<第1実施形態>
<撮像装置の外観構成>
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置1Aの外観構成を示す図である。ここで、図1および図2は、それぞれ正面図および背面図を示している。
撮像装置1Aは、例えば一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラとして構成されており、カメラボディ10と、カメラボディ10に着脱自在な撮影レンズとしての交換レンズ2とを備えている。
図1において、カメラボディ10の正面側には、正面略中央に交換レンズ2が装着されるマウント部301と、マウント部301の右横に配置されたレンズ交換ボタン302と把持可能とするためのグリップ部303と、正面左上部に配置されたモード設定ダイアル305と、正面右上部に配置された制御値設定ダイアル306と、グリップ部303の上面に配置されたシャッターボタン307とが設けられている。
また、図2において、カメラボディ10の背面側には、LCD(Liquid Crystal Display)311と、LCD311の左方に配置された設定ボタン群312と、LCD311の右方に配置された十字キー314と、十字キー314の中央に配置されたプッシュボタン315とが備えられている。また、カメラボディ10の背面側には、LCD311の上方に配設された光学ファインダ316と、光学ファインダ316の周囲を囲むアイカップ321と、光学ファインダ316の左方に配設されたメインスイッチ317と、光学ファインダ316の右方に配設された露出補正ボタン323およびAEロックボタン324と、光学ファインダ316の上方に配設されたフラッシュ部318および接続端子部319とが備えられている。
マウント部301には、装着された交換レンズ2との電気的接続を行うためコネクタEc(図5参照)や、機械的接続を行うためのカプラ75(図5参照)が設けられている。
レンズ交換ボタン302は、マウント部301に装着された交換レンズ2を取り外す際に押下されるボタンである。
グリップ部303は、ユーザが撮影時に撮像装置1Aを把持する部分であり、フィッティング性を高めるために指形状に合わせた表面凹凸が設けられている。なお、グリップ部303の内部には電池収納室およびカード収納室(不図示)が設けられている。電池収納室にはカメラの電源として電池69B(図5参照)が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリカード67(図5参照)が着脱可能に収納されるようになっている。なお、グリップ部303には、当該グリップ部303をユーザが把持したか否かを検出するためのグリップセンサを設けるようにしても良い。
モード設定ダイアル305及び制御値設定ダイアル306は、カメラボディ10の上面と略平行な面内で回転可能な略円盤状の部材からなる。モード設定ダイアル305は、自動露出(AE)制御モードや自動焦点(AF;オートフォーカス)制御モード、或いは1枚の静止画を撮影する静止画撮影モードや連続撮影を行う連続撮影モード等の各種撮影モード、記録済みの画像を再生する再生モード等、撮像装置1Aに搭載されたモードや機能を択一的に選択するためのものである。一方、制御値設定ダイアル306は、撮像装置1Aに搭載された各種の機能に対する制御値を設定するためのものである。
シャッターボタン307は、途中まで押し込んだ「半押し状態」の操作と、さらに押し込んだ「全押し状態」の操作とが可能とされた押下スイッチである。静止画撮影モードにおいてシャッターボタン307が半押しされると、被写体の静止画を撮影するための準備動作(露出制御値の設定や焦点検出等の準備動作)が実行され、シャッターボタン307が全押しされると、撮影動作(撮像素子101(図3参照)を露光し、その露光によって得られた画像信号に所定の画像処理を施してメモリカード等に記録する一連の動作)が実行される。
LCD311は、画像表示が可能なカラー液晶パネルを備えており、撮像素子101(図3参照)により撮像された画像の表示や記録済みの画像の再生表示等を行うとともに、撮像装置1Aに搭載される機能やモードの設定画面を表示するものである。なお、LCD311に代えて、有機ELやプラズマ表示装置を用いるようにしても良い。
設定ボタン群312は、撮像装置1Aに搭載された各種の機能に対する操作を行うボタンである。この設定ボタン群312には、例えばLCD311に表示されるメニュー画面で選択された内容を確定するための選択確定スイッチ、選択取り消しスイッチ、メニュー画面の内容を切り替えるメニュー表示スイッチ、表示オン/オフスイッチ、表示拡大スイッチなどが含まれる。
十字キー314は、円周方向に一定間隔で配置された複数の押圧部(図中の三角印の部分)を備える環状の部材を有し、各押圧部に対応して備えられた図示省略の接点(スイッチ)により押圧部の押圧操作が検出されるように構成されている。また、プッシュボタン315は、十字キー314の中央に配置されている。十字キー314及びプッシュボタン315は、撮影倍率の変更(ズームレンズ212(図5参照)のワイド方向やテレ方向への移動)、LCD311等に再生する記録画像のコマ送り、及び撮影条件(絞り値、シャッタスピード、フラッシュ発光の有無等)の設定等の指示を入力するためのものである。
光学ファインダ316は、被写体が撮影される範囲を光学的に表示するものである。すなわち、光学ファインダ316には、交換レンズ2からの被写体像が導かれており、ユーザは、この光学ファインダ316を覗くことにより、実際に撮像素子101にて撮影される被写体を視認することができる。
