JP5146769B2 - ボール型等速ジョイント - Google Patents

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本発明は、ボール型等速ジョイントに関するものである。
従来、ボール型等速ジョイントの組み付けにおいて、特開2000−154833号公報(特許文献1)の図5に記載されているように、まず、保持器の内側に内輪を組み付けることが行われる。具体的には、内輪の軸方向と保持器の軸方向をほぼ直交させた状態として、内輪ボール溝の壁面を構成する溝壁突条部の1つを、保持器の窓部に挿入する。この状態で、保持器に対して内輪を内輪軸回りに回転させることで、保持器の内側に内輪全体を入り込ませる。その後に、内輪の軸方向と保持器の軸方向とを一致させて、内輪と保持器の組み付けが完了する。
この組み付けに際して、内輪の溝壁突条部を保持器の窓部に挿入するために、内輪の外周側のうち軸方向一端には、径方向内方に向かって切欠が形成されている(特許文献1の図1参照)。これにより、溝壁突条部の軸方向長さが狭くなり、保持器の窓部に挿入させることができるようになっている。
特開2000−154833号公報
ところで、保持器は、保持器の軸方向両側の環状部分を複数の柱部により連結された形状をなしている。つまり、保持器の窓部は、隣り合う柱部と両側の環状部分とにより囲まれた部分である。そして、柱部付近は、高い強度および剛性を確保することが容易ではない。特に保持器の柱部付近の十分な強度および剛性を確保するために、結果として、保持器が大型化する原因となっていた。保持器の大型化は、当然に、ボール型等速ジョイント全体としての大型化を招来することになる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、保持器の大型化を抑制しつつ、保持器の強度および剛性を高くすることができるボール型等速ジョイントを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、鋭意研究した結果、本発明者は、以下のことを思いついた。車両のフロント用ドライブシャフトに適用されるボール型等速ジョイントにおいては、トルク伝達可能なジョイント作動角が例えば45〜50°程度を必要とする。一方、車両のリヤ用ドライブシャフトに適用されるボール型等速ジョイントは、要求されるトルク伝達可能なジョイント作動角が小さい。例えば、トルク伝達可能なジョイント作動角は、20〜35°程度である。従来は、多くの場合、フロント用のボール型等速ジョイントをそのままリヤ用として適用していたが、近年、リヤ用として必要なジョイント作用角を確保することができる程度に等速ジョイントの小型化および軽量化を図ることが要請されてきている。
ここで、より詳細に検討してみると、フロント用においては、ボールと内輪ボール溝との接点軌跡は、内輪の軸方向全長に亘って形成されている。そのため、内輪の外周側の軸方向一端に形成される切欠は、ボールと内輪ボール溝との接点軌跡を確保できる程度に形成されている。つまり、切欠の径方向内方底部は、内輪ボール溝におけるボールとの接点軌跡よりも径方向外方に設定されている。
しかし、リヤ用のボール型等速ジョイントにおいては、フロント用に比べて、トルク伝達可能なジョイント作動角が小さいため、リヤ用における内輪ボール溝とボールとの接点軌跡を、フロント用のものよりも短くて足りる。そこで、リヤ用に必要な接点軌跡を確保しつつ、切欠をより深く形成することを考えた。
すなわち、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、少なくとも軸方向一方に開口部を備える筒状に形成され、内周面に外輪ボール溝が複数形成された外輪と、前記外輪の内側に配置され、外周面に内輪ボール溝が複数形成された内輪と、それぞれの前記外輪ボール溝および前記内輪ボール溝を転動し、前記外輪と前記内輪との間でトルクを伝達する複数のボールと、環状に形成され、前記外輪と前記内輪との間に配置され、周方向に前記ボールをそれぞれ収容する複数の窓部が形成された保持器と、を備えるボール型等速ジョイントにおいて、前記内輪の外周側のうち少なくとも軸方向一端側であって、複数の前記内輪ボール溝のそれぞれの壁面を構成する複数の溝壁突条部のうち少なくとも1つに、径方向内方に向かって切欠が形成され、前記切欠の径方向内方底部は、前記内輪ボール溝における前記ボールとの接点軌跡の延長線よりも径方向内方に位置するように設定され、かつ、前記内輪ボール溝の溝底よりも径方向外方に位置するように設定されていることである。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記切欠は、前記内輪の全周に亘って形成されていることである。
