JP5150596B2 - アンカー装置およびアンカーの施工法 - Google Patents
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しかし、岩層に表土が堆積する前記斜面では、アンカーロッドに結合されたロープに引っ張り荷重が加わると、岩部のアンカーロッドは固定されているが、表土層におけるアンカーロッドは土圧耐力がほとんど無いので、岩層と表土層の境を基点にロープ引っ張り方向にアンカーロッドが傾くように曲がるなどアンカー頭部の変位が大きく、かつアンカー力の低下を招く問題があった。
これによれば、アンカーにロープの引っ張り荷重が加わっても羽根の土圧抵抗で表土層のアンカーが変形しにくいとされている。(特許文献1)しかし、斜面の土質のバラツキは大きく、密度が低い場合などにおいてはなおも安定した土圧耐力が得られない問題があった。
さらに、斜面安定工法として、羽根の上端に円盤状の支圧板が固定された支圧板付羽根装置も提案されている(特許文献2)
しかし、表土層の厚さ、土質などにより安定した表土の支圧力を確保することが難しい問題があった。
したがって、アンカーロッド頭部に結合されたロープにより支圧羽根装置の中心のパイプを経由して支圧盤および羽根に伝えられる張力が大きくても、羽根表面の土圧抵抗力、支圧盤の支圧作用および打込みロッドのアンカー力の相乗効果で支圧羽根装置の変位や移動が抑制され、かつ岩層と表土層の境界を起点として起きるアンカーロッドの曲がりが抑制され、アンカー力を安定的に維持できる。さらに、表土の高密度化により表土層の崩落や下方への滑りも阻止することができる。
また、支圧羽根装置が、放射状にのびる3枚以上の羽根と、支圧盤の縁部の孔に嵌挿されるガイドパイプと、該ガイドパイプのガイド筒に挿通した打込みロッドを備えている。これによれば、斜面に打込まれた支圧羽根装置に加わるどの方向からの張力に対しても、羽根表面に土圧抵抗が働き、安定したアンカー力を維持できる。また、ガイドパイプは支圧盤の孔を強化するとともに適切なガイド作用を発揮するので、打込みロッドを正確に地中に打込むことができる。
さらに、表土層が薄く、岩層にまで打込みロッドを打込む場合は、削岩機の回転ロッドビットをガイドパイプに挿通することで良好な誘導作用を発揮し、精度良く容易に支圧羽根装置を施工することができる。
打込みロッドが岩層に達し、これに穿孔した穴に凝固剤で固定されている場合を含んでいる。
これによれば、打込みロッドが岩層に達して固定されるので、支圧羽根装置の羽根表面の土圧抵抗力、支圧盤の支圧作用および打込みロッドのアンカー力がそれぞれ増強されそれらの相乗効果で支圧羽根装置の変位や移動が抑制され、斜面に打込まれた支圧羽根装置に加わるどの方向からの力に対しても、安定したアンカー力を発揮することができる。
また、個々の部材の形状はシンプルで、現場でのアンカー装置の組み立ても簡単で精度良く施工することができ、作業手順の標準化により安定したアンカー品質を維持することができる。
図1と図2は本発明によるアンカー装置を落石防止網に適用した使用例を示しており、符号1は落石防止網の全体を指している。aは表土の滑落や落石等が発生する危険のある斜面である。bは表土層、cは岩層であり、表土層bは堆積物や岩の風化等の進み具合で、たとえば500〜1000mm程度の厚さで岩層cを覆っている。
アンカー装置2は、岩層cを削岩機で穿孔した孔に挿入され、セメントなどの凝固剤8で固定されたアンカーロッド21と、アンカーロッド21を中心として放射状にのびる3枚以上の羽根52とこれら羽根52の上端に固定された支圧盤51を有し、アンカーロッド21の上部に装着されて表土層bに配置された支圧羽根装置5と、前記支圧盤51に周方向で間隔的に設けられた3個以上の孔を通して表土層bに打ち込まれた3本以上の打込みロッド25から構成されている。