メインスイッチ317は、左右にスライドする2接点のスライドスイッチからなり、左にセットすると撮像装置1Aの電源がオンされ、右にセットすると電源がオフされる。
フラッシュ部318は、ポップアップ式の内蔵フラッシュとして構成されている。一方、外部フラッシュ等をカメラボディ10に取り付ける場合には、接続端子部319を使用して接続する。
アイカップ321は、遮光性を有して光学ファインダ316への外光の侵入を抑制する「コ」字状の遮光部材である。
露出補正ボタン323は、露出値(絞り値やシャッタースピード)を手動で調整するためのボタンであり、AEロックボタン324は、露出を固定するためのボタンである。
交換レンズ2は、被写体からの光(光像)を取り込むレンズ窓として機能するとともに、当該被写体光をカメラボディ10の内部に配置されている撮像素子101に導くための撮影光学系として機能するものである。この交換レンズ2は、上述のレンズ交換ボタン302を押下操作することで、カメラボディ10から取り外すことが可能となっている。
交換レンズ2は、光軸LTに沿って直列的に配置された複数のレンズからなるレンズ群21を備えている(図5参照)。このレンズ群21には、焦点の調節を行うためのフォーカスレンズ211(図5参照)と、変倍を行うためのズームレンズ212(図5参照)とが含まれており、それぞれ光軸LT(図3参照)方向に駆動されることで、変倍や焦点調節が行われる。また、交換レンズ2には、その鏡胴の外周適所に該鏡胴の外周面に沿って回転可能な操作環が備えられており、上記のズームレンズ212は、マニュアル操作或いはオート操作により、上記操作環の回転方向及び回転量に応じて光軸方向に移動し、その移動先の位置に応じたズーム倍率(撮影倍率)に設定されるようになっている。
<撮像装置1Aの内部構成>
次に、撮像装置1Aの内部構成について説明する。図3は、撮像装置1Aの縦断面図である。図3に示すように、カメラボディ10の内部には、撮像素子101、ファインダ部102(ファインダ光学系)、ミラー部103、位相差AFモジュール107などが備えられている。
撮像素子101は、カメラボディ10に交換レンズ2が装着された場合の当該交換レンズ2が備えているレンズ群の光軸LT上において、光軸LTに対して垂直となる方向に配置されている。撮像素子101としては、例えばフォトダイオードを有して構成される複数の画素がマトリクス状に2次元配置されたCMOSカラーエリアセンサ(CMOS型の撮像素子)が用いられる。撮像素子101は、交換レンズ2を通って結像された被写体光像に関するR(赤)、G(緑)、B(青)各色成分のアナログの電気信号(画像信号)を生成し、R、G、B各色の画像信号として出力する。この撮像素子101の構成については、後で詳述する。
上記の光軸LT上において、被写体光をファインダ部102へ向けて反射される位置には、ミラー部103が配置されている。交換レンズ2を通過した被写体光は、ミラー部103(後述の主ミラー1031)によって上方へ反射される。交換レンズ2を通過した被写体光の一部はこのミラー部103を透過する。
ファインダ部102は、ペンタプリズム105、接眼レンズ106及び光学ファインダ316を備えている。ペンタプリズム105は、断面5角形を呈し、その下面から入射された被写体光像を内部での反射によって当該光像の天地左右を入れ替えて正立像にするためのプリズムである。接眼レンズ106は、ペンタプリズム105により正立像にされた被写体像を光学ファインダ316の外側に導く。このような構成により、ファインダ部102は、本撮影前の撮影待機時において被写界を確認するためのファインダとして機能する。
ミラー部103は、主ミラー1031及びサブミラー1032から構成されており、主ミラー1031の背面側において、サブミラー1032が主ミラー1031の背面に向けて倒れるように回動可能に設けられている。主ミラー1031を透過した被写体光の一部はサブミラー1032によって反射され、この反射された被写体光は位相差AFモジュール107に入射される。
上記のミラー部103は、所謂クイックリターンミラーとして構成されており、露光時(本撮影時)には図4に示すように回転軸1033を回動支点として上方に向けて跳ね上がる。この際、サブミラー1032は、上記のミラー部103がペンタプリズム105の下方位置で停止したときには、主ミラー1031と略平行となるように折り畳まれた状態となる。これにより、交換レンズ2からの被写体光がミラー部103によって遮られることなく撮像素子101上に届き、該撮影素子101が露光される。撮像素子101での撮像動作が終了すると、ミラー部103は元の位置(図3に示す位置)に復帰する。
また、ミラー部103を本撮影(画像記録用の撮影)の前に図4に示すミラーアップの状態にすることにより撮像装置1Aは、撮像素子101で順次に生成される画像信号に基づき動画的態様で被写体をLCD311に表示するライブビュー(プレビュー)表示が可能となっている。すなわち、本撮影前の撮像装置1Aでは、上記のライブビュー表示が行われる電子ファインダ(ライブビューモード)、または光学ファインダを選択して被写体の構図決めが可能である。なお、電子ファインダと光学ファインダとの切替えは、図2に示す切替スイッチ85を操作することにより行われる。
