JP5153409B2 - ガスハイドレートのガス化装置及びガス化方法 - Google Patents

ガスハイドレートのガス化装置及びガス化方法 Download PDF

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本発明は、大気圧下のような低圧化で貯蔵されている粒状のガスハイドレートを、水などの液体の入った高圧下のガス化槽内に移して、ハイドレートを分解してガス化するガスハイドレートのガス化装置及びガス化方法に関する。
天然ガスハイドレート等のガスハイドレートは、ペレット化(粒状体)して、通常大気圧下で貯蔵される。
ガス化後のガスハイドレートの主たる利用方法としては、発電用燃料および都市ガス原料が考えられ、発電用燃料では3.5MPa以上、都市ガス原料では5.0MPa以上の高圧が要求されている。ガスハイドレートは、その物性に動力機械に頼ることなく高圧ガスが得られる特性を持つため、その特性を生かした高圧ガス化が可能である。
このガスハイドレートをガス化するには、前記大気圧下で貯蔵されているガスハイドレートを、高圧下のガス化槽内に移す必要がある。この高圧のガス化槽への圧入方式の従来技術として、例えばボールバッチ方式(特許文献1等)や高圧シール型のロータリーフィーダ方式が挙げられる。
特開2004−75849号公報
従来の圧入方式は、ガスハイドレートをガス化槽の気体相側から投入する構造になっている。そのため、大気圧下のガスハイドレートを一旦、中間容器に移し、該中間容器を圧力的に外部と遮断した状態で、ガス化槽内と同程度以上に昇圧する必要がある。その際、中間容器内は、粒状ガスハイドレート間の空隙に気体が存在する状態であるため、昇圧のために大動力が必要となる問題があった。
また、高圧になった中間容器は、再度ガスガイドレートを入れる際に、大気圧まで下げなければならないため、前記昇圧が無駄になる問題があった。
本発明の目的は、ガスハイドレートをガス化槽の液体相側から入れる構造にすることで、中間容器内を昇圧するための動力を不要にしたガスハイドレートのガス化装置及びガス化方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るガスハイドレートのガス化装置は、高圧になるガス化槽と、低圧のガスハイドレート貯槽と、前記ガス化槽の液面よりも下部に設けられ、該ガス化槽の液体相と開閉可能な仕切で区画され、高圧状態と低圧状態とを取り、前記低圧状態で前記ガスハイドレート貯槽内からガスハイドレートが移される中間容器と、前記中間容器を外部と圧力的に遮断した状態で前記仕切を開閉する開閉駆動部とを備えたことを特徴とするものである。
本態様によれば、ガス化槽内の液体相中に、ガスハイドレートを直接入れる構造であるので、低圧下でガスハイドレートが入れられた状態の中間容器を、前記仕切を開状態にしてガス化槽の液体相と連通状態にすると、低圧状態の中間容器内に高圧の気体ではなく高圧の液体が流入し、直ちにガスハイドレートの空隙の圧力が高圧になり、ガス化槽の液体相と中間容器内の全体が同じ圧力(高圧)状態となって、中間容器内が液体で満たされる。従って、従来のような中間容器内を昇圧するための大動力は不要にすることができ、大幅なコストダウンを実現することができる。
また、本態様によれば、前記仕切を開にするだけで、中間容器内のガスハイドレートは液体の浮力の作用で上昇して自動的にガス化槽の液体相内に入るので、装置構成が簡単である。
すなわち、高圧になるガス化槽の下部に、該ガス化槽内と区画されて設けられた中間容器内に、低圧状態でガスハイドレート貯槽内からガスハイドレートを移し、前記中間容器を外部と圧力的に遮断した状態で、前記ガス化槽の液体相と該中間容器とを区画する開閉可能な仕切を開状態にして前記液体相と中間容器内とを連通させることにより、前記中間容器内に液体が入り、前記ガスハイドレートが浮力を受けて自動的に前記液体相中を上昇してガス化槽内に入ることができる。
本発明の第2の態様は、前記第1の態様のガスハイドレートのガス化装置において、前記区画された状態で前記中間容器内に存在する高圧の液体を低圧タンク内に排出すると共に、該中間容器内を低圧状態に変える排出低圧化手段とを備えたことを特徴とするものである。
