手段1.
本発明に係る遊技機は、
第1流入規制状態と前記第1流入規制状態より遊技媒体の流入規制が緩い第2流入規制状態との間を相互に移行自在であり、前記第1流入規制状態と前記第2流入規制状態との相違により所定の領域への前記遊技媒体の流入を規制する媒体流入規制手段(例えば、羽根60、シャッタ62、投入フリッカ1413a、払出フリッカ1033b)と、
前記媒体流入規制手段の流入規制状態を前記第1流入規制状態と前記第2流入規制状態との間で移行させる規制変更手段(例えば、大入賞口ソレノイド991、始動口ソレノイド992、払出ソレノイド1033c、投入ソレノイド1414a〜1414c)と、
遊技進行の包括的な制御を行う遊技進行制御手段(主制御基板の通常処理及び払出制御基板の払出制御処理)と、
前記遊技進行制御手段による遊技進行の制御に基づいて、前記規制変更手段の駆動を制御する規制制御手段(例えば、外部出力処理S201の一部、ポート出力処理S2114、大入賞口ソレノイド駆動回路900、始動口ソレノイド駆動回路920)と、
を含む遊技機であって、
前記規制変更手段が、前記媒体流入規制手段における流入規制状態移行と連動する磁性部(各種のソレノイド991,992,1033c,1414a〜1414cのプランジャの一部)と、前記磁性部を移動させる応力を発生するソレノイドコイル(ソレノイドコイルL1)とを含み、
前記規制制御手段が、前記ソレノイドコイルに流れる電流を制御し、
前記遊技機が、前記ソレノイドコイルに流れる電流の過渡応答に基づいて前記媒体流入規制手段における規制状態移行の異常を検知する規制異常検知手段(例えば、大入賞口異常検知回路910、始動口異常検知回路930、投入ソレノイド異常検知回路1910、払出ソレノイド異常検知回路1930)と、前記規制異常検知手段による前記規制状態移行の異常の検知に応じて、前記規制状態移行の異常の報知を制御する規制異常報知制御手段(例えば、大入賞口エラー処理S209、始動口エラー処理S211、外部出力処理S201の一部、ポート出力処理S2114の一部)と、を更に含むことを特徴としている。
本明細書において、「第1流入規制状態」は、遊技媒体が所定の領域へ流入できない流入禁止状態及び遊技媒体が所定の領域へ流入できる流入許可状態を含意する。一方、「第2流入規制状態」は、遊技媒体が所定の領域へ流入できる流入許可状態であり、第1流入規制状態よりも遊技媒体が流入し易い状態である。
本明細書において、「ソレノイドコイルに流れる電流の過渡応答」は、ソレノイドコイルに流れる電流の時間的な変化を意味し、電流の過渡応答には、ソレノイドコイルへの電流供給の開始(励磁開始)時における電流値から所定の定常電流値に到達するまでの電流の変化(例えば、0A〔アンペア〕から24Aへの変化)やソレノイドコイルへの電流供給の遮断(消磁開始)時における電流値から所定の定常電流値への変化(例えば、24Aから0Aへの変化)を含意する。なお、例えば、ソレノイドコイルへの電流供給の開始における電流の過渡特性とは、励磁完了後の定常状態の電流値を飽和電流値として、ソレノイドコイルへの電流の供給開始に伴って電流値が飽和電流値よりも小さい所定の値まで増加した後に電流値が所定の値まで減少し、その後、飽和電流値まで増加する特性である。このようにソレノイドに流れる電流が、ソレノイドコイルへの電流の開始から単調に増加して飽和電流値に至らない現象は、磁性部の磁化及びソレノイドコイルと磁性部との相対位置の変化に起因して発現する。
本明細書において、「媒体流入規制手段と連動する」とは、磁性部がソレノイドコイルへの電流の供給又は遮断に応じて移動する場合ばかりでなく、外力によって強制的に媒体流入規制手段が第1流入規制状態から第2流入規制状態又はその逆に変更された場合においても磁性部が同様に移動することを意味する。
本明細書において、「磁性部」とは、磁場の印加に応じて磁化する材料(軟質磁性材料)で構成されている部材(軟質磁性部)や、磁場を生成する材料(硬質磁性材料:磁石)で構成されている部材(硬質磁性部)を意味する。例えば、磁性部が軟質磁性部である場合には、ソレノイドコイルへの電流の供給に応じてソレノイドコイルに磁性部が引き付けられ、ソレノイドコイルへの電流の遮断に応じてソレノイドコイルから磁性部が引き離されることによって、媒体流入規制手段の流入規制状態が変更される。一方、磁性部が硬質磁性部である場合には、ソレノイドコイルへの電流の供給に応じてソレノイドコイルから磁性部が引き離され、ソレノイドコイルへの電流の遮断に応じてソレノイドコイルに磁性部が引き付けられることによって、媒体流入規制手段の流入規制状態が変更される。
上記の構成であれば、ソレノイドコイルに流れる電流の過渡応答を検出することによって、断線や経年変化による媒体流入規制手段の規制状態移行が異常であるか否かを検知できる。これは、ソレノイドコイルに流れる電流の過渡応答が、正常な場合と、断線等によってソレノイドコイルに電流が流れない場合や経年変化によってソレノイドコイルに対する磁性部の易動性が劣化した場合とで異なるからである。
なお、本発明において、規制異常移行の報知は、遊技機が規制異常報知制御手段によって制御される異常報知手段(例えば、音響装置、発光装置、補助表示装置)を更に備えており、その異常報知手段によって行われてもよいし、遊技機に電気的に接続された外部の異常報知手段(例えば、設置ホールの管理コンピュータ)によって行われてもよい。更に、規制異常移行の報知は、遊技機に設けられた異常報知手段と外部の異常報知手段との双方によって行われてもよい。異常報知手段が遊技機に設けられた異常報知手段であれば、遊技者又は遊技機の設置ホールの従業者等に知らせることができ、異常報知手段が外部の異常報知手段のみであれば、遊技者には知らせずに設置ホールの管理者等にのみ知らせることもできる。
手段2.
上記の手段1の遊技機において、
前記規制異常検知手段が、前記電流の過渡応答を前記電流の過渡応答と定性的に実質的に同一な電圧の過渡応答に変換して、前記電圧の過渡応答に基づいて前記媒体流入規制手段の前記規制状態移行の異常を検知することを特徴としている。
本明細書において、「定性的に実質的に同一」とは、変化の増減パターンが同一であることを意味し、変化量や変化時間の相違があってもよいことを意味する。
上記の構成であれば、規制異常検出検知手段を簡素化できる。これは、一般的に、電気回路において、電流の大きさを取り扱うよりも電圧の大きさを取り扱う方が簡便であるからである。
手段3.
上記の手段2の遊技機において、
前記過渡応答変換手段が、前記ソレノイドコイルと直列に電気的に接続された抵抗素子(例えば、大入賞口ソレノイド監視回路S911)を含み、
前記電圧の過渡応答が、前記抵抗素子における電圧降下の過渡応答であることを特徴としている。
上記の構成であれば、ソレノイドコイルに流れる電流の過渡応答の定性的な特性(以下、「過渡電流特性」と称す)を異ならせることなく、ソレノイドコイルに流れる電流の過渡応答を抵抗素子の両端の電圧降下の過渡応答に簡便に変換できる。これによって、ソレノイドコイルに流れる電流の過渡応答を実質的に簡便に監視することができる。
手段4.
上記の手段1〜3の遊技機において、
前記規制変更手段が、前記ソレノイドコイルへの電流の供給に応じて前記ソレノイドコイル側に移動する前記磁性部を含むプランジャ(例えば、大入賞口ソレノイド991及び始動口ソレノイド992のプランジャ、ピストン1414a2,1033c2)と、前記ソレノイドコイルへの電流の遮断に応じて前記プランジャの前記磁性部を前記ソレノイドコイルと反対側に移動させる付勢部とを備えるソレノイド(例えば、大入賞口ソレノイド991、始動口ソレノイド992、払出ソレノイド1033c、投入ソレノイド1414a〜1414c)であり、
前記媒体流入規制手段が、前記ソレノイドコイル側への前記プランジャの移動に応じて前記第1流入規制状態から前記第2流入規制状態に移行することを特徴としている。
上記の構成であれば、ソレノイドコイルを励磁した場合に媒体流入規制手段が第2流入規制状態をとるために、不正行為の防止に対する安全性を向上させることができる。これは、不正行為によってソレノイドコイルへの通電を強制的に遮断すること及びそれを実現するために改変を加えることは容易であるが、ソレノイドコイルへの通電を強制的に行なうこと及びそれを実現するための改変を加えることは遮断する場合に比べて困難だからである。
手段5.
上記の手段4の遊技機において、
前記規制異常検知手段が、
前記規制制御手段に基づく前記ソレノイドコイルの励磁開始からの時間が所定の判定時間を経過したことを検知する規定時間経過検知手段(例えば、異常検出タイミング信号生成回路915)と、
前記ソレノイドコイルに流れる前記電流の過渡応答を前記電圧の過渡応答に変換する過渡応答変換手段(例えば、大入賞口ソレノイド監視回路911)と、
所定の断線検知閾電圧を生成する断線検知閾電圧生成手段(例えば、正常作動基準電圧生成回路913)と、
前記規定時間経過検知手段による前記所定の判定時間の経過の検知に応じて、前記過渡応答変換手段による監視電圧が前記所定の断線検知閾電圧未満である場合に断線異常であると判定する断線判定手段(例えば大入賞口ソレノイド異常検出回路914)と、
を含み、
前記規制異常報知制御手段が、前記断線判定手段による断線異常の判定に応じて前記断線異常の報知を制御し、
前記所定の判定時間が、前記媒体流入規制手段の初期の正常な駆動に対する前記ソレノイドコイルの励磁開始から前記ソレノイドコイルの励磁が完了するまでの時間未満であり、
前記媒体流入規制手段の初期の正常な駆動に対する前記ソレノイドコイルの励磁開始からの時間が前記所定の判定時間を経過した場合の電圧を正常電圧とし、かつ前記媒体流入規制手段の初期の正常な駆動において前記ソレノイドコイルの励磁が完了した場合の電圧を定常電圧として、前記所定の断線検知閾電圧が、前記正常電圧以上であり前記定常電圧以下であることを特徴としている。
本明細書において、「規制緩和移行」とは、媒体流入規制手段が第1流入規制状態から第2流入規制状態への移行を意味し、「規制緩和移行の開始」とは、第1流入規制状態から第2の流入規制状態に向かっての具体的な変化の開始を意味する。
上記の構成であれば、ソレノイドコイルと規制制御手段とが断線している断線時の場合と正常な場合との電圧の過渡応答において励磁開始(ソレノイドコイルへの電流の供給開始)の開始後から定常電圧に到達するまでの間は正常な場合の電圧よりも断線時の場合の電圧の方が低くなるために、監視電圧が所定の不正移行検知閾電圧未満である場合に異常と判定することによって、断線時と正常時とを識別できる。なお、所定の判定時間及び所定の断線検知閾電圧は、断線時の場合と初期の正常な場合とに対する予め調べられた2つの電圧の過渡応答に基づいて決定されている。
手段6.
上記の手段4の遊技機において、
前記規制異常検知手段が、
前記規制制御手段に基づく前記ソレノイドコイルの励磁開始からの時間が所定の判定時間を経過したことを検知する規定時間経過検知手段(例えば、異常検出タイミング信号生成回路915)と、
前記ソレノイドコイルに流れる前記電流の過渡応答を前記電圧の過渡応答に変換する過渡応答変換手段(例えば、大入賞口ソレノイド監視回路911)と、
所定の劣化検知閾電圧を生成する劣化検知閾電圧生成手段と、
前記規定時間経過検知手段による前記所定の判定時間の経過の検知に応じて、前記過渡応答変換手段による監視電圧が前記所定の劣化検知閾電圧を超えて大きい場合に劣化異常であると判定する劣化判定手段(例えば、大入賞口ソレノイド異常検出回路914)と、
を含み、
前記規制異常報知制御手段が、前記劣化判定手段による劣化異常の判定に応じて前記劣化異常の報知を制御し、
前記所定の判定時間が、前記媒体流入規制手段の初期の正常な駆動に対する前記ソレノイドコイルの励磁開始から規制緩和移行の開始までの時間以上であり、前記媒体流入規制手段の初期の正常な駆動に対する前記ソレノイドコイルの励磁開始から前記規制緩和移行の完了近傍までの時間未満であり、
前記媒体流入規制手段の初期の正常な駆動に対する前記ソレノイドコイルの励磁開始からの時間が前記所定の判定時間を経過した場合の電圧を正常電圧とし、かつ前記媒体流入規制手段の初期の正常な駆動において前記ソレノイドコイルの励磁が完了した場合の電圧を定常電圧として、前記所定の劣化検知閾電圧が、前記正常電圧以上であり前記定常電圧以下であることを特徴としている。
本明細書において、「規制緩和移行の完了近傍」とは、第1流入規制状態から第2流入規制状態に向かっての具体的な変化の完了近傍を意味する。また、完了近傍とは、厳密に規制緩和移行が完了する場合に限らず、厳密な規制緩和移行の完了後であって初期の正常な電圧の過渡応答における電圧が所定の劣化検知閾電圧よりも大きい期間を含むことを意味する。
上記の構成であれば、劣化時の場合と正常な場合との電圧の過渡応答において励磁開始(ソレノイドコイルへの電流の供給開始)後から励磁完了近傍までの間は正常な場合の電圧よりも劣化時の場合の電圧の方が高くなるために、監視電圧が所定の不正移行検知閾電圧未満である場合に異常と判定することによって、断線時と正常時とを識別できる。なお、所定の判定時間及び所定の断線検知閾電圧は、断線時の場合と初期の正常な場合とに対する予め調べられた2つの電圧の過渡応答に基づいて決定されている。
手段7.
上記の手段6の遊技機において、
前記規制異常検知手段が、前記劣化検知閾電圧より小さい所定の劣化予兆検知閾電圧を生成する劣化予兆検知閾電圧生成手段と、前記規定時間経過検知手段により測定される前記駆動時間が前記規定時間を経過したことの検知に応じて、前記過渡応答変換手段による前記監視電圧と前記劣化予兆検知閾電圧生成手段による前記劣化予兆検知閾電圧とに基づいて、前記監視電圧が前記劣化予兆検知閾電圧を超えて大きい場合に前記媒体流入規制手段の前記状態移行に異常予兆があると判定する劣化予兆判定手段とを更に含み、
前記規制異常報知制御手段が、前記劣化予兆判定手段による前記異常予兆の判定に応じて劣化予兆検出信号を更に生成し、前記劣化予兆検出信号に基づいて異常の報知を更に制御し、
前記劣化予兆検知閾電圧が、前記規制変更手段の初期の正常な前記媒体流入規制手段の駆動において前記駆動時間が前記規定時間を経過した場合の監視電圧より大きいことを特徴としている。
上記の構成であれば、遊技に支障をきたすような劣化がない状態で予め報知することによって、その遊技機で遊技者が遊技していない時にソレノイドの取替えや修理を行なうことができる。これによって、遊技中の遊技者を待たせたり、他の遊技機に移動させたりすることを抑制でき、遊技者に不快感を与えることを抑制できると共に、遊技機の稼動が低下することを抑制できる。なお、この劣化予兆が検知された場合には、遊技者には知らせずに、遊技機の管理者のみに知らせることが好ましい。
手段8.
上記の手段4の遊技機において、
前記規制異常検知手段が、前記ソレノイドコイルに流れる電流の過渡応答を前記監視電圧の過渡応答に変換する過渡応答変換手段と、所定の劣化検知閾電圧を生成する劣化検知閾電圧生成手段と、前記劣化検知閾電圧より小さい所定の劣化予兆検知閾電圧を生成する劣化予兆検知閾電圧生成手段と、前記劣化予兆検知閾電圧より小さい所定の断線検知閾電圧を生成する断線検知閾電圧生成手段と、前記ソレノイドコイルの励磁開始からの時間が所定の判定時間を経過したことを検知する規定時間経過検知手段と、前記ソレノイドコイルの励磁開始からの時間が前記所定の判定時間を経過したことの検知に応じて前記監視電圧と前記劣化検知閾電圧とを比較して前記監視電圧が前記劣化検知閾電圧を超えて大きい場合に前記媒体流入規制手段の状態移行が異常であると判定する劣化判定手段と、前記駆動時間が前記規定時間を経過したことの検知に応じて前記監視電圧と前記劣化予兆検知閾電圧とを比較して前記監視電圧が前記劣化予兆検知閾電圧を超えて大きい場合に前記媒体流入規制手段の規制緩和移行に異常予兆があると判定する劣化判定手段と、前記駆動時間が前記規定時間を経過したことの検知に応じて前記監視電圧と前記断線検知閾電圧とを比較して前記監視電圧が前記断線検知閾電圧未満である場合に前記媒体流入規制手段の状態移行が異常であると判定する断線判定手段とを含み、
前記規制異常報知制御手段が、前記劣化判定手段による異常の判定に応じて劣化検出信号を生成し、前記劣化予兆判定手段による前記異常予兆の判定に応じて劣化予兆検出信号を生成し、かつ前記断線判定手段による異常の判定に応じて断線検出信号を生成し、
前記遊技機が、前記劣化検出信号及び前記断線検出信号の各々の検知に応じて遊技者に前記異常を報知する異常報知手段と、前記劣化検出信号及び断線検出信号に応じて前記遊技進行を停止させるエラー制御手段とを更に含み、
前記規制異常報知制御手段が、前記劣化検出信号、前記劣化予兆検出信号及び断線検出信号に基づいて外部装置に異常の発生を報知させ、
前記断線検知閾電圧が、前記規制変更手段による初期の正常な前記媒体流入規制手段の駆動において前記駆動時間が前記規定時間を経過した際の監視電圧よりも小さく、前記劣化検知閾電圧及び前記劣化予兆検知閾電圧の各々が、前記規制変更手段による初期の正常な前記媒体流入規制手段の駆動において前記所定の時間を経過した際の監視電圧よりも大きいことを特徴としている。
上記の構成であれば、断線発生の判断、及び劣化発生の判断及び劣化予兆発生の判断を同一のタイミングで行なうことができ、個別に行なう場合よりこれらの判断にかかる制御装置の処理負担を低減できる。
手段9.
上記の手段5〜8の遊技機において、
前記所定の判定時間が、前記ソレノイドコイルの励磁開始から前記媒体流入規制手段の初期の正常な駆動に対する前記規制緩和移行の開始までの時間以上であり、前記ソレノイドコイルの励磁開始から前記規制緩和移行の完了近傍までの時間であることを特徴としている。
上記の構成であれば、精度の高い判定が行なえる。これは、電圧(電流)の過渡応答特性において、ソレノイドコイルと磁性部との相対位置の変化がある場合に正常時とその他の場合とで大きな電圧変化が発生するからである。
手段10.
上記の手段5〜8の遊技機において、
前記所定の判定時間が、前記ソレノイドコイルの励磁開始から前記媒体流入規制手段の初期の正常な駆動に対する前記規制緩和移行の完了までの時間であることを特徴としている。
上記の構成であれば、更に精度の高い判定が行なえる。これは、電圧(電流)の過渡応答特性において、ソレノイドコイルと磁性部との相対位置の変化終了した場合に正常時とその他の場合とで更に大きな電圧変化が発生するからである。
手段11.
上記の手段1〜10の遊技機において、
前記遊技機が、前記遊技進行制御手段及び前記規制制御手段を含む主制御基板と、前記主制御基板の前記遊技進行制御手段からの命令信号に応じて前記遊技進行に伴う演出を制御するサブ制御基板とを備え、
前記規制異常検知手段が、前記主制御基板上に形成された電気回路であり、
前記ソレノイドコイルが、前記主制御基板と電気的に接続されていることを特徴としている。
手段12.
上記の手段1〜10の遊技機において、
前記遊技機が、前記遊技進行制御手段を含む主制御基板と、前記規制制御手段を含み、前記主制御基板と異なる払出制御基板とを備え、
前記規制異常検知手段が、前記払出制御基板上に形成された電気回路であり、
前記ソレノイドコイルが、前記払出制御基板と電気的に接続されていることを特徴としている。
手段13.
上記の手段4の遊技機において、
前記規制異常検知手段が、前記ソレノイドコイルに流れる前記電流の過渡応答を監視電圧の過渡応答に変換する過渡応答変換手段(例えば、大入賞口ソレノイド監視回路911)と、前記過渡応答変換手段により監視される前記監視電圧のアナログ情報を前記監視電圧に対応するデジタル情報である監視電圧情報に変換する情報形式変換手段(例えば、A/Dコンバータ回路918)と、所定の断線検知閾電圧に対応する断線検知閾電圧情報を保持する断線検知閾電圧情報保持手段(例えば、ROM502,1045a2,1037a2の一部の領域)と、前記規制変更手段による前記ソレノイドコイルの駆動開始からの駆動時間が規定時間を経過したことを検知する規定時間経過検知手段(例えば、ソレノイド作動確認処理S202、ソレノイド作動確認処理S2108、払出ソレノイド作動確認処理S3316の一部)と、前記駆動時間が前記規定時間を経過したことの検知に応じて、前記情報形式変換手段からの前記監視電圧情報と前記断線検知閾電圧情報保持手段に保持された前記断線検知閾電圧情報とに基づいて、前記監視電圧が前記断線検知閾電圧未満である場合に前記媒体流入規制手段の前記状態移行が異常であると判定する断線判定手段(例えば、ソレノイド作動確認処理S202、ソレノイド作動確認処理S2108、払出ソレノイド作動確認処理S3316の一部)とを含み、
前記規制異常報知制御手段が、前記断線判定手段による前記異常の判定に応じて断線報知信号を生成して異常の報知を制御し、
前記断線検知閾電圧情報が、前記規制変更手段による初期の正常な前記媒体流入規制手段の駆動において前記駆動時間が前記規定時間を経過した場合の監視電圧より小さい電圧に対応する情報であることを特徴としている。
上記の構成であれば、上記の手段5の場合と実質的に同一の効果を奏する。更に、不正移行判定手段による異常の判定のタイミングをソフトウェア的に管理でき、かつ、監視電圧情報値と不正移行検知閾電圧情報値とをソフトウェア的に比較できるために、それらをハードウェアで実施する場合に比べて情報形式変換手段が追加されるものの全体としてのハードウェア構成を簡素化できる。
手段14.
上記の手段4の遊技機において、
前記規制異常検知手段が、前記ソレノイドコイルに流れる電流の過渡応答を前記監視電圧の過渡応答に変換する過渡応答変換手段(例えば、大入賞口ソレノイド監視回路911)と、前記過渡応答変換手段により監視される監視電圧のアナログ情報を前記監視電圧に対応するデジタル情報である監視電圧情報に変換する情報形式変換手段(例えば、A/Dコンバータ回路918)と、所定の劣化検知閾電圧に対応する劣化検知閾電圧情報を保持する劣化検知閾電圧情報保持手段(例えば、ROM502,1045a2,1037a2の一部の領域)と、前記規制変更手段による前記ソレノイドコイルの駆動開始からの駆動時間が規定時間を経過したことを検知する規定時間経過検知手段(例えば、ソレノイド作動確認処理S202、ソレノイド作動確認処理S2108、払出ソレノイド作動確認処理S3316の一部)と、前記駆動時間が前記規定時間を経過したことの検知に応じて、前記情報形式変換手段からの前記監視電圧情報と前記劣化検知閾電圧情報保持手段に保持された前記劣化検知閾電圧情報とに基づいて、前記監視電圧が前記劣化検知閾電圧を超えて大きい場合に前記媒体流入規制手段の前記状態移行が異常であると判定する劣化判定手段(例えば、ソレノイド作動確認処理S202、ソレノイド作動確認処理S2108、払出ソレノイド作動確認処理S3316の一部)とを含み、
前記規制異常報知制御手段が、前記劣化判定手段による前記異常の判定に応じて劣化報知信号を生成して異常の報知を制御し、
前記劣化検知閾電圧情報が、前記規制変更手段による初期の正常な前記媒体流入規制手段の駆動において前記駆動時間が前記規定時間を経過した場合の監視電圧より大きい電圧に対応する情報であることを特徴としている。
上記の構成であれば、上記の手段6の場合と実質的に同一の効果を奏する。更に、不正移行判定手段による異常の判定のタイミングをソフトウェア的に管理でき、かつ、監視電圧情報値と不正移行検知閾電圧情報値とをソフトウェア的に比較できるために、それらをハードウェアで実施する場合に比べて情報形式変換手段が追加されるものの全体としてのハードウェア構成を簡素化できる。
手段15.
上記の手段14の遊技機において、
前記規制異常検知手段が、前記劣化検知閾電圧より小さい所定の劣化予兆検知閾電圧に対応する劣化予兆検知閾電圧情報を保持する劣化予兆検知閾電圧保持手段と、前記規定時間経過検知手段により測定される前記駆動時間が前記規定時間を経過したことの検知に応じて、前記過渡応答変換手段による監視電圧と前記劣化予兆検知閾電圧生成手段による前記劣化予兆検知閾電圧とに基づいて、前記監視電圧が前記劣化予兆検知閾電圧を超えて大きい場合に前記媒体流入規制手段の前記状態移行に異常予兆があると判定する劣化予兆判定手段とを更に含み、
前記規制異常報知制御手段が、前記劣化予兆判定手段による前記異常予兆の判定に応じて劣化予兆検出信号を更に生成して異常予兆の報知を制御し、
前記劣化予兆検知閾電圧が、前記規制変更手段の初期の正常な前記媒体流入規制手段の駆動において前記駆動時間が前記規定時間を経過した場合の監視電圧より大きいことを特徴としている。
上記の構成であれば、上記の手段7の場合と実質的に同一の効果を奏する。
手段16.
上記の手段4の遊技機において、
前記規制異常検知手段が、前記ソレノイドコイルに流れる前記電流の過渡応答を監視電圧の過渡応答に変換して前記監視電圧の過渡応答を監視する過渡応答変換手段と、前記過渡応答変換手段により監視される前記監視電圧のアナログ情報を前記監視電圧に対応するデジタル情報である監視電圧情報に変換する情報形式変換手段と、所定の劣化検知閾時間に対応する劣化検知閾時間情報を保持する劣化検知閾時間情報保持手段と、前記情報形式変換手段からの前記監視電圧の過渡応答において前記規制変更手段による前記ソレノイドコイルの駆動開始から一旦監視電圧が増加した後に監視電圧が減少して再度増加を開始するノード位置までの到達時間に対応するノード到達時間と前記劣化検知閾時間情報保持手段に保持された前記劣化検知閾時間情報とに基づいて、前記ノード到達時間が前記劣化検知閾時間を超えて大きい場合に前記媒体流入規制手段の前記状態移行が異常であると判定する劣化判定手段とを含み、
前記規制異常報知制御手段が、前記劣化判定手段による前記異常の判定に応じて劣化報知信号を生成して異常の報知を制御し、
前記劣化検知閾時間が、前記規制変更手段による初期の正常な前記媒体流入規制手段の駆動に対するノード到達時間より長い時間であることを特徴としている。
上記の構成であれば、予めソレノイドコイルの劣化時と正常時の電圧の過渡応答特性を調べておき、それらの中間にあたる時間を基準のノード到達時間として設定することによって、ノード到達時間の相違により劣化時と正常時とを識別することができる。詳細については後述するが、ソレノイドコイルによる磁性部の吸着速度が遅くなることによって、劣化時のノード到達時間は正常時よりも長くなる。また、単一のタイミングでの電圧の比較であれば、媒体流入規制手段に遊技球が挟まっている等によって半開状態からソレノイドコイルに電圧が印加された場合には、劣化時と類似する電圧の過渡応答特性を示すために、それらを識別することは困難であるが、ノード到達時間の相違によれば、劣化時と半開時とを識別することもできる。詳細については後述するが、半開時のノード到達時間は、劣化時のノード到達時間が正常時よりも長くなるのとは反対に、正常時よりも短くなるからである。これによって、半開時等のように異常を報知する必要がない場合に異常が報知されることを低減できる。
手段17.
上記の手段16の遊技機において、
前記規制異常検知手段が、前記劣化検知閾時間より短い所定の劣化予兆検知閾時間に対応する劣化予兆検知閾時間情報を保持する劣化予兆検知閾時間情報保持手段と、前記ノード到達時間と前記劣化予兆検知閾電圧情報保持手段に保持された前記劣化予兆検知閾時間情報とに基づいて、前記ノード到達時間が前記劣化予兆検知閾時間を超えて大きい場合に前記媒体流入規制手段の前記状態移行に異常予兆があると判定する劣化予兆判定手段とを含み、
前記規制異常報知制御手段が、前記劣化判定手段による前記異常予兆の判定に応じて劣化予兆報知信号を生成して異常予兆の報知を制御し、
前記劣化予兆検知閾時間が、前記規制変更手段による初期の正常な前記媒体流入規制手段の駆動に対する前記ノード到達時間より長い時間であることを特徴としている。
上記の構成であれば、上記の手段6及び手段15と同様の効果を奏する。
手段18.
