JP5155808B2 - 半導体放射線検出器および核医学診断装置 - Google Patents

半導体放射線検出器および核医学診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、半導体放射線検出器および核医学診断装置に関するものである。
近年、放射線計測技術を応用した放射線検出装置として核医学診断装置が広く普及してきている。その代表的な装置が陽電子放出型断層撮像装置(PET撮像装置)、単光子放射断層撮像装置(SPECT撮像装置)、ガンマカメラ装置などである。これらの装置で主として使用されている放射線検出器は、シンチレータと光電子増倍管とを組み合わせたものであるが、γ線等の放射線を検出する放射線検出器として、テルル化カドミウム、カドミウム・亜鉛・テルル、ガリウム砒素、臭化タリウム等の半導体結晶によって構成された半導体放射線検出器を用いた技術が注目されている。
半導体放射線検出器は、放射線と半導体結晶との相互作用で生じた電荷を電気信号に変換する構成であるため、シンチレータを使用したものより電気信号への変換効率がよく、かつ小型化が可能である等、種々の特徴がある。
半導体放射線検出器は、前記の半導体結晶と、この半導体結晶の一面に形成されたカソード電極と、半導体結晶を挟んでこのカソード電極と対向するアノード電極とを備えている。これらのカソード電極とアノード電極との間に直流高圧電圧を印加することにより、X線、γ線等の放射線が半導体結晶内に入射したときに生成される電荷を、前記カソード電極あるいはアノード電極から信号として取出すようにしている。
ところで、半導体結晶からなる検出素子の一面に複数のカソード電極を設置してカソード電極から信号を取り出すか、あるいは半導体結晶の一面に複数のアノード電極を設置してアノード電極から信号を取出すことにより、一つの検出素子に複数チャンネルの検出部を有する半導体放射線検出器を構成することが可能である(例えば、特許文献1参照)。
一方、半導体結晶としての臭化タリウムは、テルル化カドミウム、カドミウム・亜鉛・テルル、ガリウム砒素等他の半導体結晶に比べて光電効果による線減衰係数が大きく、薄い結晶で他の半導体結晶と同等のγ線感度を得ることができるため、臭化タリウムによって構成された半導体放射線検出器およびそれを用いた核医学診断装置は、他の半導体放射線検出器およびそれを用いた核医学診断装置に比べて、より小型化が可能である。
また、臭化タリウムは、テルル化カドミウム、カドミウム・亜鉛・テルル、ガリウム砒素等他の半導体結晶に比べて安価であるため、臭化タリウムによって構成された半導体放射線検出器およびそれを用いた核医学診断装置では、他の半導体放射線検出器およびそれを用いた核医学診断装置に比べて、安価にすることが可能である。
さらに、近年では、臭化タリウムによって構成された半導体放射線検出器に、カソード電極およびアノード電極として金/タリウム二層電極を用いることにより、ポーラリゼーションを防止して長時間の安定動作が可能になることが明らかになった(例えば、非特許文献1参照)。
特開2006−319285号公報 Nucl. Instr. and Meth. A vol.585(2008)の第102頁から第104頁
ところで、半導体結晶として臭化タリウムを用いて一つの検出素子に複数チャンネルの検出部を有する半導体放射線検出器を構成する場合には、一対のカソード電極およびアノード電極のみを有する検出素子と同様にして、カソード電極およびアノード電極として金/タリウム二層電極を用いることにより、ポーラリゼーションを防止することが考えられる。
しかしながら、例えば、臭化タリウム結晶の一面に複数のカソード電極を形成する場合、複数のカソード電極に対応するそれぞれ別々の電極板が導電性接着剤によって電気的に接着され、この電極板を介してカソード電極が信号処理回路に接続されることとなるが、分割して形成した金/タリウムの二層からなる二つのカソード電極の間における臭化タリウム結晶の表面を被覆せずに露出した状態にすると、導電性接着剤の一部がカソード電極と電極板の間からはみ出して臭化タリウム結晶の露出面に接触することがあり、金電極あるいは電極板と臭化タリウム結晶がタリウム電極を介さずに短絡してしまう可能性がある。
その場合、ポーラリゼーションの防止が不十分となり、半導体放射線検出器として長時間の安定動作ができなくなる。
また、例えば、臭化タリウム結晶の一面に複数のカソード電極を形成する場合に、カソード電極を形成する臭化タリウム結晶の面全体にタリウム電極を形成して、金電極のみを分割して複数形成すると、タリウム電極自体が導電性であるために複数のカソード電極の間で信号のクロストークが生じる。このような場合には、複数のカソード電極を形成したにもかかわらず、複数チャンネルの検出部を有する検出器としてそもそも機能しなくなってしまう。
このような観点から、本発明の目的は、半導体結晶として臭化タリウムを用いて一つの検出素子に複数チャンネルの検出部を有する半導体放射線検出器において、クロストークが生じるのを防止するとともにポーラリゼーションを好適に防止することができる半導体放射線検出器およびそれを用いた核医学診断装置を提供することにある。
