JP5157362B2 - 非水電解質電池 - Google Patents

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Description

この発明は、非水電解質電池に関する。さらに詳しくは、正極と負極とがセパレータを介して対向して配置された非水電解質電池に関する。
近年、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)などの移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されている。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるので、移動情報端末の駆動電源として広く利用されている。リチウムイオン二次電池には、例えば、正極と負極とをセパレータを介して対向して配置し、セパレータに電解液を含浸させたものや、電解液を高分子化合物に保持させることによりゲル状とした電解質(以下、ゲル電解質と適宜称する)を用いたものがある。
中でも、ゲル電解質を用いた電池(以下、ゲル電解質電池と適宜称する)は、液漏れの可能性が低く、安全性および設計の自由度を向上させることができることから注目されている。
ゲル電解質電池では、ゲル電解質を構成する高分子化合物として、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、などのフッ素系高分子化合物が用いられている。これらのフッ素系高分子化合物は、電池内部での化学的安定性およびイオン導電性に優れるからである。
また、セパレータ材料としては、シャットダウン機能を有するポリエチレンやポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂が用いられている。中でも、ポリプロピレンは、安価で、軽量(密度0.90〜0.91g/cm)且つ、高融点(160℃〜170℃)であり、セパレータ材料に含ませることで、安全性や耐熱性を向上させることができるので、有望な材料である。
例えば、特許文献1では、ポリプロピレン製セパレータを用いたゲル電解質電池が開示されている。
特開2005−285372号公報
しかしながら、ポリプロピレンを含むセパレータを用いた場合に、ゲル電解質を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、などのフッ素系高分子化合物を用いると、セパレータとゲル電解質との界面状態が悪くなり、電池特性が低下してしまう問題があった。
したがって、この発明の目的は、ポリプロピレンを含むセパレータを用いた場合でも、セパレータとゲル電解質との界面状態が良好であり、十分な電池特性を有する非水電解質電池を提供することにある。
上述した課題を解決するために、
この発明は、
正極および負極と、電解液が高分子化合物で保持されるゲル電解質と、セパレータと、を備え、
高分子化合物は、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体を含み、
フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体の重量平均分子量が、50000以上である非水電解質電池である。
この発明では、ゲル電解質を構成する高分子化合物に、フッ化ビニリデンを由来にする繰り返し単位およびプロピレンを由来にする繰り返し単位を有する共重合体を含むので、セパレータとゲル電解質との親和性、電極とセパレータ間の剥離強度を増加でき、これにより、十分な電池特性を有する非水電解質電池を得ることができる。
この発明によれば、十分な電池特性を有する非水電解質電池を提供できる。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、この発明の一実施形態による非水電解質電池の構成例について、図1および図2を参照しながら説明する。
図1は、この発明の一実施形態による非水電解質電池の一構成例を示す斜視図である。この非水電解質電池は、例えば、非水電解質二次電池である。この非水電解質電池は、正極リード11および負極リード12が取り付けられた巻回電極体10をフィルム状の外装部材1の内部に収納した構成とされており、扁平型の形状を有するものである。
正極リード11および負極リード12は、それぞれ例えば短冊状であり、外装部材1の内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極リード11は、例えばアルミニウム(Al)などの金属材料により構成されており、負極リード12は、例えばニッケル(Ni)などの金属材料により構成されている。
外装部材1は、例えば、絶縁層、金属層および最外層をこの順に積層しラミネート加工などにより貼り合わせた構造を有するラミネートフイルムである。外装部材1は、例えば、絶縁層の側を内側として、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。
絶縁層は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレン、変性ポリプロピレンあるいはこれらの共重合体などのポリオレフィン樹脂により構成されている。水分透過性を低くすることができ、気密性に優れているからである。金属層は、箔状あるいは板状のアルミニウム、ステンレス、ニッケルあるいは鉄などにより構成されている。最外層は、例えば絶縁層と同様の樹脂により構成されていてもよいし、ナイロンなどにより構成されていてもよい。破れや突き刺しなどに対する強度を高くすることができるからである。外装部材1は、絶縁層、金属層および最外層以外の他の層を備えていてもよい。
外装部材1と正極リード11および負極リード12との間には、正極リード11および負極リード12と、外装部材1の内側との密着性を向上させ、外気の侵入を防止するための密着フィルム2が挿入されている。密着フィルム2は、正極リード11および負極リード12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば、正極リード11および負極リード12が上述した金属材料により構成される場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
図2は、図1に示した巻回電極体10のII−II線に沿った断面図である。巻回電極体10は、正極13と負極14とをセパレータ15およびゲル電解質16を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ17により保護されている。
正極13は、例えば、正極集電体13Aと、この正極集電体13Aの両面に設けられた正極活物質層13Bとを有している。正極集電体13Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。