本態様によれば、中間容器内のガスハイドレートをガス化槽の液体相に入れたのち、前記仕切を閉状態にするが、その際、中間容器内は高圧状態にある。この高圧状態を低圧状態に戻す必要があるが、本態様によれば、前記仕切を閉状態に戻して中間容器内にガスハイドレートが無い状態にして、前記中間容器内に存在する高圧の液体を低圧タンク内に排出することで、該中間容器内から液体を排出することができると同時に低圧状態に変えることができる。これにより、低圧状態で前記ガスハイドレート貯槽内からガスハイドレートを新たに中間容器内に移すことが可能になる。
本発明の第3の態様は、前記第1の態様または第2の態様のガスハイドレートのガス化装置において、前記低圧状態でガスハイドレートが存在する中間容器内に液体を供給する液体供給手段を備え、該液体供給手段によって前記中間容器に液体が供給された状態で、前記開閉駆動部が前記仕切を開いて該中間容器内と前記ガス化槽の液体相とを連通状態にするように構成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、液体供給手段によって前記中間容器に液体が供給され、中間容器内でガスハイドレートと液体が反応しガスハイドレートがガス化した高圧の状態になる。分解反応はガスハイドレートの分解平衡圧力に達して停止する。この高圧状態で、前記開閉駆動部が前記仕切を開いて該中間容器内と前記ガス化槽の液体相とを連通状態にするので、前記ガス化槽の液体相と中間容器内の圧力差が小さい状態で該液体相と中間容器が連通されることになり、圧力変化が一層穏やかになりガスハイドレートをガス化槽内に無理なく簡単に移すことができる。また、減少した水を低圧の状態から供給できるので、水供給ポンプの動力を低減できる。
本発明の第4の態様は、前記第3の態様のガスハイドレートのガス化装置において、前記液体供給手段は、低圧タンク内の液体を中間容器内に供給するように構成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、高圧状態の中間容器内から排出した液体を、低圧状態の中間容器に戻してガス化槽と連通状態にするので、無駄が無く、ガス化槽内の液体の量を一定に保持することができる。
本発明の第5の態様は、前記第1の態様から第4の態様のいずれか一つのガスハイドレートのガス化装置において、前記中間容器は、シリンダーで構成された容器本体と、シリンダー内のピストンで構成された仕切とを備え、前記ピストンが前記ガス化槽内の液体相との仕切位置にあるときに前記仕切として機能するように構成され、前記開閉駆動部は、ピストンロッドを往復動させる動力源を備え、前記ピストンロッドを往復動させて前記ピストンが前記仕切位置と前記ガス化槽内に押し込まれた連通位置とを取るように構成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、中間容器は、シリンダーで構成された容器本体と、シリンダー内のピストンで構成された仕切とを備え、前記ピストンが前記ガス化槽内の液体相との仕切位置にあるときに前記仕切として機能するように構成されているので、すなわち、シリンダーとピストンによって構成されているので、大型のバルブを用いること無く、構造簡単にして中間容器内の高圧状態と低圧状態の変化を安定して実現することができる。
本発明の第6の態様は、前記ガスハイドレートのガス化装置において、前記ピストンは、先端側の第1ピストンと、該第1ピストンと離間する基端側の第2ピストンとの二段ピストンで構成され、前記第1ピストンと第2ピストンと前記シリンダーで囲われる領域に、前記低圧状態で前記ガスハイドレート貯槽内からガスハイドレートが移されるように構成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、構造簡単にして本発明に係る中間容器を構成することができ、コストダウンに寄与することができる。
本発明の第7の態様は、高圧になるガス化槽の液面よりも下部に、該ガス化槽内と区画されて設けられた中間容器内に、低圧状態でガスハイドレート貯槽内からガスハイドレートが移される第一工程と、前記中間容器を外部と圧力的に遮断した状態で、前記ガス化槽の液体相と該中間容器とを区画する開閉可能な仕切を開状態にして前記液体相と中間容器内とを連通させる第二工程と、前記連通により前記中間容器内に液体が入り、前記ガスハイドレートが浮力を受けて自動的に前記液体相中を上昇してガス化槽内に入る第三工程と、を有することを特徴とするガスハイドレートのガス化方法である。