前記した課題を解決するための手段として本発明の半導体放射線検出器は、カソード電極およびアノード電極で挟まれる検出素子が半導体結晶として臭化タリウムを用いてなり、少なくとも前記カソード電極または前記アノード電極が前記検出素子の一つの面に二つ以上配置されて別個のチャンネルをなす検出部が複数設けられた半導体放射線検出器であって、前記カソード電極および前記アノード電極は、二層の積層構造とされ、前記検出素子側の第1層がタリウムであり、前記検出素子は、前記カソード電極または前記アノード電極が二つ以上配置される側において、前記カソード電極または前記アノード電極の側方における前記半導体結晶の露出面が、前記タリウムの酸化物あるいはフッ化物のいずれかからなる絶縁スペーサで被覆されている構成とした。この構成によれば、カソード電極またはアノード電極の側方における、半導体結晶の露出面が、絶縁スペーサで被覆されているので、電極板を接着するための導電性接着剤の一部が、仮に、カソード電極あるいはアノード電極と電極板との間からはみ出して、これが半導体結晶側に流れる事態が生じても、第2層の電極やこれに接着された電極板と、臭化タリウムの半導体結晶とがタリウム電極を介さずに短絡してしまうことが阻止される。これにより、ポーラリゼーションを好適に防止することができる。
また、複数のカソード電極同士の間または複数のアノード電極同士の間が絶縁スペーサによって絶縁されることとなるので、複数の電極の間で信号のクロストークが生じるのを好適に防止することができる。
本発明によれば、半導体結晶として臭化タリウムを用いて一つの検出素子に複数チャンネルの検出部を有する半導体放射線検出器において、クロストークが生じるのを防止するとともにポーラリゼーションを好適に防止することができる半導体放射線検出器およびそれを用いた核医学診断装置が得られる。
以下、本発明の半導体放射線検出器の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態の半導体放射線検出器(以下では単に、検出器という)1は、図1(a)に示すように、1枚の半導体素子(検出素子)11と、半導体素子11の一方の面(上面)に配置された二層の電極(第1タリウム電極12A〜12D、分割電極14A〜14D)および分割電極板16A〜16Dと、他方の面(下面)に配置された二層の電極(第2タリウム電極13、共通電極15)および共通電極板17とを備えて構成されている。
検出素子11は、図1(b)に示すように、平板状に形成された臭化タリウム結晶(臭化タリウムの半導体結晶)11aを備え、その一方の面(上面)には、カソード電極またはアノード電極の一方をなして、二層の電極の第1層を形成する、薄い膜状の4つの第1タリウム電極12A〜12Dが設けられ、さらにその上面には、第2層を形成する薄い膜状の4つの分割電極14A〜14Dが設けられている。また、他方の面(下面)には、カソード電極またはアノード電極の他方をなして、二層の電極の第1層を形成する、薄い膜状の第2タリウム電極13がその全面にわたって設けられ、さらにその下面には、第2層を形成する薄い膜状の共通電極15が全面にわたって設けられている。
臭化タリウム結晶11aの分割電極板16A〜16Dが形成された面のうち、第1タリウム電極12Aと第1タリウム電極12Bとの間の領域、第1タリウム電極12Bと第1タリウム電極12Cとの間の領域、および第1タリウム電極12Cと第1タリウム電極12Dとの間の領域には、第1タリウム電極12A〜12Dおよび分割電極14A〜14Dを分離絶縁するための絶縁スペーサ18が形成されている。また、臭化タリウム結晶11aの分割電極板16A〜16Dが形成された面のうち、第1タリウム電極12Aよりも外側の領域、および第1タリウム電極12Dよりも外側の領域には、絶縁スペーサ19が形成されている。
本実施形態では、一つの検出素子11に、分割電極14A〜14Dおよび第1タリウム電極12A〜12Dで仕切られてチャンネルをなす検出部が、計4つ設けられている(検出部:この例では、図1(b)に示すように、符号10a〜10dで示される領域)。
臭化タリウム結晶11aは、放射線(γ線等)と相互作用をして電荷を生成する領域をなしており、臭化タリウムの単結晶をスライスして形成されている。本実施形態では、臭化タリウム結晶11aの厚さを、例えば、1.2mm、第1タリウム電極12A〜12Dおよび第2タリウム電極13を形成する面の寸法を、例えば、5.2mm×5.0mmの薄板状体としてある。
また、第1タリウム電極12A〜12Dおよび第2タリウム電極13の厚さは、例えば、20nmとしてある。
また、分割電極14A〜14Dおよび共通電極15は、金または白金のいずれかを用いて形成されており、その厚さは、例えば、50nmとしてある。なお、共通電極15として、アルミニウムやチタン等を用いてもよい。
第1タリウム電極12A〜12D、および分割電極14A〜14Dの寸法は、例えば、1.2mm×5.0mmとしてあり、第2タリウム電極13および共通電極15の寸法は、例えば、5.2mm×5.0mmとしてある。
また、分割電極板16A〜16Dが分割電極14A〜14Dに接する部分の寸法は、例えば、1.2mm×5.0mmとしてあり、共通電極板17が共通電極15に接する部分の寸法は、例えば、5.2mm×5.0mmとしてある。つまり、分割電極14A〜14Dの全面に分割電極板16A〜16Dが接するようになっており、共通電極15の全面に共通電極板17が接するようになっている。
ここで、絶縁スペーサ18および絶縁スペーサ19の厚さは、例えば、約30nmとしてあり、絶縁スペーサ18の幅は、例えば、0.1mm、絶縁スペーサ19の幅は、例えば、0.05mmとしてある。
なお、前記した各寸法は、一例を示すものであり、前記各寸法に限定される趣旨ではない。
次に、このような第1タリウム電極12A〜12D、第2タリウム電極13、分割電極14A〜14D、および共通電極15を備えた検出素子11の製作工程を説明する。
