JP5155688B2 - 毛髪処理剤組成物及び毛髪処理方法 - Google Patents
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a)親油性の高い油性成分、即ちオクタノール/水−分配係数(logKow)が12を超える成分を配合しないことが前提条件になる。一方、この条件a)を代償するため、
b)第1に、logKow が12未満の高級アルコールであって、所定のパラメーターにおいてある程度以上相違する2種以上を一定量以上に配合する必要があり、かつ、
c)第2に、界面活性剤として、ある程度以上に親水性の2通りの logKow
を示すノニオン性界面活性剤を選択的に配合する必要がある。
d)以上の諸条件のもとで好ましいコンディショニング成分を配合すると、課題を解決可能である。
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、オクタノール/水−分配係数(logKow)が12未満である成分によって実質的に組成される毛髪処理剤組成物であって、
油性成分として下記(A)成分を含有し、界面活性剤として下記(B)成分を含有し、かつ、下記(C)成分を含有する、毛髪処理剤組成物である。
(A)成分:合計含有量が10質量%以上となるように配合される2種以上の高級アルコールであって、これらの高級アルコールはいずれも logKow が12未満であると共に、これらの内、配合量が最も多い高級アルコール(A1)成分と、配合量が(A1)成分と同等又は(A1)成分に次いで多い高級アルコール(A2)成分については、以下(イ)、(ロ)のいずれか1以上の相違点があり、かつ(ハ)の条件を満たす。
(B)成分:以下の(B1)成分及び(B2)成分からなる。
(B1)成分:logKow が1.4以上で6未満であるノニオン性界面活性剤の1種以上。
(B2)成分:logKow が1.4未満であるノニオン性界面活性剤の1種以上。
(C)成分:logKow が12未満である両性ポリマー及びカチオン性ポリマーから選ばれる1種以上。
(上記の式1はある物質「M」のオクタノール/水−分配係数 logKow を表し、式中の「Mo」はオクタノール/水の2層溶媒系におけるオクタノール相中の当該物質Mのモル濃度を、「Mw」は水相中の当該物質Mのモル濃度を、それぞれ表す)
次に、「オクタノール/水−分配係数(logKow)が12未満である成分によって実質的に組成される」とは、有意な含有量の組成分として、logKow が12以上である成分を含まないことを意味する。従って、logKow が12以上である成分を不純物として僅かに含み、又はその成分の配合効果を全く達しない程度の量に含むに過ぎない場合等は、第1発明に包含される。
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る(A)成分と(B2)成分との配合量比(A)/(B2)の値が3.0以上である、毛髪処理剤組成物である。
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る(C)成分と(B2)成分との配合量比(C)/(B2)の値が、0.020〜2.0である、毛髪処理剤組成物である。
(第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係る毛髪処理剤組成物が以下(1)〜(4)のいずれかである、毛髪処理剤組成物である。
(1)更にアルカリ剤を含有するブリーチ剤第1剤。
(2)更に酸化染料中間体とアルカリ剤とを含有する酸化染毛剤第1剤。
(3)更に還元剤とアルカリ剤とを含有するパーマネントウエーブ第1剤。
(4)ヘアトリートメント用又はコンディショニング用の組成物。
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記第4発明に記載の毛髪処理剤組成物を用いて、以下の(5)〜(7)のいずれかの形態で行う、毛髪処理方法である。
(5)第4発明の(1)に記載のブリーチ剤第1剤を利用するブリーチ処理、第4発明の(2)に記載の酸化染毛剤第1剤を利用する酸化染毛処理、第4発明の(3)に記載のパーマネントウエーブ第1剤を利用するパーマネントウエーブ処理、又は第4発明の(3)に記載の縮毛矯正剤第1剤を利用する縮毛矯正処理を行う方法。
(6)任意の内容のブリーチ処理、酸化染毛処理、又はパーマネントウエーブ処理あるいは縮毛矯正処理の後に、第4発明の(4)に記載の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理を行う方法。
(7)ダメージを受けた毛髪に対する後処理として、又はダメージを伴う毛髪処理を受ける毛髪に対する前処理として、第5発明の(4)に記載の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理を行う方法。
本発明に係る毛髪処理剤組成物は、 logKow が12未満である成分によって実質的に組成される。又、油性成分として、(A)成分である高級アルコールを、合計含有量が10質量%以上となるように2種以上含有する。これらの高級アルコールは logKow がいずれも12未満であり、かつ配合量が最も多い高級アルコール(A1)成分と、配合量が(A1)成分と同等又は(A1)成分に次いで多い高級アルコール(A2)成分については、(イ)互いに炭素数が1以上異なり、及び/又は、(ロ)互いに logKow が0.1以上異なるという関係にある。更に、2種以上の(A)成分のそれぞれの配合量は必ずしも限定されないが、特定の単一種類の(A)成分の配合量が圧倒的に多いという組成は不適当であって、具体的には、(A1)成分の配合量100質量部に対して、(A2)成分の配合量が60質量部以上という関係が必要である。又、本発明に係る毛髪処理剤組成物は、界面活性剤である前記(B1)成分及び(B2)成分を含有し、更に前記(C)成分を含有する。
