<撮像装置の外観構成>
図1および図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観構成を示す図である。ここで、図1および図2は、それぞれ正面図および背面図を示している。
撮像装置1は、例えば一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラとして構成されており、カメラボディ10と、カメラボディ10に着脱自在な撮影レンズとしての交換レンズ2とを備えている。
図1において、カメラボディ10の正面側には、正面略中央に交換レンズ2が装着されるマウント部301と、マウント部301の右横に配置されたレンズ交換ボタン302と把持可能とするためのグリップ部303と、正面左上部に配置されたモード設定ダイアル305と、正面右上部に配置された制御値設定ダイアル306と、グリップ部303の上面に配置されたシャッターボタン307とが設けられている。
また、図2において、カメラボディ10の背面側には、LCD(Liquid Crystal Display)311と、LCD311の左方に配置された設定ボタン群312と、LCD311の右方に配置された十字キー314と、十字キー314の中央に配置されたプッシュボタン315とが備えられている。また、カメラボディ10の背面側には、LCD311の上方に配設された光学ファインダ316と、光学ファインダ316の周囲を囲むアイカップ321と、光学ファインダ316の左方に配設されたメインスイッチ317と、光学ファインダ316の右方に配設された露出補正ボタン323およびAEロックボタン324と、光学ファインダ316の上方に配設されたフラッシュ部318および接続端子部319とが備えられている。
マウント部301には、装着された交換レンズ2との電気的接続を行うためコネクタEc(図6参照)や、機械的接続を行うためのカプラ75(図6参照)が設けられている。
レンズ交換ボタン302は、マウント部301に装着された交換レンズ2を取り外す際に押下されるボタンである。
グリップ部303は、ユーザが撮影時に撮像装置1を把持する部分であり、フィッティング性を高めるために指形状に合わせた表面凹凸が設けられている。なお、グリップ部303の内部には電池収納室およびカード収納室(不図示)が設けられている。電池収納室にはカメラの電源として電池69B(図6参照)が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリカード67(図6参照)が着脱可能に収納されるようになっている。なお、グリップ部303には、当該グリップ部303をユーザが把持したか否かを検出するためのグリップセンサを設けるようにしても良い。
モード設定ダイアル305及び制御値設定ダイアル306は、カメラボディ10の上面と略平行な面内で回転可能な略円盤状の部材からなる。モード設定ダイアル305は、自動露出(AE)制御モードや自動焦点(AF;オートフォーカス)制御モード、或いは1枚の静止画を撮影する静止画撮影モードや連続撮影を行う連続撮影モード等の各種撮影モード、記録済みの画像を再生する再生モード等、撮像装置1に搭載されたモードや機能を択一的に選択するためのものである。一方、制御値設定ダイアル306は、撮像装置1に搭載された各種の機能に対する制御値を設定するためのものである。
シャッターボタン307は、途中まで押し込んだ「半押し状態」の操作と、さらに押し込んだ「全押し状態」の操作とが可能とされた押下スイッチである。静止画撮影モードにおいてシャッターボタン307が半押しされると、被写体の静止画を撮影するための準備動作(露出制御値の設定や焦点検出等の準備動作)が実行され、シャッターボタン307が全押しされると、撮影動作(撮像素子101(図3参照)を露光し、その露光によって得られた画像信号に所定の画像処理を施してメモリカード等に記録する一連の動作)が実行される。
LCD311は、画像表示が可能なカラー液晶パネルを備えており、撮像素子101(図3参照)により撮像された画像の表示や記録済みの画像の再生表示等を行うとともに、撮像装置1に搭載される機能やモードの設定画面を表示するものである。なお、LCD311に代えて、有機ELやプラズマ表示装置を用いるようにしても良い。
設定ボタン群312は、撮像装置1に搭載された各種の機能に対する操作を行うボタンである。この設定ボタン群312には、例えばLCD311に表示されるメニュー画面で選択された内容を確定するための選択確定スイッチ、選択取り消しスイッチ、メニュー画面の内容を切り替えるメニュー表示スイッチ、表示オン/オフスイッチ、表示拡大スイッチなどが含まれる。
十字キー314は、円周方向に一定間隔で配置された複数の押圧部(図中の三角印の部分)を備える環状の部材を有し、各押圧部に対応して備えられた図示省略の接点(スイッチ)により押圧部の押圧操作が検出されるように構成されている。また、プッシュボタン315は、十字キー314の中央に配置されている。十字キー314及びプッシュボタン315は、撮影倍率の変更(ズームレンズ212(図6参照)のワイド方向やテレ方向への移動)、LCD311等に再生する記録画像のコマ送り、及び撮影条件(絞り値、シャッタスピード、フラッシュ発光の有無等)の設定等の指示を入力するためのものである。
光学ファインダ316は、被写体が撮影される範囲を光学的に表示するものである。すなわち、光学ファインダ316には、交換レンズ2からの被写体像が導かれており、ユーザは、この光学ファインダ316を覗くことにより、実際に撮像素子101にて撮影される被写体を視認することができる。