正極活物質層13Bは、例えば、正極活物質として、電極反応物質であるリチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上含み、必要に応じて炭素材料などの導電剤、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、リチウムと遷移金属とを有するリチウム複合酸化物、オリビン構造を有するリチウム金属リン酸化合物などを用いることができる。具体的には、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiCo0.33Ni0.33Mn0.332、LiFePO4などを用いることができる。
負極14は、例えば、正極13と同様に、負極集電体14Aと、この負極集電体14Aの両面に設けられた負極活物質層14Bとを有している。負極集電体14Aは、例えば、銅箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層14Bは、例えば、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んで構成されており、必要に応じて導電助剤および結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素などの炭素材料を用いることができる。炭素材料は、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよく、また、平均粒子径の異なる2種以上を混合して用いてもよい。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、リチウムと合金を形成可能な金属元素または半金属元素を構成元素として含む材料を用いることができる。具体的には、リチウムと合金を形成可能な金属元素の単体、合金、若しくは化合物、またはリチウムと合金を形成可能な半金属元素の単体、合金、若しくは化合物、またはこれらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料を用いることができる。
このような金属元素または半金属元素としては、例えば、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)挙げられる。中でも、長周期型周期表における14族の金属元素あるいは半金属元素が好ましく、ケイ素(Si)またはスズ(Sn)がより好ましい。ケイ素(Si)およびスズ(Sn)はリチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
ケイ素(Si)の合金としては、例えば、ケイ素(Si)以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズ(Sn)の合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
ケイ素(Si)の化合物あるいはスズ(Sn)の化合物としては、例えば、酸素(O)あるいは炭素(C)を含むものが挙げられ、ケイ素(Si)またはスズ(Sn)に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。
セパレータ15としては、ポリプロピレンを含むセパレータを用いる。ポリプロピレンは、セパレータ15の少なくとも表面に存在していればよい。このようなセパレータ15としては、例えば、ポリプロピレン製セパレータ、ポリエチレン中にポリプロピレンを分散させた樹脂からなるセパレータ、ポリプロピレンとポリエチレンとを3層(PP/PE/PP)に積層した3層構造セパレータなどの多層構造セパレータが挙げられる。多層構造セパレータは、最外層がポリプロピレン層であればよく、中間層の材料は限定されるものではない。
ゲル電解質16は、電解液と、この電解液を保持する高分子化合物とを含有しており、いわゆるゲル状となっている。電解液は、電解質塩と、この電解質塩を溶解する溶媒とを含んでいる。電解質塩としては、例えば、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiAsF6などのリチウム塩が挙げられる。電解質塩は、いずれか1種を用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの炭酸エステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン、1−エトキシ−2−メトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、スルフォラン系溶媒、リン酸類、リン酸エステル溶媒、またはピロリドン類などの非水溶媒が挙げられる。溶媒は、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
ゲル電解質16を構成する高分子化合物としては、プロピレンとフッ化ビニリデンとの共重合体(以下、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体と適宜称する)を含むものを用いる。プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体は、ポリプロピレンとの親和性が高く、電極とポリプロピレンを含むセパレータとの間の剥離強度が増加して、リチウムイオン透過性を確保できる。
セパレータ15として、ポリプロピレンを含むセパレータを用いた場合に、ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、従来用いられている、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、などのフッ素系高分子化合物を使用すると、セパレータ15とゲル電解質16との界面状態が悪くなり、電池特性の劣化が生じてしまう。
一方、一実施形態では、ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、フッ化ビニリデンとプロピレンとを共重合させたプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いる。これにより、ポリプロピレンを含むセパレータ15とゲル電解質16間の親和性、電極とセパレータ15間の剥離強度が増加し、リチウムイオン透過性が確保できる。
また、充放電時に発生するガスや電極の膨張および収縮に伴う電極群内の隙間の発生、並びに、電極表面におけるリチウムイオンの吸蔵および放出のむらを減少させることができ、充放電サイクル特性を向上させることができる。さらに、充放電サイクル特性以外にも、低温充放電特性、高負荷充放電特性、高温保存特性などの電池特性が劣化することなく向上する。
なお、ポリプロピレンとポリフッ化ビニリデンとを単に混合して、ゲル電解質16に用いた場合には、ポリフッ化ビニリデン中にポリプロピレンが海島構造をとるだけで、粒子状のままであるので、セパレータ15とゲル電解質16との界面状態を改善させる効果を得ることができない。
