(会計処理システムの概要)
図1は、本発明に係る会計処理システムの概要を説明するための図である。会計処理システム100は、会計事務所A側の情報処理装置である訪問監査PC(Personal Computer)1と、顧問先B側の情報処理装置である顧問先PC3との間で、USB(Universal Serial Bus)メモリ5を介して会計ファイル(会計情報)の授受を行なうシステムである。
会計ファイルは、監査業務に必要なデータであり、例えば会計事務所A側で監査の済んだ会計データ(以下、監査済み会計データXという)、顧問先Bが会計事務所Aに監査を依頼する会計データ(以下、監査依頼会計データYという)などの会計データを格納している。会計ファイルには、月次毎に監査済み会計データXや監査依頼会計データYが格納されている。また、会計ファイルには、訪問監査の実行履歴に関する情報(後述の監査状況管理テーブル)などが格納されている。
会計処理システム100では、監査対象となる期間(例えば何月が監査対象であるか)を自動判定して訪問監査PC1と顧問先PC3との間で授受すべき会計データの月次を特定する。そして、訪問監査PC1と顧問先PC3は、授受すべきと判定された月次毎の会計データをそれぞれの間で授受する。具体的には、訪問監査PC1が、監査の為に顧問先PC3から監査依頼会計データYを取込む月と、監査が済んで顧問先PC3へ監査済み会計データXを返却する月を特定し、特定した月の情報に基づいて、訪問監査PC1と顧問先PC3は、会計ファイルの授受を行う。
訪問監査PC1は、例えばノート型PCなどの可搬性の携帯端末装置であり、顧問先PC3との間で会計ファイルの授受を行なう際には、会計事務所Aから顧問先Bまで訪問監査PC1の使用者(会計事務所職員など)によって運ばれる。
会計事務所Aには、種々の情報を記憶するとともに訪問監査PC1に種々の情報を提供するサーバ装置(図示せず)が配置されている。このサーバ装置は、各顧問先の会計ファイルや監査状況管理テーブルなどを格納している会計DB(Data Base)6を備えている。訪問監査PC1と顧問先PC3との間で会計ファイルの授受を行なう際には、まず訪問監査PC1が、監査済み会計データXの持ち出しを行うため、会計DB6から顧問先Bの会計ファイルを抽出し、自装置内に格納する(1)。
この後、使用者は訪問監査PC1を持って顧問先Bを訪問する(2)。顧問先Bでは、訪問監査PC1にUSBメモリ5が接続され、訪問監査PC1が会計ファイルをUSBメモリ5へ送る。このとき、訪問監査PC1は、顧問先Bとの間で授受すべき監査済み会計データXと監査依頼会計データYを特定する。具体的には、訪問監査PC1は、現在の日時や監査の履歴(監査状況管理テーブル)などに基づいて、監査対象の月次(監査の済んだ月次やこれから監査を行なう月次)を判定する(3)。そして、訪問監査PC1は、判定した月次を監査対象とする指示を月次指示(後述の取出・返却テーブル)(月次情報)として、USBメモリ5へ格納する。この月次指示は、所定の月次の監査済み会計データXを顧問先PC3へ出力させるための指示、所定の月次の監査依頼会計データYを顧問先PC3から取り出すための指示である。さらに、訪問監査PC1は、判定した月次に対応する監査済み会計データXを格納している会計ファイルをUSBメモリ5へ格納する(4)。
つぎに、USBメモリ5は、訪問監査PC1から取り外され、顧問先PC3へ接続される(5)。顧問先PC3は、USBメモリ5内の月次指示を読み込む。そして、顧問先PC3は、月次指示に応じた監査済み会計データXをUSBメモリ5から自装置に格納する(6)。さらに、顧問先PC3は、月次指示に応じた監査依頼会計データYをUSBメモリ5へ格納する(7)。
つぎに、USBメモリ5は、顧問先PC3から取り外され、訪問監査PC1へ接続される(8)。訪問監査PC1は、USBメモリ5から監査依頼会計データYを読み込んで自装置に格納する(9)。
この後、使用者は訪問監査PC1を持って会計事務所Aへ帰所する(10)。会計事務所Aでは、訪問監査PC1が、使用者からの指示に基づいて、監査依頼会計データYを用いた顧問先Bの会計監査などを行う(11)。訪問監査PC1は、会計監査などを行なった後の監査依頼会計データYを、監査済み会計データXとして会計DB6へ格納する(12)。また、訪問監査PC1は、訪問監査の実行履歴に関する監査状況管理テーブルを更新して会計DB6へ格納する。
なお、ここでは会計事務所に監査済み会計データXを持ち帰って会計監査を行う場合について説明したが、顧問先Bで会計監査を行なってもよい。この場合、訪問監査PC1は、使用者からの指示に基づいて、監査依頼会計データYを用いた顧問先Bの会計監査などを顧問先Bで行う。訪問監査PC1は、会計監査などを行なった後の監査依頼会計データYを、監査済み会計データXとしてUSBメモリ5に格納する。このとき、訪問監査PC1は、監査の済んだ監査済み会計データXの月次を監査対象に指定した月次情報をUSBメモリ5へ格納しておく。
このUSBメモリ5が、訪問監査PC1から取り外されて顧問先PC3へ接続されると、顧問先PC3は、USBメモリ5内の月次指示を読み込む。そして、顧問先PC3は、月次指示に応じた監査済み会計データXをUSBメモリ5から自装置へ格納する。この後、使用者は訪問監査PC1を持って会計事務所Aへ帰所し、訪問監査PC1は、会計ファイルの監査状況管理テーブルを会計DB6へ格納する。
なお、図1では顧問先Bを1つしか図示していないが、顧問先Bは複数であってもよい。この場合、会計処理システム100では、顧問先B毎に各顧問先Bに対応する会計ファイルの授受を行なう。
以下では、監査済み会計データXや監査依頼会計データYを格納した会計ファイルをUSBメモリ5へ格納する場合について説明する。また、以下では監査済み会計データXや監査依頼会計データYを会計データという場合がある。
(訪問監査PC1の実施例1の装置構成)
つぎに、本発明の実施例1に係る訪問監査PC1の構成について説明する。図2は、本発明の実施例1に係る訪問監査PCの構成を示すブロック図である。訪問監査PC1は、指示入力部11、監査月次判断部12、USBメモリ接続部13、表示部14、記憶部15、制御部19を備えている。
指示入力部11は、マウスやキーボードを備えて構成され、訪問監査PC1の使用者から入力される種々の指示(例えば監査対象の会計ファイルを指定する指示など)を入力する。
監査月次判断部12は、監査対象となる月次を判断する際の現在日時や監査状況管理テーブルに基づいて、監査対象となる月次を判断する。本実施例の監査月次判断部12は、監査対象であると判定した月次の情報に基づいて、取出・返却テーブルを作成する。取出・返却テーブルは、各月の会計データが顧問先PC3から取出す対象(取込む対象)であるか、顧問先PC3へ返却する対象であるかを月毎に示した情報である。換言すると、取出・返却テーブルは、監査済み会計データXを顧問先PC3へ返却する対象に指定し、監査依頼会計データYを顧問先PC3から取出す対象に指定する情報である。顧問先PC3では、取出・返却テーブルに基づいて、USBメモリ5との間で会計ファイル(監査済み会計データXや監査依頼会計データY)の授受を行なう。したがって、取出・返却テーブルは、訪問監査PC1から顧問先PC3への会計ファイルの授受に関する指示情報となる。
また、本実施例の監査月次判断部12は、USBメモリ5を介して顧問先PC3から監査依頼会計データYや、顧問先PC3で更新された取出・返却テーブルを受け取ると、取出・返却テーブルに基づいて監査状況管理テーブルを更新する。
USBメモリ接続部13は、USBコネクタなどを含んで構成され、このUSBコネクタを介してUSBメモリ5と接続する。訪問監査PC1内の情報は、USBメモリ接続部13を介してUSBメモリ5に送られ、USBメモリ5内の情報は、USBメモリ接続部13を介して訪問監査PC1に送られる。
表示部14は、液晶モニタなどの表示手段を有しており、種々の情報を表示する。表示部14は、例えば監査対象となる月次を示す画面(後述の監査月次確認画面61)や、監査対象となる月次を設定するための画面(後述の監査対象詳細設定画面62)を表示する。
記憶部15は、メモリなどの記憶手段であり、監査済み会計データXや監査依頼会計データY、監査状況管理テーブルなどを記憶する。制御部19は、指示入力部11、監査月次判断部12、USBメモリ接続部13、表示部14、記憶部15を制御する。