メインスイッチ317は、左右にスライドする2接点のスライドスイッチからなり、左にセットすると撮像装置1の電源がオンされ、右にセットすると電源がオフされる。
フラッシュ部318は、ポップアップ式の内蔵フラッシュとして構成されている。一方、外部フラッシュ等をカメラボディ10に取り付ける場合には、接続端子部319を使用して接続する。
アイカップ321は、遮光性を有して光学ファインダ316への外光の侵入を抑制する「コ」字状の遮光部材である。
露出補正ボタン323は、露出値(絞り値やシャッタースピード)を手動で調整するためのボタンであり、AEロックボタン324は、露出を固定するためのボタンである。
交換レンズ2は、被写体からの光(光像)を取り込むレンズ窓として機能するとともに、当該被写体光をカメラボディ10の内部に配置されている撮像素子101に導くための撮影光学系として機能するものである。この交換レンズ2は、上述のレンズ交換ボタン302を押下操作することで、カメラボディ10から取り外すことが可能となっている。
交換レンズ2は、光軸LTに沿って直列的に配置された複数のレンズからなるレンズ群21を備えている(図6参照)。このレンズ群21には、焦点の調節を行うためのフォーカスレンズ211(図6参照)と、変倍を行うためのズームレンズ212(図6参照)とが含まれており、それぞれ光軸LT(図3参照)方向に駆動されることで、変倍や焦点調節が行われる。また、交換レンズ2には、その鏡胴の外周適所に該鏡胴の外周面に沿って回転可能な操作環が備えられており、上記のズームレンズ212は、マニュアル操作或いはオート操作により、上記操作環の回転方向及び回転量に応じて光軸方向に移動し、その移動先の位置に応じたズーム倍率(撮影倍率)に設定されるようになっている。
<撮像装置1の内部構成>
次に、撮像装置1の内部構成について説明する。図3は、撮像装置1の縦断面図である。図3に示すように、カメラボディ10の内部には、撮像素子101、ファインダ部102(ファインダ光学系)、ミラー部103、位相差AFモジュール107などが備えられている。
撮像素子101は、カメラボディ10に交換レンズ2が装着された場合の当該交換レンズ2が備えているレンズ群の光軸LT上において、光軸LTに対して垂直となる方向に配置されている。撮像素子101としては、例えばフォトダイオードを有して構成される複数の画素がマトリクス状に2次元配置されたCMOSカラーエリアセンサ(CMOS型の撮像素子)が用いられる。撮像素子101は、交換レンズ2を通って受光された被写体光束に関するR(赤)、G(緑)、B(青)各色成分のアナログの電気信号(画像信号)を生成し、R、G、B各色の画像信号として出力する。この撮像素子101の構成については、後で詳述する。
上記の光軸LT上において、被写体光をファインダ部102へ向けて反射される位置には、ミラー部103が配置されている。交換レンズ2を通過した被写体光は、ミラー部103(後述の主ミラー1031)によって上方へ反射される。交換レンズ2を通過した被写体光の一部はこのミラー部103を透過する。
ファインダ部102は、ペンタプリズム105、接眼レンズ106及び光学ファインダ316を備えている。ペンタプリズム105は、断面5角形を呈し、その下面から入射された被写体光像を内部での反射によって当該光像の天地左右を入れ替えて正立像にするためのプリズムである。接眼レンズ106は、ペンタプリズム105により正立像にされた被写体像を光学ファインダ316の外側に導く。そして、この被写体像には、例えば図5のように被写体に対してのフォーカス位置(エリア)等を示す線画(線描画)からなるターゲットマークGv(太線部)が重畳されて光学ファインダ316に映り込むようになっている。なお、ターゲットマークGvは、透光性の部材として構成される焦点板63の上面を罫書くことで描画されている。このような構成により、ファインダ部102は、本撮影前の撮影待機時において被写界を確認するためのファインダとして機能する。
ミラー部103は、主ミラー1031及びサブミラー1032から構成されており、主ミラー1031の背面側において、サブミラー1032が主ミラー1031の背面に向けて倒れるように回動可能に設けられている。主ミラー1031を透過した被写体光の一部はサブミラー1032によって反射され、この反射された被写体光は位相差AFモジュール107に入射される。
上記のミラー部103は、所謂クイックリターンミラーとして構成されており、露光時(本撮影時)には図4に示すように回転軸1033を回動支点として上方に向けて跳ね上がる。この際、サブミラー1032は、上記のミラー部103がペンタプリズム105の下方位置で停止したときには、主ミラー1031と略平行となるように折り畳まれた状態となる。これにより、交換レンズ2からの被写体光がミラー部103によって遮られることなく撮像素子101上に届き、撮影素子101が露光される。撮像素子101での撮像動作が終了すると、ミラー部103は元の位置(図3に示す位置)に復帰する。
また、ミラー部103を本撮影(画像記録用の撮影)の前に図4に示すミラーアップの状態にすることにより撮像装置1は、撮像素子101で順次に生成される画像信号に基づき動画的態様で被写体をLCD311に表示するライブビュー(プレビュー)表示が可能となっている。すなわち、本撮影前の撮像装置1では、上記のライブビュー表示が行われる電子ファインダ(ライブビューモード)、または光学ファインダを選択して被写体の構図決めが可能である。なお、電子ファインダと光学ファインダとの切替えは、図2に示す切替スイッチ85を操作することにより行われる。
位相差AFモジュール107は、被写体のピント情報を検出する所謂AFセンサとして構成されている。この位相差AFモジュール107は、ミラー部103の下方に配設されており、位相差検出方式の焦点検出(以下では「位相差AF」ともいう)により合焦位置を検出する。
