JP5156796B2 - 耐熱性の樹脂プリント用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、布帛などの繊維製品に樹脂プリント(加飾模様)を付与するために用いることができる樹脂プリント用組成物に関する。より詳しくは、熱のかかる状況でプレスを行っても模様の変形・変色が生じにくい樹脂プリント用組成物に関する。
従来より、自動車の座席やドアに貼付するための内装用シートとして、樹脂プリント用組成物で表面を加飾した布帛(加飾シート)が汎用されている。このような布帛としてはポリエステル系の布帛が一般に用いられ(モケット、トリコット、ダブルラッシェル、ジャージィ、織物組織のポリエステル布帛が主流)、樹脂プリント用組成物としては、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂をバインダーとし、着色のための顔料等を含む液状組成物が一般に用いられている。布帛の加飾は、布帛の片面に、ロータリープリント法やロールプリント法により樹脂プリント用組成物からなる柄模様(線画やドット等)を付すことによって一般に行われている。
上記内装用の加飾シートをドア等の金属パーツや座席に貼付する際は、上記加飾シートをそのまま用いるか、あるいは加飾シートの裏面に、ポリウレタン発泡シート(3mm、5mm、10mm厚のものが主流:スラブウレタンとも呼ばれる)を接着したウレタンラミネート布帛を用いるのが一般的である。スラブウレタンは、フレームラミネーション機を用いて、表面の一部を溶融させながら加飾シートに圧着し、冷却して溶融させた表面を固化することで加飾シートの裏面に接着される。
このようにして製造された自動車内装用シートは、座席に用いられる場合には、裁断縫製により座席用カバーとされ、イス型のモールドウレタンに被せられる。あるいは近年では、工程の簡略化および裁断縫製品で対応できない形状の座席が増えているため、イス型のモールドウレタンに接着剤を利用して接着されることもある。
また、ドア等の金属パーツの内壁に用いられる場合には、ポリプロピレン(PP)成型したドア基材、またはボードに接着剤で貼付されてきた。
このように、従来から行われてきた方法によれば、加飾シートに高熱がかかることはなく、樹脂プリント用組成物に耐熱性が要求されることはなかった。
しかし近年では、製造工程を簡略化するため、自動車の金属パーツのPP成形と加飾シートの貼付を同時に行う方法が検討されており、例えば、溶融したポリプロピレン樹脂を流し込みながら、車体のパーツとなる金属パネルと、ウレタンラミネート布帛を金型でプレスすることにより(金属パネルとウレタンラミネート布帛の間にポリプロレン樹脂が介在する)、ドア基材の樹脂成形を行うと同時にドア内壁にウレタンラミネート布帛を圧着接着する新しい工法が考案されている。
しかしこのような新しい方法を用いた場合、溶融したポリプロピレン樹脂の熱(170℃〜200℃)がスラブウレタンを通して加飾シートに伝わるため、シート表面の加飾部分(樹脂プリント用組成物によって形成された模様)に変形や変色が生じるという問題が発生した。特に自動車の内装については、ドアと座席に同一模様の加飾シートを用いて内装を統一するのが一般的であるが、上記の新しい工法を用いると、ドアシートの模様にのみ加熱による変形や変色が生じるため、座席の模様との相違が目に付きやすい。したがって、新しい工法では、従来の加飾シートをそのまま用いることができないという問題が発生した。
布帛に樹脂プリントを形成するために用いることができる組成物については、これまでも品質の改良が検討されており、例えば下記特許文献1には、耐久性や耐汚染性を有する塗膜を形成できる水分散性被覆用組成物が開示されている。しかし、これらの組成物を用いても、高熱による変形や変色といった新しい工法に付随して発生する問題を解決することはできない。
特公平4−48832号公報
したがって、本発明は、布帛などの繊維製品に模様を付すために用いられるプリント用組成物であって、高熱がかかる状態でプレスした際も、変形や変色が生じにくい加飾模様を布帛上に付与できる樹脂プリント用組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、揮発成分を飛ばして不揮発成分のみからなる固形状態とした際に、所定の条件下で所定のトルク値を有するように構成した樹脂プリント用組成物を用いれば、熱プレスを行った際も、布帛上に形成した樹脂プリントに変形や変色が生じないことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、布帛表面に模様を付与するための樹脂プリント用組成物であって、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂から選択される樹脂を含む水性分散体からなり、