位相差AFモジュール107は、被写体のピント情報を検出する測距素子等からなる所謂AFセンサとして構成されている。この位相差AFモジュール107は、ミラー部103の底部に配設されており、位相差検出方式の焦点検出(以下では「位相差AF」ともいう)により合焦位置を検出する。すなわち、撮影待機時においてユーザが光学ファインダ316で被写体を確認する場合には、図3に示すように主ミラー1031およびサブミラー1032がダウンされた状態で位相差AFモジュール107に被写体からの光が導かれるとともに、位相差AFモジュール107からの出力に基づき交換レンズ2内のフォーカスレンズ211が駆動されてピント合わせが行われる。なお、位相差AFモジュール107では、高精度な位相差AFを実現するため、いわゆる多点AF(多点測距)が可能である。
撮像素子101の光軸方向前方には、シャッタユニット40が配置されている。このシャッタユニット40は、上下方向に移動する幕体を備え、その開動作および閉動作により光軸LTに沿って撮像素子101に導かれる被写体光の光路開口動作および光路遮断動作を行うメカニカルフォーカルプレーンシャッタとして構成されている。なお、シャッタユニット40は、撮像素子101が完全電子シャッター可能な撮像素子である場合には省略可能である。
<撮像装置1Aの電気的構成>
図5は、撮像装置1Aの電気的な構成を示すブロック図である。ここで、図1〜図4と同一の部材等については、同一の符号を付している。なお、説明の便宜上、交換レンズ2の電気的構成について先ず説明する。
交換レンズ2は、上述したレンズ群21に加え、レンズ駆動機構24と、レンズ位置検出部25と、レンズ制御部26と、絞り駆動機構27とを備えている。
レンズ群21では、フォーカスレンズ211及びズームレンズ212と、カメラボディ10に備えられた撮像素子101へ入射される光量を調節するための絞り23とが、鏡胴22内において光軸LT(図3)方向に保持されており、被写体の光像を取り込んで撮像素子101に結像させる。AF制御では、フォーカスレンズ211が交換レンズ2内のAFアクチュエータ71Mにより光軸LT方向に駆動されることで焦点調節が行われる。
フォーカス駆動制御部71Aは、レンズ制御部26を介してメイン制御部62Aから与えられるAF制御信号に基づき、フォーカスレンズ211を合焦位置に移動させるために必要な、AFアクチュエータ71Mに対する駆動制御信号を生成するものである。AFアクチュエータ71Mは、ステッピングモータ等からなり、レンズ駆動機構24にレンズ駆動力を与える。
レンズ駆動機構24は、例えばヘリコイド及び該ヘリコイドを回転させる図示省略のギア等で構成され、AFアクチュエータ71Mからの駆動力を受けて、フォーカスレンズ211等を光軸LTと平行な方向に駆動させるものである。なお、フォーカスレンズ211の移動方向及び移動量は、それぞれAFアクチュエータ71Mの回転方向及び回転数に従う。
レンズ位置検出部25は、レンズ群21の移動範囲内において光軸LT方向に複数個のコードパターンが所定ピッチで形成されたエンコード板と、このエンコード板に摺接しながらレンズと一体的に移動するエンコーダブラシとを備えており、レンズ群21の焦点調節時の移動量を検出する。なお、レンズ位置検出部24で検出されたレンズ位置は、例えばパルス数として出力される。
レンズ制御部26は、例えば制御プログラムを記憶するROMや状態情報に関するデータを記憶するフラッシュメモリ等のメモリが内蔵されたマイクロコンピュータからなっている。
また、レンズ制御部26は、コネクタEcを介してカメラボディ10のメイン制御部62Aとの間で通信を行う通信機能を有している。これにより、例えばレンズ群21の焦点距離、射出瞳位置、絞り値、合焦距離及び周辺光量状態等の状態情報データや、レンズ位置検出部25で検出されるフォーカスレンズ211の位置情報をメイン制御部62Aに送信できるとともに、メイン制御部62Aから例えばフォーカスレンズ211の駆動量のデータを受信できる。
絞り駆動機構27は、カプラ75を介して絞り駆動アクチュエータ76Mからの駆動力を受けて、絞り23の絞り径を変更するものである。
続いて、カメラボディ10の電気的構成について説明する。カメラボディ10は、先に説明した撮像素子101、シャッタユニット40等の他に、AFE(アナログフロントエンド)5、画像処理部61、画像メモリ614、メイン制御部62A、フラッシュ回路63、操作部64、VRAM65、カードI/F66、メモリカード67、通信用I/F68、電源回路69、電池69B、ミラー駆動制御部72A及びミラー駆動アクチュエータ72M、シャッタ駆動制御部73A及びシャッタ駆動アクチュエータ73M、絞り駆動制御部76A及び絞り駆動アクチュエータ76Mを備えて構成されている。
撮像素子101は、先に説明した通りCMOSカラーエリアセンサからなり、後述のタイミング制御回路51により、当該撮像素子101の露光動作の開始(及び終了)や、撮像素子101が備える各画素の出力選択、画素信号の読出し等の撮像動作が制御される。
AFE5は、撮像素子101に対して所定の動作を行わせるタイミングパルスを与えると共に、撮像素子101から出力される画像信号に所定の信号処理を施し、デジタル信号に変換して画像処理部61に出力するものである。このAFE5は、タイミング制御回路51、信号処理部52及びA/D変換部53などを備えて構成されている。
タイミング制御回路51は、メイン制御部62Aから出力される基準クロックに基づいて所定のタイミングパルス(垂直走査パルスφVn、水平走査パルスφVm、リセット信号φVr等を発生させるパルス)を生成して撮像素子101に出力し、撮像素子101の撮像動作を制御する。また、所定のタイミングパルスを信号処理部52やA/D変換部53にそれぞれ出力することにより、信号処理部52及びA/D変換部53の動作を制御する。
