図1は、本発明の一実施形態に係る部品実装システムが含む部品実装ラインLを上方から見た(Z軸方向視)図である。
部品実装システムは、基板Wに部品を実装する複数の作業エリアSを備える部品実装ラインLを、X軸方向(Z軸と直交する軸方向)に連結した複数の部品実装装置10によって構成している。基板Wは、部品実装装置10の内部で部品が実装される(部品実装装置10が、内部に作業エリアSを確保している)。なお、図中には、作業者や後述するカートが移動する、部品実装ラインLと平行に延びる通路Rが示されている。
まず、この部品実装装置10の構造的な構成について説明する。図2〜4は部品実装装置10の概略図であって、図2はX軸方向に見た図であり、図3はY軸方向(X軸およびZ軸に直交する軸方向)に見た図、図4はZ軸方向に見た図である。
部品実装装置10は、基板Wに対して部品を実装する以外に、種々の作業を基板Wに対して実行できるように構成されている。
そのために、部品実装装置10は、図1〜図4に示すように、基板Wに対して作業を実行するツールヘッドTを装備する2つのヘッドホルダ12a,12bと、ヘッドホルダ12a,12bをX軸方向に移動させる2つのX軸送り機構14a,14bと、2つのX軸送り機構14a,14bをY軸方向に移動させるY軸送り機構16と、Y軸送り機構16を支持する基台18と、基板WをX軸方向に搬送する基板搬送機構20と、部品認識カメラ22a,22bと、本体カバー(一点鎖線)24とを有する。
また、部品実装装置10は、図1に示すように、選択的に、フィーダカートC1、検査カートC2、ストック用カートC3、カバーC4のいずれかを有する。
ヘッドホルダ12a,12bは、基板Wに対して作業を実行する複数種類のツールヘッドTを交換可能に装備するものであって、部品を実装するツールヘッド以外に、部品実装以外の作業を実行するツールヘッドを交換可能に装備できるように構成されている。本実施形態において、ヘッドホルダ12a,12bは、図5に示すように、基板Wに部品を実装する実装ヘッドT1と、基板Wを検査する検査ヘッドT2と、基板Wにクリームはんだを塗布する塗布ヘッドT3とを装備するように構成されている。
実装ヘッドT1は、フィーダカートC1から受け取った部品を基板Wに実装するノズル30と、ノズル30をZ軸方向に移動させる送り機構32とを有する。
検査ヘッドT2は、基板W全体または基板Wの検査対象部分を撮像するカメラ34を搭載している。カメラ34が撮像した画像データは、部品実装装置10を介して検査カートC2に送信される。検査ヘッドT2は、例えば、部品の基板への実装不良を検査するヘッドである。
塗布ヘッドT3は、クリームはんだを基板Wに塗布するディスペンサ36と、ディスペンサ36をZ軸方向に移動させる送り機構38とを有する。
これらの実装ヘッドT1、検査ヘッドT2、および塗布ヘッドT3は、部品実装装置10から動力の供給を受けるために、また部品実装装置10との間で信号やデータを送受信するために、部品実装装置10と接続するコネクタ40を備えている。このコネクタ40は、ヘッドホルダ12a,12bに設けられているコネクタ42と接続するように構成されている。
また、ヘッドホルダ12a,12bは、X軸送り機構14a,14bに支持され、該X軸送り機構14a,14bによってX軸方向に移動される。また、2つのX軸送り機構14a,14bは、Y軸送り機構16に支持され、該Y軸送り機構16によってY軸方向に移動される。これにより、ヘッドホルダ12a,12bが支持するツールヘッドTは、基台18上をX軸方向とY軸方向とに移動することができる。
このように、ヘッドホルダ12a,12bが交換可能に複数種類のツールヘッドTを装備することにより、部品実装装置10のレイアウトを変更することなく、部品実装ラインLにおいて実行される種々の作業の順番を変更することができる。
例えば、不良の発生率が高い部品実装を実行している部品実装装置10(作業エリアS)が存在する場合、その下流側の部品実装装置10のヘッドホルダ12a,12bのいずれか一方に検査ヘッドT2を取り付ける。それにより、不良が発生したときに、その不良をすぐに発見することができる。