当該水性分散体から、100℃で加熱することにより揮発する揮発性成分を揮発させて固形状態とした際に、170℃の条件下で、0.35MPaでプレスしながらねじりを1°/秒で60秒加えた時のトルクが、0.085N・m〜0.315N・mであること
前記固形状態での不揮発成分換算において、前記樹脂を80重量%以上含むこと、
エチレングリコール、尿素、またはターペンからなる群から選択される乾燥防止剤を含むことを特徴とする。
上記の条件下で上記範囲のトルクを示す樹脂プリント用組成物を用いて布帛表面を加飾すると、風合いに優れた加飾布帛を得ることができ、且つ、当該加飾布帛を高熱(170〜200℃)のかかる状況でプレスした場合に、加飾部分(樹脂プリント部分)に変色や変形が生じない加飾布帛を提供することができる。
本発明の樹脂プリント用組成物を用いて布帛上に加飾を行えば、加熱加圧されたとしても、加飾部分に変形や変色が生じない加飾布帛を提供することができる。
不揮発成分のみとした樹脂プリント用組成物をキュラストメーターで測定した際の、トルクの推移を示すグラフである。 実施例4による卓上プレス機を用いたプレスの状態を模式的に示す図である。 実施例4によるプレス後の加飾布帛の表面写真であって、(A)は本発明にかかる樹脂プリント用組成物で加飾された布帛を、(B)は比較例の樹脂プリント用組成物で加飾された布帛の写真を示す。
本発明に係る布帛としては、自動車の内装用シートとして一般に用いられている布帛を使用することができる。好ましい布帛として、ポリエステル系の布帛(モケット、トリコット、ダブルラッシェル、ジャージィ、織物組織のポリエステル布帛)が挙げられる。
本発明にかかる樹脂としては、一般に布帛上に樹脂プリント(加飾模様)を付与するために用いられている公知の熱可塑性のウレタン系樹脂やアクリル系樹脂が使用できる。例えば、イオン性を有し、乳化剤がなくても水中に分散する水性ウレタン樹脂や水性アクリル樹脂、あるいは、乳化剤により水に乳化分散される水分散型ウレタン樹脂や水分散型アクリル樹脂等が使用できる。上記樹脂は、不揮発成分として換算した際(前述した固形状態における不揮発成分換算を意味する。以下、本明細書において同じ)、樹脂プリント用組成物中に70〜97重量%含まれていることが好ましく、80〜95重量%含まれていることが特に好ましい。
上記樹脂として、アクリル系樹脂を用いる場合、本発明にかかる樹脂プリント用組成物は、不揮発成分として換算した際、0.5〜8.0重量%(より好ましくは1.0〜4.0重量%)の架橋剤を含むことが好ましい。
本発明において、トルクは、JIS K6300−2(振動式加硫試験機による加流特性の求め方)におけるダイ加硫試験A法(ねじり振動式平板ダイ加硫試験)に準拠した試験機(キュラストメーター)と方法により測定することができ、測定の際には、試験温度を170℃に設定し、プレス圧0.35MPaを加えながらねじりを1°/秒加え、60秒後の数値(トルク:単位N・m)を読み取る。本発明にかかる樹脂プリント用組成物は水性分散体であるが、トルクを測定する際には、段落[0026]に記載のように揮発成分を飛ばし、不揮発成分のみからなる固形体とした状態で測定する。
上記方法により測定されるトルクが、0.085N・m以上0.315N・m以下の樹脂プリント用組成物を用いれば、布帛上に熱プレスに耐える樹脂プリントを施すことができる。上記トルクが0.085N・m未満の樹脂プリント用組成物では、熱プレス時に樹脂プリントの変形・変色が生じやすく、また、上記トルクが0.315N・mを越えると樹脂プリントを施した際の風合いが劣る。より好ましい樹脂プリント用組成物は、上記条件下で0.10N・m以上0.28N・m以下のトルクを有し、特に好ましい樹脂プリント用組成物は、上記条件下で0.17N・m以上0.25N・m以下のトルクを有する。