信号処理部52は、撮像素子101から出力されるアナログの画像信号に所定のアナログ信号処理を施すものである。この信号処理部52には、CDS(相関二重サンプリング)回路、AGC(オートゲインコントロール)回路及びクランプ回路等が備えられている。A/D変換部53は、信号処理部52から出力されたアナログのR、G、Bの画像信号を、タイミング制御回路51から出力されるタイミングパルスに基づいて、複数のビット(例えば12ビット)からなるデジタルの画像信号に変換するものである。
画像処理部61は、AFE5から出力される画像データに所定の信号処理を行って画像ファイルを作成するもので、黒レベル補正回路611、ホワイトバランス制御回路612及びガンマ補正回路613等を備えて構成されている。なお、画像処理部61へ取り込まれた画像データは、撮像素子101の読み出しに同期して画像メモリ614に一旦書き込まれ、以後この画像メモリ614に書き込まれた画像データにアクセスして、画像処理部61の各ブロックにおいて処理が行われる。
黒レベル補正回路611は、A/D変換部53によりA/D変換されたR、G、Bの各デジタル画像信号の黒レベルを、基準の黒レベルに補正するものである。
ホワイトバランス補正回路612は、光源に応じた白の基準に基づいて、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分のデジタル信号のレベル変換(ホワイトバランス(WB)調整)を行うものである。すなわちホワイトバランス制御回路612は、メイン制御部62Aから与えられるWB調整データに基づき、撮影被写体において輝度や彩度データ等から本来白色であると推定される部分を特定し、その部分のR、G、Bそれぞれの色成分の平均と、G/R比及びG/B比とを求め、これをR、Bの補正ゲインとしてレベル補正する。
ガンマ補正回路613は、WB調整された画像データの階調特性を補正するものである。具体的にはガンマ補正回路613は、画像データのレベルを色成分毎に予め設定されたガンマ補正用テーブルを用いて非線形変換するとともにオフセット調整を行う。
画像メモリ614は、撮影モード時には、画像処理部61から出力される画像データを一時的に記憶するとともに、この画像データに対しメイン制御部62Aにより所定の処理を行うための作業領域として用いられるメモリである。また、再生モード時には、メモリカード67から読み出した画像データを一時的に記憶する。
メイン制御部62Aは、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等の記憶部が内蔵されたマイクロコンピュータからなり、撮像装置1A各部の動作を制御するものである。
フラッシュ回路63は、フラッシュ撮影モードにおいて、フラッシュ部318または接続端子部319に接続される外部フラッシュの発光量を、メイン制御部62Aにより設定された発光量に制御するものである。
操作部64は、上述のモード設定ダイアル305、制御値設定ダイアル306、シャッターボタン307、設定ボタン群312、十字キー314、プッシュボタン315、メインスイッチ317等を含み、操作情報をメイン制御部62Aに入力するためのものである。
VRAM65は、LCD311の画素数に対応した画像信号の記憶容量を有し、メイン制御部62AとLCD311との間のバッファメモリである。カードI/F66は、メモリカード67とメイン制御部62Aとの間で信号の送受信を可能とするためのインターフェースである。メモリカード67は、メイン制御部62Aで生成された画像データを保存する記録媒体である。通信用I/F68は、パーソナルコンピュータやその他の外部機器に対する画像データ等の伝送を可能とするためのインターフェースである。
電源回路69は、例えば定電圧回路等からなり、メイン制御部62A等の制御部、撮像素子101、その他の各種駆動部等、撮像装置1A全体を駆動させるための電圧を生成する。なお、撮像素子101への通電制御は、メイン制御部62Aから電源回路69に与えられる制御信号により行われる。電池69Bは、アルカリ乾電池等の一次電池や、ニッケル水素充電池等の二次電池からなり、撮像装置1A全体に電力を供給する電源である。
ミラー駆動制御部72Aは、撮影動作のタイミングに合わせて、ミラー駆動アクチュエータ72Mを駆動させる駆動信号を生成するものである。ミラー駆動アクチュエータ72Mは、ミラー部103(クイックリターンミラー)を、水平姿勢若しくは傾斜姿勢に回動させるアクチュエータである。
シャッタ駆動制御部73Aは、メイン制御部62Aから与えられる制御信号に基づき、シャッタ駆動アクチュエータ73Mに対する駆動制御信号を生成するものである。シャッタ駆動アクチュエータ73Mは、シャッタユニット40の開閉駆動(開閉動作)を行うアクチュエータである。
絞り駆動制御部76Aは、メイン制御部62Aから与えられる制御信号に基づき、絞り駆動アクチュエータ76Mに対する駆動制御信号を生成するものである。絞り駆動アクチュエータ76Mは、カプラ75を介して絞り駆動機構27に駆動力を与える。
また、カメラボディ10は、黒レベル補正回路611から出力される黒レベル補正済みの画像データに基づき、撮像素子101を用いたオートフォーカス(AF)制御時に必要な演算を行う位相差AF演算回路77を備えている。
この位相差AF演算回路77を利用した撮像装置1Aの位相差AF動作について、詳しく説明する。
<撮像装置1Aの位相差AF動作について>
撮像装置1Aでは、撮像素子101において射出瞳の異なった部分を透過(通過)した透過光を受光することにより位相差AFが可能な構成となっている。この撮像素子101の構成と、この撮像素子101を利用した位相差AFの原理とを、以下で説明する。