請求項に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または2において、トルク伝達可能なジョイント作動角が35°以下に設定されていることである。
請求項に係る発明の構成上の特徴は、請求項において、前記ボールが前記内輪ボール溝を転動する際の前記ボールの中心軌跡と前記切欠の径方向内方底部との最短距離をhとし、前記ボールの直径をDとした場合に、前記ボールの直径に対する前記最短距離の比h/Dは、0.37以上0.5以下に設定されていることである。
請求項に係る発明の構成上の特徴は、請求項において、前記窓部の角部は、曲率半径Rの円弧凹状に形成され、前記ボールの直径に対する前記最短距離の比h/Dは、さらに、前記ボールの直径に対する前記窓部の角部の円弧凹状の曲率半径の比R/Dに基づいて変化する所定値以上に設定されていることである。
請求項に係る発明の構成上の特徴は、請求項において、前記所定値は、前記ボールの直径に対する前記窓部の角部の円弧凹状の曲率半径の比R/Dが増加するにつれて、増加するように設定されていることである。
請求項に係る発明の構成上の特徴は、請求項4〜6の何れか一項において、前記ボールの直径に対する前記窓部の角部の円弧凹状の曲率半径の比R/Dは、0.26以上に設定されていることである。
請求項1に係る発明によれば、切欠の径方向内方底部が、内輪ボール溝とボールとの接点軌跡の延長線よりも径方向内方に位置している。ここで、切欠の径方向内方底部とは、切欠を形成する面のうち径方向内方に位置する部位を意味する。内輪ボール溝とボールとの接点軌跡の延長線とは、接点軌跡の曲率を維持した状態で、そのまま延長した線を意味する。例えば、接点軌跡が直線の場合には、接点軌跡の延長線は、当該直線をそのまま延長した直線となる。また、接点軌跡が円弧状の場合には、接点軌跡の延長線は、当該円弧の曲率を維持した状態で延長した円弧状となる。
従って、切欠の径方向内方底部が当該接点軌跡の延長線よりも径方向内方に位置することで、切欠は、接点軌跡を断絶するように形成されていることになる。つまり、本発明にいては、従来に比べて、切欠の深さ(径方向内方深さ)が深く形成されている。従って、切欠が形成されている部位において、接点軌跡の延長線には、内輪を構成する部材が存在しない状態となる。ここで、当該部位に切欠が形成されることで、内輪ボール溝の壁面を構成する溝壁突条部の軸方向長さが短くなる。そして、本発明は、従来よりも、当該切欠の深さが深いため、溝壁突条部の軸方向長さの短くなっている部分の径方向幅が大きくなる。
ここで、保持器の強度および剛性を確保するために、保持器の窓部の角部には、直角状に形成せずに、円弧凹状に形成されている。そして、上述したように、内輪を保持器の内側に組み付ける際には、内輪の軸方向と保持器の軸方向をほぼ直交させた状態として、内輪の溝壁突条部を保持器の窓部に挿入する。この挿入時において、保持器の窓部の角部に、内輪の溝壁突条部のうち切欠付近が干渉し得る。そのため、保持器の窓部の角部を大きく盛りつけることは容易ではない。
しかし、本発明によれば、切欠の深さが深いため、保持器の窓部の角部が大きく盛りつけられていたとしても、すなわち角部の円弧凹状の曲率半径Rが大きくなるように形成したとしても、溝壁突条部のうち切欠付近が保持器の窓部の角部に干渉することを回避できる。つまり、本発明によれば、内輪と保持器との容易な組み付け性を確保しつつ、保持器の強度および剛性を高くすることができる。その結果、保持器の小型化を図ることができ、ひいては、ボール型等速ジョイント全体の小型化を図ることができる。
