JP5152859B2 - ゼオライト−パラジウム複合体、その複合体の製造方法、その複合体を含む触媒、およびその触媒を用いるカップリング化合物の製造方法 - Google Patents
ゼオライト−パラジウム複合体、その複合体の製造方法、その複合体を含む触媒、およびその触媒を用いるカップリング化合物の製造方法 Download PDFInfo
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Description
第一に、非特許文献1に記載のゼオライトに担持したパラジウム触媒は、NOx選択還元、触媒燃焼、有機合成など様々な触媒反応に有用であるが、鈴木・宮浦カップリング反応またはHecK反応などのカップリング反応に対する活性の面でさらなる改善の余地があった。また、この文献では、ゼオライト細孔内で形成されるPdクラスターの構造やその形成過程は十分には調べられていないため、ゼオライト細孔内にどのような形成方法でどのような構造のPdクラスターを形成すれば、鈴木・宮浦カップリング反応またはHecK反応などのカップリング反応に対し、TON、TOFまたは収率などによって評価される触媒活性の総合的な能力の面で高活性を示す触媒が容易に調製できるのかは不明であった。
本明細書および本特許請求の範囲において、下記のとおり用語の意義を定義する。
(i)ゼオライト
本明細書および本特許請求の範囲において、ゼオライト(zeolite)とは、結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩の総称を意味する。日本名は沸石という。ゼオライトは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含むアルミノケイ酸塩の結晶で、その含有金属の組成比は様々である。また、ゼオライトは規則正しい結晶であり、結晶の各単位胞はその中心にケージやチャンネルなどと呼ばれる細孔を持っている。例えば、アルミノシリケイトのゼオライトの骨格は、ケイ素-酸素結合とケイ素がアルミニウムで置換されたアルミニウム−酸素結合からできている。アルミニウムは原子価が3価であり、原子価が4価であるケイ素と置換するにはマイナス1価の陰イオンとなる必要があり、このマイナス電荷を補償するためナトリウムイオンなどの陽イオンがアルミニウムの対イオンとして存在する。アルミニウムおよび対イオンのもつ電荷のためにアルミニウムを多く含むゼオライト内部は強い静電場を持ち極性の高い環境になる。細孔の形状や、結晶構造の種類などから、ゼオライトは更に細分化されて名称が付けられている。ゼオライトは、天然に産出する鉱物であるが、現在ではさまざまな性質を持つゼオライトが人工的に合成されており、工業的にも重要な物質となっている。
本明細書および本特許請求の範囲において、FAU型ゼオライトとは、フォージャサイト型ゼオライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライトを含む概念である(参考文献:窪田 好浩, 辰巳 敬,真空 Vol. 49 (2006) , No. 4 pp.205-212)。フォージャサイト型ゼオライトは天然のゼオライトであり、X−,Y−ゼオライトは合成されたゼオライトであるが、X−,Y−ゼオライトは天然のフォージャサイト型ゼオライトと同じ骨格構造のゼオライトであることがわかっている。これらの中でも、ケイバン比の低いもの(Si/Al比が1.0〜1.4)をX型、高いもの(Si/Al比が1.9〜2.8)をY型、それより高いものをUSY(Si/Al>2.8)と呼ぶ。FAU型ゼオライトでは、スーパーケージと呼ばれる直径1.3nmのほぼ球状の空間が存在し、この空間は直径0.74nmの4つの窓を持っていて、この窓を通して、スーパーケージは隣り合った4つのスーパーケージとつながっている。
本明細書および本特許請求の範囲において、パラジウム(Palladium)とは、原子番号46の元素を意味する。パラジウムの元素記号はPdであり、白金族元素の一つに分類され、貴金属にも分類される。パラジウムの常温、常圧で安定な結晶構造は、面心立方構造(FCC)である。パラジウムは、銀白色の金属(遷移金属)であり、比重は12.0、融点は摂氏1555℃(実験条件等により若干値が異なることあり)である。パラジウムは、酸化力のある酸(硝酸など)には溶ける。