また、AFモジュール107は、図5に示すターゲットマークGvに含まれるローカルフォーカスフレームの線分Lb1〜Lb8とスポットフォーカスフレームの矩形線Lcとに対応した合計9箇所に焦点検出センサが設けられている。この焦点検出センサは、後述する交換レンズ2の射出瞳における左側・右側部分(一対の部分領域)を通過した被写体光束を受光する一対のラインセンサとして構成されており、上記の9箇所に設けられた各焦点検出センサで被写体のピント合わせが可能である。換言すれば、9つの位置それぞれに設けられた焦点検出センサでは、光学ファインダ316の画面、つまり撮像素子101の撮像画面において図5のように中央から放射的に配置された矩形線Lcおよび8つの線分Lb1〜Lb8の各位置に対応した焦点検出が可能となっている。
撮像素子101の光軸方向前方には、シャッタユニット40が配置されている。このシャッタユニット40は、上下方向に移動する幕体を備え、その開動作および閉動作により光軸LTに沿って撮像素子101に導かれる被写体光の光路開口動作および光路遮断動作を行うメカニカルフォーカルプレーンシャッタとして構成されている。なお、シャッタユニット40は、撮像素子101が完全電子シャッター可能な撮像素子である場合には省略可能である。
<撮像装置1の電気的構成>
図6は、撮像装置1の電気的な構成を示すブロック図である。ここで、図1〜図4と同一の部材等については、同一の符号を付している。なお、説明の便宜上、交換レンズ2の電気的構成について先ず説明する。
交換レンズ2は、上述したレンズ群21に加え、レンズ駆動機構24と、レンズ位置検出部25と、レンズ制御部26と、絞り駆動機構27とを備えている。
レンズ群21では、フォーカスレンズ211及びズームレンズ212と、カメラボディ10に備えられた撮像素子101へ入射される光量を調節するための絞り23とが、鏡胴22内において光軸LT(図3)方向に保持されており、被写体の光像を取り込んで撮像素子101に結像させる。AF制御では、フォーカスレンズ211が交換レンズ2内のAFアクチュエータ71Mにより光軸LT方向に駆動されることで焦点調節が行われる。
フォーカス駆動制御部71Aは、レンズ制御部26を介してメイン制御部62から与えられるAF制御信号に基づき、フォーカスレンズ211を合焦位置に移動させるために必要な、AFアクチュエータ71Mに対する駆動制御信号を生成するものである。AFアクチュエータ71Mは、ステッピングモータ等からなり、レンズ駆動機構24にレンズ駆動力を与える。
レンズ駆動機構24は、例えばヘリコイド及び該ヘリコイドを回転させる図示省略のギア等で構成され、AFアクチュエータ71Mからの駆動力を受けて、フォーカスレンズ211等を光軸LTと平行な方向に駆動させるものである。なお、フォーカスレンズ211の移動方向及び移動量は、それぞれAFアクチュエータ71Mの回転方向及び回転数に従う。
レンズ位置検出部25は、レンズ群21の移動範囲内において光軸LT方向に複数個のコードパターンが所定ピッチで形成されたエンコード板と、このエンコード板に摺接しながらレンズと一体的に移動するエンコーダブラシとを備えており、レンズ群21の焦点調節時の移動量を検出する。なお、レンズ位置検出部24で検出されたレンズ位置は、例えばパルス数として出力される。
レンズ制御部26は、例えば制御プログラム等を記憶するROMや状態情報に関するデータを記憶するフラッシュメモリ等のメモリが内蔵されたマイクロコンピュータからなっている。このレンズ制御部26内のROMには、後述する交換レンズ2の射出瞳の状態(射出瞳位置や射出瞳径)に関する情報が記憶されている。
また、レンズ制御部26は、コネクタEcを介してカメラボディ10のメイン制御部62との間で通信を行う通信機能を有している。これにより、例えばレンズ群21の焦点距離、射出瞳位置、絞り値、合焦距離及び周辺光量状態等の状態情報データや、レンズ位置検出部25で検出されるフォーカスレンズ211の位置情報をメイン制御部62に送信できるとともに、メイン制御部62から例えばフォーカスレンズ211の駆動量のデータを受信できる。
絞り駆動機構27は、カプラ75を介して絞り駆動アクチュエータ76Mからの駆動力を受けて、絞り23の絞り径を変更するものである。
続いて、カメラボディ10の電気的構成について説明する。カメラボディ10は、先に説明した撮像素子101、シャッタユニット40等の他に、AFE(アナログフロントエンド)5、画像処理部61、画像メモリ614、メイン制御部62、フラッシュ回路63、操作部64、VRAM65、カードI/F66、メモリカード67、通信用I/F68、電源回路69、電池69B、ミラー駆動制御部72A及びミラー駆動アクチュエータ72M、シャッタ駆動制御部73A及びシャッタ駆動アクチュエータ73M、絞り駆動制御部76A及び絞り駆動アクチュエータ76Mを備えて構成されている。
撮像素子101は、先に説明した通りCMOSカラーエリアセンサからなり、後述のタイミング制御回路51により、当該撮像素子101の露光動作の開始(及び終了)や、撮像素子101が備える各画素の出力選択、画素信号の読出し等の撮像動作が制御される。
AFE5は、撮像素子101に対して所定の動作を行わせるタイミングパルスを与えると共に、撮像素子101から出力される画像信号に所定の信号処理を施し、デジタル信号に変換して画像処理部61に出力するものである。このAFE5は、タイミング制御回路51、信号処理部52及びA/D変換部53などを備えて構成されている。
