JP5147774B2 - 鋼床版構造及び鋼床版補強工法 - Google Patents
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Description
ここで、一般的な鋼床版構造の例を図4に示す。図4中、鋼床版構造100は、デッキプレート102と、デッキプレート102の下面に鋼床版構造100の長手方向(橋梁の長手方向)に平行に延設された複数の縦リブ104と、該縦リブ104を横断して延設された横リブ106と、縦リブ104および横リブ106を支持する主桁110、デッキプレート102の上面に設けられた舗装108とを有する。
ところが、近年、交通量の多い橋梁を中心として、疲労損傷、特に、デッキプレートの下面と縦リブの間の溶接部が割れる損傷が多数報告されており、損傷箇所を補修する際に、このような損傷の発生を抑制することのできる高強度の鋼床版構造を構築することが求められている。
しかしながら、コンクリートプレキャストパネルを用いる場合、次のような問題がある。
コンクリートプレキャストパネルは、通常、一定の厚さを有し、かつ、上面と下面の各々の全面を平面に形成した平板として作製される。この場合、デッキプレートの上面から上方に突出する突出部分を有する建築部品(例えば、ボルト等)が存在すると、この建築部品が邪魔になって、デッキプレートの上面にコンクリートプレキャストパネルを載置することができなくなる。
本発明は、デッキプレートの上面から上方に突出する突出部分を有するボルト等の建築部品を用いる場合であっても、貫通孔を有するなどの特殊な形状のパネルを用いる必要がなく、かつ、デッキプレートとパネルの付着力が大きく、全体として大きな強度を有し、疲労耐久性に優れる橋梁の鋼床版構造、及び、該鋼床版構造を形成させることによる鋼床版補強工法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]を提供するものである。
[1] デッキプレートと、該デッキプレートの下面に橋梁の長手方向に平行に延設された複数の縦リブと、前記橋梁の長手方向に対して垂直に前記縦リブを横断して延設された横リブと、前記デッキプレートの上方に設けられた薄層舗装と、前記デッキプレートの上面から上方に突出する突出部分を有するように前記デッキプレートに取り付けられた建築部品とを含む橋梁の鋼床版構造であって、前記デッキプレートの上面の、前記建築部品及びその周辺の領域を除く領域に、第一の接着剤層を介して配設された、前記建築部品の突出部分の高さ以上の厚さを有する第一のパネル層と、該第一のパネル層の上面に第二の接着剤層を介して前記薄層舗装の下方に配設された、前記建築部品及びその周辺の領域を含む全領域に亘る第二のパネル層とを有し、前記第一のパネル層及び第二のパネル層の各々が、圧縮強度が60N/mm2以上でかつ曲げ強度が20N/mm2以上のセメント質硬化体からなるパネルによって構成されていることを特徴とする鋼床版構造。
[3] 前記パネルは、セメント、BET比表面積が5〜25m2/gの微粉末、ブレーン比表面積が3,500〜10,000cm2/gの無機粉末、最大粒径が2mm以下の細骨材、減水剤、繊維、及び水を含む配合物の硬化体からなる前記[1]又は[2]に記載の鋼床版構造。
[4] 前記第一の接着剤層及び第二の接着剤層が、アクリル樹脂系接着剤の硬化物からなる前記[1]〜[3]のいずれかに記載の鋼床版構造。
[5] 既存の鋼床版構造に代えて、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の新たな鋼床版構造を形成することによる鋼床版補強工法であって、既存の鋼床版構造の舗装の少なくとも一部を除去して、前記デッキプレートの上面を露出させた後、前記デッキプレートの上面に接着剤を塗布し、次いで、前記建築部品及びその周辺の領域を除く領域に、前記第一のパネル層を形成する工程と、該第一のパネル層の上面に接着剤を塗布した後、前記第二のパネル層を形成する工程と、該第二のパネル層の上面に前記薄層舗装を形成する工程とを含むことを特徴とする鋼床版補強工法。