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体における、プロピレンを由来にする繰り返し単位の含有量は、5mol%〜50mol%が好ましく、5mol%〜30mol%がより好ましい。この範囲で、セパレータ15との親和性が優れ、十分な電池特性が得られるからである。
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の重量平均分子量は、50000〜1000000が好ましく、200000〜800000がより好ましい。50000未満であると、低分子量であるために、ゲルを形成できなくなり、構造を保てなくなるからであり、特に、高温保存時にゾル化することで特性を低下させ易いからである。1000000を超えると、分子量が大きすぎて、電解液に溶解し難くなるからである。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)により、測定溶媒:NMP、ポリスチレン換算で測定する。
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の製造には、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合などの各種重合方式の採用が可能であり、フリーラジカル開始剤を使用する触媒重合法、電離性放射重合法、レドックス系重合法およびアニオン重合などが適宜採用され得る。
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の製造法の具体例としては、例えばトルエン中にフッ化ビニリデンとプロピレンのガスを吹き込みながら開始剤であるt−ブトキシセシウムを加え23℃〜90℃で5時間〜24時間攪拌する方法が挙げられる。なお、ガスの量を調整して共重合比を調整することが可能である。
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、プロピレンおよびフッ化ビニリデンに、他のコモノマーを添加して重合した共重体を含むものを用いてもよい。他のコモノマーとしては、オレフィン類、アクリル酸誘導体、フッ素化アルケン類などが挙げられる。
オレフィン類としては、エチレン、1―ブチレン、2−ブチレン、イソブテン、スチレンなどのエチレンの水素を炭化水素基で少なくとも1つ以上置換した炭化水素などが挙げられる。アクリル酸誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などのアクリル酸類、そのカルボキシル基の少なくとも1つ以上をエステルに置換したアクリルエステル類、マレイン酸無水物などが挙げられる。フッ素化アルケン類としては、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロパン、テトラフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロパンなどが挙げられる。
他のコモノマーは、1種添加しても、2種以上を組み合わせて添加するようにしてもよい。他のコモノマーの添加量としては、共重合体全体に対して、5mol%以下が好ましい。5mol%を超えるとコモノマーの特性が大きく出てくるためである。他のコモノマーの添加量によっては、コモノマー成分の凝集や、溶解性が上がりすぎることによるゲル強度の低下、といった問題が生じることがある。
なお、コポリマー中にプロピレンブロックがあると、プロピレン成分が集合し凝集する。この凝集によりゲル電解質中に海島構造ができる。海島構造ができると、セパレータとの界面に存在するゲル電解質のプロピレン成分が減少するため、プロピレンを共重合させた効果が低下する。したがって、他のコノマーとしてフッ素化アルケン誘導体を含有させる場合には、海島構造を作りにくい組成にするために、プロピレン中にランダムに共重合させることが望ましい。
ゲル電解質16を構成する高分子化合物の構造は、赤外分光法(IR:Infrared spectroscopy)や核磁気共鳴分光法(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)によりスペクトルを測定し、組成分析を行うことにより、解析できる。具体的には、NMRスペクトルとIRスペクトルのピーク位置を解析することでポリプロピレン成分とポリフッ化ビニリデン成分の両方が混在しているかを確認できる。
ポリフッ化ビニリデン中へのポリプロピレンの導入量は、1H−NMRスペクトルまたはIRスペクトルのポリプロピレン成分とポリフッ化ビニリデン成分とのピーク強度の比を計算することで確認できる。定量法としては1H−NMRスペクトルが精度が高いので好ましい。
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体と、ポリプロピレンとポリフッ化ビニリデンとを混合した混合ポリマと、の識別は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:High Performance Liquid Chromatograpy)、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーなどの液体クロマトグラフィーにかけることで容易に識別することができる。チャートにいくつの山がどの位置に現れるかで、共重合体と混合ポリマとを識別できる。一つの山のみが現れる場合は、混合ポリマではなく、共重合体であることが示唆される。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの方が分子量の情報も同時に得られるので好ましい。
次に、この発明の一実施形態による非水電解質電池の製造方法の一例について説明する。まず、例えば、正極集電体13Aに正極活物質層13Bを形成し正極13を作製する。正極活物質層13Bは、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させてペースト状としたのち、正極集電体13Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型することにより形成する。
また、例えば、負極集電体14Aに負極活物質層14Bを形成し負極14を作製する。負極活物質層14Bは、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させてペースト状としたのち、負極集電体14Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型することにより形成する。次に、正極集電体13Aに正極リード11を取り付けると共に、負極集電体14Aに負極リード12を取り付ける。