本明細書および本特許請求の範囲において、不均一系触媒(heterogeneous catalyst)とは、固相状態で用いる触媒を意味する。固定化した化学工業など、基礎的な化学物質を大量に生産する施設では、生成物の回収や、触媒の性能の維持が容易であるという理由から、不均一系触媒が多く用いられている。不均一系触媒は白金やパラジウム、酸化鉄のような単純な物質から、ゼオライトのような複雑な構造の無機化合物、あるいは金属錯体を固定化したものも使用される。多くの場合、不均一系触媒は触媒表面で反応が進行する。したがって、触媒の効率をよくするためには、表面積を大きくすることが肝心となる。このため、高価な金属(白金、パラジウムなど)を触媒として用いる場合は、1〜100nm程度の微粒子にして活性炭やシリカゲルなど(担体という)の表面に分散させ(担持し)て使用する。この方法は、そのままでは固体として使用するのが難しい金属錯体触媒などでも利用される。
本明細書および本特許請求の範囲において、カップリング反応(coupling reaction)とは、2つの化学物質を選択的に結合させる反応のことを意味する。特に、それぞれの物質が比較的大きな構造(ユニット)を持っているときにこの用語が用いられることが多い。カップリング反応は、天然物の全合成などで多用される。カップリング反応の中でも、結合する2つのユニットの構造が等しい場合はホモカップリング、異なる場合はクロスカップリング(またはヘテロカップリング)という。
本明細書および本特許請求の範囲において、鈴木・宮浦カップリング(Suzuki-Miyaura coupling)反応とは、芳香族ホウ素化合物とハロゲン化アリールとをクロスカップリングさせて非対称ビアリール(ビフェニル誘導体)を得る化学反応(下記化学反応式参照)のことを意味する。鈴木カップリング、鈴木・宮浦反応などとも呼ばれ、芳香族化合物の合成法としてしばしば用いられる反応の一つである。基質として、芳香族化合物のほか、ビニル化合物、アリール化合物、ベンジル化合物、アルキニル誘導体、アルキル誘導体なども用いられる。
本明細書および本特許請求の範囲において、Heck反応とは、ハロゲン化アリールまたはビニルを末端オレフィンとクロスカップリングさせて置換オレフィンを合成する反応(下記化学反応式参照)である。なお、日本では、溝呂木・ヘック反応(Mizoroki-Heck reaction)と呼ばれることもある。この反応は官能基選択性に優れ、一般的に収率も高く、炭素−炭素結合を伸ばすには有用な有機合成反応である。この反応は0価の金属Pdが高い活性を示す代表的な例として、有機化学では注目され、現在農薬や製薬、抗体などの製造に応用される。
FAU型ゼオライトは直径1.3nmのスーパーケージと呼ばれる広い細孔空間を有している。この細孔内で形成される金属クラスターは、高分散しているために配位不飽和な原子が多く、この空間を反応場とした通常のバルク触媒とは異なる触媒作用が発現することが期待される。本発明者等は、最近のSPring−8でのin situ XAFSを使った研究により、FAU型ゼオライトであるUSYゼオライトにPd2+をイオン交換法で導入し(Pd2+/USY)、室温でH2を流通させると、Pd0クラスターが形成されることを見出した。このPd0クラスターは、13個程度のPd原子からなる準安定状態にあり、配位不飽和なPd原子を有することから優れた触媒活性を示すことが期待された。そこで、本発明者等は、このPd0クラスター触媒を鈴木・宮浦カップリング反応に利用したところ、極めて高活性を示すことを見出したものである。
本実施形態に係るゼオライト−パラジウム複合体は、FAU型ゼオライトと、FAU型ゼオライトに担持されており、配位数が4以上7以下であるパラジウムクラスターと、を備えるゼオライト−パラジウム複合体である。本実施形態に係るゼオライト−パラジウム複合体は、配位数が4以上7以下であるパラジウムクラスターをFAU型ゼオライトに担持するため、鈴木・宮浦カップリング反応またはHecK反応などのカップリング反応において、TON、TOFまたは収率などによって評価される触媒活性の総合的な能力の面で高活性を示す不均一系触媒として好適に利用可能である。
