[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る情報処理装置の第1の実施の形態について説明する。
図1に、印刷システム100のシステム構成を示す。図1に示すように、印刷システム100は、測色器1、プロファイラ2、印刷指示端末3a,3b,3c、プリンタ4a,4b、コントローラ5a,5bを備えて構成されている。プロファイラ2、印刷指示端末3a,3b,3c、コントローラ5a,5bは、イントラネット等の通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。
測色器1は、プリンタ4a,4bから出力されたカラーチャートに含まれる複数色のカラーパッチを測色し、測色データを生成する。測色データは、L*a*b*、XYZ等のデバイスに依存しない表色系で表される。
プロファイラ2は、一般的なPC(Personal Computer)から構成され、コントローラ5a,5bにおいて使用される色変換プロファイル232(図2参照)を作成する情報処理装置である。プロファイラ2は、コントローラ5a,5bに対して、カラーチャートの出力指示を行う。また、プロファイラ2は、測色器1からカラーチャートの測色データを取得し、取得した測色データに基づいて色変換プロファイル232を作成してこれを保存する。そして、プロファイラ2は、色変換プロファイル232をコントローラ5a,5bに送信してこれを保存させる。
印刷指示端末3a,3b,3cは、一般的なPCから構成され、コントローラ5a,5b経由でプリンタ4a,4bに印刷指示を行う情報処理装置である。印刷指示端末3a,3b,3cには、印刷指示や印刷方法の指定を行うためのプリンタドライバプログラム331(図3参照)がインストールされている。なお、印刷指示端末3a,3b,3cは、印刷制御プログラム、又は、指定ホットフォルダへのファイルのコピー等により、印刷指示を行うこととしてもよい。
プリンタ4a,4bは、コントローラ5a,5bから受信したラスタデータに基づいて、指定された紙種・トレイを用いて印刷処理を行う。
コントローラ5a,5bは、一般的なPCから構成され、印刷指示端末3a,3b,3cから受信した印刷データに対して、色変換処理、ラスタライズ処理、スクリーニング処理等の処理を行い、ラスタデータを生成する情報処理装置である。コントローラ5a,5bは、プリンタ4a,4bにラスタデータを送信する。
コントローラ5a,5bには、色変換プロファイルとして、ソースプロファイル532及びデスティネーションプロファイル533(図4参照)が保存される。
ソースプロファイル532及びデスティネーションプロファイル533は、いずれも(1)入力CMYK値又は入力RGB値と、L*a*b*値又はXYZ値等の入出力デバイスに依存しない共通色空間の色値との対応関係、及び、(2)L*a*b*値又はXYZ値等の入出力デバイスに依存しない共通色空間の色値と、出力デバイスに依存するCMYK値との対応関係の二つの対応関係を記述したプロファイルである。これらの対応関係は、それぞれ色変換テーブル(LUT:Look Up Table)等により記述される。
これらの二つの対応関係のうち、ソースプロファイル532は、入力CMYK値又は入力RGB値と、L*a*b*値又はXYZ値等の入出力デバイスに依存しない共通色空間の色値との対応関係が利用され、デスティネーションプロファイル533は、L*a*b*値又はXYZ値等の入出力デバイスに依存しない共通色空間の色値と、出力デバイスに依存するCMYK値との対応関係が利用される。
プロファイラ2により作成された色変換プロファイル232は、コントローラ5a,5bにおいて、デスティネーションプロファイル533として保存される。
なお、ソースプロファイル532及びデスティネーションプロファイル533に代えて、コントローラ5a,5bにデバイスリンクプロファイルが保存されることとしてもよい。
デバイスリンクプロファイルは、在るソースプロファイル532と在るデスティネーションプロファイル533との特定の組合せにおいて、両プロファイルを統合したプロファイルであり、入力CMYK値又は入力RGB値と、出力デバイスにおけるCMYK値との対応関係をデバイスに依存しない色空間を介さずに記述したプロファイルである。
図2に、プロファイラ2の機能的構成を示す。図2に示すように、プロファイラ2は、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、記憶部23、操作部24、表示部25、通信部26、測色器IF部27等を備えて構成され、各部はバス28により接続されている。
CPU21は、プロファイラ2の各部の処理動作を統括的に制御する。CPU21は、操作部24から入力される操作信号又は通信部26により受信した指示信号に応じて、記憶部23に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM22に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
RAM22は、CPU21により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
記憶部23は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク等の記憶装置からなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ等を記憶する。例えば、記憶部23は、プロファイル作成プログラム231、色変換プロファイル232等を記憶する。
操作部24は、カーソルキー、文字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザによる操作入力を受け付ける。操作部24は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU21に出力する。
表示部25は、LCD(Liquid Crystal Display)を備え、CPU21からの指示に従って、各種操作画面や各種処理結果を表示する。
通信部26は、通信ネットワークNを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部26は、コントローラ5a,5bからカラーチャート出力時の出力条件を示す出力条件情報を受信する。また、通信部26は、コントローラ5a,5bに色変換プロファイル232を送信する。
測色器IF部27は、測色器1との間でデータの入出力を行う。測色器IF部27は、測色器1から測色データを受信する。
CPU21は、カラーチャート出力時の出力条件を示す出力条件情報を自動的に取得する場合には、通信部26を介してコントローラ5a,5bから出力条件情報を取得する。カラーチャート出力時の出力条件を示す出力条件情報には、カラーチャートを出力した用紙の紙種を示す紙種情報、コントローラ5a,5bによるスクリーニング処理におけるスクリーン種、プリンタ4a,4bの固体識別番号、カラーチャート出力時の温度・湿度等、色再現に影響する情報が含まれる。
CPU21は、カラーチャート出力時の出力条件を示す出力条件情報を自動的に取得しない場合には、操作部24より入力された出力条件情報を取得する。