ここで、本発明に用いられる種々のプログラムが実行可能な状態になるまでの訪問監査PC1や顧問先PC3の動作例について説明する。上述した構成をとる訪問監査PC1や顧問先PC3は、たとえば、CD−ROMドライブユニット(図示せず)にセットされたCD−ROMから、プログラムがディスクユニット(図示せず)にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、ディスクユニットから読み出されたプログラムが記憶部15,35の所定の場所に格納される。この状態で、制御部19,39は、記憶部15,35に格納されたプログラムに従って監査に関する処理を実行するとともに、監査月次判断部12,32に月次判定などを行なわせる。
なお、ここではCD−ROMを記録媒体として、上記監査に関する処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、訪問監査PC1や顧問先PC3の構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、フロッピー(登録商標)ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体を用いることも可能である。また、電子メール、インターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
(顧問先PC3の実施例1の装置構成)
つぎに、本発明の実施例1に係る顧問先PC3の構成について説明する。図3は、本発明の実施例1に係る顧問先PCの構成を示すブロック図である。顧問先PC3は、指示入力部31、監査月次判断部32、USBメモリ接続部33、表示部34、記憶部35、制御部39を備えている。
指示入力部31、監査月次判断部32、USBメモリ接続部33、表示部34、記憶部35、制御部39は、それぞれ指示入力部11、監査月次判断部12、USBメモリ接続部13、表示部14、記憶部15、制御部19と同様の機能を有しており、同様の機能に関する説明は省略する。
監査月次判断部32は、訪問監査PC1からの取出・返却テーブルに基づいて、USBメモリ5との間で会計データの授受を行なう。監査月次判断部32は、使用者からの指示に基づいて、訪問監査PC1からの取出・返却テーブルで指定された会計データの授受とは異なる会計データの授受を行なった場合(取出・返却の内容を変更した場合)に、実際に行なった会計データの授受に基づいて取出・返却テーブルを更新する。
監査月次判断部32は、取出・返却テーブルを更新した場合は更新した取出・返却テーブルをUSBメモリ5に格納し、取出・返却テーブルを更新していない場合は更新していない取出・返却テーブルをそのままUSBメモリ5に格納する。また、監査月次判断部32は、USBメモリ5に格納した取出・返却テーブルに基づいて自装置内の監査状況管理テーブルを更新する。なお、図2および図3では会計監査を行なうための手段(会計ソフト)などの図示を省略している。
(訪問監査PC1の処理手順)
つぎに、訪問監査PC1の処理手順について説明する。図4は、訪問監査PCの処理手順を示すフローチャートである。図4では、訪問監査PC1が顧問先PC3へ送る情報をUSBメモリ5に格納する処理の手順を示している。訪問監査PC1は、予め会計DB6から監査状況管理テーブルや監査済み会計データXを取得し、記憶部15へ記憶させておく。
訪問監査PC1から顧問先PC3へ監査済み会計データXを送る際には、まず、訪問監査PC1とUSBメモリ5とを接続させる。そして、訪問監査PC1は、顧問先Bに対応する会計ファイルを指定させるための画面を表示部14に表示させる。指示入力部11へは、使用者によって顧問先Bに対応する会計ファイルを指定する情報が入力される(ステップS110)。
監査月次判断部12は、指示入力部11から指定された会計ファイルを記憶部15から読み込む(ステップS120)。さらに、監査月次判断部12は、記憶部15から監査状況管理テーブルを読み込む(ステップS130)。
この後、監査月次判断部12は、会計データの月次判定を行なう。具体的には、監査月次判断部12は、監査状況管理テーブルと現在の日時に基づいて、取り出し対象となる監査依頼会計データY、返却対象となる監査済み会計データXの候補を予測する(ステップS140)。換言すると、監査月次判断部12は、監査済みの月次データ(顧問先PC3に出力する月)と、監査する月次データ(顧問先PC3から取り込む月)を自動で判断する。監査月次判断部12は、例えば監査状況管理テーブルで、「監査中」に設定されている月次の会計データであって、現在の日時(例えば11月10日)から監査が済んでいると予測される会計データ(例えば10月の会計データ)を、返却対象となる会計データに設定する。
監査月次判断部12は、予測した取出・返却候補を、監査月次確認画面61として表示部14に表示させる。図5は、監査月次確認画面の一例を示す図である。監査月次確認画面61は、会計ファイルのうち監査済みとして会計データを出力する月や、これから監査を行なう月の情報を示す画面である。図5では、監査済みの月が4月〜5月であり、これから監査を行なう月が6月〜10月である場合を示している。
また、監査月次確認画面61へは、実行ボタンと詳細設定ボタンを配置しておく。実行ボタンは、表示中の情報に従って監査済み会計データXの返却や監査依頼会計データYの取出しを行なうことを承認するためのボタンである。監査月次判断部12は、実行ボタンがクリックされることによって表示中の月次で会計データの取出や返却を行なう処理を進める。詳細設定ボタンは、表示中の情報とは異なる設定を行なうためのボタンである。詳細設定ボタンがクリックされると、監査月次判断部12は、表示部14に監査対象詳細設定画面62を表示させる。
図6は、監査対象詳細設定画面の一例を示す図である。監査対象詳細設定画面62は、顧問先PC3から取出しを行なう監査依頼会計データYの月次と顧問先PC3へ返却を行なう監査済み会計データXの月次を設定するための画面(詳細な修正指示の内容を表示させることができる画面)である。監査対象詳細設定画面62では、監査状況管理テーブルに設定されている月毎の監査状態、訪問監査PC1に設定されている月毎の監査状態、顧問先PC3に指示する会計データの取出しや返却に関する情報などを表示する。
図6では、4月と5月の会計データが訪問監査PC1で監査済みの状態に設定され、6月〜10月の会計データが、監査対象(顧問先PC3からの取出対象)に設定されている場合を示している。「監査済み」として設定されている月の会計データは、取出・返却テーブルに返却対象の会計データ(監査済み会計データX)として設定されることとなる。また、「監査する」として設定されている月の会計データは、取出・返却テーブルに取出対象の会計ファイル(監査依頼会計データY)として設定されることとなる。
使用者には、図5に示した監査月次確認画面61に基づいて、会計データの取出・返却内容を確認させる(ステップS150)。使用者によって詳細設定ボタンがクリックされると、監査月次判断部12は会計データの取出・返却内容に変更ありと判断して(ステップS160、Yes)、表示部14に監査対象詳細設定画面62を表示させる。そして、監査月次判断部12は、監査対象詳細設定画面62上で使用者に会計データの取出・返却内容を変更させる。使用者は、図6に示した監査対象詳細設定画面62上で会計データを監査済みに設定するか否かの設定や、会計データをこれから監査する対象とするか否かの設定を行なう。
使用者は、例えば、10月の会計データを監査の対象としたければ、顧問先PC3の10月の欄が空欄である場合に、この欄を「監査する」に設定する。この設定により、取出・返却テーブルでは、10月の会計データが、取出し対象でも返却対象でもない設定から取出対象の会計データに設定されることとなる。これにより、会計データの取出・返却内容の確認処理と、訂正処理が行なわれる(ステップS170)。そして、監査月次判断部12は、訂正された後の会計データの取出・返却内容に基づいた新たな監査月次確認画面61を、表示部14に表示させる。
使用者によって実行ボタンがクリックされると、監査月次判断部12は表示中の情報で会計データ取出しや返却を行なうことが承認されたと判断し(ステップS160、No)、監査月次判断部12は、表示中の設定に基づいて取出・返却テーブルを作成する(ステップS180)。監査月次判断部12は、監査月次確認画面61に表示されている会計データの取出・返却内容に基づいて、取出・返却テーブルを作成する。この後、監査月次判断部12は、USBメモリ5に取出・返却テーブルと、監査済み会計データXを格納した会計ファイルを格納させる(ステップS190)。
(顧問先PC3の処理手順)