図6および図7は、撮像素子101の構成を説明するための図である。
撮像素子101では、その撮像面101fにおいてマトリックス状に規定された複数のAFエリアEfそれぞれで位相差検出方式の焦点検出が可能な構成となっている(図6)。
各AFエリアEfには、フォトダイオード上にR(赤)、G(緑)およびB(青)の各カラーフィルタが配設されたR画素111、G画素112およびB画素113からなる通常の画素(以下では「通常画素」ともいう)110が設けられるとともに、後述の遮光板12a、12b(平行斜線部)を有して位相差AFを行うための画素(以下では「AF画素」ともいう)11fが設けられている(図7)。
そして、AFエリアEfには、通常画素110の水平ラインとしてG画素112とR画素111とが水平方向に交互に配置されたGrラインL1と、B画素113とG画素112とが水平方向に交互に配置されたGbラインL2とが形成されている。このGrラインL1とGbラインL2とが垂直方向に交互に配置されることによりベイヤー配列が構成される。
また、AFエリアEfには、例えば上記通常画素110の水平ライン6本毎にAF画素11fが水平方向に配列されたAFライン(焦点検出画素列)Lfが形成されている。なお、AFエリアEf内には、例えば20本程度のAFラインLfが設けられている。
次に、AFラインLfを利用した位相差AFの原理を、詳しく説明する。
図8は、AFラインLfを利用した位相差AFの原理を説明するための図である。
AFラインLfには、交換レンズ2に関する射出瞳の右側部分Qaからの光束Taと左側部分Qbからの光束Tbとを分離させるための開口部OPの位置が鏡面対象となっている遮光板12a、12bを有した一対の画素11a、11bが水平方向に沿って2以上配列されている。より詳細には、スリット状の開口部OPが直下の光電変換部(フォトダイオード)PDに対して右側に偏った遮光板12aを有する画素(以下では「第1AF画素」ともいう)11aと、スリット状の開口部OPが直下の光電変換部PDに対して左側に偏った遮光板12bを有する画素(以下では「第2AF画素」ともいう)11bとがAFラインLfで交互に配置されている(図7)。これにより、射出瞳の右側部分Qaからの光束TaがマイクロレンズMLおよび遮光板12aの開口OPを通過して第1AF画素11aの光電変換部PDで受光され、射出瞳の左側部分Qbからの光束TbがマイクロレンズMLおよび遮光板12bの開口OPを通過して第2AF画素11bの光電変換部PDで受光されることとなる。換言すれば、一対の画素11a、11bでは、交換レンズ2の射出瞳における右側部分および左側部分(一対の部分領域)Qa、Qbを通過した被写体の光束Ta、Tbそれぞれが受光される。
以下では、第1AF画素11aの画素出力を「a系列の画素出力」と呼び、第2AF画素11bの画素出力を「b系列の画素出力」と呼ぶこととし、例えば、ある1本のAFラインLfに配置されたAF画素11fの画素配列から得られるa系列の画素出力とb系列の画素出力との関係を、図9および図10を参照して説明する。
AFラインLfでは、例えば図9に示すように射出瞳の両側からの各光束Ta、Tbが第1AF画素11aおよび第2AF画素11bで受光される。ここで、図9のように配置されたa系列の画素a1〜a3を含むAFラインLfでのa系列の画素出力は、図10のグラフGa(実線で図示)のように表される。一方、図9のように配置されたb系列の画素b1〜b3を含むAFラインLfでのb系列の画素出力は、図10のグラフGb(破線で図示)のように表される。すなわち、a系列およびb系列の各画素出力によりグラフGa、Gbで表される一対の像列Ga、Gbが生成されることとなる。
図10に表されたグラフGaとグラフGbとを比較すると、a系列の画素出力とb系列の画素出力とは、AFラインLfの方向(水平方向)にずれ量(シフト量)Sfだけ位相差が生じていることが分かる。
一方、上記のシフト量Sfと、撮像素子101の撮像面に対して焦点面がデフォーカスしている量(デフォーカス量)との関係は、図11に示す1次関数のグラフGcで表される。このグラフGcの傾きについては、工場試験等によって予め取得できるものである。
よって、撮像素子101のAFラインLfの出力に基づき位相差AF演算回路76で上記のシフト量Sfを求めた後に、図11のグラフGcに基づきデフォーカス量を算出し、算出されたデフォーカス量に相当する駆動量をフォーカスレンズ211に与えることで、フォーカスレンズ211を合焦位置に移動させる位相差AFが可能となる。
以上のような撮像素子(位相差検出機能付き撮像素子)101を用いて位相差AFが可能な撮像装置1Aにおけるライブビュー表示時(ライブビューモード)でのAF動作について、以下で説明する。
<ライブビューモードでのAF動作について>
図12は、撮像装置1AにおけるライブビューモードでのAF動作を説明するためのタイムチャートである。図12のようにライブビュー表示時には、そのフレーム期間(以下では単に「フレーム」ともいう)を規定する垂直同期信号(VD)が一定周期(例えば1/60秒)で生成される。
撮像装置1Aでは、光学ファインダ316の使用時と同様に、ライブビューモード設定時にユーザによってシャッターボタン307が半押しされるとAF動作が開始される。ライブビューモード時にAF動作が開始されると、撮像素子101の撮像面101fに規定された多数のAFエリアEf(図6)で位相差検出を行う多点AFが行われることとなるが、この多点AFの制御について以下で詳しく説明する。
撮像素子101を用いた多点AFの制御では、シャッターボタン307の半押し操作によるAF開始に応答して、撮像素子101の撮像面101f全域において露光時間の異なる3回の露光(以下では「位相差検出用の露光」ともいう)Pa〜Pcが順次に行われる。
