電流源48の温
度依存性は小さく設計されているため、基準電圧を増大
させることによって、バイアス電圧の変化範囲を広げ、
電力制御範囲を広げても、高周波電力増幅素子41A,
41Bの自己発熱などによる温度上昇に対する動作の安
定性は確保できる。
【0083】図4は、本発明の第1の実施の形態の高周
波電力増幅器におけるバイアス回路43の具体的な構成
を示す回路図である。
【0084】図4において、バイアス回路43は、抵抗
R1,R2からなるアッテネータ、トランジスタQ1,
Q2,R3からなる差動増幅器、トランジスタQ3,Q
4および抵抗R4,R5からなるカレントミラー、トラ
ンジスタQ6,Q7および抵抗R6,R7からなるカレ
ントミラー、トランジスタQ5からなるベース接地回
路、電流源I0,I1,I2、抵抗Rshift、定電
圧源V1,V2により構成されている。バッファアンプ
42は、図2のバッファアンプ42A,42Bを代表し
ている。
【0085】以上のようなバイアス回路43の構成にお
いては、 Vapc<V1*(R1+R2)/R2 の場合、電力制御電圧Vapcが増大するに伴って、ト
ランジスタQ2のコレクタ電流が減る。ここで、トラン
ジスタQ7のコレクタ電流Ictlが定電流I2からト
ランジスタQ2のコレクタ電流を減じたものに相当する
ので、トランジスタQ2のコレクタ電流が減ることによ
って、トランジスタQ7のコレクタ電流Ictlが増大
することになる。
【0086】図5は、本発明の第5の実施の形態の高周
波電力増幅器におけるバイアス回路47の具体的な構成
を示す回路図である。
【0087】図5において、バイアス回路47は、抵抗
R1,R2,R50からなるアッテネータ、トランジス
タQ1,Q2および抵抗R3からなる差動増幅器、トラ
ンジスタQ3,Q4および抵抗R4,R5からなるカレ
ントミラー、トランジスタQ6,Q7および抵抗R6,
R7からなるカレントミラー、トランジスタQ5からな
るベース接地回路、トランジスタQ50,Q51および
抵抗R51からなる差動増幅器、トランジスタQ52,
Q53,Q54および抵抗R52,R53からなるカレ
ントミラー、電流源I1,I2,I50、抵抗Rshi
ft、定電圧源V1,V2,V50により構成されてい
る。バッファアンプ42は、図2のバッファアンプ42
A,42Bを代表している。
【0088】以上のようなバイアス回路47の構成にお
いては、 Vapc<V1*(R1+R2+R50)/R2 の場合の電力制御動作は図4と同様である。
【0089】また、 Vapc>V50*(R1+R2+R50)/(R50
+R2) の場合、電力制御電圧Vapcが増大するに伴って、ト
ランジスタQ50のコレクタ電流が増加し、結果として
電流Ictl2が増加する。
【0090】ここで、 V1*(R1+R2+R50)/R2=V50*(R1
+R2+R50)/(R50+R2) に電圧を設定することにより、電力制御電圧Vapcを
変化させることで、電流Ictl1,Ictl2を選択
的に流す切り替え動作が可能となる。
【0091】定電流源44の構成は、図7について説明
したものと同じである。可変電流源48の電流値は、
(Vapc−V50)/R51で決まるので、V50の
温度依存性をフラットにすることにより、Vapc−V
50の温度依存性はフラットとなり、温度依存性は抵抗
で決まる。温度依存性の小さい抵抗を採用することによ
り、可変電流源48も温度依存性を小さくすることがで
きる。
【0092】なお、上記の各実施の形態では、GaAs
ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)を高周波
電力増幅素子および基準電圧生成用素子として用いたも
のについて説明したが、高周波電力増幅素子および基準
電圧生成用素子としては、上記のものに限らずSiGe
バイポーラ接合トランジスタを用いることも可能であ
り、通常のバイポーラトランジスタ(Si)を用いるこ
とも可能である。
【0093】また、高周波電力増幅素子および基準電圧
生成用素子とバイアス回路を構成する素子の材料が異な
るため、半導体チップを例えば2つに分けていたが、同
じであれば、単一の半導体チップに高周波電力増幅素子
および基準電圧生成用素子とバイアス回路とを形成する
ことも可能である。
【0094】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、バイポ
ーラトランジスタからなる高周波電力増幅素子と同一の
温度特性をもつバイポーラトランジスタからなる基準電
圧生成素子を設け、定電流源および可変電流電流源と抵
抗とを用いたバイアス回路、または第1および第2の可
変電流源と抵抗とを用いたバイアス回路を設けることに
より、高周波電力増幅素子の自己発熱などによる温度上
昇に対する動作の安定性は確保でき、かつ広範囲な電力
制御を可能にした無線通信装置および高周波電力増幅器
を提供できる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される無線通信装置の送信部の構
成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の高周波電力増幅器
の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の高周波電力増幅器
の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施の形態の高周波電力増幅器に
おけるバイアス回路の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の第2実施の形態の高周波電力増幅器に
おけるバイアス回路の構成を示す回路図である。
【図6】従来の高周波電力増幅器の一例の構成を示すブ
ロック図である。
【図7】従来の高周波電力増幅器の他の例の構成を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1 ベースバンド回路 2 変調回路部 3,3A〜3D 高周波電力増幅器 4 方向結合器 5 RFフィルタ 6 アンテナ 7 電力検出回路 8 電力制御回路 9 変調回路 10 周波数変換回路 11 RF入力端子 12 RF出力端子 13 電力制御電圧入力端子 30 入力整合回路 31 段間整合回路 32 出力整合回路 33 半導体チップ 34A,34B チョークインダクタ 35 半導体チップ 36 半導体チップ 40 基準電圧生成素子 41A,41B 高周波電力増幅素子 42A,42B バッファアンプ 43,47 バイアス回路 44 定電流源 46,48 可変電流源 45 抵抗 Q1〜Q7,Q50〜Q54 バイポーラトランジス