はじめに、平板状に形成された臭化タリウム結晶11aの一方の面(5.2mm×5.0mmの面)に電子ビーム蒸着法によってタリウムを20nm被着し、続いて金あるいは白金のいずれかを50nm被着し、第2タリウム電極13と共通電極15を形成する。
次に、臭化タリウム結晶11aの共通電極15を形成した面と反対側の面に、電子ビーム蒸着法によってタリウムを20nm被着し、続いて金あるいは白金のいずれかを50nm被着する。その後、リフトオフ法によって加工し、分割電極14A〜14Dを形成する。その後、被着したタリウムのうち分割電極14A〜14Dで被覆されていない領域を、酸素プラズマによって酸化して酸化タリウムとするか、あるいは四フッ化炭素(CF)のプラズマによってフッ化してフッ化タリウムとすることにより、分割電極14A〜14Dの電極間の領域に絶縁スペーサ18を形成するとともに、分割電極14A,14Dの側方の領域に絶縁スペーサ19を形成する。その結果として、第1タリウム電極12A〜12Dが形成される。
このような工程を経ることによって検出素子11が得られる。
なお、図示しないマスクを配置して金を被着するようにしてもよい。
そして、このようにして得られた検出素子11に対して、図1(c)に示すように、分割電極14A〜14D、共通電極15、分割電極板16A〜16Dおよび共通電極板17を導電性接着剤によってそれぞれ接続する。これによって、検出器1(図1(a)、(b)参照)が作製される。
ここで、分割電極板16A〜16D、および共通電極板17は、薄板状の部材であり、例えば、鉄−ニッケル合金、鉄−ニッケル−コバルト合金、クロム、タンタルのうち、少なくとも1つから構成される。接着に使用される導電性接着剤としては、例えば、金属粉(銀)などの導電性粒子を有機高分子材料からなる絶縁性の樹脂バインダ中に分散したものが用いられる。
次に、前記した検出器1を用いて構成される放射線検出装置30について説明する。
放射線検出装置30に適用される検出器1は、図2に構造を簡略化して示すように、共通電極板17側に、直流高圧電源20が接続され、分割電極板16A〜16D側が抵抗を介して接地されるとともに、アナログ計測回路40に設けられた信号処理回路40A〜40Dに接続されている。直流高圧電源20は、検出器1に電荷収集用の電圧として、−400〜−800Vあるいは+400〜+800Vを印加するようになっており、直流高圧電源20の正負電圧の極性は、一定時間ごと、例えば、30時間ごとに逆転させる。これは、後記するように、陽イオン化反応およびその逆反応の何れかが極端に進行することによって第1タリウム電極12A〜12Dまたは第2タリウム電極13の何れかが消耗するのを防止するためである。
アナログ計測回路40は、検出器1と接続されてこの検出器1から出力される放射線検出信号(γ線検出信号)を処理する信号処理回路40A〜40Dを有する。信号処理回路40A〜40Dは、検出器1の分割電極板16A〜16Dにそれぞれ対応して設けられている。このような信号処理回路40A〜40Dは、検出器1の1つのチャンネルにそれぞれ対応して設けられている。
信号処理回路40Aは、γ線検出信号に基づきγ線の波高値を求めることを目的として、チャージアンプ41A、シェーピングアンプ42A、ゲート積分器43A、および波高分析回路44Aを備えている。そして、これらのチャージアンプ41A、シェーピングアンプ42A、ゲート積分器43A、および波高分析回路44Aが、この順に接続されている。この点は、信号処理回路40B、40C、40Dにおける、41B〜44B、41C〜44C、41D〜44Dについても同様である。
検出器1の分割電極板16Aから出力されたγ線検出信号は、チャージアンプ41A、シェーピングアンプ42Aで増幅される。増幅されたγ線検出信号は、ゲート積分器43Aで一定時間、例えば、50μs積分された後、波高分析回路44Aに入力される。ゲート積分器43Aの積分時間は、一発のγ線が検出器1に入射して発生した電荷が、分割電極板16Aに収集されるのに十分な時間とされている。また、ゲート積分器43Aの積分時間は、一発のγ線に対応してシェーピングアンプ42Aが出力する信号の時間に対応して、γ線一発ごとにゲート積分器43Aの積分時間を変えるようにしてもよい。波高分析回路44Aは、検出信号の最大値、つまり検出したγ線のエネルギーに比例したγ線検出信号の波高値を保持する。
信号処理回路40A〜40Dの、波高分析回路44A〜44Dから出力される信号は、アナログの波高値信号であり、ADC(アナログ・デジタル変換器)21でデジタル信号に変換される。ADC21は、変換した波高値のデジタル信号を、データ処理装置33に出力する。データ処理装置33は、入力された波高値ごとに波高値信号をカウントする。データ処理装置33は、例えば、波高値(γ線のエネルギー)に対するそのカウント数(γ線のカウント数)の情報等を作成し、記憶装置(図示せず)に記憶させる。データ処理装置33で作成された情報は表示装置34で表示される。
次に、放射線検出装置30の作用について適宜図面を参照しながら説明する。γ線が検出器1(図1(a)参照、以下同じ)の臭化タリウム結晶11a(図1(b)参照)に入射して光電効果によって一次電子を生じると、臭化タリウム結晶11aでは、一次電子と相互作用を及ぼし合うことによって、γ線が持つエネルギーに比例した数の正孔および電子が対になって生成される。