次に、電解液と、高分子化合物とを、混合溶剤を用いて混合した混合溶液を作製し、この混合溶液を正極活物質層13Bの上、および負極活物質層14Bの上に塗布し、混合溶剤を揮発させて、ゲル電解質16を形成する。次に、正極13、セパレータ15、負極14、およびセパレータ15を順に積層して巻回し、最外周部に保護テープ17を接着して巻回電極体10を形成したのち、外装部材1の間に挟み込み、減圧下、外装部材1の外周縁部を熱融着する。その際、正極リード11および負極リード12と外装部材1との間には密着フィルム2を挿入する。これにより図1に示した二次電池が得られる。
なお、ゲル電解質16を正極13および負極14の上に形成したのちに巻回するのではなく、正極13および負極14をセパレータ15を介して巻回し、外装部材1の間に挟み込んだのち、電解液と高分子化合物のモノマーとを含む電解質組成物を注入し、外装部材1の内部でモノマーを重合させるようにしてもよい。
この発明の具体的な実施例について説明する。ただし、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
〔実施例1−1、参考、比較例1−1〜比較例1−2〕
ゲル電解質を構成する高分子化合物にプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、セパレータ材にポリプロピレン、ポリエチレンを用いた電池の特性を評価するために、以下のように実施例1−1、参考、比較例1−1〜比較例1−2の二次電池を作製した。
<実施例1−1>
まず、正極活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO2)を用い、コバルト酸リチウムと、導電剤であるグラファイトと、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを混合して正極合剤を調製した。次に、この正極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて正極合剤スラリーとしたのち、アルミニウム箔よりなる正極集電体13Aに均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層13Bを形成した後、50mm×350mmとなるように切り出し、正極13を得た。
また、負極活物質として人造黒鉛を用意し、この人造黒鉛と、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを混合して負極合剤を調製した。次に、この負極合剤を溶剤であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させて負極合剤スラリーとしたのち、銅箔よりなる負極集電体14Aに均一に塗布して乾燥させ、ロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層14Bを形成した後、52mm×370mmとなるように切り出し、負極14を得た。
続いて、正極集電体13Aに正極リード11を取り付けると共に、負極集電体14Aに負極リード12を取り付けた。
次に、エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)とを、5:5の体積比(EC:PC)で混合した混合溶媒に、電解質塩であるLiPF6を、重量モル濃度が0.6mol/kgとなるように溶解することによって電解液を得た。
次に、この電解液と、高分子化合物として、重量平均分子量が100000であるプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体と、混合溶剤とを混合して、ゾル状の前駆溶液を作製し、この前駆溶液を正極13および負極14のそれぞれにバーコーターを用いて塗布し後、加熱することにより混合溶剤を揮発させてゲル電解質16を形成した。
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体は、トルエン中にフッ化ビニリデンとプロピレンとのガスを吹き込みながら、開始剤であるt−ブトキシセシウムを加え、90℃で6時間攪拌することによって得た。プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比は、ガス量を調整して、10:90のモル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)となるようにした。なお、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、測定溶媒:NMP、ポリスチレン換算で測定したものである。
次に、ゲル電解質16をそれぞれ形成した正極13と負極14とを、セパレータ15を介して積層し、巻回して巻回電極体10を作製した。セパレータ15は、重量平均分子量400000のポリプロピレンからなるポリプロピレン製セパレータ(厚さ20μm、空孔率32%、透気度250sec/100ml)を用いた。
次に、正極リード11および負極リード12と外装部材1との間に密着フィルム2を挿入し、巻回電極体10をアルミラミネートフィルムよりなる外装部材1の間に挟み込んだ後、外装部材1の外周縁部を減圧下で熱融着することにより、巻回電極体10を外装部材1で包装した。以上により、実施例1−1の二次電池を作製した。
<比較例1−1>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデンを用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、比較例1−1の二次電池を作製した。
参考例2−1>
セパレータ15として、重量平均分子量400000のポリエチレンからなるポリエチレン製セパレータ(厚さ20μm、空孔率32%、透気度250sec/100ml)を用いた点以外は、実施例1−1と同様にして、参考例2−1の二次電池を作製した。
<比較例2−1>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデンを用いた点以外は、参考例2−1と同様にして、比較例2−1の二次電池を作製した。
実施例1−1、参考例2−1、比較例1−1〜比較例2−1について、以下のようにして、剥離強度の測定を行った。
(剥離強度の測定)
アルミラミネートフィルムよりなる外装部材で包装した巻回電極体を、外装部材から取り出し、負極とセパレータ間の剥離強度を測定した。試験片は、幅15mmにカットした。測定条件は180°剥離、引張速度:100mm/minとした。また、剥離強度は、引っ張り初めてから10mmの位置までを除外した平均値を負極幅で規格化した値とした。
なお、剥離強度の値は、50mN/mm以上80mN/mm以下であることが望ましい。また、10mN/mm以下は、セパレータと負極とが一体化されていないことを意味する。10mN/mm以下は、負極活物質層とセパレータとの電気化学反応の抵抗が増加し、電池特性(特に負荷特性)が低下する。
測定結果を表1に示す。
Figure 0005157362