タ Rshift,R1〜R7,R50〜R53 抵抗 I0,I2 電流源 V1,V2,V50 電圧源
フロントページの続き Fターム(参考) 5J067 AA01 AA41 CA02 CA32 FA07 FA10 HA06 HA08 HA19 HA24 HA25 HA33 KA02 KA03 KA05 KA07 KA09 KA11 KA12 KA23 KA29 KA41 KA53 KA68 KS01 SA14 TA01 5J090 AA01 AA41 CA02 CA32 CN02 FA07 FA10 FN06 FN12 HA06 HA08 HA19 HA24 HA25 HA33 KA02 KA03 KA05 KA07 KA09 KA11 KA12 KA23 KA29 KA41 KA53 KA68 SA14 TA01 5J091 AA01 AA41 CA02 CA32 FA07 FA10 HA06 HA08 HA19 HA24 HA25 HA33 KA02 KA03 KA05 KA07 KA09 KA11 KA12 KA23 KA29 KA41 KA53 KA68 SA14 TA01 UW08 5J500 AA01 AA41 AC02 AC32 AF07 AF10 AH06 AH08 AH19 AH24 AH25 AH33 AK02 AK03 AK05 AK07 AK09 AK11 AK12 AK23 AK29 AK41 AK53 AK68 AS14 AT01 NC02 NF06 NF12 WU08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のバイポーラトランジスタからなり
    入力された高周波信号を増幅する高周波電力増幅素子
    と、 第2のバイポーラトランジスタからなり前記高周波電力
    増幅素子と同一の温度特性を有する基準電圧生成素子
    と、 前記基準電圧生成素子に接続して電流を供給することに
    より前記基準電圧生成素子との接続点に基準電圧を発生
    させる定電流源と、外部から印加される電力制御電圧に
    より電流値が制御される可変電流源と、前記定電流源と
    前記可変電流源とに両端がそれぞれ接続されて前記基準
    電圧からの電位降下によって前記可変電流源との接続点
    に発生する電圧を決定する抵抗とからなるバイアス回路
    とを備え、 前記抵抗と前記可変電流源との接続点に発生する電圧が
    前記高周波電力増幅素子にバイアス電圧として供給され
    ることを特徴とする高周波電力増幅器。
  2. 【請求項2】 高周波電力増幅素子が第1のGaAsヘ
    テロ接合バイポーラトランジスタからなり、基準電圧生
    成素子がダイオード接続された第2のGaAsヘテロ接
    合バイポーラトランジスタからなり請求項1記載の高周
    波電力増幅器。
  3. 【請求項3】 第1のバイポーラトランジスタからなり
    入力された高周波信号を増幅する高周波電力増幅素子
    と、 第2のバイポーラトランジスタからなり前記高周波電力
    増幅素子と同一の温度特性を有する基準電圧生成素子
    と、 外部から印加される第1の電力制御電圧により電流値が
    制御され、前記基準電圧生成素子に接続して電流を供給
    することにより前記基準電圧生成素子との接続点に基準
    電圧を発生させる第1の可変電流源と、外部から印加さ
    れる第2の電力制御電圧により電流値が制御される第2
    の可変電流源と、前記第1の可変電流源と前記第2の可
    変電流源とに両端がそれぞれ接続されて前記基準電圧か
    らの電位降下によって前記第2の可変電流源との接続点
    に発生する電圧を決定する抵抗とからなるバイアス回路
    とを備え、 前記抵抗と前記第2の可変電流源との接続点に発生する
    電圧が前記高周波電力増幅素子にバイアス電圧として供
    給されることを特徴とする高周波電力増幅器。
  4. 【請求項4】 高周波電力増幅素子が第1のGaAsヘ
    テロ接合バイポーラトランジスタからなり、基準電圧生
    成素子がダイオード接続された第2のGaAsヘテロ接
    合バイポーラトランジスタからなる請求項3記載の高周
    波電力増幅器。
  5. 【請求項5】 ベースバンド回路と、このベースバンド
    回路からの出力信号を変調する変調回路部と、前記変調
    回路部の出力信号を高周波増幅してアンテナへ供給する
    高周波電力増幅器とで送信部が構成された無線通信装置
    であって、 前記高周波電力増幅器として請求項1記載の高周波電力
    増幅器を備えたことを特徴とする無線通信装置。
  6. 【請求項6】 ベースバンド回路と、このベースバンド
    回路からの出力信号を変調する変調回路部と、前記変調
    回路部の出力信号を高周波増幅してアンテナへ供給する
    高周波電力増幅器とで送信部が構成された無線通信装置
    であって、 前記高周波電力増幅器として請求項2記載の高周波電力
    増幅器を備えたことを特徴とする無線通信装置。
  7. 【請求項7】 ベースバンド回路と、このベースバンド
    回路からの出力信号を変調する変調回路部と、前記変調
    回路部の出力信号を高周波増幅してアンテナへ供給する
    高周波電力増幅器とで送信部が構成された無線通信装置
    であって、 前記高周波電力増幅器として請求項3記載の高周波電力
    増幅器を備えたことを特徴とする無線通信装置。
  8. 【請求項8】 ベースバンド回路と、このベースバンド
    回路からの出力信号を変調する変調回路部と、前記変調
    回路部の出力信号を高周波増幅してアンテナへ供給する
    高周波電力増幅器とで送信部が構成された無線通信装置
    であって、 前記高周波電力増幅器として請求項4記載の高周波電力
    増幅器を備えたことを特徴とする無線通信装置。
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