本態様のガス化方法によれば、前記第1の態様と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第8の態様は、前記第7の態様のガスハイドレートのガス化方法において、前記第三工程に続いて前記仕切を閉状態に戻して中間容器内にガスハイドレートが無い状態にする第四工程と、前記第四工程に続いて、前記中間容器内に存在する高圧の液体を低圧タンク内に排出すると共に、該中間容器内を低圧状態に変える排出低圧化工程である第五工程と、を有することを特徴とするものである。
本態様によれば、前記第2の態様と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第9の態様は、前記第7の態様または第8の態様のガスハイドレートのガス化方法において、前記第一工程後の前記低圧状態でガスハイドレートが存在する中間容器内に液体を供給する液体供給工程を有することを特徴とするものである。
本態様によれば、前記第3の態様と同様の作用効果を得ることができる。
本発明によれば、ガスハイドレートをガス化槽の液体相側から入れる構造にすることで、中間容器内を昇圧するための動力を不要にし、大幅なコストダウンを実現することができる。
以下、本発明にかかるガスハイドレートのガス化装置の実施例を図面に沿って説明する。
なお、本発明は実施例に限定されるものではない。また、図2、図3、図5、図6、図7については要部を説明するため、ガスバッファードラム18、余剰水排水バルブ17、液面計等の共通の装置は省略してある。
[第1の実施例]
第1の実施例を図1〜図3に沿って説明する。図1には本発明に係るガス化装置の概念図が、図2および図3は、本発明に係るガス化装置が作動した際の概念図が示されている。
図1において、ガス化槽1内は、ガスハイドレートと反応させる水を蓄えた液体相Lと、ガスハイドレートと水の反応によって発生するガスを蓄える気体層Gを有している。ここで、ガス化槽1内は高圧状態(1〜3MPa)で保たれている。
ガス化槽1の底部には、シリンダー6が設けられ、シンリンダー6内にはピストンロッド7で連結されて一体で駆動する第1ピストン4と第2ピストン5が挿入されており、さらにシリンダー6、第1ピストン、第2ピストンおよびピストンロッド7とで囲まれた部分によって構成された中間容器3が設けられている。
中間容器3からは、中間容器3に溜まった水を排出するための排水管が開放弁12が設けられた低圧タンク8へと配設されている。開放弁12は大気への開放でも良いが、大気圧0.1MPaまたはこれに近い低圧のガスバッファドラム18またはベントライン等に接続されている。排水は排水バルブ11によって行う。
また、排水時に中間容器3にガスを供給するためのガス導入バルブ16が設けられている。
ガス化槽1に隣接した場所には、ガスハイドレートPを貯留しておくためのガスハイドレート貯槽2が設けられ、その下部からはガスハイドレートPを供給するための供給管が中間容器3へと配設されている。なお、中間容器3へのガスハイドレートPの供給は、ガスハイドレート供給バルブ10によって行なう。
次に、図2および図3によって本発明に係るガス化装置の第1の実施例の作動状態について説明する。なお、図中においてonはバルブの開状態を、offはバルブの閉状態を表している。
図2(A)には、本発明に係るガス化装置が作動する前の初期状態が示されている。この初期状態では、ガスハイドレート供給バルブ10、排水バルブ11、開放弁12、ガス導入バルブ16は閉じられており、ガス化槽1内の液体相Lとシリンダー6は第1ピストン4によって区画されている。勿論この状態で、中間容器3への水の流入が無いように、第1ピストン4によって液体相Lとシリンダー6の境界部はしっかりとシーリングしている。