本実施形態の不均一系パラジウム触媒は、上記のゼオライト−パラジウム複合体を含む、不均一系パラジウム触媒である。本実施形態に係る不均一系パラジウム触媒は、上記のゼオライト−パラジウム複合体を含むため、鈴木・宮浦カップリング反応またはHecK反応などのカップリング反応において、TON、TOFまたは収率などによって評価される触媒活性の総合的な能力の面で高活性を示す。
本実施形態に係るゼオライト−パラジウム複合体の製造方法は、上記のゼオライト−パラジウム複合体の製造方法であって、FAU型ゼオライトに担持されているパラジウムを、20℃以上170℃以下の温度で、5分以上1時間以下、水素還元する工程を含む、ゼオライト−パラジウム複合体の製造方法である。
FAU型ゼオライトは直径1.3nmのスーパーケージと呼ばれる広い細孔空間を有しており、細孔内に形成される金属クラスターには配位不飽和な原子が多く、この空間を反応場として通常のバルク触媒とは異なる触媒作用が予想される。最近のSPring−8を利用した研究により、FAU型ゼオライトであるUSYゼオライトにPd2+をイオン交換法で導入し(Pd2+/USY)、室温でH2を流通させると、Pd0クラスターが形成されることを見出した。このPd0クラスターは非常に高分散した状態にあり(Pd/H−USY)優れた触媒活性を示すことが期待されたため、鈴木・宮浦カップリング反応に利用したところ、本発明者等は、後述するように、Pd0クラスターが極めて高活性を示すことを発見した。
流通ガス(N2)は市販のボンベを使用
H2/Arは5% H2
H2Oは脱イオン水を使用
1−2−1.使用担体
NH4型USY(東ソー製 HSZ−840NHA SiO2/Al2O3=7.7)
NaY(触媒化成製SiO2/Al2O3=5.5)
活性炭(Wako製 活性炭素 顆粒状)
アルミナ(JRC−AlO−3)
ZSM−5(東ソー製 HSZ−840HOA)
Mordenite(JRC−Z−M2O(1))
250mlメスフラスコに0.6189g tetraamminepalladium(II)chloride monohydrateを加え、脱イオン水を標線まで加えた(Pd−0.001g/ml)。
<0.4wt%Pd/H−USY>
1.NH4型USYをN2雰囲気下、500℃(5K/min)で4h焼成し、H型とした。
2.500ml三角フラスコに脱イオン水300ml、TAPd溶液12ml、触媒3gを秤量し入れた。
3.室温にて4h攪拌し、イオン交換を行った。
4.吸引ろ過・洗浄を行い、ろ紙の上に残った固体を50℃の乾燥機にて一晩乾燥させた。
1.500ml三角フラスコに脱イオン水300ml、TAPd溶液4ml、触媒を1g入れた。
2.室温にて4h攪拌し、イオン交換を行った。
3.吸引ろ過・洗浄行い、ろ紙の上に残った固体を50℃の乾燥機にて一晩乾燥させた。
1.活性炭を乳鉢ですり潰し、粉状にした。
2.500ml三角フラスコに脱イオン水300ml、TAPd溶液4ml、触媒1gを入れた。
3.ホットプレート上で含浸担持した。
1.アルミナを乳鉢ですり潰し、粉状にした。
2.500ml三角フラスコに脱イオン水300ml、TAPd溶液4ml、触媒1gを入れた。
3.ホットプレート上で含浸担持した。
1.500ml三角フラスコに脱イオン水300ml、TAPd溶液4ml、触媒1gを入れた。
2.室温にて4h攪拌し、イオン交換を行った。
3.吸引ろ過・洗浄を行い、ろ紙の上に残った固体を乾燥機50℃にて一晩乾燥させた。
<使用試薬>
bromobenzene 5mmol(0.7855g)
phenylboronic acid 8mmol(0.97544g)
K2CO3 10mmol(1.3821g)
o−xylene 12.3g
tridecane 0.81g
(上記を1倍スケールとする。)
0.001g(0.038μmol Pd)
スケールを変えて反応を行う際には、触媒量を1mgに固定し、使用試薬の量を変えた。
Pdと生成物のモル比:0.00002−0.0007mol%
前処理なし、前処理セルを使った還元、バブリングによるin situ還元の3通りで行った。