具体的には、まずシャッターボタン307が半押しされた直後(AF開始直後)の最初(1番目)のフレームTf1において高輝度の被写体(例えばBV値が9〜15)を想定した比較的短い露光時間(例えば1/64000秒)の露光(1回目の露光)Paが開始される。そして、この1回目の露光Paにより撮像素子101のAF画素11fで生成された電荷信号の読出しRaを次のフレームTf2で行った後、その次のフレームTf3で位相差AFの演算処理Maが行われる。
次に、AF開始後の2番目のフレームTf2において中輝度の被写体(例えばBV値が3〜8)を想定した露光時間(例えば1/1000秒)の露光Pbが開始される。そして、この2回目の露光Pbにより撮像素子101のAF画素11fで生成された電荷信号の読出しRbを次のフレームTf3で行った後、その次のフレームで位相差AFの演算処理Mbが行われる。
最後に、AF開始後の3番目のフレームTf3において低輝度の被写体(例えばBV値が(−3)〜2)を想定した露光時間(例えば1/60秒)の露光Pcが開始される。そして、この3回目の露光Pcにより撮像素子101のAF画素11fで生成された電荷信号の読出しRcを次のフレームで行った後、その次のフレームで位相差AFの演算処理Mcが行われる。
なお、図12では各露光Pa〜Pcを平行四辺形で示しているが、これは撮像素子101の水平ラインが下がるほど露光時期を徐々に遅らせることを表している。より詳しくは、図12の露光Pcを拡大した図13のように、先頭ライン(上端の水平ライン)TPから最終ライン(下端の水平ライン)BMにかけて露光時間を一定とする全ライン均一露光を行いながら露光開始タイミング(リセットタイミング)および露光終了タイミング(画素信号の読出しタイミング)を徐々に遅延させている。このように水平ライン毎に露光タイミングをずらすことが可能なのは、リセットタイミングおよび読出しタイミングを画素(水平ライン)ごとに任意に設定できる撮像素子101(例えばSMOSセンサ)のためである。
以上のような露光時間の異なる3パターンの位相差検出用露光Pa〜Pcによって各AFエリアEfの画素出力を得るため、様々な輝度の被写体、具体的にはBV値が(−3)〜14の被写体に対し各AFエリアEfで適切な露光データ(位相差検出用のデータ)が得られ、高精度な多点AFが可能となる。
また、上述の3パターンの露光Pa〜Pcによって得られた各AFエリアEfの露光データに基づき、予め定められた多点AFアルゴリズム(多点から1点のAFエリアを選択するアルゴリズム)を用いて多数のAFエリアEfから1つのAFエリアEfに絞り込まれ、絞り込まれたAFエリアEfにおいて最適な露光時間(適正露光時間)が設定される。具体的には、図6に示す多数のAFエリアEfから多点AFアルゴリズムにより例えば中央付近の1つのAFエリアEfsが選択され、このAFエリアEfsの最適露光時間が3種類の露光データに基づき演算される。この最適露光時間の演算では、AFエリアEfsにおけるa系列の画素出力とb系列の画素出力との平均値が、画素値(輝度値)の中間値(例えば10ビット(1024)では512)となるような露光時間が算出される。
このように算出された最適露光時間は、露光Pa〜Pc以降における次の位相差検出用の露光で利用される。具体的には、図12のように3パターンの露光Pa〜Pcを伴う1回目の位相差AFにより開始されたレンズ駆動Dzにおいて、フォーカスレンズ211の駆動中に行われる位相差検出用の露光Pdで上記の最適露光時間が設定される。そして、この露光PdによりAFエリアEf内のAF画素11fで生成された電荷信号の読出しRdおよび位相差AFの演算処理Mdを行うことにより、2回目の位相差AFを精度良く行えることとなる。
次に、以上のようなライブビューモードでのAF動作を行う撮像装置1Aの基本的な動作について説明する。
<撮像装置1Aの基本的な動作>
図14および図15は、撮像装置1Aの基本的な動作を示すフローチャートである。この動作は、撮像装置1Aの電源オンから本撮影が終了するまでの一連の動作を示しており、メイン制御部62Aで実行される。
メインスイッチ317がユーザにより操作されて撮像装置1Aの電源がオンされると、切替スイッチ85の設定状態に基づき電子ファインダ(ライブビューモード)が選択されているかが判定される(ステップST1)。ここで、電子ファインダが選択されている場合には、ステップST2に進み、電子ファインダでなく光学ファインダ316が選択されている場合には、ステップST17に進む。
ステップST2では、ミラー駆動制御部72Aによりミラー駆動アクチュエータ72Mを駆動して、ミラー部103における主ミラー1031およびサブミラー1032をアップさせる(図4参照)。
ステップST3では、シャッタ駆動制御部73Aによりシャッタ駆動アクチュエータ73Mを駆動して、シャッタユニット40の開動作を行う。
ステップST4では、撮像素子101をライブビューモードで起動する。すなわち、撮像素子101の読出し周期を例えば1/60秒に設定して起動される。
ステップST5では、光学ファインダ316に切り替えられたかを判定する。具体的には、切替スイッチ85がユーザにより操作されて光学ファインダ316が選択されたか否かを判断する。ここで、光学ファインダ316に切り替えられた場合には、ステップST14に進み、切り替えられていない場合には、ステップST6に進む。
ステップST6では、シャッターボタン307がユーザによって半押しされたかを判定する。ここで、半押しされた場合には、ステップST7に進み、半押しされていない場合には、ステップST5に戻る。