CPU21は、通信部26を介してコントローラ5a,5bにカラーチャートの出力を指示する。具体的には、CPU21は、各CMYK値のカラーパッチが配列されたカラーチャートの画像データを含む印刷指示をコントローラ5a,5b送信する。
CPU21は、測色器IF部27を介して測色器1を制御し、プリンタ4a,4b(出力デバイス)により出力されたカラーチャートの測色を指示する。CPU21は、カラーチャートを測色器1で測色して得られた測色データを、測色器IF部27を介して測色器1から取得する。
CPU21は、測色器1から取得された測色データに基づいて、プリンタ4a,4bの色再現特性を表す色変換プロファイル232を作成する。CPU21は、作成された色変換プロファイル232に、予め定められた規則に則って出力条件情報を埋め込む。
CPU21は、出力条件情報が埋め込まれた色変換プロファイル232を、カラーチャートが出力されたプリンタ4a,4bに接続されているコントローラ5a,5bに送信し、色変換プロファイル232の登録を行う。
図3に、印刷指示端末3aの機能的構成を示す。図3に示すように、印刷指示端末3aは、CPU31、RAM32、記憶部33、操作部34、表示部35、通信部36等を備えて構成され、各部はバス37により接続されている。
CPU31は、印刷指示端末3aの各部の処理動作を統括的に制御する。CPU31は、操作部34から入力される操作信号又は通信部36により受信した指示信号に応じて、記憶部33に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM32に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
RAM32は、CPU31により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
記憶部33は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク等の記憶装置からなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ等を記憶する。例えば、記憶部33は、プリンタドライバプログラム331等を記憶する。
操作部34は、カーソルキー、文字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザによる操作入力を受け付ける。操作部34は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU31に出力する。
表示部35は、LCDを備え、CPU31からの指示に従って、各種操作画面や各種処理結果を表示する。
通信部36は、通信ネットワークNを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部36は、コントローラ5a,5bに印刷データを送信する。
CPU31は、ユーザの操作部34からの操作に基づいて、コントローラ5a,5bにおける色変換処理に用いるソースプロファイル532(図4参照)を設定する。
CPU31は、ユーザの操作部34からの操作に基づいて、コントローラ5a,5bにおける色変換処理に用いるデスティネーションプロファイル533(図4参照)を自動で設定するか手動で設定するかを設定する。
デスティネーションプロファイル533を手動で設定する場合には、CPU31は、ユーザの操作部34からの操作に基づいて、フィルタリング機能を有効にするか否かを設定する。フィルタリング機能とは、複数のデスティネーションプロファイル533の中から一のデスティネーションプロファイル533を選択する際に、フィルタ条件を設けて選択される候補となるデスティネーションプロファイル533を絞り込む機能をいう。
フィルタリング機能が有効の場合には、CPU31は、印刷が行われるプリンタ4a又はプリンタ4bに接続されているコントローラ5a又はコントローラ5bから複数のデスティネーションプロファイル533を取得する。CPU31は、取得された複数のデスティネーションプロファイル533のそれぞれから出力条件情報(第1の出力条件情報)を抽出する。CPU31は、抽出されたそれぞれの出力条件情報と印刷時の出力条件を示す出力条件情報(第2の出力条件情報)とを比較して、取得された複数のデスティネーションプロファイル533の中から予め定められたフィルタ条件に合致する一又は複数のデスティネーションプロファイル533を抽出する。印刷時の出力条件を示す出力条件情報には、印刷対象用紙の紙種を示す紙種情報、コントローラ5a,5bによるスクリーニング処理におけるスクリーン種、印刷対象のプリンタ4a,4bの固体識別番号、印刷指示時の温度・湿度等、色再現に影響する情報が含まれる。フィルタ条件として、デスティネーションプロファイル533から抽出された出力条件情報の一部又は全部が印刷時の出力条件を示す出力条件情報と同一であるという条件が設定されている。CPU31は、フィルタ条件に基づいて抽出された一又は複数のデスティネーションプロファイル533を表示部35に選択可能に表示させる。そして、CPU31は、表示部35に表示されているデスティネーションプロファイル533の中からユーザが選択したデスティネーションプロファイル533を設定する。
フィルタリング機能が無効の場合には、CPU31は、印刷が行われるプリンタ4a又はプリンタ4bに接続されているコントローラ5a又はコントローラ5bから複数のデスティネーションプロファイル533を取得する。CPU31は、取得された複数のデスティネーションプロファイル533を表示部35に選択可能に表示させる。そして、CPU31は、表示部35に表示されているデスティネーションプロファイル533の中からユーザが選択したデスティネーションプロファイル533を設定する。
CPU31は、コントローラ5a,5bに対して印刷指示を行う際、印刷データを生成し、生成した印刷データを通信部36を介してコントローラ5a,5bに送信する。
印刷データには、印刷内容を示す画像データ及び印刷設定情報が含まれる。印刷設定情報には、印刷時の出力条件を示す出力条件情報(第2の出力条件情報)、色変換設定情報等が含まれる。色変換設定情報には、設定されたソースプロファイル532を示す情報、デスティネーションプロファイル533のプロファイル自動設定が有効か否かを示す情報が含まれる。デスティネーションプロファイル533のプロファイル自動設定が無効の場合、即ちデスティネーションプロファイル533を手動で設定した場合には、色変換設定情報には、さらに、設定されたデスティネーションプロファイル533を示す情報が含まれる。
印刷指示端末3b,3cは、印刷指示端末3aと同様の構成であるため、図3を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。
図4に、コントローラ5aの機能的構成を示す。図4に示すように、コントローラ5aは、CPU51、RAM52、記憶部53、操作部54、表示部55、通信部56、プリンタIF部57等を備えて構成され、各部はバス58により接続されている。
CPU51は、コントローラ5aの各部の処理動作を統括的に制御する。CPU51は、操作部54から入力される操作信号又は通信部56により受信した指示信号に応じて、記憶部53に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM52に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