イオン交換後の試料をそのまま使用した。
図4の前処理セルに5% H2(Ar希釈)流通のチューブを繋ぎ、室温または200℃で水素還元を行った。流通速度は30ml/minとした。触媒をいったん空気中に取り出し、1mgを秤量してから反応を行った。
6% H2(Ar希釈)流通のチューブを反応器に繋げ、図5に示したように溶媒と触媒を攪拌しながら室温でバブリングを行った。その際、回転子を激しく攪拌し、触媒が完全に還元されるようにした。H2の流通速度は30ml/minとした。
秤量した反応試薬(bromobenzene, phenylbronic acid,K2CO3,o−xylene,tridecane(内部標準))と触媒を三口フラスコに入れ、N2雰囲気下(50ml/min)、110℃のオイルバス中で攪拌しながら反応を行った。経過時間ごとに少量反応液を取り、アセトンで希釈しサンプルとした。サンプルをGC(Shimadzu GC−2010)で分析を行った。
1−4−1.前処理方法の検討
前処理の方法として、前処理なし,前処理セル,バブリングを比較した。それぞれ1倍スケールで反応を行い、還元方法だけで活性が変化するか検討した。0.4wt%Pd/USYを用いて、室温にてバブリングを行うと、活性が高く転化率が100%に達し、5分以内に反応が終了した(図6、7 entry1−4)。またNaYでもバブリングを試したところ、同様に高活性が得られた(図6、7 entry5−8)。200℃で前処理すると、全く活性がなかった(図6、7 entry3,7)。
Pd担持量を変えて反応をおこない、最適なPdの担持量を調べた。0.1,0.2,0.4,0.8wt%Pd担持USY触媒で比較した。1倍スケールでは転化率が100%になり比較できないものがあるので、スケールアップして比較した。結果は0.4wt%担持したUSY触媒の活性が最もよかった(図6、7 entry4,9,10,15)。
Pdの担持量を0.4wt%に固定し、様々な担体で活性を比較した。室温でバブリングにて前処理を行い、1倍スケールで実験を行った。NaY,USYに担持した触媒が優れた活性を示し、特にUSYが優れた担体であった(図7 entry13,14)。
p−位に置換基を有するさまざまなブロモベンゼン誘導体を用いて反応をおこなった結果を下記の表2にまとめた。本触媒が860,000−5,200,000に達する高いTONを示した。
従来の論文との触媒活性の比較についての考察
鈴木・宮浦反応については溶液に溶けて反応するフォスフィン配位子を持つものが多数報告されているが、今回の触媒はゼオライト担体にPdを担持しているため、図2に示すように担持Pd触媒について比較を行った。図2では、ターンオーバ数(TON)とはパラジウム1原子が変換した原料の分子数であり、触媒活性の指標となる値である。図2に示すように、いずれの報告よりもバブリングにより還元したPd/USY触媒の方が高活性である。Artokらは同じFAU型ゼオライトであるPd2+/Na−Y、またはこれを還元したPd0/Na−Y触媒が優れた活性を示すことを報告しているものの、彼らが報告しているTONは最大でも90,000であり、今回見出した触媒に比べ、活性が低い。これは、今回の触媒では前処理方法を工夫していることが重要であるためである。
我々の方法ではバブリングによってパラジウムを還元・活性化している点に最大の特徴がある。最近、SPring−8でのin situ XAFSを使った結果より、室温でPdクラスターがUSY上で形成されることが見出されており、このクラスターが高活性を示したものと考えられる。一方、前処理セルを使って還元すると、著しく活性が低下した。これは空気にさらすことにより、クラスター表面が酸化されるためである。また200℃で水素によって還元すると、まったく活性がなかった。図3で示すように、室温で形成されるクラスターは170℃までほぼ安定で、それ以上の温度で急速に凝集していくことに対応している。すなわち200℃での還元によりbulkyなPd粒子が形成し、細孔が塞がれたために不活性になったものと思われる。