上記の手段1〜17の遊技機において、
入賞装置(例えば、可変入賞装置32、始動入賞装置33)が設けられた遊技盤(例えば遊技盤30)と、前記遊技盤に遊技媒体を発射する媒体発射手段とを更に備え、
前記所定の領域が、入賞装置の内部領域であり、
前記媒体流入規制手段が、前記入賞装置の入口に配置され、前記媒体発射手段により射出される遊技媒体の前記入賞装置の内部領域への流入を規制することを特徴としている。
この構成であれば、遊技媒体の払い出しに関与する入賞装置への遊技媒体の流入の規制を制御するソレノイドの異常を検知できる。
手段19.
上記の手段1〜17の遊技機において、
単位遊技を行うために遊技媒体を賭ける操作に応じて賭け操作信号を生成する賭け操作手段と、遊技者が保持する遊技媒体を前記遊技機の外部において貯留する外部貯留手段とを更に備え、
前記媒体流入規制手段が、前記外部貯留手段から、遊技媒体を前記遊技機から排出する排出口に通じる媒体排出通路への流入を規制し、
前記規制制御手段が、前記賭け操作信号の受信の検知に応じて所定数の遊技媒体を投入することを特徴としている。
この構成であれば、遊技媒体の投入を制御するソレノイドの異常を検知できる。
手段20.
上記の手段1〜17の遊技機において、
図柄パターンを表示する図柄表示手段と、
前期図柄表示手段により表示される前記図柄パターンを変動させる図柄変動手段と、
前記遊技機の外部において前記遊技媒体を貯留する外部貯留手段と、
前記遊技機の内部において前記遊技媒体を貯留する内部貯留手段と、
前期規制変更制御手段を含み、前記図柄パターンが遊技媒体を獲得できる媒体獲得役に対応する図柄パターンを含むことの検知に応じて前記媒体獲得役に対応する獲得数の遊技媒体を払出する払出手段と、
前記遊技進行制御手段が抽選により当選役を決定する抽選手段とを含み、
前記媒体流入規制手段が、前記内部貯留手段から前記外部貯留手段に通じる前記媒体放出通路への流入を規制し、
前記規制変更制御手段が、前記図柄表示手段による前記媒体獲得役に対応する図柄パターンの表示に応じて、前記媒体獲得役に応じた個数の遊技媒体の前記媒体放出通路への流入を許可することを特徴としている。
この構成であれば、遊技媒体の払い出しを制御するソレノイドの異常を検知できる。
本発明に係る遊技機の最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。実施形態1では遊技機が弾球遊技機(以下、「パチンコ機」という)である場合について、実施形態2では遊技機が球式回胴遊技機である場合について説明する。なお、本発明はメダルを遊技媒体とする回胴式遊技機等の他の遊技機を対象とすることもできる。
(実施形態1)
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機の斜視図である。図1に示すように、パチンコ機10は、パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。
内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、図示しない樹脂ベースと、この樹脂ベースの後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が窓部101の後方に配置される後述する遊技盤30(図2参照)の方へ打ち込まれる。上記音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片待ち支持されている。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79(図4参照)が設けられている。
前面枠セット14には、更に、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光装置が設けられている。これら発光装置は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部120の共通化が図れる。
次に、遊技盤30の構成について説明する。図2は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、図2に示されたように、(1)アウト口36等の複数の貫通穴が形成された基板と、遊技領域を規制すると共に、遊技球発射装置から射出された遊技球を遊技領域内へ案内するレールユニット50と、(2)遊技領域内における遊技球の流下を規制する釘等の流下規制部材と、(3)遊技球の流下の方向及び速度に不規則な変化を与える風車等の流下状態変更部材と、(4)所定の貫通穴に対応させて基板の前面側に設けられた不変入賞装置31と、(5)不変入賞装置31に流入した遊技球の通過を検知する不変入賞装置用の通過検出装置SW1(図4参照)と、(6)所定の貫通穴に対応させて基板の前面側に設けられた可変入賞装置32と、(7)可変入賞装置32に流入した遊技球の通過を検知する可変入賞装置用の通過検出装置SW2(図4参照)と、(8)所定の貫通穴に対応させて基板の前面側に設けられた始動入賞装置33と、(9)始動入賞装置33に流入した遊技球の通過を検知する始動入賞装置用の通過検出装置SW3(図4参照)と、(10)基板の前面側に設けられた始動装置(スルーゲート)34と、(11)始動装置34に流入した遊技球の通過を検知する始動装置用の通過検出装置SW4(図4参照)と、(12)遊技板の裏面側に設けられ、不変入賞装置31、可変入賞装置32及びアウト口36に流入した遊技球の通過する排出通路を形成する裏面側通路形成部材(図示せず)と、(13)大当たり抽選の抽選結果を特別図柄で表示する特別図柄表示装置38と、当たり抽選の抽選結果を普通図柄で表示する普通図柄表示装置41と、(14)大当たり抽選の抽選結果を装飾図柄で表示する装飾図柄表示装置42と、(15)大当たり抽選の権利の保留回数を表示する特別図柄保留表示装置720と、(16)当たり抽選の権利の保留回数を表示する普通図柄保留表示装置721とを備えている。各種の入賞装置(不変入賞装置31、可変入賞装置32、始動入賞装置33)に流入した遊技球は、それらの入賞装置を介して排出通路に案内され、各種の入賞装置に流入しなかった遊技球は、アウト口36から球排出路に案内される。
レールユニット50は、内レール51と外レール52とを備えており、全体として概ね環状である。レールユニット50の環内の略円形状の区画領域が遊技領域である。レール51と外レール52とが所定間隔を隔てて内外二重に並行する部分(向かって左側の部分)が案内通路を形成している。遊技球発射装置から発射された遊技球は案内通路を通って、遊技領域に案内される。レールユニット50は、内レール51の先端部分(図2左上部)に設けられた戻り球防止部材53を更に備えており、戻り球防止部材53によって、案内通路から遊技領域の上部へと一旦案内された遊技球が案内通路内に再度戻ることが防止される。また、レールユニット50は、外レール52に沿った遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図2の右上部)に設けられた返し部材54を備えている。返し部材54によって、所定以上の勢いで発射されて返し部材54に到達した遊技球は遊技領域の中央側に跳ね返される。また、レールユニット50は、案内通路の入口に設けられた逆流防止弁57を備えている。逆流防止弁57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に突出し、遊技球発射装置から発射された遊技球は通過させるが、遊技領域まで至らず案内通路を逆流してくる遊技球は遊技球発射装置側へ通過させない。逆流してきた遊技球は逆流防止弁57に衝突すると略鉛直方向に流下し、上皿19又は下皿15に連通する図示しない返却通路に導かれる。
不変入賞装置31は、不変口の形成された入賞装置である。「不変口」とは、その大きさが一定である等によって遊技球の流入に規制変更がない入口である。したがって、不変入賞装置31への遊技球の流入の難易は変化しない。なお、以下において、不変入賞装置31の不変口を一般入賞口とも称す。不変入賞装置31に対応する通過検出装置SW1は、不変入賞装置31又は不変入賞装置31に対応する基板の貫通穴又は裏面側通路部材の裏面側通路の入口近傍に設けられている。不変入賞装置31に流入した遊技球は、通過検出装置SW1によってその通過が検出される。なお、通過検出装置SW1による遊技球の検出に応じて、不変入賞装置31に対応付けられた所定数の賞品球が上皿19又は下皿15へ払い出されることとなる。
可変入賞装置32は、可変口の形成された入賞装置である。「可変口」とは、その大きさが変化する等によって遊技球の流入規制を変更できる入口である。なお、以下において、可変入賞装置32の可変口を大入賞口とも称す。可変入賞装置は、具体的には、開閉自在なシャッタ(媒体流入規制手段の一種)62と、シャッタ62を駆動させる大入賞口ソレノイド(規制変更手段の一種)991(図4参照)と、大入賞口ソレノイド991で発生させた応力をシャッタ62に伝達する応力伝達機構とを備えている。シャッタ62は、大入賞口ソレノイド991の作動状態に応じて、大入賞口が形成されずに遊技球の流入が禁止されている流入禁止状態(第1流入規制状態の一種)と、大入賞口が形成されて遊技球の流入が許可されている流入許可状態(第2流入規制状態)とを選択的にとる。可変入賞装置32に対応する通過検出装置SW2は、可変入賞装置32又は可変入賞装置32に対応する基板の貫通穴若しくは裏面側通路部材の裏面側通路の入口近傍に設けられている。なお、通過検出装置SW1による遊技球の検出に応じて、可変入賞装置32に対応付けられた所定数の賞品球が上皿19又は下皿15へ払い出されることとなる。
ここで、本発明の特徴部分に関与する可変入賞装置32の動作について詳細に説明する。大入賞口ソレノイド992は、ソレノイドコイルと、ソレノイドコイルの内側に配置されたシリンダと、シリンダの内側で移動自在な軸部及び軸部の一端に設けられた強磁性体で構成された磁性部を含むプランジャと、ソレノイドコイルの一端と磁性部との間に配置された付勢部とを備えている。ソレノイドコイルに電流が流された場合には、ソレノイドコイルによる磁気的な作用によってプランジャの磁性部が磁化して、付勢部による付勢力に抗してソレノイドコイルに引き付けられる。一方、ソレノイドコイルへの電流が遮断された場合には、プランジャの磁性部が消磁されて、付勢部による付勢力に屈してソレノイドコイルから引き離される。シャッタ62は、プランジャの磁性部がソレノイドコイルから引き離されている場合には、応力伝達機構を介して流入禁止状態をとり、一方、プランジャの磁性部がソレノイドコイルから引き付けられている場合には、応力伝達機構を介して流入許可状態をとる。なお、プランジャとシャッタ62とは機構的に連結されており、シャッタ62が強制的な外力に流入禁止状態から流入許可状態に変更された場合には、プランジャの磁性部もその外力によりソレノイドコイル側に移動する。
可変入賞装置32は、特別遊技状態の際に、シャッタ62の流入禁止状態と流入許可状態とを交互に所定回数だけ繰り返す。より詳しくは、特別図柄表示装置38が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が所定の図柄の組み合せとなった場合)に移行する特別遊技状態において、シャッタ62の流入禁止状態から流入許可状態への状態移行から所定時間(例えば30秒)の経過又は大入賞口への所定個数(例えば10個)の入賞による流入許可状態から流入禁止状態への状態移行までを1ラウンドとして、可変入賞装置32のシャッタ62が所定のラウンド数(例えば15回)だけ開閉する。
始動入賞装置33は、不変口の形成された始動入賞部33aと、可変口の形成された始動入賞部33bとを備えた入賞装置である。なお、始動入賞装置33における不変口及び可変口をそれぞれ上始動入賞口及び下始動入賞口とも称す。始動入賞装置33は、具体的には、開閉自在な一対の羽根(媒体流入規制手段の一種)60と、一対の羽根60を駆動させる始動口ソレノイド(規制変更手段の一種)992(図4参照)と、始動口ソレノイド992で発生させた応力を一対の羽根60に伝達する応力伝達機構とを備えている。一対の羽根60は、始動口ソレノイド992の作動状態に応じて、遊技球の流入が許可されている第1の流入許可状態と(第1流入規制状態の一種)と、遊技球の流入が許可されており、第1の流入許可状態より可変口が大きい第2の流入許可状態(第2流入規制状態)とを選択的にとる。始動入賞装置33に対応する通過検出装置SW3は、始動入賞装置33又は始動入賞装置33に対応する基板の貫通穴若しくは裏面側通路部材の裏面側通路の入口近傍に設けられている。通過検出装置SW3による遊技球の検出の際に、特別図柄表示装置38による特別図柄の変動を行わせる権利(大当たり抽選の権利)の保留回数が最大保留回数に到達していない場合には、その権利が1回だけ増加する。なお、通過検出装置SW3による遊技球の検出に応じて、始動入賞装置33に対応付けられた所定数の賞品球が上皿19又は下皿15へ払い出されることとなる。
ここで、本発明の特徴部分に関与する始動入賞装置33の動作について詳細に説明する。始動口ソレノイド992の構成は、上述の大入賞口ソレノイド991の構成と実質的に同一の構成である。始動口ソレノイド992において、ソレノイドコイルに電流が流された場合には、付勢部による付勢力に抗してプランジャの磁性部がソレノイドコイルに引き付けられ、ソレノイドコイルへの電流が遮断された場合には、付勢部による付勢力に屈してプランジャの磁性部がソレノイドコイルから引き離される。一対の羽根60は、プランジャの磁性部がソレノイドコイルから引き離されている場合には、応力伝達機構を介して第1の流入許可状態をとり、一方、プランジャの磁性部がソレノイドコイルから引き付けられている場合には、応力伝達機構を介して第2の流入許可状態をとる。なお、始動口ソレノイドのプランジャと一対の羽根60とは機構的に連結されており、一対の羽根60が強制的な外力によって第1の流入許可状態から第2の流入許可状態に変更された場合には、その外力に応じてプランジャの磁性部もソレノイドコイル側に移動する。
始動装置34は、不変口の形成された装置である。なお、始動装置34の不変口を普通図柄始動口とも称する。始動装置34に流入した遊技球は、上記の各種の入賞装置とは異なり、始動装置34から遊技盤30の前面側に流出する。始動装置34に対応する通過検出装置SW4は、始動装置34に設けられている。通過検出装置SW4による遊技球の検出の際に、普通図柄表示装置38による特別図柄の変動を行わせる権利(大当たり抽選の権利)の保留回数が最大保留回数に到達していない場合には、その権利が1回だけ増加する。なお、通過検出装置SW4による遊技球の検出に応じては賞品球が払い出されない。
特別図柄表示装置38は、始動入賞装置33への入賞を契機として識別情報としての特別図柄を変動表示し、装飾図柄表示装置42は特別図柄の変動表示に対応させて装飾図柄を変動表示し、普通図柄表示装置41は始動装置34への流入を契機として普通図柄を変動表示する。特別図柄表示装置38は2色のLED38a,38bで構成されており、後述する主制御基板261(図4参照)により表示内容が制御される。各LED38a,38bでは、例えば赤色と緑色との可変表示がなされる。遊技球の始動入賞装置33への流入に伴う大当たり抽選の権利の保留回数は最大4回まで保留され、その保留回数は特別図柄保留表示装置720の4つの保留ランプ720aにて点灯表示される。なお、特別図柄保留表示装置720を設けずに、保留回数を装飾図柄表示装置42の一部で表示させる構成であってもよい。
装飾図柄表示装置42は、液晶表示装置等の画像形成装置によって構成されており、表示制御装置45(図4参照)により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。
普通図柄表示装置41は、普通図柄用のランプ41a,41bを備えている。本形態では、普通図柄用のランプ41aは、例えば、装飾図柄表示装置42の表示両面の上方に設けられ、その外観形状は「○」形状となっている。一方、普通図柄用のランプ41bは、ランプ41aの右上側に隣接して設けられ、その外観形状は「×」形状となっている。普通図柄表示装置41は、遊技球が始動装置34を通過する毎に例えばランプ41a、41bによる表示図柄(普通図柄)が変動する。具体的には、ランプ41a,41bが交互に点滅する。ランプ41aで点灯した状態で停止した場合には、始動入賞装置33の可変入賞部33bが所定時間だけ第2の流入規制状態となる。遊技球の始動装置34への流入に伴う当たり抽選の権利の保留回数は最大4回まで保留され、その保留回数は普通図柄保留表示装置721の4つの保留ランプ721aにて点灯表示される。なお、普通図柄保留表示装置721を設けずに、保留回数を装飾図柄表示装置42の一部で表示させる構成であってもよい。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図3はパチンコ機10の背面図である。先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、更に、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板261(図4参照)を含む主制御装置、電源監視基板540(図4参照)を含む電源監視装置、及びサブ制御基板262(図4参照)を含むサブ制御装置を一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板311(図4参照)を含む払出制御装置、発射制御基板312(図4参照)を含む発射制御装置及び電源基板313(図4参照)を含む電源装置を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット」201と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット」202と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット」203と称する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、また、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これによって、各ユニット201〜203やその他部材が前後に重ねて配置されても、隠れた部分の部材等を容易に確認することができる。
第1制御基板ユニット201は、遊技の進行を統括する主制御基板261及び電源の監視を司る電源監視基板540と、主制御基板261からの指示に従い装飾図柄表示装置42の表示制御と音声ランプ制御とを司るサブ制御基板262とを含んでいる。主制御基板261と電源監視基板540とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されている。この基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースとボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックス263が封印される。なお、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理によって、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそれを早期にかつ容易に発見できる。
第2制御基板ユニット202は、払出制御基板311、発射制御基板312、電源基板313及び図示しないカードユニット接続基板を含んでいる。払出制御基板311は、賞品球の払出しや貸出球の貸出しを行う払出モータ358a(図4参照)の駆動制御を行う。発射制御基板312は、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて図示しない発射ソレノイドの駆動制御を行う。電源基板313は、各種制御装置等で必要とされる所定の電圧で電力を供給する。また、カードユニット接続基板は、貸球操作部120(図1参照)及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板311に出力する。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
払出制御基板311は、透明樹脂材料等からなる払出制御基板ケース280内に収納されており、電源基板313は、透明樹脂材料等よりなる電源基板ケース281内に収納されている。また、カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース314内に収納され、発射制御基板312は透明樹脂材料等よりなる図示しない発射制御基板ケース内に収納されている。特に、払出制御基板311は、主制御基板261と同様に、封印された基板ボックス262に収容されている。
払出制御基板311は、状態復帰スイッチ321と電気的に接続されており、例えば、払出モータ358aの球詰まり等の払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータをゆっくりと正回転させて、球詰まりを解消(正常状態への復帰)させる。
裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。
保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御基板262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断することによって、その内部の表示制御装置45等を露出させることができる。
ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク(内部貯留手段の一種の一部)355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール(内部貯留手段の一種の一部)356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール(内部貯留手段の一種の一部)357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて上皿19に供給される。なお、タンクレール356と、タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じたとして、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりを解消できるようになっている。
払出機構部352には、払出制御基板262から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部から供給される外部電力の取り込み又は遮断を切換えるための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して所定の電力(例えば交流24V)が供給され、電源スイッチ382aの切換操作により電源基板313への電力の供給をオン状態又はオフ状態できる。
内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388から遊技ホール内に設置された管理コンピュータヘ出力される。また、内枠開検出スイッチ388の左方には、前面枠開検出スイッチ389が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチ389から管理コンピュータヘ出力される。
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源基板313、電源監視基盤540、主制御基板261、サブ制御基板262、払出制御基板311、表示制御基板45等を備えている。以下に、これらの制御基板を個別に説明する。
主制御基板261の構成について説明する。主制御基板261には、演算装置である1チップマイクロコンピュータとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503とを含む。また、主制御基板262には、割込み回路(図示せず)、タイマ回路(図示せず)、入出力ポート505、データ送受信回路(図示せず)、大入賞口ソレノイド駆動回路900、大入賞口異常検知回路910、始動口ソレノイド駆動回路920、始動口異常検知回路930等の各種回路が内蔵されている。なお、大入賞口作動異常検出回路及び始動入賞口作動異常検出回路については本発明の特徴部分であるために下述の特徴部分の説明において別途に詳細に説明する。
RAM503は、パチンコ機10の内部への電力供給が停止された後においても電源装置313からバックアップ電圧の電力が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、その際に各種のデータ等を一時的に記憶するためのバックアップ領域が備えられている。なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電による外部電力の供給停止や電源スイッチ基板382(図4参照)における電源スイッチ384aのオフ状態等による主電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としての後述するNMI割込処理が即座に実行される。
主制御基板261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視基板540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御基板311、発射制御基板312、サブ制御基板262、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、特別図柄保留表示装置720、普通図柄保留表示装置721、大入賞口ソレノイド991、始動口ソレノイド992、各種の通過検出装置SW1〜SW4等が接続されている。
払出制御基板311は、払出モータ358aにより賞球の払出制御や貸し球の貸出し制御を行う。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。払出制御基板311のRAM513は、主制御基板261のRAM503と同様に、電源遮断時においてもデータを保持できる構成となっており、各種のデータ等を一時的に記憶するためのバックアップ領域を含む。主制御基板261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、電源遮断時に電源監視基板540の停電監視回路542から停電信号SG1が出力され、その停電信号SG1がMPU511に入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。なお、停電監視回路542からの停電信号SG1は、電源基板313を介して伝達される。
払出制御基板311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御基板261、払出モータ358a等が接続されている。
発射制御基板312は、発射ソレノイド(図示せず)による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件を満たす場合に駆動が許可される。具体的には、カードユニットと払出制御基板とが接続状態であることを示す接続信号が払出制御基板311から出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号の受信により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチ(図示せず)が操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御基板261に出力する。発射許可信号を受信した主制御基板261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御基板312に出力する。これにより発射制御基板312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
サブ制御基板262は、主制御基板261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ710等の鳴動制御及び演出用ランプ711の点灯(点滅)制御、並びに、主制御基板261からのコマンドに基づいて表示制御基板45へのコマンドを編集して表示制御基板45に送信する機能を果たすものである。サブ制御基板262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42において変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御基板261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、表示制御基板45に送信されようになっている。
表示制御基板45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御する。表示制御基板45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
MPU521は、サブ制御基板262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を、入力ポート527を介して受信すると共に、受信コマンドの内容を解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶しており、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担う。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくこともできる。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることもできる。
電源基板313は、パチンコ機10の各部に電力を所定の電圧で供給するための電源部541を備えている。電源基板313の電源部541は、電力供給経路を通じて、主制御基板261や払出制御基板311等に対して各々に必要な動作電圧で電力を供給する。その概要としては、電源部541は、電源スイッチ基板を介して外部より供給される交流24ボルトの電力を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための24ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などの所望の電圧に変換し、電源監視基板540、サブ制御基板262、払出制御基板311、表示制御基板45等に対して24ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧で電力を供給する。なお、主制御基板261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(24ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧)の電力が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御基板261を介して動作電圧(24ボルトの電圧及び5ボルトの電圧)の電力が供給される。
停電監視基板540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ回路543と、リセット信号を出力するリセット回路544とを備えている。停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御基板261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御基板261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御基板261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御基板261及び払出制御基板311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御基板261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。主制御基板261及び払出制御基板311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップエリアに保持されたデータをクリアする。リセット回路544は、主制御基板261、払出制御基板311、サブ制御基板262、及び表示制御基板45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御基板261に対しては直接与えられるが、払出制御基板311、サブ制御基板262及び表示制御基板45に対しては、電源基板313を介して与えられる。
ここで、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄表示装置38で表示される特別図柄と、装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(又はほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