つぎに、顧問先PC3の処理手順について説明する。図7は、顧問先PCの処理手順を示すフローチャートである。図7では、顧問先PC3がUSBメモリ5内の情報に基づいて、USBメモリ5と会計データなどのデータの授受を行なう処理の手順を示している。
まず、顧問先PC3とUSBメモリ5とを接続する。顧問先PC3は、USBメモリ5から取出・返却テーブルを読み込む(ステップS210)。監査月次判断部32は、取出・返却テーブルに基づいて、監査月次確認画面61を表示部34に表示させる。
使用者には、図5に示した監査月次確認画面61に基づいて、会計データの取出・返却内容を確認させる(ステップS220)。使用者によって詳細設定ボタンがクリックされると、監査月次判断部32は会計データの取出・返却内容に変更ありと判断して(ステップS230、Yes)、表示部34に監査対象詳細設定画面62を表示させる。そして、監査月次判断部32は、監査対象詳細設定画面62上で使用者に会計データ取出・返却内容を変更させる。使用者は、図6に示した監査対象詳細設定画面62上で会計データを監査済みに設定させるか否かの設定や、会計データをこれから監査する対象とするか否かの設定を行なう。これにより、会計データの取出・返却内容の確認処理と、訂正処理が行なわれる(ステップS240)。そして、監査月次判断部32は、訂正された後の会計データの取出・返却内容に基づいた新たな監査月次確認画面61を表示部34に表示させる。
使用者によって実行ボタンがクリックされると、監査月次判断部32は表示中の情報で会計データの取出しや返却を行なうことが承認されたと判断して(ステップS230、No)、監査月次判断部32は、取出・返却テーブルを作成(修正)する(ステップS250)。具体的には、監査月次判断部32は、監査月次確認画面61に表示されている会計データの取出・返却内容に基づいて、取出・返却テーブルを作成する。このとき、監査月次判断部32は、会計データの取出しや返却内容が変更されていなければ、新たに取出・返却テーブルを作成する必要はない。
この後、監査月次判断部32は、取出・返却テーブルに応じた監査済み会計データXをUSBメモリ5から読み込む(ステップS260)。さらに、監査月次判断部32は、取出・返却テーブルに応じた監査依頼会計データYを格納した会計ファイルをUSBメモリ5へ格納する(ステップS270)。顧問先PC3では、取出・返却テーブルに基づいて、会計ファイル内の監査状況管理テーブルを更新し、更新後の監査状況管理テーブルを記憶させ、取出・返却テーブルをUSBメモリ5へ格納する(ステップS280)。
この後、USBメモリ5内の監査依頼会計データYや取出・返却テーブルは、訪問監査PC1に格納される。訪問監査PC1は、使用者からの指示に基づいて、監査依頼会計データYを用いた会計監査などを行う。会計監査を行なう際には、使用者は、取出・返却テーブルに基づいて、所定の月の監査依頼会計データYを会計監査する。
この後、訪問監査PC1では、訪問監査の実行履歴に基づいて、監査状況管理テーブルを更新する。そして、訪問監査PC1は、会計監査などを行なった後の監査依頼会計データYと更新後の監査状況管理テーブルを会計DB6へ格納する。
(監査状況管理テーブルの更新処理)
ここで、監査状況管理テーブルの更新処理について説明する。顧問先PC3は、USBメモリ5との間で会計データを授受する際に、監査状況管理テーブルを更新し、訪問監査PC1は、顧問先PC3からUSBメモリ5を介して監査依頼会計データYを受け取る際に、監査状況管理テーブルを更新する。このとき、顧問先PC3と訪問監査PC1は、それぞれUSBメモリ5内の取出・返却テーブルに基づいて、監査状況管理テーブルを更新する。
図8は、監査状況管理テーブルの更新処理を説明するための図である。図8の監査状況管理テーブルは、訪問監査PC1と顧問先PC3で同期して管理される監査状況管理テーブルの構成を示している。
図8の上段に示した監査状況管理テーブルが更新処理前の監査状況管理テーブルであり、図8の下段に示した監査状況管理テーブルが更新処理後の監査状況管理テーブルである。ここでは、11月に訪問監査を行なった場合の監査状況管理テーブルの更新処理を示している。図8に示す「済」は、既に監査の済んだ会計データ(監査済み会計データX)であり、「監査中」は、前回の訪問時に顧問先PC3から取出した会計データ(監査依頼会計データY)である。監査状況が空欄となっている月の会計データは、顧問先PC3で使用中または今後使う予定の会計データ(未監査の会計データ)である。
更新処理前の監査状況管理テーブルでは、例えば4月の監査状況が監査済みを示す「済」であり、5月の監査状況が監査中であることを示す「監査中」である。また、6月以降は会計データが未監査な状態を表している。すなわち、4月の会計データは既に監査が済んで、顧問先PC3への返却が完了した状態であり、5月の会計データは、顧問先PC3から会計事務所側の会計ファイルに取込んだ状態を示している。
会計データの月次監査情報が「済」、「監査中」の何れの場合であっても、顧問先PC3ではこの月次にはデータを入力できないよう顧問先PC3を設定しておく。換言すると、顧問先PC3では、空欄の会計データにしかデータの追加、訂正、削除などの処理を行なうことができない。
11月に訪問監査を行なって、訪問監査PC1で会計ファイルが指定されると、監査月次判断部12は、システムタイマなどによって日時の情報(11月)を取得する。監査月次判断部12は、訪問監査する月が11月の場合、顧問先PC3で仕訳入力が完了した会計データは10月までであると判断する。また、監査月次判断部12は、現状の監査状況管理テーブル(更新前)に基づいて、監査していない月次(会計データが取り出されていない月次)は6月以降の月次であると判断する。したがって、監査月次判断部12は、顧問先PC3から監査の為に会計データを取出す会計データは6月〜10月の会計データである判断する。
また、監査月次判断部12は、現状の監査状況管理テーブルに基づいて、会計事務所で会計データを既に取得した月次(顧問先PC3から会計データを取出した月次)は、4月と5月であると判断する。4月の会計データは監査済みではあるが、会計事務所で再度仕訳を訂正している場合があり、顧問先PC3の会計ファイルを会計事務所の会計ファイルと同じ情報にする必要があるので、監査月次判断部12は、監査済の会計データを全て顧問先PC3に返却すると判断する。したがって、監査月次判断部12は、顧問先PC3へ返却(登録)する会計データは、4月と5月の会計データであると判断する。
そして、監査月次判断部12は、4月と5月の会計データを監査済みとして顧問先PC3へ出力する対象(返却)に設定し、6月〜10月の会計データを監査対象(取出)の月に設定した取出・返却テーブルを作成する。このように、11月に訪問監査を行なうことによって、6月〜10月の会計データは、取出しの対象(監査依頼会計データY)となる。また、5月の会計データを会計監査することによって、5月の会計データは、返却の対象(監査済み会計データX)となる。
監査月次判断部12が作成した取出・返却テーブルは、訪問監査PC1によってUSBメモリ5に格納させられる。取出・返却テーブルを格納するUSBメモリ5を顧問先PC3に接続すると、顧問先PC3では、取出・返却テーブルに基づいて、監査済としてUSBメモリ5から出力される会計データをUSBメモリ5から取得して登録し、監査する会計データをUSBメモリ5に格納する。そして、顧問先PC3の監査月次判断部32は、取出・返却テーブルに基づいて、監査状況管理テーブルを更新する。
これにより、監査月次判断部32は、図8の下段に示すように5月の会計データを「監査中」から「済」に更新し、6月〜10月の会計データを空欄から「監査中」に変更する。
さらに、顧問先PC3の監査月次判断部32は、会計データの授受に応じた取出・返却テーブルを作成し、USBメモリ5に格納させる。取出・返却テーブルを格納するUSBメモリ5を訪問監査PC1に接続すると、訪問監査PC1では、取出・返却テーブルに基づいて、監査する会計データをUSBメモリ5から読み込む。そして、訪問監査PC1の監査月次判断部12は、取出・返却テーブルに基づいて、監査状況管理テーブルを更新する。
これにより、監査月次判断部12は、図8の下段に示すように5月の会計データを「監査中」から「済」に更新し、6月〜10月の会計データを空欄から「監査中」に変更する。以上の処理によって、顧問先PC3で管理する監査状況管理テーブルと、訪問監査PC1で管理する監査状況管理テーブルが同じ情報となる。これにより顧問先PC3は、監査状況管理テーブルにおいて「済」や「監査中」に設定されている会計データへは、書き込みなどの処理を行なえなくなる。