ブロモベンゼン誘導体での反応を下記の化学反応式のようにして行ったところ、下記の表3のような結果が得られた。また、Artokらが報告しているPd/NaYでの下記の化学反応式の実験結果を下記の表4に示した。触媒のPd量がNaYに比べUSYでは圧倒的に少なく、さらにTON,TOFどちらを比較した際も活性が勝っていることがわかった。特にacetyl基、methyl基、methoxy基を持つ誘導体はTONが100万を超え、非常に高い活性を示した。
USYでのbromobenzene誘導体の反応については、(ブロモベンゼン誘導体の反応速度k/ブロモベンゼンの反応速度k0)を対数にとった値と、Hammettの置換基定数との相関性をプロットしたところ、図8に示すような直線関係が得られた。これは各誘導体の反応機構が一定していることを示しており、Hammett則に沿った結果が出たことを裏付けている。鈴木・宮浦カップリング反応では、フェニルボロン酸に付いているマイナスの電荷をもった炭素と、ハロゲン化アリールのハロゲン原子に付いているプラスの電荷を持った炭素が反応し、結合の組み替えが起こり、炭素同士が結合すると推測されるため、電子求引性の強い置換基ほど高活性を示すと考えられる。置換基定数と比較して、活性が低く唯一例外となったシアノ基だが、これはシアノ基が極性が強い置換基であるため、触媒表面に吸着して触媒の細孔を塞ぎ、低活性を招いたと考えられる。
Pd/USYの高活性を利用して、室温でも下記化学反応式に示す反応が進行するか実験した。この条件でもし反応が進行すれば、不均一系担持触媒としてはかなり進歩した結果となる。室温での溶媒を変えた反応の実験結果は下記の表5に示す。
室温での溶媒を変えた反応については、室温では極性溶媒中の方が非極性溶媒中よりも高い反応速度をもたらす理由として、非加熱反応であるため非極性溶媒使用時には塩基が溶媒に溶けず、反応が進行しなかったのではないかと考えられる。鈴木・宮浦カップリング反応は塩基がイオン状態になっていないと反応は進行しないため、室温での反応時のみ極性溶媒で活性が出たと考えられる。
下記化学反応式の化学反応を高温(383K)で塩基を変えて実験を行った。高温での塩基を変えた反応の実験結果は表6に示す。炭酸を含む塩基が飛びぬけて高活性で、鈴木・宮浦カップリングには特に効果的であるということが分かった。尚、この結果はArtokらの報告(非特許文献2)にもあり、本研究と一致する形となった。
高温での塩基を変えた反応については、炭酸を含む塩基が反応に高活性を示す理由は、現在のところ不明であるが、Artokも炭酸は鈴木・宮浦カップリング反応と相性がよく、他の塩基と比較しても差は歴然であると報告しているため矛盾はない。
Artokらは”水がゼオライト触媒の活性に絶対条件”であると主張しているが、この説はすべての条件において正しいとは言えないであろう。まず図2のPd/NaYを室温でin situ還元し反応させたもの(水不使用)と、Artokらの水を使用した反応(非特許文献2:J. Mol. Catal.A, 278, (2007) 179, table2, entry9)との比較実験を行った。
反応温度:100℃
反応時間:5h
触媒量:1mg
前処理条件:H2によるバブリング
ビフェニル収率:9%
TON:28,000
TOF:5,600h−1
Heck反応はハロゲン化アリールまたはビニルを末端オレフィンとクロスカップリングさせて置換オレフィンを合成する反応である(下記化学反応式参照)。この反応は官能基選択性に優れ、一般的に収率も高く、炭素−炭素結合を伸ばすには有用な有機合成反応である。この反応は0価の金属Pdが高い活性を示す代表的な例として、有機化学では注目され、現在農薬や製薬、抗体などの製造に応用される。本発明者等の研究によりH2バブリングによるin−situ還元したPd/USY型ゼオライト触媒を用いた鈴木反応は高い触媒活性を示した。今回、この方法を用いてブロモベンゼンとスチレンのHeck反応を行った。
1−1.使用担体
NH4型USY(東ソー製 SiO2/Al2O3=7.7)
NaY(触媒化成製 SiO2/Al2O3=5.5)
HY(触媒化成製 SiO2/Al2O3=5.5)
アルミナ(JRC−AlO−3)
Mordenite(JRC−Z−M2O)