RAM52は、CPU51により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
記憶部53は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク等の記憶装置からなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ等を記憶する。例えば、記憶部53は、プリンタコントローラプログラム531、ソースプロファイル532、デスティネーションプロファイル533等を記憶する。デスティネーションプロファイル533は、プロファイラ2により作成された色変換プロファイル232に相当する。即ち、デスティネーションプロファイル533には、カラーチャート出力時の出力条件を示す出力条件情報(第1の出力条件情報)が予め定められた規則に則って埋め込まれている。また、記憶部53は、プリンタ4aの各給紙トレイに収納されている用紙の紙種を示す紙種情報を記憶する。
操作部54は、カーソルキー、文字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザによる操作入力を受け付ける。操作部54は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU51に出力する。
表示部55は、LCDを備え、CPU51からの指示に従って、各種操作画面や各種処理結果を表示する。
通信部56は、通信ネットワークNを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部56は、プロファイラ2から色変換プロファイル232を受信する。また、通信部56は、印刷指示端末3a,3b,3cから印刷データを受信する。
プリンタIF部57は、プリンタ4aとの間でデータの入出力を行う。プリンタIF部57は、プリンタ4aに対してラスタデータを送信する。
CPU51は、通信部56を介して印刷指示端末3a,3b,3cから印刷データを取得する。
CPU51は、印刷データに含まれる色変換設定情報に基づいて、設定されているソースプロファイル532を記憶部53からRAM52に読み込む。
CPU51は、印刷データに含まれる色変換設定情報において、デスティネーションプロファイル533のプロファイル自動設定が有効の場合には、印刷データから印刷時の出力条件を示す出力条件情報(第2の出力条件情報)を抽出する。
CPU51は、記憶部53に記憶されている複数のデスティネーションプロファイル533(色変換プロファイル)のそれぞれから出力条件情報(第1の出力条件情報)を抽出する。CPU51は、複数のデスティネーションプロファイル533から抽出されたそれぞれの出力条件情報と印刷データから抽出された出力条件情報とを比較して、複数のデスティネーションプロファイル533の中から適用するデスティネーションプロファイル533を選択する。具体的には、CPU51は、複数のデスティネーションプロファイル533から抽出されたそれぞれの出力条件情報の中から、印刷データから抽出された出力条件情報と最も近似する出力条件情報を決定することにより、適用するデスティネーションプロファイル533を選択する。そして、CPU51は、選択されたデスティネーションプロファイル533を記憶部53からRAM52に読み込む。
一方、CPU51は、印刷データに含まれる色変換設定情報において、デスティネーションプロファイル533のプロファイル自動設定が無効の場合には、設定されているデスティネーションプロファイル533を記憶部53からRAM52に読み込む。
CPU51は、色変換プログラムとの協働により、色変換処理を行うCMM(Color Management Module)を実現する。CPU51は、RAM52に読み込まれたソースプロファイル532及びデスティネーションプロファイル533を用いて、色変換テーブルの作成及び色変換処理を行う。
CPU51は、色変換処理後の画像データに対してRIP処理を行い、ラスタデータを生成する。そして、CPU51は、プリンタIF部57を介してプリンタ4aにラスタデータを送信する。
コントローラ5bは、コントローラ5aと同様の構成であるため、図4を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。
以下、出力条件情報として紙種情報を用いた場合について説明する。
紙種情報は、紙カテゴリ・紙色・光沢・斤量の4要素を含む。紙種情報を用いて紙種の一致又は近似が判断される。なお、紙種情報を構成する要素の数は、これに限定されない。
紙カテゴリは、用紙の紙質を示すものであり、「普通紙」、「カラーコピー紙」、「上質紙」、「コート紙」の属性に分類される。
紙色は、用紙の色を示すものであり、「白色」、「黄色」、「その他」の属性に分類される。
光沢は、用紙の光沢の有無を示すものであり、「あり」、「なし」の属性に分類される。
斤量(g/m2)は、用紙の単位面積当たりの重量を示すものであり、「〜60」、「61〜90」、「91〜120」、「121〜140」、「141〜」の属性に分類される。
紙種の判断を容易にするために、各要素を数値化する。この際、斤量は、軽いものから順に並べる等、要素内で近似する属性は、できるだけ近い数値(属性コード)となるようにしておくことが望ましい。
表1に、紙カテゴリの属性とその属性に対応する属性コードを示す。
表2に、紙色の属性とその属性に対応する属性コードを示す。
表3に、光沢の属性とその属性に対応する属性コードを示す。
表4に、斤量の属性とその属性に対応する属性コードを示す。
次に、動作について説明する。
図5に、プロファイラ2において実行されるプロファイル作成処理のフローチャートを示す。プロファイル作成処理は、出力されたカラーチャートに基づいて、色変換プロファイル232を作成し、この色変換プロファイル232に紙種情報を埋め込む処理であって、CPU21と、記憶部23に記憶されているプロファイル作成プログラム231との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
まず、CPU21により、プロファイラ2の起動時に、コントローラ5a,5bとの接続が確認される(ステップS1)。具体的には、CPU21により、接続可能なコントローラ5a,5bが自動的に通信ネットワークN上から検索され、表示部25に表示される。そして、ユーザの操作部24からの操作により、表示部25に表示されたコントローラ5a,5bの中から、カラーチャートを出力すべきプリンタ4a,4bに接続されたコントローラ5a,5bが選択される。また、ユーザの操作部24からの操作により、任意のIPアドレスが指定されることで、コントローラ5a,5bが選択されることとしてもよい。また、コントローラ5a,5b経由でカラーチャートを出力しない場合や、既に印刷済みのカラーチャートを用いて測色する場合には、コントローラ5a,5bとの接続を行わなくてもかまわない。
図6に、プロファイラ2の表示部25に表示される紙種情報設定画面251の例を示す。紙種情報設定画面251には、プリンタ名表示領域61、プロファイル名設定領域62、トレイ設定領域63、用紙サイズ設定領域64、紙カテゴリ設定領域65、斤量設定領域66、光沢設定領域67、紙色設定領域68、トレイ情報取得ボタン69等が含まれる。