本発明に係る樹脂プリント用組成物は、布帛表面に樹脂プリントを施すために使用されている既存の方法に使用することができる。このような方法としては、ロータリープリント法やロールプリント法が一般的である。孔の目詰まりを防ぐために、本願発明の樹脂プリント用組成物は、エチレングリコール、尿素およびターペンからなる群から選択される乾燥防止剤を含むことが好ましい。上記乾燥防止剤は、不揮発成分として換算した際、樹脂プリント用組成物中に、2.0〜8.0重量%含まれていることが好ましく、3.0〜5.0重量%含まれていることが特に好ましい。
また、本発明に係る樹脂プリント用組成物は、ウレタン系またはアクリル系の増粘剤を含み、BH型粘度計ローターNo.7にて、23℃の温度で、回転数10rpmで測定した際、5000〜70000mPs・S(より好ましくは15000〜50000mPs・S)の粘度を有することが好ましい。粘度が5000mPs・S未満の場合、プリントがにじみやすくなり、粘度が70000mPs・Sを越えると、プリントがかすれやすくなる。上記増粘剤は、不揮発成分として換算した際、樹脂プリント用組成物中に1.5〜6.0重量%含まれていることが好ましく、2.0〜4.0重量%含まれていることが特に好ましい。
また、本発明に係る樹脂プリント用組成物は、不揮発成分として換算した際、無機系の顔料を1.0〜15重量%(より好ましくは1.5〜13.0重量%)含むことが好ましい。無機系の顔料を用いることにより、布帛に着色プリントを施すことができ、且つ、プリント表面上の粘着性を低下させることができるため、金型でプレスした際も金型からの剥離がスムーズであり、プリント表面の平滑性を保つことができる。
次に、実施例を掲げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例に限られるものではない。
[実施例1]樹脂プリント用組成物の調製
ベース樹脂を分散状態で含む液状の市販品(アクリル系樹脂の水系エマルジョンまたはウレタン系樹脂の水系エマルジョン)を使用して、樹脂プリント用組成物を調製した。使用した市販品を以下に示す
(1)アクリル系樹脂
・ニューコート(新中村化学工業株式会社)
−16(不揮発分:50% 溶媒:水)
−17(不揮発分:50% 溶媒:水)
−22(不揮発分:50% 溶媒:水)
(2)ウレタン系樹脂
・エバファノール(日華化学株式会社)
水系ポリウレタン樹脂 不揮発分:50% 溶媒:水
・ハイドラン(HYDRAN)(DIC株式会社)
HW−312(ポリエーテル系ウレタン 不揮発分:40% 溶媒:水)
HW−333(ポリエステル系ウレタン 不揮発分:40% 溶媒:水/NMP)
HW−920(ポリエステル系ウレタン 不揮発分:50% 溶媒:水)
HW−930(ポリエステル系ウレタン 不揮発分:50% 溶媒:水)
HW−940(ポリエステル系ウレタン 不揮発分:50% 溶媒:水)
HW−950(ポリエーテル系ウレタン 不揮発分:30% 溶媒:水)
上記市販品(ベース樹脂を分散状態で含む液状組成物)を単独または混合して用い、樹脂含有液状組成物100重量部に対し、乾燥防止剤としてエチレングリコール2重量部、ウレタン系増粘剤(日華化学株式会社 ネオステッカー 不揮発成分:50%)3重量部、任意で表1に示す重量部の顔料(酸化チタン)と架橋剤(各種とも不揮発成分:50%)を添加し、B型粘度計ローターNo.7にて、23℃の温度で、回転数10rpmで、20000mPa・Sに調製した。
[実施例2]樹脂プリント用組成物のトルクの測定
測定機器として、日合商事株式会社(現JSRトレーディング株式会社)製のキュラストメーター(型番:キュラストメーターWR)を使用した。
樹脂プリント用組成物をガラス板に塗布して3日間自然乾燥した後、100℃で10分間加熱することにより、揮発成分を完全に揮発させ、さらに150℃で5分間加熱することにより(この加熱により、架橋剤を含むものについては架橋反応が完了する)、不揮発成分からなるシート状の固形物としたあと、カットし、それらを重ね合わせて塊状物の試験片とした。試料の量は、JIS K6300−2のダイ加硫試験A法(ねじり振動式平板ダイ加硫試験)に準拠し、ダイを閉じたときにダイの全周から少量の試験片が流れ出る量とした。具体的には、作製したシート状固形物を、30mm×30mmにカットし、それらを約5cm(約6.5g)になるよう重ね合わせたものを試料とした。上下ダイを閉じた状態で170℃に加熱し、温度が安定した後にダイを開き、下ダイの上に試験片を載せダイを閉じ、その後、プレス圧0.35MPaをかけながら、ねじりを1°/秒加えた。