分割電極14A(図1(b)参照)と共通電極15(図1(b)参照)との間には、直流高圧電源20(図2参照)から、例えば、最初、−400Vの電圧が印加されているとする。分割電極14B〜14D(図1(b)参照)と共通電極15との間も同じである。前記のγ線が検出部10a(図1(b)参照)に入射し、一次電子と臭化タリウム結晶11aの相互作用が検出部10aで行われたとすると、正孔は共通電極15の共通電極板17(図1(b)参照)側に移動し、電子は分割電極14Aの分割電極板16A(図1(b)参照)側に移動する。そして、検出器1は、分割電極板16Aに収集された電子の量、つまり電荷の大きさによって、臭化タリウム結晶11aに入射したγ線のエネルギーの大きさを示すγ線検出信号を出力する。ここで、正孔・電子とも最短距離の電極に収集されるので、検出部10aで相互作用が生じると、電子が分割電極14Aに収集されることとなる。これにより、合わせて4つの分割電極板16A〜16Dのうち、どの電極板にγ線検出信号を出力するかによって、臭化タリウム結晶11a中のγ線が入射した位置の情報を得ることができる。
ところで、臭化タリウム結晶11aによって長時間γ線の検出を続けると、発生した電荷の一部がイオンの形で電極付近に蓄積し、印加した電圧を部分的に打ち消して、正孔および電子の収集を妨害する現象、すなわちポーラリゼーションが起こる。
しかし、本実施形態の検出器1においては、分割電極14A〜14Dの直下に第1タリウム電極12A〜12D(図1(b)参照)、共通電極15の直上に第2タリウム電極13(図1(b)参照)を設けてあるので、タリウム金属原子の陽イオン化反応およびその逆反応によって、電極付近に蓄積した電荷をキャンセルすることができる。この陽イオン化反応およびその逆反応の何れかが極端に進行することによって第1タリウム電極12A〜12Dあるいは第2タリウム電極13の何れかが消耗するのを防止するため、直流高圧電源20の正負電圧の極性は、一定時間ごと、例えば、30時間ごとに逆転させる。
例えば、前記のように、分割電極14A〜14Dと共通電極15との間に最初、−400Vの電圧が印加されているとすると、30時間経過後に電圧を+400Vに逆転させる。この場合、発生した正孔は、分割電極14A〜14Dの分割電極板16A〜16D側に移動する。そして、検出器1は、分割電極板16Aに収集された正孔の量、つまり電荷の大きさによって、臭化タリウム結晶11aに入射したγ線のエネルギーの大きさを示すγ線検出信号を出力する。
このようにして、放射線検出装置30では、およそ500時間以上にわたり連続して放射線計測を続けることが可能である。
ここで、本発明者らは、前記の検出器1を256個用いて検出チャンネル数1024(=256×4)の放射線検出装置30を構成し、57Co(コバルト57)の122keVγ線を使用して、その特性を500時間以上にわたり連続して測定した。
そして、256個の検出器1から得た1024個の波高値信号に基づいて、エネルギー122keVのγ線スペクトルを1024個得ることができる。そして、得られたγ線スペクトル1024個のエネルギー分解能の経過時間依存性について検討した。
その結果、前記1024個のγ線スペクトルのエネルギー分解能の平均値として、最初の30分間で7%、500時間経過した後の30分間でも7%という値を得ることができた。
これに対して、絶縁スペーサ18、19を設けずに検出器1’(不図示、以下同じ)を構成した場合、複数の分割電極板16A〜16Dが、導電性接着剤によってそれぞれ分割電極14A〜14Dに接続されるが、分割して形成した第1タリウム電極12A〜12Dおよび分割電極14A〜14Dの間に臭化タリウム結晶11aの露出面が存在しているため、導電性接着剤の一部が分割電極14A〜14Dと分割電極板16A〜16Dの間からはみ出して臭化タリウム結晶11aの露出面に接触することがある。このため、分割電極14A〜14Dまたは分割電極板16A〜16Dと、臭化タリウム結晶11aとが、第1タリウム電極12A〜12Dを介さずに短絡してしまう結果になる。
このような短絡が生じると、検出器1’においてポーラリゼーションの防止が不十分となり、検出器1’を用いて構成される放射線検出装置30’(不図示、以下同じ)では、長時間にわたり連続して放射線計測を続けることが不可能になる。
比較例として、絶縁スペーサ18、19を設けずに検出器1’を256個製作し、検出チャンネル数1024の放射線検出装置30’を構成して、同様に57Co(コバルト57)の122keVγ線を使用してその特性を測定した。
得られたγ線スペクトル1024個のエネルギー分解能の平均値は、最初の30分間では7.5%であったが、10時間経過した後の30分間では18%に劣化し、長時間にわたる放射線検出性能に関して、本実施形態の前記結果を下回った。
また、絶縁スペーサ18、19を、酸化タリウムやフッ化タリウムではなく、例えば、タリウムで構成した検出器1’’(不図示、以下同じ)では、次のような不具合が生じる。すなわち、臭化タリウム結晶11aの上面に被着したタリウムに対して酸化処理やフッ化処理を行わずに、第1タリウム電極12A〜12D、絶縁スペーサ18、および絶縁スペーサ19を一体として、全てタリウムで構成した場合には、タリウム自体が導電性であるために複数の分割電極14A〜14D相互の間で信号のクロストークが生じてしまい、複数の分割電極14A〜14Dを形成したにもかかわらず、検出器1’’は、複数チャンネルの検出部を有する検出器1’’として機能しなくなる。
以上説明した本実施形態の検出器1は、図3に示すような核医学診断装置としてのSPECT撮像装置50に適用することができる。同図に示すように、SPECT撮像装置50は、一対の放射線検出ブロック52,52、回転支持台57、データ処理装置33、および表示装置34を備えている。