プリンタ名表示領域61には、プロファイラ2がコントローラ5a,5bを介してプリンタ4a,4bと接続されている場合の、現在の接続先のプリンタ4a,4bのプリンタ名が表示される。プロファイラ2は、その接続先のプリンタ4a,4bへカラーチャートの出力指示を行うことができる。
プロファイル名設定領域62は、プロファイル名を設定するための領域である。ユーザは、操作部24からの操作により、プロファイル名設定領域62において、作成される色変換プロファイル232に付ける名前を入力する。
トレイ設定領域63は、接続先のプリンタ4a,4bについて、カラーチャート出力に用いる用紙が収納されている給紙トレイを設定するための領域である。ユーザは、操作部24からの操作により、トレイ設定領域63において、カラーチャート出力に用いる用紙が収納されている給紙トレイを指定する。
用紙サイズ設定領域64は、カラーチャート出力に用いる用紙の用紙サイズを設定するための領域である。ユーザは、操作部24からの操作により、用紙サイズ設定領域64において、カラーチャート出力に用いる用紙の用紙サイズを指定する。
紙カテゴリ設定領域65は、カラーチャート出力に用いる用紙の紙カテゴリを設定するための領域である。ユーザは、操作部24からの操作により、紙カテゴリ設定領域65において、カラーチャート出力に用いる用紙の紙カテゴリを指定する。
斤量設定領域66は、カラーチャート出力に用いる用紙の斤量を設定するための領域である。ユーザは、操作部24からの操作により、斤量設定領域66において、カラーチャート出力に用いる用紙の斤量を指定する。
光沢設定領域67は、カラーチャート出力に用いる用紙の光沢を設定するための領域である。ユーザは、操作部24からの操作により、光沢設定領域67において、カラーチャート出力に用いる用紙の光沢を指定する。
紙色設定領域68は、カラーチャート出力に用いる用紙の紙色を設定するための領域である。ユーザは、操作部24からの操作により、紙色設定領域68において、カラーチャート出力に用いる用紙の紙色を指定する。
トレイ情報取得ボタン69は、トレイ設定領域63において設定された給紙トレイに収納されている用紙の紙種情報を取得するためのボタンである。
プロファイラ2がコントローラ5a,5bと接続されている場合であって(ステップS2;YES)、カラーチャート出力時の紙種情報が自動で取得される場合には(ステップS3;YES)、CPU21により、ユーザの操作部24からの操作に基づいて、カラーチャートを出力するプリンタ4a,4bの給紙トレイが選択される(ステップS4)。具体的には、表示部25に表示される紙種情報設定画面251のトレイ設定領域63において、操作部24により、給紙トレイが指定される。
ユーザがトレイ設定領域63において給紙トレイを指定した後、操作部24からの操作により、トレイ情報取得ボタン69を押下すると、CPU21により、選択された給紙トレイの紙種情報(カラーチャート出力に用いる用紙の紙種情報)が通信部26を介してコントローラ5a,5bから自動的に取得される(ステップS5)。具体的には、CPU21により、選択された給紙トレイの紙種情報の取得要求が通信部26を介してコントローラ5a,5bに送信され、コントローラ5a,5bから送信された紙種情報が通信部26を介して取得される。取得された紙種情報は、CPU21により、用紙サイズ設定領域64、紙カテゴリ設定領域65、斤量設定領域66、光沢設定領域67、紙色設定領域68に表示される。なお、コントローラ5a,5bにおいて、自動で給紙トレイを選択する機能がある場合には、給紙トレイの選択を自動で行ってもかまわない。
プロファイラ2がコントローラ5a,5bと接続されている場合であって(ステップS2;YES)、カラーチャート出力時の紙種情報が自動で取得されない場合には(ステップS3;NO)、CPU21により、ユーザの操作部24からの操作に基づいて、カラーチャートを出力するプリンタ4a,4bの給紙トレイが選択される(ステップS6)。具体的には、表示部25に表示される紙種情報設定画面251のトレイ設定領域63において、操作部24により、給紙トレイが指定される。
次に、CPU21により、ユーザが操作部24から指定した紙種情報(カラーチャート出力に用いる用紙の紙種情報)が取得される(ステップS7)。具体的には、表示部25に表示される紙種情報設定画面251の用紙サイズ設定領域64、紙カテゴリ設定領域65、斤量設定領域66、光沢設定領域67、紙色設定領域68において、操作部24により、用紙サイズ、紙カテゴリ、斤量、光沢、紙色が指定される。
ステップS5又はステップS7の後、CPU21により、取得された紙種情報に従って、コントローラ5a,5bにカラーチャートの出力指示が通信部26を介して送信される(ステップS8)。そして、プリンタ4a,4bにより、紙種情報に従った用紙を用いてカラーチャートが出力される。
ステップS2において、プロファイラ2がコントローラ5a,5bと接続されていない場合には(ステップS2;NO)、CPU21により、ユーザが操作部24から指定したカラーチャート出力時の紙種情報が取得される(ステップS9)。そして、予め用意されていたカラーチャートが準備される。
ステップS8又はステップS9の後、CPU21により、ステップS8の出力指示に基づいてプリンタ4a,4bにおいて出力されたカラーチャート、又は、予め用意されていたカラーチャートを測色器1により測色して得られた測色データが測色器IF部27を介して取得される(ステップS10)。
図7に、プロファイラ2の表示部25に表示されるカラーチャート測色画面252の例を示す。カラーチャート測色画面252には、開始ボタン71、測色結果表示領域72、保存ボタン73等が含まれる。
開始ボタン71は、測色器1によるカラーチャートの測色開始を指示するためのボタンである。ユーザは、操作部24からの操作により、開始ボタン71を押下して、カラーチャートの測色開始を指示する。
測色結果表示領域72は、カラーチャートを測色した結果が表示される領域である。測色結果表示領域72には、カラーチャート内の各カラーパッチの入力データ(CMYK値)と、それに対応する測色結果(L*a*b*値)が表示される。
保存ボタン73は、測色結果を保存する際に押下されるボタンである。ユーザは、操作部24からの操作により、保存ボタン73を押下して、測色結果の保存を指示する。測色結果は色変換プロファイル232の計算に使われる。また、測色結果は色差の計算等、解析にも用いられる。
次に、CPU21により、測色データに基づいて、プリンタ4a,4bの色再現特性を表す色変換プロファイル232が作成される(ステップS11)。
次に、CPU21により、紙種情報が色変換プロファイル232に埋め込める形に変換され、色変換プロファイル232に紙種情報が埋め込まれる(ステップS12)。
第1の実施の形態では、色変換プロファイル232として、ICCの仕様に基づいたICCプロファイルを作成する場合について説明する。
図8に、ICCプロファイル80のデータ構造を示す。ICCプロファイル80は、プロファイルヘッダ81、タグテーブル82、タグ化された要素データ83から構成される。
プロファイルヘッダ81には、プロファイルの各種情報が記述される。