ステップST7では、図12に示す露光Pa〜Pcのように露光時間の異なる3パターンの露光を行って最初(1回目)の位相差AFを行う。すなわち、撮像素子101の各AFエリアEfで異なった露光時間の露光Pa〜Pcを順次に行う露光制御により、各AFエリアEfにおけるAFライン(焦点検出画素列)Lfから各露光時間での画素出力信号を得るとともに、この各露光時間での画素出力信号に基づき各AFエリアEfでの焦点検出、つまり多点AFが行われる。これにより、高精度な多点AFを簡易に行えることとなる。なお、この多点AFにより得られたデフォーカス量に基づきフォーカスレンズ211の駆動Dz(図12)が開始される。
ステップST8では、ステップST7における3パターンの露光Pa〜Pcで得られた露光データに基づき、露光Pa〜Pcによる位相差AF(多点AF)を行った後の位相差AFで用いるために上述のように1つに絞り込まれたAFエリアEfについての最適露光時間を導出する。すなわち、3パターンの露光Pa〜Pcで得られた各露光時間に係るAFライン(焦点検出画素列)Lfの画素出力信号に基づき、撮像素子101における複数のAFエリアEfから選択される1つのAFエリアEfについての適正露光時間が求められる。
ステップST9では、ステップST8で導出された最適露光時間に設定して位相差AFを行う。例えば、図12に示すように3パターンの露光Pa〜Pcによる1回目の位相差AFを行った後には、2回目の位相差AFでの露光Pdが最適露光時間に設定されて行われる。
ステップST10では、AF動作が完了したかを判定する。具体的には、ステップST9の位相差AFによって駆動されるフォーカスレンズ211が合焦位置に到達したか否かが判断される。ここで、AF動作が完了した場合には、ステップST11に進み、完了していない場合には、ステップST9を繰り返す。
以上のステップST7〜ST10により、シャッターボタン307の半押し操作によりAF動作が開始されてから、上述の3パターンの露光Pa〜Pcを伴う1回目の位相差AFが行われるとともに、2回目以降の位相差AFでは3パターンの露光Pa〜Pcから得られた最適露光時間に設定されるため、低輝度から高輝度まで幅広い被写体に対して高精度な多点AFが可能となる。
ステップST11では、シャッターボタン307がユーザによって全押しされたかを判定する。ここで、全押しされた場合には、ステップST12に進み、全押しされていない場合には、ステップST5に戻る。
ステップST12では、本撮影を行う。すなわち、撮像素子101で記録用の撮影画像データを生成する撮影動作が行われる。
ステップST13では、ステップST12の本撮影により撮像素子101で生成された撮影画像データの読出しを行う。読み出された撮影画像データは、AFE5および画像処理部61での処理を経てメモリカード67に記録することが可能である。
ステップST14では、ミラー駆動制御部72Aによりミラー駆動アクチュエータ72Mを駆動して、ミラー部103における主ミラー1031およびサブミラー1032をダウンさせる(図3参照)。
ステップST15では、シャッタ駆動制御部73Aによりシャッタ駆動アクチュエータ73Mを駆動して、シャッタユニット40の閉動作を行う。
ステップST16では、光学ファインダが選択されているため、電子ファインダに必要な撮像素子101およびLCD311をオフにする。
ステップST17では、電子ファインダに切り替えられたかを判定する。具体的には、切替スイッチ85がユーザにより操作されて電子ファインダが選択されたか否かを判断する。ここで、電子ファインダに切り替えられた場合には、ステップST2に戻り、切り替えられていない場合には、ステップST18に進む。
ステップST18では、シャッターボタン307がユーザによって半押しされたかを判定する。ここで、半押しされた場合には、ステップST19に進み、半押しされていない場合には、ステップST17に戻る。
ステップST19では、位相差AFモジュール107による位相差AFを行う。ここでは、上述した多点AFにより高精度な位相差AFが可能である。
ステップST20では、シャッターボタン307がユーザによって全押しされたかを判定する。ここで、全押しされた場合には、ステップST21に進み、全押しされていない場合には、ステップST17に戻る。
ステップST21では、ミラー駆動制御部72Aによりミラー駆動アクチュエータ72Mを駆動して、ミラー部103における主ミラー1031およびサブミラー1032をアップさせる(図4参照)。
ステップST22では、本撮影を行う。すなわち、撮像素子101で記録用の撮影画像データを生成する撮影動作が行われる。
ステップST23では、ステップST22の本撮影により撮像素子101で生成された撮影画像データの読出しを行うとともに、ミラー駆動制御部72Aによりミラー駆動アクチュエータ72Mを駆動してミラー部103における主ミラー1031およびサブミラー1032をダウンさせる。
以上の撮像装置1Aの動作により、撮像素子101の各AFエリアEfで露光時間の異なる3パターンの位相差検出用の露光Pa〜Pcを行うため、多点AFを精度良く行える。