図2(B)には、排水バルブ11、開放弁12、ガス導入バルブ16は閉じたままで、ガスハイドレート供給バルブ10を開き、ガスハイドレート貯槽2からガスハイドレートPを中間容器3へ供給した状態が示されている。この際、ガスハイドレート貯槽2内の圧力は大気圧と同様の圧力(0.1MPa)なので、ガスハイドレートPが供給された中間容器3内の圧力も大気圧と同様の圧力(0.1MPa)になっている。中間容器3内への一定量のガスハイドレートPの供給が終了したらガスハイドレート供給バルブ10を閉じる。
図2(C)では、第1ピストン4および第2ピストン5を駆動させて、ガス化槽1内の液体相Lに中間容器3内のガスハイドレートPを供給した状態が示されている。
このように、ガス化槽1内の液体相L中(1〜3MPa)に、ガスハイドレートPを直接入れる構造であるので、低圧下(0.1MPa)でガスハイドレートPが入れられた状態の中間容器3を、第1ピストン4と第2ピストン5を駆動させてガス化槽1内の液体相Lと連通状態にすると、中間容器内(0.1MPa)に高圧の液体が流入し、直ちにガスハイドレートPの空隙の圧力が高圧になり、ガス化槽1の液体相Lと中間容器内3の全体が同じ圧力(高圧)状態となって、中間容器3内が液体で満たされる。従って、従来のような中間容器内を昇圧するための大動力は不要にすることができ、大幅なコストダウンを実現することができる。また、ガスハイドレートPは水よりも密度が小さいので浮力によって自ら液体相L中を上昇して行く。なお、第1ピストンおよび第2ピストンを駆動させる動力は、従来より知られているものでよく、例えば油圧等が挙げられる。
図3(D)では、中間容器3内のガスハイドレートPがすべてガス化槽1内の液体相L中に供給された状態を示している。この状態では、ガス化槽1内の液体相Lとシリンダー6は第2ピストン5によって区画されている。第2ピストン5は、中間容器3への水の流入が無いように液体相Lとシリンダー6の境界部をしっかりとシーリングしている。
図3(E)では、図3(D)の状態から第1ピストン4と第2ピストン5を初期状態の位置にまで戻した状態が示されている。この際、中間容器3内は液体相Lの水で満たされた状態になっており、そのため、中間容器3内の圧力はガス化槽1内の液体相の圧力と同様高圧になっている。
図3(F)では、中間容器3内の水を低圧タンク8に排出した状態が示されている。中間容器3内の圧力は高圧になっているので、低圧タンク8の開放弁12を開いた状態にした後、排水バルブ11を開いて次いで、ガス導入バルブ16を開いて中間容器3内の水を低圧タンク8に排出する(排水バルブ11とガス導入バルブ16は同時に開いても良く、排水バルブ11を開いた後にガス導入バルブ16を開いても良い)。ここで、水は液体であるため非圧縮性を有しているので、少しの体積が増加するだけで圧力は瞬時に開放される。そして、開放弁12が開いた状態にあるので、中間容器3内は大気圧(0.1MPa)になり、この状態で開放弁12と排水バルブ11を閉じることによって、初期状態である図2(A)の状態に戻り、ガスハイドレート貯槽2内からガスハイドレートを新たに供給することが可能となる。
なお、低圧タンク8に蓄えられた水は、上記の一連の工程によりガス化槽1内の水が減少するので、液面を液面計で検知して、減少分を水供給バルブ15を通じてガス化槽1内の液体相Lに戻される。低圧タンクに蓄えられた水をガス化槽1内の液体相Lに戻す手段としては、ポンプ等の従来から知られている手段によるものでよい。また、投入したガスハイドレートに含まれていた水は余剰となるので、この水は余剰水排水バルブ17から排水し、ガスハイドレートの原料水として再利用すればよい。
[第2の実施例]
次に第2の実施例を図4〜図6に沿って説明する。図4には本発明に係る第2の実施例のガス化装置の概念図が、図5および図6は、本発明に係るガス化装置が作動した際の概念図が示されている。なお、実施例1と同じ部分には同様の符号を付し説明を省略して、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
図4には本発明に係るガス化装置の概念図が示されている。
図4において、前もって低圧タンク8に水が蓄えられており、低圧タンク8からその水を中間容器3内に供給するための給水管を中間容器3へと配設した以外は、実施例1と同様である。なお、低圧タンク8から中間容器3内への水の供給はポンプPと給水バルブ13によって行う。