また、切欠の径方向内方底部が内輪ボール溝の溝底よりも径方向外方に位置するように設定されることで、切欠が形成されている軸方向位置において、内輪ボール溝が僅かながら形成されていることになる。ここで、ボール型等速ジョイントのボールは、内輪および保持器を外輪の内側に配置した状態において、該当する保持器の窓部、外輪ボール溝および内輪ボール溝に1つずつ挿入していく。この際に、内輪ボール溝および外輪ボール溝は、トルク伝達可能なジョイント作動角に必要な領域よりも長い軸方向長さを確保する必要がある。仮に、ボール溝の軸方向長さが短いとすると、ボールをボール溝に挿入する際に、ボールの位置決めが容易ではないため、組み付けが容易ではなくなる。
請求項2に係る発明によれば、切欠の成形が容易となる。さらに、保持器の内側に内輪を組み付ける際に、保持器の窓部に挿入する内輪の溝壁突条部は、どの溝壁突条部でも良いため、組み付け性が良好となる。
これに対して、本発明によれば、切欠が形成されている軸方向位置においても、内輪ボール溝が形成されているため、ボールの組み付け性を良好に維持できる。つまり、本発明によれば、ボールの組み付け性を良好に維持しつつ、保持器の強度および剛性を高くすることができる。
請求項に係る発明によれば、トルク伝達可能なジョイント作動角を35°以下のボール型等速ジョイントに適用することで、切欠が形成される部位をトルク伝達可能なジョイント作動角におけるボールの動作領域以外とすることができる。つまり、ボール型等速ジョイントとしての動作に影響を及ぼすことなく、確実に切欠の深さを深くしつつ、内輪と保持器との組み付け性を良好にすることができる。
請求項に係る発明によれば、内輪と保持器との組み付け性を確実に良好とすることができる。
請求項に係る発明によれば、ボールの直径Dと窓部の角部の円弧凹状の曲率半径Rと関係を考慮した上で、h/Dを適切な範囲とすることができるため、内輪と保持器との組み付け性を確実に良好とすることができる。
請求項に係る発明によれば、ボールの直径Dと窓部の角部の円弧凹状の曲率半径Rとの関係に応じたh/Dを確実に適切な範囲とすることができる。
請求項に係る発明によれば、保持器の強度および剛性を高くすることができる。


本実施形態に係るボール型等速ジョイントの軸方向に沿う断面図である。 本実施形態に係る内輪の要部を拡大して示す軸方向に沿う部分断面図である。 本実施形態に係るボール型等速ジョイントの内輪を保持器内に組み込む方法を示す保持器を破断した全体正面図である。 下段:図3の右側面図である。上段:図4下段の保持器の平面図である。 横軸をボールの直径Dに対する窓部の角部の円弧凹状の曲率半径Rの比とし、縦軸をボールの直径Dに対するボールの中心軌跡と切欠の径方向内方底部との最短距離hの比として、良好な範囲を示すグラフである。
以下、本発明のボール型等速ジョイントを具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態のボール型等速ジョイント10(以下、単に「等速ジョイント」と称す)の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る等速ジョイント10の所定角度のジョイント角θをとった状態の軸方向断面図である。なお、以下の説明において、外輪20の開口側とは、図1の左側を意味し、外輪20の奥側とは、図1の右側を意味する。
本実施形態の等速ジョイント10は、図1に示すように、ジョイント中心固定式ボール型等速ジョイント(「ツェッパ形等速ジョイント」とも称す)であって、車両のリヤ用ドライブシャフトのアウタボードジョイントとして好適に使用されるものである。そのため、等速ジョイント10のトルク伝達可能なジョイント作動角は、35°以下の小さい角度範囲となるように、20°〜30°の範囲に設定されている。
この等速ジョイント10は、複数の外輪ボール溝23を有する外輪20と、複数の内輪ボール溝32を有する内輪30と、複数のボール40と、保持器50と、シャフト60とから構成されている。以下、各構成部品について詳細に説明する。