基台18上には、基板Wに対する作業が実行される作業エリアSが確保されている(すなわち、ツールヘッドTを装備するヘッドホルダ12a,12bが移動可能な空間が確保されている。)。
基板WをX軸方向に搬送する基板搬送機構20は、基台18上に設けられている。この基板搬送機構20は、上流側および下流側の部品実装装置10の基板搬送機構20と連結できるように構成されている。これにより、基板Wは複数の作業エリアSを順番に通過し、各作業エリアSで種々の作業を受ける。
また、基板搬送機構20は、X軸方向に見た図6に示すように、基板Wの搬送方向と直交する方向(Y軸方向)の両端(図1および図4において黒塗りされていない端であって、以下、「第1の両端」と称する)を下から支持してX軸方向に搬送する2つのベルトコンベア50a,50bを有する。また、基板搬送機構20は、作業エリアS内においてベルトコンベア50a,50bと協働してZ軸方向に関して基板Wを固定する(クランプする)、基板Wの第1の両端の上面と接触する押さえ板52を備えている。
さらに、基板搬送機構20は、2つのベルトコンベア50a,50b間の距離(Y軸方向距離)を変更可能に構成されている。例えば、ベルトコンベア50aを支持する支持部材54aと、ベルトコンベア50bを支持する支持部材54bとが、ボールねじ56の回転によって離れる方向または接近する方向に送られるように構成されている。このボールねじ56は、モータ58によって回転される。
なお、上述の押さえ板52は、この支持部材54a,54bに固定されている。したがって、後述するように基板Wを基板搬送機構20から取り出すときは、ボールねじ56を回転させることにより、図6(B)に示すように、支持部材54a,54bが離間される。
さらにまた、基板搬送機構20は、作業エリアS内において基板Wの下面を部分的に下から支持する支持機構60を有する。この支持機構60は、基板Wを下から支持する複数の支持ピン62と、支持ピン62を昇降させる支持ピン昇降機構64とから構成されている。基板Wが作業エリアSに到着すると、複数の支持ピン62が上昇してその先端が基板Wの下面に当接する。作業エリアSでの基板Wに対する作業(部品実装など)が完了すると、支持ピン62は下降する。これにより、作業中に基板Wがたわむのを抑制している。
図1〜4に戻り、部品認識カメラ22a,22bは、作業エリアSに配置されている基板Wに対してY軸方向側に隣接するように基台18上に配置されている。この部品認識カメラ22a,22bは、基板Wに部品を実装する前に、実装ヘッドT1のノズル30が正しい姿勢で部品をピックアップしていることを確認する。
図7は、選択的に使用される、フィーダカートC1、検査カートC2、ストック用カートC3、およびカバーC4を示している。これらは、図7や設置状態を示す図1にも示すように、作業エリアSに対してY軸方向に隣接するように、基台18の両側それぞれに配置可能に構成されている。このように、フィーダカートC1、検査カートC2、ストック用カートC3、およびカバーC4それぞれが共通の場所に配置可能に構成されていることにより、それぞれについて専用の配置スペースを設ける必要がなくなる。
フィーダカートC1は、図1にも示すように、実装ヘッドT1とペアで使用されるカートであって、実装ヘッドT1が基板Wに実装する部品を搭載し、実装ヘッドT1に部品を供給するように構成されている。図7に示すフィーダカートC1はテープフィーダ70を搭載しており、実装ヘッドT1は、該テープフィーダ70がリール72から引き出したテープ74に保持されている部品をピックアップする。
また、フィーダカートC1は部品実装装置10と接続するコネクタ76を有し、該コネクタ76と接続するコネクタ78が部品実装装置10の基台18に設けられている。このコネクタ76と78とが接続されることにより、部品実装装置10からフィーダカートC1に、テープフィーダ70に対する動力(例えば、電力)や制御信号(例えば、テープ74のフィードタイミングを指示する信号)が伝達される。また、フィーダカートC1から部品実装装置10に、信号(例えば、部品の残数が少ないことを示す信号)が送信される。