先ず、特別図柄表示装置38の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、特別図柄表示ランプ38a,38bの色変化(赤色・緑色の変化)や点滅等の点灯パターンの変化により表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の第1の始動口33への入賞に基づいて開始され、一定時間後に特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に、特別図柄が揃っている場合、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが同一色の点灯状態となっているときは大当たりとなり、変動表示の停止時に特別図柄が揃っていなければ、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが異色の点灯状態となっているときは、ハズレとなり、第1の始動口33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。遊技球が第1の始動口33に入賞した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が特別図柄保留表示装置720の保留ランプ720aにて点灯表示されるようになっている。なお、本形態では、変動表示の停止時において、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色の点灯状態であれば、特定図柄(確率変動図柄)とみなされ、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色の点灯状態であれば、非特定図柄(非確率変動図柄)とみなされる。
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、図8に示すように、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列が表示される。これら装飾図柄列は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これらの主図柄及び副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に任意の2つの主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。第1の入賞口33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した場合の変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直方向又は斜め方向の一直線上に同一の主図柄が有効ラインに沿って3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの図柄パターンが示される。一方、大当たり抽選に外れた場合の変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直方向及び斜め方向のいずれの一直線上にも同一の主図柄が有効ラインに沿って3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者にハズレの図柄パターンが示される。
次いで、普通図柄表示装置41の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、普通図柄表示ランプ41a(外観が○形状)と、普通図柄表示ランプ41b(外観が×形状)とが交互に点灯することにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が第2の始動口34に流入することを条件として開始され、一定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、表示ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置721の保留ランプ721aにて点灯表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御基板261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置38の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置38の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置38が外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタである。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、第1の始動口33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタ(値=0〜738)であり、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第1の始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されている。高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せ(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で点灯する場合)によって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で点灯する場合)をいう。
大当たり図柄カウンタC2は、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る。大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置38における特別図柄の変動停止時の図柄を決定する。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で停止し、この停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味。一方、大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第1の始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る。停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第1の始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。本形態では、特別図柄の変動表示は、2つの表示ランプ38a,38bで表現するので、特別図柄の場合にはリーチという概念はないが、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するのでリーチという概念が存在する。停止パターン選択カウンタC3は、装飾図柄の変動表示におけるリーチに相当する停止パターンを決定している。具体的には、リーチが発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とに振り分けられる。ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって変動表示が続いている残りの図柄の表示結果の如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して、大当たりの図柄の組み合せとなることを遊技者に期待させる表示による興趣演出の1種である。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS3によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置38による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタ値は短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、第2の始動口34への遊技球の流入に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタである。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタ(値=0〜250)であり、その値はタイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第2の始動口34に流入したタイミングでRAM503の保留球格納エリアに格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、乱数としての不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
主制御基板261内のMPU501により実行される各制御処理について説明する。MPU501の処理としては、大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に起動されるタイマ割込処理(内部割込み処理)と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理(外部割込み処理)とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図5はタイマ割込処理を示したフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御基板261のMPU501により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチ等の読み込み処理を実行する(「スイッチ読み込み処理」S501)。具体的には、主制御基板261に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチを除く)の状態を読み込むと共に、各種スイッチの状態を判定して各種の検出情報(入賞検知情報等)を保存する。
スイッチ読み込み処理S501の後に、大入賞口ソレノイド991及び始動口ソレノイド992の作動状況が確認される(「ソレノイド作動確認処理」S502)。ここで、ソレノイド作動確認処理S502について詳細に説明する。図10は、ソレノイド作動確認処理の一例を表すフローチャートである。大入賞口ソレノイド991に対する大入賞口異常検知回路910から大入賞口異常信号が受信されているか否かが判定される(S601)。大入賞口異常信号が受信されている場合には、大入賞口異常フラグが設定され(「大入賞口異常フラグ設定処理」S602)、大入賞口エラーコマンドが設定される(S603)。一方、大入賞口異常信号が受信されていない場合には、始動口異常検知回路930から始動口異常信号が受信されているか否かが判定される(S604)。始動口異常信号が受信されている場合には、始動口異常フラグが設定され(「始動口異常フラグ設定処理」S605)、始動口エラーコマンドが設定される(S606)。
ソレノイド異常検知処理S502の後に、図9に示されたように、乱数初期値カウンタCINI1及び当たり初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S503)。具体的には、初期値乱数カウンタCINI1及び当たり初期値乱数カウンタCINI2をそれぞれ1加算する。なお、それらのカウンタ値が所定の最大値に達している場合には「0」にクリアする。そして、各カウンタCINI1,CINI2の更新値を、RAM503の所定のバッファ領域に格納する。
次に、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2,停止パターン選択カウンタC3及び当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S504)。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2,停止パターン選択カウンタC3及び当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が所定の最大値に達している場合には「0」にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM503の所定のバッファ領域に格納する。
次いで、始動入賞装置33への入賞に伴う始動入賞処理を実行する(S505)。具体的には、始動入賞処理S505は、まず、遊技球が始動入賞装置33に入賞(始動入賞)したか否かを通過検出装置SW2の検出情報により判定する。遊技球が始動入賞装置33に入賞したと判定されると、特別図柄表示装置42の作動保留球数Nが上限値(本形態では4)未満であるか否かを判定する。始動入賞装置33への入賞があり、且つ作動保留球数N<4であれば、作動保留球数Nを1加算し、更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値を、RAM503の保留球格納エリア700の空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する。一方、始動入賞装置33への入賞がないか、或いは、始動入賞装置33への入賞があっても作動保留球数N<4でなければ、始動入賞処理S505を終了する。
始動入賞処理S505の後に、発射制御基板312に、発射ソレノイド制御信号や球送りソレノイド制御信号等を出力して発射制御処理を実行する(S506)。
NMI割込処理(図示せず)は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御基板261のMPU501により実行される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電監視装置540内の停電監視回路542から停電信号SG1が主制御基板261内のMPU501のNMI端子に出力され、MPU501は実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始する。NMI割込処理では、MPU501は電源遮断の発生情報を設定、具体的には停電フラグを論理「1」に設定する。この停電フラグが論理「1」であるとき(停電フラグが設定されているとき)は電源遮断(停電)状態であることを示し、停電フラグが論理「0」であるとき(停電フラグが解除されているとき)は通常状態であることを示す。NMI割込処理のプログラムは、主制御基板261のROM502に記憶されている。停電信号SG1が出力された後の所定時間は、主制御基板261の処理が実行可能となるように電源基板313から停電監視基盤540を介してバックアップ電圧の電力の供給がなされており、この所定時間内に、NMI割込処理及びNMI割込処理後の通常処理における停電処理が実行される。このようにして、停電時にはNMI割込処理を停電フラグの設定のみとし、通常処理をその最終処理プログラムまで実行した後に電源断の発生情報の設定を確認して停電処理に移行することにより、処理の圧縮、制御の簡略化を実現できる。なお、上記と同様のNMI割込処理は、払出制御装置311でも同様に実行され、また、停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源基板313からバックアップ電圧の電力の供給がなされるのも同様である。
図5は主制御基板261内のMPU501により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。メイン処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。次いで、払出制御装置311及びサブ制御装置262が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(例えば1秒程度)を実行する(S102)。そして、ウェイト後は、RAM503のアクセスを許可する(S103)。
その後は、RAM消去スイッチ(図示せず)がオンされているか否かを判別(具体的には電源監視装置からのRAM消去信号を入力したか否かで判別)し(S104)、オンされていれば、処理をS113へ移行する。一方、RAM消去スイッチがオンされていなければ、更にRAM503に電源断の発生情報の設定がなされているか否かを判別し(S105)、設定されていなければ処理をS113へ移行する。電源断の発生情報が設定されている場合は、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ、即ち、算出したRAM判定値が電源断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、RAMに格納されているデータ(RAMにデータと称する)は破壊されているので、かかる場合にも処理をS113へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりRAMデータの有効性を判断するようにしても良い。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばパチンコ機10の設置ホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチを押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチが押されていれば、RAMの初期化処理(S113)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりRAMデータの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理等(S113〜S117)に移行する。即ち、S113からのRAMの初期化処理等では、RAM503の使用領域を0にクリアし,RAM503の初期値を設定する(S113)。次いで、払出制御装置311に対して払出初期化コマンドを送信し(S114)、次いで、電源投入時のコマンドを送信し(S115)、次いで、カウンタ及びタイマの初期設定を行う(S116)。その後、割込みを許可して(S117)、後述する通常処理に移行する。RAM消去スイッチがオンされておらず、電源断の発生情報が設定されており、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば、処理をS108へ移行して、電源断の発生情報をクリア(停電フラグを「0」に設定)する。次に、払出制御装置311に対して払出復帰コマンドを送信し(S109)、次いで、サブ制御基板側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復帰時のコマンドを送信し(S110)、次いで、カウンタ及びタイマの初期設定を行う(S111)。その後、割込みを許可して(S112)、後述する通常処理に移行する。
次に、図6を参照して通常処理について説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S213の各処理が実行され、その残余時間処理内で各種のカウンタの値を更新する処理(S215及びS216)を実行する構成となっている。
通常処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御基板等に送信する(S201)。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。また、装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動表示に際して、変動パターンコマンド、装飾図柄の停止図柄コード情報指定コマンド(特定当たり指定、非特定当たり指定、外れ指定の何れかを内容とするコマンドであり、以下、「装飾停止図柄コード情報指定コマンド」と略称する)、演出コマンド(演出時間加算指定コマンド等が含まれる)演出停止コマンド(確定コマンドとも称する)等をサブ制御装置262に送信する。
次に、変動種別カウンタCS1〜CS3の各値を更新する(S202)。次いで、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号や下皿満タン信号を読み込み(S203)、特別図柄表示装置38による特別図柄の変動表示を行うための特別図柄変動処理を実行する(S204)。この特別図柄変動処理により、大当たり判定や特別図柄の変動パターンの設定に加えて、装飾図柄の表示演出のための変動パターンコマンド、装飾停止図柄コード情報指定コマンド、及び演出時間加算指定コマンドの決定なども行われる。なお、特別図柄変動処理の詳細は後述する。
特別図柄変動処理S204の終了後は、大当たり状態である場合においては、可変入賞装置32の大入賞口61を開放又は閉鎖するための大入賞口開閉処理を実行する(S205)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口61を開放し、大入賞口61の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口61に遊技球が規定個数(例えば10球)入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口61を閉鎖する。これを所定ラウンド数繰り返し実行する。なお、大当たり処理の詳細は後述する。
次いで、普通図柄表示装置41による普通図柄の表示制御を実行する(S206)。遊技球が始動装置34に流入したことを条件に、その都度、当たり乱数カウンタC4の値が取得され、当たり乱数カウンタC4の値により普通図柄の当否抽選が実施される。そして、抽選結果に応じて普通図柄表示装置41の表示ランプ41a,41bにて普通図柄の変動表示が実施される。普通図柄の抽選に当選し、普通図柄の当たり状態(「○」表示された状態)になると、始動装置33の羽根60が所定時間開放される(「当たり処理」S207)。なお、当たり処理S207の詳細は後述する。
次いで、大入賞口ソレノイド991の作動に異常があるか否かが判定される(S208)。具体的には、大入賞口ソレノイド991の作動に異常があるか否かを識別する大入賞口異常フラグが設定されているか否かが判定される。大入賞口ソレノイド991の作動に異常がある場合には、大入賞口エラー処理S209が実行される。なお、このエラー処理は遊技機10がリセットされるまで継続する。一方、大入賞口ソレノイド991の作動に異常がない場合には、始動口ソレノイド992の作動に異常があるか否かが判定される(S210)。具体的には、始動口ソレノイド992の作動に異常があるか否かを識別する大入賞口異常フラグが設定されているか否かが判定される。始動口ソレノイド992の作動に異常がある場合には、始動口エラー処理S211が実行される。なお、このエラー処理は遊技機10がリセットされるまで継続する。
次いで、電源断の発生情報の設定がなされているか否かを判定し(S212)、設定されていれば(S212:Y)、停電エラー処理S213へ移行する。停電エラー処理S213では、割込み禁止を設定し、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信した後に全ての制御信号の出力を停止し、RAM判定値を算出して保存し、RAM503のアクセスを禁止して、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。一方、電源断の発生情報が設定されていないと判定された場合は、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回の通常処理の開始から所定時間(本形態では4ms)が経過したか否かを判定し(S214)、既に所定時間が経過していれば、外部出力処理S201に戻る。
一方、前回の通常処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ、所定時間に至るまでの、即ち次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、初期値乱数カウンタCINI1、及び当たり初期値乱数カウンタCINI2並びに、変動種別カウンタCS1〜CS3の更新を繰り返し実行する(S211,S212)。まず、初期値乱数カウンタCINI1及び当たり初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S215)。次に、カウンタ変動種別カウンタCS1〜CS3の更新を実行する(S216)。なお、S201〜S212の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して初期値乱数カウンタCINI1及び当たり初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、初期値乱数カウンタCINI1(即ち、大当たり乱数カウンタC1の初期値)及び当たり初期値乱数カウンタCINI2(即ち、当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1〜CS3についてもランダムに更新することができる。
ここで、特別図柄変動処理S204を説明する。特別図柄変動処理S204では、まず、大当たり中(特別遊技状態)であるか否かを判定する。判定の結果、大当たり中であればそのまま本処理を終了する。大当たり中でなければ、特別図柄表示装置38による特別図柄の変動表示中であるか否かを判定する。特別図柄の変動表示中でなければ、特別図柄表示装置38の作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判定して、作動保留球数Nが0であればそのまま本処理を終了し、一方、作動保留球数N>0であれば、作動保留球数Nを1減算して、保留球格納エリアに格納されたデータをシフトさせる。このデータのシフトによって、保留球格納エリアの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具体に各エリア内のデータが移動する。データシフト処理S405の後に、特別図柄の変動開始処理を実行する。この変動開始処理では、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判定する。大当たりか否かは大当たり乱数カウンタ値とその時々のモードとの関係に基づいて判定される。大当たりである場合には保留球格納エリアの実行エリアに格納されている大当たり図柄カウンタC2の値に基づいて停止図柄(特定図柄、又は非特定図柄の何れか)を決定し、変動種別カウンタCS1,CS2のカウント値に基づいて大当たり演出パターンを決定する。一方、大当たりでない場合には、ハズレ図柄を停止図柄に決定し、変動種別カウンタCS1,CS2のカウント値に基づいてハズレ演出パターンを決定する。その後、大当たりか否かに関わらず、変動種別カウンタCS3の値に応じて演出時間の加算時間を決定する。演出時間の加算時間を決定した後に、決定された大当たり演出パターン及びハズレ演出パターンに応じた演出パターン指定コマンド(変動パターン指定コマンドとも称する)、大当たり図柄カウンタC2の値に応じた装飾停止図柄コード情報コマンド、演出時間の加算時間に応じた演出時間加算指定コマンドを設定する。
特別図柄の変動表示中である場合には、変動時間が経過したか否かを判定する。なお、特別図柄の変動時間はその特別図柄の演出パターン及び演出加算時間に応じて決められている。変動時間が経過していない場合は、特別図柄の表示図柄を更新し、一方、変動時間が経過している場合は、特別図柄の停止図柄を表示図柄に決定し、装飾図柄の変動表示を停止させるための演出パターン停止コマンドを設定する。なお、「特別図柄の表示図柄を更新」とは、特別図柄表示ランプ38a,38bを現在の点灯状態と異なる点灯状態に変化させることを意味し、例えば、特別図柄表示ランプ38a,38bの点灯色を変化させる。また、「特別図柄の停止図柄を表示図柄に設定」とは、特別図柄表示ランプ38a,38bを停止図柄(特定図柄、非特定図柄、外れ図柄にそれぞれ対応するランプの点灯色)で点灯状態とすることを意味する。
ここで、大当たり処理S205について詳細に説明する。図7は、大当たり処理の一例を表すフローチャートである。大当たり処理では、まず、大当たり中であるか否かが判定される(S301)。具体的には、大当たり中であるか否かを識別する大当たり中フラグが設定されているか否かによって判定される。大当たり中でなければ、大当たりの開始であるか否かが判定される(S302)。具体的には、大当たり移行フラグが設定されているか否かが判定される。ここで、大当たり移行フラグは、大当たりの遊技状態(特別遊技状態)に移行させるか否かを識別するフラグであり、上記の特別図柄変動処理S204において、大当たりに当選し、かつ、特別図柄の変動が完全に停止した場合に設定される。大当たりの開始でない場合には、大当たり処理S205が終了し、一方、大当たりの開始である場合には、大当たり開始処理S303が実行される(大当たり開始処理)。具体的には、オープニングコマンドが設定され、大当たり移行フラグが解除され、大当たり中フラグが設定され、ラウンド数が「0」に初期化され、大入賞口ソレノイド制御タイマに規定オープニング期間に対応する値が設定される。規定オープニング期間とは、大当たり遊技状態の開始から第1回のラウンドにおける大入賞口の開放が開始されるまでの一定期間である。
判定処理S301において大当たり中と判定された場合には、大入賞口ソレノイド制御タイマの値が更新される(「大入賞口ソレノイド制御タイマ更新処理」S304)。具体的には、大入賞口ソレノイド制御タイマの値が「0」を超えて大きい場合には「1」だけ減算され、大入賞口ソレノイド制御タイマの値が「0」であれば「0」に維持される。なお、大入賞口ソレノイド制御タイマは、通常処理の実質的な繰り返し周期である4msごとに更新されるソフトウェアタイマである。大入賞口ソレノイド制御タイマ更新処理S304の後に、大入賞口ソレノイド991が駆動中であるか否かが判定される(S305)。具体的には、大入賞口ソレノイド991が駆動中(電圧印加中)であるか否かを識別する大入賞口ソレノイド駆動フラグが設定されているか否かによって判定される。大入賞口ソレノイド駆動フラグが設定されていない場合、つまり、オープニング期間、ラウンド間において大入賞口を閉塞させている規定ラウンド間期間又は最終回のラウンドにおける大入賞口の開放終了から大当たり状態の終了までの規定エンディング期間である場合には、大入賞口ソレノイド制御タイマが「0」であるか否かが判定される(S306)。判定処理S306において大入賞口ソレノイド制御タイマが「0」である場合は、所定のオープニング期間、所定のラウンド間期間又は所定のエンディング期間が経過したことを意味する。大入賞口ソレノイド制御タイマが「0」でない場合には大当たり処理S205が終了し、一方、大入賞口ソレノイド制御タイマが「0」である場合にはラウンド数が規定最大ラウンド数であるか否かが判定される(S307)。ラウンド数が規定最大ラウンド数でない場合には、規定オープニング期間又は規定ラウンド間期間の終了であるので、ラウンド開始処理S308が実行される。具体的には、ラウンド開始処理では、ラウンド数が「1」だけ大きい値に更新され、入賞球数が初期化され、大入賞口ソレノイド制御タイマに大入賞口ソレノイド991を駆動する所定の最大開放期間に対応する値が設定され、各ラウンドの開始を表すラウンドコマンドが設定される。ラウンド開始処理S308の後に、大入賞口ソレノイド駆動フラグが設定される(「大入賞口ソレノイド開放フラグが設定される」S309)。これによって、実質的に大入賞口の開放が開始される。一方、ラウンド数が規定最大ラウンド数であれば、エンディング期間の終了であるので、大当たり終了処理S310が実行される。具体的には、大当たり終了処理では、大当たり中フラグが解除され、大当たりが特定大当たり及び通常大当たりの場合にはそれぞれ特別図柄の大当たり確率が高くかつ普通図柄の当たり確率が高い確率変動遊技状態に移行させるための確率変動遊技状態フラグ及び普通図柄の当たり確率が高い時間短縮遊技状態に移行させるための時間短縮遊技状態フラグが設定される。
判定処理S305において大入賞口ソレノイド駆動フラグが設定されている場合には、入賞球数が規定最大数以上であるか否かが判定され(S311)、入賞球数が規定最大入賞球数未満である場合には、更に、大入賞口ソレノイド制御タイマが「0」であるか否かが判定される(S312)。判定処理S316において大入賞口ソレノイド制御タイマが「0」である場合は、最大開放時間が経過したことを意味する。入賞球数が規定最大数以上でなくかつ大入賞口ソレノイド制御タイマが「0」でない場合には、大当たり処理S205が終了して大入賞口の開放状態が維持される。一方、入賞球数が規定最大数以上である場合又は大入賞口ソレノイド制御タイマが「0」である場合には大入賞口ソレノイド駆動フラグを解除する(「大入賞口ソレノイド駆動フラグ解除処理」S313)。これによって、大入賞口が実質的に閉塞される。大入賞口ソレノイド駆動フラグ解除処理S313の後に、ラウンド数が規定最大ラウンド数であるか否かが判定される(S314)。ラウンド数が規定最大ラウンド数でない場合には、次のラウンドに移行するためのラウンド継続処理S315が実行される。ラウンド継続処理S315の後に大当たり処理S205が終了する。ラウンド継続処理S315では、大入賞口ソレノイド制御タイマに規定ラウンド間期間に対応する値が設定される。一方、ラウンド数が規定最大ラウンド数である場合には、全ラウンドが終了したこととなるのでエンディング期間に移行させるための全ラウンド完了処理S316が実行される。全ラウンド完了処理S316では、大入賞口ソレノイド制御タイマに規定エンディング期間に対応する値が設定され、エンディングコマンドが設定される。全ラウンド完了処理S316の後に大当たり処理S205が終了する。