表1に示すように、実施例1−1では、比較例1−1より、剥離強度が大幅に向上した。すなわち、ゲル電解質を構成する高分子化合物としてプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、セパレータとして、ポリプロピレン製セパレータを用いると、親和性が向上し、負極とセパレータとの間の剥離強度を大きく改善して、十分な剥離強度を得られることがわかった。
また、参考例2−1では、比較例2−1より、剥離強度が僅かに低下したが、十分な剥離強度を得ることができた。すなわち、ゲル電解質を構成する高分子化合物としてプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた場合に、セパレータとして、ポリエチレン製セパレータを用いても、十分な剥離強度を得られることがわかった。
〔実施例3−1〜実施例−9、参考例4−1〜参考例4−9、比較例3−1〜比較例4−1〕
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体のプロピレン含有量を変化させた場合の特性を評価するために、以下のように実施例3−1〜実施例−9、参考例4−1〜参考例4−9、比較例3−1〜比較例4−9の電池を作製し、評価した。
<実施例3−1>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、1:99となるようにした点以外は、実施例1−1と同様にして、実施例3−1の二次電池を作製した。
<実施例3−2>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、3:97となるようにした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−2の二次電池を作製した。
<実施例3−3>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、5:95となるようにした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−3の二次電池を作製した。
<実施例3−4>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、10:90となるようにした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−4の二次電池を作製した。
<実施例3−5>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、20:80となるようにした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−5の二次電池を作製した。
<実施例3−6>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、30:70となるようにした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−6の二次電池を作製した。
<実施例3−7>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、40:60となるようにした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−7の二次電池を作製した。
<実施例3−8>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、50:50となるようにした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−8の二次電池を作製した。
<実施例3−9>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、60:40となるようにした点以外は、実施例3−1と同様にして、実施例3−9の二次電池を作製した。
<比較例3−1>
ゲル電解質を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデンを用いた点以外は、実施例3−1と同様にして、比較例3−1の二次電池を作製した。
参考例4−1>
セパレータとして、ポリエチレン製セパレータを用い、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、1:99となるようにした点以外は、実施例1−1と同様にして、参考例4−1の二次電池を作製した。
参考例4−2>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、3:97となるようにした点以外は、参考例4−1と同様にして、参考例4−2の二次電池を作製した。
参考例4−3>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、5:95となるようにした点以外は、参考例4−1と同様にして、参考例4−3の二次電池を作製した。
参考例4−4>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、10:90となるようにした点以外は、参考例4−1と同様にして、参考例4−4の二次電池を作製した。
参考例4−5>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、20:80となるようにした点以外は、参考例4−1と同様にして、参考例4−5の二次電池を作製した。
参考例4−6>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、30:70となるようにした点以外は、参考例4−1と同様にして、参考例4−6の二次電池を作製した。
参考例4−7>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、40:60となるようにした点以外は、参考例4−1と同様にして、参考例4−7の二次電池を作製した。
参考例4−8>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、50:50となるようにした点以外は、参考例4−1と同様にして、参考例4−8の二次電池を作製した。
参考例4−9>
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を作製する際に、ガス量を調整して、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の共重合比が、モル比(プロピレン:フッ化ビニリデン)で、60:40となるようにした点以外は、参考例4−1と同様にして、参考例4−9の二次電池を作製した。
<比較例4−1>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデンを用いた点以外は、参考例4−1と同様にして、比較例4−1の二次電池を作製した。
作製した実施例3−1〜実施例−9、参考例4−1〜参考例4−9、比較例3−1〜比較例4−1の二次電池について、剥離強度の測定およびサイクル容量維持率の測定を行った。なお、サイクル容量維持率は、以下のようにして行った。