検査カートC2は、図1にも示すように、検査ヘッドT2とペアで使用されるカートであって、検査ヘッドT2のカメラ34が撮像した画像に基づいて、撮像された基板Wが不良であるか否かを判定する、例えばコンピュータで構成される不良判定装置80を搭載している。例えば、部品の基板への実装不良の判定は、好ましい状態の基板Wの画像との比較に基づいて行われる。
また、検査カートC2は、検査ヘッドT2のカメラ34が撮像した基板Wを不良判定装置80が不良と判定したときに、その不良基板WEを基板搬送機構20から取り出す基板取り出しアーム(ロボットアーム)82を搭載している。
基板取り出しアーム82は、図8(A)に示すように、検査カートC2からY軸方向に進んで基板搬送機構20上の不良基板WEの搬送方向の両端(黒塗りされている端であって、以下「第2の両端」と称する)を把持し、その後不良基板WEの姿勢を変えずにY軸方向に戻って、図8(B)に示すようにターンテーブル84上に載置するように構成されている(不良基板WEは、Y軸方向に平行移動される)。
このように作業エリアSとY軸方向に隣接する検査カートC2から基板取り出しアーム82が、Y軸方向に進んで作業エリアS内の不良基板WEを把持し、その後Y軸方向に戻るので、不良基板WEの取り出しのために部品実装ラインLを延長する必要がない。
具体的に説明すると、搬送方向(X軸方向)に対して非直交方向(例えば、X軸およびY軸に対して45度の角度をなす方向)に作業エリアSから不良基板WEを取り出す場合、取り出した不良基板WEの行き先にスペースを確保する必要がある。例えば、取り出した不良基板WEを載置するスペースを確保する必要がある。そのために、部品実装ラインLの複数の作業エリアSの間隔を大きくあける必要がある。すなわち、図1に示す複数の部品実装装置10の配置間隔を大きくして部品実装ラインLを長くする必要が生じる。これは、当然ながら、作業エリアS(部品実装装置10)間の基板Wの移動に時間がかかり、部品実装ラインLの生産効率が低下する。
このターンテーブル84は、図7にも示すように、不良基板WEの第1の両端(非黒塗り端)のみを下から支持するように構成されている。すなわち、ターンテーブル84は、基板搬送機構20のベルトコンベア50a,50bが支持していた部分を支持する。
その結果として、基板Wは、大きい実装面積を確保することができる。すなわち、部品の非実装部分が、基板搬送機構20のベルトコンベア50a,50bとターンテーブル84とによって支持される共通の第1の両端(非黒塗り端)と、基板取り出しアーム82よって把持される第2の両端(黒塗り端)のみで済む。
また、ターンテーブル84は、該ターンテーブル84上に載置された不良基板WEが第2の両端(黒塗り端)方向に水平移動できるように構成されている。すなわち、ターンテーブル84には、第2の両端方向の不良基板WEの移動を規制する部分を備えていない。理由は、後述するように、不良基板WEをストック用カートC3に収容するためである。
さらに、ターンテーブル84は、Z軸方向に延びる回転中心線を中心にして90度回転するように構成されている。不良基板WEが載置された直後を示す図8(B)の状態から、ターンテーブル84が90度回転すると、図9(A)に示すように、ターンテーブル84上の不良基板WEの第2の両端(黒塗り端)方向がY軸方向と一致する。
これらにより、検査カートC2を挟んで部品実装装置10の反対側の通路R上にいる作業者が、ターンテーブル84によって支持されていない第2の両端(黒塗り端)の一方、すなわち作業者の手前に存在する側を掴んで該ターンテーブル84から不良基板WEを引き出すことができる(ストック用カートC3がない場合)。
検査カートC2も、図7に示すようにフィーダカートC1と同様に、部品実装装置10のコネクタ78と接続するコネクタ86を有する。このコネクタ86がコネクタ78に接続されることにより、部品実装装置10から検査カートC2に、不良判定装置80、基板取り出しアーム82、およびターンテーブル84を作動させる動力や制御信号が伝達され、また検査ヘッドT2のカメラ34が撮像した基板画像が送信される。一方、検査カートC2の不良判定装置80から部品実装装置10に、不良基板WEの発生を通知する信号が送信される。