ここで、当たり処理S206について詳細に説明する。図8は、当たり処理の一例を表すフローチャートである。当たり処理では、まず、当たり中であるか否かが判定される。具体的には、当たり中であるか否かを識別する当たり中フラグが設定されているか否かが判定される(S401)。当たり中でない場合には、当たりの開始か否かが判定される(S402)。具体的には、普通図柄変動処理S206において普通図柄の抽選に当選しておりかつ普通図柄変動処理S206による普通図柄の変動が完全に停止しているか否かを確認して、普通図柄の抽選に当選しかつ図柄の変動が完全に停止している場合に当たりの開始と判定する。当たりの開始でないと判定された場合には当たり処理S206が終了する。一方、当たりの開始であると判定された場合には遊技状態が確率変動遊技状態であるか否かが判定され(S403)、確率変動遊技状態でないと判定された場合には、更に、遊技状態が時間短縮遊技状態であるか否かが判定される(S404)。具体的には、判定処理S403においては確率変動遊技状態フラグが設定されているか否かが判定され、判定処理S404においては時間短縮遊技状態フラグが設定されているか否かが判定される。遊技状態が確率変動遊技状態でも時間短縮遊技状態でもなく通常遊技状態である場合には、通常時当たり開始処理S405が実行される。通常時当たり開始処理S405では、当たり中フラグが設定され、始動口ソレノイド制御タイマに通常遊技状態における最大開放時間に対応する値が設定される。なお、始動口ソレノイド制御タイマは、通常処理の実質的な繰り返し周期である4msごとに更新されるソフトウェアタイマである。一方、遊技状態が確率変動遊技状態又は時間短縮遊技状態である場合には、特定時当たり開始処理S406が実行される。特定時当たり開始処理では、当たり中フラグが設定され、特定遊技状態における最大開放時間に対応する値が設定される。なお、特定遊技状態における最大開放時間は通常遊技状態における最大開放時間よりも長い。通常時当たり開始処理S405及び特定時当たり開始処理S406の後に、始動口ソレノイド駆動フラグが設定される(「始動口ソレノイド駆動フラグ設定処理」S407)。これによって、羽根60が第1流入許可状態から第2流入許可状態に変更されることとなる。始動口ソレノイド駆動フラグ設定処理S407の完了によって、当たり処理S407が終了する。
判定処理S401において当たり中であると判定された場合には、始動口ソレノイド制御タイマが「1」だけ小さい値に更新される(「始動口ソレノイド制御タイマ更新処理」S408)。その後、始動口ソレノイド制御タイマが「0」であるか否かが判定される(S409)。なお、始動口ソレノイド制御タイマが「0」である場合は、最大開放時間が経過したことを意味する。始動口ソレノイド制御タイマが「0」である場合には、始動口ソレノイド駆動フラグが解除され(「始動口ソレノイド駆動フラグ解除処理」S407)、一方、始動口ソレノイド制御タイマが「0」でない場合には、始動口ソレノイド駆動フラグ解除処理S410がスキップされて、当たり処理S207が終了する。
サブ制御装置262のMPU550により実行される各処理について説明する。図17は、サブ制御装置262のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
サブ制御装置262のメイン処理は、まず電源投入に伴う初期設定処理を実行し(S701)、I/Oやタイマの初期化、及び、タイマ割込等の各割込の設定を行う。次いで、電源断処理が全て完了しているか否か、即ち、ランプが全て消灯されているか、スピーカが消音されているか等が判定される(S702)。電源断処理が全て完了している場合(S702:Y)は、処理はS914に移行する。電源断処理が全て完了していない場合は、RAM552が破壊されているおそれがあるので、RAM552が破壊されているか否かを判定する(S703)。具体的には、RAM552にはRAM破壊チェックデータが予め設定されており、このRAM破壊チェックデータによって判定するようになっている。RAM552が破壊されていないと判定されたときは、処理はステップS707に移る。一方、RAM552が破壊されていると判定されたときは、RAM552の各領域について読み書きチェックを行い(S704)、この読み書きチェックの結果に基づきRAM552が正常に機能するか否かを判定する(S705)。RAM552が正常でない場合は、所定のランプを点灯させてRAMの異常を報知する(S711)。
一方、RAM552が正常であれば、RAM552にRAM破壊チェックデータを設定する(S706)。次いで、電源断後の電源投入か否かが判断され(S707)、電源断後の電源投入でない場合は、RAM522の未初期化領域以外の領域をクリアする(S708)。これにより、主制御基板261から送信されたコマンドのうち電源コマンド以外は全てクリアされる。次いで、タイマ割込や主制御基板261からのコマンドの受信処理等の割込みを許可状態とする(S709)。次いで、RAM522の初期値設定を行い(S710)、その後、後述する通常処理に移行する。一方、ステップS707で電源断後の電源投入であれば、処理はステップS709に移る。
次いで、図12を参照して、サブ制御装置262の通常処理について説明する。先ず1ms以上経過したか否かが判断される(S801)。1ms経過前であれば、装飾図柄に関連する、外れ図柄や大当たり図柄、予告図柄等の生成のための乱数を更新する(S810)。具体的には、大当たり装飾図柄(特定図柄用)カウンタ、大当たり装飾図柄(非特定図柄用)カウンタ、リーチ装飾図柄カウンタ、完全外れ装飾図柄カウンタ、予告図柄等の演出用図柄カウンタ等が設けられており、これら装飾図柄に関連するカウンタの値を更新する。なお、これらのカウンタの値はランダムに更新する。即ち、MPU550に内蔵のRレジスタの値を用いることにより、これらのカウンタの値をランダムに更新する。即ち、これらのカウンタの更新時には、前回値にRレジスタの下位2ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に「6」が減算されて今回値が決定される。
乱数の更新処理(S810)後は、主制御基板261からのコマンド受信し、各コマンドに対応した処理を行う(S811)。ここで、主制御基板261からのコマンドが、装飾図柄の表示に関連するコマンドの場合は、そのコマンドを基に表示制御装置45へのコマンドを編集し、その編集したコマンドを表示制御装置45に送信する。具体的に説明すると、主制御基板261からの表示コマンドとしては、変動パターン指定コマンド(停止パターン選択カウンタC3と変動種別カウンタCS1,CS2とに基づき生成されたコマンドであって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の図柄変動態様を指定するコマンド)、装飾停止図柄コード情報コマンド(特定当たり指定、非特定当たり指定、外れ指定の何れかのコマンド)、演出コマンド(変動種別カウンタCS3に基づき生成された変動時間の変更等コマンド)、及び全停止コマンド(装飾図柄停止のコマンド、いわゆる確定コマンド)等が該当する。一方、サブ制御装置262は、主制御基板261からの変動パターン指定コマンドはそのまま表示制御装置45に送信するが、装飾停止図柄コード情報コマンドでは特定当たり指定、非特定当たり指定、外れ指定それぞれの具体的な装飾図柄(停止図柄)を決定したコマンドに編集する。この編集に当たっては、MPU550内の装飾図柄カウンタにより停止図柄が決定されるようになっている。
また、主制御基板261からの演出コマンドは、変動時間の変更等に加えて、各種演出の指定をも含むコマンドに編集する。そして、サブ制御装置262は、これらのコマンドを表示制御装置45に送信する。これにより、表示制御装置45では、受信したコマンドを解析し、そのコマンドに応じて装飾図柄の画像生成を行い、装飾図柄表示装置42に出力することにより、装飾図柄表示装置42では所定の演出表示で変動表示が実行されることになる。
その後、RAM552が破壊されているか否かを確認し(S812)、破壊されていなければ、処理はステップS801に戻る。破壊されていれば(S812:Y)、無限ループ処理となる。
一方、ステップS801において1ms以上経過していれば、装飾図柄表示装置42の演出パターンに対応したランプ点灯パターンを演出用ランプ711に出力し、演出用ランプ711を点灯する(S802)。なお、ランプ点灯パターンの作成は、具体的には後述するステップS807の処理により行われる。次いで、電源投入コマンドにより、所定ランプを30秒間点灯させ、報知する(S803)。次いで、装飾図柄のタイトルと静止画の切り替えを行うための客待ち演出コマンドを生成して表示制御装置45に送信する(S804)。次いで、特別図柄の保留個数を装飾図柄表示装置42で表示する場合は、その保留個数表示更新時にはそのためのコマンドを生成して表示制御装置45に送信する(S805)。
次いで、演出ボタン79の入力操作を確認し、入力操作があったときは、その演出ボタン79に応じた所定の演出が装飾図柄表示装置42において表示演出されるように演出コマンドを生成して、表示制御装置45に送信する(S806)。次いで、装飾図柄表示装置42の演出パターンに対応したランプ点灯パターンを編集する(S807)。次いで、主制御基板261から受信したコマンドに対応したスピーカ710で出力される鳴動パターンを編集し、その鳴動パターンの情報をスピーカ710に出力する(S808)。
次いで、装飾図柄表示装置42の表示演出を実行するための種々の時間管理を行う(S808)。その後、ステップS810、S811、S812を経て、ステップS801に戻る。このようにして、サブ制御装置262では、装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ710の鳴動制御及び演出用ランプ711の点灯(点滅)制御、並びに、主制御基板261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する。
表示制御装置45における表示制御について説明する。図13は表示制御装置45内のMPU521により実行される表示制御処理を示すフローチャートである。MPU521は、図13に示す手順に従ってサブ制御装置262から提供される各種コマンドを処理しつつ装飾図柄表示装置42の表示制御を実行する。
先ず、サブ制御装置262から表示コマンドを受信したか否かを判定する(S901)。受信していない場合は、何らかのコマンドを受信するまで待機する。そして、表示コマンドを受信すると、その表示コマンドの内容をRAM523に格納する(S902)。次いで、RAM523に格納された情報に基づき、画像コントローラ526に対する内部コマンドを生成する等の各種の演算処理を開始する(S903)。これにより、画像コントローラ526は、MPU521からの指令(内部コマンド)に応じて描画処理を開始する。なお、表示コマンドを一旦受信するとその後に確定コマンドを受信するまでの間、MPU521と画像コントローラ526との協働のもとに図柄の変動表示が継続される。その間、MPU521は、画像コントローラ526の制御とコマンド受信処理とを並行して行う。
その後、サブ制御装置262から確定コマンドを受信したか否かを判定する(S904)。そして、確定コマンドを受信したことを条件に、ステップS905に進み、画像コントローラ526に対して停止図柄での確定表示を指示する。これにより、画像コントローラ526は変動していた図柄を停止図柄で確定表示させる。こうして、図柄の変動開始から変動停止(確定表示)までの1ラウンドの表示処理が行われる。表示制御装置45は、図柄の変動開始時及び変動停止時にサブ制御装置262によるコントロールを受けるが、その間の継続的な図柄変動については、表示制御装置45内のMPU521及び画像コントローラ526による自立的な画像制御によって担保されている。
払出制御装置311内のMPU511により実行される払出制御について、図14を参照して説明する。図14は、払出制御装置311のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
先ず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1001)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。次に、RAMアクセスを許可すると共に(S1002)、外部割込ベクタの設定を行う(S1003)。
その後は、RAM513に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判定し(S1004)、記憶されていなければ、処理をS1010へ移行する。RAM513に電源断の発生情報が記憶されていれば、RAM判定値を算出し(S1005)、算出したRAM判定値が正常でなければ、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、RAM513に保存されているデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS1010へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりRAM513に保存されているデータの有効性を判断するようにしても良い。ステップS1010からのRAMの初期化処理では、RAM513の使用領域を0にクリアし(S1010)、RAM513の初期値を設定する(S1011)。その後、MPU511周辺デバイスの初期設定を行うと共に(S1008)、割込みを許可して(S1009)、後述する払出制御処理に移行する。
一方、電源断の発生情報が設定されており(S1004:Y)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S1006:Y)、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、RAM513の初期値を設定し(S1007)、MPU511周辺デバイスの初期設定を行うと共に(S1008)、割込みを許可して(S1009)、後述する払出制御処理に移行する。
次に、図15のフローチャートを参照して、払出制御処理を説明する。この払出制御処理は、払出制御装置311のメイン処理に続いて実行される。払出制御処理では、まず、主制御基板261からのコマンドを取得し、総賞球個数として記憶する(S1101)。ここで、主制御基板261からのコマンドが、正規コマンドであれば全て払出を許可する。なお、主制御基板261からのコマンドが、賞球コマンド、払出復帰コマンド、払出初期化コマンドであればそれに応じた処理を行う。
次いで、主制御基板261から送信される払出許可コマンドを受信しているか否かが判定される。そして、払出許可コマンドを受信すると、状態復帰スイッチ321をチェックした結果、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S1103)。
その後、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S1104)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判定し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S1105)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判定し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判定し、報知する状態が有る場合には、主制御基板261へ状態を報知する信号を送信すると共に、払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する(S1106)。
次に、ステップS1107、S1108、S1115の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つステップS1101の処理で記憶した総賞球個数が0でなければ、賞球制御処理を開始する(S1115)。賞球制御処理では、まず、払出モータ358aを正方向回転駆動させて賞球の払出を実行する。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判定し、正常でなければ、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、賞球制御処理を終了する。一方、払出モータ358aの回転が正常であれば、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判定する。遊技球のカウントが正常でなければ、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、賞球制御処理を終了する。更に、遊技球のカウントが正常であれば、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判定し、払出が完了していれば、払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、賞球制御処理を終了する。一方、払出が完了していなければ、そのまま、賞球制御処理を終了する。
一方、ステップS1107において賞球の払出不可状態であると判定された場合又はステップS1108総賞球個数が0であれば、貸球払出の処理に移行する。S1109、S1110、S1116の貸球払出の処理では、ステップS1109において貸球の払出不可状態でなく且つステップS1110カードユニットからの貸球払出要求を受信していれば、貸球制御処理を開始する(S1116)。貸球制御処理では、まず、払出モータ358aを正方向回転駆動させて貸球の払出を実行する。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判定し、正常でなければ、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、貸球制御処理S1116を終了する。また、払出モータ358aの回転が正常であれば、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判定する。遊技球のカウントが正常でなければ、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、貸球制御処理S1116を終了する。更に、遊技球のカウントが正常であれば、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判定し、払出が完了していれば、払出モータ358aの停止処理を実行し、その後、貸球制御処理S1116を終了する。一方、払出が完了していなければ、そのまま、貸球制御処理S1116を終了する。
一方、ステップS1109において貸球の払出不可状態でなく且つステップS1110においてカードユニットからの貸球払出要求を受信していなければ、又は、ステップS1109において貸球の払出不可状態であれば、球詰まり状態解除のためバイブレータの制御(バイブモータ制御)を実行する(S1111)。その後は、停電発生か否かを判定し(S1112)、停電発生でなければ、処理はステップS1101に戻る。停電発生であれば、電源断の発生情報を設定し(S1113)、RAM判定値を作成し(S1114)、その後はリセット信号の入力待ちのため無限ループに移る。
(本発明に関連する主たる構成)
パチンコ機10における主たる特徴部分の構成について詳細に説明する。パチンコ機10は、図2に示されたように、可変入賞装置32の大入賞口61への遊技球の流入を可変的に規制するシャッタ(媒体流入規制手段の一種)62と始動入賞装置34の始動口への遊技球の流入を可変的に規制する羽根(媒体流入規制手段の一種)60とを備えている。シャッタ62は、大入賞口ソレノイド991(図4参照)の駆動に応じて、遊技球が大入賞口61に流入できない流入禁止状態(第1流入規制状態の一種)から遊技球が流入できる流入許可状態(第2流入規制状態の一種)に変化する。一方、羽根60は、遊技球が始動口に流入できる第1の流入許可状態(第1流入規制状態の一種)から遊技球が第1の流入許可状態よりも始動口に流入し易い第2の流入許可状態(第2流入規制状態の一種)に変化する。大入賞口ソレノイド991及び始動口ソレノイド992はワイヤハーネスを介して主制御基板261に接続されている。
パチンコ機10は、主制御基板261に形成された大入賞口ソレノイド駆動回路900と、大入賞口異常検知回路910と、始動口ソレノイド駆動回路920と、始動口異常検知回路930とを備えている。なお、大入賞口ソレノイド駆動回路900と始動口ソレノイド駆動回路920とは実質的に同一の構成であり、大入賞口異常検知回路910と始動口異常検知回路930とは実質的に同一の構成であるために、大入賞口ソレノイド駆動回路900及び大入賞口異常検知回路910についてのみ詳細に説明する。図16は、大入賞口ソレノイド駆動回路900及び大入賞口異常検知回路910の構成を表わすブロック図である。
大入賞口ソレノイド駆動回路900は、電源回路901と、大入賞口ソレノイド駆動制御回路902とを備えている。大入賞口ソレノイド991のソレノイドコイルL1の一端は電源回路901に電気的に接続され、その他端はソレノイド駆動制御回路902に接続されている。電源回路901には、電源基板313から電源監視基板540を介して駆動系電圧である24Vの電圧で電力が供給されている。駆動制御回路902は、大入賞口ソレノイド制御信号の受信に応じて、図16中のA点とB点との間の電流の導通を制御する。具体的には、大入賞口ソレノイド駆動制御回路902としてトランジスタ素子が設けられており、ソース端子がソレノイドコイルに接続され、ドレイン端子が大入賞口異常検知回路910の大入賞口ソレノイド監視回路911に接続され、ゲート端子が入出力ポート505に接続されている。入出力ポート505からゲート端子への大入賞口ソレノイド制御信号の入力に応じてトランジスタ素子がオン状態となり、ソース端子とドレイン端子との間に実質的に24Vの電圧が印加される。
大入賞口異常検知回路910は、大入賞口ソレノイド監視回路911と、電源回路912と、正常作動基準電圧生成回路913と、大入賞口ソレノイド異常検出回路914と、異常検出タイミング信号生成回路915と、大入賞口異常信号出力制御回路916とを備えている。大入賞口ソレノイド監視回路911は、ソレノイドコイルL1に流れる電流を監視している。具体的には、大入賞口ソレノイド監視回路911として、抵抗素子と分岐配線が設けられており、抵抗素子の一端は大入賞口ソレノイド駆動制御回路902に接続され、その他端は接地電位に短絡され、分岐配線は抵抗素子の大入賞口ソレノイド駆動制御回路902側と大入賞口ソレノイド異常検出回路とを接続している。本形態では、大入賞口ソレノイド991の駆動性を阻害しないために、1オーム程度の極めて抵抗値の小さい抵抗素子を用いている。分岐配線には、抵抗素子による電圧降下に相当する降下電圧(監視電圧)が印加される。降下電圧は抵抗素子を流れる電流値(ソレノイドコイルL1を流れる電流値と同一)に比例するために、ソレノイドコイルL1に流れる電流の過渡応答特性を損なうことなく電圧の過渡応答に変換することができる。
電源回路912には、電源基板313から電源監視基板540を介して制御系電圧である5Vの電圧で電力が供給されている。正常作動基準電圧生成回路913は、電源回路912からの5Vの電圧を大入賞口ソレノイド監視回路911から入力される降下電圧よりも小さい所定の電圧に変換して、大入賞口ソレノイド異常検出回路914に出力する。なお、正常作動基準電圧生成回路913で生成される電圧が、大入賞口ソレノイドの駆動が正常か異常かを識別するための閾電圧である。大入賞口ソレノイド異常検出回路914は、降下電圧と閾電圧とを比較して所定の条件を満たす場合(降下電圧が閾電圧より大きい場合等)に所定の電圧の信号を出力し続ける。
異常検出タイミング信号生成回路915は、入出力ポート505から出力された大入賞口ソレノイド制御信号に基づいて、所定のタイミングで異常検出タイミング信号を生成する。具体的には、異常検出タイミング信号生成回路915はタイマ回路であり、大入賞口ソレノイド制御信号の入力に応じて時間計測を開始し、所定の一定時間が経過した場合に異常検出タイミング信号を生成する。なお、異常検出タイミング信号は所定幅のパルス信号である。大入賞口異常信号出力制御回路916は、異常検出タイミング信号の入力に応じて、大入賞口異常検出信号を入出力ポート505に出力する。具体的には、大入賞口異常信号出力制御回路916は、大入賞ソレノイド異常検出回路914からの信号のレベルをラッチして、所定の期間にわたってラッチしたレベルの電圧信号を大入賞口異常検出信号として入出力ポート505に出力する。
MPU501は、大入賞口異常検出信号を受信すると大入賞口ソレノイド991の作動に異常があることを報知するための処理を実行する。上記においては、大入賞口ソレノイド駆動回路900について説明したが、始動口ソレノイド駆動回路920の構成は大入賞口ソレノイド駆動回路900と同一の構成である。また、大入賞口異常検知回路910について説明したが、始動口異常検知回路930の構成は大入賞口異常検知回路910と実質的に同一である。なお、それらの構成が実質的に同一とは、大入賞口異常検知回路910と始動口異常検知回路930において、正常作動基準電圧生成回路913で生成される閾電圧が異なる場合や異常検出タイミング信号生成回路で生成される異常検出タイミング信号の出力タイミングが異なる場合であってもよいことを意味する。
ここで、大入賞口ソレノイド監視回路911と大入賞口ソレノイド異常検出回路914との間の参照点Xにおける入出力ポート505からの大入賞口ソレノイド制御信号の出力に応じた降下電圧(監視電圧)の過渡応答について説明する。図17は、大入賞口ソレノイドの初期の正常な駆動に伴う監視電圧の過渡応答の一例を定性的に表すグラフである。横軸が経過時間を表し、縦軸が降下電圧を表している。監視電圧の過渡応答は大入賞口ソレノイドに流れる電流の過渡応答と定性的に同一である。なお、図17に示されたVshは本形態における閾電圧であり、この閾電圧Vshによって、許容される範囲内の監視電圧の過渡応答と作動異常と判定する監視電圧の過渡応答との境界が決定される。
図17に示されたように、時刻T0に入出力ポート505からの大入賞口ソレノイド制御信号が出力されると、大入賞口ソレノイド991におけるソレノイドコイルL1の励磁が開始される。監視電圧は時間の経過に伴って上昇し、ソレノイドコイルL1の励磁が進行すると共にプランジャ(ピストン)の磁性部の磁化が進む。時刻TiにソレノイドコイルL1と磁性部と間の吸引力によって大入賞口ソレノイド991の付勢部材の付勢力に抗してプランジャが移動を開始する。プランジャが移動中は、ソレノイドコイルL1と磁性部との相対位置が近づくために、ソレノイドコイルL1と磁性部とによる大入賞口ソレノイド991の実効的なインダクタンスが上昇し(電磁誘導の法則に従ったソレノイドコイルL1内の磁束密度の変化による逆電流の増加)、監視電圧の増加率が減少する。これに伴って、その後、監視電圧が減少し始める。なお、プランジャの移動は高速であるために、プランジャの移動開始と監視電圧の減少の開始(ピーク位置)とは実質的に同一である。時刻Tfでプランジャの移動が完了し、ソレノイドコイルL1と磁性部との相対位置が変化しなくなると、再度、監視電圧が増加し始める(ノード位置)。最終的に、時刻TsにソレノイドコイルL1の励磁が完了し、監視電圧が所定の定常電圧になる。
次に、故障等によって大入賞口ソレノイドのプランジャが移動しない場合の参照点Xにおける入出力ポート505からの大入賞口ソレノイド制御信号の出力に応じた降下電圧(監視電圧)の過渡応答について説明する。図18は、大入賞口ソレノイドの故障時の駆動に伴う監視電圧の過渡応答の一例を定性的に表すグラフである。なお、図18には、故障時の監視電圧の過渡応答を破線で示し、比較のために、図17に示された初期の正常な監視電圧の過渡応答も実線で示している。
図18に示されたように、時刻T0に入出力ポート505からの大入賞口ソレノイド制御信号が出力されると、大入賞口ソレノイド991におけるソレノイドコイルL1の励磁が開始される。監視電圧は時間の経過に伴って上昇し、ソレノイドコイルL1の励磁が進行すると共にプランジャ(ピストン)の磁性部の磁化が進む。更に時間が経過しても正常な監視電圧の過渡応答の場合とは異なり、ソレノイドコイルL1と磁性部との相対位置が変化しないために監視電圧が減少することはなく、時間の経過に伴って単調に定常電圧まで増加する。したがって、故障時の監視電圧の過渡応答において、概ね時刻Tiから時刻Tsまでの期間において、時刻T0からの経過時間が同一な場合には、故障時の監視電圧は初期の正常な監視電圧よりも大きな値となる。
次に、摺動の繰返しによる摺動抵抗の増加に起因する劣化や経年劣化等によって大入賞口ソレノイドのプランジャの移動速度が遅くなった場合の参照点Xにおける入出力ポート505からの大入賞口ソレノイド制御信号の出力に応じた降下電圧(監視電圧)の過渡応答について説明する。図19は、大入賞口ソレノイドの劣化時の駆動に伴う監視電圧の過渡応答の一例を定性的に表すグラフである。なお、図19には、劣化が小さい場合の監視電圧の過渡応答を破線で示し、劣化が大きい場合の監視電圧の過渡応答を一点鎖線で示し、比較のために、図17に示された初期の正常な監視電圧の過渡応答も実線で示している。
図19に示されたように、破線で示された劣化時の監視電圧の過渡応答は、時刻T0から時刻Tiまでの期間において、初期の正常な監視電圧の過渡応答と実質的に同一である。なお、プランジャの移動開始に必要な抗力が増加しているためにプランジャの移動は時刻Tiよりも遅い時刻Ti1に開始される。プランジャが移動中である場合において、ソレノイドコイルL1と磁性部とによる大入賞口ソレノイド991の実効的なインダクタンスは増加するが、プランジャの移動速度が遅いために実効的なインダクタンスの増加率は初期の正常な過渡応答に比べて小さく、監視電圧の減少率が小さくなる。したがって、時刻Tfよりも遅い時刻Tf1においてプランジャの移動が完了し、また、劣化時の監視電圧の過渡応答における時刻Tiと時刻Tf1との監視電圧の差は、初期の正常な監視電圧の過渡応答における時刻Tiと時刻Tfとの監視電圧の差よりも小さくなる。時刻Tf1の後に監視電圧が再度増加し始め、最終的には、時刻Tsよりも遅い時刻にソレノイドコイルL1の励磁が完了し、監視電圧が所定の定常電圧に至る。また、一点鎖線で示された劣化が進んだ場合の監視電圧の過渡応答においては、時刻Tf1よりも更に遅い時刻Tf2においてプランジャの移動が完了し、また、一点鎖線で示された監視電圧の過渡応答における時刻Tiと時刻Tf2との監視電圧の差は、破線で示された監視電圧の過渡応答における時刻Tiと時刻Tf1との監視電圧の差よりも更に小さくなる。
ここで、大入賞口ソレノイド991が駆動された場合の主制御基板261における全体的な動作について、初期の正常な過渡応答を例にして概ね時系列に沿って詳細に説明する。なお、大入賞口ソレノイド991は、大当たり中(特別遊技状態中)以外で作動されることはない。なお、閾電圧はVshであり、検出タイミングは大入賞口ソレノイド991の作動開始から所定の時間Tf後であり、検出タイミングにおける監視電圧が閾電圧より大きい場合に。具体的には、正常作動基準電圧生成回路913は、常時、閾電圧であるVshの電圧の信号を生成し、異常検出タイミング信号生成回路915は、大入賞口ソレノイド駆動信号の入力から所定の時間(Tf)が経過した場合に異常検出タイミング信号を生成するように設定されている。
まず、大当たり中において大入賞口ソレノイド駆動フラグが設定されると(図7のS309)、大入賞口ソレノイド制御信号が入出力ポート505から大入賞口ソレノイド駆動制御回路902及び異常検出タイミング信号生成回路915に出力される(図6のS201)。大入賞口ソレノイド駆動制御回路902では、大入賞口ソレノイド制御信号の入力に応じて、点Aと点Bとの間の電流路が開通される。これによって大入賞口ソレノイド991のソレノイドコイルL1の励磁が開始される。また、異常検出タイミング信号生成回路915では経過時間の計測が開始される。
大入賞口ソレノイド異常検出回路914では、大入賞口ソレノイド監視回路911から出力され、経過時間に応じて変化する監視電圧と正常作動基準電圧生成回路913から出力される一定の閾電圧Vshとが比較され、大入賞口ソレノイド異常検出回路914からは、監視電圧が閾電圧Vshよりも大きい場合には所定のHレベル(例えば、5V)の信号が出力され、監視電圧が閾電圧Vshよりも大きい場合にはLレベル(例えば、0.5V)の信号が出力される。具体的には、図17に示されたように、時刻T0から監視電圧が電圧Vshに到達するまで時刻T1までの期間は、Lレベルの信号が出力される。時刻T1に到達するとLレベルの信号がHレベルの信号に変更され、時刻T1から時刻T2までの期間はHレベルの信号が出力される。また、時刻T2に到達するとHレベルの信号がLレベルの信号に変更され、時刻T2から時刻T3までの期間はLレベルの信号が出力される。なお、本形態では時刻Tf以降について本質的な動作には関与しない。
経過時間が所定の時間Tfに到達した場合には、異常検出タイミング信号生成回路915から異常検出タイミング信号が出力される。大入賞口ソレノイド異常出力制御回路では、異常検出タイミング信号の入力に応じて、異常検出タイミング信号が入力された時点の大入賞口ソレノイド異常検出回路914からの信号がHレベルであれば大入賞口異常信号を所定の期間出力する。