タイミング制御回路51は、メイン制御部62から出力される基準クロックに基づいて所定のタイミングパルス(垂直走査パルスφVn、水平走査パルスφVm、リセット信号φVr等を発生させるパルス)を生成して撮像素子101に出力し、撮像素子101の撮像動作を制御する。また、所定のタイミングパルスを信号処理部52やA/D変換部53にそれぞれ出力することにより、信号処理部52及びA/D変換部53の動作を制御する。
信号処理部52は、撮像素子101から出力されるアナログの画像信号に所定のアナログ信号処理を施すものである。この信号処理部52には、CDS(相関二重サンプリング)回路、AGC(オートゲインコントロール)回路及びクランプ回路等が備えられている。A/D変換部53は、信号処理部52から出力されたアナログのR、G、Bの画像信号を、タイミング制御回路51から出力されるタイミングパルスに基づいて、複数のビット(例えば12ビット)からなるデジタルの画像信号に変換するものである。
画像処理部61は、AFE5から出力される画像データに所定の信号処理を行って画像ファイルを作成するもので、黒レベル補正回路611、ホワイトバランス制御回路612及びガンマ補正回路613等を備えて構成されている。なお、画像処理部61へ取り込まれた画像データは、撮像素子101の読み出しに同期して画像メモリ614に一旦書き込まれ、以後この画像メモリ614に書き込まれた画像データにアクセスして、画像処理部61の各ブロックにおいて処理が行われる。
黒レベル補正回路611は、A/D変換部53によりA/D変換されたR、G、Bの各デジタル画像信号の黒レベルを、基準の黒レベルに補正するものである。
ホワイトバランス補正回路612は、光源に応じた白の基準に基づいて、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分のデジタル信号のレベル変換(ホワイトバランス(WB)調整)を行うものである。すなわちホワイトバランス制御回路612は、メイン制御部62から与えられるWB調整データに基づき、撮影被写体において輝度や彩度データ等から本来白色であると推定される部分を特定し、その部分のR、G、Bそれぞれの色成分の平均と、G/R比及びG/B比とを求め、これをR、Bの補正ゲインとしてレベル補正する。
ガンマ補正回路613は、WB調整された画像データの階調特性を補正するものである。具体的にはガンマ補正回路613は、画像データのレベルを色成分毎に予め設定されたガンマ補正用テーブルを用いて非線形変換するとともにオフセット調整を行う。
画像メモリ614は、撮影モード時には、画像処理部61から出力される画像データを一時的に記憶するとともに、この画像データに対しメイン制御部62により所定の処理を行うための作業領域として用いられるメモリである。また、再生モード時には、メモリカード67から読み出した画像データを一時的に記憶する。
メイン制御部62は、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等の記憶部が内蔵されたマイクロコンピュータからなり、撮像装置1各部の動作を制御するものである。
フラッシュ回路63は、フラッシュ撮影モードにおいて、フラッシュ部318または接続端子部319に接続される外部フラッシュの発光量を、メイン制御部62により設定された発光量に制御するものである。
操作部64は、上述のモード設定ダイアル305、制御値設定ダイアル306、シャッターボタン307、設定ボタン群312、十字キー314、プッシュボタン315、メインスイッチ317等を含み、操作情報をメイン制御部62に入力するためのものである。
VRAM65は、LCD311の画素数に対応した画像信号の記憶容量を有し、メイン制御部62とLCD311との間のバッファメモリである。カードI/F66は、メモリカード67とメイン制御部62との間で信号の送受信を可能とするためのインターフェースである。メモリカード67は、メイン制御部62で生成された画像データを保存する記録媒体である。通信用I/F68は、パーソナルコンピュータやその他の外部機器に対する画像データ等の伝送を可能とするためのインターフェースである。
電源回路69は、例えば定電圧回路等からなり、メイン制御部62等の制御部、撮像素子101、その他の各種駆動部等、撮像装置1全体を駆動させるための電圧を生成する。なお、撮像素子101への通電制御は、メイン制御部62から電源回路69に与えられる制御信号により行われる。電池69Bは、アルカリ乾電池等の一次電池や、ニッケル水素充電池等の二次電池からなり、撮像装置1全体に電力を供給する電源である。
ミラー駆動制御部72Aは、撮影動作のタイミングに合わせて、ミラー駆動アクチュエータ72Mを駆動させる駆動信号を生成するものである。ミラー駆動アクチュエータ72Mは、ミラー部103(クイックリターンミラー)を、水平姿勢若しくは傾斜姿勢に回動させるアクチュエータである。
シャッタ駆動制御部73Aは、メイン制御部62から与えられる制御信号に基づき、シャッタ駆動アクチュエータ73Mに対する駆動制御信号を生成するものである。シャッタ駆動アクチュエータ73Mは、シャッタユニット40の開閉駆動(開閉動作)を行うアクチュエータである。
絞り駆動制御部76Aは、メイン制御部62から与えられる制御信号に基づき、絞り駆動アクチュエータ76Mに対する駆動制御信号を生成するものである。絞り駆動アクチュエータ76Mは、カプラ75を介して絞り駆動機構27に駆動力を与える。
また、カメラボディ10は、黒レベル補正回路611から出力される黒レベル補正済みの画像データに基づき、撮像素子101を用いたオートフォーカス(AF)制御時に必要な演算を行う位相差AF演算回路77を備えている。