図1、図7に示すストック用カートC3は、複数の不良基板WEをストックできるカートであって、使用時は検査カートC2の反部品実装装置10側部分に連結するように構成されている。このストック用カートC3は、複数の不良基板WEをZ軸方向にストックできる昇降棚88を搭載している。
ストック用カートC3の昇降棚88は、Y軸方向に見た図10に示すように、検査カートC2側とその反対側(通路R側)とが開いた枠体である。それにより、検査カートC2のターンテーブル84から昇降棚88に不良基板WEをY軸方向に移動させて収容できるとともに、その反対側(通路R側)から昇降棚88に収容されている不良基板WEをY軸方向に取り出すことができる。
検査カートC2のターンテーブル84から昇降棚88への不良基板WEの収容は、図9(B)に示すように、検査カートC2に搭載されている基板送り機構90が、ターンテーブル84に載置されている不良基板WEをY軸方向に押すことにより実行される。不良基板WEは、図10に示すように、昇降棚88の側壁内面に設けられた突起部92に第1の両端(非黒塗り端)が支持された状態で昇降棚88に収容される。これにより、通路R上にいる作業者は、基板取り出しアーム82が把持した第1の両端(黒塗り端)を把持して昇降棚88から不良基板WEを取り出すことができる。
また、ストック用カートC3は、図7に示すように、検査カートC2と連結するコネクタ94を介して、検査カートC2から昇降棚88を昇降させる動力や該昇降棚88を昇降させる制御信号を受け取るように構成されている。
カバーC4は、フィードカートC1や検査カートC2が部品実装装置10に接続されていないときに使用される。カバーC4は、コネクタ78に取り付け部96が係合することにより基台18に固定され、それにより作業エリアSへの異物混入や作業者のアクセスを防止するように構成されている。
次に、部品実装システム1の制御系について、図11を参照しながら説明する。
部品実装システム1は、図11に示すように、ホストコンピュータ2、複数の部品実装装置10、および複数種類のカートC1〜C3によって構成されている。
まず、部品実装装置10について説明する。
部品実装装置10は、ホストコンピュータ2やカートC1〜C2との間で信号やデータを送受信する通信部100と、種々のデータが記憶されている記憶部102と、情報を表示する表示部104と、作業者操作用の操作部106と、装置内(作業エリアS)に存在する基板Wを認識する基板認識部108と、ヘッドホルダ12a,12bに装備されている作業ヘッドTを認識する作業ヘッド認識部110と、接続されているカートを認識するカート認識部112と、基板Wに対して作業を実行する作業実行部114とを有する。
通信部100は、ホストコンピュータ2やカートC1〜C3との間で信号やデータを送受信するように構成されている。
記憶部102は、例えば基板Wに対する作業に関するプログラムや履歴などのデータを記憶している。
表示部104は、例えばディスプレイで構成されている。表示部104は、例えば、作業エリアSに存在する基板Wの情報、基板Wに対して実行されている作業の内容の情報などを表示する。
操作部106は、例えば作業者によって操作される複数のスイッチによって構成されている。
基板認識部108は、部品実装装置10内(作業エリアS)に存在する基板Wを認識(基板の有無、基板の種類の識別)するように構成されている。例えば、基台18上に配置されたカメラ(図示せず)が撮像した基板画像に基づいて、作業エリアSに存在する基板Wを認識する。
作業ヘッド認識部110は、ヘッドホルダ12a,12bに装備されている作業ヘッドTを認識するように構成されている。例えば、作業ヘッドTからの識別信号により、ヘッドホルダTに装備されている作業ヘッドTの種類を認識する。
カート認識部112は、部品実装装置10に接続されているカートを認識するように構成されている。例えば、種々のカートC1〜C3からの識別信号により、部品実装装置10に接続されているカートの種類を認識する。
作業実行部114は、記憶部102に記憶されているプログラムに基づいて、X軸送り機構14a,14b、Y軸送り機構16、作業ヘッドT、およびカートを制御することにより、基板Wに対して作業を実行するように構成されている。また、基板Wに対する作業が完了すると、基板搬送機構20を制御することにより、作業が完了した基板Wを作業エリアSから下流側の部品実装装置10に搬送するとともに、上流側の部品実装装置10から新たな基板Wを作業エリアSに受け入れるように構成されている。