また、本発明の鋼床版構造は、デッキプレートとパネルの付着力が大きく、全体として大きな強度を有し、疲労耐久性に優れる。
さらに、本発明の鋼床版構造においては、セメント質の硬化体からなるパネル(プレキャスト成形体)を用いているので、現場打ちコンクリートを用いて施工する場合のように、養生のために長時間の交通の遮断を必要とすることなく、短時間に橋梁の補強を行うことができる。また、人手により前記のパネルを運搬することができるため、大型機械を用いることなく橋梁の補強を行うことができる。
なお、本発明の鋼床版構造は、新規に橋梁等を形成する場合と、既設の橋梁等を補強する場合のいずれにも、採用することができる。
図1中、本発明の鋼床版構造1は、デッキプレート102と、縦リブ104と、横リブ106(図示せず。図4参照)と、既存の舗装部分である舗装108と、ボルト等の建築部品5と、補強後の舗装部分である第一のパネル層2、第二のパネル層3及び薄層舗装4を含む積層体とから構成されている。
なお、鋼床版構造の疲労耐久性等から、図1の建築部品5近辺(周辺)の空間6には、セメント質充填材や合成樹脂性接着剤を充填することが好ましい。セメント質充填材を使用する場合は、硬化後の圧縮強度が10N/mm2以上となるものが好ましく、20N/mm2以上となるものがより好ましい。合成樹脂性接着剤を使用する場合は、アクリル樹脂系の接着剤が好ましい。
縦リブ104は、略台形またはU字状の断面形状を有する板状の部材であり、複数本の縦リブ104が鋼床版構造1の長手方向に平行に延設されている。そして、これら複数本の縦リブ104は、いずれも、デッキプレート102の下面に溶接により固着されている。
舗装108は、例えばアスファルト舗装などからなる、鋼床版構造1の舗装面形成部分である。
補強後の舗装部分は、図2に示すように、デッキプレート102、第一の接着剤層7、第一のパネル層2、第二の接着剤層8、第二のパネル層3、薄層舗装4の順に積層してなるものである。
第一の接着剤層7及び第二の接着剤層8は、通常、合成樹脂性接着剤の硬化物からなり、高い接着強度が得られることや低温でも硬化速度が大きいことなどから、好ましくはアクリル樹脂系の接着剤の硬化物からなる。
第一のパネル層2は、建築部品5及びその周辺の領域を除く領域に、建築部品5のデッキプレート102からの突出部分の高さ以上の厚さを有するように形成される。
第一のパネル層2は、好ましくは、矩形のセメント質硬化体からなるパネルを複数敷き詰めることによって形成される。該パネルの寸法は、建築部品5の取付場所及び形状に応じて定めればよいが、例えば、50〜200cm(長さ)×20〜80cm(幅)×10〜30mm(厚さ)である。
第一のパネル層2を構成するパネルは、その片面(デッキプレート102に付着する側の面)に、高さ2mm以下の凸部及び/又は凹部を形成させることができる。この場合、デッキプレート102と第一のパネル層2の間に空気溜まりが生じるのを抑制して、空気溜まりを原因とする疲労損傷(主に、デッキプレートの下面と縦リブとの接合箇所である溶接部が割れる損傷)の発生を抑制するとともに、当該第一のパネル層2を構成するパネルを載置する際に滑らせることなく、所定の位置に高い精度で配置することができる。高さ2mm以下の凸部及び/又は凹部は、特に、第一のパネル層2を構成するパネルの寸法が大きい場合に効果的である。
第一のパネル層2と第二のパネル層3の合計の厚さは、好ましくは30〜60mm、より好ましくは35〜50mm、特に好ましくは35〜45mmである。該厚さが30mm未満では、鋼床版の補強効果が不十分であり、また、疲労耐久性が低下するため好ましくない。また、該厚さが60mmを超えると、パネル製造のコストが高くなるため好ましくない。
該セメント質硬化体の圧縮強度は、60N/mm2以上、好ましくは100N/mm2以上、特に好ましくは120N/mm2以上である。該圧縮強度の上限は、特に限定されないが、通常、300N/mm2である。
該セメント質硬化体の曲げ強度は、20N/mm2以上、好ましくは25N/mm2以上、特に好ましくは30N/mm2以上である。該曲げ強度の上限は、特に限定されないが、通常、50N/mm2である。