(月次判定処理)
つぎに、訪問監査PC1が行なう月次判定処理(図4のステップS140の処理)を詳細に説明する。本実施例では、訪問監査を行なう際に、監査状況管理テーブルに基づいて、顧問先PC3に返却する会計データおよび顧問先PC3から取出す会計データを、訪問監査PC1で判断する。これにより、使用者が監査月を指定しなくても、顧問先PC3の監査をコントロールできる指示(取出・返却テーブル)をUSBメモリ5に格納させることができる。この指示が埋め込まれたUSBメモリ5によって、顧問先PC3に対し会計データの返却、会計データの取出し、会計データの入力禁止制御などを行なうことが可能となる。
図9は、月次判定処理の処理手順を示すフローチャートである。訪問監査PC1の監査月次判断部12は、記憶部15で記憶している監査状況管理テーブルに基づいて、各月次の監査状況を確認する(ステップS310)。そして、監査月次判断部12は、監査状況管理テーブルの各月に対応付けられた監査状況を各月次分だけループ処理して、各月次の会計データを取出し対象や返却対象に設定する。
具体的には、監査月次判断部12は、まず1つ目の月次に対応する会計データが「監査済み」を示す「済」に設定されているか否かを判断することによって、1つ目の月次が監査済みの月次であるか否かを判断する(ステップS320)。
判断対象の月次が監査済みの月次である場合(ステップS320、Yes)、監査月次判断部12は、この月次の会計データは顧問先PC3への返却対象であると判定する(ステップS330)。一方、判断対象の月次が監査済みの月次でなければ(ステップS320、No)、監査月次判断部12は、この月次の会計データが「監査中」に設定されているか否かを判断することによって、判断対象の月次が監査中の月次であるか否かを判断する(ステップS340)。
判断対象の月次が監査中の月次である場合(ステップS340、Yes)、監査月次判断部12は、この月次の会計データは顧問先PC3への返却対象であると判定する(ステップS350)。一方、判断対象の月次が監査中の月次でなければ(ステップS340、No)、監査月次判断部12は、この月次が訪問日(現在の日時)よりも前の月次であるか否かを判断する(ステップS360)。
判断対象の月次が訪問日よりも前の月次である場合(ステップS360、Yes)、監査月次判断部12は、この月次の会計データは顧問先PC3からの取出し対象であると判定する(ステップS370)。一方、判断対象の月次が訪問日よりも前の月次でなければ、監査月次判断部12は、この月次の会計データは月次判定の対象外である(使用中またはこれから使用する)と判定する(ステップS380)。
監査月次判断部12は、ステップS320〜S380の処理によって判定した判定結果を、取出・返却指示として取出・返却テーブルに書き込む(ステップS390)。具体的には、監査月次判断部12は、取出・返却テーブルの各月次に、「返却」、「取出」などを書き込む。そして、監査月次判断部12は、全ての月次に対して監査状況を確認したか否かを判断する(ステップS400)。全ての月次に対して監査状況を確認していない場合(ステップS400、No)、監査月次判断部12は、次の月次に対して月次の監査状況を確認する処理を繰り返す(ステップS410、ステップS310〜S400)。全ての月次に対して監査状況を確認すると(ステップS400、Yes)、監査月次判断部12は、月次判定処理を終了する。
(取出・返却テーブルへの取出・返却指示の書き込み処理)
ここで、取出・返却テーブルへの取出・返却指示の書き込み処理について説明する。図10は、取出・返却テーブルへの書き込み処理を説明するための図である。まず、取出・返却指示を初期化する。図10では、例えば4月〜6月の監査状況管理テーブルの監査状況(図10の上段)が監査済みを示す「済」である場合に、7月〜9月までの会計データを監査し12月に訪問監査を行なった場合の取出・返却テーブルへの書き込み処理を示している。なお、取出・返却設定(図10の下段)が空欄となっている月の取出・返却設定は設定無しである。
12月に訪問監査を行なって、使用者が訪問監査PC1で会計ファイルを指定すると、監査月次判断部12では、システムタイマなどによって日時の情報(12月)を取得する。訪問監査を行った月次は、顧問先PC3での仕訳が入力中であり月次が終了していないと考えられる。そのため、監査月次判断部12は、顧問先PC3から取り出す月次範囲の最後は、訪問監査を行った月次の直前の月次までに設定する。
まず、監査月次判断部12は、7月〜9月までの会計データを監査したことによって、7月〜9月までの会計データは、顧問先PC3への返却対象であると判断する。また、12月に訪問監査を行なうことによって、11月までの会計データのうち、返却対象や監査済みとなっていない会計データは、顧問先PC3からの取出し対象であると判断される。換言すると、監査月次判断部12は、まず「済」に設定されている月の最終月次の翌月次以降の会計データを顧問先PC3への返却対象と判断し、「返却」となっている月の最終月次の翌月次以降の会計データを顧問先PC3からの取出し対象と判断する。したがって、図10では、4月〜9月までの会計データを、顧問先PC3への返却対象であることを示す「返却」に設定し、10月、11月の会計データを、顧問先PC3からの取出対象であることを示す「取出」に設定している。
(前期データの処理)
ところで、会計事務所職員などが期首付近に顧問先Bを訪問した場合、訪問監査PC1では、以前に前期の月次の会計データを取り出して監査中のまま(監査済みになっていない)という場合がある。この場合、顧問先PC3では、前期の仕訳の入力を終了して当期の仕訳を入力している。前期の仕訳については会計事務所側(訪問監査PC1)で監査および決算処理がされた仕訳が最終状態となっている。訪問監査PC1は、この前期データを顧問先PC3に返却する必要があり、訪問監査によって当期の月次を処理する際に、前期データの顧問先PC3への返却を同時に行う。訪問監査PC1や顧問先PC3では、前期データを顧問先PC3へ返却した際に、前期の監査状況管理テーブルの全ての月を監査済とする。
これにより、前期データの返却忘れを防ぐことができ、当期データの訪問監査と一緒に前期データの返却作業を同時に行えるので、オペレーションミスと処理ステップの削減につながる。
(監査月次の連続性を確保するための処理)
つぎに、監査月次の連続性を確保するための処理について説明する。会計仕訳は日々連続して行なわれるが、会計処理システム100では、例えばこの会計仕訳を月次単位(会計締日時点での状態)で管理する。そして、訪問監査PC1は、顧問先PC3内の会計データの監査を行う場合、顧問先PC3からの会計データの取り出しと顧問先PC3への会計データの返却を月次単位で行なう。会計ファイルでは、月次の開始時点の会計状態は、前月末の残高を引き継いでいる。会計ファイル内において、月次間の連続性に矛盾が発生すると、それ以降の月次についても矛盾が発生し、会計ファイルは整合性がとれなくなる。このため、本実施例では、会計ファイルの整合性がとれなくなる会計処理を防ぐため、訪問監査PC1が監査月次の連続性を確保する。
図11は、監査月次の連続性の確保方法を説明するための図である。監査月次判断部12は、取出・返却テーブルを作成する際に、「返却」に設定する月次の途中の月次に空き(「返却」以外の設定)が発生しないよう、取出・返却テーブルを作成する(e1)。また、監査月次判断部12は、既に監査済み(「済」)となっている月次の途中の月次にも空き(監査済み以外の設定)が発生しないよう、取出・返却テーブルを作成する。さらに、監査月次判断部12は、「取出」に設定する月次の途中の月次に空き(「取出」以外の設定)が発生しないよう、取出・返却テーブルを作成する(e2)。
さらに、監査月次判断部12は、「返却」に設定する最後の月次の翌月次から、「取出」に設定する月次まで空きが発生しないよう取出・返却テーブルが作成する。具体的には、「返却」に設定される月次の最後の月次を9月とし、「取出」に設定される月次の最初の月次を10月として、「取出」と「返却」の間に空きが生じないよう取出・返却テーブルが作成される(e3)。また、監査済みに設定される月次の最後の月次を6月とし、「返却」に設定される月次の最初の月次を7月として、「取出」と「返却」の間には、空きが生じないよう取出・返却テーブルが作成される(e4)。なお、監査月次判断部12は、「返却」に設定する月次がない場合は、期首月次から空きができないよう「済」の月次と「取出」の月次を設定する。