フィーダカートC1は、部品実装装置10との間で信号を送受信する通信部200と、テープフィーダ70を制御する制御部202とを有する。
検査カートC2は、部品実装装置10やストック用カートC3との間で信号を送受信する通信部204と、不良判定装置80、基板取り出しアーム82、ターンテーブル84、および基板送り機構90を制御する制御部206とを有する。
ストック用カートC3は、検査カートC2との間で信号を送受信する通信部208と、昇降棚88を制御する制御部210とを有する。
ホストコンピュータ2は、部品実装システム1全体を制御するコンピュータであって、複数の部品実装装置10を一元的に制御するように構成されている。そのために、例えば、部品実装装置10から、実行中の作業やその作業対象の基板Wなどの情報データを取得している。また、不良基板WEが発生したときに、該不良基板WEを部品実装ラインLから回収するために、複数の部品実装装置10を制御するように構成されている。
不良基板WEが部品実装ラインLから回収される流れについて、図12を参照しながら説明する。
検査ヘッドT2のカメラ34が撮像した基板Wを検査カートC2の不良判定装置80が不良と判定すると(不良基板WEが発生すると)、該不良判定装置80から不良基板発生信号が部品実装装置10を介してホストコンピュータ2に送信される。
ホストコンピュータ2は、不良基板発生信号を受信すると、不良基板WEが存在する作業エリアS(部品実装装置10)への基板Wの搬送を禁止する(S1)。この禁止中、不良基板WEが発生した部品実装装置10の上流側の部品実装装置10は、作業が完了すると、作業が完了した基板Wを下流側に搬送させることなく、待機する。なお、不良基板WEが発生した作業エリアSへの基板Wの搬送が一時的に禁止されるだけで、他の作業エリアSにおいて他の基板Wに対して実行されている作業が中止されるわけではない。
次に、不良基板WEが発生した部品実装装置10に接続されている検査カートC2の基板取り出しアーム82が、図8(A)に示すように、不良基板WEの第2の両端(黒塗り端)を把持する(S2)。
基板取り出しアーム82の不良基板WEの把持が完了すると、基板搬送機構20が、不良基板WEをアンクランプする(S3)。具体的には、図6(B)に示すように、モータ50gによってボールねじ50fが回転し、コンベア50a,50bと押さえ板52とが不良基板WEから離れる。これにより、不良基板WEが基板搬送機構20から取り出し可能状態にされる。
不良基板WEが基板搬送機構20から取り出し可能になると、図8(B)に示すように、検査カートC2の基板取り出しアーム82が不良基板WEを基板搬送機構20から取り出してターンテーブル84に載置する(S4)。この不良基板WEの取り出しが完了すると、ホストコンピュータ2により、不良基板WEが取り出された作業エリアS(部品実装装置10)への基板Wの搬送が許可される(禁止が解除される)(S5)。
基板取り出しアーム82が不良基板WEをターンテーブル84に載置して該不良基板WEを放すと、図9(A)に示すようにターンテーブル84が90度回転する(S6)。
ターンテーブル84の回転が完了すると、図9(B)に示すように、検査カートC2の基板送り機構90に押されることにより、ターンテーブル84上の不良基板WEが、ストック用カートC3の昇降棚88に収納される。これにより、不良基板WEの作業エリアSから回収が完了する。
本実施形態によれば、検査カートC2の基板取り出しアーム82により、検査ヘッドT2を介する不良判定装置80による検査結果が不良である基板WEが作業エリアSから搬送方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に取り出される。これにより、他の作業エリアS(他の部品実装装置10)で実行されている他の基板Wに対する作業を停止させることなく、不良基板WEを取り出すことができる。
また、搬送方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に不良基板WEが作業エリアSから取り出されるので、不良基板WEの取り出しのために部品実装ラインLを延長する必要がない。