毛髪処理剤組成物の必須成分である(A)成分、(B)成分、(C)成分としては、より具体的には、それぞれ以下に列挙するものを例示することができる。
(A)成分は、オクタノール/水−分配係数( logKow )が12未満である高級アルコールから選ばれる2種以上である。この2種以上の高級アルコールには、互いに炭素数が1以上異なり、及び/又は、互いに logKow が0.1以上異なるという関係を満たす前記(A1)成分と(A2)成分が包含される。
(B)成分は、(B1)成分としての logKow が1.4以上で6未満であるノニオン性界面活性剤の1種以上と、(B2)成分としての logKow が1.4未満であるノニオン性界面活性剤の1種以上とからなる。
(C)成分は、logKow が12未満である両性ポリマー及びカチオン性ポリマーから選ばれるコンディショニング成分の1種以上である。
毛髪処理剤組成物の種類あるいは用途は限定されないが、好ましくは、ダメージ毛の感触の向上に関連して用いられる。好ましい用途として、それぞれ必要な成分を追加したもとでのブリーチ剤第1剤、酸化染毛剤第1剤、パーマネントウエーブ剤第1剤が例示される。又、ヘアトリートメント用、コンディショニング用の毛髪処理剤も例示される。
毛髪処理剤組成物の剤型とpHは、その種類あるいは用途に応じて適宜に設定されるものであって、特段に限定されない。剤型としては、液体状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、霧状(噴霧式)、エアゾールフォーム等を例示することができる。
毛髪処理剤組成物には、上記の各種成分の他にも、発明の目的を阻害しない範囲において、及び logKow が12未満であるという条件のもとに、(A)成分以外の油性成分、(B)成分以外の界面活性剤、(C)成分以外の高分子物質、ビタミン類、酸化防止剤、キレート剤、香料、殺菌・防腐剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、噴射剤、増粘剤等を任意に配合することができる。
いわゆる油性成分として「logKow が12未満」という条件を備えるものは余り多くないと考えられるが、この条件を備える(A)成分以外の油性成分を本発明の目的を阻害しない範囲で配合することは可能である。このような油性成分として、例えば下記のエステル、エーテル、炭化水素等を例示できる
エステルとしては、logKow が12未満であることを条件として、グリセリン系の各種の植物油、トリカプリル酸グリセリル、トリアセチン、ペンタエリスリトール系の脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステルの他、アジピン酸、ミリスチン酸、オクタン酸、イソオクタン酸、イソノナン酸、セバシン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸等の多様な有機酸の各種エステル、酢酸エチル、酢酸セチル、プロピオン酸アラキル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル等が好ましく例示される。
(B)成分以外の界面活性剤として、logKow が6以上で12未満であるノニオン性界面活性剤を配合することができる。但し、その配合量は、前記(B1)成分と(B2)成分との合計配合量より少ないものとし、より好ましくはその合計配合量の25%未満とする。更に、logKow が12未満である両性界面活性剤やカチオン性界面活性剤も配合することもできるが、これらの配合量も(B1)成分と(B2)成分との合計配合量より少ないものとし、より好ましくはその合計配合量の25%未満である。
高分子物質としては、(C)成分であるカチオン性ポリマー及び両性ポリマー以外の、logKow が12未満であるアニオン性ポリマー(カルボキシビニルポリマー等)、水溶性ポリマー(アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、デンプン等の植物性ポリマー、デキストラン、プルラン等の微生物系ポリマー、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物性ポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系ポリマー)が例示される。
[第1実施例群:酸化染毛剤]
末尾の表1〜表9に示す実施例1〜実施例23及び比較例1〜比較例14に係る組成の、クリーム状の酸化染毛剤第1剤を常法に従って調製した。表1〜表9における各成分の配合量を示す数値の単位は質量%である。
logKow 値を付記した。
<官能評価>
10名の専門パネラーにより、プレンリンス後、シャンプー後及びシャンプー7回後の毛束の感触(柔らかさ、きしみ)を官能評価した。いずれの評価項目も、7名以上が良好と回答した場合の評価を◎、5名又は6名が良好と回答した場合の評価を○、3名又は4名が良好と回答した場合の評価を△、良好と回答したパネラーが2名以下の場合の評価を×とした。きしみに関して「良好」とは、きしみを感じないことをいう。