次に、図5および図6によって本発明に係るガス化装置の作動状態について説明する。
図5(A)には、本発明に係るガス化装置が作動する前の初期状態が示されている。この初期状態では、ガスハイドレート供給バルブ10、排水バルブ11、開放弁12、給水バルブ13は閉じられており、ポンプPは稼動しておらず、ガス化槽1内の液体相Lとシリンダー6は第1ピストン4によって区画されている。勿論この状態で、中間容器3への水の流入が無いように、第1ピストン4によって液体相Lとシリンダー6の境界部はしっかりとシーリングしている。
図5(B)には、排水バルブ11、開放弁12、給水バルブ13は閉じたままで、ガスハイドレート供給バルブ10を開き、ガスハイドレート貯槽2からガスハイドレートPを中間容器3へ供給した状態が示されている。この際、ガスハイドレート貯槽2内の圧力は大気圧と同様の圧力(0.1MPa)なので、ガスハイドレートPが供給された中間容器3内の圧力も大気圧と同様の圧力(0.1MPa)になっている。中間容器3内への一定量のガスハイドレートPの供給が終了したらガスハイドレート供給バルブ10を閉じる。
図5(C)では、中間容器3内に低圧タンク8に蓄えておいた水を供給した状態が示されている。まず、排水バルブ11、ガス導入バルブ16は閉じたままで、開放弁12を開いて低圧タンク8内を大気に開放し、ポンプPを稼動させて、低圧タンク8内の水の吸引を開始する。そして給水バルブ13を開いて中間容器3へ低圧タンク7に蓄えておいた水を供給する。
その後、一定量の水を供給し終わったら、給水バルブ13を閉じてポンプPを停止した後、開放弁12を閉じる。低圧状態から水を供給することで、高圧ガス化槽へ全量の水を供給する場合よりも動力を低減することができる。
水を供給し終わった後の中間容器内3内の圧力は、水とガスハイドレートPが反応するので、中間容器3内ではガスハイドレートと水が反応しガスハイドレートがガス化した高圧の状態になる。なお、分解反応はガスハイドレートの分解平衡圧力に達して停止する。
また、水の供給量は中間容器3内が満水にまるまで供給しなくても良い。
図6(D)では、第1ピストンおよび第2ピストンを駆動させて、ガス化槽1内の液体相Lに中間容器3内の水とガスハイドレートPを供給した状態が示されている。
このように、水とガスハイドレートPが中間容器3内に入れられた状態、すなわち、水とガスハイドレートが反応し、分解反応がガスハイドレートの分解平衡圧力に達している状態の中間容器3を、第1ピストン4と第2ピストン5を駆動させてガス化槽1内の液体相L(〜3MPa)と連通状態にすると、中間容器3内の圧力は水とガスハイドレートが反応して、ガスハイドレートがガス化した高圧の状態(ガスハイドレートの分解平衡圧力)となっているので、ガス化槽の液体相Lと中間容器内3の圧力差が小さい状態で該液体相Lと中間容器3が連通されることになり、圧力変化が一層穏やかになってガスハイドレートをガス化槽1内に無理なく簡単に移すことができる。
図6(E)では、中間容器3内の水とガスハイドレートPがすべてガス化槽1内の液体相L中に供給された状態を示している。この状態では、ガス化槽1内の液体相Lとシリンダー6は第2ピストン5によって区画されている。第2ピストン5は、中間容器3への水の流入が無いように液体相Lとシリンダー6の境界部をしっかりとシーリングしている。
図6(F)では、図6(E)の状態から第1ピストン4と第2ピストン5を初期状態の位置にまで戻した状態が示されている。この際、中間容器3内は液体相Lの水で満たされた状態になっており、そのため、中間容器3内の圧力はガス化槽1内の液体相の圧力と同様高圧になっている。
更に、図6(F)では、中間容器3内の水を低圧タンク8に排出する状態が示されている。中間容器3内の圧力は高圧になっているので、低圧タンク8の開放弁12を開いた状態にした後、排水バルブ11、ガス導入バルブ16を開いて中間容器3内の水を低圧タンク8に排出する。ここで、水は液体であるため非圧縮性を有しているので、少しの体積が増加するだけで圧力は瞬時に開放される。そして、大気開放弁12が開いた状態にあるので、中間容器3内は大気圧(0.1MPa)になり、この状態で開放弁12、ガス導入バルブ16と排水バルブ11を閉じることによって、初期状態である図5(A)の状態に戻り、ガスハイドレート貯槽2内からガスハイドレートを新たに供給することが可能となる。