タグテーブル82には、プロファイルを構成する要素の一覧が記述されている。具体的には、タグ数、タグ毎の種別(LUT、ガマット情報等の種類)、オフセット(タグの開始アドレスを示す情報)、サイズが記述される。
タグ化された要素データ83には、それぞれのタグの内容(LUT、ガマット情報等の内容)が記述される。タグ化された要素データ83のうち、プライベートタグ84には紙種情報が記述される。データ記述方式は、図8に示すようにASCII文字列でもよいし、バイナリ形式でもよい。図8に示す例では、プライベートタグ84に「category=1,color=1,gloss=2,weight=3」と記述されている。これは、紙カテゴリが「普通紙」であり、紙色が「白色」であり、光沢が「なし」であり、斤量が「91〜120」であることを示している(表1〜表4参照)。即ち、第1の実施の形態では、ICCプロファイル80内のプライベートタグ84に、紙種情報の各要素に対応する属性を属性コードで記述することにより、ICCプロファイル80に紙種情報を埋め込んでいる。
次に、プロファイラ2がコントローラ5a,5bと接続されている場合には(ステップS13;YES)、CPU21により、コントローラ5a,5bに色変換プロファイル232が送信されるとともに(ステップS14)、色変換プロファイル232が記憶部23に保存される(ステップS15)。コントローラ5a,5bでは、CPU51により、プロファイラ2から送信された色変換プロファイル232がデスティネーションプロファイル533として記憶部53に記憶される。
ステップS13において、プロファイラ2がコントローラ5a,5bと接続されていない場合には(ステップS13;NO)、CPU21により、色変換プロファイル232が記憶部23に保存される(ステップS15)。そして、後にユーザが手動で色変換プロファイル232をコントローラ5a,5bにアップロードする。
以上で、プロファイル作成処理が終了する。
図9に、印刷指示端末3aにおいて印刷を指示する際に実行される色変換設定処理のフローチャートを示す。ここでは、印刷指示端末3aからコントローラ5aに対する色変換設定処理を行う場合を例にして説明するが、印刷指示端末3aからコントローラ5bに対する色変換設定処理を行う場合、印刷指示端末3b,3cからコントローラ5a,5bに対する色変換設定処理を行う場合についても同様である。色変換設定処理は、CPU31と、記憶部33に記憶されているプリンタドライバプログラム331との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
まず、CPU31により、色変換の設定が開始される(ステップS21)。
図10に、印刷指示端末3aの表示部35に表示される色変換設定画面351の例を示す。ここでは、色変換の設定として、プリンタドライバ上での印刷設定において、二つのデバイスプロファイル(ソースプロファイル532、デスティネーションプロファイル533)を設定する場合について説明する。デバイスリンクプロファイルを用いる場合には、ソースプロファイル532とデスティネーションプロファイル533の両方を設定する必要はなく、デスティネーションプロファイル533に相当する部分をデバイスリンクプロファイルだけで置き換えることができる。
図10に示すように、色変換設定画面351には、ソースプロファイル設定領域91及びデスティネーションプロファイル設定領域92等が含まれる。ソースプロファイル設定領域91は、ソースプロファイル532を設定するための領域であり、デスティネーションプロファイル設定領域92は、デスティネーションプロファイル533を設定するための領域である。
ソースプロファイル設定領域91には、RGBプロファイル設定領域93及びCMYKプロファイル設定領域94が含まれる。
RGBプロファイル設定領域93は、RGBデータが入力された場合のソースプロファイル532を設定するための領域である。ユーザは、操作部34からの操作により、RGBプロファイル設定領域93において、RGBデータが入力された場合のソースプロファイル532を指定する。
CMYKプロファイル設定領域94は、CMYKデータが入力された場合のソースプロファイルを設定するための領域である。ユーザは、操作部34からの操作により、CMYKプロファイル設定領域94において、CMYKデータが入力された場合のソースプロファイルを指定する。
デスティネーションプロファイル設定領域92には、プロファイル自動設定ボタン95、プロファイル手動設定ボタン96、フィルタリング設定領域97、CMYKプロファイル設定領域98が含まれる。
プロファイル自動設定ボタン95及びプロファイル手動設定ボタン96は、いずれかをONに設定することにより、デスティネーションプロファイル533を自動で設定するか手動で設定するかを選択するためのボタンである。プロファイル自動設定ボタン95がONに設定された場合には、コントローラ5aにおいて、記憶部53に記憶されているデスティネーションプロファイル533の中から最適なデスティネーションプロファイル533が自動設定される。プロファイル手動設定ボタン96がONに設定された場合には、ユーザが任意のデスティネーションプロファイル533を指定することになる。
フィルタリング設定領域97は、フィルタリング機能を有効にするか否か、さらに、フィルタリング機能を有効にする場合にはフィルタ条件を設定するための領域である。フィルタ条件の種類としては、「紙種が完全同一なもの」、「紙カテゴリが同一なもの」、「紙色が同一なもの」、「光沢が同一なもの」、「斤量が同一なもの」等が挙げられる。ユーザは、操作部34からの操作により、フィルタリング設定領域97において、フィルタリングなしを指定するか、あるいは、デスティネーションプロファイル533を絞り込む際のフィルタ条件を指定する。
CMYKプロファイル設定領域98は、一又は複数のデスティネーションプロファイル533が選択可能に表示される領域である。フィルタリング機能が有効の場合、CMYKプロファイル設定領域98には、フィルタリング設定領域97で指定されたフィルタ条件に合致した一又は複数のデスティネーションプロファイル533が選択可能に表示される。フィルタリング機能が無効の場合、CMYKプロファイル設定領域98には、記憶部53に記憶されている全てのデスティネーションプロファイル533が選択可能に表示される。ユーザは、操作部34からの操作により、CMYKプロファイル設定領域98において、一又は複数のデスティネーションプロファイル533の中からいずれか一のデスティネーションプロファイル533を指定する。
このように、フィルタリング機能を活用することで、ユーザは、使用する紙種と一致又は近似した紙種用のデスティネーションプロファイル533を、CMYKプロファイル設定領域98に表示されるリストから簡単に選択することができる。
色変換設定画面351では、フィルタリング機能をリストボックスにて実現しているが、ラジオボタンやチェックボックスを組み合わせ、より詳細に設定できることとしてもよい。さらに、紙種以外の項目、例えば、作成日時や作成者情報等を元に、検索精度を向上させてもよい。
さらに、画面上でスペースが許すならば、デスティネーションプロファイル533のリストを表示する際に、デスティネーションプロファイル533に埋め込まれた紙種情報に基づいて、全てのデスティネーションプロファイル533について、それぞれの紙種情報を表示してもよい。