この位相差AF演算回路77を利用した撮像装置1の位相差AF動作について、詳しく説明する。
<撮像装置1の位相差AF動作について>
撮像装置1では、図4のようにミラー部103がアップされるライブビューモード(電子ファインダ)の設定時には、撮像素子101において射出瞳の異なった部分を透過(通過)した透過光を受光することにより位相差AFが可能な構成となっている。この撮像素子101の構成と、撮像素子101を利用した位相差AFの原理とを、以下で説明する。
図7および図8は、撮像素子101の構成を説明するための図である。
撮像素子101では、その撮像面101fの中央付近においてマトリックス状に規定された49(=7×7)のAFエリアEfそれぞれで位相差検出方式の焦点検出が可能な構成となっている(図7)。なお、各AFエリアEfを図7のように撮像面101fの中央付近に限定するのは必須でなく、撮像面101f全域に規定するようにしても良い。
各AFエリアEfには、フォトダイオード上にR(赤)、G(緑)およびB(青)の各カラーフィルタが配設されたR画素111、G画素112およびB画素113からなる通常の画素(以下では「通常画素」ともいう)110が設けられるとともに、例えば後述する下段の遮光マスク12a、12c(平行斜線部)を有して位相差AFを行うための画素のペア(以下では「AF画素対」ともいう)11fが複数設けられている(図8)。すなわち、49のAFエリアEfで構成される撮像素子101の焦点検出領域Eg(図7)には、AF画素対が複数配列されている。
そして、AFエリアEfには、通常画素110の水平ラインとしてG画素112とR画素111とが水平方向に交互に配置されたGrラインL1と、B画素113とG画素112とが水平方向に交互に配置されたGbラインL2とが形成されている。このGrラインL1とGbラインL2とが垂直方向に交互に配置されることによりベイヤー配列が構成される。
また、AFエリアEfには、AF画素対11fが水平方向に繰り返し配列されたAFライン(焦点検出画素列)Lfが垂直方向に周期的に形成されている。
次に、AF画素対11fの構成について説明する。
図9は、AF画素対11fの構成を説明するための縦断面図である。なお、図9に示すAF画素対11fは、撮像面101fの中央に位置するAFエリアEf(例えば図7に示すAFエリアEfo)に設けられているものである。
AF画素対11fは、交換レンズ2に関する射出瞳の左側部分Qaからの光束Taと右側部分Qbからの光束Tbとを分離させるための開口部OPa〜OPb、OPc〜OPdの位置が鏡面対象となっている2枚の遮光マスク(遮光板)12a〜12b、12c〜12dを有した一対の画素11a、11bからなっており、AF画素対11fが水平方向に沿って2以上配列されることでAFラインLfが形成される。
より詳細には、画素(以下では「第1AF画素」ともいう)11aでは、光電変換部(フォトダイオード)PDに対して右側に偏った長方形状(スリット状)の開口部OPaが下段の遮光マスク12aに形成されるとともに、光電変換部PDに対して左側に偏ったスリット状の開口部OPbが上段の遮光マスク12bに設けられている。そして、各開口部OPa、OPbにより遮光マスク12aおよび遮光マスク12bからなる遮光部121の光透過部分が構成されるとともに、この光透過部分により射出瞳において左側部分Qaが規定される。一方、画素(以下では「第2AF画素」ともいう)11bでは、光電変換部PDに対して左側に偏ったスリット状の開口部OPcが下段の遮光マスク12cに形成されるとともに、光電変換部PDに対して右側に偏ったスリット状の開口部OPdが上段の遮光マスク12dに設けられている。そして、各開口部OPc、OPdにより遮光マスク12cおよび遮光マスク12dからなる遮光部122の光透過部分が構成されるとともに、この光透過部分により射出瞳における右側部分Qbが規定される。このような第1AF画素11aおよび第2AF画素11bは、図8のようにAFラインLfで交互に配置される。
以上のような構成のAF画素対11fにより、射出瞳における瞳分割、つまり射出瞳の左側部分Qaからの光束TaがマイクロレンズML、カラーフィルタFRおよび各遮光マスク12a、12bの開口部(光透過部分)OPa、OPbを通過して第1AF画素11aの光電変換部PDで受光されるとともに、射出瞳の右側部分Qbからの光束TbがマイクロレンズML、カラーフィルタFRおよび各遮光マスク12c、12dの開口部(光透過部分)OPc、OPdを通過して第2AF画素11bの光電変換部PDで受光されることとなる。換言すれば、AF画素対11fでは、交換レンズ2の射出瞳において互いに逆方向となる左方向および右方向に偏った左側・右側部分(一対の部分領域)Qa、Qbを通過した被写体の光束Ta、Tbが受光される。
以下では、第1AF画素11aにおいて得られる受光データを「A系列のデータ」と呼び、第2AF画素11bにおいて得られる受光データを「B系列のデータ」と呼ぶこととし、例えば、ある1つのAFラインLf(図8)に配置されたAF画素対11fの群から得られるA系列のデータとB系列のデータとを表した図10〜図14を参照して位相差AFの原理を説明する。