図1は、複数の試料(試料番号1・13・16・23)の測定結果を示すグラフである。縦軸はトルクを示し、横軸は試験時間を示す。図1に示すように、トルクは試験開始後数十秒の間は変動するが、その後はほぼ安定する。本実施例では、60秒後の数値(単位N・m)を読み取った。
なお、再現性を確認するため、別の型番のキュラストメーターを用いて追試を行ったが、ほぼ同じトルクが得られた。
[実施例3]樹脂プリントの表面風合いの評価(熱プレス前)
実施例1で製造した各樹脂プリント用組成物を用いて、80メッシュのフラットスクリーンで、φ8mmスキージを用いて、1〜2mmの柳柄を約30g/m固形分付着するようにプリントを行い、乾燥機で150℃×2分間乾燥させてものを試料として使用した
この試料と、樹脂プリントを行っていないブランクの試料を台の上に乗せ、それぞれの試料を指先でこすったときの感触を風合いとして、以下の基準により判定した。
風合いの判定 判定結果
まったく風合いが変わらない ◎
ほとんど風合いが変わらない ○
やや風合いに変化が見られる ×
容易に風合いの変化が見られる ×
風合いの変化が著しい ×
[実施例4]樹脂プリントの熱プレスによる変形・変色の評価方法
分散染料で染色し乾燥した起毛品のポリエステル布帛表面に、スチーム処理と同時にプレスするセミデカ加工を行い毛伏せの加工を施した。実施例1で製造した樹脂プリント用組成物を用いて、ロータリースクリーン機で線幅1mm〜2mmの線柄をプリントし、150℃で2分乾燥させた。
樹脂プリント後の乾燥工程において、樹脂プリント以外の部分は、セミデカ加工による毛伏せが元のパイル状態に復活するため、線柄部分が凹状、それ以外が凸状となる布帛が得られた。このように製造した加飾シートの裏面側に5mm厚のスラブウレタンを貼付し、これを50mm×50mmにカットしたものを試料として用いた。
試験機器として、テクノサプライ製の小型プレスG−12型(商品名:プラスチックフィルム作製装置 機器名:卓上プレス)を用いた。
プレス機の下段プレートの上に、30mm×30mm×5mmの金属板(S55C)を置き、下段プレートの温度を200℃に設定し、上段プレートの温度を35℃に設定した。金属板を覆うように、スラブウレタン側を下にして試料を載せ、140kg/cmの圧力をかけてプレスした(図2参照)。20秒のプレス後に試料を取り出し、サンプル表面の樹脂プリント(線画)の変形、変色を確認した。
この実施例は、自動車用ドアのPP成形と加飾シートの貼付を同時に行う工法を想定し、その際に、熱と圧力が布帛上の樹脂プリントに与える影響を観察するためのものである。
すなわち、上段プレートの温度は加飾シート表面側の金型の温度(ほぼ常温)に対応し、下段プレートの上に載せた金属板の温度(下段プレートとほぼ同じく200℃)は加飾シートの裏面側と接触する溶融ポリプロピレンの温度に対応する。一回り小さな金属板の上に試料を載せてプレスを行うことにより、試料のうち、金属板と接触する部分は約200℃の熱がかかった状態でプレスされるが、金属板と接触しない部分は熱も圧力もかからないため、一枚の試料において熱プレス部と未プレス部(ブランク部)の対比が可能となる。
<変形の判定>
上記熱プレス後に、試料の熱プレス部とブランク部を対比し、線画の変化を判定した。
線画の変化 判定結果
全く線画の変化が無い ◎
ほとんど線画の変化が無い ○
やや線画につぶれが見られる △
容易に線画のつぶれが見られる ×
線画のつぶれが著しい ×
<変色の判定>
上記熱プレス後に、試料の熱プレス部とブランク部を対比し、色の変化を判定した。
色の変化 判定結果
全く色の変化が無い ◎
ほとんど色の変化が無い ○
やや色に変化が見られる △
容易に色の変化が見られる ×
色の変化が著しい ×
参考のため、図3の(A)に判定結果が良好(変形評価◎・変色評価○)の布帛の写真を、(B)に判定結果が不良(変形・変色評価ともに×)の布帛の写真を示す。プレス部と未プレス部を対比した際、(A)は線画の形や色に変化が見られない。これに対し(B)では、プレス部において線画のつぶれがはっきりと観察され、色も白っぽく変化している。
[実施例5]樹脂プリントの表面の粘着性の評価方法
上述したドアのPP成形と加飾シートの貼付を同時に行う工法において、樹脂プリントが金型に付着し、金型から剥離する際に模様が損なわれるといった問題がないかを判断するために、試料のうちいくつかについて、以下の方法で粘着性を測定した。