ステップS21の後、CPU31により、ユーザの操作部34からの操作に基づいて、ソースプロファイル532が設定される(ステップS22)。具体的には、CPU31により、色変換設定画面351のRGBプロファイル設定領域93及びCMYKプロファイル設定領域94において指定されたソースプロファイル532が設定される。
次に、CPU31により、色変換設定画面351のプロファイル自動設定ボタン95において、デスティネーションプロファイル533のプロファイル自動設定がONに設定されているか否かが判断される(ステップS23)。デスティネーションプロファイル533のプロファイル自動設定がONの場合には(ステップS23;YES)、CPU31により、色変換設定情報のプロファイル自動設定が有効に設定される(ステップS24)。
ステップS23において、デスティネーションプロファイル533のプロファイル自動設定がOFFの場合(ステップS23;NO)、即ち、色変換設定画面351のプロファイル手動設定ボタン96において、デスティネーションプロファイル533のプロファイル手動設定がONの場合には、ユーザが任意のデスティネーションプロファイル533を選択することになる。ここで、CPU31により、デスティネーションプロファイル533のフィルタリング機能が有効か否かが判断される(ステップS25)。具体的には、CPU31により、色変換設定画面351のフィルタリング設定領域97において、フィルタ条件が指定されているか否かが判断される。
デスティネーションプロファイル533のフィルタリング機能が有効の場合には(ステップS25;YES)、CPU31により、コントローラ5aの記憶部53に記憶されている全てのデスティネーションプロファイル533(プロファイル群)が取得される(ステップS26)。具体的には、CPU31により、デスティネーションプロファイル533の取得要求が通信部36を介してコントローラ5aに送信され、コントローラ5aから送信されたデスティネーションプロファイル533が通信部36を介して取得される。次に、CPU31により、取得されたプロファイル群の各デスティネーションプロファイル533に埋め込まれた紙種情報が逐次抽出される(ステップS27)。
そして、CPU31により、各デスティネーションプロファイル533から抽出されたそれぞれの紙種情報と印刷時の紙種を示す紙種情報とが比較され、取得された複数のデスティネーションプロファイル533の中から、印刷時の紙種を示す紙種情報との関係において、ユーザが色変換設定画面351のフィルタリング設定領域97において指定したフィルタ条件に合致する一又は複数のデスティネーションプロファイル533が抽出される。例えば、フィルタ条件として「紙種が完全同一なもの」が指定されている場合には、CPU31により、記憶部53に記憶されている複数のデスティネーションプロファイル533の中から、デスティネーションプロファイル533から抽出された紙種情報が印刷時の紙種を示す紙種情報と完全に一致するデスティネーションプロファイル533が抽出される。また、フィルタ条件として「紙色が同一なもの」が指定されている場合には、CPU31により、記憶部53に記憶されている複数のデスティネーションプロファイル533の中から、デスティネーションプロファイル533から抽出された紙種情報の紙色が印刷時の用紙の紙色と一致するデスティネーションプロファイル533が抽出される。そして、CPU31により、抽出された一又は複数のデスティネーションプロファイル533が色変換設定画面351のCMYKプロファイル設定領域98に選択可能にリスト表示される(ステップS28)。
一方、ステップS25において、プロファイルのフィルタリング機能が無効の場合(ステップS25;NO)、即ち、色変換設定画面351のフィルタリング設定領域97において、フィルタリングなしが指定されている場合には、CPU31により、コントローラ5aの記憶部53に記憶されている全てのデスティネーションプロファイル533(プロファイル群)が取得され(ステップS29)、取得されたデスティネーションプロファイル533が色変換設定画面351のCMYKプロファイル設定領域98に選択可能にリスト表示される(ステップS30)。
ステップS28又はステップS30の後、CPU31により、ユーザの操作部34からの操作に基づいて、表示部35にリスト表示されているデスティネーションプロファイル533の中から適用するデスティネーションプロファイル533が設定される(ステップS31)。
ステップS24又はステップS31の後、色変換設定が登録され(ステップS32)、色変換設定処理が終了する。色変換設定の登録とは、設定された内容で色変換設定情報を作成しておくことをいう。印刷指示時にコントローラ5aに送信される印刷データの印刷設定情報には、印刷時の紙種を示す紙種情報及び色変換設定情報が含まれる。
図11に、コントローラ5aにおいて実行される色変換実行処理のフローチャートを示す。ここでは、コントローラ5aが印刷指示端末3aから印刷データを受信した場合を例にして説明するが、コントローラ5aが印刷指示端末3b,3cから印刷データを受信した場合、コントローラ5bが印刷指示端末3a,3b,3cから印刷データを受信した場合についても同様である。色変換実行処理は、CPU51と、記憶部53に記憶されているプリンタコントローラプログラム531との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
まず、CPU51により、通信部56を介して印刷指示端末3aから印刷データが取得される(ステップS41)。
次に、CPU51により、取得された印刷データの色変換設定情報に基づいて、設定されたソースプロファイル532が記憶部53からRAM52に読み込まれる(ステップS42)。
次に、CPU51により、色変換設定情報に基づいて、デスティネーションプロファイル533のプロファイル自動設定が有効になっているかが判断される(ステップS43)。デスティネーションプロファイル533のプロファイル自動設定が有効の場合には(ステップS43;YES)、CPU51により、印刷データから印刷時の紙種を示す紙種情報が抽出される(ステップS44)。抽出された紙種情報は、CPU51により、RAM52に格納される。
次に、CPU51により、記憶部53に記憶されている登録済みのデスティネーションプロファイル533が検索される(ステップS45)。そして、CPU51により、プロファイル自動選択処理が行われる(ステップS46)。
ここで、図12を参照して、プロファイル自動選択処理について説明する。
まず、CPU51により、記憶部53に予め記憶されている種別係数がRAM52に読み出される(ステップS51)。
種別係数は、紙種情報の各要素がどれだけ色再現(画質)に影響するかを表すものである。
表5に、各要素に対応する種別係数を示す。
表5に示す例では、要素の中で紙カテゴリと紙色が色再現に最も大きく影響し、続いて、光沢、斤量という順で色再現に影響することを示している。ただし、種別係数はプリンタのエンジン特性に依存するため、事前に最適な種別係数の値を検討する必要がある。検討の方法としては、以下の方法が考えられる。それぞれ検討要素毎に同一のカラーチャートを色補正せずに出力し、ある基準(例えば、印刷ターゲット)との色差(ΔEab、ΔE94、ΔE00等)の平均を計算し、その要素間の分散(上記の例では、紙カテゴリ4種、紙色3種、光沢2種、斤量5種のそれぞれにおける色差の平均の分散)を比較する。分散が大きいほど、色再現に対する寄与が大きいことがわかり、その要素の種別係数を大きく取ればよい。