放射線検出ブロック52,52は、回転支持台57に周方向に180度ずれた位置に配置される。具体的には、それぞれの放射線検出ブロック52,52の各ユニット支持部材56(一方のみ図示)が周方向に180度隔てた位置で回転支持台に取り付けられる。そして、ユニット支持部材56に、結合基板53を含む複数の検出器ユニット53Aが着脱可能に取り付けられる。検出器1は、コリメータ55で仕切られる領域Kに多段に複数配置される(不図示)。コリメータ55は、放射線遮蔽材(例えば、鉛、タングステン等)から形成され、放射線(例えば、γ線)を通過する多数の放射線通路を形成している。
全ての結合基板53およびコリメータ55は、回転支持台57に設置された遮光・電磁シールド54内に配置される。この遮光・電磁シールド54は、γ線以外の電磁波の検出器1等への影響を遮断している。
このようなSPECT撮像装置50では、放射性薬剤が投与された被検体Hが載置されるベッド32が移動され、被検体Hは、一対の放射線検出ブロック52の間に移動される。そして、回転支持台57が回転されることによって、各放射線検出ブロック52が被検体Hの周囲を旋回して検出が開始される。
そして、放射性薬剤が集積した被検体H内の集積部(例えば、患部)Dからγ線が放出されると、放出されたγ線がコリメータ55の放射線通路を通って対応する検出器1に入射する。そして、検出器1は、γ線検出信号を出力し、このγ線検出信号は、前記したアナログ計測回路40(図2参照)等で処理され、その後、データ処理装置33で、波高値(γ線のエネルギー)に対するそのカウント数(γ線のカウント数)の情報等が作成されて、その情報等が表示装置34に表示される。
以下では、本実施形態において得られる効果を説明する。
第1タリウム電極12A〜12Dの側方における、臭化タリウム結晶11aの表面が露出する可能性のある部分(第1タリウム電極12A〜12Dの間部分、第1タリウム電極12A、12Dの外側側方部分)が、絶縁スペーサ18、19で被覆されているので、分割電極板16A〜16Dを接着するための導電性接着剤の一部が、仮に、分割電極14A〜14Dと分割電極板16A〜16Dとの間からはみ出して、これが臭化タリウム結晶11a側に流れる事態が生じても、分割電極14A〜14D(第2層)やこれに接着された分割電極板16A〜16Dと、臭化タリウム結晶11aと、が第1タリウム電極12A〜12Dを介さずに短絡してしまうことが阻止される。これにより、ポーラリゼーションを好適に防止することができる。
また、第1タリウム電極12A〜12D同士の間が絶縁スペーサ18によって絶縁されることとなるので、第1タリウム電極12A〜12Dの間で信号のクロストークが生じるのを好適に防止することができる。
また、本実施形態の検出器1を適用したSPECT撮像装置50では、検出器1において複数チャンネルの検出部10a〜10dに対応する複数の第1タリウム電極12A〜12D間でクロストークを生じることなく、ポーラリゼーションを好適に防止することができるので、長時間にわたり、例えば、500時間以上にわたり連続して撮像を可能にすることができる。
したがって、経済効果が高く、コストの低減も図ることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の検出器を説明する。本実施形態の検出器101は、図4(a)に示すように、1枚の半導体素子111と、半導体素子111の一方の面(上面)に配置された第1分割電極板116A〜116D、および他方の面(下面)に配置された第2分割電極板117A〜117Dから構成されている。
半導体素子111は、図4(b)に示すように、平板状に形成された臭化タリウム結晶111aを備え、その一方の面(上面)には、薄い膜状の4つの第1タリウム電極112A〜112Dと、さらにその上面の、薄い膜状の4つの第1分割電極114A〜114Dが形成され、他方の面(下面)には、薄い膜状の4つの第2タリウム電極113A〜113Dと、さらにその下面の、薄い膜状の4つの第2分割電極115A〜115Dが形成されている。
臭化タリウム結晶111aの第1分割電極板116A〜116Dが形成された面のうち、第1タリウム電極112Aと112Bの間の領域、第1タリウム電極112Bと112Cの間の領域、第1タリウム電極112Cと112Dの間の領域には、第1タリウム電極112A〜112Dおよび第1分割電極114A〜114Dを分離絶縁するための第1絶縁スペーサ118が形成されている。また、臭化タリウム結晶111aの第1分割電極板116A〜116Dが形成された面のうち、第1タリウム電極112Aよりも外側の領域、および第1タリウム電極112Dよりも外側の領域には、第1絶縁スペーサ119が形成されている。同様に、臭化タリウム結晶111aの第2分割電極板117A〜117Dが形成された面のうち、第2タリウム電極113Aと113Bの間の領域、第2タリウム電極113Bと113Cの間の領域、第2タリウム電極113Cと113Dの間の領域には、第2タリウム電極113A〜113Dおよび第2分割電極115A〜115Dを分離絶縁するための第2絶縁スペーサ120が形成されている。また、臭化タリウム結晶111aの第2分割電極板117A〜117Dが形成された面のうち、第2タリウム電極113Aよりも外側の領域、および第2タリウム電極113Dよりも外側の領域には、第2絶縁スペーサ121が形成されている。