[他の実施例]
図7には本発明に係るガス化装置の他の実施例における概念図が示されている。
図7(A)は、シリンダー6をガス化槽1の側面下部に設けた場合である。この態様でも本発明と同様の効果が得られる。シリンダー6の位置は、ガス化槽1の液面より低く、ガスハイドレートP投入時にガスがシリンダー6内に入らない位置であれば良い。
図7(B)はシリンダー6を複数設けた場合である。この態様では、ガス排出バルブ14を開いて他の場所に多量のガスを供給する際に、ガスの原料となるガスハイドレートPを多量にガス化槽1内の液体相Lに短時間で供給することが可能となる。
図7(C)は、液体相Lとシリンダー6とを区画する手段として開閉手段8を設けた場合である。この態様では、二段ピストン構造のように複雑な構造にしなくても、通常のピストン構造でガスハイドレートPをガス化槽1内の液体相Lに供給することが可能となる。
なお、開閉手段8は図7(c)に示した回動方式のみに限られず、液体相Lとシリンダー6とを区画することができればよく、例えばスライド方式の開閉手段を用いてもよい。
本発明に係る第1の実施例の概念図。 第1の実施例の工程図。 第1の実施例の工程図。 本発明に係る第2の実施例の概念図。 第2の実施例の工程図。 第2の実施例の工程図。 本発明に係る他の実施例の概念図。
符号の説明
1 ガス化槽、 2 ガスハイドレート貯槽、 3 中間容器、 4 第1ピストン、 5 第2ピストン、 6 シリンダー、 7 ピストンロッド、 8 低圧タンク、 9 開閉手段、 10ガスハイドレート供給バルブ、 11 排水バルブ、 12 開放弁、 13 給水バルブ、 14 ガス排出バルブ、 15 水供給バルブ、 16 ガス導入バルブ、 16’ 逆流防止弁、 17 余剰水排水バルブ、 18 ガスバッファードラム、 L 液体相、 G 気体層、 P ポンプ

Claims (9)

  1. 高圧になるガス化槽と、
    低圧のガスハイドレート貯槽と、
    前記ガス化槽の液面よりも下部に設けられ、該ガス化槽の液体相と開閉可能な仕切で区画され、高圧状態と低圧状態とを取り、前記低圧状態で前記ガスハイドレート貯槽内からガスハイドレートが移される中間容器と、
    前記中間容器を外部と圧力的に遮断した状態で前記仕切を開閉する開閉駆動部と、を備え
    前記低圧状態でガスハイドレートが存在する中間容器内に液体を供給する液体供給手段を備え、
    該液体供給手段によって前記中間容器に液体が供給された状態で、前記開閉駆動部が前記仕切を開いて該中間容器内と前記ガス化槽の液体相とを連通状態にするように構成されていることを特徴とするガスハイドレートのガス化装置。
  2. 請求項1に記載のガスハイドレートのガス化装置において、
    前記区画された状態で前記中間容器内に存在する高圧の液体を低圧タンク内に排出すると共に、該中間容器内を低圧状態に変える排出低圧化手段と、を備えたことを特徴とするガスハイドレートのガス化装置。
  3. 請求項1または2に記載のガスハイドレートのガス化装置において、
    前記液体供給手段は、低圧タンク内の液体を中間容器内に供給するように構成されていることを特徴とするガスハイドレートのガス化装置。
  4. 高圧になるガス化槽と、
    低圧のガスハイドレート貯槽と、
    前記ガス化槽の液面よりも下部に設けられ、該ガス化槽の液体相と開閉可能な仕切で区画され、高圧状態と低圧状態とを取り、前記低圧状態で前記ガスハイドレート貯槽内からガスハイドレートが移される中間容器と、
    前記中間容器を外部と圧力的に遮断した状態で前記仕切を開閉する開閉駆動部と、を備え、
    前記中間容器は、シリンダーで構成された容器本体と、シリンダー内のピストンで構成された仕切とを備え、前記ピストンが前記ガス化槽内の液体相との仕切位置にあるときに前記仕切として機能するように構成され、
    前記開閉駆動部は、ピストンロッドを往復動させる動力源を備え、前記ピストンロッドを往復動させて前記ピストンが前記仕切位置と前記ガス化槽内に押し込まれた連通位置とを取るように構成されていることを特徴とするガスハイドレートのガス化装置。