(サイクル容量維持率の測定)
容量維持率は、23℃で充放電を1サイクル繰り返したのち、23℃において充放電を500サイクル繰り返し、23℃における1サイクル目の放電容量に対する割合、すなわち、(「23℃における500サイクル目の放電容量」/「23℃における1サイクル目の放電容量」)×100から求めた。なお、充電は、1Cの定電流定電圧充電を上限電圧4.2Vまで行い、放電は、1Cの定電流放電を終止電圧3.0Vまで行った。
測定結果を表2に示す。
Figure 0005157362
表2に示すように、ポリプロピレン製セパレータを用いた実施例3−1〜実施例3−9、比較例3−1によると、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体中のプロピレンを由来にする繰り返し単位の含有量が、5mol%〜50mol%の範囲では、剥離強度が50mN/mm以上に向上し、剥離強度を大幅に改善できることがわかった。
また、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体中のプロピレンを由来にする繰り返し単位の含有量が、5mol%〜30mol%の範囲では、サイクル容量維持率が60%以上に向上し、より優れたサイクル特性が得られることがわかった。なお、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体中のポリプロピレンの含有量が増えると、電解液との相溶性が低下するため、剥離強度およびサイクル容量維持率が低下する傾向にある。
参考例5−1〜参考例5−3、実施例5−4〜実施例5−11、参考例6−1〜参考例6−11、比較例5−1〜比較例6−1〕
プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の分子量を変化させた場合の特性を評価するために、以下のようにして、参考例5−1〜参考例5−3、実施例5−4〜実施例5−11、参考例6−1〜参考例6−11、比較例5−1〜比較例6−1の二次電池を作製し、評価した。
参考例5−1>
重量平均分子量を5000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、実施例3−5と同様にして、参考例5−1の二次電池を作製した。
参考例5−2>
重量平均分子量を10000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、参考例5−2の二次電池を作製した。
参考例5−3>
重量平均分子量を32000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、参考例5−3の二次電池を作製した。
<実施例5−4>
重量平均分子量を51000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、実施例5−4の二次電池を作製した。
<実施例5−5>
重量平均分子量を80000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、実施例5−5の二次電池を作製した。
<実施例5−6>
重量平均分子量を100000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、実施例5−6の二次電池を作製した。
<実施例5−7>
重量平均分子量を340000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、実施例5−7の二次電池を作製した。
<実施例5−8>
重量平均分子量を570000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、実施例5−8の二次電池を作製した。
<実施例5−9>
重量平均分子量を795000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、実施例5−9の二次電池を作製した。
<実施例5−10>
重量平均分子量を994000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、実施例5−10の二次電池を作製した。
<実施例5−11>
重量平均分子量を1120000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体高分子化合物を用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、実施例5−11の二次電池を作製した。
<比較例5−1>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、重量平均分子量が100000のポリフッ化ビニリデンを用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、比較例5−1の二次電池を作製した。
参考例6−1>
セパレータ15として、ポリエチレン製セパレータを用いた点以外は、参考例5−1と同様にして、参考例6−1の二次電池を作製した。
参考例6−2>
重量平均分子量を10000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例6−1と同様にして、参考例6−2の二次電池を作製した。
参考例6−3>
重量平均分子量を32000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例6−1と同様にして、参考例6−3の二次電池を作製した。
参考例6−4>
重量平均分子量を51000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例6−1と同様にして、参考例6−4の二次電池を作製した。
参考例6−5>
重量平均分子量を80000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例6−1と同様にして、参考例6−5の二次電池を作製した。
参考例6−6>
重量平均分子量を100000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例6−1と同様にして、参考例6−6の二次電池を作製した。
参考例6−7>
重量平均分子量を340000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例6−1と同様にして、参考例6−7の二次電池を作製した。
参考例6−8>
重量平均分子量を570000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例6−1と同様にして、参考例6−8の二次電池を作製した。
参考例6−9>
重量平均分子量を795000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例6−1と同様にして、参考例6−9の二次電池を作製した。