本実施形態では、第1タリウム電極112A〜112Dと第2タリウム電極113A〜113Dとの寸法、第1分割電極114A〜114Dと第2分割電極115A〜115Dとの寸法、第1絶縁スペーサ118と第2絶縁スペーサ120との寸法、第1絶縁スペーサ119と第2絶縁スペーサ121との寸法は、それぞれ互いに同じ寸法としてある。
本実施形態では、一つの検出素子111に、第1分割電極114A〜114Dおよび第1タリウム電極112A〜112Dと、第2分割電極115A〜115Dおよび第2タリウム電極113A〜113Dで仕切られてチャンネルをなす検出部が、計4つ設けられている(検出部:この例では、図4(b)に示すように、符号110a〜110dで示される領域)。
ここで、臭化タリウム結晶111aの厚さを、例えば、1.2mm、第1タリウム電極112A〜112Dおよび第2タリウム電極113A〜113Dを形成する面の寸法を、例えば、5.2mm×5.0mmの薄板状体としてある。
第1タリウム電極112A〜112Dおよび第2タリウム電極113A〜113Dの厚さは、例えば、20nmとしてある。また、第1分割電極114A〜114Dおよび第2分割電極115A〜115Dは、金または白金のいずれかを用いて形成されており、その厚さは、例えば、50nmとしてある。
第1タリウム電極112A〜112Dおよび第2タリウム電極113A〜113Dの寸法は、例えば、1.2mm×5.0mmとしてあり、第1分割電極114A〜114Dおよび第2分割電極115A〜115Dの寸法は、例えば、1.2mm×5.0mmとしてある。
また、第1分割電極板116A〜116Dが第1分割電極114A〜114Dに接する部分の寸法、および第2分割電極板117A〜117Dが第2分割電極115A〜115Dに接する部分の寸法は、例えば、1.2mm×5.0mmとしてある。
第1絶縁スペーサ118、第1絶縁スペーサ119、第2絶縁スペーサ120、第2絶縁スペーサ121の厚さは、例えば、約30nmとしてある。また、第1絶縁スペーサ118および第2絶縁スペーサ120の幅は、例えば、0.1mmとしてあり、第1絶縁スペーサ119および第2絶縁スペーサ121の幅は、例えば、0.05mmとしてある。
なお、前記した各寸法は、一例を示すものであり、前記各寸法に限定される趣旨ではない。
次に、このような第1タリウム電極112A〜112D、第2タリウム電極113A〜113D、第1分割電極114A〜114D、および第2分割電極115A〜115Dを備えた検出素子111の製作工程を説明する。
はじめに、平板状に形成された臭化タリウム結晶111aの5.2mm×5.0mmの一方の面に、電子ビーム蒸着法によってタリウムを20nm被着し、続いて金あるいは白金の何れかを50nm被着し、リフトオフ法によって加工して、まず第1分割電極114A〜114Dを形成する。
その後、被着したタリウムのうち前記第1分割電極114A〜114Dで被覆されていない領域を、酸素プラズマによって酸化して酸化タリウムとするか、あるいは四フッ化炭素(CF)のプラズマによってフッ化してフッ化タリウムとすることにより、第1絶縁スペーサ118および第1絶縁スペーサ119を形成する。その結果として、第1タリウム電極112A〜112Dが形成される。
同様に、臭化タリウム結晶111aの前記第1分割電極114A〜114Dを形成した面と反対側の面に、第2分割電極115A〜115D、第2絶縁スペーサ120、第2絶縁スペーサ121、および第2タリウム電極113A〜113Dを形成する。
これによって、検出素子111が得られる。
このようにして得られた検出素子111に、図4(b)(c)に示すように、第1分割電極114A〜114D、第2分割電極115A〜115D、第1分割電極板116A〜116D、および第2分割電極板117A〜117Dを、導電性接着剤によってそれぞれ接続する。これによって、検出器101(図4(a)、(b)参照)が作製される。
ここで、第1分割電極板116A〜116Dおよび第2分割電極板117A〜117Dは、薄板状の部材であり、例えば、鉄−ニッケル合金、鉄−ニッケル−コバルト合金、クロム、タンタルのうち、少なくとも1つから構成される。接着に使用される導電性接着剤としては、前記と同様に、例えば、金属粉(銀)などの導電性粒子を有機高分子材料からなる絶縁性の樹脂バインダ中に分散したものが用いられる。
次に、前記した検出器101を用いて構成される放射線検出装置130について説明する。
図5に構造を簡略化して示すように、放射線検出装置130では、検出器101に対して、直流高圧電源20が接続されるとともに、アナログ計測回路140に設けられた信号処理回路140A〜140Dが接続されている。直流高圧電源20は、スイッチ145によって接続を切替えることが可能であり、例えば、最初、第2分割電極板117A〜117Dに共通して接続されるが、30時間ごとに接続を切替えて第1分割電極板116A〜116Dに共通して接続される。信号処理回路140A〜140Dは、スイッチ146A〜146Dによって接続を切替えることが可能であり、例えば、それぞれ最初、第1分割電極板116A〜116Dに別々に接続されるが、30時間ごとに接続を切替えて第2分割電極板117A〜117Dに別々に接続される。信号処理回路140A〜140Dは、抵抗を介してそれぞれ接地されている。直流高圧電源20は、検出器101に電荷収集用の電圧として、−400〜−800Vを印加する。
アナログ計測回路140の信号処理回路140A〜140Dは、それぞれ検出器101の1つのチャンネルに対応して設けられている。