外輪20は、図1の左側(本発明の「軸方向一方」に相当)に開口部を備えるカップ状(有底筒状)に形成されている。この外輪20のカップ底部の外方(図1の右側)には、連結軸21が外輪軸方向に延びるように一体形成されている。この連結軸21は、他の動力伝達軸に連結される。外輪20の内周面は、凹球面状に形成されている。具体的には、外輪20の凹球面状内周面22は、外輪軸線L1と内輪軸線L2との交点Oを曲率中心として描かれる球面の一部により形成されており、外輪軸方向に切断した断面で見た場合に円弧凹状に形成されている。
さらに、外輪20の内周面には、外輪軸直交方向断面がほぼ円弧凹状の複数の外輪ボール溝23が、ほぼ外輪軸方向に延びるように形成されている。これら複数(本実施形態では6本)の外輪ボール溝23は、径方向に切断した断面で見た場合に、周方向に等間隔(本実施形態においては60度間隔)に形成されている。ここで、外輪軸方向とは、外輪20の中心軸を通る方向、すなわち、外輪20の回転軸方向を意味する。
内輪30は、環状に形成され、外輪20の内側に配置されている。この内輪30の外周面31は、凸球面状に形成されている。具体的には、内輪30の凸球面状外周面31は、外輪軸線L1と内輪軸線L2との交点Oを曲率中心として描かれる球面の一部により形成されており、内輪軸方向に切断した断面で見た場合に一様な円弧、つまり凸状の部分球面状に形成されている。
また、内輪30の外周面には、内輪軸直交方向断面がほぼ円弧凹状からなる複数の内輪ボール溝32が、ほぼ内輪軸方向に延びるように形成されている。これら複数(本実施形態では6本)の内輪ボール溝32は、径方向に切断した断面で見た場合に、周方向に等間隔(本実施形態では60度間隔)に、且つ、外輪20に形成される外輪ボール溝23と同数形成されている。つまり、それぞれの内輪ボール溝32が、外輪20のそれぞれの外輪ボール溝23に対向するように位置する。
隣り合う内輪ボール溝32の間には、これらの内輪ボール溝32のそれぞれの壁面を構成し、径方向外方に突出する溝壁突条部33がそれぞれ形成されている。各溝壁突条部33の軸方向一端側(図1の左側)の凸球面状外周面31側には、径方向内方に向かって切欠34が設けられている。この切欠34は、内輪30の全周に亘って形成されている。この切欠34により、各溝壁突条部33の半径方向先端部の軸方向長さが短くされている。この切欠34の詳細については、図2を参照して後述する。
また、内輪30の内周面には、内輪軸方向に延びる内歯スプライン35が形成されている。この内歯スプライン35は、シャフト60の外歯スプラインに嵌合(噛合)されている。ここで、内輪軸方向とは、内輪30の中心軸を通る方向、すなわち、内輪30の回転軸方向を意味する。
複数のボール40は、それぞれ、外輪20の外輪ボール溝23と、当該外輪ボール溝23に対向する内輪30の内輪ボール溝32に挟まれるように配置されている。そして、それぞれのボール40は、それぞれの外輪ボール溝23およびそれぞれの内輪ボール溝32に対して、転動自在で周方向(外輪軸回りまたは内輪軸回り)に係合している。従って、ボール40は、外輪20と内輪30との間でトルクを伝達する。
保持器50は、環状に形成されている。この保持器50の外周面51は、外輪20の凹球面状内周面22にほぼ対応する部分球面状、すなわち凸球面状に形成されている。一方、保持器50の内周面52は、内輪30の凸球面状外周面31にほぼ対応する部分球面状、すなわち凹球面状に形成されている。この保持器50は、外輪20の凹球面状内周面22と内輪30の凸球面状外周面31との間に配置されている。この保持器50は、周方向(保持器軸心の周方向)に等間隔に配置された、ほぼ矩形の貫通孔である複数の窓部53を有する。保持器50の窓部53は、ボール40と同数形成されている。そして、それぞれの窓部53に、ボール40が1つずつ収容されている。各窓部53の4箇所の角部は円弧凹状に形成されている。これにより、隣り合う窓部53の間に位置するそれぞれの柱部の強度および剛性の向上が図られている。
次に、図2を参照して、内輪30の詳細、特に切欠34について説明する。図2は、本実施形態に係る内輪の要部を拡大して示す軸方向に沿う部分断面図である。
図2に示すように、内輪ボール溝32の溝底は、交点Oから外輪20の奥側(図2の右側)へオフセットした点bを曲率中心として描かれる円弧状の曲線32aと、その曲線32aの一端から接線方向に延びる直線32bとにより形成されている。