図17に示されたような大入賞口ソレノイド991の初期の正常な作動においては、大入賞口異常信号が出力されることはない。しかし、大入賞口ソレノイドの作動が、図18に示されたような故障時の監視電圧の過渡応答に従っている場合には、時刻Tfにおいて監視電圧が閾電圧Vshを超えているために大入賞口異常信号が出力される。また、大入賞口ソレノイドの作動が、図19に一点鎖線で示されたような過度の劣化時の監視電圧の過渡応答に従っている場合には、時刻Tfにおいて監視電圧が閾電圧Vshを超えているために大入賞口異常信号が出力される。なお、図19に破線で示されたような許容範囲の劣化時の監視電圧の過渡応答に従っている場合には、時刻Tfにおいて監視電圧が閾電圧Vsh未満であるために大入賞口異常信号は出力されない。
MPU501では、入出力ポート505に入力される大入賞口異常信号を定期的に確認している(図10のS601)。大入賞口異常信号が受信されている場合には、エラー処理に移行させるために大入賞口異常フラグを設定すると共に大入賞口ソレノイド991の作動に異常があったことを報知させるために大入賞口異常コマンドが設定される。大入賞口異常コマンドが設定された場合には、サブ制御基板262に大入賞口異常コマンドが送信される(図6のS201)。また、大入賞口異常フラグが設定された場合には、大入賞口エラー処理(S209)が実行され、遊技機10がリセットされるまでエラー状態が継続する。サブ制御基板262は、大入賞口異常コマンドの受信に応じて、音響によってエラー発生を報知させるためにスピーカ710にエラー音量制御信号及びエラー音声制御信号を送信し、発光によってエラー発生を報知させるためにランプ制御信号をランプ711に送信し、画像表示によってエラー発生を報知させるためにエラー画像制御信号を送信する(外部出力処理S210)。また、エラー発生を報知させるために遊技機10に接続された管理用のコンピュータにエラー報知制御信号を送信する(外部出力処理S210)。
スピーカ710は、エラー音量制御信号及びエラー音声制御信号に基づいて、所定の音量で所定の音声パターンを出力する。また、ランプ711は、ランプ制御信号に基づいて、所定の発光パターンで発光する。装飾図柄表示装置42は、エラー画像制御信号に基づく表示制御装置45からの画像表示信号に応じて所定の画像を表示する。
上記の遊技機10であれば、大入賞口ソレノイド991の故障時や所定の劣化時において、エラー制御及びエラー報知を行うことができる。これによって、可変入賞装置32のシャッタ62や始動入賞装置33の羽根60の異常な動作を検知でき、遊技者にとって不利益や不愉快な状態や管理者にとって不利益な状態が発生することを抑制できる。
上記において、初期の正常な過渡応答におけるノード位置に対応するタイミング(時刻Tf)でエラーの判定を行なう場合について説明したが、初期の正常な過渡応答とエラーと判定したい過渡応答とが相違するタイミングであれば他のタイミングでエラーの判定を行なってもよい。
上記においては、故障と許容範囲を超える劣化とを検知した場合にエラー制御及びエラー報知とを行う場合について説明したが、本発明においては、故障時のみエラー制御及びエラー報知を行う構成であってもよい。また、上記においては、故障と許容範囲を超える劣化とを検知したときに遊技者及び管理者の双方に対してエラー報知を行う場合について説明したが、本発明においては、遊技者又は管理者に対してエラー報知を行う構成であってもよい。
上記においては、故障時と許容範囲を超える劣化時とを区別することなくエラーと判定する場合について説明したが、本発明においては、それらを個別に判定してもよい。この場合には、大入賞口異常検知回路910及び始動口異常検知回路930において、劣化判定用の閾電圧(劣化検知閾電圧)とその閾電圧よりも高い故障判定用の閾電圧(故障検知閾電圧)とを個別に生成して監視電圧と同時又は異なるタイミングで比較し、劣化時の異常検知信号と故障時の異常検知信号とを個別に出力させればよい。また、故障と許容範囲を超える劣化とを個別に判定する場合には、それらの判定ごとに遊技者及び/又は管理者に対して選択的にエラー報知を行ってもよい。
上記においては、大入賞口異常検知回路910において、監視電圧の過渡応答を監視し、かつ、エラー判定を行なう場合について説明したが、本発明においては、エラー判定をMPUで実行される処理においてソフトウェア的に行ってもよい。以下に、エラー判定をソフトウェア的に行う変化例について説明する。
図20及び図21は、主制御基板の大入賞口ソレノイド駆動回路及び大入賞口異常検知回路の変化例を表すブロック図である。なお、上記と実質的に同一の部材については、図16に示された構成と実質的に同一の部材には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図20に示された大入賞口異常検知回路940は、大入賞口ソレノイド監視回路911に接続され、監視電圧を増幅させる利得調整増幅回路917と、アナログ情報である増幅された監視電圧を監視電圧に対応するデジタル情報に変換するA/Dコンバータ回路918とを備えている。利得調整増幅回路917では、A/Dコンバータ回路918の入力端のダイナミックレンジに合わせて所定の増幅率で監視電圧を増幅させている。なお、利得調整増幅回路917は本発明において必須要素ではない。A/Dコンバータ回路918は、監視電圧の過渡応答を所定の間隔(例えば、主制御基板261のタイマ割込み処理の割込み周期)でサンプリングして、サンプリングによって得られた離散データを入出力ポート505に出力する。
図21に示されたように、大入賞口ソレノイド駆動回路950は、電源回路901と、大入賞口ソレノイド駆動制御回路902とを備えている。電源回路901は、大入賞口ソレノイド監視回路911’を介して大入賞口ソレノイド991のソレノイドコイルL1の一端に接続されている。大入賞口ソレノイド駆動制御回路902は、ソレノイドコイルL1の他端に接続されている。また、大入賞口異常検知回路940’は、大入賞口ソレノイド監視回路911’に接続され、監視電圧を増幅させる利得調整増幅回路917’と、アナログ情報である増幅された監視電圧を監視電圧に対応するデジタル情報に変換するA/Dコンバータ回路918とを備えている。大入賞口ソレノイド監視回路911’は、電源回路901とソレノイドコイルL1とを接続する抵抗素子(図示せず)と、抵抗素子の一端に電気的に接続された第1の分岐配線と、抵抗素子の他端に電気的に接続された第2の分岐配線とを備えている。利得調整増幅回路は、第1の分岐配線と第2の分岐配線との電位差を増幅する回路である。具体的には、利得調整増幅回路917’として作動アンプを用いている。A/Dコンバータ回路918は、利得調整増幅回路917’で生成された電圧の過渡応答を所定の間隔(例えば、主制御基板261のタイマ割込み処理の割込み周期)でサンプリングして、サンプリングによって得られた離散データを入出力ポート505に出力する。
図20又は図21に示された構成の場合には、MPUにおいて実行される処理手段として、所定の閾電圧に対応する閾電圧情報を保持する閾電圧情報保持手段と、ソレノイドコイルL1の駆動開始からの駆動時間が規定時間を経過したことを検知する規定時間経過検知手段と、駆動時間が規定時間を経過したことの検知に応じてA/Dコンバータ回路からの監視電圧情報と閾電圧情報保持手段に保持された検知閾電圧情報とに基づいて、監視電圧が検知閾電圧以上である場合に異常であると判定する判定手段とを含む構成とする。図20又は図21に示された構成であっても、上記の遊技機10と同様の効果を奏する。
また、図20又は図21に示された構成の場合には、MPUにおいて実行される処理手段として、所定の閾時間に対応する閾時間情報を保持する閾時間情報保持手段と、ソレノイドコイルL1の駆動開始からノード位置までの到達時間に対応するノード到達時間と閾時間情報保持手段に保持された閾時間情報とに基づいて、ノード到達時間が閾時間を超えて大きい場合に異常であると判定する劣化判定手段とを含む構成とすることもできる。
この構成の場合には、上記の遊技機10と同様の効果と共に、以下で説明する付加効果を奏する。可変入賞装置32のシャッタ62や始動入賞装置33の羽根60は、遊技球が挟まれる等によって半開状態になることがある。ここで、このような半開状態からそれらのソレノイド991,992が駆動された場合について説明する。図22は、大入賞口ソレノイドの半開時の駆動に伴う監視電圧の過渡応答の一例を定性的に表すグラフである。図22に示されたように、半開時の監視電圧の過渡応答は、時刻T0から時刻Tiまでの期間において、初期の正常な監視電圧の過渡応答と実質的に同一である。なお、プランジャの磁性部の位置がソレノイドコイルL1側に移動しているためにプランジャの移動開始は時刻Tiよりも若干遅い時刻Ti3に開始される。プランジャが移動中である場合において、ソレノイドコイルL1と磁性部とによる大入賞口ソレノイド991の実効的なインダクタンスは増加するが、プランジャの移動距離が短いために監視電圧の減少率が小さい。したがって、時刻Tfよりも早い時刻Tf3においてプランジャの移動が完了し、また、半開時の監視電圧の過渡応答における時刻Tiと時刻Tf3との監視電圧の差は、初期の正常な監視電圧の過渡応答における時刻Tiと時刻Tfとの監視電圧の差よりも小さくなる。時刻Tf3の後に監視電圧が再度増加し始め、最終的には、時刻Tsよりも早い時刻にソレノイドコイルL1の励磁が完了し、監視電圧が所定の定常電圧に至る。始動口ソレノイド992についても同様である。図22からわかるように、所定のタイミングによる監視電圧と閾電圧との比較を1回のみ行う場合には、半開時においても、時刻Tfにおける監視電圧が閾電圧Vshよりも大きくなるために、エラーと判定されてしまう。なお、比較のタイミングや閾電圧Vshを変化させたとしても半開示と許容範囲を超える劣化時とを区別することは極めて困難である。しかし、本構成のように、エラー判定をノード位置に到達する時間で判定した場合には、半開示と故障時(この場合のノード位置には到達しないので無限大の時間と考えることとする)及び許容範囲を超える劣化時とを区別することができる。これによって、ノード到達時間が所定の閾時間(例えば、Tf−T0)を超えて大きい場合に異常であると判定することによって、故障時及び許容範囲を超える劣化時にはエラーと判定され、半開時にはエラーと判定されない。これによって、本来、エラーを判定すべきではない半開時の場合にはエラーと判定されないために、半開時において遊技が中断されることが防止される。
上記においては、大入賞口ソレノイド991及び始動口ソレノイド992の作動を監視する場合について説明したが、それらの一方のみの作動を監視する構成であってもよいし、球送りソレノイド等の他のソレノイドの作動を更に監視する構成であってもよい。
上記においては、大入賞口異常検知回路910においては大入賞口ソレノイド991に流れる電流の過渡応答を直接的ではなく、監視電圧の過渡応答に変換して間接的に監視したが、本発明においては、電流の過渡応答によって直接的に監視してもよい。始動口ソレノイド992についても同様である。
(実施形態2)
実施形態2では、遊技機が遊技球体を遊技媒体とする回胴式遊技機(以下、「球式回胴遊技機」と称す)である場合を挙げるが、他の遊技機にも適用できる。また、回胴式遊技機であっても、以下で説明する具体的な形態には限定されず、本発明の主旨から逸脱しない限りにおいて、その設計を適宜に変更してもよい。
本実施形態の球式回胴遊技機の構成について説明する。図23は球式回胴遊技機の一例を表す正面図であり、図24は球式回胴遊技機の内部構成をブロック単位で開放した状態で示す斜視図である。
図23又は図24に示すように、球式回胴遊技機1010は、球式回胴遊技機1010の外殻を形成する外枠1011と、この外枠1011の一側部に開閉可能に支持されたドアブロック1012とを備えている。ドアブロック1012は、外枠1011に対してヒンジ1013,1013によって開閉可能に取り付けられており、その開閉軸線は球式回胴遊技機1010の正面からみて左側で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にしてドアブロック1012が前方側に十分に開放できる。ドアブロック1012は、図24に示すように、球式回胴遊技機1010の前面を構成する前面ブロック1020と、前面ブロック1020に対して後方側へ開閉可能に取着された払出ブロック1030と、前面ブロック1020に対して後方側へ開閉可能に取着され、前面ブロック1020及び払出ブロック1030にて被包される遊技ブロック1040とからなる。
(前面ブロックの構成)
前面ブロック1020は、図24に示されたように、前面パネル1100、前面ブロック枠1200、回胴表示パネル1022、表示パネル押え枠1024、上皿ユニット1300(図1参照)、及び、セレクタ1400(遊技球投入装置)を備える。
前面パネル1100は、図23に示されたように、遊技ブロック1040(図24参照)の前面に設けられた遊技領域を露出するための窓孔1102を有し、窓孔1102を囲むようにして上効果LEDカバー部1104、上スピーカ部1106,1106、右中効果LEDカバー部1108、左中効果LEDカバー部1110、中央パネル部1112、操作パネル部1122等が配設されている。
前面パネル1100の上効果LEDカバー部1104、右中効果LEDカバー部1108及び左中効果LEDカバー部1110は、それぞれ前面パネル1100の裏側から取り付けられた図示しない発光ダイオード(LED)等の発光装置を覆っている。この発光装置は、遊技の進行に伴い点灯したり、点滅したりして遊技の視覚的演出を行う。上スピーカ部1106,1106は、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりして遊技の聴覚的演出を行う。
前面パネル1100の中央パネル部1112は、無色透明のガラスで構成され、所定の入賞条件及び当該入賞条件を満たした場合に払い出される遊技球の個数(賞球数)や遊技方法などが記載された図示しない情報掲載パネルを視認できる窓である。情報掲載パネルの表示内容を見やすくするために、中央パネル部1112の奥側には蛍光灯1041k(図31参照)が設置される。中央パネル部1112の左側方には1ベットボタン1114が配設されている。中央パネル部1112の右側方には汎用ボタン1116,1118が配設されている。汎用ボタン1116,1118は例えば遊技モードの切替えや液晶画面における表示モードの切替えなど、遊技機の機種ごとにその用途を適宜設定可能なボタンである。中央パネル部1112の汎用ボタン1116等よりもさらに右側方には、前面ブロック開閉用のドアキーシリンダ1202の前面(鍵穴)を露出させるキーシリンダ挿通孔1120を設けてある。また、中央パネル部1112の下方には、前方側へ突出した操作パネル部1122が配設されている。
前面パネル1100の操作パネル部1122には、図23の左側から順に、後述する回胴L,M,R(図31参照)の回転を開始させるための始動レバー1124と、左回胴Lの回転を停止させるための左回胴停止ボタン1126Lと、中回胴Mの回転を停止させるための中回胴停止ボタン1126Mと、右回胴Rの回転を停止させるための右回胴停止ボタン1126Rと、上皿1302から下皿1128へ遊技球を流す操作をするための上皿球抜きレバー1386を露出させるための小窓孔1130とを設けてある。始動レバー1124は、遊技者がゲームを開始するときに手で押下して操作するレバーであり、手が離れた後に元の位置に自動復帰する。所定数の遊技球がベットされているときに始動レバー1124が操作されると、各回胴L,M,Rが一斉に回転し始める。始動レバー1124の基端部上方には、各回胴L,M,Rの回転準備が整った状態、つまり所定数の遊技球がセレクタ1400(図24参照)にて取り込まれ、始動レバー1124の操作受付可能な状態を報知するための始動レバーLED(図示せず)を埋設してある。また、各回胴停止ボタン1126L,1126M,1126Rの周囲には、それらの操作受付可能な状態を報知するための回胴停止ボタンLED134L,134M,134Rを埋設してある。各回胴停止ボタンLED1134L,1134M,1134Rは、それぞれ対応する回胴L,M,Rが等速回転しているときに点灯し、対応する回胴L,M,Rの回転が停止すると消灯する。操作パネル部1122の下方には、遊技球を貯留するための下皿1128が配設されている。
下皿1128の奥面には、前面ブロック枠1200に設けた下スピーカ部1204(図24参照)を覆う下スピーカカバー部1136と、上皿1302から下皿1128へ流れてくる遊技球の出口となり、かつ、後述する払出装置1033(図28参照)から直接遊技球が払い出されてくることもある下皿払出口1138とを設けてある。また、下皿1128の前面下部には、下皿1128から下皿1128の下方に配置した図示しない遊技球収容ケース(いわゆるドル箱)に遊技球を落とす操作をするための下皿球抜きレバー1140を設けてある。下皿球抜きレバー1140にて閉塞板1144をスライド操作して開口部1142を開口させることによって、下皿1128から遊技球を落下させることができる。また、下皿1128の左側方には灰皿1146を設けてある。操作パネル部1122及び下皿1128の両側には、それぞれ左下効果LEDカバー部1148及び右下効果LEDカバー部1150を設けてある。左下効果LEDカバー部1148及び右下効果LEDカバー部1150は、それぞれ前面パネル1100の裏側から取り付けられた図示しない発光ダイオード等の発光装置を覆っている。
前面ブロック枠1200は、図24に示すように、前面パネル1100よりも若干小さい矩形状の枠体で、前面パネル1100の裏側にネジ止めされる。前面ブロック枠1200の下部には聴覚的演出用の下スピーカ部1204を取り付けてある。上下にスピーカ部1106(図23参照)及びスピーカ部1204を設けることで臨場感あふれる聴覚的演出を行うことができる。また、前面ブロック枠1200にはドア開閉機構1208を設けてある。ドア開閉機構1208を構成するドアキーシリンダ1202(図23参照)に図示しない鍵を挿入して右側へ回転させると、外枠1011に対して係止する係止爪1210,1210が下方向に回動し、外枠1011に対する係止が解除される。逆に、ドアキーシリンダ1202に図示しない鍵を挿入して左側へ回転させると、払出ブロック1030に対して係止する係止爪1212,1212が下方向に回動し、払出ブロック1030に対する係止が解除される。また、前面ブロック枠1200には、下皿払出口1138に連なる誘導通路1214が設けられている。
回胴表示パネル1022は、無色透明のガラス板で、前面パネル1100の窓孔1102の形状に対応した形状の略台形状とされる。表示パネル押え枠1024は、前面パネル1100との間に回胴表示パネル1022を介在させて前面ブロック枠1200にネジ止めされる。表示パネル押え枠1024は、回胴表示パネル1022の形状に対応した略台形状とされ、所定の奥行きをもって形成される。つまり、前面パネル1100の窓孔1102が中央パネル部1112よりも前方に張り出しており、この張り出し長さに対応した奥行きをもって形成される。
上皿ユニット1300は、図23に示されたように、遊技球を貯留する上皿1302を有する部材で、中央パネル部1112と操作パネル部1122の間の開口を閉塞するように、操作パネル部1122の裏側に取り付けられる。上皿ユニット1300は、上皿ユニット本体1320と、CR操作部1350と、図示しない上皿球止め部1360(図26参照)と、上皿球抜き操作部1380から構成される。
上皿ユニット本体1320は、上記の如く上皿1302を有する部材で、所望の深さでかつ図示上左側から右側へと下る傾斜をもって形成される。上皿1302の下流側部分(CR操作部350の下方)には、複数(例えば3つ)に分岐した遊技球案内路1322(図26参照)を設けてある。遊技球案内路322は、遊技球を整列状態にしてセレクタ1400(図24及び図26参照)へ順次案内する。
CR操作部1350は、度数表示部1352、球貸出ボタン1306、球貸出ボタンLED(図示せず)、球貸出スイッチ(図示せず)、カード返却ボタン1308及びカード返却スイッチ(図示せず)を備える。度数表示部1352は、球式回胴遊技機1010に隣接して配置される図示しないCRユニットにカードを挿入することで当該カードの残額に相当する度数を表示する。球貸出ボタン1306、遊技球の貸し出し操作を行うためのボタンである。球貸出スイッチ1356は、球貸出ボタン1306による貸し出し操作を検出するスイッチである。球貸出ボタンLED1354は、遊技球の貸し出しを行える状態であることを点灯により遊技者に報知し、また、遊技球の貸し出しを行っているときには、球貸出ボタンLED1354を点滅させて、遊技球の貸し出しを行っている最中であることを報知する。球貸出ボタンLED1354の点灯中に球貸出ボタン1306が操作されると、所定数の遊技球が上皿1302に貸し出されることとなる。なお、球貸出ボタンLED1354点滅状態のときには球貸出ボタン1306の操作を受け付けない構成とされる。カード返却ボタン1308は、CRユニットに挿入されているカードの返却操作を行うためのボタンである。カード返却スイッチは、カード返却ボタン1308による返却操作を検出するスイッチである。カード返却ボタン1308が操作されると、CRユニットからカードが返却される。
上皿球抜き操作部1380は、回胴式遊技機1010の前面側に露出された球抜きレバーと、回胴式遊技機10の内部側に設けられたレバー操作伝達機構とを備える。球抜きレバーの操作に応じて、レバー操作伝達機構がセレクタ1400の返却シャッタ1420(図26参照)を移動させる。これにより、上皿1302に貯留された遊技球が下皿1128に払い戻されることとなる。
上皿球止め部1360は、遊技球案内路1322の下側に取り付けられ、遊技球案内路1322からセレクタ1400への入口を開閉するものである。詳しくは、上皿球止め部1360は、故障等によりセレクタ1400を取り替える必要が生じたときに、セレクタ1400を取り外しても、上皿1302から遊技球が毀れ落ちないようにする。
セレクタ1400は、上皿1302及びセレクタ1400の上面に貯留されている遊技球を、1ベットボタン1114(図23参照)及びマックベットボタン1304(図23参照)の操作に応じて所定数だけ球式回胴遊技機1010の内部に取り込んだり、上皿球抜き操作部1380(図1参照)の操作に応じて下皿1128に払い戻したりする。具体的には、セレクタ1400は、図25に示されたように、上皿1302の複数の遊技球案内路1322(図26参照)に1つずつ対応した複数の遊技球投入部1410a,1410b,1410c(なお、これらを互いに識別する必要がある場合には、第1の遊技球投入部1410a、第2の遊技球投入部1410b及び第3の遊技球投入部1410cとも称す)と、上皿1302から下皿1128への遊技球の流下を規制する返却シャッタ1420と、返却シャッタ1420の基準位置からの移動の有無を検知する返却スイッチ基板1440と、中空突出部1408を含み返却シャッタ1420の一端及び返却スイッチ基板1440を被覆する基板カバー1450と、中空突出部1480の内部に配置され返却シャッタ1420を基準位置に戻すコイルバネ(図示せず)と、主制御基板1045aと複数の遊技球投入部1410a,1410b,1410cとの間の電気信号の伝達を中継するセレクタ中継端子板1462及びセレクタ中継端子板1462を被覆する中継端子板カバー1464を含むセレクタ中継装置1460とを備えている。このセレクタ1400は、ベット操作に応じた所定数の遊技球を複数の遊技球投入部1410a,1410b,1410cに分散させて同時に投入することによって、単一の遊技球投入部のみを備える場合に比べて投入動作(ベット動作)を迅速に行える。
ここで、上皿球抜き操作部1380、上皿球止め部1360及びセレクタ1400について詳細に説明する。図26は、上皿球止め部1360及びセレクタ1400の一例を後方側から見た縦断面図である。図27は、上皿球抜き操作部1380及びセレクタ1400の一例の一部横断面図である。なお、以下において、遊技球投入部1410b,1410cは、遊技球投入部410aと略同一の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
上皿球止め部1360は、図26に示されたように、ケーシング1361と、ケーシング1361に90度の回転範囲内で回動自在に設けられた軸部材1362と、軸部材1362の端に設けられた図示しない操作ハンドルと、軸部材1362の回動に応じて移動自在な開閉部材1363とを備えている。軸部材1362は、操作ハンドルと反対側の先端に、周方向に概ね90度の間隔を隔てて形成された押圧部1375a,1375bを備える。各押圧部1375a,1375bは舌片状に形成され、それぞれ軸部材1362の半径方向に突出している。開閉部材1363は、複数の球通路1402の各々を閉じるための複数の閉塞部376と、開閉部材を移動させる応力を受ける被押圧部1378a、1378bとを備える。
図26に示された状態は、押圧部1375aが被押圧部1378aを押圧して開閉部材1363が右側に移動させられている状態であり、この状態において、複数の球通路1402の各々への遊技球の流入が許可される。図26に示された状態から操作ハンドルの操作により軸部材1362が図26の紙面上方から見て時計回りに回転させられると、押圧部1375bが略水平方向を向いて開閉部材1363の被押圧部1378bを押圧する。これにより、開閉部材1363が左側に移動して、閉塞部1376が球通路1402の入口の大きさが狭まる。この状態において、複数の球通路1402の各々への遊技球の流入が禁止される。なお、この状態においては、上皿1302及び遊技球案内路1322に遊技球が貯留された状態でセレクタ1400を取り外してもそれらの遊技球は毀れ落ちない。逆に、この状態から操作ハンドルの操作により軸部材1362が反時計回りに回転させられると、複数の球通路1402の各々への遊技球の流入が許可される。
上皿球抜き部1380は、図27に示されたように、CR操作表示部1350を介して上皿ユニット本体1320の下側に取り付けられるベース部1381と、ベース部1381に立設した支軸1382,1383を中心に回動する回動片1384及び押圧片1385と、ベース部1381の前面に沿ってスライドする上皿球抜きレバー1386とを有する。回動片1384の基部1384aには上皿球抜きレバー1386に枢着される連結部1384bを設けてある。また、回動片1384の基部1384aは、コイルバネ1387を介してベース部1381に連結される。回動片1384の先端部には二又状の把持部1384cを設けてある。把持部1384cは、押圧片1385の基部1385aに設けた凸部1385bを摺動自在に把持する部位である。押圧片1385の先端部には、セレクタ1400の返却シャッタ1420を押圧する押圧部1385cを設けてある。セレクタ1400の中空突出部1408には、返却シャッタ1420を押圧片1385側へ押圧するコイルバネを格納してある。
図27に示された状態は、上皿球抜きレバー1386が操作されていない状態である。つまり、コイルバネ1387にて回動片1384が反時計回りに引っ張られると共に、回動片1384にて押圧片1385が時計回りに引っ張られて、押圧部1385cが返却シャッタ1420の片端部から離れている状態である。この状態では、返却シャッタ1420は中空突出部1408の内部に配置されたコイルバネ1430の付勢力により基準位置にある。この状態から上皿球抜きレバー1386を摘んで図の下向き(実際には球式回胴遊技機1010の正面から見て右側から左側)に動かすと、上皿球抜きレバー1386に随伴して回動片1384が時計回りに回転すると共に、回動片1384にて押圧片1385が反時計回りに回転させられ、押圧部1385cが返却シャッタ1420を押圧する。これによって返却シャッタ1420が移動する。この状態で上皿球抜きレバー1386から手を離すと、中空突出部1408に配置されたコイルバネの付勢力によって返却シャッタ1420が前方側へ押圧され、図27に示された状態に戻る。
セレクタ1400は、上記で図25を参照して説明したように、複数の遊技球投入部1410a,1410b,1410cと、返却シャッタ1420と、返却スイッチ基板1440と、基板カバー1450と、返却シャッタ1420を基準位置に戻すコイルバネ(図示せず)と、セレクタ中継装置1460とを備えている。
セレクタ1400の遊技球投入部1410aは、図25に示されたように、ケーシング1411とカバー1412からなる樹脂製の筐体を備える。ケーシング1411の外表面は、隣接する遊技球投入部1410bのカバー1412に対する取付面になっており、遊技球投入部1410aのカバー1412の外表面は、基板カバー1450に対する取付面になっている。ケーシング1411とカバー1412とを組み付けると、球通路1402を構成する樋状部1417が形成される。遊技球投入部1410aは、この筐体の内部に、図26に示されたように、投入フリッカ1413a(媒体流入規制手段の一種)と、投入ソレノイド1414a(流入規制変更手段の一種)と、通過センサ1415aと、カウントセンサ1416aとを備える。また、遊技球投入部1410aの内部には、球通路1402の下流側には、斜め下方へ延びる案内通路1404と、ほぼ鉛直下向きに延びる排出通路1406とが形成されている。
投入フリッカ1413aは、図26に示されたように、球通路1402から排出通路1406への遊技球の流入を規制する。投入フリッカ1413aは、基端側部分1413a1と先端側部分1413a2が支軸1413a3にて回転可能に連結されている。投入フリッカ1413aの基端側部分1413a1及び先端側部分1413a2は、それぞれケーシング1411aの支軸1411a1,1411a2にて回転可能に支持される。投入フリッカ1413aの基端部には、投入ソレノイド1414aの舌片1414a1を把持する把持部1413a4を設けてある。また、投入フリッカ1413aの先端部には、排出通路1406aを開閉するための開閉部1413a5を設けてある。
投入ソレノイド1414aは、ベットボタン1114,1304の操作により通電されて作動し、ピストン(プランジャ)1414a2を上方へ縮まらせるものである。ピストン1414a2の先端には、つまみ部1414a3を装着してある。つまみ部1414a3はピストン1414a2の半径方向に延びる上記舌片1414a1を有する。また、ピストン1414a2には、コイルバネ1414a4を外装してある。コイルバネ1414a4は、投入ソレノイド1414aの本体部分1414a5とつまみ部1414a3とを離間させる方向に付勢している。つまり、投入ソレノイド1414aへの通電を切ったときに、コイルバネ1414a4の付勢力により、ピストン1414a2が下方へ伸びるようになっている。
ベットボタン1114,1304を押すと投入ソレノイド1414aに通電され、ピストン1414a2が縮まって投入フリッカ1413aの基端側部分1413a1を図示上反時計回りに回転させる。これと同時に投入フリッカ1413aの先端側部分1413a2は図示上時計回りに回転して排出通路1406aを開き、球通路1402aに待機している遊技球が自然落下可能な状態となる。逆に、投入ソレノイド1414aの通電を切ると、コイルバネ1414a4の付勢力によりピストン141a2が伸びて投入フリッカ1413aの基端側部分1413a1を図示上時計回りに回転させる。これと同時に投入フリッカ1413aの先端側部分1413a2は図示上反時計回りに回転して開閉部1413a5にて排出通路1406aを閉じ、遊技球が自然落下不可能な状態となる。
通過センサ1415aは、排出通路1406aであって投入フリッカ1413aの開閉部1413a5のすぐ下流側に配置され、遊技球が正常に取り込まれたか否かを検知するためのものである。通過センサ1415aは、投入フリッカ1413aの先端側部分1413a2を取り囲むように横断面略コ字形状とされ、投入フリッカ1413aよりも前面側又は背面側のいずれか一方側に発光素子を設け、他方側に受光素子を設けた構成とされる。また、発光素子及び受光素子はそれぞれ上下一対でかつ遊技球1個分の径よりも短い間隔で設けてある。上側の素子1415a1にて遊技球を検知したのち上側及び下側の素子1415a1,1415a2にて同時に遊技球を検知し、次いで下側の素子1415a2のみ遊技球を検知することが所定時間内に行われたときは、遊技球が正規に取り込まれたと判定される。逆に、上側の素子1415a1にて遊技球を検知したのち所定時間経過しても下側の素子1415a2が遊技球を検知しないときや、下側の素子1415a2にて遊技球を検知したのち上側及び下側の素子1415a1,1415a2にて同時に遊技球を検知し、次いで上側の素子1415a1のみ遊技球を検知したときは、遊技球が不正な手段にて投入されたと判定し、球式回胴遊技機1010にエラーが発生した旨を報知すると共に遊技が禁止されるようになっている。故に、例えば、不正具を用いてあたかも遊技球が取り込まれたようにするなどの不正行為が防止できるようになっている。通過センサ1415aにて正常な通過を検知した遊技球の個数が遊技球投入部1410aにて投入される投入予定数よりも1つ少ない状態(例えば4個、9個又は14個)で上側素子1415a1が最終の遊技球を検知した場合に、投入ソレノイド1414aの通電が切られ、投入フリッカ1413aの開閉部1413a5が排出通路1406に突出し、球通路1402から排出通路1406への遊技球の構成になっている。
カウントセンサ1416aは、遊技球投入部1410aにて投入された遊技球を通過センサ1415aとは別個に計数する。カウントセンサ1416aは、通過センサ1415aとは異なる作用によって遊技球の通過を検出する。カウントセンサ1416aによって計数された遊技球の個数が通過センサ1415aによって正常な通過と判定された遊技球の個数未満である場合には、ベットエラーとされることとなる。これにより不正行為を更に防止できるようになっている。具体的には、通過センサ1415aは光学センサであるが、カウントセンサ1416aは磁気センサである。カウントセンサ1416aとして磁気センサを用いた場合、通過したものが鉄材料であるか否かを判定できる。これにより、正常な遊技球と異なる安価な樹脂製の遊技球等が投入することによって遊技を行う不正行為を更に良好に防止できる。