図10は、焦点面が撮像素子101の撮像面101fから200μm近側にデフォーカスしている場合のシミュレーション結果を示す図であり、図11は、焦点面が撮像面101fから100μm近側にデフォーカスしている場合のシミュレーション結果を示す図である。また、図12は、焦点面が撮像面101fに一致している合焦状態のシミュレーション結果を示す図である。さらに、図13は、焦点面が撮像面101fから100μm遠側にデフォーカスしている場合のシミュレーション結果を示す図であり、図14は、焦点面が撮像面101fから200μm遠側にデフォーカスしている場合のシミュレーション結果を示す図である。ここで、図10〜図14においては、横軸がAFラインLf方向に関する第1AF画素11a、第2AF画素11bの画素位置を示し、縦軸が第1AF画素11aおよび第2AF画素11bそれぞれの光電変換部PDからの出力を示している。また、図10〜図14では、グラフGa1〜Ga5(実線で図示)がA系列のデータを表し、グラフGb1〜Gb5(破線で図示)がB系列のデータを表している。
図10〜図14においてA系列のグラフGa1〜Ga5で示される各A系列の像列とB系列のグラフGb1〜Gb5で示される各B系列の像列とを比較すると、デフォーカス量が大きいほど、A系列の像列とB系列の像列との間に生じるAFラインLf(水平方向)方向のシフト量(ずれ量)が増大していることが分かる。
このような一対の像列(A系列およびB系列の像列)におけるシフト量と、デフォーカス量との関係をグラフ化すると、図15に示すグラフGcのように表される。この図15においては、横軸がA系列の像列の重心位置に対するB系列の像列の重心位置の差(画素ピッチ)を示し、縦軸がデフォーカス量(μm)を示している。なお、各像列の重心位置Xgは、例えば次のような演算式(1)により求められる。
ただし、上式(1)において、X1〜Xnは、例えばAFラインLfにおける左端からの画素位置を表し、Y1〜Ynは、各位置X1〜Xnの第1AF画素11a、第2AF画素11bからの出力値を表している。
図15に示すグラフGcのように一対の像列における重心位置の差とデフォーカス量との関係は、比例関係となっている。この関係について、デフォーカス量をDF(μm)とし重心位置の差をC(μm)として数式で表現すると、次の式(2)のようになる。
ここで、上式(2)の係数kは、図15のグラフGcに関する傾きGk(破線で図示)を表しており、工場試験等によって事前に取得できるものである。
以上より、AF画素対11fから得られるA系列のデータとB系列のデータとに関する重心位置の差(位相差)を位相差AF演算回路77で求めた後に、上式(2)を利用してデフォーカス量を算出し、算出されたデフォーカス量に相当する駆動量をフォーカスレンズ211に与えることで、検出された焦点位置にフォーカスレンズ211を移動させるオートフォーカス(AF)制御が可能となる。なお、上記のデフォーカス量とフォーカスレンズ211の駆動量との関係は、カメラボディ10に装着されている交換レンズ2の設計値より一意に定まるものである。
以上のような撮像素子(以下では「位相差検出機能付き撮像素子」ともいう)101を備えた撮像装置1では、ライブビューモード設定時に、カメラボディ10に装着される交換レンズ2の射出瞳位置等の状態に応じた測距制御を行って精度の良い位相差AFを実現しているが、この測距制御について以下で詳しく説明する。
<交換レンズ2の射出瞳の状態に応じた測距制御>
図16は、撮像素子101に係る像高7mmの位置において交換レンズ2の射出瞳位置に応じて生じる瞳分割のアンバランスを説明するための図である。この図16においては、横軸が撮像面101fに対する射出瞳の位置を示しており、縦軸が交換レンズ2の光軸、つまり撮像面101fの中心からの距離(像高)を示している。なお、図16では、像高7mmの位置に配置された画素に関するマイクロレンズMLの入射瞳(OCL入射瞳)の範囲を角度θで示している。
像高7mmのAF画素対、例えば撮像面101fの中央部から離れた位置のAFエリアEfa(図7)に設けられるAF画素対では、そのOCL入射瞳が撮像面101fからの距離Hm(例えば80mm)の位置に設定されており、このOCL入射瞳の位置において交換レンズ2の射出瞳を適切に瞳分割できるように構成されている。具体的には、図17に示す概念図のようにAFエリアEfa内のAF画素対11gでは、例えば右側の画素11gbにおける下段の遮光マスク13cの左端を光電変換部PDの中心Coから距離Eaだけ右側に設定することにより、撮像面101fからの距離Hmに形成される8mm以上の標準的な瞳径Roの射出瞳を2等分した左側部分Qcおよび右側部分Qdを通過する各光束Tc、Tdが各光電変換部PDで受光可能となっている。これにより、図16に示すように像高7mmに配置されたAF画素対11gでは、撮像面101fの垂線に対して斜め方向に伸びる瞳分割ラインDmが設定されるため、撮像面101fから距離Hm離れた位置(以下では「中位置」ともいう)Pmの射出瞳において瞳分割を等しく行えることとなる。
一方、交換レンズ2においては、その射出瞳位置が上述した位置Pmから大きく相違するものも存在する。例えば図16に示すように撮像面101fから比較的遠い距離Haの位置(以下では「遠位置」ともいう)Paに射出瞳が形成される交換レンズや、撮像面101fから比較的近い距離Hbの位置(以下では「近位置」ともいう)Pbに射出瞳が形成される交換レンズにおいて、瞳分割ラインDmによる画一的な射出瞳の分割が行われたのでは、分割される各領域の大きさにアンバランスが生じてしまう。これでは、AF画素対11gでバランス良くA系列およびB系列の画素信号を生成できないため、精度の良い測距(焦点検出)が困難となる。
そこで、像高7mmに配置されたAF画素対11gでは、図18に示すように瞳分割ラインDmによる射出瞳の分割においてアンバランスが比較的小さい範囲、具体的には撮像面101fからの距離Ps(例えば70mm)〜距離Pt(例えば90mm)の範囲内に位置する射出瞳についての瞳分割で得られるA系列およびB系列のデータだけを測距に使用することとする。ただし、図19のように比較的小さい瞳径Rp(例えば8mm未満)の射出瞳では、上記の距離Psから距離Ptまでの間に位置するものであっても瞳分割のアンバランスが大きくなるため、このように小さい瞳径Rpの場合には、測距において像高7mmのAF画素対11gからのデータを使用しないようにする。