  5. 高圧になるガス化槽と、
    低圧のガスハイドレート貯槽と、
    前記ガス化槽の液面よりも下部に設けられ、該ガス化槽の液体相と開閉可能な仕切で区画され、高圧状態と低圧状態とを取り、前記低圧状態で前記ガスハイドレート貯槽内からガスハイドレートが移される中間容器と、
    前記中間容器を外部と圧力的に遮断した状態で前記仕切を開閉する開閉駆動部と、を備え、
    前記区画された状態で前記中間容器内に存在する高圧の液体を低圧タンク内に排出すると共に、該中間容器内を低圧状態に変える排出低圧化手段と、を備え、
    前記中間容器は、シリンダーで構成された容器本体と、シリンダー内のピストンで構成された仕切とを備え、前記ピストンが前記ガス化槽内の液体相との仕切位置にあるときに前記仕切として機能するように構成され、
    前記開閉駆動部は、ピストンロッドを往復動させる動力源を備え、前記ピストンロッドを往復動させて前記ピストンが前記仕切位置と前記ガス化槽内に押し込まれた連通位置とを取るように構成されていることを特徴とするガスハイドレートのガス化装置。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載のガスハイドレートのガス化装置において、
    前記中間容器は、シリンダーで構成された容器本体と、シリンダー内のピストンで構成された仕切とを備え、前記ピストンが前記ガス化槽内の液体相との仕切位置にあるときに前記仕切として機能するように構成され、
    前記開閉駆動部は、ピストンロッドを往復動させる動力源を備え、前記ピストンロッドを往復動させて前記ピストンが前記仕切位置と前記ガス化槽内に押し込まれた連通位置とを取るように構成されていることを特徴とするガスハイドレートのガス化装置。
  7. 請求項4から請求項6のいずれか1項に記載のガスハイドレートのガス化装置において、
    前記ピストンは、先端側の第1ピストンと、該第1ピストンと離間する基端側の第2ピストンとの二段ピストンで構成され、前記第1ピストンと第2ピストンと前記シリンダーで囲われる領域に、前記低圧状態で前記ガスハイドレート貯槽内からガスハイドレートが移されるように構成されていることを特徴とするガスハイドレートのガス化装置。
  8. 高圧になるガス化槽の液面よりも下部に、該ガス化槽内と区画されて設けられた中間容器内に、低圧状態でガスハイドレート貯槽内からガスハイドレートが移される第一工程と、
    前記中間容器を外部と圧力的に遮断した状態で、前記ガス化槽の液体相と該中間容器とを区画する開閉可能な仕切を開状態にして前記液体相と中間容器内とを連通させる第二工程と、
    前記連通により前記中間容器内に液体が入り、前記ガスハイドレートが浮力を受けて自動的に前記液体相中を上昇してガス化槽内に入る第三工程と、を有し、
    前記第一工程後の前記低圧状態でガスハイドレートが存在する中間容器内に液体を供給する液体供給工程を有することを特徴とするガスハイドレートのガス化方法。
  9. 高圧になるガス化槽の液面よりも下部に、該ガス化槽内と区画されて設けられた中間容器内に、低圧状態でガスハイドレート貯槽内からガスハイドレートが移される第一工程と、
    前記中間容器を外部と圧力的に遮断した状態で、前記ガス化槽の液体相と該中間容器とを区画する開閉可能な仕切を開状態にして前記液体相と中間容器内とを連通させる第二工程と、
    前記連通により前記中間容器内に液体が入り、前記ガスハイドレートが浮力を受けて自動的に前記液体相中を上昇してガス化槽内に入る第三工程と、を有し、
    前記第一工程後の前記低圧状態でガスハイドレートが存在する中間容器内に液体を供給する液体供給工程を有し、
    前記第三工程に続いて前記仕切を閉状態に戻して中間容器内にガスハイドレートが無い状態にする第四工程と、
    前記第四工程に続いて、前記中間容器内に存在する高圧の液体を低圧タンク内に排出すると共に、該中間容器内を低圧状態に変える排出低圧化工程である第五工程と、を有することを特徴とするガスハイドレートのガス化方法。
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