ここで、本実施形態の等速ジョイント10のトルク伝達可能なジョイント作動角は、上述したように、35°以下に設定されている。内輪ボール溝32におけるボール40の転動範囲は、ジョイント作動角が最大となった時に、ボール40が外輪ボール溝23に接触する二つの接点P5、P6間の範囲となる。
ここで、図1を参照した説明において、内輪ボール溝32の内輪軸直交方向断面は、ほぼ円弧凹状からなる。詳細には、内輪ボール溝32は、例えば、中心の異なる二つの円弧凹状を接続した、いわゆるゴシックアーチ形状をなしている。このようにして、内輪ボール溝32におけるボール40との接点は、内輪ボール溝32の溝底から径方向外方にずれた2カ所となるようにしている。
そして、内輪ボール溝32のうちトルク伝達可能なジョイント作動角の範囲において、内輪ボール溝32にてボール40を転動させた場合に、内輪ボール溝32におけるボール40の接点軌跡は、図2の破線にて示す軌跡(P5とP6の間)となる。つまり、当該接点軌跡は、内輪ボール溝32の溝底が円弧状の曲線32aの範囲においては、ほぼ円弧状となり、内輪ボール溝32の溝底が直線32bの範囲においては、ほぼ直線状となる。
切欠34は、内輪ボール溝32の溝底が円弧状の曲線となる範囲の端部に形成されている。この切欠34の径方向内方底部34aは、内輪ボール溝32におけるボール40との接点軌跡の延長線よりも径方向内方に位置するように設定されている。当該接点軌跡の延長線とは、接続する接点軌跡の状態を維持してそのまま延長させた線である。つまり、本実施形態においては、接続する接点軌跡は、円弧状の曲線であるため、その曲線の曲率半径を維持したまま延長した線となる。
さらに、切欠34の径方向内方底部34aは、内輪30のうち切欠34が形成されている軸方向範囲において、内輪ボール溝32の溝底32aよりも径方向外方に位置するように設定されている。つまり、内輪30のうち切欠34が形成されている軸方向位置において、内輪ボール溝32が僅かながら形成されていることになる。
次に、上記のように構成された内輪30を保持器50に組み付ける場合について、図3および図4を参照して詳細に説明する。図3は、本実施形態に係る等速ジョイント10の内輪30を保持器50内に組み込む方法を示す保持器50を破断した全体正面図である。図4の下段は、図3の右側面図であり、図4の上段は、図4下段の保持器50の平面図である。
図3および図4に示すように、内輪30を保持器50内に組み付けるには、まず、内輪30の軸方向と保持器50の軸方向をほぼ直交させた状態とする。この状態で、保持器50の内周面の一端側に形成された導入面54に、内輪30の内輪ボール溝32を跨がせて内輪ボール溝32の間の1つの溝壁突状部33を窓部53内に挿入する。この時、内輪ボール溝32の一端側(外輪20の開口側)には、切欠34が深く形成されているので、内輪30の1つの溝壁突条部33を保持器50の窓部53内に干渉することなく容易に挿入することができる。
その後、挿入された溝壁突条部33付近を中心として内輪30を矢印X方向に回動させて保持器50内に入れ、内輪30の凸球面状外周面31の中心点を保持器50の内周面52の中心点に合わせてから内輪30を90°回転させて、内輪30の軸方向と保持器50の軸方向とを一致させる。このように、内輪30の凸球面状外周面31と保持器50の内周面52を球面係合させることにより、内輪30と保持器50の組み付けが完了する。
このようにして組み付けられた内輪30と保持器50とを、外輪20の内側に配置する。その後に、ボール40を1つずつ、外輪ボール溝23、内輪ボール溝32および保持器50の窓部53に挿入していく。この際に、外輪20に対する内輪30の揺動角度は、トルク伝達可能なジョイント作動角よりも大きな角度の状態となる。つまり、等速ジョイント10の実際の使用時にはトルク伝達可能なジョイント作動角の範囲にて、ボール40が外輪ボール溝23および内輪ボール溝32を転動するが、ボール40の組み付けに際しては、トルク伝達可能なジョイント作動角の範囲外における外輪ボール溝23および内輪ボール溝32が使用される。