本実施例では、取出・返却テーブルに基づいて訪問監査PC1と顧問先PC3との間で会計ファイルの授受を行なうことによって、訪問監査PC1と顧問先PC3との間で監査状況管理テーブルを同期させる。そして、訪問監査PC1と顧問先PC3との両方で監査月次の連続性を確保する。
ここで、監査月次の連続性を確保する処理の具体例について説明する。図12〜図16は、監査月次の連続性を確保する処理の具体例を説明するための図である。図12〜図16では、訪問監査PC1や顧問先PC3で監査に関する設定(「監査済み」に設定または「これから監査する」に設定)が変更された場合の、訪問監査PC1での監査に関する設定と顧問先PC3での監査に関する設定との対応関係を示している。
監査済みを示す「済」を示す月次は、訪問監査PC1や顧問先PC3で返却対象に設定された月次であり、「監査する」を示す月次は、訪問監査PC1や顧問先PC3で取出対象に設定された月次である。
図12〜図16の最左側のテーブルは、監査に関する設定の設定変更前の状態(初期状態)を示しており、最左側のテーブルよりも右側のテーブルは、設定変更後の状態を示している。
図12に示す監査状況の初期状態は、4月〜6月の監査状況が「済」であり、7月の監査状況が「監査中」である場合を示している。さらに、訪問監査PC1では、4月〜7月が「済」に設定され、顧問先PC3では8月〜11月が監査対象であることを示す「監査する」に設定されている。
なお、以下の説明では、訪問監査PC1で「監査中」や「済」の設定変更を行なう場合について説明するが、顧問先PC3で「監査中」や「済」の設定変更を行なってもよい。この場合も訪問監査PC1が「監査中」や「済」の設定を行なう場合と同様の処理が行なわれる。
(P1の場合)
使用者によって訪問監査PC1の9月が「済」に設定されると(P1)、9月は顧問先PC3の「監査する」から、訪問監査PC1の「済」に設定される。さらに、既に「済」に設定されている月次と今回の設定で「済」に設定された月次との間に月次がある場合は、この間の月次も「済」に設定される。P1の場合、7月と9月が「済」に設定されることになるので、その間の8月も訪問監査PC1の「済」に設定されることとなる。
換言すると、「済」と「済」が空くように設定された場合であっても、監査月次判断部12では、「済」の月次と「済」の月次とが「済」の月次で繋がるよう設定する。これにより、監査月次判断部12は、返却対象の月次と返却対象の月次の間に返却以外の設定が入らないようにする。
(P2の場合)
また、使用者によって、顧問先PC3の1月が「監査する」に設定されると(P2)、1月は空欄から顧問先PC3の「監査する」に設定される。さらに、既に「監査する」に設定されている月次と今回の設定で「監査する」に設定された月次との間に月次がある場合は、この間の月次も「監査する」に設定される。P2の場合、11月と1月が「監査する」に設定されることになるので、その間の12月も「監査する」に設定されることとなる。
換言すると、「監査する」と「監査する」が空くように設定された場合であっても監査月次判断部12は、「監査する」の月次と「監査する」の月次とが「監査する」の月次で繋がるよう設定する。これにより、監査月次判断部12は、取出対象の月次と取出対象の月次の間に取出し以外の設定が入らないようにする。
(P3の場合)
また、使用者によって、顧問先PC3の6月が「監査する」に設定されると(P3)、6月は訪問監査PC1の「済」から、顧問先PC3の「監査する」に設定される。これにより、6月と8月が「監査する」に設定されることになるので、その間の7月も顧問先PC3の「監査する」に設定されることとなる。
換言すると、「監査する」の設定は、「済」に設定される月次よりも後の月次にしか設定できないので、監査月次判断部12は、「済」で挟まれた月次が「監査する」に設定された場合、「監査する」と「監査する」の間に挟まれた「済」を「監査する」に変更して「監査する」の月次と「監査する」の月次とを「監査する」の月次で繋げる。これにより、監査月次判断部12は、取出対象の月次と取出対象の月次の間に取出し以外の設定が入らないようにする。
(P4の場合)
図13に示す監査状況の初期状態は、全ての月次で「済」や「監査中」が設定されていない監査情況を示している。使用者によって訪問監査PC1の9月が「済」に設定されると(P4)、9月は空欄から訪問監査PC1の「済」に設定される。さらに、期首が空欄の場合であって、期首と今回の設定で「済」に設定された月次との間に月次がある場合は、この間の月次も「済」に設定される。P4の場合、期首が空欄で9月が「済」に設定されることになるので、4月〜8月も訪問監査PC1の「済」に設定されることとなる。
換言すると、期首が空欄の場合に期首以外の月次が「済」に指定されても、監査月次判断部12は、期首から指定された月次までを「済」に設定する。これにより、監査月次判断部12は、返却対象の月次と返却対象の月次の間に返却以外の設定が入らないようにする。
(P5の場合)
図14に示す監査状況の初期状態は、4月〜6月の監査状況が「済」であり、7月の監査状況が「監査中」である場合を示している。使用者によって、顧問先PC3の10月が「監査する」に設定されると(P5)、10月は空欄から顧問先PC3の「監査する」に設定される。さらに、「監査する」に設定された月次よりも前の月次に「済」、「監査する」、「監査中」の設定がなされていない場であって、訪問監査PC1に「済」の設定がなされていない場合、「済」や「監査中」よりも後の月次が「監査する」に設定される。これにより、「監査する」の月次と「監査する」の月次との間の月次も「監査する」に設定される。P5の場合、10月が「監査する」に設定され、7月よりも後の月次に設定がなされていないので、8月と9月も「監査する」に設定されることとなる。
換言すると、「監査する」の設定がない場合に、途中の月次(「監査中」や「監査する」の月次で挟まれた月次)で「監査する」の指定がなされると、監査月次判断部12は、「済」や「監査中」の次の月次以降の月次を「監査する」に設定する。これにより、監査月次判断部12は、取出対象の月次と取出対象の月次の間に取出し以外の設定が入らないようにする。
(P6の場合)
図15に示す監査状況の初期状態は、4月〜6月の監査状況が「済」であり、7月の監査状況が「監査中」である場合を示している。さらに、訪問監査PC1では、4月〜8月が「済」に設定されている。
使用者によって、顧問先PC3の11月が「監査する」に設定されると(P6)、11月は空欄から顧問先PC3の「監査する」に設定される。さらに、「監査する」に設定された月次よりも前の月次に「監査する」の設定がなされていない場合、訪問監査PC1の「済」よりも後の月次が「監査する」に設定される。これにより、「監査する」の月次と「監査する」の月次との間の月次も「監査する」に設定される。P6の場合、11月が「監査する」に設定される、8月よりも後の月次に「済」が設定がなされていないので、9月と10月も「監査する」に設定されることとなる。
換言すると、「済」の設定がある場合に、途中の月次で「監査する」の指定がなされると、監査月次判断部12は、「済」の次の月次以降の月次を「監査する」に設定する。これにより、監査月次判断部12は、取出対象の月次と取出対象の月次の間に取出し以外の設定が入らないようにする。
図16に示す監査状況の初期状態は、4月〜6月の監査状況が「済」であり、7月の監査状況が「監査中」である場合を示している。さらに、訪問監査PC1では、4月〜7月が「済」に設定され、顧問先PC3では8月〜11月が監査対象であることを示す「監査する」に設定されている。
(P7の場合)
使用者によって訪問監査PC1の5月に設定されている「済」が削除されると(P7)、5月は空欄(設定無し)になる。「済」の月次と「済」の月次が連続した月次として繋がらなくなった場合、繋がりの無くなった月次以降の全ての月次の「済」が削除される。P7の場合、5月の「済」が削除されているので、6月以降の訪問監査PC1の「済」が全て削除されることとなる。
換言すると、途中の月次(「済」の月次で挟まれた月次)の「済」が削除されると、監査月次判断部12は、削除された「済」の次の月次以降の月次の「済」を削除する。これにより、監査月次判断部12は、返却対象の月次と返却対象の月次の間に返却以外の設定が入らないようにする。
(P8の場合)