以上では、像高7mmのAF画素対11gにおける射出瞳の状態に応じた測距制御を説明したが、次に像高3.5mmのAF画素対における測距制御を説明する。
図20は、図16に対応しており、撮像素子101に係る像高3.5mmの位置において交換レンズ2の射出瞳位置に応じて生じる瞳分割のアンバランスを説明するための図である。
像高3.5mmのAF画素対、例えば撮像面101fの中央部から少し離れた位置のAFエリアEfb(図7)に設けられるAF画素対では、上述の像高7mmのAF画素対11gと同様に、そのOCL入射瞳が撮像面101fからの距離Hm(例えば80mm)の位置に設定されており、このOCL入射瞳の位置において交換レンズ2の射出瞳を適切に瞳分割できるように構成されている。具体的には、図21に示す概念図のようにAF画素対11jでは、例えば右側の画素11jbにおける下段の遮光マスク13cの左端を光電変換部PDの中心Coから距離Eb(ここでEb<Ea)だけ右側に設定し、2枚の遮光マスク13a、13bからなる遮光部131と2枚の遮光マスク13c、13dからなる遮光部132とにおける光透過部分の構成を上記のAF画素対11gに対して異ならせることにより、撮像面101fからの距離Haに形成される瞳径Roの射出瞳を2等分した左側部分Qeおよび右側部分Qfを通過する各光束Te、Tfが各光電変換部PDで受光可能となっている。これにより、図20に示すように像高3.5mmの位置に配置されたAF画素対11jでは、瞳分割ラインDmより傾きが緩やかな瞳分割ラインDnが設定されるため、中位置Pmの射出瞳において瞳分割を等しく行えることとなる。
しかし、図20に示すように遠位置Paに射出瞳が形成される交換レンズや、近位置Pbに射出瞳が形成される交換レンズにおいて、瞳分割ラインDnによる画一的な射出瞳の分割が行われたのでは、分割される各領域の大きさにアンバランスが生じてしまう。これでは、AF画素対11jでバランス良くA系列およびB系列の画素信号を生成できないため、精度の良い測距(焦点検出)が困難となる。
そこで、像高3.5mmに配置されたAF画素対11jでは、瞳分割ラインDnによる射出瞳の分割においてアンバランスが比較的小さい範囲、具体的には撮像面101fからの距離Pv(例えば60mm)〜距離Pw(例えば100mm)の範囲内に位置する射出瞳についての瞳分割で得られるA系列およびB系列のデータだけを測距に使用することとする。ただし、図22のように比較的小さい瞳径Rp(例えば8mm未満)の射出瞳では、上記の距離Pvから距離Pwまでの間に位置するものであっても瞳分割のアンバランスが大きくなるため、このように小さい瞳径Rpの場合には、上記の像高7mmのAF画素対11gと同様に、測距において像高3.5mmのAF画素対11jからのデータを使用しないようにする。
以上のような像高3.5mm、7mmのAF画素対に対して、像高0mmのAF画素対、例えば図7に示す中央のAFエリアEfoに設けられるAF画素対11f(図9)では、図23のように撮像面101fの垂線方向に沿って瞳分割ラインDoが設定されているため、射出瞳位置や瞳径に関わらず瞳分割のアンバランスが生じない。よって、このようなAF画素対11fは、上述した像高3.5mmや像高7mmのAF画素対11g、11jを測距に使用できない場合に有効であり、いかなる交換レンズ2が装着されても撮像装置1において測距が不能となることを防止できる。
次に、以上のように瞳位置や瞳径などの射出瞳の状態に応じた測距制御を行う撮像装置1の具体的な動作について説明する。
<撮像装置1の動作>
図24は、撮像装置1の基本的な動作、特にライブビューモードでの動作を示すフローチャートである。なお、この撮像装置1の動作については、メイン制御部62で実行される。
メインスイッチ317へのユーザ操作で撮像装置1の電源がオンにされると、交換レンズ2の射出瞳に関する瞳径が8mm以上であるかを判定する(ステップST1)。具体的には、レンズ制御部26内のROMに記憶されている射出瞳径の情報をカメラボディ10のメイン制御部62で取得し、瞳径が8mm以上であるか否かが判断される。ここで、瞳径が8mm以上である場合には、ステップST2に進み、8mm未満の場合にはステップST6に進む。
ステップST2では、交換レンズ2の射出瞳位置が撮像面101fから70〜90mmの範囲内にあるかを判定する。具体的には、レンズ制御部26内のROMに記憶されている射出瞳位置の情報をカメラボディ10のメイン制御部62で取得し、射出瞳位置が70mmから90mmまでの間にあるか否かが判断される。ここで、射出瞳位置が70〜90mmの範囲内にある場合には、ステップST4に進み、この範囲外の場合にはステップST3に進む。
ステップST3では、交換レンズ2の射出瞳位置が撮像面101fから60〜100mmの範囲内にあるかを判定する。ここで、射出瞳位置が60〜100mmの範囲内にある場合には、ステップST5に進み、この範囲外の場合にはステップST6に進む。
ステップST4では、測距可能なAFエリアEfを像高7mm程度まで設定する。すなわち、上述のように射出瞳位置が撮像面101fから70〜90mmの範囲内で、かつ瞳径が8mm以上の場合には、AFエリアEfa(図7)に設けられた像高7mmのAF画素対11gを測距に使用できる。このため、例えば図5に示す位相差AFモジュール107の9つのフォーカス位置、つまり8つの線分Lb1〜Lb8と1つの矩形線Lcとを含む測距範囲であって、AFエリアEfaを端部に持った49のAFエリアEfで構成される焦点検出領域Eg(図7)全域が測距可能な領域に設定される。