このような圧縮強度及び曲げ強度を有するセメント質硬化体からなるパネルを用いることによって、疲労耐久性に優れた鋼床版構造を得ることができる。セメント質硬化体の圧縮強度が60N/mm2未満、あるいは曲げ強度が20N/mm2未満では、パネルの疲労耐久性が低下して、鋼床版構造の部分的な破損が生じ易くなる。
(A)セメントの種類としては、特に限定されないが、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、等の各種ポルトランドセメントを使用することができる。
パネルの早期強度を向上させようとする場合には、早強ポルトランドセメントを使用することが好ましく、配合物の流動性を向上させようとする場合には、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
(B)微粉末のBET比表面積は、5〜25m2/g、好ましくは7〜15m2/gである。該値が5m2/g未満であると、パネルの強度、緻密性や耐衝撃性を向上させる効果が低下する。一方、該値が25m2/gを超えると、単位水量が増大し、パネルの強度、緻密性や耐衝撃性等が低下する。
(B)微粉末の配合量は、(A)セメント100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部である。該配合量が上記範囲外であると、パネルの強度、緻密性や耐衝撃性等を向上させる効果が低下する。
(C)無機粉末のブレーン比表面積は、3,500〜10,000cm2/g、好ましくは4,000〜9,000cm2/g、特に好ましくは5,000〜9,000cm2/gである。該値が3,500cm2/g未満では、パネルの強度、緻密性や耐衝撃性等を向上させる効果が低下する。一方、該値が10,000を超えると、配合物の流動性を向上させる効果や、パネルの強度、緻密性や耐衝撃性等を向上させる効果が低下し、さらにコストが高くなる。
(C)無機粉末の配合量は、(A)セメント100質量部に対して、好ましくは5〜55質量部、より好ましくは10〜50質量部である。該配合量が上記範囲外であると、配合物の流動性や施工性を向上させる効果や、パネルの強度、緻密性や耐衝撃性等を向上させる効果が低下する。
(D)細骨材の最大粒径は、2mm以下、好ましくは1.5mm以下、特に好ましくは1mm以下である。該最大粒径が2mmを超えると、パネルの強度が低下することがあるうえ、薄厚のパネルを製造することが困難な場合がある。
(D)細骨材の配合量は、(A)セメント100質量部に対して、好ましくは50〜250質量部、より好ましくは80〜180質量部である。上記配合量が上記範囲外であると、パネルの強度が低下することがあり、また、収縮が大きくなることがある。
(E)減水剤の配合量は、(A)セメント100質量部に対して、固形分換算で好ましくは0.1〜4.0質量部、より好ましくは0.1〜1.0質量部である。上記配合量が0.1質量部未満であると、配合物の混練が困難となる上、流動性も極端に低くなるので成形が困難となる。一方、上記配合量が4.0質量部を超えると、材料分離が生じることがあり、また、硬化後の緻密性や強度が低下することがある。
パネルを構成する配合物における水/セメント比は、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%である。水/セメント比が10質量%未満であると、配合物の混練が困難となる上、流動性も極端に低くなり、成形が困難となる。一方、水/セメント比が30質量%を超えると、硬化後の緻密性や強度が低下することがある。
金属繊維としては、鋼繊維、アモルファス繊維等が挙げられるが、中でも鋼繊維は強度が高く、コストや入手のし易さの点からも好ましく用いられる。
金属繊維は、直径0.01〜1.0mm、長さ2〜30mmのものが好ましい。直径が0.01mm未満であると、繊維自身の耐力が不足し、張力を受けた際に切れやすくなり、一方、直径が1.0mmを超えると、同一配合量での本数が少なくなり、曲げ強度を向上させる効果が低下する。また、長さが2mm未満であると、曲げ強度を向上させる効果が低下し、一方、長さが30mmを超えると、混練の際ファイバーボールが生じやすくなる。