信号処理回路140Aは、γ線検出信号に基づきγ線の波高値を求めることを目的として、チャージアンプ141A、シェーピングアンプ142A、ゲート積分器143A、および波高分析回路144Aを備えている。そして、これらのチャージアンプ141A、シェーピングアンプ142A、ゲート積分器143A、および波高分析回路144Aが、この順に接続されている。この点は、信号処理回路140B、140C、140Dにおける、141B〜144B、141C〜144C、141D〜144Dも同様である。
検出器101の第1分割電極板116Aあるいは第2分割電極板117Aから出力されたγ線検出信号は、チャージアンプ141A、シェーピングアンプ142Aで増幅される。増幅されたγ線検出信号は、ゲート積分器143Aで一定時間、例えば50μs積分された後、波高分析回路144Aに入力される。ゲート積分器143Aの積分時間は、一発のγ線が検出器101に入射して発生した電荷が、第1分割電極板116Aあるいは第2分割電極板117Aに収集されるのに十分な時間とされている。また、ゲート積分器143Aの積分時間は、一発のγ線に対応してシェーピングアンプ142Aが出力する信号の時間に対応して、γ線一発ごとにゲート積分器143Aの積分時間を変えるようにしてもよい。波高分析回路144Aは、検出信号の最大値、つまり検出したγ線のエネルギーに比例したγ線検出信号の波高値を保持する。
信号処理回路140A〜140Dの、波高分析回路144A〜144Dから出力される信号は、アナログの波高値信号であり、ADC21でデジタル信号に変換される。ADC21は、変換した波高値のデジタル信号を、データ処理装置33に出力する。データ処理装置33は、入力された波高値ごとに波高値信号をカウントする。データ処理装置33は、例えば、波高値(γ線のエネルギー)に対するそのカウント数(γ線のカウント数)の情報等を作成し、記憶装置(図示せず)に記憶させる。データ処理装置33で作成された情報は表示装置34で表示される。
本実施形態の放射線検出装置130の作用は、前記第1実施形態の放射線検出装置30と同様であるので、ここでは省略するが、本実施形態では、4つの第1分割電極板116A〜116Dのうちのどの電極板にγ線検出信号を出力するか、あるいは4つの第2分割電極板117A〜117Dのどの電極板にγ線検出信号を出力するかによって、臭化タリウム結晶111a(図4(b)参照)中のγ線が入射した位置の情報を得ることができる。
本実施形態の検出器101においては、第1タリウム電極112A〜112D(図4(b)参照)および第2タリウム電極113A〜113D(図4(b)参照)を設けてあるので、前記第1実施形態で説明した検出器1と同様に、タリウム金属原子の陽イオン化反応およびその逆反応によって、電極付近に蓄積した電荷をキャンセルすることができる。
例えば、直流高圧電源20から印加する電圧の方向を30時間ごとに逆転させることによって、第1タリウム電極112A〜112Dあるいは第2タリウム電極113A〜113Dが消耗するのを防止できる。
このようにして、本実施形態の放射線検出装置130においても、第1実施形態の放射線検出装置30と同様に、500時間以上にわたり連続して放射線計測を続けることが可能である。
また、検出素子101の両面が、分割された第1分割電極板116A〜116Dと第2分割電極板117A〜117Dとからそれぞれ構成されているので、一次電子と臭化タリウム結晶111aとの相互作用が行われた際に生成された電子が移動する側の電極板が、アナログ計測回路140側に接続されるように切り換えることによって、生成された電子をγ線検出信号として読み出すことができる。つまり、正孔よりも速度の速い電子をγ線検出信号として常に読み出すことができるようになり、応答性の高い放射線検出装置130が得られる。
したがって、比較的早いレートでγ線が入射しても、応答性よくγ線検出信号を読み出すことができ、検出器101の飽和を抑えることができる。これにより、安定性の高い放射線検出装置130が得られる。
以上説明した本実施形態の検出器101は、前記第1実施形態と同様に、図3に示すように、核医学診断装置としてのSPECT撮像装置50に適用することができる。
このようなSPECT撮像装置50では、検出器101において複数チャンネルの検出部に対応する複数の電極間のクロストークなしにポーラリゼーションを好適に防止することができるので、長時間にわたり、例えば、500時間以上にわたり連続して撮像を可能にすることができる。
以上説明した第1、第2実施形態の検出器1、101は、前記したSPECT撮像装置50に限られることはなく、ガンマカメラ、PET撮像装置等に対しても用いることができる。
図6はPET撮像装置70を示した図であり、このPET撮像装置70は、中央部分に円柱状の計測空間(計測領域)71aを有する撮像装置71、被検体Hを支持して長手方向に移動可能なベッド32、データ処理装置33、および表示装置34を主として備えて構成される。
撮像装置71には、計測空間71aを取り囲むようにして、前記検出器1(または101)が配線基板に多数搭載されたプリント基板Pが配置されている。
このようなPET撮像装置70では、前記した放射線検出装置30(または130)に用いられる直流高圧電源20、アナログ計測回路40(または140)、ADC(アナログ・デジタル変換器)21、図示しないデジタルASIC(データ処理回路)等を備え、波高値、時刻、検出器1(または101)の検出チャンネルIDを有するパケットが作成され、この作成されたパケットがデータ処理装置33に入力されるようになっている。