次に、CPU51により、記憶部53に記憶されている全てのデスティネーションプロファイル533のうち一つのデスティネーションプロファイル533が処理対象に設定される(ステップS52)。CPU51により、処理対象のデスティネーションプロファイル533に埋め込まれている紙種情報が抽出される(ステップS53)。抽出された紙種情報は、CPU51により、RAM52に格納される。
次に、CPU51により、処理対象のデスティネーションプロファイル533から抽出された紙種情報と、印刷データから抽出された紙種情報とに基づいて、近似度rが算出される(ステップS54)。近似度rは、以下の式(1)にて定義される。
ここで、Cnは要素nの種別係数であり、pnはデスティネーションプロファイル533から抽出された紙種情報に含まれる要素nの属性コードであり、p’nは印刷データから抽出された紙種情報に含まれる要素nの属性コードである。nは、紙種判定に用いる要素の数で、上記の例では4まで存在する。近似度rが小さいほど2種類の紙種は近く、近似度rが0ならば2種類の紙種が一致することになる。
そして、CPU51により、これまでに算出された近似度rの最小値及びそのデスティネーションプロファイル533がRAM52に保持される(ステップS55)。
次に、CPU51により、記憶部53に記憶されている全てのデスティネーションプロファイル533について処理が終了したか否かが判断される(ステップS56)。記憶部53に記憶されている全てのデスティネーションプロファイル533のうち処理が終了していないデスティネーションプロファイル533が存在する場合には(ステップS56;NO)、CPU51により、次のデスティネーションプロファイル533が処理対象に設定され(ステップS57)、ステップS53に戻る。そして、ステップS53〜ステップS56の処理が繰り返される。
ステップS56において、記憶部53に記憶されている全てのデスティネーションプロファイル533について処理が終了した場合には(ステップS56;YES)、CPU51により、該当するデスティネーションプロファイル533(近似度rが最小のものとしてRAM52に保持されているデスティネーションプロファイル533)が複数存在するか否かが判断される(ステップS58)。
該当するデスティネーションプロファイル533が複数存在する場合には(ステップS58;YES)、CPU51により、作成日時が最新のデスティネーションプロファイル533が選択される(ステップS59)。該当するデスティネーションプロファイル533が一つしかない場合には(ステップS58;NO)、そのデスティネーションプロファイル533が選択される(ステップS60)。このように、CPU51により、式(1)を用いて、デスティネーションプロファイル533から抽出された紙種情報と色変換対象の印刷データから抽出された紙種情報とが比較され、近似度rが一番小さいデスティネーションプロファイル533が選択される。ステップS59又はステップS60の後、図11のステップS47に移行する。
次に、図11に戻り、CPU51により、プロファイル自動選択処理により選択されたデスティネーションプロファイル533が記憶部53からRAM52に読み込まれる(ステップS47)。
一方、ステップS43において、デスティネーションプロファイル533のプロファイル自動設定が有効でなかった場合(ステップS43;NO)、即ち、デスティネーションプロファイル533が手動で設定されていた場合には、CPU51により、色変換設定情報において設定されているデスティネーションプロファイル533が記憶部53からRAM52に読み込まれる(ステップS47)。
次に、CPU51により、ステップS42で読み込まれたソースプロファイル532及びステップS47で読み込まれたデスティネーションプロファイル533を用いて、色変換処理に用いる色変換テーブルが作成される(ステップS48)。そして、CPU51により、作成された色変換テーブルに基づいて、印刷データに対して色変換処理が行われる(ステップS49)。
以上で、色変換実行処理が終了する。
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、プロファイラ2において、色変換プロファイル232に紙種情報等の出力条件情報が埋め込まれるので、後に色変換プロファイル232を用いる際に、出力条件に適した色変換プロファイル232を選択することができる。
また、プロファイラ2がコントローラ5a,5bから出力条件情報を自動的に取得する場合には、入力ミスを防ぐことができる。
また、プロファイラ2は、操作部24より入力された出力条件情報を取得することができる。
また、プロファイラ2において、ICCプロファイル80内のプライベートタグ84に紙種情報等の出力条件情報を記述することにより、簡単にICCプロファイル80に出力条件情報を埋め込むことができる。
また、印刷指示端末3a,3b,3cにおいて、フィルタリング機能を利用する場合、フィルタ条件に合致する一又は複数のデスティネーションプロファイル533(色変換プロファイル)を表示部35に選択可能に表示させることで、ユーザによるデスティネーションプロファイル533の選択を支援することができる。例えば、印刷指示端末3a,3b,3cでは、紙種情報に基づいて、フィルタ条件に合致する一又は複数のデスティネーションプロファイル533を抽出することができる。したがって、デスティネーションプロファイル533を用いる際に、印刷時の出力条件に適したデスティネーションプロファイル533を選択することができる。
また、コントローラ5a,5bにおいて、デスティネーションプロファイル533(色変換プロファイル)を用いる際に、印刷時の紙種等の出力条件に適したデスティネーションプロファイル533を選択することができる。具体的には、印刷データから抽出された出力条件情報と最も近似する出力条件情報が埋め込まれたデスティネーションプロファイル533を選択することができる。このように、コントローラ5a,5bでは、自動的に印刷時の出力条件に応じた色変換処理を行うことができるので、出力条件毎にデスティネーションプロファイル533を予め用意しておく必要がない。
また、デスティネーションプロファイル533(デバイスプロファイル)に出力条件情報が埋め込まれているので、デバイスプロファイルを用いてデバイスリンクプロファイル形式のプロファイルを作成した場合にも、出力条件情報を引き継いで活用することができる。
また、1台のプリンタに2台以上のコントローラが接続されている場合、又は、同一機種のプリンタとコントローラの組が2組以上ある場合(紙種、スクリーン種等の設定が同じ場合)には、一のコントローラに保存されている色変換プロファイル(デスティネーションプロファイル)を他のコントローラにコピーすることにより、他のコントローラにおいてもコピーされた色変換プロファイルを利用することができる。なお、色変換処理とは別に、日々のプリンタエンジンの挙動を補正するためのキャリブレーションが個別に行われる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における印刷システムは、第1の実施の形態に示した印刷システム100と同様の構成であるため、図1〜図4を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