このように、ボール40の組み付けのために、内輪ボール溝32および外輪ボール溝23は、トルク伝達可能なジョイント作動角に必要な領域よりも長い軸方向長さを確保する必要がある。仮に、外輪ボール溝23および内輪ボール溝32の軸方向長さが短いとすると、ボール40をボール溝23、32に挿入する際に、ボール40の位置決めが容易ではないため、組み付けが容易ではなくなる。しかし、本実施形態においては、切欠34が形成されている軸方向位置においても、内輪ボール溝32が形成されているため、ボール40の組み付け性を良好に維持できる。
次に、切欠34の径方向内方底部34aの位置について、より詳細に検討した。具体的には、切欠34の径方向内方底部34aの位置と、保持器50の窓部53の角部の円弧凹状の曲率半径Rとをそれぞれ変化させて、保持器50と内輪30との組み付け性の観点と、保持器50の強度および剛性の観点について検討した。ここで、図4の上段に示すように、窓部53の角部の円弧凹状の曲率半径Rとは、1つの窓部53がほぼ矩形状となるように当該1つの窓部53を正面から見た場合に、当該窓部53の4つの角部の円弧凹状の曲率半径を意味する。
ボール40が内輪ボール溝32を転動する際のボール40の中心軌跡と、切欠34の径方向内方底部34aとの最短距離をhとする。また、ボール40の直径をDとする。そして、切欠34の径方向内方底部34aの位置に関する指標として、ボール40の直径Dに対する最短距離hの比h/Dを用いる。つまり、h/Dが0.5の場合には、切欠34が形成されている軸方向位置おいて、内輪ボール溝32が存在しない状態となる。h/Dが小さくなるほど、切欠34の径方向内方底部34aの位置が、内輪30の径方向外方に移動していく。
また、保持器50の窓部53の角部の円弧凹状の曲率半径Rに関する指標として、ボール40の直径Dに対する当該曲率半径Rの比R/Dを用いる。R/Dが小さいほど、窓部53の角部の円弧凹状の曲率半径Rが小さいことを意味し、R/Dが大きいほど、窓部53の角部の円弧凹状の曲率半径Rが大きいことを意味する。つまり、R/Dが大きいほど、窓部53の柱部付近の強度および剛性が高いことになる。
この検討結果を図5に示す。図5において、横軸をR/Dとし、縦軸をh/Dとしている。図5において、ハッチング範囲が上記二つの観点に対して良好な範囲となる。
具体的には、この良好な範囲は、h/Dが0.5以下である。このように、R/Dに対するh/Dの上限値を設定することにより、切欠34の径方向内方底部34aが、切欠34が形成されている軸方向範囲において、内輪ボール溝32の溝底32aよりも径方向外方に位置するように設定されることになる。つまり、切欠34が形成されている軸方向位置において、内輪ボール溝32が僅かながら形成されていることになる。従って、ボール40の組み付け性が良好とできる。
さらに、当該良好な範囲は、h/Dが0.37以上である。特に、良好な範囲のh/Dの下限値は、R/Dが大きくなるに従って、線形的に大きくなる関係を有している。より具体的には、h/Dの下限値は、式1のように表すことができる。例えば、R/Dが0.26の時にh/Dの下限値が0.37で、R/Dが0.37の時にh/Dの下限値が0.44となる。
[数1]
Y=0.64X + 0.2 ・・・ (1)
Y: h/Dの下限値
X: R/D
上記のように、R/Dに対するh/Dの下限値を設定することで、内輪30と保持器50との組み付け性を良好とすることができる。
さらに、当該良好な範囲におけるR/Dは、0.26以上としている。これにより、保持器50の強度および剛性を高くすることができる。
以上より、トルク伝達可能なジョイント作動角を35°以下とすることで、従来に比べて、切欠34の深さをより深く形成した。つまり、切欠34は、ボール40と内輪ボール溝32との接点軌跡を断絶するように形成されていることになる。従って、切欠34が形成されている部位において、接点軌跡の延長線には、内輪30を構成する部材が存在しない状態となる。ここで、当該部位に切欠34が形成されることで、内輪ボール溝32の壁面を構成する溝壁突条部33の軸方向長さが短くなる。そして、切欠34の深さが深いため、溝壁突条部33の軸方向長さの短くなっている部分の径方向幅が大きくなる。