金属繊維の配合量は、配合物の体積100%中、好ましくは0.1〜4.0%、より好ましくは0.5〜3.5%、さらに好ましくは0.7〜3.0%である。上記配合量が0.1%未満であると、パネルの曲げ強度や破壊エネルギーが小さくなる。一方、上記配合量が4.0%を超えると、単位水量が増大し、パネルの強度や破壊エネルギーが小さくなる。
炭素繊維としては、PAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維を使用することができる。
有機質繊維又は炭素繊維は、直径0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmであるものが好ましい。直径が0.005mm未満であると、繊維自身の耐力が不足し、張力を受けた際に切れやすくなり、一方、直径が1.0mmを超えると、同一配合量での本数が少なくなり、硬化体の破壊エネルギー等を向上させる効果が低下する。また、長さが2mm未満であると、マトリックスとの付着力が低下し、破壊エネルギー等を向上させる効果が低下し、一方、長さが30mmを超えると、混練の際にファイバーボールが生じやすくなる。
有機質繊維又は炭素繊維の配合量は、配合物の体積を100%として、好ましくは0.5〜10%、より好ましくは1.0〜7.0%、さらに好ましくは1.5〜5.0%である。上記配合量が0.5%未満であると、パネルの破壊エネルギーが小さくなるため好ましくない。一方、上記配合量が10%を超えると、単位水量が増大し、パネルの強度や破壊エネルギーが小さくなるため好ましくない。
繊維状粒子としては、例えば、ウォラストナイト、ボーキサイト、ムライト等が挙げられる。薄片状粒子としては、例えば、マイカフレーク、タルクフレーク、バーミキュライトフレーク、アルミナフレーク等が挙げられる。
繊維状粒子又は薄片状粒子の平均粒度は、1mm以下であることが好ましい。このような平均粒度を有する繊維状粒子又は薄片状粒子を配合することによって、パネルの靭性を向上させることができる。平均粒度が1mmを超えると、配合物の流動性や硬化後の強度等が低下するため好ましくない。
なお、本発明における粒子の粒度とは、その最大寸法(特に、繊維状粒子ではその長さ)である。
(H)繊維状粒子又は薄片状粒子の配合量は、配合物の流動性、硬化後の強度や靭性等の面から、(A)セメント100質量部に対して35質量部以下であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましい。
なお、繊維状粒子においては、硬化後の靭性を高める観点から、長さ/直径の比で表される針状度が3以上であることが好ましい。
上記配合物を混練する方法は、特に限定されず、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを用いて混練することができる。
成形・養生方法は、特に限定されるものではないが、パネルの生産性や強度発現性等の観点から、下記のような一次養生・二次養生を行うことが好ましい。
(1)混練したセメント組成物を所定の型枠を用いて成形し、一次養生を行う。この際の成形方法は、特に限定されないが、流し込み成形等の慣用の成形方法を採用することができる。一次養生の方法としては、型枠に混練したセメント組成物を収容した状態で、5〜40℃で所定時間(3〜48時間程度)静置する方法が挙げられる。
(2)一次養生の終了後、脱型し、その後、二次養生することにより、セメント質硬化体を製造する。二次養生の方法としては、75〜95℃で10〜48時間蒸気養生する方法が挙げられる。なお、脱型時におけるセメント質硬化体は、圧縮強度が10N/mm2以上であることが好ましい。圧縮強度が10N/mm2未満であると、脱型が困難となる。
まず、既存の鋼床版構造の舗装108の少なくとも一部を除去して、デッキプレート102の上面を露出させた後、デッキプレート102の上面に接着剤を塗布する。