参考例6−10>
重量平均分子量を994000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いた点以外は、参考例6−1と同様にして、参考例6−10の二次電池を作製した。
参考例6−11>
重量平均分子量を1120000に調整したプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体高分子化合物を用いた点以外は、参考例6−1と同様にして、参考例6−11の二次電池を作製した。
<比較例6−1>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、重量平均分子量が100000のポリフッ化ビニリデンを用いた点以外は、参考例6−1と同様にして、比較例6−1の二次電池を作製した。
作製した参考例5−1〜参考例5−3、実施例5−4〜実施例5−11、参考例6−1〜参考例6−11の二次電池、比較例5−1〜比較例6−1の二次電池について、剥離強度および容量維持率の測定を行った。測定結果を表3に示す。
Figure 0005157362
表3に示すように、ゲル電解質を構成する高分子化合物の分子量が50000を超えると、高分子量体としての特性を発揮して、ゲル強度増加による剥離強度が増加した。実施例5−11では、電解液中への高分子化合物の溶け残りが生じた。すなわち、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の重量平均分子量は、50000〜1000000が好ましいことがわかった。
なお、50000未満であると、低分子量であるためにゲルを形成できなくなり、構造を保てなくなり、特に高温保存時にゾル化することで特性を低下させやすくなる。1000000を超えると高分子量過ぎて、電解液に溶解が困難になる。高分子量になるにつれてゲル強度が高くなり、ある一定強度を超えると分子が動きにくくなり、物質の移動を妨げるようになる。電解液を変えることで溶解性が向上する系であれば、ゲル電解質を構成する高分子化合物として、さらに高分子量の高分子化合物を使用することができる。
〔実施例7−1、参考例8−1、比較例7−1〜比較例8−3〕
ゲル電解質16を構成する高分子化合物の種類を変えた場合の特性を評価するために、実施例7−1、参考例8−1、比較例7−1〜比較例8−3の二次電池を作製し、評価した。
<実施例7−1>
実施例5−6と同様にして、実施例7−1の二次電池を作製した。
<比較例7−1>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデンを用いた点以外は、実施例7−1と同様にして、比較例7−1の二次電池を作製した。
<比較例7−2>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、共重合比がモル比(エチレン:フッ化ビニリデン)で20:80であるエチレンとフッ化ビニリデンとの共重合体(以下、エチレン−フッ化ビニリデン共重合体と適宜称する)を用いた点以外は、実施例7−1と同様にして、比較例7−2の二次電池を作製した。
<比較例7−3>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、重量平均分子量100000のポリフッ化ビニリデンに対して、重量平均分子量130000のポリプロピレン(粒子径約1μm)を14wt%混合した混合ポリマ(以下、PVDF−PP分散と適宜称する)を用いた点以外は、実施例7−1と同様にして、比較例7−3の二次電池を作製した。なお、ポリプロピレンの含有量14wt%は、共重合体に換算した場合にプロピレンを由来にする繰り返し単位20mol%に相当するものである。
参考例8−1>
セパレータ15として、ポリエチレン製セパレータを用いた点以外は、実施例7−1と同様にして、参考例8−1の二次電池を作製した。
<比較例8−1>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデンを用いた点以外は、参考例8−1と同様にして、比較例8−1の二次電池を作製した。
<比較例8−2>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、共重合比がモル比(エチレン:フッ化ビニリデン)で20:80のP(E−VDF)を用いた点以外は、参考例8−1と同様にして、比較例8−2の二次電池を作製した。
<比較例8−3>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、重量平均分子量が100000のポリフッ化ビニリデンに対して、PVDF−PP分散を用いた点以外は、参考例8−1と同様にして、比較例8−3の二次電池を作製した。なお、ポリプロピレンの含有量14wt%は、コポリマーに換算した場合にプロピレンを由来にする繰り返し単位20mol%に相当するものである。
作製した実施例7−1、参考例8−1の二次電池、比較例7−1〜比較例8−3の二次電池について、剥離強度の測定および容量維持率の測定を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 0005157362
表4に示すように、実施例7−1、比較例7−1によると、ポリプロピレン製セパレータを用いた場合に、ゲル電解質を構成する高分子化合物として、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いると、ゲル電解質を構成する高分子化合物として、フッ化ビニリデンホモポリマーであるポリフッ化ビニリデンを用いた場合より、剥離強度および容量維持率が向上し、十分な剥離強度および容量維持率が得られた。
一方、比較例7−1、比較例7−2によると、セパレータとして、ポリプロピレン製セパレータを用いた場合に、ゲル電解質を構成する高分子化合物として、エチレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いても、ゲル電解質を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデンを用いた場合と、剥離強度および容量維持率がほぼ同程度であった。
また、実施例7−1、比較例7−3によると、ポリプロピレン製セパレータを用いた場合に、ゲル電解質を構成する高分子化合物として、PVDF−PP分散を用いても、剥離強度および容量維持率は向上しなかった。PVDF−PP分散では、ポリプロピレンがポリフッ化ビニリデンと混ざらないことや、ポリプロピレンが電解液に溶解しないこともあり、ポリフッ化ビニリデン中にポリプロピレンが海島構造を取るだけで、粒子状のままである。そのため、ゲル膜強度が低下し、剥離強度が低下したと考えられる。