250mlメスフラスコに0.6180g tetraaminepalladium(II)chloride monohydrateを加え、脱イオン水を標線まで加えた。
<0.4wt%Pd/USY>
1)NH4型USYをN2雰囲気下、500℃で4h焼成し、H型とした。
2)500ml三角フラスコに脱イオン水300ml、TAPd溶液12ml、触媒3gを秤量し入れた。
3)室温にて4h攪拌し、イオン交換を行った。
4)吸引ろ過・洗浄を行い、ろ紙の上に残った固体を50℃の乾燥機にて一晩乾燥させた。
0.4wt%Pd/NaY、0.4wt%Pd/アルミナ、0.4wt%Pd/H−ZSM−5、Mordenite、0.4wt%Pd/HYのいずれも本発明者等が調製したものを使用した。
秤量した反応試薬(ブロモベンゼン0.7875g、スチレン0.7814g、酢酸ナトリウム0.816g、内部標準物質(tridecane)0.80g、DMAc 4.0g)と触媒(0.01g)を三口フラスコに入れ、N2雰囲気下オイルバス中140℃、6時間攪拌しながら反応を行った。反応後の溶液を少量取り、アセトンで希釈し、FIDガスクロで分析した。カラムはMDN−12を用いた。
(i)前処理なし
イオン交換後の試料をそのまま使用した。
(ii)前処理セルを使った還元
前処理セルに6%Ar希釈のH2流通のチューブを繋ぎ、0.5h、室温または200℃で水素還元を行った。触媒をいったん空気中に取り出し、0.01gを秤量してから反応を行った。
(iii)バブリングによるin−situ還元
6%Ar希釈のH2流通のチューブを反応器に繋げ、溶媒と触媒を攪拌しながら室温で0.5hバブリングを行った。
測定はリガクICP発光分光分析装置CIROS CCD(ベンチャービジネスラボラトリー)で行った。
1)ろ液をホットプレートで蒸発乾固させた。
2)有機物を取り除くためにサンプル管ごとマッフル炉に入れ、500℃で12時間焼成を行った。
3)Pdを溶かすためにサンプル管に王水を少量加え、ホットプレートで蒸発させた。
4)脱イオン水を加えてサンプル管を洗浄した後にろ過をし、5mlのメスフラスコを用いてICP用の試料を調製した。
5)検量線用標準溶液はPdの標準試料液(1000ppm)から、0.1、1、5、10ppmの4試料を調製した。
上記の実験の測定結果から、収率、転化率、物質収支およびPdの溶出度を以下の数式によって求めた。
1)前処理方法の違うPd/USYを用いたHeck反応
下記の表7に前処理方法の違うPd/USYを用いたHeck反応結果を示した。前処理の方法として、未処理、前処理セル、バブリングを比較した。0.4wt%Pd/USYを用い、140℃、6hで反応を行なった。室温でバブリングによるin situ還元を行うと、最も活性が高く、200℃で前処理すると、低活性であった。反応後の溶液を蒸発・焼成したのちに5mlに希釈した溶液のPd濃度は0.1ppmであった。Pd溶出は1.4%であり、溶解したPdが反応している可能性があるが、ICPで求められた値が小さいので、誤差を含んでいる可能性がある。この実験結果から求めたトランス−スチルベンの収率(%)を図9に示す。
下記の表8に様々な担体を用いたHeck反応を示した。各触媒のPd担持量は0.4wt%、0.5h室温でバブリングにて前処理を行い、反応温度は120℃、反応時間は6hである。HMOR、HZM−5、HYを用いた場合にはほとんど活性を示さなかった。この結果からUSYが最も高活性を示したが、Al2O3でもかなり高い活性を示した。この実験結果から求めたトランス−スチルベンの収率(%)を図10に示す。
下記の表9に様々なアリルブロマイドを用いたHeck反応結果を示した。末端オレフィンにはスチレンを用い、触媒は0.4wt%Pd/USY、室温でバブリングにて0.5h前処理を行った。反応温度は120℃、反応時間は6hである。活性の順序は4−ブロモアセトフェノン>ブロモベンゼン>4−ブロモトルエン>4−ブロモアニソールであった。p−位に電子求引性基であるアセチル基が置換している4−ブロモアセトフェノンが最も収率が高く、逆に電子供与性基であるメチル基、メトキシ基が置換した4−ブロモアニソール、4−ブロモトルエンは4−ブロモアセトフェノンより低活性であった。これは、電子求引性基であるアセチル基がベンゼン環についている時、パラ位の電子密度が高くなり、反応時にパラ位での反応が起こりやすくなるが、電子供与性基であるメチル基、メトキシ基がベンゼン環についている時、パラ位の電子密度が低くなり、反応時にパラ位での反応が起きにくくなるためである。この実験結果から求めた主生成物の収率(%)を図11に示す。