次いで、建築部品5及びその周辺の領域を除く領域に、第一のパネル層を形成するための複数のパネルを敷き詰めて、第一の接着剤層7及び第一のパネル層2を形成する。
その後、第一のパネル層2の上面に接着剤を塗布し、さらに、第二のパネル層を形成するための1つまたは複数のパネルを敷き詰めて、第二の接着剤層8及び第二のパネル層3を形成する。
なお、鋼床版構造の疲労耐久性等から、図1の建築部品5近辺(周辺)の空間6には、セメント質充填材や合成樹脂性接着剤を充填することが好ましい。セメント質充填材を使用する場合は、硬化後の圧縮強度が10N/mm2以上となるものが好ましく、20N/mm2以上となるものがより好ましい。合成樹脂性接着剤を使用する場合は、アクリル樹脂系の接着剤が好ましい。
その後、第二のパネル層3の上面に薄層舗装4を形成する。薄層舗装4は、他の舗装部分108と面一となって鋼床版構造の舗装面を形成するように形成する。
本発明の鋼床版構造における各層間の付着強度は、好ましくは2.0N/mm2以上、より好ましくは2.5N/mm2以上である。なお、第一のパネル層と第二のパネル層の間の付着強度は、通常、デッキプレートと第一のパネル層の間の付着強度よりも大きい。そのため、本発明の鋼床版構造における付着強度(舗装面に垂直な方向に引張った場合の引張強度)は、デッキプレートと第一のパネル層の間の付着強度として表すことができる。
1.使用材料
以下に示す材料を用いた。
(A)セメント;低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
(B)微粉末;シリカフューム(BET比表面積:10m2/g)
(C)無機粉末;石英粉末(ブレーン比表面積:7,000cm2/g)
(D)細骨材;珪砂5号(最大粒径:1mm以下)
(E)減水剤;ポリカルボン酸系高性能減水剤
(F)水;水道水
(G)金属繊維;鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
(A)低熱ポルトランドセメント100質量部、(B)シリカフューム32質量部、(C)石英粉末35質量部、(D)細骨材105質量部、(E)減水剤0.8質量部(固形分換算)、(F)水22質量部、及び(G)鋼繊維(配合物の全体積の2%となる量)を二軸練りミキサに投入し、混練して配合物を得た。
得られた配合物のフロー値、及び配合物の硬化体の圧縮強度、曲げ強度を下記の方法により測定した。
(フロー値)
配合物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。その結果、フロー値は270mmであった。
(圧縮強度)
配合物をφ50×100mmの型枠に流し込み、20℃で24時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体を得た。硬化体の圧縮強度を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮試験方法)」に準じて測定した結果、210N/mm2であった。なお、この圧縮強度は、硬化体3本の平均値である。
(曲げ強度)
配合物を4×4×16cmの型枠に流し込み、20℃で24時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生し、硬化体を得た。硬化体の曲げ強度を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準じて測定した結果、47N/mm2であった。なお、この曲げ強度は、硬化体3本の平均値である。また、測定の際の載荷条件は、下支点間距離12cm、上支点間距離4cmの4点曲げとした。
上記2.で得た配合物を、長さ400mm、幅400mm、厚さ20mmの内部空間を有する型枠内に流し込み、20℃で24時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生した。その後、脱型し、前記の形状を有するパネルXを得た。