参考例8−1、比較例8−1によると、ポリエチレン製セパレータを用いた場合に、ゲル電解質を構成する高分子化合物として、エチレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いても、ポリフッ化ビニリデンを用いた場合と、ほぼ同程度の特性を示した。これはもともとポリフッ化ビニリデンとポリエチレンとの親和性が高いためで、エチレンを共重合させてもセパレータに対する親和性に差が見られなくなるからであると考えられる。
比較例7−1、比較例8−1によると、ポリプロピレン製セパレータとポリフッ化ビニリデンとは、親和性が低いため、サイクル特性も低下した。ポリエチレン製セパレータに対しては、ゲル膜強度が下がるものの、ポリフッ化ビニリデンが、ポリエチレン製セパレータとの親和性が高いため、Liイオンの移動を妨げない。したがって、サイクル特性の低下は、見られなかった。
〔実施例9−1実施例9−参考例9−2、比較例9−1〜比較例9−6〕
セパレータの種類を変えた場合の特性を評価するために、以下のようにして、実施例9−1実施例9−参考例9−2の二次電池、比較例9−1〜比較例9−6の二次電池を作製し、評価を行った。
<実施例9−1>
実施例5−6と同様にして、実施例9−1の二次電池を作製した。
参考例9−2>
セパレータ15として、ポリエチレン製セパレータを用いた点以外は、実施例9−1と同様にして、参考例9−2の二次電池を作製した。
<実施例9−3>
セパレータ15として、ポリエチレン中にポリプロピレンを20wt%溶融混練して作製したPE/PP分散型セパレータを用いた点以外は、実施例9−1と同様にして、実施例9−3の二次電池を作製した。
<比較例9−1>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデンを用いた点以外は、実施例9−1と同様にして、比較例9−1の二次電池を作製した。
<比較例9−2>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデンを用いた点以外は、参考例9−2と同様にして、比較例9−2の二次電池を作製した。
<比較例9−3>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデンを用いた点以外は、実施例9−3と同様にして、比較例9−3の二次電池を作製した。
<比較例9−4>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、ポリフッ化ビニリデンを用い、セパレータ15として、重量平均分子量70000のアラミドよりなるアラミドセパレータを用いた点以外は、実施例9−1と同様にして、比較例9−4の二次電池を作製した。
<比較例9−5>
ゲル電解質16を構成する高分子化合物として、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用い、セパレータ15として、アラミドセパレータを用いた点以外は、実施例9−1と同様にして、比較例9−5の二次電池を作製した。
作製した実施例9−1実施例9−3、参考例9−2の二次電池、比較例9−1〜比較例9−5の二次電池について、剥離強度および容量維持率の測定を行った。測定結果を表5に示す。
Figure 0005157362
表5に示すように、実施例9−1、実施例9−3、比較例9−1によると、ポリエチレン中にポリプロピレンを分散させたセパレータを用いても、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体の効果は同様であり、ポリフッ化ビニリデンを用いた場合より、剥離強度および容量維持率が向上し、十分な剥離強度および容量維持率が得られた。すなわち、セパレータ中にどのような形態でもポリプロピレンが存在していれば、プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を用いることで特性が向上することがわかった。セパレータとゲル電解質との界面に、ポリプロピレンが存在していれば、ゲル電解質を構成する高分子化合物中のプロピレンを由来にする繰り返し単位と相互作用して界面状態を良くすることで電池特性が向上するからと考えられる。
比較例9−4、比較例9−5によると、アラミドセパレータにプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体を使用しても、特性は向上しなかった。これは、アラミドとポリプロピレン成分の極性の差が大きく、セパレータの界面状態を良好にすることができないからと考えられる。
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。上述した一実施形態では、電池として、帯状の正極と、帯状の負極とをセパレータを介して積層し、さらに、長手方向に巻回されてなる巻回電極体を用いた場合を例に挙げて説明したが、この発明は、これに限定されるものではない。
例えば、正極と負極とを積層してなる積層型電極体を用いた場合などに適用可能である。また、上述した一実施形態によるゲル電解質電池は、円筒型、角型等、その形状については、特に限定されることはなく、また、薄型、大型等の種々の大きさにすることが可能である。さらに、二次電池に限らず、一次電池などの他の電池についても同様に適用することができる。
また、一実施形態では、ポリプロピレンを含むセパレータを用いたが、ポリエチレン製のセパレータを用いることも可能である。ポリエチレン製セパレータを用いた場合でも、ポリプロピレンを含むセパレータほどではないが、十分な電池特性を得ることができる。
この発明の一実施形態による電解質を用いた二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図1で示した巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。
符号の説明
1・・・外装部材
2・・・密着フィルム
10・・・巻回電極体
11・・・正極リード
12・・・負極リード
13・・・正極
13A・・・正極集電体
13B・・・正極活物質層
14・・・負極
14A・・・負極集電体
14B・・・負極活物質層
15・・・セパレータ
16・・・ゲル電解質
17・・・保護テープ

Claims (2)

  1. 正極および負極と、電解液が高分子化合物で保持されるゲル電解質と、セパレータと、を備え、
    上記高分子化合物は、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体を含み、
    上記セパレータは、少なくとも表面にポリプロピレンを含み、
    上記フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体の重量平均分子量が、50000以上である非水電解質電池。
  2. 上記フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体は、ロピレンを由来にする繰り返し単位を、5mol%〜50mol%含むものであ請求項1記載の非水電解質電池。
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