返却シャッタ1420は、複数の遊技球案内路1322の各々に1つずつ対応した複数の窓孔1422を有し、各窓孔1422の側方に各球通路1402と案内通路1404a,1404b,1404cを遮断する遮断壁1424a,1424b,1424cを有する。また、各窓孔1422a,1422b,1422cの下部には球通路1402a,1402b,1402c側へ延在する舌片1426a,1426b,1426cを設けてある。各舌片1426a,1426b,1426cは、球通路1402a,1402b,1402cから各窓孔1422a,1422b,1422cに遊技球を案内する部位である。上皿球抜きレバー1386が操作されていない場合には、返却シャッタ1420は基準位置にあり、返却シャッタ1420の遮断壁1424にて複数の球通路1402の各々から複数の案内通路1404への遊技球の流入が禁止されている。一方、上皿球抜きレバー1386が操作されて返却シャッタ1420の押圧部1385cが押圧されると、返却シャッタ1420が基準位置から移動し、返却シャッタ1420の各窓孔1422a,1422b,1422cを介しての球通路1402から案内通路1404への遊技球の流入が許可される。これによって、遊技球が上皿1302から案内通路1404a,1404b,1404cを経て下皿1128へ流れる。このとき、返却シャッタ1420の基準位置からの移動が返却スイッチ基板1440の返却スイッチ(図示せず)にて検知され、この検知結果に基づき、1ベットボタン1114及びマックスベットボタン1304の操作受付を不能にする状態が発生する。
セレクタ中継端子板1462は、通過センサ1415aやカウントセンサ1416aの検出結果を後述する主制御装置1045に送信するものである。
(払出ブロックの構成)
払出ブロック1030は、図24に示されたように、前面ブロック1020に対して開閉自在に取り付けられている。払出ブロック1030の開閉軸線は球式回胴遊技機1010の正面からみて左側で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして払出ブロック1030が後方側に十分に開放できるようになっている。払出ブロック1030は、ドア開閉機構1208にて前面ブロック1020とロックされる。詳しくは、ドア開閉機構1208の係止爪1212,1212が払出ブロック1030の係合部1031a,1031aに係止しており、図示しないドアキーをドアキーシリンダ1202に差し込んで左に回転させることで係止爪1212,1212の係止を解除する構成とされる。また、払出ブロック1030は、ワンタッチ式の止め具1031bを有し、この止め具1031bによっても前面ブロック1020と連結される。
図28は払出ブロック1030の一例を表わす部分分解斜視図である。払出ブロック1030は、図28に示されたように、払出ブロック本体1031に、貸出用及び賞球用としての遊技球を貯留する遊技球タンク1032と、遊技球を払い出す払出装置1033と、遊技球タンク1032から払出装置1033へと遊技球を案内するタンクレール1034及びケースレール1035と、払出中継端子板1036と、遊技球の払出動作を制御する払出制御装置1037と、遊技球の電源を制御する電源制御装置1038と、球式回胴遊技機1010を前記CRユニットに接続するためのCRユニット接続端子板1039とを取り付けた構成とされる。
払出ブロック本体1031は、その中央に後方側へ張り出して遊技ブロック1040(図24参照)を被包する保護カバー部1031cと、この保護カバー部1031cを取り囲むように、遊技球タンク1032、タンクレール1034、ケースレール1035、払出装置1033、払出中継端子板1036、CRユニット接続端子板1039、払出制御装置1037及び電源制御装置1038が装着されている。払出ブロック本体1031には、払出装置1033から遊技球を上皿1302へ案内する上皿誘導通路1031dと、払出装置1033から遊技球を下皿1128へ案内する下皿誘導通路1031eと、払出装置1033から遊技球を球式回胴遊技機1010の外部へ排出する排出通路1031fが形成されている。下皿誘導通路1031eは、上皿誘導通路1031dが遊技球で溢れたときに、払出装置1033から遊技球が導入される。上皿誘導通路1031d及び下皿誘導通路1031eは、それぞれ、上皿払出口1312及び下皿払出口1138に連通している。
払出ブロック本体1031には、回転軸部1031gは上下一対で設けてある。各回転軸部1031gは、払出ブロック本体1031からブラケット1031hが略水平方向に延び出しており、このブラケット1031hから下方に突出している。前面ブロック1020には、この回転軸部1031gを落とし込む環状の軸受部(図示略)を設けてあり、前面ブロック1020と払出ブロック1030の着脱が容易な構成となっている。
遊技球タンク1032は、上方に開口した横長の箱型容器で、遊技機設置島内の遊技球循環設備から供給される遊技球が逐次補給される。遊技球タンク1032の底部は緩やかに傾斜している。遊技球タンク1032の底部の下流側端部はタンクレール1034へ遊技球を送るために開口している。
タンクレール1034は、遊技球タンク1032の下方に取り付けられ、横方向4列の樋状通路(図示せず)を有する。樋状通路は、下流側に向けて緩やかに傾斜している。タンクレール1034には、遊技球が積み重なって流れないように整流する4つの振り子1034a,1034bが2行2列で取り付けられている。振り子1034a,1034bの下流側には、タンクレール1034からケースレール1035へ遊技球が流れるのを阻止するための球止めレバー1034cを取り付けてある。
ケースレール1035は、タンクレール1034の下流側に縦向きに配置されている。ケースレール1035は、遊技球が勢いよく流れないように波状のうねりをもって左右に湾曲した球通路1035aを有し、その上部には、球切れ検出装置35bを組み付けてある。球切れ検出装置1035bは、ケースレール1035の内部に遊技球が十分にないこと、つまりケースレール1035よりも上流側で球詰りが発生してケースレール1035に遊技球が十分に補給されていないことを検出する。この球切れ検出装置1035bの検出結果に基づき、球詰りエラーが報知される。なお、ケースレール1035は、タンクレール1034の樋状通路の個数に対応して前後方向に複数(例えば4つ)連結させた状態で配設してある。
払出装置1033は、所定の入賞条件を満たすことで、或いは図示しないCRユニットにカードを挿入した状態で球貸出ボタン1306を押すことで、所定数の遊技球を払い出すためのものである。この実施形態では、パチンコ機の最大の賞球数が15球であるのに対し、球式回胴遊技機1010の最大の賞球数は75球であり、パチンコ機に比べて球式回胴遊技機10の最大の賞球数が多いという観点から、パチンコ機よりも払出装置1033を多く設け、賞球の払い出しを迅速に行えるようにしている。つまり、パチンコ機は2つの払出装置1033を備えていれば遊技を迅速に進行できたが、球式回胴遊技機1010の場合は賞球数が多くかつ賞球が全て払い出されなければ次のゲームを開始できないという制約があるので、本実施形態では、4つの払出装置1033を前後方向に併設して賞球の払い出しの迅速化を図り、遊技を遅滞なく進行できるようにしてある。
取付台1036a,1036bは、2つ割りの構成とされ、上皿誘導通路1031d及び下皿誘導通路1031eに連なる球通路1036a1,1036b1を有し、右側に排出通路1031fに連なる球通路1036a2,1036b2を有する。一方の球通路1036a1,1036b1の上部は、それぞれ上皿誘導通路1031d側にやや傾いて下皿誘導通路1031eよりも上皿誘導通路1031dに遊技球を導きやすくなっている。また、一方の球通路1036a1,1036b1の下部は、上皿誘導通路1031d及び下皿誘導通路1031eを跨ぐように、テーパー状に末広がりとなっている。他方の球通路1036a2,1036b2は、背面側の球通路1036a2が前面側の球通路1036b2に合流し、前面側で排出通路1031fに連なるよう構成されている。
図29(a)〜(c)は払出装置1033の構成の一例を示す縦断面図である。図29(a)が払出中でない場合、図29(b)が上皿へ遊技球を払出中である場合、図29(c)が遊技機の外部へ遊技球を排出中である場合を表わしている。
払出装置1033は、図29(a)に示されたように、ケーシング1033aと図示しないカバーからなる樹脂製の筐体を有し、この筐体の内部に、払出フリッカ1033bと、払出ソレノイド1033cと、切換片1033gとを備える。ケーシング1033aの内部には、球通路1033dと、球通路1033dの下流側でほぼ鉛直下向きに延びる払出通路1033eと、払出通路1033eの途中から分岐して斜め下方へ延びる排出通路1033fとが形成されている。切替片1033gは、払出通路1033eから排出通路1033fへの分岐部に配設されている。通常は切替片1033gはほぼ鉛直上向きに維持されているために、遊技球は排出通路1033fには流入しない。
払出フリッカ1033bは、球通路1033dを開閉するための部材である。払出フリッカ1033bは、基端側部分1033b1と先端側部分1033b2が支軸1033b3にて回転可能に連結されている。払出フリッカ1033bの基端側部分1033b1及び先端側部分1033b2は、それぞれケーシング1033aの支軸1033a1,1033a2にて回転可能に支持される。払出フリッカ1033bの基端部には、払出ソレノイド1033cの舌片1033c1を把持する把持部1033b4を設けてある。また、払出フリッカ1033bの先端部には、球通路1033dを開閉するための開閉部1033b5を設けてある。
払出ソレノイド1033cは、所定の入賞条件を満たすことにより、或いは図示しないCRユニットにカードを挿入した状態で球貸出ボタン1306を押すことにより通電されて作動し、ピストン(プランジャ)1033c2を上方へ縮まらせるものである。ピストン1033c2の先端には、つまみ部1033c3を装着してある。つまみ部1033c3はピストン1033c2の半径方向に延びる上記舌片1033c1を有する。また、ピストン1033c2には、コイルバネ1033c4を外装してある。コイルバネ1033c4は、払出ソレノイド1033cの本体部分1033c5とつまみ部1033c3とを離間させる方向に付勢している。つまり、払出ソレノイド1033cへの通電を切ったときには、ピストン1033c2は、コイルバネ1033c4の付勢力により下方へ移動する。
図29(a)に示すように、球通路1033dが払出フリッカ1033bの開閉部1033b5にて閉鎖された状態で、所定の入賞条件が成立したり、或いは度数表示部1352に残度数がある状態で球貸出ボタン1306が押されたりすると、払出ソレノイド1033cに通電される。そうすると、図29(b)に示すように、ピストン1033c2が縮まって払出フリッカ1033bの基端側部分1033b1を図示上反時計回りに回転させる。これと同時に払出フリッカ1033bの先端側部分1033b2は図示上時計回りに回転して球通路1033dを開き、遊技球が自然落下可能な状態となる。逆に、払出ソレノイド1033cの通電を切ると、コイルバネ1033c4の付勢力によりピストン1033c2が伸びて払出フリッカ1033bの基端側部分1033b1を図示上時計回りに回転させる。これと同時に払出フリッカ1033bの先端側部分1033b2は図示上反時計回りに回転して球通路1033dを閉じ、遊技球が自然落下不可能な状態、つまり図29(a)に示す状態に戻る。
また、払出装置1033には、横断面略コ字形状のカウントセンサ1033hを装着してある。カウントセンサ1033hは、払出フリッカ1033bの開閉部1033b5のすぐ下流側に配置され、球通路1033dを落下する遊技球を計数するためのものである。カウントセンサ1033hにて検知した遊技球の個数が所定値(例えば35個、75個、125個又は250個)に達すると、払出ソレノイド1033cの通電が切られ、払出フリッカ1033bにて球通路33dを閉鎖する構成になっている。
また、払出ソレノイド1033cの下方には、つまみ部1033c3を上下動させるための略L字形状の押圧片1033iを設けてある。押圧片1033iは、ケーシング1033aの支軸1033a3に回転自在に取り付けられており、先端部1033i1にてつまみ部1033c3を上方へ押圧するものである。
ケーシング1033aの外部には、略扇形状の操作レバー1033j(図28参照)を配設してある。図7B(a)〜図7B(c)において、符号33a4は操作レバー1033jの回転軸である。操作レバー1033jには、切替片1033gの中間部に設けた突起部1033g1と、押圧片1033iの基端部に設けた突起部1033i2とを連結してある。つまり、操作レバー1033jを回転操作すると、切替片1033gと押圧片1033iが連動する構成になっている。操作レバー1033jを図示上反時計回りに操作すると、図29(c)に示すように、切替片1033gにて払出通路1033eが閉鎖されると共に球通路1033dと排出通路1033fが連通する。一方で、押圧片1033iにて払出ソレノイド1033cのつまみ部1033c3が押し上げられ、払出フリッカ1033bが球通路1033dを開く。タンクレール1034に設けた球止めレバー1034cにて遊技球が流れるのを阻止しつつ操作レバー1033jを上記の如く操作すると、球止めレバー1034cから下流側の遊技球が球式回胴遊技機1010の外部に排出される。払出装置1033やケースレール1034が故障した場合には、上記のように球止めレバー1034cから下流側の遊技球を球式回胴遊技機1010の外部に排出した状態で払出装置1033やケースレール1034(図28参照)を取り替えることができる。
図28に示された払出制御装置1037、電源制御装置1038及びCRユニット接続端子板1039について説明する。払出制御装置1037は、賞球や貸出球の払い出しを制御するもので、周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む払出制御基板1037a(図34参照)を具備している。
電源制御装置1038は、各種制御装置等で要する所定の電源電圧を生成し出力するものである。また、電源制御装置1038には、電源制御基板1038’と、電源スイッチ1038aと、RAM消去用のリセットスイッチ1038b、打止切替スイッチ1038c、及び、設定変更キーシリンダ(図示せず)が設けられている。電源スイッチ1038aは、オンされるとCPUを始めとする各部に電源を供給する。リセットスイッチ1038bはこれを押しながら同時に電源スイッチ1038aをオンするとRAMの内容がリセットされ、電源スイッチ1038aがオンされている状態で押されるとエラー状態がリセットされる。打止切替スイッチ1038cは、ビッグボーナスの終了時点で遊技を一時停止するか否かを切り替えるためのものである。設定変更キーシリンダ1038dは、設定変更装置を構成するものである。前記設定変更装置は、球式回胴遊技機1010の出球率が予め複数段階(例えば6段階)に定められており、出球率をいずれかの段階に設定するものである。設定変更の手順は次の通りである。まず、電源スイッチ1038aをオフにした状態で、設定変更キーシリンダに図示しない設定変更キーを挿入して時計回りに90度回転させる。この状態で、電源スイッチ1038aをオンにすると、後述する遊技ブロック1040の前面の7セグメントLED表示部1041g(図31参照)に現在の出球率(設定)が数値「1」〜「6」のいずれかで表示される。次いで、リセットスイッチ1038bを押していくと、7セグメントLED表示部1041gに表示される数字が変化して1ずつ増加していく(但し、「6」の場合には「1」に戻る。)。7セグメントLED表示部1041gに「1」〜「6」のいずれかの数字を表示させた状態で、始動レバー1124(図1参照)を押下すると、出球率(設定)が確定される。
CRユニット接続端子板1039は、球式回胴遊技機1010の前面の球貸出ボタン1306(図1参照)及び図示しないCRユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置1037に出力するものである。なお、CRユニットを介さずに球貸し装置等から上皿1302(図1参照)に遊技球が直接貸し出される現金機では、CRユニット接続端子板39は不要である。
払出制御装置1037及び電源制御装置1038は、透明樹脂材料等よりなる基板ケースにそれぞれ制御基板を収容した構成とされる。
(遊技ブロックの構成)
遊技ブロック1040は、図24に示されたように、前面ブロック1020に対して開閉自在に取り付けられている。遊技ブロック1040の開閉軸線は払出ブロック1030の開閉軸線と同じで、払出ブロック1030と同様に、落とし込み構造にて開閉自在及び着脱自在に取り付けてある。また、遊技ブロック1040は、ワンタッチ式の止め具1040aを有し、この止め具1040aによって払出ブロック1030と連結固定される。なお、払出ブロック1030側には、止め具1040aを引っ掛けるための止め金具1031iを固着してある。つまり、遊技ブロック1040は、払出ブロック1030と一体になって前面ブロック1020に対して開閉され、払出ブロック1030との連結を解除してから払出ブロック1030に対して前方側へ回動する構成とされる。遊技ブロック1040は、球式回胴遊技機1010の中核をなす主要なブロックで、このような遊技ブロック1040を上記の如く着脱容易な構成とすることで、遊技ブロック1040の取り替えが可能となる。遊技ブロック1040を取り替えることで、全く別の遊技性をもった遊技機に変えることができ、遊技機の新台入替えの低コスト化を図ることができる。
図30は遊技ブロック1040の分解斜視図である。遊技ブロック1040は、図30に示されたように、前面パネル1100の窓孔1102(図23参照)を介して視認される遊技パネル1041を有する。遊技パネル1041は、上下一対の窓孔1041a,1041bを含む。上側の窓孔1041aに対応して遊技パネル1041の裏側に液晶表示装置1042が取り付けられており、液晶表示装置1042の表示画面は上側の窓孔1041aを介して視認できる。また、下側の窓孔1041bに対応して遊技パネル1041の裏側に回胴ユニット1043が取り付けられており、回胴ユニット1043による図柄表示が下側の窓孔1041bを介して視認できる。また、遊技パネル1041の裏側には、回胴ユニット1043の一側方に主取付台1044を介して主制御装置1045が取り付けられ、液晶表示装置1042の後方に副取付台1046を介して副制御装置1047が取り付けられている。主制御装置1045は、遊技パネル1041と直交するように縦長状に配置される。
図31は遊技ブロック1040の正面図である。なお、図31では便宜上回胴ユニット1043から複数(例えば21個)の図柄を一列に付した、図11に示す帯状の図柄シール1043L,1043M,1043Rを取り外した状態を示している。
遊技パネル1041の下側の窓孔1041bからは、各回胴L,M,Rに貼り付けられる図柄シール1043L,1043M,1043R(図33参照)の図柄のうちそれぞれ3つずつ下側の窓孔1041bから露出される。なお、図31においては、左右一対の9組のLED1043L1,1043M1,1043R1が3行3列で露出している。
遊技パネル1041の下側の窓孔1041bの左側方には、有効ライン表示部1041cを設けてある。有効ライン表示部1041cは、1ベット表示部1041c1と、その上下に配置された2ベット表示部1041c2,1041c2と、最上段と最下段に配置された3ベット表示部1041c3,1041c3とを含む。遊技球のベット数に応じて、所定のベット表示部1041c1〜1041c3が点灯する。
遊技パネル1041の上側の窓孔1041aの両側には、電動役物1041d,1041eが配設されている。また、下側の窓孔1041bの右側方には、上から順に、電動役物1041f、7セグメントLED表示部1041g、LED表示部1041hが配設されている。これらの電動役物1041d,1041e,1041fは、遊技上の演出やビッグボーナス又はレギュラーボーナスの確定報知などに使用される。7セグメントLED表示部1041gは、遊技球のベット数や払出数、エラーコード、ボーナス中の総払出数、設定変更時の6段階の設定などを表示する部位である。LED表示部1041hには、4つのLEDが配設されている。そのうち上3つのLEDはベット数表示部1041h1を構成する。ベット数表示部1041h1は、セレクタ1400に投入された遊技球数に対応する個数のLEDを点灯させてベット数を1〜3の範囲内で表示するものである。残る1つのLEDは、再遊技表示部1041h2である。再遊技表示部1041h2は、図33に示す図柄シール1043L,1043M,1043Rの図柄のうち略扇形の枠に「再」と表示したリプレイ図柄が有効ライン上に揃ったときに点灯し、次のゲームを遊技球のベットなしで遊技できることを報知するものである。なお、リプレイ図柄が有効ライン上に揃ったのち所定時間経過後に始動レバー1124を押下すると回胴L,M,Rの回転に伴って、再遊技表示部1041h2は消灯する。
また、下側の窓孔1041bの下方には、中央パネル部1112から露出される情報掲載パネル(図示せず)が取り付けられる。この情報掲載パネルの片端には、証紙1041iと型式名シール1041jが貼付される。また、この情報掲載パネルの内側には、破線で示すように、前記情報掲載パネルを後方側から照らすための蛍光灯1041kが配設される。
液晶表示装置1042は、通常遊技中の小役当選の報知演出や遊技状態が通常遊技状態からボーナス状態に遷移することを示唆するための示唆演出、ビッグボーナス又はレギュラーボーナス中の演出、ボーナス中の小役ゲーム数やJACゲーム数の表示、特定の遊技状態(例えば、リプレイが当選しやすいRT状態)であることを報知する演出、回胴停止ボタン1126L,1126M,1126Rの押下のタイミングや押下順を報知する演出などを行う。
図32は、回胴ユニット1043の一例の部分解斜視図である。回胴ユニット1043は、図32に示されたように、3つの回胴(いわゆるリール)L,M,Rを有し、各回胴L,M,Rを回胴ユニット枠1043aに収納したものである。各回胴L,M,Rは、実質的に同一の構成であるために、右回胴Rを例に挙げて説明する。
右回胴Rは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材1043R2の外周面に21個の図柄(識別要素)が等間隔で描かれた図柄シール1043Rを巻き付けたものであり、円筒骨格部材1043R2を円盤状の補強板1043R3を介して右回胴用ステッピングモータ1043R4の回転軸1043R5に取り付けてある。
右回胴用ステッピングモータ1043R4は、回胴ユニット枠1043aの内部に垂設されるモータプレート1043R6にネジ止めされており、このモータプレート1043R6には発光素子と受光素子とが一対となった回胴位置検出センサ1043R7が設置されている。回胴位置検出センサ1043R7を構成する一対のフォトセンサ(図示はしない)は、所定の間隔を保持してセンサ筐体内に配される。
円筒骨格部材1043R2の5つの車輻1043R8のうちの1つには、軸方向に延び出したセンサカットバン1043R9を取り付けてある。この10センサカットバン43R9は、回胴位置検出センサ1043R7の両素子の間隙を通過できるように位置合わせがなされている。そして、右回胴Rが1回転するごとにセンサカットバン1043R9の先端部の通過を回胴位置検出センサ1043R7が検出し、検出の都度主制御装置1045に検出信号を出力する。主制御装置1045はこの検出信号に基づいて右回胴Rの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。なお、各回胴L,M,Rに巻かれる図柄シール43L,43M,43Rは、それぞれに描かれた図柄の順序や発生頻度が異なったものが使用される。
ステッピングモータ1043R4は、504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)により右回胴Rが1周するように設定されており、この励磁パルスによって回転位置が制御される。すなわち、右回胴Rが1周すると21図柄が順々に遊技パネル41の下側の窓孔1041bから露出するため、ある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、回胴位置検出センサ1043R7の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が窓孔1041bから露出しているかを認識したり、任意の図柄を窓孔1041bから露出させたりする制御を行うことができる。ステッピングモータ1043R4として、この実施形態では、1−2相励磁方式を採用したハイブリッド(HB)型の2相ステッピングモータを使用している。ステッピングモータ1043R4はハイブリッド型や2相に限らず、2相あるいは5相のステッピングモータなど、種々のステッピングモータを使用することができる。ステッピングモータ1043R4に対する駆動信号(駆動信号用データ)は、励磁データとしてモータドライバ70に与えられる。
主制御装置1045は、球式回胴遊技機1010の主たる制御を司るもので、具体的には、始動レバー1124からの信号を受信して成立役(ビッグボーナス、レギュラーボーナス、小役、リプレイ)の抽選を行い、当該抽選結果に基づき副制御装置1047及び払出制御装置1037に指令信号を発する。主制御装置1045の構成は、図34に示すように、主たる制御を司るCPU1045a1、遊技プログラムを記憶したROM1045a2、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM1045a3、各種機器との連絡をとる入出力ポート1045a4、各種抽選の際に用いられる乱数発生回路1045a5、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路1045a6等を含む主制御基板1045aと、この主制御基板1045aを収容する透明樹脂材料等よりなる基板ケース1045b(1045b1,1045b2)(図30参照)とからなる。
副制御装置1047は、主制御装置1045から発せられる指令信号(コマンド)に基づき、LEDカバー部104(図23参照)等の各種LEDカバー部にて被覆される図示しない遊技演出用の発光装置(LED)の点灯・点滅や上下スピーカ1106,1204(図23参照)から発せられる効果音、液晶表示装置1042にて表示される表示態様などの制御を行う。副制御装置1047の構成は、主制御装置1045と同様、上記の各種LED、上下スピーカ1106,1204及び液晶表示装置1042の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、入出力ポート等を含む副制御基板1047aと、この副制御基板1047aを収容する透明樹脂材料等よりなる基板ケース1047b(1047b1,1047b2)とからなる。
(球式回胴遊技機の制御系)
球式回胴遊技機1010の制御系について説明する。図34は球式回胴遊技機10の制御系を示すブロック図である。
主制御基板1045aは、図34に示すように、演算処理手段であるCPU1045a1を中心とするマイクロコンピュータとして構成された制御手段として機能し、処理プログラムを記憶するROM(あるいはフラッシュメモリ)1045a2、一時的にデータを記憶する作業用(ワーキング用)のRAM1045a3、入出力ポート1045a4などが内部バスを介してこのCPU1045a1に接続されている。
主制御基板1045aの入出力ポート1045a4には、リセットスイッチ1038bからのリセット信号、設定キースイッチ1038d1からの設定信号、ベットボタン1114からの1ベット信号、マックスベットボタン1304からの最大ベット信号、セレクタ1400に取り込まれた遊技球を検出するカウントセンサ1416a1,1416b1,1416c1からの補助通過検出信号、セレクタ1400に取り込まれた遊技球を検出する通過センサ1415a,1415b,1415cにおける上側の素子1415a1,1415b1,1415c1からの上流通過検出信号及び通過センサ1415a,1415b,1415cにおける下側の素子通過センサ1415a2,1415b2,1415c2からの下流通過検出信号、始動レバー1124からの変動開始信号、左、中、右回胴停止ボタン1126L,1126M,1126Rからの停止信号、回胴位置検出センサ1043L7,1043M7,1043R7からの検出信号、払出装置1033から払い出される遊技球を検出するカウントセンサ1033hからのカウントスイッチ信号に基づくカウント信号、ケースレール1035内の遊技球を検出する球切れ検出装置1035bからの遊技球検出信号、払出期間中を表す払出中信号などが入力される。
また、主制御基板1045aの入出力ポート1045a4からは、ベットボタン1114,1304からのベット信号に基づく投入ソレノイド1414a,1414b,1414cの駆動信号、通過センサ1415a,1415b,1415cの計数値に基づく投入ソレノイド1414a,1414b,1414cの駆動停止信号、始動レバー1124からの変動開始信号及び回胴停止ボタン1126L,1126M,1126Rからの停止指令信号に基づく回胴用ステッピングモータ1043L4,1043M4,1043R4の駆動信号などが出力される。また、液晶表示装置1042にて表示される演出内容やスピーカ1106,1204から発せられる効果音、上LEDカバー部1104等で被覆された各種発光装置(LED)の点灯・点滅などを制御する制御信号が副制御基板1047aに出力される。
上述したCPU1045a1は、このCPU1045a1によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM1045a2と、このROM1045a2内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのワーキング用のRAM1045a3の他に、図示はしないが周知のように割り込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路など球式回胴遊技機1010において必要な各種の処理回路が内蔵されている。
ROM1045a2とRAM1045a3とによってメインメモリが構成され、各種の処理を実行するための処理プログラム(出力制御情報生成用処理プログラムを含む)は、処理プログラムの一部として上述したROM1045a2に記憶されている。RAM1045a3内は、機能的には複数の作業エリアが確保されている。周知のようにCPU1045a1内に設けられたプログラムカウンタの値を保存するためのスタックメモリ(スタックメモリ用のエリア)の他に、この例では停電フラグを記憶する停電フラグメモリ、スタックポインタを保存するスタックポインタ保存用メモリ、RAM45a3に保存されているデータのチェックサムに関連した補正値を保存するチェックサム補正値用メモリ、さらには復電時に使用される復電コマンドバッファや復電コマンドカウンタなどのメモリエリアが確保されている。
入出力ポート1045a4には、副制御基板1047aなどのI/O装置の他に、ホール管理者用のコンピュータ等の遊技機管理装置(図示せず)や外部情報表示装置などに情報を送信できる外部集中端子板や、電源制御基板1038’に設けられた停電監視回路1038f、さらには投入ソレノイド1414a,1414b,1414cや払出制御基板1037aなどが電気的に接続されている。
電源制御基板1038’には、主制御基板1045aを始めとして球式回胴遊技機1010の各電子機器に駆動電力を供給する電源部1038eや、上述した停電監視回路1038fなどが搭載されている。停電監視回路1038fは電源の切断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ1038aによる電源切断時に停電信号を生成する。そのため停電監視回路1038fは、電源部1038eから出力される直流24ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば22ボルト未満まで低下したときに電源が切断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はCPU1045a1と入出力ポート1045a4のそれぞれに供給され、CPU1045a1ではこの停電信号を認識することで、停電時処理が実行される。電源部1038eからは出力電圧が22ボルト未満まで低下した場合でも、主制御基板1045aなどの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されており、この安定化電圧が出力されている時間として、主制御基板1045aによる停電時処理を実行するのに十分な時間が確保されている。
また、主制御基板1045aは、電源部1038eから安定化駆動電圧が供給されるのと同時にリセットスイッチ1038bからリセット信号が送信されると、RAM1045a3に書き込まれた情報を消去し、電源部1038eから安定化駆動電圧が供給されている状態でリセットスイッチ1038bからリセット信号が送信されると、エラー状態をリセットする。
さらに、電源オフ時に設定キースイッチ1038d1をオンにしてから電源オンにした状態、つまり電源オフ時に設定変更キーシリンダ1038dに設定キーを差し込んで回転させてから電源オンにした状態にすると、球式回胴遊技機10の出球率を変更可能な状態が発生する。この状態で、リセットスイッチ1038bからリセット信号が送信されると、球式回胴遊技機1010のボーナス確率や小役確率を変更し、当該変更結果を設定値「1」〜「6」の数字で7セグLED表示部1041g(図27参照)に出力する。そして、7セグLED表示部1041gに「1」〜「6」のいずれかの数字を表示させた状態で、始動レバー1124から設定確定信号を受信すると、球式回胴遊技機1010の出球率(設定)を確定する。