なお、撮像装置1AにおけるライブビューモードでのAF動作については、上述した露光時間の異なる3パターンの露光Pa〜Pcを3フレームTf1〜Tf3(図12)にわたって行うのは必須でなく、図16に示すように1フレームTf10の間に露光時間の異なる3パターンの露光Pe〜Pgを行うようにしても良い。この場合には、周期が1/60秒となるライブビュー用の垂直同期信号(LV−VD)の他に、例えば周期が1/240秒となる位相差AF用の垂直同期信号(AF−VD)を生成し、この信号に基づいて3パターンの露光Pe〜Pgそれぞれに関する露光開始タイミングを得るようにすれば良い。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る撮像装置1Aにおいては、図1〜図5に示す第1実施形態の撮像装置1Aと類似の構成を有しているが、メイン制御部の構成が異なっている。
すなわち、撮像装置1Bのメイン制御部62Bは、次に説明するライブビューモードでのAF動作を行うための制御プログラムが格納されている。
<ライブビューモードでのAF動作について>
撮像装置1Bでは、図17に示すように撮像素子101の中央付近に3つのAFエリアEfが規定されており、これらのAFエリアEfを用いた多点AFが可能となっている。そして、図17中の各AFエリアEfには、第1実施形態と同様にAf画素11fが配列されたAFラインLfが設けられている(図7参照)。
このような撮像素子(位相差検出機能付き撮像素子)101を用いたライブビューモードでのAF動作について、図18を参照して説明する。
図18は、図13に対応しており、撮像装置1BにおけるライブビューモードでのAF動作を説明するための図である。
撮像装置1BにおけるライブビューモードでのAF動作においては、シャッターボタン307の半押し操作によるAF開始に応答して、各AFエリアEf内で露光時間の異なる3パターンの露光(位相差検出用の露光)が並列的に行われる。
具体的には、各AFエリアEfに設けられた複数のAFラインLfにおいて上から順に、1フレームTf11以下の時間となる3種類の露光時間Tp〜Trを繰り返して設定することにより、3パターンの位相差検出用の露光を行う。
換言すれば、AFエリアEfに設けられるAFラインLfの群は、図17に示すように低輝度の被写体(F1.4およびISO100の条件で例えばEV値が1〜8程度)を想定した露光時間(例えば1/60秒)Tpが設定されるAFラインLp(実線で図示)、中輝度の被写体(例えばEV値が7〜14程度)を想定した露光時間(例えば1/500秒)Tqが設定されるAFラインLq(一点鎖線で図示)、および高輝度の被写体(例えばEV値が13〜20程度)を想定した露光時間(例えば1/32000秒)Trが設定されるAFラインLr(破線で図示)の3つのグループに分けられ、各グループごとに露光時間の異なる位相差検出用の露光データが取得される。このようにAFエリアEf内の各AFラインLfで互いに異なる3種類の露光時間Tp〜Trを設定できるのは、内部回路を変更することによりリセットタイミングや読出しタイミングを画素(水平ライン)ごとに任意に設定可能な撮像素子101(例えばCMOSセンサ)のためである。
上述のように異なる露光時間Tp〜Trが設定されたAFラインLp〜Lrにおける3パターンの位相差検出用の露光によって各AFエリアEfの画素出力を得れば、1回の露光動作で様々な輝度の被写体、具体的にはEV値が1〜20程度の被写体に対し各AFエリアEfで適切な露光データ(位相差検出用のデータ)を生成できるため、高精度な多点AFを迅速に行えることとなる。
以上のようなライブビューモードでのAF動作を行う撮像装置1Bの基本的な動作については、図14〜15のフローチャートに示す第1実施形態の撮像装置1Aと同様の動作を行う。
ただし、撮像装置1BにおけるステップST7(図14)の動作では、図17および図18に示すようにAFエリアEf内に異なる露光時間Tp〜Trが設定されたAFラインLp〜Lrによって3パターンの露光を行って位相差AFを実施する。すなわち、撮像素子101における各AFエリアEfで異なった露光時間Tp〜Trが設定された複数のAFラインLp〜Lrにおいて並列的な露光を行う露光制御により、各AFエリアEfにおけるAFライン(焦点検出画素列)Lfから各露光時間での画素出力信号を得るとともに、この各露光時間での画素出力信号に基づき各AFエリアEfでの焦点検出、つまり多点AFが行われる。これにより、精度の良い多点AFを簡易に行えることとなる。
<変形例>
・上記の各実施形態においては、露光時間が異なる3パターンの露光を行うのは必須でなく、露光時間が異なる2パターンや4パターン以上の露光を行うようにしても良い。ただし、このような露光においても、様々な輝度の被写体をカバーできるような複数の露光時間(多段階の露光時間)の設定が必要である。
・上記の各実施形態においては、3パターンの露光(1回目の位相差AF)に係る各露光時間に基づき2回目の位相差AFに係る適正露光時間を演算によって求めるのは必須ではなく、3パターンの露光に係る各露光時間から2回目の位相差AFで適正な露光を行える1つの露光時間を適正露光時間として選択するようにしても良い。
・上記の実施形態におけるAF画素については、図7に示すように水平方向に配列するのは必須ではなく、垂直方向に配列するようにしても良い。この場合には、AF画素で得られる一対の像列(a系列の像列およびb系列の像列)に関する垂直方向のシフト量によって位相差AFが行われることとなる。
・上記の第1実施形態においては、画素毎にリセットタイミングや読出しタイミングを任意に設定できる撮像素子(例えばCMOS型の撮像素子)を使用するのは必須でなく、画素毎にリセットタイミングや読出しタイミングを任意に設定できない撮像素子(例えばCCD型の撮像素子)を使用しても良い。
また、第1実施形態における多点AFでは、露光時間だけが異なる複数回の露光を行うのは必須でなく、露出値(露光時間や絞り値)が異なる複数回の露光を行えば良い。