さらに、検査ヘッドT2と実装ヘッドT1とが交換可能であるため、全ての作業エリアS(部品実装装置10)において基板の不良の検査を実行することができる。すなわち、不良の発生率が高い作業エリアSの下流側の作業エリアSでその不良の検査を実行できる。その結果、不良基板WEをその発生直後に速やかに部品実装ラインLから回収することができる。
これらにより、部品実装ラインLの生産効率を低下させることなく、不良基板WEをその発生直後に速やかに該部品実装ラインLから回収することができる。
以上、上述の一実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されない。
例えば、不良基板を作業エリアから取り出す不良基板取り出し装置は、上述の実施形態の場合、不良基板の搬送方向の両端を把持する基板取り出しアームであったが、本発明はこれに限らない。例えば、不良基板の上面を吸着する吸着パッドを有するアームであってもよい。また、例えば、ターンテーブルのように、把持した不良基板を90度回転させることができるアームでもよい。この場合、ターンテーブルを省略することができる。
また、上述の実施形態の場合、図6(B)に示すように、基板を搬送する基板搬送機構20は、種々の大きさの基板を搬送できるように、基板の搬送方向と直交する方向の両端を支持する2つのコンベア50a,50bの距離が変更可能であるが、変更不可能であってもよい。ただし、押さえ板52のように作業エリアにおいて基板を固定するクランプ装置が存在する場合、不良基板取り出し装置が基板搬送機構から不良基板を取り出せるように、不良基板の回収時にクランプ装置をアンクランプ状態にする必要がある。
さらに、上述の実施形態の場合、基板の検査は、検査ヘッドのカメラが撮像した画像に基づいて行われる検査であるが、本発明は、検査の内容および手法は限定しない。本発明は、検査によって不良とされた基板を、部品実装ラインの生産効率の低下を抑制しつつ、該部品実装ラインから取り出すものである。基板に対する検査は、例えば、基板の通電の検査であってもよい。この場合、例えば、検査ヘッドは、基板に設けられた通電検査用電極に接触して該電極に電流を流す端子を有する。
さらにまた、上述の実施形態の場合、不良基板を取り出す検査カートC2と複数の不良基板をストックするストック用カートC3とは、部品実装ラインLから回収した複数の不良基板を別の場所でチェックできるように別体であるが、これらは一体であってもよい。また、不良基板の発生後にすぐに作業者が該不良基板を確認できる場合など不良基板を複数枚ストックする必要がない場合は、不良基板のストック枚数は1枚であってもよい。
加えて、上述の実施形態の場合、フィーダカートC1、検査カートC2、およびストック用カートC3は個別のカートであるが、例えば、各カートの車輪部分を分離可能に構成し、該車輪部分を複数種類のカートで共有してもよい。
加えてまた、上述の実施形態の部品実装システムの場合、検査ヘッドのカメラが撮像した画像に基づいて撮像された基板の不良を判定する不良判定装置(コンピュータ)80は、検査カートC2に搭載されているが、これに限らない。例えば、ホストコンピュータが、同様に、検査ヘッドのカメラが撮像した画像に基づいて、撮像された基板の不良判定を実行してもよい。
さらに加えて、不良と判定されて部品実装ラインから回収された基板を、作業者が確認して問題がない場合など、不良基板取り出し装置によって作業エリアに投入できるようにしてもよい(戻せるようにしてもよい)。
この場合、上述の実施形態の部品実装システム1は、例えば、作業者によって検査カートC2のターンテーブル84に確認して問題がなかった基板が載置され、該検査カートC2が接続されている部品実装装置10に対して投入操作が実行されると、検査カートC2の基板取り出しアーム82が該部品実装装置10の作業エリアSに該基板を投入するように構成される。
これにより、検査によって不良と判定されたものの、その後に作業者によって問題ないと確認された基板を、再び部品実装ラインに戻すことができ、該基板に対して続けて種々の作業を実行することができる。