使用者によって訪問監査PC1の10月に設定されている「監査する」が削除されると(P8)、10月は空欄(設定無し)になる。「監査する」の月次と「監査する」の月次が連続した月次として繋がらなくなった場合、繋がりの無くなった月次以降の全ての月次の「監査する」が削除される。P8の場合、10月の「監査する」が削除されているので、10月以降の訪問監査PC1の「監査する」が削除されることとなる。
換言すると、途中の月次(「監査する」の月次で挟まれた月次)の「監査する」が削除されると、監査月次判断部12は、削除された「監査する」の次の月次以降の月次の「監査する」を削除する。これにより、監査月次判断部12は、取出対象の月次と取出対象の月次の間に取出し以外の設定が入らないようにする。
(P9の場合)
使用者によって訪問監査PC1の7月に設定されている「済」が削除されると(P9)、9月は空欄(設定無し)になる。「済」の月次と「監査する」の月次が連続した月次として繋がらなくなった場合、繋がりの無くなった全ての月次の「監査する」が削除される。P9の場合、7月の「済」が削除されているので、8月以降の訪問監査PC1の「監査する」が削除されることとなる。
換言すると、途中の月次(「済」と「監査する」の間の月次)の「済」が削除されると、監査月次判断部12は、削除された「済」の次の月次以降の月次の「監査する」を削除する。これにより、監査月次判断部12は、設定無しの月次以降には、取出対象の月次や返却対象の設定が入らないようにする。
訪問監査PC1や顧問先PC3は、このような上記の処理によって取出・返却テーブルを作成するので、返却して監査済となる月次範囲内に未監査の月次が発生して、監査月次の連続性が失われることはない。また、取出して監査を行う月次も監査済みとなる月次から連続させているので、取出し対象の月次の間に未監査の月次が発生して、取出す月次の連続性が失われることはない。
このようにして作成された取出・返却テーブルは、図5に示した監査月次確認画面61上で使用者によって確認されることとなる。また、取出・返却テーブルは、図6に示した監査対象詳細設定画面62上での使用者の指示によって修正することも可能である。本実施例では、このような取出・返却テーブルの修正が発生しても、監査月次判断部12,32が監査月次の連続性が損なわれないよう取出・返却テーブルを自動修正する。これにより、取出・返却候補の自動決定によって適切な月次が設定されていれば、使用者は図4のステップS150で説明した取出・返却内容の確認処理と、図7のステップS220で説明した取出・返却内容の確認処理と、の2回の確認作業をするだけでよく、オペレーションステップ数を大幅に低減することが可能となる。
なお、取出・返却テーブルは、会計ファイル内に入れてもよいし、会計ファイルとは別の構成としてもよい。取出・返却テーブルと会計ファイルとを別の構成とする場合、取出・返却テーブルは、例えば、顧問先Bや各会計ファイルを特定するための情報(実施例2で説明する指示ファイル)内に入れておく。なお、月次毎の会計ファイルは、月末を会計締日とする場合に限らず、何れの日(例えば20日)を会計締日としてもよい。
このように実施例1によれば、会計事務所職員が顧問先に訪問して会計ファイルを監査する際に、会計ファイルの監査に関する情報を利用して会計データを取出す月次(監査月)や、会計データを返却する月次を判断しているので、使用者が訪問監査PC1上で監査する月(1〜複数月)を指定しなくても、監査すべき会計データを顧問先PC3から取り込み、かつ、同時に会計事務所Aで監査済としてきた過去月の会計データ(1〜複数月)を顧問先PC3に返却できる。このため、訪問監査PC1と顧問先PC3との間で会計ファイルの授受を容易に行なうことが可能となる。
また、会計データを取出す月次や、会計データを返却する月次を指定しなくてもよいので、会計ファイルを授受する際の操作ミスや、思いこみによる月指定の間違いを防止できる。これにより、監査する会計データの取込忘れや返却忘れがなくなる。
また、会計データを取出す月次や返却する月次の設定を、月次間の会計的な連続性が失われないよう設定しているので、会計データの返却漏れや取り込み漏れに起因する連続性を損なうような操作を未然に防ぐことが可能となる。また、訪問監査PC1が前期データを有している場合には、前期データについても当期データと同時に返却処理するので、前期と当期と間の年次単位での会計的な連続性を確保することが可能となる。
つぎに、図17〜図23を用いてこの発明の実施例2について説明する。USBメモリ5を介した会計ファイルの授受が行なわれる場合、目的の会計ファイルとは異なる会計ファイルが授受される場合や、会計ファイルに対するアクセス権等のセキュリティ保護を無視して会計ファイルが実行される場合がある。このため、実施例2では、会計処理システム100内で、会計ファイルの認証処理、USBメモリ5の認証処理、会計ファイルの暗号化処理などを行なう。例えば、会計処理システム100では、訪問監査PC1や顧問先PC3からUSBメモリ5へ会計ファイルなどを格納する際に、各会計ファイルに固有の情報(会計ファイル固有情報)を用いて会計ファイルを暗号化し、訪問監査PC1や顧問先PC3がUSBメモリ5から会計ファイルなどを読み込む際には、各会計ファイルに固有の情報(会計ファイル固有情報)を用いて会計ファイルを復号化する。
(訪問監査PC1と顧問先PC3の実施例2の装置構成)
まず、本発明の実施例2に係る訪問監査PC1の構成と、本発明の実施例2に係る顧問先PC3の構成について説明する。図17は、本発明の実施例2に係る訪問監査PCの構成を示すブロック図であり、図18は、本発明の実施例2に係る顧問先PCの構成を示すブロック図である。なお、図17および図18の各構成要素のうち図2および図3に示す実施例1の訪問監査PC1や顧問先PC3と同一機能を達成する構成要素については同一番号を付しており、重複する説明は省略する。
訪問監査PC1は、指示入力部11、監査月次判断部12、USBメモリ接続部13、表示部14、記憶部15、制御部19に加えて、暗号化/復号化部21、ファイル認証部22、ファイル入出力管理部23を備えている。顧問先PC3は、指示入力部31、監査月次判断部32、USBメモリ接続部33、表示部34、記憶部35、制御部39に加えて、暗号化/復号化部41、ファイル認証部42、ファイル入出力管理部43を備えている。
暗号化/復号化部21,41は、USBメモリ5へ格納する会計ファイルなどを暗号化するとともに、USBメモリ5から読み込んだ会計ファイルなどを復号化する。暗号化/復号化部21,41は、会計ファイルを暗号化や復号化する際に、顧問先Bや会計ファイルを特定するための情報(後述の指示ファイル)を用いて暗号化や復号化を行なう。また、暗号化/復号化部21,41は、指示ファイル内の情報を、予め記憶しておく固定の暗号キーによって暗号化し、予め記憶しておく固定の復号キーによって復号化する。
ファイル認証部22,42は、顧問先アプリケーションを有している。この顧問先アプリケーションは、顧問先PC3に接続中のUSBメモリ5や、このUSBメモリ5内の会計ファイルが、訪問監査に用いるUSBメモリ5や、顧問先B(顧問先PC3)に対応する会計ファイルであるか否かを判断(認証)する。顧問先アプリケーションは、訪問監査に用いるUSBメモリ5や、顧問先Bに対応する会計ファイルに対してのみ会計ファイルの授受に関する処理を行なう。顧問先アプリケーションは、認証処理によって、USBメモリ5が監査対象のUSBメモリ5であることを確認できた場合に、このUSBメモリ5への接続を許可する。また、顧問先アプリケーションは、認証処理によって、会計ファイルが監査対象の会計ファイルであることを確認できた場合に、この会計ファイルへの監査に関する処理を許可する。
ファイル入出力管理部23,43は、USBメモリ5から会計ファイルを読み込んだ後、USBメモリ5の会計ファイルを削除する。また、ファイル入出力管理部23,43は、USBメモリ5に会計ファイルを格納する際に、USBメモリ5の会計ファイルを削除した後、USBメモリ5に会計ファイルを格納させる。
(USBメモリ5に格納させる情報)
ここで、USBメモリ5に格納する情報について説明する。本実施例でも実施例1の場合と同様に、訪問監査PC1と顧問先PC3との間では、USBメモリ5を介して会計ファイルを授受する。各月次の取出・返却指示は、取出しや返却を行なう際の会計ファイルの状態(監査状況管理テーブル)に従って決定される。このため、取出・返却指示は、取出しや返却を指示するタイミングでの会計ファイルの状態と対応付けして保持しておく必要がある。本実施例では、USBメモリ5には会計ファイルとともに、指示ファイル(会計ファイルを特定する情報、取出対象の月次、返却対象の月次などの情報)を格納する。