検査時には、被検体Hの体内から放射性薬剤に起因して放射されたγ線が、検出器1(または101)によって検出される。すなわち、PET用の放射性薬剤から放出された陽電子の消滅時に一対のγ線が約180度の反対方向に放出され、多数の検出器1(または101)のうちの別々の検出チャンネルで検出される。検出されたγ線検出信号は、該当するアナログ計測回路40(または140)からADC21を介してデジタルASICに入力されて前記したように信号処理が行われ、γ線を検出した検出チャンネルの位置情報およびγ線の検出時刻情報がデータ処理装置33に入力される。
そして、データ処理装置33によって、1つの陽電子の消滅により発生した一対のγ線を一個として計数(同時計数)し、その一対のγ線を検出した2つの検出チャンネルの位置をそれらの位置情報を基に特定する。また、データ処理装置33は、同時計数で得た計数値および検出チャンネルの位置情報を用いて、放射性薬剤の集積位置、すなわち腫瘍位置での被検体Hの断層像情報(画像情報)を作成する。この断層像情報は表示装置34に表示される。
このようなPET撮像装置70では、検出器1(または101)において複数チャンネルの検出部に対応する複数の電極間のクロストークなしにポーラリゼーションを好適に防止することができるので、長時間にわたり、例えば、500時間以上にわたり連続して撮像を可能にすることができる。
本発明の第1実施形態の半導体放射線検出器を模式的に示した図であり、(a)は斜視図、(b)は半導体放射線検出器を構成する半導体素子の端面図、(c)は分解斜視図である。 本発明の第1実施形態の半導体放射線検出器を用いて構成した放射線検出装置を示したブロック図である。 本発明の第1、第2実施形態の半導体放射線検出器を適用した単光子放射断層撮像装置(SPECT撮像装置)の概略構成図である。 本発明の第2実施形態の半導体放射線検出器を模式的に示した図であり、(a)は斜視図、(b)は半導体放射線検出器を構成する半導体素子の端面図、(c)は分解斜視図である。 本発明の第2実施形態の半導体放射線検出器を用いて構成した放射線検出装置を示したブロック図である。 本発明の第1、第2実施形態の半導体放射線検出器を適用した陽電子放出型断層撮像装置(PET撮像装置)を示した概略構成図である。
符号の説明
1 検出器(半導体放射線検出器)
10a〜10d 検出部
11 検出素子(半導体素子)
11a 臭化タリウム結晶(半導体結晶としての臭化タリウム)
12A〜12D 第1タリウム電極
13 第2タリウム電極
14A〜14D 分割電極
15 共通電極
16A〜16D 分割電極板
17 共通電極板
18、19 絶縁スペーサ
30 放射線検出装置
40 アナログ計測回路
50 SPECT撮像装置
52 放射線検出ブロック
53 結合基板(配線基板)
70 PET撮像装置
71a 計測空間
101 検出器
110a〜110d 検出部
111 半導体素子
111a 臭化タリウム結晶(半導体結晶としての臭化タリウム)
112A〜112D 第1タリウム電極
113A〜113D 第2タリウム電極
114A〜114D 第1分割電極
115A〜115D 第2分割電極
116A〜116D 第1分割電極板
117A〜117D 第2分割電極板
118、119 第1絶縁スペーサ
120、121 第2絶縁スペーサ
130 放射線検出装置
140 アナログ計測回路
H 被検体
P プリント基板(配線基板)

Claims (4)

  1. カソード電極およびアノード電極で挟まれる検出素子が半導体結晶として臭化タリウムを用いてなり、少なくとも前記カソード電極または前記アノード電極が前記検出素子の一つの面に二つ以上配置されて別個のチャンネルをなす検出部が複数設けられた半導体放射線検出器であって、
    前記カソード電極および前記アノード電極は、二層の積層構造とされ、前記検出素子側の第1層がタリウムであり、
    前記検出素子は、
    前記カソード電極または前記アノード電極が二つ以上配置される側において、前記カソード電極または前記アノード電極の側方における前記半導体結晶の露出面が、前記タリウムの酸化物あるいはフッ化物のいずれかからなる絶縁スペーサで被覆されていることを特徴とする半導体放射線検出器。
  2. 前記カソード電極および前記アノード電極は、前記検出素子の両面にそれぞれ二つ以上同じ数だけ対応させて設けられており、対応する前記カソード電極および前記アノード電極によって、前記検出部が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体放射線検出器。
  3. 前記カソード電極および前記アノード電極は、第2層が金あるいは白金のいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体放射線検出器。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体放射線検出器を用いた核医学診断装置であって、
    複数の前記半導体放射線検出器が取り付けられた配線基板を有し、被検体を支持するベッドが挿入される計測領域を取り囲み、前記計測領域の周囲に配置された複数のプリント基板と、
    複数の前記半導体放射線検出器から出力された放射線検出信号を基に得られた情報を用いて画像を生成する画像情報作成装置と、を備えたことを特徴とする核医学診断装置。
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