なお、表土層bの厚さによっては、打込みロッド25が岩層cに達することもあり、その場合は、アンカーロッド21と同様に岩層cを穿孔し、凝固剤で先端部分を固定する。
孔511は羽根52の枚数と同数で、また孔511は隣接する羽根52、52から等角度の位置にあることが望ましい。隣接する羽根52、52と等角度の位置に打込みロッド25が打込まれることで、支圧盤51の斜面押圧力が均等化するからである。
アンカーロッド21はパイプ53に挿入され、支圧盤51の縁部にある孔511にはガイドパイプ6が嵌め込まれ、該ガイドパイプの筒部60に打込みロッド25が挿通される。
ガイドパイプ6が孔511に嵌挿されることで、打込みロッド25は筒部60に誘導され、正確に所定の方向に推進される。また、ガイドパイプ6により孔511が強化され、支圧盤51を打込みロッド25が強力にアンカーする。
打込みロッド25を支圧盤51に嵌挿したガイドパイプ6の筒部60に挿通し、打込みロッド25を土中に打ち込み、丸鍔251がガイドパイプ6の丸鍔61に当接させることでアンカー装置が組み立てられる。
1)斜面aに落石を防止すべき縦、横ロープ41、42の張設位置を決定する。
2)縦、横ロープ41、42の端末箇所、交差箇所を決定する。
3)ロープ端末箇所、交差箇所に、図11(a)に示すように、目盛の付いたピンアンカー471をハンマーなどで表土層bに打ち込み、ロープ端末箇所、交差箇所の表土層bの深さを測定する。これで岩層cまでの深さを正確に測定することができる。
穿孔したアンカー孔80の直径は28〜34mmであり、岩層cを所要深さまで掘削したところで削岩機8を取り除く。
b 表土層
c 岩層
1 落石防護網
2 アンカー装置
21 アンカーロッド
25 打込みロッド
41,42 ロープ
5 支圧羽根装置
51 支圧盤
52 羽根
6 ガイドパイプ
Claims (4)
- 岩層と該岩層の上部を覆う表土層とを有する斜面にロープを支持するため設置されるアンカー装置において、アンカー装置が、前記岩層に埋設されたアンカーロッドと、放射状にのびる3枚以上の羽根、これら羽根の上端に固定された支圧盤、該支圧盤の縁部の孔に嵌挿したガイドパイプ、及び該ガイドパイプの筒部に挿通した打込みロッドを有してアンカーロッドの上部に装着され表土層に配置された支圧羽根装置と、前記支圧盤の外縁部に間隔的に設けられた3個以上の各孔を通して表土層に打ち込まれた3本以上の打込みロッドとを備えたことを特徴とするアンカー装置。
- 打込みロッドが岩層に達し、これに穿孔した孔に凝固剤で固定されている請求項1に記載のアンカー装置。
- 岩層と該岩層の上部を覆う表土層とを有する斜面にロープを支持するため設置されるアンカー装置において、該アンカー装置が、前記岩層に埋設されたアンカーロッドと、放射状にのびる3枚以上の羽根とこれら羽根の上端に固定された支圧盤を有してアンカーロッドの上部に装着され表土層に配置された支圧羽根装置と、前記支圧盤の外縁部に間隔的に設けられた3個以上の各孔を通して表土層に打ち込まれた3本以上の打込みロッドとを備え、該打込みロッドが岩層に達し、これに穿孔した穴に凝固剤で固定されていることを特徴とするアンカー装置。
- 岩層と該岩層の上部を覆う表土層とを有する斜面にロープで代表される条体を支持するためにアンカー装置を施工するにあたり、中心のパイプから放射状にのびる3枚以上の羽根と、これら羽根の上端に固定された支圧盤を備えた支圧羽根装置とアンカーロッドおよび複数本の打込みロッドとを用い、斜面にアンカーロッドを挿入する孔を岩層に一部が達するまで穿孔する工程と、前記穿孔したアンカーロッド挿入孔内に凝固剤を挿入する工程と、支圧羽根装置のパイプにアンカーロッドの上部を挿通し、支圧羽根装置を支圧盤が地表面に接するまで打込む工程と、支圧盤の縁部に配した穴に嵌挿したガイドパイプを通して打込みロッドを打込む工程とを有することを特徴とするアンカー施工法。
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