プロファイラ2において実行されるプロファイル作成処理(図5参照)、印刷指示端末3a,3b,3cにおいて実行される色変換設定処理(図9参照)、コントローラ5a,5bにおいて実行される色変換実行処理(図11及び図12参照)についても、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
第2の実施の形態における印刷システムでは、プロファイラ2において作成される色変換プロファイル232が構造化文書ファイルである点が、第1の実施の形態における印刷システム100とは異なる。ここでは、構造化文書ファイルとしてXML(eXtensible Markup Language)ファイルを作成し、カラーチャート出力時の出力条件を示す出力条件情報として、カラーチャートを出力した用紙の紙種を示す紙種情報を用いる場合について説明する。
図13に、第2の実施の形態のプロファイラ2における色変換プロファイル232の作成手順を示す。CPU21は、プリンタ4a,4bの色再現特性を表すICCプロファイル101をテキスト化し、XMLファイル102内に、テキスト化されたICCプロファイルと紙種情報とを記述する。即ち、CPU21は、XMLファイル102内に紙種情報を埋め込む。
図14に、XMLファイル102の記述例を示す。XMLファイル102内のICCプロファイルを記述するためのタグ103には、ICCプロファイルがBase64形式等のテキスト文字列に変換されて記述される。また、XMLファイル102内の紙種情報を記述するためのタグ104には、紙種情報がテキスト情報として「category=1,color=1,gloss=2,weight=3」と記述されている。これは、紙カテゴリが「普通紙」であり、紙色が「白色」であり、光沢が「なし」であり、斤量が「91〜120」であることを示している。各要素における属性と属性コードとの対応関係は、第1の実施の形態(表1〜表4参照)と同様とする。即ち、第2の実施の形態では、XMLファイル102内の紙種情報を記述するためのタグ104に、紙種情報の各要素に対応する属性を属性コードで記述することにより、XMLファイル102に紙種情報を埋め込んでいる。
第2の実施の形態によれば、プロファイラ2において、XMLファイル102内の紙種情報を記述するためのタグ104にカラーチャートを出力した用紙の紙種を示す紙種情報を記述することにより、簡単にXMLファイル102に紙種情報を埋め込むことができる。
印刷指示端末3a,3b,3cにおいてフィルタリング機能を利用する場合には、XMLファイル102内のタグ104を参照して紙種情報を取得することにより、フィルタ条件に合致する一又は複数のXMLファイル102を抽出し、選択可能に表示することができる。
コントローラ5a,5bにおいてプロファイル自動選択処理を実行する場合には、XMLファイル102内のタグ104を参照して紙種情報を取得することにより、印刷時の紙種に適したXMLファイル102を選択することができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態における印刷システムは、第1の実施の形態に示した印刷システム100と同様の構成であるため、図1〜図4を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第3の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
プロファイラ2において実行されるプロファイル作成処理(図5参照)、印刷指示端末3a,3b,3cにおいて実行される色変換設定処理(図9参照)、コントローラ5a,5bにおいて実行される色変換実行処理(図11及び図12参照)についても、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
第3の実施の形態における印刷システムでは、プロファイラ2において作成される色変換プロファイル232のファイル名に出力条件情報が含まれるという点が、第1の実施の形態における印刷システム100とは異なる。ここでは、カラーチャート出力時の出力条件を示す出力条件情報として、カラーチャートを出力した用紙の紙種を示す紙種情報を用いる場合について説明する。
プロファイラ2のCPU21は、色変換プロファイル232のファイル名に紙種情報を含ませることにより、色変換プロファイル232に紙種情報を埋め込む。例えば、CPU21は、色変換プロファイル232のファイル名を「***_category1_color1_gloss2_weight3.icc」と名付ける。これは、紙カテゴリが「普通紙」であり、紙色が「白色」であり、光沢が「なし」であり、斤量が「91〜120」であることを示している。各要素における属性と属性コードとの対応関係は、第1の実施の形態(表1〜表4参照)と同様とする。ファイル名のうち、「***」の部分は、ユーザが指定した名称である。即ち、第3の実施の形態では、色変換プロファイル232のファイル名に、紙種情報の各要素に対応する属性を示す属性コードを含ませることにより、色変換プロファイル232に紙種情報を埋め込んでいる。
第3の実施の形態によれば、プロファイラ2において、色変換プロファイル232のファイル名にカラーチャートを出力した用紙の紙種を示す紙種情報を含ませることにより、簡単に色変換プロファイル232に紙種情報を埋め込むことができる。
印刷指示端末3a,3b,3cにおいてフィルタリング機能を用いる場合には、デスティネーションプロファイル533(色変換プロファイル232)のファイル名を参照して紙種情報を取得することにより、フィルタ条件に合致する一又は複数のデスティネーションプロファイル533を抽出し、選択可能に表示することができる。
コントローラ5a,5bにおいてプロファイル自動選択処理を実行する場合には、デスティネーションプロファイル533(色変換プロファイル232)のファイル名を参照して紙種情報を取得することにより、印刷時の紙種に適したデスティネーションプロファイル533を選択することができる。
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る情報処理装置の例であり、これに限定されるものではない。情報処理装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記各実施の形態では、カラーチャート出力時の出力条件を示す出力条件情報としてカラーチャートを出力した用紙の紙種を示す紙種情報を用い、印刷時の出力条件を示す出力条件情報として印刷対象用紙の紙種を示す紙種情報を用いた場合を中心に説明したが、カラーチャート出力時の出力条件を示す出力条件情報及び印刷時の出力条件を示す出力条件情報は、色再現に影響する情報であれば、スクリーニング処理におけるスクリーン種、プリンタ4a,4bの固体識別番号、温度・湿度等、他の情報を用いてもよい。
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体として不揮発性の半導体メモリやハードディスク等の記憶装置を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。