また、上記2.で得た配合物を、長さ1,650mm、幅400mm、厚さ20mmの内部空間を有する型枠内に流し込み、20℃で24時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生した。その後、脱型し、前記の形状を有するパネルYを得た。
次に、図3に示すように、デッキプレート102(厚さ9mmの鋼板)の上面に、アクリル樹脂系接着剤(商品名:ハードロックII)を厚さが2mmとなるように塗布した後、該塗布面に前記のパネルXを2枚接着し、30℃で24時間静置して、第一の接着剤層7及び第一のパネル層2を形成させた。図3中の符号Pは、パネルXの長さ400mmを表す。
その後、2枚のパネルXからなる第一のパネル層2の上面に、アクリル樹脂系接着剤(商品名:ハードロックII)を厚さが2mmとなるように塗布した後、該塗布面に前記のパネルYを1枚接着し、30℃で24時間静置して、第二の接着剤層8、第二のパネル層3、空間13を形成させた。図3中の符号Lは、パネルYの長さ1,650mmを表す。
得られた積層体11の任意の6箇所において、直径10cmの円柱状の試験体(コア)12を抜いた。これらのコア(No.1〜No.6の6個)を用いて、建研式付着試験に準じて、積層体11の引張強度(各層間の付着強度)を測定した。
結果を表1に示す。表1から、6個のコアにおける引張強度の最小値は2.87N/mm2であり、鋼床版全体として大きな強度を有し、優れた疲労耐久性を期待しうることがわかる。
2 第一のパネル層
3 第二のパネル層
4 薄層舗装
5 建築部品(ボルト等)
6 空間
7 第一の接着剤層
8 第二の接着剤層
11 試験体(積層体)
12 円柱状の試験体(コア)
13 空間
100 鋼床版構造
102 デッキプレート
104 縦リブ
106 横リブ
108 舗装
110 主桁
Claims (5)
- デッキプレートと、該デッキプレートの下面に橋梁の長手方向に平行に延設された複数の縦リブと、前記橋梁の長手方向に対して垂直に前記縦リブを横断して延設された横リブと、前記デッキプレートの上方に設けられた薄層舗装と、前記デッキプレートの上面から上方に突出する突出部分を有するように前記デッキプレートに取り付けられた建築部品とを含む橋梁の鋼床版構造であって、
前記デッキプレートの上面の、前記建築部品及びその周辺の領域を除く領域に、第一の接着剤層を介して配設された、前記建築部品の突出部分の高さ以上の厚さを有する第一のパネル層と、
該第一のパネル層の上面に第二の接着剤層を介して前記薄層舗装の下方に配設された、前記建築部品及びその周辺の領域を含む全領域に亘る第二のパネル層とを有し、
前記第一のパネル層及び第二のパネル層の各々が、圧縮強度が60N/mm2以上でかつ曲げ強度が20N/mm2以上のセメント質硬化体からなるパネルによって構成されていることを特徴とする鋼床版構造。 - 前記第一のパネル層が、矩形の平板状のセメント質硬化体からなるパネルを複数敷き詰めてなる請求項1に記載の鋼床版構造。
- 前記パネルは、セメント、BET比表面積が5〜25m2/gの微粉末、ブレーン比表面積が3,500〜10,000cm2/gの無機粉末、最大粒径が2mm以下の細骨材、減水剤、繊維、及び水を含む配合物の硬化体からなる請求項1又は2に記載の鋼床版構造。
- 前記第一の接着剤層及び第二の接着剤層が、アクリル樹脂系接着剤の硬化物からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼床版構造。
- 既存の鋼床版構造に代えて、請求項1〜4のいずれか1項に記載の新たな鋼床版構造を形成することによる鋼床版補強工法であって、
既存の鋼床版構造の舗装の少なくとも一部を除去して、前記デッキプレートの上面を露出させた後、前記デッキプレートの上面に接着剤を塗布し、次いで、前記建築部品及びその周辺の領域を除く領域に、前記第一のパネル層を形成する工程と、
該第一のパネル層の上面に接着剤を塗布した後、前記第二のパネル層を形成する工程と、
該第二のパネル層の上面に前記薄層舗装を形成する工程と
を含むことを特徴とする鋼床版補強工法。
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