ここで、保持器50の強度および剛性を確保するために、保持器50の窓部53の角部は円弧凹状に形成されており、この角部の円弧凹状の曲率半径Rが大きいほど保持器50の強度および剛性が高くなる。
そして、図3および図4を用いて説明したように、内輪30を保持器50の内側に組み付ける際には、内輪30の軸方向と保持器50の軸方向をほぼ直交させた状態として、内輪30の溝壁突条部33を保持器50の窓部53に挿入する。この挿入時において、保持器50の窓部53の角部に、内輪30の溝壁突条部33のうち切欠34付近が干渉し得る。ただし、本実施形態によれば、切欠34の深さが深いため、保持器50の窓部53の角部の円弧凹状の曲率半径Rが大きく形成されているとしても、溝壁突条部33のうち切欠34付近が保持器50の窓部53の角部に干渉することを回避できる。
従って、本実施形態によれば、内輪30と保持器50との容易な組み付け性を確保しつつ、保持器50の強度および剛性を高くすることができる。その結果、保持器50の小型化を図ることができ、ひいては、ボール型等速ジョイント10全体の小型化を図ることができる。
10:ボール型等速ジョイント
20:外輪、 21:連結軸、 22:凹球面状内周面、 23:外輪ボール溝
30:内輪、 31:凸球面状外周面、 32:内輪ボール溝、 33:溝壁突条部
34:切欠、 34a:径方向内方底部、 35:内歯スプライン
40:ボール
50:保持器、 53:窓部
60:シャフト

Claims (7)

  1. 少なくとも軸方向一方に開口部を備える筒状に形成され、内周面に外輪ボール溝が複数形成された外輪と、
    前記外輪の内側に配置され、外周面に内輪ボール溝が複数形成された内輪と、
    それぞれの前記外輪ボール溝および前記内輪ボール溝を転動し、前記外輪と前記内輪との間でトルクを伝達する複数のボールと、
    環状に形成され、前記外輪と前記内輪との間に配置され、周方向に前記ボールをそれぞれ収容する複数の窓部が形成された保持器と、
    を備えるボール型等速ジョイントにおいて、
    前記内輪の外周側のうち少なくとも軸方向一端側であって、複数の前記内輪ボール溝のそれぞれの壁面を構成する複数の溝壁突条部のうち少なくとも1つに、径方向内方に向かって切欠が形成され、
    前記切欠の径方向内方底部は、前記内輪ボール溝における前記ボールとの接点軌跡の延長線よりも径方向内方に位置するように設定され、かつ、前記内輪ボール溝の溝底よりも径方向外方に位置するように設定されていることを特徴とするボール型等速ジョイント。
  2. 請求項1において、
    前記切欠は、前記内輪の全周に亘って形成されていることを特徴とするボール型等速ジョイント。
  3. 請求項1または2において、
    トルク伝達可能なジョイント作動角が35°以下に設定されていることを特徴とするボール型等速ジョイント。
  4. 請求項において、
    前記ボールが前記内輪ボール溝を転動する際の前記ボールの中心軌跡と前記切欠の径方向内方底部との最短距離をhとし、
    前記ボールの直径をDとした場合に、
    前記ボールの直径に対する前記最短距離の比h/Dは、0.37以上0.5以下に設定されていることを特徴とするボール型等速ジョイント。
  5. 請求項において、
    前記窓部の角部は、曲率半径Rの円弧凹状に形成され、
    前記ボールの直径に対する前記最短距離の比h/Dは、さらに、前記ボールの直径に対する前記窓部の角部の円弧凹状の曲率半径の比R/Dに基づいて変化する所定値以上に設定されていることを特徴とするボール型等速ジョイント。
  6. 請求項において、
    前記所定値は、前記ボールの直径に対する前記窓部の角部の円弧凹状の曲率半径の比R/Dが増加するにつれて、増加するように設定されていることを特徴とするボール型等速ジョイント。
  7. 請求項4〜6の何れか一項において、
    前記ボールの直径に対する前記窓部の角部の円弧凹状の曲率半径の比R/Dは、0.26以上に設定されていることを特徴とするボール型等速ジョイント。
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