払出制御基板1037aは、概ね主制御基板1045aと同様の構成であり、CPUを備え、処理プログラムを記憶するROM(あるいはフラッシュメモリ)、一時的にデータを記憶する作業用(ワーキング用)のRAM、入出力ポートなどが内部バスを介してこのCPUに接続されている。
主制御基板1045aにおいて実行される制御処理について説明する。主制御基板1045aの制御処理は、外部電力の供給再開や電源スイッチ1038aのオン操作等による復電に伴って起動されるメイン処理と、メイン処理に対して割り込みをかける割込み処理とに大別される。説明の便宜上、割り込み処理について説明した後に、メイン処理について説明する。なお、割込み処理としては、NMI端子における停電信号の受信に応じて割込みをかける停電割込み処理と、タイマによる時間計測によって定期的に割込みをかけるタイマ割込み処理とがある。
まず、停電割込み処理について説明する。停電状態が発生した場合、電源制御基板1038’の停電監視回路1038fで停電信号が生成され、主制御基板1045aに対して出力される。主制御基板1045aにおいては、CPU1045a1のNMI端子が停電信号を受信し、停電信号の受信に応じて停電フラグを設定する図示しない割込み処理(以下、「停電割込み処理」と称する)が実行される。停電割込み処理においては、まず、現在使用しているレジスタのデータをRAM1045a3内のバックアップ領域に退避させる(「レジスタ退避処理」)。レジスタ退避処理の後に、停電フラグが設定される(「停電フラグ設定処理」)。停電フラグは、RAM45a3内の特定の領域に保持される停電状態の発生を表す情報である。停電フラグ設定処理の後に、自身の割込みにおける処理の終了がCPU45a1に知らせられる(「割込み終了宣言処理」)。割込み終了宣言処理の後に、レジスタ退避処理においてRAM1045a3のバックアップ領域に退避させたレジスタのデータをCPU45a1のレジスタに復帰させる(「レジスタ復帰処理」)。レジスタ復帰処理の後に、新たな割込みが許可される(「割込み許可処理」)。割込み許可処理の完了によって停電割込み処理が終了する。なお、使用中のレジスタのデータを破壊せずに停電フラグ設定処理が行える場合には、レジスタ退避処理及びレジスタ復帰処理を省くことができる。
次に、タイマ割込み処理について説明する。図35は、主制御基板45aにおけるタイマ割り込み処理の一例を表すフローチャートである。主制御基板45aにおいては、定期的にタイマ割込み処理が行われる。本形態においては、タイマ割込み処理は、実質的に1.49ms[ミリ秒]の周期で行われる。
タイマ割込み処理において、まず、後述するメイン処理における通常処理で使用している全てのレジスタの情報が、RAM1045a3のバックアップ領域に格納される(「レジスタ退避処理」S2101)。レジスタ退避処理S2101の後に、停電フラグが設定されているか否かが確認される(S2102)。停電フラグが設定されている場合には、バックアップ処理S2103が実行される。
バックアップ処理S2103では、まず、リングバッファに蓄積されている各種のコマンドの送信が終了しているか否かが判定される。それらのコマンドの送信が終了していない場合には、バックアップ処理S2103が一旦終了されて、制御がタイマ割込み処理に復帰する。なお、これは、バックアップ処理S2103の開始前に、コマンドの送信を完了させるための制御である。一方、それらのコマンドの送信が完了している場合には、CPU1045a1のスタックポインタの値が、RAM1045a3内のバックアップ領域に保存される(「スタックポインタ保存処理」)。スタックポインタ保存処理S2102の後に、後述するRAM判定値がクリアされると共に、入出力ポート45a4における出力ポートの出力状態がクリアされて図示しない全てのアクチュエータがオフ状態になる(「停止処理」)。停止処理の後に、RAM判定値が新たに算出されてバックアップ領域に保存される(「RAM判定値保存処理」)。RAM判定値は、RAM1045a3のワーク領域におけるチェックサム値の2の補数である。ここで、チックサム値の2の補数とは、2進数表現においてチェックサム値の各桁(ビット)を反転した場合に生成される値である。この場合、RAM1045a3のチェックサム値とRAM判定値との排他的論理和(「FFFF」)に1加算した値は「0」である。本形態では、RAM判定値としてチェックサム値の補数を用いたが、本発明においては、RAM判定値としてチェックサム値そのものを用いてもよい。RAM判定値保存処理S304の後に、RAM1045a3へのアクセスが禁止される(「RAMアクセス禁止処理」)。その後は、内部電力の完全な遮断によって処理が実行できなくなるのに備えて、無限ループに入る。なお、例えばノイズ等に起因して停電フラグが誤って設定される場合等を考慮して、図示しないが、無限ループに入る前には停電信号がまだ入力されているか否かが確認される。停電信号が出力されていなければ、内部電源が復旧していることになるために、RAM1045a3の書き込みが許可されると共に停電フラグが解除され、タイマ割込み処理に復帰する。一方、停電信号が継続して入力されていれば、そのまま無限ループに入る(図示せず)。
上記のように、バックアップ処理S2103の初期段階でコマンドの送信が完了しているか否かが判断され、それらの送信が未完であるときには送信処理を優先させている。コマンドの送信処理終了後にバックアップ処理S2103を実行する構成とすることにより、コマンドの送信途中でバックアップ処理が実行されることをも考慮した停電時処理プログラムを構築する必要がなくなる。その結果、停電時の処理に関するプログラムを簡略化してROM1045a2の小容量化を図ることができる。
電源制御基板1038’の電源部1038eは、停電状態が発生した後においても、停電割込み処理及びバックアップ処理を完了するために十分な時間にわたって、制御系の駆動電力として使用されるバックアップ電力を出力する。このバックアップ電力によって、停電割込み処理及びタイマ割込み処理のバックアップ処理が行われる。本形態では、停電発生後の30ms[ミリ秒]の間、バックアップ電力が出力され続けるようになっている。
タイマ割込み処理の説明に戻り、図35に示されたように、判定処理S2102において停電フラグが設定されていないと判定された場合には、誤動作の発生を監視するためのウォッチドッグタイマが初期化され、CPU1045a1自身に対して割込み許可が出される(「割込み終了宣言処理」S2104)。割込み終了宣言処理S2104の後に、左駆動停止フラグ、中駆動停止フラグ及び右駆動停止フラグを参照して、各回胴(L,M,R)を回転させるために各ステッピングモータ(43L4,43M4,43R4)に回胴駆動信号が送信される(「ステッピングモータ制御処理」S2105)。具体的には、左駆動停止フラグが設定されていなければ、左回胴Lのステッピングモータ43L4に回胴駆動信号を送信する。中回胴M及び右回胴Rについても左回胴Lの場合と同様である。ステッピングモータ制御処理S2105の後に、入出力ポート1045a4に接続された各種の装置におけるスイッチの状態変化が監視される(「スイッチ読込処理」S2106)。スイッチ読込処理S2106の後に入出力ポート1045a4に接続された各種の装置におけるセンサの状態変化が監視される(「センサ監視処理」S2107)。
センサ監視処理S2107の後に、払出制御基板1037aからの払出ソレノイド作動異常コマンドが受信されているか否かを判定して、受信されている場合には、副制御基板1047aに転送するために払出ソレノイド作動異常コマンドを再設定すると共にエラー処理を実行し、受信されていない場合には、本処理を終了する(「ソレノイド作動監視処理」S2108)。
ソレノイド作動異常監視処理S2108の後に、各種のカウンタの値や各種のタイマの値が減算される(「タイマ減算処理」S2109)。タイマ減算処理S2109の後に、差球数(ベット総数と獲得総数との差分)を集計するためにベット数や獲得球数が、外部集中端子板へ出力される(「差球カウント処理」S2110)。
差球カウント処理S2110の後に、リングバッファに蓄積された各種のコマンドが、副制御基板47aに送信される(「コマンド出力処理」S2111)。コマンド出力処理S2111の後に、7セグメントLED表示部1041g、獲得数表示装置等に表示されるセグメントデータが設定される(「セグメントデータ設定処理」S2112)。セグメントデータ設定処理S2112で設定されたセグメントデータが7セグLED表示部1041g等のうち所定のセグメントデータ表示装置に送信される(「セグメントデータ表示処理」S2113)。これにより、7セグメントLED表示部1041g等は、受信したセグメントデータに対応する数字、文字、記号などを表示する。入出力ポート1045a4からI/O装置へのデータが出力される(「ポート出力処理」S2114)。ポート出力処理S2114の後に、レジスタ退避処理S2101においてバックアップ領域に退避させた各レジスタのデータがそれぞれCPU1045a1内の対応するレジスタに復帰される(「レジスタ復帰処理」S2115)。レジスタ復帰処理S2115の後に、次回のタイマ割込みが許可される(「割込み許可処理」S2116)。以上の処理を経て一連のタイマ割込み処理が終了する。
主制御基板1045aにおけるメイン処理について説明する。図36は、主制御基板1045aのメイン処理を表すフローチャートである。主制御基板1045aのメイン処理は、停電状態から復帰した場合に実行される。
主制御基板1045aのメイン処理では、まず、スタックポインタの初期値が設定される(「スタックポインタ初期設定処理」S2201)。スタックポインタ初期設定処理S1201の後に、割込み処理を許可する割込みモードが設定される(「割込みモード設定処理」S2202)。割込みモード設定処理S2202の後に、CPU45a1内のレジスタ群やI/O装置等に対する各種の設定等が行われる(「レジスタ設定処理」S1203)。
レジスタ設定処理S2203の後に、設定キーが設定キースイッチ1038d1に挿入され、所定の操作(右回転操作等)がされているか否かが判定される(S2204)。設定キー操作がされていると判定された場合には、所定の複数種類の確率設定(本形態では「設定1」〜「設定6」の6段階設定)のうちから選択される1つの確率設定の設定値を保持する所定の領域を除くRAM1045a3の全領域のデータが、強制的にクリアされる(「強制的RAMクリア処理」S2205)。強制的RAMクリア処理S2205の後に、現在の設定値の再設定(設定の打ち直し)を行うことができる(「確率設定選択処理」S2206)。なお、設定値の変更においては、リセットスイッチ1038bの操作及び始動レバー1124の操作が援用される。確率設定選択処理S2206の後に、通常遊技処理へ移行する。
判定処理S2204において設定キースイッチ1038d1の操作がされていないと判定された場合には、選択されている確率設定の設定値が所定の範囲(「1」〜「6」)内の値であるか否かが判定される(S2207)。なお、停電状態の発生時から停電状態からの復帰時までの間に、RAM45a3が機械的又は電気的に破壊される等の異常事態が発生しない限り、設定値は所定の範囲内の値しかとらない。設定値が所定の範囲内の値である場合には、停電フラグが設定されているか否かが判定される(S2208)。停電フラグが設定されている場合には、RAM45a3のワーク領域のチェックサム値が新たに算出され、新たなチェックサム値が正常であるか否かが判定される(S2209)。新たなチェックサム値が正常とは、新たなチェックサム値と停電状態の発生前のチェックサム値が同一であること、つまり、新たなチェックサム値とRAM45a3のバックアップ領域に保持されているRAM判定値との排他的論理和に1加算した値が「0」であることを意味する。この値は、新たなチェックサム値と停電状態の発生前のチェックサム値とが同一である場合には「0」となり、異なる場合には「0」以外となる。停電状態の発生時から停電状態からの復帰時までの間に、RAM45a3が機械的又は電気的に破壊される等の異常事態が発生しない限り、この値は「0」以外にはならない。
判定処理S2207において確率設定の設定値が所定の範囲内の値でないと判定された場合、判定処理S2208において停電フラグが設定されていないと判定された場合、又は、判定処理S2209において新たなチェックサム値とRAM判定値との排他的論理和に1加算した値が「0」以外であると判定された場合には、割込みが禁止される(「割込み禁止設定処理」S2216)。割込み禁止設定処理S2216の後に、入出力ポート1045a4の全ての出力ポートがクリアされて、入出力ポート1045a4に接続された全てのアクチュエータがオフ状態になる(「全出力ポートクリア処理」S2217)。全出力ポートクリア処理S2217の後に、エラーの発生を報知させるための処理が行われる(「エラー報知処理」S2218)。なお、このエラー報知状態は、リセットスイッチ1038bが操作されるまで継続する。
判定処理S2209において新たなチェックサム値が正常であると判定された場合には、バックアップ領域に保存されたスタックポインタの値がCPU1045a1のスタックポインタに書き込まれ、スタックポインタの値が停電状態の発生前の値に復帰する(「スタックポインタ復帰処理」S2210)。これによって、停電状態からの復帰後において、停電状態の発生により中断された処理から再開できるようになる。スタックポインタ復帰処理S2210の後に、停電状態からの復帰を表す復電コマンドが設定される(「復電コマンド設定処理」S2211)。これにより、復電コマンドが副制御基板1047aに送信されることとなる。復電コマンド設定処理S2211の後に、打止切換スイッチ1038cの状態が、RAM1045a3の所定の領域に格納される(「遊技形態設定処理」S2212)。遊技形態設定処理S2212の後に、各種の装置のセンサの値が初期化される(「センサ初期化処理」S2213)。センサ初期化処理S2213の後に、停電フラグが解除される(「停電フラグ解除処理」S2214)。停電フラグ解除処理S2214の後に、払出中に停電が発生した等の場合、払出を再開させるための払出コマンドを設定する(「払出コマンド設定処理」S2215)。払出コマンド設定処理S2215の後に、スタックポインタの示す停電状態の発生前の番地における処理から再開される。具体的には、先に説明したタイマ割込み処理におけるバックアップ処理S2103(図35参照)後の割込み終了宣言処理S2104が実行される。
通常時の遊技に関わる主要な制御を行う通常処理について説明する。図37は、主制御基板1045aで実行される通常遊技処理の一例を表すフローチャートである。主制御基板1045aの通常遊技処理は、メイン処理における確率設定処理S2206(図36参照)の後に実行される。
通常遊技処理では、図37に示されたように、まず、割込み許可を設定する(「割込み許可設定処理」S2301)。割込み許可設定処理S2301の後に、遊技形態を決定する打止切換スイッチ1038cの状態がRAM1045a3の所定の領域に格納される(「遊技形態設定処理」S2302)。なお、遊技形態設定処理S2302は、メイン処理における遊技形態設定処理S2212(図36参照)と同一の処理である。遊技形態設定処理S2302の後には、下述のループ処理に移行する。なお、以下においては、連続遊技中である場合について説明する。
ループ処理において、また、RAM1045a3において一回の遊技ごとに変化する情報を保持する領域のデータをクリアする(「遊技情報クリア処理」S2303)。具体的には、前回の遊技に関連する情報をクリアする。クリアされる情報としては、例えば、乱数に関連する情報、回胴L,M,Rの制御に関連する情報、入賞に関連する情報及びエラーに関連する情報が挙げられる。入賞に関連する情報には、入賞図柄、入賞ライン及び獲得遊技球数等の情報が含まれる。
遊技情報クリア処理S2303の後に、変動開始信号が入力されるまで、所定の処理を行いながら待機する(「変動待機処理」S2304)。ここで、変動待機処理S2304について詳細に説明する。図38は、変動待機処理S2304の一例を表すフローチャートである。
変動待機処理S2304では、まず、遊技監視タイマが設定される(「遊技監視タイマ設定処理」S2401)。ここで、遊技監視タイマが設定されるとは、そのタイマの値がリセットされ、かつそのタイマによる新たな時間計測がスタートすることを意味する。遊技監視タイマは、遊技間隔を測定するタイマであって、遊技者によって遊技されていない時間が所定の時間を経過した場合に、液晶表示装置42の画像を所定の画像(デモストレーション画像)に移行させるために用いられる。
遊技監視タイマ設定処理S2401の後に、前回の遊技で再遊技に入賞したか否かが判定され、再遊技に入賞していた場合には、自動的に、前回の遊技のベット数と同数の遊技球が自動的にベットされる(「自動ベット処理」S2402)。
自動ベット処理S2402の後に、セレクタ1400においてエラーが発生しているか否かが確認され、エラーが発生している場合には、スピーカ1106、1204、発光装置1132、1134L1等、液晶表示装置1042等にエラーを報知させるための投入エラーコマンドが設定される(「投入エラー報知処理」S2403)。例えば、遊技球の投入期間中以外において、通過センサ1415a、1415b,1415cから上流通過検出信号や下流通過検出信号を受信した場合が挙げられる。なお、リングバッファに格納された投入エラーコマンドは、その格納後に実行されるタイマ割込み処理のコマンド出力処理S2111において副制御基板1047aに出力される。また、以下において、リングバッファに格納される各種のコマンドは、投入エラーコマンドの場合と同様に、それらの格納後に実行されるタイマ割込み処理のコマンド出力処理S2111において副制御基板1047aに出力される。
投入エラー報知処理S2403の後に、払出装置1033でエラーが発生しているか否かが判定され、払出装置1033でエラーが発生している場合には、スピーカ1106,1204発光装置132、134L1等、液晶表示装置42等にエラーを報知させるための払出エラーコマンドが設定される(「払出エラー報知処理」S2404)。具体的には、払出基板1037aからの払出中信号がオン状態であるか否か、及び、各種のカウントセンサ1033hからのカウントスイッチ信号に基づく払出基板1037aからのカウント信号がオン状態であるか否かが判定される。この判定結果が、払出中信号がオン状態(払出期間中)でないにも関わらず、いずれかのカウント信号がオン状態である場合には、エラー処理が実行されると共に、払出エラーコマンドが設定される。これによって、遊技を進行できない状態となり、エラー発生が報知される。なお、同様の払出エラー報知処理は、他の処理中においても遊技者からの何らかの入力を待っている状態、例えば、リール回転中におけるリール停止待ち状態においても実行される。
払出エラー報知処理S2404の後に、返却ボタン1308の操作が行われているか否かを判定して、返却中であれば他のボタン等の操作による入力が禁止される(「返却処理」S2405)。
返却処理S2405の後に、図38に示されたように、1ベットボタン114又はマックスベットボタン304が操作されているか否かが確認され、いずれかのベットボタンが操作されている場合には所定数の遊技球がベットされる(「遊技球ベット処理」S2406)。なお、投入された遊技球の個数が、通過センサ1415a,1415b,1415cで計数され、かつ、別途に、カウントセンサ1416a,1416b,1416cによっても計数される。
ここで、遊技球ベット処理S2406について詳細に説明する。図39は、遊技球ベット処理S2406の一例を表すフローチャートである。遊技球ベット処理S2406では、まず、投入が完了しているか否かが判定される(S2501)。具体的には、通常遊技状態等においては、ベット数が「3」(投入球数が15)である場合には投入完了と判定し、JAC中等においては、ベット数が「1」(投入球数が5)である場合には投入完了と判定する。投入が完了している場合には、遊技球ベット処理S2406が終了し、投入が完了していない場合には、最大ベット信号が受信されているか否かが判定される(S2502)。最大ベット信号が受信されている場合には、総投入個数カウンタの値が、通常遊技状態等においては「15」に、JAC中等においては「5」に設定される(「総投入個数カウンタ設定処理」S2503)。一方、最大ベット信号が受信されていない場合には、1ベット信号が受信されているか否かが判定される(S1504)。1ベット信号が受信されている場合には、総投入個数カウンタの値が「5」に設定され(「総投入個数カウンタ設定処理」S2505)、受信されていない場合には、遊技球ベット処理S2406が終了する。
総投入個数カウンタ設定処理S2503,S2505において、総投入個数カウンタの値が設定されると、第1条〜第3条投入リトライフラグをそれぞれ設定して(「全条の投入リトライフラグ設定処理」S2506)、3つの遊技球投入部1410a〜1410cのすべてにおいて、投入処理が行われるように初期設定する。全条の投入リトライフラグ設定処理S2506の後に、いずれかの条の投入リトライフラグが設定されているか否かを判定し(S2507)、全ての条の払出リトライフラグが設定されていなければ、遊技球ベット処理S2406が終了する。一方、いずれかの条の投入リトライフラグが設定されていれば、総投入個数カウンタの値が「0」であるか否かが判定され(S1508)、総投入個数カウンタの値が「0」であれば、遊技球ベット処理S2406が終了する。
判定処理S2508において総投入個数カウンタの値が「0」でなければ、全条の払出リトライフラグが設定されているか否かが判定される(S2509)。判定処理2509において、いずれかの条の投入リトライフラグが解除されていれば、後述するようにいずれかの条において遊技球の払い出しが滞ったこととなるので、遊技球を再振り分けする前に所定時間待機し(「ウェイト処理」S2510)、その後に、投入個数振分処理S2511へ移行する。なお、本形態では、ウェイト処理S2510におけるウェイト時間は、80msである。このウェイト処理S2510は、球通路1402a〜402cにおいて、投入フリッカ1413a〜1413cによって排出通路1406a〜1406cへの遊技球の流下が禁止された場合に、遊技球のばたつきを抑制するために設けられている。また、投入フリッカ1413a〜1413cを作動させる投入ソレノイド1414a〜1414cの駆動における電圧の過渡応答を正確に判定するために設けられる。
複数の遊技球投入部1410a〜1410cで可能な限り均等に遊技球の投入を行うために、各遊技球投入部がそれぞれ何個ずつ投入するかを振り分けて、各遊技球に対応する投入予定個数を決定する(「投入個数振分処理」S2511)。
投入個数振分処理S2511の後に、投入タイマ割込実行フラグが設定されているか否かが判定される(S2512)。投入タイマ割込実行フラグが設定されていれば、投入条ポインタへ最大値「3」を設定する(「投入条ポインタ最大値設定処理」S2513)。
投入条ポインタ最大値設定処理S2513の後に、投入個数振分処理S2511によって遊技球投入部1410a〜1410cの各々に対して振り分けられ、各遊技球投入部1410a〜1410cにおいて投入が開始された際の遊技球の投入個数を計数すると共に、その投入の終了を管理する処理を実行する(「投入実行処理」S2514)。投入実行処理S2514の後に、各カウントセンサ416a〜416cを通過する遊技球の個数の計数を管理する処理を実行する(「カウントセンサ通過個数計数処理」S2515)。カウントセンサ通過個数計数処理S2515の後に、投入条ポインタが最小値「1」であるか否かが判定される(S2516)。投入条ポインタが「1」でなければ、払出条ポインタの値を「1」だけ減少させて(「投入条ポインタ減算処理」S2517)、投入実行処理S2514に戻る。一方、投入条ポインタが「1」であれば、各投入ソレノイド作動フラグに基づいて各投入ソレノイド1414a〜1414cの駆動が制御される(「全条の投入ソレノイド作動制御処理」S2518)。具体的には、投入ソレノイド作動フラグが新たに設定された払出ソレノイド1414a〜1414cはオン状態に変更され、投入ソレノイド作動フラグが既に設定されている投入ソレノイド1414a〜1414cはオン状態を維持し、投入ソレノイド作動フラグが新たに解除された投入ソレノイド1414a〜1414cがオフ状態に変更され、投入ソレノイド作動フラグが既に解除されていた投入ソレノイド1414a〜1414cはオフ状態を維持する。
全条の投入ソレノイド作動制御処理S2518の後に、投入ソレノイド作動異常監視処理S2519が行われる。投入ソレノイド作動異常監視処理S2519では、図40に示されたように、投入ソレノイド作動異常フラグが設定されているか否かが判定される(S5101)。投入ソレノイド作動異常フラグが設定されていない場合には本処理S3326が終了し、投入ソレノイド作動異常フラグが設定されている場合には、副制御基板1047aに投入ソレノイド作動異常コマンドを送信して(「投入ソレノイド作動異常コマンド送信処理」S5102)、エラー処理が実行される(「投入ソレノイド作動エラー処理」S5103)。なお、副制御基板1047aは、投入ソレノイド作動異常コマンドの受信に応じて、その異常の発生を報知させる。
投入ソレノイド作動異常監視処理S2519の後に、全条の通過センサカウンタの値が「0」であるか否かが判定される(S2520)。全条の通過センサカウンタの値が「0」である場合には、判定処理S2507に戻る。一方、いずれかの通過センサカウンタの値が「0」でなければ、投入タイマ割込実行フラグを解除して(「投入タイマ割込実行フラグ解除処理」S2521)、判定処理S2512に戻る。以上のように、遊技球ベット処理S2406は、判定処理S2501〜投入タイマ割込実行フラグ解除処理S2521によって実現される。
図38に戻って、遊技球ベット処理S2406の終了後に、ベット数が最小規定数未満であるか否かが判定される(S2407)。ベット数が最小規定数未満である場合には、投入エラー報知処理S2403から判定処理S2407までが繰り返される。一方、ベット数が最小規定数未満でない場合には、始動レバー1124の操作に応じた変動開始信号が受信されているか否かが判定される(S2408)。変動開始信号が受信されていない場合には、投入エラー報知処理S2403から判定処理S2408までが繰り返される。一方、変動開始信号が受信されている場合には、遊技球ベット処理S2406において通過センサ1415a〜1415cによって計数された遊技球の個数とカウントセンサ416a〜416cによって計数された遊技球の個数とが比較され、カウントセンサ1416a〜1416cによって計数された遊技球の個数が通過センサ1415a〜1415cによって計数された遊技球の個数未満である場合にはエラー処理(個数エラー処理)が実行される(「投入球数比較処理」S2409)。以上で説明したように処理過程(S2401〜S2409)を経て、変動待機処理S2404が完了する。
変動待機処理S2404の後に、図37に示されたように、始動レバー1124が操作された際にハードウェア的にラッチされた乱数カウンタの値が読み出されてRAM45a3に格納される(「乱数作成処理」S2305)。始動レバー1124が操作された際に乱数カウンタをハードウェア的にラッチすることによって、始動レバー1124の操作と乱数値の取得とを時間的に同期させている。なお、ソフトウェアで乱数カウンタの値を読み出すこともできるが、この場合には、始動レバー1124の操作から乱数値の取得までの時間が、ハードウェア的にラッチする場合よりも不均一になる。
乱数作成処理S2305の後に、確率設定、ベット数及び遊技状態に応じた乱数テーブルを参照して、乱数作成処理S2305で取得した乱数値に応じた当選役が決定され、当選役の種別に応じた当選フラグ(例えば、ビッグボーナス当選フラグ、レギュラーボーナス当選フラグ、チェリー当選フラグ、ベル当選フラグ、スイカ当選フラグ、再遊技当選フラグ)が設定され、当選役の種別を表す当選役コマンドと確率設定の設定値を表す設定値コマンドとが設定される(「内部抽選処理」S2306)。当選役として、例えば、ビックボーナス役(以下、「BB」とも称す)、レギュラーボーナス役(以下、「RB」とも称す)、各種の小役(本形態では、チェリー役、ベル役、スイカ役)、再遊技役及びハズレ役が挙げられる。なお、一回の遊技において複数種類の当選役が選択されてもよい。
内部抽選処理S2306の後に、当選役、ベット数及び遊技状態に基づいて、ROM45a2に保持された手動停止制御テーブル群から各回胴L,M,Rの制御に用いる1つの手動停止制御テーブルが参照制御テーブルとして選択され、参照制御テーブルのテーブル番号がRAM45a3の所定の領域に格納される(「回転初期化処理」S1307)。当選役がハズレ以外のときには、この参照制御テーブルに従って、当選役を可能な限り入賞させるために所定の範囲(5図柄未満)内で余分に回胴を回転させるスベリ制御が行われる。当選役がハズレの場合にも、他の当選役を入賞させないために、同様のスベリ制御が行われる。この参照制御テーブルは、必要に応じて手動停止制御テーブル群から再選択される。本形態では、各回胴停止ボタン(1126L,1126M,1126R)が所定の順序(例えば、「左回胴停止ボタン1126L→中回胴停止ボタン1126M→右回胴停止操作部1126R」及び「左回胴停止ボタン1126L→右回胴停止操作部1126R→中回胴停止ボタン1126M」の順序)で操作された場合に参照され、他の操作順序の場合には、手動停止制御テーブル群からの参照制御テーブルの再選択や他の制御方法によって又はそれらを援用して所定の図柄パターンを停止させる。更に、自動的に図柄表示の変動を停止する場合には、ROM1045a2に保持された自動停止制御テーブルを参照して、所定の図柄パターンで停止させる。
回転初期化処理S2307の後に、図柄変動待機処理S2308が実行される。図柄変動待機処理S2308では、まず、図柄変動監視タイマによる測定時間が所定の規定時間(例えば、4.1秒)以上であるか否かが判定される。ここで、「図柄変動監視タイマ」は、前回の図柄表示の変動開始時点からの経過時間を測定するタイマである。図柄変動監視タイマの測定時間が所定の規定時間未満である場合には、規定時間の経過を待つ状態(以下、「変動待機状態」と称する)であることを表す変動待機コマンド(内部状態コマンドの一種)がリングバッファに格納される。なお、変動待機状態であることが変動待機状態表示装置(図示せず)によって遊技者に報知される。その後、図柄変動監視タイマの測定時間が所定の規定時間以上となるまで、変動待機状態の報知が行われたまま、図柄変動監視タイマによる測定時間が所定の規定時間以上であるか否かの判定が繰り返される。一方、図柄変動監視タイマの測定時間が所定の規定時間以上である場合には、図柄変動監視タイマがリセットスタートされ、規定時間待機状態の報知を停止し、所定の規定時間が経過した状態であることを表す規定時間経過コマンド(内部状態コマンドの一種)と、外部集中端子板に出力するためのベット数コマンドとがリングバッファに格納される。その後、RAM1045a3の所定の領域における図柄表示変動ユニットの各ステッピングモータ(1043L4,1043M4,1043R4)の制御に関連する情報が回転開始用に初期設定される。なお、各ステッピングモータ1043L4,1043M4,1043R4の実際の駆動は、タイマ割込み処理のステッピングモータ制御処理S2105(図35参照)で制御される。
図柄変動待機処理S2308の後に、回胴ユニット43における各回胴L,M,Rの回転を制御する回転制御処理S2309が実行される。回転制御処理S2309において、まず、RAM1045a3の所定の領域における各回胴L,M,Rの回転に関する情報が初期化され、全ての回胴L,M,Rが回転中であることを表す全回胴回転コマンド(回胴回転情報コマンドの一種)と図柄表示変動状態であることを表す図柄変動状態コマンド(内部状態コマンドの一種)とがリングバッファに格納される(「回転開始処理」)。次に、各回胴(L,M,R)の回転開始から一定速度の定常回転に至るまで待機する(「図柄停止待機処理」)。具体的には、それらの回転が定常回転であるか否かは、最後に回転を開始した回胴に対応する回胴位置検出センサ1043R7からの検出信号が受信されているか否かで判定されており、その検出信号が受信されている場合にはそれらの回転は定常回転であると判断し、その検出信号が受信されていなければいずれかの回胴の回転は定常回転でないと判断している。それらの回転が定常回転でない場合には、判定処理S2303が繰り返し実行される。なお、本形態では全ての回胴L,M,Rは同時に回転を開始する。全ての回胴の回転が定常回転である場合には、左回胴停止ボタン1126L、中回胴停止ボタン1126M、右回胴停止ボタン1126Rの操作が行われるのを待ち、それらの操作に応じて、手動停止制御テーブル群から選択された参照制御テーブルを参照して回胴L、回胴M及び回胴Rを停止させる。回胴L、回胴M及び回胴Rの各々の停止に応じて回胴停止コマンド(回胴回転情報コマンドの一種)及び停止図柄を表す回胴図柄コマンド(停止図柄コマンドの一種)がリングバッファに格納される。規定回転時間を越えても少なくとも1つの回胴L,M,Rが回転中である場合には、現在回転中の全ての回胴L,M,Rの回転を停止させる(「自動停止処理」)。なお、自動停止処理においては、自動停止開始前に既に当選役の入賞が確定している場合を除き、いかなる利益役に当選していたとしてもハズレ役に対応する図柄パターンが表示されるように、現在回転中の全ての回胴L,M,Rの回転を停止させる。