訪問監査PC1や顧問先PC3では、例えば監査済み会計データXの基礎情報、取出・返却テーブルなどに基づいて、顧問先Bや会計ファイルを特定するための指示ファイルを作成する。そして、訪問監査PC1や顧問先PC3の暗号化/復号化部21,41では、この指示ファイルと会計ファイル(監査済み会計データX)を暗号化してUSBメモリ5に格納させる。
図19は、USBメモリに格納される情報の一例を示す図である。同図に示すように、USBメモリ5には、指示ファイル51、暗号化された会計ファイル(例えば「〜.jvk」で示されるファイル)52が格納されている。
会計ファイルは、会計データに加えて、基礎情報、科目情報、仕訳情報などを含んで構成されている。基礎情報は、例えば商号C(商号コード)、商品名、決算年月日、業種などの情報を含んでいる。また、取出・返却テーブルは、取出対象の月次、返却対象の月次などの情報を含んでいる。
本実施例では、暗号化/復号化部21,41が、例えば基礎情報内の商号Cや決算年月日、取出・返却テーブル内の取出対象の月次(取出月次)や返却対象の月次(返却月次)などの情報を用いて指示ファイルを作成する。
(顧問先PC3とUSBメモリ5の処理手順)
つぎに、顧問先PC3とUSBメモリ5の処理手順について説明する。図20および図21は、顧問先PCとUSBメモリの処理手順を示すフローチャートである。図20および図21では、訪問監査PC1によってUSBメモリ5に格納されたデータ(会計ファイルなど)をUSBメモリ5から顧問先PC3へ格納する処理と、顧問先PC3のデータをUSBメモリ5に格納する手順を示している。
(USBメモリ5の動作)
訪問監査PC1は、USBメモリ5に、暗号化された会計ファイル52、ファイル内の情報が暗号化された指示ファイル51を格納させておく。また、USBメモリ5へは、自己実行形式の訪問監査依頼プログラムを格納させておく。訪問監査依頼プログラムは、顧問先PC3に接続されているUSBメモリ5が訪問監査に関するデータを有したメモリであることを顧問先PC3に確認させるためのプログラムである。
まず、USBメモリ5は、顧問先PC3のUSBメモリ接続部33へ挿入されて顧問先PC3と接続する(ステップS510)。この後、USBメモリ5内の訪問監査プログラムは、顧問先PC3の制御によって起動させられ(ステップS520)、訪問監査プログラムが開始する(ステップS530)。
USBメモリ5は、自身が「会計ファイル(訪問監査データ)を保持するUSBメモリ5である」ことを顧問先PC3に識別させることができる特定の情報(USB識別値)を、記憶部35の所定のエリア(共有メモリ内の所定の位置)内に書き込む(ステップS540)。この後、訪問監査プログラムは終了する(ステップS550)。
(顧問先PC3の動作)
一方、顧問先PC3では、予め顧問先アプリケーションを起動し(アプリケーション起動権限の確保)(ステップS610)、かつ監査対象となる会計ファイルを選択し(対象データアクセス権の確保)(ステップS620)、かつ「訪問監査」機能の実行を指示して、待ち受け状態に移行してから(訪問監査機能の実行権限の確保)(ステップS630)、訪問監査の実作業を開始する(ステップS640)。
ここでの「訪問監査」機能は、顧問先PC3とUSBメモリ5との間で会計ファイルを授受するための機能であり、例えば監査月次判断部32、暗号化/復号化部41、ファイル入出力管理部43などである。
上述したステップS610〜S630の処理を具体的に説明する。顧問先PC3では、使用者が顧問先アプリケーションを起動させる。そして、顧問先PC3は、使用者に指示入力部31を介して監査対象となる会計ファイルを指示(選択)させる。
これらのステップS610〜S630の各オペレーションで、顧問先アプリケーションの起動権限、監査対象データへのアクセス権限、「訪問監査」機能の実行権限が自動的にチェックされる。これにより、セキュリティ管理下に置かれたうえで会計ファイルに関する種々の処理が制御されることとなる。
このように、顧問先PC3では、予め監査対象となる会計ファイルを選択しておくので、明示的に監査対象となっている会計ファイルを確認することができる。したがって、目的の会計ファイル以外の間違った訪問監査の実行を防ぐことが可能となる。
訪問監査の待ち受け状態になった後、顧問先アプリケーションは、共有メモリ内の所定の位置に格納されているUSB識別値が、USBメモリ5に割当てられた値に変わるまで所定の周期で共有メモリ内を監視する(ステップS650)。換言すると、顧問先アプリケーションは、「訪問監査」機能の実行直後から定期的に所定のメモリ位置を監視する。この監視処理は、共有メモリ内の所定の位置がUSB識別値に変わるか、使用者の指示によって監視処理が中断されるまで繰り返される。
所定の時間を経過しても共有メモリ内の所定の位置がUSB識別値に変わらない場合や、間違ったUSB識別値が共有メモリ内の所定の位置に書き込まれている場合、顧問先PC3は、表示部34に所定のエラーメッセージを表示させて「訪問監査」機能を中止する。
この共有メモリ内の所定の位置にUSB識別値を格納させて監視する方法により、顧問先PC3の顧問先アプリケーションは、接続されたUSBメモリ5が訪問監査対象のUSBメモリ5であることを確実に特定できるようになる。これにより、顧問先PC3が不正なUSBメモリに対して不用意にアクセスや処理を行なうことを防止できる。
この後、顧問先アプリケーションは、共有メモリ内の所定の位置がUSB識別値に変わった場合に、USBメモリ5の挿入を待ち受けするアプリケーション(ファイル入出力管理部43)は、USBメモリ5へのアクセスを開始する。ファイル入出力管理部43は、USBメモリ5内に格納されている指示ファイルを読み込んで、暗号化/復号化部41へ送る(ステップS660)。
暗号化/復号化部41は、指示ファイル内から必要なパラメータを取り出して復号化する。具体的には、暗号化/復号化部41は、指示ファイル内から商号C、決算年月日、返却月次、取出月次の部分を抽出して復号化する(ステップS670)。
ファイル認証部42の顧問先アプリケーションは、現在顧問先PC3で開いている会計ファイルと、復号化した指示ファイルを比較して、現在顧問先PC3で開いている会計ファイルと、USBメモリ5内の会計ファイルが一致するか否かを判断する。具体的には、顧問先アプリケーションは、現在顧問先PC3で開いている会計ファイルの商号C、決算年月日と、復号化した指示ファイルの商号C、決算年月日が一致するか否かを判断する(ステップS680)。
商号C、決算年月日の何れかが一致しない場合(ステップS680、No)、顧問先アプリケーションは、表示部34に所定のエラーメッセージを表示する。表示部14は、例えば「接続中のUSBメモリ5から読み込んだ会計ファイルは、監査対象の会計ファイルではありません」などのメッセージを表示する(ステップS750)。これにより、間違った会計ファイルに対して訪問監査されることを防ぐことが可能となる。
一方、商号C、決算年月日の全てが一致する場合(ステップS680、Yes)、顧問先アプリケーションは、暗号化/復号化部41に会計ファイルの認証が正しく行なわれたことを通知する。
暗号化/復号化部41は、復号化したパラメータに基づいて、会計ファイルを復号化するための復号キーを生成(自動算出)する(ステップS690)。さらに、暗号化/復号化部41は、指示ファイルに対応する会計ファイルをUSBメモリ5内から取り出す(ステップS700)。そして、暗号化/復号化部41は、生成した復号キーを用いて会計ファイルを復号化する(ステップS710)。これにより、復号キーの入力オペレーションを行なうことなく、少ない操作ステップで容易に会計ファイルを復号化することが可能となる。
この後、ファイル入出力管理部43は、USBメモリ5から会計ファイルを削除する(ステップS720)。換言すると、訪問監査に関するデータを格納していたUSBメモリ5は、会計ファイルが訪問監査を受け付けて顧問先PC3に取り込まれた直後に即座に削除される。これにより、会計ファイルがUSBメモリ5に存在する期間をできる限り縮めることが可能になり、データ漏洩等への耐性を向上させることができる。
顧問先PC3は、現在開いている操作中の会計ファイルとは別に、復号化した会計ファイル内の監査済み会計データX(テンポラリファイル)を作成する。そして、監査月次判断部32は、現在開いている会計ファイルと、監査済み会計データXを取出・返却テーブルに基づいて同期処理を行い、この同期結果に基づいて監査状況管理テーブルを更新する(ステップS730)。監査月次判断部32は、監査状況管理テーブルの同期結果を表示部34に表示させる(ステップS740)。