ステップST5では、測距可能なAFエリアEfを像高3.5mm程度まで設定する。すなわち、上述のように射出瞳位置が撮像面101fから60〜100mmの範囲内で、かつ瞳径が8mm以上の場合には、AFエリアEfb(図7)に設けられた像高3.5mmのAF画素対11jを測距に使用できる。このため、例えば図5に示す2つの線分Lb7、Lb8と1つの矩形線Lcとからなる位相差AFモジュール107の中央付近の3つのフォーカス位置を含む測距範囲であって、AFエリアEfbを端部に持った3つのAFエリアEf(図25の平行斜線部)が測距可能な領域に設定される。
ステップST6では、測距可能なAFエリアを中央1点に設定する。すなわち、図5に示す位相差AFモジュール107の中央1点のフォーカス位置、つまり1つの矩形線Lcに相当する測距範囲であって、撮像面101fの中央に位置する1つのAFエリアEfo(図26の平行斜線部)が測距可能な領域に設定される。
以上のようなステップST4〜ST6の動作により、射出瞳位置や射出瞳径の状態(射出瞳の状態)に応じて測距可能なAFエリア(焦点検出可能範囲)を制限する設定を行う際には、図7、図25および図26に示す撮像素子101の撮像画面の中央に向かって測距可能な範囲が縮小されるため、図5に示すように中央から放射的に配置されたAF位相差モジュール107のフォーカス位置、つまり各線分Lb1〜Lb8および矩形線Lcに対応した測距可能範囲の設定を行える。
ステップST7では、シャッターボタン307がユーザによって半押しされたかを判定する。ここで、半押しされた場合には、ステップST8に進み、半押しされていない場合には、ステップST1に戻る。
ステップST8では、ステップST4〜ST6で設定された測距可能なAFエリアEfで位相差AFを行う。すなわち、射出瞳位置や射出瞳径の状態(射出瞳の状態)に関する情報をメイン制御部62で取得し当該射出瞳位置や射出瞳径に応じた測距可能なAFエリア(焦点検出可能範囲)を焦点検出領域Eg(図7)において設定した後に、この設定された測距可能なAFエリアに設けられたAF画素対の出力信号に基づき位相差検出方式の焦点検出を行う。これにより、交換レンズ2の交換により射出瞳の状態が変化しても撮像素子101を用いた焦点検出を適切に行えることとなる。
なお、ステップST8では、測距可能範囲として複数のAFエリアEfが設定されている場合には、多点AFを行うこととする。すなわち、ステップST4やステップST5の動作により測距可能なAFエリアEfが複数設定されるが、これらのAFエリアEfから多点アルゴリズムにより最適な1つのAFエリアEfを選択し、選択されたAFエリアEfで位相差AFを実行する。
ステップST9では、シャッターボタン307がユーザによって全押しされたかを判定する。ここで、全押しされた場合には、ステップST11に進み、全押しされていない場合には、ステップST10に進む。
ステップST10では、シャッターボタン307がユーザによって半押しされているかを判定する。ここで、半押しされている場合には、ステップST9に進み、半押しされていない場合には、ステップST1に戻る。
ステップST11では、撮影を行う。すなわち、撮像素子101で記録用の撮影画像データを生成する本撮影の動作が行われる。
以上のような撮像装置1の動作により、交換レンズ2の射出瞳位置および射出瞳径(射出瞳の状態)に応じて測距可能なAFエリアEfを設定するため、交換レンズ2の取り替え等により射出瞳の状態が変化しても位相差検出機能付き撮像素子101を用いた焦点検出を精度良く行える。
また、撮像素子101における焦点検出領域Eg(図7)に設けられた各々のAF画素対では、瞳分割による各分割領域(一対の部分領域)に係る面積を略等しくさせる射出瞳の位置が、上述した像高3.5mmや像高7mmのAF画素対11j、11gのように撮像素子101(の撮像面101f)に対する中位置(OCL入射瞳の位置)Pm(図16、図20)に統一されているため、AF画素対を備えた位相差検出機能付き撮像素子101の製造を簡易化できる。
<変形例>
・上記の実施形態におけるAF画素対については、図9に示すAF画素対11fのように2枚の遮光マスク12a、12bを備えた画素11aと2枚の遮光マスク12c、12dを備えた画素11bとで構成されるのは必須でなく、図27に示すAF画素対11faのように開口部OPeが形成される1枚の遮光マスク12eを備えた画素11cと開口部OPfが形成される1枚の遮光マスク12fを備えた画素11dとで構成されても良い。
・上記の実施形態においては、射出瞳を2つの半円に瞳分割するのは必須でなく、分割される箇所でオーバーラップが生じるように瞳分割を行っても良い。
・上記の実施形態においては、装着される交換レンズ毎に撮像素子101での測距可能な領域を設定するのは必須でなく、レンズ交換ができない撮影レンズが固定されたデジタルカメラ(撮像装置)においてズーム状態に応じた測距可能領域(焦点検出可能範囲)の設定を行うようにしても良い。すなわち、ズーム倍率(焦点距離)によって変化する射出瞳位置や、焦点距離をFナンバー(F値)で除算して得られる射出瞳径に応じて測距可能領域を設定しても良い。
・上記の実施形態においては、射出瞳位置および射出瞳径の状態に応じて測距可能な領域を設定するのは必須でなく、射出瞳位置または射出瞳径の一方の状態に応じて測距可能領域(焦点検出可能範囲)を設定しても良い。また、口径食等によって制限された瞳の形状などの状態に応じて測距可能領域を設定しても良い。