フッ素処理した樹脂板に樹脂プリント用組成物を流し込み、風乾して、1mm厚のフィルムを作製した。このフィルムを150℃で1分間熱処理した後、100mm×100mmのサイズにカットして試料とした(前記熱処理により、架橋剤を含む樹脂プリント用組成物では、架橋反応が完了する)。
70℃に設定したパネルヒーターの上に、試料フィルムを乗せてその全周を粘着テープでパネルに固定した。固定後、試料フィルムの中央に30mm×30mm×5mmの金属板(S55C:35.5g)を置き、金属板の上に更に1kg荷重の重りを乗せ、1分間加圧した。その後、テンションゲージを用いて金属板を引っ張り、金属板と試料フィルムの剥離強度を測定し、これを粘着性としてN(ニュートン)で示した。
上述した実施例1〜5の結果を表1にまとめる。
不揮発成分換算における各成分の重量部と重量%を表2に示す。
表1に示すように、不揮発成分のみとした際に、上記測定方法によりトルクが0.085〜0.315N・mの樹脂プリント用組成物は、布帛上に樹脂プリント(柄模様)を施した際の風合いもよく、さらに熱プレス後も樹脂プリントに変形や変色は認識されないか、認識されてもわずかであった。これに対し、トルクが0.085N・m未満のものは樹脂プリント後の風合いは良いものの、熱プレス後に変形及び/又は変色が観察された。また、トルクが0.315N・mを越えるものは、樹脂プリントした際の風合いが劣った。
これらの樹脂プリント用組成物により加飾されたポリエステル布帛を用いて、ドアのPP成形と加飾シートの接着を同時に行う工法を試したところ、総合評価に対応する結果が得られ、総合評価が○か◎のものについては、樹脂プリントに目立った変形や変色は生じなかった。また、総合評価が○か◎のものは全て、上記工法を行った際も、金型と樹脂プリントの間に目立った粘着性が観察されることはなく、樹脂プリント表面に荒れは生じなかった。ただし、無機系の顔料(本実施例では酸化チタン)を添加した組成物のほうが、粘着性が低下する傾向が見られた。
本発明にかかる樹脂プリント用組成物は、高熱がかかる工法に用いられる布帛に樹脂プリントを施すのに最適である。

Claims (7)

  1. 布帛表面に模様を付与するための樹脂プリント用組成物であって、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂から選択される樹脂を含む水性分散体からなり、
    当該水性分散体から、100℃で加熱することにより揮発する揮発性成分を揮発させて固形状態とした際に、170℃の条件下で、0.35MPaでプレスしながらねじりを1°/秒で60秒加えた時のトルクが、0.085N・m〜0.315N・mであること
    前記固形状態での不揮発成分換算において、前記樹脂を80重量%以上含むこと、
    エチレングリコール、尿素、またはターペンからなる群から選択される乾燥防止剤を含むこと
    を特徴とする、樹脂プリント用組成物。
  2. 前記トルクが0.17N・m〜0.25N・mであることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂プリント用組成物。
  3. 前記固形状態での不揮発成分換算において、前記乾燥防止剤を2.0〜8.0重量%含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂プリント用組成物。
  4. 前記布帛が、自動車の内装用シートとして用いられる布帛であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂プリント用組成物。
  5. 前記布帛が、高熱(170〜200℃)がかかる状態でプレスされる工法に用いられるものであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂プリント用組成物。
  6. 前記樹脂がアクリル樹脂であり、架橋剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂プリント用組成物。
  7. 無機顔料を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂プリント用組成物。
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