この後、顧問先PC3のファイル入出力管理部43は、USBメモリ5内をスキャンして、USBメモリ5内にファイルがあるか否かを確認する(ステップS760,S770)。
USBメモリ5内にファイルがある場合(ステップS770、Yes)、ファイル入出力管理部43は、USBメモリ5内にファイルがあることを確認した後、顧問先PC3のデスクトップなどの所定の領域にUSBメモリ5内のファイルを移動させる(ステップS780)。一方、USBメモリ5内にファイルがない場合(ステップS770、No)、顧問先PC3はUSBメモリ5への操作を行なうことなく、次の処理に進む。これにより、監査に必要な情報以外の漏洩を防ぐことができる。また、ウィルス等に感染したファイルを含んだまま訪問監査PC1等に接続する恐れを予防することができる。
この後、暗号化/復号化部41は、会計ファイル内の基礎情報から商号Cと決算年月日を抽出する。さらに、監査月次判断部32は、取出・返却テーブルに基づいて、監査依頼会計データYの月次範囲(取出月次)を判断する。そして、暗号化/復号化部41は、商号C、決算年月日、月次範囲を用いて暗号キーを自動算出する(ステップS790)。暗号化/復号化部41は、自導算出した暗号キーを用いて会計ファイル(監査依頼会計データYなど)を暗号化し、USBメモリ5に格納する(ステップS800)。これにより、暗号キーの入力オペレーションを行なうことなく、少ない操作ステップで容易に会計ファイルを暗号化することが可能となる。
さらに、暗号化/復号化部41は、暗号キーの生成に用いた商号C、決算年月日、月次範囲から、所定の規則に従った文字列を生成して、この文字列を固定の暗号キーで暗号化する(ステップS810)。暗号化/復号化部41は、この暗号化したデータを指示ファイル51に記述してUSBメモリ5に格納する(ステップS820)。
このように、暗号キーの生成に用いた情報と、会計ファイルとを暗号化しているので、USBメモリ5が紛失した場合であっても、第三者へは会計ファイルを不可視にすることができる。この後、USBメモリ5は、顧問先PC3から取り外され(ステップS830)、「訪問監査」機能が終了する(ステップS840)。
なお、図20および図21では、顧問先PC3とUSBメモリ5との間のデータの授受について説明したが、訪問監査PC1とUSBメモリ5との間のデータの授受も顧問先PC3とUSBメモリ5との間のデータの授受と同様の処理手順によって行われる。
つぎに、訪問監査PC1での暗号化/復号化処理と、顧問先PC3での暗号化/復号化処理を詳細に説明する。なお、訪問監査PC1と顧問先PC3は、同様の処理によって暗号化と復号化を行なうので、ここでは訪問監査PC1が会計ファイルなどの暗号化を行い、訪問監査PC1によって暗号化された会計ファイルなどを顧問先PC3が復号化する場合について説明する。
(訪問監査PC1による暗号化処理)
図22は、訪問監査PCによる暗号化処理を説明するための図である。訪問監査PC1は、記憶部15に会計ファイル70と、指示ファイル暗号キー(指示ファイルを暗号化するためのキー)aを記憶している。会計ファイル70は、基礎情報72と監査状況管理テーブル71を格納している。基礎情報72は、例えば商号Cと決算年月日である。
また、暗号化/復号化部21は、会計ファイル70の暗号化に用いる暗号キーを生成する会計ファイル暗号キー生成部21Aと、会計ファイル70を暗号化する会計ファイル暗号化部21Bと、指示ファイルに記述する情報を暗号化する指示ファイル暗号化部21Cと、を有している。
訪問監査PC1では、表示部14が記憶部15内の監査状況管理テーブル71を用いて監査月次確認画面61を表示する。また、監査月次判断部12は、表示部14が表示している監査月次確認画面61に基づいて、月次範囲81(返却月次と取出月次)を抽出する。
暗号化/復号化部21の会計ファイル暗号キー生成部21Aは、基礎情報72と月次範囲81に基づいて、会計ファイルの暗号化に用いる暗号キーを生成する。すなわち、会計ファイル暗号キー生成部21Aは、「会計ファイルを特定する情報」と「取出・返却テーブル」の両方を用いて会計ファイルの暗号キーを生成する。また、会計ファイル暗号化部21Bは、会計ファイル暗号キー生成部21Aが生成した暗号キーを用いて会計ファイル70を暗号化する。
さらに、指示ファイル暗号化部21Cは、記憶部15内の指示ファイル暗号キーaを用いて基礎情報72と月次範囲81を暗号化し、暗号化した情報を指示ファイルに記述する。そして、訪問監査PC1は、暗号化した後の会計ファイルを、暗号化された会計ファイル52として、USBメモリ5に格納させる。また、訪問監査PC1は、商号C、決算年月日、返却月次、取出月次を暗号化した指示ファイルを、指示ファイル51としてUSBメモリ5に格納させる。
これにより、USBメモリ5内の暗号化された会計ファイル52と指示ファイル51は必ず同時期に作成された情報であることが保障され、暗号化された会計ファイル52を復号する際には、会計ファイル70を暗号化した際に用いた「会計ファイルを特定する情報」と「取出・返却テーブル」が必要となる。
(顧問先PCによる復号化処理)
図23は、顧問先PCによる復号化処理を説明するための図である。USBメモリ5は、訪問監査PC1によって格納された暗号化された会計ファイル52と、指示ファイル51を格納している。
また、訪問監査PC1は、記憶部35に指示ファイル復号キー(指示ファイルを復号化するためのキー)bを記憶している。また、暗号化/復号化部41は、暗号化された会計ファイル52の復号化に用いる復号キーを生成する会計ファイル復号キー生成部41Aと、暗号化された会計ファイル52を復号化する会計ファイル復号化部41Bと、指示ファイル51に記述された情報を復号化する指示ファイル復号化部41Cと、を有している。また、監査月次判断部32は、指示ファイル復号化部41Cから送られてくる情報の中から月次範囲81(返却月次、取出月次)を抽出する取出・返却情報抽出部32Aを有している。
指示ファイル復号化部41Cは、記憶部35内の指示ファイル復号キーbを用いて、指示ファイル51内の情報を復号化する。これにより、指示ファイル復号化部41Cは、指示ファイル51から商号C、決算年月日、返却月次、取出月次を得ることできる。指示ファイル復号化部41Cは、復号化された商号C、決算年月日、返却月次、取出月次を、会計ファイル復号キー生成部41Aと監査月次判断部32に送る。
会計ファイル復号キー生成部41Aは、指示ファイル復号化部41Cからの商号C、決算年月日、返却月次、取出月次に基づいて、暗号化された会計ファイル52の復号化に用いる復号キーを生成する。会計ファイル復号化部41Bは、会計ファイル復号キー生成部41Aが生成した復号キーを用いて暗号化された会計ファイル52を復号化する。会計ファイル復号化部41Bが復号化した会計ファイルは、会計ファイル70として記憶部35に記憶させておく。
また、監査月次判断部32では、取出・返却情報抽出部32Aが指示ファイル復号化部41Cから送られてくる情報の中から月次範囲81を抽出する。取出・返却情報抽出部32Aは、表示部34に月次範囲81に応じた監査月次確認画面61を表示させる。なお、USBメモリ5に格納する指示ファイル51は、ファイル全体を暗号化させておいてもよいし、ファイル内の必要な項目だけを暗号化させておいてもよい。
このように実施例2によれば、訪問監査PC1や顧問先PC3がUSBメモリ5や会計ファイルの認証を行なってからUSBメモリ5にアクセスするので、目的外のUSBメモリや会計ファイルに対するアクセスや操作ミスを防止できる。
また、USBメモリ5には暗号化された会計ファイル52を格納させるので、会計ファイル70の漏洩を防止することが可能となる。また、USBメモリ5から暗号化された会計ファイル52を取り出した後に、USBメモリ5から暗号化された会計ファイル52を削除しておくので、会計ファイルの漏洩や書き換えを防止することが可能となる。また、USBメモリ5に新たな暗号化された会計ファイル52を格納させる際には、USBメモリ5内に残っているデータをデスクトップなどの所定の領域に移動させるので、USBメモリ5内のデータの漏洩を防止することが可能となる。したがって、会計処理システム100のセキュリティを確保することが可能となる。
また、会計ファイル内の基礎情報や、監査対象の月次範囲81に基づいて暗号キーを生成するので、少ない操作ステップ数で容易にデータの授受を行なうことが可能となる。