回転制御処理S2309の後に、図37に示されたように、入賞確認処理S2310が実行される。入賞確認処理S2310において、まず、有効ラインごとの図柄パターンを確認して、当選役以外の役が1つでも入賞している場合には、入賞エラーの発生を報知させるためのエラー処理が実行される。一方、当選役のみが入賞している場合には、入賞した全ての当選役に対応する入賞フラグ(例えば、ビッグボーナス入賞フラグ、レギュラーボーナス入賞フラグ、チェリー入賞フラグ、ベル入賞フラグ、スイカ入賞フラグ、再遊技入賞フラグ)が設定される。また、入賞した各当選役に対応する獲得遊技球数が最大獲得遊技球数を超えない範囲内において加算されることによって、最終的に獲得遊技球数が決定される。更に、入賞確認処理S1310においては、入賞役の種類の情報を含む入賞役コマンド、入賞ラインの種類の情報を含む入賞ラインコマンド及び入賞エラーの情報を含む入賞役エラーコマンドがリングバッファに格納される。
入賞確認処理S2310の後に、獲得遊技球数の情報を含む払出コマンドが設定される(「獲得球払出処理」S2311)。獲得遊技球払出処理S2311の後に、再遊技処理S2312が行われる。再遊技処理S2312では、入賞確認処理S2310において再遊技入賞フラグが設定されている場合に、内部状態を再遊技に設定する等の各種の処理が行われる。また、次回の遊技が再遊技であることを表す再遊技コマンド(内部状態コマンドの一種)がリングバッファに格納される。
再遊技処理S2312の後に、役物作動中処理S2313が行われる。役物作動中処理S2313では、ビッグボーナス(BB)役及びレギュラーボーナス(RB)役等の役物作動中の処理が行われる。内部状態がビッグボーナス遊技状態である場合には、小役ゲーム中の制御、小役ゲームからJACゲームへの移行制御、JACゲーム中の制御、JACゲームから小役ゲームへの移行制御及びビッグボーナス遊技状態の終了制御等が行われる。ビッグボーナス遊技状態の終了判定は、その状態中に獲得した遊技球の獲得総数が所定数以上であるか否かによって決定される。獲得総数が獲得規定数以上である場合には、ビッグボーナスの終了処理が行われる。一方、獲得総数が獲得規定数未満である場合には、ビッグボーナスの終了処理がスキップされる。一方、内部状態がレギュラーボーナスである場合には、JACゲーム中の制御及びレギュラーボーナス遊技状態の終了制御等が行われる。レギュラーボーナスの終了条件も、獲得総数が獲得規定数以上であるか否かによって決定される。
役物作動中処理S2313の後に、役物作動判定処理S2314が行われる。役物作動判定処理S2314では、ビッグボーナス役に当選したことを表すビッグボーナス役の当選フラグが設定されており、かつ、ビッグボーナス役が入賞したことを表すビッグボーナス役の入賞フラグが設定されている場合には、ビッグボーナスを開始するための処理を実行する(「BB開始処理」)。また、レギュラーボーナス役に当選したことを表すレギュラーボーナス役の当選フラグが設定されており、かつレギュラーボーナス役が入賞したことを表すレギュラーボーナスの入賞フラグが設定されている場合には、レギュラーボーナス役を開始するための処理を実行する(「RB開始処理」)。
役物作動判定処理S2314の後に、遊技進行表示処理S2315が実行される。遊技進行表示処理S2315では、内部状態がビッグボーナス遊技状態やレギュラーボーナス遊技状態である場合には、JACゲームの残りゲーム数や1回のビッグボーナスにおける獲得遊技球の総数等を表示するためのデータが設定される。また、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等の終了後に、再遊技の当選確率が通常遊技状態よりも高いリプレイタイム(「RT」)等の特定遊技状態に移行させる場合には、内部状態を特定遊技状態に設定し、特定遊技状態であることを表す特定遊技状態コマンド(内部状態コマンドの一種)をリングバッファに格納する。
払出制御基板1037aにより実行される制御処理について説明する。払出制御基板1037aの制御処理は、外部電力の供給再開や電源スイッチ1038aのオン操作等による復電に伴って起動されるメイン処理と、メイン処理に対して割り込みをかける割込み処理とに大別される。説明の便宜上、割り込み処理について説明した後に、メイン処理について説明する。なお、割込み処理としては、主制御基板1045aからの各種のコマンドの受信に応じて割込みをかけるコマンド割込み処理と、定期的(本形態では2ms)に繰返し実行されるタイマ割込み処理がある。説明の便宜上、まず、割込み処理について説明した後にメイン処理について説明する。
まず、コマンド割込み処理について説明する。図41は、払出制御基板1037aのコマンド割込処理の一例を表すフローチャートである。コマンド割込処理は、払出制御基板1037aが主制御基板1045aからのコマンドを受信した場合に実行される。図45に示されたように、コマンド割込処理が実行されると、まず、受信したコマンドが受信用のデータバッファに格納される(「コマンド受信処理」S3001)。コマンド受信処理S3001の後に、コマンド受信フラグが設定される(「コマンド受信フラグ設定処理」S3002)。コマンド受信フラグ設定処理S3002の終了により外部割込処理は終了する。
次に、タイマ割込み処理について説明する。図42は、払出制御基板1037aのタイマ割込み処理の一例を表すフローチャートである。図42に示されたように、タイマ割込み処理において、まず、コマンド受信フラグが設定されているか否かが判定される(S3101)。コマンド受信フラグが設定されている場合、受信用のデータバッファに格納されているコマンドを読み出す(「コマンド読出処理」S3102)。コマンド読出処理S3102の後に、コマンド受信フラグが解除される(「コマンド受信フラグ解除処理」S3103)。コマンド受信フラグ解除処理S3103の後に、読み出されたコマンドが払出コマンドであるか否かが判定される(S3104)。払出コマンドである場合には、払出コマンドの種類に応じた賞球個数(払出個数)を賞球個数カウンタに設定する(「賞球個数カウンタ設定処理」S3105)。一方、読み出されたコマンドが払出コマンドでない場合には、賞球個数カウンタ設定処理S3105がスキップされる。判定処理S3101においてコマンド受信フラグが設定されていないと判定された場合には、コマンド読出処理S3102〜賞球個数カウンタ設定処理S3105がスキップされる。
次に、オーバーフロー検出スイッチ(図示せず)からの検出信号の状態が確認され、その受信状態に基づいて下皿満タン状態の設定制御がなされる(「下皿満タン状態設定処理」S3106)。具体的には、オーバーフロー検出スイッチが200msの間継続して検出されている「下皿満タン中」の場合には、下皿満タン状態が設定され、その他の場合においては下皿満タン状態が解除される。
下皿満タン状態設定処理S3106の後に、各球切れ検出装置1035bからの遊技球検出信号の受信状態が確認され、その受信状態に基づいて球有り状態の設定制御がなされる(「球有り状態設定処理」S3107)。具体的には、以下のようにして球有り状態の設定制御がなされる。まず、全ての遊技球検出信号がオン状態であるか否かが判定され、つまり、球通路1033d,1035a内の全てに所定数以上の遊技球が貯留されているか否かが判定される。全ての遊技球検出信号がオン状態である場合には、その状態が2000ms継続しているか否かが確認される。遊技球検出信号のオン状態が2000ms経過している場合には、全ての球通路1035a内に所定数(本形態では20個)以上の遊技球があることになるので、球有りフラグが設定されて球有り状態設定処理S4007が終了し、遊技球検出信号のオン状態が2000ms経過していない場合には、そのまま球有り状態設定処理S3106が終了する。一方、遊技球検出信号のうち少なくとも1つがオフ状態である場合には、その状態が200ms継続しているか否かが判定され、その状態が200ms経過している場合には、球有りフラグが解除されて球有り状態設定処理S3107が終了し、その状態が200ms継続していない場合には、そのまま球有り状態設定処理S3107が終了する。
球有り状態設定処理S3107の後に、下皿満タン状態設定処理S3106又は球有り状態設定処理S3107における状態が報知すべき状態である場合に、その状態が報知される(「状態報知処理」S3108)。具体的には、「下皿球満タン中」の場合に、スピーカ1106,1204からの音声によりその旨を遊技者に知らせたり、液晶表示装置1042により画像によりその旨を遊技者に知らせたりする。また、遊技球タンク1032内に遊技球が貯留されてない場合(球有りフラグが解除されている場合)にも同様にその旨を遊技者に知らせたりする。
状態報知処理S3108の後に、賞球払出不可状態か否かが判定される(S3109)。なお、賞球払出不可状態とは、貸球の払い出しが現在実行中の場合である。賞球払出不可状態でない場合には、賞球個数カウンタの値が「0」であるか否かが判定される(S3110)。賞球個数カウンタの値が「0」である場合には、払出コマンドに基づいて払い出す遊技球がないので、S3112の処理へ移行し、賞球個数カウンタの値が「0」でなければ、払出コマンドに基づいて払い出す遊技球があるので、払出状態カウンタに「1」を設定する(「払出状態カウンタ設定処理」S4011)。判定処理S3109において賞球払出不可状態であると判定された場合や判定処理S3110において賞球個数カウンタの値が「0」である場合には、次の処理S3112に移行する。
次に、貸球払出不可状態であるか否かが判定される(S3112)。なお、貸球払出不可状態とは、賞球の払い出しが現在実行中の場合である。貸球払出不可状態でない場合、カードユニットから貸球払出要求信号を受信しているか否かが判定される(S3113)。貸球払出要求信号を受信している場合には、賞球の払い出しを行うために払出状態カウンタに「2」を設定する(「払出状態カウンタ設定処理」S3114)。一方、貸球払出要求信号を受信していない場合には、払出状態カウンタ設定処理S3114がスキップされる。また、S3112において貸球払出不可状態であると判定された場合、判定処理S3113及び払出状態カウンタ設定処理S3114がスキップされる。
次に、払出タイマ割込実行フラグを設定する(「払出タイマ割込実行フラグ設定処理」S3115)。払出タイマ割込実行フラグ設定処理S3115の後に、払出ソレノイド異常検知回路1910からの信号の受信状態を確認し、受信されていれば払出ソレノイド作動異常フラグが設定される(「払出ソレノイド作動確認処理」S3116)。
払出制御基板37aにおけるメイン処理について説明する。図43は、払出制御基板37aのメイン処理の一例を表すフローチャートである。図43に示されたように、メイン処理では、まず、CPU周辺のレジスタ群やI/O装置等に対する各種の設定が行われる(「初期設定処理」S3201)。初期設定処理S3201の後に、RAM1037a3へのアクセスが許可され(「RAMアクセス許可処理」S3202)、外部割込みベクタが設定される(「外部割込みベクタ設定処理」S3203)。外部割込みベクタ設定処理S3203の後に、RAM1037a3の全ての領域を「0」にクリアした(S3204)後に、RAM1037a3に初期値が設定され(「RAM初期設定処理」S4105)、CPU37a1の他の周辺デバイスの初期設定が行われる(「CPU周辺デバイス初期設定処理」S3206)。CPU周辺デバイス初期設定処理S3206の後に、割込み許可が設定され(S3207)、遊技球払出処理S3208が繰り返し実行される。通常ゲーム時には主制御基板1045aからの払出コマンドの受信に応じて払出コマンドの種類に基づいた賞球数の遊技球を払い出すと共に、貸球払出要求がされた場合に25個の遊技球を払い出す処理である。
ここで、遊技球払出処理S3208について詳細に説明する。図44は、遊技球払出処理S3208の一例を表すフローチャートである。図44に示されたように、遊技球払出処理S3208では、まず、払出状態カウンタの値が「0」であるか否かが判定される(S3301)。払出状態カウンタが「0」である場合、つまり、払出コマンドが受信されていない場合、カウントセンサ33hからのカウントスイッチ信号の受信が検知されているか否かが判定される(S3302)。カウントスイッチ信号の受信が検知されている場合には、主制御基板1045aにカウント信号の出力するための処理を行う(「カウント信号出力処理」S3303)。一方、カウントスイッチ信号の受信が検知されていない場合には、カウント信号出力処理S3303がスキップされる。また、判定処理S3301において払出状態カウンタの値が「0」以外であると判定された場合には、判定処理S3302及びカウント信号出力処理S3303がスキップされる。
次に、球有りフラグが設定されているか否かが判定される(S3304)。球有りフラグが設定されていない場合、ケースレール35の球通路1035a内に所定数以上の遊技球が貯留されていない状態であるために遊技球の払い出しを行えないので、遊技球払出処理S3208が終了する。一方、球有りフラグが設定されている場合、遊技球の払い出しを行うためにS3305以降の処理へ移行する。
判定処理S3304において球有りフラグが設定されていると判定された場合には、払出状態カウンタの値が確認され(S3305,S3307)、その値が「1」でもなく「2」でもない場合には、遊技球を払い出す状況でないので、遊技球払出処理S3208が終了する。払出状態カウンタの値が「1」である場合には、払出コマンドに基づいた遊技球の払い出しを行う状態であるので、賞球個数カウンタの値を総払出個数カウンタに設定する(「総払出個数カウンタ設定処理」S3306)。一方、払出状態カウンタの値が「2」である場合には、総払出個数カウンタの値に「25」を設定する(「総払出個数カウンタ設定処理」S3308)。総払出個数カウンタの値として「25」を設定するのは、本実施形態では、貸球払出要求信号を1回受信する毎に、遊技球を25個ずつ払い出すからである。
総払出個数カウンタ設定処理S3306,S3308において、総払出個数カウンタの値が設定されると、第1条〜第4条払出リトライフラグをそれぞれ設定して(「全条のリトライフラグ設定処理」S3309)、4つの球通路1033dのすべてについて、払出処理が行われるように初期設定する。
全条の払出リトライフラグ設定処理S3309の後に、主制御基板1045aへの払出中信号の出力が開始される(「払出中信号出力開始処理」S3310)。
払出中信号出力開始処理S3310の後に、いずれかの払出リトライフラグが設定されているか否かを判定し(S3311)、全ての払出リトライフラグが設定されていなければ、エラー処理を実行して、遊技球の未払出がある状態で払出が不能となったことを報知する(「エラー処理」S3312)。エラー処理S3312は無限ループとなっており、該エラーは、球式回胴遊技機10をリセットすることによって解消できる。一方、いずれかの払出リトライフラグが設定されていれば、総払出個数カウンタの値が「0」であるか否かが判定され(S3313)、総払出個数カウンタの値が「0」であれば、払出状態カウンタの値が「2」であるか否かが判定される(S3314)。払出状態カウンタの値が「2」であれば、貸出終了信号をCRユニットに出力し(「貸出終了信号出力処理」S3315)、一方、払出状態カウンタの値が「2」でなければ、貸球払出要求信号に基づく払い出しでないので、貸出終了信号出力処理S3315がスキップされる。次に、払出状態カウンタの値に「0」が設定され(「払出状態カウンタ初期化処理」S3316)、遊技球払出処理S3308が終了する。なお、払出状態カウンタの値に「0」が設定されると、賞球払出が許可状態となると共に貸球払出が許可状態となる。
なお、判定処理S3313の前に、いずれかの条の払出リトライフラグが解除されているか否かを確認し、1つの条でも払出リトライフラグが設定されていなければ、球詰まりなどの異常が発生している可能性があるので、エラー処理を行うよう構成しても良い。即ち、払出装置1033の球通路1033dのうち1つでも詰まっていれば、ケースレール1035の球通路1035aに80個以上の遊技球が貯留されていたとしても、遊技球の払い出しが確実に行えない場合があるが、エラー処理を実行して異常を解除するよう促すことで、遊技球の払い出しを確実に行うことができる。
判定処理S3313において総払出個数カウンタの値が「0」でなければ、全条の払出リトライフラグが設定されているか否かを判定する(S3317)。判定処理3317において、いずれかの払出リトライフラグが解除されていれば、後述するようにいずれかの条において遊技球の払い出しが滞ったこととなるので、遊技球を再振り分けする前に所定時間待機し(「ウェイト処理」S3318)、その後に、払出個数振分処理S3319へ移行する。なお、本形態では、ウェイト処理S4218におけるウェイト時間は、80msである。このウェイト処理S4218は、払出フリッカ1033bによって遊技球の球通路1033dが閉鎖された場合における払出通路1033eよりも上流側にある遊技球のばたつきを抑制するために設けられている。また、払出フリッカ1033bを作動させる払出ソレノイド1033cの駆動における電圧の過渡応答を正確に判定するために設けられる。一方、全条の払出リトライフラグが設定されている場合には、ウェイト処理S3318を行わずに払出個数振分処理S3319へ移行する。
遊技球の払出が行われる4つの球通路1033dで均等に遊技球の払い出しを行うために、各球通路がそれぞれ何個ずつ払い出すかの払出予定個数を振り分ける(「払出個数振分処理」S4219)。払出個数振分処理S3319の後に、払出タイマ割込実行フラグが設定されているか否かが判定される(S3320)。払出タイマ割込実行フラグが設定されていれば、払出条ポインタへ最大値「4」を設定する(「払出条ポインタ最大値設定処理」S3321)。払出条ポインタ最大値設定処理S3321の後に、払出個数振分処理S3319によって各球通路に対して振り分けられ、各球通路33dにおいて払い出しが開始された際の遊技球の個数をカウントすると共に、その払い出しの終了を管理する処理を実行する(「払出実行処理」S3322)。払出実行処理S3322の後に、払出条ポインタが最小値「1」であるか否かが判定される(S3323)。払出条ポインタが「1」でなければ、払出条ポインタの値を「1」だけ減少させて(「払出条ポインタ減算処理」S3324)、払出実行処理S4222に戻る。一方、払出条ポインタが「1」であれば、各払出ソレノイド作動フラグに基づいて各払出ソレノイド1033cが駆動される(「全条の払出ソレノイド作動制御処理」S3325)。具体的には、各条において、払出ソレノイド作動フラグが新たに設定された場合には払出ソレノイド1033cがオン状態に変更され、払出ソレノイド作動フラグが既に設定されていた場合には払出ソレノイド1033cのオン状態が維持され、払出ソレノイド作動フラグが新たに解除された場合には払出ソレノイド1033cがオフ状態に変更され、払出ソレノイド作動フラグが既に解除されていた場合には払出ソレノイド1033cのオフ状態が維持される。
全条の払出ソレノイド作動制御処理S2518の後に、払出ソレノイド作動異常監視処理S3326が行われる。払出ソレノイド作動異常監視処理S3326では、図45に示されたように、払出ソレノイド作動異常フラグが設定されているか否かが判定される(S5201)。払出ソレノイド作動異常フラグが設定されていない場合には本処理S3326が終了し、払出ソレノイド作動異常フラグが設定されている場合には、主制御基板11045aに払出ソレノイド作動異常コマンドを送信して(「払出ソレノイド作動異常コマンド送信処理」S5202)、エラー処理が実行される(「払出ソレノイド作動エラー処理」S5203)。なお、主制御基板1047aでは、払出ソレノイド作動異常コマンドの受信に応じて、そのコマンドを副制御基板1047aに転送すると共に、エラー処理を実行して遊技進行を停止させる(ソレノイド作動異常監視処理S2108参照)。
払出ソレノイド異常監視処理S3326の後に、全条の払出遊技球カウンタの値が「0」であるか否かが判定される(S3327)。全ての払出遊技球カウンタの値が「0」である場合には、判定処理S3311に戻る。一方、いずれかの払出遊技球カウンタの値が「0」でなければ、払出タイマ割込み実行フラグを解除して(「払出タイマ割込実行フラグ解除処理」S3328)、判定処理S3320に戻る。以上のように、遊技球払出処理S3208は、判定処理S3301〜払出タイマ割込み実行フラグ解除処理S3328によって実現される。
副制御基板1047aにより実行される制御処理について説明する。副制御基板1047aの制御処理は、外部電力の停電からの復帰や電源のオン等による電源復帰に伴い起動されるメイン処理と、メイン処理に対して割り込みをかける割込み処理とに大別される。説明の便宜上、割り込み処理について説明した後に、メイン処理について説明する。CPUにおける割込み処理としては、定期的なタイマ割込み処理と、定期的なコマンド割込み処理とがある。
タイマ割込み処理について説明する。図46は、副制御基板1047aにおけるタイマ割込み処理の一例を表すフローチャートである。
タイマ割込み処理は、概ね1msの周期で実行される。タイマ割込み処理では、まず、割込みフラグが読み込まれる(「割込みフラグ読み込み処理」S4001)。割込みフラグ読み込み処理S4001の後に、割込みフラグが有効であるか否かが判定される(S4002)。具体的には、CPUに対する各種の割込みのうちのタイマ割込みであることを確認する。割込みフラグが有効である場合には、割込みタイマカウンタのインクリメントが行われて割込みタイマカウンタが更新される(「割込みタイマカウンタ更新処理」S4003)。割込みタイマカウンタ更新処理S4003の後に、タイマ割込みに関する割込みフラグが解除される(「割込みフラグ解除処理」S4004)。これによって、CPUに対する次回のタイマ割込み処理が実行できるようになる。判定処理S4002において割込みフラグが有効でないと判定された場合は、他の割込み処理であるために、割込みタイマカウンタ更新処理S4003及び割込みフラグ解除処理S4004がスキップされる。
コマンド割込み処理について詳細に説明する。図47は、副制御基板47aにおけるコマンド割込み処理の一例を表すフローチャートである。コマンド割込み処理は、主制御基板45aからのコマンドの送信に応じて実行される。主制御基板45aにおけるコマンド送信は概ね1.49msの周期で行われるために、本処理は、概ね1.49msの周期で実行される。
コマンド割込み処理では、まず、主制御基板45aからのストローブ信号が正常であるか否かが判定される(S4101)。ストローブ信号が正常であれば、コマンドデータを取得する(「コマンドデータ取得処理」S4102)。コマンドデータ取得処理S4102の後に、その内容が正常であるか否かが判定される(S4103)。コマンドデータが正常である場合には、コマンドを受信し(「コマンド受信処理」S2104)、コマンド受信処理S4104の後に、リトライカウンタ値が所定のリトライ最大値に変更される(「リトライカウンタ最大値設定処理」S4105)。
判定処理S4101においてストローブ信号が正常でないと判定された場合には、リトライカウンタ値が所定のリトライ最大数に変更される(S4106)。また、判定処理S4103においてコマンドデータが正常でないと判定された場合には、リトライカウンタ値が変更される(「リトライカウンタ更新処理」S4107)。この変更においては、リトライカウンタ値が1だけ増加する。リトライカウンタ値を変更する処理(S4105,S4106,S4107)の後に、リトライカウンタ値が最大値であるか否かが判定される(S4108)。リトライカウンタ値が最大値である場合には、割込みフラグを読み込む(「割込みフラグ読込処理」S4109)。割込みフラグ読込処理S4109の後に、リトライカウンタの値が初期値(「0」)にクリアされる(「リトライカウンタクリア処理」S4110)。リトライカウンタクリア処理S4110の後に、割込みフラグが解除される(「割込みフラグ解除処理」S4111)。割込みフラグの解除によって、次回のコマンド割込み処理が実行できるようになる。
リトライカウンタ値が最大値でない場合、つまり、ストローブ信号は正常であるがコマンドデータが正常でない場合には、割込みフラグ読込処理S4109、リトライカウンタクリア処理S4110及び割込みフラグ解除処理S4111がスキップされる。なお、所定のタイミングでのコマンドデータの取得は、リトライカウンタ値が所定のリトライ最大値に到達するまで繰り返される。
副制御基板1047aで実行されるメイン処理について詳細に説明する。図48は、副制御基板のメイン処理の一例を表すフローチャートである。
メイン処理では、まず、電源制御基板1038’からの内部電力の供給に応じて、副制御基板1047a自身の初期化及び副制御基板1047aに接続された液晶表示装置1042等の周辺装置の初期化が行われる(「初期化処理」S4201)。初期化処理S4201の後に、システム状態が電圧低下状態であるか否かが判定される(S4202)。ここで、システム状態は、供給電圧が所定の電圧以下であることを表す電圧低下状態と、副制御基板1047a及び副制御基板1047aに接続された周辺装置が初期化中であることを表す初期化状態と、供給電圧が所定の電圧であって通常遊技を行えることを表す通常状態とを含意する。なお、初期化状態は、初期化処理S4201中に選択される。
判定処理S4202においてシステム状態が電圧低下状態であると判定された場合には、後述するバックアップ処理S4210が実行される。一方、システム状態が電圧低下状態でない場合には、割込みタイマカウンタの値に変更があるか否かが判定される(S4203)。割込みタイマカウンタの値に変更がある場合には、割込みタイマカウンタが更新される(「割込みタイマカウンタ更新処理」S4204)。割込みタイマカウンタ更新処理S4204において、割込みタイマカウンタの値は1だけ減少する。割込みタイマカウンタ更新処理S4204の後に、後述する周期タイマ処理S4205が行われる。周期タイマ処理S4205の後に、システム状態が電圧低下状態であるか否かが判定される(S4206)。システム状態が電圧低下状態でない場合には、主制御基板1045aからの何らかのコマンドが受信されているか否かが判定される(S4207)。コマンドが受信されている場合には、後述する受信コマンド確認処理S4208が行われる。一方、コマンドが受信されていない場合には、受信コマンド確認処理S4208がスキップされる。受信コマンド確認処理S4208の後に、演出の詳細を決定する乱数のベース値が更新される(「乱数ベース値更新処理」S4209)。乱数ベース値更新処理S4209の後は、判定処理S4202に移行する。システム状態が電圧低下状態でない場合には、上記の各処理(S4202〜S4209)が順次に繰り返し実行される。
判定処理S4202及び判定処理S4206においてシステム状態が電圧低下状態であると判定された場合には、レジスタデータやスタックデータが外部RAMに保存される(「バックアップ処理」S4210)。バックアップ処理S4210の後に、システム状態が電圧低下状態であるか否かが判定される(S4211)。システム状態が電圧低下状態である場合には、判定処理S4211が繰り返し実行される。一方、電圧低下状態でない場合には、電圧低下状態の解消がノイズ等による誤作動でないことを確認するために所定の時間(本形態においては30ms)待機する(「ウェイト処理」S4212)。ウェイト処理S4212の後に、再度、システム状態が電圧低下状態であるか否かを再度判定する(S4213)。システム状態が電圧低下状態である場合には、判定処理S4211に戻る。一方、システム状態が電圧低下状態でない場合には、内部電力の供給が正常に再開したと判断して、メイン処理を起動するための処理を行う(「起動処理」S4214)。起動処理S4214の後に、初期化処理S4201に戻り、メイン処理が再開される。
副制御基板1047aのメイン処理における周期タイマ処理S4205について詳細に説明する。図49は、周期タイマ処理S4205の一例を表すフローチャートである。タイマ割込み処理が実質的に1msごとに実行されることによって、周期タイマ処理S4205も実質的に1msごとに実行される。周期タイマ処理4205では、図49に示されたように、まず、起動時コマンド確認処理S4301が実行される。起動時コマンド確認処理S4301では、起動処理S4214の実行後の2秒以内に主制御基板1045aから何らかのコマンドを受信しているか否かが確認される。主制御基板45aから何らのコマンドも受信していない場合には、主制御基板45aの起動が正常に行われなかったと判断してエラー発生を報知する処理が行われる。一方、主制御基板1045aから何らかのコマンドを受信している場合には、本処理を終了し、デバイス制御処理S4302に移行する。
デバイス制御処理S4302では、下述する受信コマンド確認処理S4208(図47)において受信が確認された各種のコマンドに応じて、液晶表示装置1042、スピーカ1106,1204、発光装置1132、1134L1等の駆動制御が行われる。具体的には、それらを制御するための信号が送信される。
システム状態変更処理S4303では、システム状態に変化があるか否かが判定され、判定結果に応じて、電圧低下状態を表す電圧低下フラグ及び初期化状態を表す初期化中フラグが設定又は解除される。システム状態に変化があればその変化に応じた処理が実行される。なお、電圧低下フラグ及び初期化中フラグが解除されている場合には、システム状態は通常状態であるとみなされ、本処理は終了する。システム状態変更処理S4303の後に、電圧監視処理S4304が実行される。
電圧監視処理S4304では、電源基板1038’から供給される内部電力の電圧が所定の電圧以下であるか否かが判定され、内部電圧が所定の電圧以下の場合には、電圧低下フラグが解除されていれば電圧低下フラグが設定され、一方、内部電圧が所定の電圧以下でない場合には、電圧低下フラグが設定されていれば電圧低下フラグが解除される。電圧監視処理S4304の後に、長周期タイマカウンタの値に周期タイマカウンタの値が加算され、長周期タイマカウンタが更新される(「長周期タイマカウンタ加算処理」S4305)。長周期タイマカウンタ更新処理S4305の後に、長周期タイマカウンタの値が10以上であるか否かが判定される(S4306)。判定処理S4305によって、概ね周期タイマカウンタの10回の更新ごとに、以下の処理(S4307〜S4312)が実行されることになる。周期タイマカウンタの更新が概ね1msごとに行われるために、以下の処理は、概ね10msごとに実行されることになる。
判定処理2402において長周期タイマカウンタの値が10未満であると判定された場合には、本処理は終了する。一方、長周期タイマカウンタの値が10以上である場合には、長周期タイマカウンタの値が10だけ減少され、長周期タイマカウンタの値が更新される(「長周期タイマカウンタ減算処理」S4307)。長周期タイマカウンタ減算処理S4307の後に、副制御基板1047aのROMに保持されている各種の発光装置(発光装置132、134L1等)に対する複数の発光パターンを含む発光データテーブルから所望の発光パターンのデータを取り出し、出力用のデータバッファに格納する(「発光データ更新処理」S4308)。なお、格納されたデータは次回の周期タイマ処理S4206におけるデバイス制御処理4302によって出力される。
発光パターンデータ更新処理S4308の後に、発光演出と音響演出とを同期させるための処理が実行される(「発光・音響同期処理」S4309)。発光・音声同期処理S2405の後に、音声演出が行われている状況下において、遊技者によって何らかの入力が行われることなく所定の時間(本形態では30秒)以上にわたって放置されている場合には、音声演出の音量が小音量に変更される(「音響フェードアウト処理」S4310)。また、遊技者によって何らかの入力が行われることなく、所定の時間(本形態では50秒)以上経過しているかを確認して、デモストレーションフラグを設定する(「デモストレーション開始確認処理」S4311)。なお、デモストレーションフラグの設定によって、液晶表示装置1042において所定のデモストレーション演出が開始される。デモストレーション開始確認処理S4311の後に、音量変更操作装置(図示せず)における音量調節スイッチ(図示せず)の音量設定が確認され、スピーカ1106,1204に対するエラー報知時や演出時の音量が更新される(「音量設定処理」S4312)。
音量設定処理S4312の後に、液晶表示装置1042、スピーカ1106,1204、発光装置132,134L1等を制御するためのデータが更新される(「報知データ変更処理」S4313)。
ここで、上記の球式回胴遊技機1010における特徴部分について説明する。球式回胴遊技機1010では、投入装置においてベット時の遊技球の取り込みを規制する3つの投入フリッカ1413aと払出装置33において媒体獲得時の遊技球の払出を規制する4つの払出フリッカ1033bをそれぞれ3つの投入ソレノイド1414a〜1414c及び4つの払出ソレノイド1033cで駆動している。各投入ソレノイド1414a〜1414cの作動は、実施形態1の大入賞口ソレノイドの場合と同様にして、主制御基板1045aに形成された投入ソレノイド異常検知回路1910によって監視されている。投入ソレノイド異常検知回路1910は、大入賞口異常検知回路910(図16参照)と同様の回路を3対備えている。また、各払出ソレノイド1033cの作動は、実施形態1の大入賞口ソレノイドの場合と同様にして、払出制御基板1037aに形成された払出ソレノイド異常検知回路1930によって監視されている。払出ソレノイド異常検知回路1930は、大入賞口異常検知回路910と同様の回路を4対備えている。なお、投入ソレノイド異常検知回路1910及び払出ソレノイド異常検知回路1930において、電源回路(電源回路901及び電源回路912)や正常作動基準電圧生成回路については共通化を図っている。これによって、実施形態1の場合と同様の効果を奏することとなる。
球式回胴遊技機に対しても実施形態1に付随して説明した各種の変化例を採用することもできる。また、メダルを遊技媒体とするスロット機(メダル式回胴遊技機)に対して適用することもできる。