[第2実施例群:ブリーチ剤]
この実施例群においては、上記第1実施例群に係る実施例1〜実施例23及び比較例1〜比較例14の酸化染毛剤1剤の処方からそれぞれ酸化染料のみを欠落させた組成の、クリーム状のブリーチ剤第1剤を常法に従って調製した。
[第3実施例群:ヘアトリートメント]
この実施例群においては、第1グループとして、上記第1実施例群に係る実施例1〜実施例23及び比較例1〜比較例14の酸化染毛剤1剤の処方からそれぞれ酸化染料のみを欠落させた組成の、クリーム状のヘアトリートメントを常法に従って調製した。
[第4実施例群:縮毛矯正剤]
この実施例群においては、上記第1実施例群に係る実施例1〜実施例23及び比較例1〜比較例14の酸化染毛剤1剤の処方に対して還元剤であるチオグリコール酸をそれぞれ13質量%追加した組成の、クリーム状の縮毛矯正剤第1剤を常法に従って調製した。又、酸化剤として臭素酸ナトリウムを含有する一般的な組成の縮毛矯正剤第2剤も準備した。
Claims (5)
- オクタノール/水−分配係数(logKow)が12未満である成分によって組成される毛髪処理剤組成物であって、
油性成分として下記(A)成分を含有し、界面活性剤として下記(B1)成分及び(B2)成分からなる(B)成分を含有し、かつ、下記(C)成分を含有すると共に、前記(A)成分と(B2)成分との配合量比(A)/(B2)の値が3.0以上であることを特徴とする毛髪処理剤組成物。
(A)成分:合計含有量が10質量%以上となるように配合される2種以上の高級アルコールであって、これらの高級アルコールはいずれも logKow が12未満であると共に、これらの内、配合量が最も多い高級アルコール(A1)成分と、配合量が(A1)成分と同等又は(A1)成分に次いで多い高級アルコール(A2)成分については、以下(イ)、(ロ)のいずれか1以上の相違点があり、かつ(ハ)の条件を満たす。
(イ)互いに炭素数が1以上異なる。
(ロ)互いに logKow が0.1以上異なる。
(ハ)(A1)成分の配合量100質量部に対して(A2)成分の配合量が60質量部以上である。
(B1)成分:logKow が1.4以上で6未満であるノニオン性界面活性剤であって、POEセチルエーテル(3E.O)、POEセチルエーテル(5.5E.O)、POEセチルエーテル(10E.O)、POEベヘニルエーテル(30E.O)、POEラウリルエーテル(2E.O)、POEオレイルエーテル(10E.O)、POEステアリルエーテル(20E.O)、POEアルキル(C12−14)エーテル(12E.O)、POEオクチルドデシルエーテル(25E.O)及びPOE(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテルから選ばれる1種以上。
(B2)成分:logKow が1.4未満であるノニオン性界面活性剤であって、POEセチルエーテル(20E.O)、POEセチルエーテル(30E.O)、POEオレイルエーテル(50E.O)、POEラウリルエーテル(25E.O)及びPOEイソステアリルエーテル(25E.O)から選ばれる1種以上。
(C)成分:logKow が12未満である両性ポリマー及びカチオン性ポリマーから選ばれる1種以上。 - 前記(A)成分と(B2)成分との配合量比(A)/(B2)の値が5.0以上であることを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤組成物。
- 前記(C)成分と(B2)成分との配合量比(C)/(B2)の値が0.020〜2.0であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の毛髪処理剤組成物。
- 前記毛髪処理剤組成物が以下(1)〜(4)のいずれかであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の毛髪処理剤組成物。
(1)更にアルカリ剤を含有するブリーチ剤第1剤。
(2)更に酸化染料中間体とアルカリ剤とを含有する酸化染毛剤第1剤。
(3)更に還元剤とアルカリ剤とを含有するパーマネントウエーブ第1剤又は縮毛矯正剤第1剤。
(4)ヘアトリートメント用又はコンディショニング用の毛髪処理剤組成物。 - 請求項4に記載の毛髪処理剤組成物を用いて、以下の(5)〜(7)のいずれかの形態で行うことを特徴とする毛髪処理方法。
(5)請求項4の(1)に記載のブリーチ剤第1剤を利用するブリーチ処理、請求項4の(2)に記載の酸化染毛剤第1剤を利用する酸化染毛処理、請求項4の(3)に記載のパーマネントウエーブ第1剤を利用するパーマネントウエーブ処理、又は請求項4の(3)に記載の縮毛矯正剤第1剤を利用する縮毛矯正処理を行う方法。
(6)任意の内容のブリーチ処理、酸化染毛処理、又はパーマネントウエーブ処理あるいは縮毛矯正処理の後に、請求項4の(4)に記載の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理を行う方法。
(7)ダメージを受けた毛髪に対する後処理として、又はダメージを伴う毛髪処理を受ける毛髪に対する前処理として、請求項4の(4)に記載の毛髪処理剤組成物を用いた毛髪処理を行う方法。
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