上記の実験結果から、バブリングにより還元した0.4wt%Pd/USY触媒は、Heck反応においても高活性であることが分かった。また、他の担体と比較してUSYが優れた担体であるとわかった。今までHeck反応は多量の触媒で行っていたが今回バブリングを行うことで触媒量が0.01gと少量で高活性が見出せるという事が分かった。
すなわち、上記の実験結果から、本実施例で用いた触媒には、以下の優れた特性があることが導き出される。
本触媒は、パラジウム錯体を担持して乾燥させるだけで調製されるために、その方法が非常に容易であり、かつ複雑な有機配位子を必要とするフォスフィン型パラジウム錯体に比べ安価である。また本触媒はその場還元法により、容易に活性化できる。
本実施例で見出したPd/FAUゼオライト触媒は、1mgという極少量の触媒で反応が進行し、非常に高活性・高選択性である。また多くの反応で1時間以内という短時間で100%の選択性で反応が完結する。
本実施例で提案している触媒は上記の表2に示すように、さまざまな置換基を有するブロモベンゼン誘導体に対して高活性・高選択性を示す。
通常の溶液に溶けて機能する錯体触媒では反応後のPdの分離が困難であるため、医薬品などの合成には障害があるとされている。一方、本実施例で提案しているPd/ゼオライト触媒は、ろ過により簡単に反応溶液から触媒を分離できることから、不純物として製品中にPdが残ることがない。
1.ブロモベンゼン誘導体での反応は、Hammett則に沿った結果を得る。
2.Pd/USYは極性基質よりも、非極性溶媒や非極性基質にて良好な活性を得る。
3.Artokらが報告しているPd/NaYと比較すると、TON,TOF両方の結果を比較してもUSYが優位である。
4.炭酸を含む塩基が鈴木・宮浦カップリング反応と相性が良い。
5.極性基質の反応時は、水を溶媒としても100%反応が完結する。
6.水がゼオライト触媒の活性に不可欠ではないと思われる。
Claims (8)
- FAU型ゼオライトと、前記FAU型ゼオライトに担持されており、配位数が4以上7以下であるパラジウムクラスターと、を備え、
前記FAU型ゼオライトが、Y型ゼオライトであり、
前記パラジウムクラスターが、前記FAU型ゼオライトに担持されているパラジウムを、20℃以上170℃以下の温度で、5分以上1時間以下、水素還元してなるパラジウムクラスターである、
カップリング反応用ゼオライト−パラジウム複合体。 - 請求項1記載のゼオライト−パラジウム複合体を含む、カップリング反応用不均一系パラジウム触媒。
- 請求項2記載の不均一系パラジウム触媒において、
非極性溶媒中で用いられる、不均一系パラジウム触媒。 - 請求項1記載のゼオライト−パラジウム複合体を含む、カップリング反応触媒。
- 請求項4記載のカップリング反応触媒において、
鈴木・宮浦カップリング反応またはHeck反応に用いられる、
カップリング反応触媒。 - 請求項1記載のゼオライト−パラジウム複合体の製造方法であって、
前記FAU型ゼオライトに担持されているパラジウムを、20℃以上170℃以下の温度で、5分以上1時間以下、水素還元する工程を含む、
ゼオライト−パラジウム複合体の製造方法。 - 請求項6記載のゼオライト−パラジウム複合体の製造方法において、
前記水素還元する工程が、前記FAU型ゼオライトに担持されているパラジウムを、非極性溶媒中での水素バブリングによって水素還元する工程を含む、
ゼオライト−パラジウム複合体の製造方法。 - カップリング化合物の製造方法であって、
芳香族ハロゲン化物と、ハロゲン化アリールまたはハロゲン化アルケニルとを、請求項2乃至5いずれかに記載の触媒の存在下で、カップリング反応させてカップリング化合物を生成する工程を含む、
カップリング化合物の製造方法。
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